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特許7543434施工情報統合システム、施工情報統合方法及び施工情報統合プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】施工情報統合システム、施工情報統合方法及び施工情報統合プログラム
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/48 20060101AFI20240826BHJP
   G06Q 50/08 20120101ALI20240826BHJP
【FI】
B66C13/48 G
G06Q50/08
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022565033
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2021008965
(87)【国際公開番号】W WO2022113385
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2024-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2020197371
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】多胡 昇
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 和人
(72)【発明者】
【氏名】杉本 崇
(72)【発明者】
【氏名】染谷 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】戸倉 健太郎
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0209156(US,A1)
【文献】特開2012-041180(JP,A)
【文献】特開2012-056753(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0094834(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06;19/00-23/94
G06Q 50/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンの自動運転を管理する施工情報統合システムであって、
施工される建築物の設計図、施工部材及び施工計画に関する情報を含む建築情報を取得する建築情報取得部と、
前記建築情報に基づいて、少なくとも前記施工部材の設置座標及び設置順序を含む第1計画情報を生成する計画情報生成部と、
当該施工情報統合システムとは別系であって、前記施工部材を移送するように前記クレーンの動作を制御する機体制御システムに前記第1計画情報を送信する第1送信部とを備え、
前記計画情報生成部は、前記建築情報に基づいて、少なくとも前記施工部材の設置方向を含む第2計画情報を生成し、
前記クレーンに保持された施工部材の方向を調整するように前記クレーンに付随する治具の動作を制御する治具制御システムに前記第2計画情報を送信する第2送信部を、さらに備える、
施工情報統合システム。
【請求項2】
前記第1計画情報には、前記クレーンによって前記施工部材が前記設置座標まで移送される経路を、前記機体制御システムが算出する際に用いられる、侵入を回避すべき領域を示す規制範囲情報が含まれる、
請求項1に記載の施工情報統合システム。
【請求項3】
前記機体制御システムから、前記施工部材の設置状況に関する前記クレーンの稼働ログを受信する第1受信部と、
前記クレーンの稼働ログに基づいて、前記施工計画に対する進捗を管理する進捗管理部とを、さらに備える、
請求項1又は2に記載の施工情報統合システム。
【請求項4】
前記クレーンの稼働ログには、前記施工部材を識別可能な識別情報、前記クレーンの動作開始及び終了時刻、及び前記施工部材の設置座標に関する情報が含まれる、
請求項に記載の施工情報統合システム。
【請求項5】
前記クレーンに付随する治具の動作を制御する治具制御システムから、前記施工部材の設置状況に関する治具の稼働ログを受信する第2受信部を、さらに備え、
前記進捗管理部は、前記治具の稼働ログに基づいて、前記施工計画に対する進捗を管理する、
請求項又はに記載の施工情報統合システム。
【請求項6】
前記治具の稼働ログには、前記施工部材を識別可能な識別情報、前記治具の動作開始及び終了時刻、及び前記施工部材の設置方向に関する情報が含まれる、
請求項に記載の施工情報統合システム。
【請求項7】
前記進捗管理部は、プロジェクト全体の進捗、日単位の進捗及びフロア単位の進捗のうち少なくともいずれかを含む進捗を表示する、
請求項からのいずれか一項に記載の施工情報統合システム。
【請求項8】
識別可能な識別情報が付与された前記施工部材に関する施工部材情報を取得する施工部材情報取得部と、
前記施工部材情報を端末装置に送信する第3送信部とを、さらに備える、
請求項1からのいずれか一項に記載の施工情報統合システム。
【請求項9】
クレーンの自動運転を管理する施工情報統合システムであって、
施工される建築物の設計図、施工部材及び施工計画に関する情報を含む建築情報を取得する建築情報取得部と、
前記建築情報に基づいて、少なくとも前記施工部材の設置座標及び設置順序を含む第1計画情報を生成する計画情報生成部と、
当該施工情報統合システムとは別系であって、前記クレーンの動作を制御する機体制御システムに前記第1計画情報を送信する第1送信部とを備え、
前記施工部材に付与された識別可能な識別情報を、端末装置により確認された旨を示す準備完了情報を受信する第3受信部を、さらに備え、
前記第1送信部は、前記準備完了情報及び前記第1計画情報に基づいて、前記クレーンの動作を開始する旨を示す開始指令を前記機体制御システムに送信する、
工情報統合システム。
【請求項10】
前記第1計画情報及び前記第2計画情報には、同一の情報が含まれる、
請求項に記載の施工情報統合システム。
【請求項11】
クレーンの自動運転を管理する施工情報統合システムによって実行される施工情報統合方法であって、
施工される建築物の設計図、施工部材及び施工計画に関する情報を含む建築情報を取得する建築情報取得ステップと、
前記建築情報に基づいて、少なくとも前記施工部材の設置座標及び設置順序を含む第1計画情報を生成する計画情報生成ステップと、
当該施工情報統合システムとは別系であって、前記施工部材を移送するように前記クレーンの動作を制御する機体制御システムに前記第1計画情報を送信する第1送信ステップと、を含
前記計画情報生成ステップは、前記建築情報に基づいて、少なくとも前記施工部材の設置方向を含む第2計画情報を生成し、
前記クレーンに保持された施工部材の方向を調整するように前記クレーンに付随する治具の動作を制御する治具制御システムに前記第2計画情報を送信する第2送信ステップを、さらに含む、
施工情報統合方法。
【請求項12】
クレーンの自動運転を管理する施工情報統合方法をコンピュータに実行させる施工情報統合プログラムであって、
施工される建築物の設計図、施工部材及び施工計画に関する情報を含む建築情報を取得する建築情報取得ステップと、
前記建築情報に基づいて、少なくとも前記施工部材の設置座標及び設置順序を含む第1計画情報を生成する計画情報生成ステップと、
施工情報統合システムとは別系であって、前記施工部材を移送するように前記クレーンの動作を制御する機体制御システムに前記第1計画情報を送信する第1送信ステップと、を実行
前記計画情報生成ステップは、前記建築情報に基づいて、少なくとも前記施工部材の設置方向を含む第2計画情報を生成し、
前記クレーンに保持された施工部材の方向を調整するように前記クレーンに付随する治具の動作を制御する治具制御システムに前記第2計画情報を送信する第2送信ステップを、さらに実行する、
施工情報統合プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工情報統合システム、施工情報統合方法及び施工情報統合プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、大型建造物、高層ビル及び高層マンション等の建設には、タワークレーンが用いられ、当該タワークレーンによって建築資材の揚重及び水平方向への移動等が行われる。
【0003】
タワークレーンには、運転室が備えられており、当該運転室において運転者がボタンやレバーを操縦することによって、巻き上げ装置を動作させて吊りワイヤを巻き上げたり、起伏装置を動作させてジブを上下させたり、旋回装置を動作させてジブを旋回させたりする。
【0004】
さらに、近年では、タワークレーンに備えらえれた運転室でなくても、遠隔地から操縦可能なタワークレーン遠隔操作システムが開発されている。当該タワークレーン遠隔操作システムでは、タワークレーンに備えられた運転室での操縦と同様の環境を地上で再現できるようになっている。
【0005】
また、タワークレーンを制御装置等により自動的に制御するタワークレーンの自動運転システムに関する技術がある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載されているタワークレーンの自動運転システムは、タワーの頂部とジブ先端とフックブロックとに常時衛星測位できる受信機を設けて、それぞれの位置関係をリアルタイムに測位できるように構成し、建造物の設計図の平面図及び立体図を適宜表示しながら、制御装置がジブの起伏(巻き上げも含む)及び旋回体の旋回を自動的に行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-112178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のタワークレーンの自動運転システムでは、操作者が、画面上に表示された建造物の設計図の平面図及び立体図を確認し、建築部材(荷)の設置位置を決定し、当該画面上において決定した設置位置をタッチする。そして、操作者のタッチに基づいて、制御装置がジブの起伏及び旋回体の旋回を自動的に行う。
【0008】
換言すれば、特許文献1に記載のタワークレーンの自動運転システムでは、タワークレーンの一部自動化が実現されているものの、タワークレーンの自動運転制御に関する技術においては、更なる改良の余地がある。
【0009】
そこで、本発明は、クレーンの自動運転を適切にサポートする施工情報統合システム、施工情報統合方法及び施工情報統合プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る施工情報統合システムは、クレーンの自動運転を管理する施工情報統合システムであって、施工される建築物の設計図、施工部材及び施工計画に関する情報を含む建築情報を取得する建築情報取得部と、建築情報に基づいて、少なくとも施工部材の設置座標及び設置順序を含む第1計画情報を生成する計画情報生成部と、当該施工情報統合システムとは別系であって、クレーンの動作を制御する機体制御システムに第1計画情報を送信する第1送信部とを備える。
【0011】
この態様によれば、建築情報取得部が建築情報を取得し、計画情報生成部が当該建築情報に基づいて第1計画情報を生成し、第1送信部が当該施工情報統合システムとは別系の機体制御システムに第1計画情報を送信する。これにより、機体制御システムは、第1計画情報に基づいてクレーンの動作を制御することができる。換言すれば、施工情報統合システムは、クレーンの自動運転を適切にサポートすることができる。
【0012】
上記態様において、第1計画情報には、クレーンによって施工部材が設置座標まで移送される経路を、機体制御システムが算出する際に用いられる、侵入を回避すべき領域を示す規制範囲情報が含まれてもよい。
【0013】
この態様によれば、第1計画情報には、規制範囲情報が含まれるため、機体制御システムは、第1計画情報に基づいてクレーンの動作を安全に制御することができる。すなわち、施工情報統合システムは、クレーンの自動運転を、安全に、より適切にサポートすることができる。
【0014】
上記態様において、計画情報生成部は、建築情報に基づいて、少なくとも施工部材の設置方向を含む第2計画情報を生成し、クレーンに付随する治具の動作を制御する治具制御システムに第2計画情報を送信する第2送信部を、さらに備えてもよい。
【0015】
この態様によれば、計画情報生成部が第2計画情報を生成し、第2送信部が治具制御システムに第2計画情報を送信する。これにより、治具制御システムは、第2計画情報に基づいてクレーンに付随する治具の動作を制御することができる。換言すれば、施工情報統合システムは、クレーンの自動運転を、治具の動作も含めて適切にサポートすることができる。
【0016】
上記態様において、機体制御システムから、施工部材の設置状況に関するクレーンの稼働ログを受信する第1受信部と、クレーンの稼働ログに基づいて、施工計画に対する進捗を管理する進捗管理部とを、さらに備えてもよい。
【0017】
この態様によれば、第1受信部がクレーンの稼働ログを受信し、進捗管理部が当該クレーンの稼働ログに基づいて、施工計画に対する進捗を管理する。すなわち、施工情報統合システムは、クレーンの自動運転を、進捗管理も含めて適切にサポートすることができる。
【0018】
上記態様において、クレーンの稼働ログには、施工部材を識別可能な識別情報、クレーンの動作開始及び終了時刻、及び施工部材の設置座標に関する情報が含まれてもよい。
【0019】
この態様によれば、施工部材単位で情報を把握することができるため、施工情報統合システムは、クレーンの自動運転を、施工部材単位で進捗管理も含めて適切にサポートすることができる。
【0020】
上記態様において、クレーンに付随する治具の動作を制御する治具制御システムから、施工部材の設置状況に関する治具の稼働ログを受信する第2受信部を、さらに備え、進捗管理部は、治具の稼働ログに基づいて、施工計画に対する進捗を管理してもよい。
【0021】
この態様によれば、第2受信部が治具の稼働ログを受信し、進捗管理部が当該治具の稼働ログに基づいて、施工計画に対する進捗を管理する。すなわち、施工情報統合システムは、クレーンの自動運転を、治具の動作も踏まえた進捗管理も含めて適切にサポートすることができる。
【0022】
上記態様において、治具の稼働ログには、施工部材を識別可能な識別情報、治具の動作開始及び終了時刻、及び施工部材の設置方向に関する情報が含まれてもよい。
【0023】
この態様によれば、施工部材の詳細な情報を把握することができるため、施工情報統合システムは、クレーンの自動運転を、施工部材の詳細な情報を踏まえた進捗管理も含めて適切にサポートすることができる。
【0024】
上記態様において、進捗管理部は、プロジェクト全体の進捗、日単位の進捗及びフロア単位の進捗のうち少なくともいずれかを含む進捗を表示してもよい。
【0025】
この態様によれば、様々な視点から進捗を管理することができるため、施工情報統合システムは、適切な進捗管理を行いつつ、クレーンの自動運転をより適切にサポートすることができる。
【0026】
上記態様において、識別可能な識別情報が付与された施工部材に関する施工部材情報を取得する施工部材情報取得部と、施工部材情報を端末装置に送信する第3送信部とを、さらに備えてもよい。
【0027】
この態様によれば、施工部材情報取得部が施工部材情報を取得し、第3送信部が当該施工部材情報を端末装置に送信する。これにより、現場において、端末装置を用いて施工部材情報を把握することができるため、施工部材の取り付け等に関する誤りを低減することができるとともに、作業効率の向上にも繋がる。
【0028】
上記態様において、施工部材に付与された識別可能な識別情報を、端末装置により確認された旨を示す準備完了情報を受信する第3受信部を、さらに備え、第1送信部は、準備完了情報及び第1計画情報に基づいて、クレーンの動作を開始する旨を示す開始指令を機体制御システムに送信してもよい。
【0029】
この態様によれば、第3受信部が準備完了情報を受信し、第1送信部が当該準備完了情報及び第1計画情報に基づいて、開始指令を機体制御システムに送信する。これにより、施工情報統合システムは、現場での状況を把握しつつ、クレーンの自動運転をより適切にサポートすることができる。
【0030】
上記態様において、第1計画情報及び第2計画情報には、同一の情報が含まれてもよい。
【0031】
この態様によれば、計画情報生成部は、第1計画情報及び第2計画情報として同一の情報を生成することができため、施工情報統合システムとして処理が簡素化できるとともに、生産効率の向上にも繋がる。
【0032】
本発明の一態様に係る施工情報統合方法は、クレーンの自動運転を管理する施工情報統合システムによって実行される施工情報統合方法であって、施工される建築物の設計図、施工部材及び施工計画に関する情報を含む建築情報を取得する建築情報取得ステップと、建築情報に基づいて、少なくとも施工部材の設置座標及び設置順序を含む第1計画情報を生成する計画情報生成ステップと、当該施工情報統合システムとは別系であって、クレーンの動作を制御する機体制御システムに第1計画情報を送信する第1送信ステップと、を含む。
【0033】
この態様によれば、建築情報取得ステップにおいて建築情報が取得され、計画情報生成ステップにおいて当該建築情報に基づいて第1計画情報が生成され、第1送信ステップにおいて当該施工情報統合システムとは別系の機体制御システムに第1計画情報が送信される。これにより、機体制御システムは、第1計画情報に基づいてクレーンの動作を制御することができる。換言すれば、施工情報統合システムは、クレーンの自動運転を適切にサポートすることができる。
【0034】
本発明の一態様に係る施工情報統合プログラムは、クレーンの自動運転を管理する施工情報統合方法をコンピュータに実行させる施工情報統合プログラムであって、施工される建築物の設計図、施工部材及び施工計画に関する情報を含む建築情報を取得する建築情報取得ステップと、建築情報に基づいて、少なくとも施工部材の設置座標及び設置順序を含む第1計画情報を生成する計画情報生成ステップと、当該施工情報統合システムとは別系であって、クレーンの動作を制御する機体制御システムに第1計画情報を送信する第1送信ステップと、を実行する。
【0035】
この態様によれば、建築情報取得ステップにおいて建築情報が取得され、計画情報生成ステップにおいて当該建築情報に基づいて第1計画情報が生成され、第1送信ステップにおいて当該施工情報統合システムとは別系の機体制御システムに第1計画情報が送信される。これにより、機体制御システムは、第1計画情報に基づいてクレーンの動作を制御することができる。換言すれば、施工情報統合システムは、クレーンの自動運転を適切にサポートすることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、本発明は、クレーンの自動運転を適切にサポートする施工情報統合システム、施工情報統合方法及び施工情報統合プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の第1実施形態に係る施工情報統合システム100を示すシステム構成図である。
図2】規制範囲の一具体例を示す図である。
図3A】フック周辺に備えられたセンサによって施工部材の方向を監視する一具体例を示す図である。
図3B】施工部材に2つの移動局を取り付けて、GNSSを用いることによって施工部材の方向及び位置を監視する一具体例を示す図である。
図4A】全体の進捗と日単位の進捗とを表示する一具体例を示す図である。
図4B】全体の進捗として、取り付ける施工部材の計画数と取り付け済みの施工部材の実績数とを表示する一具体例を示す図である。
図4C】日単位の進捗として、取り付ける施工部材毎に施工開始時刻及び終了時刻を表示する一具体例を示す図である。
図5A】フロア別の進捗を表示する一具体例を示す図である。
図5B】選択されたフロアの進捗の詳細を表示する一具体例を示す図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る施工情報統合システム100によって実行される施工情報統合方法M100の処理の流れを示すフローチャートである。
図7】本発明の第2実施形態に係る施工情報統合システム200を示すシステム構成図である。
図8】施工部材情報の一具体例を示す図である。
図9】端末装置40に表示される施工部材情報の一具体例を示す図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る施工情報統合システム200によって実行される施工情報統合方法M200の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する場合がある。
【0039】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る施工情報統合システム100を示すシステム構成図である。図1において、施工情報統合システム100は、当該施工情報統合システム100とは別系である機体制御システム20及び治具制御システム30とデータの送受信を行う。
【0040】
機体制御システム20は、クレーンの動作(自動運転)を制御しており、施工情報統合システム100は、機体制御システム20を介してクレーンの動作をサポートすることになる。機体制御システム20が制御するクレーンは、典型的には、タワークレーンであるが、これに限定されるものではなく、例えば、門型クレーン、天井クレーン、港湾のコンテナクレーン及び船上の台船クレーン等であっても構わない。
【0041】
治具制御システム30は、クレーンに付随する治具の動作(自動運転)を制御しており、施工情報統合システム100は、治具制御システム30を介して治具の動作も含めてクレーンの動作をサポートすることになる。治具制御システム30が制御する治具は、典型的には、タワークレーンに付随する水平回転治具等の旋回装置であるが、これに限定されるものではなく、その他の治具であっても構わないし、タワークレーン以外のクレーンに付随する治具等であっても構わない。
【0042】
施工情報統合システム100は、建築情報取得部110と、計画情報生成部120と、送信部130と、受信部140と、進捗管理部150とを備える。
【0043】
建築情報取得部110は、施工される建築物の設計図、施工部材及び施工計画に関する情報を含む建築情報を取得する。例えば、建築情報取得部110は、BIM(Building Information Modeling)に格納されている情報から、当該建築情報を取得する。
【0044】
BIMは、一般的に、建築物に関して作成される3次元のデジタルモデルに、当該建築物を構成する要素毎に、例えば、施工部材の形状及び数量に関する情報等が付加されており、あらゆる情報が含まれている。具体的には、現場基準点及び荷取位置等を含む躯体モデル、施工部材の最外径8点、基準点及びマーカ位置等が含まれる。さらには、コスト、仕上げ及び施工スケジュール等に関する情報も含まれており、コスト及びプロジェクト管理に用いることもできる。
【0045】
計画情報生成部120は、建築情報取得部110によって取得された建築情報に基づいて、少なくとも施工部材の設置座標及び設置順序を含む第1計画情報を生成する。具体的には、第1計画情報には、クレーンによって設置される施工部材の識別情報(例えば、ID等)、設置予定日、及び目標となる設置座標(x,y,z)が含まれる。
【0046】
なお、計画情報生成部120は、建築情報取得部110がBIMから取得した建築情報に含まれる情報をそのまま用いても構わないし、必要に応じて適宜加工することによって、第1計画情報を生成しても構わない。また、計画情報生成部120は、機体制御システム20のインターフェースに適合するように第1計画情報を生成しても構わない。
【0047】
送信部130は、計画情報生成部120によって生成された第1計画情報を機体制御システム20に送信する(第1送信部)。
【0048】
これにより、機体制御システム20は、第1計画情報に基づいて、クレーンの動作を制御する。例えば、機体制御システム20は、第1計画情報に含まれる設置される施工部材の各種情報に基づいて、当該施工部材が目標となる設置座標まで移送される経路を計算し、当該経路、設置予定日及び設置順序等に関する情報に従ってクレーンの動作を制御する。
【0049】
さらに、計画情報生成部120は、規制範囲情報を含む第1計画情報を生成しても構わない。規制範囲情報とは、クレーンによって施工部材が設置座標まで移送される経路を、機体制御システム20が算出する際に用いられる、侵入を回避すべき領域を示す情報であり、例えば、規制範囲の外径を表す複数の座標(x,y,z)情報が含まれても構わない。
【0050】
図2は、規制範囲の一具体例を示す図である。図2に示されるように、例えば、BIMにおいて、足場及びフロア情報等に基づいて、クレーン及び施工部材が侵入を回避すべき領域である規制範囲が算出される。
【0051】
なお、建築物は、日々施工されて、現場の状況は変化するため、例えば、フロアに施工部材が施工されたり、足場が追加又は撤去されたり、機材が持ち込まれたりして、これらに伴って規制範囲も変化する場合がある。後述するクレーン及び/又は治具の稼働ログに基づいて、BIMに格納されている足場及びフロア情報が更新される等、現場の状況が更新されれば、それに伴って規制範囲も更新しても構わない。これにより、適切に規制範囲を回避しながら設置座標に施工部材を設置することができる。
【0052】
また、クレーンについては、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いてブームの位置を測位し、クレーンの動作をリアルタイム監視しても構わない。GNSSを用いてリアルタイム監視することにより、クレーンによって施工部材が設置座標まで移送される際に、適切に規制範囲を回避しながら設置座標に精度良く施工部材を設置することができる。
【0053】
さらに、計画情報生成部120は、建築情報取得部110によって取得された建築情報に基づいて、少なくとも施工部材の設置方向を含む第2計画情報を生成する。具体的には、第2計画情報には、クレーンに付随する治具よって制御される施工部材の識別情報(例えば、ID等)、及び目標となる設置方向が含まれる。
【0054】
なお、計画情報生成部120は、第1計画情報と同様に、建築情報取得部110がBIMから取得した建築情報に含まれる情報をそのまま用いても構わないし、必要に応じて適宜加工することによって、第2計画情報を生成しても構わない。また、計画情報生成部120は、治具制御システム30のインターフェースに適合するように第2計画情報を生成しても構わない。
【0055】
また、計画情報生成部120は、機体制御システム20及び治具制御システム30のいずれにも適合するように、第1計画情報及び第2計画情報には同一の情報を含むように生成し、1種類の計画情報を生成するようにしても構わない。これにより、複数種類の計画情報を生成する必要がなく、処理を簡素化できるとともに生産効率の向上にも繋がる。
【0056】
送信部130は、計画情報生成部120によって生成された第2計画情報を治具制御システム30に送信する(第2送信部)。
【0057】
これにより、治具制御システム30は、第2計画情報に基づいて、クレーンに付随する治具の動作(自動運転)を制御する。例えば、治具制御システム30は、第2計画情報に含まれる設置される施工部材の各種情報に基づいて、当該施工部材の設置方向を制御する。ここで、設置方向とは、水平面上における向き(東西南北)であり、さらに、水平面に対する傾き(傾斜)を含んでも構わない。
【0058】
第2計画情報に、図2を用いて説明した規制範囲情報が含まれていてもよく、治具制御システム30は、当該規制範囲情報に基づいて治具の動作を制御する。例えば、治具制御システム30は、施工部材に形状に応じて方向転換したり、その方向転換のタイミングを調整したりするように、治具の動作を制御することによって、適切に規制範囲を回避しながら設置方向に施工部材を設置することができる。
【0059】
また、例えば、治具制御システム30に動作を制御される治具が、タワークレーンに付随する水平回転治具等の旋回装置である場合、施工部材を吊持するフック周辺にセンサを備え、当該施工部材の方向を監視するようにしても構わない。
【0060】
図3Aは、フック周辺に備えられたセンサによって施工部材の方向を監視する一具体例を示す図である。図3Aにおいて、施工部材を吊持するフックの周辺にセンサ31を備え、吊り上げ場所に、南北方向又は東西方向に2つの基準方位マーカ32が配置され、施工部材の上面に2つの方位計測用マーカ33が配置されている。
【0061】
センサ31は、例えば、TOFカメラ(Time-of-Flight Camera)及びデジタルカメラで構成されており、所定時間間隔で、フックに吊持される施工部材を計測している。ここで、2つの基準方位マーカ32と、2つの方位計測用マーカ33とを比較することにより、施工部材の方向及び位置を把握することができる。
【0062】
また、施工部材の方向及び位置を把握する手段としては、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の測位システムを用いるようにしても構わない。
【0063】
図3Bは、施工部材に2つの移動局を取り付けて、GNSSを用いることによって施工部材の方向及び位置を監視する一具体例を示す図である。図3Bに示されるように、施工部材には、2つの移動局34が取り付けられており、さらに、近傍に、基準局(固定局)35が設置され、RTK(Real Time Kinematic)を用いた測位システムが利用される。
【0064】
2つの移動局34及び基準局35によって、測位衛星からそれぞれ信号を受信して測位情報を取得する。そして、2つの移動局34及び基準局35間で、当該測位情報のやり取りを行い、位置ずれを補正することによって、より高精度な位置情報を把握する。なお、基準局と2つの移動局とは、例えば、それぞれWiFi(登録商標)等で通信されている。RTK等の高精度測位システムを用いれば、逆光及び悪天候の影響を受けずに高精度に施工部材の方向及び位置を把握することができる。
【0065】
なお、ここでは、施工部材の方向及び位置を把握する測位システムとして、RTKを挙げているが、これに限定されるものではなく、施工部材の方向及び位置を把握できるのであれば、その他の測位システムを用いても構わない。
【0066】
このように、フックに吊持された施工部材の方向及び位置を、センサ及び測位システムを用いてリアルタイム監視する。これにより、クレーン及び当該クレーンに付随する治具によって施工部材が設置座標まで移送され、目標となる設置方向に設置される際に、施工部材をより精度良く設置することができる。
【0067】
受信部140は、機体制御システム20から、施工部材の設置状況に関するクレーンの稼働ログを受信する(第1受信部)。例えば、クレーンの稼働ログには、施工部材を識別可能な識別情報、クレーンの動作開始及び終了時刻、及び施工部材の設置座標に関する情報が含まれ、クレーンが施工部材の取り付けを完了した際に、機体制御システム20から当該クレーンの稼働ログが送信される。
【0068】
進捗管理部150は、受信部140によって受信されたクレーンの稼働ログに基づいて、施工計画に対する進捗を管理する。例えば、進捗管理部150は、クレーンの稼働ログに含まれる情報に基づいて施工実績としてBIMに反映し、さらに、BIMに格納されている施工計画に関する情報と施工実績とを比較することによって進捗を管理する。
【0069】
なお、進捗管理部150は、クレーンの稼働ログに含まれる情報をそのままBIMに反映しても構わないし、必要に応じて適宜加工するようにしても構わない。また、進捗管理部150は、以下に示すように視覚的に又は多角的に進捗を表示するために、クレーンの稼働ログに含まれる情報を他のシステムに適宜処理をさせても構わない。
【0070】
進捗管理部150は、プロジェクト全体の進捗、日単位の進捗及びフロア単位の進捗のうち少なくともいずれかを含む進捗を表示する。
【0071】
図4Aは、全体の進捗と日単位の進捗とを表示する一具体例を示す図である。図4Aにおいて、全体の進捗として、取り付ける施工部材の計画数に対する取り付け済みの実績を円グラフを用いて表示している。また、本日の進捗として、本日、取り付ける施工部材の計画数に対する取り付け済みの実績を円グラフを用いて表示している。
【0072】
なお、ここでは、計画に対する実績の割合を、円グラフを用いて、視覚的に把握しやすいように表示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、棒グラフを用いても構わないし、進捗度(前倒し、計画通り、遅延等)に応じて異なる表示色を用いたりしても構わない。
【0073】
図4Bは、全体の進捗として、取り付ける施工部材の計画数と取り付け済みの施工部材の実績数とを表示する一具体例を示す図である。図4Bにおいて、計画数と実績数との累積を時系列的に表示している。これにより、施工部材の取り付け数の推移を把握することができるため、全体の進捗を視覚的に容易に把握することができる。
【0074】
図4Cは、日単位の進捗として、取り付ける施工部材毎に施工開始時刻及び終了時刻を表示する一具体例を示す図である。図4Cにおいて、本日、取り付ける施工部材毎に、取り付け(施工)実績として、施工開始時刻及び終了時刻が表示されている。これにより、本日、取り付ける施工部材のうち、どの施工部材を取り付けたか、取り付けられた施工部材についてどれ程の時間を要したか等を容易に把握することができる。
【0075】
図5Aは、フロア別の進捗を表示する一具体例を示す図である。図5Aにおいて、1Fから順に各フロアの取り付け期間(計画と実績)、取り付ける施工部材の計画数と取り付け完了数、及び進捗率が表示されている。取り付け期間について、実際に施工が進むに従って計画が前倒しになったり、遅延したりする場合があり、その際には、最新の予定として、当初の計画が修正される。なお、計画情報生成部120は、修正された計画に基づいて第1計画情報及び第2計画情報を生成しても構わない。
【0076】
図5Bは、選択されたフロアの進捗の詳細を表示する一具体例を示す図である。図5Bにおいて、例えば、図5Aに示された「3F」が選択され、当該3Fの進捗詳細が表示されている。具体的には、3Fに取り付ける施工部材毎に、取り付け実績として、取付日、開始時刻及び終了時刻等が表示されている。
【0077】
図5A及び図5Bによれば、フロア毎の進捗を全体として容易に把握することができるとともに、各フロアの詳細な進捗も把握することができる。
【0078】
なお、図4A図4C図5A及び図5Bに示される画面は、進捗を表示する画面としてこれらに限定されるものではなく、表示する内容、項目、及び表示態様については、利用者及び状況に応じて、適宜、追加、削除、変更してもよい。
【0079】
また、図4A図4C図5A及び図5Bに示される画面は、それぞれ一画面として表示されても構わないし、全て又は一部を組み合わせて一画面として表示されても構わない。画面の配置等については、利用者に応じて適宜設定しても構わないし、さらには、設定を変更できるようにしても構わない。
【0080】
さらに、受信部140は、機体制御システム20からのクレーンの稼働ログを受信することに加えて、治具制御システム30からも同様に、施工部材の設置状況に関する治具の稼働ログを受信しても構わない(第2受信部)。例えば、治具の稼働ログには、施工部材を識別可能な識別情報、治具の動作開始及び終了時刻、及び施工部材の設置方向に関する情報が含まれ、クレーン及び治具によって施工部材の取り付けが完了した際に、治具制御システム30から当該治具の稼働ログが送信される。
【0081】
進捗管理部150は、受信部140によって受信されたクレーンの稼働ログに加えて治具の稼働ログに基づいて、施工計画に対する進捗を管理しても構わない。例えば、進捗管理部150は、クレーンの稼働ログに含まれる情報に加えて、治具の稼働ログに含まれる情報に基づいて施工実績としてBIMに反映し、さらに、BIMに格納されている施工計画に関する情報と施工実績とを比較することによって進捗を管理する。
【0082】
クレーンの稼働ログに含まれる情報に加えて、治具の稼働ログに含まれる情報を用いることにより、さらに詳細な状況を把握することができ、例えば、図4A図4C図5A及び図5Bを用いて説明した進捗を、より詳細に表示することができる。
【0083】
さらに、進捗管理部150は、クレーンの稼働ログ及び治具の稼働ログに基づいて、主に、施工部材の取付状況に関する進捗を管理するが、その他、例えば、第1計画情報、第2計画情報及び後述する施工部材情報について、生成及び送信に関する進捗を管理しても構わない。具体的には、第1計画情報及び第2計画情報の作成が完了したか否か、当該第1計画情報の機体制御システム20への送信が完了したか否か、当該第2計画情報の治具制御システム30への送信が完了したか否か、より詳細には、規制範囲情報を算出したか否か、当該規制範囲情報を機体制御システム20及び治具制御システム30へ送信したか否かについて、それぞれ管理しても構わない。
【0084】
図6は、本発明の第1実施形態に係る施工情報統合システム100によって実行される施工情報統合方法M100の処理の流れを示すフローチャートである。図6において、施工情報統合方法M100は、施工情報統合システム100に含まれるプロセッサにより実行されるステップS110~S150を含む。
【0085】
ステップS110において、建築情報取得部110は、建築情報を取得する。例えば、建築情報取得部110は、BIMに格納されている情報から当該建築情報を取得する。
【0086】
ステップS120において、計画情報生成部120は、ステップS110で取得した建築情報に基づいて第1計画情報(第2計画情報)を生成する。例えば、計画情報生成部120は、BIMから取得した建築情報に含まれる情報について、データ漏れ及び形式不備等がないかをチェックする。これにより、計画情報生成部120は、ステップS110で取得した建築情報に基づいて、例えば、機体制御システム20(治具制御システム30)のインターフェースに適合するように、適切に第1計画情報(第2計画情報)を生成する。
【0087】
典型的には、施工部材及び施工計画に関する情報は、予めBIMに格納されており、これらの情報について、データ漏れ及び形式不備等がないかをチェックしながら、そのまま又は加工することによって、適切に第1計画情報(第2計画情報)が生成される。
【0088】
一方、計画情報生成部120は、BIM以外の他のシステムから施工部材及び施工計画に関する情報を取得し、当該情報をそのまま又は加工することによって第1計画情報(第2計画情報)を生成しても構わない。例えば、計画情報生成部120は、汎用的なアプリケーションソフトを用いて生成された情報に基づいて第1計画情報(第2計画情報)を生成する。第1計画情報(第2計画情報)を生成するために必要な情報を汎用的なアプリケーションソフトを用いて作成することができるため、専門的な高度な操作及び知識を有しない利用者であっても容易に施工情報統合システム100を利用することができる。普段使い慣れたアプリケーションソフトを用いてデータの修正及び変更等ができるため、施工情報統合システム100の利便性が向上する。
【0089】
ステップS130において、送信部130は、ステップS120で生成した第1計画情報(第2計画情報)を機体制御システム20(治具制御システム30)に送信する。
【0090】
ステップS140において、受信部140は、機体制御システム20(治具制御システム30)から、クレーンの稼働ログ(治具の稼働ログ)を受信する。例えば、機体制御システム20(治具制御システム30)は、クレーン(治具)が施工部材の取り付けを完了した際にクレーンの稼働ログ(治具の稼働ログ)を施工情報統合システム100に送信する。そして、受信部140は、当該クレーンの稼働ログ(治具の稼働ログ)を受信する。
【0091】
ステップS150において、進捗管理部150は、ステップS140で受信したクレーンの稼働ログ(治具の稼働ログ)に基づいて、施工計画に対する進捗を管理する。例えば、進捗管理部150は、施工実績としてBIMに反映し、BIMに格納されている施工計画と施工実績とを比較することによって進捗を管理する。そして、進捗管理部150は、利用者に対して視覚的に把握し易いように進捗状況を示す画面を表示する。
【0092】
また、進捗管理部150は、施工実績としてBIMに反映し、進捗状況を示す画面を表示する処理等に関しては、例えば、BIM等の他のシステムに担わせても構わない。
【0093】
以上のように、本発明の第1実施形態に係る施工情報統合システム100及び施工情報統合方法M100によれば、建築情報取得部110が建築情報を取得し、計画情報生成部120が当該建築情報に基づいて第1計画情報(第2計画情報)を生成し、送信部130が当該施工情報統合システム100とは別系の機体制御システム20(治具制御システム30)に第1計画情報(第2計画情報)を送信する。これにより、機体制御システム20は、第1計画情報に基づいてクレーンの動作を制御することができ、治具制御システム30は、第2計画情報に基づいて治具の動作を制御することができる。すなわち、施工情報統合システム100は、クレーン(治具)の自動運転を適切にサポートすることができる。
【0094】
さらに、受信部140がクレーンの稼働ログ(治具の稼働ログ)を受信し、進捗管理部150が当該クレーンの稼働ログ(治具の稼働ログ)に基づいて進捗を管理する。これにより、施工情報統合システム100は、クレーン(治具)の動作を、進捗管理も含めて適切にサポートすることができる。また、進捗管理部150が進捗状況を示す画面を表示するため、利用者にとっても進捗状況が視覚的に把握し易くなっている。
【0095】
なお、本実施形態では、施工情報統合システム100は、1つのクレーンの動作を制御する機体制御システム20と当該クレーンに付随する治具を制御する治具制御システム30とに対して、データの送受信を行っていたが、機体制御システム20と治具制御システム30とが相互にデータを送受信しても構わない。
【0096】
例えば、施工情報統合システム100と機体制御システム20とが相互にデータのやり取りを行い、治具制御システム30は、機体制御システム20とデータのやり取りを行う。施工情報統合システム100が機体制御システム20に送信する第1計画情報に治具制御システム30が用いる、施工部材の設置方向に関する情報(第2計画情報)を含むようにすればよい。また、治具制御システム30の治具の稼働ログについても、機体制御システム20のクレーンの稼働ログに含むようにして、機体制御システム20から施工情報統合システム100に送信するようにすればよい。
【0097】
クレーンと、当該クレーンに付随する治具とが動作するに際して、機体制御システム20と治具制御システム30とが相互にデータのやり取りを行うことによって、より適切に、クレーン及び治具を制御することができる。
【0098】
また、複数のクレーンの動作を制御する場合、施工情報統合システム100が各クレーンを制御する機体制御システムそれぞれとデータのやり取りを行っても構わないし、各クレーン間でデータのやり取りを行っても構わない。いずれにしても、施工情報統合システム100において、データが統合管理されているため、複数のクレーンの動作を制御する場合であっても時系列的に各クレーンの動作を適切に制御し、相互干渉することを低減することができる。
【0099】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態では、第1実施形態で説明した施工情報統合システム100に加えて、施工部材情報を取得及び確認する施工部材情報取得部及び端末装置について説明する。本実施形態では、主に、本発明の第1実施形態と異なる構成について詳しく説明し第1実施形態と共通の事柄についての記述を省略又は簡略化する。
【0100】
図7は、本発明の第2実施形態に係る施工情報統合システム200を示すシステム構成図である。図7において、施工情報統合システム200は、機体制御システム20、治具制御システム30及び端末装置40とデータの送受信を行う。
【0101】
端末装置40は、現場で作業する作業者が携帯する端末装置であって、例えば、タブレット、スマートホン又はその他携帯可能な表示画面を有する端末装置等である。端末装置40は、後述する施工部材情報を施工情報統合システム100から受信して、当該端末装置40の表示画面に表示したり、施工部材に取り付けられているRFIDタグを読み込んだり、施工準備が完了した旨を示す情報を施工情報統合システム100に送信したりする。
【0102】
施工情報統合システム200は、建築情報取得部110と、計画情報生成部120と、送信部130と、受信部140と、進捗管理部150と、施工部材情報取得部210を備える。
【0103】
施工部材情報取得部210は、識別可能な識別情報が付与された施工部材に関する施工部材情報を取得する。例えば、施工部材情報取得部210は、部材管理システム11に格納されている施工部材情報を取得する。施工部材情報には、具体例としては、識別情報(例えば、ID等)、物件名、棟名、階数、施工部材名及び施工部品図面等が含まれる。
【0104】
図8は、施工部材情報の一具体例を示す図である。図8において、施工部材に関する情報及び図面が画面に表示されているが、施工情報統合システム200において、画面表示することにより、施工部材に関する情報及び図面を確認したり、当該施工部材に関する施工部材情報を、部材管理システム11から取得したか、端末装置40に送信したか、機体制御システム20に送信したか、当該施工部材の取り付けを完了したか等のステータスを確認したりすることもできる。
【0105】
計画情報生成部120は、建築情報取得部110によって取得された建築情報、及び施工部材情報取得部210によって取得された施工部材情報に基づいて第1計画情報を生成する。また、計画情報生成部120は、第1実施形態で示されたように、建築情報に基づいて少なくとも施工部材の設置座標及び設置順序を含む第1計画情報を生成し、別個に、施工部材情報を付加する態様にしても構わない。
【0106】
いずれにしても、施工部材に関する具体的かつ詳細な情報を、施工部材の設置座標及び設置順序に付加することができる。
【0107】
そして、送信部130は、第1計画情報とともに、又は別個に、施工部材情報を機体制御システム20に送信する。機体制御システム20では、第1計画情報に含まれる、又は付加される施工部材情報に基づいて、クレーンの動作を制御しても構わない。例えば、機体制御システム20は、第1計画情報に含まれる、又は付加される施工部材情報に基づいて、当該施工部材が目標となる設置座標まで移送される経路を計算するが、施工部材に関する具体的かつ詳細な情報を把握できるため、より精度良く経路を計算することができる。
【0108】
また、計画情報生成部120は、施工部材情報に基づいて、規制範囲もより精度良く把握することができる。その結果、機体制御システム20は、より適切にクレーンの動作を制御することができる。
【0109】
送信部130は、施工部材情報を端末装置40に送信する(第3送信部)。例えば、送信部130は、端末装置40からの要求に基づいて施工部材情報を送信しても構わないし、第1計画情報に含まれる設置予定日の施工部材に関する施工部材情報を所定の日時に送信しても構わない。
【0110】
図9は、端末装置40に表示される施工部材情報の一具体例を示す図である。図9に示されるように、例えば、取付予定日及びフロア毎の施工部材情報が一覧表示され、作業者によって、一覧表示された施工部材情報のうち1つが選択されると、当該選択された施工部材に関する施工部材情報及び図面が表示される。このように、作業者は、端末装置40にて受信した施工部材情報を確認することができる。
【0111】
また、現場に運搬される施工部材には、例えば、RFIDタグ等を用いて、一意の識別情報が付与されている。現場において、作業者は、端末装置40に含まれる、又は別装置としてのRFIDタグ読み取り機を用いて、施工部材に付与されたRFIDタグを読み取る。これにより、クレーンによって取り付けられる施工部材について、取り間違えられる可能性を低減することができる。
【0112】
さらに、現場においては、クレーンによって揚重される施工部材について、作業者が施工部材をクレーンのフックに取り付けることにより、揚重準備が行われる。ここで、作業者は、クレーンのフックに施工部材を取り付けて揚重準備が完了した旨を、例えば、端末装置40における「準備完了」ボタンを押下することにより、施工情報統合システム200に通知する。
【0113】
受信部140は、施工部材に付与された識別可能な識別情報を、端末装置40により確認された旨を示す準備完了情報を受信する(第3受信部)。
【0114】
送信部130は、準備完了情報及び第1計画情報に基づいて、クレーンの動作を開始する旨を示す開始指令を機体制御システム20に送信する。機体制御システム20は、当該開始指令を受信することに従って、クレーンの動作を開始させて、フックに取り付けられた施工部材を設置座標まで移送するようにクレーンの動作を制御する。
【0115】
また、作業者には、現場において、揚重準備として、例えば、マーカを取り付ける作業を行うようにしても構わない。ここで、マーカとは、第1実施形態において、図3Aを用いて説明したように、施工部材の方向を監視するために備えるものであって、現場において、施工部材を吊持する前に、適切な位置に貼付することが好ましい。
【0116】
例えば、現場において、作業者は、図3Aに示されたように、基準方位マーカ32に合わせて、吊持される施工部材の適切な位置に方位計測用マーカ33を貼付する。なお、端末装置40の表示画面において、施工部材の図面を表示しつつ、マーカの種類、貼付位置、貼付手順等、マーカの貼付に関する具体的な詳しい手順等を表示するようにしても構わない。
【0117】
また、施工部材の方向及び位置を監視するための手段として、図3Bを用いて説明したGNSS等の測位システムを用いる場合には、作業者は、現場において、揚重準備として、例えば、施工部材に移動局34を取り付ける作業を行うようにすればよい。なお、施工部材に取り付けられる移動局34は、2つに限定されるものではなく、例えば、1つであっても構わないし、3つ以上であっても構わない。施工部材の種類、大きさ、形状、要求される方向及び位置の精度等に応じて、適切に設定されればよい。
【0118】
なお、送信部130は、治具制御システム30に対しても同様に開始指令を送信しても構わない。
【0119】
図10は、本発明の第2実施形態に係る施工情報統合システム200によって実行される施工情報統合方法M200の処理の流れを示すフローチャートである。図10において、施工情報統合方法M200は、施工情報統合システム200に含まれるプロセッサにより実行されるステップS110~S150、及びステップS210~S230を含む。施工情報統合方法M200は、第1実施形態において図6を用いて説明した施工情報統合方法M100と比べて、クレーン動作の前に、ステップS210~S230を含む。
【0120】
ステップS210において、送信部130は、施工部材情報を端末装置40に送信する。具体的には、端末装置40からの要求又は所定の日時に、送信部130は、例えば、その日、設置予定の施工部材に関する施工部材情報を端末装置40に送信する。
【0121】
ステップS220において、受信部140は、準備完了情報を受信する。例えば、現場において、作業者が、揚重される施工部材にマーカを貼付し、フックに取り付けて、揚重準備を完了させた後、端末装置40を操作することによって、準備完了情報を施工情報統合システム100に送信する。受信部140は、端末装置40からの当該準備完了情報を受信する。
【0122】
ステップS230において、送信部130は、開始指令を送信する。例えば、受信部140によって受信された準備完了情報に基づいて、送信部130は、準備が完了した施工部材を揚重するように、機体制御システム20に対して開始指令を送信する。
【0123】
ここで、施工情報統合システム200では、第1計画情報及びそれに含まれる規制範囲情報、及び施工部材情報取得部210によって部材管理システム11から取得された施工部材情報を機体制御システム20に送信するが、これらの情報が機体制御システム20に送信済みであることを確認した上で、開始指令を機体制御システム20に送信するようにしても構わない。
【0124】
これにより、例えば、第1計画情報又は規制範囲情報を、施工情報統合システム200から機体制御システム20に適切に送信していない状況で、クレーンの動作が開始されることを回避することができる。
【0125】
また、送信部130は、治具制御システム30にも開始指令を送信しても構わないし、機体制御システム20と治具制御システム30とが連携することにより、治具制御システム30は、機体制御システム20から開始指令を受信するようにしても構わない。
【0126】
以上のように、本発明の第2実施形態に係る施工情報統合システム200及び施工情報統合方法M200によれば、施工部材情報取得部210が施工部材情報を取得し、計画情報生成部120が当該施工部材情報を含めて、又は別個に第1計画情報(第2計画情報)を生成し、送信部130が当該施工情報統合システム200とは別系の機体制御システム20(治具制御システム30)に第1計画情報(第2計画情報)を送信する。そして、送信部130が、当該施工部材情報を端末装置40に送信し、受信部140が準備完了情報を受信する。送信部130は、当該準備完了情報に基づいて開始指令を機体制御システム20(治具制御システム30)に送信する。これにより、機体制御システム20(治具制御システム30)は、現場において適切に準備が完了した上で、クレーン(治具)の動作を制御することができる。すなわち、施工情報統合システム200は、クレーン(治具)の自動運転を適切にサポートすることができる。
【0127】
以上、本発明の各実施形態についての具体的な説明を行ったが、あくまで実施形態としての説明である。上記説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定的に解釈させるものではない。本発明の範囲は、各実施形態に留まらず、当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0128】
11…部材管理システム、20…機体制御システム、30…治具制御システム、31…センサ、32…基準方位マーカ、33…方位計測用マーカ、34…移動局、35…基準局、40…端末装置、100,200…施工情報統合システム、110…建築情報取得部、120…計画情報生成部、130…送信部、140…受信部、150…進捗管理部、210…施工部材情報取得部、M100,M200…施工情報統合方法、S110~S150,S210~S230…施工情報統合方法M100及びM200の各ステップ
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10