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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】シート排出装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/26 20060101AFI20240826BHJP
   B65H 31/08 20060101ALI20240826BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B65H31/26
B65H31/08
G03G15/00 461
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022199832
(22)【出願日】2022-12-14
(65)【公開番号】P2024085340
(43)【公開日】2024-06-26
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長嶺 翔悟
(72)【発明者】
【氏名】藤田 圭介
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-20769(JP,A)
【文献】特開2021-20809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/26
B65H 31/08
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを排出する排出部と、
前記排出部によって排出されたシートを積載する積載部と、
待機位置と検知位置に移動可能な当接部と、被押圧部と、を有する第1移動ユニットと、
前記当接部の位置を検知する検知部と、
押圧部を有し、第1位置と第2位置との間で移動可能な第2移動ユニットと、
前記第2移動ユニットを駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータ及び前記排出部を制御する制御部と、を備え、
前記当接部は、前記積載部に積載されたシートと所定の位置よりも高い位置で当接した場合に、前記検知位置に位置され、
前記制御部は、
前記当接部が前記検知位置に位置することが前記検知部によって検知された場合に、前記押圧部が前記被押圧部を押圧し、前記当接部を前記検知位置から前記待機位置へ向けて付勢するように、前記第2移動ユニットを前記第1位置から前記第2位置に移動させる第1処理と、
前記第1処理の後に前記当接部が前記検知位置から前記待機位置へ向けて移動したことが前記検知部によって検知された場合、前記排出部によるシートの排出を許可し、前記第1処理の後も前記当接部が前記検知位置で維持されていることが前記検知部によって検知された場合、前記排出部によるシートの排出を規制する第2処理と、を実行する、
ことを特徴とするシート排出装置。
【請求項2】
前記第1処理が実行されることで、前記当接部が前記積載部に積載されたシートを押す力が増大する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項3】
前記検知部は、光を発する発光部と、前記発光部から発せられた光を受光する受光部と、を有し、前記受光部が光を受光するか否かに基づいて出力値を変化させ、
前記第1移動ユニットは、前記当接部と一体に移動すると共に、前記発光部から前記受光部へ向けて発せられた光を遮蔽可能な遮光部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項4】
前記当接部は、回動軸を中心に前記待機位置と前記検知位置との間で回動可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項5】
前記第2移動ユニットは、前記第1位置において、シートを第1搬送路に案内し、前記第2位置において、シートを前記第1搬送路とは異なる第2搬送路に案内する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項6】
前記当接部は、前記待機位置において、前記積載部に積載されたシートの高さが所定高さ未満では、前記積載部に積載されたシートに当接しない、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項7】
前記被押圧部は、前記当接部と一体に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項8】
前記第2移動ユニットは、前記アクチュエータによって駆動される本体部と、前記本体部と一体に設けられる前記押圧部と、を有し、
前記押圧部及び前記被押圧部の少なくともいずれか一方は、前記第1処理において前記押圧部が前記被押圧部を押圧する際に、弾性変形する、
ことを特徴とする請求項7に記載のシート排出装置。
【請求項9】
前記第2移動ユニットは、前記アクチュエータによって駆動される本体部と、前記本体部とは別体に設けられる前記押圧部と、前記本体部と前記押圧部とを接続し、前記本体部に対して前記押圧部を前記被押圧部に向けて付勢する第1付勢部と、を有し、
前記第1付勢部は、前記第1処理において前記押圧部が前記被押圧部を押圧する際に、弾性変形する、
ことを特徴とする請求項7に記載のシート排出装置。
【請求項10】
前記第2移動ユニットは、前記アクチュエータによって駆動される本体部と、前記本体部と一体に設けられる前記押圧部と、を有し、
前記第1移動ユニットは、前記当接部と、前記当接部とは別体に設けられる前記被押圧部と、前記当接部と前記被押圧部とを接続し、前記当接部に対して前記被押圧部を前記押圧部に向けて付勢する第2付勢部と、を有し、
前記第2付勢部は、前記第1処理において前記押圧部が前記被押圧部を押圧する際に、弾性変形する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項11】
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成されたシートを排出する排出部と、
前記排出部によって排出されたシートを積載する積載部と、
待機位置と検知位置に移動可能な当接部と、被押圧部と、を有する第1移動ユニットと、
前記当接部の位置を検知する検知部と、
押圧部を有し、第1位置と第2位置との間で移動可能な第2移動ユニットと、
前記第2移動ユニットを駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータ及び前記排出部を制御する制御部と、を備え、
前記当接部は、前記積載部に積載されたシートと所定の位置よりも高い位置で当接した場合に、前記検知位置に位置され、
前記制御部は、
前記当接部が前記検知位置に位置することが前記検知部によって検知された場合に、前記押圧部が前記被押圧部を押圧し、前記当接部を前記検知位置から前記待機位置へ向けて付勢するように、前記第2移動ユニットを前記第1位置から前記第2位置に移動させる第1処理と、
前記第1処理の後に前記当接部が前記検知位置から前記待機位置へ向けて移動したことが前記検知部によって検知された場合、前記排出部によるシートの排出を許可し、前記第1処理の後も前記当接部が前記検知位置で維持されていることが前記検知部によって検知された場合、前記排出部によるシートの排出を規制する第2処理と、を実行する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを排出するシート排出装置及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成されたシートをシート排出積載部に排出し、シート排出積載部に排出されたシートの4隅を押さえ手段によって抑える画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。押さえ手段は、画像読取装置の底面に回動可能に支持されるフラグ部材を有する。フラグ部材は、排出ローラ対によって排出されるシートの先端によって押されることで回動し、排出されたシートがシート排出積載部に積載されると、自重によってシートを上方からシート積載部に押さえつける。これにより、シートのカールが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-81515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、特許文献1に記載のフラグ部材は、シートを自重により押さえつける。このため、シートのカールを抑制するためには、ある程度の重量が必要となる。しかし、フラグ部材の重量が増すと、排出されるシートの先端がフラグ部材を押す際に、シートの先端がフラグ部材を押し上げきれず、下方に向いてしまう。すると、シートの先端とシート排出積載部との接触部において、シートの先端とシート排出積載部とのなす角が大きくなる。
【0005】
シート排出積載部に既にシートが積載されている場合には、排出されるシートとシート排出積載部に積載されたシートとの間の摩擦力が大きくなると、シート排出積載部上のシートがシート排出方向における下流に押される力が強くなる。
【0006】
本発明は、シート積載性を向上したシート排出装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シート排出装置において、シートを排出する排出部と、前記排出部によって排出されたシートを積載する積載部と、待機位置と検知位置に移動可能な当接部と、被押圧部と、を有する第1移動ユニットと、前記当接部の位置を検知する検知部と、押圧部を有し、第1位置と第2位置との間で移動可能な第2移動ユニットと、前記第2移動ユニットを駆動するアクチュエータと、前記アクチュエータ及び前記排出部を制御する制御部と、を備え、前記当接部は、前記積載部に積載されたシートと所定の位置よりも高い位置で当接した場合に、前記検知位置に位置され、前記制御部は、前記当接部が前記検知位置に位置することが前記検知部によって検知された場合に、前記押圧部が前記被押圧部を押圧し、前記当接部を前記検知位置から前記待機位置へ向けて付勢するように、前記第2移動ユニットを前記第1位置から前記第2位置に移動させる第1処理と、前記第1処理の後に前記当接部が前記検知位置から前記待機位置へ向けて移動したことが前記検知部によって検知された場合、前記排出部によるシートの排出を許可し、前記第1処理の後も前記当接部が前記検知位置で維持されていることが前記検知部によって検知された場合、前記排出部によるシートの排出を規制する第2処理と、を実行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、シート積載性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態に係るプリンタを示す全体概略図。
図2】満載検知フラグ及びセンサを示す斜視図。
図3】(a)は待機位置に位置する満載検知フラグを示す断面図、(b)は遮光状態のセンサを示す図。
図4】第1の実施の形態に係る制御系を示す制御ブロック図。
図5】比較例に係る満載検知フラグを示す断面図。
図6】比較例に係る満載検知フラグとシートの動きを示す断面図。
図7】第1の実施の形態に係る満載検知制御を示すフローチャート。
図8】(a)は積載シートがカールした状態で、満載検知フラグが検知位置に位置する状態を示す断面図、(b)はセンサを示す図。
図9】(a)は満載検知フラグによって押し付けられてカールが矯正される様子を示す断面図、(b)はセンサを示す図。
図10】(a)は積載シートがカールしていない状態で、満載検知フラグが検知位置に位置する状態を示す断面図、(b)はセンサを示す図。
図11】第2の実施の形態に係る満載検知フラグを示す斜視図。
図12】(a)は満載検知フラグによって押し付けられてカールが矯正される様子を示す断面図、(b)はセンサを示す図。
図13】(a)は積載シートがカールしていない状態で、押圧部によって被押圧部材が押圧された様子を示す断面図、(b)はセンサを示す図。
図14】(a)は第3の実施の形態に係る案内部材及び満載検知フラグを示す断面図、(b)はセンサを示す図。
図15】(a)は積載シートがカールしていない状態で、押圧部によって被押圧部が押圧された様子を示す断面図、(b)はセンサを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1の実施の形態>
〔全体構成〕
まず、本発明の第1の実施の形態について説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0011】
画像形成装置としてのプリンタ1は、モノクロのトナー像を形成する電子写真方式のレーザビームプリンタである。プリンタ1は、図1に示すように、積載されたシートを給送するシート給送部55と、給送されたシートに画像を形成する画像形成部60と、を有している。また、プリンタ1は、シートに転写された画像を定着させる定着装置10と、シートをプリンタ1の外部に排出可能なシート排出装置70と、を有している。なお、本実施の形態におけるシートは、用紙及び封筒等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート(OHP)等のプラスチックフィルム、布などを含む。
【0012】
プリンタ1に画像形成の指令が出力されると、プリンタ1に接続された外部のコンピュータ等から入力された画像情報に基づいて、画像形成部60による画像形成プロセスが開始される。画像形成部60は、感光ドラム2と、感光ドラム2に沿って配置された帯電ローラ3、現像ローラ5及び転写ローラ9と、を有している。レーザスキャナ4は、入力された画像情報に基づいて、感光ドラム2に向けてレーザ光を照射する。このとき感光ドラム2は、帯電ローラ3により予め帯電されており、レーザ光が照射されることで感光ドラム2上に静電潜像が形成される。その後、現像ローラ5によりこの静電潜像が現像され、感光ドラム2上にモノクロのトナー像が形成される。
【0013】
上述の画像形成プロセスに並行して、シート給送部55からシートSが給送される。シート給送部55は、シートSを積載する不図示のカセットと、ピックアップローラ6と、分離ローラ対7と、を有している。カセットに積載されたシートSは、ピックアップローラ6によって給送され、ピックアップローラ6によって給送されたシートSは、分離ローラ対7によって1枚ずつに分離される。
【0014】
分離ローラ対7によって1枚ずつ分離されたシートSは、搬送ローラ対8a,8bによって転写ローラ9に向けて搬送される。そして、シートSには、転写ローラ9に印加された静電的負荷バイアスによって、感光ドラム2上のトナー像が転写される。トナー像が転写されたシートSは、定着装置10の加圧ローラ10a及び加熱ユニット10bによって所定の熱及び圧力が付与されて、トナーが溶融固着(定着)される。加熱ユニット10bは、ヒータを内蔵している。定着装置10を通過したシートSは、シート排出装置70に搬送される。
【0015】
シート排出装置70は、定着装置10を通過したシートSを第1搬送路CP1及び第2搬送路CP2のいずれか一方に案内する案内部材40と、排出ローラ対11,11Uと、満載検知フラグ20,20Uと、排出トレイ12,12Uと、を有している。第2移動ユニットとしての案内部材40は、図1の実線で示す第1位置と、図1の破線で示す第2位置と、に移動可能に設けられている。案内部材40は、例えば第1位置に向けて不図示のバネによって付勢されている。また、案内部材40は、モータM1(図4参照)によって、バネの付勢力に抗して第1位置から第2位置へ移動可能に構成されている。
【0016】
案内部材40が第1位置に位置する際には、シートSは、案内部材40によって第1搬送路CP1に案内され、排出ローラ対11によって積載部としての排出トレイ12に排出される。案内部材40が第2位置に位置する際には、シートSは、案内部材40によって第2搬送路CP2に案内され、排出ローラ対11Uによって排出トレイ12Uに排出される。
【0017】
[満載検知フラグ]
次に、シート排出装置70の満載検知フラグ20について詳しく説明する。第1移動ユニットとしての満載検知フラグ20は、図2に示すように、プリンタ1の筐体1Aに回動可能に支持される回動軸21と、フラグ部22a,22b,22c,22dと、被押圧部23a,23bと、遮光部24と、を有している。フラグ部22a,22b,22c,22dは、回動軸21に固定され、回動軸21の軸方向ADに直交する径方向にそれぞれ伸びている。また、フラグ部22a,22b,22c,22dは、軸方向ADに並んで配置されており、搬送路の中央に対して軸方向ADに対称に配置されている。これにより、フラグ部22a,22b,22c,22dは、排出部としての排出ローラ対11によって排出される様々なサイズのシートに当接可能である。
【0018】
被押圧部23a,23bも、回動軸21に固定され、回動軸21の軸方向ADに直交する径方向において、フラグ部22a,22b,22c,22dとは異なる方向にそれぞれ伸びている。すなわち、被押圧部23a,23bは、回動軸21を介して、フラグ部22a,22b,22c,22dと一体に設けられている。被押圧部23a,23bは、軸方向ADに並んで配置されており、搬送路の中央に対して軸方向ADに対称に配置されている。また、被押圧部23a,23bは、弾性材料から構成されている。
【0019】
上述した案内部材40は、筐体1Aに支持される回動軸40aを中心に第1位置と第2位置との間で回動可能に構成されている。また、案内部材40は、モータM1によって駆動される本体部41と、本体部41と一体に設けられる押圧部40b,40bと、を有している。軸方向ADにおいて、被押圧部23a,23bと、案内部材40の押圧部40b,40bとは、少なくとも部分的にオーバーラップするように構成されている。つまり、軸方向ADにおいて、被押圧部23a,23bが配置される範囲と、案内部材40の押圧部40b,40bが配置される範囲とは、少なくとも部分的にオーバーラップする。このため、被押圧部23a,23bは、フラグ部22(図3(a)参照)が後述する検知位置に位置する状態では、第1位置から第2位置へ移動する案内部材40と当接可能に配置されている。
【0020】
なお、フラグ部22a,22b,22c,22dは、互いに同様の構成及び作用を有し、被押圧部23a,23bも、互いに同様の構成及び作用を有している。よって、以下では、フラグ部22a,22b,22c,22dを特に区別せずに説明する場合には、単にフラグ部22として説明および図面に図示する。同様に被押圧部23a,23bを特に区別せずに説明する場合には、単に被押圧部23として説明および図面に図示する。
【0021】
遮光部24は、軸方向ADにおける回動軸21の一端部に固定されており、筐体1Aに固定されたセンサ30の光路を遮蔽可能に構成されている。検知部としてのセンサ30は、発光部30aと、受光部30bと、を有しており、発光部30aから発せられた光を受光部30bが受光することで、ONとなる。言い換えれば、センサ30は、受光部30bが光を受光するか否かに基づいて出力値を変化させる。発光部30aと受光部30bとの間には、光路が形成されている。満載検知フラグ20の回動軸21、フラグ部22a,22b,22c,22d、被押圧部23a,23b及び遮光部24は、一体に移動する。
【0022】
図3(a)(b)に示すように、排出ローラ対11によって排出されたシートは、排出トレイ12上に積載シート120として積載される。満載検知フラグ20のフラグ部22は、排出ローラ対11によって搬送されるシートによって一時的に持ち上げられ、シートの後端が排出ローラ対11を通過すると下降する。このように、満載検知フラグ20のフラグ部22がシートによって一時的に持ち上げられた後に下降した状態を、以下、フラグ部22の下降状態と呼ぶ。積載シート120の高さが所定高さ未満の場合には、下降状態の満載検知フラグ20のフラグ部22は、積載シート120に当接せず、図3(a)の実線で示す待機位置に位置している。当接部としてのフラグ部22が待機位置に位置する状態では、図3(b)に示すように、遮光部24がセンサ30の光路を遮蔽しているため、センサ30はOFF(遮光状態)となっている。
【0023】
積載シート120の高さが所定高さとなると、最上位の積載シート120の上面が下降状態のフラグ部22と当接する。そして、下降状態のフラグ部22が積載シート120の上面と当接する位置は、積載シート120の高さが増加するにつれて、上方にシフトする。言い換えれば、積載シート120の上面と当接したフラグ部22の位置は、排出トレイ12に積載されたシートが増加するにつれて待機位置から後述する検知位置に向けてシフトする。フラグ部22が図3(a)の破線で示す位置に位置するとき、すなわち満載量の積載シート120の最上位のシートTPの上面に当接しているとき、フラグ部22は、検知位置に位置する。言い換えれば、フラグ部22は、排出トレイ12に積載された積載シート120と所定の位置よりも高い位置で当接した場合に、検知位置に位置する。フラグ部22が検知位置に位置する状態では、図3(b)に示すように、遮光部24がセンサ30の光路を遮蔽せず、センサ30はON(透光状態)となる。フラグ部22が検知位置に到達する前の状態では、遮光部24がセンサ30の光路を遮蔽し、センサ30はOFF(遮光状態)となる。すなわち、センサ30は、積載シート120の枚数が増えていき、満載検知フラグ20が検知位置に到達することで、OFFからONとなる。なお、以下では、フラグ部22が待機位置に位置する際に、満載検知フラグ20も待機位置に位置すると称する。同様に、フラグ部22が検知位置に位置する際に、満載検知フラグ20も検知位置に位置すると称する。また、フラグ部22が下降状態にある際に、満載検知フラグ20も下降状態にあると称する。なお、フラグ部22が検知位置に位置する状態で、遮光部24がセンサ30の光路を遮蔽し、フラグ部22が検知位置に到達する前の状態で、遮光部24がセンサ30の光路を遮蔽しないように、遮光部24とセンサ30を構成してもよい。
【0024】
[制御ブロック]
図4は、本実施の形態に係るプリンタ1の制御ブロックを示すブロック図である。図4に示すように、プリンタ1は、制御部80を備えている。制御部80は、CPU81と、ROM82と、RAM83と、を有している。ROM82には、各種のプログラムが格納されており、CPU81は、ROM82に格納されたプログラムを読み込んで実行する。RAM83は、CPU81の作業領域として使用される。
【0025】
制御部80の入力側には、センサ30が接続されており、制御部80の出力側には、モータM1及び搬送モータM2が接続されている。モータM1は、上述したように、案内部材40を第1位置と第2位置との間で回動させる。搬送モータM2は、プリンタ1の各ローラを駆動する。搬送モータM2は、少なくとも排出ローラ対11を駆動するが、他のローラを駆動してもよい。また、他のローラについては、他の搬送モータによって駆動してもよい。
【0026】
なお、本実施の形態では、アクチュエータとしてのモータM1によって案内部材40を駆動しているが、これに限定されない。例えば、アクチュエータとしてのソレノイドによって案内部材40を駆動してもよい。また、例えばモータM1を省き、搬送モータM2をアクチュエータとして用いることによって、案内部材40を第1位置から第2位置に移動させるように構成してもよい。この場合、搬送モータM2を逆回転させることで、案内部材40を第1位置から第2位置に移動させてもよい。また、搬送モータM2の駆動伝達経路に、案内部材40または各ローラへの駆動力の伝達、遮断を切り替える切換え装置を設けてもよい。切換え装置としては、電磁クラッチ、ワンウェイクラッチ、振り子ギア等、種々の構成を用いることができる。
【0027】
[比較例]
ここで、図5及び図6を用いて、比較例について説明する。図5において、排出トレイ12に積載された積載シート120は、カールしている。シートは、定着装置10を通過する際に、シートの表側と裏側とで蒸発する水分量が異なることに起因してカールすることがある。そして、カールした積載シート120が排出トレイ12に対して浮いてしまい、積載シート120と排出トレイ12との間には、空間SPが空いてしまう。
【0028】
このように積載シート120がカールしていると、満載量の積載シート(図3の一点鎖線で示す量)よりも高さHだけ少ない量の積載シート120によって、フラグ部22が検知位置に到達してしまう。すなわち、積載シート120がカールすることにより、積載シート120がカールしていない状態に比して、高さHに対応するシート枚数分だけ少ない枚数しか排出トレイ12に積載されていないにも拘らず、センサ30がONとなってしまう。
【0029】
このような積載シート120のカールを抑制するためには、フラグ部22の重量を増大させ、フラグ部22によって積載シート120を上方から押さえつける方法が考えられる。しかしながら、フラグ部22の重量を増大させると、図6に示すように、排出ローラ対11によって排出されるシートの先端Saがフラグ部22を押す際に、シートSの先端Saがフラグ部22を押し上げきれず、下方に向いてしまう。すると、シートSの先端Saと積載シート120との接触部において、シートSの先端Saと積載シート120とのなす角が大きくなる。このため、排出されるシートSと積載シート120との間の摩擦力が大きくなり、シートSが積載シート120を押し出す力Fが大きくなる。
【0030】
シートSから付与される力Fによる積載シート120の移動を抑制するために、排出トレイ12を排出ローラ対11から遠ざけ、シートSと積載シート120との接触圧を下げることも可能であるが、この場合、プリンタ1が大型化してしまう。そこで、本実施の形態の制御部80は、以下で説明するような満載検知制御を実行する。
【0031】
[満載検知制御]
次に、図7乃至図9(b)を用いて、本実施の形態の満載検知制御について説明する。図7では、例えば複数枚のシートに対して画像を形成し、連続して排出トレイ12に排出するジョブにおける満載検知制御を例に説明する。図7に示すように、制御部80は、まず、センサ30がONとなったか否かを判断する(ステップS10)。上述したように、排出ローラ対11によってシートが排出トレイ12に順次排出され、積載シート120の高さが増していくと、満載検知フラグ20のフラグ部22が待機位置から検知位置へ移動していく。センサ30がONとなったと判断されなかった場合(ステップS10:No)、制御部80は、引き続きシートSを排出するように排出ローラ対11を制御する(ステップS11)。そして、制御部80は、シートSを排出トレイ12に排出する次の排出指令があるか否かを確認する(ステップS12)。次の排出指令がある場合(ステップS12:Yes)、ステップS10に戻る。次の排出指令がない場合(ステップS12:No)、満載検知制御を終了する。
【0032】
一方で、センサ30がONとなったと判断された場合(ステップS10:Yes)、制御部80は、案内部材40を第1位置から第2位置へ移動させるように、モータM1を制御する(ステップS13)。
【0033】
満載検知フラグ20の被押圧部23は、フラグ部22が待機位置に位置する際には、案内部材40が第1位置と第2位置との間で移動しても、案内部材40に対して接触しない。一方で、被押圧部23は、フラグ部22が検知位置に位置する際には、第1位置に位置する案内部材40には当接しないが、案内部材40が第1位置から第2位置に移動する際に、案内部材40の押圧部40bによって上方に押圧される。なお、本実施の形態では、案内部材40が第1位置に位置し、かつフラグ部22が検知位置に位置する際には、案内部材40の押圧部40bは、満載検知フラグ20の被押圧部23から離間している。
【0034】
ステップS13において、フラグ部22は検知位置に位置しているので、図8(a)及び図9(a)に示すように、案内部材40が第1位置から第2位置へ移動すると、押圧部40bが被押圧部23を押圧する。この時、図8(a)及び図9(a)においては、排出トレイ12に積載された積載シート120がカールしている。被押圧部23が押圧部40bに押圧されることによって、満載検知フラグ20は図8(a)において回動軸21を中心に時計回りに回動する。すなわち、第1処理としてのステップS13によって、満載検知フラグ20のフラグ部22は、検知位置から待機位置に向けて付勢される。
【0035】
これにより、図9(a)に示すように、フラグ部22が積載シート120を下方に押し付け、積載シート120が排出トレイ12に倣い、積載シート120のカールが矯正される。言い換えれば、満載検知フラグ20が、第1位置から第2位置へ移動する案内部材40によって待機位置へ向けて付勢され、満載検知フラグ20のフラグ部22が積載シート120を押し付ける力が増大する。また、フラグ部22が積載シート120を押し付けた状態で、被押圧部23が押圧部40bによって押圧されると、被押圧部23が弾性変形する。被押圧部23が弾性変形することで発生する弾性力が、フラグ部22による積載シート120への押し付け力として働く。
【0036】
図7のフローチャートの説明に戻り、次に制御部80は、センサ30がONからOFFに遷移したか否かを判断する(ステップS14)。言い換えれば、制御部80は、センサ30によってフラグ部22が検知位置から待機位置へ向けて移動したか否かを判断する。図9(a)(b)に示すように、カールした積載シート120が、案内部材40のサポートを受けて満載検知フラグ20のフラグ部22によって排出トレイ12に押し付けられると、フラグ部22が検知位置から待機位置に向けて所定量だけ回動する。すると、センサ30がONからOFFとなる。これにより、排出トレイ12に更にシートを積載することができる。
【0037】
センサ30がONからOFFとなったと判断された場合(ステップS14:Yes)、制御部80は、排出ローラ対11によるシートSの排出を許可すると共に、案内部材40を第2位置から第1位置へ移動させる(ステップS15)。案内部材40が第2位置から第1位置へ移動することで、案内部材40は、シートSを、第1搬送路CP1を介して再び排出トレイ12に案内できるようになる。そして、排出ローラ対11によってシートSが排出トレイ12に排出される。
【0038】
次に、制御部80は、次の排出指令があるか否かを判断する(ステップS16)。次の排出指令がない場合(ステップS16:No)、満載検知制御を終了する。一方で、次の排出指令がある場合(ステップS16:Yes)、制御部80は、ステップS10に戻る。
【0039】
このように、制御部80は、ステップS14においてセンサ30がON状態を維持しない限り、次の排出指令がある場合には、案内部材40を第1位置と第2位置との間で移動させる処理を繰り返す。これに伴い、シートSを1枚排出する毎に、フラグ部22が、積載シート120のカールを矯正するように、検知位置から待機位置に向けて付勢される。
【0040】
図10(a)(b)は、排出トレイ12に積載された積載シート120がカールしていない場合を説明するための図である。図7のステップS13において、カールしていない積載シート120が、案内部材40のサポートを受けて満載検知フラグ20のフラグ部22によって排出トレイ12に押し付けられた場合、図10(a)に示すように、被押圧部23が弾性変形する。すなわち、案内部材40の押圧部40bからの力を、被押圧部23が弾性変形することによって逃がし、案内部材40及び満載検知フラグ20の破損が防止される。なお、ステップS13において、カールしていない積載シート120は、元々カールしていない積載シート120と、フラグ部22によって押し付けられることで、カールが矯正された積載シート120と、を含む。
【0041】
このような場合、満載検知フラグ20は、押圧部40bによって被押圧部23が押圧されても、検知位置から移動しない。すなわち、フラグ部22は、検知位置で維持されている。よって、図7のステップS14において、制御部80は、センサ30がONからOFFに遷移していないと判断し(ステップS14:No)、ステップS17に進む。そして、制御部80は、シートの排出を規制する(ステップS17)。このとき、制御部80は、案内部材40を第2位置から第1位置へと移動させてもよい。また、ステップ17でシートSの排出が規制された状態では、シート給送部55からのシートSの給送が規制される。以上により、制御部80は、満載検知制御を終了する。すなわち、制御部80は、ステップS14においてセンサ30がONのままとなることで、排出トレイ12上の積載シート120が満載であると判断する。なお、ステップS14,S15,S17は、本実施の形態における第2処理を構成する。
【0042】
制御部80は、プリンタ1の表示部やプリンタ1に接続された外部のコンピュータ等に、排出トレイ12上の積載シート120が満載であることを示す情報や、排出トレイ12上から積載シート120を取り除くことに関する情報を表示させてもよい。排出トレイ12上の積載シート120が取り除かれると、センサ30がONからOFFに遷移する。このとき、制御部80はシートSの排出を許可する。センサ30がOFFに遷移したとき、制御部80はシートSの搬送を自動的に再開してもよく、使用者によってシートSの搬送を再開が指示されたときに、シートSの搬送を再開してもよい。
【0043】
以上のように構成することで、初めに排出トレイ12上の積載シート120がカールしていたとしても、案内部材40からの力を受けたフラグ部22によって積載シート120を押し付けることで、カールを矯正することができる。そして、センサ30が一度ONとなっても、制御部80は、満載状態であるとすぐに確定せずに、案内部材40からの力を受けたフラグ部22によって積載シート120を押し付けることによって、満載状態を確定するか否かを判断する。これにより、排出トレイ12に積載可能なシート積載枚数を、シートのカールの有無に拘わらず、十分に確保することができる。言い換えれば、満載量に達していない状態でのセンサ30による誤検知を低減することができる。
【0044】
また、満載検知フラグ20は、案内部材40が第1位置から第2位置へ移動することで、積載シート120への押し付け力を増大することができる。このため、満載検知フラグ20自体の重量を増やすことなく、積載シート120をしっかりと押し付けることができ、シート積載性を向上することができる。
【0045】
また、積載シート120の脱落を抑制するために排出トレイ12の配置や角度を変更する必要がないので、プリンタ1のサイズを維持しつつ、排出トレイ12に積載可能なシート積載枚数の増加とシート(積載シート)の積載性を両立することができる。
【0046】
<第2の実施の形態>
次いで、本発明の第2の実施の形態について説明するが、第2の実施の形態は、第1の実施の形態の満載検知フラグ20の被押圧部23a,23bを別部材で構成したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0047】
[満載検知フラグ]
第2の実施の形態に係る第1移動ユニットとしての満載検知フラグ20Bは、図11に示すように、回動軸21と、フラグ部22a,22b,22c,22dと、被押圧部材50a,50bと、遮光部24と、付勢部材90a,90bと、を有している。被押圧部材50a,50bは、回動軸21に対して相対回転可能に支持されており、回動軸21の軸方向ADに直交する径方向において、フラグ部22a,22b,22c,22dとは異なる方向にそれぞれ伸びている。すなわち、被押圧部材50a,50bは、フラグ部22a,22b,22c,22dとは別体に設けられている。被押圧部材50a,50bは、軸方向ADに並んで配置されており、搬送路の中央に対して軸方向ADに対称に配置されている。軸方向ADにおいて、被押圧部材50a,50bと、案内部材40の押圧部40b,40bとは、少なくとも部分的にオーバーラップするように構成されている。つまり、軸方向ADにおいて、被押圧部材50a,50bが配置される範囲と、案内部材40の押圧部40b,40bが配置される範囲とは、少なくとも部分的にオーバーラップする。
【0048】
回動軸21には、ねじりコイルばね等から構成される付勢部材90a,90bが嵌装されている。付勢部材90aは、フラグ部22a及び被押圧部材50aに係合し、被押圧部材50aを、案内部材40に向けて付勢している。また、付勢部材90bは、フラグ部22d及び被押圧部材50bに係合し、被押圧部材50bを、案内部材40に向けて付勢している。
【0049】
なお、フラグ部22a,22b,22c,22dは、互いに同様の構成及び作用を有し、被押圧部材50a、50bも、互いに同様の構成及び作用を有している。また、付勢部材90a,90bも、互いに同様の構成及び作用を有している。よって、以下では、フラグ部22a,22b,22c,22dを特に区別せずに説明する場合には、単にフラグ部22として説明および図面に図示する。同様に、被押圧部材50a、50bを特に区別せずに説明する場合には、単に被押圧部材50として説明および図面に図示する。同様に、付勢部材90a,90bを特に区別せずに説明する場合には、単に付勢部材90として説明および図面に図示する。
【0050】
被押圧部としての被押圧部材50は、第2付勢部としての付勢部材90によってフラグ部22に接続されているので、フラグ部22の移動が規制されていない状態では、フラグ部22と一体に回動軸21を中心に回動する。一方で、フラグ部22の移動が規制されている状態では、被押圧部材50は、フラグ部22に対して相対的に回動可能である。
【0051】
被押圧部材50は、フラグ部22が待機位置に位置する際には、案内部材40が第1位置と第2位置との間で移動しても、案内部材40に対して接触しない。一方で、被押圧部材50は、フラグ部22が検知位置に位置する際には、第1位置に位置する案内部材40には当接しないが、案内部材40が第1位置から第2位置に移動する際に、案内部材40の押圧部40bによって上方に押圧される。
【0052】
[満載検知制御]
本実施の形態においても、制御部80(図4参照)は、第1の実施の形態と同様に、図7で示す満載検知制御を実行する。制御部80は、図7に示すように、まず、センサ30がONとなったか否かを判断する(ステップS10)。センサ30がONとなったと判断された場合(ステップS10:Yes)、制御部80は、案内部材40を第1位置から第2位置へ移動させるように、モータM1を制御する(ステップS13)。なお、ステップS11,S12については、第1の実施の形態と同様なので、説明を省略する。
【0053】
ステップS13において、満載検知フラグ20Bは検知位置に位置しているので、図12(a)に示すように、案内部材40が第1位置から第2位置へ移動すると、押圧部40bが被押圧部材50を押圧する。この時、図12(a)においては、排出トレイ12に積載された積載シート120がカールしている。被押圧部材50が押圧部40bに押圧されることによって、満載検知フラグ20Bのフラグ部22は、被押圧部材50と共に図12(a)において回動軸21を中心に時計回りに回動する。
【0054】
これにより、図12(a)に示すように、フラグ部22が積載シート120を下方に押し付け、積載シート120が排出トレイ12に倣い、積載シート120のカールが矯正される。言い換えれば、満載検知フラグ20Bが、第1位置から第2位置へ移動する案内部材40によって待機位置へ向けて付勢され、満載検知フラグ20Bのフラグ部22が積載シート120を押し付ける力が増大する。また、フラグ部22が積載シート120を押し付けた状態で、被押圧部材50が押圧部40bによって押圧されると、被押圧部材50がフラグ部22に対して相対的に回動する。これにより、付勢部材90が弾性変形して付勢部材90の弾性力が高まり、この弾性力が、フラグ部22による積載シート120への押し付け力として働く。
【0055】
図7のフローチャートの説明に戻り、次に制御部80は、センサ30がONからOFFに遷移したか否かを判断する(ステップS14)。図12(a)(b)に示すように、カールした積載シート120が、案内部材40のサポートを受けて満載検知フラグ20Bのフラグ部22によって排出トレイ12に押し付けられると、満載検知フラグ20Bが検知位置から待機位置に向けて所定量だけ回動する。すると、センサ30がONからOFFとなる。これにより、排出トレイ12に更にシートを積載することができる。
【0056】
センサ30がONからOFFとなったと判断された場合(ステップS14:Yes)、制御部80は、排出ローラ対11によるシートSの排出を許可すると共に、案内部材40を第2位置から第1位置へ移動させる(ステップS15)。そして、排出ローラ対11により、シートSが排出される。ステップS16については、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0057】
また、図13(a)(b)は、排出トレイ12に積載された積載シート120がカールしていない場合を説明するための図である。図13(a)に示すように、検知位置に位置しているフラグ部22は、カールしていない積載シート120に当接しているため、待機位置に向けて移動規制されている。一方で、図7のステップS13において、案内部材40が第1位置から第2位置へ移動したことにより、被押圧部材50は、案内部材40の押圧部40bによって押圧される。これにより、被押圧部材50は、付勢部材90の付勢力に抗して、図13(a)において回動軸21を中心に時計回りに回動する。すなわち、被押圧部材50は、停止状態のフラグ部22に対して、回動軸21を中心に相対的に回動する。これにより、案内部材40の押圧部40bからの力を、被押圧部材50がフラグ部22に対して相対的に回動することによって逃がし、案内部材40及び満載検知フラグ20Bの破損が防止される。
【0058】
このような場合、フラグ部22は、押圧部40bによって被押圧部材50が押圧されても、検知位置から移動しない。よって、図7のステップS14において、制御部80は、センサ30がONからOFFに遷移していないと判断し(ステップS14:No)、ステップS17に進む。ステップS17については、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0059】
以上のように構成することで、第1の実施の形態と同様に、満載検知フラグ20B自体の重量を増やすことなく、積載シート120をしっかりと押し付けることができ、シート積載性を向上することができる。また、本実施の形態では、フラグ部22と被押圧部材50との間に付勢部材90が介在し、付勢部材90の弾性力次第でフラグ部22による積載シート120への押し付け力を容易に変更することができる。よって、付勢部材90を変更することで、フラグ部22による積載シート120への押し付け力を容易に変更することができる。
【0060】
<第3の実施の形態>
次いで、本発明の第3の実施の形態について説明するが、第3の実施の形態は、第1の実施の形態の案内部材40の押圧部40bを別部材で構成したものである。このため、第1の実施の形態と同様の構成については、図示を省略、又は図に同一符号を付して説明する。
【0061】
[案内部材]
第3の実施の形態に係る案内部材140は、図14(a)(b)に示すように、回動軸40aを中心に第1位置と第2位置との間で回動可能な本体部41と、本体部41とは別体に設けられる押圧部材42と、付勢部材91と、を有している。本体部41は、モータM1(図4参照)によって第1位置と第2位置との間で回動可能であり、第1位置に位置する際に、シートSを第1搬送路CP1に案内し、第2位置に位置する際に、シートSを第2搬送路CP2に案内する。
【0062】
回動軸40aには、ねじりコイルばね等から構成される付勢部材91が嵌装されている。第1付勢部としての付勢部材91は、本体部41及び押圧部材42に係合し、押圧部材42を、満載検知フラグ20の被押圧部23に向けて付勢している。言い換えれば、付勢部材91は、本体部41と押圧部材42とを接続し、本体部41に対して押圧部材42を被押圧部23に向けて付勢している。押圧部としての押圧部材42は、満載検知フラグ20の被押圧部23を押圧可能な押圧部42aを有している。
【0063】
本体部41は、付勢部材91によって本体部41に接続されているので、押圧部材42の移動が規制されていない状態では、押圧部材42と一体に回動軸40aを中心に回動する。一方で、押圧部材42の移動が規制されている状態では、本体部41は、押圧部材42に対して相対的に回動可能である。
【0064】
押圧部材42は、満載検知フラグ20が待機位置に位置する際には、第2移動ユニットとしての案内部材140が第1位置と第2位置との間で移動しても、満載検知フラグ20の被押圧部23に対して接触しない。一方で、押圧部材42は、フラグ部22が検知位置に位置する際には、本体部41(案内部材140)が第1位置から第2位置に移動する際に、満載検知フラグ20の被押圧部23を押圧する。なお、本実施の形態では、被押圧部23は、弾性材料で構成されなくてもよい。
【0065】
[満載検知制御]
本実施の形態においても、制御部80(図4参照)は、第1の実施の形態と同様に、図7で示す満載検知制御を実行する。制御部80は、図7に示すように、まず、センサ30がONとなったか否かを判断する(ステップS10)。センサ30がONとなったと判断された場合(ステップS10:Yes)、制御部80は、案内部材140を第1位置から第2位置へ移動させるように、モータM1を制御する(ステップS13)。なお、ステップS11,S12については、第1の実施の形態と同様なので、説明を省略する。
【0066】
ステップS13において、満載検知フラグ20は検知位置に位置しているので、図14(a)に示すように、案内部材140が第1位置から第2位置へ移動すると、押圧部材42の押圧部42aが満載検知フラグ20の被押圧部23を押圧する。この時、図14(a)においては、排出トレイ12に積載された積載シート120がカールしている。被押圧部23が押圧部42aに押圧されることによって、満載検知フラグ20のフラグ部22は、被押圧部23と共に図14(a)において回動軸21を中心に時計回りに回動する。
【0067】
これにより、図14(a)に示すように、フラグ部22が積載シート120を下方に押し付け、積載シート120が排出トレイ12に倣い、積載シート120のカールが矯正される。言い換えれば、満載検知フラグ20が、第1位置から第2位置へ移動する案内部材140によって待機位置へ向けて付勢され、満載検知フラグ20のフラグ部22が積載シート120を押し付ける力が増大する。また、フラグ部22が積載シート120を押し付けた状態で、被押圧部23が押圧部42aによって押圧されると、押圧部材42が本体部41に対して相対的に回動する。これにより、付勢部材91が弾性変形して付勢部材91の弾性力が高まり、この弾性力が、押圧部材42、被押圧部23及び回動軸21を介して、フラグ部22による積載シート120への押し付け力として働く。
【0068】
図7のフローチャートの説明に戻り、次に制御部80は、センサ30がONからOFFに遷移したか否かを判断する(ステップS14)。図14(a)(b)に示すように、カールした積載シート120が、案内部材140のサポートを受けて満載検知フラグ20のフラグ部22によって排出トレイ12に押し付けられると、満載検知フラグ20が検知位置から待機位置に向けて所定量だけ回動する。すると、センサ30がONからOFFとなる。これにより、排出トレイ12に更にシートを積載することができる。
【0069】
センサ30がONからOFFとなったと判断された場合(ステップS14:Yes)、制御部80は、排出ローラ対11によるシートSの排出を許可すると共に、案内部材40を第2位置から第1位置へ移動させる(ステップS15)。そして、排出ローラ対11により、シートSが排出される。ステップS16については、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0070】
また、図15(a)(b)は、排出トレイ12に積載された積載シート120がカールしていない場合を説明するための図である。図15(a)に示すように、検知位置に位置しているフラグ部22は、カールしていない積載シート120に当接しているため、待機位置に向けて移動規制されている。一方で、図7のステップS13において、案内部材140(本体部41)が第1位置から第2位置へ移動したことにより、案内部材140の押圧部材42の押圧部42aは、被押圧部23を押圧する。積載シート120はカールしておらず、満載検知フラグ20は検知位置で保持されるため、押圧部材42は、本体部41に対して、回動軸40aを中心に付勢部材91の付勢力に抗して、相対的に回動する。これにより、押圧部材42が付勢部材91を介して本体部41から受ける力を、押圧部材42が本体部41に対して相対的に回動することによって逃がし、案内部材140及び満載検知フラグ20の破損が防止される。
【0071】
このような場合、フラグ部22は、押圧部42aによって被押圧部23が押圧されても、検知位置から移動しない。よって、図7のステップS14において、制御部80は、センサ30がONからOFFに遷移していないと判断し(ステップS14:No)、ステップS17に進む。ステップS17については、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0072】
以上のように構成することで、第1の実施の形態と同様に、満載検知フラグ20自体の重量を増やすことなく、積載シート120をしっかりと押し付けることができ、シート積載性を向上することができる。また、本実施の形態では、案内部材140を本体部41及び押圧部材42によって構成し、これら本体部41及び押圧部材42の間に付勢部材91が介在するように構成した。このため、付勢部材91の弾性力次第でフラグ部22による積載シート120への押し付け力を容易に変更することができる。よって、付勢部材91を変更することで、フラグ部22による積載シート120への押し付け力を容易に変更することができる。
【0073】
<その他の実施の形態>
なお、既述のいずれの形態においても、案内部材40,140を第1位置から第2位置に移動させることによってフラグ部22による積載シート120への押し付け力を増大させていたが、これに限定されない。例えば、案内部材40,140の代わりに、フラグ部22による積載シート120への押し付け力を増大させるための可動部材を設けてもよい。この可動部材の構成や配置は限定されない。このような可動部材を設けることで、満載検知フラグ20Uによる積載シート120への押し付け力を増大させることもできる。
【0074】
また、第1の実施の形態では、被押圧部23を弾性材料から構成し、押圧部40bが被押圧部23を押圧する際に、被押圧部23が弾性変形するように構成していたが、これに限定されない。例えば、押圧部40bを弾性材料から構成し、押圧部40bが被押圧部23を押圧する際に、押圧部40bが弾性変形するように構成してもよい。すなわち、押圧部40bが被押圧部23を押圧する際に、被押圧部23及び押圧部40bの少なくともいずれか一方が弾性変形するように構成されればよい。
【0075】
また、第1の実施の形態では、案内部材40が第1位置に位置し、かつフラグ部22が検知位置に位置する際には、案内部材40の押圧部40bは、満載検知フラグ20の被押圧部23から離間しているが、これに限定されない。例えば、案内部材40が第1位置に位置し、かつフラグ部22が検知位置に位置する際には、案内部材40の押圧部40bは、満載検知フラグ20の被押圧部23に軽く接触していてもよい。いずれにせよ、案内部材40が第1位置から第2位置へ移動する(図7のステップS13)ことで、フラグ部22による積載シート120への押し付け力が増大するように構成されればよい。第2及び第3の実施の形態についても、同様である。
【0076】
また、既述のいずれの形態においても、ステップS14~S16を経て、センサ30がONになったと判断された場合(ステップS10:Yes)、制御部80は、ステップS17に進んでもよい。
【0077】
また、既述のいずれの形態においても、電子写真方式のプリンタ1を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズルからインク液を吐出させることでシートに画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置にも本発明を適用することが可能である。また、プリンタ1に対して着脱可能なシート搬送装置にも本発明を適用することが可能である。
【0078】
本発明は上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0079】
また、本実施の形態の開示は、以下の構成例及び方法例を含む。
(構成1)
シートを排出する排出部と、
前記排出部によって排出されたシートを積載する積載部と、
待機位置と検知位置に移動可能な当接部と、被押圧部と、を有する第1移動ユニットと、
前記当接部の位置を検知する検知部と、
押圧部を有し、第1位置と第2位置との間で移動可能な第2移動ユニットと、
前記第2移動ユニットを駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータ及び前記排出部を制御する制御部と、を備え、
前記当接部は、前記積載部に積載されたシートと所定の位置よりも高い位置で当接した場合に、前記検知位置に位置され、
前記制御部は、
前記当接部が前記検知位置に位置することが前記検知部によって検知された場合に、前記押圧部が前記被押圧部を押圧し、前記当接部を前記検知位置から前記待機位置へ向けて付勢するように、前記第2移動ユニットを前記第1位置から前記第2位置に移動させる第1処理と、
前記第1処理の後に前記当接部が前記検知位置から前記待機位置へ向けて移動したことが前記検知部によって検知された場合、前記排出部によるシートの排出を許可し、前記第1処理の後も前記当接部が前記検知位置で維持されていることが前記検知部によって検知された場合、前記排出部によるシートの排出を規制する第2処理と、を実行する、
ことを特徴とするシート排出装置。
(構成2)
前記第1処理が実行されることで、前記当接部が前記積載部に積載されたシートを押す力が増大する、
ことを特徴とする構成1に記載のシート排出装置。
(構成3)
前記検知部は、光を発する発光部と、前記発光部から発せられた光を受光する受光部と、を有し、前記受光部が光を受光するか否かに基づいて出力値を変化させ、
前記第1移動ユニットは、前記当接部と一体に移動すると共に、前記発光部から前記受光部へ向けて発せられた光を遮蔽可能な遮光部を有する、
ことを特徴とする構成1又は2に記載のシート排出装置。
(構成4)
前記当接部は、回動軸を中心に前記待機位置と前記検知位置との間で回動可能である、
ことを特徴とする構成1乃至3のいずれか1項に記載のシート排出装置。
(構成5)
前記第2移動ユニットは、前記第1位置において、シートを第1搬送路に案内し、前記第2位置において、シートを前記第1搬送路とは異なる第2搬送路に案内する、
ことを特徴とする構成1乃至4のいずれか1項に記載のシート排出装置。
(構成6)
前記当接部は、前記待機位置において、前記積載部に積載されたシートの高さが所定高さ未満では、前記積載部に積載されたシートに当接しない、
ことを特徴とする構成1乃至5のいずれか1項に記載のシート排出装置。
(構成7)
前記被押圧部は、前記当接部と一体に設けられている、
ことを特徴とする構成1乃至6のいずれか1項に記載のシート排出装置。
(構成8)
前記第2移動ユニットは、前記アクチュエータによって駆動される本体部と、前記本体部と一体に設けられる前記押圧部と、を有し、
前記押圧部及び前記被押圧部の少なくともいずれか一方は、前記第1処理において前記押圧部が前記被押圧部を押圧する際に、弾性変形する、
ことを特徴とする構成7に記載のシート排出装置。
(構成9)
前記第2移動ユニットは、前記アクチュエータによって駆動される本体部と、前記本体部とは別体に設けられる前記押圧部と、前記本体部と前記押圧部とを接続し、前記本体部に対して前記押圧部を前記被押圧部に向けて付勢する第1付勢部と、を有し、
前記第1付勢部は、前記第1処理において前記押圧部が前記被押圧部を押圧する際に、弾性変形する、
ことを特徴とする構成7に記載のシート排出装置。
(構成10)
前記第2移動ユニットは、前記アクチュエータによって駆動される本体部と、前記本体部と一体に設けられる前記押圧部と、を有し、
前記第1移動ユニットは、前記当接部と、前記当接部とは別体に設けられる前記被押圧部と、前記当接部と前記被押圧部とを接続し、前記当接部に対して前記被押圧部を前記押圧部に向けて付勢する第2付勢部と、を有し、
前記第2付勢部は、前記第1処理において前記押圧部が前記被押圧部を押圧する際に、弾性変形する、
ことを特徴とする構成1乃至6のいずれか1項に記載のシート排出装置。
(構成11)
シートに画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって画像が形成されたシートを排出する排出部と、
前記排出部によって排出されたシートを積載する積載部と、
待機位置と検知位置に移動可能な当接部と、被押圧部と、を有する第1移動ユニットと、
前記当接部の位置を検知する検知部と、
押圧部を有し、第1位置と第2位置との間で移動可能な第2移動ユニットと、
前記第2移動ユニットを駆動するアクチュエータと、
前記アクチュエータ及び前記排出部を制御する制御部と、を備え、
前記当接部は、前記積載部に積載されたシートと所定の位置よりも高い位置で当接した場合に、前記検知位置に位置され、
前記制御部は、
前記当接部が前記検知位置に位置することが前記検知部によって検知された場合に、前記押圧部が前記被押圧部を押圧し、前記当接部を前記検知位置から前記待機位置へ向けて付勢するように、前記第2移動ユニットを前記第1位置から前記第2位置に移動させる第1処理と、
前記第1処理の後に前記当接部が前記検知位置から前記待機位置へ向けて移動したことが前記検知部によって検知された場合、前記排出部によるシートの排出を許可し、前記第1処理の後も前記当接部が前記検知位置で維持されていることが前記検知部によって検知された場合、前記排出部によるシートの排出を規制する第2処理と、を実行する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【符号の説明】
【0080】
1:画像形成装置(プリンタ)/11:排出部(排出ローラ対)/12:積載部(排出トレイ)/20,20B:第1移動ユニット(満載検知フラグ)/21:回動軸/22:当接部(フラグ部)/23:被押圧部/24:遮光部/30:検知部(センサ)/30a:発光部/30b:受光部/40,140:第2移動ユニット(案内部材)/40b:押圧部/41:本体部/42:押圧部(押圧部)/50:被押圧部(被押圧部材)/70:シート排出装置/80:制御部/90:第2付勢部(付勢部材)/91:第1付勢部(付勢部材)/CP1:第1搬送路/CP2:第2搬送路/M1:アクチュエータ(モータ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15