(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】反応性フルオロポリマー相容化剤及びその使用
(51)【国際特許分類】
C08G 85/00 20060101AFI20240826BHJP
C08F 14/18 20060101ALI20240826BHJP
C08G 67/00 20060101ALI20240826BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20240826BHJP
C08L 27/12 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
C08G85/00
C08F14/18
C08G67/00
C08G73/10
C08L27/12
(21)【出願番号】P 2023514754
(86)(22)【出願日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 JP2021032454
(87)【国際公開番号】W WO2022050379
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-03-02
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510222590
【氏名又は名称】ダイキン アメリカ インコーポレイティッド
【氏名又は名称原語表記】DAIKIN AMERICA,INC.
【住所又は居所原語表記】20 Olympic Drive,Orangeburg,New York 10962,U.S.A
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】マーティン, アーサー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン, ヘイリー ジル
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター, アンナ ヴェロニカ
(72)【発明者】
【氏名】プタック, カイル
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, ダカライ カメロン
【審査官】菅原 愛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0197460(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0204021(US,A1)
【文献】特開平10-130348(JP,A)
【文献】特開2011-140536(JP,A)
【文献】特開2017-203059(JP,A)
【文献】特開平10-152619(JP,A)
【文献】特開平09-118802(JP,A)
【文献】特開平06-166705(JP,A)
【文献】特開平07-126515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 2/00-85/00
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)機能性フルオロポリマー、
(b)第1の機能性モノマー、及び
(c)機能性非フルオロポリマー、
を含む反応性相容化剤組成物であって、
前記反応性相容化剤組成物は、機能性フルオロポリマーセグメント及び機能性非フルオロポリマーセグメントを含むブロックコポリマーであ
り、
前記機能性フルオロポリマーは、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)又はフッ素化エチレンプロピレン(FEP)であり、
前記機能性非フルオロポリマーは、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、環状ポリオレフィンコポリマー(COC)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、及び、液晶ポリマー(LCP)からなる群より選択される少なくとも1種である、
反応性相容化剤組成物。
【請求項2】
第2の機能性モノマー又は機能性オリゴマーを更に含む、請求項1に記載の反応性相容化剤組成物。
【請求項3】
前記機能性フルオロポリマーは、カルボン酸官能基、アミン官能基、ヒドロキシ官能基、エポキシ官能基、不飽和(ビニル)官能基、及びフッ化カルボニル官能基からなる群より選択される官能基を有する、請求項1に記載の反応性相容化剤組成物。
【請求項4】
前記第1の機能性モノマーは、カルボン酸末端基、アミン末端基、ヒドロキシ末端基、及びエポキシ末端基からなる群より選択される官能基を有する、請求項1に記載の反応性相容化剤組成物。
【請求項5】
前記第1の機能性モノマーは二官能性、三官能性、又は四官能性である、請求項1に記載の反応性相容化剤組成物。
【請求項6】
前記機能性フルオロポリマーは機械的にせん断されている、請求項1に記載の反応性相容化剤組成物。
【請求項7】
フルオロポリマー、非フルオロポリマー、及び反応性ポリマー相容化剤を含む相容化ポリマーブレンドであって、
前記反応性ポリマー相容化剤は、フルオロポリマーブロック及び非フルオロポリマーブロックを有するブロックコポリマーであ
り、
前記フルオロポリマーブロックは、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)又はフッ素化エチレンプロピレン(FEP)であり、
前記非フルオロポリマーブロックは、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、環状ポリオレフィンコポリマー(COC)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、及び、液晶ポリマー(LCP)からなる群より選択される少なくとも1種である、
相容化ポリマーブレンド。
【請求項8】
前記フルオロポリマーはパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)又はフッ素化エチレンプロピレン(FEP)である、請求項
7に記載の相容化ポリマーブレンド。
【請求項9】
前記非フルオロポリマーはポリエーテルイミド(PEI)又は熱可塑性ポリイミド(TPI)である、請求項
7に記載の相容化ポリマーブレンド。
【請求項10】
前記非フルオロポリマーはポリアリールエーテルケトン(PAEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である、請求項
7に記載の相容化ポリマーブレンド。
【請求項11】
前記非フルオロポリマーは、ポリフェニレンオキシド(PPO)ポリマー又は環状オレフィン(COC)ポリマーである、請求項
7に記載の相容化ポリマーブレンド。
【請求項12】
少なくと
も80%のフルオロポリマーを含み、該フルオロポリマーはパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)である、請求項
7に記載の相容化ポリマーブレンド。
【請求項13】
機能性フルオロポリマー、第1の機能性モノマー、及び機能性非フルオロポリマーを押出機内で反応させて、反応性ポリマー相容化剤を生成する工程を有
し、
前記機能性フルオロポリマーは、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)又はフッ素化エチレンプロピレン(FEP)であり、
前記機能性非フルオロポリマーは、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、環状ポリオレフィンコポリマー(COC)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、及び、液晶ポリマー(LCP)からなる群より選択される少なくとも1種である、
反応性ポリマー相容化剤を生成する方法。
【請求項14】
機能性オリゴマーを押出機内で反応させる工程を更に有する、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記反応性ポリマー相容化剤を押し出す工程を更に有する、請求項
13に記載の方法。
【請求項16】
前記反応性ポリマー相容化剤のペレットを形成する工程を更に有する、請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年9月4日付で出願された米国特許仮出願第63/074,646号の利益を主張するものであり、その全文が参照により本出願に援用される。
【0002】
本開示は概して熱可塑性樹脂に関し、具体的にはフルオロポリマーと他の非フッ素化ポリマーとのブレンド及びコポリマー、それらの製造方法、並びにそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
本セクションは、ここで記載する実施形態の各種態様に関連すると考えられる技術の各種態様を読者に提供して、本実施形態の各種態様をより理解しやすくすることを意図したものである。したがって、これらの記載はそのような観点で読まれるべきであり、先行技術として認めるものではないことを理解されたい。
【0004】
熱可塑性ポリマーは、幅広い熱的性質、機械的性質、及び電気的性質を示す。現代の技術的課題及び材料需要に対応するため、ポリ(エーテルエーテルケトン)、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、及びフルオロポリマー等の多くのエンジニアリングポリマーが開発されてきた。ポリマー毎に異なる性質を示すため、それぞれ異なる用途で使用される。例えば、フルオロポリマーは誘電率及び誘電損失が低いので、通常、航空宇宙システムの配線等の用途で使用される。ポリエーテルイミドは耐熱性が高いので、通常、自動車のボンネット下用途で使用される。しかしながら、一つの材料のみでは得られない複数の性質が必要な用途も存在する。例えば、電線及びケーブルを絶縁する場合、フルオロポリマーだと強靭性が十分でないことが多く、ポリエーテルイミドだと柔軟性又は伸びに欠けることがある。性質が異なる2種類の別のポリマーを組み合わせることで、各種仕様を満たす1つの材料が得られる。
【0005】
市販のポリマー製品の多くは、2種以上のポリマーをブレンドして所望の物性バランスとしたものから得られる。しかしながら、多くのポリマーブレンドは非相溶性であるため、互いに相溶性でありかつ所望の特性を有する2種以上のポリマーを特定するのは困難なことがあった。
【0006】
一般に、ポリマー/ポリマー混合物は小分子の混合物より相溶性が低い。ポリマーは分子量が大きいため、混合の自由エネルギーに対するエントロピーの寄与が限定的である。これは、ポリマーの繰り返し単位間で起こる相互作用によってポリマーブレンドの相溶性が異なることを意味する。結果として、異なるポリマーは広範な温度にわたって非相溶性であることが多い。このため、ポリマーブレンドの大部分が相分離し、最終的にはポリマーブレンドの性能が劣ったものとなる。
【0007】
多くの加工済みポリマーミックスでは、分散層が他の成分の連続マトリックス内に存在する。このような分散層の組成、大きさ、及び濃度は、通常、具体的な機械的性質に応じて最適化されている。形態が安定化されていないと、環境や追加加工からの熱又は応力によって分散層が凝集することがある。このように凝集すると、相分離が起こって望ましくない性質(脆性及び変色等)が生じてしまうことがある。
【0008】
このような相分離はいくつかの方法で解消できる。一つは、ブロックコポリマーを生成する方法である。ブロックコポリマーでも相分離し得るが、形成される相は通常、微細相である。このような相の構造により、ポリマーの性質が向上することがある。他の方法として、小分子相容化剤の使用が挙げられる。小分子相容化剤の使用は、界面活性剤を用いて小分子混合物を安定化させることに似ている。
【0009】
相容性ブレンドを得るのに使用できる加工手段としては、反応押出し又は反応混合が挙げられる。反応性相容化は、ポリマーの非相溶性混合ブレンドを変性させて相分離を阻害し、長期的に安定した連続層を形成するプロセスである。これを達成するための化学的経路が少なくともいくつか存在している。ひとつは、一方のブレンド成分と相溶性を示し、第2成分の官能基に対して反応性を示す反応性ポリマーを添加して、「その場で(in-situ)」ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーを形成するものである。通常の手段には、一方のモノマーを機能化する工程が含まれる。例えば、ナイロン-ゴムバンドを機能化ゴムで重合すると、グラフトコポリマー又はブロックコポリマーが生成される。このような構造が付加されると、相分離が起こり得る界面領域において凝集したり且つ/又は立体障害が増大したりしにくくなる。他の化学的経路としては、反応性カップリング剤を用いてポリマーブレンドを相容化させることが挙げられる。反応性カップリング剤は、溶融加工中にポリマーブレンドへ添加してもよい。高温下でカップリング剤と標的ポリマーとが効率よく結合して、高い相容効果が得られる。カップリング剤としては、シラン、カルボジイミド、イソシアネート、ビスオキサゾリン、ビスカプロラクタム、エポキシド、及び無水物等の各種反応性基、並びに交換反応用の触媒が挙げられる。
【0010】
反応押出しによるブロックコポリマーの生成、並びに反応押出し及び/又は小分子相容化剤によるポリマーブレンドの相容化は、ポリエチレン(高密度及び低密度の両方)、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、及びこれらのコポリマー(ABS、SAN、及びSBR等)といった、いわゆる汎用非フッ素化ポリマーといわれるものに限られていた。しかしながら、これらの材料では、最先端の用途においてエンジニアリングポリマーほど多くの利点は得られない。エンジニアリングポリマーとしては、例えば、フルオロポリマー、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリフェニレンオキシド(PPO、ポリフェニレンエーテル又はPPEともいう)、及び液晶ポリマー(LCP)等が挙げられる。本明細書中では、フルオロポリマーと他のエンジニアリングポリマーとのブレンドに焦点をあてて、エンジニアリングポリマーの相容化を検討する。
【0011】
フルオロポリマーは、通常、他のポリマーと比べて電気的に安定しており、高周波電子信号の影響を受けにくい。PTFE、PFA、及びFEP等のフルオロポリマーは、大半のプラスチックよりも誘電率が低く、損失が小さい。そのため、電気絶縁材料、同軸ケーブル、ロボット配線、及びプリント回路基板等の用途で広く用いられている。フルオロポリマーは、特有の非接着性及び低摩擦性、さらには他のポリマーと比べて優れた耐熱性、耐薬品性、及び耐候性、並びに優れた電気的性質を有するため、自動車産業、航空宇宙産業、半導体、電子機器、一般家電で広く用いられている。しかしながら、フルオロポリマーには欠点もある。フルオロポリマーは、通常、他のポリマーと比べて強靭性及び接着性が低い。したがって、フルオロポリマーを非フッ素化ポリマーとブレンドしてこれらの欠点を解消することが望ましい。必要とされているのは、ポリマーブレンド用の相容化剤として作用するブロックコポリマーを生成する方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、概して、ポリマーブレンド用の相容化剤(一般に反応性ポリマー相容化剤という)として作用するブロックコポリマーの生成に関する。
【0013】
いくつかの実施形態において、反応性ポリマー相容化剤は、フルオロポリマーセグメント及び非フルオロポリマーを含む。「セグメント」は、ポリマー、ポリマーの一部、オリゴマー、又はモノマーを含んでいてもよい。反応性ポリマー相容化剤は、フルオロポリマー及び非フルオロポリマーと相容する。本明細書では、反応性ポリマー相容化剤を生成する方法を記載する。いくつかの実施形態において、反応性ポリマー相容化剤は、機能性フルオロポリマー、機能性モノマー、機能性オリゴマー、及び/又は機能性非フルオロポリマーから生成されたコポリマーである。反応性ポリマー相容化剤の生成には、有効成分が機能性フルオロポリマーを含んでいる多くの変形例がある。ここで開示した実施形態としては、機能性フルオロポリマーと機能性モノマーとの組み合わせ、機能性フルオロポリマーと機能性オリゴマーとの組み合わせ、機能性フルオロポリマーと機能性非フルオロポリマーとの組み合わせ、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。本発明の反応性ポリマー相容化剤をフルオロポリマー及び/又は非フルオロポリマーに添加すると、ブレンド全体の相溶性が増大するので、所望の機械的性質が得られる。
【0014】
いくつかの実施形態は、フルオロポリマー、非フルオロポリマー、及び反応性ポリマー相容化剤を含む相容化ポリマーブレンドであって、反応性ポリマー相容化剤は、フルオロポリマーブロック及び非フルオロポリマーブロックを含むブロックコポリマーである相容化ポリマーブレンドに関する。いくつかの実施形態において、フルオロポリマーがパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)又はフッ素化エチレンプロピレン(FEP)である、請求項11に記載の相容化ポリマーブレンドに関する。いくつかの実施形態において、非フルオロポリマーはポリエーテルイミド(PEI)又は熱可塑性ポリイミド(TPI)である。いくつかの実施形態において、非フルオロポリマーはポリアリールエーテルケトン(PAEK)又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)である。いくつかの実施形態において、非フルオロポリマーはポリフェニレンオキシド(PPO)ポリマー又は環状オレフィン(COC)ポリマーである。
【0015】
開示したいくつかの実施形態は、機能性フルオロポリマー、第1の機能性モノマー、及び機能性非フルオロポリマーを押出機内で反応させて、反応性ポリマー相容化剤を生成する工程を有する、反応性ポリマー相容化剤を生成する方法に関する。いくつかの実施形態において、上記方法は、機能性セグメント又はオリゴマーを押出機内で反応させる工程を更に有する方法である。いくつかの実施形態において、上記方法は、反応性ポリマー相容化剤を押し出す工程及び/又は反応性ポリマー相容化剤のペレットを形成する工程を更に有する。
【0016】
開示した反応性ポリマー相容化剤及び相容化ブレンドを用いて得られた物品は、ポリマーブレンド中でのフルオロポリマーの相溶性が向上したことで、機械的性質及び性能が向上している。いくつかの実施形態において、開示した反応性ポリマー相容化剤は、材料の加工性及び形成されたポリマーペレットの品質を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本明細書に組み込まれかつ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示のいくつかの態様を図示するものであり、本明細書とともに、本開示の原理を説明するものである。
【0018】
【
図1】一実施形態に係る反応性ポリマー相容化剤の合成可能経路を表す。
【0019】
【
図2】反応性ポリマー相容化剤の一実施形態を1,500倍で撮影した走査型電子顕微鏡写真を表す。
【0020】
【
図3】反応性ポリマー相容化剤の一実施形態を2,000倍で撮影した走査型電子顕微鏡写真を表す。
【0021】
【
図4】一実施形態に係る反応性ポリマー相容化剤の合成可能経路を表す。
【0022】
【
図5】相容化ポリマーブレンドのペレットと対照ポリマーブレンドのペレットとを比較した画像を表す。
【0023】
【
図6】一実施形態に係る反応性ポリマー相容化剤の合成可能経路を表す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に示す実施形態は、当業者が本開示を実施するために必要な情報を示すものであり、かつ本開示を実施する最良の形態を示すものである。添付した図面を参照して以下の説明を読んだ当業者であれば、本開示の概念を理解し、本明細書中では特に取り上げていないこれらの概念の応用を認識できるであろう。これらの概念及び応用は、本開示の範囲及び添付した特許請求の範囲に包含されることを理解されたい。
【0025】
特に定義されない限り、本明細書中で使用される用語(技術用語及び科学用語を含む)はいずれも、本開示の分野における当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。更に、通常使用される辞書で定義される用語等は、明細書の文脈における意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、明細書中で明示的に定義されない限り、理想化された意味や過度に形式張った意味で解釈されるべきではないことを理解されたい。簡潔かつ明確にするため、よく知られた機能や構成は詳述していない。
【0026】
本明細書中で使用される専門用語は、具体的な実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図したものではない。本明細書中、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈で明確に提示されない限り、複数形も包含することを意図している。
【0027】
本明細書中、「第1」及び「第2」等の語は、さまざまな特徴又は要素を説明するために用いられるが、これらの特徴又は要素はこれらの用語によって限定されるべきものではない。これらの用語は、ある特徴又は要素を別の特徴又は要素と区別するためだけに使用される。したがって、本開示の教示から逸脱することなく、後述する第1の特徴又は要素を第2の特徴又は要素と呼ぶことができるし、同様に、後述する第2の特徴又は要素を第1の特徴又は要素と呼ぶこともできる。
【0028】
「A及びBの少なくとも一方」といった語は、「Aのみ、Bのみ、又はA及びBの両方」を意味するものと理解されたい。より長いリスト(例えば、「A、B、及びCの少なくとも1つ」)についても同じ解釈が適用される。
【0029】
「から本質的に構成されている」という語は、特許請求の対象が、記載された要素に加えて、本開示で記載したような意図された目的に対する特許請求の対象の実用可能性に悪影響を与えない他の要素(工程、構造、成分、部材等)を含んでいてもよいことを意味する。本用語は、そのような他の要素が他の何らかの目的に対して特許請求の対象の運用性を向上させ得るものであったとしても、本開示で記載したような意図された目的に対する特許請求の対象の運用性に悪影響を与えるようなものであれば当該他の要素を除外するものである。
【0030】
いくつかの箇所で、これらに限定はされないが測定方法等の標準的な方法を参照している。このような標準は時々改定されるものであり、明示的に記載されない限り、本開示におけるこのような標準への参照は、出願時点の直近で発行された標準を参照するものと解釈されることを理解されたい。
【0031】
本明細書では、フルオロポリマーと非フルオロポリマーとのブレンドを向上させるための反応性フルオロポリマー相容化剤を開示する。大半のフルオロポリマーは他のポリマーと非相溶性であるため、多くのフルオロポリマーブレンドでは、所望の性質を与え且つ/又は調整可能な性質を設計して所望の用途に適合させることができない。多くの場合、PTFE、PFA、及びFEP等のフルオロポリマーを非フルオロポリマーに添加して、可燃性を向上させ、吸湿性を低減させ、又は潤滑性を向上させている。
【0032】
本明細書では、完全相容化ポリマーブレンドに新たな性質を与えるのに使用できる反応性ポリマー相容化剤コポリマーを開示する。反応性ポリマー相容化剤は、多官能性のモノマーを用いて共有結合、ファンデルワールス結合、及び/又はイオン結合を形成することで生成できる。いくつかの実施形態において、共有結合は、例えば、アミド、イミド、イミン、オキシム、ヒドラゾン、エステル、及び/又はウレタン等の官能基を有するモノマーを用いた縮合重合で形成できる。いくつかの実施形態において、不飽和結合が反応して飽和結合を形成する場合、結合は付加重合で形成できる。ブレンドはイオン性であってもよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、開示した反応性ポリマー相容化剤はブロックコポリマーである。小分子は相互に反応でき且つ/又は各種反応性ポリマーの反応性末端基と反応できる。これらの小分子は、二つの異なる反応性ポリマー同士を結合しやすくするよう選択できる。反応性末端基としては、もともとポリマー上に存在するものを使用できる。すなわち、いくつかの実施形態において、機能性を導入するのに反応工程又は加工工程を追加する必要はない。加えて、小分子は、反応したら短鎖ポリマーを生成するように選択してもよい。本手法を用いて、AB又はABCブロックコポリマー(Aはフルオロポリマーを表す。Bは付加した小分子の反応で生成された縮合ポリマーを表す。Cはブレンド中の他のポリマーを表す)を生成できる。小分子は、得られたBブロックの構造がCブロックと類似するように、又はBブロックがブレンドに他の有益な性質を付与するように選択できる。ブロックコポリマーは、2つの構成ポリマーのブレンド中で相容化剤として作用できる。
【実施例】
【0034】
実施例1:FEP/LCP反応性ポリマー相容化剤の調製
【0035】
相容化するように設計されたポリマーに関して、反応性ポリマー相容化剤の各種実施形態を記載する。例えば、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)と液晶ポリマー(LCP)との相溶性を増大させるよう設計された反応性ポリマー相容化剤をFEP/LCP反応性ポリマー相容化剤という。
【0036】
一例示において、FEP/LCP反応性ポリマー相容化剤を作製するため、完全フッ素化FEP、カルボキシル化FEP、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、及び4-ヒドロキシ安息香酸を1つの袋に全て加えて均一に混合した。反応性ポリマー相容化剤で使用した各物質の量を表1に示す。6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸及び4-ヒドロキシ安息香酸はLCPモノマーであり、両者を1:1モル当量で添加した。本実施例1のいずれの組成でも、LCPモノマーの総量は5質量%であった。サンプル中、カルボキシル化FEPはサンプル毎に0~75質量%で変化させた。
【表1】
【0037】
サンプルを完全に混合したら、混合物を4.0~6.0kg/hrで二軸押出機(Leistritz社製ZSE 18 HP)に供給した。サンプル122Aの場合、押出機のゾーン1~8を310℃~340℃に加熱した。残りの反応性ポリマー相容化剤の場合、ゾーン1~8を300℃~310℃に加熱して、熱による劣化を抑制した。スクリュー速度は250rpmの一定に保持した。いずれの反応性ポリマー相容化剤も茶色のペレットとして得られた。
【0038】
図1は、FEP/LCP反応性ポリマー相容化剤を製造するスキームの一例を表す。
図1に表す通り、FEP/LCP反応性ポリマー相容化剤は二軸押出機内での重縮合により調製される。段階成長重縮合は押出機の熱で進行する。完全フッ素化FEP及び/又はカルボキシル化FEPから生成されたHFも、ルイス酸として作用して反応を進行させる。芳香族モノマーである6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸及び4-ヒドロキシ安息香酸は、ポリマーブレンド中の完全フッ素化FEPとLCPポリマーとの界面張力を低減させるのに有効である。6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸及び4-ヒドロキシ安息香酸がA-B型機能性モノマーであることから、いずれのモノマーもサンプル分子構造の他の分子又は他のモノマーと重合できる。
【0039】
FEP/LCP反応性ポリマー相容化剤のサンプルを押し出したら、走査型電子顕微鏡(SEM)でサンプル122A及びサンプル123Aの形態を比較した。これら2つのサンプルは、カルボキシル化FEPの含有量が異なることから比較対象として選択した。SEM画像はJeol JSM-6010Plus SEMで得た。サンプルの断面を用意し、作動距離10mm及び5kVで画像化した。いずれの画像も1.0k~2.0kで撮影した。
【0040】
図2は、サンプル122Aを1500倍で撮影したSEM画像である。
図2の画像からフィブリル形態が存在することが分かる。
図3は、サンプル123Aを2000倍で撮影したSEM画像である。
図3の画像から、サンプル全体に連続層があり、フィブリル化形態は存在しないことが分かる。これは、サンプル123AがAB及びABA連続ブロックコポリマーであることを示している。
【0041】
実施例2:FEP/LCP相容化ブレンドの調製
【0042】
実施例1でFEP/LCP反応性ポリマー相容化剤サンプルを作製したあと、二軸押出機内でサンプル123AをLCP、完全フッ素化FEP、及び1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)とブレンドした。サンプル141Hには反応性ポリマー相容化剤を添加していない。各種サンプルで使用した各成分の量を以下の表2に示す。
【表2】
【0043】
本実施例2の全てのサンプルにおいて、123A成分が反応性ポリマー相容化剤として作用した。反応性ポリマー相容化剤は、LCPと完全フッ素化FEPとの界面張力を低減させ、LCPと完全フッ素化FEPとの分子接着を増大させて、均質なブレンドを生成する。反応性ポリマー相容化剤を用いてLCPと完全フッ素化FEPとの相溶性が増大することに加え、これらの組成ではCDIを反応性小分子相容化剤として採用した。アルコール末端基と反応して新たなエステル結合を形成できるとともに、カルボン酸末端基と反応して新たな無水結合を形成できるからである。
【0044】
実施例3:FEP/LCP相容化ブレンドの機械的性質及び熱的性質
【0045】
サンプル125A、125B、125C、125D、129I、及び141H(上記表2)の機械的性質及び熱的性質を試験し、完全フッ素化FEP及びLCPと比較した。サンプルを住友社製SE75DU射出成形機に自重供給した。回転スクリューを304℃~327℃に加熱した。サンプルを引張試験用のASTM D638 V型バー、動的機械分析(DMA)用のASTM D790曲げバー、及び熱機械分析(TMA)試験用の3×3cmプレートに成形した。
【0046】
引張試験は、ASTM D638に従い、V型引張りバー及びInstron社製3365式装置を用いて完了させた。いずれのサンプルも10mm/minで破断するまで引っ張った。BlueHill2プログラムを用いて、ヤング率(YM)、引張強度、及び伸びを算出した。引張試験の結果を以下の表3に示す。データは4本の引張りバーの平均で表す。
【0047】
サンプル125B、125C、及び129Iについては、曲げ弾性率、最大曲げ荷重、及び曲げ応力を算出する試験も実施した。各曲げ試験は、ASTM D790に従い、校正済みInstron試験機及びASTM D790射出成形曲げバーを用いて実施した。Instron試験機内で50mm離して配置した2本の金属ローラー上にサンプルを配置した。ロッドを用いて1.35mm/minで負荷をかけた。BlueHill2コンピュータプログラムを用いて、曲げ弾性率、最大曲げ荷重、及び最大曲げ荷重での曲げ応力を算出した。これらの試験結果を以下の表3に示す。いずれのデータも1本の曲げバーの値で表す。
【表3】
【0048】
表3から分かる通り、大半のサンプルは、ヤング率(YM)が完全フッ素化FEPのヤング率(YM)より少なくとも2~3倍高いことが分かった。また、サンプルは完全フッ素化FEPと比較して最大引張応力が上昇していた。LCPの剛性により、いずれのサンプルも完全フッ素化FEPと比較して伸びが低下していた。ASTM D790に従い、3点曲げ試験を用いて、完全フッ素化FEPにおけるLCPの相容性を測定した。対照(サンプル141H)は反応性ポリマー相容化剤を添加しないで試験した。LCP対照サンプルは、最大曲げ荷重が166であり、弾性率が1174Mpaであった。対照サンプル141Hをサンプル125Bと比較したところ、125Bの最大曲げ荷重及び弾性率はサンプル141Hよりかなり低かった。
【0049】
サンプル125B、125C、及び129Iについては、熱膨張率(CTE)を算出する試験も実施した。CTEは、3×3cm射出成形プレートから切り出した2.0~3.0μmサンプルを用いてTA Instruments社製TMA Q400で測定した。ミツトヨ社製293型マイクロメーターを用いてサンプルの初期寸法を測定した。いずれのサンプルも以下の方法で測定した。
1.Force 0.100N
2.Equilibrate at 45.00℃
3.Mark end of cycle 0
4.Ramp 10.00℃/min to 100.00℃
5.Isothermal for 5.00min
6.Mark end of cycle 1
7.Ramp 10.00℃/min to 55.00℃
8.Mark end of cycle 2
9.Ramp 5.00℃/min to 190.00℃
10.Mark end of cycle 3
11.Jump to 30.00℃
12.End of method
【0050】
CTE(α)は下記式を用いて算出した。
【数1】
式中、L
0は25℃での初期サンプル高さを表す。ΔLはミクロンによる長さ変化(μms)を表す。ΔTは摂氏による温度変化(℃)を表す。いずれのサンプルも、変化(ΔT)を5℃として測定した。CTE試験の結果を以下の表4に示す。報告値はいずれもZ方向(射出成形サンプルの流れ方向に垂直な方向)のものである。
【表4】
【0051】
表4に示す通り、サンプル125B及び129Iは完全フッ素化FEPと比較してCTE値が向上したが、サンプル125Cは150℃及び180℃を含む全ての温度で向上した。
【0052】
実施例4:せん断FEPを用いたFEP/LCP反応性ポリマー相容化剤の調製
【0053】
本実施例4のFEP/LCP反応性ポリマー相容化剤を作製するため、機械的にせん断した完全フッ素化FEP、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、及び4-ヒドロキシ安息香酸を1つの袋に全て加えて均一に混合した。反応性ポリマー相容化剤で使用した各物質の量を表5に示す。LCPモノマーである6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸及び4-ヒドロキシ安息香酸の両方を1:1モル当量で添加し、組成に対する総量は5質量%であった。
【表5】
【0054】
サンプル141Eを完全に混合したら、混合物を4.0~6.0kg/hrで二軸押出機(Leistritz社製ZSE 18 HP)に供給した。押出機のゾーン1~8を270℃~325℃に加熱した。スクリュー速度は250rpmの一定に保持した。
【0055】
実施例5:FEP/LCP相容化ブレンドの調製
【0056】
FEP/LCP反応性ポリマー相容化剤サンプル141Eを作製したあと、二軸押出機内で反応性ポリマー相容化剤をLCP、141E、せん断した完全フッ素化FEP、及び1,1’-カルボニルジイミダゾール(CDI)とブレンドして、FEP/LCP相容化ブレンドを作製した。サンプル141Hには反応性ポリマー相容化剤を添加していない。各種サンプルで使用した各成分の量を以下の表6に示す。
【表6】
【0057】
各サンプルを完全に混合したら、混合物を4.0~8.0kg/hrで二軸押出機(Leistritz社製ZSE 18 HP)に供給した。サンプル143Bの場合、ゾーン1~8を270℃~325℃に加熱した。サンプル141Hの場合、ゾーン1~8を270~300℃に加熱した。サンプル147Dの場合、ゾーン1~8を310℃~380℃に加熱した。スクリュー速度は250rpmの一定に保持した。
【0058】
実施例6:FEP/LCP相容化ブレンドの機械的性質及び熱的性質
【0059】
サンプル143B、147D、及び141H(上記表6)の機械的性質及び熱的性質を試験し、完全フッ素化FEP及びLCPと比較した。サンプルを住友社製SE75DU射出成形機に自重供給した。回転スクリューを304℃~327℃に加熱した。サンプルを引張試験用のASTM D638 V型バー、動的機械分析(DMA)用のASTM D790曲げバー、及び熱機械分析(TMA)試験用の3×3cmプレートに成形した。
【0060】
引張試験は、ASTM D638に従い、V型引張りバー及びInstron社製3365式装置を用いて完了させた。いずれのサンプルも10mm/minで破断するまで引っ張った。BlueHill2プログラムを用いて、ヤング率(YM)、引張強度、及び伸びを算出した。引張試験の結果を以下の表7に示す。データは4本の引張りバーの平均で表す。
【0061】
サンプル143B、147D、及び141Hについては、曲げ弾性率、最大曲げ荷重、及び曲げ応力を算出する試験も実施した。3点曲げ試験はいずれも、ASTM D790に従い、校正済みInstron試験機及びASTM D790射出成形曲げバーを用いて実施した。Instron試験機内で50mm離して配置した2本の金属ローラー上にサンプルを配置した。ロッドを用いて1.35mm/minで負荷をかけた。BlueHill2コンピュータプログラムを用いて、曲げ弾性率、最大曲げ荷重、及び最大曲げ荷重での曲げ応力を算出した。これらの試験結果を以下の表7に示す。いずれのデータも1本の曲げバーの値で表す。
【表7】
【0062】
サンプル143B及び147Dについては、熱膨張率(CTE)を算出する試験も実施した。CTEは、3×3cm射出成形プレートから切り出した2.0~3.0μmサンプルを用いてTA Instruments社製TMA Q400で測定した。ミツトヨ社製293型マイクロメーターを用いてサンプルの初期寸法を測定した。いずれのサンプルも以下の方法で測定した。
1.Force 0.100N
2.Equilibrate at 45.00℃
3.Mark end of cycle 0
4.Ramp 10.00℃/min to 100.00℃
5.Isothermal for 5.00min
6.Mark end of cycle 1
7.Ramp 10.00℃/min to 55.00℃
8.Mark end of cycle 2
9.Ramp 5.00℃/min to 190.00℃
10.Mark end of cycle 3
11.Jump to 30.00℃
12.End of method
【0063】
CTE(α)は下記式を用いて算出した。
【数2】
式中、L
0は25℃での初期サンプル高さを表す。ΔLはミクロンによる長さ変化(μms)を表す。ΔTは摂氏による温度変化(℃)を表す。いずれのサンプルも、変化(ΔT)を5℃として測定した。CTE試験の結果を以下の表8に示す。報告値はいずれもZ方向(射出成形サンプルの流れ方向に垂直な方向)のものである。
【表8】
【0064】
表8に示す通り、サンプル143B及び147Dは完全フッ素化FEPと比較してCTE値が向上した。
【0065】
実施例7:PFA/LCP反応性ポリマー相容化剤の調製
【0066】
せん断PFA、LCP、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、及び4-ヒドロキシ安息香酸を1つの袋に全て加えて均一に混合した。各物質の添加量を表9に示す。6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸及び4-ヒドロキシ安息香酸(一般的なLCPモノマー)の両方を1:1モル当量で添加し、いずれの組成に対しても総量は常に5質量%であった。サンプル896Cでは、サンプル896A及びサンプル896Bで用いた非せん断LCPではなく、せん断LCPをブレンドに組み込んだ。サンプルを完全に混合したら、混合物を4.0~6.0kg/hrで二軸押出機(Leistritz社製ZSE 18 HP)に供給した。各サンプルについて、ゾーン1~8を310℃~340℃に加熱した。スクリュー速度は250rpmの一定に保持した。いずれの反応性ポリマー相容化剤サンプルも茶色のペレットとして得られた。
【表9】
【0067】
図4は、Leistriz社製二軸押出機での重縮合によるPFA/LCP反応性ポリマー相容化剤の調製を表す。反応性ポリマー相容化剤の組成は表9に表す。段階成長重縮合は押出機の熱で進行する。PFA及び/又はせん断PFAから生成されたHFはルイス酸として作用して反応を進行させる。芳香族モノマーである6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸及び4-ヒドロキシ安息香酸は一般的なLCPモノマーであり、PFAとLCPとの界面張力を低減させるのに有効である。6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸及び4-ヒドロキシ安息香酸がA-B型機能性モノマーであることから、いずれのモノマーもサンプル分子構造の他の分子又は他のモノマーと重合できる。対応するランダムコポリマー、セグメント、モノマー、及びオリゴマーが、せん断PFA及び/又はLCPの末端基と反応してランダムブロックコポリマーを生成できる。
【0068】
実施例8:PFA/LCP相容化ブレンドの調製
【0069】
PFA及びLCPの初期相容化を表10に示す。カルボニルジイミダゾール(CDI)、LCP、PFA/LCP反応性ポリマー相容化剤、及びPFAを1つの袋に全て加えて均質になるまで混合した。次いで、混合物を4.0~6.0kg/hrで二軸押出機(Leistritz社製ZSE 18 HP)に供給した。ゾーン1~8を310℃~340℃に加熱した。スクリュー速度は250rpmの一定に保持した。いずれのPFA/LCP相容化ブレンドも灰色のペレットとして得られた。
【表10】
【0070】
実施例9:機械的性質試験用の射出成形サンプル
【0071】
サンプル897A、897B、及び897Cを住友社製SE75DU射出成形機に自重供給した。供給ゾーンを49℃で保持した。回転スクリュー内のゾーン1~5を310~340℃に加熱した。サンプルを引張試験用のASTM D638 V型バー、動的機械分析(DMA)用のASTM D790曲げバー、及び熱機械分析(TMA)試験用の3×3cmプレートに成形した。
【0072】
射出成形サンプルの機械的試験はいずれもV型引張りバーを用いて実施した。引張試験はいずれも、ASTM D638に従い、V型引張りバー及びInstron社製3365式装置を用いて完了させた。いずれのサンプルも10mm/minで破断するまで引っ張った。BlueHill2コンピュータプログラムを用いて、ヤング率(YM)、引張強度、及び伸びを算出し、記録した。表11に示すデータはいずれも4本の引張りバーの平均で表す。
【表11】
【0073】
表11は、ブレンドサンプル897A~Cの引張性を示す。これらの厳密な組成は表10に示す。サンプル897Aの最大引張強度が21で最も高かった。一方、サンプル897Bはヤング率(YM)が826MPaで最も高かった。いずれのサンプルもPFAに対してヤング率が上昇していた。サンプル897A及び897Bは、PFAと比較した場合、最大引張強度がわずかしか向上していなかった。
【0074】
実施例10:PFA/LCP相容化ブレンドのCTE測定
【0075】
熱膨張率(CTE)は、3×3cm射出成形プレートから切り出した2.0~3.0μmサンプルを用いてTA Instruments社製TMA Q400で測定した。ミツトヨ社製293型マイクロメーターを用いてサンプルの初期寸法を測定した。いずれのサンプルも以下の方法で測定した。
1.Force 0.100N
2.Equilibrate at 45.00℃
3.Mark end of cycle 0
4.Ramp 10.00℃/min to 100.00℃
5.Isothermal for 5.00min
6.Mark end of cycle 1
7.Ramp 10.00℃/min to 55.00℃
8.Mark end of cycle 2
9.Ramp 5.00℃/min to 190.00℃
10.Mark end of cycle 3
11.Jump to 30.00℃
12.End of method
【0076】
CTE(α)は下記式を用いて算出した。
【数3】
式中、L
0は25℃での初期サンプル高さを表す。ΔLはミクロンによる長さ変化(μms)を表す。ΔTは摂氏による温度変化(℃)を表す。いずれのサンプルも、変化(ΔT)を5℃として測定した。
【表12】
【0077】
表12は、サンプル897A~C、PFA、及びLCPのTMAによる熱膨張率(CTE)を示す。サンプル897A及び897BのCTE値は、80℃及び100℃で試験したサンプルより高かった。サンプル897Cは、80℃及び100℃でのCTE値が最低であった。120℃、150℃、及び180℃において、サンプル897Bは相容化ブレンドのCTEが最低であった。180℃において、897BはCTE値が117であり、これは180℃におけるLCPのCTE値より低い。
【0078】
実施例11:FP/PEI反応性ポリマー相容化剤I型の調製
【0079】
本実施例11では、せん断パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)又はせん断フッ素化エチレンプロピレン(FEP)を4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)及び2,6-ジアミノアントラキノンと均質になるまでブレンドして、反応性ポリマー相容化剤148B及び148Cを作製できる。せん断PFAを4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)及び4,4’オキシジアニリンとブレンドしてサンプル156Bを作製できる。せん断PFAをノルボルネン二無水物及び2,6-ジアミノアントラキノンとブレンドしてサンプル156Cを作製できる。各サンプルで使用した各物質の百分率を表13に示す。せん断PFA又はせん断FEPは、高せん断押出機を用いて市販のフルオロポリマーを加工して作製する。せん断フルオロポリマーは、市販のフルオロポリマーと比較して反応性末端基の数が増加している。4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物及び2,6-ジアミノアントラキノンはいずれもPEIモノマーであり、両者を1:1モル当量で添加した。
【表13】
【0080】
各サンプルを完全に混合したら、混合物を4.0~6.0kg/hrでLeistritz社製ZSE-18 HP-PH二軸押出機に供給し、化合物をペレット状に押し出した。サンプル148Bの場合、ゾーン1~8を270~290℃に加熱した。サンプル148Cの場合、ゾーン1~8を280~355℃に加熱した。サンプル156B及びサンプル156Cの場合、ゾーン1~8を310~360℃に加熱した。スクリュー速度は250rpmの一定に保持した。
【0081】
実施例12:フルオロポリマー/PEI又はTPI相容化ブレンドの調製
【0082】
ポリエーテルイミド(PEI)又は熱可塑性ポリイミド(TPI)でPFA又はFEPフルオロポリマーを相容化するための相容化ポリマーブレンドの組成を表14に示す。各サンプルについて、表14に示した組成の成分を1つの袋に全て加えて均質になるまで混合した。反応性ポリマー相容化剤を使うことなく、サンプル292A及び292Bを生成した。次いで、混合物を4.0~6.0kg/hrでLeistritz社製ZSE-18 HP-PH二軸押出機に供給し、化合物をペレット状に押し出した。FEP相容化ブレンドの場合、ゾーン1~8を270~320℃に加熱した。PFA相容化ブレンドの場合、ゾーン1~8を280~330℃に加熱した。
【表14】
【0083】
実施例13:せん断PFAを用いたPFA/PEI反応性ポリマー相容化剤の調製
【0084】
本実施例では、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)及びせん断PFAを4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、PEI-アミン、及び4,4’-オキシジアニリンと均質になるまでブレンドして、反応性ポリマー相容化剤を作製できる。各物質の百分率を表15に示す。せん断PFAは、高せん断押出機を用いて市販のPFAを加工して作製する。せん断PFAは、反応性末端基の数が市販の非せん断PFAの約3~5倍である。4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物及び4,4’-オキシジアニリンはいずれもPEIモノマーである。
【表15】
【0085】
表16は、ポリマーブレンドサンプル162F及び292Bの配合を示す。上で検討した通り、サンプル161A等の反応性ポリマー相容化剤又は他の相容化剤を用いて、PEI又はTPIとPFAとの界面張力を低減できる。ビス(オキサゾリン)化合物である1,4-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼンを用いて、PEI及びTPIをPFAと反応させた。161A等の反応性ポリマー相容化剤は、PFAにおけるPEI及びTPIの相溶性を増大させて、相容性を更に向上させられる。ポリマー間の相容性が向上すると、加工性が向上する。PEI及びTPIでPFAを相容化するためのポリマーブレンドの組成を表16に示す。反応性ポリマー相容化剤サンプル161A、PEI又はTPI、1,4-ビス(4,5-ジヒドロ-2-オキサゾリル)ベンゼン、及びPFAを1つの袋に全て加えて均質になるまで混合した。次いで、混合物を2.0~6.0kg/hrでLeistritz社製ZSE-18 HP-PH二軸押出機に供給し、化合物をペレット状に押し出した。ゾーン1~8を350~390℃に加熱した。スクリュー速度は250rpmの一定に保持した。PEI/PFAブレンドは微黄色のペレットとして得られた。
【表16】
【0086】
サンプル162Fは、292Bに対して加工特性が向上していた。サンプル162Fと異なり、サンプル292Bは反応性コポリマー相容化剤を含有していない。
図5に表す通り、サンプル292Bから作製したペレットは粗く、均一でなく、非溶融物を含有していた。サンプル162Fから作製したペレットは平滑で、非溶融物を実質的に含有していなかった。サンプル162Fから作製したペレットは十分にブレンドされていたように見える。反応性コポリマー相容化剤161Aを添加すると、供給速度が292Bの2.0kg/hrから162Fの6.0kg/hrに向上した。
図6は、Leistriz二軸押出機での重縮合によるPEI/PFA反応性ポリマー相容化剤ブレンドの調製可能経路を表す。本実施形態において、重縮合は押出機の熱で進行する。せん断PFAから生成されたHFはルイス酸として作用して反応を進行させる。
図6に表す通り、例えばサンプル161A等の反応性ポリマー相容化剤は、4,4-オキシジアニリン、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、及びPEI-アミンを用いて、ランダムブロックコポリマーとして調製できる。いくつかの実施形態において、反応性ポリマー相容化剤は、PFAとPEI又はTPIとの界面張力を低減させるのに有効である。モノマーである4,4’-オキシジアニリン及び4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物は、効果的な鎖伸長剤として作用して、せん断PFA及びPEI-アミンのポリマーをより大きくする。対応するブロックコポリマー、モノマー、及びオリゴマーを反応させてイミド及びアミド結合を形成し、
図6に表す通り、新たなランダムブロックコポリマー反応性ポリマー相容化剤としてもよい。
【0087】
実施例14:PFA/PAEK反応性ポリマー相容化剤の調製
【0088】
本実施例14では、せん断パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)を4-アミノ安息香酸及び市販の又はせん断状のポリアリールエーテルケトン(PAEK)とブレンドして、反応性ポリマー相容化剤を作製できる。せん断PFA及びせん断PAEKは、高せん断押出機を用いて市販のフルオロポリマーを加工して作製する。せん断フルオロポリマーは、非せん断フルオロポリマーと比較して反応性末端基の数が増加している。反応性ポリマー相容化剤サンプル162G及び162H用の各物質の百分率を表17に示す。4-アミノ安息香酸はPAEK及びPEEK両方のモノマーである。4-アミノ安息香酸は、合計が最終ブレンドの5質量%で使用した。
【表17】
【0089】
上で検討した通り、サンプル162H等の反応性ポリマー相容化剤又は他の相容化剤を用いて、第2のエンジニアリングポリマーとPFAとの界面張力を低減できる。PFAとPEEKとの相容化ポリマーブレンドの組成を二軸押出機で押し出した。PFA/PEEKポリマーブレンドは灰褐色のペレットとして得られた。サンプル09Aは反応性ポリマー相容化剤を含まないPFA/PEEKブレンドである。サンプル39Eは反応性ポリマー相容化剤を含むPFA/PEEKブレンドである。
【0090】
引張試験は、ASTM D638に従い、V型引張りバー及びInstron社製3365式装置を用いて完了させた。いずれのサンプルも10mm/minで破断するまで引っ張った。BlueHill2プログラムを用いて、ヤング率(YM)、引張強度、及び伸びを算出した。引張試験の結果を以下の表18に示す。ヤング率(YM)、引張強度、及び伸びについて示したデータは、5本の引張りバーの平均で表す。
【0091】
サンプル09A及び39Eについては、曲げ弾性率、最大曲げ荷重、及び曲げ応力を算出する試験も実施した。3点曲げ試験はいずれも、ASTM D790-03に従い、校正済みInstron試験機及びASTM D790射出成形曲げバーを用いて実施した。Instron試験機内で50mm離して配置した2本の金属ローラー上にサンプルを配置した。ロッドを用いて1.35mm/minで負荷をかけた。BlueHill2コンピュータプログラムを用いて、曲げ弾性率及び最大曲げ荷重での曲げ応力を算出した。これらの試験結果を以下の表18に示す。曲げ弾性率及び最大曲げ荷重での曲げ応力について示したデータは、いずれも3本の曲げバーの値で表す。
【表18】
【0092】
表18に示した機械的性質のデータから、反応押出し中に反応性ポリマー相容化剤を添加すると系内における2つのポリマー全体の相容性が増大することが分かる。反応性ポリマー相容化剤を添加すると、サンプル39Eの弾性率が上昇している。09Aブレンドと39Eブレンドとで曲げの性質はほとんど変化していない。
【0093】
サンプル09A及び39E、並びにPFA及びPEEKの熱安定性を熱重量分析(TGA)で試験した。熱安定性のプロトコルとして、10mL/minの窒素連続フローでTGA炉をパージした。TGA炉のプログラムは、室温(15~30℃、好ましくは23℃)から800℃まで10℃/minの温度傾斜で加熱するように設定した。TGAでは、サンプルを加熱しながら、サンプルの重量を経時的に記録した。加熱サイクルが完了したら、材料が残留しているパンを炉から取り出す。1.0%重量損失点及び5.0%重量損失点を試験し、TA Universal Analysisソフトウェアを用いて記録した。ポリマー及びブレンドそれぞれの1%重量損失温度及び5%重量損失温度を以下の表19に示す。
【表19】
【0094】
反応性ポリマー相容化剤を含まないサンプル09Aの1%重量損失温度は388℃である。この温度は、ブレンドを構成する各ポリマー、すなわちPFA及びPEEKよりかなり低い。理論に拘束されるものではないが、このように重量損失温度が低いのは、反応押出し中に反応してコポリマーを生成することがない小分子又はオリゴマーが要因だと考えられる。サンプル39Eのように、反応性ポリマー相容化剤を系に添加すると、1%重量損失温度が454℃に上昇する。反応性ポリマー相容化剤は、相容化フルオロポリマーブレンドの熱安定性を補助する。
【0095】
実施例15:PFA/COC反応性ポリマー相容化剤の調製
【0096】
本実施例15では、せん断パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)を4,4-ジアミノジフェニルエーテル、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、及び環状オレフィンコポリマー(COC)とブレンドして、反応性コンプライアー(complier)相容化剤サンプル52Aを作製できる。各物質の使用量を表20に示す。せん断PFAは、高せん断押出機を用いて市販のフルオロポリマーを加工して作製する。せん断フルオロポリマーは、市販のフルオロポリマーと比較して反応性末端基の数が増加している。ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物及び4,4-ジアミノフェニルエーテルを用いて、環状オレフィンコポリマーにグラフトした。これらのモノマーを用いて新たな末端基を生成して、PFAとCOCとを更に相容化した。本実施例で検討した方法はPFAに限定されず、FEP等を含む他のフルオロポリマーにも適用できる。
【表20】
【0097】
実施例16:FEP/PPO相容化コポリマー及びFEP/PPO相容化ブレンドの調製
【0098】
本実施例16では、せん断フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)を6FDA、4,4’-オキシジアニリン、及びポリ(フェニレン)オキシド(PPO)とブレンドして、反応性ポリマー相容化剤サンプルAWA~AWGを作製できる。各物質の使用量を表21に示す。せん断FEPは、高せん断押出機を用いて市販のフルオロポリマーを加工して作製する。せん断フルオロポリマーは、市販のフルオロポリマーと比較して反応性末端基の数が増加している。6FDA及び4,4’-オキシジアニリンはモノマーであり、これらを用いて新たな末端基を生成して、FEPとPPOとを更に相容化した。本実施例で検討した方法はFEPに限定されず、PFA等を含む他のフルオロポリマーにも適用できる。
【表21】
【0099】
当業者であれば、本開示の好ましい実施形態に対する改良及び改変を認識できるであろう。このような改良及び改変は、いずれも本明細書中に開示した概念の範囲及び以下に続く特許請求の範囲に包含されるものと考えられる。本発明に係る開示した実施形態における所定の要素は、単一の構造、単一の工程、又は単一の物質等において実施できることが理解できるであろう。同様に、開示した実施形態における所定の要素は、複数の構造、工程、又は物質等で実施できる。
【0100】
上述の説明は、本開示の方法、装置、製品、組成物、及びその他の教示を図示及び記載するものである。加えて、本開示では、開示した方法、装置、製造、組成物、及びその他の教示について一定の実施形態しか提示及び記載していない。しかしながら、上記の通り、本開示の教示は、他の様々な組み合わせ、変形形態、及び環境で使用でき、且つ当業者の技術及び/又は知識に対応して、本明細書に記載した教示の範囲内で変更及び変形させられることが理解できるであろう。更に、本明細書中で上記した実施形態は、本開示の方法、装置、製品、組成物、及びその他の教示を実施するためのものとして知られている一定の最良形態を説明すること、及び他の当業者が、そのような実施形態又は別の実施形態において本開示の教示を利用し、且つ具体的な用途に必要とされる各種変形と共に本開示の教示を利用できるようにすることを意図したものである。従って、本開示の方法、装置、製品、組成物、及びその他の教示は、本明細書中で開示した厳密な実施形態及び実施例に限定することを意図したものではない。本明細書中の表題は37C.F.R.§1.77の提案と対応させること、又は組織的な待ち行列(organizational queues)を提供することを意図したにすぎない。これらの表題は、本明細書中に記載した発明を限定及び特徴付けするものではない。