(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】バスバー組立体及び電流測定装置
(51)【国際特許分類】
G01R 15/00 20060101AFI20240826BHJP
H01C 13/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
G01R15/00 500
H01C13/00 J
(21)【出願番号】P 2023196228
(22)【出願日】2023-11-17
【審査請求日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】10-2022-0156195
(32)【優先日】2022-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】504474150
【氏名又は名称】スマート エレクトロニクス インク
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ホン イル チェ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン チャン キム
(72)【発明者】
【氏名】カン フーン リー
(72)【発明者】
【氏名】ウォン ソク キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒュク ジェ コン
(72)【発明者】
【氏名】ユン ミン ソン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン チャン ジョン
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-190619(JP,A)
【文献】特開2020-118629(JP,A)
【文献】特開2017-208474(JP,A)
【文献】特表2019-531469(JP,A)
【文献】特開2017-033664(JP,A)
【文献】特開2017-015588(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/64380(US,A1)
【文献】米国特許第3330027(US,A)
【文献】中国特許出願公開第106981680(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 15/00
H01C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパートで構成される第1導電板と、
複数のパートで構成される第2導電板と、
前記第1導電板と前記第2導電板との間に形成される絶縁体と、を含み、
前記第1導電板、前記第2導電板及び前記絶縁体の一端に共通の第1端子ホールが形成され、
前記第1導電板、前記第2導電板及び前記絶縁体の他端に共通の第2端子ホールが形成され、
前記第1導電板は、少なくとも1つ以上の第1シャント抵抗を含むが、前記第1シャント抵抗は、前記第1導電板のパートの間で前記第1端子ホールが形成されたパートと前記第2端子ホールが形成されたパートとを電気的に連結させ、
前記第2導電板は、少なくとも1つ以上の第2シャント抵抗を含むが、前記第2シャント抵抗は、前記第2導電板のパートの間で前記第1端子ホールが形成されたパートと前記第2端子ホールが形成されたパートとを電気的に連結させ、
前記第1シャント抵抗及び前記第2シャント抵抗の両端で電圧降下の測定に必要なセンシングピンが形成されるように構成される、バスバー組立体。
【請求項2】
前記第1導電板は、1つの第1シャント抵抗を含み、
前記第2導電板は、1つの第2シャント抵抗を含み、
前記センシングピンは、
前記第1シャント抵抗の両端に配される第1センシングピンと第2センシングピンと、前記第2シャント抵抗の両端に配される第3センシングピンと第4センシングピンと、
を含むように構成される、請求項1に記載のバスバー組立体。
【請求項3】
前記第1シャント抵抗と前記第2シャント抵抗は、互いに異なる抵抗値を有するように構成される、請求項1に記載のバスバー組立体。
【請求項4】
前記第1端子ホール及び前記第2端子ホールのうちから少なくとも1つは、バッテリの端子に電気的に連結されるように構成される、請求項1に記載のバスバー組立体。
【請求項5】
前記第1導電板及び前記第2導電板は、
互いに並列に前記バッテリの端子に連結されるように構成される、請求項4に記載のバスバー組立体。
【請求項6】
バスバー組立体と、
前記バスバー組立体と連結された測定部と、を含み、
前記バスバー組立体は、
複数のパートで構成される第1導電板と、
複数のパートで構成される第2導電板と、
前記第1導電板と前記第2導電板との間に形成される絶縁体と、を含み、
前記第1導電板、前記第2導電板及び前記絶縁体の一端に共通の第1端子ホールが形成され、
前記第1導電板、前記第2導電板及び前記絶縁体の他端に共通の第2端子ホールが形成され、
前記第1導電板は、少なくとも1つ以上の第1シャント抵抗を含むが、前記第1シャント抵抗は、前記第1導電板のパートの間で前記第1端子ホールが形成されたパートと前記第2端子ホールが形成されたパートとを電気的に連結させ、
前記第2導電板は、少なくとも1つ以上の第2シャント抵抗を含むが、前記第2シャント抵抗は、前記第2導電板のパートの間で前記第1端子ホールが形成されたパートと前記第2端子ホールが形成されたパートとを電気的に連結させ、
前記第1シャント抵抗及び前記第2シャント抵抗の両端で電圧降下の測定に必要なセンシングピンが形成されるように構成される、電流測定装置。
【請求項7】
前記測定部は、
前記センシングピンに連結されて第1電圧降下及び第2電圧降下を測定する電圧測定部と、
第1電圧降下値及び第2電圧降下値を用いて、前記第1シャント抵抗及び前記第2シャント抵抗にそれぞれ流れる第1電流及び第2電流を演算する電流演算部と、
温度センサーを用いて、前記第1電流及び前記第2電流による温度変化を測定する温度測定部と、
前記第1電流及び前記第2電流に対して素子特性による線形性補償、同期化及び温度補償を通じて算出された第1電流値及び第2電流値の差値を用いてバッテリの状態を判断する制御部と、
を含むように構成される、請求項6に記載の電流測定装置。
【請求項8】
前記第1電流及び前記第2電流の増幅倍数によって変曲点による電流区間別に線形性を補償する線形性補償部をさらに含むように構成される、請求項7に記載の電流測定装置。
【請求項9】
前記第1電流値と前記第2電流値との大きさ、電流印加時間によって温度予測変数を判断し、前記温度予測変数に基づいて算出された温度予測変数値を用いて、前記第1電流値及び前記第2電流値に対して温度補償を行う温度補償部をさらに含むように構成される、請求項7に記載の電流測定装置。
【請求項10】
前記差値の範囲によってエラーを判断し、前記エラーの発生回数によってバッテリの状態を診断するバッテリ状態判断部をさらに含むように構成される、請求項7に記載の電流測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバー組立体及びそれを含む電流測定装置に係り、より詳細には、バッテリに連結されるバスバー組立体及びバッテリに入力及び出力される電流を測定することができる電流測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャント抵抗は、電流測定に主に使われる抵抗値が非常に小さな抵抗を言う。電流が導線に流れる時に発生する磁場を用いるホールセンサーと比較してシャント抵抗を用いる電流測定は、低コストで精度が高い電流測定が可能であることが特徴である。
【0003】
コイルが備えられた電流計は、内部に並列連結されたシャント抵抗を含み、導線を切って形成された端子に直列連結された電流計は、コイルに形成される磁場の強度とシャント抵抗に流れる電流値とを用いて導線に流れる電流を測定することができる。
【0004】
導線中間にシャント抵抗が内在された場合には、シャント抵抗の両端に形成される電圧を測定し、オームの法則を通じて測定された電圧で電流値が計算される。
【0005】
バッテリに連結された端子を通じて流れる電流は、バッテリの放電または充電による電流であって、バッテリの残存容量または充電容量を計算する指標として使われるために、正確な電流値の測定が要求される。
【0006】
バッテリ、例えば、電気自動車バッテリの安定した電流センシングのために、リダンダンシ(redundancy)概念に基づいて2個以上の抵抗体を用いて電流の重複検証が可能である。ところで、重複検証に使われるために測定される電流値の差が誤差範囲を外れる場合、バッテリの状態の判断に問題となる。そして、電流の導通時間の増加及び電流値の増加によってバッテリの温度が上昇し、誤差範囲も増加するために、実際のバッテリの化学的状態を正確に表示することができる電流値の測定が要求される。
【0007】
本発明と関連した技術として、大韓民国登録特許公報に開示された、シャント抵抗を利用した電流測定装置は、バスバー、シャント抵抗及び測定部を含む電流測定装置を開示する。この関連技術は、スイッチを用いて複数の測定部の動作を制御することに留まるが、本発明は、測定部を通じて測定された2個以上の電流値の差に対して線形性補償及び温度補償を通じて測定誤差を減らして正確度が高い電流値を測定できるという点で発明の構成及び効果が互いに区別される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国登録特許第10-1998091号公報(2019.07.09公告)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする一課題は、二重化設計に基づいて複数のシャント抵抗を含むバスバー組立体を提供するところにある。
【0010】
本発明が解決しようとする一課題は、シャント抵抗を用いてバスバー組立体に流れる電流を測定する電流測定装置を提供するところにある。
【0011】
本発明が解決しようとする一課題は、高温状態でバスバー組立体の温度予測を通じて電流測定値に対して温度補償を可能にする電流測定装置を提供するところにある。
【0012】
本発明が解決しようとする一課題は、前述した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態による二重化、すなわち、リダンダンシ設計は、1つのバスバーに2つの抵抗値を有するシャント抵抗を用い、2つの独立したアナログデジタルコンバータ(ADC)を有する電流測定装置である。電流測定装置は、高速に変化する電流を感知して、2つの電流値を比較して、この2つの電流値の誤差が設定された値を外れれば、警告メッセージを上位システムに伝達することを目的とする。
【0014】
シャント抵抗の数が2個に限定されるものではなく、1つのバスバーが複数個のシャント抵抗を備える場合にも、本発明の技術的思想が同様に適用可能である。
【0015】
電流測定装置は、高電圧の応用分野に使われるために、アイソレーテッド電圧変換器を有しており、通信のためのデジタルアイソレーテッド変換器を含むことを特徴とする。
【0016】
2つのシャント抵抗は、必要に応じて1:1、2:1、0.75:1などの多様な変化を通じて最適の電流値だけではなく、電流値を電流センサー内で検証を可能にする。また、必要な場合、1つのシャント抵抗と他の測定方式がホールセンサー、磁気抵抗センサーなどさまざまと組み合わせが可能であり、この値を電流センサー内で独立して検証が可能であるという利点がある。
【0017】
従来には、1つのアナログデジタルコンバータを使用してスイッチングを行えば、高速に変化する電流値を同時に測定することが難しく、電流値の検証のための比較機能が電流値の時間差に対する問題によって、実際の電流値は同一であるが、電流値の差に対して不要な診断が発生する。
【0018】
このような問題を解決するために、2つの独立したアナログデジタルコンバータ(ADC)を使用し、補償アルゴリズムも、別途に使用して2つの独立性を確保し、測定時間を同期化して電流値の検証機能を強化する。本発明の実施形態において、アナログデジタルコンバータ(ADC)の個数も、2個に限定されるものではない。シャント抵抗は、温度に敏感であって、温度センサーを使用しなければならないが、この温度センサーは、高電流によって上昇したシャント抵抗の実際温度を測定するには不可能であって、温度予測アルゴリズムが必要である。この温度予測アルゴリズムは、電流の大きさ、電流の導通時間、外部温度、シャント抵抗値を因子として温度を予測する。
【0019】
同期化アルゴリズムは、低速のコンバータを用いて値が測定されれば、高速のコンバータ値を持って来て測定値を比較しければならず、測定された値の出力は高速の値が出力になれば、高速で電流値を特定ができ、電流値の検証が可能である。
【0020】
また、電流測定装置は、通信上の漏れ及びエラーを感知するためにローリングカウント(R.C:Rolling Count)及び通信エラー検査機能(CRC:Cyclic Redundancy Check)を有することが特徴である。
【0021】
前記のような目的を果たすために、本発明の技術的思想による一実施形態によれば、複数のパートで構成される第1導電板、複数のパートで構成される第2導電板、及び第1導電板と第2導電板との間に形成される絶縁体を含み、第1導電板、第2導電板及び絶縁体の一端に共通の第1端子ホールが形成され、第1導電板、第2導電板及び絶縁体の他端に共通の第2端子ホールが形成され、第1導電板は、少なくとも1つ以上の第1シャント抵抗を含むが、第1シャント抵抗は、第1導電板のパートの間で第1端子ホールが形成されたパートと第2端子ホールが形成されたパートとを電気的に連結させ、第2導電板は、少なくとも1つ以上の第2シャント抵抗を含むが、第2シャント抵抗は、第2導電板のパートの間で第1端子ホールが形成されたパートと第2端子ホールが形成されたパートとを電気的に連結させ、第1シャント抵抗及び第2シャント抵抗の両端で電圧降下の測定に必要なセンシングピンが形成されるように構成されるバスバー組立体が開示される。
【0022】
また、バスバー組立体は、第1導電板が1つの第1シャント抵抗を含み、第2導電板は、1つの第2シャント抵抗を含み、センシングピンは、第1シャント抵抗の両端に配される第1センシングピンと第2センシングピン、及び第2シャント抵抗の両端に配される第3センシングピンと第4センシングピンを含むように構成することができる。
【0023】
また、バスバー組立体は、第1シャント抵抗と第2シャント抵抗とが互いに異なる抵抗値を有するように構成することができる。
【0024】
また、バスバー組立体は、第1端子ホール及び第2端子ホールのうちから少なくとも1つは、バッテリの端子に電気的に連結されるように構成することができる。
【0025】
また、バスバー組立体は、第1導電板及び第2導電板が互いに並列にバッテリの端子に連結されるように構成することができる。
【0026】
前記のような目的を果たすために、本発明の技術的思想による一実施形態によれば、バスバー組立体、及びバスバー組立体と連結された測定部を含み、バスバー組立体は、第1パートと第2パートとで構成される第1導電板、第3パートと第4パートとで構成される第2導電板、及び第1導電板と第2導電板との間に形成される絶縁体を含み、第1導電板、第2導電板及び絶縁体の一端に共通の第1端子ホールが形成され、第1導電板、第2導電板及び絶縁体の他端に共通の第2端子ホールが形成され、第1導電板は、第1シャント抵抗を含むが、第1シャント抵抗は、第1端子ホールが形成された第1パートと第2端子ホールが形成された第2パートとを電気的に連結させ、第2導電板は、第2シャント抵抗を含むが、第2シャント抵抗は、第1端子ホールが形成された第3パートと第2端子ホールが形成された第4パートとを電気的に連結させ、第1シャント抵抗及び第2シャント抵抗の両端で電圧降下の測定に必要なセンシングピンが形成されるように構成される電流測定装置が開示される。
【0027】
また、電流測定装置は、測定部がセンシングピンに連結されて第1電圧降下及び第2電圧降下を測定する電圧測定部、第1電圧降下値及び第2電圧降下値を用いて、第1シャント抵抗及び第2シャント抵抗にそれぞれ流れる第1電流及び第2電流を演算する電流演算部、温度センサーを用いて、前記第1電流及び第2電流による温度変化を測定する温度測定部、及び第1電流及び第2電流に対して素子特性による線形性補償、同期化及び温度補償を通じて算出された第1電流値及び第2電流値の差値を用いてバッテリの状態を判断する制御部、を含むように構成することができる。
【0028】
また、電流測定装置は、第1電流及び第2電流の増幅倍数によって変曲点による電流区間別に線形性を補償する線形性補償部をさらに含むように構成することができる。
【0029】
また、電流測定装置は、第1電流値と第2電流値との大きさ、電流印加時間によって温度予測変数を判断し、温度予測変数に基づいて算出された温度予測変数値を用いて、第1電流値及び第2電流値に対して温度補償を行う温度補償部をさらに含むように構成することができる。
【0030】
また、電流測定装置は、差値の範囲によってエラーを判断し、エラーの発生回数によってバッテリの状態を診断するバッテリ状態判断部をさらに含むように構成することができる。
【0031】
前記のような目的を果たすために、本発明の技術的思想による一実施形態によれば、電流測定装置によって行われる方法であって、バッテリに電気的に連結されたバスバー組立体の第1シャント抵抗両端の第1電圧降下、及び第1シャント抵抗と並列または直列関係にある第2シャント抵抗両端の第2電圧降下を測定する段階、第1電圧降下値及び第2電圧降下値を用いて第1シャント抵抗及び第2シャント抵抗にそれぞれ流れる第1電流及び第2電流を演算する段階、及び第1電流値及び第2電流値の差値を用いてバッテリの状態を判断する段階を含むように構成される電流測定方法が開示される。
【0032】
また、電流測定方法は、第1電流及び第2電流を演算する段階が第1電圧降下値及び第2電圧降下値をデジタル値に変換する段階、第1電圧降下値及び第2電圧降下値に第1シャント抵抗のキャリブレーションデータ及び第2シャント抵抗のキャリブレーションデータを適用して第1電流値及び第2電流値を演算する段階、及び第1電流値及び第2電流値を増幅する段階、を含むように構成することができる。
【0033】
また、電流測定方法は、温度センサーを用いて電流による温度を測定する段階をさらに含むように構成することができる。
【0034】
また、電流測定方法は、温度センサーがバスバー組立体の第1温度値を測定する内部温度センサー及びバスバー組立体が設けられたPCBの第2温度値を測定する外部温度センサーを含み、温度を測定する段階は、第1温度値と第2温度値とにそれぞれ加重値を適用する段階を含むように構成することができる。
【0035】
また、電流測定方法は、温度値、第1電流値と第2電流値との変曲点情報、第1電流値と第2電流値の増幅値及び電流による温度予測上昇値が含まれた線形データ(Linearity Data)を用いて第1電流値及び第2電流値に線形性補償を行う段階をさらに含むように構成することができる。
【0036】
また、電流測定方法は、線形性補償を行う段階が第1電流及び第2電流の増幅倍数によって変曲点による電流区間別に線形性を補償することを特徴とする。
【0037】
また、電流測定方法は、温度値の変化によって高速に変わる第1電流値及び第2電流値に対して同期化及び温度補償を行う段階をさらに含むように構成することができる。
【0038】
また、電流測定方法は、同期化及び温度補償を行う段階が第1電流値と第2電流値との大きさ、電流印加時間によって温度予測変数を判断する段階、温度予測変数に基づいて算出された温度予測変数値を算出する段階、及び温度予測変数値を用いて第1電流値及び第2電流値に対して温度補償を行う段階、を含むように構成することができる。
【0039】
その他の実施形態の具体的な事項は、「発明を実施するための具体的な内容」及び添付「図面」に含まれている。
【0040】
本発明の利点及び/または特徴、そして、それらを果たす方法は、添付図面と共に詳細に後述される各種の実施形態を参照すると、明確になる。
【0041】
しかし、本発明は、以下で開示される各実施形態の構成のみで限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態としても具現されることもあり、単に、本明細書で開示したそれぞれの実施形態は、本発明の開示を完全にし、当業者に本発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、特許請求の範囲の各請求項の範疇によって定義されるだけであるということを知らなければならない。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、二重化設計に基づいて複数のシャント抵抗を通じて安定的であり、信頼度の高い電流値の測定が可能である。
【0043】
また、直列連結に比べて、並列連結のシャント抵抗に基づいて電流を安定して測定することができる。
【0044】
また、バスバーの並列連結を通じて段差を減らすことができ、バスバーの堅固性を高めうる。
【0045】
また、線形性補償及び温度補償を通じて電流値の測定誤差を減らしうる。
【0046】
本発明の技術的思想によるバスバー組立体及び電流測定装置が得られる効果は、前述した効果に制限されず、言及されていないさらに他の効果は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明の一実施形態によるバスバー組立体の概略的な例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバスバー組立体の平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるバスバー組立体の正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるバスバー組立体の正面図である。
【
図5】本発明の一実施形態による電流測定装置のブロック図である。
【
図6】電流測定装置に含まれた測定部のブロック図である。
【
図7】本発明の一実施形態による電流測定方法のフローチャートである。
【
図8】
図7におけるステップS150の詳細なフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態による線形性補償の例を示す図である。
【
図10】
図7におけるステップS170の詳細なフローチャートである。
【
図11】
図7におけるステップS180の詳細なフローチャートである。
【
図12】本発明の一実施形態による温度補償の例を示す図である。
【
図13】本発明の一実施形態による温度補償前の例を示す図である。
【
図14】本発明の一実施形態による温度補償後の例を示す図である。
【
図15】
図7におけるステップS190の詳細なフローチャートである。
【
図16】本発明の一実施形態による補償の前後を比較した例を示す図である。
【
図17】本発明の一実施形態による補償による正確度及び線形性の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明を詳細に説明する前に、本明細書で使われた用語や単語は、通常の、または辞書的な意味として無条件に限定して解釈されてはならず、本発明の発明者が、自分の発明を最も最善の方法で説明するために、各種の用語の概念を適切に定義して使用することができ、さらに、これらの用語や単語は、本発明の技術的思想に符合する意味と概念として解釈されなければならないということを知らなければならない。
【0049】
すなわち、本明細書で使われた用語は、本発明の望ましい実施形態を説明するために使われるものであり、本発明の内容を具体的に限定しようとする意図として使われたものではなく、これらの用語は、本発明のさまざまな可能性を考慮して定義された用語であるということを知らなければならない。
【0050】
また、本明細書において、単数の表現は、文脈上、明確に異なる意味として指示しない以上、複数の表現を含むことができ、類似に複数で表現されているとしても、単数の意味を含みうるということを知らなければならない。
【0051】
本明細書の全体に亘って、ある構成要素が、他の構成要素を「含む」とすると記載される場合には、特に反対となる意味の記載がない限り、任意の他の構成要素を除くものではなく、任意の他の構成要素をさらに含むこともできるということを意味する。
【0052】
さらに、ある構成要素が、他の構成要素の「内部に存在するか、連設される」と記載した場合には、この構成要素が、他の構成要素と直接連結されているか、接触して設けられても、一定の距離を置いて離隔して設けられてもよく、一定の距離を置いて離隔して設けられている場合に対しては、当該構成要素を他の構成要素に固定ないし連結するための第3の構成要素または手段が存在することができ、この第3の構成要素または手段についての説明は、省略されることもあるということを知らなければならない。
【0053】
一方、ある構成要素が、他の構成要素に「直接連結」されているか、または「直接接続」されていると記載される場合には、第3の構成要素または手段が存在しないものと理解しなければならない。
【0054】
同様に、各構成要素間の関係を説明する他の表現、すなわち、「~の間に」と「直ちに~の間に」、または「~に隣接する」と「~に直接隣接する」なども同様の趣旨を有していると解析されなければならない。
【0055】
また、本明細書において、「一面」、「他面」、「一側」、「他側」、「第1」、「第2」などの用語は、使われるならば、1つの構成要素に対して、この1つの構成要素を他の構成要素から明確に区別させるために使われ、このような用語によって、当該構成要素の意味が制限的に使われるものではないということを知らなければならない。
【0056】
また、本明細書において、「上」、「下」、「左」、「右」などの位置と関連した用語は、使われるならば、当該構成要素に対して当該図面での相対的な位置を示していると理解しなければならず、これらの位置に対して絶対的な位置を特定しない以上は、これらの位置関連用語が絶対的な位置に言及していると理解してはならない。
【0057】
また、本明細書では、各図面の各構成要素に対して、その図面符号を明記するに当って、同じ構成要素に対しては、この構成要素がたとえ他の図面に表示されるにしても、同じ図面符号を有しているように、すなわち、明細書の全体に亘って同じ参照符号は、同じ構成要素を指示している。
【0058】
本明細書に添付図面で本発明を構成する各構成要素のサイズ、位置、結合関係などは、本発明の思想を十分に明確に伝達させるために、または説明の便宜上、一部誇張または縮小されるか、省略されて記述されていることができ、したがって、その比例や縮尺は厳密ではない。
【0059】
また、以下、本発明を説明するに当って、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される構成、例えば、従来技術を含む公知の技術について詳細な説明は省略されることもある。
【0060】
以下、本発明の実施形態について関連図面を参照して詳しく説明する。
【0061】
バスバー組立体100は、複数個のシャント抵抗120、例として2個以上のシャント抵抗120と導電体110とが交互に接続された形態で構成することができる。各シャント抵抗120は、互いが直列または並列連結される。以下、2個のシャント抵抗120が互いに並列連結されるバスバー組立体100及び4個のシャント抵抗120が直列及び並列連結されたバスバー組立体100について説明する。
【0062】
図1は、本発明の一実施形態によるバスバー組立体の概略的な例を示す図である。
【0063】
図2は、本発明の一実施形態によるバスバー組立体の平面図である。
【0064】
図3は、本発明の一実施形態によるバスバー組立体の正面図である。
【0065】
図1ないし
図3を参照すれば、バスバー組立体100は、第1導電板101、第2導電板102及び絶縁体103を含むように構成することができる。絶縁体103は、第1導電板101及び第2導電板102の間で、一面は、第1導電板101と接合され、他面は、第2導電板102と接合されるように形成されうる。そして、第1導電板101は、第1パート101aと第2パート101bとに分離され、第2導電板102は、第3パート102aと第4パート102bとに分離される。
【0066】
第1導電板101、第2導電板102及び絶縁体103の一端に共通の第1端子ホール141が形成され、他端に共通の第2端子ホール142が形成されうる。第1端子ホール141と第2端子ホール142は、接合前または接合後に打孔される。バスバー組立体100は、第1端子ホール141及び第2端子ホール142を通じて2次バッテリと電気的に連結される。
【0067】
第1導電板101は、第1シャント抵抗121を含むが、第1シャント抵抗121は、第1端子ホール141が形成された第1パート101aと第2端子ホール142が形成された第2パート101bとを電気的に連結させることができる。バスバー組立体100は、直線状の形状に限定されず、
などの形状ができる。
【0068】
第2導電板102は、第2シャント抵抗122を含むが、第2シャント抵抗122は、第1端子ホール141が形成された第3パート102aと第2端子ホール142が形成された第4パート102bとを電気的に連結させることができる。
【0069】
そして、第1シャント抵抗121の両端に電圧降下の測定に必要な第1センシングピン131と第2センシングピン132とが形成され、第2シャント抵抗122の両端に電圧降下の測定に必要な第3センシングピン133と第4センシングピン134とが形成されうる。すなわち、シャント抵抗120の両端には、センシングピン130が配置される。センシングピン130のうちから選択された2本のセンシングピン130、すなわち、第1センシングピン131と第2センシングピン132、または第3センシングピン133と第4センシングピン134とに電圧計のプラス端子とマイナス端子とがそれぞれ連結される。
【0070】
第1シャント抵抗121及び第2シャント抵抗122は、銅合金、例えば、銅、マンガン及びニッケルの合金であるマンガニン(manganin)を用いて具現可能である。第1シャント抵抗121及び第2シャント抵抗122は、比較的小さな値の抵抗値を有するが、第1シャント抵抗121及び第2シャント抵抗122の両端のセンシングピン間の電圧値の測定を通じて電流値が演算される。
【0071】
第1シャント抵抗121と第2シャント抵抗122は、互いに異なる抵抗値を有するように構成することができる。
【0072】
第1端子ホール141及び第2端子ホール142のうちから少なくとも1つは、バッテリの端子に電気的に連結されるように構成することができる。例えば、バスバー組立体100は、バッテリとバッテリとの間、またはバッテリの直並列組立体の末端に連結される。
【0073】
第1導電板101及び第2導電板102は、互いに並列にバッテリの端子に連結されるように構成することができる。すなわち、バッテリに流れる電流が第1シャント抵抗121と第2シャント抵抗122との大きさに反比例するように第1導電板101と第2導電板102とに分類する。
【0074】
本発明の一実施形態によるバスバー組立体100は、2個のバスバーが絶縁体を挟んで結合された形態をする。したがって、互いに結合された形態のバスバー組立体100は、厚さの増加によってバッテリとの連結部品で発生する段差を減らしうる長所がある。
【0075】
そして、互いに並列関係にある第1シャント抵抗121及び第2シャント抵抗122、直列に比べて、電流を分類するので、互いがバックアップ機能を行うこともできる。例えば、第1シャント抵抗121または第2シャント抵抗122のうちから何れか1つの損傷による断線を防止することができる。
【0076】
そして、2個の導電板101、102及び絶縁体103が1つのバスバー組立体100を構成するので、バスバー組立体100の剛性を高めうる。
【0077】
図4は、本発明の一実施形態によるバスバー組立体の正面図である。
図4を参照すれば、4個のシャント抵抗120が直列及び並列連結されたバスバー組立体100が描写されている。直列または並列連結されるシャント抵抗120は、さらに追加されても良い。
【0078】
図3と比較して追加された2個のシャント抵抗の両端にセンシングピン135、136、137、138が配置される。導電板は、直列連結されたシャント抵抗の間に第5パート101cと第6パート102cとがさらに形成されうる。バスバー組立体100が4個以上のシャント抵抗を含む場合、電圧降下は、2対、3対または4対のセンシングピンで測定される。本発明の一実施形態によってシャント抵抗の数が増加するほど、電流測定のアルゴリズムは、複雑になるが、リダンダンシ理論による電流値の信頼性はさらに高くなる。
【0079】
図5は、本発明の一実施形態による電流測定装置のブロック図である。
図5を参照すれば、本発明の一実施形態による電流測定装置10は、バスバー組立体100、測定部200、第1温度センサー310及び第2温度センサー320を含むように構成することができる。測定部200は、バスバー組立体100に含まれたシャント抵抗120の両端に配されたセンシングピン130と電気的に連結される。
【0080】
バスバー組立体100は、並列連結された第1シャント抵抗121及び第2シャント抵抗122を用いて、各シャント抵抗120両端で複数の電圧降下を形成する機能を有する。シャント抵抗120の両端に形成されたセンシングピン130に測定部200が電気的に連結される。
【0081】
測定部200は、複数の電圧降下を測定し、これに基づいて電流を演算及び補償を通じてバッテリが放電及び充電時の正確な電流値を出力し、さらに、電流値に基づいてバッテリの状態をモニタリングする機能を有する。バッテリモニタリングは、バッテリの寿命と充電状態(state of charge、SOC)との予測及び正常状態有無の判断を含む。
【0082】
第1温度センサー310は、内部センサーとも言い、バスバー組立体100に設けられ、バスバー組立体100の温度、すなわち、第1温度値をセンシングする機能を有する。第2温度センサー320は、外部センサーとも言い、バスバー組立体100が設けられた回路基板(PCB)に設けられ、回路基板の温度、すなわち、第2温度値をセンシングする機能を有する。
【0083】
測定部200は、第1温度センサー310及び第2温度センサー320と電気的に連結されて第1温度値と第2温度値とを入力される。
【0084】
図6は、本発明の一実施形態による電流測定装置に含まれた測定部のブロック図である。
図6を参照すれば、本発明の一実施形態による電流測定装置10に含まれた測定部200は、制御部210、電圧測定部220、電流演算部230、温度測定部240、電流補償部250及びバッテリ状態判断部280を含むように構成することができる。
【0085】
電圧測定部220は、バッテリに電気的に連結されたバスバー組立体100の第1シャント抵抗121両端の第1電圧降下、及び第1シャント抵抗121と並列または直列関係にある第2シャント抵抗122両端の第2電圧降下を測定する機能を有する。
【0086】
電流演算部230は、第1電圧降下値及び第2電圧降下値を用いて第1シャント抵抗121及び第2シャント抵抗122にそれぞれ流れる第1電流及び第2電流を演算する機能を有する。
【0087】
ここで、第1電流は、互いに並列関係の第1シャント抵抗121と第2シャント抵抗122とのうちから、第1シャント抵抗121に流れる電流であり、第2電流は、第2シャント抵抗122に流れる電流であって、バッテリに流れる全体電流に比べて、分類された電流に該当する。これを考慮するならば、測定部200は、分類された第1電流値及び第2電流値を出力するか、加重値を適用して分類された電流値を分類される前の電流値に変換して出力することもできる。
【0088】
温度測定部240は、第1温度センサー310及び第2温度センサー320を用いて第1電流及び第2電流によるシャント抵抗120の温度変化を測定する機能を有する。温度測定部240は、第1温度センサー310及び第2温度センサー320から第1温度値及び第2温度値をそれぞれ入力されて、これらの値をデジタル値に変換し、デジタル値の第1温度値と第2温度値とに加重値を適用してシャント抵抗温度値を出力することができる。シャント抵抗温度値は、電流値の線形性補償及び温度補償に用いられる。
【0089】
制御部210は、第1電流値及び第2電流値に対して素子特性による線形性補償、及び同期化と温度補償とを通じて算出された第1電流値及び第2電流値の差値を用いてバッテリの状態を判断する機能を有する。制御部210は、温度補償に先立って第1電圧降下値及び第2電圧降下値の測定時刻を比較して、両値の測定時刻が互いに異なる場合、何れか1つの測定時刻を基準に両値の測定時刻を同一にするように電圧測定部220を制御することができる。
【0090】
線形性補償部260は、第1電流及び第2電流の増幅倍数によって変曲点による電流区間別に線形性を補償する機能を有する。例えば、第1電流値は、異常値と比較して誤差を含むことができれば、誤差比率は、素子の非線形性によってグラフ上に不連続して表われる。このような誤差比率に線形性補償を行う場合、誤差比率が連続して分布される。
【0091】
温度補償部270は、第1電流値と第2電流値との大きさ、電流印加時間によって温度予測変数を判断し、温度予測変数に基づいて算出された温度予測変数値を用いて第1電流値及び第2電流値に対して温度補償を行う機能を有する。電流値に対して温度補償を行う理由は、温度センサーを利用した温度測定速度が温度の上昇速度を追いつけないためである。高速に変化する温度を測定するためには、温度補償過程が必要である。
【0092】
バッテリ状態判断部280は、差値の範囲によってエラーを判断し、エラーの発生回数によってバッテリの状態を診断する機能を有する。第1電流値と第2電流値との差を通じてバッテリ状態が正常状態であるか、それとも異常状態であるかが判断される。例えば、線形性補償及び温度補償を通じて演算された第1電流値と第2電流値との差値が既定の臨界値を外れる場合が、臨界回数を外れる場合、バッテリは、正常状態にない可能性が高い。以下、電流測定装置10が行う電流測定方法(ステップS100)について説明する。
【0093】
図7は、本発明の一実施形態による電流測定方法のフローチャートである。
図7を参照すれば、電流測定方法(ステップS100)は、電圧降下測定(ステップS110)、温度測定(ステップS120)、電流演算(ステップS130)、電流値補償(ステップS140)及びバッテリ状態判断(ステップS190)を含むように構成することができる。
【0094】
まず、電流測定装置10は、バッテリに電気的に連結されたバスバー組立体の第1シャント抵抗両端の第1電圧降下、及び第1シャント抵抗と並列または直列関係にある第2シャント抵抗両端の第2電圧降下を測定することができる(ステップS110)。
【0095】
電流測定装置10は、温度センサー300を用いて電流による温度を測定することができる(ステップS120)。
【0096】
温度センサー300は、バスバー組立体の第1温度値を測定する第1温度センサー310及びバスバー組立体100が設けられたPCBの第2温度値を測定する第2温度センサー320を含むように構成することができる。
【0097】
温度を測定する段階(ステップS120)は、第1温度値と第2温度値とにそれぞれ加重値を適用する段階を含むように構成することができる。シャント抵抗120に流れる電流値は、バスバー組立体100の温度とバスバー組立体100が連結されたPCBの温度とに複合的に影響を受けるために、バスバー組立体100とPCBとの連結関係、形状、サイズによって第1温度値に適用される加重値と第2温度値に適用される加重値とが決定される。
【0098】
次いで、電流測定装置10は、第1電圧降下値及び第2電圧降下値を用いて第1シャント抵抗121及び第2シャント抵抗122にそれぞれ流れる第1電流及び第2電流を演算することができる(ステップS130)。電流値の演算は、オームの法則に基盤しながらも、不連続または変曲点情報が含まれたシャント抵抗キャリブレーションデータが使われる。
【0099】
例えば、電流測定装置10は、第1電圧降下値及び第2電圧降下値をデジタル値に変換し(ステップS131)、第1電圧降下値及び第2電圧降下値に第1シャント抵抗のキャリブレーションデータ及び第2シャント抵抗のケリブリイションデータを適用して第1電流値及び第2電流値を演算し(ステップS132)、そして、第1電流値及び第2電流値を増幅することができる(ステップS133)。
【0100】
次いで、電流測定装置10は、第1電流値と第2電流値とに対して各種の補償ができる(ステップS140)。
【0101】
例えば、電流測定装置10は、温度値、第1電流値と第2電流値との変曲点情報、第1電流値と第2電流値の増幅値及び電流による温度予測上昇値が含まれた線形データを用いて第1電流値及び第2電流値に線形性補償ができる(ステップS150)。
【0102】
線形性補償(ステップS150)は、第1電流及び第2電流の増幅倍数によって変曲点による電流区間別に線形性を補償することを特徴とする。
【0103】
また、電流測定装置10は、温度値の変化によって高速に変わる第1電流値及び第2電流値に対して同期化及び温度補償ができる(ステップS170、ステップS180)。
【0104】
例えば、電流測定装置10は、第1電流値と第2電流値との大きさ、電流印加時間によって温度予測変数を判断し、温度予測変数に基づいて算出された温度予測変数値を算出し、そして、温度予測変数値を用いて第1電流値及び第2電流値に対して温度補償ができる。
【0105】
最後に、電流測定装置10は、第1電流値及び第2電流値の差値を用いてバッテリの状態を判断することができる(ステップS190)。
【0106】
図8は、
図7におけるステップS150の詳細なフローチャートである。
図8を参照すれば、電圧測定部220によって第1電圧降下及び第2電圧降下は、デジタル値に変換され(ステップS151、ステップS161)、それぞれ電流値に変換される(ステップS152、ステップS162)。この場合、第1電流値は、増幅器を通じて増幅される(ステップS153)。
【0107】
次いで、第1電流値及び第2電流値に対する線形性補償が進行する。線形性補償の過程は、電流値の大きさによる増幅倍数(256倍、64倍、16倍、4倍)を判断する過程(ステップS154)、
図6に描写された電流区間を判断する過程(ステップS155、ステップS165)を含みうる。線形性補償(ステップS156、ステップS166)には、S158から変換された温度が使われ、線形データ(S156a、S165a)が使われる。線形性補償を通じて第1電流値及び第2電流値は、新たな第1電流値及び第2電流値に補償される。
【0108】
内部センサー、すなわち、第1温度センサー310、外部センサー、すなわち、第2温度センサー320を通じて収集された第1温度値及び第2温度値がデジタル値に変換され(ステップS157)、加重値適用を通じて温度が変換される(ステップS158)。
【0109】
図9は、本発明の一実施形態による線形性補償の例を示す図である。
図9を参照すれば、線形性関連キャリブレーション及び補償アルゴリズムによる補償前と後とのグラフが描写されている。電流値の誤差は、サイズ区間によって不連続したグラフで描写される。例えば、電流値の誤差は、全体4個の区間で描写される。線形性補償を通じてプラス誤差及びマイナス誤差の中心となる0%誤差を中心にグラフが再配列され(黄色ライン)、最終的に、線形性補償を通じて誤差範囲が0%に近接するように補償される(緑色ライン)。ここで、Linearity compensationは、線形性補償が行われた地点を意味し、customer specは、要求される誤差範囲を言う。
【0110】
図10は、
図7におけるステップS170の詳細なフローチャートである。
【0111】
図11は、
図7におけるステップS180の詳細なフローチャートである。
【0112】
図10には、第1電流値に対する温度補償過程が、
図11には、第2電流値に対する温度補償過程が描写されている。温度補償過程は、第1電流及び第2電流に共通して進行するので、
図10を代表として説明する。
【0113】
S171で、測定された電流値が、温度センサーが応答可能な電流範囲であるかを確認する過程であって、
図12の補正前のDataを見れば、約300A以上の電流で温度センサーと実際温度の離脱現象が発生する。
【0114】
S172で、電流印加時間を確認する部分は、電流が一定に印加されても、経時的に誤差の量が変わることにより、経時的に温度予測値の変更にならなければならないので、この部分を確認する。
【0115】
S172で、温度予測値が電流値と時間とに対する関数なので、これに対して補正限界値を設定して、この部分を確認する過程が進行する。温度予測値が電流値と時間とによってリアルタイムで変更される。
【0116】
S174で、電流値が温度予測値以下に印加された場合、温度予測温度を0に復帰する過程に進行するためのルーチンである。
【0117】
S175aで、電流値と印加時間とによる予測温度制御値を復帰する速度調整(温度センサーの値と実際温度とが同じになる時間調整)である。
【0118】
電流値と時間とによって正確度が異なる値を見せるために、温度予測制御値が誤差値の勾配値を推定しなければならない。
【0119】
図12は、本発明の一実施形態による温度補償の例を示す図である。
図12を参照すれば、予測制御で補償される温度が描写されている。電流値によって温度センサーが実際温度を反映する時間が変わりうる。したがって、高い電流から低い電流に変更時に、温度予測制御値を実際温度と推定するアルゴリズムとが使われる。
【0120】
図13は、本発明の一実施形態による温度補償前の例を示す図である。
【0121】
図14は、本発明の一実施形態による温度補償後の例を示す図である。
【0122】
図13を参照すれば、温度補償前の例を示す図では、経時的に電流値の誤差がさらに増加することが分かる。電流値の誤差が誤差範囲0.05%を超過する場合も発生する。
【0123】
一方、
図13を参照すれば、温度補償後の例を示す図では、電流値の誤差が一定誤差範囲、例えば、-0.10~0.10%の範囲に収斂するということが分かる。
【0124】
図15は、
図7におけるステップS190の詳細なフローチャートである。
図15を参照すれば、リアルタイムで測定される電圧値から始まった電流値がアップデートされ(ステップS191)、第1電流値と第2電流値との差が演算され(ステップS192)、電流値の差を比較する(ステップS193)。電流値の差が臨界値の範囲を外れないか、外れる場合があり(ステップS194)、臨界値の範囲を外れる場合、カウントが進行する(ステップS195)。電流値の差が臨界値の範囲を外れる場合のカウント数が基準値を外れるか否かを判断し(ステップS196)、カウント数が基準値を外れる場合、警告メッセージが出力される(ステップS197)。電流値の差が臨界値を外れない場合、正常な動作(normal operating)状態にある(ステップS198)。
【0125】
図16は、本発明の一実施形態による補償の前後を比較した例を示す図である。
図16を参照すれば、補償前の電流値の正確度及び線形性補償及び温度補償を通じた補償後の電流値の正確度が描写されている。
【0126】
図17は、本発明の一実施形態による補償による正確度及び線形性の例を示す図である。
図17を参照すれば、線形性補償のアルゴリズムを通じて補正前の0.08%の誤差が0.02%に減少した。また、第1電流値及び第2電流値の電流正確度が補正前の-0.03~0.05%から-0.01~0.01%に向上した。
【0127】
このように、本発明の一実施形態によれば、二重化設計に基づいて複数のシャント抵抗を通じて安定的であり、信頼度の高い電流値の測定が可能である。
また、直列連結に比べて、並列連結のシャント抵抗に基づいて電流を安定して測定することができる。
【0128】
また、バスバーの並列連結を通じて段差を減らすことができ、バスバーの堅固性を高めうる。
【0129】
また、線形性補償及び温度補償を通じて電流値の測定誤差を減らしうる。
以上、一部の例を挙げて、本発明の望ましいさまざまな実施形態について説明したが、本「発明を実施するための具体的な内容」項目に記載のさまざま多様な実施形態に関する説明は、例示的なものに過ぎないものであり、当業者ならば、以上の説明から本発明を多様に変形して実施するか、本発明と均等な実施を行うことができるという点をよく理解しているであろう。
【0130】
また、本発明は、他の多様な形態として具現可能であるために、本発明は、前述した説明によって限定されるものではなく、以上の説明は、本発明の開示内容が完全になるようにするためのものであって、当業者に本発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、特許請求の範囲の各請求項によって定義されるだけであるということを知らなければならない。
【符号の説明】
【0131】
10:電流測定装置
100:バスバー組立体
200:測定部
210:制御部
220:電圧測定部
230:電流演算部
240:温度測定部
250:電流補償部
260:線形性補償部
270:温度補償部
280:バッテリ状態判断部
310:第1温度センサー
320:第2温度センサー