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特許7543414様々な剛性を有するインターロッキングステントを備えた内部人工器官
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】様々な剛性を有するインターロッキングステントを備えた内部人工器官
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20240826BHJP
【FI】
A61F2/07
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022544195
(86)(22)【出願日】2021-01-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 US2021014121
(87)【国際公開番号】W WO2021150564
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】62/963,917
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ディー.シルバーマン
(72)【発明者】
【氏名】タイソン ジェイ.スケルトン
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-521171(JP,A)
【文献】特表2011-509151(JP,A)
【文献】国際公開第1997/025937(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/124824(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0010618(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある長さ、第一の端部、第二の端部及び長手方向軸を有する内部人工器官であって、前記内部人工器官は、コンパクトなデリバリー構成から拡大された展開構成に拡張可能であり、前記内部人工器官は、
前記内部人工器官の長さに沿ったステント要素の複数の列であって、前記複数の列は、第一の列及び前記第一の列に隣接して配置された第二の列を含み、前記ステント要素の第一の列は、第一の複数の頂点を有し、前記ステント要素の第二の列は、第二の複数の頂点を有し、前記第一の複数の頂点は、前記コンパクトなデリバリー構成おいておよび前記拡大された展開構成において前記第二の複数の頂点と間隔を置いてインターロッキングする配置を画定する、ステント要素の複数の列、及び、
互いに間隔を置いて配置され、前記第一の複数の頂点と前記第二の複数の頂点とを相互接続する複数のウェブ要素を含む、材料の不連続ウェブであって、前記複数のウェブ要素は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに前記複数のウェブ要素がステント要素の第一の列と第二の列との間で前記内部人工器官のねじれ及び軸方向の圧縮を制限するように、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに第一の円周に沿っており前記長手方向軸に対して垂直に配置される、材料の不連続ウェブ、
を含む、内部人工器官。
【請求項2】
ある長さ、第一の端部、第二の端部及び長手方向軸を有する内部人工器官であって、前記内部人工器官は、コンパクトなデリバリー構成から拡大された展開構成に拡張可能であり、前記内部人工器官は、
前記内部人工器官の長さに沿ったステント要素の複数の列であって、前記複数の列は、第一の列及び前記第一の列に隣接して配置された第二の列を含み、前記ステント要素の第一の列は、第一の複数の頂点を有し、前記ステント要素の第二の列は、第二の複数の頂点を有し、前記第一の複数の頂点は、前記コンパクトなデリバリー構成おいておよび前記拡大された展開構成において前記第二の複数の頂点と間隔を置いてインターロッキングする配置を画定する、ステント要素の複数の列、及び、
材料の不連続ウェブ、
を含み、
前記材料の不連続ウェブは、
互いに間隔を置いて配置され、前記第一の複数の頂点と前記第二の複数の頂点とを相互接続する第一の複数のウェブ要素であって、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに第一の円周に沿っており前記長手方向軸に対して垂直に配置された、第一複数のウェブ要素、及び、
互いに間隔を置いて配置され、前記第一の複数の頂点と前記第二の複数の頂点とを相互接続する第二の複数のウェブ要素であって、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに前記第一の円周から長手方向に間隔を置いて配置された第二の円周に沿っており前記長手方向軸に対して垂直に配置された、第二の複数のウェブ要素、
を含み、
前記内部人工器官が拡大された展開構成であるときに、前記第一の複数のウェブ要素及び前記第二の複数のウェブ要素は、前記ステント要素の第一の列と第二の列との間で前記内部人工器官のねじれ及び伸長を制限する、内部人工器官。
【請求項3】
前記材料の不連続ウェブは、前記ステント要素の第一の列と第二の列との間に複数のアパチャを画定するポリマーフィルムである、請求項1又は2記載の内部人工器官。
【請求項4】
前記複数のウェブ要素は、それぞれ、前記内部人工器官の円周に対して角度をなして延在している、請求項1~3のいずれか1項記載の内部人工器官。
【請求項5】
前記複数のウェブ要素の周方向に隣接するものは互いに対して交互の反対の角度で延在している、請求項1~4のいずれか1項記載の内部人工器官。
【請求項6】
前記複数のウェブ要素は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、それぞれ、前記内部人工器官の円周に対して鋭角をなして延在している、請求項1~5のいずれか1項記載の内部人工器官。
【請求項7】
前記複数のウェブ要素は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、それぞれ、前記内部人工器官の長手方向軸に対して鈍角で延在している、請求項1~5のいずれか1項記載の内部人工器官。
【請求項8】
前記複数のウェブ要素は、それぞれ、前記内部人工器官の周方向に沿って延在している、請求項1~3のいずれか1項記載の内部人工器官。
【請求項9】
前記ステント要素の第一の列及び第二の列、ならびに、前記第一の列の前記第一の複数の頂点及び第二の列の前記第二の複数の頂点を相互接続する複数のウェブ要素は、前記内部人工器官の長さに沿った第一のセクション内に配置されており、さらに、前記内部人工器官の長さに沿った前記内部人工器官の第二のセクションは、第三の複数の頂点を有するステント要素の第三の列及び第四の複数の頂点を有するステント要素の第四の列を含み、前記第三の列及び前記第四の列は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、間隔を置いた配置を画定し、前記内部人工器官は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、前記内部人工器官がステント要素の第三の列及び第四の列の間で軸方向に圧縮可能であるように、前記ステント要素の第三の列及び第四の列を相互接続する材料の第二の不連続ウェブを含む、請求項1~7のいずれか1項記載の内部人工器官。
【請求項10】
前記材料の第二の不連続ウェブは、それぞれが、前記内部人工器官の長手方向軸に対して鋭角で延在している複数のウェブ要素を含む、請求項9記載の内部人工器官。
【請求項11】
前記第一のセクションは、前記内部人工器官の第一の端部に隣接し、前記第二のセクションは、前記第一のセクションよりも前記内部人工器官の第一の端部と第二の端部との間の中間点の近くに位置する、請求項9又は10記載の内部人工器官。
【請求項12】
前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、前記内部人工器官は、前記第二のセクションよりも前記第一のセクションでより軸方向に剛性を有する、請求項9~11のいずれか1項記載の内部人工器官。
【請求項13】
前記第一のセクションと同じ位、軸方向に剛性を有する、前記内部人工器官の前記第二の端部に向かう第三のセクションをさらに含む、請求項9~12のいずれか1項記載の内部人工器官。
【請求項14】
前記第三の列及び前記第四の列は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、間隔を置いたインターロッキング配置を画定する、請求項9~13のいずれか1項記載の内部人工器官。
【請求項15】
前記第三の列及び前記第四の列は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、間隔を置いた非インターロッキング配置を画定する、請求項9~13のいずれか1項記載の内部人工器官。
【請求項16】
前記ステント要素の複数の列は、弾性変形可能な材料から形成されている、請求項1~15のいずれか1項記載の内部人工器官。
【請求項17】
前記ステント要素の複数の列は、塑性変形可能な材料から形成されている、請求項1~16のいずれか1項記載の内部人工器官。
【請求項18】
前記材料の不連続ウェブは薄膜を含む、請求項1~17のいずれか1項記載の内部人工器官。
【請求項19】
前記材料の不連続ウェブはePTFE膜を含む、請求項1~18のいずれか1項記載の内部人工器官。
【請求項20】
前記第一の複数の頂点は、前記第二の複数の頂点と軸方向に整列されて、複数のインターロックされたピーク及び複数のインターロックされたバレーを画定する、請求項1~19のいずれか1項記載の内部人工器官。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年1月21日に出願された仮出願第62/963,917号の利益を主張し、あらゆる目的のためにその全体を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
分野
本開示は、一般に、インプラント可能なメディカルデバイス、より具体的には、隣接するステント要素を柔軟に接続したインプラント可能なステントに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
インプラント可能なステントは、典型的には、意図された身体導管内に、典型的にはカテーテルを介して、展開のための所望の部位に挿入するための小さくてコンパクトな直径を有することが必要であり、その部位でステントをより大きな直径に拡張する。バルーン拡張可能なステントは、膨張式バルーンで拡張される。自己拡張型ステントは、拘束スリーブ又は他の手段によってコンパクトな直径で拘束され、解放されるとバネで開く。自己拡張型ステントは、一般に、生体適合性のある形状記憶又は超弾性材料から形成されている。ニチノールステントは、自己拡張型ステントに使用される1つの一般的な材料である。
【0004】
インプラント可能なステントの進化は、ステントに取り付けられた管状カバーの使用を含んでいた。カバーされたステントは、一般に、ステントグラフトと呼ばれるようになっている。連続的又は実質的に連続的なカバー(例えば、実質的に流体不透過性のカバー)の代替として、可撓性要素(例えば、フィルム又は膜材料)を使用して、可撓性要素間に開口部を残しながらステント要素を相互接続することができる。「可撓性ウェブによって接続された隣接要素を有するステント」という発明の名称のBurkartらの米国特許第8,926,688号明細書は、カバーされたステントのそのような代替物を記載している。Burkartらは、可撓性の、好ましくはポリマーの接続要素を組み込んだステントを記載し、これらの要素は、隣接する、間隔を置いて離れたステント要素を接続する。
【0005】
一般に、完全にカバーされたステントグラフトは、拡張されたステントの外周にステントの長さを掛けたものに等しい表面積(以下、Amax)を有すると考えることができる。従来の開放されたフレームステント(ステントグラフトとは対照的に)について、すべてのステント要素によって表される表面積は、最大表面積Amaxのごく一部にすぎない。ステントによってカバーされる実際の表面積、つまり、展開された状態でステントのすべての構成要素(接続要素を含む)によってカバーされる面積はAstentである。多孔インデックス(porosity index)又はP.I.は、開口面積(ステントアセンブリのすべての構成要素でカバーされていない最大表面積の分率)を最大表面積のパーセンテージとして表し、ここで、P.I.=(1-(Astent/Amax))×100%である。
【0006】
ステントによってカバーされる実際の表面積(Astent)を測定する幾つかの方法は、Visicon Inspection Technologies, LLC(カリフォルニア州ナパ)が提供する機械の使用を含む。Visicon Finescan(商標)ステント検査システム(Visicon Finescanマシンモデル85)は、6000ピクセルのラインスキャンカメラを使用して、ステントの平らな展開図を生成する。動作中、ステントは微細な拡散面を備えたサファイアマンドレルに取り付けられている。このマンドレルは、リニアアレイカメラの下に保持され、システムエレクトロニクスによって回転され、リニアアレイカメラをトリガーして、正確な行ごとに画像データの行を収集するために使用される。完全に回転した後に、ステントの全体像を取得する。ステント全体を画像化すると、ソフトウェアはカバー付きのステントと背景を区別する。画像要素(ピクセル)の総数を、ステントとカバーに関連付けられたピクセルの総数と比較して、Astentを決定する。このタイプの決定に使用される機械の基本設定は、(例えば):光、100%、露出、0.3ms/ライン、ゲイン、5、しきい値、50、ノイズフィルタ、20、スムージング、4である。
【0007】
開口面積は、単一のらせん状に巻かれたステント要素の巻線間の空間などの、連続的な単一の空間であることができる。同様に、開口面積は、複数の個別の環状又はリング状ステント要素間の空間によって表すことができる。開口面積はまた、単一のステント要素(例えば、Palmazの米国特許第4,776,337号明細書の図1B及び2Bに示されるように)又は複数のアパチャを提供する複数のステント要素のいずれかによって提供される複数のアパチャの総面積によって表すことができる。複数のアパチャが提供されている場合には、それらは等しい又は等しくないサイズであることができる。金属ステント要素に加えて、穴あきグラフトカバー又はポリマー要素を使用することも、開口面積を減少させることができる。
【0008】
多孔インデックスが50%を超えるステントは、実質的に開放したステントであると考えられる。
【0009】
多孔インデックスに加えて、特定のステント用途のためにステント領域の一部のみをカバーすることを意図しているならば、開口面積を提供するアパチャのサイズを考慮しなければならない。複数のアパチャについて、特にアパチャが管腔壁から身体導管の流れ空間に入る生物学的材料の通過を制御又は限定する「フィルタリング」効果を提供するならば、個々のアパチャの最大サイズをしばしば考慮しなければならない。
【0010】
金属ステント要素をポリマー接続要素と組み合わせた様々なステントデバイスが知られている。例えば、Maedaらの米国特許第5,507,767号明細書を参照されたい。もう1つは、InspireMD Ltd.(4 Derech Hashalom St., Tel Aviv 67892 Israel)の、チェーンリンクフェンシングのように小さな開口アパチャを有する可撓性ニットスリーブを備えたステントである。
【発明の概要】
【0011】
要旨
1つの例(「例1」)によれば、内部人工器官は、ある長さ、第一の端部、第二の端部及び長手方向軸を有し、ここで、前記内部人工器官は、コンパクトなデリバリー構成から拡大された展開構成に拡張可能である。内部人工器官は、内部人工器官の長さに沿ってステント要素の複数の列を含み、前記複数の列は、第一の列及び前記第一の列に隣接して配置された第二の列を含む。前記ステント要素の第一の列は、第一の複数の交互の頂点を有し、前記ステント要素の第二の列は、第二の複数の交互の頂点を有する。第一の複数の交互の頂点及び前記第二の複数の交互の頂点は、間隔を置いたインターロッキング配置を画定する。内部人工器官はまた、互いに間隔を置いて配置され、第一の複数の交互の頂点及び第二の複数の交互の頂点を相互接続する複数のウェブ要素を含む、材料の不連続ウェブを含む。複数のウェブ要素は、内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、複数のウェブ要素がステント要素の第一の列と第二の列との間で内部人工器官のねじれ及び軸方向の圧縮を制限するように、第一の共通の円周に沿って配置される。
【0012】
別の例(「例2」)によれば、例1に加えて、材料の不連続ウェブは、互いに間隔を置いて配置され、第一の複数の交互の頂点及び第二の複数の交互の頂点を相互接続する第二の複数のウェブ要素をさらに含む。第二の複数のウェブ要素は、第一の共通の周囲から長手方向に間隔を置いて配置された第二の共通の周囲に沿って配置され、その結果、前記内部人工器官が拡大された展開構成であるときに、前記第二の複数のウェブ要素は、ステント要素の第一の列と第二の列との間で前記内部人工器官のねじれ及び伸長を制限する。
【0013】
別の例(「例3」)によれば、例1又は2に加えて、材料の不連続ウェブは、前記ステント要素の第一の列と第二の列との間に複数のアパチャを画定するポリマーフィルムである。
【0014】
別の例(「例4」)によれば、例1~3のいずれか1つに加えて、前記複数のウェブ要素、及び、場合により、前記第二の複数のウェブ要素は、それぞれ、前記内部人工器官の円周に対して角度的にオフセットして延在している。
【0015】
別の例(「例5」)によれば、例1~4のいずれか1つに加えて、前記複数のウェブ要素の周方向に隣接するものは互いに対して交互の反対の角度で延在している。
【0016】
別の例(「例6」)によれば、例1~5のいずれか1つに加えて、前記複数のウェブ要素、及び、場合により、前記第二の複数のウェブ要素は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、それぞれ、前記内部人工器官の円周に対して鋭角的にオフセットして延在している。
【0017】
別の例(「例7」)によれば、例1~6のいずれか1つに加えて、前記複数のウェブ要素は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、それぞれ、前記内部人工器官の長手方向軸に対して鈍角で延在している。
【0018】
別の例(「例8」)によれば、例1~3のいずれか1つに加えて、前記複数のウェブ要素、及び、場合により、前記第二の複数のウェブ要素は、それぞれ、内部人工器官の周方向に沿って延在している。
【0019】
別の例(「例9」)によれば、例1~7のいずれか1つに加えて、ステント要素の第一の列及び第二の列、ならびに、前記ステント要素の第一の列及び第二の列の第一の複数の交互の頂点及び第二の複数の交互の頂点を相互接続する複数のウェブ要素は、前記内部人工器官の長さに沿った第一のセクション内に配置されている。さらに、前記内部人工器官の長さに沿った内部人工器官の第二のセクションは、ステント要素の交互の頂点を有する第三の列と、ステント要素の交互の頂点を有する第四の列とを含む。第三の列及び第四の列は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、間隔を置いた配置を画定する。前記内部人工器官は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、前記内部人工器官がステント要素の第三の列及び第四の列の間で軸方向に圧縮可能であるように、ステント要素の第三の列及び第四の列を相互接続する材料の第二の不連続ウェブを含む。
【0020】
別の例(「例10」)によれば、例9に加えて、材料の第二の不連続ウェブは、それぞれが、前記内部人工器官の長手方向軸に対して鋭角で延在している複数のウェブ要素を含む。
【0021】
別の例(「例11」)によれば、例9又は10に加えて、前記第一のセクションは、前記内部人工器官の第一の端部に隣接し、前記第二のセクションは、前記第一のセクションよりも前記内部人工器官の第一の端部と第二の端部との間の中間点の近くに位置する。
【0022】
別の例(「例12」)によれば、例9~11のいずれか1つに加えて、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、前記内部人工器官は、前記第二のセクションよりも前記第一のセクションでより軸方向に剛性である。
【0023】
別の例(「例13」)によれば、例9~12のいずれか1つに加えて、前記内部人工器官はまた、前記第一のセクションと同じ位、軸方向に剛性である、前記内部人工器官の前記第二の端部に向かう第三のセクションを含む。
【0024】
別の例(「例14」)によれば、例9~13のいずれか1つに加えて、第三の列及び第四の列は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、間隔を置いたインターロッキング配置を画定する。
【0025】
別の例(「例15」)によれば、例9~13のいずれか1つに加えて、第三の列及び第四の列は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、間隔を置いた非インターロッキング配置を画定する。
【0026】
別の例(「例16」)によれば、例1~15のいずれか1つに加えて、ステント要素の複数の列は、弾性変形可能な材料から形成され、場合によりニッケルチタン合金から形成されている。
【0027】
別の例(「例17」)によれば、例1~16のいずれか1つに加えて、ステント要素の複数の列は、塑性変形可能な材料から形成され、場合により、ステンレス鋼合金から形成されている。
【0028】
別の例(「例18」)によれば、例1~17のいずれか1つに加えて、材料の不連続ウェブは薄膜を含む。
【0029】
別の例(「例19」)によれば、例1~18のいずれか1つに加えて、材料の不連続ウェブはePTFE膜を含む。
【0030】
別の例(「例20」)によれば、例1~19のいずれか1つに加えて、前記第一の複数の交互の頂点は、前記第二の複数の交互の頂点と軸方向に整列されて、複数のインターロックされたピーク(peak)及び複数のインターロックされたバレー(valley)を画定する。
【0031】
上述の例はまさに実施例であり、本開示によって他の方法で提供される本発明の概念のいずれかの範囲を制限又は他の方法で狭めるために読まれるべきではない。複数の例が開示されているが、さらに他の実施形態は、例示的な例を示して記載する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に限定的なものではなく、本質的に例示的なものと考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図面の簡単な説明
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、実施形態を示し、記載とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0033】
図1A図1Aは、幾つかの実施形態による、内部人工器官の斜視図である。
【0034】
図1B図1Bは、幾つかの実施形態による、内部人工器官の別の図である。
【0035】
図2A図2Aは、幾つかの実施形態による、可撓性ブリッジが示されていない拡大された展開構成における内部人工器官の2つの隣接するステント要素を示す。
【0036】
図2B図2Bは、幾つかの実施形態による、可撓性ブリッジが示されていないコンパクトなデリバリー構成における内部人工器官の2つの隣接するステント要素を示す。
【0037】
図3A図3Aは、幾つかの実施形態による、拡大された展開構成の内部人工器官の2つの隣接するステント要素を示し、可撓性ブリッジは共通の円周に沿って隣接するステント要素を接続している。
【0038】
図3B図3Bは、幾つかの実施形態による、コンパクトなデリバリー構成における図3Aの内部人工器官の2つの隣接するステント要素を示している。
【0039】
図3C図3Cは、幾つかの実施形態による、拡大された展開構成の別の内部人工器官の2つの隣接するステント要素を示し、可撓性ブリッジは2つの共通の円周に沿って隣接するステント要素を接続している。
【0040】
図4A図4Aは、幾つかの実施形態による、拡大された展開構成の内部人工器官の2つの隣接するステント要素を示し、ブリッジは内部人工器官の長手方向軸に対して鋭角で延在している。
【0041】
図4B図4Bは、幾つかの実施形態による、コンパクトなデリバリープロファイルの内部人工器官とともに、図4Aの隣接するステント要素を示している。
【0042】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。本明細書で参照される添付の図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されていることがあり、その点で、図面は限定として解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0043】
詳細な説明
図1A及び1Bは、インプラント可能なメディカルデバイス、又はより具体的には、第一の端部102、第二の端部104、及び、前記第一の端部102と前記第二の端部104との間に位置する中点を含むことができ、それらの間に広がっている中間部分103を有する内部人工器官100を示す。内部人工器官100は、第一の端部102から第二の端部104まで測定される長手方向長さ106を有する。内部人工器官100は、その長さ106に沿った複数の列のステント要素108と、ステント要素108の隣接する列の間を接続する材料のウェブ又はウェブ110(例えば、可撓性ポリマー材料)を有する。ステント要素108は、以下でさらに説明されるように、互いにインターロックされている。内部人工器官100はまた、内部人工器官100の長さに沿って延在する長手方向軸107を画定する。
【0044】
幾つかの例において、ステント要素108の列は、内部人工器官100の長さに沿って内部人工器官100の周囲にらせん状経路で延在している長尺要素(例えば、フィラメント又はワイヤ材料)の曲がりくねった長さ又は波状の長さによって形成される。長尺要素109の各順次の回転、通過又は巻回により、示されるような、間隔を置いて隣接するステント要素108の列がもたらされる。幾つかの例において、長尺要素109は、内部人工器官100の対向する端部(第一の端部102及び第二の端部104)の間で連続的に延在している。連続的ならせん巻きが考えられるが、他の構成も考えられる。例えば、区別される(例えば、周方向)リングを使用して、ステント要素108の隣接する列を画定することもできる。幾つかの例において、ステント要素108は、ニッケルチタン合金などの弾性変形可能な材料から形成されることができる。幾つかの例において、ステント要素108は、ステンレス鋼合金などの塑性変形可能な材料から形成されることができ、及び/又は、さもなければ、展開中に塑性変形されるように構成されうる。
【0045】
ウェブ110は、その中に形成された複数のアパチャ又は開口部116のために、その長さにわたって不連続である。ウェブ110の不連続性は、ウェブ110が、ステント要素108が互いに対して移動することを可能にする十分な可撓性を提供することを可能にする。ステント要素108の互いに対する動きは、内部人工器官100の全長106を増加又は減少させ、内部人工器官100が、より短い長さ106を有するコンパクトなデリバリープロファイル又はより長い長さ106を有する拡大された展開プロファイルをとることを可能にする。
【0046】
ステント要素108はまた、第一の端部102及び/又は第二の端部104に隣接する第一のセクション112を含む。第一のセクション112において、ウェブ110は、ステント要素108の互いに対する動きを制限するように構成されている。すなわち、第一のセクション112は、内部人工器官100の中間部分など、内部人工器官100の他の幾つかのセクションよりも比較的に剛性であるように構成されている。
【0047】
図1Aは、第一の端部102に隣接する第一のセクション112、第二のセクション113、及び、第二の端部104に隣接する第三のセクション115を示し、ここで、第二のセクション113は第一のセクション112と第三のセクション115との間に位置し、その結果、第一のセクション112及び第三のセクション115でのウェブ110は、第三のセクションにおけるステント要素108の相対的な動きが互いに対して制限されるように構成されている。
【0048】
第一のセクション112及び/又は第三のセクション115は、第二のセクション113よりも剛直であるか又はより軸方向に剛性であることができ、前記第二のセクションは他のセクションよりも内部人工器官100の中点の近くに位置する。第一のセクション112及び第三のセクション115は、剛直さ及び軸方向剛性に関して互いに類似していてもよく、又は、所望に応じて異なっていてもよい。
【0049】
ウェブ110は、内部人工器官100の長さ106に沿って複数のアパチャ又は開口部116A及び116Bを有する。示されるように、第一のセクション112及び/又は第三のセクション115におけるウェブ110は、内部人工器官100の他の部分(例えば、第二のセクション113)より大きな表面積被覆を有し、又は、低い開口面積を含む。幾つかの例において、開口部116Aのセットは、人工器官100の長さ106全体に均等に配置されるが、第一のセクション112及び/又は第三のセクション115は、内部人工器官100の第二のセクション113に、より少ない又はより小さな開口部を含む(例えば、追加の開口部116Bがない)ことができる。
【0050】
図1Bに示すように、ウェブ110におけるより少ない開口面積を有することにより、ブリッジ118Aとも呼ばれる、より広い相互接続部材又はウェブ要素が可能になる。示されるように、第一のセクション112は、第二のセクション113に見られるウェブ要素又はブリッジ118Bの第二のセットとは異なる第一のセットのウェブ要素又はブリッジ118Aを有する。ウェブ要素又はブリッジ118A及び118Bは、開口部116A及び/又は116Bのセットを画定するポリマーフィルムであることができる。幾つかの例において、ウェブ要素又はブリッジ118A及び118Bは、約0.001mm~0.1mm、0.1mm~0.2mm、0.2mm~0.5mm又はそれらの他の適切な厚さの範囲の薄膜から作られることができる。図1Bにおいて、ブリッジの第一のセット118Aはブリッジの第二のセット118Bよりも幅が広い。というのは、第一のセクション112が第一のセットの開口部116Aの間に第二のセットの開口部116Bを有しないからである。この場合の第一のセクション112は、4つのセットのステント要素108A、108B、108C及び108Dによって画定されているが、他の例では、第一のセクション112に、より少ない又はより多いステント要素が存在することができる。第二のステント要素108Bは、第一のステント要素108Aに隣接することができ、第三のステント要素108Cは、第二のステント要素108Bに隣接することができるなどである。
【0051】
ステント要素108のそれぞれ(例えば、ステント要素108A、108B、108C、108Dなど)は、内部人工器官100の円周(例えば、中心線A-A)に対して角度的にオフセットして延在することができる。幾つかの例において、第三のステント要素108C及び第四のステント要素108Dは、内部人工器官100が拡大された展開構成にあるときに、間隔を置いて離れた配置を画定することができる。内部人工器官100が拡大された展開構成にあるときに、内部人工器官100が第三のステント要素及び第四のステント要素108C及び108Dの間で軸方向に圧縮可能であるように、第三のステント要素及び第四のステント要素108C及び108Dを相互接続する材料の第二の不連続ウェブも存在することができる。また、幾つかの例において、内部人工器官100が拡大された展開構成にあるときに、ステント要素108A及び108Bの列は、互いに間隔を置いて離れたインターロッキング配置にあることができ、ステント要素108C及び108Dの列は、互いに間隔を置いて離れた非インターロッキング配置にあることができる。
【0052】
図2A及び2Bは、内部人工器官100が拡大された展開プロファイル又は構成、又はコンパクトなデリバリープロファイル又は構成のいずれかにあるときの図1A及び1Bに示される長尺要素109の詳細を示す。対向する頂点200A及び200Bは、真っ直ぐな又は比較的に真っ直ぐな長尺要素セグメント202によって相互接続されている。頂点は、典型的に、内部人工器官100の長手方向軸107に実質的に平行である方向(例えば、平行の10度以内)である方向を「指し」、交互の頂点200Aと200Bは反対方向を指している。すなわち、交互の頂点200A及び200Bは、内部人工器官100の反対端を指している。幾つかの例において、一方向を指している頂点(例えば、頂点200A)は、第一の共通線に沿って整列され、一方、反対方向を指している頂点(例えば、頂点200B)は、第一の共通線に平行な第二の共通線に沿って整列されている。例えば、交互の頂点200Aは、複数のインターロックされたバレーを画定するために互いに軸方向に整列されることができ、交互の頂点200Bはまた、複数のインターロックされたピークを画定するために互いに軸方向に整列されることができ、又は、その逆である。
【0053】
上述のように、内部人工器官100の長さ106の少なくとも一部に沿ったステント要素108の列の幾つか又はすべては互いにインターロックされている。本開示の関係において、「インターロックされた」又は「インターロッキングしている」という用語は、内部人工器官100が拡大された展開プロファイルにあるときに、2つの隣接又は近接するステント要素(例えば、図示のとおりの108A及び108B)の部分が2つのステント要素の中間に位置し、長手方向軸107に対して垂直に延在しているか又は方向付けられている中心線又は円周(A-A)を横切って交差するときとして規定される。すなわち、図2Aに示されるように、中心線A-Aは、ステント要素108A及び108Bを通して通過し、その結果、ステント要素108Bからの左向き頂点200A(バレーと呼ばれることがある)及びステント要素108Aからの右向き頂点200B(ピークと呼ばれることがある)は、中心線A-Aを横切って交差する。さらに、幾つかの例において、ステント要素108の隣接する列は、内部人工器官100の全長106に沿って互いにインターロックすることができる。あるいは、内部人工器官100の長さ106に沿った1つ以上の部分に沿った他の隣接する列とインターロックしていないステント要素108の1つ以上の列が存在することができる。
【0054】
図2Aは、内部人工器官100が拡大された展開プロファイルにあるときの、例えば、ステント要素108の列が、コンパクトなデリバリープロファイルよりもさらに離れて配置されているときの2つの隣接するステント要素(108A及び108B)を示している。寸法204は隣接する対向頂点の高さ(振幅)と考えられ、寸法206は隣接する対向頂点の幅であると考えられる。寸法208は、蛇行形態の完全な一周期を記載する。頂点200A、200Bの長尺要素直径210及び曲げ角度212は、適切なものとして選択されうる。さらに、頂点200A、200Bは、任意の適切な曲率半径を有することができる。寸法214Aは、内部人工器官100が拡大された展開プロファイルにあるときのステント要素108の隣接する列間の距離を記載し、これは、例えば、第一のステント要素108Aの頂点200Aから第二のステント要素108Bの最も近い頂点200A(頂点200Aから反対方向に向いている頂点200Bではない)まで測定されうる。図2Bは、内部人工器官100がコンパクトなデリバリープロファイルにあるときを示し、寸法214Bは、内部人工器官100がコンパクトな展開プロファイルにあるときのステント要素108A及び108Bの隣接する列の間の距離である。
【0055】
図3A及び3Bは、幾つかの実施形態による、開口部116A及びブリッジ118Aが、第一のセクション112及び/又は第三のセクション115においてどのように構成されうるかの例を示す。図3Aは、ステント要素108A及び108Bが図3Bに示されるコンパクトなデリバリープロファイルよりも互いにさらに離れている場合の内部人工器官100が拡大された展開プロファイルにあるときの、開口部116A及びブリッジ118Aを示す。ブリッジ118Aは、ステント要素108Aとステント要素108Bとの間に形成されるブリッジ118Aのそれぞれが、内部人工器官100の長手方向軸107に実質的に垂直に向けられる周方向基準線又は円周300を包含するように形成される。内部人工器官100の円周を画定する周方向基準線は、長手方向軸107の周りで周方向に延在している。したがって、幾つかの例において、円周300は、すべてのブリッジ118Aと交差し、それによって、ブリッジ118Aは内部人工器官100が拡大された展開構成にあるときのステント要素の第一の列と第二の列(例えば、108A及び108B)の間の内部人工器官100のねじれ及び軸方向の圧縮を制限するように、ブリッジ118Aの間で共通の円周300となる。幾つかの例において、円周300と長手方向軸107との間に形成される角度は、約75度~90度、約80度~90度、約85度~90度又はそれらの間の任意の他の適切な範囲の鈍角の範囲であることができる。さらに、幾つかの例において、円周300は、前に図2Aに示された中心線A-Aと重なることができる。
【0056】
図3Bにおいて、2つの隣接するステント要素108A及び108Bは、互いに接近させられ、ブリッジ118Aを延伸するか又は引っ張る。ウェブ110が可撓性で比較的に伸長不可能なポリマー材料から作られているときに、ブリッジ118Aはそのような軸方向の圧縮に抵抗する。しかし、ウェブ110が弾性的に伸長可能な材料から作られている例において、ブリッジ118Aは、そのような軸方向圧縮時にポテンシャルエネルギーを蓄積し、そのような圧縮に抵抗し、ステント要素108A及び108Bの列を図3Aに示す初期位置に戻すようにバイアスする。したがって、幾つかの例において、ブリッジ118Aは、ステント要素108A及び108Bの互いに対する動きを制限することができる。特に、ステント要素108A及び108Bの列が半径方向に崩潰されたときに(例えば、内部人工器官がコンパクトなデリバリープロファイルにあるときに)、ブリッジ118Aは、自由に屈曲又は角度を付けし、ステント要素108A及び108Bの列間の軸方向の圧縮を防止せず又はそれに抵抗しない。
【0057】
図3Cは、幾つかの実施形態による、ブリッジ302A及び302Bが第一のセクション112及び/又は第三のセクション115においてどのように構成されうるかの例を示す。図3A及び3Bのブリッジ118Aとは異なり、ブリッジ302A及び302Bは、互いに実質的に平行である複数の円周を包含する。具体的には、ブリッジ302Aは、ブリッジ302Aの間で共通である第一の円周300Aを共有し、ブリッジ302Bは、ブリッジ302Bの間で共通である第二の円周300Bを含み、第一の円周300A及び第二の円周300Bは互いに平行である。したがって、第一の複数のブリッジ302A及び第二の複数のブリッジ302Bは、内部人工器官100が拡大された展開構成にあるときに、ステント要素108の第一の列と第二の列との間の内部人工器官100のねじれ及び伸長を制限する。ブリッジ302A及び302Bの位置は、すべてのブリッジ302A及び302Bを通過する単一の直線がないという点で、互いに対して「千鳥足」構成にあると記載することができる。幾つかの例において、ブリッジ118A(又は302A及び302B)のそれぞれは、内部人工器官100が拡大された展開構成にあるときに、内部人工器官100の円周300に対して鋭角でオフセットして延在することができる。幾つかの例において、ブリッジ118A(又は302A及び302B)のそれぞれは、内部人工器官100が拡大された展開構成にあるときに、内部人工器官100の長手方向軸107に対して鈍角で延在していることができる。
【0058】
図4A及び4Bは、幾つかの実施形態による、開口部116B及びブリッジ118Bが第二のセクション113においてどのように構成されうるかの例を示す。幾つかの例において、周方向に隣接するブリッジ118Bは、互いに対して交互の反対の角度で延在している。図4Aは、内部人工器官100が拡大された展開プロファイルにあるときの開口部116A及び116Bならびにブリッジ118Bを示している。ブリッジ118Bのそれぞれは、ブリッジ118Aとは異なる角度で配置されたライン400を包含するように形成されている。例えば、ブリッジ118Bのそれぞれは、内部人工器官100の長手方向軸107に対して鋭角402で配置されている。幾つかの例において、鋭角402は、約5°~10°、約5°~20°、約5°~30°、約5°~45°の範囲又はそれらの間のその他の適切な角度範囲であることができる。
【0059】
ステント要素108A及び108Bが、図4Bに示されるように、互いに対して接近させられるときに、ブリッジ118Bのそれぞれの長さは減少する。したがって、この状態では、ブリッジ118Bに張力が加えられないので、ブリッジ118B内に、ステント要素108A及び108Bの互いに対する動きを制限するための伸長、張力又はポテンシャルエネルギーの他の実質的な蓄積はない。
【0060】
様々なポリマーフィルムが、このデバイスのためのステントカバー(又はコーティング)材料として、ならびに内部人工器官のブリッジを画定するために使用される材料のウェブとして使用するのに適しているが、ePTFEフィルム又は膜と組み合わせて使用されるFEP(フッ素化エチレンプロピレン)フィルムの組み合わせを考えることができる。ステント要素とともに使用するためのePTFEフィルムは、図3の走査型電子顕微鏡写真によって示されるように、多軸フィブリル配向を有するフィルムである。フィブリルがePTFEフィルムの平面内ですべての方向にどのように配向しているかが判る。このタイプのePTFEフィルムは、Bacinoらの米国特許第7,306,729号明細書及び米国公開特許出願第2007/0012624号明細書によって教示されているように製造することができる。この同じタイプのフィルムは、場合により、FEPの薄層の部分的な被覆(FEPフィルム被覆を通る開口部を有する、すなわち、不連続な被覆)を備えることができる。不連続(多孔性)FEP被覆(コーティング)又は連続(非多孔性)FEP被覆(コーティング)のいずれかを有するFEP被覆ePTFEフィルムは、一般に、Myersらの米国特許第5,735,892号明細書によって教示されるように作製されうる。
【0061】
幾つかの例において、第一のセクション112及び/又は第三のセクション115におけるブリッジ118Aの剛性は、1つ以上の追加の材料をブリッジ118Aに適用することによって増加させることができる。例えば、ウェブ110に加えて、上記で説明したようなポリマーの別の層などの二次材料又は繊維状材料、ならびに任意の他の適切な材料をブリッジ118Aに取り付けて、第一のセクション112及び/又は第三のセクション115において互いに対するステント要素108の列の動きを制限することができる。幾つかの例において、ブリッジ118Aに適用される追加の材料は、ウェブ110が作られる材料と同じ材料であることができる。
【0062】
端部セクション又はその近くでのステント要素の互いに対する動きを制限するために剛性を高めることの利点としては、ステント要素が変形されるときの拡張中のステント要素の短縮を防ぐことが挙げられる。幾つかの例において、内部人工器官は、その後の展開及び拡張のためにバルーンに取り付けられるが、もしバルーンが不均一に拡張するならば、内部人工器官のステント要素は、内部人工器官の端部に近い領域で短縮又はアコーディオン化を経験することができる。内部人工器官の端部に近位の領域を拡張中により剛直にするか、又はより剛性にすることにより、内部人工器官の形状におけるそのような望ましくない変化の可能性を低減する。
【0063】
実施形態は、一般的に及び特定の実施形態に関して上記の両方で記載されてきた。本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態において様々な変更及び変形を行うことができることは当業者に明らかであろう。したがって、実施形態は、それらが添付の特許請求の範囲及びそれらの均等形態の範囲内に入るかぎり、実施形態の変更及び変形を網羅することが意図される。
(態様)
(態様1)
ある長さ、第一の端部、第二の端部及び長手方向軸を有する内部人工器官であって、前記内部人工器官は、コンパクトなデリバリー構成から拡大された展開構成に拡張可能であり、前記内部人工器官は、
前記内部人工器官の長さに沿ってステント要素の複数の列であって、前記複数の列は、第一の列及び前記第一の列に隣接して配置された第二の列を含み、前記ステント要素の第一の列は、第一の複数の交互の頂点を有し、前記ステント要素の第二の列は、第二の複数の交互の頂点を有し、前記第一の複数の交互の頂点及び前記第二の複数の交互の頂点は、間隔を置いてインターロッキングする配置を画定する、ステント要素の複数の列、及び、
互いに間隔を置いて配置され、前記第一の複数の交互の頂点及び前記第二の複数の交互の頂点を相互接続する複数のウェブ要素を含む、材料の不連続ウェブであって、前記複数のウェブ要素は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、前記複数のウェブ要素がステント要素の第一の列と第二の列との間で前記内部人工器官のねじれ及び軸方向の圧縮を制限するように、第一の共通の円周に沿って配置される、材料の不連続ウェブ、
を含む、内部人工器官。
(態様2)
前記材料の不連続ウェブは、互いに間隔を置いて配置され、前記第一の複数の交互の頂点及び前記第二の複数の交互の頂点を相互接続する第二の複数のウェブ要素をさらに含み、前記第二の複数のウェブ要素は、前記第一の共通の円周から長手方向に間隔を置いて配置された第二の共通の円周に沿って配置され、その結果、前記内部人工器官が拡大された展開構成であるときに、前記第二の複数のウェブ要素は、前記ステント要素の第一の列と第二の列との間で前記内部人工器官のねじれ及び伸長を制限する、態様1記載の内部人工器官。
(態様3)
前記材料の不連続ウェブは、前記ステント要素の第一の列と第二の列との間に複数のアパチャを画定するポリマーフィルムである、態様1又は2記載の内部人工器官。
(態様4)
前記複数のウェブ要素、及び、場合により、前記第二の複数のウェブ要素は、それぞれ、前記内部人工器官の円周に対して角度的にオフセットして延在している、態様1~3のいずれか1項記載の内部人工器官。
(態様5)
前記複数のウェブ要素の周方向に隣接するものは互いに対して交互の反対の角度で延在している、態様1~4のいずれか1項記載の内部人工器官。
(態様6)
前記複数のウェブ要素、及び、場合により、前記第二の複数のウェブ要素は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、それぞれ、前記内部人工器官の円周に対して鋭角的にオフセットして延在している、態様1~5のいずれか1項記載の内部人工器官。
(態様7)
前記複数のウェブ要素は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、それぞれ、前記内部人工器官の長手方向軸に対して鈍角で延在している、態様1~6のいずれか1項記載の内部人工器官。
(態様8)
前記複数のウェブ要素、及び、場合により、前記第二の複数のウェブ要素は、それぞれ、前記内部人工器官の周方向に沿って延在している、態様1~3のいずれか1項記載の内部人工器官。
(態様9)
前記ステント要素の第一の列及び第二の列、ならびに、前記ステント要素の第一の列及び第二の列の第一の複数の交互の頂点及び第二の複数の交互の頂点を相互接続する複数のウェブ要素は、前記内部人工器官の長さに沿った第一のセクション内に配置されており、さらに、前記内部人工器官の長さに沿った前記内部人工器官の第二のセクションは、ステント要素の交互の頂点を有する第三の列及びステント要素の交互の頂点を有する第四の列を含み、前記第三の列及び前記第四の列は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、間隔を置いた配置を画定し、前記内部人工器官は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、前記内部人工器官がステント要素の第三の列及び第四の列の間で軸方向に圧縮可能であるように、前記ステント要素の第三の列及び第四の列を相互接続する材料の第二の不連続ウェブを含む、態様1~7のいずれか1項記載の内部人工器官。
(態様10)
前記材料の第二の不連続ウェブは、それぞれが、前記内部人工器官の長手方向軸に対して鋭角で延在している複数のウェブ要素を含む、態様9記載の内部人工器官。
(態様11)
前記第一のセクションは、前記内部人工器官の第一の端部に隣接し、前記第二のセクションは、前記第一のセクションよりも前記内部人工器官の第一の端部と第二の端部との間の中間点の近くに位置する、態様9又は10記載の内部人工器官。
(態様12)
前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、前記内部人工器官は、前記第二のセクションよりも前記第一のセクションでより軸方向に剛性である、態様9~11のいずれか1項記載の内部人工器官。
(態様13)
前記第一のセクションと同じ位、軸方向に剛性である、前記内部人工器官の前記第二の端部に向かう第三のセクションをさらに含む、態様9~12のいずれか1項記載の内部人工器官。
(態様14)
前記第三の列及び前記第四の列は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、間隔を置いたインターロッキング配置を画定する、態様9~13のいずれか1項記載の内部人工器官。
(態様15)
前記第三の列及び前記第四の列は、前記内部人工器官が拡大された展開構成にあるときに、間隔を置いた非インターロッキング配置を画定する、態様9~13のいずれか1項記載の内部人工器官。
(態様16)
前記ステント要素の複数の列は、弾性変形可能な材料から形成され、場合により、ニッケルチタン合金から形成されている、態様1~15のいずれか1項記載の内部人工器官。
(態様17)
前記ステント要素の複数の列は、塑性変形可能な材料から形成され、場合により、ステンレス鋼合金から形成されている、態様1~16のいずれか1項記載の内部人工器官。
(態様18)
前記材料の不連続ウェブは薄膜を含む、態様1~17のいずれか1項記載の内部人工器官。
(態様19)
前記材料の不連続ウェブはePTFE膜を含む、態様1~18のいずれか1項記載の内部人工器官。
(態様20)
前記第一の複数の交互の頂点は、前記第二の複数の交互の頂点と軸方向に整列されて、複数のインターロックされたピーク及び複数のインターロックされたバレーを画定する、態様1~19のいずれか1項記載の内部人工器官。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B