IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コネクレーンズ グローバル コーポレイションの特許一覧

<>
  • 特許-電磁ブレーキ 図1
  • 特許-電磁ブレーキ 図2
  • 特許-電磁ブレーキ 図3
  • 特許-電磁ブレーキ 図4a
  • 特許-電磁ブレーキ 図4b
  • 特許-電磁ブレーキ 図5
  • 特許-電磁ブレーキ 図6
  • 特許-電磁ブレーキ 図7
  • 特許-電磁ブレーキ 図8a
  • 特許-電磁ブレーキ 図8b
  • 特許-電磁ブレーキ 図9
  • 特許-電磁ブレーキ 図10
  • 特許-電磁ブレーキ 図11
  • 特許-電磁ブレーキ 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】電磁ブレーキ
(51)【国際特許分類】
   F16D 65/18 20060101AFI20240826BHJP
   F16D 55/06 20060101ALI20240826BHJP
   B66C 11/00 20060101ALI20240826BHJP
   F16D 121/14 20120101ALN20240826BHJP
   F16D 121/22 20120101ALN20240826BHJP
【FI】
F16D65/18
F16D55/06 A
B66C11/00
F16D121:14
F16D121:22
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022504496
(86)(22)【出願日】2020-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2020070399
(87)【国際公開番号】W WO2021013776
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-05-15
(31)【優先権主張番号】102019120041.5
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516083449
【氏名又は名称】コネクレーンズ グローバル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Konecranes Global Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】スコルスキ、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】エンゲル、ハラルド
(72)【発明者】
【氏名】クレプケ、トーマス
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05685398(US,A)
【文献】独国特許出願公開第102017000845(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第04109786(DE,A1)
【文献】実開平05-030571(JP,U)
【文献】特開2009-103212(JP,A)
【文献】特開平05-256330(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1299558(KR,B1)
【文献】特開平10-316358(JP,A)
【文献】米国特許第05057728(US,A)
【文献】独国実用新案第202012000897(DE,U1)
【文献】西独国特許出願公開第02832523(DE,A1)
【文献】特開2007-255452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 65/18
F16D 55/06
B66C 11/00
F16D 121/14
F16D 121/22
F16B 21/00-21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング体(21)、摩擦ディスク(22)、および前記ケーシング体(21)内に配置された少なくとも1つの圧縮バネ(30)を備える電磁ブレーキ(20)であって、前記摩擦ディスク(22)は、バヨネットロック(23)の形式で前記ケーシング体(21)と接続されており、前記摩擦ディスク(22)は、前記ケーシング体(21)に対して回転しないようにロックされている、電磁ブレーキにおいて、前記摩擦ディスク(22)は、少なくとも1つのロック要素(100)によって前記ケーシング体(21)に対して回転しないようにロックされており、前記ロック要素(100)は、前記電磁ブレーキ(20)を構成部品に取り付けるために使用される接続要素であることを特徴とする、電磁ブレーキ。
【請求項2】
アーマチュアディスク(25)が溝-突起部接続(32)を介して前記ケーシング体(21)内で軸方向に案内され、少なくとも1つの案内溝(21a)、好適には3つの案内溝(21a)と、少なくとも1つの所属の案内突起部(25a)、好適には3つの所属の案内突起部(25a)とが設けられており、それぞれの前記案内溝(21a)は、好適には前記ケーシング体(21)内に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の電磁ブレーキ(20)。
【請求項3】
形状結合によって前記ケーシング体(21)に接続されており、および/または前記ケーシング体(21)に対して回転しないようにロックされているコイルユニット(26)が設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の電磁ブレーキ(20)。
【請求項4】
前記コイルユニット(26)は、スナップ接続(34)により形状結合によって前記ケーシング体(21)と接続されており、前記コイルユニット(26)の好適には少なくとも1つのスナップフック(27)は、前記ケーシング体(21)のウェブ(28a)に支持されていることを特徴とする、請求項3に記載の電磁ブレーキ(20)。
【請求項5】
前記コイルユニット(26)は、組み立てを簡単にするため、前記ケーシング体(21)に形状結合によって接続している領域では、前記コイルユニット(26)が前記ケーシング体に対して軸方向に可動であるように前記ケーシング体(21)に支承されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の電磁ブレーキ(20)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の電磁ブレーキ(20)を備えるリフト機構(h)。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の電磁ブレーキ(20)の組み立て方法であって、前記摩擦ディスク(22)を前記ケーシング体(21)の切欠部(21b)に装着し、回転方向への相対運動により、前記切欠部(21b)に続く収容溝(21c)を使って前記ケーシング体(21)と係合させ、前記摩擦ディスク(22)の少なくとも1つの突起部(22a)、好適には3つの突起部(22a)および前記切欠部(21b)は、前記相対運動後はもはや軸方向に一致しておらず、前記摩擦ディスク(22)は引き続き前記ケーシング体(21)に対して回転しないようにロックされることを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の電磁ブレーキ(20)の組み立て方法であって、アーマチュアディスク(25)は、前記アーマチュアディスク(25)の少なくとも1つの案内突起部(25a)が前記ケーシング体(21)の所属の案内溝(21a)の中で案内されるように、前記ケーシング体(21)の中にはめ込まれることを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の電磁ブレーキ(20)の組み立て方法であって、コイルユニット(26)は、前記コイルユニット(26)の少なくとも1つの位置決め突起部(26a)が回転ロックのために前記ケーシング体(21)の対応の収容部(21d)に係合するように、および/または前記コイルユニット(26)が前記ケーシング体(21)とスナップ接続(34)によって軸方向に形状結合によって接続されるように、ケーシング体(21)の中にはめ込まれることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念による電磁ブレーキに関する。さらに本発明は、請求項7の上位概念による、そのような電磁ブレーキの組み立て方法に関する。
【0002】
この種の電磁ブレーキは、ドイツ特許出願公開第102017000845号から公知である。
【0003】
さらにドイツ特許発明第102012001701号から、摩擦ディスクがブレーキのマグネットケーシングと形状結合している電磁ブレーキが公知である。
【0004】
ドイツ特許出願公開第4109786号は、摩擦ディスクがブレーキのカバーの底部により形成される電磁ブレーキを開示する。ブレーキの弾性要素も配置されているカバーは、バヨネット式にモータケーシングと接続されている。
【0005】
さらなる電磁ブレーキが、ドイツ特許発明第102014001474号、ドイツ特許発明第10049168号、またはドイツ特許発明第2832723号から公知である。そこにそれぞれ記述された電磁ブレーキは、摩擦結合式接続を使用して取り付けられ、例えばロボットまたはエレベータで使用される。
【0006】
さらなるブレーキが、ドイツ実用新案第202012000897号、韓国特許第101299558号、特開平05256330号、ドイツ特許出願公開第2832523号、および米国特許出願公開第5685398号から公知である。
【0007】
この従来技術から出発して本発明の基礎となる課題は、特に簡単に取り付けることのできる改善された電磁ブレーキを創出することである。
【0008】
この課題は、請求項1の特徴を備える電磁ブレーキおよび請求項7の特徴を備える方法によって解決される。本発明の有利な構成は、従属請求項並びに以下の明細書に記載されている。
【0009】
本発明によれば、改善された電磁ブレーキは、ケーシング体、摩擦ディスク、およびケーシング体内に配置された少なくとも1つの圧縮バネを備え、摩擦ディスクは、電磁ブレーキのケーシング体とバヨネット式に接続されており、このようなバヨネット式接続はバヨネットロックとも称され、電磁ブレーキは、この摩擦ディスクが、電磁ブレーキの動作中にケーシング体に対して回転しないようにロックされていることによって創出される。
【0010】
これによって有利には、摩擦ディスクがバヨネット式接続の確立後に回転して、摩擦ディスクとケーシング体との間の接続が外れるおそれがなくなる。好適にはこのような回転ロックのために、相応に形成された輪郭が摩擦ディスクに設けられており、摩擦ディスクにロック要素が係合される。したがって回転ロックは、摩擦ディスクとロック要素との間の形状結合によって確立することができる。
【0011】
言い替えると、ケーシング体と摩擦ディスクには、それぞれ互いに対応する形状が設けられており、この形状は、これによってケーシング体と摩擦ディスクとがバヨネット式に、すなわち形状結合によって接続可能であるように形成され調整されている。このような接続は、特にケーシング体と摩擦ディスクとをまず互いに挿入し、セットし、配置し、調整またはスライドさせ、互いに係合させることによって確立できる。
【0012】
バヨネットロックとも称されるバヨネット式接続の好適な構成を、以下詳細に説明する。
【0013】
摩擦ディスクは、実質的に円形かつ好適にはリング状のディスクとして形成されており、その周囲に外に向けられた少なくとも1つの突起部を有し、この突起部によって摩擦ディスクは形状結合によって、かつバヨネット式にケーシング体内に支承される。摩擦ディスクがケーシング体から浮き上がるのを回避できるようにするため、少なくとも2つの突起部が必要である。好適には摩擦ディスクは、3つの突起部を有し、これらの突起部は、それぞれ120°の角度で摩擦ディスクの周囲に配置されている。したがって摩擦ディスクは、好適には回転対称に形成されているため、突起部は、摩擦ディスクの周囲に均等に配分されている。それ以外の突起部の数も、もちろん考えられる。摩擦ディスクの材料は、その剛性が一回または複数回の制動の際に発生する力に対して十分であり、その温度耐性が一回または複数回の制動の際に発生する温度に対して十分であるように選択される。
【0014】
ケーシング体は、実質的に中空円筒状かつリング状の形状を有し、この形状は、ケーシング体の端面にある開口部と、端面に対向する底部とを備える。ケーシング体は端面の領域に少なくとも1つの切欠部を有し、これには収容溝が続いている。したがって切欠部は、ケーシング体の端面にあるウェブに配置されており、このウェブは、ケーシング体の外装壁により形成され、収容溝を画定する。ケーシング体は、摩擦ディスクの各突起部について、このような切欠部およびそれにそれぞれ続く収容溝を有しており、すなわち好適には3つの収容溝を有している。切欠部およびそれにそれぞれ続く収容溝の数がそれ以外であることももちろん考えられる。ここで切欠部はそれぞれ、突起部に対応する位置でケーシング体に取り付けられている。切欠部により、摩擦ディスクあるいはその突起部を収容溝にはめ込むことが可能になり、ひいてはケーシング体と摩擦ディスクとの間のバヨネット式接続の確立が可能になる。収容溝は、好適には部分的に周回し、互いに間隔をあけてケーシング体の外装壁内に伸びている。収容溝をこのように部分的に配置することには、摩擦ディスクがケーシング体の中に最終取り付けされる位置を、切欠部とは反対側にある、特に閉じた収容溝の端部によって簡単に予め定めることができ、これにより後続の組み立てステップを簡素化できるという利点がある。したがってその閉じた端部によって、収容溝はそれぞれ1つのバヨネット座を規定し、これによって組み立ての際に、最終取り付け位置を見つけるのが容易になる。摩擦ディスクの突起部に対して複数の分離した収容溝を設けるのではなく、択一的に全周にわたって周回する単一の収容溝を設けることもできる。ケーシング体は、好適には一体的に形成されている。ケーシング体の材料は、その剛性が一回または複数回の制動の際に発生する力に対して十分であり、その温度耐性が一回または複数回の制動の際に発生する温度に対して十分であるように選択される。加えてケーシング体の材料は好適には磁性である。
【0015】
バヨネット式接続を確立するために、まず摩擦ディスクの突起部がケーシング体の切欠部を通して案内される。摩擦ディスクの突起部の輪郭とケーシング体にある切欠部の輪郭とは、突起部が取り付け位置で十分な遊びを有して切欠部を通過するように互いに整合されている。第2のステップでは摩擦ディスクの突起部が、切欠部からケーシング体の収容溝に案内され、これに加えて回転方向にスライドされる。ここで摩擦ディスクとケーシング体は、バヨネットロックに一般的なやり方で互いに相対的に回転させられる。突起部の材料厚と収容溝の幅は、突起部が十分な遊びをもって収容溝内で回転方向に移動できるように互いに整合されている。
【0016】
摩擦ディスクは、収容溝内でのその位置決め後に、収容溝から出て隣接する切欠部の方向に回転するため、突起部と切欠部とが一致している場合には摩擦ディスクとケーシング体との間の接続が外れるおそれがあるが、そのことは回転ロックによって、前に記載した構成においても阻止される。回転ロックのために設けられた、摩擦ディスクにある輪郭は、好適にはその突起部の少なくとも1つに形成されている。
【0017】
接続の確立並びに摩擦ディスクとケーシング体との間の回転ロックのために、さらなる要素は不要である。摩擦ディスクとケーシング体との間の接続、あるいは摩擦ディスクと電磁ブレーキの他の要素との間の接続が摩擦結合で、とりわけネジによって行われる従来技術とは異なり、本発明の電磁ブレーキでは、電磁ブレーキをより簡単に半自動化または全自動化して取り付けることができるように、組み立てを簡単にすることができる。材料結合的な接続に対してもこの利点が得られる。これにより、インダストリー4.0の意味で設計された製造工場での簡単な組み立てが、特にロボットを用いて可能である。
【0018】
電磁ブレーキの組み立ての際に、ケーシング体と摩擦ディスクとの間にバヨネット式の、したがって純粋に形状結合による接続および回転ロックが形成されるにもかかわらず、摩擦ディスクは、動作中、その際に生じる力によって、ケーシング体の収容溝に隣接する縁部あるいはウェブの1つに引き付けられたり、押し付けられたりする。それによって、電磁ブレーキの動作中に摩擦ディスクで生じる振動ひいてはノイズを低減するか、さらには回避することができる。
【0019】
本発明によれば、摩擦ディスクは、少なくとも1つのロック要素によってケーシング体に対して回転しないようにロックされ、ロック要素は、電磁ブレーキを構成部品に取り付けるために、例えばモータまたはケーブルドラムにフランジ止めするために使用される接続要素である。ロック要素は、例えばピンまたはネジとすることができ、これは摩擦ディスクの輪郭に係合し、それによって形状結合による回転ロックを形成する。
【0020】
ロック要素は、好適にはケーシング体にある孔部および輪郭を形成する凹部を通して摩擦ディスクの突起部の1つに案内される。ケーシング体にある孔部も、摩擦ディスクの突起部にある凹部もネジ山を有しておらず、したがってロック要素と摩擦ディスクとの間、およびロック要素とケーシング体との間では、ネジを使用する場合でも純粋に形状結合による接続が行われる。
【0021】
電磁ブレーキの予定される動作負荷に応じて、複数のロック要素を使用することが必要な場合もある。この場合、各ロック要素について、好適には、凹部を備える対応の突起部が摩擦ディスクに設けられる。しかしながらロック要素の数が突起部の数よりも小さい場合、対応する輪郭ないし凹部を各突起部に設けないことも考えられる。
【0022】
電磁ブレーキを構成部品に取り付けるために、場合により摩擦ディスクの回転ロックに対するよりも多くの接続要素が必要な場合、残りの接続要素を、摩擦ディスクあるいはその突起部から独立した別の位置において電磁ブレーキを通して案内するか、あるいは電磁ブレーキに固定することができる。
【0023】
ケーシング体および摩擦ディスクの他に、電磁ブレーキは、好適にはコイルユニット、コイルユニットにより励磁可能であり、コイルユニット内部に配置されたポールコア、少なくとも1つの圧縮バネ、アーマチュアディスクおよびブレーキディスクを含む。コイルユニット、ポールコア、圧縮バネ(複数可)、アーマチュアディスクおよびブレーキディスクは、摩擦ディスクのように好適にはケーシング体内に配置されている。好適にはコイルユニット、アーマチュアディスク、ブレーキディスク、および摩擦ディスク、またはこれらの少なくともいくつかは、組み立ての際に、端面にある開口部を介してケーシング体に取り付けられ、これと接続される。このことは好適には、圧縮バネ(複数可)に対しても当てはまる。ポールコアは、ケーシング体の構成部分とすることができる。
【0024】
ポールコア、アーマチュアディスクおよびブレーキディスクの材料は、それらの剛性が一回または複数回の制動の際に発生する力に対して十分であり、それらの温度耐性が一回または複数回の制動の際に発生する温度に対して十分であるように選択される。ポールコアはさらに、これがコイルユニットにより励磁可能であるように磁性材料から作製されている。
【0025】
ブレーキディスクは、好適には軸方向にスライド可能なアーマチュアディスクと摩擦ディスクとの間に配置されており、回転可能かつ軸方向にスライド可能に調整されている。少なくとも1つの圧縮バネは、それらの圧力によりアーマチュアディスクがブレーキディスクに向かって軸方向にスライド可能であるように配置され調整されている。これに対してコイルユニットとポールコアは、コイルユニットにより電磁的に励磁されたポールコアによって引張力が形成可能であり、この引張力によりアーマチュアディスクがブレーキディスから離れて軸方向にスライド可能であるように配置され調整されている。
【0026】
ブレーキディスクは、シャフト、とりわけ駆動シャフト、特にモータの出力シャフトに接続することができる。ここでは、ケーシング体、コイルユニット、ポールコア、圧縮バネ、アーマチュアディスク、および摩擦ディスク、またはそれらの少なくともいくつかは、これらがそれぞれ穴部または開口部を有し、そこを通してシャフトを案内できるようになっていることで、リング状に形成することが必要な場合がある。
【0027】
電磁ブレーキの第1の動作状態、すなわち制動時には、アーマチュアディスクが、少なくとも1つの圧縮バネの圧縮力によってブレーキディスクを摩擦ディスクに押し付け、ブレーキディスクと摩擦ディスクとの間、および/またはブレーキディスクとアーマチュアディスクとの間に発生する制動トルクによりブレーキディスクを制動する。摩擦ディスクおよび/またはアーマチュアディスクは、好適にはそれぞれブレーキディスクに向けられた側に適切な構造化表面を有し、これにより制動時にブレーキディスクの最適な減速が保証されるようにする。摩擦ディスクは、制動中に少なくとも1つの圧縮バネによって形成された圧縮力により、アーマチュアディスクおよびブレーキディスクを介して、収容溝を画定するケーシング体の外装壁の外側ウェブに押し付けられる。
【0028】
電磁ブレーキの第2の動作状態、すなわち通気時には、アーマチュアディスクが、コイルユニットとポールコアにより形成された、少なくとも1つの圧縮バネの圧縮力よりも大きな引張力によってブレーキディスから離れて配置されているため、ブレーキディスクの自由な、したがって制動されない回転が可能になっている。摩擦ディスクは、通気中に、コイルユニットとポールコアにより形成された磁界ないしそれから生じる引張力によって収容溝の内側ウェブに引き付けられる。
【0029】
有利な構成では、アーマチュアディスクが溝-突起部の接続を介してケーシング体内で軸方向に案内され、少なくとも1つの案内溝、好適には3つの案内溝と、少なくとも1つの所属の案内突起部、好適には3つの所属の案内突起部が設けられている。軸方向の案内に加えて、溝-突起部接続の案内溝は、アーマチュアディスクの周方向の回転性を、この回転性が軸方向の運動に必要な遊びの枠内でだけ許容されるように制限する機能も有する。それぞれの案内溝は、好適にはケーシング体内に配置されており、特にその外装壁内に形成されている。外装壁は、溝-突起部接続の領域、ひいては特に案内溝の領域において外に向かって閉鎖されている。なぜなら案内溝は、外装壁の貫通する穴部ではなく、ケーシング体の外装壁内にある窪みだからである。したがって、貫通しており、案内突起部が完全に貫通可能な穴部は、この理解によれば案内溝ではない。特に凹部の形状の案内溝が、アーマチュアディスクに配置されており、案内突起部として相応に対応する突起形状の輪郭がケーシング体に配置されていることも考えられ、この場合、この輪郭は、好適にはケーシング体の一体的構成部分であり、特にケーシング体の外装壁に形成されている。前述した両方のケースにおいて、外装壁は、溝-突起部接続の領域では外に向かって閉鎖されている。これにより、環境の影響に対して改善された保護が達成される。さらに有利には、例えば案内突起部のような可動要素がケーシング体から突き出さないため、他の構成部品との好ましくない衝突を回避することができる。
【0030】
アーマチュアディスクの案内を、ケーシング体において傾斜することなく可能にするために、好適には3つの案内溝と3つの案内突起部が設けられている。案内溝と案内突起部は、ケーシング体ないしアーマチュアディスクの周囲にわたって好適には均等に配分されている。案内突起部の外側輪郭は、案内溝の内側輪郭に形状が類似するように、または同一形状に形成されており、案内突起部の外側輪郭と案内溝の内側輪郭との間には、アーマチュアディスクの軸方向に運動のために十分な遊びが設けられている。
【0031】
アーマチュアディスクは、好適には専ら前述の溝-突起部接続を介してケーシング体内で軸方向に案内される。例えば案内ボルトまたは案内スリーブのようなさらなる案内要素は、ケーシング体内でのアーマチュアディスクの案内には不要である。したがって、これらは省略可能であり、結果的に構造および製造コストを低減することができる。このことは、案内要素が例えばネジによりケーシング体に摩擦結合で固定されるような場合に特に当てはまる。したがって従来技術とは異なり、電磁ブレーキをより簡単に半自動化または完全自動化して取り付けることができるように、組み立てを簡素化することができる。材料結合的な接続に対してもこの利点が得られる。
【0032】
有利には、好適に形状結合だけでケーシング体に接続されており、および/またはケーシング体に対して回転しないようにロックされているコイルユニットが設けられている。
【0033】
コイルユニットは、好適には実質的にリング状の幾何形状を有し、この幾何形状は、外に向かって開放したC字状の断面を備える。コイルユニットは、コイル支持体として形成されており、1つまたは複数のコイルを収容するのに、あるいはコイルユニット自体に、またはそれ自体の中で支持するのに適する。
【0034】
好適には、コイルユニットに配置された1つの位置決め突起部が、ケーシング体にある対応する類似形状の、好適には同一形状の収容部に係合し、これによりコイルユニットをケーシング体に対して回転しないようにロックする。しかしまた、相応の収容部がコイルユニット内に配置されており、これに対応する位置決め突起部がケーシング体に、あるいはケーシング体内に配置されていることも考えられる。
【0035】
例えばコイルユニットが材料結合的にケーシング体に人工樹脂によって鋳込まれる従来技術とは異なり、本発明の電磁ブレーキでは、電磁ブレーキをより簡単に半自動化または完全自動化して取り付けることができるように、組み立てを簡素化することができる。摩擦結合的な接続に対してもこの利点が得られる。
【0036】
構造的に簡単なやり方では、コイルユニットは、スナップ接続によってケーシング体と形状的に結合して接続されており、コイルユニットの好適には少なくとも1つのスナップフックがケーシング体のウェブに支持される。スナップフックは、コイルユニットをケーシング体に取り付ける際に、力を加えることによりケーシング体が弾性変形し、スナップフックがケーシング体に設けられた溝にかみ合うようにそれぞれ寸法設定され、材料技術的に設計されている。ここでこの力は、ケーシング体の中心軸に対して平行に、ケーシング体の底部の方向に作用する。
【0037】
コイルユニットが実質的にリング状の幾何形状であるので、コイルユニットは好適には少なくとも3つのスナップフックを有する。もちろんスナップフックがそれ以外の数であることも考えられ、この数は好適には発生する力を考慮して決定される。
【0038】
スナップフックは、コイルユニットの一体的構成部分とすることができる。しかし、スナップフックが独立した構成部品であり、コイルユニットと接続されていることも考えられる。
【0039】
さらに特に有利には、コイルユニットは、組み立てを簡単にするため、コイルユニットが少なくともケーシング体に形状結合によって接続している領域では柔軟であり、したがってケーシング体に対して軸方向に可動であるように、ケーシング体に支承されている。そのためにコイルユニットは、ケーシング体の底部に向いた側に段付部を有し、少なくとも段付部の外部でコイルユニットの柔軟性が達成されるようになっている。この段付部は、好適には実質的にリング状のコイルユニットの直径であって、スナップフックが配置されたコイルユニットの直径からできるだけ離れた直径に配置されている。段付部の外部では、例えばスナップフックが配置された内径の領域において、コイルユニットとケーシング体の底部との間に空間が空いたまま残っている。この空間を一種のスプリングの撓みとして利用することで、組み立ての際に、コイルユニットをその部分的柔軟性によって軸方向にケーシング体の方向へ押すことができ、それによってスナップフックをさらに容易にケーシング体の溝にかみ合わせられるようになる。
【0040】
本発明の電磁ブレーキの組み立ては、全体として摩擦結合または材料結合的な接続技術なしで行われる。電磁ブレーキは、専ら形状結合による接続を介して取り付けることができる。したがって従来技術とは異なり、本発明の電磁ブレーキの組み立ては、より簡単に実行される。とりわけこの組み立ては、より簡単に半自動化または完全自動化して行うことができる。これにより、インダストリー4.0の意味で設計された製造工場での簡単な組み立てが、特にロボットを用いて可能である。
【0041】
さらに本発明は、本発明の電磁ブレーキを含むリフト機構に関する。電磁ブレーキは、この適用では例えば荷物を保持するため、または荷物を上げ下げするために設けられたリフト機構の駆動部を制動するために使用することができる。このために電磁ブレーキのブレーキディスクは、リフト機構の対応する構成部品、すなわちリフト機構駆動部の駆動軸またはリフト機構モータ、またはリフト機構のケーブルドラムと接続されている。ここで組み立ては、それぞれの構成部品にケーシング体が直接当接する状態で行うことができ、とりわけ、摩擦ディスクをリフト機構駆動部またはケーブルドラムに宛がうことなく、とりわけケーシング体と構成部品の間に空隙やシールのない状態で行われる。
【0042】
リフト機構は、通常は荷物の上げ下げに用いる例えばクレーンまたは定置のホイストに取り付けることができ、クレーンの場合は、特に互いに異なる場所で、持ち上げた荷物をクレーン作業範囲内で水平に移動させる。
【0043】
本発明によれば、前述の実施形態の1つによる電磁ブレーキの組み立て方法は、摩擦ディスクをケーシング体の切欠部にはめ込み、回転方向への相対運動により、切欠部に続く収容溝を使ってケーシング体と係合させることにより創出され、摩擦ディスクの少なくとも1つの突起部、好適には3つの突起部と切欠部とは、相対運動後はもはや軸方向に一致しておらず、引き続き摩擦ディスクは、接続要素として電磁ブレーキを構成部品に取り付けるために使用される少なくとも1つのロック要素によって、ケーシング体に対して回転しないようにロックされる。
【0044】
言い替えると、摩擦ディスクの突起部(複数可)が切欠部を通って、ケーシング体の切欠部に続く収容溝(複数可)の中に案内され、さらに切欠部から離れて収容溝(複数可)に入り込むことにより、摩擦ディスクはケーシング体とバヨネット式に、すなわち形状結合によって接続される。ここで摩擦ディスクは、少なくとも突起部の輪郭と、対応する雌型輪郭とが切欠部内で少なくとも軸方向に一致しなくなるように、ケーシング体に対して回転する。引き続き、電磁ブレーキに関連して上ですでに説明したように回転ロックが確立され、これにより同じ利点が得られる。
【0045】
有利な構成において、アーマチュアディスクは、このアーマチュアディスクの少なくとも1つの案内突起部がケーシング体の所属の案内溝の中で案内されるように、ケーシング体の中にはめ込まれるようになっている。好適にはケーシング体内でのアーマチュアディスクの組み立てステップは、上記の摩擦ディスクの組み立てステップの前に行われる。
【0046】
特に有利には、コイルユニットの少なくとも1つの位置決め突起部が回転ロックのためにケーシング体の対応する収容部に係合するように、および/またはコイルユニットがケーシング体とスナップ接続によって軸方向に形状結合によって接続されるように、コイルユニットがケーシング体の中にはめ込まれてもよい。しかしまた、相応の収容部がコイルユニット内に配置されており、これに対応する位置決め突起部がケーシング体に、あるいはケーシング体内に配置されていることも考えられる。好適にはコイルユニットのケーシング体内での組み立てステップは、アーマチュアディスクおよび最終的に摩擦ディスクの上記の組み立てステップを行う前に実施される。
以下、本発明を図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】クレーンの斜視図である。
図2】本発明の電磁ブレーキの一実施形態の部分断面概略図である。
図3図2の実施形態による本発明の電磁ブレーキの概略分解図である。
図4a図2の実施形態によるケーシング体の概略斜視図である。
図4b】ケーシング体のさらなる実施形態の概略斜視図である。
図5図2の実施形態による摩擦ディスクの概略斜視図である。
図6図2の実施形態によるアーマチュアディスクの概略斜視図である。
図7図2の実施形態によるコイルユニットの概略斜視図である。
図8a図2の実施形態による本発明の電磁ブレーキの概略断面図である。
図8b図2の実施形態による本発明の電磁ブレーキの概略断面図である。
図9図2の実施形態による本発明の電磁ブレーキの概略断面図である。
図10図2の実施形態による本発明の電磁ブレーキを異なる組み立て状態で示す概略斜視図である。
図11図2の実施形態による本発明の電磁ブレーキを異なる組み立て状態で示す概略斜視図である。
図12図2の実施形態による本発明の電磁ブレーキを異なる組み立て状態で示す概略斜視図である。
【0048】
図1は、クレーン1に対する例示的構造を斜視図で示している。クレーン1は、シングルガーダブリッジクレーンの形の走行クレーンとして形成されており、図示されていないクレーン軌道に沿って移動可能に支承されたクレーンガーダ2を有する。クレーンガーダ2は、実質的に水平の走行方向Fに、その長手方向xに対して横方向に原動機によって、とりわけ電動的に駆動され移動可能である。そのためにクレーンガーダ2の対向する端部3,4には、それぞれ例として電動駆動される走行機構5,6が配置されており、これら走行機構は、それぞれ1つのクレーン軌道のクレーンレール(ここでは詳細が示されていない)に支持されている。クレーンガーダ2には、例示的にケーブルホイストとして形成されたホイストを備えるクレーントロリ7が配置されており、クレーントロリは、ホイストおよび同様に原動機によって、または電動的に駆動されるそのリフト機構hと共にクレーンガーダ2の長手方向xに対して平行に、原動機によって、特に電動的に駆動され、クレーンガーダ2に沿って走行することができる。クレーン1の操作、すなわち走行機構5,6、クレーントロリ7およびそれらの各駆動部並びにリフト機構hの動きと機能の制御は、制御スイッチ8を介して行われ、制御スイッチは、ここではケーブル接続された吊り下げ式制御スイッチとして形成されている。制御スイッチ8は、制御ユニット9と通信接続されている。
【0049】
クレーン1は、(図示しない)荷物をリフト機構hにより互いに異なる場所で上げ下げするのに用いられ、さらに荷物を走行機構5,6により走行方向Fに、および/またはクレーントロリ7により長手方向xにその作業範囲内で水平に移動させるのに用いられる。リフト機構hは、本発明の電磁ブレーキ20(例えば図2を参照)を含む。電磁ブレーキ20は、この適用では例えば荷物を保持するために、または荷物を上げ下げするために設けられた駆動部を制動するために使用することができる。電磁ブレーキ20のブレーキディスク29は、そのためにリフト機構駆動部の駆動軸またはリフト機構hのワイヤドラムの軸と接続されている。
【0050】
しかし本発明の電磁ブレーキ20を備えるこのようなリフト機構hは、他の形式のクレーンまたは別の例えば定置のホイストに組み込むこともできる。
【0051】
図2は、本発明の電磁ブレーキ20の一実施形態の部分断面概略図である。ケーシング体21および摩擦ディスク22の他に、電磁ブレーキ20は、コイルユニット26、コイルユニット26内に配置され、これにより励磁可能なポールコア31、少なくとも1つの圧縮バネ30、アーマチュアディスク25およびブレーキディスク29を含む。摩擦ディスク22、コイルユニット26、ポールコア31、圧縮バネ30、アーマチュアディスク25およびブレーキディスク29は、図示のように取り付けられた状態でケーシング体21内に配置されている。
【0052】
リング状に形成された摩擦ディスク22は、バヨネット式接続23を介してケーシング体21と形状結合によって接続されている。そのために摩擦ディスク22は3つの突起部22aを有し、これらの突起部は、ケーシング体21に取り付けられている、部分的に周回する収容溝21cに支承されている。そのために突起部22aは、ケーシング体21の切欠部21bに対して一致するように配向され、軸方向に切欠部21b内に移動し、続く回転方向への相対運動により回転し、これにより切欠部21bに続く収容溝21cの中に案内され、例えば摩擦ディスク22が時計回りに、またはケーシング体21が反時計回りに回されている。
【0053】
摩擦ディスク22は、特に電磁ブレーキ20の動作中に、3つのロック要素100によってケーシング体21に対して回転しないようにロックされている。これによって、摩擦ディスク22が、組み立ての枠内で行われる位置決めの後に回転し、それによって突起部22aが収容溝21cから切欠部21bの方向に移動し、摩擦ディスク22とケーシング体21との間のバヨネット式接続23が意図せずに解除される可能性を阻止することができる。ロック要素100は、電磁ブレーキ20を構成部品に取り付けるために、特にリフト機構hのモータまたはワイヤドラムにフランジ止めするために使用される接続要素である。例示的に示されたロック要素100は、ネジである。
【0054】
ロック要素100はそれぞれ、ケーシング体21の外装壁21iにある貫通孔部21e、および摩擦ディスク22の所属の突起部22aにある凹部22bを通して案内される。貫通孔部21eにも凹部22bにもネジ山は取り付けられていないため、ロック要素100と摩擦ディスク22との間、並びにロック要素100とケーシング体21との間では純粋に形状結合による接続が行われる。
【0055】
ロック要素100の数、ひいては摩擦ディスク22の突起部22aにある切欠部22bの数は、突起部22aの数より小さくすることもできる。電磁ブレーキ20を構成部品に取り付けるために、場合により摩擦ディスク22の回転ロックに対するよりも多くの接続要素が必要な場合、残りの接続要素を、摩擦ディスク22あるいはその突起部22aから独立した別の位置において電磁ブレーキ20を通して案内するか、あるいは電磁ブレーキ20に固定することができる。
【0056】
軸方位にスライド可能なアーマチュアディスク25は、コイルユニット26の上に配置されている。アーマチュアディスク25は、例えば3つの案内突起部25aを有し、これら案内突起部は、アーマチュアディスク25を軸方向に案内するためにケーシング体21の外装壁21iの内側にそのために設けられた案内溝21aの中で用いられる。したがってアーマチュアディスク25とケーシング体21との間には溝-突起部接続32が存在する。
【0057】
ブレーキディスク29は、アーマチュアディスク25と摩擦ディスク22との間に配置されており、回転可能かつ軸方向にスライド可能に調整されている。ブレーキディスク29は、内側にリングギヤ29aを有し、このリングギヤによってブレーキディスク29は、電磁ブレーキ20により制動する駆動軸(図示せず)と接続することができる。
【0058】
少なくとも1つの圧縮バネ30は、それらの圧力によりアーマチュアディスク25がブレーキディスク29に向かって軸方向にスライド可能であるように配置され調整されている。図示の実施形態では、6つの圧縮バネ30が電磁ブレーキ20の周囲にわたり、ケーシング体21の外装壁21i内に均等に配置されている。しかし、これとは異なる数の圧縮バネ30が、好ましくは均等に電磁ブレーキ20の周囲に配分されていることも考えられる。択一的に、単一の圧縮バネ20を、これがポールコア31を部分的または完全に取り囲むように配置することもできる。
【0059】
コイルユニット26とポールコア31は、コイルユニット26により電磁的に励磁されたポールコア31によって引張力が形成可能であり、この引張力によりアーマチュアディスク25が圧縮バネ30(複数可)のバネ力に抗してブレーキディスク29から離れて軸方向にスライド可能であるように配置され調整されている。
【0060】
電磁ブレーキ20の第1の動作状態、すなわち制動時には、アーマチュアディスク25が、6つの圧縮バネ30の圧縮力によってブレーキディスク29を摩擦ディスク22に押し付け、ブレーキディスク29と摩擦ディスク22との間、および/またはブレーキディスク29とアーマチュアディスク25との間に発生する制動トルクによりブレーキディスク29を制動する。ブレーキディスク29は、その外径領域の対向する2つの側に1つまたは複数のブレーキパッド29bを有する(図8aと図8bを参照)。摩擦ディスク22および/またはアーマチュアディスク25は、好適にはそれぞれブレーキディスク29に向けられた側に適切な構造化表面を有し、これにより制動時にブレーキディスク29の最適な減速が保証されるようにする。
【0061】
電磁ブレーキ20の第2の動作状態、すなわち通気時には、アーマチュアディスク25が、コイルユニット26とポールコア31により形成された、6つの圧縮バネ30の圧縮力よりも大きな引張力によってブレーキディスク29から間隔をあけて配置されているため、ブレーキディスク29の自由な、したがって制動されない回転が可能になっている。アーマチュアディスク25は、第2の動作状態で、引張力が十分な場合、ケーシング体21の外装壁21iの段付部21f(例えば図4aを参照)に当接し、これに支持されることができる。
【0062】
摩擦ディスク22は、制動中に圧縮バネ30によって形成された圧縮力により、アーマチュアディスク25およびブレーキディスク29を介して、収容溝21cの外側ウェブに押し付けられる。収容溝21cの外側ウェブは、ケーシング体21の底部21kに対向する、ケーシング体21の第1の開口部21m(例えば図3を参照)を画定する。摩擦ディスク22は、通気中に、コイルユニット26とポールコア31により形成された磁界ないしそれから生じる引張力によって、底部21kの方向に収容溝21cの内側ウェブに引き付けられる。
【0063】
電磁ブレーキ20の組み立ての際に形成された、ケーシング体21と摩擦ディスク22との間の純粋な形状結合によるバヨネット式接続23があっても、摩擦ディスク22は動作中にその際に作用する力によって、収容溝21cを画定するウェブの1つに引き付けられたり、押し付けられたりする。それによって、電磁ブレーキ20の動作中に摩擦ディスク22で生じる振動ひいてはノイズを低減するか、さらには回避することができる。
【0064】
図3は、図2の実施形態による本発明の電磁ブレーキ20の概略分解図である。電磁ブレーキ20の構造ないし所属のコンポーネント、すなわちケーシング体21、コイルユニット26、アーマチュアディスク25、ブレーキディスク29および摩擦ディスク22の、電磁ブレーキ20の軸方向における互いの相対的な配置が良く理解できる。前述のコンポーネントは、組み立てのために中心軸33に合わせられるため、例えば駆動軸を取り付けることができるように全てのコンポーネントにおける穴部21h、22d、25c、26c、29cが同心に整列されている。引き続き前述のコンポーネントは、中心軸33を基準として同心にケーシング体21内に配置され、コンポーネントのそれぞれの平面が、それぞれの突起部22a、案内突起部25a、位置決め突起部26aを対応する切欠部21b、案内溝21aおよび/またはケーシング体21の収容部21dにはめ込むことができるように合わせられる。
【0065】
それ以外の点で、図2の実施形態は、図3に示した形態に対しても同様に当てはまる。
【0066】
図4aは、図2の実施形態によるケーシング体21の概略斜視図である。ケーシング体21は、円形の底面を備える実質的に中空円筒状かつリング状の形状を有している。ケーシング体21は、ここでは一体的に構成されている。
【0067】
ケーシング体21は、底部21kに対向する端面に第1の開口部21mを有する。底部21kは、第1の開口部21mに比較して小さな第2の開口部21hを有する。第2の開口部21hを通して、例えば前述の制動する駆動軸(図示せず)を案内することができる。さらにケーシング体21は、電磁ブレーキ20の組み立ておよび機能に必要な特別の形状細部を有する。この形状細部については、以下の明細書の中で説明する。
【0068】
第1の開口部21mは、外装壁21iまで伸びており、これにより画定される。第1の開口部21mの領域において、ケーシング体21は、外装壁21i内に3つの切欠部21bを有し、これにはそれぞれ収容溝21cが続いている。ここで切欠部21bは、ケーシング体21の端面にあるウェブに配置されており、このウェブは、外装壁21iにより形成され、収容溝21cを画定する。収容溝21cは、部分的に周回し、互いに間隔をあけてケーシング体21の外装壁21i内に伸びている。部分的に伸びる収容溝21cを配置することには、摩擦ディスク22がケーシング体21の中に最終取り付けされる位置を、切欠部21bとは反対側にある収容溝21cの端部によって簡単に予め定めることができ、これにより後続の組み立てステップを簡素化できるという利点がある。切欠部21bにより、摩擦ディスク22を収容溝21cにはめ込むことが可能になり、ひいてはケーシング体21と摩擦ディスク22との間の形状結合によるバヨネット式接続23の確立が可能になる。
【0069】
アーマチュアディスク25を案内するための案内溝21aは、アーマチュアディスク25の案内突起部25aをそれぞれの切欠部21bを通して案内溝21aにはめ込めるように配置されている。底部21kを外装壁21iに接続する、ケーシング体21の外装壁21iの段付部21f上には、アーマチュアディスク25を支承することができる。
【0070】
ポールコア31は、リング状であり、ケーシング体21内に配置されており、特にその壁に埋め込まれているか、または壁から形成されている。底部21kにある開口部21hを取り囲むポールコア31は、ケーシング体21の外装壁21iないし段付部21fから離されており、その間にコイルユニット26を配置できるようになっている。ポールコア31とケーシング体21は、同じ中心軸33を共有する。図示されている実施形態では、ポールコア31は、ケーシング体21の一部である。ポールコア31は、磁性材料から作製する必要があるため、この実施例ではケーシング体21全体が磁性材料から作製されている。ポールコア31の外径には、周回する溝28が配置されており、この溝内でコイルユニット26のスナップフック27を係合し、支承することができる。次にスナップフック27は、中心軸33に対して平行に第1の開口部21mの方向に力が発生する際に、溝28を画定するウェブ28aに支持される。
【0071】
ケーシング体21はさらに、その外装壁21iないし段付部21f内に収容部21dを有し、この収容部にはコイルユニット26の位置決め突起部26aがはめ込まれ、コイルユニット26をケーシング体21に対して回転しないようにロックする。
【0072】
段付部21fにある複数の有底孔21gは、圧縮バネ30を収容するために用いられる。これらは、段付部21fの周囲に均等に配分されている。本実施例では6つの有底孔21gがあるため、全部で6つの圧縮バネ30を組み込むことができる。
【0073】
中心軸33に対して平行にケーシング体21の外装壁21iを通って伸びる複数の貫通孔部21eは、ロック要素100の案内に用いられる。さらに、貫通孔部21eはそれぞれ、摩擦ディスク22の収容に用いられる収容溝21cを通って伸びている。貫通孔部21eはネジ山を有しない。
【0074】
図4bは、ケーシング体21のさらなる実施形態の概略斜視図である。この実施形態は、単一の収容溝21cが全周にわたり周回する形でケーシング体21ないしその外装壁21i内に取り付けられており、スナップフック27を支持するために、単一ではなく複数の周回する溝28ないし周回するウェブ28aが部分的に周回し、互いに間隔をあけて取り付けられている点で、図4aに示された実施形態とは異なる。
【0075】
しかし、単一の収容溝21cと単一の溝28だけが、それぞれ全周にわたり周回する形で設けられているか、または収容溝21cと溝28の両方がそれぞれ部分的にだけ周回し、互いに間隔をあけて取り付けられている実施形態も考えられる。それ以外の点で、図4aについての実施形態は、図4bに示した形態に対しても同様に当てはまる。
【0076】
図5は、図2の実施形態による摩擦ディスク22の概略斜視図である。摩擦ディスク22は、回転対称に形成されており、ほぼ半円形で外に向けられた3つの突起部22aを含み、これらの突起部はそれぞれ120°の角度で摩擦ディスク22の周囲に配置されている。突起部22aの数は変更できるが、摩擦ディスク22がケーシング体21から浮き上がるのを回避するには少なくとも2つが必要である。さらに、突起部22aが摩擦ディスクの22の周囲に均等に配分されている場合は有利である。突起部22aにはそれぞれ1つの凹部22bが配置されており、電磁ブレーキ20を別の構成部品に取り付ける際にこの凹部を通してロック要素100を挿入することで、中心軸33を中心とする摩擦ディスク22の回転を阻止することができる。各突起部22aに凹部22bを設けないことも考えられる。
【0077】
摩擦ディスク22は、その中央に穴部を有し、この穴部は、制動する駆動軸(図示せず)がその穴部を通して案内され得るように寸法設定されている。摩擦ディスク22の内径にある切欠部22cは、摩擦ディスク22における力の流れを改善し、ロボットグリッパなどを用いて摩擦ディスク22を正確な位置で把持し、さらには公差の範囲が狭い場合でもケーシング体21内での摩擦ディスク22を正確に位置決めするために用いられる。摩擦ディスク22の表面は、少なくともブレーキディスク29との制動接触のために設けられた側面において、最適な減速が行えるように相応に設計されている。
【0078】
図6は、図2の実施形態によるアーマチュアディスク25の概略斜視図である。アーマチュアディスク25は、回転対称に形成されており、ほぼ半円形で外に向けられた3つの案内突起部25aを含み、これらの案内突起部はそれぞれ120°の角度でアーマチュアディスク25の周囲に配置されている。3つの案内突起部25aによって、ケーシング体21内で傾くことなくアーマチュアディスク25を案内することが可能になる。
【0079】
アーマチュアディスク25は、その中央に穴部25cを有し、この穴部は、制動する駆動軸(図示せず)がその穴部を通して案内され得るように寸法設定されている。アーマチュアディスク25の内径にある切欠部25bは、アーマチュアディスク25における力の流れを改善し、ロボットグリッパなどを用いてアーマチュアディスク25を正確な位置で把持し、さらには公差の範囲が狭い場合でもケーシング体21内でのアーマチュアディスク25を正確に位置決めするために用いられる。アーマチュアディスク25の表面は、少なくともブレーキディスク29に向けられた側面において、最適な減速が行えるように相応に設計されている。
【0080】
図7は、図2の実施形態によるコイルユニット26の概略斜視図である。コイルユニット26は、実質的にリング状の幾何形状を有し、この幾何形状は外に向かって開放されたC字形の断面を備える。C字形の断面は、実質的に水平に伸びる上部脚部26d、実質的に水平に伸びる下部脚部26f、および2つの脚部26d、26fを接続し、脚部26d、26fに対して実施的に直角に伸びるウェブ26eにより形成される。
【0081】
コイルユニット26は、この実施形態では8つのスナップフック27を有する。しかしスナップフック27の数は、両軸方向に発生する力を考慮して変更することができる。各スナップフック27は、ケーシング体21内にコイルユニット26を取り付ける際に、中心軸33に対して平行にケーシング体21の底部21kの方向に作用する力を加えることで、スナップフック27が溝28にかみ合い得るように外側へ弾性的に変形可能に寸法設定され、材料技術的に設計されている。スナップフック27は、コイルユニット26の一体的構成部分である。しかし、スナップフック27が独立した構成部品であり、コイルユニット26と接続されていることも考えられる。
【0082】
コイルユニット26は、さらに、ほぼ半円形の位置決め突起部26aを有し、これはケーシング体21内での回転ロックに用いられる。さらに位置決め突起部26aは、部分的に複数の溝28が存在するケーシング体21において、コイルユニット26を組み立てる際にそれぞれのスナップフック27が溝28の1つと一致して位置決めされるように用いることができる。
【0083】
コイルユニット26は、コイル支持体として形成されており、磁界を励磁するために必要な1つまたは複数のコイル(図示せず)を収容するのに適する。この場合、コイルは、外に向かって開放された、コイルユニット26のC字形構造内に配置あるいは支承される。
【0084】
図8a、図8b、および図9は、図2の実施形態による本発明の電磁ブレーキ20の概略断面図である。図8aおよび図8bでは、組み立てられた電磁ブレーキ20の構造がよく理解できる。
【0085】
ケーシング体21は、その外装壁21iとポールコア31との間に、コイルユニット26の寸法に対応して寸法設定された凹部を有する。凹部は、コイルユニット26を取り付ける際、そのために必要な遊びが存在しているが、特に電磁ブレーキ20の動作中にコイルユニット26の十分な固定が保証されるように形成されている。コイルユニット26のスナップフック27は、溝28内に支承されており、ケーシング体21のウェブ28aに支持されている(図9を参照)。したがってコイルユニット26は、形状結合だけでケーシング体21と接続されている。
【0086】
アーマチュアディスク25は、ケーシング体21の第1の開口部21mとコイルユニット26との間に配置されている。アーマチュアディスク25を段付部21fの上に載せることができるようにするため、ケーシング体21の第1の開口部21mに向いたコイルユニット26の上部脚部26dは、段付部21fから相応に間隔があけられている。コイルユニット26により励磁されるポールコア31によって引張力が形成可能であり、この引張力によりアーマチュアディスク25は、ブレーキ20を解放するためにブレーキディスク29から離れて軸方向にスライド可能である。
【0087】
6つの圧縮バネ30は、それぞれ有底孔21gの中に配置されている。図8aと図8bには、これらのうちのそれぞれ1つの有底孔21gと圧縮バネ30だけが図示されている。圧縮バネ30は、その圧縮力によって制動のためにアーマチュアディスク25をブレーキディスク29に向かって軸方向にスライドするように調整されている。
【0088】
摩擦ディスク22は、ケーシング体21の端面とブレーキディスク29との間に配置されている。軸方向にスライド可能なアーマチュアディスク25と摩擦ディスク22との間に配置されたブレーキディスク29は、中心軸33を中心に回転可能かつ軸方向にスライド可能に調整されている。ブレーキディスク29は、その外径領域の対向する2つの側に1つまたは複数のブレーキパッド29bを有する。これにより、特に摩擦ディスク22の前述の表面および/またはアーマチュアディスク25との組み合わせで、最適な制動を達成することができる。
【0089】
図9には、図8aと図8bからなる領域の拡大図であり、この領域からケーシング体21内でのコイルユニット26の取り付け状況、並びに脚部26d、26fとウェブ26eにより形成されたC字形断面が良く理解され、このC字形断面は、外側へ外装壁21iに向かって開いている。
【0090】
図示されているスナップフック27は、他のスナップフック27と同じように、コイルユニット26の一体的構成部分であり、溝28に係合し、コイルユニット26をケーシング体21にあるウェブ28eで支持する。したがってコイルユニット26は、スナップ接続34により形状結合によってケーシング体21と接続されている。
【0091】
スナップ接続34を確立するために、スナップフック27は、ケーシング体21の外装壁21iの方向に弾性的に変形される。言い替えると、スナップフック27は、コイルユニット26を取り付ける際に半径方向に外側へ引き戻され、次に半径方向に内側へケーシング体21の溝28の中にかみ合う。コイルユニット26は、そのためにスナップフック27の領域に、ウェブ26eに沿って延在するスリット状の凹部を有する。弾性変形は、特に中心軸33に対して平行にケーシング体21の底部21kの方向に作用する力に基づき行われる。
【0092】
コイルユニット26は、ケーシング体21の底部21kにある段付部26b上に支承されている。段付部26bによって、スナップフック27が配置された直径の領域にはコイルユニット26とケーシング体21との間に空間が生じる。コイルユニット26は、これによりスナップ接続34の領域でケーシング体21に対して軸方向に可動であり、組み立てを簡単にする。したがってこの空間を一種のスプリングの撓みとして用いることができ、底部21kに向いたコイルユニット26の脚部26fを、取り付けの際に段付部26bの外部で、回転点として用いられる段付部26bを中心にケーシング体21の底部21kの方向に押し、これによりこの方向に曲げ、ひいてはスナップフック27をより容易にケーシング体21の溝28にかみ合わせることができる。言い替えると、コイルユニット26は、柔軟性あるいは弾力性を持たせて調整されており、これにより、製造精度が悪くてもスナップフック27のかみ合いが保証される。
【0093】
図10図11図12は、図2の実施形態による本発明の電磁ブレーキ20を異なる組み立て状態で示す概略斜視図である。
【0094】
図10には、ケーシング体21にコイルユニット26だけを取り付けた状態が示されている。コイルユニット26を回転ロックするために、これに配置された位置決め突起部26aは、ケーシング体21にある対応する収容部21dにかみ合っている。したがってコイルユニット26とケーシング体との間には、純粋な形状結合によるスナップ接続34が生じる。
【0095】
図11には、加えて、ケーシング体21にアーマチュアディスク25を取り付けた状態が示されている。アーマチュアディスク25は、アーマチュアディスク25の各案内突起部25aがケーシング体21の所属の案内溝21a内で案内されるようにケーシング体21の中にはめ込まれる。アーマチュアディスク25は、このように形成された溝-突起部接続32を介してケーシング体21内で軸方向に案内される。案内突起部25aの外部輪郭は、好適には案内溝21aの内部輪郭に対応する。しかし、案内突起部25aの外部輪郭と案内溝21aの内部輪郭との間には、アーマチュアディスク25の軸方向の運動のために十分な遊びが設けられている。
【0096】
図12には、加えて、ケーシング体21内にブレーキディスク29と摩擦ディスク22を取り付けた状態が示されている。摩擦ディスク22は、形状結合によって、そのためにバヨネット式でケーシング体21と接続されている。バヨネット式接続23のために、摩擦ディスク22の突起部22aは、切欠部21bを通してケーシング体21の収容溝21cに案内され、この中で回転方向にスライドされる。したがって摩擦ディスク22とケーシング体21は、互いに相対的に中心軸33を中心に回転する。摩擦ディスク22の3つの突起部22aと切欠部21bは、この相対運動の後では、軸方向、すなわち中心軸33に対して実質的に平行には一致しなくなる。
【0097】
貫通孔部21eと、摩擦ディスク22の突起部22aに相応に位置決めされた凹部22bとによって、次に電磁ブレーキ20を別の構成部品に取り付ける際に、3つの接続要素を案内することができ、これら接続要素は、この場合、同時に全てがロック要素100としても用いられる。
【符号の説明】
【0098】
1 クレーン
2 クレーンガータ
3 端部
4 端部
5 走行機構
6 走行機構
7 クレーントロリ
8 制御スイッチ
9 制御ユニット
20 電磁ブレーキ
21 ケーシング体
21a 案内溝
21b 切欠部
21c 収容溝
21d 収容部
21e 貫通孔部
21f 段付部
21g 有底孔
21h 第2の開口部
21i 外装壁
21k 底部
21m 第1の開口部
22 摩擦ディスク
22a 突起部
22b 凹部
22c 切欠部
22d 穴部
23 バヨネット式接続
25 アーマチュアディスク
25a 案内突起部
25b 切欠部
25c 穴部
26 コイルユニット
26a 位置決め突起部
26b 段付部
26c 穴部
26d 上部脚部
26e ウェブ
26f 下部脚部
27 スナップフック
28 溝
28a ウェブ
29 ブレーキディスク
29a リングギヤ
29b ブレーキパッド
29c 穴部
30 圧縮バネ
31 ポールコア
32 溝-突起部接続
33 中心軸
34 スナップ接続
100 ロック要素
h リフト機構
F 走行方向
x 長手方向
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12