(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】T細胞培養用培地組成物及びこれを用いたT細胞の培養方法
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20240826BHJP
C07K 14/55 20060101ALI20240826BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20240826BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20240826BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20240826BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C07K14/55
C07K14/705
C07K16/00
C12N5/0783
(21)【出願番号】P 2022529599
(86)(22)【出願日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 KR2020016379
(87)【国際公開番号】W WO2021101271
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-07-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0149779
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521126254
【氏名又は名称】ジーアイ・セル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】GI CELL, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【氏名又は名称】山口 健次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194973
【氏名又は名称】尾崎 祐朗
(72)【発明者】
【氏名】チャン ミョンホ
(72)【発明者】
【氏名】ホン チュンピョ
(72)【発明者】
【氏名】チョ ヨンジュ
(72)【発明者】
【氏名】イ チュンソプ
【審査官】西澤 龍彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第86/000334(WO,A1)
【文献】特表2014-522846(JP,A)
【文献】特表2016-518823(JP,A)
【文献】特表2012-500847(JP,A)
【文献】GI-101, a novel bispecific CD80-IgG4-IL2 variant fusion protein, elicits robust anti-tumor effects in preclinical models,ESMO Congress 2019, Barcelona, Spain; 27 Sep-01 Oct, 2019,2019年10月01日,https://www.gi-innovation.com/en/sub/company/certi.asp?s_cate=POSTER#gallery-4
【文献】GI101, a novel triple-targeting bispecific CD80-IgG4-IL2 variant fusion protein, elicits synergistic anti-tumour effects in preclinical models,Immunotherapy of Cancer,2019年,Vol. 30, No. 5,v500
【文献】KONG, L et al.,Expression of fusion IL2-B7.1(IgV+C) and effects on T lymphocytes,Biochemistry and Cell Biology,2007年,Vol. 85,pp. 685-695
【文献】CHAN, L et al.,IL-2/B7.1(CD80) Fusagene Transduction of AML Blasts by a Self-Inactivating Lentiviral Vector Stimulates T Cell Responses in Vitro: a Strategy to Generate Whole Cell Vaccines for AML,Molecular Therapy,2005年,Vol. 11, No. 1,pp. 120-131
【文献】INGRAM, W et al.,Human CD80/IL2 lentivirus transduced acute myeloid leukaemia cells enhance cytolytic activity in vitro in spite of an increase in regulatory CD4+ T cell in a subset of cultures,Cancer Immunology, Immunotherapy,2009年,Vol. 58,pp. 1679-1690
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
C12N
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
融合タンパク質二量体を有効成分として含むCD8+CD45RO+記憶T細胞イン・ビトロ増殖用組成物であって、
前記融合タンパク質二量体は、下記構造式(I)又は(II):
N’-X-[リンカー(1)]n-Fcドメイン-[リンカー(2)]m-Y-C’(I)
N’-Y-[リンカー(1)]n-Fcドメイン-[リンカー(2)]m-X-C’(II)
を含み、ここで、
N’は、融合タンパク質のN末端であり、
C’は、融合タンパク質のC末端であり、
Xは、CD80タンパク質又はその断片であり、
Yは、IL-2タンパク質変異体であり、
リンカー(1)及びリンカー(2)は、ペプチドリンカーであり、
n及びmはそれぞれ独立に、
0又は1であり、
前記IL-2タンパク質変異体が、配列番号
6のアミノ酸配列
を含み、
前記CD80タンパク質断片が、CD80の細胞外ドメインを含む、前記組成物。
【請求項2】
前記CD8+CD45RO+記憶T細胞は、CD8+CD25+CD45RO+記憶T細胞、CD8+CD62L+CD45RO+記憶T細胞、又はCD8+CD25+CD62L+CD45RO+記憶T細胞である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記IL-2タンパク質変異体は、配列番号
6のアミノ酸配
列である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記CD80は、配列番号11のアミノ酸配列を含むものである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記融合タンパク質は、配列番号
9のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
融合タンパク質二量体を含むCD8+CD45RO+記憶T細胞イン・ビトロ増殖用培地であって、
前記融合タンパク質二量体は、下記構造式(I)又は(II):
N’-X-[リンカー(1)]n-Fcドメイン-[リンカー(2)]m-Y-C’(I)
N’-Y-[リンカー(1)]n-Fcドメイン-[リンカー(2)]m-X-C’(II)
を含み、ここで、
N’は、融合タンパク質のN末端であり、
C’は、融合タンパク質のC末端であり、
Xは、CD80タンパク質又はその断片であり、
Yは、IL-2タンパク質変異体であり、
リンカー(1)及びリンカー(2)は、ペプチドリンカーであり、
n及びmはそれぞれ独立に、
0又は1であり、
前記IL-2タンパク質変異体が、配列番号
6のアミノ酸配列
を含み、
前記CD80タンパク質断片が、CD80の細胞外ドメインを含む、前記培地。
【請求項7】
T細胞培養用培地をさらに含むものである、請求項6に記載の培地。
【請求項8】
前記T細胞培養用培地は、アミノ酸(amino acids)、糖類(sugars)、無機塩(inorganic salts)及びビタミンを含む、請求項7に記載の培地。
【請求項9】
CD8+T細胞を培養する段階を含むCD8+CD45RO+記憶T細胞のイン・ビトロ増殖方法であって、
前記CD8+T細胞を培養する段階を、下記構造式(I)又は(II):
N’-X-[リンカー(1)]n-Fcドメイン-[リンカー(2)]m-Y-C’(I)
N’-Y-[リンカー(1)]n-Fcドメイン-[リンカー(2)]m-X-C’(II)
を含む融合タンパク質二量体の存在下で行い、ここで、
N’は、融合タンパク質のN末端であり、
C’は、融合タンパク質のC末端であり、
Xは、CD80タンパク質又はその断片であり、
Yは、IL-2タンパク質変異体であり、
リンカー(1)及びリンカー(2)は、ペプチドリンカーであり、
n及びmはそれぞれ独立に、
0又は1であり、
前記IL-2タンパク質変異体が、配列番号
6のアミノ酸配列
を含み、
前記CD80タンパク質断片が、CD80の細胞外ドメインを含む、前記方法。
【請求項10】
前記CD8+T細胞は、末梢血液単核細胞(PBMC)で取得されたものである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
7~21日間培養するものである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記CD8+CD45RO+記憶T細胞は、CD8+CD25+CD45RO+記憶T細胞、CD8+CD62L+CD45RO+記憶T細胞、又はCD8+CD25+CD62L+CD45RO+記憶T細胞である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記IL-2タンパク質変異体は、配列番号
6のアミノ酸配
列である、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記CD80は、配列番号11のアミノ酸配列を含むものである、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記融合タンパク質は、配列番号
9のアミノ酸配列を含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD80タンパク質及びIL-2野生型又は変異体を含む融合タンパク質を含有するT細胞培養用培地組成物及びこれを用いたT細胞の培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)から市販許可を受けたノバルティスのキムリア(成分名:チサゲンレクルユーセル、製品コード:CTL019)は、自家遺伝子変形T細胞で構成された遺伝子治療剤である(米国登録特許第9499629号)。この製品は、患者自身のT細胞で生産され、このT細胞は、ヒトCD19に対するキメラ抗原受容体(CAR)をコードするレンチウイルスベクターを用いて形質導入される。該当のT細胞は、抗原依存的に作用し、主要組織適合性複合体(MHC)とは独立的な方式でCD19陽性B細胞を特異的に標的として破壊させる。
【0003】
キムリアの製造工程は次の通りである。二つの他の工程を通じてT細胞を増殖させ、増殖されたT細胞は、CD3とCD28抗体とが結合された磁性ビーズによって刺激された後、CTL019 HIV-1ベクターが形質導入される。そして、CARを発現する自家T細胞を培養によって一定期間増殖させた後、CD3/CD28が結合されたビーズなどの不純物を除去するために洗浄過程を経る。ところが、近年、キムリアの製造工程でT細胞の増殖及び活性化のために使用されるCD3/CD28抗体結合磁性ビーズであるDynabeads(登録商標)は、急性毒性を誘発する可能性があるものと確認された。
【0004】
また、医薬品内の複製可能レンチウイルス(RCL、Replication competent lentivirus)は、感染性が存在し、接触した人に伝達され得るものとして知られている。輸血又は移植のための血液、臓器、組織又は細胞の寄贈を通じて新しいレンチウイルスを伝染させる危険性を保有した患者にキムリアを投与した後、プロウイルスと宿主配列との間の相補性によるベクター移動によってRCLが形成され得る。よって、以前にHIV陽性であった患者の場合、新しいHIVウイルスを生成させる可能性もある。このように、新しい複製可能なレンチウイルスがヒト個体群内に拡散される場合もあるので、環境に及ぼす理論的な潜在的副作用が大きいと判断された。
【0005】
そこで、このような副作用のない新しい自家T細胞治療剤に対する要求が増加している状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者等は、CD3/CD28抗体結合磁性ビーズを使用せず、T細胞の増殖及び活性を増加させるために鋭意努力した結果、細胞培養用培地にCD80タンパク質及びIL-2野生型又は変異体を含む融合タンパク質の存在下で末梢血液単核細胞を培養することによってT細胞の増殖及び活性が増加することを確認し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、IL-2タンパク質又はその変異体及びCD80タンパク質又はその断片を含む融合タンパク質二量体を有効成分として含むT細胞培養用組成物又は培地を提供する。
【0008】
また、IL-2タンパク質又はその変異体及びCD80タンパク質又はその断片を含む融合タンパク質二量体を用いたT細胞培養方法を提供する。
【0009】
また、IL-2タンパク質又はその変異体及びCD80タンパク質又はその断片を含む融合タンパク質二量体が含まれた培地で培養されたT細胞を有効成分として含む薬学的組成物を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のT細胞培養用培地組成物及びこれを用いるT細胞の培養方法で培養されたT細胞は、CD3/CD28抗体結合磁性ビーズを使用しなくても、T細胞の増殖及び活性が増加する。よって、磁性ビーズなどの不純物が生成されないので、より安全にT細胞を製作することができる。さらに、患者自身の末梢血液単核細胞を培養することによってT細胞を増殖させるので、人体に副作用が発生するおそれがなく、新しいT細胞治療剤として広く活用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明で使用された融合タンパク質の一製造例を図式化した図である。
【0012】
【
図2】取得した融合タンパク質(GI-101)をSDS-PAGEで確認した図である。
【0013】
【
図3】取得した融合タンパク質(GI-101)をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で分析した図である。
【0014】
【
図4】取得したFc-IL2v2融合タンパク質をSDS-PAGEで確認した図である。
【0015】
【
図5】取得したFc-IL2v2融合タンパク質をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で分析した図である。
【0016】
【
図6】取得したFc-IL2wt融合タンパク質二量体をSDS-PAGEで確認した図である。
【0017】
【
図7】取得したFc-IL2wt融合タンパク質二量体をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で分析した図である。
【0018】
【
図8】取得したhCD80-Fc-IL2wt融合タンパク質をSDS-PAGEで確認した図である。
【0019】
【
図9】取得したhCD80-Fc-IL2wt融合タンパク質をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で分析した図である。
【0020】
【
図10】取得したhCD80-Fc融合タンパク質をSDS-PAGEで確認した図である。
【0021】
【
図11】取得したhCD80-Fc融合タンパク質をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で分析した図である。
【0022】
【
図12】表1の基本培養培地含有培養組成物における培養時のCD4-PBMCの総細胞数を示した図である。
【0023】
【
図13】表1の基本培養培地含有培養組成物における培養時のCD4-PBMC細胞の生存率を示した図である。
【0024】
【
図14】表2の基本培養培地含有培養組成物における培養時のCD4-PBMCの総細胞数を示した図である。
【0025】
【
図15】表2の基本培養培地含有培養組成物における培養時のCD4-PBMC細胞の生存率を示した図である。
【0026】
【
図16】表1の基本培養培地含有培養組成物における本発明に係るGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質処理によるCD4-PBMC細胞の細胞表面のフローサイトメトリー結果を示した図である。
【0027】
【
図17】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表1の基本培養培地含有培養組成物において14日間培養されたCD4-PBMC細胞に対してFACS(Fluorescence-activated cell sorting)分析を行い、総T細胞数(CD3+CD19-細胞)を定量化したグラフである。
【0028】
【
図18】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表1の基本培養培地含有培養組成物において14日間培養されたCD4-PBMC細胞に対してFACS分析を行い、CD8 T細胞数を定量化したグラフである。
【0029】
【
図19】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表1の基本培養培地含有培養組成物において14日間培養されたCD4-PBMC細胞に対してFACS分析を行い、CD25+記憶T細胞数を定量化したグラフである。
【0030】
【
図20】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表1の基本培養培地含有培養組成物において14日間培養されたCD4-PBMC細胞に対してFACS分析を行い、中心記憶T細胞数を定量化したグラフである。
【0031】
【
図21】表2の基本培養培地含有培養組成物における本発明に係るGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質処理によるCD4-PBMC細胞の細胞表面のフローサイトメトリー結果を示した図である。
【0032】
【
図22】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表2の基本培養培地含有培養組成物において14日間培養されたCD4-PBMC細胞に対してFACS分析を行い、総T細胞数(CD3+CD19-細胞)を定量化したグラフである。
【0033】
【
図23】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表2の基本培養培地含有培養組成物において14日間培養されたCD4-PBMC細胞に対してFACS分析を行い、CD8 T細胞数を定量化したグラフである。
【0034】
【
図24】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表2の基本培養培地含有培養組成物において14日間培養されたCD4-PBMC細胞に対してFACS分析を行い、CD25+記憶T細胞数を定量化したグラフである。
【0035】
【
図25】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表2の基本培養培地含有培養組成物において14日間培養されたCD4-PBMC細胞に対してFACS分析を行い、中心記憶T細胞数を定量化したグラフである。
【0036】
【
図26】表1の基本培養培地含有培養組成物における本発明に係るGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質処理によるCD4-PBMC細胞の細胞内部のフローサイトメトリー結果を示した図である。
【0037】
【
図27】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表1の基本培養培地含有培養組成物において14日間培養されたCD4-PBMC細胞に対してFACS分析を行い、グランザイムB+CTL(Cytotoxicity T Lymphocyte)細胞数を定量化したグラフである。
【0038】
【
図28】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表1の基本培養培地含有培養組成物において14日間培養されたCD4-PBMC細胞に対してFACS分析を行い、IFN-γ CTL細胞数を定量化したグラフである。
【0039】
【
図29】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表1の基本培養培地含有培養組成物において14日間培養されたCD4-PBMC細胞に対してFACS分析を行い、パーフォリン+CTL細胞数を定量化したグラフである。
【0040】
【
図30】表2の基本培養培地含有培養組成物における本発明に係るGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質処理によるCD4-PBMC細胞の細胞内部のフローサイトメトリー結果を示した図である。
【0041】
【
図31】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表2の基本培養培地含有培養組成物において14日間培養されたCD4-PBMC細胞に対してFACS分析を行い、グランザイムB+CTL細胞数を定量化したグラフである。
【0042】
【
図32】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表2の基本培養培地含有培養組成物において14日間培養されたCD4-PBMC細胞に対してFACS分析を行い、IFN-γ CTL細胞数を定量化したグラフである。
【0043】
【
図33】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表2の基本培養培地含有培養組成物において14日間培養されたCD4-PBMC細胞に対してFACS分析を行い、パーフォリン+CTL細胞数を定量化したグラフである。
【0044】
【
図34】表1の基本培養培地含有培養組成物における培養時のCD8+PBMCの総細胞数を示した図である。
【0045】
【
図35】表1の基本培養培地含有培養組成物における培養時のCD8+PBMC細胞の生存率を示した図である。
【0046】
【
図36】表1の基本培養培地含有培養組成物における本発明に係るGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質処理によるCD8+PBMC細胞の細胞表面のフローサイトメトリー結果を示した図である。
【0047】
【
図37】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表1の基本培養培地含有培養組成物において
12日間培養されたCD8+PBMC細胞に対してFACS分析を行い、総T細胞数(CD3+CD19-細胞)を定量化したグラフである。
【0048】
【
図38】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表1の基本培養培地含有培養組成物において
12日間培養されたCD8+PBMC細胞に対してFACS分析を行い、CD8 T細胞数を定量化したグラフである。
【0049】
【
図39】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表1の基本培養培地含有培養組成物において
12日間培養されたCD8+PBMC細胞に対してFACS分析を行い、CD25+記憶T細胞数を定量化したグラフである。
【0050】
【
図40】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表1の基本培養培地含有培養組成物において
12日間培養されたCD8+PBMC細胞に対してFACS分析を行い、中心記憶T細胞数を定量化したグラフである。
【0051】
【
図41】表1の基本培養培地含有培養組成物における本発明に係るGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質処理によるCD8+PBMC細胞の細胞内部のフローサイトメトリー結果を示した図である。
【0052】
【
図42】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表1の基本培養培地含有培養組成物において
12日間培養されたCD8+PBMC細胞に対してFACS分析を行い、グランザイムB+CTL細胞数を定量化したグラフである。
【0053】
【
図43】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表1の基本培養培地含有培養組成物において
12日間培養されたCD8+PBMC細胞に対してFACS分析を行い、IFN-γ CTL細胞数を定量化したグラフである。
【0054】
【
図44】本発明のGI-101、又はhCD80-Fc及びFc-IL2v添加物質を処理した表1の基本培養培地含有培養組成物において
12日間培養されたCD8+PBMC細胞に対してFACS分析を行い、パーフォリン+CTL細胞数を定量化したグラフである。
【0055】
【
図45】本発明のGI-101添加物質を処理した表1の基本培養培地含有培養組成物において培養されたHer2タンパク質認識T細胞のBT-474(ATCC(登録商標) HTB-20
TM)癌細胞に対する死滅効果を分析した結果を示した図である。
【0056】
【
図46】本発明のGI-101添加物質を処理した表1の基本培養培地含有培養組成物において培養されたHer2タンパク質認識T細胞のCAMA-1(ATCC(登録商標) HTB-21
TM)癌細胞に対する死滅効果を分析した結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
T細胞増殖用組成物及び培地
【0058】
本発明の一側面は、IL-2タンパク質又はその変異体及びCD80タンパク質又はその断片を含む融合タンパク質を含有するT細胞増殖用組成物を提供する。また、前記融合タンパク質二量体を有効成分として含むT細胞増殖用又は培養用培地を提供する。
【0059】
前記T細胞増殖用培地は、T細胞培養用培地に前記IL-2タンパク質又はその変異体及びCD80タンパク質又はその断片を含む融合タンパク質二量体が添加された培地であり得る。このとき、前記T細胞培養用培地は、アミノ酸(amino acids)、糖類(sugars)、無機塩(inorganic salts)及びビタミンからなる群から選ばれるいずれか一つを含むことができる。好ましくは、前記T細胞培養用培地は、アミノ酸、糖類、無機塩及びビタミンを全て含むものであり得る。また、前記培地は、FBS(Fetal Bovine Serum)、HEPES(Hydroxyethyl piperazine Ethane Sulfonic acid)、タンパク質、炭水化物、メルカプトエタノール、成長因子をさらに含むことができる。
【0060】
本明細書で使用された用語である「細胞培養用培地」は、細胞を培養するために使用された培地を意味し、具体的にT細胞、より具体的にCD8+細胞を培養するための培地を意味する。試験管内で(in vitro)細胞の成長及び生存のために細胞が必要とする成分を含有したり、細胞の成長及び生存を促進する成分を含有する。具体的に、前記成分は、ビタミン、必須又は非必須アミノ酸、及び微量元素であり得る。
【0061】
本発明に係る前記細胞培養培地は、アミノ酸成分、ビタミン成分、無機塩成分、その他の成分及び精製水で構成され、
【0062】
a)前記アミノ酸成分は、グリシン、L-アラニン、L-バリン、L-ロイシン、L-イソロイシン、L-トレオニン、L-セリン、L-システイン、L-メチオニン、L-アスパラギン酸、L-アスパラギン、L-グルタミン酸、L-グルタミン、L-リシン、L-アルギニン、L-ヒスチジン、L-フェニルアラニン、L-チロシン、L-トリプトファン、L-プロリン、β-アラニン、γ-アミノ酪酸、オルニチン、シトルリン、ホモセリン、トリヨードチロニン、チロキシン及びジオキシフェニルアラニンで構成された群から選ばれる少なくともいずれか一つのアミノ酸又はその組み合わせで、好ましくは、グリシン、L-アラニン、L-アルギニン、L-システイン、L-グルタミン、L-ヒスチジン、L-リシン、L-メチオニン、L-プロリン、L-セリン、L-トレオニン及びL-バリンで構成された群から選ばれる少なくともいずれか一つのアミノ酸又はその組み合わせであり、
【0063】
b)前記ビタミン成分は、ビオチン、D-パントテン酸カルシウム、葉酸、ナイアシンアミド、ピリドキシン塩酸塩、リボフラビン、チアミン塩酸塩、ビタミンB12、塩化コリン、i-イノシトール及びアスコルビン酸で構成された群から選ばれる少なくともいずれか一つのビタミン又はその組み合わせで、好ましくは、i-イノシトール、チアミン塩酸塩、ナイアシンアミド及びピリドキシン塩酸塩で構成された群から選ばれる少なくとも一つ以上のビタミン又はその組み合わせであり、
【0064】
c)前記無機塩成分は、塩化カルシウム(CaCl2)(無水)、硫酸銅五水和物(CuSO4-5H2O)、硫酸第二鉄七水和物(FeSO4-7H2O)、塩化マグネシウム(無水)、硫酸マグネシウム(MgSO4)(無水)、塩化カリウム(KCl)、塩化ナトリウム(NaCl)、リン酸水素二ナトリウム(Na2HPO4)、リン酸水素ナトリウム一水和物(NaH2PO4-H2O)、硫酸亜鉛七水和物(ZnSO4-7H2O)、硝酸第二鉄九水和物(Fe(NO3)3・9H2O)及び炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)で構成された群から選ばれる少なくともいずれか一つの無機塩又はその組み合わせで、好ましくは、塩化ナトリウム(NaCl)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl2)(無水)及びリン酸水素ナトリウム一水和物(NaH2PO4-H2O)で構成された群から選ばれる少なくともいずれか一つの無機塩又はその組み合わせであり、
【0065】
d)前記その他の成分は、D-グルコース(デキストロース)、ピルビン酸ナトリウム、ヒポキサンチンNa、チミジン、リノール酸、リポ酸、アデノシン、シチジン、グアノシン、ウリジン、2'-デオキシアデノシン、2'-デオキシシチジンHCl及び2'-デオキシグアノシンで構成された群から選ばれる少なくともいずれか一つのその他の成分又はその組み合わせで、好ましくは、ピルビン酸ナトリウムであり得る。
【0066】
e)精製水は、前記アミノ酸、ビタミン、無機塩及びその他の成分を溶解させるために使用され、1次以上の蒸留を経て取得されたり、フィルターを通じて精製された水であり得る。
【0067】
また、本発明に係る前記細胞培養培地に成長因子又はサイトカインをさらに含むことができる。前記成長因子として、IGF、bFGF、TGF、HGF、EGF、VEGF又はPDGFなどを単独で又は2種以上使用できるが、これに特に制限するのではない。前記サイトカインとして、IL-1、IL-4、IL-6、IFN-γ、IL-10又はIL-17などを単独で又は2種以上使用できるが、これに特に制限するのではない。
【0068】
本明細書で使用した用語である「T細胞」は、抗原特異的な適応免疫を主管するリンパ球の一つを意味する。T細胞は、未だに抗原に出会っていない未接触T細胞(naive T cell)と、抗原に出会って成熟したT細胞、及び記憶T細胞に分類される。このとき、前記成熟した効果T細胞は、ヘルパーT細胞、細胞毒性T細胞及び自然殺傷T細胞を含む。好ましくは、前記T細胞はCD8+T細胞であり得る。
【0069】
本明細書で使用した用語である「ペルパーT細胞(helper T cell、又はTh cell)」は、他の白血球の分化及び活性化を調節することによって体液性免疫を促進する細胞を言う。細胞表面にCD4タンパク質を有しているので、CD4+T細胞とも言う。ペルパーT細胞は、細部機能によって再びTh1、Th2、Th17、Tregに分類され得る。Th1細胞は、インターフェロンガンマ(interferon-gamma、IFN-γ)と腫瘍怪死因子ベータ(tumor necrosis factor beta、TNF-β)を分泌することによって大食細胞の内部でエンドソームとリソソームとが融合し、エンドリソソームを形成するように誘導する。一方、Th2細胞は、多くの種類のインターロイキン(interleukin、IL)を分泌し、B細胞を形質細胞に分化させる。Th17細胞は、インターロイキン-17(IL-17)を分泌し、好中球が集まるようにする。
【0070】
本明細書で使用した用語である「調節T細胞(Regulatory T cell、Treg)」は、自然調節T細胞(natural regulatory T cells、nTreg)又は誘導調節T細胞(induced regulatory T cells、iTreg)を含む。本明細書において、調節T細胞は、CD4+CD25+T細胞、CD4+CD25+CD127low/-T細胞又はCD4+CD25+Foxp3+T細胞を含む。前記調節T細胞は、免疫反応を抑制することによって免疫の恒常性を維持し、自家免疫反応などを遮断する。
【0071】
本明細書で使用した用語である「細胞毒性T細胞」は、グランザイム(granzyme)やパーフォリン(perforin)などの細胞毒性物質を分泌し、ウイルスに感染した細胞や腫瘍細胞などを殺す細胞である。細胞表面にCD8タンパク質を有しているので、CD8 T細胞とも言う。ペルパーT細胞とは反対に、細胞性免疫を媒介してウイルス及び癌細胞を除去する。
【0072】
本明細書で使用した用語である「自然殺傷T細胞」は、ペルパーT細胞及び細胞毒性T細胞に比べて少ない比率で分布する効果T細胞の一つを意味する。自然殺傷T細胞は、細胞表面にT細胞などのT細胞抗原受容体(T cell receptor、TCR)を有しているが、NK1.1などの自然殺害細胞特異的な分子も有している。自然殺傷T細胞は、ガンマインターフェロン、インターロイキン-4などを分泌し、免疫反応を調節する役割をする。
【0073】
本明細書で使用した用語である「記憶T細胞」は、抗原を認知したT細胞が分化及び選別過程を経た後、長期間生存している途中で、後で抗原が再び侵入したときに速く活性化され、効果T細胞の機能を行える潜在的能力を有する細胞を意味する。naive T細胞が抗原に出会って活性化された状態の細胞、又は効果T細胞がインターロイキン-7とインターロイキン-15の影響を受け、長期生存可能な記憶T細胞に分化するようになる。
【0074】
このとき、前記IL-2タンパク質又はその変異体及びCD80タンパク質又はその断片を含む融合タンパク質二量体は、培養培地内に1nM乃至2,000nMで含まれ得る。また、前記二量体は、1nM乃至1,000nM、又は1nM乃至500nMで含まれ得る。また、前記二量体は、2nM乃至300nM、5nM乃至100nM、10nM乃至80nM、20nM乃至70nM、又は40nM乃至50nMで含まれ得る。具体的に、前記融合タンパク質二量体は、培地内に1nM、3.2nM、10nM、50nMで含まれ得る。
【0075】
IL-2タンパク質又はその変異体及びCD80タンパク質又はその断片を含む融合タンパク質二量体
【0076】
本明細書で使用する用語である「IL-2」又は「インターロイキン-2」は、別に断りのない限り、哺乳動物、例えば、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)を含めて任意の脊椎動物供給源から取得した任意の野生型IL-2を意味する。前記IL-2は、動物細胞から取得されたものであってもよいが、IL-2を生産できる組換え細胞から取得されたものも含む。また、前記IL-2は、野生型IL-2又はその変異体であり得る。
【0077】
本明細書では、IL-2或いはその変異体を総称して「IL-2タンパク質」或いは「IL-2ポリペプチド」の用語と表現することもある。IL-2、IL-2タンパク質、IL-2ポリペプチド、及びIL-2変異体は、例えば、IL-2受容体(receptor)に特異的に結合する。この特異的な結合は、当業者に知られている方法によって確認することができる。
【0078】
前記IL-2の一具体例は、配列番号35又は配列番号36のアミノ酸配列を有することができる。また、このとき、前記IL-2は、成熟した形態であり得る。具体的に、前記成熟したIL-2は、信号配列を含まないものであってよく、配列番号10のアミノ酸配列を有するものであってよい。このとき、前記IL-2は、野生型IL-2のN末端又はC末端の一部が欠失した(truncated)断片を含む概念で利用され得る。
【0079】
また、前記IL-2の断片は、配列番号35又は配列番号36のアミノ酸配列を有するタンパク質のN末端から連続して1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個又は25個のアミノ酸が欠失した形態であり得る。また、前記IL-2の断片は、配列番号35又は配列番号36のアミノ酸配列を有するタンパク質のC末端から連続して1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個又は25個のアミノ酸が欠失した形態であり得る。
【0080】
本明細書で使用する用語である「IL-2変異体」は、全長(full-length)IL-2又は上述したIL-2断片のアミノ酸の一部が置換された形態を意味する。すなわち、IL-2変異体は、野生型IL-2又はその断片と異なるアミノ酸配列を有することができる。しかし、前記IL-2変異体は、野生型IL-2と同等又は類似の活性を有することができる。ここで、「IL-2活性」は、例えば、IL-2受容体に特異的に結合することを意味でき、この特異的結合は、当業者に知られている方法によって測定できる。
【0081】
具体的に、前記IL-2変異体は、野生型IL-2のアミノ酸の一部が置換されたものであり得る。アミノ酸置換によるIL-2変異体の一具体例としては、配列番号10のアミノ酸配列において38番目、42番目、45番目、61番目及び72番目のアミノ酸のうち少なくとも一つが置換されたものであり得る。
【0082】
具体的に、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において38番目、42番目、45番目、61番目又は72番目のアミノ酸のうち少なくともいずれか一つが別のアミノ酸に置換されたものであり得る。その他にも、IL-2が配列番号35のアミノ酸配列のN末端の一部分が欠失した形態である場合、配列番号10のアミノ酸配列において相補的に対応する位置のアミノ酸が別のアミノ酸に置換され得る。例えば、IL-2が配列番号35のアミノ酸配列を有する場合に、前記IL-2の変異体は、配列番号35のアミノ酸配列において58番目、62番目、65番目、81番目又は92番目のアミノ酸のうち少なくともいずれか一つが別のアミノ酸に置換されたものであり得る。それらは、それぞれ、配列番号10のアミノ酸配列の38番目、42番目、45番目、61番目及び72番目のアミノ酸残基に該当する。一具体例によると、IL-2活性が維持される限り、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、或いは10個のアミノ酸が置換され得る。更に他の具体例によると、1個から5個までのアミノ酸が置換され得る。
【0083】
一具体例として、前記IL-2変異体は、2箇所のアミノ酸が置換された形態であり得る。具体的に、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において38番目及び42番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において38番目及び45番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において38番目及び61番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において38番目及び72番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において42番目及び45番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において42番目及び61番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において42番目及び72番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において45番目及び61番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において45番目及び72番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において61番目及び72番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。
【0084】
さらに、前記IL-2変異体は、3箇所のアミノ酸が置換された形態であり得る。具体的に、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において38番目、42番目及び45番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において38番目、42番目及び61番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において38番目、42番目及び72番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において38番目、45番目及び61番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において38番目、45番目及び72番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において38番目、61番目及び72番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において42番目、45番目及び61番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において42番目、45番目及び72番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において45番目、61番目及び72番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。
【0085】
また、前記IL-2変異体は、4箇所のアミノ酸が置換された形態であり得る。具体的に、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において38番目、42番目、45番目及び61番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において38番目、42番目、45番目及び72番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において38番目、45番目、61番目及び72番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において38番目、42番目、61番目及び72番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において42番目、45番目、61番目及び72番目のアミノ酸が置換されたものであり得る。
【0086】
さらに、前記IL-2変異体は、5箇所のアミノ酸が置換された形態であり得る。具体的に、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列において38番目、42番目、45番目、61番目及び72番目のアミノ酸がいずれも別のアミノ酸に置換されたものであり得る。
【0087】
このとき、前記置換によって導入される「別のアミノ酸」は、アラニン(alanine)、アルギニン(arginine)、アスパラギン(Asparagine)、アスパラギン酸(aspartic acid)、システイン(cysteine)、グルタミン酸(glutamic acid)、グルタミン(glutamine)、ヒスチジン(histidine)、イソロイシン(isoleucine)、ロイシン(leucine)、リシン(lysine)、メチオニン(methionine)、フェニルアラニン(phenyl alanine)、プロリン(proline)、セリン(serine)、トレオニン(threonine)、トリプトファン(tryptophan)、チロシン(tyrosine)及びバリン(valine)からなる群から選ばれるいずれか一つであり得る。ただし、前記IL-2変異体のアミノ酸置換において、前記配列番号10のアミノ酸配列において38番目はアルギニンに置換できなく、42番目はフェニルアラニンに置換できなく、45番目はチロシンに置換できなく、61番目はグルタミン酸に置換できなく、72番目はロイシンに置換できない。
【0088】
前記IL-2変異体のアミノ酸置換において、配列番号10のアミノ酸配列において38番目のアミノ酸であるアルギニンは、アルギニン以外の別のアミノ酸に置換され得る。好ましくは、前記IL-2変異体のアミノ酸置換において、配列番号10のアミノ酸配列において38番目のアミノ酸であるアルギニンは、アラニンに置換(R38A)され得る。
【0089】
前記IL-2変異体のアミノ酸置換において、配列番号10のアミノ酸配列において42番目のアミノ酸であるフェニルアラニンは、フェニルアラニン以外の別のアミノ酸に置換され得る。好ましくは、前記IL-2変異体のアミノ酸置換において、配列番号10のアミノ酸配列において42番目のアミノ酸であるフェニルアラニンは、アラニンに置換(F42A)され得る。
【0090】
前記IL-2変異体のアミノ酸置換において、配列番号10のアミノ酸配列において45番目のアミノ酸であるチロシンは、チロシン以外の別のアミノ酸に置換され得る。好ましくは、前記IL-2変異体のアミノ酸置換において、配列番号10のアミノ酸配列において45番目のアミノ酸であるチロシンは、アラニンに置換(Y45A)され得る。
【0091】
前記IL-2変異体のアミノ酸置換において、配列番号10のアミノ酸配列において61番目のアミノ酸であるグルタミン酸は、グルタミン酸以外の別のアミノ酸に置換され得る。好ましくは、前記IL-2変異体のアミノ酸置換において、配列番号10のアミノ酸配列において61番目のアミノ酸であるグルタミン酸は、アルギニンに置換(E61A)され得る。
【0092】
前記IL-2変異体のアミノ酸置換において、配列番号10のアミノ酸配列において72番目のアミノ酸であるロイシンは、ロイシン以外の別のアミノ酸に置換され得る。好ましくは、前記IL-2変異体のアミノ酸置換において、配列番号10のアミノ酸配列において72番目のアミノ酸であるロイシンは、グリシンに置換(L72G)され得る。
【0093】
具体的に、前記IL-2変異体は、配列番号10のアミノ酸配列においてR38A、F42A、Y45A、E61R及びL72Gからなる群から選ばれる少なくともいずれか一つの置換が起こったものであり得る。
【0094】
具体的に、前記IL-2変異体は、R38A、F42A、Y45A、E61R及びL72Gからなる群から選ばれる位置において2箇所、3箇所、4箇所又は5箇所の位置でアミノ酸置換が起こり得る。
【0095】
また、前記IL-2変異体は、2箇所のアミノ酸が置換された形態であり得る。具体的に、前記IL-2変異体は、R38A及びF42Aに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、R38A及びY45Aに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、R38A及びE61Rに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、R38A及びL72Gに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、F42A及びY45Aに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、F42A及びE61Rに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、F42A及びL72Gに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、E61R及びL72Gに置換が起こったものであり得る。
【0096】
さらに、前記IL-2変異体は、3箇所のアミノ酸が置換された形態であり得る。具体的に、前記IL-2変異体は、R38A、F42A及びY45Aに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、R38A、F42A及びE61Rに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、R38A、F42A及びL72Gに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、R38A、Y45A、E61Rに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、R38A、Y45A及びL72Gに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、F42A、Y45A及びE61Rに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、F42A、Y45A及びL72Gに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、F42A、E61R及びL72Gに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、Y45A、E61R及びL72Gに置換が起こったものであり得る。
【0097】
また、前記IL-2変異体は、4箇所のアミノ酸が置換された形態であり得る。具体的に、前記IL-2変異体は、R38A、F42A、Y45A及びE61Rに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、R38A、F42A、Y45A及びL72Gに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、R38A、F42A、E61R及びL72Gに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、R38A、Y45A、E61R及びL72Gに置換が起こったものであり得る。また、一具体例として、前記IL-2変異体は、F42A、Y45A、E61R及びL72Gに置換が起こったものであり得る。
【0098】
さらに、前記IL-2変異体は、R38A、F42A、Y45A、E61R及びL72Gに置換が起こったものであり得る。
【0099】
好ましくは、前記IL-2変異体の一具体例は、配列番号10のアミノ酸配列において下記の(a)~(d)組み合わせから選ばれるいずれか一つの組み合わせの置換が起こったものであり得る:
【0100】
(a)R38A/F42A
【0101】
(b)R38A/F42A/Y45A
【0102】
(c)R38A/F42A/E61R
【0103】
(d)R38A/F42A/L72G
【0104】
このとき、IL-2が配列番号35のアミノ酸配列を有する場合に、配列番号10と相補的に対応する位置にアミノ酸置換を有することができる。また、IL-2が配列番号35のアミノ酸配列の断片である場合にも、配列番号10と相補的に対応する位置のアミノ酸が置換され得る。
【0105】
具体的に、前記IL-2の変異体は、配列番号6、22、23又は24のアミノ酸配列を有するものであり得る。
【0106】
また、前記IL-2変異体は、生体内で低い毒性を有することを特徴とするものであり得る。このとき、前記「生体内で低い毒性」とは、IL-2がIL-2受容体のアルファチェーン(IL-2Rα)と結合して誘発される副作用であり得る。前記IL-2とIL-2Rαとの結合による副作用を改善させるために様々なIL-2変異体が開発されており、このようなIL-2変異体としては、米国特許第5,229,109号及び大韓民国特許第10-1667096号に開示されたものを使用することができる。特に、本出願で記述されるIL-2の変異体は、IL-2受容体のアルファチェーン(IL-2Rα)との結合力が低いので、生体内毒性が野生型IL-2に比べて低い。
【0107】
本明細書で使用する用語である「CD80」は、「B7-1」とも呼ばれ、樹状細胞、活性化されたB細胞及び単核球に存在する膜タンパク質である。CD80は、T細胞の活性化と生存に必須な共刺激信号を提供する。CD80は、T細胞表面に存在する異なる2つのタンパク質であるCD28及びCTLA-4に対するリガンドとして知られている。CD80は、288個のアミノ酸で構成されており、具体的に、配列番号11のアミノ酸配列を有するものであり得る。また、本明細書において、「CD80タンパク質」は、全長CD80又はCD80断片を意味する。
【0108】
本明細書で使用する用語である「CD80断片」とは、CD80の切断型を意味する。また、前記CD80断片は、CD80の細胞外ドメインであり得る。CD80断片の一具体例は、CD80の信号配列であるN末端から1番目乃至34番目のアミノ酸が除外されたものであり得る。具体的に、前記CD80断片の一具体例は、配列番号11の35番目乃至288番目のアミノ酸で構成されたタンパク質であり得る。また、前記CD80断片の一具体例は、配列番号11の35番目乃至242番目のアミノ酸で構成されたタンパク質であり得る。また、前記CD80断片の一具体例は、配列番号11の35番目乃至232番目のアミノ酸で構成されたタンパク質であり得る。また、前記CD80断片の一具体例は、配列番号11の35番目乃至139番目のアミノ酸で構成されたタンパク質であり得る。また、前記CD80断片の一具体例は、配列番号11の142番目乃至242番目のアミノ酸で構成されたタンパク質であり得る。前記一実施例として、CD80断片は、配列番号2のアミノ酸配列を有するものであり得る。
【0109】
また、前記IL-2タンパク質及び前記CD80タンパク質は、リンカー或いはキャリア(carrier)によって結合したものであり得る。具体的に、前記IL-2又はその変異体及び前記CD80(B7-1)又はその断片は、リンカー或いはキャリアによって結合したものであり得る。本明細書において、リンカーとキャリアは同じ意味で使用される場合もある。
【0110】
前記リンカーは、2つのタンパク質を連結する。リンカーの一具体例としては、1個乃至50個のアミノ酸、アルブミン又はその断片、又は免疫グロブリンのFcドメインなどを含むことができる。このとき、前記免疫グロブリンのFcドメインは、免疫グロブリンの重鎖定常領域2(CH2)及び重鎖定常領域3(CH3)を含み、免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の可変領域及び軽鎖定常領域1(CH1)を含まないタンパク質を意味する。前記免疫グロブリンは、IgG、IgA、IgE、IgD又はIgMであってよく、好ましくはIgG4であってよい。このとき、野生型免疫グロブリンG4のFcドメインは、配列番号4のアミノ酸配列を有するものであり得る。
【0111】
また、前記免疫グロブリンのFcドメインは、野生型Fcドメインの他、Fcドメイン変異体であり得る。また、本明細書で使用する用語である「Fcドメイン変異体」は、野生型Fcドメインの糖鎖形態(glycosylation pattern)と異なるか、野生型Fcドメインに比べて増加した糖鎖、野生型Fcドメインに比べて減少した糖鎖、又は糖鎖が除去された(deglycosylated)形態であり得る。また、無糖鎖(aglycosylated)Fcドメインも含まれる。Fcドメイン或いは変異体は、培養条件或いはホストの遺伝子操作によって含量が調節されたシアル酸(sialic acid)、フコシル化(fucosylation)、糖化(glycosylation)を有させたものであり得る。
【0112】
また、化学的方法、酵素的方法及び微生物を使用した遺伝工学的エンジニアリング方法などのように通常の方法で免疫グロブリンのFcドメインの糖鎖を変形させることができる。また、前記Fcドメイン変異体は、免疫グロブリンIgG、IgA、IgE、IgD又はIgMのFc領域が混合された形態であり得る。また、前記Fcドメイン変異体は、前記Fcドメインの一部のアミノ酸が別のアミノ酸に置換された形態であり得る。前記Fcドメイン変異体の一具体例は、配列番号12のアミノ酸配列を有するものであり得る。
【0113】
融合タンパク質は、Fcドメインをリンカー(或いは、キャリア)にしてそのN末端及びC末端にそれぞれCD80及びIL-2タンパク質が連結されるか或いはIL-2及びCD80が連結された構造を有することができる(
図1)。FcドメインのN末端或いはC末端とCD80或いはIL-2との連結は、任意にリンカーペプチドによってなされ得る。
【0114】
具体的に、前記融合タンパク質は、下記構造式(I)又は(II)からなるものであり得る:
【0115】
N’-X-[リンカー(1)]n-Fcドメイン-[リンカー(2)]m-Y-C’(I)
【0116】
N’-Y-[リンカー(1)]n-Fcドメイン-[リンカー(2)]m-X-C’(II)
【0117】
このとき、前記構造式(I)及び(II)において、
【0118】
前記N’は、融合タンパク質のN末端であり、
【0119】
前記C’は、融合タンパク質のC末端であり、
【0120】
前記Xは、CD80タンパク質であり、
【0121】
前記Yは、IL-2タンパク質であり、
【0122】
前記リンカー(1)及びリンカー(2)は、ペプチドリンカーであり、
【0123】
前記n及びmはそれぞれ独立に、O又は1である。
【0124】
好ましくは、前記融合タンパク質は、構造式(I)からなるものであり得る。前記IL-2タンパク質は、上述した通りである。また、前記CD80タンパク質は、上述した通りである。一具体例によると、IL-2タンパク質は、野生型IL-2と比較して、1個から5個までのアミノ酸が置換されたIL-2変異体であり得る。CD80タンパク質は、野生型CD80のN末端或いはC末端から連続して約34個までのアミノ酸残基が欠失した(truncated)断片であり得る。或いは、CD80タンパク質は、T細胞表面受容体(T cell surface receptors)CTLA-4とCD28に結合する活性を有する細胞外免疫グロブリン様ドメインであり得る。
【0125】
具体的に、前記融合タンパク質は、配列番号9、26、28又は30のアミノ酸配列を有するものであり得る。更に他の具体例によると、融合タンパク質は、配列番号9、26、28又は30のアミノ酸配列に対して85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%或いは100%の配列同一性を有するポリペプチドを含む。このとき、同一性は、例えば、パーセント相同性、NCBI(National Center of Biotechnology Information)のBlastN softwareのような相同性比較ソフトウェアによって決定され得る。
【0126】
前記CD80タンパク質とFcドメインとの間にはペプチドリンカー(1)が含まれ得る。前記ペプチドリンカー(1)は、5個乃至80個の連続したアミノ酸、20個乃至60個の連続したアミノ酸、又は25個乃至50個の連続したアミノ酸、又は30個乃至40個のアミノ酸からなり得る。一具体例として、ペプチドリンカー(1)は、30個のアミノ酸からなり得る。また、ペプチドリンカー(1)は、少なくとも一つのシステインを含むことができ、具体的に、1個、2個又は3個のシステインを含むことができる。また、前記ペプチドリンカー(1)は、免疫グロブリンのヒンジに由来するものであり得る。一具体例では、前記ペプチドリンカー(1)が配列番号3のアミノ酸配列からなるペプチドリンカーであり得る。
【0127】
前記ペプチドリンカー(2)は、1個乃至50個の連続したアミノ酸、又は3個乃至30個の連続したアミノ酸、又は5個乃至15個のアミノ酸からなり得る。一具体例として、前記ペプチドリンカー(2)は、(G4S)n(ここで、nは1乃至10の整数)であり得る。このとき、(G4S)nにおいて、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10であり得る。一実施例として、前記ペプチドリンカー(2)が配列番号5のアミノ酸配列からなるペプチドリンカーであり得る。
【0128】
本発明の他の側面は、前記IL-2タンパク質及び前記CD80タンパク質を含む融合タンパク質が2個結合した二量体を提供する。前記IL-2又はその変異体及びCD80又はその断片を含む融合タンパク質は、上述した通りである。
【0129】
このとき、二量体を構成する融合タンパク質間の結合は、リンカー内に存在するシステインによって二硫化結合によってなされたものであり得るが、これに限定されるものではない。二量体を構成する融合タンパク質は、同一又は個別の融合タンパク質であり得る。好ましくは、前記二量体は、同型二量体(homodimer)であり得る。前記二量体を構成する融合タンパク質の一実施例は、配列番号9のアミノ酸配列を有するタンパク質であり得る。
【0130】
T細胞培養方法
【0131】
本発明は、他の側面において、前記T細胞増殖用培地組成物において細胞を培養する段階を含むT細胞培養方法に関する。本発明において、前記細胞は、末梢血液単核細胞(PBMC)であることを特徴とすることができる。また、前記細胞は、CD8+T細胞又はPBMCから由来したCD8+T細胞であり得る。
【0132】
本発明において、前記T細胞培養用培地組成物は、0.1nM乃至1,000,000nMの融合タンパク質二量体を含有することを特徴とすることができ、より具体的には、1nM乃至1,000nM又は1.6nM乃至100nMの融合タンパク質を含有することができる。具体的に、前記融合タンパク質二量体は、T細胞培地内に1nM、1.6nM、2nM、5nM、10nM、20nM、30nM又は50nMで含まれ得る。
【0133】
本発明の具体的な実施例では、1.6nMの前記IL-2タンパク質又はその変異体及びCD80タンパク質又はその断片を含む融合タンパク質二量体又は50nMの前記IL-2タンパク質又はその変異体及びCD80タンパク質又はその断片を含む融合タンパク質二量体を含有する細胞培養用培地組成物を使用し、PBMCを培養した。また、CD8+T細胞を培養するときに1.6nMの前記IL-2タンパク質又はその変異体及びCD80タンパク質又はその断片を含む融合タンパク質二量体が含有された細胞培養用培地組成物を使用した。
【0134】
本発明において、前記細胞を培養する段階は、7日乃至21日間行うことを特徴とすることができる。より具体的には、前記細胞を培養する段階は、9日乃至15日間行うことができる。
【0135】
本発明の具体的な実施例では、PBMCを培養する段階を14日間行った。本明細書で使用された用語である「PBMC」は、末梢血液単核細胞(peripheral blood mononuclear cell、PBMC)としてT細胞、B細胞、NK細胞及び単核球を含む。
【0136】
本明細書で使用された用語である「CD4-PBMC」は、CD4(cluster of differentiation 4)糖タンパク質を発現する免疫細胞を含まない末梢血液単核細胞であり、好ましくは、CD4+ペルパーT細胞を含まない細胞を意味する。
【0137】
本明細書で使用された用語である「T細胞」は、CD4+又はCD8+T細胞を含む。
【0138】
本明細書で使用された用語である「CD8+T細胞」は、細胞毒性T細胞(cytotoxic T cell、CD8+)又は記憶T細胞(Memory T cell)を含む。
【0139】
本明細書で使用された用語である「記憶T細胞(Memory T cell)」は、効果記憶T細胞(Effector Memory T cell)、中心記憶T細胞(central memory T cell)、組織居住記憶T細胞(Tissue-resident memory T cell)、末梢記憶T細胞(peripheral memory T cell)又はCD25+記憶T細胞(CD25+memory T cell)を含む。
【0140】
本発明の一実施例において、前記IL-2タンパク質又はその変異体及びCD80タンパク質又はその断片を含む融合タンパク質二量体を含有する培地組成物において培養する段階を含む培養方法によって培養されたT細胞は、Fc-IL2v2、Fc-IL2v3又はrhIL-2を含有する培地組成物において培養されたT細胞と比較して細胞数及びCD4+又はCD8+T細胞で分泌するIFN-γ分泌量が著しく増加したことを確認した。
【0141】
取得されたT細胞及びその用途
【0142】
本発明の更に他の側面において、前記培養方法によって取得されたT細胞を提供する。このとき、前記培養方法で取得されたT細胞、好ましくCD8+T細胞は、他の培養方法によって取得されたCD8+T細胞に比べて、グランザイムB、IFN-γ及びパーフォリンの分泌量が増加することを確認した。よって、前記CD8+T細胞の癌殺傷能が増加したことを確認した(
図45及び
図46)。
【0143】
本発明の更に他の側面において、上述した方法によって取得されたT細胞を有効成分として含む癌治療用医薬組成物を提供する。
【0144】
前記医薬組成物の投与量は、疾患の種類、疾患の重症度、組成物に含まれた有効成分及び他の成分の種類及び含量、剤形の種類、患者の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食餌、投与時間、投与経路、組成物の分泌率、治療期間、同時に使用される薬物を始めとした多様な因子によって調節され得る。
【0145】
また、前記医薬組成物は、当業界に公知となっている多様な方法で個体に投与され得る。前記投与経路は、投与方法、体液の体積、粘度などを考慮した上で、通常の技術者が適宜選択することができる。
【0146】
前記癌は、胃癌、肝癌、肺癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、膵癌、子宮頸癌、甲状腺癌、喉頭癌、急性骨髄性白血病、脳腫瘍、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、頭頸部癌、唾液腺癌及びリンパ腫からなる群から選ばれるいずれか一つであり得る。
【0147】
本発明の組成物は、薬剤学的に許容される担体及び/又は添加物などを含むことができる。例えば、滅菌水、生理食塩水、慣用の緩衝剤(リン酸、クエン酸、その他の有機酸など)、安定剤、塩、酸化防止剤、界面活性剤、懸濁剤、等張化剤、又は保存剤などを含むことができる。また、バイオポリマーなどの有機物、水酸燐灰石(hydroxyapatite)などの無機物、具体的には、コラーゲンマトリックス、ポリ乳酸ポリマー又はコポリマー、ポリエチレングリコールポリマー又はコポリマー及びその化学的誘導体、そして、これらの混合組成物を利用できるが、これに限定されるのではない。前記安定剤としては、例えば、デキストラン40、メチルセルロース、ゼラチン、亜硫酸ナトリウム、メタ硫酸ナトリウムなどを使用することができる。前記酸化防止剤としては、例えば、エリソルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、α-トコフェロール、酢酸トコフェロール、L-アスコルビン酸及びその塩、L-アスコルビン酸パルミチン酸、L-アスコルビン酸ステアリン酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、没食子酸トリアミル、没食子酸プロピル又はエチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウムなどのキレート剤を使用することができる。前記懸濁剤は、例えば、メチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、トラガカントゴム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどを使用することができる。前記等張化剤としては、例えば、D-マンニトール、ソルビトールなどを使用することができる。前記保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾール、クロロクレゾールなどを使用することができる。
【0148】
取得されたT細胞を用いた治療方法
【0149】
本発明の更に他の側面において、前記T細胞を、癌を有している個体に投与する段階を含む癌治療方法を提供する。このとき、癌は上述した通りである。
【0150】
本発明の更に他の側面において、癌治療のための前記T細胞の用途を提供する。
【0151】
T細胞活性化組成物
【0152】
本発明の更に他の側面において、IL-2タンパク質又はその変異体及びCD80タンパク質又はその断片を含む融合タンパク質二量体を有効成分として含むT細胞の抗原認識効率増進用組成物を提供する。
【0153】
本発明の更に他の側面において、IL-2タンパク質又はその変異体及びCD80タンパク質又はその断片を含む融合タンパク質二量体を有効成分として含むT細胞癌殺傷強化増進用組成物を提供する。
【0154】
前記IL-2タンパク質又はその変異体及びCD80タンパク質又はその断片を含む融合タンパク質二量体は、上述した通りである。前記融合タンパク質二量体を含む組成物によってT細胞の活性が上昇的に誘導され、これによって、T細胞の標的抗原に対する認識効率が増進し、窮極的に、標的細胞、すなわち、癌細胞に対する細胞殺傷能が効果的に増進することによって抗癌免疫治療療法に適用され得る。
【0155】
癌抗原を用いたT細胞活性化方法
【0156】
本発明の更に他の側面において、IL-2タンパク質又はその変異体及びCD80タンパク質又はその断片を含む融合タンパク質二量体が存在する培地において、末梢血液単核細胞(PBMC)又はT細胞;及び癌抗原を同時に培養する段階を含むCD8+T細胞の体外活性化及び増殖方法を提供する。このとき、前記T細胞はCD8+T細胞であり、上述した通りである。
【0157】
本明細書で使用された用語である「癌抗原(cancer antigen)」は、癌細胞表面に提示されたり、癌細胞によって血液に分泌された癌細胞特異的なタンパク質を意味する。このような癌抗原は、特定癌の診断や抗癌治療のための抗癌ワクチンなどに利用されている。癌抗原としては、PSCA(prostate stem cell antigen)、HER-2(human epidermal growth factor receptor 2)、MUC1(mucin 1)、CA15-3(cancer antigen 15-3)、CA19-9(cancer antigen 19-9)、CA27-29(cancer antigen 27-29)、CA125(cancer antigen 125)、CA195(cancer antigen 195)、PSA(prostate-specific antigen)、CA549(cancer antigen 549)、CEA(carcinoembryonic antigen)、ACTH(adrenocorticotropic hormone)、AFP(alpha-fetoprotein)、bcl-2(B-cell lymphoma 2)、β-2マイクログロブリン(beta 2 microglobulin)、カルシトニン(calcitonin)、カテプシンD(cathepsin D)、クロモグラニンA(chromogranin-A)、EFGR(epidermal growth factor receptor)、ガストリン(gastrin)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG、human chorionic gonadotropin)、α-hCG(hCGのアルファサブユニット)、β-hCG(hCGのベータサブユニット)、LDH(lactic dehydrogenase)、NSE(neuron specific enolase)、膵臓ポリペプチド(pancreatic polypeptide)、プロインスリンC-ペプチド(proinsulin C-peptide)、サイログロブリン(thyroglobulin)、TDT(terminal deoxynucleotidal transferase)、TPA(tissue polypeptide antigen)、ケラチン19(KRT19、keratin19)、ETA(epithelial tumor antigen)、チロシナーゼ(tyrosinase)、MAGEA1(melanoma-associated antigen family member A1)、MAGEA2(melanoma-associated antigen family member A2)、MAGEA3(melanoma-associated antigen family member A3)、MAGEA4(melanoma-associated antigen family member A4)、MAGEA6(melanoma-associated antigen family member A6)、MAGEA9(melanoma-associated antigen family member A9)、MAGEA10(melanoma-associated antigen family member A10)、MAGEA11(melanoma-associated antigen family member A11)、MAGEA12(melanoma-associated antigen family member A12)、MAGEC1(melanoma-associated antigen family member C1)、MAGEC2(melanoma-associated antigen family member C2)、TRP-2(tyrosinase related protein 2)、EpCAM(epithelial cell adhesion molecule)、GPC3(glypican 3)、MSLN(mesothelin)、BTA(bladder tumor antigen)、ROR1(Receptor Tyrosine Kinase Like Orphan Receptor 1)、サイトケラチン断片21-1(CYFRA21-1、cytokeratin fragment 21-1)、CTAG2(cancer/testis antigen 2)、BAGE(B melanoma antigen)、LRPAP1(LDL receptor related protein associated protein 1)、LY6K(lymphocyte antigen 6 family member K)、SAGE1(sarcoma antigen 1)、SPA17(sperm surface protein 17)、SSX-2(SSX family member 2)、SSX-4(SSX family member 4)、ALDH1A1(aldehyde dehydrogenase 1 family member A1)、CSAG2(chondrosarcoma-associated gene family member 2)、XAGE1B(X antigen family member 1B)、CALCA(Calcitonin gene-related peptide 1)、CD274(Programmed cell death 1 ligand 1)、CD45(Receptor-type tyrosine-protein phosphatase C)、CPSF1(Cleavage and polyadenylation specificity factor subunit 1)、DKK1(Dickkopf-related protein 1)、ENAH(Protein enabled homolog)、EPHA3(Ephrin type-A receptor 3)、EZH2(Histone-lysine N-methyltransferase EZH2)、FGF(fibroblast growth factor)、HEPACAM(Hepatocyte cell adhesion molecule)、HPN(Serine protease hepsin)、IDO1(indoleamine 2)、IMP3(U3 small nucleolar ribonucleoprotein 3)、IL13RA2(interleukin 13 receptor subunit alpha 2)、CES2(carboxylesterase 2)、KLK4(Kallikrein-4)、KIF20A(Kinesin-like protein KIF20A)、LGSN(lengsin)、CSF1(Macrophage colony-stimulating factor 1)、CSPG4(chondroitin sulfate proteoglycan 4)、MDK(midkine)、MMP-2(matrix metallopeptidase 2)、MMP-7(matrix metallopeptidase 7)、MUC5AC(mucin 5AC)、MART1(melanoma antigen recognized by T-cells 1)、BCL2L1(Bcl-2-like protein 1)、Nectin-4、PLIN2(perilipin 2)、PAX5(paired box 5)、PLAC1(Placenta-specific protein 1)、ZNF395(zinc finger protein 395)、PRAME(Melanoma antigen preferentially expressed in tumors)、FOLH1(folate hydrolase 1)、RGS5(Regulator of G protein signaling 5)、RNF43(RING finger protein 43)、DCDC2(Doublecortin domain-containing protein 2)、SCRN1(Secernin-1)、SOX10(Transcription factor SOX-10)、SCGB2A2(secretoglobin family 2A member 2)、Mammaglobin-A、BIRC5(Survivin;baculoviral IAP repeat containing 5)、Surivin、NYESO1(New York Esophageal Squamous Cell Carcinoma-1)、TROP2(Trophoblast cell surface antigen 2)、TERT(telomerase reverse transcriptase)、TPBG(trophoblast glycoprotein)、VEGF(vascular endothelia growth factor)、WT1(Wilms tumor protein 1)、WDR46(WD repeat-containing protein 46)、PMEL(premelanosome protein)、ANKRD30A(ankyrin repeat domain 30A)、GPR143(G protein-coupled receptor 143)、ACP3(Prostatic acid phosphatase)、RAB38(Ras-related protein Rab-38)、α-TSH(alpha subunit thyroid stimulating hormone)、c-Met(tyrosine-protein kinase Met)、CD133、KK-LC-1(Kita-Kyushu lung cancer antigen-1)、CD70、GPNMB(Glycoprotein Nmb)、MUC16(Mucin 16)などが存在する。前記以外にも、p53(phosphoprotein 53)などの癌抑制遺伝子(tumor suppress gene)の特定の突然変異体を含む多様な突然変異タンパク質も癌抗原として使用され得る。
【実施例】
【0158】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎなく、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されると解釈されないことは、当業界で通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0159】
製造例1.hCD80-Fc-IL-2変異体(2M)の製造:GI-101
【0160】
ヒトCD80断片、Fcドメイン及びIL-2変異体を含む融合タンパク質を生産するために、シグナルペプチド(配列番号1)、CD80断片(配列番号2)、リンカーが結合したIgヒンジ(配列番号3)、Fcドメイン(配列番号4)、リンカー(配列番号5)及び2個のアミノ酸が置換されたIL-2変異体(2M)(R38A、F42A)(配列番号6)をN末端から順次に含む融合タンパク質をコードする塩基配列(配列番号8)を含むポリヌクレオチドを、ThermoFisher Scientific社のInvitrogen GeneArt Gene Synthesisサービスを用いてポリヌクレオチド合成してpcDNA3_4ベクターに積載した。また、前記ベクターをCHO細胞(Expi-CHOTM)に導入し、配列番号9の融合タンパク質を発現させた。ベクターを導入した後、37℃、125RPM、CO2 8%濃度の環境において7日培養後に培養液を回収し、融合タンパク質を精製した。前記精製した融合タンパク質二量体を「GI-101」と命名した。
【0161】
精製は、MabSelect SuRe protein Aレジンが含まれたクロマトグラフィーを用いて行った。25mMトリス、25mM NaCl、pH 7.4の条件で融合タンパク質を結合させた。その後、100mM NaCl、pH 3の100mMの酢酸で溶出した。pH 9の20%の1Mトリス-HClを回収用チューブに入れた後、融合タンパク質を回収した。回収した融合タンパク質をPBSバッファーで16時間透析して変えた。
【0162】
その後、TSKgel G3000SWXLカラム(TOSOH Bioscience)を用いてサイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography)で時間による280nm波長における吸光度を測定し、高濃度融合タンパク質を確保した。このとき、分離精製された融合タンパク質は、還元(R)又は非還元(NR)条件下でSDS-PAGEを行い、クマシーブルー(coomassie blue)で染色し、その純度を確認した(
図2)。NanoDropを用いた検出時に、2.78mg/mlの濃度で融合タンパク質が含まれたことを確認した。また、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分析した結果は、
図3に示す通りである。
【0163】
製造例2.Fc-IL-2変異体(2M)二量体の製造:Fc-IL-2v2
【0164】
Fcドメイン及びIL-2変異体を含む融合タンパク質を生産するために、シグナルペプチド(配列番号1)、Igヒンジ(配列番号38)、Fcドメイン(配列番号4)、リンカー(配列番号5)及び2個のアミノ酸が置換されたIL-2変異体(2M)(R38A、F42A)(配列番号6)を含む融合タンパク質をコードする塩基配列(配列番号45)をN末端から順次に含むポリヌクレオチドを、ThermoFisher Scientific社のInvitrogen GeneArt Gene Synthesisサービスを用いてポリヌクレオチド合成してpcDNA3_4ベクターに積載した。また、前記ベクターをCHO細胞(Expi-CHOTM)に導入し、配列番号44の融合タンパク質を発現させた。ベクターを導入した後、37℃、125RPM、CO2 8%濃度の環境において7日培養後に培養液を回収し、融合タンパク質二量体を精製した。前記精製した融合タンパク質二量体を「Fc-IL2v2」と命名した。
【0165】
前記精製及び融合タンパク質の回収は、前記製造例1と同じ方法で行った。分離精製された融合タンパク質は、還元(R)又は非還元(NR)条件下でSDS-PAGEを行い、クマシーブルーで染色し、その純度を確認した(
図4)。その結果、前記融合タンパク質が二量体を形成することを確認した。また、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分析した結果は、
図5に示す通りである。
【0166】
製造例3.Fc-IL-2二量体の製造:Fc-IL-2wt
【0167】
Fcドメイン及び野生型IL-2を含む融合タンパク質を生産するために、シグナルペプチド(配列番号1)、Igヒンジ(配列番号38)、Fcドメイン(配列番号4)、リンカー(配列番号5)及び野生型IL-2(配列番号10)を含む融合タンパク質をコードする塩基配列(配列番号43)をN末端から順次に含むポリヌクレオチドを、ThermoFisher Scientific社のInvitrogen GeneArt Gene Synthesisサービスを用いてポリヌクレオチド合成してpcDNA3_4ベクターに積載した。また、前記ベクターをCHO細胞(Expi-CHOTM)に導入し、配列番号42の融合タンパク質を発現させた。ベクターを導入した後、37℃、125RPM、CO2 8%濃度の環境において7日培養後に培養液を回収し、融合タンパク質二量体を精製した。前記精製した融合タンパク質二量体を「Fc-IL2wt」と命名した。
【0168】
前記精製及び融合タンパク質の回収は、前記製造例1と同じ方法で行った。分離精製された融合タンパク質は、還元(R)又は非還元(NR)条件下でSDS-PAGEを行い、クマシーブルーで染色し、その純度を確認した(
図6)。その結果、前記融合タンパク質が二量体を形成することを確認した。また、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分析した結果は、
図7に示す通りである。
【0169】
製造例4.hCD80-Fc-IL-2野生型二量体の製造:hCD80-Fc-IL-2wt
【0170】
ヒトCD80断片、Fcドメイン及びIL-2野生型タンパク質を含む融合タンパク質を生産するために、シグナルペプチド(配列番号1)、CD80断片(配列番号2)、リンカーが結合されたIgヒンジ(配列番号3)、Fcドメイン(配列番号4)、リンカー(配列番号5)及びIL-2野生型(配列番号10)をN末端から順次に含む融合タンパク質をコードする塩基配列(配列番号41)を含むポリヌクレオチドを、ThermoFisher Scientific社のInvitrogen GeneArt Gene Synthesisサービスを用いてポリヌクレオチド合成してpcDNA3_4ベクターに積載した。 また、前記ベクターをCHO細胞(Expi-CHOTM)に導入し、配列番号46の融合タンパク質を発現させた。ベクターを導入した後、37℃、125RPM、CO2 8%濃度の環境において7日培養後に培養液を回収し、融合タンパク質二量体を精製した。前記精製した融合タンパク質二量体を「hCD80-Fc-IL2wt」と命名した。
【0171】
精製は、MabSelect SuRe protein Aレジンが含まれたクロマトグラフィーを用いて行った。25mMトリス、25mM NaCl、pH 7.4の条件で融合タンパク質を結合させた。その後、100mM NaCl、pH 3の100mMの酢酸で溶出した。pH 9の20%の1Mトリス-HClを回収用チューブに入れた後、融合タンパク質を回収した。回収された融合タンパク質をPBSバッファーで16時間透析して変えた。
【0172】
その後、TSKgel G3000SWXLカラム(TOSOH Bioscience)を用いてサイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography)で時間による280nm波長における吸光度を測定し,高濃度融合タンパク質を確保した。このとき、分離精製された融合タンパク質は、還元(R)又は非還元(NR)条件下でSDS-PAGEを行い、クマシーブルー(coomassie blue)で染色し、その純度を確認した(
図8)。その結果、前記融合タンパク質が二量体を形成することを確認した。また、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分析した結果は、
図9に示す通りである。
【0173】
製造例5.hCD80-Fc二量体の製造:hCD80-Fc
【0174】
ヒトCD80断片及びFcドメインを含む融合タンパク質を生産するために、シグナルペプチド(配列番号1)、CD80断片(配列番号2)、リンカーが結合されたIgヒンジ(配列番号3)及びFcドメイン(配列番号4)をN末端から順次に含む融合タンパク質をコードする塩基配列を含むポリヌクレオチド(配列番号39)を、ThermoFisher Scientific社のInvitrogen GeneArt Gene Synthesisサービスを用いてポリヌクレオチド合成してpcDNA3_4ベクターに積載した。また、前記ベクターをCHO細胞(Expi-CHOTM)に導入し、配列番号40の融合タンパク質を発現させた。ベクターを導入した後、37℃、125RPM、CO2 8%濃度の環境において7日培養後に培養液を回収し、融合タンパク質二量体を精製した。前記精製した融合タンパク質二量体を「hCD80-Fc」と命名した。
【0175】
精製は、MabSelect SuRe protein Aレジンが含まれたクロマトグラフィーを用いて行った。25mMトリス、25mM NaCl、pH 7.4の条件で融合タンパク質を結合させた。その後、100mM NaCl、pH 3の100mMの酢酸で溶出した。pH 9の20%の1Mトリス-HClを回収用チューブに入れた後、融合タンパク質を回収した。回収した融合タンパク質をPBSバッファーで16時間透析して変えた。
【0176】
その後、TSKgel G3000SWXLカラム(TOSOH Bioscience)を用いてサイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography)で時間による280nm波長における吸光度を測定し、高濃度融合タンパク質を確保した。このとき、分離精製された融合タンパク質は、還元(R)又は非還元(NR)条件下でSDS-PAGEを行い、クマシーブルー(coomassie blue)で染色し、その純度を確認した(
図10)。その結果、前記融合タンパク質が二量体を形成することを確認した。また、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて分析した結果は、
図11に示す通りである。
【0177】
準備例1.T細胞培養のための培養用組成物
【0178】
下記のような組成でT細胞培養用培地を製造した。このとき、下記の表1及び表2の基本培養培地を製造した後、表3の各添加条件によってGI-101又はhCD80-Fc+Fc-IL-2vを使用前に添加した。
【0179】
【0180】
【0181】
【0182】
実施例1.CD4-PBMC細胞培養によるT細胞増殖及び活性確認
【0183】
実施例1.1.CD4-PBMC細胞分離及び培養
【0184】
ヒト末梢血液単核細胞(peripheral blood mononuclear cell、PBMC)(Zen-Bio.Inc、Research Triangle Park、NC、USA、Cat#SER-PBMC-200-F)を解凍(thawing)して表1及び表2の基本培養培地5mLに解した後、300×gで5分間遠心分離し、細胞を洗浄した。その後、ヒトCD4マイクロビーズ(Miltenyi Biotec、Bergisch Gladbach、Germany、Cat#130-045-101)及び磁性細胞分離システムを用いてPBMCからCD4+細胞を除去した。
【0185】
CD4+細胞が除去されたPBMC(CD4-PBMC)を1×106cells/mLになるように培養液に懸濁し、24-ウェルプレート(24-well plate)に1mLずつ分注した。その後、抗ヒトCD3抗体(Anti-human CD3 antibody)(clone:OKT3、Biolegend、Cat#317326)を、各細胞が分注されているウェル(well)に1μg/mLの濃度になるように添加した。これと同時に、基本培養培地(表1及び表2)以外の添加物質(表3)をそれぞれ1.6nMになるように添加した後、37℃、5%CO2の条件で培養した。その後、4日後に抗ヒトCD3抗体と培地基本成分(表1及び表2)以外の添加物質(表3)をそれぞれ1.6nM添加した細胞培養組成物を各ウェルに1mLずつ入れ、培養14日目に取得して細胞数及び細胞生存率を計算した。
【0186】
具体的に、表1の基本培養培地を含むT細胞培養培地組成物において、CD4-PBMC細胞の増殖結果は表4及び
図12に示し、細胞生存率は表5及び
図13に示す通りである。また、表2の基本培養培地を含むT細胞培養培地組成物において、CD4-PBMC細胞の増殖結果は表6及び
図14に示し、細胞生存率は表7及び
図15に示す通りである。
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
【0191】
実施例1.2.細胞表面染色を通じたフローサイトメトリー
【0192】
前記実施例1.1によって培地基本成分(表1及び表2)及び添加物質(表3)で14日間培養されたCD4-(CD4 depletion)細胞の表現型を確認するためにFACS分析を進行した。各細胞群別に2×105個~3×105個ずつの細胞をそれぞれ丸底96-ウェルプレート(U-bottomed 96-well plate)に分注し、FACSバッファー(PBS、3%FBS、10mM EDTA、20mM HEPES、10μg/mLポリミキシンB、1×抗生剤(antibiotics)、1mMピルビン酸ナトリウム(sodium pyruvate))を100μlずつ添加し、300×gで5分間遠心分離し、細胞を洗浄した。
【0193】
各ウェルの細胞ペレット(pellet)にHuman TruStain FcXTM(BioLegend、Cat#422302)をFACSバッファーで1:200に希釈した後、各ウェルに50μlずつ添加し、4℃で10分間インキュベートした。細胞表面を分析するために、下記の表8の抗体をFACSバッファー(buffer)50μl当たり2μlずつ混合し、各ウェルに50μlずつ分注した後、4℃で20分間インキュベートした。その後、FACSバッファーを100μlずつ添加し、300×gで5分間遠心分離し、細胞を洗浄した。洗浄後、FACSバッファーに再懸濁した後、BD FACS Celestaフローサイトメーター(BD science、San Jose、Ca、USA)及びFlowjoTMソフトウェアを用いて細胞の表現型を確認した。
【0194】
その結果、表1の基本培養培地を含むT細胞培養培地組成物において、各添加物質処理による14日間培養したCD4-PBMC細胞の細胞表面のフローサイトメトリー結果(FACS Plot)は
図16に示した。また、T細胞数、具体的に、総T細胞数、CD8 T細胞数、CD25+T細胞数及び中心記憶T細胞数の確認結果は表9及び
図17乃至
図20に示す通りである。
【0195】
併せて、表2の基本培養培地を含むT細胞培養培地組成物において、各添加物質処理による14日間培養したCD4-PBMC細胞の細胞表面のフローサイトメトリー結果(FACS Plot)は
図21に示した。また、T細胞数、具体的に、総T細胞数、CD8 T細胞数、CD25+T細胞数及び中心記憶T細胞数の確認結果は表10及び
図22乃至
図25に示す通りである。
【0196】
実施例1.2の細胞表面染色を通じたフローサイトメトリーの結果、GI-101を添加物質として含む場合、基本培養培地と関係なく、総T細胞数、CD8 T細胞数、CD25+T細胞数及び中心記憶T細胞数がいずれも高く増殖したことを確認した。
【0197】
【0198】
【0199】
1)総T細胞数:総CD4-PBMC数×CD3+CD19-T細胞比率
【0200】
2)CD8 T細胞数:総T細胞数×CD8 T細胞比率
【0201】
3)CD25+記憶細胞数:CD8 T細胞数×CD25+記憶細胞比率
【0202】
4)中心記憶T細胞数:CD8 T細胞数×中心記憶細胞比率
【0203】
【0204】
1)総T細胞数:総CD4-PBMC数×CD3+CD19-T細胞比率
【0205】
2)CD8 T細胞数:総T細胞数×CD8 T細胞比率
【0206】
3)CD25+記憶細胞数:CD8 T細胞数×CD25+記憶細胞比率
【0207】
4)中心記憶T細胞数:CD8 T細胞数×中心記憶細胞比率
【0208】
実施例1.3.細胞内部染色を通じたフローサイトメトリー
【0209】
各細胞群別に2×105個~3×105個ずつの細胞をそれぞれ丸底96-ウェルプレートに分注し、1×細胞刺激カクテル(Cell Stimulation Cocktail;eBioscience、Cat#00-4970-93)が添加された表1及び表2の培地を処理し、37℃で4時間反応させた後、1×モネンシン(monensin;Biolegend、Cat#420701)が含まれたFACSバッファーで洗浄した。Human TruStain FcXTM(BioLegend、Cat#422302)と1×モネンシンが添加されたFACSバッファーを1:200の比率に希釈した後、各細胞群別に50μlずつ分注し、4℃で10分間インキュベートした。1×モネンシンが混合されているFACSバッファーに前記表8の抗体のうち細胞表面染色抗体(CD3、CD4、CD8)を50μl当たり2μlずつ混合し、各ウェルに50μlずつ分注した後、4℃で20分間インキュベートした。その後、1×モネンシンが混合されているFACSバッファーで2回洗浄した。
【0210】
洗浄後、BD Cytofix/CytopermTM(BD Biosciences、Cat#554714)を用いて製造社のプロトコルによって前記細胞を固定及び透過可能にした。表8の細胞内部の染色抗体(パーフォリン、グランザイムB、IFN-γ)を1× BD Perm/WashTM(BD Biosciences、Cat#554723)50μl当たり2μlずつ混合し、各ウェルに50μlずつ分注した後、4℃で20分間インキュベートした。その後、1× BD Perm/WashTMバッファーで細胞を1回洗浄し、FACSバッファーでさらに2回洗浄した。洗浄した細胞をFACSバッファーに再懸濁した後、BD FACS Celestaフローサイトメーターを用いて細胞を整列し、FlowjoTMソフトウェアを用いて結果を分析した。
【0211】
その結果、表1の基本培養培地を含むT細胞培養培地組成物において、各添加物質処理によるCD4-PBMC細胞の細胞内部のフローサイトメトリー結果(FACS Plot)は
図26に示した。また、表1の基本培養培地を含むT細胞培養培地組成物において、各添加物質処理によるグランザイムB、IFN-γ及びパーフォリン発現CTL細胞数の確認結果は表11及び
図27乃至
図29に示す通りである。
【0212】
併せて、表2の基本培養培地を含むT細胞培養培地組成物において、各添加物質処理によるCD4-PBMC細胞の細胞内部のフローサイトメトリー結果(FACS Plot)は
図30に示した。また、表2の基本培養培地を含むT細胞培養培地組成物において、各添加物質処理によるグランザイムB、IFN-γ及びパーフォリン発現CTL細胞数の確認結果は表12及び
図31乃至
図33に示す通りである。
【0213】
【0214】
2)CD8 T細胞数:総T細胞数×CD8 T細胞比率
【0215】
5)グランザイムB+CTL細胞数:CD8 T細胞数2)×CD8+グランザイムB+細胞比率
【0216】
6)IFNg+CTL細胞数:CD8 T細胞数2)×CD8+IFNg+細胞比率
【0217】
7)パーフォリンCTL細胞数:CD8 T細胞数2)×CD8+パーフォリン+細胞比率
【0218】
【0219】
2)CD8 T細胞数:総T細胞数×CD8 T細胞比率
【0220】
5)グランザイムB+CTL細胞数:CD8 T細胞数2)×CD8+グランザイムB+細胞比率
【0221】
6)IFNg+CTL細胞数:CD8 T細胞数2)×CD8+IFNg+細胞比率
【0222】
7)パーフォリンCTL細胞数:CD8 T細胞数2)×CD8+パーフォリン+細胞比率
【0223】
実施例2.CD8+T細胞培養によるT細胞増殖及び活性確認
【0224】
実施例2.1.CD8+T細胞分離及び培養
【0225】
ヒト末梢血液単核細胞(peripheral blood mononuclear cell、PBMC)(Zen-Bio.Inc、Research Triangle Park、NC、USA、Cat#SER-PBMC-200-F)を解凍して5mLの培地基本成分(表1及び表2)に解した後、300×gで5分間遠心分離し、細胞を洗浄した。その後、ヒトCD8マイクロビーズ(MiltenyiBiotec、BergischGladbach、Germany、Cat#130-045-201)及び磁性細胞分離システムを用いてPBMCからCD8+細胞を取得した。
【0226】
分離されたCD8+T細胞を1×106cells/mLになるように培養液に懸濁し、24-ウェルプレート(24-well plate)に1mLずつ分注した。その後、抗ヒトCD3抗体(Anti-human CD3 antibody)(clone:OKT3、Biolegend、Cat#317326)を、各細胞が分注されているウェルに1μg/mLの濃度になるように添加した。これと同時に、培地基本成分(表1及び表2)以外の添加物質(表3、GI-101とhCD80-Fc及びFc-IL2変異体(variants)の同時処理)をそれぞれ1.6nM添加した後、37℃、5%CO2の条件で培養した。培養してから4日目に、抗ヒトCD3抗体と培地基本成分(表1及び表2)以外の添加物質(表3、GI-101とhCD80-Fc及びFc-IL2変異体(variants)の同時処理)をそれぞれ1.6nM添加した細胞培養組成物を各ウェルに1mLずつ入れ、培養してから12日目に取得して細胞数及び細胞生存率を計算した。
【0227】
具体的に、表1の基本培養培地を含むT細胞培養培地組成物において、CD8+PBMC細胞の増殖結果は表13及び
図34に示し、細胞生存率は表14及び
図35に示す通りである。
【0228】
【0229】
【0230】
実施例2.2.細胞表面染色を通じたフローサイトメトリー
【0231】
前記実施例2.1によって表1の基本培地成分及び表3の添加物質を含む組成物において、12日間培養されたCD8+(CD8 isolation)細胞の表現型を確認するためにFACS分析を進行した。各細胞群別に2×105個~3×105個ずつの細胞をそれぞれ丸底96-ウェルプレート(U-bottomed 96-well plate)に分注し、FACSバッファー(PBS、3%FBS、10mM EDTA、20mM HEPES、10μg/mLポリミキシンB、1×抗生剤、1mMピルビン酸ナトリウム)を100μlずつ添加し、300×gで5分間遠心分離し、細胞を洗浄した。
【0232】
各ウェルの細胞ペレットにHuman TruStain FcXTM(BioLegend、Cat#422302)をFACSバッファーで1:200に希釈した後、各ウェルに50μlずつ添加し、4℃で10分間インキュベートした。細胞表面を分析するために、前記表8の抗体をFACSバッファー50μl当たり2μlずつ混合し、各ウェルに50μlずつ分注した後、4℃で20分間インキュベートした。その後、FACSバッファーを100μlずつ添加し、300×gで5分間遠心分離し、細胞を洗浄した。洗浄後、FACSバッファーに再懸濁した後、BD FACS Celestaフローサイトメーター(BD science、San Jose、Ca、USA)及びFlowjoTMソフトウェアを用いて細胞の表現型を確認した。
【0233】
その結果、表1の基本培養培地を含むT細胞培養培地組成物において、各添加物質処理による12日間培養したCD8+PBMC細胞の細胞表面のフローサイトメトリー結果(FACS Plot)は
図36に示した。また、T細胞数、CD8 T細胞数、CD25+T細胞数及び中心記憶T細胞数の確認結果は表15及び
図37乃至
図40に示す通りである。
【0234】
【0235】
8)総T細胞数:総CD8+PBMC数×CD3+CD19-T細胞比率
【0236】
9)CD8 T細胞数:総T細胞数×CD8 T細胞比率
【0237】
10)CD25+記憶細胞数:CD8 T細胞数×CD25+記憶細胞比率
【0238】
11)中心記憶T細胞数:CD8 T細胞数×中心記憶細胞比率
【0239】
実施例2.3.細胞内部染色を通じたフローサイトメトリー
【0240】
各細胞群別に2×105個~3×105個ずつの細胞をそれぞれ丸底96-ウェルプレートに分注し、1×細胞刺激カクテル(Cell Stimulation Cocktail;eBioscience、Cat#00-4970-93)が添加された表1及び表2の培地を処理し、37℃で4時間反応させた後、1×モネンシン(monensin;Biolegend、Cat#420701)が含まれたFACSバッファーで洗浄した。Human TruStain FcXTM(BioLegend、Cat#422302)と1×モネンシンが添加されたFACSバッファーを1:200の比率に希釈した後、各細胞群別に50μlずつ分注し、4℃で10分間インキュベートした。1×モネンシンが混合されているFACSバッファーに前記表8の抗体のうち細胞表面染色抗体(CD3、CD4、CD8)を50μl当たり2μlずつ混合し、各ウェルに50μlずつ分注した後、4℃で20分間インキュベートした。その後、1×モネンシンが混合されているFACSバッファーで2回洗浄した。
【0241】
洗浄後、BD Cytofix/CytopermTM(BD Biosciences、Cat#554714)を用いて製造社のプロトコルによって前記細胞を固定及び透過可能にした。表8の細胞内部の染色抗体(パーフォリン、グランザイムB、IFN-γ)を1× BD Perm/WashTM(BD Biosciences、Cat#554723)50μl当たり2μlずつ混合し、各ウェルに50μlずつ分注した後、4℃で20分間インキュベートした。その後、1× BD Perm/WashTMバッファーで細胞を1回洗浄し、FACSバッファーでさらに2回洗浄した。洗浄した細胞をFACSバッファーに再懸濁した後、BD FACS Celestaフローサイトメーターを用いて細胞を整列し、FlowjoTMソフトウェアを用いて結果を分析した。
【0242】
その結果、表1の基本培養培地を含むT細胞培養培地組成物において、各添加物質処理によって12日間培養されたCD8+PBMC細胞の細胞内部のフローサイトメトリー結果(FACS Plot)は
図41に示した。また、表1の基本培養培地を含むT細胞培養培地組成物において、各添加物質処理によるグランザイムB、IFN-γ及びパーフォリン発現CTL細胞数の確認結果は表16及び
図42乃至
図44に示す通りである。
【0243】
【0244】
9)CD8 T細胞数:総T細胞数×CD8 T細胞比率
【0245】
12)グランザイムB+CTL細胞数:CD8 T細胞数9)×CD8+グランザイムB+細胞比率
【0246】
13)IFNg+CTL細胞数:CD8 T細胞数9)×CD8+IFNg+細胞比率
【0247】
14)パーフォリンCTL細胞数:CD8 T細胞数9)×CD8+パーフォリン+細胞比率
【0248】
実施例3.GI101処理によるHer2認識T細胞の癌細胞死滅効果確認
【0249】
実施例3.1.T細胞活性化
【0250】
前記実施例1で取得されたCD4欠乏(CD4-)PBMC細胞を細胞計数器を用いて1×106cells/mLになるようにT細胞培地基本成分(表1)に懸濁した後、10mLずつT75フラスコに播種した。その後、1μg/mL~10μg/mLのHer2タンパク質(Acro、Cat#HE2-H5225-1mg)を細胞が播種されている培地に接種し、37℃、5%CO2の条件で2時間にわたって培養した。
【0251】
実施例3.2.活性化されたT細胞の再刺激
【0252】
前記実施例3.1で2時間にわたってHer2タンパク質(Acro、Cat#HE2-H5225-1mg)と共に培養された細胞に、表1の基本培地成分以外の添加物質(GI-101及びプロリュウキン)(Proleukin、Novartis、USA)50nMと0.1μg/mL~1μg/mLのOKT3(Biolegend)を同時に添加して7日間培養した。
【0253】
前記7日間培養した細胞は、培養してから4日目に実施例3.1に記載の方法と同じ方法で活性化されたHer2タンパク質(Acro、Cat#HE2-H5225-1mg)接種T細胞と細胞数の比率が1:1になるように共培養することによって再刺激(re-stimulation)した。このとき、細胞の飽和度は1×106cells/mLを超えないようにした。
【0254】
実施例3.3.活性化されたT細胞の癌細胞死滅効果分析
【0255】
培養された活性化T細胞の癌細胞死滅効果を確認するために、前記実施例3.2から得られた細胞を癌細胞2種CAMA-1(ATCC(登録商標) HTB-21TM;乳癌細胞株);BT-474(ATCC(登録商標) HTB-20TM;乳癌細胞株))と多様な比率(1:1、5:1、10:1)で24時間にわたって共培養した。その後、前記細胞をAnnexin-Vと7-AADで染色し、フローサイトメトリー(Flow cytometry)で癌細胞死滅効果を評価した。
【0256】
具体的に、前記2種の癌細胞をそれぞれ1×106cells/mLになるようにT細胞培地基本成分(表1)に懸濁した後、丸底96-ウェルプレート(round bottom 96-well plate)に播種した。前記実施例3.2から得られた活性化T細胞は、T細胞培地基本成分(表1)に懸濁した後、癌細胞との比率(E:T)が1:1、5:1、10:1になるように96-ウェルプレート(96-well plate)に播種し、37℃、5%CO2の条件で24時間にわたって共培養した。24時間にわたって共培養を終了した細胞を1,300rpmで5分間遠心分離し、上澄液を除去した。
【0257】
前記共培養された細胞を含有する各ウェルに100μlの予熱された0.25%トリプシンを添加し、37℃で5分間培養した。分離された細胞をFACSバッファーで洗浄し、抗ヒトCD45抗体(Clone HI30、eBioscience、Cat#25-0459-42)で染色した後、製造社のプロトコルによって7-AADが含まれたFITC Annexin-V細胞死滅検出キットを用いてAnnexin-V及び7-AAD(BioLegend、USA、Cat#640922)で染色した。染色は、4℃で20分間インキュベートした後、FACSバッファーを100μlずつ添加し、300×gで5分間遠心分離し、細胞を洗浄した。その後、FACSバッファーに再懸濁した後、BD FACS Celestaフローサイトメーター(BDscience、San Jose、Ca、USA)及びFlowjoTMソフトウェアを用いて癌細胞死滅効果を確認した。
【0258】
前記実験を通じて確認されたT細胞の癌細胞死滅効果は
図45及び
図46に示した。
【配列表】