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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240826BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240826BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H01L21/30 562
G03F7/20 501
G03F7/20 521
H01L21/68 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023041742
(22)【出願日】2023-03-16
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】荒木 隆道
(72)【発明者】
【氏名】三ツ林 武
(72)【発明者】
【氏名】上林 誠
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-024642(JP,A)
【文献】特開2008-066463(JP,A)
【文献】特開2009-076587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理装置であって、
前記前工程の処理を実行する前処理部と、
前記後工程の処理を実行する後処理部と、
前記前処理部および前記後処理部と第1露光装置および第2露光装置とを接続し、基板を搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備えるインターフェース部と、
前記複数の搬送ロボットを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1露光装置または前記第2露光装置から前記後処理部へと基板を搬送する復路搬送よりも前記前処理部から前記第1露光装置または前記第2露光装置へと基板を搬送する往路搬送を優先して実行するように前記複数の搬送ロボットおよび前記複数のモジュールを制御し、
前記複数の搬送ロボットは、前記往路搬送および前記復路搬送の双方を実行する双方向搬送ロボットを含み、
前記複数のモジュールは、
前記往路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する第1モジュールと、
前記復路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する第2モジュールと、
を含み、
前記制御部は、前記双方向搬送ロボットが前記第2モジュールから払出予告信号を受信した後であって前記第2モジュールから基板を受け取る前に前記第1モジュールから払出予告信号を受信したときには、前記第1モジュールからの基板の搬出を優先して実行するように前記双方向搬送ロボットを制御し、
前記第1モジュールは、払出要求信号よりも設定時間だけ前に払出予告信号を発信し、
前記設定時間は、前記双方向搬送ロボットが前記第2モジュールから次工程のモジュールに基板を搬送するのに要する時間と前記第1モジュールからの基板搬出の準備動作に要する時間とを加算した値であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理装置であって、
前記前工程の処理を実行する前処理部と、
前記後工程の処理を実行する後処理部と、
前記前処理部および前記後処理部と第1露光装置および第2露光装置とを接続し、基板を搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備えるインターフェース部と、
前記複数の搬送ロボットを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1露光装置または前記第2露光装置から前記後処理部へと基板を搬送する復路搬送よりも前記前処理部から前記第1露光装置または前記第2露光装置へと基板を搬送する往路搬送を優先して実行するように前記複数の搬送ロボットおよび前記複数のモジュールを制御し、
前記複数の搬送ロボットは、前記往路搬送および前記復路搬送の双方を実行する双方向搬送ロボットを含み、
前記複数のモジュールは、
前記往路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する第1モジュールと、
前記復路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する第2モジュールと、
を含み、
前記制御部は、前記双方向搬送ロボットが前記第2モジュールから払出予告信号を受信した後であって前記第2モジュールから基板を受け取る前に前記第1モジュールから払出予告信号を受信したときには、前記第1モジュールからの基板の搬出を優先して実行するように前記双方向搬送ロボットを制御し、
前記制御部は、優先して実行した前記第1モジュールから次工程のモジュールへの基板搬送が完了したときに、前記第2モジュールから払出要求信号が発信されているときには、前記第2モジュールからの基板の搬出を実行するように前記双方向搬送ロボットを制御することを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理装置であって、
前記前工程の処理を実行する前処理部と、
前記後工程の処理を実行する後処理部と、
前記前処理部および前記後処理部と第1露光装置および第2露光装置とを接続し、基板を搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備えるインターフェース部と、
前記複数の搬送ロボットを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1露光装置または前記第2露光装置から前記後処理部へと基板を搬送する復路搬送よりも前記前処理部から前記第1露光装置または前記第2露光装置へと基板を搬送する往路搬送を優先して実行するように前記複数の搬送ロボットおよび前記複数のモジュールを制御し、
前記複数の搬送ロボットは、前記往路搬送の搬送方向に沿って上流側の上流搬送ロボットおよび下流側の下流搬送ロボットを含み、
前記複数のモジュールは、前記往路搬送の搬送方向に沿って前記上流搬送ロボットと前記下流搬送ロボットとの間に位置し、基板の温調処理を行う温調モジュールを含み、
前記温調モジュールは、温調処理の完了よりも所定時間前の時点以降であって、かつ、前記下流搬送ロボットが前記第1露光装置または前記第2露光装置に対して基板交換を開始した時点以降に前記上流搬送ロボットに受取予告信号を送信することを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理装置であって、
前記前工程の処理を実行する前処理部と、
前記後工程の処理を実行する後処理部と、
前記前処理部および前記後処理部と第1露光装置および第2露光装置とを接続し、基板を搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備えるインターフェース部と、
前記複数の搬送ロボットを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1露光装置または前記第2露光装置から前記後処理部へと基板を搬送する復路搬送よりも前記前処理部から前記第1露光装置または前記第2露光装置へと基板を搬送する往路搬送を優先して実行するように前記複数の搬送ロボットおよび前記複数のモジュールを制御し、
前記複数の搬送ロボットは、前記往路搬送および前記復路搬送の双方を実行する双方向搬送ロボットを含み、
前記制御部は、前記双方向搬送ロボットが一連の動作を行うタクトタイムを2等分した一方が前記往路搬送のための往路搬送時間となり他方が前記復路搬送のための復路搬送時間となるように前記双方向搬送ロボットを制御するとともに、前記往路搬送時間および前記復路搬送時間のそれぞれに余裕時間を含ませることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項記載の基板処理装置において、
前記複数のモジュールは、前記往路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する上流モジュールを含み、
前記制御部は、ロットの先頭基板を前記上流モジュールに所定時間待機させた後に前記双方向搬送ロボットが前記上流モジュールから前記先頭基板を搬出するように前記双方向搬送ロボットを制御することを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記前処理部は、基板に対してレジストを塗布する塗布部を含み、
前記後処理部は、露光処理後の基板に対して現像処理を行う現像部を含むことを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理方法であって、
前記前工程の処理を実行する前処理部および前記後工程の処理を実行する後処理部と第1露光装置および第2露光装置とを接続するインターフェース部にて、前記前工程の処理が施された基板を前記第1露光装置および/または前記第2露光装置に搬送するとともに、露光処理が施された基板を前記後処理部に搬送する搬送工程を備え、
前記インターフェース部は、基板を搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備え、
前記搬送工程では、前記第1露光装置または前記第2露光装置から前記後処理部へと基板を搬送する復路搬送よりも前記前処理部から前記第1露光装置または前記第2露光装置へと基板を搬送する往路搬送を優先して実行し、
前記複数の搬送ロボットは、前記往路搬送および前記復路搬送の双方を実行する双方向搬送ロボットを含み、
前記複数のモジュールは、
前記往路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する第1モジュールと、
前記復路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する第2モジュールと、
を含み、
前記搬送工程では、前記双方向搬送ロボットが前記第2モジュールから払出予告信号を受信した後であって前記第2モジュールから基板を受け取る前に前記第1モジュールから払出予告信号を受信したときには、前記双方向搬送ロボットが前記第1モジュールからの基板の搬出を優先して実行し、
前記第1モジュールは、払出要求信号よりも設定時間だけ前に払出予告信号を発信し、
前記設定時間は、前記双方向搬送ロボットが前記第2モジュールから次工程のモジュールに基板を搬送するのに要する時間と前記第1モジュールからの基板搬出の準備動作に要する時間とを加算した値であることを特徴とする基板処理方法。
【請求項8】
基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理方法であって、
前記前工程の処理を実行する前処理部および前記後工程の処理を実行する後処理部と第1露光装置および第2露光装置とを接続するインターフェース部にて、前記前工程の処理が施された基板を前記第1露光装置および/または前記第2露光装置に搬送するとともに、露光処理が施された基板を前記後処理部に搬送する搬送工程を備え、
前記インターフェース部は、基板を搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備え、
前記搬送工程では、前記第1露光装置または前記第2露光装置から前記後処理部へと基板を搬送する復路搬送よりも前記前処理部から前記第1露光装置または前記第2露光装置へと基板を搬送する往路搬送を優先して実行し、
前記複数の搬送ロボットは、前記往路搬送および前記復路搬送の双方を実行する双方向搬送ロボットを含み、
前記複数のモジュールは、
前記往路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する第1モジュールと、
前記復路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する第2モジュールと、
を含み、
前記搬送工程では、前記双方向搬送ロボットが前記第2モジュールから払出予告信号を受信した後であって前記第2モジュールから基板を受け取る前に前記第1モジュールから払出予告信号を受信したときには、前記双方向搬送ロボットが前記第1モジュールからの基板の搬出を優先して実行し、
優先して実行した前記第1モジュールから次工程のモジュールへの基板搬送が完了したときに、前記第2モジュールから払出要求信号が発信されているときには、前記双方向搬送ロボットが前記第2モジュールからの基板の搬出を実行することを特徴とする基板処理方法。
【請求項9】
基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理方法であって、
前記前工程の処理を実行する前処理部および前記後工程の処理を実行する後処理部と第1露光装置および第2露光装置とを接続するインターフェース部にて、前記前工程の処理が施された基板を前記第1露光装置および/または前記第2露光装置に搬送するとともに、露光処理が施された基板を前記後処理部に搬送する搬送工程を備え、
前記インターフェース部は、基板を搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備え、
前記搬送工程では、前記第1露光装置または前記第2露光装置から前記後処理部へと基板を搬送する復路搬送よりも前記前処理部から前記第1露光装置または前記第2露光装置へと基板を搬送する往路搬送を優先して実行し、
前記複数の搬送ロボットは、前記往路搬送の搬送方向に沿って上流側の上流搬送ロボットおよび下流側の下流搬送ロボットを含み、
前記複数のモジュールは、前記往路搬送の搬送方向に沿って前記上流搬送ロボットと前記下流搬送ロボットとの間に位置し、基板の温調処理を行う温調モジュールを含み、
前記温調モジュールは、温調処理の完了よりも所定時間前の時点以降であって、かつ、前記下流搬送ロボットが前記第1露光装置または前記第2露光装置に対して基板交換を開始した時点以降に前記上流搬送ロボットに受取予告信号を送信することを特徴とする基板処理方法。
【請求項10】
基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理方法であって、
前記前工程の処理を実行する前処理部および前記後工程の処理を実行する後処理部と第1露光装置および第2露光装置とを接続するインターフェース部にて、前記前工程の処理が施された基板を前記第1露光装置および/または前記第2露光装置に搬送するとともに、露光処理が施された基板を前記後処理部に搬送する搬送工程を備え、
前記インターフェース部は、基板を搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備え、
前記搬送工程では、前記第1露光装置または前記第2露光装置から前記後処理部へと基板を搬送する復路搬送よりも前記前処理部から前記第1露光装置または前記第2露光装置へと基板を搬送する往路搬送を優先して実行し、
前記複数の搬送ロボットは、前記往路搬送および前記復路搬送の双方を実行する双方向搬送ロボットを含み、
前記双方向搬送ロボットが一連の動作を行うタクトタイムを2等分した一方を前記往路搬送のための往路搬送時間とし、他方を前記復路搬送のための復路搬送時間として前記双方向搬送ロボットが搬送動作を行うとともに、前記往路搬送時間および前記復路搬送時間のそれぞれに余裕時間を含ませることを特徴とする基板処理方法。
【請求項11】
請求項10記載の基板処理方法において、
前記複数のモジュールは、前記往路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する上流モジュールを含み、
前記双方向搬送ロボットは、ロットの先頭基板が前記上流モジュールに所定時間待機した後、前記上流モジュールから前記先頭基板を搬出することを特徴とする基板処理方法。
【請求項12】
請求項から請求項11のいずれかに記載の基板処理方法において、
前記前工程は、基板に対してレジストを塗布する工程を含み、
前記後工程は、露光処理後の基板に対して現像処理を行う工程を含むことを特徴とする基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理装置および基板処理方法に関する。処理対象となる基板には、例えば、液晶表示装置用ガラス基板、有機EL表示用ガラス基板、PDP用ガラス基板またはフォトマスク用ガラス基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の基板を収容するカセットを載置する載置台と搬送装置とを有する装置(インデクサ装置ともいう)から搬入された基板を対象として、フォトレジストの塗布膜の形成処理、減圧乾燥処理、加熱乾燥処理、露光装置への搬入、露光装置からの搬出、露光後のフォトレジスト膜の現像処理、リンス処理、および乾燥処理等を順に行い、インデクサ装置に基板を搬出する基板処理装置が知られている(例えば、特許文献1,2等)。
【0003】
特許文献1,2に開示される基板処理装置では、比較的処理時間の長い露光装置での律速を避けるために、基板処理装置に対して2台の露光装置を接続している。露光装置が2台設けられていれば、一方の露光装置が処理中であっても空いている他方の露光装置にて基板の露光処理をおこなうことができ、基板処理装置に露光前の基板が滞留するのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-24643号公報
【文献】特開2006-24642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、2台の露光装置を接続するに際しては、基板処理装置のユーザ側の運用の都合により、同じ処理を行う2台の露光装置(同じマスクを搭載)を接続する場合と、異なる処理を行う2台の露光装置(異なるマスクを搭載)を接続する場合とがあり得る。異なる処理を行う2台の露光装置を接続する場合は、それら両方の露光装置に順に基板を搬送して異なるマスクによる露光処理を2回行うことが多い。一方、同じ処理を行う2台の露光装置を接続する場合は、いずれか一方の露光装置のみに基板を搬送して露光処理を1回行う。すなわち、2台の露光装置の接続状況に応じて、露光装置への搬出入を行うインターフェース部における搬送形態を変える必要があり、複雑な搬送シーケンスとなっていた。
【0006】
また、露光装置においては、1枚の基板に対する露光処理に要する時間が一定ではなく変動することが多い。露光装置における処理時間が変動すると、インターフェース部において、露光装置に向かう未露光の基板を搬送する往路搬送と露光装置から戻る露光済みの基板を搬送する復路搬送との搬送競合が発生することがある。このような搬送競合が生じると、搬送待ちの待機状態の基板が発生することになり、インターフェース部における搬送効率が著しく低下することになる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、搬送効率の低下を抑制することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理装置において、前記前工程の処理を実行する前処理部と、前記後工程の処理を実行する後処理部と、前記前処理部および前記後処理部と第1露光装置および第2露光装置とを接続し、基板を搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備えるインターフェース部と、前記複数の搬送ロボットを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1露光装置または前記第2露光装置から前記後処理部へと基板を搬送する復路搬送よりも前記前処理部から前記第1露光装置または前記第2露光装置へと基板を搬送する往路搬送を優先して実行するように前記複数の搬送ロボットおよび前記複数のモジュールを制御し、前記複数の搬送ロボットは、前記往路搬送および前記復路搬送の双方を実行する双方向搬送ロボットを含み、前記複数のモジュールは、前記往路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する第1モジュールと、前記復路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する第2モジュールと、を含み、前記制御部は、前記双方向搬送ロボットが前記第2モジュールから払出予告信号を受信した後であって前記第2モジュールから基板を受け取る前に前記第1モジュールから払出予告信号を受信したときには、前記第1モジュールからの基板の搬出を優先して実行するように前記双方向搬送ロボットを制御し、前記第1モジュールは、払出要求信号よりも設定時間だけ前に払出予告信号を発信し、前記設定時間は、前記双方向搬送ロボットが前記第2モジュールから次工程のモジュールに基板を搬送するのに要する時間と前記第1モジュールからの基板搬出の準備動作に要する時間とを加算した値であることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理装置において、前記前工程の処理を実行する前処理部と、前記後工程の処理を実行する後処理部と、前記前処理部および前記後処理部と第1露光装置および第2露光装置とを接続し、基板を搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備えるインターフェース部と、前記複数の搬送ロボットを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1露光装置または前記第2露光装置から前記後処理部へと基板を搬送する復路搬送よりも前記前処理部から前記第1露光装置または前記第2露光装置へと基板を搬送する往路搬送を優先して実行するように前記複数の搬送ロボットおよび前記複数のモジュールを制御し、前記複数の搬送ロボットは、前記往路搬送および前記復路搬送の双方を実行する双方向搬送ロボットを含み、前記複数のモジュールは、前記往路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する第1モジュールと、前記復路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する第2モジュールと、を含み、前記制御部は、前記双方向搬送ロボットが前記第2モジュールから払出予告信号を受信した後であって前記第2モジュールから基板を受け取る前に前記第1モジュールから払出予告信号を受信したときには、前記第1モジュールからの基板の搬出を優先して実行するように前記双方向搬送ロボットを制御し、前記制御部は、優先して実行した前記第1モジュールから次工程のモジュールへの基板搬送が完了したときに、前記第2モジュールから払出要求信号が発信されているときには、前記第2モジュールからの基板の搬出を実行するように前記双方向搬送ロボットを制御することを特徴とする。
【0012】
また、請求項の発明は、基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理装置において、前記前工程の処理を実行する前処理部と、前記後工程の処理を実行する後処理部と、前記前処理部および前記後処理部と第1露光装置および第2露光装置とを接続し、基板を搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備えるインターフェース部と、前記複数の搬送ロボットを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1露光装置または前記第2露光装置から前記後処理部へと基板を搬送する復路搬送よりも前記前処理部から前記第1露光装置または前記第2露光装置へと基板を搬送する往路搬送を優先して実行するように前記複数の搬送ロボットおよび前記複数のモジュールを制御し、前記複数の搬送ロボットは、前記往路搬送の搬送方向に沿って上流側の上流搬送ロボットおよび下流側の下流搬送ロボットを含み、前記複数のモジュールは、前記往路搬送の搬送方向に沿って前記上流搬送ロボットと前記下流搬送ロボットとの間に位置し、基板の温調処理を行う温調モジュールを含み、前記温調モジュールは、温調処理の完了よりも所定時間前の時点以降であって、かつ、前記下流搬送ロボットが前記第1露光装置または前記第2露光装置に対して基板交換を開始した時点以降に前記上流搬送ロボットに受取予告信号を送信することを特徴とする。
【0013】
また、請求項の発明は、基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理装置において、前記前工程の処理を実行する前処理部と、前記後工程の処理を実行する後処理部と、前記前処理部および前記後処理部と第1露光装置および第2露光装置とを接続し、基板を搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備えるインターフェース部と、前記複数の搬送ロボットを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1露光装置または前記第2露光装置から前記後処理部へと基板を搬送する復路搬送よりも前記前処理部から前記第1露光装置または前記第2露光装置へと基板を搬送する往路搬送を優先して実行するように前記複数の搬送ロボットおよび前記複数のモジュールを制御し、前記複数の搬送ロボットは、前記往路搬送および前記復路搬送の双方を実行する双方向搬送ロボットを含み、前記制御部は、前記双方向搬送ロボットが一連の動作を行うタクトタイムを2等分した一方が前記往路搬送のための往路搬送時間となり他方が前記復路搬送のための復路搬送時間となるように前記双方向搬送ロボットを制御するとともに、前記往路搬送時間および前記復路搬送時間のそれぞれに余裕時間を含ませることを特徴とする。
【0014】
また、請求項の発明は、請求項の発明に係る基板処理装置において、前記複数のモジュールは、前記往路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する上流モジュールを含み、前記制御部は、ロットの先頭基板を前記上流モジュールに所定時間待機させた後に前記双方向搬送ロボットが前記上流モジュールから前記先頭基板を搬出するように前記双方向搬送ロボットを制御することを特徴とする。
【0015】
また、請求項の発明は、請求項1から請求項のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記前処理部は、基板に対してレジストを塗布する塗布部を含み、前記後処理部は、露光処理後の基板に対して現像処理を行う現像部を含むことを特徴とする。
【0016】
また、請求項の発明は、基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理方法において、前記前工程の処理を実行する前処理部および前記後工程の処理を実行する後処理部と第1露光装置および第2露光装置とを接続するインターフェース部にて、前記前工程の処理が施された基板を前記第1露光装置および/または前記第2露光装置に搬送するとともに、露光処理が施された基板を前記後処理部に搬送する搬送工程を備え、前記インターフェース部は、基板を搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備え、前記搬送工程では、前記第1露光装置または前記第2露光装置から前記後処理部へと基板を搬送する復路搬送よりも前記前処理部から前記第1露光装置または前記第2露光装置へと基板を搬送する往路搬送を優先して実行し、前記複数の搬送ロボットは、前記往路搬送および前記復路搬送の双方を実行する双方向搬送ロボットを含み、前記複数のモジュールは、前記往路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する第1モジュールと、前記復路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する第2モジュールと、を含み、前記搬送工程では、前記双方向搬送ロボットが前記第2モジュールから払出予告信号を受信した後であって前記第2モジュールから基板を受け取る前に前記第1モジュールから払出予告信号を受信したときには、前記双方向搬送ロボットが前記第1モジュールからの基板の搬出を優先して実行し、前記第1モジュールは、払出要求信号よりも設定時間だけ前に払出予告信号を発信し、前記設定時間は、前記双方向搬送ロボットが前記第2モジュールから次工程のモジュールに基板を搬送するのに要する時間と前記第1モジュールからの基板搬出の準備動作に要する時間とを加算した値であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項の発明は、基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理方法において、前記前工程の処理を実行する前処理部および前記後工程の処理を実行する後処理部と第1露光装置および第2露光装置とを接続するインターフェース部にて、前記前工程の処理が施された基板を前記第1露光装置および/または前記第2露光装置に搬送するとともに、露光処理が施された基板を前記後処理部に搬送する搬送工程を備え、前記インターフェース部は、基板を搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備え、前記搬送工程では、前記第1露光装置または前記第2露光装置から前記後処理部へと基板を搬送する復路搬送よりも前記前処理部から前記第1露光装置または前記第2露光装置へと基板を搬送する往路搬送を優先して実行し、前記複数の搬送ロボットは、前記往路搬送および前記復路搬送の双方を実行する双方向搬送ロボットを含み、前記複数のモジュールは、前記往路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する第1モジュールと、前記復路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する第2モジュールと、を含み、前記搬送工程では、前記双方向搬送ロボットが前記第2モジュールから払出予告信号を受信した後であって前記第2モジュールから基板を受け取る前に前記第1モジュールから払出予告信号を受信したときには、前記双方向搬送ロボットが前記第1モジュールからの基板の搬出を優先して実行し、優先して実行した前記第1モジュールから次工程のモジュールへの基板搬送が完了したときに、前記第2モジュールから払出要求信号が発信されているときには、前記双方向搬送ロボットが前記第2モジュールからの基板の搬出を実行することを特徴とする。
【0020】
また、請求項の発明は、基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理方法において、前記前工程の処理を実行する前処理部および前記後工程の処理を実行する後処理部と第1露光装置および第2露光装置とを接続するインターフェース部にて、前記前工程の処理が施された基板を前記第1露光装置および/または前記第2露光装置に搬送するとともに、露光処理が施された基板を前記後処理部に搬送する搬送工程を備え、前記インターフェース部は、基板を搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備え、前記搬送工程では、前記第1露光装置または前記第2露光装置から前記後処理部へと基板を搬送する復路搬送よりも前記前処理部から前記第1露光装置または前記第2露光装置へと基板を搬送する往路搬送を優先して実行し、前記複数の搬送ロボットは、前記往路搬送の搬送方向に沿って上流側の上流搬送ロボットおよび下流側の下流搬送ロボットを含み、前記複数のモジュールは、前記往路搬送の搬送方向に沿って前記上流搬送ロボットと前記下流搬送ロボットとの間に位置し、基板の温調処理を行う温調モジュールを含み、前記温調モジュールは、温調処理の完了よりも所定時間前の時点以降であって、かつ、前記下流搬送ロボットが前記第1露光装置または前記第2露光装置に対して基板交換を開始した時点以降に前記上流搬送ロボットに受取予告信号を送信することを特徴とする。
【0021】
また、請求項10の発明は、基板に対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う基板処理方法において、前記前工程の処理を実行する前処理部および前記後工程の処理を実行する後処理部と第1露光装置および第2露光装置とを接続するインターフェース部にて、前記前工程の処理が施された基板を前記第1露光装置および/または前記第2露光装置に搬送するとともに、露光処理が施された基板を前記後処理部に搬送する搬送工程を備え、前記インターフェース部は、基板を搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備え、前記搬送工程では、前記第1露光装置または前記第2露光装置から前記後処理部へと基板を搬送する復路搬送よりも前記前処理部から前記第1露光装置または前記第2露光装置へと基板を搬送する往路搬送を優先して実行し、前記複数の搬送ロボットは、前記往路搬送および前記復路搬送の双方を実行する双方向搬送ロボットを含み、前記双方向搬送ロボットが一連の動作を行うタクトタイムを2等分した一方を前記往路搬送のための往路搬送時間とし、他方を前記復路搬送のための復路搬送時間として前記双方向搬送ロボットが搬送動作を行うとともに、前記往路搬送時間および前記復路搬送時間のそれぞれに余裕時間を含ませることを特徴とする。
【0022】
また、請求項11の発明は、請求項10の発明に係る基板処理方法において、前記複数のモジュールは、前記往路搬送の搬送方向に沿って前記双方向搬送ロボットの上流側に位置する上流モジュールを含み、前記双方向搬送ロボットは、ロットの先頭基板が前記上流モジュールに所定時間待機した後、前記上流モジュールから前記先頭基板を搬出することを特徴とする。
【0023】
また、請求項12の発明は、請求項から請求項11のいずれかの発明に係る基板処理方法において、前記前工程は、基板に対してレジストを塗布する工程を含み、前記後工程は、露光処理後の基板に対して現像処理を行う工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
請求項1から請求項の発明によれば、復路搬送よりも往路搬送を優先して実行するため、往路搬送中の基板が停滞して露光装置が待機状態になることが防がれ、基板の搬送効率の低下を抑制することができる。
【0025】
特に、請求項の発明によれば、優先して実行した第1モジュールから次工程のモジュールへの基板搬送が完了したときに、第2モジュールから払出要求信号が発信されているときには、第2モジュールからの基板の搬出を実行するため、往路搬送が過度に優先されて復路搬送が停滞するのを防止することができる。
【0026】
特に、請求項の発明によれば、温調モジュールは、温調処理の完了よりも所定時間前の時点以降であって、かつ、下流搬送ロボットが第1露光装置または第2露光装置に対して基板交換を開始した時点以降に上流搬送ロボットに受取予告信号を送信するため、上流搬送ロボットが搬入予定の基板を保持したまま待機することは防がれ、搬送効率の低下を抑制することができる。
【0027】
特に、請求項の発明によれば、双方向搬送ロボットが一連の動作を行うタクトタイムを2等分した一方が往路搬送のための往路搬送時間となり他方が復路搬送のための復路搬送時間となるようにするとともに、往路搬送時間および復路搬送時間のそれぞれに余裕時間を含ませるため、露光装置の処理時間の変動を余裕時間によって吸収することができ、双方向搬送ロボットよりも下流に周期的に基板を送り出して基板の搬送効率の低下を抑制することができる。
【0028】
請求項から請求項12の発明によれば、復路搬送よりも往路搬送を優先して実行するため、往路搬送中の基板が停滞して露光装置が待機状態になることが防がれ、基板の搬送効率の低下を抑制することができる。
【0029】
特に、請求項の発明によれば、優先して実行した第1モジュールから次工程のモジュールへの基板搬送が完了したときに、第2モジュールから払出要求信号が発信されているときには、双方向搬送ロボットが第2モジュールからの基板の搬出を実行するため、往路搬送が過度に優先されて復路搬送が停滞するのを防止することができる。
【0030】
特に、請求項の発明によれば、温調モジュールは、温調処理の完了よりも所定時間前の時点以降であって、かつ、下流搬送ロボットが第1露光装置または第2露光装置に対して基板交換を開始した時点以降に上流搬送ロボットに受取予告信号を送信するため、上流搬送ロボットが搬入予定の基板を保持したまま待機することは防がれ、搬送効率の低下を抑制することができる。
【0031】
特に、請求項10の発明によれば、双方向搬送ロボットが一連の動作を行うタクトタイムを2等分した一方を往路搬送のための往路搬送時間とし、他方を復路搬送のための復路搬送時間として双方向搬送ロボットが搬送動作を行うとともに、往路搬送時間および復路搬送時間のそれぞれに余裕時間を含ませるため、露光装置の処理時間の変動を余裕時間によって吸収することができ、双方向搬送ロボットよりも下流に周期的に基板を送り出して基板の搬送効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明に係る基板処理装置の全体構成の一例を示す概略図である。
図2】制御部の構成を示すブロック図である。
図3】インターフェース部の構成の一例を示す図である。
図4】モジュールの積層配置の一例を示す図である。
図5図3のインターフェース部において基板を第1露光装置および第2露光装置の双方に搬送する搬送経路を示す図である。
図6図3のインターフェース部において基板を第1露光装置のみに搬送する搬送経路を示す図である。
図7図3のインターフェース部において基板を第2露光装置のみに搬送する搬送経路を示す図である。
図8】インターフェース部の構成の他の例を示す図である。
図9図8のインターフェース部において基板を第1露光装置および第2露光装置の双方に搬送する搬送経路を示す図である。
図10図8のインターフェース部において基板を第1露光装置のみに搬送する搬送経路を示す図である。
図11図8のインターフェース部において基板を第2露光装置のみに搬送する搬送経路を示す図である。
図12】搬送競合の一例を説明するための模式図である。
図13】モジュールと搬送ロボットとの間のハンドシェイク信号の送受信を示すタイミングチャートである。
図14】搬送競合が生じたときの搬送シーケンスの一例を示すタイミングチャートである。
図15】搬送競合が生じたときの搬送シーケンスの他の例を示すタイミングチャートである。
図16】搬送ロボットの動作時間割を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。以下において、相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば、「一方向に」、「一方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」、「同軸」、など)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。また、等しい状態であることを示す表現(例えば、「同一」、「等しい」、「均質」、など)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。また、形状を示す表現(例えば、「円形状」、「四角形状」、「円筒形状」、など)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲の形状を表すものとし、例えば凹凸または面取りなどを有していてもよい。また、構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、「有する」、といった各表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。また、「A、BおよびCのうちの少なくとも一つ」という表現には、「Aのみ」、「Bのみ」、「Cのみ」、「A、BおよびCのうち任意の2つ」、「A、BおよびCの全て」が含まれる。
【0034】
<第1実施形態>
<1-1.基板処理装置の全体構成>
図1は、本発明に係る基板処理装置1の全体構成の一例を示す概略図である。基板処理装置1は、基板Gに対して露光処理の前工程の処理を行うとともに、露光処理の後工程の処理を行う装置である。露光処理の前工程の処理には、例えば、洗浄、処理液の塗布、処理液の乾燥、および、加熱による塗布膜の形成などが含まれる。一方、露光処理の後工程の処理には、現像、現像後の加熱による乾燥、および、冷却などが含まれる。処理対象となる基板Gは、例えば、平板状のガラス基板である。基板Gは、第1主面としての第1面(上面ともいう)と、この第1面とは逆の第2主面としての第2面(下面ともいう)と、を有する。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
【0035】
基板処理装置1の一端側にはインデクサ装置2が接続されるとともに他端側には第1露光装置3aおよび第2露光装置3bが接続される。すなわち、本実施形態においては、1ラインの基板処理装置1に対して2台の露光装置3a,3bが接続されている。なお、第1露光装置3aと第2露光装置3bとを特に区別しない場合には単に露光装置3と総称する。
【0036】
基板処理装置1は、露光処理の前工程の処理を行う前処理部11と、露光処理の後工程の処理を行う後処理部12と、インターフェース部20と、を備える。基板処理装置1全体での基板Gの搬送経路において、前処理部11は、インデクサ装置2からインターフェース部20に至る往路部分をなす。一方、後処理部12は、インターフェース部20からインデクサ装置2に至る復路部分をなす。
【0037】
インデクサ装置2は、複数の基板Gを収容するカセットが載置される載置台と、基板Gを移載する移載機構と、を有する。移載機構としては、例えば、載置台上のカセットと前処理部11および後処理部12との間で基板Gを移載する移載ロボットが適用される。移載機構は、載置台上のカセットから未処理の基板Gを取り出して前処理部11に渡す。また、移載機構は、後処理部12から処理後の基板Gを受け取ってカセットに収納する。
【0038】
前処理部11は、複数の処理部として、洗浄部111、塗布部112、減圧乾燥部113およびプリベーク部114を有する。前処理部11の各処理部は、上記の処理部の記載順に配置されている。基板Gは、搬送ロボットもしくはコンベア等によって、図1に2点鎖線で描かれた矢印で示されるように、処理の進行に従って、各処理部へ上記の記載順に搬送される。
【0039】
洗浄部111は、インデクサ装置2から搬入された基板Gに洗浄処理を施す。洗浄処理には、例えば、微細なパーティクルをはじめ、有機汚染、金属汚染、油脂および自然酸化膜等を除去する処理が含まれる。洗浄部111では、例えば、紫外光の照射による基板Gの表面に付着した有機物の除去、脱イオン水等の洗浄液の供給とブラシ等の洗浄部材とによる基板Gの表面の洗浄、ならびにブロワー等による基板Gの乾燥が行われる。ブロワー等による基板Gの乾燥には、例えば、エアナイフによる基板G上からの洗浄液の除去等が含まれる。
【0040】
塗布部112は、洗浄部111で洗浄された基板G上に処理液を塗布する。塗布部112には、例えば、スリットコータが適用される。スリットコータは、処理液を吐出口から吐出するスリットノズルを、基板Gに対して相対的に移動させることで、基板G上に処理液の塗布することができる。ここで、塗布部112では、基板G上に処理液が塗布されるエリア(塗布エリアともいう)において、浮上式の搬送機構によって上下面が水平方向に沿った姿勢(水平姿勢ともいう)の基板Gが水平方向に沿って搬送される。浮上式の搬送機構は、例えば、基板Gのうちの基板Gの搬送方向(基板搬送方向ともいう)に垂直な幅方向の両端部分を下方から支持もしくは保持し、基板Gに向けて下方から圧縮空気を吹き付けることで上下面が水平方向に沿った状態にある基板Gを保持しつつ、基板Gを水平方向に移動させる。塗布部112では、例えば、塗布エリアの上流側に位置している部分(入側部分ともいう)および塗布エリアの下流側に位置している部分(出側部分ともいう)のそれぞれにおいて、コンベアによって基板Gが搬送される。コンベアは、基板Gの基板搬送方向に沿って並んだ複数のローラを駆動機構(不図示)によって回転させることで、水平姿勢の基板Gを水平方向に移動させる。塗布部112には、その他の塗布方式の塗布装置が適用されてもよい。
【0041】
塗布部112が塗布する処理液には、例えば、レジスト液またはポリイミド前駆体と溶媒とを含む液(PI液ともいう)等の塗布用の液(塗布液ともいう)が適用される。ポリイミド前駆体には、例えば、ポリアミド酸(ポリアミック酸)等が適用される。溶媒には、例えば、NMP(N-メチル-2-ピロリドン:N-Methyl-2-Pyrrolidone)が適用される。
【0042】
減圧乾燥部113は、基板G上に塗布された処理液を減圧によって乾燥させる処理(減圧乾燥処理ともいう)を行う。ここでは、基板Gの表面に塗布された処理液の溶媒が減圧によって気化(蒸発)させられることで、基板Gが乾燥される。
【0043】
プリベーク部114は、減圧乾燥部113で乾燥された基板Gを加熱し、基板Gの表面上で、処理液に含まれる成分を固化させる。これにより、基板G上に処理液に係る膜が形成される。例えば、処理液がレジストである場合には、レジストの塗膜に熱処理が施されることで、レジスト膜が形成される。例えば、処理液がポリイミド前駆体である場合には、ポリイミド前駆体の塗膜に熱処理が施されることで、ポリイミド前駆体のイミド化によってポリイミド膜が形成される。プリベーク部114は、単一の基板Gを加熱する枚葉方式の加熱処理部であってもよいし、複数の基板Gを一括して加熱するバッチ方式の加熱処理部であってもよい。ここで、減圧乾燥部113における減圧乾燥処理の処理時間と、プリベーク部114における加熱処理の処理時間と、が大きく相違しており、プリベーク部114が枚葉方式の加熱処理部を有する場合が想定される。この場合には、プリベーク部114は、例えば、並列して加熱処理を行う複数台の枚葉式の加熱処理部を有していても良い。複数台の加熱処理部は、例えば、上下に積層された状態で配置される。
【0044】
インターフェース部20は、前処理部11および後処理部12と第1露光装置3aおよび第2露光装置3bとを接続する。インターフェース部20は、前処理部11から受け取った基板Gを第1露光装置3aおよび/または第2露光装置3bに搬送する。また、インターフェース部20は、第1露光装置3aおよび/または第2露光装置3bから受け取った露光後の基板Gを後処理部12に搬送する。インターフェース部20は、基板Gを搬送する複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを備えているが、インターフェース部20の詳細な構成についてはさらに後述する。
【0045】
第1露光装置3aおよび第2露光装置3bは、前処理部11において基板G上に形成された処理液に係る膜に対して、露光処理を行う。具体的には、露光装置3は、例えば、回路パターンが描画されたマスクを通して遠紫外線等の特定の波長の光を照射し、処理液に係る膜にパターンを転写する。露光装置3は、例えば、周辺露光部およびタイトラーを含んでいても良い。周辺露光部は、基板G上の処理液に係る膜の周縁部を除去するための露光処理を行う部分である。タイトラー部は、例えば、基板Gに所定の情報を書き込む部分である。周辺露光部およびタイトラー部は、基板Gの向きを変更するターン機構を有していても良い。
【0046】
後処理部12は、複数の処理部として、現像部121、ポストベーク部122および冷却部123を有する。後処理部12の各処理部は、上記の処理部の記載順に配置されている。基板Gは、搬送ロボット等によって、図1に2点鎖線で描かれた矢印で示されるように、処理の進行に従って、各処理部へ上記の記載順に搬送される。
【0047】
現像部121は、前処理部11で形成された処理液に係る膜に現像処理を施す。現像処理には、例えば、処理液に係る膜を現像する処理、現像液を洗い流す処理、および基板Gを乾燥させる処理が含まれる。現像部121では、例えば、露光装置3でパターンが露光された基板G上の処理液に係る膜を現像液に浸す処理、基板G上の現像液を脱イオン水等の洗浄液で洗い流す処理、ならびにブロワー等によって基板Gを乾燥させる処理が行われる。ブロワー等による基板Gの乾燥には、例えば、エアナイフによる基板G上からの洗浄液の除去等が含まれる。
【0048】
ポストベーク部122は、基板Gを加熱し、現像部121において基板Gに付着した洗浄液を気化させることで、基板Gを乾燥させる。
【0049】
冷却部123は、ポストベーク部122で加熱された基板Gを冷却する。冷却部123には、例えば、コンベアによって基板Gを搬送しながら基板Gを空冷する構成、あるいは基板Gを棚状の部分に載置して空気等のガスの吹き付けによって基板Gを冷却する構成等が適用される。冷却部123で冷却された基板Gは、インデクサ装置2によって後処理部12から基板処理装置1の外部へ搬出される。
【0050】
基板処理装置1の各部の動作は、制御部90によって制御される。図2は、制御部90の構成を示すブロック図である。制御部90のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部90は、各種演算処理を行う回路であるCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく記憶部94(例えば、磁気ディスクまたはSSD)を備えている。制御部90のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって基板処理装置1における処理が進行する。
【0051】
制御部90の記憶部94には、基板Gを処理する手順および条件を定めた処理レシピ95が記憶されている。処理レシピ95は、例えば、装置のオペレータが、後述する入力部92を介して入力して記憶部94に記憶させることによって、基板処理装置1に取得される。或いは、複数の基板処理装置1を管理するホストコンピュータから基板処理装置1に処理レシピ95が通信により引き渡されて記憶部94に記憶されても良い。
【0052】
制御部90には、後述するインターフェース部20に設けられた搬送ロボット等の要素が電気的に接続されている。制御部90は、例えば処理レシピ95の内容に従って、当該搬送ロボット等を制御する。
【0053】
また、制御部90には、表示部93および入力部92が接続されている。表示部93および入力部92は、基板処理装置1のユーザーインターフェースとして機能する。制御部90は、表示部93に種々の情報を表示する。基板処理装置1のオペレータは、表示部93に表示された情報を確認しつつ、入力部92から種々のコマンドやパラメータを入力することができる。入力部92としては、例えばキーボードやマウスを用いることができる。表示部93としては、例えば液晶ディスプレイを用いることができる。本実施形態においては、表示部93および入力部92として、基板処理装置1の外壁に設けられた液晶のタッチパネルを採用して双方の機能を併せ持たせるようにしている。
【0054】
<1-2.第1のインターフェース部の構成>
図3は、第1のインターフェース部20の構成を示す図である。インターフェース部20は、基板Gを搬送する搬送機構および複数のモジュールを備える。図3のインターフェース部20は、搬送機構として5つの搬送ロボット(第1搬送ロボット31,第2搬送ロボット32,第3搬送ロボット33,第4搬送ロボット34,第5搬送ロボット35)を有する。
【0055】
第1搬送ロボット31、第2搬送ロボット32、第3搬送ロボット33、第4搬送ロボット34および第5搬送ロボット35のそれぞれは、基板Gを保持するハンドを前後に進退移動させることができるとともに、旋回動作および昇降動作が可能とされている。これにより、第1搬送ロボット31、第2搬送ロボット32、第3搬送ロボット33、第4搬送ロボット34および第5搬送ロボット35のそれぞれは、周囲のモジュールに対して基板Gの受け渡しを行うことができる。
【0056】
第1搬送ロボット31、第3搬送ロボット33および第4搬送ロボット34は、1つのハンドを有して基板Gの搬送を行うシングルハンドタイプのロボットである。一方、第1露光装置3aに対して基板Gの搬入出を行う第2搬送ロボット32および第2露光装置3bに対して基板Gの搬入出を行う第5搬送ロボット35は、2つのハンドを有するダブルハンドタイプのロボットである。これにより、第2搬送ロボット32および第5搬送ロボット35は、それぞれ第1露光装置3aおよび第2露光装置3bに対して未露光の基板Gと露光済みの基板Gとの交換を行うことができる。
【0057】
また、インターフェース部20は、モジュールとして、クーリングプレート51、エッジ露光機52、バッファ53、第1温調器55、第2温調器56、第1パス37、第2パス38、第3パス39、第1アウトパス58および第2アウトパス59を有する。モジュールは、インターフェース部20に設けられた要素のうち基板Gを搬送する機能を有さないものであり、インターフェース部20内での搬送制御における最小の制御単位でもある。なお、厳密にはクーリングプレート51およびエッジ露光機52の制御は、インターフェース部20に属するものではない(クーリングプレート51の制御はプリベーク部114に属する)。
【0058】
クーリングプレート51は、例えば冷却水循環機構またはペルチェ素子等の冷却機構を備えたプレートである。昇温された基板Gがクーリングプレート51に載置されることによって、当該基板Gが冷却される。エッジ露光機52は、レジスト膜等が形成された基板Gの周縁部に光を照射することによって当該周縁部を露光する。
【0059】
バッファ53は、1枚の基板Gを収納可能な棚を多段(例えば、16段)に積層して備える。よって、バッファ53は、1枚以上の基板Gを収容することができる。
【0060】
第1温調器55は、所定温度に温調された気体を基板Gに供給して基板Gを温調する。第2温調器56は、第1温調器55と同様の構成を有する。第1温調器55および第2温調器56は、例えば、基板Gをクリーンルームにおける標準温度である23℃に温調する。
【0061】
第1パス37、第2パス38および第3パス39のそれぞれは、1枚の基板Gを載置することができる載置台を例えば2段に積層して構成される。第1アウトパス58および第2アウトパス59のそれぞれは、1枚の基板Gを載置することができる載置台を例えば5段に積層して構成される。第1パス37、第2パス38、第3パス39、第1アウトパス58および第2アウトパス59のそれぞれは、2つの搬送ロボットの間で基板Gを受け渡すための要素である。
【0062】
インターフェース部20に設けられた複数のモジュールのうち、第1温調器55と第1パス37と第1アウトパス58とは鉛直方向に沿って3段に積層配置されている。図4は、モジュールの積層配置の一例を示す図である。図4の積層構造において、上段に第1温調器55が配置され、中段に第1パス37が配置され、下段に第1アウトパス58が配置されている。
【0063】
上段の第1温調器55は、送風ユニット61、載置台62および駆動機構63を備える。載置台62の上面には複数の支持ピン65が立設されている。載置台62は、1枚の基板Gを載置することができる。駆動機構63は、載置台62を鉛直方向に沿って昇降移動させるとともに、載置台62を鉛直方向に沿った軸周りで回動させる。すなわち、第1温調器55は、基板Gを温調するとともに、基板Gを水平面内で回動させるターンテーブルとしての機能も有している。送風ユニット61は、載置台62に載置されて駆動機構63によって所定の温調位置にまで上昇された基板Gに向けて、例えば23℃に温調された気体を吹き付ける。第1温調器55には、第1搬送ロボット31がハンドを出し入れするための開口64が設けられている。なお、第1温調器55には、図4の紙面に垂直な方向に沿って手前側に第2搬送ロボット32がハンドを出し入れするための開口も設けられている。
【0064】
中段の第1パス37は、それぞれが1枚の基板Gを載置することができる載置台を2段に積層して備える。下段の第1アウトパス58は、それぞれが1枚の基板Gを載置することができる載置台を5段に積層して備える。第1パス37および第1アウトパス58にも、隣接する搬送ロボットがハンドを出し入れするための開口(図示省略)が設けられている。
【0065】
図3に戻り、第2アウトパス59と第2パス38とは鉛直方向に沿って2段に積層配置されている。上段に第2アウトパス59が配置されるとともに、下段に第2パス38が配置される。また、第2温調器56と第3パス39とも鉛直方向に沿って2段に積層配置されている。上段に第2温調器56が配置されるとともに、下段に第3パス39が配置される。第2温調器56は、上記の第1温調器55と同様の構成を有しており、基板Gを温調するとともに、基板Gを水平面内で回動させるターンテーブルとしての機能も有している。
【0066】
図3に示すように、第1搬送ロボット31の周囲には、クーリングプレート51,バッファ53および第1温調器55と第1パス37と第1アウトパス58との積層構造が配置されている。第1搬送ロボット31は、クーリングプレート51、バッファ53、第1温調器55および第1パス37に対して基板Gの受け渡しを行う。第1搬送ロボット31は、バッファ53に形設されている複数の棚のうちの任意の棚に対して基板Gの受け渡しを行うことができる。第1搬送ロボット31は、主にインターフェース部20における入り側の基板搬送を担当する。
【0067】
第2搬送ロボット32の周囲には、第1温調器55と第1パス37と第1アウトパス58との積層構造が配置されている。第2搬送ロボット32は、第1温調器55、第1パス37、第1アウトパス58および第1露光装置3aに対して基板Gの受渡を行う。第2搬送ロボット32は、主に第1露光装置3aに対する基板Gの受け渡しを担当する。
【0068】
第3搬送ロボット33の周囲には、第1温調器55と第1パス37と第1アウトパス58との積層構造、第2アウトパス59と第2パス38との積層構造およびエッジ露光機52が配置されている。第3搬送ロボット33は、第1パス37、第1アウトパス58、第2アウトパス59、第2パス38およびエッジ露光機52に対して基板Gの受け渡しを行う。第3搬送ロボット33は、主にインターフェース部20における出側の基板搬送を担当する。
【0069】
第4搬送ロボット34の周囲には、第2アウトパス59と第2パス38との積層構造および第2温調器56と第3パス39との積層構造が配置されている。第4搬送ロボット34は、第2アウトパス59、第2パス38、第2温調器56および第3パス39に対して基板Gの受け渡しを行う。第4搬送ロボット34は、インターフェース部20における基板搬送の中継を担う。
【0070】
第5搬送ロボット35の周囲には、第2温調器56と第3パス39との積層構造が配置されている。第5搬送ロボット35は、第2温調器56、第3パス39および第2露光装置3bに対して基板Gの受け渡しを行う。第5搬送ロボット35は、主に第2露光装置3bに対する基板Gの受け渡しを担当する。
【0071】
<1-3.基板の処理手順>
次に、基板処理装置1における基板Gの処理手順について説明する。まず、基板処理装置1の全体における基板Gの処理の流れについて簡単に説明する。
【0072】
インデクサ装置2は、カセットに収納されている未処理の基板Gを取り出して前処理部11の洗浄部111に投入する。洗浄部111は、例えば洗浄液を供給して基板Gの表面洗浄を行うとともに、洗浄後に洗浄液を乾燥させる。洗浄部111にて洗浄された基板Gは塗布部112に搬送される。本実施形態では、塗布部112は、洗浄後の清浄な基板Gの表面にレジスト液を塗布する。
【0073】
レジスト液が塗布された基板Gは塗布部112から減圧乾燥部113に搬送される。減圧乾燥部113は、基板Gに塗布されたレジスト液を減圧雰囲気下にて乾燥させる。その後さらに、基板Gは減圧乾燥部113からプリベーク部114に搬送される。プリベーク部114は、基板Gを加熱して基板Gの表面にレジスト膜を焼成する。
【0074】
前処理部11にてレジスト膜が成膜された基板Gは、インターフェース部20にて第1露光装置3aおよび/または第2露光装置3bに搬送されて露光処理に供される。露光処理後の基板Gは、インターフェース部20にて後処理部12に搬送される。インターフェース部20における基板Gの搬送についてはさらに詳述する。
【0075】
後処理部12の現像部121は、露光処理後の基板Gに現像液を供給してレジスト膜の現像処理を行う。また、現像部121は、基板G上から現像液を洗い流すとともに、基板Gを乾燥させる処理も行う。
【0076】
現像処理後の基板Gは現像部121からポストベーク部122に搬送される。ポストベーク部122は、基板Gを加熱して基板G上に残留している現像液や洗浄液を蒸発除去する。その後、基板Gはポストベーク部122から冷却部123に搬送される。冷却部123は、ポストベーク部122で加熱されて昇温している基板Gを冷却する。冷却部123で冷却された基板Gは、インデクサ装置2に戻され、インデクサ装置2によってカセットに収容される。
【0077】
<1-4.第1のインターフェース部における基板搬送>
図3のインターフェース部20における基板Gの搬送について説明を続ける。インターフェース部20における基板Gの搬送形態として、複数の基板Gのそれぞれを第1露光装置3aおよび第2露光装置3bの双方に順次に搬送して2回の露光処理を重ねて行う二重露光処理モードと、複数の基板Gを第1露光装置3aまたは第2露光装置3bのいずれかに搬送して1回の露光処理を行う単一露光処理モードと、が用意されている。
【0078】
制御部90は、二重露光処理モードまたは単一露光処理モードのいずれかを選択する。具体的には、装置のオペレータが入力部92から二重露光処理モードまたは単一露光処理モードを指定することによって制御部90がモード選択するようにすれば良い。或いは、処理レシピ95(図2)の記述に従って制御部90がモード選択するようにしても良い。さらには、上位のホストコンピュータ等からの指示に従って制御部90がモード選択するようにしても良い。二重露光処理モードは、例えば第1露光装置3aと第2露光装置3bとが異なる種類のマスクを使用して同一の基板Gに多重露光処理を行う場合に採用される。一方、単一露光処理モードは、例えば第1露光装置3aと第2露光装置3bとが同じ種類のマスクを使用して高スループットで露光処理を行う場合に採用される。単一露光処理モードでは、複数の基板Gを第1露光装置3aと第2露光装置3bとに交互に搬送するようにしても良い。
【0079】
まず、制御部90によって二重露光処理モードが選択されたときの基板Gの搬送について説明する。図5は、図3のインターフェース部20において基板Gを第1露光装置3aおよび第2露光装置3bの双方に搬送する搬送経路を示す図である。以下に説明する基板Gの搬送は、制御部90がインターフェース部20の複数の搬送ロボットを制御することによって実現される。
【0080】
前処理部11のプリベーク部114にて加熱されて昇温していた基板Gは最初にクーリングプレート51に搬入されて冷却される。第1搬送ロボット31は、クーリングプレート51から冷却された基板Gを取り出してバッファ53に搬入する。そして、第1搬送ロボット31は、バッファ53から基板Gを搬出し、その基板Gを第1温調器55に搬入する。なお、バッファ53への基板搬入は必須ではなく、第1温調器55が空いている状況であれば、第1搬送ロボット31は、クーリングプレート51から取り出した基板Gを直接第1温調器55に搬入するようにしても良い。
【0081】
二重露光処理モードでは、バッファ53は、第1露光装置3aおよび第2露光装置3bの処理時間のゆらぎを吸収する役割を担う。第1露光装置3aおよび第2露光装置3bの処理時間は必ずしも一定ではない。例えば、第1露光装置3aおよび第2露光装置3bは不定期に自己メンテナンスを行うことがあり、そのようなときには処理時間が長くなることがある。また、第1露光装置3aおよび第2露光装置3bは、特にロットの最初の基板Gについてはアライメントに長時間を要するため、これによっても処理時間は長くなる。第1露光装置3aまたは第2露光装置3bの処理時間が長くなったときに、前処理部11にてレジスト膜が成膜された基板Gを一時的にバッファ53に貯留しておくことにより、前処理部11での処理が停滞するのを防いでいるのである。バッファ53は、第1露光装置3aまたは第2露光装置3bが長時間停止した場合であっても、前処理部11にて塗布処理がなされた全ての基板Gを収納できる段数の棚を備えている。
【0082】
第1温調器55は、露光処理直前の基板Gを所定温度(例えば23℃)に正確に温調する。第1温調器55は、基板Gの温調を行いつつ、必要に応じて基板Gの向きを水平面内で回動させるようにしても良い。温調された基板Gは、第2搬送ロボット32によって第1温調器55から搬出されて第1露光装置3aに搬入される。このときに、第2搬送ロボット32は、先行する露光済みの基板Gを第1露光装置3aから搬出するとともに、未露光の基板Gを第1露光装置3aに搬入して基板交換を行う。
【0083】
第1露光装置3aは、基板Gに対して露光処理を行ってレジスト膜にパターンを転写する。露光処理後の基板Gは、第2搬送ロボット32によって第1露光装置3aから搬出されて第1パス37に搬入される。続いて、第3搬送ロボット33が第1パス37から基板Gを搬出して第2パス38に搬入する。そして、第4搬送ロボット34が第2パス38から基板Gを搬出して第2温調器56に搬入する。
【0084】
第2温調器56は、2回目の露光処理直前の基板Gを所定温度に正確に温調する。第2温調器56は、基板Gの温調を行いつつ、必要に応じて基板Gの向きを水平面内で回動させるようにしても良い。温調された基板Gは、第5搬送ロボット35によって第2温調器56から搬出されて第2露光装置3bに搬入される。このときに、第5搬送ロボット35は、先行する露光済みの基板Gを第2露光装置3bから搬出するとともに、未露光の基板Gを第2露光装置3bに搬入して基板交換を行う。
【0085】
第2露光装置3bは、第1露光装置3aとは異なるマスクを使用して基板Gに対して露光処理を行ってレジスト膜にパターンを転写する。すなわち、二重露光処理モードでは、基板Gに異なるパターンが重ねて転写されるのである。露光処理後の基板Gは、第5搬送ロボット35によって第2露光装置3bから搬出されて第3パス39に搬入される。続いて、第4搬送ロボット34が第3パス39から基板Gを搬出して第2アウトパス59に搬入する。そして、第3搬送ロボット33が第2アウトパス59から基板Gを搬出してエッジ露光機52に搬入する。第2アウトパス59は、第2露光装置3bにて露光処理がなされた基板をインターフェース部20から搬出するときのバッファとしても機能する。エッジ露光機52は、基板Gの周縁部に露光処理を行う。その後、基板Gは後処理部12の現像部121に搬出される。
【0086】
以上のように、二重露光処理モードが選択されたときには、全ての基板Gが同一の搬送経路および手順に従って搬送される。そして、二重露光処理モードでは、レジスト膜が成膜された複数の基板Gのそれぞれが第1露光装置3aおよび第2露光装置3bの双方に順次に搬送されて2回の露光処理に供されることとなる。
【0087】
次に、制御部90によって単一露光処理モードが選択されたときの基板Gの搬送について説明する。複数の基板Gを第1露光装置3aまたは第2露光装置3bのいずれか一方のみに搬送する単一露光処理モードでは、基板Gを第1露光装置3aに搬送する経路と第2露光装置3bに搬送する経路とが異なる。そこで、まずは基板Gを第1露光装置3aに搬送する経路について説明する。図6は、図3のインターフェース部20において基板Gを第1露光装置3aのみに搬送する搬送経路を示す図である。二重露光処理モードと同様に、単一露光処理モードの基板Gの搬送も、制御部90がインターフェース部20の搬送機構を制御することによって実現される。
【0088】
前処理部11のプリベーク部114にて加熱されて昇温していた基板Gは最初にクーリングプレート51に搬入されて冷却される。第1搬送ロボット31は、クーリングプレート51から冷却された基板Gを取り出してバッファ53に搬入する。そして、第1搬送ロボット31は、バッファ53から基板Gを搬出し、その基板Gを第1温調器55に搬入する。
【0089】
単一露光処理モードでも、バッファ53は、第1露光装置3aおよび第2露光装置3bの処理時間のゆらぎを吸収する役割を担う。すなわち、第1露光装置3aおよび第2露光装置3bの処理時間が長くなったときに、前処理部11での処理が停滞するのを防ぐために、バッファ53はレジスト膜が成膜された基板Gを一時的に貯留する。
【0090】
第1温調器55は、露光処理直前の基板Gを所定温度に正確に温調する。温調された基板Gは、第2搬送ロボット32によって第1温調器55から搬出されて第1露光装置3aに搬入される。
【0091】
第1露光装置3aは、基板Gに対して露光処理を行ってレジスト膜にパターンを転写する。露光処理後の基板Gは、第2搬送ロボット32によって第1露光装置3aから搬出されて第1アウトパス58に搬入される。そして、第3搬送ロボット33が第1アウトパス58から基板Gを搬出してエッジ露光機52に搬入する。第1アウトパス58は、第1露光装置3aにて露光処理がなされた基板をインターフェース部20から搬出するときのバッファとしても機能する。エッジ露光機52は、基板Gの周縁部に露光処理を行う。その後、基板Gは後処理部12の現像部121に搬出される。
【0092】
続いて、基板Gを第2露光装置3bに搬送する経路について説明する。図7は、図3のインターフェース部20において基板Gを第2露光装置3bのみに搬送する搬送経路を示す図である。
【0093】
前処理部11のプリベーク部114にて加熱されて昇温していた基板Gは最初にクーリングプレート51に搬入されて冷却される。第1搬送ロボット31は、クーリングプレート51から冷却された基板Gを取り出してバッファ53に搬入する。そして、第1搬送ロボット31は、バッファ53から基板Gを搬出し、その基板Gを第1パス37に搬入する。
【0094】
次に、第3搬送ロボット33が第1パス37から基板Gを搬出して第2パス38に搬入する。そして、第4搬送ロボット34が第2パス38から基板Gを搬出して第2温調器56に搬入する。
【0095】
第2温調器56は、露光処理直前の基板Gを所定温度に正確に温調する。温調された基板Gは、第5搬送ロボット35によって第2温調器56から搬出されて第2露光装置3bに搬入される。
【0096】
第2露光装置3bは、基板Gに対して露光処理を行ってレジスト膜にパターンを転写する。露光処理後の基板Gは、第5搬送ロボット35によって第2露光装置3bから搬出されて第3パス39に搬入される。続いて、第4搬送ロボット34が第3パス39から基板Gを搬出して第2アウトパス59に搬入する。そして、第3搬送ロボット33が第2アウトパス59から基板Gを搬出してエッジ露光機52に搬入する。エッジ露光機52は、基板Gの周縁部に露光処理を行う。その後、基板Gは後処理部12の現像部121に搬出される。
【0097】
以上のように、単一露光処理モードが選択されたときには、基板Gを第1露光装置3aに搬送する搬送経路(図6)と第2露光装置3bに搬送する搬送経路(図7)とが異なる。単一露光処理モードでは、レジスト膜が成膜された複数の基板Gのそれぞれが第1露光装置3aまたは第2露光装置3bのいずれか一方に搬送されて1回の露光処理に供されることとなる。第1露光装置3aと第2露光装置3bとで同じマスクを使用し、複数の基板Gを第1露光装置3aと第2露光装置3bとに交互に搬送すれば、スループットを高めることができる。
【0098】
<1-5.第2のインターフェースの構成>
図8は、第2のインターフェース部220の構成を示す図である。同図において、図3と同一の要素については同一の符号を付している。第2のインターフェース部220は、基板Gを搬送する搬送機構および複数のモジュールを備える。図8のインターフェース部220は、搬送機構として5つの搬送ロボット(第1搬送ロボット31,第2搬送ロボット32,第3搬送ロボット33,第4搬送ロボット34,第5搬送ロボット35)を有する。
【0099】
第1搬送ロボット31、第2搬送ロボット32、第3搬送ロボット33、第4搬送ロボット34および第5搬送ロボット35のそれぞれは、第1実施形態の搬送ロボットと同様のものである。よって、第1搬送ロボット31、第2搬送ロボット32、第3搬送ロボット33、第4搬送ロボット34および第5搬送ロボット35のそれぞれは、周囲のモジュールに対して基板Gの受け渡しを行うことができる。また、第1搬送ロボット31、第3搬送ロボット33および第4搬送ロボット34は、1つのハンドを有するシングルハンドタイプのロボットである。一方、第1露光装置3aに対して基板Gの搬入出を行う第2搬送ロボット32および第2露光装置3bに対して基板Gの搬入出を行う第5搬送ロボット35は、2つのハンドを有するダブルハンドタイプのロボットである。
【0100】
また、インターフェース部220は、モジュールとして、クーリングプレート51、エッジ露光機52、バッファ53、第1温調器55、第2温調器56、第1パス37、第2パス38、および、アウトパス57を有する。これらのうち図3と同一の符号を付しているものは第1のインターフェース部20におけるのと同一の要素である。アウトパス57は、図3の第1アウトパス58(または第2アウトパス59)と同じく、1枚の基板Gを載置することができる載置台を例えば5段に積層して構成され、2つの搬送ロボットの間で基板Gを受け渡すための要素である。なお、第1のインターフェース部20についてと同様に、厳密にはクーリングプレート51およびエッジ露光機52の制御は、インターフェース部220に属するものではない。
【0101】
インターフェース部220に設けられた複数のモジュールのうち、第1温調器55と第1パス37とは鉛直方向に沿って2段に積層配置されている。上段に第1温調器55が配置されるとともに、下段に第1パス37が配置される。また、第2温調器56と第2パス38とも鉛直方向に沿って2段に積層配置されている。上段に第2温調器56が配置されるとともに、下段に第2パス38が配置される。
【0102】
このように、第2のインターフェース部220も、第1のインターフェース部20と概ね同様の要素(搬送ロボットおよびモジュール)を備えている。但し、図8に示すように、第2のインターフェース部220においては、各要素のレイアウトが第1のインターフェース部20とは相違する。図3では第1露光装置3aと第2露光装置3bとが横並びであったのに対して、図8では第1露光装置3aと第2露光装置3bとが離間している。それに伴って、第2のインターフェース部220の各要素のレイアウトも図3とは異なるものとなっている。
【0103】
工場内に複数の基板処理装置1を並べて設置する場合には、図3に示す第1のインターフェース部20と図8に示す第2のインターフェース部220とを交互に設けるのが好適である。この場合、図8のレイアウトにおける第1露光装置3aは、ある基板処理装置1の前処理部11と、それに隣り合うように設置された基板処理装置1の後処理部12との間に配置されることとなる。また、第1のインターフェース部20における角の空きスペースPA(図3)と第2のインターフェース部220における角の空きスペースPB(図8)とが互いにかみ合うように双方のインターフェース部を配置することにより、工場内のスペースを無駄なく有効に利用することができる。すなわち、第1のインターフェース部20の第5搬送ロボット35がスペースPBに位置し、第2のインターフェース部220の第2搬送ロボット32がスペースPAに位置するように双方のインターフェース部を配置することによってスペースの利用効率を高めることができる。
【0104】
図8に示すように、第2のインターフェース部220において、第1搬送ロボット31の周囲には、クーリングプレート51、バッファ53、第1温調器55と第1パス37との積層構造および第2温調器56と第2パス38との積層構造が配置されている。第1搬送ロボット31は、クーリングプレート51、バッファ53、第1温調器55および第2温調器56に対して基板Gの受け渡しを行う。
【0105】
第2搬送ロボット32の周囲には、第1温調器55と第1パス37との積層構造が配置されている。第2搬送ロボット32は、第1温調器55、第1パス37および第1露光装置3aに対して基板Gの受渡を行う。
【0106】
第3搬送ロボット33の周囲には、バッファ53、アウトパス57およびエッジ露光機52が配置されている。第3搬送ロボット33は、アウトパス57およびエッジ露光機52に対して基板Gの受け渡しを行う。
【0107】
第4搬送ロボット34の周囲には、第1温調器55と第1パス37との積層構造および第2温調器56と第2パス38との積層構造が配置されている。第4搬送ロボット34は、第1パス37、第2温調器56および第2パス38に対して基板Gの受け渡しを行う。
【0108】
第5搬送ロボット35の周囲には、第2温調器56と第2パス38との積層構造、バッファ53およびアウトパス57が配置されている。第5搬送ロボット35は、第2温調器56、第2パス38、アウトパス57および第2露光装置3bに対して基板Gの受け渡しを行う。
【0109】
<1-6.第2のインターフェース部における基板搬送>
図8のインターフェース部220における基板Gの搬送について説明を続ける。第2のインターフェース部220における基板Gの搬送形態としても、複数の基板Gのそれぞれを第1露光装置3aおよび第2露光装置3bの双方に順次に搬送して2回の露光処理を行う二重露光処理モードと、複数の基板Gを第1露光装置3aまたは第2露光装置3bのいずれかに搬送して1回の露光処理を行う単一露光処理モードと、が用意されている。そして、上記と同様に、制御部90が二重露光処理モードまたは単一露光処理モードのいずれかを選択する。
【0110】
図9は、図8のインターフェース部220において基板Gを第1露光装置3aおよび第2露光装置3bの双方に搬送する搬送経路(つまり、二重露光処理モードが選択されたときの搬送経路)を示す図である。以下に説明する基板Gの搬送も、制御部90がインターフェース部220の複数の搬送ロボットを制御することによって実現される。
【0111】
前処理部11のプリベーク部114にて加熱されて昇温していた基板Gは最初にクーリングプレート51に搬入されて冷却される。第1搬送ロボット31は、クーリングプレート51から冷却された基板Gを取り出してバッファ53に搬入する。そして、第1搬送ロボット31は、バッファ53から基板Gを搬出し、その基板Gを第1温調器55に搬入する。上記と同じく、二重露光処理モードでは、バッファ53は、第1露光装置3aおよび第2露光装置3bの処理時間のゆらぎを吸収する役割を担う。また、上記と同じく、第1温調器55が空いている状況であれば、第1搬送ロボット31は、クーリングプレート51から取り出した基板Gを直接第1温調器55に搬入するようにしても良い。
【0112】
第1温調器55は、露光処理直前の基板Gを所定温度に正確に温調する。第1温調器55は、基板Gの温調を行いつつ、必要に応じて基板Gの向きを水平面内で回動させるようにしても良い。温調された基板Gは、第2搬送ロボット32によって第1温調器55から搬出されて第1露光装置3aに搬入される。このときに、第2搬送ロボット32は、先行する露光済みの基板Gを第1露光装置3aから搬出するとともに、未露光の基板Gを第1露光装置3aに搬入して基板交換を行う。
【0113】
第1露光装置3aは、基板Gに対して露光処理を行ってレジスト膜にパターンを転写する。露光処理後の基板Gは、第2搬送ロボット32によって第1露光装置3aから搬出されて第1パス37に搬入される。続いて、第4搬送ロボット34が第1パス37から基板Gを搬出して第2温調器56に搬入する。
【0114】
第2温調器56は、2回目の露光処理直前の基板Gを所定温度に正確に温調する。第2温調器56は、基板Gの温調を行いつつ、必要に応じて基板Gの向きを水平面内で回動させるようにしても良い。温調された基板Gは、第5搬送ロボット35によって第2温調器56から搬出されて第2露光装置3bに搬入される。このときに、第5搬送ロボット35は、先行する露光済みの基板Gを第2露光装置3bから搬出するとともに、未露光の基板Gを第2露光装置3bに搬入して基板交換を行う。
【0115】
第2露光装置3bは、第1露光装置3aとは異なるマスクを使用して基板Gに対して露光処理を行ってレジスト膜にパターンを転写する。露光処理後の基板Gは、第5搬送ロボット35によって第2露光装置3bから搬出されてアウトパス57に搬入される。そして、第3搬送ロボット33がアウトパス57から基板Gを搬出してエッジ露光機52に搬入する。エッジ露光機52は、基板Gの周縁部に露光処理を行う。その後、基板Gは後処理部12の現像部121に搬出される。
【0116】
以上のように、第2のインターフェース部220においても、二重露光処理モードが選択されたときには、全ての基板Gが同一の搬送経路および手順に従って搬送される。そして、二重露光処理モードでは、レジスト膜が成膜された複数の基板Gのそれぞれが第1露光装置3aおよび第2露光装置3bの双方に順次に搬送されて2回の露光処理に供されることとなる。
【0117】
次に、制御部90によって単一露光処理モードが選択されたときの基板Gの搬送について説明する。第2のインターフェース部220においても、複数の基板Gを第1露光装置3aまたは第2露光装置3bのいずれか一方のみに搬送する単一露光処理モードでは、基板Gを第1露光装置3aに搬送する経路と第2露光装置3bに搬送する経路とが異なる。そこで、まずは基板Gを第1露光装置3aに搬送する経路について説明する。図10は、図8のインターフェース部220において基板Gを第1露光装置3aのみに搬送する搬送経路を示す図である。二重露光処理モードと同様に、単一露光処理モードの基板Gの搬送も、制御部90がインターフェース部220の搬送機構を制御することによって実現される。
【0118】
前処理部11のプリベーク部114にて加熱されて昇温していた基板Gは最初にクーリングプレート51に搬入されて冷却される。第1搬送ロボット31は、クーリングプレート51から冷却された基板Gを取り出してバッファ53に搬入する。そして、第1搬送ロボット31は、バッファ53から基板Gを搬出し、その基板Gを第1温調器55に搬入する。なお、上述と同様に、第1温調器55が空いている状況であれば、第1搬送ロボット31は、クーリングプレート51から取り出した基板Gを直接第1温調器55に搬入するようにしても良い。
【0119】
単一露光処理モードでも、バッファ53は、第1露光装置3aおよび第2露光装置3bの処理時間のゆらぎを吸収する役割を担う。すなわち、第1露光装置3aおよび第2露光装置3bの処理時間が長くなったときに、前処理部11での処理が停滞するのを防ぐために、バッファ53はレジスト膜が成膜された基板Gを一時的に貯留する。
【0120】
第1温調器55は、露光処理直前の基板Gを所定温度に正確に温調する。温調された基板Gは、第2搬送ロボット32によって第1温調器55から搬出されて第1露光装置3aに搬入される。
【0121】
第1露光装置3aは、基板Gに対して露光処理を行ってレジスト膜にパターンを転写する。露光処理後の基板Gは、第2搬送ロボット32によって第1露光装置3aから搬出されて第1パス37に搬入される。続いて、第4搬送ロボット34が第1パス37から基板Gを搬出して第2パス38に搬入する。さらに続いて、第5搬送ロボット35が第2パス38から基板Gを搬出してアウトパス57に搬入する。そして、第3搬送ロボット33がアウトパス57から基板Gを搬出してエッジ露光機52に搬入する。エッジ露光機52は、基板Gの周縁部に露光処理を行う。その後、基板Gは後処理部12の現像部121に搬出される。
【0122】
次に、基板Gを第2露光装置3bに搬送する経路について説明する。図11は、図8のインターフェース部220において基板Gを第2露光装置3bのみに搬送する搬送経路を示す図である。
【0123】
前処理部11のプリベーク部114にて加熱されて昇温していた基板Gは最初にクーリングプレート51に搬入されて冷却される。第1搬送ロボット31は、クーリングプレート51から冷却された基板Gを取り出してバッファ53に搬入する。そして、第1搬送ロボット31は、バッファ53から基板Gを搬出し、その基板Gを第2温調器56に搬入する。上記と同様に、第2温調器56が空いている状況であれば、第1搬送ロボット31は、クーリングプレート51から取り出した基板Gを直接第2温調器56に搬入するようにしても良い。
【0124】
第2温調器56は、露光処理直前の基板Gを所定温度に正確に温調する。温調された基板Gは、第5搬送ロボット35によって第2温調器56から搬出されて第2露光装置3bに搬入される。
【0125】
第2露光装置3bは、基板Gに対して露光処理を行ってレジスト膜にパターンを転写する。露光処理後の基板Gは、第5搬送ロボット35によって第2露光装置3bから搬出されてアウトパス57に搬入される。そして、第3搬送ロボット33がアウトパス57から基板Gを搬出してエッジ露光機52に搬入する。エッジ露光機52は、基板Gの周縁部に露光処理を行う。その後、基板Gは後処理部12の現像部121に搬出される。
【0126】
以上のように、第2のインターフェース部220においても、単一露光処理モードが選択されたときには、基板Gを第1露光装置3aに搬送する搬送経路(図10)と第2露光装置3bに搬送する搬送経路(図11)とが異なる。単一露光処理モードでは、レジスト膜が成膜された複数の基板Gのそれぞれが第1露光装置3aまたは第2露光装置3bのいずれか一方に搬送されて1回の露光処理に供されることとなる。
【0127】
<1-7.搬送制御>
第1のインターフェース部20および第2のインターフェース部220のいずれにおいても、前処理部11にてレジスト液が塗布されてレジスト膜が成膜された基板Gを露光装置3に搬送するとともに、露光処理後の基板Gを露光装置3から後処理部12に搬送している。以下、第1のインターフェース部20または第2のインターフェース部220において、露光処理前の基板Gを前処理部11から露光装置3に搬送することを「往路搬送」と称し、露光処理後の基板Gを露光装置3から後処理部12に搬送することを「復路搬送」と称する。なお、二重露光処理モードにおいて、第1露光装置3aから第2露光装置3bに向かう基板Gの搬送は往路搬送および復路搬送のいずれにも該当する。
【0128】
インターフェース部20,220では、上述したような予め定められた搬送シーケンスによって順次に基板Gが搬送されるのであるが、露光装置3の処理時間が一定ではなく変動することに起因して往路搬送と復路搬送との搬送競合が生じることがある。搬送競合とは、1つの搬送ロボットに対して往路搬送のタスクと復路搬送のタスクとが重複して生じることである。搬送競合は、特に二重露光処理モードが実行されているインターフェース部20の第3搬送ロボット33および第4搬送ロボット34、並びに、インターフェース部220の第5搬送ロボット35に生じやすい。
【0129】
図12は、搬送競合の一例を説明するための模式図である。第1のインターフェース部20においては、第2露光装置3bに向けて往路搬送されている基板Gは、第2パス38から第4搬送ロボット34によって受け取られて第2温調器56に搬入される。第2パス38は、往路搬送の搬送方向に沿って第4搬送ロボット34の上流側に位置する上流モジュール(第1モジュール)である。一方、第2露光装置3bから後処理部12に向けて復路搬送されている基板Gは、第3パス39から第4搬送ロボット34によって受け取られて第2アウトパス59に搬入される。第3パス39は、復路搬送の搬送方向に沿って第4搬送ロボット34の上流側に位置する上流モジュール(第2モジュール)である。そして、第4搬送ロボット34は、往路搬送および復路搬送の双方を実行する双方向搬送ロボットである。
【0130】
第4搬送ロボット34に対して、第2パス38から第2温調器56に基板Gを搬送する往路搬送のタスクが生じているときに、第3パス39から第2アウトパス59に基板Gを搬送する復路搬送のタスクも発生すると、第4搬送ロボット34はいずれか一方の搬送については実行することができない。逆に、復路搬送のタスクが生じているときに往路搬送のタスクが発生したときにも、同様に第4搬送ロボット34はいずれにか一方の搬送を実行することができない。このような状態が搬送競合である。
【0131】
いずれかのモジュールと搬送ロボットとの間で基板Gの受け渡しを行う際には、それらモジュールと搬送ロボットとの間でハンドシェイク信号の送受信を繰り返し行うことによって基板受け渡しを実行する。図13は、第2パス38から第4搬送ロボット34が基板Gを搬出する際の第2パス38と第4搬送ロボット34との間のハンドシェイク信号の送受信を示すタイミングチャートである。第2パス38から第4搬送ロボット34が基板Gを搬出するのは往路搬送の一工程である。なお、ハンドシェイク信号の送受信は、制御部90による搬送制御における制御単位としてのあるモジュールと搬送ロボットとの間で行うものである。
【0132】
まず、第2パス38から第4搬送ロボット34に払出予告信号が送信される(ステップS1)。払出予告信号は、直ちに基板搬出を要求するものではないが、送信先の搬送ロボットに基板搬出を事前予告する信号である。すなわち、いかなる予告も無く突然に基板搬出を要求されたとしても、搬送ロボットが対応できないこともあるため、予め基板搬出を予告しているのである。払出予告信号を送信する時点では、第2パス38に搬出対象となる基板Gが存在していなくても良い。また、第2パス38は、何らかのプロセス処理を行うモジュールではなく、基板受渡のための載置台であるため、第2パス38に基板Gが到達してから払出予告信号を発信していたのでは事前予告としては遅い。このため、第2パス38は、往路搬送の搬送方向に沿って第2パス38よりも1つ上流側の第3搬送ロボット33から受け取った払出予告信号を第4搬送ロボット34に伝搬するようにしている。
【0133】
払出予告信号を受信した第4搬送ロボット34は、搬出準備動作を開始する(ステップS2)。具体的には、第4搬送ロボット34は、仕掛かり中の動作を完了させてハンドを第2パス38に対向させる動作を実行する。
【0134】
また、第3搬送ロボット33によって基板Gが第2パス38に搬入される(ステップS3)。第2パス38に基板Gが搬入されることによって、第2パス38に搬出対象となる基板Gが存在することとなり、第2パス38からの基板搬出が可能となる。
【0135】
第2パス38に基板Gが搬入された後、第2パス38から第4搬送ロボット34に払出要求信号が送信される(ステップS4)。払出要求信号は、送信先の搬送ロボットに基板搬出を要求する信号である。
【0136】
払出要求信号を受信した第4搬送ロボット34は、第2パス38から基板Gを搬出する(ステップS5)。続いて、基板Gが搬出されることによって空き状態となった第2パス38は払出完了信号を第4搬送ロボット34に送信する(ステップS6)。次いで、基板Gを受け取った第4搬送ロボット34は第2パス38に受取完了信号を送信する(ステップS7)。その後、第4搬送ロボット34は基板Gを第2温調器56に搬入する。なお、第3パス39から第4搬送ロボット34が基板Gを搬出する際にも第3パス39と第4搬送ロボット34との間で同様のハンドシェイク信号の送受信が行われる。第3パス39から第4搬送ロボット34が基板Gを搬出するのは復路搬送の一工程である。
【0137】
第1実施形態においては、往路搬送と復路搬送との搬送競合が生じたときに、制御部90は、復路搬送よりも往路搬送を優先して実行するように複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールを制御する。具体的には、制御部90は、第4搬送ロボット34が第3パス39から払出予告信号を受信した後であって第3パス39から基板Gを受け取る前に第2パス38から払出予告信号を受信したときには、第2パス38からの基板搬出を優先して実行するように第4搬送ロボット34を制御する。
【0138】
図14は、搬送競合が生じたときの搬送シーケンスの一例を示すタイミングチャートである。図14の例では、まず先に第3パス39から第4搬送ロボット34に払出予告信号が送信される。その後、第2パス38から第4搬送ロボット34に払出予告信号が送信される。すなわち、第4搬送ロボット34は、第3パス39からの払出予告信号を受信した後に、第2パス38からの払出予告信号を受信するのである。
【0139】
次に、第2パス38から第4搬送ロボット34に払出予告信号が送信された後に、第3パス39から第4搬送ロボット34に払出要求信号が送信される。第4搬送ロボット34が第3パス39から基板Gの搬出動作を行うのは、第3パス39から払出要求信号を受信した後である。すなわち、図14の例では、第4搬送ロボット34が第2パス38からの払出予告信号を受信した時点では、未だ第4搬送ロボット34は第3パス39から基板Gを受け取る動作を開始していないのである。
【0140】
このように、第4搬送ロボット34が第3パス39から払出予告信号を受信した後であって第3パス39から基板Gを受け取る前に第2パス38から払出予告信号を受信したときには、第4搬送ロボット34は第3パス39からの基板搬出よりも第2パス38からの基板搬出を優先して実行する。具体的には、第4搬送ロボット34は第3パス39から払出要求信号を受信した後にも第3パス39からの基板搬出を行わず、第2パス38からの払出要求信号を受信したことをトリガーとして第2パス38からの基板搬出を先行して実行するのである。
【0141】
典型的なイベントドリブン方式の搬送制御であれば、図14の例のように、第2パス38からの払出予告信号よりも前に第3パス39からの払出予告信号を受信したときには、第4搬送ロボット34は受信した順番に従って先に第3パス39からの基板搬出を実行する。そうすると、第2パス38から払出要求信号が送信された後も、第4搬送ロボット34が第3パス39から第2アウトパス59に基板Gを搬送する動作を完了するまでは、第4搬送ロボット34は第2パス38から基板Gを搬出することはできない。その結果、往路搬送されている基板Gが第2パス38にて待機することとなり、その基板Gが第2露光装置3bに到達するタイミングが遅延して第2露光装置3bが待機状態となることがある。このような状態に至ると、インターフェース部20全体としての基板Gの搬送効率が低下することとなる。
【0142】
このため、第1実施形態においては、第3パス39からの払出予告信号よりも後に第2パス38からの払出予告信号を受信したにも関わらず、第4搬送ロボット34は往路搬送の一工程である第2パス38からの基板Gの搬出を第3パス39からの基板搬出よりも優先して実行するのである。これにより、往路搬送されている基板Gは円滑に搬送されて第2パス38にて待機することはなく、第2露光装置3bが待機状態なることが防止される。その結果、インターフェース部20の全体における基板Gの搬送効率の低下を抑制することができる。なお、往路搬送を優先した結果として、復路搬送されている基板Gが第3パス39で待機することになる。しかし、既に第2露光装置3bでの露光処理が完了して復路搬送されている基板Gが第3パス39で待機したとしても、露光装置3での処理に影響を与えるおそれはない。よって、往路搬送されている基板Gを待機させる場合に比較して復路搬送されている基板Gを多少待機させたとしても搬送効率の低下の程度は小さい。
【0143】
もっとも、上述のようにして往路搬送を優先させ続けると、復路搬送されている基板Gが長時間にわたって待機し続けるおそれがある。復路搬送されている基板Gが例えば第3パス39に長時間待機すると、復路搬送の搬送経路が目詰まりした状態となり、第2露光装置3bにて露光処理が終了した基板Gを第5搬送ロボット35が搬出できなくなる。
【0144】
このため、第1実施形態においては、優先した実行した往路搬送の次には復路搬送を実行するように制御部90が搬送ロボットを制御している。具体的には、図14に示すように、第4搬送ロボット34が優先して実行した第2パス38から次工程のモジュールである第2温調器56への基板搬送が完了したときに、既に第3パス39からの払出要求信号が発信されているときには、第3パス39からの基板Gの搬出を実行するように制御部90が第4搬送ロボット34を制御する。このようにすれば、復路搬送されている基板Gが過度に長時間にわたって待機させられることはなくなり、復路搬送の搬送経路が目詰まり状態となるのを防止することができる。
【0145】
図15は、搬送競合が生じたときの搬送シーケンスの他の例を示すタイミングチャートである。図15の例においても、まず先に第3パス39から第4搬送ロボット34に払出予告信号が送信される。その後、第2パス38から第4搬送ロボット34に払出予告信号が送信される。すなわち、図14の例と同じく、第4搬送ロボット34は、第3パス39からの払出予告信号を受信した後に、第2パス38からの払出予告信号を受信するのである。
【0146】
但し、図15の例においては、第3パス39から第4搬送ロボット34に払出要求信号が送信された後に、第2パス38から第4搬送ロボット34に払出予告信号が送信されている。従って、図15の例では、第4搬送ロボット34が第2パス38からの払出予告信号を受信した時点では、既に第4搬送ロボット34は第3パス39から基板Gを受け取る動作を開始しているのである。この場合は、第4搬送ロボット34は、第3パス39からの基板搬出を中断して第2パス38からの基板搬出を優先して実行することはない。そして、第4搬送ロボット34が第3パス39から基板Gを受け取る動作を開始した直後に第2パス38からの払出予告信号を受信する状況が往路搬送される基板Gが待機状態となる懸念の最も高いケースである。
【0147】
このため、第1実施形態においては、第4搬送ロボット34の動作に要する時間を考慮して第2パス38が払出予告信号を払出要求信号よりも前に早出ししている。具体的には、第4搬送ロボット34が第3パス39から次工程のモジュールである第2アウトパス59に基板Gを搬送するのに要する時間とその後に第2パス38からの基板搬出の準備動作に要する時間とを加算した時間だけ払出予告信号が払出要求信号よりも前に第2パス38から発信されるようにしている。このようにすれば、第4搬送ロボット34が第3パス39から基板Gを受け取る動作を開始した直後に第2パス38から払出予告信号が発信されたとしても、第2パス38が払出要求信号を発信する時点では第4搬送ロボット34は第3パス39から第2アウトパス59への基板Gの搬送を完了して第2パス38から基板Gを搬出する準備も完了している。従って、第4搬送ロボット34は第2パス38からの払出要求信号を受信してから遅滞なく第2パス38から基板Gを搬出する動作を開始することができ、往路搬送される基板Gが第2パス38にて待機する状況は回避することができる。なお、復路側の第3パス39は予め定められた時間分(例えば、第4搬送ロボット34が第3パス39に向くのに必要な5秒程度)だけ払出要求信号よりも前に払出予告信号を発信すれば良い。
【0148】
第1実施形態においては、往路搬送と復路搬送との搬送競合が生じたときに、復路搬送よりも往路搬送を優先して実行している。上記の例では、第4搬送ロボット34が第3パス39からの払出予告信号を受信した後であって第3パス39から基板Gを受け取る前に第2パス38から払出予告信号を受信したときには、第4搬送ロボット34は第2パス38からの基板搬出を優先して実行している。これにより、往路搬送されている基板Gは円滑に搬送されて待機することはなく、露光装置3が待機状態になった結果としての基板Gの搬送効率の低下を抑制することができる。
【0149】
以上は、主にインターフェース部20の第4搬送ロボット34を例示した説明であったが、インターフェース部20およびインターフェース部220の他の搬送ロボットについても同様の搬送制御を行うことにより、基板Gの搬送効率の低下を抑制することができる。特に、搬送競合が生じやすいインターフェース部20の第3搬送ロボット33またはインターフェース部220の第5搬送ロボット35に対して上記と同様の搬送制御を行えば、より搬送効率の低下を抑制することができる。
【0150】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の基板処理装置1およびインターフェース部20,220の構成は第1実施形態と同じである。また、第2実施形態の基板処理装置1およびインターフェース部20,220における1枚の基板Gに対する処理の手順も第1実施形態と同じである。
【0151】
図3に示すインターフェース部20のレイアウトにおいては、第2温調器56を挟んで第4搬送ロボット34と第5搬送ロボット35とが配置されていると言える。往路搬送の搬送方向に沿って、第2温調器56の上流側に配置された第4搬送ロボット34が上流搬送ロボットであり、第2温調器56の下流側に配置された第5搬送ロボット35が下流搬送ロボットである。
【0152】
インターフェース部20に設けられた複数のモジュールのなかでも、温調処理を行う第1温調器55および第2温調器56は処理時間が比較的長く、設定されたタクトタイムをほぼいっぱいに使って基板Gを温調する。このため、搬送効率を維持するためには、第5搬送ロボット35が第2温調器56から基板Gを搬出したら直ちに第4搬送ロボット34が第2温調器56に次の基板Gを搬入する必要がある。このためには、第2温調器56から第4搬送ロボット34に受取可能信号を送信してから第4搬送ロボット34が基板Gを第2パス38から第2温調器56に搬送する動作を開始していたのでは遅い。そこで、第2温調器56は受取可能信号を送信する前に予め基板搬入を予告するための受取予告信号を第4搬送ロボット34に送信している。第2温調器56は、基板Gの温調処理が完了する時点よりも予め設定された所定時間前の時点で受取予告信号を第4搬送ロボット34に送信する。なお、受取予告信号および受取可能信号は第1実施形態の払出予告信号および払出要求信号と類似のものである。払出予告信号および払出要求信号が上流側のモジュールから発信されるものであるに対して、受取予告信号および受取可能信号は下流側のモジュールから発信されるものである。
【0153】
既述したように、第2露光装置3bの処理時間は一定ではなく長時間化することがある。第2露光装置3bの処理時間が長引くと、第5搬送ロボット35が第2露光装置3bに対して基板交換を行うことができない。そうすると、往路搬送の搬送経路が目詰まりした状態となり、温調処理が終了した後も第5搬送ロボット35が第2温調器56から温調済みの基板Gを搬出することができない。その結果、第4搬送ロボット34は新たな基板Gを第2温調器56に搬入することができなくなる。
【0154】
第2温調器56から受取予告信号を受信した第4搬送ロボット34が新たな基板Gを第2温調器56に搬入する準備を終えたとしても、第2温調器56に基板Gが待機していると第4搬送ロボット34は新たな基板Gを第2温調器56に搬入できない。この場合、第4搬送ロボット34も搬入予定の基板Gを保持したまま待機することになる。そうすると、第4搬送ロボット34は往路搬送だけでなく復路搬送も行うことができなくなり、インターフェース部20における基板搬送がデッドロック状態となる。
【0155】
このため、第2実施形態においては、第2温調器56は、温調処理の完了よりも所定時間前の時点以降であって、かつ、第5搬送ロボット35が第2露光装置3bに対して基板交換を開始した時点以降に第4搬送ロボット34に受取予告信号を送信するようにしている。第5搬送ロボット35は、第2露光装置3bに対して基板交換を開始した時点で受取予告信号を発信する。よって、より具体的には、第2温調器56は、温調完了の予定時刻よりも所定時間前の時点を経過し、かつ、第5搬送ロボット35による受取予告信号の発信を検知すると第4搬送ロボット34に受取予告信号を送信する。
【0156】
このようにすれば、第5搬送ロボット35が第2温調器56から温調済みの基板Gを受け取るためのハンドが空くことが確定してから第2温調器56が受取予告信号を発信することになる。これにより、受取予告信号を受信した第4搬送ロボット34が新たな基板Gを第2温調器56に搬入する準備を完了したときには、第5搬送ロボット35によって第2温調器56から温調済みの基板Gが搬出されて第2温調器56は空き状態となっている。その結果、第4搬送ロボット34は確実に新たな基板Gを第2温調器56に搬入することができ、搬入予定の基板Gを保持したまま待機することは防がれ、搬送効率の低下を抑制することができる。
【0157】
また、第4搬送ロボット34が基板Gを保持したまま待機することを確実に防止するために、第2アウトパス59は、5段の載置台のいずれにも空きがないときには、第4搬送ロボット34に対して受取予告信号および受取可能信号のいずれも送信しない。さらに、第3搬送ロボット33が基板Gを保持したまま待機することを防止するために、第3搬送ロボット33が第2アウトパス59に対向して基板Gを取り出してからエッジ露光機52に対向する動作に要する時間だけ受取予告信号が受取可能信号よりも前にエッジ露光機52から発信されるようにしている。
【0158】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態の基板処理装置1およびインターフェース部20,220の構成は第1実施形態と同じである。また、第3実施形態の基板処理装置1およびインターフェース部20,220における1枚の基板Gに対する処理の手順も第1実施形態と同じである。
【0159】
既述したように、露光装置3の処理時間にはバラツキがあり、特にロットの先頭基板については処理時間が長引く傾向がある。また、ロットの中程の基板についても条件によって露光装置3の処理時間に数秒程度のバラツキが生じることがある。二重露光処理モードにて、第1露光装置3aにて処理時間に変動が生じた場合には、第1露光装置3aから第2露光装置3bに至る往路搬送および第2露光装置3bからエッジ露光機52に至る復路搬送の全てに影響与えて搬送競合が発生しやすくなる。
【0160】
また、インターフェース部20,220よりも上流の処理部、例えば減圧乾燥部113の処理時間のバラツキもインターフェース部20,220における往路搬送および復路搬送に影響与えて搬送競合の原因となることがある。減圧乾燥部113では、減圧するのに要する時間によって処理時間が±2秒程度変動することがある。
【0161】
一方、インターフェース部20,220に設けられた複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールのそれぞれにもタクトタイムが設定されている。モジュールについてのタクトタイムは、1枚の基板Gに関わるのに必要とされる時間である。また、搬送ロボットについてのタクトタイムは、搬送ロボットが1サイクルの動作を行うのに要する時間である。各搬送ロボットおよび各モジュールは、タクトタイムを満たしつつ基板搬送および処理を行うように制御される。
【0162】
第3実施形態においては、制御部90が、複数の搬送ロボットのうちの双方向搬送ロボットが一連の動作を行うタクトタイムを2等分した一方が往路搬送のための往路搬送時間となり、残る他方が復路搬送のための復路搬送時間となるように当該双方向搬送ロボットを制御している。具体的には、例えばインターフェース部20の第3搬送ロボット33が一連の動作を行うタクトタイムを2等分し、その一方を往路搬送のために使用する往路搬送時間とし、残る他方を復路搬送のために使用する復路搬送時間としている。
【0163】
図16は、第3搬送ロボット33の動作時間割を示す図である。図16に示すのは、インターフェース部20において、第1露光装置3aおよび第2露光装置3bの双方にて露光処理を行う場合、または、第2露光装置3bのみにて露光処理を行う場合の第3搬送ロボット33の動作時間割である。
【0164】
第3搬送ロボット33に設定されているタクトタイムは例えば40秒である。そのタクトタイムを2等分した前半の20秒(図16の右半分)を往路搬送のための往路搬送時間に割り当てている。一方、タクトタイムを2等分した後半の20秒(図16の左半分)を復路搬送のための復路搬送時間に割り当てている。
【0165】
第3搬送ロボット33は、タクトタイムの前半の20秒が割り当てられた往路搬送時間の間に往路搬送に関する一連の動作を行う。すなわち、第3搬送ロボット33は、前半の20秒の間に、第1パス37に向く動作、第1パス37から基板Gを搬出する動作、第2パス38に向く動作、および、第2パス38に基板Gを搬入する動作を実行する。これらの全ての動作に要する時間を合計しても20秒未満であり、図16に示すように、タクトタイムの前半の往路搬送時間には数秒程度の余裕時間が生じる。
【0166】
また、第3搬送ロボット33は、タクトタイムの後半の20秒が割り当てられた復路搬送時間の間に復路搬送に関する一連の動作を行う。すなわち、第3搬送ロボット33は、後半の20秒の間に、第2アウトパス59に向く動作、第2アウトパス59から基板Gを搬出する動作、エッジ露光機52に向く動作、および、エッジ露光機52に基板Gを搬入する動作を実行する。往路搬送時間と同じく、復路搬送に関する全ての動作に要する時間を合計しても20秒未満であり、図16に示すように、タクトタイムの後半の復路搬送時間にも数秒程度の余裕時間が生じる。
【0167】
このように第3実施形態においては、第3搬送ロボット33に設定されているタクトタイムを2分割した往路搬送時間および復路搬送時間のそれぞれに余裕時間を設けている。これにより、第1露光装置3aの処理時間に変動が生じた場合、或いはそれよりも上流側の減圧乾燥部113の処理時間に変動が生じた場合であっても、その変動を往路搬送時間および復路搬送時間のそれぞれに設けた余裕時間によって吸収することができる。すなわち、往路搬送時間および復路搬送時間に設けた余裕時間をマージン時間として活用して上流側の処理時間の変動を吸収するのである。例えば、第1露光装置3aの処理時間が長引いて基板Gが第1パス37に到達するのが予定より2秒程度遅延したとしても、その遅延時間をタクトタイムの往路搬送時間に設けた余裕時間によって吸収することができる。その結果、搬送経路に沿って第3搬送ロボット33よりも下流では、各搬送ロボットおよび各モジュールに周期的に基板Gを送ることができ、搬送が整流されて搬送競合は防がれ、基板Gの搬送効率の低下を抑制することができる。
【0168】
ところが、上流側の第1露光装置3aまたは減圧乾燥部113の処理時間が著しく長引いた場合には、それによる遅延時間を上記の余裕時間だけでは吸収できないことがある。このため第3実施形態においては、ロットの先頭基板を第1パス37に所定時間(例えば、10秒程度)待機させた後に第3搬送ロボット33が第1パス37から当該先頭基板を搬出するように制御部90が第3搬送ロボット33を制御している。第1パス37は、往路搬送の搬送方向に沿って第3搬送ロボット33の上流側に位置する上流モジュールである。ロットの先頭基板を第1パス37に所定時間待機させることにより、上流側の第1露光装置3aまたは減圧乾燥部113の処理時間に大きな変動が生じた場合であっても、その変動を吸収して第3搬送ロボット33よりも下流の搬送を整流することができる。例えば、第1露光装置3aの処理時間が著しく長引いて基板Gが第1パス37に到達するのが予定より10秒程度遅延したとしても、ロットの先頭基板が第1パス37に10秒程度待機していたため、第3搬送ロボット33よりも下流では搬送の遅延は解消されることとなる。
【0169】
以上は、主にインターフェース部20の第3搬送ロボット33を例示した説明であったが、インターフェース部20およびインターフェース部220の他の双方向搬送ロボットについても同様の搬送制御を行うことにより、基板Gの搬送効率の低下を抑制することができる。なお、第3実施形態では、往路搬送時間および復路搬送時間のそれぞれに余裕時間を設けているため、イベントドリブン方式よりもスループット自体は低下する可能性がある。
【0170】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態の基板処理装置1およびインターフェース部20,220の構成は第1実施形態と同じである。また、第4実施形態の基板処理装置1およびインターフェース部20,220における1枚の基板Gに対する処理の手順も第1実施形態と同じである。
【0171】
第4実施形態においては、第1搬送ロボット31の動作に要する時間を考慮してクーリングプレート51が払出予告信号を払出要求信号よりも前に早出しする。具体的には、第1搬送ロボット31がバッファ53から第1温調器55に基板Gを搬送するのに要する時間とその後にクーリングプレート51からの基板搬出の準備動作に要する時間とを加算した時間だけ払出予告信号が払出要求信号よりも前にクーリングプレート51から発信される。第1搬送ロボット31がバッファ53から第1温調器55に基板Gを搬送するのに要する時間は、第1搬送ロボット31がバッファ53から基板Gを搬出する動作、第1温調器55に向く動作、および、第1温調器55に基板Gを搬入する動作のそれぞれに要する時間の合計である。また、第1搬送ロボット31がクーリングプレート51からの基板搬出の準備動作に要する時間は、第1搬送ロボット31がクーリングプレート51に向いてハンドをクーリングプレート51に対向させるのに要する時間である。
【0172】
このようにすれば、第1搬送ロボット31がバッファ53から基板Gを搬出する動作を開始した直後にクーリングプレート51から払出予告信号が発信されたとしても、クーリングプレート51が払出要求信号を発信する時点では第1搬送ロボット31はバッファ53から第1温調器55への基板Gの搬送を完了してクーリングプレート51から基板Gを搬出する準備も完了している。従って、第1搬送ロボット31は、クーリングプレート51からの払出要求信号を受信してから遅滞なくクーリングプレート51から基板Gを搬出する動作を開始することができる。これにより、クーリングプレート51に基板Gが待機する状況を回避することができる。
【0173】
以上のようにすると、クーリングプレート51からの払出予告信号が払出要求信号よりも例えば20秒以上前に発信されることがある。この場合、払出予告信号が過度に早く払出要求信号よりも前に発信されているとも言える。このため、第4実施形態においては、クーリングプレート51の上流側のプリベーク部114における動作余裕時間を考慮して払出予告信号の早出しの程度を緩和する。具体的には、上記のようにして導出された払出予告信号の発信予定時刻よりも、プリベーク部114における動作余裕時間の2分の1だけ遅らせて払出予告信号を発信する。
【0174】
加熱処理を行うプリベーク部114も基板Gを搬送するためのロボットを備えており、当該ロボットにもタクトタイムが設定され、当該ロボットはタクトタイムを満たしつつ搬送動作を行う。そして、プリベーク部114のロボットに設定されたタクトタイムにも動作余裕時間を設けている。従って、その動作余裕時間の範囲内であれば、クーリングプレート51にて基板Gが待機したとしても、プリベーク部114のロボットはタクトタイムを守りつつ動作を行うことができる。そこで、クーリングプレート51は、プリベーク部114のロボットの動作余裕時間の2分の1だけ遅延させて払出予告信号を発信する。これにより、クーリングプレート51に基板Gが短時間待機することはあり得るものの、プリベーク部114のロボットはタクトタイムを守りつつ動作を行うことができ、かつ、払出予告信号の過度の早出しを緩和することができる。なお、遅延時間をプリベーク部114のロボットの動作余裕時間の2分の1としているのは、クーリングプレート51よりも上流側(例えば、減圧乾燥部113)における処理時間のバラツキを考慮したためである。
【0175】
また、第4実施形態においては、第1搬送ロボット31がバッファ53から基板Gを取り出す前にクーリングプレート51から払出予告信号を受信したときには、クーリングプレート51からの基板Gの搬出を優先して実行するようにしている。これによっても、クーリングプレート51に基板Gが待機する状況を回避することができる。
【0176】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、インターフェース部における搬送機構およびモジュールのレイアウトは図3および図8に示した例に限定されるものではない。インターフェース部には、複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールが配置されていれば良い。それら複数のモジュールには、基板Gを第1露光装置3aまたは第2露光装置3bのいずれに搬送するかを振り分けるバッファが含まれていることが好ましい。また、省スペースのため、複数のモジュールの一部が積層配置されているのが好ましい。インターフェース部のレイアウトは、第1露光装置3aおよび第2露光装置3bの設置位置に応じて適宜に変更すれば良い。
【0177】
また、前処理部11および後処理部12の構成も図1の例に限定されるものではない。例えば、冷却部123とインデクサ装置2との間に、検査部等が配置されていても良い。検査部は、例えば、カメラ等の光学的な部材を用いて基板Gの検査を行うユニットである。また、例えば、洗浄部111と塗布部112との間に、デハイドベーク部が配置されていても良い。デハイドベーク部は、洗浄後の基板Gを加熱して水分を除去するユニットである。或いは、ポストベーク部122および冷却部123が省略されてもよい。
【0178】
また、処理対象の基板Gとして、ガラス基板とは異なる、半導体ウェハー、カラーフィルタ用基板、記録ディスク用基板または太陽電池用基板等の他の精密電子装置用の基板が採用されてもよい。
【0179】
さらに、上記各実施形態において、基板処理装置1に、インデクサ装置2が含まれていてもよいし、第1露光装置3aおよび第2露光装置3bが含まれていても良い。
【符号の説明】
【0180】
1 基板処理装置
2 インデクサ装置
3a 第1露光装置
3b 第2露光装置
11 前処理部
12 後処理部
20,220 インターフェース部
31 第1搬送ロボット
32 第2搬送ロボット
33 第3搬送ロボット
34 第4搬送ロボット
35 第5搬送ロボット
37 第1パス
38 第2パス
39 第3パス
51 クーリングプレート
52 エッジ露光機
53 バッファ
55 第1温調器
56 第2温調器
57 アウトパス57
58 第1アウトパス
59 第2アウトパス
90 制御部
111 洗浄部
112 塗布部
113 減圧乾燥部
114 プリベーク部
121 現像部
122 ポストベーク部
123 冷却部
G 基板
【要約】
【課題】搬送効率の低下を抑制することができる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板に露光処理の前工程の処理を行う前処理部および後工程の処理を行う後処理部と露光装置とを接続するインターフェース部には、複数の搬送ロボットおよび複数のモジュールが配置されている。インターフェース部においては、基板を前処理部から露光装置へと搬送する往路搬送と、露光装置から後処理部へと搬送する復路搬送が実行される。往路搬送と復路搬送との搬送競合が生じたときには、復路搬送よりも往路搬送を優先して実行する。具体的には、復路搬送側の払出予告信号より往路搬送側の払出予告信号が後に発信された場合であっても、往路搬送側の基板搬送を先に実行する。露光装置が待機状態になることが防がれ、基板の搬送効率の低下を抑制することができる。
【選択図】図14
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16