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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】作業支援システム、作業車両
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240826BHJP
【FI】
G06Q50/02
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2023035920
(22)【出願日】2023-03-08
(62)【分割の表示】P 2019122524の分割
【原出願日】2019-06-28
(65)【公開番号】P2023060295
(43)【公開日】2023-04-27
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】武智 貫太
(72)【発明者】
【氏名】岡村 誠一
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-055673(JP,A)
【文献】特開2016-101145(JP,A)
【文献】特開2019-004853(JP,A)
【文献】特開2017-051120(JP,A)
【文献】特開2019-097454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両に設けられ、前記作業車両の車体位置を測位する測位装置と、
前記作業車両に設けられた通信装置であって、前記作業車両に連結した圃場形成装置が圃場の輪郭を形成するための対地作業を行っているときの前記車体位置、対地情報、及び前記対地情報に対応付けられた対地情報位置を取得する通信装置と、
前記通信装置が取得した前記車体位置に基づく前記圃場の輪郭、前記対地情報、及び前記対地情報位置を圃場情報として設定する圃場設定部と、
を備え
前記圃場形成装置は、圃場の輪郭を形成するよう対地作業を行う対地作業部を有し、
前記圃場設定部は、前記対地作業部の移動軌跡を、前記圃場の輪郭として設定する作業支援システム。
【請求項2】
前記対地情報は、土壌状態に関する情報を含む請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項3】
前記土壌状態に関する情報は、圃場の硬軟に関する情報を含む請求項2に記載の作業支援システム。
【請求項4】
前記対地情報は、衛生設備に関する情報を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の作業支援システム。
【請求項5】
前記作業車両に設けられる入力装置を備え、
前記対地情報は前記入力装置にて入力されることにより、前記通信装置に取得される請求項1~4のいずれか1項に記載の作業支援システム。
【請求項6】
前記対地情報が前記入力装置にて入力された時の前記車体位置が、前記対地情報位置として、前記通信装置に取得される請求項5に記載の作業支援システム。
【請求項7】
前記入力装置は、作業者が音声を用いて前記対地情報を入力可能である請求項5又は6に記載の作業支援システム。
【請求項8】
前記入力装置は、各対地情報に対応するアイコンを表示する表示装置であり、
作業者が前記アイコンのうちのいずれかを押すことで、押されたアイコンに対応する前記対地情報が入力される請求項5~7のいずれか1項に記載の作業支援システム。
【請求項9】
前記通信装置は、前記作業車両に連結された作業装置を識別する識別情報を取得し、
前記圃場設定部は、前記通信装置が取得した前記識別情報に基づいて、前記作業装置の種別を判断し、前記種別が前記圃場形成装置であると判断した場合に、前記対地作業部の移動軌跡を、前記圃場の輪郭として設定する請求項1~8のいずれか1項に記載の作業支援システム。
【請求項10】
車体と、
前記車体に設けられ、圃場形成装置を連結可能な連結部と、
前記車体の位置である車体位置を測位可能な測位装置と、
前記連結部に連結された前記圃場形成装置が圃場の輪郭を形成する対地作業を行っているときの前記車体位置、対地情報、及び前記対地情報に対応付けられた対地情報位置を取得する情報取得部と、前記情報取得部が取得した前記車体位置に基づく前記圃場の輪郭、前記対地情報、及び前記対地情報位置を圃場情報として設定する圃場設定部と、を有する制御装置と、
を備え
前記圃場形成装置は、圃場の輪郭を形成するよう対地作業を行う対地作業部を有し、
前記圃場設定部は、前記対地作業部の移動軌跡を、前記圃場の輪郭として設定する作業車両。
【請求項11】
前記対地情報は、土壌状態に関する情報を含む請求項10に記載の作業車両。
【請求項12】
前記土壌状態に関する情報は、圃場の硬軟に関する情報を含む請求項11に記載の作業車両。
【請求項13】
前記対地情報は、衛生設備に関する情報を含む請求項1012のいずれか1項に記載の作業車両。
【請求項14】
入力装置を備え、
前記対地情報は前記入力装置にて入力されることにより、前記情報取得部に取得される請求項1013のいずれか1項に記載の作業車両。
【請求項15】
前記対地情報が前記入力装置にて入力された時の前記車体位置が、前記対地情報位置として、前記情報取得部に取得される請求項14に記載の作業車両。
【請求項16】
前記入力装置は、作業者が音声を用いて前記対地情報を入力可能である請求項14又は15に記載の作業車両。
【請求項17】
前記入力装置は、各対地情報に対応するアイコンを表示する表示装置であり、
作業者が前記アイコンのうちのいずれかを押すことで、押されたアイコンに対応する前記対地情報が入力される請求項1416のいずれか1項に記載の作業車両。
【請求項18】
前記情報取得部は、前記連結部に連結された作業装置を識別する識別情報を取得し、
前記圃場設定部は、前記情報取得部が取得した前記識別情報に基づいて、前記作業装置の種別を判断し、前記種別が前記圃場形成装置であると判断した場合に、前記対地作業部の移動軌跡を、前記圃場の輪郭として設定する請求項10~17のいずれか1項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、作業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場マップに関する技術として特許文献1に示す技術が知られている。特許文献1の圃場システムでは、圃場地図データを記録する圃場地図レイヤを有する地図データ記録部と、各種の農作業機により圃場に対して実行される作業毎に生成された圃場作業データを記録する機種別圃場作業レイヤを有する圃場作業データ記録部と、圃場地図データと圃場作業データとを共通の座標位置でデータ管理するデータ管理部と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-165989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、予め用意された地図データ(圃場地図データ)を用いて、圃場の座標位置を管理している。しかしながら、圃場の形状は、農業機械等によって畔塗り、溝切によって決まることがあり、道路、建物のように常に位置が固定されていないのが実情である。即ち、地図データを圃場の座標位置として用いた場合は、現実の圃場と異なることがあった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、正確に圃場の位置などを設定することができる作業支援システム及び作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
作業支援システムは、作業車両に設けられ、前記作業車両の車体位置を測位する測位装置と、前記作業車両に設けられた通信装置であって、前記作業車両に連結した圃場形成装置が圃場の輪郭を形成するための対地作業を行っているときの前記車体位置、対地情報、及び前記対地情報に対応付けられた対地情報位置を取得する通信装置と、前記通信装置が取得した前記車体位置に基づく前記圃場の輪郭、前記対地情報、及び前記対地情報位置を圃場情報として設定する圃場設定部と、を備え、前記圃場形成装置は、圃場の輪郭を形成するよう対地作業を行う対地作業部を有し、前記圃場設定部は、前記対地作業部の移動軌跡を、前記圃場の輪郭として設定する
【0007】
前記対地情報は、土壌状態に関する情報を含む。
前記土壌状態に関する情報は、圃場の硬軟に関する情報を含む。
前記対地情報は、衛生設備に関する情報を含む。
【0008】
前記作業支援システムは、前記作業車両に設けられる入力装置を備えている。前記対地情報は前記入力装置にて入力されることにより、前記通信装置に取得される。
前記作業支援システムにおいて、前記対地情報が前記入力装置にて入力された時の前記車体位置が、前記対地情報位置として、前記通信装置に取得される。
前記入力装置は、作業者が音声を用いて前記対地情報を入力可能である。
前記入力装置は、各対地情報に対応するアイコンを表示する表示装置である。作業者が前記アイコンのうちのいずれかを押すことで、押されたアイコンに対応する前記対地情報が入力される。
【0009】
前記通信装置は、前記作業車両に連結された作業装置を識別する識別情報を取得する。前記圃場設定部は、前記通信装置が取得した前記識別情報に基づいて、前記作業装置の種別を判断し、前記種別が前記圃場形成装置であると判断した場合に、前記対地作業部の移動軌跡を、前記圃場の輪郭として設定する。
【0010】
作業車両は、車体と、前記車体に設けられ、圃場形成装置を連結可能な連結部と、前記車体の位置である車体位置を測位可能な測位装置と、前記連結部に連結された前記圃場形成装置が圃場の輪郭を形成する対地作業を行っているときの前記車体位置、対地情報、及び前記対地情報に対応付けられた対地情報位置を取得する情報取得部と、前記情報取得部が取得した前記車体位置に基づく前記圃場の輪郭、前記対地情報、及び前記対地情報位置を圃場情報として設定する圃場設定部と、を有する制御装置と、を備え、前記圃場形成装置は、圃場の輪郭を形成するよう対地作業を行う対地作業部を有し、前記圃場設定部は、前記対地作業部の移動軌跡を、前記圃場の輪郭として設定する
【0011】
前記対地情報は、土壌状態に関する情報を含む。
前記土壌状態に関する情報は、圃場の硬軟に関する情報を含む。
前記対地情報は、衛生設備に関する情報を含む。
【0012】
前記作業車両は、入力装置を備えている。前記対地情報は前記入力装置にて入力されることにより、前記情報取得部に取得される。
前記対地情報が前記入力装置にて入力された時の前記車体位置が、前記対地情報位置として、前記情報取得部に取得される。
前記入力装置は、作業者が音声を用いて前記対地情報を入力可能である。
前記入力装置は、各対地情報に対応するアイコンを表示する表示装置である。作業者が前記アイコンのうちのいずれかを押すことで、押されたアイコンに対応する前記対地情報が入力される。
【0013】
前記情報取得部は、前記連結部に連結された作業装置を識別する識別情報を取得する。前記圃場設定部は、前記情報取得部が取得した前記識別情報に基づいて、前記作業装置の種別を判断し、前記種別が前記圃場形成装置であると判断した場合に、前記対地作業部の移動軌跡を、前記圃場の輪郭として設定する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、正確に圃場の位置などを設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】作業支援システムを示す図である。
図2】昇降装置を示す図である。
図3】圃場H1を形成する状況を示す図である。
図4A】畦塗装置を示す図である。
図4B】溝切装置を示す図である。
図5】作業画面M1の一例を示す図である。
図6】圃場の輪郭を作成する説明図である。
図7】装置データベースの一例を示す図である。
図8】圃場情報(登録圃場情報)の一例を示す図である。
図9】第2実施形態における作業車両の制御ブロック図を示している。
図10】オフセット画面M2の一例を示す図である。
図11】トラクタの側面全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、作業支援システムを示している。作業支援システムは、トラクタ等の作業車両の作業などの支援を行うことができるシステムである。
まず、作業車両の1つであるトラクタについて説明する。
【0017】
図11に示すように、トラクタ1は、走行装置7を有する走行車両3と、原動機4と、変速装置5とを備えている。走行装置7は、前輪7F及び後輪7Rを有する装置である。前輪7Fは、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。また、後輪7Rも、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。原動機4は、ディーゼルエンジン、電動モータ等である。変速装置5は、変速によって走行装置7の推進力を切換可能であると共に、走行装置7の前進、後進の切換が可能である。走行車両3にはキャビン9が設けられ、当該キャビン9内には運転席10が設けられている。
【0018】
また、走行車両3の後部には、3点リンク機構等で構成された連結部(昇降装置)8が設けられている。昇降装置8には、作業装置2が着脱可能である。作業装置2を昇降装置8に連結することによって、走行車両3によって作業装置2を牽引することができる。作業装置2は、耕耘する耕耘装置、畦塗りを行う畦塗装置、溝切を行う溝切装置、畝立を行う畝立て装置、肥料を散布する肥料散布装置、農薬を散布する農薬散布装置、収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置等である。
【0019】
図2に示すように、昇降装置8は、リフトアーム8a、ロアリンク8b、トップリンク8c、リフトロッド8d、リフトシリンダ8eを有している。リフトアーム8aの前端部は、変速装置5を収容するケース(ミッションケース)の後上部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトアーム8aは、リフトシリンダ8eの駆動によって揺動(昇降)する。リフトシリンダ8eは、油圧シリンダから構成されている。リフトシリンダ8eは、制御弁を介して油圧ポンプと接続されている。制御弁は、電磁弁等であって、リフトシリンダ8eを伸縮させる。
【0020】
ロアリンク8bの前端部は、変速装置5の後下部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。トップリンク8cの前端部は、ロアリンク8bよりも上方において、変速装置5の後部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトロッド8dは、リフトアーム8aとロアリンク8bとを連結している。ロアリンク8bの後部及びトップリンク8cの後部には、作業装置2が連結される。リフトシリンダ8eが駆動(伸縮)すると、リフトアーム8aが昇降するとともに、リフトロッド8dを介してリフトアーム8aと連結されたロアリンク8bが昇降する。これにより、作業装置2がロアリンク8bの前部を支点として、上方又は下方に揺動(昇降)する。
【0021】
図1に示すように、トラクタ1は、測位装置40を備えている。測位装置40は、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出可能である。即ち、測位装置40は、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、衛星信号に基づいて、トラクタ1の位置(例えば、緯度、経度)、即ち、車体位置を検出する。測位装置40は、受信装置41と、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)42とを有している。受信装置41は、アンテナ等を有していて測位衛星から送信された衛星信号を受信する装置であり、慣性計測装置42とは別に走行車両3に取付けられている。この実施形態では、受信装置41は、キャビン9に取付けられている。なお、受信装置41の取付箇所は、実施形態に限定されない。
【0022】
慣性計測装置42は、加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサ等を有している。慣性計測装置42は、走行車両3に設けられ、慣性計測装置42によって、走行車両3のロール角、ピッチ角、ヨー角等を検出することができる。
【0023】
通信装置43は、近距離、長距離の通信を行う通信装置で構成され、例えば、データ通信網、携帯電話通信網等によって無線通信を行う通信装置である。通信装置43は、例えば、通信規格IEEE802.15.1シリーズのBluetooth(登録商標)の仕様におけるBluetooth(登録商標)Low Energy、通信規格IEEE802.11.nシリーズのWiFi(登録商標)等によって無線通信を行う通信装置であってもよい。通信装置43は、測位装置40が測位した車体位置と、作業装置2の識別情報(型番、型式、品番、製造番号等)などを送信することができる。
【0024】
図1に示すように、トラクタ1は、制御装置60を備えている。制御装置60は、トラクタ1における走行系の制御、作業系の制御等を行う装置である。制御装置60は、当該制御装置60に接続されたアクセル21の操作量に基づいて、原動機4の回転数を設定する。また、制御装置60は、制御装置60に接続された昇降スイッチ22の操作に基づいて昇降装置8の昇降を制御する。具体的には、昇降スイッチ22は、運転席10の周囲に設けられていて、3位置切換スイッチである。昇降スイッチ22を中立位置から一方に切り換えると、昇降装置8(リフトアーム8a)を上昇させる上昇信号が制御装置60に入力される。また、昇降スイッチ22を中立位置から他方に切り換えると、昇降装置8(リフトアーム8a)を下降させる下降信号が制御装置60に入力される。制御装置60は、上昇信号を取得すると制御弁に制御信号を出力することで昇降装置8を上昇させ、下降信号を取得すると制御弁に制御信号を出力することで昇降装置8を下降させる。つまり、制御装置60は、昇降スイッチ22の手動操作に応じて昇降装置8を昇降させる手動昇降制御をすることができる。上述した制御装置60の制御は一例であり、限定されない。
【0025】
トラクタ1は、複数の表示装置45を備えている。複数の表示装置45は、トラクタ1に関する様々な情報を表示する装置である。複数の表示装置45は、運転席10の周囲に設定されていて、当該運転席10に着座した作業者(オペレータ)が表示した情報を確認することが可能である。複数の表示装置45は、メータ表示装置45Aと、ターミナル表示装置45Bとである。メータ表示装置45Aは、運転席10の前方で且つハンドルの前方に配置された表示装置であって、少なくとも運転に関する運転(運転情報)を表示する。ターミナル表示装置45Bは、メータ表示装置45Aとは異なる表示装置であって、例えば、運転席10の前方又は側方に配置されている。ターミナル表示装置45Bは、少なくともトラクタ1の設定に関する情報を表示する。なお、説明の便宜上、メータ表示装置45Aを「表示装置45A」、ターミナル表示装置45Bを「表示装置45B」ということがある。トラクタ1は、表示装置45A、表示装置45Bの全ての表示装置を有する必要はなく、表示装置の台数は任意に変更が可能である。
【0026】
トラクタ1において、圃場H1を形成するには、図3のS1に示すように、トラクタ1の昇降装置8に畦塗装置2A又は溝切装置2Bを連結する。トラクタ1に畦塗装置2A又は溝切装置2Bを連結後、所定の位置からトラクタ1を周回させると(S2)、圃場H1には、畦塗装置2A及び溝切装置2Bによって形成された作業跡H2が形成される(S3)。即ち、畦塗装置2A又は溝切装置2Bは、複数の作業装置2の中で、圃場H1の輪郭を形成する作業装置(圃場形成装置)であり、作業跡H2が圃場H1の輪郭となる。
【0027】
図4Aは、畦塗装置2Aを示している。図4Aに示すように、畦塗装置2Aは、連結体70、フレーム71、前処理部72、畦塗り部73を有している。
連結体70は、トラクタ2の昇降装置8に連結される。連結体70をトラクタ2の昇降装置8に連結することによって、トラクタ2は畦塗装置2Aを牽引しながら走行することができる。また、畦塗装置2Aをトラクタ2に対して昇降することもできる。
【0028】
フレーム71は、連結体70と接続されており、前処理部72及び畦塗り部73を支持している。フレーム71には、トラクタ2のPTO軸とジョイントを介して接続される入力軸75が設けられている。入力軸75は、PTO軸から伝達された動力を受けて回転する。また、フレーム71には、入力軸75に入力された動力を前処理部72及び畦塗り部73に伝達する動力伝達部76が設けられている。動力伝達部76は、ギヤ機構や動力伝達軸等を備えて構成されている。
【0029】
前処理部72は、トラクタ2の後方であって車両幅方向の一方側(右側)に配置されている。前処理部72は、回転軸72aと掻き上げ爪72bとを有している。回転軸72aには、入力軸75に入力された動力が動力伝達部76を介して伝達される。回転軸72aは、前後方向を向いて配置されており、前後方向の軸回りに回転する。掻き上げ爪72bは、回転軸72aの外周に複数取り付けられている。掻き上げ爪72bは、地面を掻く爪部であって、回転軸72aの回転に伴って回転することにより畦塗り用の土を掻き上げる。
【0030】
畦塗り部73は、前処理部72の後方であって、前処理部72に対して車両幅方向の一方側に若干ずれた位置に配置されている。畦塗り部73は、側面塗り部73aと上面塗り部73bとを有している。側面塗り部73a及び上面塗り部73bは、畦の表面に当接しながら車両幅方向の軸回りに回転する。側面塗り部73aは、円錐台形状であって、掻き上げ爪72bにより掻き上げられた土を畦の側面に塗り付けて成形する。上面塗り部73bは、円柱形状であって、掻き上げ爪72bにより掻き上げられた土を畦の上面に塗り付けて成形する。したがって、畦塗装置2Aにおいては、側面塗り部73aと上面塗り部73bとで形成された畦部H3が圃場H1の輪郭(作業跡H2)となる。
【0031】
図4Bは、溝切装置2Bを示している。溝切装置2Bは、連結体80、フレーム81、下部材82、溝掘り部83を有している。連結体80は、トラクタ2の昇降装置8に連結される。フレーム81は、連結体70に接続されており、幅方向一方側(例えば、右側)に延びている。下部材82は、フレーム81の端部に固定されていて、下方に延びている。溝掘り部83は、下部材82に固定されている。したがって、溝掘り部83を昇降装置8に連結した状態でトラクタ2を前進させると、溝掘り部83によって溝部H4が形成され、額縁明きょ等の溝部H4が圃場H1の輪郭(作業跡H2)となる。
【0032】
さて、上述したように、トラクタ1において、圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)で作業を行った場合、図5に示すように、表示装置45Bの作業画面M1には、測位装置40によって検出された車体位置K1と、登録ボタン91と、送信ボタン92と、情報設定ボタン(通知ボタン)93とが表示される。表示装置45は、少なくとも圃場形成装置において作業を開始してから作業を終了するまでの車体位置K1を作業画面M1に表示する。表示装置45Bは、トラクタ1が圃場H1を走行している状態において、情報設定ボタン93が選択されると、当該情報設定ボタン93が選択された時点での車体位置が、対地情報を取得した位置として認識する。対地情報とは、圃場の対地に関する様々な情報であり、圃場H1の周囲に設置された側溝、水門、排水口などの衛生設備、圃場のぬかるみ、圃場が高いなどの土壌状態などである。作業者(運転者)は、圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)によって圃場を形成している作業において、衛生設備を発見したり、圃場のぬかるみ、圃場が固いなどに気づいた場合に、情報設定ボタン93を押すことで、対地情報の位置が設定される。なお、対地情報が何であるかは、例えば、ボイスメモなどにより情報として入力したり、情報設定ボタン93を、衛生設備、圃場のぬかるみ、圃場が固いなどを示すアイコンにすることによって、対地情報と、当該対地情報を得た位置とを対応付けることができる。
【0033】
表示装置45は、圃場形成装置による作業が終了後において、作業画面M1に車体位置K1が表示された状態で登録ボタン91が選択されると、表示装置45Bは、圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)で作業を行ったときの車体位置(緯度、経度)と対地情報位置(緯度、経度)とを、位置情報として、不揮発性のメモリ等から構成された記憶部46に記憶する。
【0034】
このようにすれば、圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)で作業を行ったときの車体位置或いは、対地情報位置を記憶部46に保存することができる。
【0035】
図1に示すように、作業支援システムは、支援装置100を備えている。支援装置100は、例えば、タブレット、スマートフォン、PDA等の携帯型の端末(携帯端末)、パーソナルコンピュータ、サーバ等の固定型のコンピュータ等の固定型の端末(固定端末)である。
【0036】
支援装置100は、通信装置101と、記憶部102とを備えている。通信装置101は、近距離、長距離の通信を行う通信装置で構成され、例えば、データ通信網、携帯電話通信網等によって無線通信を行う通信装置である。通信装置101は、例えば、通信規格IEEE802.15.1シリーズのBluetooth(登録商標)の仕様におけるBluetooth(登録商標)Low Energy、通信規格IEEE802.11.nシリーズのWiFi(登録商標)等によって無線通信を行う通信装置であってもよい。記憶部102は、不揮発性のメモリから構成され、様々な情報を記憶する。
【0037】
通信装置101は、作業装置2が作業を行ったときの車体位置、例えば、圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)が作業を行ったときの車体位置を取得する。具体的には、トラクタ1の表示装置45Bの作業画面M1に表示された送信ボタン92が選択されると、通信装置43は、記憶部46に記憶された位置情報(車体位置、対地情報位置)と、圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)の識別情報(型番、型式、品番、製造番号等)を通信装置101に送信する。通信装置101は、通信装置43から送信された位置情報(車体位置、対地情報位置)及び識別情報を取得する。
【0038】
支援装置100は、圃場設定部105Aを備えている。圃場設定部105Aは、支援装置100に設けられた電気電子回路、支援装置100に格納されたプログラム等で構成されている。
【0039】
圃場設定部105Aは、通信装置101が取得した車体位置に基づいて、圃場H1の輪郭を設定する。図6に示すように、圃場形成装置によって作業を行った場合、測位装置40が測位した車体位置J1は、作業跡H2に対応した車体位置J1になる。ここで、圃場設定部105Aは、圃場形成装置によって作業を行ったときの車体位置J1の始点(作業開始の車体位置J1)P10と終点(作業終了の車体位置J1)P11とが近接している場合、或いは、車体位置J1において同一方向に並ぶ複数の点で形成される複数の辺G1が少なくとも3つ以上形成される場合、車体位置J1に基づいて圃場H1の輪郭を設定する。即ち、圃場設定部105Aは、圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)において、作業開始の車体位置J1(車体位置J1の始点P10)から作業終了までの車体位置J1(車体位置J1の終点P11)を、圃場H1の輪郭として設定する。
【0040】
例えば、圃場設定部105Aは、複数の車体位置J1を結ぶことにより形成された輪郭W1を圃場H1の輪郭としたり、複数の辺G1で形成される輪郭(輪郭の線)W1を圃場H1の輪郭とする。即ち、圃場設定部105Aは、車体位置J1によって形成される図形を圃場H1の輪郭として設定する。
【0041】
圃場設定部105Aにおいて、圃場H1の輪郭を設定した場合、輪郭には位置(緯度、経度)が対応付けられていて、圃場H1の位置(緯度、経度)も設定することができる。圃場設定部105Aが設定した圃場H1の輪郭と、対地情報位置の位置とを圃場情報として設定(登録)する。
【0042】
なお、圃場設定部105Aは、通信装置101が識別情報を取得した場合に、識別情報に基づいて、作業装置2の種別を判断し、種別が圃場を形成する作業装置(圃場形成装置)を示している場合に、作業装置の車体位置を、圃場の輪郭として設定してもよい。具体的には、図1及び図7に示すように、支援装置100は、識別情報(型番、型式、品番、製造番号等)と、作業装置2の種別(種類)とを関係づけた装置データベース103を備えている。圃場設定部105Aは、通信装置101が識別情報を取得した場合、装置データベース103を参照して、作業装置2が圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)であるか否かを判断する。圃場設定部105Aは、作業装置2が圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)である場合、上述したように、圃場H1の輪郭を設定し、作業装置2が圃場形成装置以外の作業装置(耕耘装置、畝立て装置、肥料散布装置、農薬散布装置、収穫装置、刈取装置、拡散装置、集草装置、成形装置)である場合、車体位置に基づいて圃場H1の輪郭の設定を行わない。
【0043】
図8に示すように、圃場設定部105Aによって設定された圃場情報(登録圃場情報)は、圃場名称、圃場管理号等の管理情報と共に、記憶部102に記憶される。圃場管理番号は、圃場毎に割り当てられていて、圃場管理情報からどの圃場であるかを把握することができる。
【0044】
なお、支援装置100において、圃場設定部105Aによって圃場H1の輪郭を設定した(設定圃場)と同一の圃場(既存圃場)が既に記憶部102に記憶されていて登録が行われている場合、既存圃場を設定圃場に更新する。例えば、 圃場設定部105Aは、圃場Bにおいて過去に圃場の輪郭(位置)が登録されている場合、過去に登録された圃場Bの輪郭を、新たに設定した圃場H1の輪郭に置き換える(更新する)。更新された圃場H1の輪郭は、記憶部102に圃場情報として記憶される。
【0045】
さて、記憶部102に記憶された圃場情報は、支援装置100とは異なる別の様々な機器、例えば、トラクタ1の通信装置43、運転者が所持する携帯端末、管理者が管理する管理コンピュータ等により取得することができる。トラクタ1の表示装置45Bに対して所定の操作を行うと通信装置43は、支援装置100に圃場情報の要求を行い、当該支援装置100は通信装置43に要求された所定の圃場における圃場情報を通信装置43に送信する。通信装置43によって圃場情報が取得されると、表示装置45Bは圃場情報に基づいて、圃場の輪郭と対地情報の位置を示す圃場マップを表示する。同様に、携帯端末又は管理コンピュータも支援装置100に圃場情報の要求をすることにより、圃場情報を取得して圃場マップを表示することができる。
【0046】
作業支援システムは、作業車両1に設けられ且つ車体位置を測位する測位装置40と、作業車両1に設けられ且つ圃場を形成する作業装置2が作業を行ったときの車体位置を含む位置情報を取得する通信装置43と、通信装置43が取得した車体位置に基づいて、圃場の輪郭を設定する圃場設定部105Aと、を備えている。これによれば、作業車両1に設けた圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)によって圃場を形成する作業を行っているときの車体位置によって、正確な圃場の形状(輪郭)を設定することができる。例えば、畦塗装置2A、溝切装置2Bによって作業を行ったときの車体位置により、正確な圃場の輪郭を設定することができる。
【0047】
圃場設定部105Aは、圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)の作業開始から作業終了までの車体位置を、圃場の輪郭として設定する。これによれば、作業装置2において、圃場の形状を形成する作業の作業開始から作業終了までの車体位置を用いて、簡単に圃場の形状を設定することができる。
【0048】
通信装置43は、位置情報及び作業装置2を識別する識別情報を取得し、圃場設定部105Aは、通信装置43が取得した識別情報に基づいて、作業装置2の種別を判断し、種別が圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)を示している場合に、作業車両1に連結された作業装置2の車体位置を、圃場の輪郭として設定する。これによれば、様々な作業装置2がある中で、圃場を形成する作業装置2のみで作業を行ったときの車体位置を用いて圃場の輪郭を簡単に設定することができる。
【0049】
通信装置43は、圃場を形成する際に得られた対地情報及び位置を取得し、圃場設定部105Aは、通信装置43が取得した対地情報及び位置と、圃場の輪郭の位置とを圃場情報として設定する。これによれば、圃場を形成する際に得られた様々な対地情報と当該対地情報に対応する位置を圃場のデータ(圃場の輪郭、位置を示すデータ)に簡単に反映することができる。
【0050】
[第2実施形態]
図9は、第2実施形態における作業車両の制御ブロック図を示している。第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図9に示すように、制御装置60は、位置取得部106と、圃場設定部105Bとを備えている。位置取得部106及び圃場設定部105Bは、制御装置60に設けられた電気電子回路、制御装置60に格納されたプログラム等で構成されている。
【0051】
図6に示すように、圃場形成装置などの作業装置2によって作業を行った場合、測位装置40が測位した車体位置J1は、作業跡H2に対応した車体位置J1になる。位置取得部106は、例えば、少なくとも作業装置2の作業開始から作業終了までの車体位置J1を取得する。圃場設定部105Bは、圃場設定部105Aと同じ方法で圃場の輪郭を求める。即ち、圃場設定部105Bは、位置取得部106が取得した車体位置J1を参照し、圃場形成装置にて作業を行ったときの車体位置J1の始点P10と終点P11とが近接している場合、或いは、車体位置J1において同一方向に並ぶ複数の点で形成される複数の辺G1が少なくとも3つ以上形成される場合、車体位置J1に基づいて圃場H1の輪郭を設定する。なお、圃場設定部105Bにおいて、圃場H1の輪郭を設定する方法は、圃場設定部105Aと同様であるため説明を省略する。
【0052】
なお、制御装置60は、作業装置2が連結部8に連結された場合、車載ネットワーク等を介して、作業装置2の識別情報を取得する。圃場設定部105Bは、制御装置60が識別情報を取得した場合に、識別情報に基づいて、作業装置2の種別を判断し、種別が圃場を形成する作業装置(圃場形成装置)を示している場合に、作業装置の車体位置を、圃場の輪郭として設定してもよい。制御装置60は、上述した実施形態と同様に、装置データベース103を備えている。圃場設定部105Bは、制御装置60が識別情報を取得した場合、装置データベース103を参照して、作業装置2が圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)であるか否かを判断する。圃場設定部105Bは、作業装置2が圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)である場合、上述したように、圃場H1の輪郭を設定し、作業装置2が圃場形成装置以外の作業装置である場合、車体位置に基づいて圃場H1の輪郭の設定を行わない。
【0053】
また、制御装置60は、圃場形成装置の作業中に得られた対地情報位置を取得してもよい。この場合、圃場設定部105Bは、制御装置60が取得した対地情報位置と、圃場の輪郭の位置とを圃場情報として設定する。
【0054】
圃場設定部105Bによって設定された圃場情報(登録圃場情報)は、管理情報と共に、記憶部62に記憶される。記憶部62は、制御装置60又は表示装置45B等に設けられた不揮発性のメモリ等である。記憶部62において、圃場設定部105Bによって圃場H1の輪郭を設定した(設定圃場)と同一の圃場(既存圃場)が既に記憶部62に記憶されていて登録が行われている場合、既存圃場を設定圃場に更新する。
【0055】
記憶部62に記憶された圃場情報は、表示装置45Bなどに表示することができる。表示装置45Bの所定の操作を行うと、表示装置45Bは制御装置60に圃場情報の要求を行い、当該制御装置60は表示装置45Bに要求された所定の圃場における圃場情報を表示装置45Bに送信する。表示装置45Bは圃場情報に基づいて、圃場の輪郭と対地情報位置及び対地情報を示す圃場マップを表示する。
【0056】
作業車両1は、車体3と、車体3に設けられ且つ作業装置2を連結可能な連結部8と、車体位置を測位可能な測位装置40と、作業車両1に設けられ且つ圃場を形成する作業装置2が作業を行ったときの車体位置を含む位置情報を取得する位置取得部106と、位置取得部106が取得した車体位置に基づいて、圃場の輪郭を求める圃場設定部105Bと、を有する制御装置60と、を備えている。これによれば、圃場内において、作業車両1にて圃場を形成する作業を行うだけで、作業時の車体位置によって、正確な圃場の形状(輪郭)を設定することができる。例えば、畦塗装置2A、溝切装置2Bによって作業を行ったときの車体位置により、正確な圃場の輪郭を設定することができる。
【0057】
圃場設定部105Bは、圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)の作業開始から作業終了までに車体位置を、圃場の輪郭として設定する。これによれば、圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)において、圃場の形状を形成する作業の作業開始から作業終了までの車体位置を用いて、簡単に圃場の形状を設定することができる。
【0058】
制御装置60は、位置情報及び作業装置2を識別する識別情報を取得し、圃場設定部105Bは、制御装置60が取得した識別情報に基づいて、作業装置2の種別を判断し、種別が圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)を示している場合に、作業車両1に連結された作業装置2の車体位置を、圃場の輪郭として設定する。これによれば、様々な作業装置2がある中で、圃場を形成する作業装置2を連結した場合に、圃場を形成する作業装置2であるか否かを簡単に判別することができ、当該作業装置2を用いて作業を行ったときの車体位置を用いて圃場の輪郭を簡単に設定することができる。
【0059】
制御装置60は、圃場を形成する際に得られた対地情報及び位置を取得し、圃場設定部105Bは、制御装置60が取得した対地情報及び位置と、圃場の輪郭の位置とを圃場情報として設定する。これによれば、圃場を形成する際に得られた様々な対地情報と当該対地情報に対応する位置を圃場のデータ(圃場の輪郭、位置を示すデータ)に簡単に反映することができる。
【0060】
上述した実施形態では、測位装置40で測位した自己の位置を車体位置としていたが、これに代えて、圃場形成装置で対地作業を行う対地作業部(塗り部73b、溝掘り部83)の位置(作業位置)を、車体位置としてもよい。制御装置60は、距離取得部61を有している。距離取得部61は、制御装置60に設けられた電気電子回路、制御装置60に格納されたプログラム等で構成されている。距離取得部61は、測位装置40と圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)の所定位置とのオフセット距離を取得する。
【0061】
具体的には、図10に示すように、表示装置45Bは、オフセット画面M2を表示する。オフセット画面M2には、トラクタ1を示す図形D1と作業装置2を示す図形D2と測位装置40を示す図形D3とが表示される。また、オフセット画面M2には、作業装置2において、作業位置を示す作業位置P15が表示される。オフセット画面M2は、測位装置40から対地作業部までの距離(オフセット距離)を入力する距離入力部121を含んでいる。距離入力部121は、測位装置40と対地作業部との左右距離(幅方向の距離)X1と、測位装置40と対地作業部との前後距離Y1とを入力する部分である。距離取得部61は、表示装置45Bの距離入力部121に入力されたオフセット距離(左右距離X1、前後距離Y1)を取得する。圃場設定部105A、105Bのそれぞれは、測位装置40が測位した測位位置(緯度、経度)を、左右距離X1と前後距離Y1とだけオフセットすることにより、対地作業部の位置(作業位置)を求め、求めた作業位置を車体位置として補正を行い、補正を行った車体位置を用いて、上述したように、圃場の輪郭として設定する。
【0062】
即ち、作業支援システム、作業車両1は、測位装置40と圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)の所定位置とのオフセット距離(左右距離X1、前後距離Y1)を入力する距離入力部121を備え、圃場設定部105A、105Bは、オフセット距離(左右距離X1、前後距離Y1)によって補正された車体位置に基づいて、圃場の輪郭を設定する。このようにすれば、より正確な圃場H1の輪郭を求めることができる。
【0063】
なお、上述した実施形態では、距離取得部61は、表示装置45Bの距離入力部121に入力されたオフセット距離を取得していたが、他の方法で、オフセット距離を取得してもよい。距離取得部61は、例えば、表示装置45B等に圃場形成装置(畦塗装置2A、溝切装置2B)の型名が入力されると、予め、型名とオフセット距離とが対応付けられたテーブル(オフセットテーブル)を参照し、オフセットテーブルから型名に対応するオフセット距離を取得してもよい。
【0064】
なお、オフセットテーブルは、トラクタ1、例えば、表示装置45B、制御装置60などに記憶されていてもよいし、支援装置100に記憶されていてもよい。オフセットテーブルがトラクタ1(表示装置45B、制御装置60)に記憶されている場合、距離取得部61は、表示装置45Bに型名が入力された際に、トラクタ1(表示装置45B、制御装置60)のオフセットテーブルを参照することにより、オフセット距離を取得する。或いは、距離取得部61は、作業装置2から送信された型名を参照し、型名に対応するオフセット距離をオフセットテーブルから取得してもよい。
【0065】
オフセットテーブルが支援装置100に記憶されている場合、距離取得部61は、通信装置43を介して支援装置100にオフセット距離を要求し、支援装置100は、型番に対応するオフセット距離を通信装置43に送信する。距離取得部61は、要求に対して支援装置100から送信されたオフセット距離を、通信装置43を介して取得する。また、距離取得部61は、作業装置2から送信された型名を参照し、型名に対応するオフセット距離をオフセットテーブルから取得してもよい。或いは、距離取得部61は、作業装置2に記憶されたオフセット距離を車載ネットワークを介して取得してもよい。なお、距離取得部61は、トラクタ1に設けられていればよく、制御装置60に限定されない。
【0066】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
1 :作業車両
2 :作業装置
3 :車体
8 :連結部
40 :測位装置
43 :通信装置
45 :表示装置
45B :ターミナル表示装置(入力装置)
60 :制御装置
61 :距離取得部
101 :通信装置
105A :圃場設定部
105B :圃場設定部
106 :位置取得部
J1 :車体位置
K1 :車体位置
W1 :輪郭
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11