(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】インサート成形微小電極を有するカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
A61B18/14
(21)【出願番号】P 2022517221
(86)(22)【出願日】2020-09-13
(86)【国際出願番号】 IB2020058495
(87)【国際公開番号】W WO2021053484
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2023-07-18
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ラオ・アナンド・アール
(72)【発明者】
【氏名】ダッタ・ケシャバ
(72)【発明者】
【氏名】グエン・タン・ブイ
(72)【発明者】
【氏名】セルキー・トーマス・ブイ
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-217309(JP,A)
【文献】特開2018-029966(JP,A)
【文献】特表2016-509945(JP,A)
【文献】特表2015-523106(JP,A)
【文献】特表2012-531967(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106061420(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気生理学的マッピングを行うための医療処置で使用するための装置であって、前記装置が、
(a)本体と、
(b)前記本体の遠位端に接続されたエンドエフェクタと、を備え、前記エンドエフェクタが、
(i)前記エンドエフェクタの前記遠位端にある先端部材であって、
長手方向軸と、前記先端部材の外面を画定するシェルを有し、前記シェルの前記外面に位置
し、前記長手方向軸と平行で細長いボアを更に有する、先端部材、及び
(ii)前記先端部材の前記ボア内に位置付け可能なインサート、を含み、前記インサートが、微小電極、及び前記微小電極と前記シェルとの間の接触障壁として機能するように構成された非導電性
成形複合体、を含み、前記インサートが、前記シェルの前記外面の輪郭に適合するように成形され
前記非導電性成形複合体は、前記微小電極が着座しているフランジを含み、
前記微小電極が、前記非導電性成形複合体の遠位面から遠位に突出する遠位面を有し、前記非導電性成形複合体に対して更に近位に延在し、
前記インサートが、前記非導電性成形複合体の外壁の長さと前記先端部材の前記ボアの内壁の長さの全てに沿った接着剤を含んでいる、装置。
【請求項2】
前記先端部材の前記ボアが、前記本体に向かって近位方向で長手方向に延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記微小電極が、前記
非導電性成形複合体と共にインサート成形されて、前記インサートを形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記先端部材が、灌注流体を送達するように構成された複数の開口部を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記先端部材が、標的部位に電気エネルギーを送達するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記本体が、長手方向軸を画定し、前記エンドエフェクタが、
前記本体の前記長手方向軸から離れて偏向するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記シェルの前記外面が、前記先端部材の周りで周方向に延在する湾曲領域を含み、前記ボアが、前記湾曲領域内に位置付けられ、前記インサートが、前記湾曲領域内の前記ボア内に位置付け可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、複数のインサートを備える前記シェルの前記外面に複数のボアを有し、
前記複数のボア
のそれぞれが、前記
複数のインサートのうちの1つを受容するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
インサート成形微小電極として構成された
前記複数のインサートを有する、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
前記微小電極の前記遠位面が、湾曲して、前記シェルの前記外面の前記輪郭と並行に延在する、請求項
1に記載の装置。
【請求項11】
前記
非導電性成形複合体の前記遠位面が、湾曲して、前記シェルの
前記外面の前記輪郭と並行に延在する、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
前記
非導電性成形複合体の前記遠位面が、前記シェルの前記外面に対して凹んでいる、請求項
10に記載の装置。
【請求項13】
前記微小電極の前記遠位面が、前記シェルの前記外面と同一平面に延在する、請求項
10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年9月17日に出願された「Catheter with Insert-Molded Microelectrode」と題する米国特許仮出願第62/901,285号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
心房細動などの心不整脈は、心臓組織の領域が電気信号を異常に伝導するときに発生する。不整脈を治療するための処置には、そのような信号の伝導経路を外科的に破壊することが含まれる。エネルギー(例えば、交流電流又は直流電流エネルギー)を印加することによって心臓組織を選択的に切除することにより、心臓のある部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は修正することが可能であり得る。アブレーションプロセスは、組織を横切る異常な電気信号の伝達を効果的に遮断する電気絶縁性病変又は瘢痕組織を形成することにより、望ましくない電気経路に対する障壁を提供することができる。
【0003】
一部の処置では、1つ又は2つ以上の電極を有するカテーテルを使用して、心臓血管系内にアブレーションを提供することができる。カテーテルを主要な静脈又は動脈(例えば、大腿動脈)に挿入し、次に前進させて、心臓内又は心臓に隣接する心臓血管構造(例えば、肺静脈)内に電極を位置付けることができる。1つ又は2つ以上の電極を、心臓組織又は他の血管組織と接触させて配置し、次いで電気のエネルギーで作動させることによって、接触した組織をアブレーションすることができる。場合によっては、電極は双極であってもよい。一部の他の場合において、単極電極を、接地パッド又は患者と接触している他の参照電極と共に使用することができる。潅注を使用することにより、アブレーションカテーテルのアブレーション構成要素から熱を引き込み、アブレーション部位付近の血液凝固の形成を防止することができる。
【0004】
アブレーションカテーテルの例は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2013年1月31日に公開された「Integrated Ablation System using Catheter with Multiple Irrigation Lumens」と題する米国特許出願公開第2013/0030426号;開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年11月2日に公開された「Irrigated Balloon Catheter with Flexible Circuit Electrode Assembly」と題する米国特許出願公開第2017/0312022号;開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月15日に公開された「Ablation Catheter with a Flexible Printed Circuit Board」と題する米国特許出願公開第2018/0071017号;開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月1日に公開された「Catheter with Bipole Electrode Spacer and Related Methods」と題する米国特許出願公開第2018/0056038号;開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年11月20日に発行された「Catheter with Soft Distal Tip for Mapping and Ablating Tubular Region」と題する米国特許第10,130,422号;開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2015年2月17日に発行された「Electrode Irrigation Using Micro-Jets」と題する米国特許第8,956,353号;及び開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年10月31日に発行された「Electrocardiogram Noise Reduction」と題する米国特許第9,801,585号に記載されている。
【0005】
一部のカテーテルアブレーション処置は、アブレーションの標的とすべき組織領域を特定するために、電気生理学(electrophysiology、EP)マッピングを使用した後に実施され得る。このようなEPマッピングは、カテーテル(例えば、アブレーションを実施するために使用されるのと同じカテーテル又は専用のマッピングカテーテル)上の感知電極の使用を含んでもよい。このような感知電極は、導電性心内膜組織から発する電気信号を監視して、不整脈の原因となる異常な導電性組織部位の位置を特定することができる。EPマッピングシステムの例は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、1998年4月14日に発行された「Cardiac Electromechanics」と題する米国特許第5,738,096号に記載されている。EPマッピングカテーテルの例は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月6日に発行された「Catheter Spine Assembly with Closely-Spaced Bipole Microelectrodes」と題する米国特許第9,907,480号;開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年11月20日に発行された「Catheter with Soft Distal Tip for Mapping and Ablating Tubular Region」と題する米国特許第10,130,422号;及び開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月1日に公開された「Catheter with Bipole Electrode Spacer and Related Methods」と題する米国特許出願公開第2018/0056038号に記載されている。
【0006】
アブレーションカテーテルを使用するとき、アブレーションカテーテルの1つ又は2つ以上の電極が標的組織に十分に接触することを確実にすることが望ましい場合がある。例えば、組織を不必要に損傷させる傾向があり得る程度の力を加えないようにしながら、RFアブレーションエネルギーを組織に効果的に印加するのに十分な力で、1つ又は2つ以上の電極が標的組織に接触することを確実にすることが望ましい場合がある。その目的の達成のために、アブレーションカテーテルの1つ又は2つ以上の電極と標的組織との間の十分な接触を検出するために、1つ若しくは2つ以上の力センサ又は圧力センサを含むことが望ましい場合がある。同様に用いることができる別の間接的な方法は、微小電極又は先端ドーム上のインピーダンスレベルを監視して、組織接触の量を決定することである。
【0007】
力検知又はEPマッピングを使用することに加えて、いくつかのカテーテルアブレーション処置は、画像誘導手術(image guided surgery、IGS)システムを使用して実行されてもよい。IGSシステムにより、医師は、患者内の解剖学的構造の画像に関連して、患者内のカテーテルの位置をリアルタイムで視覚的に追跡することができる。一部のシステムは、Biosense Webster,Inc.(Irvine,California)によるCARTO 3(登録商標)システムを含めて、EPマッピング機能とIGS機能の組み合わせを提供することができる。IGSシステムと共に使用するように構成されたカテーテルの例は、開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2016年11月1日に発行された「Signal Transmission Using Catheter Braid Wires」と題する米国特許第9,480,416号、及び本明細書に引用される様々な他の参照文献に開示されている。
【0008】
いくつかのカテーテルシステム及び方法が実施され、使用されてきたが、本発明者らよりも以前に、本明細書に記載、例示及び特許請求される本発明を実施又は利用したものは存在しないと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の図面及び詳細な説明は、単に例示的であることを意図しており、本発明者らによって企図される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【
図1】カテーテルアセンブリのカテーテルを患者に挿入する医療処置の概略図を描写する。
【
図2】追加の構成要素が概略的な形態で示される、
図1のカテーテルの遠位部分の斜視図を描写する。
【
図3】内部構成要素を明らかにするために外側シースが省略されている、
図1のカテーテルの遠位部分の斜視図を描写する。
【
図4】
図1のカテーテルの遠位部分の分解斜視図を描写する。
【
図5】インサート成形微小電極を示す、
図1のカテーテルの遠位先端部分の拡大部分斜視図を描写する。
【
図6】
図5のカテーテルの遠位先端部分の断面の斜視図を描写する。
【
図7】インサートの複合体が透視図で示される、
図1のカテーテルの遠位部分の斜視図を描写する。
【
図8A】
図5のカテーテルの遠位部分の断面の拡大部分側面図を描写する。
【
図8B】
図5のカテーテルの代わりに使用することができる、カテーテルの別の例示的な遠位部分の断面の拡大部分側面図を描写する。
【
図9A】インサート成形微小電極の複合体の斜視図を描写する。
【
図9B】
図9Aのインサート成形微小電極の複合体の部分側面図を描写する。
【
図9C】
図9Aのインサート成形微小電極の複合体の上面図を描写する。
【
図9D】
図9Aのインサート成形微小電極の複合体の正面図を描写する。
【
図9E】
図9Cの9E-9Eに沿って取った、
図9Aのインサート成形微小電極の複合体の断面の側面図を描写する。
【
図10】インサート成形微小電極を
図1のカテーテルの遠位端で取り付ける方法の概略図を描写する。
【
図11】
図5のインサート成形微小電極を作製する際に使用するためのインサート成形システムの概略図を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。認識されるように、本発明は、全て本発明から逸脱することなく、他の異なる態様又は同等の態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものとみなされるべきである。
【0011】
本明細書に記載の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例などは、互いに単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方式は、本明細書の教示に鑑みて当業者には容易に明らかであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【0012】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に記載される意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±10%の値の範囲を指し得、例えば「約90%」は、81%~99%の値の範囲を指し得る。更に、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「被験者」という用語は、任意のヒト又は動物被験体を指し、ヒト患者における本発明の主題の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。
【0013】
I.例示的なアブレーションカテーテルシステムの概要
図1は、上に言及した、心臓アブレーションを行うために使用され得る心臓アブレーションカテーテルシステムの例示的な医療処置及び関連する構成要素を示す。具体的には、
図1は、カテーテルアセンブリ(100)のハンドル(110)を把持する医師(physician、PH)を示し、患者(patient、PA)の心臓(heart、H)内又はその近くの組織をアブレーションするために、患者(PA)内に配設されたカテーテルアセンブリ(100)のカテーテル(120)のエンドエフェクタ(140)を有する(
図2及び
図4に示されているが、
図1には示されていない)。カテーテルアセンブリ(100)は、ハンドル(110)と、ハンドル(110)から遠位に延在するカテーテル(120)と、カテーテル(120)の遠位端に位置するエンドエフェクタ(140)と、ハンドル上に位置するユーザ入力特徴部(190)と、を含む。本明細書で使用される場合、「アブレーションする」という用語は、無線周波数アブレーション又は不可逆的エレクトロポレーションのいずれかを網羅することを意図している。
【0014】
以下でより詳細に説明するように、エンドエフェクタ(140)は、電気エネルギーを標的組織部位に送達し、EPマッピング機能を提供し、エンドエフェクタ(140)に付与された外力を追跡し、エンドエフェクタ(140)の位置を追跡し、灌注流体を分散させるように構成された様々な構成要素を含む。また、以下で更に詳細に記載するように、ユーザ入力特徴部(190)は、エンドエフェクタ(140)及びカテーテル(120)の遠位部分を、カテーテル(120)の近位部分によって規定される長手方向中心軸(L-L)(
図3~
図4)から離れる方向に偏向するように構成されている。
【0015】
図2に示すように、カテーテル(120)は、細長い可撓性シース(122)を含み、エンドエフェクタ(140)は、シース(122)の遠位端に配設されている。シース(122)内に収容されるエンドエフェクタ(140)及び様々な構成要素について、以下でより詳細に説明する。カテーテルアセンブリ(100)は、ケーブル(30)を介して誘導駆動システム(10)に結合される。カテーテルアセンブリ(100)はまた、流体導管(40)を介して流体源(42)とも結合される。一組の磁場発生器(20)が、患者(PA)の下に位置付けられ、別のケーブル(22)を介して誘導駆動システム(10)と結合される。磁場発生器(20)は、単に任意選択である。
【0016】
本実施例の誘導駆動システム(10)は、コンソール(12)と、ディスプレイ(18)とを含む。コンソール(12)は、第1のドライバモジュール(14)及び第2のドライバモジュール(16)を含む。第1のドライバモジュール(14)は、ケーブル(30)を介してカテーテルアセンブリ(100)に結合される。いくつかの変形形態では、第1のドライバモジュール(14)は、以下でより詳細に説明するように、エンドエフェクタ(140)の微小電極(138)を介して取得されたEPマッピング信号を受信するように動作可能である。コンソール(12)は、そのようなEPマッピング信号を処理し、それによって、当該技術分野において既知のEPマッピングを提供するプロセッサ(図示せず)を含む。
【0017】
本実施例の第1のドライバモジュール(14)は、以下でより詳細に説明するように、エンドエフェクタ(140)の遠位先端部材(142)にRF電力を供給し、それによって組織をアブレーションするように更に動作可能である。第2のドライバモジュール(16)は、ケーブル(22)を介して磁場発生器(20)に結合される。第2のドライバモジュール(16)は、磁場発生器(20)を作動させて、患者(PA)の心臓(H)の周囲に交流磁場を発生させるように動作可能である。例えば、磁場発生器(20)は、心臓(H)を含む所定の作業体積内に交流磁場を発生させるコイルを含んでもよい。
【0018】
第1のドライバモジュール(14)はまた、エンドエフェクタ(140)内のナビゲーションセンサアセンブリ(150)から信号を示す位置を受信するように動作可能である。このような変形例では、コンソール(12)のプロセッサはまた、ナビゲーションセンサアセンブリ(150)からの位置表示信号を処理し、それによって、患者(PA)内のエンドエフェクタ(140)の位置を決定するように動作可能である。以下でより詳細に説明するように、ナビゲーションセンサアセンブリ(150)は、患者(PA)内のエンドエフェクタ(140)の位置及び向きを示す信号を生成するように動作可能な、それぞれのパネル(151)上に一対のコイルを含む。コイルは、磁場発生器(20)によって生成された交流電磁場の存在に応答して電気信号を生成するように構成されている。エンドエフェクタ(140)に関連するリアルタイム位置データを生成するために使用され得る他の構成要素及び技術は、無線三角測量、音響追跡、光学追跡、慣性追跡などを含み得る。代替的に、エンドエフェクタ(140)は、ナビゲーションセンサアセンブリ(150)を欠いてもよい。
【0019】
ディスプレイ(18)は、コンソール(12)のプロセッサに結合されており、患者の解剖学的構造の画像をレンダリングするように動作可能である。このような画像は、手術前又は手術中に得られた1組の画像(例えば、CT又はMRIスキャン、3Dマップなど)に基づくことができる。ディスプレイ(18)を通して提供される患者の解剖学的構造の図はまた、エンドエフェクタ(140)のナビゲーションセンサアセンブリ(150)からの信号に基づいて動的に変化してもよい。例えば、カテーテル(120)のエンドエフェクタ(140)が患者(PA)内で移動するにつれて、ナビゲーションセンサアセンブリ(150)からの対応する位置データが、コンソール(12)のプロセッサに、ディスプレイ(18)内の患者の解剖学的構造の図をリアルタイムで更新させ、エンドエフェクタ(140)が患者(PA)内で移動するにつれて、エンドエフェクタ(140)の周囲の患者の解剖学的構造の領域を示してもよい。更に、コンソール(12)のプロセッサは、エンドエフェクタ(140)による電気生理学的(EP)マッピングによって検出されるように、又は、他の方法で検出される(例えば、専用のEPマッピングカテーテルなどを使用する)ように、異常な導電性組織部位の場所を示すようディスプレイ(18)を駆動してもよい。コンソール(12)のプロセッサはまた、例えば照らされたドット、十字線、エンドエフェクタ(140)のグラフィック表現、又は視覚的表示のいくつかの他の形態を重ね合わせることなどによって、エンドエフェクタ(140)の現在の位置を患者の解剖学的構造の画像上に重ね合わせるようにディスプレイ(18)を駆動することができる。
【0020】
本例の流体源(42)は、生理食塩水又は一部の他の好適な灌注流体を収容するバッグを含む。導管(40)は、流体源(42)からカテーテルアセンブリ(100)に流体を選択的に駆動するように動作可能なポンプ(44)に更に結合されている可撓性チューブを含む。以下でより詳細に説明するように、このような灌注流体は、エンドエフェクタ(140)の遠位先端部材(142)の開口部(158)を通して排出されてもよい。そのような灌注は、本明細書の教示に鑑みて当業者には明らかであるような任意の好適な様式で提供されてもよい。
【0021】
II.カテーテルアセンブリの例示的なエンドエフェクタ
図2~
図4は、エンドエフェクタ(140)の例示的な構成要素、及びカテーテル(120)の遠位部分の他の構成要素をより詳細に示す。エンドエフェクタ(140)は、遠位先端部材(142)と、遠位先端基部(144)と、遠位回路ディスク(146)と、歪みゲージアセンブリ(148)と、ナビゲーションセンサアセンブリ(150)と、遠位スペーサ(153)の遠位スペーサスタック(152)と、一対の近位スペーサ(154)と、を含む。遠位先端部材(142)、遠位先端基部(144)、遠位回路ディスク(146)、歪みゲージアセンブリ(148)、ナビゲーションセンサアセンブリ(150)、遠位スペーサスタック(152)、及び近位スペーサ(154)は、互いに同軸上に整列され、これらの構成要素(144~154)が積層回路を画定するように長手方向に積層される。一対のプッシュプルケーブル(160、170)及び灌注チューブ(180)は、カテーテル(120)の長さに沿って延び、エンドエフェクタ(140)に到達する。前述の構成要素のそれぞれについて以下でより詳細に説明する。可撓性シース(122)は、遠位先端部材(142)を除いて、前述の構成要素の全てを取り囲む。
【0022】
図3~
図4に示すように、本実施例の遠位先端部材(142)は、導電性であり、ドーム先端を有する円筒状本体(156)を含む。複数の開口部(158)は、円筒状本体(156)を通って形成され、遠位先端部材(142)の中空内部と連通している。したがって、開口部(158)は、灌注流体が遠位先端部材(142)の内部から円筒状本体(156)を通って連通されることを可能にする。円筒状本体(156)及びドーム先端部はまた、組織にRF電気エネルギーを印加し、それによって組織をアブレーションするように動作可能である。このようなRF電気エネルギーは、ケーブル(30)を介して、第1のドライバモジュール(14)から最近位のスペーサ(154)に伝達されてもよい。遠位先端部材(142)はまた、温度感知能力を提供するように構成された1つ又は2つ以上の熱電対を含んでもよい。
【0023】
図3~
図4に示されるように、本実施例の遠位先端部材(142)はまた、円筒状本体(156)に取り付けられた1つ又は2つ以上のEPマッピング微小電極(138)を含む。EPマッピング微小電極(138)は、EPマッピング微小電極(138)と接触する組織から電位をピックアップするように構成されている。第1のドライバモジュール(14)は、EPマッピング信号を処理し、本明細書に引用される様々な参考文献の教示に従って、異常な電気的活動の場所を示す対応するフィードバックを医師(PH)に提供することができる。EPマッピング微小電極(138)及び関連する構成要素は、以下で更に詳細に説明される。
【0024】
歪みゲージアセンブリ(148)は、遠位回路ディスク(146)の近位に位置付けられ、遠位先端部材(142)に対して衝突する外力を感知するように構成されている。遠位先端部材(142)が外力に遭遇すると(例えば、遠位先端材(142)が組織に押し付けられるとき)、それらの外力は遠位先端部材(142)から遠位先端部基部(144)、遠位回路ディスク(146)に伝達され、歪みゲージが外力の大きさ及び方向に対応する好適な信号を生成し得るように、歪みゲージアセンブリ(148)に伝達される。
【0025】
ナビゲーションセンサアセンブリ(150)は、実質的な精度を有する3次元空間内のエンドエフェクタ(140)の位置及び向きを示す信号を生成することができる。ナビゲーションセンサアセンブリ(150)からの信号は、歪みナビゲーションセンサアセンブリ(150)の近位にある層内の他の構造体を介して通信されてもよく、最終的にはケーブル(30)を介してコンソール(12)の第1のドライバモジュール(14)に到達する。
【0026】
上述したように及び
図1~
図2に示されるように、ケーブル(30)は、カテーテルアセンブリ(10)を駆動システム(100)と結合する。
図3に示されるように、ケーブル(30)のワイヤ(32)は、カテーテル(120)の長さに沿って延び、最近位の近位スペーサ(154)に到達する。
【0027】
また上述したように、カテーテルアセンブリ(100)は、流体導管(40)を介して流体源(42)からカテーテル(120)に灌注流体を連通させることを可能にし、それによって遠位先端部材(142)の開口部(158)を介して灌注流体の排出を提供するように構成されている。本実施例では、灌注流体の流体経路は、
図3~
図4に示す灌注チューブ(180)を含む。灌注チューブ(180)の近位端は、(例えば、カテーテルアセンブリ(100)のハンドル(110)において)流体導管(40)と結合される。灌注チューブ(180)は、カテーテル(120)の長さに沿って延び、エンドエフェクタ(140)に到達する。いくつかの変形例では、灌注流体は、上述の特徴部の整列された中央アパーチャによって形成された中央通路を通って灌注チューブ(180)の遠位端から連通されてもよく、開口部(158)から流出する前に、最終的に遠位先端基部(144)のアパーチャ(159)を介して遠位先端部材(142)の内部(157)に到達する。
【0028】
上述したように及び
図2~
図4に示すように、本実施例のカテーテル(100)は、一対のプッシュプルケーブル(160、170)を更に含む。プッシュプルケーブル(160、170)は、医師(PH)がエンドエフェクタ(140)を長手方向軸(L-L)から離れて横方向に選択的に偏向することを可能にし、それによって、医師(PH)がエンドエフェクタ(140)を患者(PA)内で能動的に操舵することを可能にする。同時に長手方向に対向する様式でプッシュプルケーブル(160、170)を駆動するために使用され得る様々な機構は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかであろう。
【0029】
III.例示的なインサート成形微小電極
図5~
図7は、インサート成形微小電極(200)を示し、これは、本明細書ではインサート(200)とも呼ばれ得る。各インサート成形微小電極又はインサート(200)は、微小電極(138)及び複合体(202)を含む。微小電極(138)は、本実施例では、白金イリジウム材料で構成されているが、代わりに又は同様に他の好適な材料を使用してもよい。複合体(202)は、本実施例における非導電性材料であり、これは、エンドエフェクタ(140)の先端部材(142)円筒状本体(156)から微小電極(138)を電気的に分離する。単なる例として、複合体(202)は、ポリカーボネート、PEEK(polyether etherketone、ポリエーテルエーテルケトン)、ポリエチレン、UHMWPE(ultra high weight molecular polyethylene、超高重量分子ポリエチレン)、又はABSで形成され得る。代替的に、複合体(202)は、Ultem(ポリエーテルイミド)、ポリスルホン、又は65D Pebaxなどの硬質エラストマー化合物などの任意の他の好適な材料から形成され得る。
【0030】
インサート成形微小電極(200)は、エンドエフェクタ(140)の先端部材(142)に位置する。インサート(200)は、本実施例では、長手方向軸L-Lと長手方向かつ並行に延在するが、他の実施例では、インサート(200)は、長手方向軸L-Lに対する他の向きを有することができる。インサート成形微小電極(200)を収容するために、先端部材(142)は、ボア(204)を含む。先端部材(142)は、先端部材(142)の外面を画定するシェル(206)も含む。ボール(204)は、シェル(206)から長手方向に、シェル(206)を通って、カテーテルアセンブリ(100)のハンドル(110)に向かって近位方向に延在し、各ボア(204)は、1つのインサート成形微小電極(200)を受容するように構成されている。本実施例では、エンドエフェクタ(140)は、3つのインサート成形微小電極(200)を備えて構成されるが、しかしながら、他の変形例では、エンドエフェクタ(140)は、より大きい又はより少ないインサート成形微小電極(200)を用いて構成することができる。
【0031】
上述のように、先端部材(142)は、シェルの外面(206)が輪郭を定義する円筒体(156)を含む。インサート成形微小電極(200)は、インサート成形微小電極がボア(204)内に位置付けられるときに、シェル(206)の外面のこの輪郭に適合するように成形される。このようにして、シェル(206)の外面の輪郭に適合することは、インサート(200)の遠位面が、シェル(206)の隣接する遠位面に従うか、又は同一平面であることを意味することが理解され得る。適合構成の図示された変形例では、シェル(206)の外面は、先端部材(142)の周りで円周方向に延在する湾曲領域(208)を含む。ボア(204)は、湾曲領域(208)に位置付けられ、ボアの遠位端(204)は、湾曲領域(208)に位置する。インサート(200)は、湾曲領域(208)内のボア(204)に更に位置付け可能であり、インサートの遠位面(200)は、湾曲領域(208)に位置する。この実施例では、湾曲領域(208)、シェル(206)の外面、微小電極(138)の遠位面、及び複合体の遠位面(202)は、各々の表面が湾曲して、互いに並行である、湾曲並行配置を有する。
【0032】
更に
図5~
図7の例を参照すると、インサート(200)の微小電極(138)は、インサート(200)の複合体(202)の遠位面(212)から遠位に突出する遠位面(210)を有する。この構成では、微小電極(138)の遠位面(210)は、湾曲して、シェル(206)の外面の輪郭と並行に延在する。同様に、複合体(202)の遠位面(212)はまた、湾曲して、シェル(206)の外面の輪郭と並行に延在する。この例示的な配置では、複合体(202)の遠位面(212)は、シェル(206)の外面に対して凹んでおり、一方、微小電極(138)の遠位面(210)は、シェル(206)の外面と同一平面である。また、
図6に最もよく見られるように、先端部材(142)内の本実施例では、インサート(200)の微小電極(138)は、インサート(200)の複合体(202)に対して更に近位に延在する。しかしながら、他の変形例では、複合体(202)は、微小電極(138)に対して先端部材(142)内で
図6に示す構成よりも更に又はより短く延在し得る。
【0033】
図8Aは、エンドエフェクタ(140)の先端部材(142)の遠位端の一部分の断面を示す。本実施例では、接着剤(214)は、インサート成形微小電極(200)の先端部材(142)ボア(204)への固定接続に使用される。
図8Aの例に示すように、接着剤(214)は、ボア(204)を画定し、複合体の外壁(202)に更に接触する先端部材(142)の内壁に沿って位置する。このようにして、接着剤(214)は、インサート成形微小電極(200)と先端部材(142)との間に位置し、それにより、これらの構成要素を一緒に取り付ける。本実施例は、ボア(204)及びインサート(200)の図示された長さの全て沿って延在する接着剤(214)を示すが、他の変形例では、接着剤(214)は、この長さ未満に塗布される。この点における好適な接着剤塗布は、インサート成形微小電極(200)を先端部材(142)のボア(204)内に確実に保持する。
【0034】
いくつかの他の変形例では、接着剤(214)は完全に省略される。例えば、接着剤(214)を含まない1つのそのような他の変形例では、インサート成形微小電極(200)は、先端部材(142)のボア(204)との締まりばめを有する。このようにして、ボア(204)及びインサート(200)のそれぞれのサイズは、インサート(200)がボア(204)内に位置付けられるときに、ボア(204)を画定する先端部材(142)の内面とインサート(200)の外面との間に係合接触が存在するようなものである。更に、この配置では、先端部材(142)のボア(204)とインサート(200)との間に十分な摩擦力が存在し、接着剤又は他の特徴部なしで、先端部材(142)のボア(204)内にインサート(200)をしっかりと保持する。
【0035】
別の例示的な変形例では、カテーテルエンドエフェクタの先端部材と取り付けるために、接着剤と共に又は接着剤なしでインサート成形微小電極を使用することができる場合、一対の係合特徴部を使用することができる。例えば、
図8Bは、エンドエフェクタ(140)を有する先端部材(142)の代わりに使用することができる別の例示的な先端部材(342)の遠位端の断面を示す。先端部材(342)は、インサート成形微小電極(300)を受容するように構成されたボア(304)を有するシェル(306)を含む。ボア(304)は、1つ又は2つ以上の係合特徴部(316)で構成されている。更に、インサート(300)の複合体(302)は、1つ又は2つ以上の係合特徴部(318)で構成されている。係合特徴(316)は、係合特徴部(318)に係合するか、又はそれと接続するように構成され、それにより、先端部材(342)でインサート成形微小電極(300)を接続するか、又は取り付ける。本実施例では、インサート成形微小電極(300)と先端部材(342)との間のこの接続は、永続的な接続として構成されている。しかしながら、他の変形例では、この接続は、このような除去を達成するための特別なツールを使用するか、又は使用することなく、インサート(300)が先端部材(342)から取り外すことができるように、選択的であってもよい。しかしながら、いずれの場合も、インサート(300)と先端部材(342)との間の接続部は、インサート(300)がボア(304)内にしっかりと残るように使用中に安定するように構成されている。
【0036】
図8Bの本実施例では、ボア(304)の係合特徴部(316)は、半球形の凹部又は切り欠きとして構成されている。一方、複合体(302)の係合特徴(318)は、半球形突起として構成されている。このようにして、係合特徴部(316)及び係合特徴部(318)は、相補的であり、その結果、係合特徴部(316)が係合特徴部(318)を受容するように構成されており、その際、インサート成形微小電極(300)を先端部材(342)に、又は先端部材(342)で固定する締まりばめ又はスナップばめを画定する。本実施例では、インサート(300)の係合特徴部(318)は、弾性特徴部であり、係合特徴部(318)は、インサート成形微小電極(300)をボア(304)に挿入するときにわずかに圧縮してもよく、次いで、係合特徴部(318)が係合特徴部(316)内に着座するか、又は位置すると拡張してもよい。このようにして、インサート(300)は、ボア(304)の内壁に係合するように構成された弾性特徴部を含む。他の変形例では、係合特徴部(316)及び係合特徴(318)は、
図8Aに示される半球形凹部及び突出部とは異なる形態及び形状を有する。
【0037】
図9A~
図9Eは、複合体(202)又はその部分を示す。上記の複合体(302)は、複合体(302)での係合特徴部(318)の追加を除いて、同じ構造及び構成を有するであろう。
図9A~
図9Eに示されるように、複合体(202)は、微小電極(138)がインサート成形後に存在する開口部(216)を含む。複合体(202)はまた、微小電極(138)の近位部分がインサート成形後に存在する近位に延在する円筒部分(218)を有する。本実施例に示されるように、円筒形部分(218)内の開口部(216)は、複合体の遠位端(202)に、開口部(216)の直径よりも小さい直径を有する。微小電極(138)でインサート成形した後、複合体(202)は、小さい直径が始まる開口部(216)の領域の周りにフランジ(220)を画定する。この構成では、微小電極(138)は、インサート成形後にフランジ(220)に対して着座する。上述のように、複合体(202)の遠位面(212)は、本実施例では、湾曲した形状であり、その結果、遠位面(212)は、先端部材(142)の湾曲領域(208)と並行である。複合体(202)は、非導電性材料で構成され、微小電極(138)が、上記のように、先端部材(142)との接触から分離されるように構成されている。本実施例は、複合体(202)について、微小電極(138)を使用するインサート成形プロセス中に形成されるように説明するが、いくつかの他の変形例では、複合体(202)は、微小電極(138)とは別に形成し、その後、微小電極(138)と接合するか、又は組み合わせることができる。
【0038】
IV.微小電極をエンドエフェクタに取り付ける例示的な方法
図10は、インサート成形微小電極を作製し、インサート成形微小電極をカテーテル(120)のエンドエフェクタ(140)などのカテーテルのエンドエフェクタに取り付けるために使用可能である例示的な方法(400)を示す。方法(400)は、微小電極(138)を金型内に配置することを含むステップ(410)から始まる。その後、ステップ(420)は、金型に複合体(202、302)を注入して、インサート成形微小電極(200、300)を作成することを含む。インサート成形微小電極(200、300)が形成されると、ステップ(430)は、インサート成形微小電極(200、300)を先端部材(142、342)のシェル(206、206)のボア(204、304)内に位置決めすることを含む。最後に、ステップ(440)は、インサート成形微小電極(200、300)をボア(204、304)内に固定することを含む。この固定ステップは、上記のように様々な方式で達成することができ、ステップ(430)の前に接着剤塗布を含み得る。当然ながら、上述のように、接着剤のないいくつかの変形例は、これらの構成要素を製造するときに、代わりに先端部材(342)及び複合体(302)との係合特徴部(316、318)を組み込んでもよい。本明細書の教示を考慮すると、これらのステップ又は使用され得る他のステップ内の他のアクションも、当業者には明らかであろう。
【0039】
V.インサート成形微小電極の例示的なシステム
図11は、上記のインサート成形微小電極(200、300)などのインサート成形微小電極を作製することで使用可能である例示的なシステム(500)を示す。この実施例のシステム(500)では、微小電極(138)は、注入成形機(504)の金型(502)内に位置付け可能である。微小電極(138)が金型(502)内にあり、金型(502)が注入成形機(504)内に位置付けられ、複合体(202、302)が、注入成形機(504)の注入ユニット(506)に追加される。注入ユニット(506)は、複合体(202、302)を金型(502)に方向付け、金型では、複合体(202、302)が、微小電極(138)と組み合わせられ、それにより、インサート成形微小電極(200、300)を形成する。複合体(202、302)を固体にするための形成及び冷却後、金型(502)を開くことができ、インサート成形微小電極(200、300)は金型(502)から取り出される。仕上げプロセスは、必要又は所望に応じて、インサート成形微小電極(200、300)を用いて行うことができる。インサート成形微小電極が製造されると、方法(400)は、ステップ(430)から継続し、上記のように、インサート成形微小電極(200、300)をカテーテル(120)のエンドエフェクタ(140)の先端部材(142、342)と接続するか、又はそれに取り付けることができる。システム(500)は、単なる例示であり、インサート成形微小電極(200、300)を製造するための他のシステムが、使用され得、本明細書の教示を考慮して当業者には明らかであろう。
【0040】
VI.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方式に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出における任意の時点で提示され得るいずれの特許請求の範囲の適用範囲をも限定することを意図したものではないことを理解されたい。一切の権利放棄を意図するものではない。以下の実施例は、あくまでも例示的な目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の様々な教示は、その他の多くの方式で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者らによって又は本発明者らの利益の承継者によって、後日そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。いずれの特許請求の範囲も、本出願において、又は以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0041】
電気生理学的マッピングを行うための医療処置で使用するための装置は、本体と、本体の遠位端に接続されたエンドエフェクタと、を備える。エンドエフェクタは、エンドエフェクタの遠位端に先端部材を含む。先端部材は、先端部材の外面を画定するシェルを有する。先端部材は、シェルの外面に位置するボアを更に有する。エンドエフェクタはまた、先端部材のボア内に位置付け可能なインサートを含む。インサートは、微小電極と、微小電極とシェルとの間の接触壁として機能するように構成された非導電性複合体と、を含む。インサートは、シェルの外面の輪郭に適合するように成形される。
【実施例2】
【0042】
先端部材のボアが、本体に向かって近位方向で長手方向に延在する、実施例1に記載の装置。
【実施例3】
【0043】
微小電極は白金イリジウムである、実施例1又は実施例2に記載の装置。
【実施例4】
【0044】
複合体をシェルに接着するように構成された接着剤を更に備える、実施例1~実施例3のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【実施例5】
【0045】
インサートが、ボアの内壁に係合するように構成された係合特徴部を更に含む、実施例1~実施例3のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【実施例6】
【0046】
係合特徴部が弾性であり、ボアとのスナップばめ接続を行う、実施例5に記載の装置。
【実施例7】
【0047】
係合特徴部が、ボアに係合して、インサートとシェルとの間の永続的な接続を行うように構成されている、実施例5又は実施例6に記載の装置。
【実施例8】
【0048】
インサートが、接着剤を使用せずにシェルと接続するように構成されている、実施例1~実施例3及び実施例5~実施例7のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【実施例9】
【0049】
微小電極が、複合体と共にインサート成形されて、インサートを形成する、実施例1~実施例8のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【実施例10】
【0050】
先端部材が、灌注流体を送達するように構成された複数の開口部を有する、実施例1~実施例9のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【実施例11】
【0051】
先端部材が、標的部位に電気エネルギーを送達するように構成されている、実施例1~実施例10のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【実施例12】
【0052】
本体が、長手方向軸を画定し、エンドエフェクタが、長手方向軸から離れて偏向するように構成されている、実施例1~実施例11のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【実施例13】
【0053】
エンドエフェクタを誘導し、エンドエフェクタを長手方向軸から離れるように偏向させるように動作可能に構成されているプッシュプルケーブルを更に備える、実施例12に記載の装置。
【実施例14】
【0054】
エンドエフェクタを誘導し、エンドエフェクタを長手方向軸から離れるように偏向させるように動作可能に構成されている一対のプッシュプルケーブルを更に備える、実施例12に記載の装置。
【実施例15】
【0055】
シェルの外面が、先端部材の周りで周方向に延在する湾曲領域を含み、ボアが、湾曲領域内に位置付けられ、インサートが、湾曲領域内のボア内に位置付け可能である、実施例1~実施例14のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【実施例16】
【0056】
装置が、複数のインサートを備えるシェルの外面に複数のボアを有し、各ボアが、インサートのうちの1つを受容するように構成されている、実施例1~実施例15のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【実施例17】
【0057】
インサート成形微小電極として構成された複数のインサートを有する、実施例16に記載の装置。
【実施例18】
【0058】
インサートの微小電極が、インサートの複合体の遠位面から遠位に突出する遠位面を有する、実施例1~実施例17のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【実施例19】
【0059】
微小電極の遠位面が、湾曲して、シェルの外面の輪郭と並行に延在する、装置実施例18。
【実施例20】
【0060】
複合体の遠位面が、湾曲して、シェルの外面の輪郭と並行に延在する、実施例18又は実施例19に記載の装置。
【実施例21】
【0061】
複合体の遠位面が、シェルの外面に対して凹んでいる、実施例18~実施例20のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【実施例22】
【0062】
微小電極の遠位面が、シェルの外面と同一平面に延在する、実施例18~実施例21のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【実施例23】
【0063】
インサートの微小電極が、インサートの複合体に対して更に近位に延在する、実施例1~実施例22のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置。
【実施例24】
【0064】
微小電極を電気生理学的マッピングに使用される医療器具に取り付けるための方法であって、(a)微小電極を金型内に配置することと、(b)金型に複合体を注入して、微小電極及び複合体から形成されたインサート成形微小電極を作成することであって、インサート成形微小電極が、医療器具のエンドエフェクタの先端部材のシェルの外面に適合する外面を有する、作成することと、(c)インサート成形微小電極を先端部材のシェルのボア内に位置決めすることであって、ボアが、インサート成形微小電極を受容するように構成されている、位置決めすることと、(d)インサート成形微小電極をボア内に固定することと、を含む、方法。
【実施例25】
【0065】
ボア内にインサート成形電極を位置決めする前に、ボアの内部及び複合体の外面のうちの選択された一方又は両方に接着剤を塗布することを更に含む、実施例24に記載の方法。
【実施例26】
【0066】
複合体が、インサート成形微小電極をボア内に固定するために、ボアの相補的な係合特徴部で取り付けるように構成された成形係合特徴部を有する、実施例24に記載の方法。
【実施例27】
【0067】
位置特定及び固定ステップが実質的に同時に生じる、実施例24~実施例26のいずれか1つ又は2つ以上に記載の方法。
【実施例28】
【0068】
実施例1~実施例23のいずれか1つ又は2つ以上に記載の装置を使用して達成される、実施例24に記載の方法。
【0069】
VII.その他
本明細書に記載される器具のいずれも、処置前及び/又は処置後に洗浄及び滅菌することができる。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次に、容器及びデバイスを、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌されたデバイスを、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。デバイスはまた、限定されないが、ベータ線又はガンマ線、エチレンオキシド、過酸化水素、過酢酸、及びプラズマ又は水蒸気を伴う又は伴わない気相滅菌を含む当該技術分野で既知の任意の他の技術を使用して滅菌されてもよい。
【0070】
本明細書に記載の実施例のいずれも、上述のものに加えて又はそれらの代わりに、様々な他の特徴部を含み得ることを理解されたい。単に一例として、本明細書に記載の実施例のいずれも、参照により本明細書に組み込まれている様々な参考文献のいずれかに開示されている様々な特徴部のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0071】
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方式は、本明細書の教示に鑑みて当業者には容易に明らかであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。
【0072】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、又はその他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれることを理解されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0073】
本発明の様々な変形例について図示し説明したが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる応用が、当業者による適切な修正例により、本発明の範囲から逸脱することなく達成され得る。このような可能な修正のうちのいくつかについて述べたが、その他の修正が当業者には明らかとなるであろう。例えば、上で考察された実施例、変形例、幾何学的形状、材料、寸法、比率、ステップなどは例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0074】
〔実施の態様〕
(1) 電気生理学的マッピングを行うための医療処置で使用するための装置であって、前記装置が、
(a)本体と、
(b)前記本体の遠位端に接続されたエンドエフェクタと、を備え、前記エンドエフェクタが、
(i)前記エンドエフェクタの前記遠位端にある先端部材であって、前記先端部材の外面を画定するシェルを有し、前記シェルの前記外面に位置するボアを更に有する、先端部材、及び
(ii)前記先端部材の前記ボア内に位置付け可能なインサート、を含み、前記インサートが、微小電極、及び前記微小電極と前記シェルとの間の接触障壁として機能するように構成された非導電性複合体、を含み、前記インサートが、前記シェルの前記外面の輪郭に適合するように成形されている、装置。
(2) 前記先端部材の前記ボアが、前記本体に向かって近位方向で長手方向に延在する、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記インサートが、前記ボアの内壁に係合するように構成された係合特徴部を更に含む、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記係合特徴部が弾性であり、前記ボアとのスナップばめ接続を行う、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記係合特徴部が、前記ボアに係合して、前記インサートと前記シェルとの間の永続的な接続を行うように構成されている、実施態様3に記載の装置。
【0075】
(6) 前記インサートが、接着剤を使用せずに前記シェルと接続するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記微小電極が、前記複合体と共にインサート成形されて、前記インサートを形成する、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記先端部材が、灌注流体を送達するように構成された複数の開口部を有する、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記先端部材が、標的部位に電気エネルギーを送達するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記本体が、長手方向軸を画定し、前記エンドエフェクタが、前記長手方向軸から離れて偏向するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
【0076】
(11) 前記シェルの前記外面が、前記先端部材の周りで周方向に延在する湾曲領域を含み、前記ボアが、前記湾曲領域内に位置付けられ、前記インサートが、前記湾曲領域内の前記ボア内に位置付け可能である、実施態様1に記載の装置。
(12) 前記装置が、複数のインサートを備える前記シェルの前記外面に複数のボアを有し、各ボアが、前記インサートのうちの1つを受容するように構成されている、実施態様1に記載の装置。
(13) インサート成形微小電極として構成された複数のインサートを有する、実施態様12に記載の装置。
(14) 前記インサートの前記微小電極が、前記インサートの前記複合体の遠位面から遠位に突出する遠位面を有する、実施態様1に記載の装置。
(15) 前記微小電極の前記遠位面が、湾曲して、前記シェルの前記外面の前記輪郭と並行に延在する、実施態様14に記載の装置。
【0077】
(16) 前記複合体の前記遠位面が、湾曲して、前記シェルの外面の前記輪郭と並行に延在する、実施態様14に記載の装置。
(17) 前記複合体の前記遠位面が、前記シェルの前記外面に対して凹んでいる、実施態様14に記載の装置。
(18) 前記微小電極の前記遠位面が、前記シェルの前記外面と同一平面に延在する、実施態様14に記載の装置。
(19) 前記インサートの前記微小電極が、前記インサートの前記複合体に対して更に近位に延在する、実施態様1に記載の装置。
(20) 微小電極を電気生理学的マッピングに使用される医療器具に取り付けるための方法であって、前記方法が、
(a)微小電極を金型内に配置することと、
(b)前記金型に複合体を注入して、前記微小電極及び前記複合体から形成されたインサート成形微小電極を作成することであって、前記インサート成形微小電極が、前記医療器具のエンドエフェクタの先端部材のシェルの外面に適合する外面を有する、作成することと、
(c)前記インサート成形微小電極を前記先端部材の前記シェルのボア内に位置決めすることであって、前記ボアが、前記インサート成形微小電極を受容するように構成されている、位置決めすることと、
(d)前記インサート成形微小電極を前記ボア内に固定することと、を含む、方法。