(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】締固め工法での周辺地盤状態の確認方法
(51)【国際特許分類】
E02D 1/08 20060101AFI20240826BHJP
E02D 3/10 20060101ALI20240826BHJP
G06T 7/136 20170101ALI20240826BHJP
【FI】
E02D1/08
E02D3/10 104
G06T7/136
(21)【出願番号】P 2023109835
(22)【出願日】2023-07-04
【審査請求日】2024-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000236610
【氏名又は名称】株式会社不動テトラ
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【氏名又は名称】加治 信貴
(72)【発明者】
【氏名】矢部 浩史
(72)【発明者】
【氏名】山下 祐司
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-137913(JP,A)
【文献】特許第4886921(JP,B2)
【文献】特表2023-505508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/00~1/08
E02D 3/00~3/12
G06T 7/136
G01V 8/00~8/10
G01V 9/00~9/02
G01N 1/00~1/44
G01N 9/00~9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂や砕石などの粒状体材料又はこの粒状体材料にセメントや流動化剤などを加えた材料を、地盤中に圧入し又は地盤中に排出した後に打ち戻すことにより、地盤中に締固め改良体を造成し、締固め改良体の造成により周辺地盤を締固める締固め工法で、造成した締固め改良体の周辺地盤の状態を確認する締固め工法での周辺地盤状態の確認方法であって、
締固め改良体の造成前の地盤の様子を撮影する第一撮影工程と、
締固め改良体の造成後の地盤の様子を撮影する第二撮影工程と、
第一撮影工程で撮影した締固め改良体の造成前の地盤の様子の画像と第二撮影工程で撮影した締固め改良体の造成後の地盤の様子の画像より、所定の画像処理プログラムを用いて、締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像と締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像とに変換する画像処理工程と、
画像処理工程において変換された締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像と締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像とより、二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合をそれぞれ算出し、算出した締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合と、算出した締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合を比較して、造成した締固め改良体の周辺地盤が計画通り締固められているかの周辺地盤の状態を確認する確認工程と、
を有することを特徴とする締固め工法での周辺地盤状態の確認方法。
【請求項2】
請求項1に記載されたる締固め工法での周辺地盤状態の確認方法において、
確認工程では、算出した締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合と、算出した締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合を比較し、締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像と締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合の減少率を求め、減少率が予め設定した所定値を超えているかにより、造成した締固め改良体の周辺地盤の状態を確認することを特徴とする締固め工法での周辺地盤状態の確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤中に締固め改良体を造成することで、その周辺地盤を締固める締固め工法において、造成した締固め改良体の周辺地盤の状態を確認する締固め工法での周辺地盤状態の確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤を改良するための締固め工法は、砂や砕石などの粒状体材料又はこの粒状体材料にセメントや流動化剤などを加えた材料を、地盤中に圧入し又は地盤中に排出した後に打ち戻すことにより、地盤中に締固め改良体を造成し、この締固め改良体の造成により周辺地盤を締固める方法である。この締固め工法は、例えば、地盤中に砂や砕石などの粒状体材料を排出し、排出した粒状体材料を打ち戻すことで、地盤中に拡径した締固め改良体を造成して、造成した締固め改良体の周辺地盤を強固なものに改良するサンドコンパクションパイル工法や、流動性の極めて低いモルタルを地盤中に圧入して周辺地盤を締固めるコンパクショングラウチング工法などが知られている(特許文献1)。
【0003】
締固め工法に用いる地盤改良装置は、前部にマストを立設した施工ケーシングパイプを備える。施工機械は、ケーシングパイプの地盤中への貫入又は地盤中からの引抜きを行う。ケーシングパイプは、円筒形の管状で、その内部を砂や砕石などの粒状体材料の通る供給路にし、下部に排出口を設けて、排出口から粒状体材料を地盤中に排出する。
【0004】
締固め工法は、ケーシングパイプを地盤中の所定深度まで貫入して、貫入したケーシングパイプを所定の長さ引抜くとともに粒状体材料を排出し、ケーシングパイプを所定の長さ貫入して排出した粒状体材料を打ち戻す。この粒状体材料の排出とケーシングパイプによる粒状体材料の打ち戻しを上方に向かって順次繰り返し行う。これにより、地盤中に拡径した締固め改良体を造成することで、その周辺地盤を所定の密度になる強固な地盤に改良できる。
【0005】
ところで、締固め工法では、地盤中に締固め改良体を造成した後に、造成した締固め改良体の周辺地盤おいて、所定の密度になっているかどうか、すなわち締固め改良体の周辺地盤が計画通り締固められているかの周辺地盤の状態の確認を行うようにしている。この確認方法としては、一般的に知られている標準貫入試験やサウンディング試験などにより行われる。
【0006】
造成した締固め改良体の周辺地盤の状態の確認を標準貫入試験によって行う場合、周辺地盤の状態の確認は、深度方向において約1m毎にしか行うことができず、また、この確認では、標準貫入試験で得られた締固め改良体の造成前のN値と締固め改良体の造成後のN値とを比べ、そのN値の増加量より、締固め改良体の周辺地盤の密度の増加を推定し、これにより、周辺地盤が所定の密度になっているかどうかの周辺地盤の状態を確認している。
【0007】
しかしながら、周辺地盤の状態の確認は、深度方向で約1m毎にしか行うことができないため、周辺地盤の状態を細かく確認することができず、しかも、締固め改良体の周辺地盤の密度を直接測定していないため、周辺地盤の状態を確認したときの精度が悪かった。このことから、作業者においては、造成した締固め改良体の周辺地盤が計画通り締固められているかどうかを正確に見極めることが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、地盤中に締固め改良体を造成したときの締固め改良体の周辺地盤が所定の密度になっているかどうか、すなわち計画通り締固められているかどうかの周辺地盤の状態を正確にかつ簡単に確認できる締固め工法での周辺地盤状態の確認方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、砂や砕石などの粒状体材料又はこの粒状体材料にセメントや流動化剤などを加えた材料を、地盤中に圧入し又は地盤中に排出した後に打ち戻すことにより、地盤中に締固め改良体を造成し、締固め改良体の造成により周辺地盤を締固める締固め工法で、造成した締固め改良体の周辺地盤の状態を確認する締固め工法での周辺地盤状態の確認方法であって、締固め改良体の造成前の地盤の様子を撮影する第一撮影工程と、締固め改良体の造成後の地盤の様子を撮影する第二撮影工程と、第一撮影工程で撮影した締固め改良体の造成前の地盤の様子の画像と第二撮影工程で撮影した締固め改良体の造成後の地盤の様子の画像より、所定の画像処理プログラムを用いて、締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像と締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像とに変換する画像処理工程と、画像処理工程において変換された締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像と締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像とより、二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合をそれぞれ算出し、算出した締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合と、算出した締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合を比較して、造成した締固め改良体の周辺地盤が計画通り締固められているかの周辺地盤の状態を確認する確認工程と、を有する締固め工法での周辺地盤状態の確認方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮影した締固め改良体の造成前の地盤の様子と締固め改良体の造成後の地盤の様子から、締固め改良体を造成したときの締固め改良体の周辺地盤が計画通り締固められているかどうかの周辺地盤の状態を確認することができる。これにより、その深度方向において周辺地盤の状態を細かく確認することができ、しかも、締固め改良体の周辺地盤の状態(密度)を直接確認できることで、締固め改良体の周辺地盤の状態を確認するときの精度を高めることができる。したがって、作業者においては、締固め改良体の周辺地盤が計画通り締固められているかどうかを簡単にかつ正確に見極めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の締固め工法での周辺地盤状態の確認方法において用いる地盤状態確認装置の側面図である。
【
図2】地盤状態確認装置の先端コーンの図であって、
図2Aは、先端コーンの正面図、
図2Bは、先端コーンの縦断面図である。
【
図3】本発明の締固め工法での周辺地盤状態の確認方法のフロー図である。
【
図4】
図4Aは、締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像を示す図、
図4Bは、締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の締固め工法での周辺地盤状態の確認方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る締固め工法での周辺地盤状態の確認方法は、サンドコンパクションパイル工法などにより地盤中に締固め改良体(サンドコンパクションパイル工法では「締固め砂杭」ともいう)を造成したとき、造成した締固め改良体の周辺地盤おいて、所定の密度になっているかどうか、すなわち締固め改良体の周辺地盤が計画通り締固められているかの周辺地盤の状態を確認する方法である。ここでの周辺地盤とは、複数の締固め改良体を造成したときの隣接する締固め改良体の間や造成した締固め改良体から所定の距離離れた地点の地盤である。
なお、本発明の締固め工法での周辺地盤状態の確認方法は、サンドコンパクションパイル工法のときに限定されるものではなく、砂や砕石などの粒状体材料又はこの粒状体材料にセメントや流動化剤などを加えた材料を、地盤中に圧入し又は地盤中に排出した後に打ち戻すことにより、地盤中に締固め改良体を造成し、締固め改良体の造成により周辺地盤を締固めるその他の締固め工法のときにも用いることができる。
【0014】
締固め工法での周辺地盤状態の確認方法において用いる地盤状態確認装置1について説明する。
図1は、締固め工法での周辺地盤状態の確認方法において用いる地盤状態確認装置1の側面図である。
図2は、地盤状態確認装置1の先端コーンの図であって、
図2Aは、先端コーンの正面図、
図2Bは、先端コーンの縦断面図である。
地盤状態確認装置1は、
図1に示すように、地盤中に貫入するロッド2と、ロッド2の先端(下端)に取り付けてビデオカメラ31を搭載する先端コーン3と、各種の処理作業を行う処理装置4を備える。
【0015】
ロッド2は、その形状が円筒形の管状で上下に向かって伸び、施工機械5により地盤中に貫入しあるいは引き抜かれる。施工機械5は、自走可能であって、その前部にマスト51を立設し、このマスト51に沿ってロッド2を配置する。ロッド2は、施工機械5に備える貫入装置52により、地盤中に貫入し、あるいは引き抜かれる。なお、施工機械5は、これに限定されるものではなく、締固め工法に用いる地盤改良装置の施工機械を使用してもよい。
【0016】
先端コーン3は、
図2A、
図2Bに示すように、ロッド2の先端(下端)に取り付けて地盤中に貫入するもので、その形状は円筒形の管状で上下に向う。先端コーン3には、地盤の様子を撮影するビデオカメラ31を搭載する。ビデオカメラ31は、先端コーンの側面に撮影用の開口部32をあけ、この開口部32の内側に配置する。ビデオカメラ31は、先端コーン3の軸方向に直交する方向に向けることで、貫入時又は引き抜き時において地盤の様子を撮影することができる。なお、先端コーン3に設ける開口部32及びビデオカメラ31は、ここでは1つであるが、これを複数個にしてもよい。
【0017】
処理装置4は、各種のプログラムを格納し、この格納したプログラムを用いて各種の処理作業を行うコンピュータである。
処理装置4では、ビデオカメラ31で撮影した締固め改良体の造成前の地盤の様子の画像と締固め改良体の造成後の地盤の様子の画像を受け取り、これを記憶する。続いて、記憶したそれぞれ画像を、所定の画像処理プログラムを用いて、二値化画像にそれぞれ変換する。これとともに、締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像と締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像より、それぞれの二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合を算出し、算出した締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合と、算出した締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合を比較する作業を行う。
【0018】
処理装置4は、ロッド2及び先端コーン3を地盤中に貫入又は引き抜く作業を行う施工機械5に搭載する。ただし、これに限定されるものではなく、作業現場の事務所内あるいは別の場所である施工会社の社内等に設置してもよい。
【0019】
次に、締固め工法での周辺地盤状態の確認方法について、
図3のフロー図を用いて説明する。
締固め工法での周辺地盤状態の確認方法は、締固め改良体の造成前の地盤の様子を貫入時又は引き抜き時に撮影する第一撮影工程(S1)と、締固め改良体の造成後の地盤の様子を貫入時又は引き抜き時に撮影する第二撮影工程(S2)と、第一撮影工程(S1)で撮影した締固め改良体の造成前の地盤の様子の画像と第二撮影工程(S2)で撮影した締固め改良体の造成後の地盤の様子の画像より、それぞれの画像を二値化画像に変換する画像処理工程(S3)と、締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像と締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像より、締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合と、算出した締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合を算出し、この締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合と、締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合とを比較して、造成した締固め改良体の周辺地盤の状態を確認する確認工程(S4)と、を有する。
【0020】
〔第一撮影工程〕
第一撮影工程(S1)は、締固め改良体を地盤中に造成する前に、ロッド2及び先端コーン3を施工機械5で地盤中に貫入し、この貫入時の地盤の様子を先端コーン3に搭載したビデオカメラ31で撮影する工程である。このビデオカメラ31で撮影した地盤の様子はカラー画像の動画である。また、地盤の様子の撮影は、ロッド2及び先端コーン3を地盤中に貫入しているときに行っているが、ロッド2及び先端コーン3を地盤中に貫入した後、ロッド2及び先端コーン3を引き抜くとき、つまり、引き抜き時に地盤の様子を撮影してもよい。
【0021】
〔第二撮影工程〕
第二撮影工程(S2)は、締固め改良体を地盤中に造成した後に、ロッド2及び先端コーン3を施工機械5で地盤中に貫入し、この貫入時の締固め改良体の周辺地盤の様子を先端コーン3に搭載したビデオカメラ31で撮影する工程である。このビデオカメラ31で撮影した地盤の様子はカラー画像の動画である。また、地盤の様子の撮影は、ロッド2及び先端コーン3を地盤中に貫入しているときに行っているが、ロッド2及び先端コーン3を地盤中に貫入した後、ロッド2及び先端コーン3を引き抜くとき、つまり、引き抜き時に締固め改良体の周辺地盤の様子を撮影してもよい。この第二撮影工程(S2)において、ロッド2及び先端コーン3を地盤中に貫入する地点は、複数の締固め改良体を造成したときの隣接する締固め改良体の間や造成した締固め改良体から所定の距離離れた地点である。
また、第一撮影工程(S1)と第二撮影工程(S2)において、ビデオカメラ31での動画の撮影は、造成する締固め改良体の深度方向全長を撮影してもよいし、あるいは必要な場所のみ、例えば、砂層と粘土層が混在する地層において砂層の部分が、例えば深度5mから10mの場合、この深度5mから10mの範囲を撮影するようにしてもよい。
【0022】
〔画像処理工程〕
画像処理工程(S3)は、第一撮影工程(S1)で撮影した締固め改良体の造成前の地盤の様子の画像と、第二撮影工程(S2)で撮影した締固め改良体の造成後の地盤の様子を、それぞれ二値化画像に変換する工程である。この作業は、処理装置4において所定の画像処理プログラムを用いて行う。
【0023】
二値化画像とは、白と黒の2色で表された画像のことである。
ここでの二値化画像への変換は、ビデオカメラ31で撮影したカラー画像を、まず所定のプログラムを用いてグレースケール画像に変換する。このグレースケール画像は、白黒の濃淡を表現した画像で、例えば、1画素が8ビットで、この8ビット画像では、その濃淡を256階調で表し、画素値0が黒で、そこから徐々に色が薄くなり、画素値255が白である。続いて、変換したグレースケール画像の画素値において、その画素値が、設定した閾値以上の場合は白Wに、閾値未満の場合は黒Bに変換することで、白Wと黒Bの2色で表される二値化画像に変換することができる。なお、閾値は、地盤中の土砂などの粒子の部分を白Wに、地盤中の間隙の部分を黒Bにそれぞれ表すことができる値に設定する。
この二値化画像については、例えば、
図4A、
図4Bに示す。
図4Aは、締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像を示す図であり、
図4Bは、締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像を示す図である。
【0024】
〔確認工程〕
確認工程(S4)は、画像処理工程(S3)で変換された締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像と締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像より、それぞれの二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合を算出し、これらを比較することで、造成した締固め改良体の周辺地盤が計画通り締固められているかどうかの周辺地盤の状態を確認する工程である。ここでの締固め改良体の造成前の地盤の様子と締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合の比較は、同じ深度ごとに行うものである。また、これらの作業は、処理装置4において所定の処理プログラムを用いて行う。
【0025】
具体的には、締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像より、その二値化画像における地盤中の隙間の面積(黒Bの面積)の割合を算出し、これとともに、締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像より、その二値化画像における地盤中の隙間の面積(黒Bの面積)の割合を算出する。
【0026】
続いて、算出した締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合と、算出した締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合を比較し、締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像と締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合の減少率を求める。
この減少率は、締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像と締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像において、二値化画像における地盤中の隙間の面積(黒Bの面積)の割合が、締固め改良体の造成前と造成後において、どの程度減少しているかを示すものである。
【0027】
次に、締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像と締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合の減少率より、その減少率が予め設定した所定値を超えているかどうかにより、締固め改良体の周辺地盤が計画通り締固められているかの周辺地盤の状態を確認する。
【0028】
すなわち、締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像と締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合の減少率が、所定値を超えていれば、地盤中の隙間の面積(地盤中の間隙の部分)が減少して、地盤中の土砂などの粒子の部分が増加し、つまり土砂などの粒子の密度が増加し、所定の密度になることで、締固め改良体の周辺地盤が計画通り締固められていることがわかる。一方、締固め改良体の造成前の地盤の様子の二値化画像と締固め改良体の造成後の地盤の様子の二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合の減少率が、所定値以下であれば、地盤中の隙間の面積(地盤中の間隙の部分)の減少が少なく、地盤中の土砂などの粒子の部分の増加が少ない、つまり土砂などの粒子の密度の増加が少なく、所定の密度になっておらず、締固め改良体の周辺地盤が計画通り締固められていないことがわかる。以上にように、締固め改良体の周辺地盤が計画通り締固められているかの周辺地盤の状態を確認することができる。
なお、ここでの変化率における所定値は、締固め工法での設計において決定される値である。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、貫入時又は引き抜き時に撮影した締固め改良体の造成前の地盤の様子と締固め改良体の造成後の地盤の様子から、締固め改良体を造成したときの締固め改良体の周辺地盤が所定の密度になっているかどうか、つまり計画通り締固められているかどうかの周辺地盤の状態を確認することができる。これにより、その深度方向において周辺地盤の状態を細かく確認することができ、しかも、締固め改良体の周辺地盤の状態を直接確認できることで、締固め改良体の周辺地盤の状態を確認するときの精度を高めることができる。したがって、作業者においては、締固め改良体の周辺地盤が計画通り締固められているかどうかを簡単にかつ正確に見極めることができる。
【符号の説明】
【0030】
1…地盤状態確認装置、2…ロッド、3…先端コーン、31…ビデオカメラ、32…開口部、4…処理装置、5…施工機械、51…マスト、52…貫入装置。
【要約】
【課題】地盤中に締固め改良体を造成したときの締固め改良体の周辺地盤の状態を正確にかつ簡単に確認できるようにする。
【解決手段】締固め工法での周辺地盤状態の確認方法であって、締固め改良体の造成前の地盤の様子を撮影する第一撮影工程と、締固め改良体の造成後の地盤の様子を撮影する第二撮影工程と、締固め改良体の造成前の地盤の様子の画像と締固め改良体の造成後の地盤の様子の画像より、それぞれの画像を二値化画像に変換する画像処理工程と、変換されたそれぞれの二値化画像より、二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合をそれぞれ算出し、算出したそれぞれの二値化画像における地盤中の隙間の面積の割合を比較して、造成した締固め改良体の周辺地盤が計画通り締固められているかの周辺地盤の状態を確認する確認工程を有する。
【選択図】
図4