(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】液体ブリッジを備えたマルチサイフォン受動冷却システム
(51)【国際特許分類】
F03D 80/60 20160101AFI20240826BHJP
H01F 27/10 20060101ALI20240826BHJP
H02S 40/42 20140101ALI20240826BHJP
【FI】
F03D80/60
H01F27/10
H02S40/42
(21)【出願番号】P 2022575709
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(86)【国際出願番号】 US2020036905
(87)【国際公開番号】W WO2021251957
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】513131419
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック レノバブレス エスパーニャ, エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】シアガラジャン,ナヴィーナン
(72)【発明者】
【氏名】ピーター,アンドリュー・マックスウェル
(72)【発明者】
【氏名】サラマー,サミール
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0226461(US,A1)
【文献】特開2014-074568(JP,A)
【文献】特開2005-090852(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0202421(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0177041(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0373776(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 1/00-80/80
H01F 27/10
H02S 40/42
F25B 41/10
F28D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動冷却システムであって、
二相冷却媒体と、
エンクロージャ内に設置された発熱部品に熱的に接続された熱交換器と、
熱交換器の下に配置された分配マニホールドと、
熱交換器、分配マニホールド、および凝縮ユニットに流体的に接続される第1の導管と、
凝縮ユニットと分配マニホールドに流体的に接続された第2の導管と、
エンクロージャの外部で熱交換器の上部に配置され、第1の導管から二相冷却媒体を受け取り、第2の導管へ二相冷却媒体を送る凝縮ユニットと、
第1の導管および第2の導管または分配マニホールドに流体的に接続された液体ブリッジと、
を含み、
二相冷却媒体は、第1の導管、液体ブリッジ、凝縮ユニット、第2の導管、熱交換器、および分配マニホールドによって画定されるループを循環
し、
液体ブリッジが、液体状態の冷却媒体を、第1の導管から第2の導管または分配マニホールドに
凝縮ユニットを通さずに移送する、受動冷却システム。
【請求項2】
複数の発熱部品に熱的に接続された複数の熱交換器と、分配マニホールドと凝縮ユニットとの間に互いに並列に接続された複数の第1の導管とを備え、複数の第1の導管の各々は、複数の熱交換器のうちの1つと流体的に接続されている、請求項1に記載の受動冷却システム。
【請求項3】
第1の導管の1つに沿って直列に接続された2つ以上の熱交換器を備える、請求項1または2に記載の受動冷却システム。
【請求項4】
複数の第1の導管および第2の導管または分配マニホールドに流体的に接続された複数の液体ブリッジを備える、請求項1乃至3のいずれかに記載の受動冷却システム。
【請求項5】
複数の液体ブリッジのうちの1つは、複数の第1の導管および第2の導管または分配マニホールドの各々に流体的に接続されている、請求項1乃至4のいずれかに記載の受動冷却システム。
【請求項6】
液体ブリッジが、第1の導管と第2の導管または分配マニホルドとの間に傾斜した角度で配置された管状部材を含む、請求項1乃至5のいずれかに記載の受動冷却システム。
【請求項7】
管状部材は、少なくとも1つのトラップを備える、請求項6に記載の受動冷却システム。
【請求項8】
エンクロージャは、風力タービンまたは太陽光発電システムのナセルである、請求項1乃至7のいずれかに記載の受動冷却システム。
【請求項9】
風力タービンであって、
タワーと、
タワーの上に取り付けられ、密閉された内部容積を画定するナセルと、
回転可能なハブとそれに取り付けられた少なくとも1つのロータブレードを備え、ナセルに取り付けられたロータと、
ナセルの内部容積内に配置された少なくとも1つの発熱部品と、
ナセルの内部容積を冷却するための受動冷却システムと、を含み、
受動冷却システムは、
二相冷却媒体と、
少なくとも1つの発熱部品に熱的に接続された熱交換器と、
発熱部品の下方に配置された分配マニホールドと
、
少なくとも1つの発熱部品に熱的に接続され、分配マニホールドおよび凝縮ユニットに流体的に接続された第1の導管と、
凝縮ユニットと分配マニホールドとに流体的に接続された第2の導管と、
ナセルの外部で発熱部品の上方に配置され、第1の導管から二相冷却媒体を受け取り、第2の導管へ二相冷却媒体を送る凝縮ユニットと、
第1の導管および第2の導管または分配マニホールドに流体的に接続された液体ブリッジと、
を備え、
二相冷却媒体は、第1の導管、液体ブリッジ、凝縮ユニット、第2の導管、熱交換器、および分配マニホールドによって画定されるループを循環
し、
液体ブリッジが、液体状態の冷却媒体を、第1の導管から第2の導管または分配マニホールドに
凝縮ユニットを通さずに移送する、風力タービン。
【請求項10】
複数の発熱部品に熱的に接続された複数の熱交換器と、分配マニホールドと凝縮ユニットとの間に互いに並列に接続された複数の第1の導管とを備え、複数の第1の導管の各々は、複数の熱交換器のうちの1つと流体的に接続されている、、請求項9に記載の風力タービン。
【請求項11】
第1の導管の1つに沿って直列に接続された2つ以上の熱交換器を備える、請求項9または10に記載の風力タービン。
【請求項12】
複数の第1の導管および第2の導管または分配マニホールドに流体的に接続された複数の液体ブリッジを備える、請求項9乃至11のいずれかに記載の風力タービン。
【請求項13】
複数の液体ブリッジのうちの1つは、複数の第1の導管および第2の導管または分配マニホールドの各々に流体的に接続されている、請求項9乃至12のいずれかに記載の風力タービン。
【請求項14】
液体ブリッジが、第1の導管と第2の導管または分配マニホルドとの間に傾斜した角度で配置された管状部材を含む、請求項9乃至13のいずれかに記載の風力タービン。
【請求項15】
管状部材は、少なくとも1つのトラップを備える、請求項14に記載の風力タービン。
の風力発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に風力タービンに関し、より詳細には、風力タービン用のマルチサイフォン受動冷却システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
風力発電は、最もクリーンで環境に優しいエネルギー源の一つと考えられており、風力タービンはこの点で注目されている。風力タービン(風力発電機)は、タワー、発電機、ギアボックス、ナセル、および1枚以上のロータブレードから構成されている。ロータブレードは、既知のホイルの原理を利用して風の運動エネルギーを取り込む。ロータブレードは、ロータブレードをギアボックスに、あるいはギアボックスが使用されていない場合は発電機に直接結合しているシャフトを回転させるように、運動エネルギーを回転するエネルギーの形で伝達する。発電機は、機械的エネルギーを電気エネルギーに変換し、電力網に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
電力の変換には多くの公知の装置(発電機、整流器、インバータ、変圧器など)が使用される。整流器は交流(AC)を直流(DC)に変換するために使用され、インバータは直流電流を交流電流に変換するために使用される。整流器やインバータは、太陽光発電所や風力発電所などの再生可能エネルギー発電設備で使用される全電力変換装置(full power conversion assemblies:すなわちパワーコンバータ)に組み込まれるのが一般的である。これらの装置は、発電時に大量の熱を発生させるのが一般的である。少なくともいくつかの既知の発電装置は、主要な発熱部品(熱生成コンポーネント)を冷却するために液体冷却システムを使用している。これらの液体冷却システムは、パワーデバイスを冷却するための作動液体を圧送するためのアクティブポンプを含み、これらのシステムは、ファンおよびバルブも含むことができる。このようなシステムにおいて、液体冷却システムの2つ以上の分岐における作動流体(working liquid)の流量を維持することは、他の分岐における作動流体の流れに対する低い抵抗と比較して、いくつかの分岐における作動流体の流れに対する高い抵抗のために問題がある場合がある。
【0005】
ポンプ、ファンおよび/またはバルブを使用する液冷システムは、アクティブシステム(能動システム)に分類される。アクティブという用語は、ポンプによる液体冷却媒体の循環、またはファンによる強制的な空気の流れの機械的な動作を指す。すべてのアクティブシステムには定期的なメンテナンスが必要であり、これはシステムの信頼性を高めるために重要である。例えば、ポンプが故障すると、冷却システム全体が熱を発生する部品を十分に冷却することができなくなる。このことは、アクセスやメンテナンスの機会が限られる洋上風力タービンでは特に問題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の特徴および利点は、以下の説明で部分的に述べられるか、または説明から明らかであるか、または本発明の実施を通じて知ることができるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、本開示は、受動冷却システム(パッシブ冷却システム)を対象とする。受動冷却システムは、エンクロージャ内に位置する発熱部品に熱的に結合された熱交換器と、熱交換器の下に位置する分配マニホールドと、エンクロージャの外部で熱交換器の上に位置する凝縮ユニット(condensing unit)と、熱交換器に熱的に接続された第1の導管と、を含む。第1の導管は、分配マニホールドと凝縮ユニットとに流体的に接続されている。冷却システムはまた、凝縮ユニットと分配マニホールドに流体接続された第2の導管と、第1の導管と第2の導管または分配マニホールドに流体接続された液体ブリッジと、第1の導管、液体ブリッジ、凝縮ユニット、第2の導管、熱交換器、および分配マニホールドによって規定されるループを通って循環する二相冷却媒体(two-phase cooling medium)を含む。このように、液体ブリッジは、液体状態の冷却媒体を第1の導管から第2の導管または分配マニホールドに移送する。
【0008】
実施形態において、冷却システムは、複数の発熱部品に熱的に接続された複数の熱交換器と、分配マニホールドと凝縮ユニットとの間に並列に接続された複数の第1の導管とを含んでもよい。このような実施形態では、複数の第1の導管の各々は、複数の熱交換器のうちの1つと流体的に接続されてもよい。別の実施形態では、冷却システムは、第1の導管の1つに沿って直列に接続された2つ以上の熱交換器を含んでもよい。
【0009】
さらなる実施形態では、冷却システムは、複数の第1の導管および第2の導管または分配マニホールドに流体接続された複数の液体ブリッジを含むこともできる。
【0010】
追加の実施形態において、複数の液体ブリッジのうちの1つは、複数の第1の導管及び第2の導管の各々又は分配マニホールドに流体的に接続されてもよい。
【0011】
特定の実施形態において、液体ブリッジは、第1の導管と第2の導管又は分配マニホルドとの間に傾斜した角度で配置された管状部材であってよい。代替の実施形態において、管状部材は、少なくとも1つのトラップを含んでもよい。
【0012】
実施形態において、エンクロージャは、風力タービンまたは太陽光発電システムのナセルを含んでもよい。このような実施形態では、凝縮ユニットは、ナセルの頂部に固定されてもよい。別の実施形態では、発熱部品(複数可)は、発電機ロータ、発電機ステータ、ギアボックス、変圧器、インバータ、コンバータ、またはそれらの組合せを含んでもよい。さらに別の実施形態では、冷却システムは、エンクロージャ内のポンプまたはファンを欠いていてもよい。エンクロージャ内にポンプもファンも有していない冷却システムが提供できる。
【0013】
別の態様において、本開示は、風力タービンを対象としている。風力タービンは、タワーと、タワーの頂上に取り付けられ、囲まれた内部容積を画定するナセルと、ナセルに取り付けられ、回転可能なハブ及びそれに取り付けられた少なくとも1つのロータブレードを有するロータと、ナセルの内部容積内に配置された少なくとも1つの発熱部品と、ナセルの内部容積を冷却する受動冷却システムとを含んでいる。冷却システムは、少なくとも1つの発熱部品に熱的に結合された熱交換器と、熱交換器の下に位置する分配マニホールドと、ナセルの外部で熱交換器の上に位置する凝縮ユニットと、熱交換器、分配マニホールドおよび凝縮ユニットに流体接続された第1の導管と、凝縮ユニットと分配マニホールドに流体接続された第2の導管と、第1の導管と第2の導管または分配マニホールドに流体接続された液体ブリッジと、第1の導管、液体ブリッジ、凝縮ユニット、第2の導管、熱交換器、分配マニホールドによって画定されたループを通って循環する二相冷却媒体とを備えている。したがって、液体ブリッジは、液体状態の冷却媒体を第1の導管から第2の導管または分配マニホールドに移送する。風力タービンは、本明細書に記載された追加の特徴のいずれかを含むこともできることをさらに理解されたい。
【0014】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、以下の説明および添付の請求項を参照することにより、よりよく理解されるであろう。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を示し、説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つものである。
【0015】
当業者に向けられた、その最良の態様を含む本発明の完全かつ有効な開示は、添付の図を参照する明細書に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示による風力タービンの一実施形態を示す透視図である。
【
図2】本開示による冷却システムの一実施形態を示す概略図である。
【
図3】本開示による冷却システムの他の実施形態を示す概略図である。
【
図4】本開示による第1の導管と、発熱部品に熱的に接続された熱交換器とを示す概略図である。
【
図5】本開示による受動冷却システムのさらに別の実施形態の概略図であり、特に、第1の導管および分配マニホールドに流体的に接続された液体ブリッジを図示している。
【
図6】本開示による受動冷却システムの液体ブリッジの一実施形態の概略図である。
【
図7】本開示による受動冷却システムの他の実施形態を示す概略図である。
【
図8】本開示による受動冷却システムの液体ブリッジの別の実施形態の概略図である。
【
図9】本開示による受動冷却システムのさらに別の実施形態の概略図であり、特に、複数の第1の導管および分配マニホールドに流体接続された複数の液体ブリッジを図示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態について詳細に言及するが、その1つ以上の例が図面に示されている。各実施例は、本発明の説明のために提供されるものであり、本発明を限定するものではない。実際、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明において様々な修正および変形を行うことができることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として図示または説明された特徴は、別の実施形態と共に使用して、さらに別の実施形態を得ることができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に入るような修正および変形を包含することを意図している。
【0018】
一般に、本開示は、発熱部品を冷却するための少なくとも1つの液体ブリッジを有するマルチサイフォン冷却システムに向けられている。本明細書に記載される冷却システムは、風力タービンに特に適している場合がある。しかし、冷却システムは、太陽光、水力、エネルギー貯蔵など、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、追加の用途にも適している可能性があることを理解されたい。
【0019】
一般に熱サイフォン(thermosiphon:サーモサイフォン)とは、液体から蒸気への相変化(例えば沸騰)によって電気機械や電子部品から熱を放散させる受動的な単相または二相冷却システムのことを指す。液体と蒸気の混合物は浮力により受動的に上昇し、凝縮器に至り、そこで混合物は液体に戻り、重力により再び発熱部品に流れ落ちる。このサイクルは、部品から熱を受動的に除去し続ける。本開示では、この概念を、それぞれがそれに関連する熱交換器を有する複数の発熱部品に拡張し、それらを並列/直列構成で接続して、受動的な高熱伝達冷却システム(マルチサイフォンと呼ぶ)を形成している。実施形態において、冷却システムは、完全に受動的であってもよく、したがって、例えばエンクロージャ内で冷却流体を循環させるためのポンプもファンも必須ではない。したがって、風力タービン機械ヘッドにマルチサイフォンシステムを提供することによって、ポンプ及び/又はブロワを排除し、熱交換器のサイズを小さくし、それによって機械ヘッドの全体の体積及び重量を減少させることができる。また、冷却液の循環に必要な電力が不要になる。このように、本明細書に記載された冷却システムは、信頼性が高く、メンテナンスが必要であるとしても、ほとんど必要ない。
【0020】
本明細書で議論される態様は、1つ以上の冷却ループを含む熱サイフォンを有する冷却及び放熱システムを開示し、各冷却ループは、発熱部品と熱的に結合された少なくとも1つの熱交換器を含む。このような冷却システムは、例えば、風力タービン、太陽光発電システムなどの電力コンバータ(電力変換器)、インバータ、変圧器、ギアボックス、または発電機の熱管理に使用することができる。さらに、冷却及び放熱システムは、密閉型モータ(例えば、ピッチ又はヨードドライブ)等の熱管理に用いられてもよい。冷却システムは、第1の導管、凝縮ユニット、第2の導管、分配マニホールド、及び、ループに接続された少なくとも1つの液体ブリッジを含む。液体ブリッジは、蒸発器からの液体-蒸気上昇塔(ライザー:riser)と液体凝縮下降塔(ダウンカマー:downcomer)の間の流体接続を意味する。このように、液体ブリッジは上昇する液-蒸気混合物から液体を分離し、入口側に戻す役割を果たす。また、液体ブリッジは、流体のための並列経路を提供することにより、システム内の圧力損失を低下させる。ブリッジは、斜めに傾いた単一のチューブでライザーとダウンカマーをつなぐか、熱源(蒸発器など)ごとに少なくとも1つまたは複数のブリッジをつなぐことができる。ブリッジは、液体-蒸気分離を改善するために、Pトラップなどの1つ以上のトラップによって強化することも可能である。さらに、本開示の液体ブリッジは、蒸発器を通って流れる総冷媒質量流量を低減し、したがって、蒸発器の熱負荷を低減し、それによって、そのサイズ及び/又はコストを低減することもできる。
【0021】
凝縮器は、発熱部品に関連する第1及び第2の導管及び熱交換器の上方に配置される。本明細書で使用される「上方」という用語は、凝縮器が第1の導管及び発熱部品に対して物理的に高い位置に配置されることを意味することに留意されたい。したがって、凝縮器は、第1の導管から二相流体を受け取り、抽出された熱を周囲雰囲気に放散して単相流体を生成するために使用される。本明細書では、「単相流体」という用語は、液体媒体を指すことに留意されたい。同様に、用語「二相流体」は、液体媒体と気体媒体の混合物又は気体媒体のみを指す場合がある。
【0022】
ここで図面を参照すると、
図1は、風力タービン10の側面図を示している。図示されるように、風力タービン10は、一般に、支持面14(例えば、地面、コンクリートパッド、海上プラットフォーム、または他の任意の適切な支持面)から延びるタワー12を含む。さらに、風力タービン10は、タワー12に取り付けられたナセル16と、ナセル16に結合されたロータ18とを含むこともできる。ロータ18は、回転可能なハブ20と、ハブ20に結合され、ハブ20から外側に延びる少なくとも1つのロータブレード22とを含む。例えば、ロータ18は、(図示のように)3つのロータブレード22を含んでもよい。しかしながら、ロータ18は、3つよりも多い又は少ないロータブレード22を含んでもよい。各ロータブレード22は、ロータ18を回転させて風の運動エネルギーを使用可能な機械エネルギー、次いで電気エネルギーに変換できるようにするために、ハブ20に対して間隔を空けて配置されている。例えば、ハブ20は、ナセル16内に配置された電気発電機(図示せず)に回転可能に結合されて、電気エネルギーが生成されることを可能にする。
【0023】
ここで
図2を参照すると、本開示による受動冷却システム200の一実施形態の概略図が図示されている。風力タービンのナセル(またはエンクロージャ)16内の様々な構成要素は、冷却される必要がある。例えば、そのような熱を発生する構成要素は、変圧器201、コンバータ202、ギアボックス203、又は発電機204(発電機ロータ及び/又は発電機ステータの両方を含む)を含むことができる。
図2に示された特定の構成要素は一例であり、ナセルは、特定の発熱構成要素を省略してもよいし、他の構成要素を追加してもよい。例えば、ダイレクトドライブ風力タービンは、ロータが発電機に直接接続されているため、ギアボックスを有さず、本実施形態ではギアボックスが省略されることになる。
図2に示すように、すべての発熱部品201-204は、エンクロージャ16内に配置または収容される。
【0024】
各発熱部品201-204は、第1の導管210’、210’’、210’’’に熱的に接続され、第1の導管は、エンクロージャ16の外部で発熱部品201-204の上に位置する分配マニホールド220及び凝縮ユニット230に流体的に接続されている。第2の導管240は、凝縮ユニット230と分配マニホールド220とに流体的に接続されている。導管210、240の1つ以上には、発熱部品201-204から熱エネルギーを吸収して発熱すると気体状になって上昇し、凝縮ユニット230で冷却すると冷却媒体が液体状に戻る二相冷却媒体が収容されている。
【0025】
第1のループは、第1の導管210’、変圧器201、凝縮ユニット230、第2の導管240、及び分配マニホールド220で構成される。第2のループは、第1の導管210’’、コンバータ202、凝縮ユニット230、第2の導管240、および分配マニホールド220で構成される。第3のループは、第1の導管210’’’、ギアボックス203、発電機204、凝縮ユニット230、第2の導管240、及び分配マニホールド220で構成される。複数の第1の導管210’、210’’、210’’’は、分配マニホールドと凝縮ユニットとの間に並列流路を形成する。個々の経路は、第1の導管210’’’とギアボックス203と発電機204とで示すように、直列に接続された発熱部品を有していてもよい。冷却媒体は、分配マニホールド220において液体状態であり、重力が液体冷却媒体を集めて分配マニホールド220に戻すのに使用されるので、分配マニホールド220はシステムにおいて最も低位置の要素である。液体冷却媒体は、第1の導管210’、210’’、210’’’の下側部分にも存在する。風力タービン10が作動すると、発熱部品201-204が熱を発生し、それが冷却媒体に伝達される。冷却媒体は、気体状態に相変化し、気体が凝縮ユニット230に向かって第1の導管210’、210’’、210’’’内を上昇する際に、自然に熱サイフォンを形成することになる。
【0026】
前述のように、凝縮ユニット230は、エンクロージャ16(又はナセル)の外部に配置され、風による自然対流冷却に曝される。いくつかの実施形態では、凝縮ユニット230は、二相流体又はガスと周囲空気との間の熱伝達を強化するために、ナセル16の外部にファンを含むこともできる。このようなシステムは、ナセル内部に存在する発熱部品から全ての熱を除去するには風速が不十分である場合に有用である可能性がある。凝縮ユニット230内の気体冷却媒体は、冷却されて、気体状態よりも高密度である液体状態に相変化して戻る。この液体冷却媒体は、第2の導管240を通って分配マニホールド220に向かって流れる。対流の自然力(natural forces of convection)は、冷却媒体の循環の駆動力となる。高温の蒸気は凝縮ユニット230まで上昇し、低温の液体は第2の導管240を経由して分配マニホールド220に流れる。したがって、冷却システム200は、システム200全体、すなわちナセル16内で冷却媒体を循環させるために、ポンプまたはファンを使用する必要がない。より高温の発熱部品(hotter components)はまた、第1の導管210’、210’’、210’’’を通過する冷却媒体の流量を自己制御する。
【0027】
依然として
図2を参照すると、冷却システム200は、第1の導管210’、210’’、210’’’と凝縮ユニット230との間に介在され、流体的に接続された蒸気拡散器(vapor spreader)250も含んでもよい。特定の実施形態では、蒸気拡散器250は、気体の冷却媒体が膨張して凝縮ユニット230を効率的に満たすことを可能にするディフューザであってよい。さらに、実施形態において、蒸気拡散器250は、蒸気の圧力を低下させ、その凝縮温度を低下させることもできる。さらに、蒸気拡散器250は、エンクロージャ16内に収容されてもよく、一部のみがエンクロージャ16内に収容され、外部に出る部分があってもよく、全体がエンクロージャの外部に出ていてもよい。別の実施形態では、蒸気拡散器250は、(
図2に示すように)エンクロージャ/ナセル16に取り付けられてもよく、又は凝縮ユニット230は、エンクロージャ/ナセル16に取り付けられてもよい。
【0028】
本明細書に記載の二相冷却媒体は、非限定的な例として、約6bar以下の典型的な動作圧力において、約60℃以下の沸点を有していてもよい。さらに、沸点の温度範囲は、電子部品(例えば、変圧器、コンバータなど)を十分に冷却し、それらが過熱するのを防ぐように選択されてもよい。より高い沸点を有する冷却剤(例えば、100℃の沸点を有する水)は、気体に相変化する前に熱くなりすぎ、電子部品の温度超過の状況をもたらす。したがって、満足できる冷却媒体の例としては、ドデカフルオロ-2-メチルペンタン-3-オン(例えば、3M社のNovec649、「Novec」は3M社の商標)、Novec7000、R245fa、R1233zd(e)、または化学組成がCF3CF2C(O)CF(CF3)2である流体を挙げることができる。他の環境に優いとは言えない代替物ではあるが、1、1、1、2-テトラフルオロエタン、R-134a、2、3、3、3-テトラフルオロプロペン、またはHFO-1234yf(1,1,1,2-tetrafluoroethane, R-134a, 2,3,3,3-Tetrafluoropropene, or HFO-1234yf)であり得るが、これらは所望の期間または所望の温度範囲において液体状態で存在しない可能性がある。
【0029】
ここで
図3を参照すると、本開示による冷却システム300の別の実施形態の概略図が示されている。図示のように、凝縮ユニット230は、エンクロージャ又はナセル16に取り付けられ、蒸気拡散器(
図2に示されるように)は省略される。さらに、示されるように、第1の導管210’、210’’、210’’’は、凝縮ユニット230に流体的に直接接続する。この実施形態(及び
図2に示す実施形態)の利点は、ナセル16を密閉することができることである。ナセル16に空気を入れる外部通気口は必要なく、これは、砂地、埃の多い、または塩水の多い環境(salt-water environments)において利点となり得る。さらに、密閉されたナセルは、汚染物質がナセルの内部に入ることを低減または排除することができ、これは、そこに収容される様々な構成要素(すなわち、発電機ロータ、発電機ステータ、変圧器、コンバータなど)にとって有利になる。本明細書に記載の冷却システム200、300の別の利点は、自然対流を可能にするために、凝縮ユニット230が第1の導管210’、210’’、210’’’の上部より高くあればよいということであろう。これにより、凝縮ユニット230は、ナセル16の上部に直接取り付けることができる。言い換えれば、システムが適切に機能するために、凝縮ユニット230と発熱部品201-204との間の大きなまたは実質的な高さの差は必要ない。ナセル16より上の高さで受ける風の荷重を考慮すると、凝縮ユニット230を恒久的に(例えば、ポールの上に)持ち上げておくことは問題がある場合がある。したがって、凝縮ユニット230は、ナセルに直接、または蒸気拡散器250を介してナセルに取り付けられると、より安定し、安全で信頼性が高い。さらに、凝縮ユニット230を風の流れに垂直な方向に向けることで、電動ファンの必要性がなくなる。風が減少した速度で吹いているとき、放散するための関連する熱負荷もまた減少することになる。
【0030】
ここで
図4を参照すると、本開示による発熱部品203に熱的に接続された第1の導管210’’及び熱交換器460の概略図が示されている。示されるように、熱交換器460は、部品203と熱的に接続された第1の導管210’’’のループ又はスパイラルであってもよく、又は熱交換器は、熱伝達媒体を循環させる別個の冷却ループを含んでもよい。例えば、熱交換器460は、構成要素203内又はその周囲を通過する熱伝達ループ461を含んでもよい。ループ461は、第1の導管210’’’に対して対向流配置(counter-flow arrangement:図示のように)、又はループ461内の熱伝達媒体が第1の導管210’’’内の流れに対して概ね直交して移動する交差流配置(cross flow arrangement)で構成されてもよい。ループ461及び導管210’’’はまた、両方の流れが同じ方向に移動する並列流配置(parallel-flow arrangement)で構成されてもよい。ループ461内の熱伝達媒体は、空気又は流体であってよく、流体ループ203及び第1の導管210’、210’’、210’’’内の流体が、並列方向又は互いに交差する交互の通路を流れる平行プレート熱交換器を用いて、第1の導管210’、210’’’を流れる流れと熱交換することができる。他のタイプの熱交換器もまた、クロスフロー熱交換器(cross-flow heat exchangers)を含むことができるが、これらに限定されるものではない。部品203から熱交換器460への熱伝達は、放射性または伝導性の効果によって起こることもある。例えば、高熱伝導性材料(例えば、銅又はアルミニウム)を構成部品203に取り付けることができ、第1の導管210’、210’’、210’’’は、高熱伝導性材料内に埋め込まれるか又は高熱伝導性材料に取り付けられてもよい。部品203に接続された高熱伝導性材料は、入口及び出口で第1の導管210に流体的に接続された内部流導管又はチャネルを有することもできる。内部流導管又はチャネルは、発熱部品から流体への熱伝達を強化する表面積を増加させるために、拡張された表面を有していてもよい。追加の熱交換器460(及びそれぞれの第1の導管)は、冷却されることが望まれる各発熱部品に熱的に取り付けられてもよい。
【0031】
ここで
図5を参照すると、本開示による受動冷却システム400のさらに別の実施形態の概略図が図示されている。示されるように、受動冷却システム400は、例えば風力タービン10のナセル16などのエンクロージャ404内に配置された1つ以上の熱生成部品に関連する1つ以上の熱交換器402を含む。例えば、本明細書で説明するように、実施形態では、発熱部品(複数可)は、風力タービン10の発電機204(例えば、発電機ロータ又は発電機ステータ)、ギアボックス203、変圧器201、コンバータ202、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい
【0032】
さらに、図示のように、冷却システム400は、熱交換器402の下方に位置する分配マニホールド406と、エンクロージャ404の外部で熱交換器402の上方に位置する凝縮ユニット408とを含む。さらに、図示のように、冷却システム400は、熱交換器402の各々に流体的に接続された第1の導管410を含む。さらに、図示のように、第1の導管410は、分配マニホールド406及び凝縮ユニット408に流体的に接続されている。例えば、図示のように、冷却システム400は、分配マニホールド406と凝縮ユニット408との間に並列に接続された複数の第1の導管410を含んでもよい。このような実施形態では、示されるように、複数の第1の導管410の各々は、複数の熱交換器402のうちの1つと流体的に接続されてもよい。別の実施形態では、冷却システム400は、第1の導管410の1つに沿って直列に接続された2つ以上の熱交換器402を含んでもよい。
【0033】
依然として
図5を参照すると、冷却システム400は、凝縮ユニット408及び分配マニホールド406に流体的に接続された第2の導管412も含む。更に、示されるように、冷却システム400は、第1の導管410及び第2の導管412の各々又は分配マニホールド406に流体的に接続された少なくとも1つの液体ブリッジ414を含む。より具体的には、示されるように、冷却システム400は、複数の第1の導管410及び第2の導管412又は分配マニホルド406に流体接続された複数の液体ブリッジ414を含んでもよい。特定の実施形態では、示されるように、複数の液体ブリッジ414のうちの1つは、複数の第1の導管410及び第2の導管412の各々又は分配マニホールド406に流体的に接続されてもよい。したがって、二相冷却媒体(例えば、蒸気から液体)は、熱交換器402、第1の導管410、液体ブリッジ414、凝縮ユニット408、第2の導管412、及び分配マニホールド406によって画定されるループを通って循環させることができる。このように、液体ブリッジ414は、液体状態の冷却媒体を第1の導管410から第2の導管412又は分配マニホールド406に移送する。
【0034】
より詳細には、
図6に示すように、マルチサイフォン冷却システム400の一部の詳細な概略図が図示されており、特に液体ブリッジ414の一実施形態が描かれている。図示された実施形態では、例として、液体ブリッジ414は、熱交換器402の1つからの上昇液体・蒸気カラム(rising liquid-vapor column、すなわち、1つまたは複数の第1の導管410)と下降液体凝縮カラム(descending liquid condensate column、すなわち、第2の導管412又は分配マニホルド406)との間に流体接続を提供する。より具体的には、図示のように、1つまたは複数の第1の導管410は、液体を捕捉するためのスプリッタ416を含んでもよい。例えば、特定の実施形態では、スプリッタ416は、サイクロン式スプリッタ又はシェブロン式デミスタ(cyclonic splitter or a chevron demister)であってもよい。同様に、第2の導管412又は分配マニホルド406は、捕捉された液体を受け取り、当該液体を下降する液体凝縮液と混合するためのミキサー418を含んでもよい。このように、本明細書に記載される液体ブリッジ(複数可)414は、上昇する液体-蒸気混合物から液体を分離し、当該液体を冷却システム400の入口側に戻す役割を果たす。本明細書に記載される液体ブリッジ(複数可)414はまた、流体のための並列な経路を提供することによって、システム400における圧力損失を低下させる。
【0035】
ここで
図7を参照すると、冷却システム400の別の実施形態の模式図が示されている。示されるように、冷却システム400の発熱部品は、発電機204のステータ205であってよい。より詳細には、図示するように、ステータ205は、ステータの外径を包む熱サイフォン・ジャケット206を含む。更に、図示のように、ジャケット206は、その外周に沿ってステータ205の底部から頂部まで延びる1つ又は複数のチャネル211を含むこともできる。より具体的には、図示のように、複数のチャネルは並列に配置され、入口及び出口マニホールド207、209によって上部及び下部において接続されてもよい。したがって、このような実施形態では、ステータ205からの熱によって、ジャケット206内の液体が蒸気に変換される。さらに、図示のように、蒸気は、ステータ205の上部に受動的に上昇し、マニホールド207で収集される。収集された蒸気は、浮力と凝縮ユニット408での低温の空気との熱接触により、さらに受動的に上昇する。蒸気は凝縮して液状に戻り、入口マニホールド209に戻されてサイクルが継続される。
図7には図示されていないが、冷却システム400は、本明細書に記載されるような液体ブリッジを含むこともでき、これは、出口マニホールド207において液体を蒸気から分離し、それによって、凝縮器を通過させて液体を入口マニホールド209に戻す役割を果たす。このやり方(provision)は、熱サイフォン質量流量(thermosiphon mass flow rate)を改善するためにシステムの圧力損失を低減し、したがって、システムの熱性能を向上させる。
【0036】
ここで
図8及び
図9を参照すると、本明細書に記載される受動冷却システム400の液体ブリッジ414の異なる実施形態が図示されている。特に、
図8に示すように、本明細書に記載の液体ブリッジ(複数可)414は、第1の導管410と第2の導管412または分配マニホルド406との間に角度(例えば0-90度の範囲)で傾斜した管状部材420であってもよい。別の実施形態では、
図9に示すように、本明細書に記載の液体ブリッジ(複数可)414は、液体・蒸気分離を改善するために、Pトラップまたはランニングトラップなどの1つまたは複数のトラップ422も含んでもよい。したがって、そのような実施形態では、そのようなトラップ(複数可)422は、液体ブリッジを通る蒸気の流れを阻止するように構成される。
【0037】
本明細書および特許請求の範囲を通して使用される近似語は、それが関連する基本機能の変化をもたらすことなく許容的に変化し得る任意の定量的表現を修正するために適用されることができる。したがって、「約」、及び「実質的に」などの用語によって修正された値は、指定された正確な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似的な言語は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。本明細書および特許請求の範囲全体を通じて、範囲の限定は、組み合わせおよび/または交換することができ、そのような範囲は、文脈または言語が他に示さない限り、特定され、そこに含まれるすべての下位範囲を含む。範囲の特定の値に適用されるこのような用語は、両方の値に適用され、値を測定する機器の精度に依存しない限り、記載された値(複数可)の±10%を示すことがある。
【0038】
本発明の様々な態様および実施形態は、以下の番号付けされた実施態様によって定義される。
[実施態様1]
受動冷却システムであって、
エンクロージャ内に設置された発熱部品に熱的に接続された熱交換器と、
熱交換器の下に配置された分配マニホールドと、
エンクロージャの外部で熱交換器の上部に配置された凝縮器と、
熱交換器、分配マニホールド、および凝縮ユニットに流体的に接続される第1の導管と、
凝縮ユニットと分配マニホールドに流体的に接続された第2の導管と、
第1の導管および第2の導管または分配マニホールドに流体的に接続された液体ブリッジと、
第1の導管、液体ブリッジ、凝縮ユニット、第2の導管、熱交換器、および分配マニホールドによって画定されるループを循環する二相冷却媒体と、
を含み、
液体ブリッジが、液体状態の冷却媒体を、第1の導管から第2の導管または分配マニホールドに移送する、受動冷却システム。
[実施態様2]
複数の発熱部品に熱的に接続された複数の熱交換器と、分配マニホールドと凝縮ユニットとの間に互いに並列に接続された複数の第1の導管とを備え、複数の第1の導管の各々は、複数の熱交換器のうちの1つと流体的に接続されている、実施態様1に記載の受動冷却システム。
[実施態様3]
第1の導管の1つに沿って直列に接続された2つ以上の熱交換器を備える、実施態様2に記載の受動冷却システム。
[実施態様4]
複数の第1の導管および第2の導管または分配マニホールドに流体的に接続された複数の液体ブリッジを備える、実施態様2に記載の受動冷却システム。
[実施態様5]
複数の液体ブリッジのうちの1つは、複数の第1の導管および第2の導管または分配マニホールドの各々に流体的に接続されている、実施態様4に記載の受動冷却システム。
[実施態様6]
液体ブリッジが、第1の導管と第2の導管または分配マニホルドとの間に傾斜した角度で配置された管状部材を含む、実施態様1乃至5に記載の受動冷却システム。
[実施態様7]
管状部材は、少なくとも1つのトラップを備える、請求項6に記載の受動冷却システム。
[実施態様8]
エンクロージャは、風力タービンまたは太陽光発電システムのナセルである、実施態様1乃至7に記載の受動冷却システム。
[実施態様9]
凝縮ユニットは、ナセルの上部に固定される、実施態様8に記載の受動冷却システム。
[実施態様10]
発熱部品は、発電機ロータ、発電機ステータ、ギアボックス、変圧器、インバータ、またはコンバータの少なくとも1つを含む、実施態様1乃至9に記載の受動冷却システム。
[実施態様11]
冷却システムは、エンクロージャ内部にポンプまたはファンを有しないことを特徴とする実施態様1乃至10に記載の受動冷却システム。
[実施態様12]
風力タービンであって、
タワーと、
タワーの上に取り付けられ、密閉された内部容積を画定するナセルと、
回転可能なハブとそれに取り付けられた少なくとも1つのロータブレードを備え、ナセルに取り付けられたロータと、
ナセルの内部容積内に配置された少なくとも1つの発熱部品と、
ナセルの内部容積を冷却するための受動冷却システムと、を含み、
受動冷却システムは、
少なくとも1つの発熱部品に熱的に接続された熱交換器と、
発熱部品の下方に配置された分配マニホールドと、
ナセルの外部で発熱部品の上方に配置された凝縮ユニットと、
少なくとも1つの発熱部品に熱的に接続され、分配マニホールドおよび凝縮ユニットに流体的に接続された第1の導管と、
凝縮ユニットと分配マニホールドとに流体的に接続された第2の導管と、
第1の導管および第2の導管または分配マニホールドに流体的に接続された液体ブリッジと、
第1の導管、液体ブリッジ、凝縮ユニット、第2の導管、熱交換器、および分配マニホールドによって画定されるループを循環する二相冷却媒体と、
を備え、
液体ブリッジが、液体状態の冷却媒体を、第1の導管から第2の導管または分配マニホールドに移送する、風力タービン。
[実施態様13]
複数の発熱部品に熱的に接続された複数の熱交換器と、分配マニホールドと凝縮ユニットとの間に互いに並列に接続された複数の第1の導管とを備え、複数の第1の導管の各々は、複数の熱交換器のうちの1つと流体的に接続されている、実施態様12に記載の風力タービン。
[実施態様14]
第1の導管の1つに沿って直列に接続された2つ以上の熱交換器を備える、実施態様13に記載の風力タービン。
[実施態様15]
複数の第1の導管および第2の導管または分配マニホールドに流体的に接続された複数の液体ブリッジを備える、実施態様13に記載の風力タービン。
[実施態様16]
複数の液体ブリッジのうちの1つは、複数の第1の導管および第2の導管または分配マニホールドの各々に流体的に接続されている、実施態様15に記載の風力タービン。
[実施態様17]
液体ブリッジが、第1の導管と第2の導管または分配マニホルドとの間に傾斜した角度で配置された管状部材を含む、実施態様12乃至16のいずれかに記載の風力タービン。
[実施態様18]
管状部材は、少なくとも1つのトラップを備える、実施態様17に記載の風力タービン。
[実施態様19]
凝縮ユニットは、ナセルの上部に固定される、実施態様12乃至18のいずれかに記載の風力タービン。
[実施態様20]
発熱部品は、発電機ロータ、発電機ステータ、ギアボックス、変圧器、インバータ、またはコンバータの少なくとも1つを含む、実施態様12乃至19のいずれかに記載の風力タービン。
【0039】
本明細書は、実施例を用いて、最良の態様を含む本発明を開示し、また、当業者が、任意の装置またはシステムの製造および使用ならびに組み込まれた任意の方法の実行を含む本発明を実施できるようにするものである。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に思い浮かぶ他の実施例を含むことができる。そのような他の例は、それらが請求項の文字通りの言語と異ならない構造要素を含む場合、またはそれらが請求項の文字通りの言語と実質的に異ならない同等の構造要素を含む場合、請求項の範囲に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0040】
10:風力タービン 12:タワー 14:支持面 16:ナセル 18:ロータ 20:ハブ 22:ロータブレード 200:受動冷却システム 201:変圧器 202:コンバータ 203:ギアボックス 204:発電機 205:ステータ 206:熱サイフォン・ジャケット 207:出口マニホールド 209:入口マニホールド 210’、210’’、210’’’:第1の導管 211:チャネル 220:分配マニホールド 230:凝縮ユニット 240:第2の導管 250:蒸気拡散器 400:受動冷却システム 402:熱交換器 404:エンクロージャ 406:マニホールド 408:凝縮ユニット 410:第1の導管 412:第2の導管 414:液体ブリッジ 416:スプリッタ 418:ミキサー 420:管状部材 422:トラップ 460:熱交換器 461:ループ