(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
F02M 37/00 20060101AFI20240826BHJP
F02B 43/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
F02M37/00 301R
F02M37/00 311J
F02B43/00 A
(21)【出願番号】P 2023035764
(22)【出願日】2023-03-08
【審査請求日】2023-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】303047034
【氏名又は名称】株式会社ジャパンエンジンコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大場 啓道
【審査官】稲本 遥
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-176867(JP,A)
【文献】特開2016-156288(JP,A)
【文献】特開2014-162306(JP,A)
【文献】特表2018-534202(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2021-0106062(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 21/00-21/12
37/00-37/54
F02B 43/00-45/10
B63H 1/00- 9/02
9/06-25/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に搭載された舶用内燃機関によって消費される液化ガス燃料を貯蔵するタンクと、
前記液化ガス燃料の供給源から前記タンクに通じる入口管を開閉する入口弁と、
前記タンクから前記舶用内燃機関に通じる供給管を介して、前記液化ガス燃料を前記舶用内燃機関へ送出する燃料送出部と、
前記タンク内の前記液化ガス燃料の液面レベルを検出するレベル検出部と、
前記液化ガス燃料の供給モードとして通常モードと減量モードとを択一的に選択し、選択した前記供給モードに応じて、前記レベル検出部による前記液面レベルの検出値をもとに、前記タンク内の前記液化ガス燃料の液面レベルを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記供給モードが前記通常モードである場合、前記液面レベルの検出値をもとに、前記入口弁および前記燃料送出部の少なくとも一つを制御して、前記タンク内の前記液化ガス燃料の液面レベルを所定の範囲内に制御し、
前記供給モードが前記減量モードである場合、前記入口管を閉じるように前記入口弁を制御するとともに、前記液面レベルの検出値をもとに、前記タンク内の前記液化ガス燃料の液面レベルを前記所定の範囲よりも低い最下限レベルまで低下させる、
ことを特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記供給モードが前記減量モードである場合、前記入口管を閉じるように前記入口弁を制御するとともに、前記液面レベルの検出値が前記最下限レベル以下になったとき、前記舶用内燃機関への前記液化ガス燃料の送出を停止するように前記燃料送出部を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記タンクから前記船舶の補機に通じる連通管と、
前記連通管を開閉する開閉弁と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記供給モードが前記通常モードである場合、前記連通管を閉じるように前記開閉弁を制御し、
前記供給モードが前記減量モードである場合、前記連通管を開くように前記開閉弁を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記供給モードが前記減量モードである場合、前記連通管を開くように前記開閉弁を制御するとともに、前記舶用内燃機関への前記液化ガス燃料の送出を停止するように前記燃料送出部を制御する、
ことを特徴とする請求項3に記載の燃料供給装置。
【請求項5】
警報を発する警報部をさらに備え、
前記制御部は、
前記供給モードが前記通常モードである場合、前記液面レベルの検出値が前記所定の範囲における液面レベルの下限である第1下限レベル未満に低下したときに警報を発するように、前記警報部を制御し、
前記供給モードが前記減量モードである場合、前記液面レベルの検出値が前記第1下限レベル未満に低下しても警報を発しないように、前記警報部を制御する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の燃料供給装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記供給モードが前記通常モードである場合、前記液面レベルの検出値が前記第1下限レベルよりも低い液面レベルである第2下限レベル以下に低下したときに、前記タンクからの前記液化ガス燃料の送出を停止させ、
前記供給モードが前記減量モードである場合、前記液面レベルの検出値が前記第2下限レベル以下であっても、前記タンクからの前記液化ガス燃料の送出を停止させない、
ことを特徴とする請求項5に記載の燃料供給装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記供給モードが前記通常モードである場合、前記供給源から前記タンクへの前記液化ガス燃料の供給が停止しているときに、前記タンクからの前記液化ガス燃料の送出を停止させ、
前記供給モードが前記減量モードである場合、前記供給源から前記タンクへの前記液化ガス燃料の供給が停止しても、前記タンクからの前記液化ガス燃料の送出を停止させない、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の燃料供給装置。
【請求項8】
前記供給モードとして前記通常モードまたは前記減量モードを指定する指定信号を前記制御部に入力する入力部をさらに備え、
前記制御部は、前記入力部からの前記指定信号に基づいて、前記通常モードまたは前記減量モードを選択する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、船舶の分野においては、二酸化炭素の排出量を削減するために、従来の化石燃料を代替する代替燃料として液化ガス燃料を適用可能な舶用内燃機関が開発されつつある。ここでいう液化ガス燃料とは、例えばアンモニア、メタノールまたは液化石油ガス(LPG)等、化石燃料に比べて燃焼時における二酸化炭素の排出量が少ない燃料である。このような舶用内燃機関を搭載する船舶には、液化ガス燃料を舶用内燃機関へ供給する燃料供給装置が設けられている。
【0003】
船舶の燃料供給装置は、一般に、タンクおよびポンプ等の装置を備え、舶用内燃機関の運転に必要な液化ガス燃料をタンク内に貯蔵し、ポンプの作用により、タンクから配管を通じて舶用内燃機関へ液化ガス燃料を供給する。舶用内燃機関は、燃料供給装置から供給された液化ガス燃料を消費(専焼または化石燃料と混焼)して、船舶の推進力を発生させる。
【0004】
また、船舶の燃料供給装置に対しては、定期的にメンテナンスが行われる。燃料供給装置のメンテナンスでは、例えば、船舶がドックに入った後、燃料供給装置のタンク等の装置内部が作業者によって点検される。このため、燃料供給装置のメンテナンスに際しては、燃料供給装置のタンク等に残存する液化ガス燃料を事前に排除する必要がある。しかしながら、たとえ燃料供給装置のメンテナンスを行うためであっても、燃料供給装置から上記のように排除された液化ガス燃料は、舶用内燃機関等に有効利用されず、無駄に処分(産業廃棄物扱いで廃棄処分)されることになる。このような液化ガス燃料の無駄を低減する観点から、例えば船舶がドック等に向かって航行中に、燃料供給装置は、タンクから舶用内燃機関へ液化ガス燃料を供給して、当該タンク内の液化ガス燃料を使い切ることが好ましい。
【0005】
例えば、タンク内の液化ガス燃料を有効に使い切るための従来技術として、液体アンモニアを貯蔵するアンモニアタンクを複数備えた供給システムが開示されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の供給システムでは、複数のアンモニアタンクのうち、使い切り対象のアンモニアタンクからの液体アンモニアがアンモニアガスに気化され、当該アンモニアガスが脱硝装置へ供給される。その後、上記使い切り対象のアンモニアタンク内の液体アンモニアを使い切った時点で、液体アンモニアの供給源が別のアンモニアタンクに切り替えられ、上記脱硝装置へのアンモニアガスの供給が継続して行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、海洋上を航行する船舶の燃料供給装置においては、船舶の揺動に伴いタンク内の液化ガス燃料の液面が変動し易く、これに起因して、タンクから配管を通じてポンプ内に気体が混入する現象、所謂、エア噛みが発生する可能性がある。上記エア噛みは、液化ガス燃料の供給において阻害要因となるから、タンク内には、上記エア噛みを発生させる程の液面変動が起こらないように、十分な量の液化ガス燃料を貯蔵する必要がある。このため、燃料供給装置のメンテナンスに際して、タンク内の液化ガス燃料を使い切ることは難しく、タンク内から事前に排除しなければならない液化ガス燃料の残量(すなわち、無駄に処分される液化ガス燃料の量)を低減することは困難である。
【0008】
また、船舶の燃料供給装置においては、特許文献1に記載されるようにタンクおよび供給系統を各々複数設ける場合、船舶内という限られた空間がタンク等の大型な装置によって圧迫されるため、装置の設置自体が困難であり、設置に要するコストも大きいという問題がある。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、メンテナンス前等、タンクを空の状態にしたい場合において、タンク内から無駄に排除される液化ガス燃料の残量を低減することができる燃料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る燃料供給装置は、船舶に搭載された舶用内燃機関によって消費される液化ガス燃料を貯蔵するタンクと、前記液化ガス燃料の供給源から前記タンクに通じる入口管を開閉する入口弁と、前記タンクから前記舶用内燃機関に通じる供給管を介して、前記液化ガス燃料を前記舶用内燃機関へ送出する燃料送出部と、前記タンク内の前記液化ガス燃料の液面レベルを検出するレベル検出部と、前記液化ガス燃料の供給モードとして通常モードと減量モードとを択一的に選択し、選択した前記供給モードに応じて、前記レベル検出部による前記液面レベルの検出値をもとに、前記タンク内の前記液化ガス燃料の液面レベルを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記供給モードが前記通常モードである場合、前記液面レベルの検出値をもとに、前記入口弁および前記燃料送出部の少なくとも一つを制御して、前記タンク内の前記液化ガス燃料の液面レベルを所定の範囲内に制御し、前記供給モードが前記減量モードである場合、前記入口管を閉じるように前記入口弁を制御するとともに、前記液面レベルの検出値をもとに、前記タンク内の前記液化ガス燃料の液面レベルを前記所定の範囲よりも低い最下限レベルまで低下させる、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る燃料供給装置は、上記の発明において、前記制御部は、前記供給モードが前記減量モードである場合、前記入口管を閉じるように前記入口弁を制御するとともに、前記液面レベルの検出値が前記最下限レベル以下になったとき、前記舶用内燃機関への前記液化ガス燃料の送出を停止するように前記燃料送出部を制御する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る燃料供給装置は、上記の発明において、前記タンクから前記船舶の補機に通じる連通管と、前記連通管を開閉する開閉弁と、をさらに備え、前記制御部は、前記供給モードが前記通常モードである場合、前記連通管を閉じるように前記開閉弁を制御し、前記供給モードが前記減量モードである場合、前記連通管を開くように前記開閉弁を制御する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る燃料供給装置は、上記の発明において、前記制御部は、前記供給モードが前記減量モードである場合、前記連通管を開くように前記開閉弁を制御するとともに、前記舶用内燃機関への前記液化ガス燃料の送出を停止するように前記燃料送出部を制御する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る燃料供給装置は、上記の発明において、警報を発する警報部をさらに備え、前記制御部は、前記供給モードが前記通常モードである場合、前記液面レベルの検出値が前記所定の範囲における液面レベルの下限である第1下限レベル未満に低下したときに警報を発するように、前記警報部を制御し、前記供給モードが前記減量モードである場合、前記液面レベルの検出値が前記第1下限レベル未満に低下しても警報を発しないように、前記警報部を制御する、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る燃料供給装置は、上記の発明において、前記制御部は、前記供給モードが前記通常モードである場合、前記液面レベルの検出値が前記第1下限レベルよりも低い液面レベルである第2下限レベル以下に低下したときに、前記タンクからの前記液化ガス燃料の送出を停止させ、前記供給モードが前記減量モードである場合、前記液面レベルの検出値が前記第2下限レベル以下であっても、前記タンクからの前記液化ガス燃料の送出を停止させない、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る燃料供給装置は、上記の発明において、前記制御部は、前記供給モードが前記通常モードである場合、前記供給源から前記タンクへの前記液化ガス燃料の供給が停止しているときに、前記タンクからの前記液化ガス燃料の送出を停止させ、前記供給モードが前記減量モードである場合、前記供給源から前記タンクへの前記液化ガス燃料の供給が停止しても、前記タンクからの前記液化ガス燃料の送出を停止させない、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る燃料供給装置は、上記の発明において、前記供給モードとして前記通常モードまたは前記減量モードを指定する指定信号を前記制御部に入力する入力部をさらに備え、前記制御部は、前記入力部からの前記指定信号に基づいて、前記通常モードまたは前記減量モードを選択する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、メンテナンス前等、タンクを空の状態にしたい場合において、タンク内から無駄に排除される液化ガス燃料の残量を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る燃料供給装置の一構成例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態1に係る燃料供給装置の通常モードにおいてバッファタンク内の液化ガス燃料の液面レベルを制御するための一処理手順を例示するフロー図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態1に係る燃料供給装置の減量モードにおいてバッファタンク内の液化ガス燃料の液面レベルを制御するための一処理手順を例示するフロー図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態2に係る燃料供給装置の一構成例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態2に係る燃料供給装置の減量モードにおいてバッファタンク内の液化ガス燃料の液面レベルを制御するための一処理手順を例示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る燃料供給装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図面において、同一構成部分には同一符号が付されている。
【0021】
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る燃料供給装置の構成について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る燃料供給装置の一構成例を示す模式図である。本発明の実施形態1に係る燃料供給装置10は、舶用内燃機関110へ液化ガス燃料を供給するものである。
【0022】
例えば
図1に示すように、燃料供給装置10は、供給対象の液化ガス燃料を貯蔵するバッファタンク1と、燃料供給源100からバッファタンク1に通じる入口管2と、入口管2を開閉する入口弁3と、バッファタンク1から舶用内燃機関110に通じる供給管4と、バッファタンク1から舶用内燃機関110へ燃料を送出する燃料送出部5とを備える。また、燃料供給装置10は、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを検出するレベル検出部6と、警報を発する警報部7と、液化ガス燃料の供給モードに関する信号を入力する入力部8と、バッファタンク1から液化ガス燃料を除害して排除するための除害装置9、排出管11および排出弁12と、制御部17とを備える。なお、
図1において、液化ガス燃料等の流体の流通および配管は、実線矢印によって適宜図示される。電気信号線は、一点鎖線によって適宜図示される。このことは、他の図面においても同様である。
【0023】
また、本実施形態1において対象とする舶用内燃機関110は、例えば、少なくとも液化ガス燃料を燃焼室内で燃焼して運転するタイプの内燃機関(船舶の主機)であり、船舶の機関室に設置される。液化ガス燃料は、重油等の化石燃料を代替する代替燃料であり、例えば、アンモニア、メタノールまたはLPG等、化石燃料に比べて燃焼時における二酸化炭素の排出量が少ない燃料である。以下、船舶といえば、特に説明がない限り、舶用内燃機関110を搭載した船舶を意味する。
【0024】
詳細には、
図1に示す燃料供給装置10において、バッファタンク1は、舶用内燃機関110によって消費される液化ガス燃料を貯蔵するタンクである。バッファタンク1は、例えば
図1に示すように、入口管2を介して燃料供給源100と連通している。燃料供給源100は、バッファタンク1に貯蔵される液化ガス燃料の供給源であり、例えば、液化ガス燃料を貯蔵するカーゴタンク、当該カーゴタンク内の液化ガス燃料をバッファタンク1に向けて送出するためのポンプおよび配管(いずれも図示せず)等によって構成される。バッファタンク1は、燃料供給源100から入口管2を介して液化ガス燃料を受け入れ、受け入れた液化ガス燃料を貯蔵する。このようにして、バッファタンク1は、舶用内燃機関110の運転に必要な量の液化ガス燃料を確保する。
【0025】
入口管2は、燃料供給源100からバッファタンク1に通じる配管である。詳細には、
図1に示すように、入口管2の入口端は燃料供給源100の配管に接続され、入口管2の出口端はバッファタンク1の所定部(
図1では側部)に接続される。これにより、入口管2は、燃料供給源100とバッファタンク1とを連通し、燃料供給源100からバッファタンク1への液化ガス燃料の供給を可能にする。
【0026】
入口弁3は、入口管2を開閉する開閉弁である。例えば、入口弁3は、電磁弁等によって構成され、
図1に示すように、入口管2の中途部に設けられる。入口弁3は、開度の制御により、入口管2内を流通する液化ガス燃料の流量を調整する。これにより、入口弁3は、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを調整する。本実施形態1において、入口弁3の開度は、制御部17によって制御される。
【0027】
供給管4は、バッファタンク1から舶用内燃機関110に通じる配管である。詳細には、
図1に示すように、供給管4は、バッファタンク1と燃料送出部5とを連通する第1供給管4aと、燃料送出部5と舶用内燃機関110とを連通する第2供給管4bとによって構成される。第1供給管4aの入口端は、バッファタンク1の所定部(
図1では底部)に接続される。第1供給管4aの出口端は、燃料送出部5の配管に接続される。供給管4は、この第1供給管4aを介してバッファタンク1から燃料送出部5へ液化ガス燃料を流通させる。また、第2供給管4bの入口端は、燃料送出部5の配管に接続される。第2供給管4bの出口端は、舶用内燃機関110の配管に接続される。供給管4は、この第2供給管4bを介して燃料送出部5から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の流通を可能にする。このような供給管4は、燃料送出部5の作用により、バッファタンク1から舶用内燃機関110へ液化ガス燃料を流通させる。
【0028】
燃料送出部5は、バッファタンク1内の液化ガス燃料を、供給管4を介して舶用内燃機関110へ送出するものである。詳細には、燃料送出部5は、ポンプおよび開閉弁等によって構成され、
図1に示すように、供給管4の中途部に設けられる。燃料送出部5は、バッファタンク1から第1供給管4aを介して液化ガス燃料を受け入れ、受け入れた液化ガス燃料を、第2供給管4bを介して舶用内燃機関110へ送出(供給)する。燃料送出部5によって舶用内燃機関110へ送出される液化ガス燃料の流量および圧力は、燃料送出部5の開閉弁の開度およびポンプの少なくとも一つを制御することによって調整される。この燃料送出部5の開閉弁およびポンプは、制御部17によって制御される。
【0029】
レベル検出部6は、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを検出するものである。詳細には、
図1に示すように、レベル検出部6は、バッファタンク1の高さ方向における複数のレベルの各位置に検出子を有する態様でバッファタンク1に設けられる。本実施形態1では、これら複数のレベルとして、高レベルH、第1下限レベルL1、第2下限レベルL2、最下限レベルL3が設定される。なお、液面レベルAは、バッファタンク1の所定部位(例えば底面)を基準とし、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面までの高さによって表される。
【0030】
本実施形態1において、高レベルHは、バッファタンク1内に貯蔵される液化ガス燃料の液面レベルの範囲として好ましいとされる所定の範囲の上限である。例えば、高レベルHは、バッファタンク1内の液化ガス燃料が溢れ出る可能性のある液面レベルから下方に所定のマージンを加味して設定される。当該所定の範囲は、バッファタンク1の設備仕様等に基づき、船舶の揺動に伴ってバッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAが変動しても、液化ガス燃料が意図せず溢れ出る事態やエア噛みが発生せず安定してバッファタンク1から舶用内燃機関110へ液化ガス燃料を供給し得る液面レベル範囲となるように設定される。第1下限レベルL1は、当該所定の範囲の下限である。以下、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAについて、当該所定の範囲は、目標範囲と称される。
【0031】
また、第2下限レベルL2は、
図1に示すように、第1下限レベルL1よりも低い液面レベルである。例えば、第2下限レベルL2は、海洋上を通常運転で航行する船舶の揺動に伴ってバッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAが変動した場合において、エア噛みが発生する可能性がある液面レベルの下限として設定される。最下限レベルL3は、
図1に示すように、上記目標範囲よりも低い液面レベルであり、詳細には、バッファタンク1における第1下限レベルL1および第2下限レベルL2のいずれの下限レベルよりも低い液面レベルである。例えば、最下限レベルL3は、船舶が上記通常運転よりも低速で航行して当該船舶の揺動が抑制されることにより、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面変動(液面レベルAの変動)を抑えてエア噛みの発生を抑制し得る最下限の液面レベルとして設定される。すなわち、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAが最下限レベルL3を上回っていれば、上記通常運転よりも低速で航行する船舶の揺動に伴って上記液面レベルAが変動しても、エア噛みの発生を抑制することが可能である。
【0032】
例えば、レベル検出部6は、時系列に沿って連続的または断続的に、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを検出する。レベル検出部6によって検出される液面レベルAとしては、高レベルH超、高レベルH以下かつ第1下限レベルL1以上(すなわち上記目標範囲内)、第1下限レベルL1未満かつ第2下限レベルL2超、第2下限レベルL2以下かつ最下限レベルL3超、最下限レベルL3以下、のいずれかの液面レベルが挙げられる。レベル検出部6は、液面レベルAを検出する都度、液面レベルAの検出値を示す電気信号(以下、検出信号という)を制御部17へ送信する。
【0033】
警報部7は、液面レベルAが所定の液面レベルを下回った際に、警報を発するものである。例えば、警報部7は、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAが目標範囲の第1下限レベルL1を下回った場合に、このことを警告するための警報を発する。この警報部7の動作は、制御部17によって制御される。なお、警報部7によって発生られる警報は、ブザー音や音声等の音情報であってもよいし、1以上の発光色や発光パターンの光情報であってもよいし、これらの音情報と光情報とを組み合わせたものであってもよい。
【0034】
入力部8は、液化ガス燃料の供給モードを指定する指定信号を制御部17に入力するものである。例えば、液化ガス燃料の供給モードは、対象機関(本実施形態1では舶用内燃機関110)へ液化ガス燃料を供給する燃料供給装置10の運転モードである。当該供給モードの具体例としては、対象機関に対する液化ガス燃料の供給を安定して行うための通常モードと、バッファタンク1内の液化ガス燃料を減量するための減量モードとが挙げられる。入力部8は、作業者の入力操作に応じ、液化ガス燃料の供給モードとして通常モードまたは減量モードを指定する電気信号を、当該供給モードの指定信号として制御部17に入力する。
【0035】
除害装置9は、バッファタンク1から排除された液化ガス燃料を除害するための装置である。詳細には、
図1に示すように、除害装置9は、排出管11を介してバッファタンク1と連通している。除害装置9は、排出管11を通じてバッファタンク1から排除された液化ガス燃料を受け入れ、受け入れた液化ガス燃料を除害する。例えば、液化ガス燃料がアンモニアである場合、除害装置9は、バッファタンク1から受け入れたアンモニアを、水との混合によって除害する。
【0036】
排出管11は、バッファタンク1から除害装置9に通じる配管である。例えば、
図1に示すように、排出管11の入口端はバッファタンク1に接続され、排出管11の出口端は除害装置9に接続される。また、排出管11の中途部には、
図1に示すように、排出弁12が設けられている。排出弁12は、排出管11を開閉する開閉弁である。例えば、排出弁12は、バッファタンク1内の液化ガス燃料が対象機関へ供給される場合、排出管11を閉じ、バッファタンク1内の液化ガス燃料が除害装置9へ排出される場合、排出管11を開く。排出弁12の開閉駆動は、制御部17によって制御されてもよいし、作業者によって手動操作されてもよい。
【0037】
制御部17は、燃料供給装置10におけるバッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを制御するものである。詳細には、制御部17は、各種プログラムを実行するためのCPU、メモリおよびシーケンサ等によって構成される。制御部17は、液化ガス燃料の供給モードとして通常モードと減量モードとを択一的に選択し、選択した供給モードに応じて、レベル検出部6による液面レベルAの検出値をもとに、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを制御する。
【0038】
例えば、制御部17は、入力部8からの指定信号に基づいて、上述した通常モードまたは減量モードを選択する。制御部17は、選択した供給モードが通常モードである場合、液面レベルAの検出値をもとに、入口弁3および燃料送出部5の少なくとも一つを制御して、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを上記目標範囲内に制御する。すなわち、制御部17は、液面レベルAの検出値が高レベルH以下かつ第1下限レベルL1以上となるように、入口弁3の開度を制御しつつ、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出(供給)を燃料送出部5に実行させる。
【0039】
また、制御部17は、選択した供給モードが通常モードである場合、液面レベルAの検出値が上記目標範囲における第1下限レベルL1未満に低下したときに警報を発するように、警報部7を制御する。さらに、制御部17は、液面レベルAの検出値が第2下限レベルL2以下に低下したときに、バッファタンク1からの液化ガス燃料の送出(本実施形態1では、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出)を、燃料送出部5に停止させる。
【0040】
また、制御部17は、燃料供給源100からバッファタンク1への液化ガス燃料の意図しない供給停止(例えば装置不具合による供給停止)に備えて、インターロック機能を有している。すなわち、制御部17は、選択した供給モードが通常モードである場合、燃料供給源100からバッファタンク1への液化ガス燃料の供給が停止しているときに、バッファタンク1からの液化ガス燃料の送出を停止させる。この際、制御部17は、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を停止(緊急停止)するように、燃料送出部5を制御する。なお、燃料供給源100からバッファタンク1への液化ガス燃料の供給が停止しているか否かは、例えば、バッファタンク1への液化ガス燃料の供給量とバッファタンク1からの液化ガス燃料の送出量とのバランスをもとに判断することが可能である。また、入口管2に流量計(図示せず)を設け、この流量計による液化ガス燃料の流量計測値をもとに、上記判断を行うことも可能である。
【0041】
つぎに、制御部17の選択した供給モードが、減量モードである場合の液面レベルAの制御について説明する。この場合、制御部17は、入口管2を閉じるように入口弁3を制御するととともに、液面レベルAの検出値をもとに、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを最下限レベルL3まで低下させる。この際、制御部17は、液面レベルAの検出値が第2下限レベルL2以下であっても、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を、燃料送出部5に停止させない。制御部17は、液面レベルAの検出値が最下限レベルL3以下になったとき、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を停止するように燃料送出部5を制御する。
【0042】
また、制御部17は、選択した供給モードが減量モードである場合、上述した警報部7による警報発信を無効化する。すなわち、制御部17は、液面レベルAの検出値が第1下限レベルL1未満に低下しても警報を発しないように、警報部7を制御する。さらに、制御部17は、上述したインターロック機能を無効化する。すなわち、制御部17は、燃料供給源100からバッファタンク1への液化ガス燃料の供給が停止しても、バッファタンク1からの液化ガス燃料の送出を停止させない。この際、制御部17は、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を継続して実行するように、燃料送出部5を制御する。
【0043】
燃料供給装置10におけるバッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを制御するための処理手順について、液化ガス燃料の供給モードが通常モードである場合と減量モードである場合とに分けて詳細に説明する。
図2は、本発明の実施形態1に係る燃料供給装置の通常モードにおいてバッファタンク内の液化ガス燃料の液面レベルを制御するための一処理手順を例示するフロー図である。液化ガス燃料の供給モードが通常モードである場合、上述した制御部17(
図1参照)は、
図2に示されるステップS101~S109の各処理を実行することにより、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを制御する。
【0044】
詳細には、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベル制御において、制御部17は、入力部8から指定信号を取得し、取得した指定信号に基づき、液化ガス燃料の供給モードとして通常モードまたは減量モードを選択する。上記供給モードとして通常モードが選択された場合、制御部17は、
図2に示すように、まず、バッファタンク1内に貯蔵されている液化ガス燃料の液面レベルAの検出値を取得する(ステップS101)。ステップS101において、制御部17は、レベル検出部6から検出信号を受信し、受信した検出信号をもとに、レベル検出部6による液面レベルAの検出値を取得する。
【0045】
ステップS101の処理手順を実行後、燃料供給装置10は、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAが上記目標範囲内であるか否かを判断する。例えば、本実施形態1において、制御部17は、液面レベルAがバッファタンク1の高レベルH超であるか否かを判断する(ステップS102)。ステップS102において、制御部17は、上記ステップS101で取得した液面レベルAの検出値と高レベルHとを比較する。制御部17は、当該検出値が高レベルHよりも大きい場合、実際の液面レベルAが高レベルH超であると判断し、当該検出値が高レベルH以下である場合、実際の液面レベルAが高レベルH以下であると判断する。
【0046】
液面レベルAが高レベルH超である場合(ステップS102,Yes)、燃料供給装置10は、バッファタンク1内の液化ガス燃料の貯蔵量を減量し(ステップS103)、その後、上述したステップS101に戻り、このステップS101以降の処理手順を繰り返す。
【0047】
ステップS103において、制御部17は、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を燃料送出部5に実行させながら、開度を下げるように入口弁3を制御する。これにより、制御部17は、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を維持しながら、燃料供給源100からバッファタンク1への液化ガス燃料の供給量を減らす。この結果、バッファタンク1内の液化ガス燃料の貯蔵量が減量される。
【0048】
なお、バッファタンク1内の液化ガス燃料の貯蔵量を減量する場合において、制御部17は、上記のように入口弁3の開度を下げてもよいし、舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出量を増やすように燃料送出部5のポンプや開閉弁を制御してもよい。あるいは、制御部17は、燃料供給源100からバッファタンク1への液化ガス燃料の供給量を減らすように、燃料供給源100のポンプを制御してもよい。
【0049】
一方、ステップS102において、液面レベルAが高レベルH以下である場合(ステップS102,No)、制御部17は、液面レベルAがバッファタンク1の第1下限レベルL1未満であるか否かを判断する(ステップS104)。ステップS104において、制御部17は、上記ステップS101で取得した液面レベルAの検出値と第1下限レベルL1とを比較する。制御部17は、当該検出値が第1下限レベルL1未満である場合、実際の液面レベルAが第1下限レベルL1未満(すなわち目標範囲未満)であると判断し、当該検出値が第1下限レベルL1以上である場合、実際の液面レベルAが第1下限レベルL1以上であると判断する。
【0050】
液面レベルAが第1下限レベルL1以上である場合(ステップS104,No)、現段階において、液面レベルAは、高レベルH以下かつ第1下限レベルL1以上、すなわち、バッファタンク1における目標範囲内の液面レベルである。この場合、燃料供給装置10は、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを目標値に制御し(ステップS105)、その後、上述したステップS101に戻り、このステップS101以降の処理手順を繰り返す。
【0051】
ステップS105において、制御部17は、液面レベルAの検出値が目標の液面レベルSとなるように、入口弁3の開度を制御し、または、燃料送出部5による舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出量を制御する。あるいは、制御部17は、これらの両方を制御する。これにより、制御部17は、燃料供給源100からバッファタンク1への液化ガス燃料の供給量とバッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出量とのバランス、すなわち、液化ガス燃料の収支バランスを調整して、液面レベルAを目標の液面レベルSに制御する。なお、目標の液面レベルSは、バッファタンク1に設定される液面レベルAの目標範囲内において、目標とする所定の液面レベル(液面レベルAの目標値)である。
【0052】
一方、ステップS104において、液面レベルAが第1下限レベルL1未満である場合(ステップS104,Yes)、現段階において、液面レベルAは、バッファタンク1における目標範囲より低い液面レベルである。この場合、燃料供給装置10は、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAが目標範囲より低くなったことを警告するために、警報を発信する(ステップS106)。ステップS106において、制御部17は、警報部7を制御し、警報部7は、この制御部17の制御に基づいて、警報を発信する。
【0053】
ステップS106の処理手順を実行後、燃料供給装置10は、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAが第2下限レベルL2以下であるか否かを判断する(ステップS107)。ステップS107において、制御部17は、上記ステップS101で取得した液面レベルAの検出値と第2下限レベルL2とを比較する。制御部17は、当該検出値が第2下限レベルL2以下である場合、実際の液面レベルAが第2下限レベルL2以下であると判断し、当該検出値が第2下限レベルL2超である場合、実際の液面レベルAが第2下限レベルL2超であると判断する。
【0054】
液面レベルAが第2下限レベルL2超である場合(ステップS107,No)、現段階において、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAは、第1下限レベルL1未満かつ第2下限レベルL2超である。この場合、燃料供給装置10は、上記警報の発信を継続しつつ、バッファタンク1内の液化ガス燃料の貯蔵量を増量し(ステップS108)、その後、上述したステップS101に戻り、このステップS101以降の処理手順を繰り返す。
【0055】
ステップS108において、制御部17は、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を燃料送出部5に実行させながら、開度を上げるように入口弁3を制御する。これにより、制御部17は、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を維持しながら、燃料供給源100からバッファタンク1への液化ガス燃料の供給量を増やす。この結果、バッファタンク1内の液化ガス燃料の貯蔵量が増量される。
【0056】
なお、バッファタンク1内の液化ガス燃料の貯蔵量を増量する場合において、制御部17は、上記のように入口弁3の開度を上げてもよいし、舶用内燃機関への液化ガス燃料の送出量を減らすように燃料送出部5のポンプや開閉弁を制御してもよい。あるいは、制御部17は、燃料供給源100からバッファタンク1への液化ガス燃料の供給量を増やすように、燃料供給源100のポンプを制御してもよい。
【0057】
一方、ステップS107において、液面レベルAが第2下限レベルL2以下である場合(ステップS107,Yes)、燃料供給装置10は、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を停止し(ステップS109)、本処理を終了する。ステップS109において、制御部17は、ポンプを停止させる、または開閉弁を閉じる等の手法により、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を停止するよう燃料送出部5を制御する。この結果、バッファタンク1内における液化ガス燃料の液面レベルAの低下を止めることができる。
【0058】
なお、ステップS109において、制御部17は、上記燃料送出部5の制御とともに、入口管2を閉じるように入口弁3を制御して、燃料供給源100からバッファタンク1への液化ガス燃料の供給を停止してもよい。この際、制御部17は、液面レベルAが高レベルHを超えないことを限度に、燃料供給源100からバッファタンク1への液化ガス燃料の供給を継続するよう入口弁3の開度を制御してもよい。
【0059】
つぎに、液化ガス燃料の供給モードが減量モードである場合での、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを制御するための処理手順について詳細に説明する。
図3は、本発明の実施形態1に係る燃料供給装置の減量モードにおいてバッファタンク内の液化ガス燃料の液面レベルを制御するための一処理手順を例示するフロー図である。液化ガス燃料の供給モードが減量モードである場合、制御部17は、
図3に示されるステップS201~S107の各処理を実行することにより、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを制御する。
【0060】
詳細には、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベル制御において、制御部17は、入力部8からの指定信号に基づいて減量モードを選択した場合、
図3に示すように、まず、燃料供給装置10における警報の発信およびインターロックを無効化する(ステップS201)。ステップS201において、制御部17は、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAが第1下限レベルL1未満に低下しても、警報部7に警報を発信させないようにする。また、制御部17は、燃料供給源100からバッファタンク1への液化ガス燃料の供給が停止しても、舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を燃料送出部5に停止させないようにする。
【0061】
ステップS201の処理手順を実行後、燃料供給装置10は、バッファタンク1への液化ガス燃料の供給を停止する(ステップS202)。ステップS202において、制御部17は、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を燃料送出部5に実行させながら、入口管2を閉じるように入口弁3を制御する。これにより、制御部17は、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を維持しながら、燃料供給源100からバッファタンク1への液化ガス燃料の供給を停止させる。このとき、制御部17は、インターロックを無効化しているので、上記バッファタンク1への液化ガス燃料の供給が停止しても、上記舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を継続させ得る。
【0062】
なお、燃料供給源100からバッファタンク1への液化ガス燃料の供給を停止する場合において、制御部17は、上記のように入口弁3を閉状態にしてもよいし、燃料供給源100のポンプを停止させてもよい。
【0063】
ステップS202の処理手順を実行後、燃料供給装置10は、バッファタンク1内に貯蔵されている液化ガス燃料の液面レベルAの検出値を取得する(ステップS203)。ステップS203において、制御部17は、上述したステップS101(
図2参照)と同様に、レベル検出部6による液面レベルAの検出値を取得する。
【0064】
ステップS203の処理手順を実行後、燃料供給装置10は、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAが上記目標範囲の第1下限レベルL1以上であるか否かを判断する(ステップS204)。ステップS204において、制御部17は、上記ステップS203で取得した液面レベルAの検出値と第1下限レベルL1とを比較する。制御部17は、当該検出値が第1下限レベルL1以上である場合、実際の液面レベルAが第1下限レベルL1以上であると判断し、当該検出値が第1下限レベルL1未満である場合、実際の液面レベルAが第1下限レベルL1未満であると判断する。
【0065】
液面レベルAが第1下限レベル以上である場合(ステップS204,Yes)、燃料供給装置10は、バッファタンク1から舶用内燃機関110へ液化ガス燃料を送出し(ステップS206)、その後、上述したステップS203に戻り、このステップS203以降の処理手順を繰り返す。ステップS206において、制御部17は、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を継続して行うように、燃料送出部5を制御する。この段階において、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAは、舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出に伴って低下し続ける。
【0066】
一方、ステップS204において、液面レベルAが第1下限レベルL1未満である場合(ステップS204,No)、制御部17は、液面レベルAがバッファタンク1の最下限レベルL3超であるか否かを判断する(ステップS205)。ステップS205において、制御部17は、上記ステップS203で取得した液面レベルAの検出値と最下限レベルL3とを比較する。制御部17は、当該検出値が最下限レベルL3を上回る場合、実際の液面レベルAが最下限レベルL3超であると判断し、当該検出値が最下限レベルL3以下である場合、実際の液面レベルAが最下限レベルL3以下であると判断する。
【0067】
液面レベルAが最下限レベルL3超である場合(ステップS205,Yes)、現段階において、液面レベルAは、第1下限レベルL1未満かつ最下限レベルL3超の液面レベルである。この場合、燃料供給装置10は、上述したステップS206に進み、このステップS206の処理手順を実行する。その後、燃料供給装置10は、上述したステップS203に戻り、このステップS203以降の処理手順を繰り返す。すなわち、制御部17は、実際の液面レベルAが最下限レベルL3に低下するまで、上述したステップS203~S206を繰り返し実行する。
【0068】
一方、ステップS205において、液面レベルAが最下限レベルL3以下であると判断された場合(ステップS205,No)、現段階において、実際の液面レベルAは、バッファタンク1における最下限レベルL3まで低下している。この場合、燃料供給装置10は、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を停止し(ステップS207)、本処理を終了する。ステップS207において、制御部17は、上述したステップS109(
図2参照)と同様に燃料送出部5を制御して、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を停止させる。これにより、制御部17は、バッファタンク1内における液化ガス燃料の液面レベルAを最下限レベルL3またはその下近傍まで低下させた後、当該液面レベルAの低下を止める。
【0069】
以上、説明したように、本発明の実施形態1に係る燃料供給装置10では、液化ガス燃料の供給モードとして通常モードまたは減量モードを選択し、選択した供給モードに応じて、レベル検出部6による液面レベルAの検出値をもとに、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを制御部17によって制御している。詳細には、通常モードの場合、制御部17は、液面レベルAの検出値をもとに、入口弁3および燃料送出部5の少なくとも一つを制御して、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを目標範囲内に制御している。減量モードの場合、制御部17は、入口管2を閉じるように入口弁3を制御するとともに、液面レベルAの検出値をもとに、バッファタンク1内における液化ガス燃料の実際の液面レベルAを目標範囲よりも低い最下限レベルL3まで低下させている。
【0070】
例えば、本実施形態1では、減量モードの場合、液面レベルAが第1下限レベルL1未満に低下したときの警報の発信機能と、燃料供給源100からバッファタンク1への液化ガス燃料の供給が停止したときのインターロック機能とを無効化し、液面レベルAが第2下限レベル以下に低下しても、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を停止せず、液面レベルAが最下限レベルまで低下したタイミングに当該液化ガス燃料の送出を停止させている。
【0071】
上記構成のため、メンテナンス前等、バッファタンク1を空の状態にしたい場合において、船舶の揺動に伴うバッファタンク1内の液化ガス燃料の液面変動に起因するエア噛みの発生を抑制しながら、バッファタンク1内の液化ガス燃料の残量を減らすことができる。これにより、バッファタンク1内から事前に排除しなければならない液化ガス燃料の残量を低減できることから、バッファタンク1内から無駄に排除される液化ガス燃料の残量を低減することができる。
【0072】
(実施形態2)
つぎに、本発明の実施形態2に係る燃料供給装置の構成について説明する。
図4は、本発明の実施形態2に係る燃料供給装置の一構成例を示す模式図である。
図4に示すように、本実施形態2に係る燃料供給装置10Aは、上述した実施形態1に係る燃料供給装置10の制御部17に代えて制御部17Aを備え、さらに、連通管14と、開閉弁15と、ガス化部16とを備える。その他の構成は実施形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0073】
連通管14は、バッファタンク1から船舶の補機120に通じる配管である。例えば、
図4に示すように、連通管14の入口端は供給管4(本実施形態2では第1供給管4a)に接続され、連通管14の出口端は補機120の配管に接続される。これにより、連通管14は、供給管4から分岐してバッファタンク1と補機120とを連通し、バッファタンク1から補機120側への液化ガス燃料の供給を可能にする。なお、補機120は、船舶に搭載される主機(すなわち舶用内燃機関110)以外の設備であり、例えば、発電機またはボイラー等である。
【0074】
開閉弁15は、連通管14を開閉する弁である。例えば、開閉弁15は、電磁弁等によって構成され、
図4に示すように、連通管14の中途部に設けられる。開閉弁15は、開度の制御により、連通管14内を流通する液化ガス燃料の流量を調整する。本実施形態2において、開閉弁15の開度は、制御部17Aによって制御される。
【0075】
ガス化部16は、液体燃料をガス化する装置である。詳細には、ガス化部16は、チャンバー等によって構成され、
図4に示すように、連通管14の中途部に設けられる。ガス化部16は、連通管14を介してバッファタンク1から送出された液化ガス燃料をガス成分に変換する。例えば、液化ガス燃料が液体アンモニアである場合、ガス化部16は、バッファタンク1からの液体アンモニアをアンモニアガスに変換する。ガス化部16は、このように液化ガス燃料から変換したガス成分を、連通管14を介して補機120へ送出する。なお、当該ガス成分の流通は、バッファタンク1内に貯蔵された液化ガス燃料の高圧力とガス化部16内のガス成分の低圧力との差によって実現可能である。
【0076】
制御部17Aは、燃料供給装置10Aにおけるバッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを制御するものである。詳細には、制御部17Aは、各種プログラムを実行するためのCPU、メモリおよびシーケンサ等によって構成される。制御部17Aは、選択した供給モードに応じた開閉弁15の制御機能と、実施形態1の制御部17とは異なる燃料送出部5の制御機能とを有する。これらの制御機能以外、制御部17Aの機能は、上述した実施形態1の制御部17と同様である。
【0077】
例えば、制御部17Aは、選択した供給モードが通常モードである場合、連通管14を閉じるように開閉弁15を制御し、さらに、上述した実施形態1の制御部17と同様に、入口弁3、燃料送出部5および警報部7等を制御する。また、制御部17Aは、選択した供給モードが減量モードである場合、上述した実施形態1の制御部17と同様に、入口管2を閉じるように入口弁3を制御するとともに、連通管14を開くように開閉弁15を制御する。さらに、制御部17Aは、この開閉弁15の制御とともに、舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を停止するように燃料送出部5を制御する。この際、制御部17Aは、レベル検出部6による液面レベルAの検出値をもとに、開閉弁15および燃料送出部5を各々制御してもよいし、当該液面レベルの検出値によらず、開閉弁15および燃料送出部5を各々制御してもよい。
【0078】
つぎに、燃料供給装置10Aにおけるバッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを制御するための処理手順について、液化ガス燃料の供給モードが通常モードである場合と減量モードである場合とに分けて詳細に説明する。
図5は、本発明の実施形態2に係る燃料供給装置の減量モードにおいてバッファタンク内の液化ガス燃料の液面レベルを制御するための一処理手順を例示するフロー図である。液化ガス燃料の供給モードが減量モードである場合、制御部17Aは、
図5に示されるステップS301~S309の各処理を実行することにより、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAを制御する。
【0079】
詳細には、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベル制御において、制御部17Aは、入力部8からの指定信号に基づいて減量モードを選択した場合、
図5に示すように、まず、燃料供給装置10Aにおける警報の発信およびインターロックを無効化する(ステップS301)。ステップS301において、制御部17Aは、上述した実施形態1のステップS201(
図3参照)と同様に、警報部7による警報の発信と、燃料送出部5による液化ガス燃料の送出停止とを制御する。
【0080】
ステップS301の処理手順を実行後、燃料供給装置10Aは、バッファタンク1への液化ガス燃料の供給を停止する(ステップS302)。ステップS302において、制御部17Aは、上述した実施形態1のステップS202と同様に、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を燃料送出部5に実行させながら、入口管2を閉じるように入口弁3を制御する。
【0081】
ステップS302の処理手順を実行後、燃料供給装置10Aは、バッファタンク1内に貯蔵されている液化ガス燃料の液面レベルAの検出値を取得する(ステップS303)。ステップS303において、制御部17Aは、上述した実施形態1のステップS203と同様に、レベル検出部6による液面レベルAの検出値を取得する。
【0082】
ステップS303の処理手順を実行後、燃料供給装置10Aは、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAが上記目標範囲の第1下限レベルL1以上であるか否かを判断する(ステップS304)。ステップS304において、制御部17Aは、上記ステップS303で取得した液面レベルAの検出値をもとに、上述した実施形態1のステップS204と同様に、液面レベルAが第1下限レベルL1以上であるか否かを判断する。
【0083】
液面レベルAが第1下限レベル以上である場合(ステップS304,Yes)、燃料供給装置10Aは、バッファタンク1から舶用内燃機関110へ液化ガス燃料を送出し(ステップS305)、その後、上述したステップS303に戻り、このステップS303以降の処理手順を繰り返す。ステップS305において、制御部17Aは、上述した実施形態1のステップS206路同様に、燃料送出部5を制御して、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を継続させる。この段階において、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAは、舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出に伴って低下し続ける。
【0084】
一方、ステップS304において、液面レベルAが第1下限レベルL1未満である場合(ステップS304,No)、制御部17Aは、上述した実施形態1のステップS205と同様に、液面レベルAがバッファタンク1の最下限レベルL3超であるか否かを判断する(ステップS306)。
【0085】
液面レベルAが最下限レベルL3超である場合(ステップS306,Yes)、現段階において、液面レベルAは、第1下限レベルL1未満かつ最下限レベルL3超の液面レベルである。この場合、燃料供給装置10Aは、主機すなわち舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を停止し(ステップS307)、補機120へ液化ガス燃料を送出する(ステップS308)。その後、燃料供給装置10Aは、上述したステップS303に戻り、このステップS303以降の処理手順を繰り返す。
【0086】
ステップS307において、制御部17Aは、上述した実施形態1のステップS207と同様に、燃料送出部5を制御して、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を停止させる。また、ステップS308において、制御部17Aは、連通管14を開くように開閉弁15を制御する。これにより、バッファタンク1内の液化ガス燃料は、その圧力により、連通管14等を介してガス化部16内へ流入する。流入した液化ガス燃料は、ガス化部16によってガス成分に変換される。当該ガス成分は、ガス化部16から連通管14を介して補機120へ送出(供給)される。補機120は、発電機またはボイラー等、上記液化ガス燃料のガス成分を燃料として消費し、駆動する設備である。このような補機120は、船舶の航行中は勿論、船舶が停止(停泊)していても、上記液化ガス燃料のガス成分を消費して駆動し得る。制御部17Aは、実際の液面レベルAが最下限レベルL3に低下するまで、上述したステップS303~S308を繰り返し実行する。
【0087】
一方、ステップS306において、液面レベルAが最下限レベルL3以下である場合(ステップS306,No)、現段階において、液面レベルAは、バッファタンク1における最下限レベルL3まで低下している。この場合、燃料供給装置10Aは、バッファタンク1からの液化ガス燃料の送出を停止し(ステップS309)、本処理を終了する。
【0088】
ステップS309において、制御部17Aは、連通管14を閉じるように開閉弁15を制御する。これにより、制御部17Aは、バッファタンク1から補機120側への液化ガス燃料の送出を停止させる。なお、この段階において、バッファタンク1から舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出は、上述したステップS307により、既に停止している。このようにして、制御部17Aは、バッファタンク1内における液化ガス燃料の液面レベルAを最下限レベルL3またはその下近傍まで低下させた後、当該液面レベルAの低下を止める。
【0089】
なお、燃料供給装置10Aにおいて、供給モードが通常モードである場合、制御部17Aは、上述した実施形態1のステップS101~S109(
図2参照)と同様に、各処理を実行する。
【0090】
以上、説明したように、本発明の実施形態2に係る燃料供給装置10Aでは、バッファタンク1から補機120に通じる連通管14と、連通管14を開閉する開閉弁15とをさらに設け、通常モードの場合、連通管14を閉じるように開閉弁15を制御し、減量モードの場合、連通管14を開くように開閉弁15を制御し、例えば、減量モードの場合において、さらに、舶用内燃機関110への液化ガス燃料の送出を停止するように燃料送出部5を制御して、その他を実施形態1と同様にしている。このため、上述した実施形態1と同様の作用効果を享受するとともに、減量モードの場合において、船舶が停止していても駆動し得る補機120へ液化ガス燃料のガス成分を供給することにより、船舶の揺動に伴うバッファタンク1内の液化ガス燃料の液面変動を可能な限り抑制しながら、バッファタンク1内の液化ガス燃料の残量を減らすことができる。これにより、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面変動に起因するエア噛みの発生を容易に抑制しながら、バッファタンク1内から無駄に排除される液化ガス燃料の残量をより低減することができる。
【0091】
なお、上述した実施形態1、2では、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAが高レベルH以下かつ第1下限レベルL1以上の範囲(上記目標範囲)内であるか否かを判断する際、まず、液面レベルAが高レベルHを超過するか否かを判断し、その後、液面レベルAが第1下限レベルL1未満であるか否かを判断していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAが上記目標範囲内であるか否かを判断する際、まず、液面レベルAが第1下限レベルL1未満であるか否かを判断し、その後、液面レベルAが高レベルHを超過するか否かを判断してもよいし、これらの判断を並行して行ってもよい。
【0092】
また、上述した実施形態2では、減量モードの場合において、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAが第1下限レベルL1未満に低下するまで、バッファタンク1から舶用内燃機関110へ液化ガス燃料を送出し、当該液面レベルAが第1下限レベルL1未満かつ最下限レベルL3超の範囲内であれば、バッファタンク1からの液化ガス燃料の送出先を舶用内燃機関110から補機120に切り替え、当該液面レベルAが最下限レベルL3まで低下したときに、バッファタンク1から補機120への液化ガス燃料の送出を停止していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、減量モードの場合において、バッファタンク1からの液化ガス燃料の送出先は、液面レベルAが最下限レベルL3以下に低下するまで、補機120のみであってもよいし、舶用内燃機関110および補機120の両方であってもよい。
【0093】
また、上述した実施形態2では、補機120に通じる連通管14として、舶用内燃機関110に通じる供給管4から分岐した配管を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、連通管14は、バッファタンク1に対して直に接続された配管であってもよい。また、連通管14が供給管4から分岐した配管である場合、連通管14の入口端は、燃料送出部5の上流側の第1供給管4aに接続されてもよいし、燃料送出部5の下流側の第2供給管4aに接続されてもよい。
【0094】
また、上述した実施形態1、2では、液化ガス燃料の供給モードが減量モードである場合において、警報部7による警報の発信を無効化していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、上記減量モードにおいて、バッファタンク1内の液化ガス燃料の液面レベルAがバッファタンク1の最下限レベルL3以下に低下した際に、警報部7は、液面レベルAが最下限レベルL3以下であることを知らせる警報を発信してもよい。
【0095】
また、上述した実施形態1、2により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施形態1、2に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
1 バッファタンク
2 入口管
3 入口弁
4 供給管
4a 第1供給管
4b 第2供給管
5 燃料送出部
6 レベル検出部
7 警報部
8 入力部
9 除害装置
10、10A 燃料供給装置
11 排出管
12 排出弁
14 連通管
15 開閉弁
16 ガス化部
17、17A 制御部
100 燃料供給源
110 舶用内燃機関
120 補機
A 液面レベル
【要約】
【課題】タンクを空の状態にしたい場合において、タンク内から無駄に排除される液化ガス燃料の残量を低減できる燃料供給装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様である燃料供給装置は、液化ガス燃料を貯蔵するタンクと、燃料供給源からタンクに通じる入口管を開閉する入口弁と、タンクから舶用内燃機関へ液化ガス燃料を送出する燃料送出部と、タンク内の液化ガス燃料の液面レベルを検出するレベル検出部と、供給モードに応じてタンク内の液化ガス燃料の液面レベルを制御する制御部とを備える。制御部は、供給モードが通常モードの場合、液面レベルの検出値をもとに液化ガス燃料の液面レベルを所定範囲内に制御し、供給モードが減量モードの場合、入口弁を閉駆動させるとともに、液面レベルの検出値をもとに液化ガス燃料の液面レベルを所定範囲よりも低い最下限レベルまで低下させる。
【選択図】
図1