IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロレアルの特許一覧

特許7543450生体データを使用して製品推奨を生成するためのシステム
<>
  • 特許-生体データを使用して製品推奨を生成するためのシステム 図1
  • 特許-生体データを使用して製品推奨を生成するためのシステム 図2
  • 特許-生体データを使用して製品推奨を生成するためのシステム 図3
  • 特許-生体データを使用して製品推奨を生成するためのシステム 図4
  • 特許-生体データを使用して製品推奨を生成するためのシステム 図5
  • 特許-生体データを使用して製品推奨を生成するためのシステム 図6
  • 特許-生体データを使用して製品推奨を生成するためのシステム 図7
  • 特許-生体データを使用して製品推奨を生成するためのシステム 図8
  • 特許-生体データを使用して製品推奨を生成するためのシステム 図9
  • 特許-生体データを使用して製品推奨を生成するためのシステム 図10
  • 特許-生体データを使用して製品推奨を生成するためのシステム 図11
  • 特許-生体データを使用して製品推奨を生成するためのシステム 図12
  • 特許-生体データを使用して製品推奨を生成するためのシステム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】生体データを使用して製品推奨を生成するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20240826BHJP
   G06Q 30/0203 20230101ALI20240826BHJP
【FI】
G06Q30/0601 330
G06Q30/0203
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022580979
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 US2021039970
(87)【国際公開番号】W WO2022006323
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】63/046,440
(32)【優先日】2020-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/065,220
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】2009180
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】フレッド・オルシタ
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・リー
(72)【発明者】
【氏名】シェルビー・スチュワート
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0089739(US,A1)
【文献】特表2011-513851(JP,A)
【文献】特開2007-248352(JP,A)
【文献】特開2010-253141(JP,A)
【文献】特開2003-245048(JP,A)
【文献】特開2012-235869(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0110981(US,A1)
【文献】特開2016-143161(JP,A)
【文献】特開2010-220151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
臭覚刺激に対する反応に基づく被験者の事象関連電位を感知するように構成された複数の脳波(EEG)電極と、
1つまたは複数のエンジンであって、
被験者の前記事象関連電位を前記複数のEEG電極によって生成されたEEG信号として受信し、
前記EEG信号を処理してEEGデータを生成し、
前記EEGデータに少なくとも基づいて製品推奨を生成する
ように構成された1つまたは複数のエンジンと
を備え
前記製品推奨は、既知の香料にさらされた前記被験者の脳波または脳活動マップの画像を含む教師付きトレーニングデータのセットに対して訓練された機械学習モデルを含む推奨エンジンによって生成される、システム。
【請求項2】
前記1つまたは複数のエンジンは、モバイルコンピューティングデバイス内に収容される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記生成されたEEGデータは画像として表される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記画像は、脳波(EEG)画像または脳活動マップを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つまたは複数のエンジンは、前記EEGデータに基づいて前記臭覚刺激の選好特性パラメータを生成し、前記選好特性パラメータに基づいて前記製品推奨を生成するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つまたは複数のエンジンは、前記生成された選好特性パラメータを示すデータを前記1つまたは複数のエンジンによってアクセス可能な製品データと比較することによって製品推奨を判定するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記臭覚刺激は香料であり、
前記生成された選好特性パラメータを示すデータは香料プロファイルを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記香料プロファイルは、前記製品推奨として前記被験者に提示される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記生成された選好特性パラメータは、前記香料のノートを表し、
前記製品推奨は、前記香料プロファイルを、香料のセットをそれぞれ表す香料プロファイルのセットであって、前記1つまたは複数のエンジンによってアクセス可能な香料プロファイルのセットと比較することによって生成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つまたは複数のエンジンは、臭覚刺激に対する前記反応に基づく前記事象関連電位を検出するように構成され、処理回路を含み、前記処理回路が、
臭覚刺激に関連するリアルタイム認知プロセスを検出するか、
1つまたは複数の香料アコードに対する反応に関連するリアルタイム事象関連電位を検出するか、
臭覚刺激に対する反応を示す電圧変動を検出するか、または
臭覚刺激に対する反応に基づいてシナプス後電位を検出する
ように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
記事象関連電位に関連する少なくとも1つの入力に基づいて香料サブセットの1つまたは複数の仮想インスタンスを生成するように構成された処理回路を含む香水選択ユニットをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記香水選択ユニットは、
脳波に関連する少なくとも1つの入力に基づいて香料サブセットの1つまたは複数の仮想インスタンスを生成するように構成された処理回路、
望ましさスコアの程度もしくは好ましさの尺度の1つまたは複数のインスタンスを生成するように構成された処理回路、
匂いの強さの1つまたは複数のインスタンスを生成するように構成された処理回路、
香料族化合物濃度の1つまたは複数のインスタンスを生成するように構成された処理回路、または
香料組成におけるベースノート、トップノート、もしくはミドルノートの1つまたは複数のインスタンスを生成するように構成された処理回路
のうちの1つをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
被験者に製品を推奨するためのコンピュータにより実施される方法であって、
臭覚刺激にさらされることに基づいて複数の脳波(EEG)電極によって生成されるEEG信号として被験者の事象関連電位の形式の生体データを取得するステップと、
前記EEG信号を処理してEEGデータを生成するステップと、
少なくとも前記EEGデータに基づいて製品推奨を生成するステップと
を含み、
前記製品推奨は、既知の香料にさらされた前記被験者の脳波または脳活動マップの画像を含む教師付きトレーニングデータのセットに対して訓練された機械学習モデルを含む推奨エンジンによって生成される、コンピュータにより実施される方法。
【請求項14】
製品推奨を生成する前記ステップは、
前記被験者に香料名を提示するステップ、または
前記被験者に香料プロファイルを提示するステップ
を含む、請求項13に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項15】
製品の特性パラメータの選好を示す前記被験者のアンケートデータを取得するステップをさらに含み、
前記製品推奨は、前記アンケートデータにさらに基づく、請求項13に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項16】
記製品推奨香水推奨である、請求項13に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項17】
前記製品推奨は、前記EEGデータに基づい香料プロファイルを含む、請求項16に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項18】
記香料プロファイルを、香料のセットをそれぞれ表す香料プロファイルのセットと比較して、前記生成された香料プロファイルに最も似た香料プロファイルを有する前記香料のセットから香料を選択するステップと、
前記選択された香料を前記被験者に提示するステップと
さらに含む、請求項17に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項19】
前記複数のEEG電極は、前記被験者の左前(F7)頭葉および右前(F8)頭葉に配置され、前記臭覚刺激にさらされることに応答した接近および回避に関連する脳活動を検出するように構成される、請求項13に記載のコンピュータにより実施される方法。
【請求項20】
命令を記憶した非一時的コンピュータ可読記録媒体であって、前記命令は、コンピュータシステムに、
臭覚刺激にさらされることに基づいて複数の脳波(EEG)電極によって生成されるEEG信号として被験者の事象関連電位の形式の生体データを取得するステップと、
前記EEG信号を処理してEEGデータを生成するステップと、
少なくとも前記EEGデータに基づいて製品推奨を生成するステップと
を含む動作を実行させ、
前記製品推奨は、既知の香料にさらされた前記被験者の脳波または脳活動マップの画像を含む教師付きトレーニングデータのセットに対して訓練された機械学習モデルを含む推奨エンジンによって生成され、
前記複数のEEG電極は、前記被験者の左前(F7)頭葉および右前(F8)頭葉に配置され、前記臭覚刺激にさらされることに応答した接近および回避に関連する脳活動を検出するように構成される、非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月30日に出願された米国仮出願第63/046440号、2020年8月13日に出願された米国仮出願第63/065220号、および2020年9月10日に出願されたフランス出願第2009180号の利益を主張するものであり、本開示は、本出願の全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は概して、製品推奨および/または選択における助けとして生体データを使用することに関する。いくつかの実施形態では、生体データは、ユーザの製品選好を判定するために利用される。これらの実施形態のうちのいくつかでは、製品選好を使用して製品推奨および/または選択を助ける。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書では、製品選好および/または製品推奨を容易にするためのシステムおよび方法を開示する。以下で説明する実施形態では、製品選好および/または製品推奨を判定するためにシステムおよび方法によって被験者の生体データが考慮に入れられる。いくつかの実施形態では、被験者についての製品選好および/または製品推奨を判定する間、任意ではあるが、被験者の他の因子も考慮に入れられる。これらの製品選好または製品推奨は、表示デバイスを介して自動的に被験者に提示するか、または製品コンサルタントからの助けを受けて被験者に提示することができる。
【0004】
いくつかの実施形態において生体データを取得するために、被験者は香料/匂い刺激などのいくつかの刺激にさらされる。次いで、この香料/匂い刺激に対する被験者の反応に基づいて被験者から生体データが収集される。いくつかの実施形態では、収集される生体データは、被験者の事象関連電位(ERP: event-related potential)、すなわち、特定の感覚、認知、または運動事象の直接的な結果である測定された脳反応に関する。
【0005】
たとえば、いくつかの実施形態では、システムおよび方法は、臭覚刺激に対する反応に基づいて事象関連電位を検出する。この点について、システムおよび方法は、臭覚刺激に関連するリアルタイム認知プロセスを検出するか、1つまたは複数の香料アコードに対する反応に関連するリアルタイム事象関連電位を検出するか、臭覚刺激に対する反応を示す電圧変動を検出するか、または臭覚刺激に対する反応に基づいてシナプス後電位を検出する。
【0006】
本開示の一態様によれば、一実施形態では、臭覚刺激に対する反応に基づいて被験者の事象関連電位を感知するように構成された複数のセンサーと、被験者の事象関連電位をEEG信号として受信し、EEG信号を処理してEEGデータを生成し、前記EEGデータに少なくとも基づいて製品推奨を生成するように構成された1つまたは複数のエンジンとを備えるシステムが提供される。
【0007】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のエンジンは、モバイルコンピューティングデバイス内に収容される。
【0008】
いくつかの実施形態では、生成されるEEGデータは画像として表される。
【0009】
いくつかの実施形態では、画像は、脳波(EEG: electroencephalograph)画像または脳活動マップを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のエンジンは、EEGデータに基づいて臭覚刺激の選好特性パラメータを生成し、選好特性パラメータに基づいて製品推奨を生成するようにさらに構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のエンジンは、生成された選好特性パラメータを示すデータを1つまたは複数のエンジンによってアクセス可能なデータと比較することによって製品推奨を判定するように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、臭覚刺激は香料であり、生成された選好特性パラメータを示すデータは香料プロファイルを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、香料プロファイルは、製品推奨として被験者に提示される。
【0014】
いくつかの実施形態では、生成された選好特性パラメータは、香料のノートを表す。いくつかの実施形態では、製品推奨は、香料プロファイルを、香料のセットをそれぞれ表す香料プロファイルのセットであって、1つまたは複数のエンジンによってアクセス可能な香料プロファイルのセットと比較することによって生成される。
【0015】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のエンジンは、臭覚刺激に関連するリアルタイム認知プロセスを検出するか、1つまたは複数の香料アコードに対する反応に関連するリアルタイム事象関連電位を検出するか、臭覚刺激に対する反応を示す電圧変動を検出するか、または臭覚刺激に対する反応に基づいてシナプス後電位を検出するように構成された処理回路を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、複数のセンサーおよび/または1つまたは複数のエンジンは、臭覚刺激に関連するリアルタイム認知プロセスを検出するように構成された処理回路、1つまたは複数の香料アコードに対する反応に関連するリアルタイム事象関連電位を検出するように構成された処理回路、臭覚刺激に対する反応に基づいてシナプス後電位を検出するように構成された処理回路、または臭覚刺激に対する反応を示す電圧変動を検出するように構成された処理回路のうちの1つを含む、匂い反応ユニットを形成する。
【0017】
いくつかの実施形態では、臭覚刺激は匂いを含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、1つまたは複数のエンジンは、以下の処理回路、すなわち、脳波に関連する少なくとも1つの入力に基づいて香料サブセットの1つまたは複数の仮想インスタンスを生成するように構成された処理回路、望ましさスコアの程度もしくは好ましさの尺度の1つまたは複数のインスタンスを生成するように構成された処理回路、匂いの強さの1つまたは複数のインスタンスを生成するように構成された処理回路、香料族化合物濃度の1つまたは複数のインスタンスを生成するように構成された処理回路、または香料組成におけるベースノート、トップノート、もしくはミドルノートの1つまたは複数のインスタンスを生成するように構成された処理回路のうちの1つを含む香水選択ユニットを形成する。
【0018】
本開示の別の態様によれば、匂い反応ユニットおよび香水選択ユニットを備えるシステムが提供される。いくつかの実施形態では、匂い反応ユニットは、臭覚刺激に対する反応に基づいて事象関連電位を検出するように構成された、処理回路などの回路を含む。いくつかの実施形態では、香水選択ユニットは、事象関連電位に関連する少なくとも1つの入力に基づいて香料サブセットの1つまたは複数の仮想インスタンスを生成するように構成された、処理回路などの回路を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、匂い反応ユニットは、臭覚刺激に関連するリアルタイム認知プロセスを検出するように構成された処理回路、1つまたは複数の香料アコードに対する反応に関連するリアルタイム事象関連電位を検出するように構成された処理回路、臭覚刺激に対する反応に基づいてシナプス後電位を検出するように構成された処理回路、または臭覚刺激に対する反応を示す電圧変動を検出するように構成された処理回路のうちの1つを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、香水選択ユニットは、脳波に関連する少なくとも1つの入力に基づいて香料サブセットの1つまたは複数の仮想インスタンスを生成するように構成された処理回路、望ましさスコアの程度もしくは好ましさの尺度の1つまたは複数のインスタンスを生成するように構成された処理回路、匂いの強さの1つまたは複数のインスタンスを生成するように構成された処理回路、香料族化合物濃度の1つまたは複数のインスタンスを生成するように構成された処理回路、または香料組成におけるベースノート、トップノート、もしくはミドルノートの1つまたは複数のインスタンスを生成するように構成された処理回路のうちの1つをさらに含む。
【0021】
本開示の別の態様によれば、被験者に製品を推奨するための方法が提供される。一実施形態では、この方法は、臭覚刺激にさらされることに基づいて被験者の生体データを取得するステップと、生体データを分析するステップと、少なくとも分析された生体データに基づいて被験者に製品を推奨するステップとを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、分析された生体データに基づいて被験者に製品を推奨するステップは、被験者に香料名を提示するステップまたは被験者に香料プロファイルを提示するステップのいずれかを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、この方法は、製品の特性パラメータの選好を示す被験者のアンケートデータを取得するステップをさらに含む。いくつかの実施形態では、被験者への製品推奨は、分析された生体データおよびアンケートデータに基づく。
【0024】
いくつかの実施形態では、臭覚刺激は匂いであり、製品は香水であり、生体データはEEGデータを示す。
【0025】
いくつかの実施形態では、製品を推奨するステップは、EEGデータに基づいて香料プロファイルを生成するステップと、被験者に香料プロファイルを提示するステップとを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、製品を推奨するステップは、EEGデータに基づいて香料プロファイルを生成するステップと、香料プロファイルを、香料のセットをそれぞれ表す香料プロファイルのセットと比較して、生成された香料プロファイルに最も似た香料プロファイルを有する香料のセットから香料を選択するステップと、選択された香料を被験者に提示するステップとを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、刺激にさらされることに基づいて被験者の生体データを取得するステップは、被験者の左前(F7)頭葉および右前(F8)頭葉に関連する少なくとも2つのEEG電極から生体データを取得するステップを含む。
【0028】
本概要は、以下に発明を実施するための形態においてさらに説明する概念の抜粋を簡略的に紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の主要な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲の決定に役立つものとして使用されることを意図するものでもない。
【0029】
本開示の主題の前述の態様および付随する利点の多くは、以下の発明を実施するための形態を添付図面とともに参照することによって理解が進むにつれて、ますます容易に認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本開示の態様による、被験者に対する香料などの製品推奨情報を生成して提供するためのシステムの非制限的な例を示す概略図である。
図2図1のシステムにおいて使用するのに適したヘッドセットの一例を示す図である。
図3図1のシステムにおいて使用するのに適したモバイルコンピューティングデバイスの非制限的な例を示すブロック図である。
図4図1のシステムにおいて使用するのに適したサーバコンピューティングデバイスの非制限的な例を示すブロック図である。
図5】本開示の実施形態によるコンピューティングデバイスとして使用するのに適切なコンピューティングデバイスの非制限的な例を示すブロック図である。
図6】本開示の一態様による、被験者に対する製品推奨を生成して提供する方法の非制限的な例を示すフローチャートである。
図7】本開示の一態様による、被験者に対する製品推奨を生成して提供する方法の別の非制限的な例を示すフローチャートである。
図8】フレグランスホイールの一例を示す図である。
図9】本開示による、収集されたEEG信号を処理した結果として生成された脳波の一例である。
図10】本開示による、収集されたEEG信号を処理した結果として生成された脳活動マップの一例である。
図11】本開示の一態様による、システムによって生成され被験者によって生成された提示されるノート図の一例である。
図12】本開示の態様による、EEG電極配置図の一例である。
図13】ユーザインターフェースエンジンによって生成され被験者に提示される1つまたは複数のシーンを示す質問の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
化粧品の推奨情報を提供するために、大部分の既存の技法は、単に被験者の製品選好を直接識別することを試みる。いくつかの技法は、匂い、色、仕上げ、感触などの製品の特徴について被験者の表明された選好に基づいて被験者の製品選好を判定することを試みる。しかし、この技法は、少なくとも明示的に表明された被験者の選好のみが考慮に入れられるので、次善の推奨情報を生成する。明示的に表明された被験者の選好が存在する場合でも、所与の被験者がどんな製品を好むかに他の因子(たとえば、肉体的反応、(無意識または意識的)、性格特性など)が影響を及ぼす場合もある。
【0032】
その点において、本開示のいくつかの実施形態では、製品選好および/または製品推奨を判定する間、被験者の生体データが考慮に入れられる。他の実施形態では、被験者についての製品選好および/または製品推奨を判定する間、任意ではあるが、被験者の他の因子も考慮に入れられることもある。次いで、これらの製品選好または製品推奨は、表示デバイスを介して自動的に被験者に提示するか、または製品コンサルタントからの助けを受けて被験者に提示することができる。
【0033】
本開示全体にわたって説明する例は、香水またはコロンなどの香料についての推奨に関する。本開示の技法および方法が、製品タイプの枠を超えており、したがって、香料以外の製品について被験者に推奨情報を提供するために使用できることを諒解されたい。
【0034】
以下で説明する例では、被験者が香料/匂い刺激などのいくつかの刺激にさらされる。次いで、この香料/匂い刺激に対する被験者の反応に基づいて被験者から生体データが収集される。いくつかの実施形態では、収集される生体データは、被験者の事象関連電位(ERP)、すなわち、特定の感覚、認知、または運動事象の直接的な結果である測定された脳反応に関する。この生体データを用いて、コンピュータベースのシステムは、たとえば、特定の香料の推奨または香料プロファイルの開発のいずれかを行い、この香料プロファイルから、たとえば、専門家または香料コンサルタントの助けを受けて推奨を行うことができる。他の実施形態では、コンピュータベースのシステムは、生体データを、アンケートから得られるデータ、被験者の履歴購入データなどの任意のデータとともに使用して、被験者に製品推奨を提供する。
【0035】
本明細書で説明するいくつかの実施形態では、被験者に提示される香料/匂いは、アコードの2つ以上のノートを含んでもよい。概して、アコードは、明確な香料を形成するように混ぜ合されたいくつかの香水ノート、原料などから構成された匂いである。たとえば、アコードは通常、いくつかのノートを含む。ノートは、感知することのできる匂いの記述子であり、ベースノート、ミドルまたはハートノート、およびトップまたはヘッドノートを含む。これらの匂い記述子またはノートは、公知であり、香料の香り特徴(たとえば、特性パラメータ)を記述するために広く使用されている。
【0036】
ノートは一般に、香料ファミリーから選択される。概して、香料ファミリーは、フレグランスホイールによって視覚的に提示することができる。フレグランスホイールの一例が図8に示される。フレグランスホイールは、臭覚群の香りの類似性および違いに基づいて臭覚群間の推測される関係を示す丸い図である。互いに隣接する群は、共通の臭覚特性を共有するようになっている。フレグランスホイールは、ワイン造りおよび香水製造における分類手段として使用されることが多い。
【0037】
次に図1を参照すると、本開示の一態様によるシステム100の非制限的な例を示す概略図が示されている。図示のシステムでは、EEG信号の形態の被験者102の脳の電気的活動が、被験者が香料などの刺激にさらされることに応答して、EEGセンサーなどの物理的収集デバイス106を使用して測定される。図示のように、複数の物理的収集デバイス106が、被験者の脳の電気的活動を測定するために、たとえば、適切なヘッドセット114を介して被験者の脳の様々な領域上に配置される。いくつかの実施形態では、以下により詳しく説明するように、たとえば、刺激/弛緩および/または接近/回避に関連する脳の領域が測定される。脳の他の領域は、EEGセンサーデータを収集するために追加または代替として測定されてもよい。
【0038】
引き続き図1を参照すると、物理的収集デバイス106によって生成された、EEG信号を収集するために、モバイルコンピューティングデバイス104がワイヤードまたはワイヤレス方式で物理的収集デバイス106に結合されている。いくつかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス104は、収集された信号を処理するために使用され、処理された信号に基づいて、被験者102に提示される製品推奨を判定する。他の実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス104は、処理された信号に基づいて香料プロファイルを作成し、これらの信号から、たとえば専門家または香料コンサルタントの助けを受けて推奨を行うことができる。
【0039】
一実施形態では、収集されたEEG信号を処理することは、図9に示す例のような脳波を生成することを含む。他の実施形態では、収集されたEEG信号を処理することは、図10に示す例のような脳活動マップを生成することを含む。脳波および/または脳マップは次いで、被験者用の製品を推奨するか、または製品選択において被験者を助けることができる香料プロファイルを提示するために、モバイルコンピューティングデバイス104によって使用することができる。もちろん、モバイルコンピューティングデバイス104は、収集されたEEG信号を、非グラフィカル処理技法を介してなど、他の方法で利用して、被験者に製品推奨を提供することができる。
【0040】
モバイルコンピューティングデバイス104は、他の実施形態では、EEG信号(処理済みであるか否かを問わない)をEEGデータとしてネットワーク110を介して任意のサーバコンピューティングデバイス108に送信してもよい。いくつかの実施形態では、ネットワーク110は、任意の適切なワイヤレス通信技術(限定はしないが、Wi-Fi、WiMAX、Bluetooth、2G、3G、4G、5G、およびLTEを含む)、ワイヤード通信技術(限定はしないが、イーサネット、USB、およびFireWireを含む)を含んでもよい。
【0041】
EEGデータがモバイルコンピューティングデバイス104から受信されると、サーバコンピューティングデバイス108は、モバイルコンピューティングデバイス104に応答してもよく、製品推奨が被験者102に提示される。他の実施形態では、サーバコンピューティングデバイス108は、EEGデータから香料プロファイルを作成してもよい。次いで、香料プロファイルをモバイルコンピューティングデバイス104に送信することができる。香料プロファイルがモバイルコンピューティングデバイス104によって受信された後、たとえば、専門家または香料コンサルタントの助けを受けて推奨を行うことができる。もちろん、いくつかの実施形態では、サーバコンピューティングデバイス108は、ネットワークを介してクラウドベースのコンピュータ処理システム(図示せず)にアクセスしてサーバコンピューティングデバイス108の処理、分析、生成などの機能を増強することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、サーバコンピューティングデバイス108は、EEGデータを処理し、脳波および/または脳マップを生成する。脳波および/または脳マップは次いで、被験者102に提示される製品推奨をモバイルコンピューティングデバイス104に提供するためにサーバコンピューティングデバイス108によって使用することができる。代替的に、生成された脳波および/または脳マップデータは、モバイルコンピューティングデバイス104に送信され、被験者102に製品推奨を提供するためにモバイルコンピューティングデバイス104によって使用される。
【0043】
いくつかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス104を使用して被験者102に任意のアンケートを提示してもよい。アンケートは、被験者102の選好を判定するのを可能にする質問を含んでもよい。いくつかの実施形態では、アンケートは、少なくとも1つの性格特性を決定するのを可能にしてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、性格特性を1つまたは複数の香料選好などと相関付けすることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、アンケートは、任意のサーバコンピューティングシステム108によってモバイルコンピューティングデバイス104に与え、被験者102に提示することができる。他の実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス104が、アンケートを生成して被験者に提示することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、アンケートに対する回答は、モバイルコンピューティングデバイス104によって受信されローカルに処理される。他の実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス104によって受信された回答は、任意のサーバコンピューティングシステム108に送られ、処理される。もちろん、いくつかの実施形態では、サーバコンピューティングデバイス108は、ネットワーク110を介してクラウドベースのコンピュータ処理システム(図示せず)にアクセスしてサーバコンピューティングデバイス108の処理機能を増強することができる。
【0046】
いずれの場合も、アンケートに対する処理された回答は、モバイルコンピューティングデバイス104またはサーバコンピューティングデバイス108のいずれかによって、たとえば、製品推奨を提供するために、被験者から収集されたEEG信号とともに使用されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、製品推奨を便利で簡易なフォーマットで被験者102に提供してもよい。たとえば、製品推奨は、たとえば、Trade Windsなどの商標名によって識別される特定の香料とすることができる。匂い選好、性格特性、前に購入した香料など、被験者102に関する他の情報が被験者に提示されてもよい。追加または代替として、製品推奨は香料プロファイルの形をとってもよい。香料プロファイルは、言葉ベースの説明として提示することも、またはノート図として視覚的に示すこともできるシステム100によって生成され被験者102に提示されるノート図の一例が図11に示されている。言葉ベースの説明またはノート図を用いることによって、被験者が楽しむ確率が高い香料を単独で選択するか、または香料コンサルタントの助けを受けて選択する、のいずれかを行うことができる。
【0048】
図2は、本開示の一態様によるヘッドセット114の非制限的な例の様々な構成要素を示すブロック図である。ヘッドセット114は、EEGセンサー(「EEGセンサー106」)の形をしたいくつかの物理的収集デバイス106と、処理および送信回路118とをサポートする。概して、電圧の変化は、脳のニューロン内およびニューロン間のイオン電流から生じる。EEGセンサー106は、EEG電極と呼ばれることがあり、被験者の脳におけるこのような電圧変化をEEG信号として測定するように構成される。EEGセンサー106によって測定されるEEG信号は、モバイルコンピューティングデバイス104に送信され、記憶、データ処理、および/または分析されるなどのように適切に処理することができる。たとえば、いくつかの実施形態におけるEEG信号は、増幅器120によって増幅され、送信機130に到着する前にA/D変換器122によってデジタル化される。いくつかの実施形態では、EEG信号は、A/D変換器122によって変換される前にアナログドメインにおいて1つまたは複数のフィルタ124を介してフィルタ処理するか、またはA/D変換器122によって変換された後にデジタルドメインにおいて1つまたは複数のフィルタ124を介してフィルタ処理することができる。いくつかの実施形態では、フィルタ処理された(任意の)信号が、送信機130を介してモバイルコンピューティングデバイス104に送信される前にマルチプレクサ(MUX)126に送られる。
【0049】
EEG電極106は概して、ステンレススチール、銀/塩化銀材料(Ag/AgCl)などの導電材料で形成される。EEG電極106は、ウエットタイプ(たとえば、皮膚と電極との間の導体として電解ゲル材料とともに使用される)とすることも、またはドライタイプ(たとえば、皮膚と電極との間の導体として働く単一の金属の電極)とすることもできる。いくつかの実施形態では、生理的食塩水などの非ゲル状材料を皮膚層と電極との間の導電層として使用することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、EEG電極106は、活性とすることができ、電極は、皮膚と電極との間の伝導材料の直後に前置増幅回路を含む。これによって、EEG信号を取り込むか、処理するか、または増幅する働きをするシステムによって付加的なノイズが付加され得る前にEEG信号を増幅することができる。代替的に、EEG電極は、他の実施形態では受動的であってもよい。受動電極は前置増幅回路を含まない。その代わり、受動電極は、電極の伝導材料から、信号を処理し、増幅し、ならびに/または送信するシステム構成要素に接続を延長するにすぎない。
【0051】
被験者の頭部上に配置されると、ヘッドセット114のEEG電極106は概して、脳の様々な領域と位置合わせされる。図12を参照すると、本開示の態様によるEEG電極配置図の一例が示されている。図中のいくつかの略語が、国際10-20システムに関し、これらの略語には、鼻根点についての"N"、前頭についての(たとえば、各大脳半球の前部に位置する領域である脳の前頭葉に関する)"F"、耳たぶについての"A"、中心についての(たとえば、脳の中心領域に関する)"C"、側頭についての(たとえば、各大脳半球の前頭葉の下部および後部に位置する脳の側頭葉に関する)"T"、頭頂についての(たとえば、前頭葉の後部に位置する脳の頭頂葉に関する)"P"、後頭についての(たとえば、頭部の後部に位置する脳の後頭葉に関する)"O"、イニオン(inion)についての"I"、および脳の中線に関して沿って得られる読取り値についての下付き文字"z"を含むことが理解されよう。図12の図は、FpとFの間に位置するAFおよびFとCの間に位置するFCについての略語も含む。
【0052】
図12の例に示すように、EEG電極は、位置が被験者の脳のAF3、AF4、F3、F4、F7、F8、FC5、FC6、T7、T8、P7、P8、O1、およびO2領域に関連付けられる。図示の実施形態では、基準電極がP3およびP4に位置する。ただし、他の位置が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、2つの電極のみ、すなわち、それぞれ接近(左脳活動)および回避(右脳活動)に関連する左前(F7)および右前(F8)のみが使用される。もちろん、左前(F7)および右前(F8)は、脳領域の任意の他の組合せとともに、本開示の実施形態によって実施することができる。いくつかの実施形態では、EEG電極の位置をヘッドセットによって固定することができる。他の実施形態では、EEG電極の位置を調整可能にすることができる。
【0053】
システム100によって使用される適切な信号を出力するヘッドセット114の1つの非制限的な例には、Emotiveから市販されているEPOC+EEG Headsetがある。使用できる他のヘッドセットは、特に、Brain Products、EGI、Cognionicsなどの会社から市販されている。
【0054】
図3は、本開示の一態様によるモバイルコンピューティングデバイス104の非制限的な例の様々な構成要素を示すブロック図である。モバイルコンピューティングデバイス104は、1つまたは複数の香料にたとえば順次さらされることに基づいて脳活動を反映する情報を被験者102から収集するように構成される。特に、モバイルコンピューティングデバイス104は、処理、記録、送信(任意)、および/または分析(任意)のために1つまたは複数のEEGセンサー106からEEG信号を受信するように構成される。いくつかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス104は、ヘッドセット114(図2参照)の送信機130からEEG信号を受信するように構成される。
【0055】
いくつかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス104は、被験者102用の製品推奨を判定する際に使用されるEEG信号を処理する。他の実施形態では、以下により詳細に説明するように、EEG信号(処理済みであるか否かを問わない)は、ネットワーク110を介して任意のサーバコンピューティングシステム108にEEGデータとして送信され、製品推奨の処理および/または生成などが行われる。いずれの場合も、モバイルコンピューティングデバイス104は次いで、製品推奨を被験者102に提示するか、または被験者102を助ける化粧品コンサルタントに提示することができる。いくつかの実施形態では、製品推奨を生成することは、特定の製品(たとえば、特定の香水/コロン)の識別とすることができる。他の実施形態では、製品推奨を生成することは、特定の製品または製品ファミリーの選択を助ける香料プロファイルなどの情報とすることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス104はスマートフォンであってもよい。いくつかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス104は、限定はしないが、タブレットコンピューティングデバイスまたはラップトップコンピューティングデバイスを含む、図示の構成要素を有する任意の他のタイプのコンピューティングデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス104は、モバイルでなくてもよく、その代わり、デスクトップコンピューティングデバイスまたはコンピュータキオスクなどの固定コンピューティングデバイスであってもよい。いくつかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス104の図示の構成要素は単一のハウジング内に位置してもよい。いくつかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス104の図示の構成要素は、ワイヤードまたはワイヤレス接続を通して通信可能に結合された別個のハウジング内に位置してもよい。モバイルコンピューティングデバイス104はまた、図3には図示されておらず、限定はしないが、1つまたは複数のプロセッサ回路(一般的にプロセッサと呼ぶ)、非一時的コンピュータ可読媒体、電源、および1つまたは複数のネットワーク通信インターフェースを含む他の構成要素を含む。
【0057】
本明細書に記載された技術および方法のいくつか(またはすべて)を実施するために、モバイルコンピューティングデバイス104は、いくつかの実施形態ではたとえば、表示デバイス302、EEGエンジン306、ユーザインターフェースエンジン308、任意のアンケート分析エンジン310、推奨エンジン312、ユーザデータストア314、および製品データストア316を含む。これらの構成要素の各々について説明する。
【0058】
いくつかの実施形態では、表示デバイス302は、限定はしないが、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、またはLCDディスプレイを含み、被験者102にインターフェースを提示することができる任意の適切なタイプの表示デバイスである。以下により詳細に説明するように、そのようなインターフェースは、被験者102に提示されるアンケート、製品推奨などを含む。いくつかの実施形態では、表示デバイス302は、被験者102からの入力を受け入れる一体型のタッチセンシティブ部分を含んでもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、EEGエンジン306は、EEGセンサー106からEEG信号を収集し、EEG信号を処理し、EEG信号を時間ベースの方式でEEGデータとしてユーザデータストア314に記録するように構成される。いくつかの実施形態では、EEG信号を処理することは、限定はしないが、変換、フィルタ処理、変形などを含んでもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、EEG信号は、たとえばαおよび/またはβ周波数範囲において信号を適切に通過させるようにバンドパスフィルタ処理することができる。いくつかの実施形態では、EEGエンジン306はまた、信号を処理して図9に示す例のような脳波、および/または図10に示す例のような脳活動マップを生成するように構成される。
【0060】
いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースエンジン308は、表示デバイス302上にユーザインターフェースを提示するように構成される。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースエンジン308は、製品の名前または香料プロファイルなどの製品推奨をユーザ102に提示するように構成される。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースエンジン308は、視覚化されたEEGデータを表示デバイス302上に脳波または脳活動マップのいずれかとして提示するように構成されてもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースエンジン308は、場合によっては、被験者102から情報を収集するための被験者102に対する少なくとも1つのアンケートを表示デバイス302上に提示するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、アンケートは、被験者がさらされたかまたはこれからさらされる香料の特性パラメータに関連し得る情報を収集することを目的とする。たとえば、アンケートは、一連の真/偽または複数の選択肢を介して、あるヘッド、ミドル、またはベースノートに対する選好を引き出し得る質問を有してもよい。たとえば、図13に示されるアンケートの1つの質問は、海岸、森林などのシーンを示すいくつかの写真を被験者に提示して、どの示されるシーンが被験者の好みの香料に関連するかに関する反応を引き出してもよい。アンケートの別の質問では、被験者は、女性的な匂いを好むか、男性的な匂いを好むか、またはユニセックスの匂いを好むかを尋ねられてもよい。アンケートのさらに別の質問では、被験者は、知覚できる匂いを好むか、微妙な匂いを好むか、または強い匂いを好むかを尋ねられてもよい。アンケートのさらに別の質問では、被験者は、直近に購入した香料を含む被験者の好む香料を入力するよう求められてもよい。収集されたデータのうちのいくつかまたはすべてをユーザデータストア314に記憶することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、アンケート分析エンジン310は、ユーザインターフェースエンジン308を介して被験者102からアンケートに対する回答を受信するように構成されてもよく、回答のうちの1つまたは複数に基づいて、少なくとも1つの選好、たとえば、被験者102の匂い選好、匂い特性などを決定してもよい。たとえば、被験者102が森林のシーンを好みとして選択した場合、アンケート分析エンジン310は、たとえば、図8のフレグランスホイールに示されるように、被験者102が木材のノートを好むと判定するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、アンケート分析エンジン310は、回答を、たとえば製品データストア316に記憶されたデータと比較するように構成されてもよい。一実施形態では、アンケート分析エンジン310は、回答のうちの1つまたは複数に基づいて被験者102の少なくとも1つの性格特性を判定するように構成されてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、推奨エンジン312は、EEGデータに少なくとも基づいて被験者102についての少なくとも1つの製品推奨を生成するように構成されてもよい。他の実施形態では、推奨エンジン312は、EEGデータおよび任意のアンケートデータに少なくとも基づいて被験者102についての少なくとも1つの製品推奨を生成するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、製品推奨は、Trade Windsブランドの香水など特定の製品の形態である。他の実施形態では、製品推奨は香料プロファイルの形態である。これらの実施形態では、香料プロファイルは、言葉ベースの説明として提示すること、ノート図として視覚的に示すこと、などが可能である。いくつかの実施形態では、推奨エンジン312は、表示デバイス302を介して被験者102に提示される製品推奨を提供する。
【0064】
たとえば、図11は、推奨エンジン312によって生成し、被験者102に提示することのできる香料ノート(fragrance note)図の一例である。ノート図は、被験者102が好む香料の特性パラメータを示す。図11に示すように、ノート図は、被験者が好むトップノート、ハートノートまたはミドルノート、および場合によってはベースノートを視覚的に示す。これらのノートは、ホイールを形成するパターンとして表され、バーセグメントが好みの強さを示している。たとえば、トップノートに関しては、アロマが5つのバーとして示されており、被験者は、アロマをフローラルよりも好み、フローラルは1つのバーとして示されている。同様に、ミドルノートに関しては、フルーティが4つのバーとして示されており、被験者は、フルーティをスパイスよりも好み、スパイスは3つのバーとして示されている。バーの数に加えてまたはその代替として、バーの色が楽しみの強さを示してもよい。ノート図のいくつかの実施形態では、強さ値は線形であっても(すなわち、2つのバーは1つのバーの2倍好ましい、など)または対数、指数などの非線形であってもよい。
【0065】
図11に示す図では、この被験者は、トップノートでは、アロマを楽しみ、それよりも弱い程度に柑橘類を楽しみ、ミドルノートでは、グリーンおよびフルーティを楽しみ、それよりも弱い程度にスパイスを楽しみ、ベースノートでは、バルサムを楽しみ、それによりも弱い程度にジャコウまたは木材を楽しむ。いくつかの実施形態では、このノート図は、ユーザインターフェースエンジン308を介して表示デバイス302上に提示することができる。いくつかの実施形態では、ノート図は、ノート図のノートプロファイルに相当する製品タイプまたは製品ラインを推奨するために香料コンサルタントによって使用することができる。他の実施形態では、ノート図は、1つまたは複数の香料販売業者の香料チャートと比較するために被験者102によって使用することができる。また他の実施形態では、推奨エンジン312がたとえば、ノート図またはノート図を生成するために使用される基礎的データの画像を分析し、分析に基づいて、自動的に製品推奨を被験者102に提示することができる。この後者の実施形態では、製品推奨は、たとえば製品データストア316からアクセスされる製品データに基づいて行うことができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、推奨エンジン312は、1つまたは複数のアルゴリズムを使用して生体データから生成された画像(たとえば、脳波、脳活動マップなど)を分析する。この分析に基づいて、被験者102が好む香料の1つまたは複数の特性パラメータを判定することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、脳のF7およびF8領域に関連する脳波または脳活動マップの領域が、刺激の増大の有無について分析される。そのような刺激の増大は、被験者102がさらされる香料を楽しんでいるかそれとも楽しんでいないかを表すことがある。もちろん、様々な実施形態では、脳の領域の他の組合せを分析することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、香料の選好特性パラメータは、EEGデータの画像に基づいて決定される。たとえば、いくつかの実施形態では、画像処理技法を画像に適用して香料の選好特性パラメータを決定する。いくつかの実施形態では、推奨エンジン312は、画像に基づいて特性パラメータを決定するように訓練された人工ニューラルネットワークを備えるかまたは人工ニューラルネットワークに基づいてアクセスしてもよい。もちろん、任意の他のタイプの適切な機械学習技法および/または従来の画像処理技法を実行して、被験者102にさらされる香料の選好特性パラメータを決定してもよい。
【0068】
たとえば、いくつかの実施形態では、推奨エンジン312は、製品推奨を判定するのを助けるための機械学習モデルを含む。機械学習モデルは、たとえば、被験者の楽しみをもたらした既知の香料(ノートプロファイルなどの既知の特性パラメータを有する)にさらされた被験者の脳波、脳活動マップなどの画像を使用して訓練することができる。いくつかの実施形態では、既知の香料による画像を使用して教師付きトレーニングデータのセットが作成され、人工ニューラルネットワークなどの機械学習モデルが、限定はしないが、勾配降下を含む任意の適切な技法を使用して、トレーニングデータによって訓練されてもよい。得られた機械学習モデルは、EEGエンジン306からの画像を入力として受け入れ、被験者102が楽しむ確率が高い選好特性パラメータまたは製品推奨のいずれかを出力する。いくつかの実施形態では、選好特性パラメータを使用して被験者102の図11のノート図などの香料プロファイルを生成することができる。
【0069】
したがって、EEGデータおよび/または任意のアンケートデータから決定された香料の選好特性パラメータを知ることによって、推奨エンジン312は、システム100によって決定された選好特性パラメータと一致するかまたは選好特性パラメータと高度に相関する、製品データストア316に記憶された適切な製品を判定するように構成される。たとえば、推奨エンジン312は、結果を、製品データストア316に記憶された製品マップ、ルックアップテーブルなどと比較することができる。比較は、たとえば、潜在的一致信頼レベルに基づくことができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス104は、ユーザデータストア314を含んでもよく、ユーザデータストア314は、システム100を使用する各被験者102についてのレコードを記憶するように構成される。レコードは、たとえば、少なくとも1つの香料製品、少なくとも1つの香料プロファイル、アンケートに対する回答、少なくとも1つの性格特性、少なくとも1つの製品推奨、および/またはシステム100によって収集もしくは決定された他の情報を含んでもよい。一実施形態では、推奨された製品を使用した後に被験者102から受け取られるフィードバックもユーザデータストア322に記憶してもよく、またはシステム100によって将来の製品推奨を改善するために製品データストア316に転送してもよい。
【0071】
これらの構成要素の各々によって実行される動作に関するさらなる詳細を以下に示す。
【0072】
「エンジン」は、ハードウェアまたはソフトウェア命令において具現化される論理を指し、このような命令は、C、C++、COBOL、JAVA(登録商標)、PHP、Perl、HTML、CSS、Java(登録商標)Script、VBScript、ASPX、Microsoftの、NET(商標)、Goなどのプログラミング言語で書くことができる。エンジンは、実行可能プログラムにコンパイルされてもよく、またはインタープリタ型プログラミング言語で書かれてもよい。ソフトウェアエンジンは、他のエンジンから、またはそれ自体から呼び出し可能であってもよい。一般に、本明細書で説明するエンジンは、他のエンジンと結合され得るか、またはサブエンジンに分割され得る論理モジュールを指す。エンジンは、任意のタイプのコンピュータ可読媒体またはコンピュータ記憶デバイスの中に記憶され、1つまたは複数の汎用コンピュータの上に記憶されかつそれらによって実行され、したがって、エンジンまたはその機能性を提供するように構成された専用コンピュータを形成してもよい。いくつかの実施形態では、エンジンは、1つまたは複数の回路、プログラム可能なプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、および/またはフィールドプログラマブル論理デバイス(FPLD)などによって実装することができる。
【0073】
「データストア」は、コンピューティングデバイスによるアクセスのためのデータを記憶するように構成された任意の好適なデバイスを指す。データストアの一例は、1つまたは複数のコンピューティングデバイス上で実行し、高速ネットワーク上でアクセス可能な、高信頼、高速リレーショナルデータベース管理システム(DBMS)である。データストアの別の例は、キーバリューストアである。しかしながら、クエリに応答して記憶されたデータを速やかにかつ高信頼に提供することができる任意の他の好適な記憶技法および/またはデバイスが使用されてもよく、コンピューティングデバイスは、ネットワーク上ではなくローカルにアクセス可能であってもよく、またはクラウドベースのサービスとして提供されてもよい。データストアは、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、RAM、ROM、または任意の他のタイプのコンピュータ可読記憶媒体などのコンピュータ可読記憶媒体上に系統立てて記憶されたデータを含んでもよい。本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書で説明する別々のデータストアが単一のデータストアに組み合わされてもよく、および/または本明細書で説明する単一のデータストアが複数のデータストアに分離されてもよいことは、当業者には認識されよう。
【0074】
図4は、本開示の一態様による任意のサーバコンピューティングシステム108の非制限的な例の様々な構成要素を示すブロック図である。これらの実施形態では、上記に記載したモバイルコンピューティングデバイスの1つまたは複数の機能を追加または代替としてサーバコンピューティングデバイス108によって実行することができる。たとえば、モバイルコンピューティングデバイス104によって収集された香料選好情報(たとえば、匂いにさらされることによる、たとえば生体データ(たとえば、脳活動)による匂い選好、および/もしくは任被験者102の意のアンケート)を、追加的な処理(たとえば、フィルタ処理、変形など)および/もしくは記憶の有無にかかわらず、ネットワーク110を介してサーバコンピューティングシステム108に送信することができる。その点において、サーバコンピューティングシステム108は、たとえば、EEG信号を処理し記憶し、場合によっては、図9に示す例のような脳波および/または図10に示す例のような脳活動マップを生成するためのEEGエンジン306(図3)を含むことができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、サーバコンピューティングシステム108は、モバイルコンピューティングデバイス104から受信された情報を使用して、被験者102によって使用される製品推奨を判定し、製品推奨を被験者102に提示できるようにモバイルコンピューティングデバイス104に送り返す。その点において、サーバコンピューティングシステム108は追加または代替として、アンケート分析エンジン310、推奨エンジン312、および/または製品データストア316を含むことができ、その機能については上記に詳しく説明した。いくつかの実施形態では、サーバコンピューティングシステム108は、ユーザデータストア314を含んでもよい。
【0076】
図5は、本開示のコンピューティングデバイスとして使用するのに適切な代表的なコンピューティングデバイス400の態様を示すブロック図である。複数の異なるタイプのコンピューティングデバイスについて上記で説明したが、代表的なコンピューティングデバイス400は、モバイルコンピューティングデバイス104および/またはサーバコンピューティングデバイス108などの多数の異なるタイプのコンピューティングデバイスに共通する様々な要素を表す。図5についてネットワーク上のデバイスとして実装されたコンピューティングデバイスを参照して説明するが、以下の説明は、サーバ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、コンピュータキオスク、埋め込み式コンピューティングデバイス、および本開示の実施形態の一部を実施するために使用され得る他のデバイスに適用することができる。さらに、当業者には、コンピューティングデバイス400が任意の数の現在利用可能なデバイスまたは任意の数のまだ開発されていないデバイスのいずれかであってもよいことが認識されよう。
【0077】
コンピューティングデバイス400は、その最も基本的な構成において、通信バス406によって接続された、少なくとも1つのプロセッサ402およびシステムメモリ404を含む。デバイスの厳密な構成およびタイプに応じて、システムメモリ404は揮発性メモリであってもよく、または読取り専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、EEPROM、フラッシュメモリ、または同様のメモリ技術などの不揮発性メモリであってもよい。当業者には、システムメモリ404が一般に、プロセッサ402が直ちにアクセス可能であり、ならびに/または現在プロセッサ402によって処理されているデータおよび/もしくはプログラムモジュールを記憶することが認識されよう。この点について、プロセッサ402は、命令の実行をサポートすることによってコンピューティングデバイス400の計算センターとして働いてもよい。
【0078】
さらに図5に示すように、コンピューティングデバイス400は、ネットワークを介して他のデバイスと通信するための1つまたは複数の構成要素を備えるネットワークインターフェース410を含んでもよい。本開示の実施形態は、ネットワークインターフェース410を利用して共通のネットワークプロトコルを使用して通信を実行する基本サービスにアクセスしてもよい。ネットワークインターフェース410は、WiFi、2G、3G、LTE、WiMAX、Bluetooth、Bluetooth low energyなどの1つまたは複数のワイヤレス通信プロトコルを介して通信するように構成されたワイヤレスネットワークインターフェースを含んでもよい。当業者によって諒解されるように、図5に示すネットワークインターフェース410は、コンピューティングデバイス400の特定の構成要素に関して上記で説明し図示した1つまたは複数のワイヤレスインターフェースまたは物理通信インターフェースを表してもよい。
【0079】
ヘッドセットが、複数の信号チャネルを組み合わせる(電極ごとに1つのチャネル)ためのマルチプレクサを含むいくつかの実施形態では、モバイルコンピューティングデバイス104などのコンピューティングデバイスのネットワークインターフェースは、たとえば、受信されたEEG信号をそれぞれのチャネルに分離するためにハードウェアまたはソフトウェアにおいて実装されるデマルチプレクサを含む。代替的に、EEGエンジン306は、そのようなデマルチプレクサを含むことができる。これらの実施形態では、収集された(たとえば、受信された)EEG信号をデマルチプレクサを通過させ、それによって、モバイルコンピューティングデバイス104がEEG信号の各チャネルをEEGデータとして処理する。
【0080】
図5に示す例示的な実施形態では、コンピューティングデバイス400はまた記憶媒体408を含む。しかし、ローカル記憶媒体にデータを持続させるための手段を含まないコンピューティングデバイスを使用してサービスがアクセスされてもよい。したがって、図5に示す記憶媒体408は、記憶媒体408が任意であることを示すために点線を用いて表されている。いずれの場合も、記憶媒体408は、揮発性であっても不揮発性であってもよく、取り外し可能であっても取り外し不可能であってもよく、限定はしないが、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、CD ROM、DVD、または他のディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージなど、情報を記憶することのできる任意の技術を使用して実装されてもよい。
【0081】
本明細書で使用する「コンピュータ可読媒体」という用語は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報を記憶することができる任意の方法または技術において実装される、揮発性および不揮発性の媒体ならびに取り外し可能および取り外し不可能な媒体を含む。この点について、図5に示すシステムメモリ404および記憶媒体408は、コンピュータ可読媒体の例にすぎない。
【0082】
プロセッサ回路またはプロセッサ402、システムメモリ404、通信バス406、記憶媒体408、およびネットワークインターフェース410を含むコンピューティングデバイスの適切な実装形態が公知であり、市販されている。説明しやすいように、かつ請求される主題の理解するうえで重要ではないので、図5は、多くのコンピューティングデバイスの代表的な構成要素のうちのいくつかを示していいない。この点について、コンピューティングデバイス400は、キーボード、キーパッド、マウス、マイクロフォン、タッチ入力デバイス、タッチスクリーン、タブレットなどの入力デバイスを含んでもよい。そのような入力デバイスは、RF、赤外線、シリアル、パラレル、Bluetooth、Bluetooth low energy、USB、またはワイヤレスもしくは物理接続を使用する他の適切な接続プロトコルを含むワイヤードまたはワイヤレス接続によってコンピューティングデバイス400に結合されてもよい。同様に、コンピューティングデバイス400は、ディスプレイ、スピーカ、プリンタなどの出力デバイスを含んでもよい。これらのデバイスは、当技術分野でよく知られているので、本明細書ではこれ以上図示も説明もしない。
【0083】
いくつかの実施形態では、複数のセンサーおよび/または1つまたは複数のエンジンが匂い反応ユニットを形成する。いくつかの実施形態では、匂い反応ユニットは、臭覚刺激に関連するリアルタイム認知プロセスを検出するように構成された処理回路、1つまたは複数の香料アコードに対する反応に関連するリアルタイム事象関連電位を検出するように構成された処理回路、臭覚刺激に対する反応に基づいてシナプス後電位を検出するように構成された処理回路、または臭覚刺激に対する反応を示す電圧変動を検出するように構成された処理回路のうちの1つを含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のエンジンは、香水選択ユニットを形成し、香水選択ユニットは、脳波に関連する少なくとも1つの入力に基づいて香料サブセットの1つまたは複数の仮想インスタンスを生成するように構成された処理回路、望ましさスコアの程度もしくは好ましさの尺度の1つまたは複数のインスタンスを生成するように構成された処理回路、匂いの強さの1つまたは複数のインスタンスを生成するように構成された処理回路、香料族化合物濃度の1つまたは複数のインスタンスを生成するように構成された処理回路、または香料組成におけるベースノート、トップノート、もしくはミドルノートの1つまたは複数のインスタンスを生成するように構成された処理回路のうちの1つを含む。
【0085】
図6は、本開示の1つまたは複数の態様による、被験者に対する製品推奨を生成しならびに/または提供する方法の非制限的な例を示すフローチャートである。全体的に600と指定される表現方法について、図1図5に示すシステム100の1つまたは複数の構成要素を参照しながら説明する。
【0086】
方法600を開始する前に、1つまたは複数のEEGセンサー106が被験者102の頭部に結合される。いくつかの実施形態では、2つのEEGセンサー106のみが被験者の脳のF7およびF8領域に配置される(基準電極を用いる場合も用いない場合もある)。他の実施形態では、いくつかのEEGセンサー106から構成されたヘッドセット114が被験者102の頭部上に配置される。これらの実施形態のいくつかでは、センサー106は、被験者の脳の他の領域に加えてF7およびF8領域に位置する。いくつかの実施形態では、基準電極を被験者の頭部上に位置付けることができる。
【0087】
センサーが被験者102の頭部に適切に結合された後、方法を開始することができる。方法600は、開始ブロックからブロック602に進み、そこで、被験者102が、1つまたは複数の香料にさらされる。たとえば、被験者は香料のシーケンスにさらされる。被験者102は、ある期間の間、各香料にさらされる。一実施形態では、この期間は約45秒である。もちろん、より短いかまたはより長い期間を使用することができる。他の実施形態では、この期間は約5分以上である。いくつかの実施形態では、被験者がさらされる香料は、トップノートおよびミドルノートなどの少なくとも2つの香料ノートを含む。
【0088】
1つまたは複数の香料に対する被験者の反応がEEGセンサー106によって取り込まれ、EEG信号としてモバイルコンピューティングデバイス104に送信される。その点において、ブロック604において、モバイルデバイス104は、EEGセンサー106と通信するように結合され、被験者102のEEG(たとえば、生体)信号を受信する。
【0089】
次いで、ブロック606において、EEG信号をEEGエンジン306によって処理してたとえば、EEGデータを生成することができる。いくつかの実施形態では、EEG信号は、モバイルコンピューティングデバイス104上に存在するEEGエンジン306によって処理される。他の実施形態では、EEG信号は、サーバコンピューティングデバイス108上に存在するEEGエンジン306によって処理される。これらまたは他の実施形態では、EEGデータは、ローカルにモバイルコンピューティングデバイス104においてユーザデータストア314に記憶されるか、またはリモートにサーバコンピューティングシステム108においてユーザデータストア314に記憶されるか、のいずれかが行われる。
【0090】
いくつかの実施形態では、ブロック602、602、606において実行される動作は、被験者102にさらされる各香料について繰り返される。他の実施形態では、ブロック602および604において実行される動作は、ブロック606において実行される動作よりも前に各香料について実行することができる。一実施形態では、被験者は4つの香料にさらされる。もちろん、本開示の実施形態では、4つよりも多いかまたは少ない数の香料を使用することができる。
【0091】
一実施形態では、香料のあらかじめ選択されたセットが被験者102にさらされる。たとえば、香料のあらかじめ選択されたセットは、ある会社の香料ラインにおける売上1位から4位とすることができる。他の実施形態では、図7に関してより詳細に説明するように、システム100によって、先行する香料に対する被験者102の反応を使用して、被験者102にさらされる以後の香料の選択に影響を与えてもよい。たとえば、香料にさらされることからEEGエンジン306によって生成されたEEGデータは、たとえば脳波または脳活動マップとして表示デバイス302上に提示されてもよい。香料コンサルタントの助けを受けて、被験者にさらす次の香料を選択することができる。代替的に、システムは、前の香料に対する被験者の反応に基づいて被験者に提示される次の香料を自動的に選択するように構成することができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、被験者102にさらされる各香料は、少なくとも2つのノート(たとえば、トップおよびミドルノート、2つのミドルノート、トップおよびベースノートなど)を含む。いくつかの実施形態では、被験者102にさらされる各香料は、少なくとも3つのノート(たとえば、トップ、ミドル、およびベースノート(垂直アコード)、3つのミドルノート(水平アコード)など)を含む。いずれの場合も、被験者102にさらされる香料の特性パラメータ(たとえば、トップノート、ミドルノート、および/またはベースノート)は、既知であり、製品データストア316に記憶される。いくつかの実施形態では、特性パラメータは、たとえば、ノート図として記憶される。
【0093】
いくつかの実施形態では、ブロック608において、モバイルコンピューティングデバイス104のユーザインターフェースエンジン308は任意に、被験者102にアンケートを提示する。いくつかの実施形態では、アンケートは、被験者102についての値を直接表す質問を含んでもよい。たとえば、アンケートは、特定の製品名、好みのノート、または被験者が男性的な香料を好むか、女性的な香料を好むか、それともユニセックスの香料を好むかなどの他の香料特性を含む、香料についての選好を入力するよう被験者102に明示的に要求してもよい。他の実施形態では、ユーザインターフェースエンジン308は、被験者102への1つまたは複数の質問を提示し、この回答を使用して上記の被験者の選好などを推測することができる。
【0094】
ブロック610において、ユーザインターフェースエンジン308は、アンケートに対する回答を受信し、この回答を処理のためにアンケート分析エンジン310に送信する。ブロック612において、アンケート分析エンジン310は、アンケートに対する回答に基づいて1つまたは複数の香料選好を判定する。いくつかの実施形態では、回答は、モバイルコンピューティングデバイス104上に存在するアンケート分析エンジン310によって処理される。他の実施形態では、回答は、サーバコンピューティングデバイス108上に存在するアンケート分析エンジン310によって処理される。ユーザインターフェースエンジン308は、表示デバイス302上に提示されるユーザインターフェースへの入力を介して回答を受信してもよい。アンケートからの回答および回答を処理した結果は、ユーザデータストア314に記憶されてもよい。ブロック610および612において実行される動作も任意であることが諒解されよう。
【0095】
ブロック614において、推奨エンジン312は、EEGデータ、および場合によっては、アンケート分析エンジン310によって判定された被験者の選好に少なくとも基づいて製品推奨を判定する。そうする際に、推奨エンジン312は、製品データストア316からのデータにアクセスしてもよい。いくつかの実施形態では、製品推奨は特定の製品である。他の実施形態では、製品推奨は香料プロファイルである。いくつかの実施形態では、製品推奨は、モバイルコンピューティングデバイス104上に存在する推奨エンジン312によって判定される。他の実施形態では、製品推奨は、サーバコンピューティングデバイス108上に存在する推奨エンジン312によって判定される。
【0096】
ブロック616において、製品推奨が被験者に提示される。たとえば、特定の製品が提示される一実施形態では、製品推奨を、たとえば製品の説明(たとえば、ノートプロファイル)、製品の価格、製品の購入場所などとともに、表示デバイス302上に表示することができる。製品推奨が香料プロファイルの形態である他の実施形態では、香料プロファイルを表示デバイス302によって香料コンサルタントに表示してもよい。香料コンサルタントの助けを受けて、香料プロファイルに基づいて1つまたは複数の製品を被験者に提示してもよい。
【0097】
方法600は、終了ブロックへ進み、終了する。
【0098】
図7は、本開示の1つまたは複数の態様による、被験者に対する製品推奨を生成しおよび/または提供する方法の非制限的な例を示すフローチャートである。全体的に700と指定される表現方法について、図1図5に示すシステム100の1つまたは複数の構成要素を参照しながら説明する。方法700は、次に説明する違いを除いて図6を参照しながら上記で説明した方法600と実質的に同様である。
【0099】
図7の実施形態では、ブロック702、704および716の動作は、各香料が順次、被験者にさらされるように実行される。この実施形態では、香料があらかじめ選択される代わりに、システムの推奨エンジン312または他のエンジンが、先行する香料にさらされたことによって生成された生体データに基づいて被験者102に提示される次の香料を決定する。いくつかの実施形態では、推奨エンジン312は、先行する香料にさらされたことによって生成された生体データおよびブロック708からのアンケートによる1つまたは複数の回答に基づいて、被験者102に提示される次の香料を決定する。香料のすべてが被験者102に提示された後、方法700は次いで、ブロック716に進み、推奨エンジン312が製品推奨を判定する。
【0100】
いくつかの実施形態では、選択される第1の香料は、アンケートからの1つまたは複数の回答に基づいて決定される。したがって、アンケートは、香料にさらす前に被験者に提示することができる。
【0101】
類似の番号が類似の要素を参照する添付の図面に関連して上記に記載した発明を実施するための形態は、本開示の様々な実施形態の説明を意図したものであり、唯一の実施形態を表すことを意図したものではない。本開示において説明する各実施形態は、単に一例または例示として提供されており、他の実施形態より好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。本明細書で提供する例示的な例は、網羅することも、または本開示を開示された厳密な形態に限定することを意図したものでもない。同様に、本明細書で説明する任意のステップは、同じまたは実質的に類似の結果を達成するために、他のステップと交換可能であるか、またはステップの組合せであり得る。さらに、方法ステップのうちのいくつかは、直列に実行することももしくは並列に実行することもでき、または他の方法ステップの文脈で具体的に表現または理解されない限り任意の順序で実行することができる。
【0102】
上記の記載では、本開示の例示的実施形態の十分な理解を実現するために、具体的詳細が記載されている。しかしながら、本明細書で開示する実施形態は、具体的な詳細のすべてを具体化することなく実施され得ることは、当業者には明らかであろう。いくつかの例では、周知のプロセスステップは、本開示の様々な態様を不必要に不明瞭にしないために、詳細に記載されていない。さらに、本開示の実施形態は、本明細書に記載されている特徴の任意の組合せを使用する可能性があることが諒解されよう。
【0103】
本出願はまた、量および数に言及することがある。特に明記されていない限り、そのような量および数は、限定的とは見なされず、本出願に関連する可能な量または数の例と見なされる。同じく、この点について、本出願は、量または数に言及するために「複数」という用語を使用することがある。この点について、「複数」という用語は、1より多い、たとえば2、3、4、5などである任意の数であることを意味する。「約」、「およそ」などの用語は、提示する値のプラスまたはマイナス5%を意味する。
【0104】
本明細書全体にわたって、当技術分野の用語が使用される場合がある。これらの用語は、本明細書において具体的な定義がないか、またはそれらの使用の文脈上明白に他の意味が示唆されない限り、それらが由来する技術分野における通常の意味を有する。
【0105】
本開示の原理、代表的実施形態、および動作モードを上記の説明において説明した。しかしながら、保護されることを意図する本開示の態様は、開示した特定の実施形態に限定的なものと解釈されるべきではない。さらに、本明細書で説明する実施形態は、限定的ではなく例示的と見なされるべきである。本開示の趣旨から逸脱することなく、変形形態および変更形態が他者によって作成され、均等物が採用され得ることは諒解されよう。したがって、そのような変形形態、変更形態、および均等物がすべて特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨および範囲内に入ることが明確に意図される。
【0106】
独占的所有権または特権が主張される本発明の実施形態は、次のように定義される。
【符号の説明】
【0107】
100 システム
102 被験者
104 モバイルコンピューティングデバイス
106 物理的収集デバイス、EEGセンサー、EEG電極
106A~106N EEGセンサー
108 サーバコンピューティングデバイス
110 ネットワーク
114 ヘッドセット
118 処理および送信回路
120 増幅器
122 A/D変換器
124 フィルタ
126 マルチプレクサ(MUX)
130 送信機
302 表示デバイス
306 EEGエンジン
308 ユーザインターフェースエンジン
310 アンケート分析エンジン
312 推奨エンジン
314 ユーザデータストア
316 製品データストア
322 ユーザデータストア
400 コンピューティングデバイス
402 プロセッサ
404 システムメモリ
406 通信バス
408 記憶媒体
410 ネットワークインターフェース
600 方法
700 方法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13