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特許7543555マルチパイル充電セッションの乗り物側制御のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】マルチパイル充電セッションの乗り物側制御のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240826BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
H02J7/02 F
H02J7/02 B
H02J7/00 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023518962
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 TH2021000057
(87)【国際公開番号】W WO2022066107
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】2001005629
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TH
(73)【特許権者】
【識別番号】522044308
【氏名又は名称】マイン モビリティー リサーチ シーオー.,エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】MINE MOBILITY RESEARCH CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100116687
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 爾
(74)【代理人】
【識別番号】100098383
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100155860
【弁理士】
【氏名又は名称】藤松 正雄
(72)【発明者】
【氏名】アーフナイ,ソムポート
(72)【発明者】
【氏名】パン,ウェン ウー
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,ガン
(72)【発明者】
【氏名】デン,シャオ メン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ハン ハン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジェン ホア
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,シエン カイ
(72)【発明者】
【氏名】ザング,シ ユアン
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0122593(US,A1)
【文献】国際公開第2018/061857(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/045666(WO,A1)
【文献】特開2020-156202(JP,A)
【文献】特開2017-011955(JP,A)
【文献】特開2012-147633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチパイル充電セッションの乗り物側制御のためのシステムであって、前記システムは、
(a)複数の充電パイルであって、各充電パイルは、
(i)第1の端部で電源コネクタに電気的に接続され、第2の端部で充電コネクタに電気的に接続された電力線であって、
(1)前記電力線は、公共電力線に接続可能であり、
(2)前記電力線は、前記電源コネクタと前記充電コネクタの間に配置されたリレースイッチを含み、
(3)前記リレースイッチと前記充電コネクタの間の前記電力線に隣接して配置された充電パイル電力線通信モジュール(CP-PLC)を有する、前記電力線と、
(ii)供給装置通信コントローラ(SECC)であって、
(1)前記SECCは、前記リレースイッチおよび前記CP-PLCとのデータ通信を行い、
(2)前記SECCによる前記リレースイッチの作動により、前記公共電力線から前記電力線を通じて前記充電コネクタに電流が流れることが許可される、前記SECCと、
を備えた前記複数の充電パイルと、
(b)電動乗り物のための乗り物電気システムであって、
(i)複数のバッテリー管理ユニット(BMU)および複数のバッテリーセルを含むバッテリーと、
(ii)少なくとも1つのバスバーバッテリー幹線を介して各バッテリーセルに電気的に接続されたバスバーリレーと、
(iii)複数の充電ポートであって、
(1)各充電ポートは、各充電パイルのうちの1つの前記充電コネクタに電気的に接続するように構成され、
(2)前記充電ポートは、前記充電コネクタに対して直接的に電気的に接続され、または前記充電ポートは、アンビリカルラインを通じて前記充電コネクタに対して間接的に電気的に接続される、前記複数の充電ポートと、
(iv)複数のバスバー入力幹線であって、
(1)各バスバー入力幹線は、第1の接続点で各充電ポートのうちの1つに電気的に接続され、第2の接続点で前記バスバーリレーに電気的に接続され、
(2)各バスバー入力幹線は、前記バスバー入力幹線に関連付けられた前記充電ポートと前記バスバーリレーの間で、前記バスバー入力幹線に隣接して配置された電動乗り物電力線通信モジュール(EV-PLC)とのデータ通信を行う、前記複数のバスバー入力幹線と、
(v)マスターバッテリー制御ユニット(MBCU)であって、
(1)前記MBCUは、複数のバッテリー制御ユニット(BCU)、前記バッテリーの各BMU、前記バスバーリレー、およびユーザーインターフェースデバイスとのデータ通信を行い、
(2)各BCUは、前記BCUに関連付けられた前記充電ポートと各充電コネクタのうちの1つとの接続ペアリング時に、各EV-PLCのうちの1つとデータ通信によりペアリングして、前記BCUに対するBCU-SECC通信経路を確立し、
(3)各BCUに対するBCU-SECC通信経路は、前記BCUから、前記BCUに関連付けられた前記EV-PLCを通り、前記EV-PLCに関連付けられた前記バスバー入力幹線を通り、前記バスバー入力幹線に関連付けられた接続ペアの充電ポートを通り、前記接続ペアの充電ポートに関連付けられた接続ペアの充電コネクタを通り、前記接続ペアの充電コネクタに関連付けられた前記電力線を通り、前記電力線に関連付けられた前記CP-PLCを通り、前記CP-PLCに関連付けられた前記SECCへと至り、
(4)前記MBCUは、
(a)各マルチパイル充電セッション中に2つ以上の独立した充電セッションを調整して、マルチパイル充電プランに従って2つ以上の充電ポートを通じて各バッテリーセルを同時に充電し、
(b)前記BCU-SECC通信経路の前記BCUから前記BCU-SECC通信経路の前記SECCまでの各BCU-SECC通信経路を通じた独立したプロトコルメッセージ交換により、独立した各充電セッションを管理し、独立した各充電セッションは、関連するBCU-SECC通信経路を通じて実行される、始動ステージと、充電ステージと、シャットダウンステージとを有するように構成された、前記MBCUとを有し、
(5)独立した各充電セッションの始動ステージ中に前記BCU-SECC通信経路を通じて実行される前記独立したプロトコルメッセージ交換は、
前記BCUから前記SECCへの前記電動乗り物の乗り物識別子の配信と、ここで、
前記SECCは、前記独立した充電セッションに対する許可要求とともに前記乗り物識別子をサーバーに転送し、
前記サーバーは、前記乗り物識別子に関連付けられた乗り物レコードのアカウント状態にアクセスし、許可されている場合には、前記独立した充電セッションに対する許可承認を発行し、
前記サーバーは、前記許可承認を前記SECCに返信し、
前記BCU-SECC通信経路に対する充電ポート識別子の配信と、
前記SECCから前記BCUへの前記独立した充電セッションの許可承認の返信と、
前記BCU-SECC通信経路に関連付けられた前記充電パイルに対するパラメータセットの配信とを有し、各パラメータセットは、出力電圧範囲および最大転送電流を含む、
を備えた前記乗り物電気システムと、
(c)ネットワークを通じて各充電パイルの前記SECCとのデータ通信を行う前記サーバーであって、前記サーバーは、複数の乗り物レコードと、複数のメーターレコードとを含むデータベースを有し、
(i)各乗り物レコードは、複数の乗り物の各々について、前記電動乗り物に対する乗り物識別子と、アカウント状態と、2つ以上の充電ポート識別子とを含み、
(ii)各メーターレコードは、少なくとも1つの乗り物識別子と、各マルチパイル充電セッションの充電セッションサマリーとを識別し、
(iii)各マルチパイル充電セッションの充電セッションサマリーは、前記マルチパイル充電セッションで使用される前記充電パイルに対する充電ポート識別子のリストを含む、
前記サーバーと、を備えたことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記ユーザーインターフェースデバイスは、前記電動乗り物の乗り物制御ユニットに統合されることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記マルチパイル充電セッションは、前記マルチパイル充電セッションで使用される充電パイル間でのデータ通信なしに実行されることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、
(a)前記MBCUは、各BCUのうちの1つを介して各BMUとのデータ通信を行い、
(b)始動ステージにおいて、前記MBCUまたは前記ユーザーインターフェースデバイスは、各BMUおよび複数のバスバーセンサーから前記MBCUによって受信されたセンサー情報に基づいて初期安全性チェックを実行し、
(c)充電ステージにおいて、前記MBCUまたは前記ユーザーインターフェースデバイスは、前記BMUおよび前記バスバーセンサーから前記MBCUによって受信されたセンサー情報に基づいて継続的な安全性評価を実行することを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムにおいて、
前記バスバーセンサーは、
(a)絶縁検出センサー、
(b)電流計、
(c)温度センサー、
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、
(a)前記ユーザーインターフェースデバイスは、前記ネットワークを通じて前記サーバーとのデータ通信を行い、
(b)前記ユーザーインターフェースデバイスは、
(i)カスタム充電プランであって、
(1)始動ステージが成功裏に完了した前記BCU-SECC通信経路に関連付けられた前記充電パイルから受信したパラメータセットであり、各充電パイルの出力電圧範囲および最大転送電流を含む、前記パラメータセットと、
(2)前記バッテリーの開始電力貯蔵量と、
(3)前記バッテリーの目標電力貯蔵量と、
(4)前記乗り物電気システムの安全限界値のセットとに基づいて計算される、前記カスタム充電プラン、
(ii)前記充電パイルのために事前構成された充電プランであって、前記ユーザーインターフェースデバイスを通じて前記サーバーからアクセス可能である、前記事前構成された充電プラン、
(iii)過去に前記電動乗り物によって成功裏に実行された、事前のマルチパイル充電プラン、
のうちの少なくとも1つに基づいて前記マルチパイル充電プランを組み上げるように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムにおいて、
(a)前記マルチパイル充電プランの安全性シミュレーションは、充電ステージの前に前記ユーザーインターフェースデバイスまたは前記サーバーによって実行され、
(b)各マルチパイル充電プランは、緊急シャットダウンプロトコルを含み、
(c)充電ステージの開始には、前記電動乗り物の認証されたユーザーによる、前記マルチパイル充電プランの前記ユーザーインターフェースデバイスを通じた事前のレビューおよび許可が必要であり、
(d)前記ユーザーインターフェースデバイスまたは前記サーバーは、各マルチパイル充電セッションのセンサー情報ログを記憶することを特徴とするシステム。
【請求項8】
マルチパイル充電セッションの乗り物側制御のためのコンピュータ実装方法であり、前記方法は、
(a)複数の充電パイルを管理するステップと、ここで、各充電パイルは、
(i)第1の端部で電源コネクタに電気的に接続され、第2の端部で充電コネクタに電気的に接続された電力線であって、
(1)前記電力線は、公共電力線に接続可能であり、
(2)前記電力線は、前記電源コネクタと前記充電コネクタの間に配置されたリレースイッチを含み、
(3)前記リレースイッチと前記充電コネクタの間の前記電力線に隣接して配置された充電パイル電力線通信モジュール(CP-PLC)を有する、前記電力線と、
(ii)供給装置通信コントローラ(SECC)であって、
(1)前記SECCは、前記リレースイッチおよび前記CP-PLCとのデータ通信を行い、
(2)前記SECCによる前記リレースイッチの作動により、前記公共電力線から前記電力線を通じて前記充電コネクタに電流が流れることが許可される、前記SECCとを備え、
(b)電動乗り物のための乗り物電気システムを管理するステップと、ここで、前記乗り物電気システムは、
(i)複数のバッテリー管理ユニット(BMU)および複数のバッテリーセルを含むバッテリーと、
(ii)少なくとも1つのバスバーバッテリー幹線を介して各バッテリーセルに電気的に接続されたバスバーリレーと、
(iii)複数の充電ポートであって、
(1)各充電ポートは、各充電パイルのうちの1つの前記充電コネクタに電気的に接続するように構成され、
(2)前記充電ポートは、前記充電コネクタに対して直接的に電気的に接続され、または前記充電ポートは、アンビリカルラインを通じて前記充電コネクタに対して間接的に電気的に接続される、前記複数の充電ポートと、
(iv)複数のバスバー入力幹線であって、
(1)各バスバー入力幹線は、第1の接続点で各充電ポートのうちの1つに電気的に接続され、第2の接続点で前記バスバーリレーに電気的に接続され、
(2)各バスバー入力幹線は、前記バスバー入力幹線に関連付けられた前記充電ポートと前記バスバーリレーの間で、前記バスバー入力幹線に隣接して配置された電動乗り物電力線通信モジュール(EV-PLC)とのデータ通信を行う、前記複数のバスバー入力幹線と、
(v)マスターバッテリー制御ユニット(MBCU)であって、
(1)前記MBCUは、複数のバッテリー制御ユニット(BCU)、前記バッテリーの各BMU、前記バスバーリレー、およびユーザーインターフェースデバイスとのデータ通信を行い、
(2)各BCUは、前記BCUに関連付けられた前記充電ポートと各充電コネクタのうちの1つとの接続ペアリング時に、各EV-PLCのうちの1つとデータ通信によりペアリングして、前記BCUに対するBCU-SECC通信経路を確立し、
(3)各BCUに対するBCU-SECC通信経路は、前記BCUから、前記BCUに関連付けられた前記EV-PLCを通り、前記EV-PLCに関連付けられた前記バスバー入力幹線を通り、前記バスバー入力幹線に関連付けられた接続ペアの充電ポートを通り、前記接続ペアの充電ポートに関連付けられた接続ペアの充電コネクタを通り、前記接続ペアの充電コネクタに関連付けられた前記電力線を通り、前記電力線に関連付けられた前記CP-PLCを通り、前記CP-PLCに関連付けられた前記SECCへと至る、前記MBCUとを有し、
(c)各マルチパイル充電セッション中に2つ以上の独立した充電セッションを前記MBCUで調整して、マルチパイル充電プランに従って2つ以上の充電ポートを通じて各バッテリーセルを同時に充電するステップと、
(d)前記BCU-SECC通信経路の前記BCUから前記BCU-SECC通信経路の前記SECCまでの各BCU-SECC通信経路を通じた独立したプロトコルメッセージ交換により、独立した各充電セッションを前記MBCUで管理するステップと、ここで、独立した各充電セッションは、関連するBCU-SECC通信経路を通じて実行される、始動ステージと、充電ステージと、シャットダウンステージとを有し、
独立した各充電セッションの始動ステージ中に前記BCU-SECC通信経路を通じて実行される前記独立したプロトコルメッセージ交換は、
前記BCUから前記SECCへの前記電動乗り物の乗り物識別子の配信と、ここで、
前記SECCは、前記独立した充電セッションに対する許可要求とともに前記乗り物識別子をサーバーに転送し、
前記サーバーは、前記乗り物識別子に関連付けられた乗り物レコードのアカウント状態にアクセスし、許可されている場合には、前記独立した充電セッションに対する許可承認を発行し、
前記サーバーは、前記許可承認を前記SECCに返信し、
前記BCU-SECC通信経路に対する充電ポート識別子の配信と、
前記SECCから前記BCUへの前記独立した充電セッションの許可承認の返信と、
前記BCU-SECC通信経路に関連付けられた前記充電パイルに対するパラメータセットの配信とを有し、各パラメータセットは、出力電圧範囲および最大転送電流を含み、
(e)ネットワークを通じて各充電パイルの前記SECCとのデータ通信を行う前記サーバーを管理するステップと、ここで、前記サーバーは、複数の乗り物レコードと、複数のメーターレコードとを含むデータベースを有し、
各乗り物レコードは、複数の乗り物の各々について、前記電動乗り物に対する乗り物識別子と、アカウント状態と、2つ以上の充電ポート識別子とを含み、
各メーターレコードは、少なくとも1つの乗り物識別子と、各マルチパイル充電セッションの充電セッションサマリーとを識別し、
各マルチパイル充電セッションの充電セッションサマリーは、前記マルチパイル充電セッションで使用される前記充電パイルに対する充電ポート識別子のリストを含む、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、
前記ユーザーインターフェースデバイスは、前記電動乗り物の乗り物制御ユニットに統合されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法において、
前記マルチパイル充電セッションは、前記マルチパイル充電セッションで使用される充電パイル間でのデータ通信なしに実行されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法において、
(a)前記MBCUは、各BCUのうちの1つを介して各BMUとのデータ通信を行い、
(b)始動ステージにおいて、前記MBCUまたは前記ユーザーインターフェースデバイスは、各BMUおよび複数のバスバーセンサーから前記MBCUによって受信されたセンサー情報に基づいて初期安全性チェックを実行し、
(c)充電ステージにおいて、前記MBCUまたは前記ユーザーインターフェースデバイスは、前記BMUおよび前記バスバーセンサーから前記MBCUによって受信されたセンサー情報に基づいて継続的な安全性評価を実行することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記バスバーセンサーは、
(a)絶縁検出センサー、
(b)電流計、
(c)温度センサー、
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項8に記載の方法において、
(a)前記ユーザーインターフェースデバイスは、前記ネットワークを通じて前記サーバーとのデータ通信を行い、
(b)前記ユーザーインターフェースデバイスは、
(i)カスタム充電プランであって、
(1)始動ステージが成功裏に完了した前記BCU-SECC通信経路に関連付けられた前記充電パイルから受信したパラメータセットであり、各充電パイルの出力電圧範囲および最大転送電流を含む、前記パラメータセットと、
(2)前記バッテリーの開始電力貯蔵量と、
(3)前記バッテリーの目標電力貯蔵量と、
(4)前記乗り物電気システムの安全限界値のセットとに基づいて計算される、前記カスタム充電プラン、
(ii)前記充電パイルのために事前構成された充電プランであって、前記ユーザーインターフェースデバイスを通じて前記サーバーからアクセス可能である、前記事前構成された充電プラン、
(iii)過去に前記電動乗り物によって成功裏に実行された、事前のマルチパイル充電プラン、
のうちの少なくとも1つに基づいて前記マルチパイル充電プランを組み上げるように構成されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
(a)前記マルチパイル充電プランの安全性シミュレーションは、充電ステージの前に前記ユーザーインターフェースデバイスまたは前記サーバーによって実行され、
(b)各マルチパイル充電プランは、緊急シャットダウンプロトコルを含み、
(c)充電ステージの開始には、前記電動乗り物の認証されたユーザーによる、前記マルチパイル充電プランの前記ユーザーインターフェースデバイスを通じた事前のレビューおよび許可が必要であり、
(d)前記ユーザーインターフェースデバイスまたは前記サーバーは、各マルチパイル充電セッションのセンサー情報ログを記憶することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動乗り物の充電に関する。より具体的には、本開示は、独立した充電セッションを含むマルチパイル充電セッションの乗り物側制御に関する。
【背景技術】
【0002】
充電サブステーションの充電パイルは、充電セッション中に電動乗り物へ電力を制御して伝送するために使用される。充電パイルは商業的に使用することができ、顧客は充電パイルを使用して、1つまたは複数の充電サブステーションを収容した充電施設で電動乗り物を充電する。各充電セッションの請求および許可を行うために、多くの場合、充電パイルはネットワークを通じてサーバーとのデータ通信を行う。サーバーは、通常、顧客の乗り物レコードと、充電パイルによって実行される各充電セッションを記録したメーターレコードとを含むデータベースを有する。充電セッションの始動ステージでは、通常、電動乗り物の乗り物識別子がサーバーに送信される。充電セッションのシャットダウンステージでは、最終的な電力供給量合計がサーバーのデータベースのメーターレコードに格納される。その後、ベンダー(供給主)はサーバーにアクセスして、充電セッションの顧客請求手続きを実行する。
【0003】
電動乗り物の充電ポートは充電パイルの充電コネクタに接続され、多くの場合、それらの間の距離をつなぐアンビリカルラインを通じて接続される。業界標準では、通常、(i)充電コネクタと充電ポートの寸法、(ii)充電パイルの電圧範囲、(iii)充電パイルの電流範囲、が規定される。充電パイルや個々の充電セッションの始動に関して広く実装されている業界標準は、ISO 15118/DIN 70121や国内標準GB/T27930-2015に含まれる。これらの規格に準拠した充電パイルは、さまざまなタイプの電動乗り物(一般に、乗用車、バス、フェリー、トロリー、列車)に使用することができる。
【0004】
乗用車の充電セッションに対しては、1つの充電パイルを使用するだけで十分な場合がある。しかしながら、バス、フェリー、トロリー、列車などの大型の電動乗り物では、搭載バッテリーへの大量の電力伝送が必要であり、1つの充電パイルでは適切な時間内に電力供給することができない。各充電パイルは自身の電力伝送速度(最大電圧や電流範囲に関連する)に制限があるため、大型の電動乗り物は、多くの場合、充電サブステーションに収容された複数の充電パイルから同時に充電する。複数の充電パイルを同時に使用するこれらの充電セッションは、デュアルガン充電セッション、複数ガン充電セッション、またはマルチパイル充電セッションと呼ばれることもある。
【0005】
マルチパイル充電セッションに関する刊行物の例として、2019年5月17日付の「充電方法および充電装置」と題された中国特許出願第CN109760545A号がある。この刊行物には、充電サブステーションの複数の充電パイルを使用して、マルチパイル充電セッションで電動乗り物を同時に充電することが記載されている。充電サブステーションの各充電パイルのうちの1つが、マスター充電パイルに指定される。充電サブステーションのマスター充電パイルは、それ自身の充電セッションと、同じ充電サブステーションの他の充電パイル(「スレーブ」充電パイルと呼ばれる)の充電セッションの両方を制御する。したがって、充電サブステーションの各々の充電パイルに対する個々の充電セッションの調整は、充電サブステーションのマスター充電パイルによって実行される。CN109760545Aでは、マルチパイル充電セッションを調整する方法を提示しているが、ハードウェアの変更(例えば、充電サブステーションの各充電パイル間の専用の通信回線)と、標準化された通信プロトコルに対するソフトウェアの変更(例えば、スレーブ充電ポートを通じた電動乗り物とスレーブ充電パイルの間の特定のプロトコルメッセージングの必要性を無効にするため)の両方が必要となる。
【0006】
従来技術における充電サブステーションの充電パイル間の専用のハードウェア通信リンクおよびソフトウェア駆動の調整の必要性は、互換性の問題を引き起こす可能性がある。第1の問題として、充電サブステーション用に最初に購入した機器が初期のセットアップ時点では完全に機能していたとしても、同じ充電サブステーション内の従来の充電パイルと新たに取得された充電パイルとの間の非互換性に関する問題が、時間の経過とともに発生する可能性がある。例えば、新たに購入した機器の型番が異なる場合や、全く異なるメーカーから購入した場合などである。
【0007】
第2の問題として、ある充電パイルが故障した場合、通信エラー信号により他の充電パイルの動作にも影響が出る可能性がある。例えば、充電サブステーションの充電パイルの始動中に検出された障害により、マルチパイル充電セッション全体が停止する可能性がある。
【0008】
第3の問題として、大規模な充電施設は、異なるベンダーによって運営される複数の充電サブステーションをサポートしている場合がある。これら複数の充電サブステーションは、互いに接続されていない場合がある。従来技術のマスター/スレーブプロトコルは、マスター充電パイルとスレーブ充電パイルが同じベンダーによって運営されることを前提としている(したがって、マスター充電パイルを経由するベンダーからの単一の許可のみが必要である)。このため、電動乗り物は、同じ充電施設にある複数のベンダーの充電サブステーションから選択された充電パイルを使用して、マルチパイル充電セッションを実行することができない。
【0009】
したがって、(i)各充電パイル間の専用の通信回線のセットも、(ii)充電サブステーションの充電パイル間の任意のソフトウェア駆動の調整も必要としない、変更なしの標準化された通信プロトコル下で動作する充電パイルでマルチパイル充電セッションを実行するためのシステムおよび方法が必要となる。
【発明の概要】
【0010】
最も一般的な形態において、本発明は、マルチパイル充電セッションの乗り物側制御のためのシステムまたは方法であり、このシステムは、(a)複数の充電パイルであって、各充電パイルは供給装置通信コントローラ(SECC;Supply Equipment Communication Controller)を含む、複数の充電パイルと、(b)複数のバッテリー制御ユニット(BCU;Battery Control Unit)とのデータ通信を行うマスターバッテリー制御ユニット(MBCU;Master Battery Control Unit)を有する電動乗り物のための乗り物電気システムとを備える。MBCUは、各マルチパイル充電セッション中にBCUを通じて2つ以上の独立した充電セッションを調整するように構成される。独立した各充電セッションは、BCU-SECC通信経路を通じた独立したプロトコルメッセージ交換で管理される。
【0011】
より詳細には、本発明の第1の実施形態は、マルチパイル充電セッションの乗り物側制御のためのシステムであり、このシステムは、(a)複数の充電パイルと、(b)電動乗り物のための乗り物電気システムとを備える。各充電パイルは、(i)第1の端部で電源コネクタに電気的に接続され、第2の端部で充電コネクタに電気的に接続された電力線と、(ii)供給装置通信コントローラ(SECC)とを備える。電力線は、公共電力線(utility line)に接続可能である。電力線は、電源コネクタと充電コネクタの間に配置されたリレースイッチを含む。充電パイル電力線通信モジュール(CP-PLC;Charging Pile Power Line Communication)は、リレースイッチと充電コネクタの間の電力線に隣接して配置される。SECCは、リレースイッチおよびCP-PLCとのデータ通信を行う。SECCによるリレースイッチの作動により、公共電力線から電力線を通じて充電コネクタに電流が流れることが許可される。乗り物電気システムは、(i)複数のバッテリー管理ユニット(BMU;Battery Management Unit)および複数のバッテリーセルを含むバッテリーと、(ii)少なくとも1つのバスバーバッテリー幹線を介してバッテリーセルに電気的に接続されたバスバーリレーと、(iii)複数の充電ポートと、(iv)複数のバスバー入力幹線と、(v)マスターバッテリー制御ユニット(MBCU)とを含む。各充電ポートは、各充電パイルのうちの1つの充電コネクタに電気的に接続するように構成される。充電ポートは、充電コネクタに対して直接的に電気的に接続され、または充電ポートは、アンビリカルラインを通じて充電コネクタに間接的に電気的に接続される。各バスバー入力幹線は、第1の接続点で各充電ポートのうちの1つに電気的に接続され、第2の接続点でバスバーリレーに電気的に接続される。各バスバー入力幹線は、バスバー入力幹線に関連付けられた充電ポートとバスバーリレーの間で、バスバー入力幹線に隣接して配置された電動乗り物電力線通信モジュール(EV-PLC;Electric Vehicle Power Line Communication)とのデータ通信を行う。MBCUは、複数のバッテリー制御ユニット(BCU)、バッテリーのBMU、バスバーリレー、およびユーザーインターフェースデバイスとのデータ通信を行う。各BCUは、BCUに関連付けられた充電ポートと各充電コネクタのうちの1つとの接続ペアリング時に、各EV-PLCのうちの1つとデータ通信によりペアリングして、BCUに対するBCU-SECC通信経路を確立する。各BCUに対するBCU-SECC通信経路は、BCUから、BCUに関連付けられたEV-PLCを通り、EV-PLCに関連付けられたバスバー入力幹線を通り、バスバー入力幹線に関連付けられた接続ペアの充電ポートを通り、接続ペアの充電ポートに関連付けられた接続ペアの充電コネクタを通り、接続ペアの充電コネクタに関連付けられた電力線を通り、電力線に関連付けられたCP-PLCを通り、CP-PLCに関連付けられたSECCへと至る。MBCUは、(a)各マルチパイル充電セッション中に2つ以上の独立した充電セッションを調整して、マルチパイル充電プランに従って2つ以上の充電ポートを通じて各バッテリーセルを同時に充電し、(b)BCU-SECC通信経路のBCUからBCU-SECC通信経路のSECCまでの各BCU-SECC通信経路を通じた独立したプロトコルメッセージ交換により、独立した各充電セッションを管理するように構成される。独立した各充電セッションは、関連するBCU-SECC通信経路を通じて実行される、始動ステージと、充電ステージと、シャットダウンステージとを有する。
【0012】
本発明の第2の実施形態は、マルチパイル充電セッションの乗り物側制御のためのコンピュータ実装方法であり、この方法は、(a)複数の充電パイルを管理するステップと、(b)電動乗り物のための乗り物電気システムを管理するステップと、(c)各マルチパイル充電セッション中に2つ以上の独立した充電セッションをMBCUで調整して、マルチパイル充電プランに従って2つ以上の充電ポートを通じて各バッテリーセルを同時に充電するステップと、(d)BCU-SECC通信経路のBCUからBCU-SECC通信経路のSECCまでの各BCU-SECC通信経路を通じた独立したプロトコルメッセージ交換により、独立した各充電セッションをMBCUで管理するステップとを含み、独立した各充電セッションは、関連するBCU-SECC通信経路を通じて実行される、始動ステージと、充電ステージと、シャットダウンステージとを有する。各充電パイルは、(i)第1の端部で電源コネクタに電気的に接続され、第2の端部で充電コネクタに電気的に接続された電力線と、(ii)供給装置通信コントローラ(SECC)とを含む。電力線は、公共電力線に接続可能である。電力線は、電源コネクタと充電コネクタの間に配置されたリレースイッチを含む。充電パイル電力線通信モジュール(CP-PLC)は、リレースイッチと充電コネクタの間の電力線に隣接して配置される。SECCは、リレースイッチおよびCP-PLCとのデータ通信を行う。SECCによるリレースイッチの作動により、公共電力線から電力線を通じて充電コネクタに電流が流れることが許可される。乗り物電気システムは、(i)複数のバッテリー管理ユニット(BMU)および複数のバッテリーセルを含むバッテリーと、(ii)少なくとも1つのバスバーバッテリー幹線を介してバッテリーセルに電気的に接続されたバスバーリレーと、(iii)複数の充電ポートと、(iv)複数のバスバー入力幹線と、(v)マスターバッテリー制御ユニット(MBCU)とを含む。各充電ポートは、各充電パイルのうちの1つの充電コネクタに電気的に接続するように構成される。充電ポートは、充電コネクタに対して直接的に電気的に接続され、または充電ポートは、アンビリカルラインを通じて充電コネクタに間接的に電気的に接続される。各バスバー入力幹線は、第1の接続点で各充電ポートのうちの1つに電気的に接続され、第2の接続点でバスバーリレーに電気的に接続される。各バスバー入力幹線は、バスバー入力幹線に関連付けられた充電ポートとバスバーリレーの間で、バスバー入力幹線に隣接して配置された電動乗り物電力線通信モジュール(EV-PLC)とのデータ通信を行う。MBCUは、複数のバッテリー制御ユニット(BCU)、バッテリーのBMU、バスバーリレー、およびユーザーインターフェースデバイスとのデータ通信を行う。各BCUは、BCUに関連付けられた充電ポートと各充電コネクタのうちの1つとの接続ペアリング時に、各EV-PLCのうちの1つとデータ通信によりペアリングして、BCUに対するBCU-SECC通信経路を確立する。各BCUに対するBCU-SECC通信経路は、BCUから、BCUに関連付けられたEV-PLCを通り、EV-PLCに関連付けられたバスバー入力幹線を通り、バスバー入力幹線に関連付けられた接続ペアの充電ポートを通り、接続ペアの充電ポートに関連付けられた接続ペアの充電コネクタを通り、接続ペアの充電コネクタに関連付けられた電力線を通り、電力線に関連付けられたCP-PLCを通り、CP-PLCに関連付けられたSECCへと至る。
【0013】
サーバーを備えた第1および第2の実施形態の代替の実施形態において、この実施形態は、ネットワークを通じて各充電パイルのSECCとのデータ通信を行うサーバーを更に含み、または管理し、サーバーは、複数の乗り物レコードと、複数のメーターレコードとを含むデータベースを備える。各乗り物レコードは、複数の乗り物の各々について、乗り物識別子と、アカウント状態とを含む。各メーターレコードは、少なくとも1つの乗り物識別子と、各マルチパイル充電セッションの充電セッションサマリーとを識別する。
【0014】
本発明の技術的目的は、(a)充電サブステーションの各充電パイル間の専用の通信回線を必要とせずに、マルチパイル充電セッションの独立した充電セッションを調整すること、および(b)マルチパイル充電セッション中のマスター/スレーブ調整を可能にする、充電サブステーションの専用ソフトウェアプロトコルを必要とせずに、マルチパイル充電セッションの独立した充電セッションを調整することを含む。したがって、本発明によれば、標準的なインフラストラクチャを使用したマルチパイル充電セッション(例えば、業界標準から外れたハードウェアやソフトウェアの変更を使用してマルチパイル充電セッションを調整できるような変更がされていない、充電サブステーションの充電パイルによって実行される独立した充電セッション)が可能となる。
【0015】
本発明は、従来の充電パイルと、同じ充電サブステーションに設置された新たに取得された充電パイルとの間の互換性の必要性を克服する。本発明は、充電パイルが業界標準に基本的に準拠していることだけを要求する。充電サブステーション内での充電パイル間の通信や調整は必要ない。異なるベンダーから充電パイルを購入した場合や、充電パイルの型番が混在した場合でも、本発明の性能に影響を与えることはない。
【0016】
本発明はまた、充電サブステーションの各充電パイルのうちの1つの故障を克服できる点でも優れている。本発明は、独立したプロトコルメッセージ交換を使用して、独立した各充電セッションのBCU-SECC通信経路を個別に初期化する。このアプローチにより、充電パイル間の相互依存関係が低減される。充電サブステーションの各充電パイルは、業界標準の最低限の準拠を維持することのみが要求される。各充電サブステーションのうちの1つの充電パイルが故障して業界標準に準拠できない場合、その充電サブステーション(または別の充電サブステーション)の別の充電パイルを、故障した充電パイルの代わりに交換することができる。
【0017】
本発明は、異なる充電サブステーションからの充電パイルを使用するマルチパイル充電セッションもサポートする。例えば、本発明によれば、マルチパイル充電セッションの第1の独立した充電セッションは、第1の充電サブステーションの第1の充電パイルを通じて、第1のサーバーによって管理される第1の顧客アカウントを通じて第1のベンダーから初期化することができる。マルチパイル充電セッションの第2の独立した充電セッションは、第2の充電サブステーションの第2の充電パイルを通じて、第2のサーバーによって管理される(同じ顧客の)第2の顧客アカウントを通じて第2のベンダーから初期化することができる。
【0018】
したがって、本発明は、(a)従来の充電パイルと新たに取得した充電パイルとの間の非互換性の問題の影響を低減し、(b)マルチパイル充電セッションにおける充電サブステーションの各充電パイルのうちの1つの故障の影響を低減し、(c)充電施設の別個の充電サブステーションからの充電パイルを、それらの充電サブステーションが異なるベンダーによって管理されている場合でも、使用可能とすることによって、従来技術を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示の実施形態は、本明細書にて、図面を参照して説明される。
図1は、本発明の一実施形態におけるシステムを表すブロック図である。
図2は、BCU-SECC通信経路をフォーカスした、本発明の一実施形態におけるシステムを表す簡略化されたブロック図である。
図3は、充電パイルと電動乗り物との間の電力伝送経路をフォーカスした、本発明の一実施形態におけるシステムを表す簡略化されたブロック図である。
図4は、本発明の一実施形態において実行されるステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成する添付の図面を参照する。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲に記載された例示的な実施形態は、限定を意味するものではない。本明細書に提示された主題の精神や範囲から逸脱することなく、他の実施形態を使用することができ、他の変更を加えることができる。特段の指定のない限り、本明細書で使用される「含む」、「備える」、「有する」(「comprising」、「comprise」、「including」、「include」など)といった用語や、それらの文法的変形は、列挙された要素を含むだけでなく、追加の列挙されていない要素も含むような、「オープンな」または「包括的な」用語を表すことを意図している。
【0021】
本明細書で使用される場合、「サーバー」のソフトウェアおよびハードウェアは、単一のスタンドアロンコンピュータ、スタンドアロンサーバー、複数の専用サーバー、および/または、サーバーの大規模ネットワークおよび/またはクラウドベースのサービス上で実行される仮装サーバー内に実装され得る。本明細書で使用される場合、「データベース」は、単一のスタンドアロンコンピュータ、データサーバー、複数の専用データサーバー、クラウドベースのサービス、および/またはサーバーのネットワーク上で実行される仮想サーバーに、データを格納したり、そこからデータにアクセスしたりすることができる。
【0022】
本明細書で使用される場合、「ユーザーインターフェースデバイス」は、ディスプレイモニタ、キーボード、マウス、タッチスクリーン、タッチパッド、および/またはプロセッサやソフトウェアを含むコンピューティングデバイスによって実装され得る。ユーザーインターフェースデバイスは、ラップトップ、スマートフォン、タブレット、単一のスタンドアロンコンピュータ、または乗り物制御ユニットのカスタマイズされたユーザー対話デバイスとして構成され得る。
【0023】
図1は、サーバー13、ネットワーク12、複数の充電パイル10A、およびフェリー14を備える本発明の一実施形態におけるシステムを表すブロック図である。この同じシステムのデータ通信をフォーカスした図1の構成が、図2に示されている。電力会社(utility provider)11からバッテリーセル15Cへの電流の経路をフォーカスした図1の詳細が、図3に示されている。
【0024】
なお、図1は、フェリー14での本発明の使用を示しているが、本発明は、マルチパイル充電セッションの恩恵を受ける任意のタイプの電動乗り物に適用可能であることに留意されたい。例えば、本発明は、バス、トロリー、電車にも使用することができる。
【0025】
図1に示すように、充電サブステーションは3つの充電パイル10Aを備えている。各充電パイル10A(図1では最上部の充電パイル10Aとして表す)は、第1の端部で電力コネクタ10Dに接続され、第2の端部で充電コネクタ10Fに接続された電力線10Hを含む。電力線10Hは、電力コネクタ10Dと充電コネクタ10Fとの間に、供給装置通信コントローラ(SECC)10Bによって制御されるリレースイッチ10Cを含む。各電源コネクタ10Dは、電力会社11に接続された公共電力線(UL、UL、UL)に電気的に接続されている。SECC10Bは、ネットワーク12を通じてサーバー13とのデータ通信を行う。SECC10Bはまた、充電パイル電力線通信モジュール(以下「CP-PLC」と称す)10Eを通じて電力線10Hとのデータ通信を行う。図1は、充電サブステーション10内の3つの充電パイル10Aを示しているが、本発明は、各マルチパイル充電セッションに対して2つ以上の充電パイル10Aを使用することができ、これらの充電パイル10Aは、同じ充電サブステーション10内、または別々の充電サブステーション10内に配置することができる。
【0026】
図1および図3に示すように、本発明の電動乗り物は、船用プロペラ20を駆動する電気モータ19を備えたフェリー14である。電気モータ19はバッテリー15のバッテリーセル15Cによって電力供給され、(i)バッテリーセル5Cからバスバーバッテリー幹線16Aを通じてバスバーリレー16に電流が流れ、(ii)バスバーリレー16からバスバーエンジン幹線16Bを通じて電気モータ19に電流が流れる。充電サブステーション10の各充電パイル10Aの電力線10Hからの充電電流は、充電パイル10Aの充電コネクタ10Fからアンビリカルライン10Gを通じてフェリー14の充電ポート(CP、CP、CP)まで、フェリー14内に流れる。バッテリー15は、複数のバッテリー管理ユニット(BMU)15Aと、複数のバッテリーセンサー15Bと、バッテリーセル15Cとを含む。バスバーリレー16は、第1の接続点で充電ポート(CP、CP、CP)に接続され、第2の接続点でバスバーリレー16に接続された3つのバスバーリレー幹線(BIT、BIT、BIT)との電気通信を行う。各バスバーリレー幹線(BIT、BIT、BIT)は、電動乗り物電力線通信モジュール(以下「EV-PLC」と称し、図1~2ではPLC、PLC、PLCとして識別される)を通じてバッテリー制御ユニット(以下「BCU」と称し、図1~2ではBCU、BCU、BCUとして識別される)とデータ通信でペアリングされる。マスターバッテリー制御ユニット(MBCU)18は、BMU15Aおよび複数のバッテリー制御ユニットとのデータ通信を行う。MBCU18は、少なくとも1つのBCU(図1および図2ではBCUとして示す)を介してBMU15Aとのデータ通信を行うように構成することができる。図1および図2には示されていないが、BMU15Aは、バッテリーセンサー15Bからセンサー情報を収集することができ、バッテリーセンサー15Bは、バッテリーセル15Cの電流、温度、および他のパラメータを監視するように構成することができる。
【0027】
図2に最も簡単に示すように、図示された3つのBCU(BCU、BCU、BCU)の各々は、BCU(BCU0、BCU1、BCU2)に関連付けられた充電ポート(CP、CP、CP)と各充電コネクタ10Fのうちの1つとの接続ペアリング時に、各EV-PLC(PLC、PLC、PLC)のうちの1つとデータ通信によりペアリングして、BCU(BCU、BCU、BCU)に対するBCU-SECC通信経路22を確立する。各BCU(BCU、BCU、BCU)に対するBCU-SECC通信経路22は、BCU(BCU、BCU、BCU)から、BCU(BCU、BCU、BCU)に関連付けられたEV-PLC(PLC、PLC、PLC)を通り、EV-PLC(PLC、PLC、PLC)に関連付けられたバスバー入力幹線(BIT、BIT、BIT)を通り、バスバー入力幹線(BIT、BIT、BIT)に関連付けられた接続ペアの充電ポート(CP、CP、CP)を通り、接続ペアの充電ポート(CP、CP、CP)に関連付けられた接続ペアの充電コネクタ10Fを通り、接続ペアの充電コネクタ10Fに関連付けられた電力線10Hを通り、電力線10Hに関連付けられたCP-PLC10Eを通り、CP-PLC10Eに関連付けられたSECC10Bへと至る。SECC10Bはまた、ネットワーク12を通じてサーバー13との通信を行う。各BCU(BCU、BCU、BCU)を制御するMBCU18は、少なくとも1つのBCU(図1および図2ではBCUとして示す)、バスバーリレー16、およびユーザーインターフェースデバイス17を介して、BMU15Aとのデータ通信を行うことに留意されたい。図1は、3セットのBCU-SECC通信経路22を示しているが、本発明は、2セット以上でも実施することができる。
【0028】
図4は、本発明の一実施形態において実行されるステップのフローチャート4-00である。ステップ4-01~ステップ4-08を以下に示す。
4-01 BMU15Aおよびバスバーリレー16の絶縁検知センサーからMBCU18によって受信されたセンサー情報に基づいてバッテリー15の安全性確認を行う。
4-02 別々のアンビリカルライン10Gを通じて充電コネクタ10Fと電動乗り物の充電ポート(CP、CP、CP)の各々の接続ペアリングを確立し、各接続ペアリングに対して1つのBCU-SECC通信経路22を作成する。
4-03 各BCU-SECC通信経路22に沿ってペアのBCU(BCU、BCU、BCU)とSECC10Bの間で独立したプロトコルメッセージ交換を確立する。
4-04 各BCU-SECC通信経路22を通じて電動乗り物の乗り物識別子を独立した充電セッションの許可要求とともにサーバー13に配信し、独立した充電セッションの許可承認を取得する。
4-05 各BCU-SECC通信経路22を通じて、充電パイル10Aの出力電圧範囲および最大転送電流を含む、BCU-SECC通信経路22に関連する充電パイル10Aのパラメータセットを受信する。
4-06 充電パイル10Aの各々から受信したパラメータセット、バッテリー15の開始電力貯蔵量および目標貯蔵量、および乗り物電気システムの安全限界値のセットに基づいてマルチパイル充電プランを作成する。
4-07 レビューの後、マルチパイル充電プランを許可し、各充電パイル10Aの充電ステージを開始し、各充電パイル10Aが独立した充電セッションを実行する。
4-08 独立した各充電セッションのシャットダウンステージを開始し、アンビリカルライン10Gを切断する。
【0029】
本発明の第1の実施形態は、マルチパイル充電セッションの乗り物側制御のためのシステムであり、このシステムは、(a)複数の充電パイル10Aと、(b)電動乗り物のための乗り物電気システムとを備える。各充電パイル10Aは、(i)第1の端部で電源コネクタ10Dに電気的に接続され、第2の端部で充電コネクタ10Fに電気的に接続された電力線10Hと、(ii)供給装置通信コントローラ(SECC)10Bとを備える。電力線10Hは、公共電力線(UL、UL、UL)に接続可能である。電力線10Hは、電源コネクタ10Dと充電コネクタ10Fの間に配置されたリレースイッチ10Cを含む。充電パイル電力線通信モジュール(CP-PLC)10Eは、リレースイッチ10Cと充電コネクタ10Fの間の電力線10Hに隣接して配置される。SECC10Bは、リレースイッチ10CおよびCP-PLC10Eとのデータ通信を行う。SECC10Bによるリレースイッチ10Cの作動により、公共電力線(UL、UL、UL)から電力線10Hを通じて充電コネクタ10Fに電流が流れることが許可される。乗り物電気システムは、(i)複数のバッテリー管理ユニット(BMU)15Aおよび複数のバッテリーセル15Cを含むバッテリー15と、(ii)少なくとも1つのバスバーバッテリー幹線16Aを介してバッテリーセル15Cに電気的に接続されたバスバーリレー16と、(iii)複数の充電ポート(CP、CP、CP)と、(iv)複数のバスバー入力幹線(BIT、BIT、BIT)と、(v)マスターバッテリー制御ユニット(MBCU)18とを含む。各充電ポート(CP、CP、CP)は、各充電パイル10Aのうちの1つの充電コネクタ10Fに電気的に接続するように構成される。充電ポート(CP、CP、CP)は、充電コネクタ10Fに対して直接的に電気的に接続され、または充電ポート(CP、CP、CP)は、アンビリカルライン10Gを通じて充電コネクタ10Fに間接的に電気的に接続される。各バスバー入力幹線(BIT、BIT、BIT)は、第1の接続点で各充電ポート(CP、CP、CP)のうちの1つに電気的に接続され、第2の接続点でバスバーリレー16に電気的に接続される。各バスバー入力幹線(BIT、BIT、BIT)は、バスバー入力幹線(BIT、BIT、BIT)に関連付けられた充電ポート(CP、CP、CP)とバスバーリレー16の間で、バスバー入力幹線(BIT、BIT、BIT)に隣接して配置された電動乗り物電力線通信モジュール(EV-PLC)(PLC、PLC、PLC)とのデータ通信を行う。MBCU18は、複数のバッテリー制御ユニット(BCU)(BCU、BCU、BCU)、バッテリー15のBMU15A、バスバーリレー16、およびユーザーインターフェースデバイス17とのデータ通信を行う。各BCU(BCU、BCU、BCU)は、BCU(BCU、BCU、BCU)に関連付けられた充電ポート(CP、CP、CP)と各充電コネクタ10Fのうちの1つとの接続ペアリング時に、各EV-PLC(PLC、PLC、PLC)のうちの1つとデータ通信によりペアリングして、BCU(BCU、BCU、BCU)に対するBCU-SECC通信経路22を確立する。各BCU(BCU、BCU、BCU)に対するBCU-SECC通信経路22は、BCU(BCU、BCU、BCU)から、BCU(BCU、BCU、BCU)に関連付けられたEV-PLC(PLC、PLC、PLC)を通り、EV-PLC(PLC、PLC、PLC)に関連付けられたバスバー入力幹線(BIT、BIT、BIT)を通り、バスバー入力幹線(BIT、BIT、BIT)に関連付けられた接続ペアの充電ポート(CP、CP、CP)を通り、接続ペアの充電ポート(CP、CP、CP)に関連付けられた接続ペアの充電コネクタ10Fを通り、接続ペアの充電コネクタ10Fに関連付けられた電力線10Hを通り、電力線10Hに関連付けられたCP-PLC10Eを通り、CP-PLC10Eに関連付けられたSECC10Bへと至る。MBCU18は、(a)各マルチパイル充電セッション中に2つ以上の独立した充電セッションを調整して、マルチパイル充電プランに従って2つ以上の充電ポート(CP、CP、CP)を通じてバッテリーセル15Cを同時に充電し、(b)BCU-SECC通信経路22のBCU(BCU、BCU、BCU)からBCU-SECC通信経路22のSECC10Bまでの各BCU-SECC通信経路22を通じた独立したプロトコルメッセージ交換により、独立した各充電セッションを管理するように構成される。独立した各充電セッションは、関連するBCU-SECC通信経路22を通じて実行される、始動ステージと、充電ステージと、シャットダウンステージとを有する。
【0030】
図1および図2には示されていないが、バッテリーセンサー15Bからのセンサー情報は、BMU15Aによって収集することができる。
【0031】
本発明の第2の実施形態は、マルチパイル充電セッションの乗り物側制御のためのコンピュータ実装方法であり、この方法は、(a)複数の充電パイル10Aを管理するステップと、(b)電動乗り物のための乗り物電気システムを管理するステップと、(c)各マルチパイル充電セッション中に2つ以上の独立した充電セッションをMBCU18と調整して、マルチパイル充電プランに従って2つ以上の充電ポート(CP、CP、CP)を通じてバッテリーセル15Cを同時に充電するステップと、(d)BCU-SECC通信経路22のBCU(BCU、BCU、BCU)からBCU-SECC通信経路22のSECCまでの各BCU-SECC通信経路22を通じた独立したプロトコルメッセージ交換により、独立した各充電セッションをMBCU18で管理するステップとを含み、独立した各充電セッションは、関連するBCU-SECC通信経路22を通じて実行される、始動ステージと、充電ステージと、シャットダウンステージとを有する。各充電パイル10Aは、(i)第1の端部で電力コネクタ10Dに電気的に接続され、第2の端部で充電コネクタ10Fに電気的に接続された電力線10Hと、(ii)供給装置通信コントローラ(SECC)10Bとを含む。電力線10Hは、公共電力線(UL、UL、UL)に接続可能である。電力線10Hは、電力コネクタ10Dと充電コネクタ10Fの間に配置されたリレースイッチ10Cを含む。充電パイル電力線通信モジュール(CP-PLC)10Eは、リレースイッチ10Cと充電コネクタ10Fの間の電力線10Hに隣接して配置される。SECC10Bは、リレースイッチ10CおよびCP-PLC10Eとのデータ通信を行う。SECC10Bによるリレースイッチ10Cの作動により、公共電力線(UL、UL、UL)から電力線10Hを通じて充電コネクタ10Fに電流が流れることが許可される。乗り物電気システムは、(i)複数のバッテリー管理ユニット(BMU)15Aおよび複数のバッテリーセル15Cを含むバッテリー15と、(ii)少なくとも1つのバスバーバッテリー幹線16Aを介してバッテリーセル15Cに電気的に接続されたバスバーリレー16と、(iii)複数の充電ポート(CP、CP、CP)と、(iv)複数のバスバー入力幹線(BIT、BIT、BIT)と、(v)マスターバッテリー制御ユニット(MBCU)18とを含む。各充電ポート(CP、CP、CP)は、各充電パイル10Aのうちの1つの充電コネクタ10Fに電気的に接続するように構成される。充電ポート(CP、CP、CP)は、充電コネクタ10Fに対して直接的に電気的に接続され、また充電ポート(CP、CP、CP)は、アンビリカルライン10Gを通じて充電コネクタ10Fに間接的に電気的に接続される。各バスバー入力幹線(BIT、BIT、BIT)は、第1の接続点で各充電ポート(CP、CP、CP)のうちの1つに電気的に接続され、第2の接続点でバスバーリレー16に電気的に接続される。各バスバー入力幹線(BIT、BIT、BIT)は、バスバー入力幹線(BIT、BIT、BIT)に関連付けられた充電ポート(CP、CP、CP)とバスバーリレー16の間で、バスバー入力幹線(BIT、BIT、BIT)に隣接して配置された電動乗り物電力線通信モジュール(EV-PLC)(PLC、PLC、PLC)とのデータ通信を行う。MBCU18は、複数のバッテリー制御ユニット(BCU)(BCU、BCU、BCU)、バッテリー15のBMU15A、バスバーリレー16、およびユーザーインターフェースデバイス17とのデータ通信を行う。各BCU(BCU、BCU、BCU)は、BCU(BCU、BCU、BCU)に関連付けられた充電ポート(CP、CP、CP)と各充電コネクタ10Fのうちの1つとの接続ペアリング時に、各EV-PLC(PLC、PLC、PLC)のうちの1つとデータ通信によりペアリングして、BCU(BCU、BCU、BCU)に対するBCU-SECC通信経路22を確立する。各BCU(BCU、BCU、BCU)に対するBCU-SECC通信経路22は、BCU(BCU、BCU、BCU)から、BCU(BCU、BCU、BCU)に関連付けられたEV-PLC(PLC、PLC、PLC)を通り、EV-PLC(PLC、PLC、PLC)に関連付けられたバスバー入力幹線(BIT、BIT、BIT)を通り、バスバー入力幹線(BIT、BIT、BIT)に関連付けられた接続ペアの充電ポート(CP、CP、CP)を通り、接続ペアの充電ポート(CP、CP、CP)に関連付けられた接続ペアの充電コネクタ10Fを通り、接続ペアの充電コネクタ10Fに関連付けられた電力線10Hを通り、電力線10Hに関連付けられたCP-PLC10Eを通り、CP-PLC10Eに関連付けられたSECC10Bへと至る。
【0032】
図1および図2には示されていないが、バッテリーセンサー15Bからのセンサー情報は、BMU15Aによって収集することができる。
【0033】
第1および第2の実施形態の代替の実施形態において、ユーザーインターフェースデバイス17は、電動乗り物の乗り物制御ユニットに統合される。例えば、フェリー14の乗り物制御ユニットは、通常、フェリー14のブリッジ上にあるであろう。
【0034】
第1および第2の実施形態の代替の実施形態において、マルチパイル充電セッションは、マルチパイル充電セッションで使用される充電パイル10A間でのデータ通信なしに実行される。
【0035】
この代替の実施形態は、例えば、異なる充電サブステーション10からの充電パイル10Aを使用して、マルチパイル充電セッションを実施できることを明らかにする。別々のサーバー13との通信を介して別々のベンダーによって許可された独立した充電セッションを使用して、マルチパイル充電セッションを実行することもできる。
【0036】
第1および第2の実施形態の代替の実施形態において、(a)MBCU18は、各BCU15Aのうちの1つを介してBMU15Aとのデータ通信を行い、(b)始動ステージにおいて、MBCU18またはユーザーインターフェースデバイス17は、BMU15Aおよび複数のバスバーセンサーからMBCU18によって受信されたセンサー情報に基づいて初期安全性チェックを実行し、(c)充電ステージ中に、MBCU18またはユーザーインターフェースデバイス17は、BMU15AおよびバスバーセンサーからMBCU18によって受信されたセンサー情報に基づいて継続的な安全性評価を実行する。この代替の実施形態において、バスバーセンサーは、代替として、(a)絶縁検出センサー、(b)電流計、(c)温度センサー、のうちの少なくとも1つを含むこともできる。
【0037】
MBCU18を使用して、マルチパイル充電セッションと、安全性チェック/評価に使用されるクリティカルなセンサーの両方を管理することで、新たな安全性の問題に迅速に対応できるようになる。例えば、MBCU18は、BCU(BCU、BCU、BCU)を通じて充電パイル10Aの各々とのデータ通信を行うだけでなく、バッテリー15およびバスバーリレー16内の重要なセンサーへのアクセスも行うため、MBCU18は、必要に応じて独立した充電セッションの緊急シャットダウンを開始できるように適切に配置される。
【0038】
サーバー13を備えた第1および第2の実施形態の代替の実施形態において、この実施形態は、ネットワーク12を通じて各充電パイル10AのSECC10Bとのデータ通信を行うサーバー13を更に含むか、または管理し、サーバー13は、複数の乗り物レコードと、複数のメーターレコードとを含むデータベースを備える。各乗り物レコードは、複数の乗り物の各々について、乗り物識別子と、アカウント状態とを含む。各メーターレコードは、少なくとも1つの乗り物識別子と、各マルチパイル充電セッションの充電セッションサマリーとを識別する。
【0039】
サーバー13を備えた第1および第2の実施形態の第1の代替実施形態において、この実施形態は、ネットワーク12を通じて各充電パイル10AのSECC10Bとのデータ通信を行うサーバー13を更に含むか、または管理し、サーバー13は、複数の乗り物レコードと、複数のメーターレコードとを含むデータベースを備える。各乗り物レコードは、複数の乗り物の各々について、乗り物識別子と、アカウント状態とを含む。各メーターレコードは、少なくとも1つの乗り物識別子と、各マルチパイル充電セッションの充電セッションサマリーとを識別する。独立した各充電セッションの始動ステージ中に、BCU-SECC通信経路22を通じて行われる独立したプロトコルメッセージ交換は、(a)BCU(BCU、BCU、BCU)からSECC10Bへの電動乗り物の乗り物識別子の配信と、(b)SECC10BからBCU(BCU、BCU、BCU)への独立した充電セッションの許可承認の返信と、(c)BCU-SECC通信経路22に関連付けられた充電パイル10Aに対するパラメータセットの配信とを代替的に含んでもよく、各パラメータセットには、出力電圧範囲および最大転送電流が含まれる。SECC10Bは、独立した充電セッションに対する許可要求とともに乗り物識別子をサーバー13に転送する。サーバー13は、乗り物識別子に関連付けられた乗り物レコードのアカウント状態にアクセスし、許可されている場合には、独立した充電セッションに対する許可承認を発行する。サーバー13は、許可承認をSECC10Bに返信する。
【0040】
サーバー13を備えた第1および第2の実施形態の第2の代替実施形態において、この実施形態は、ネットワーク12を通じて各充電パイル10AのSECC10Bとのデータ通信を行うサーバー13を更に含むか、または管理し、サーバー13は、複数の乗り物レコードと、複数のメーターレコードとを含むデータベースを備える。各乗り物レコードは、複数の乗り物の各々について、乗り物識別子と、アカウント状態とを含む。各メーターレコードは、少なくとも1つの乗り物識別子と、各マルチパイル充電セッションの充電セッションサマリーとを識別する。独立した各充電セッションの始動ステージ中に、BCU-SECC通信経路22を通じて行われる独立したプロトコルメッセージ交換は、(a)BCU(BCU、BCU、BCU)からSECC10Bへの電動乗り物の乗り物識別子の配信と、(b)SECC10BからBCU(BCU、BCU、BCU)への独立した充電セッションの許可承認の返信と、(c)BCU-SECC通信経路22に関連付けられた充電パイル10Aに対するパラメータセットの配信とを代替的に含んでもよく、各パラメータセットには、出力電圧範囲および最大転送電流が含まれる。SECC10Bは、独立した充電セッションに対する許可要求とともに乗り物識別子をサーバー13に転送する。サーバー13は、乗り物識別子に関連付けられた乗り物レコードのアカウント状態にアクセスし、許可されている場合には、独立した充電セッションに対する許可承認を発行する。サーバー13は、許可承認をSECC10Bに返信する。始動ステージ中にBCU-SECC通信経路22を通じて行われる独立したプロトコルメッセージ交換には、BCU-SECC通信経路22に対する充電ポート(CP、CP、CP)識別子の配信が更に含まれる。データベース内の各乗り物レコードには、電動乗り物に対する2つ以上の充電ポート識別子が更に含まれる。各マルチパイル充電セッションの充電セッションサマリーには、マルチパイル充電セッションで使用される充電パイル10Aに対する充電ポート識別子のリストが含まれる。
【0041】
特にマルチポート充電セッションの場合、乗り物識別子の使用に加えて、どの充電ポート (CP、CP、CP)が使用されているかのレコードを管理することが重要である。この請求管理アプローチにより、複数の請求書項目が単一のマルチパイル請求セッションに関連していることが明確になる。また、超過料金のイベントが特定の充電ポート(CP、CP、CP)を使用した独立した充電セッションに関連している場合、電動乗り物の所有者は、その充電ポート(CP、CP、CP)に関連付けられたデータ通信ログおよび/または装置を調査することができる。
【0042】
サーバー13を備えた第1および第2の実施形態の第3の代替実施形態において、この実施形態は、ネットワーク12を通じて各充電パイル10AのSECC10Bとのデータ通信を行うサーバー13を更に含むか、または管理し、サーバー13は、複数の乗り物レコードと、複数のメーターレコードとを含むデータベースを備える。各乗り物レコードは、複数の乗り物の各々について、乗り物識別子と、アカウント状態とを含む。各メーターレコードは、少なくとも1つの乗り物識別子と、各マルチパイル充電セッションの充電セッションサマリーとを識別する。独立した各充電セッションの始動ステージ中に、BCU-SECC通信経路22を通じて行われる独立したプロトコルメッセージ交換は、(a)BCU(BCU、BCU、BCU)からSECC10Bへの電動乗り物の乗り物識別子の配信と、(b)SECC10BからBCU(BCU、BCU、BCU)への独立した充電セッションの許可承認の返信と、(c)BCU-SECC通信経路22に関連付けられた充電パイル10Aに対するパラメータセットの配信とを代替的に含んでもよく、各パラメータセットには、出力電圧範囲および最大転送電流が含まれる。SECC10Bは、独立した充電セッションに対する許可要求とともに乗り物識別子をサーバー13に転送する。サーバー13は、乗り物識別子に関連付けられた乗り物レコードのアカウント状態にアクセスし、許可されている場合には、独立した充電セッションに対する許可承認を発行する。サーバー13は、許可承認をSECC10Bに返信する。ユーザーインターフェースデバイス17は、ネットワーク12を通じてサーバー13とのデータ通信を行う。ユーザーインターフェースデバイスは、(i)カスタム充電プラン、(ii)充電パイル10Aのために事前構成された充電プランであって、ユーザーインターフェースデバイスを通じてサーバー13からアクセス可能である、事前構成された充電プラン、(iii)過去に電動乗り物によって成功裏に実行された、事前のマルチパイル充電プラン、のうちの少なくとも1つに基づいてマルチパイル充電プランを組み上げるように構成される。カスタム充電プランは、(1)始動ステージが成功裏に完了したBCU-SECC通信経路22に関連付けられた充電パイル10Aから受信したパラメータセット(各充電パイル10Aの出力電圧範囲および最大転送電流を含む)と、(2)バッテリー15の開始電力貯蔵量と、(3)バッテリー15の目標電力貯蔵量と、(4)乗り物電気システムの安全限界値のセットとに基づいて計算される。
【0043】
過去のマルチパイル充電プランの詳細を将来のマルチパイル充電セッションで使用して、電力伝送効率を高め、バッテリー15の寿命を延ばし、機器の故障を減らし、安全性を高めることができる。過去のマルチパイル充電セッションの詳細の分析は、将来の電力消費予算を予測し、充電サブステーション10および乗り物電気システムの将来の設計を潜在的に改善するために使用することもできる。
【0044】
サーバー13を備えた第1および第2の実施形態の第4の代替実施形態において、この実施形態は、ネットワーク12を通じて各充電パイル10AのSECC10Bとのデータ通信を行うサーバー13を更に含むか、または管理し、サーバー13は、複数の乗り物レコードと、複数のメーターレコードとを含むデータベースを備える。各乗り物レコードは、複数の乗り物の各々について、乗り物識別子と、アカウント状態とを含む。各メーターレコードは、少なくとも1つの乗り物識別子と、各マルチパイル充電セッションの充電セッションサマリーとを識別する。独立した各充電セッションの始動ステージ中に、BCU-SECC通信経路22を通じて行われる独立したプロトコルメッセージ交換は、(a)BCU(BCU、BCU、BCU)からSECC10Bへの電動乗り物の乗り物識別子の配信と、(b)SECC10BからBCU(BCU、BCU、BCU)への独立した充電セッションの許可承認の返信と、(c)BCU-SECC通信経路22に関連付けられた充電パイル10Aに対するパラメータセットの配信とを代替的に含んでもよく、各パラメータセットには、出力電圧範囲および最大転送電流が含まれる。SECC10Bは、独立した充電セッションに対する許可要求とともに乗り物識別子をサーバー13に転送する。サーバー13は、乗り物識別子に関連付けられた乗り物レコードのアカウント状態にアクセスし、許可されている場合には、独立した充電セッションに対する許可承認を発行する。サーバー13は、許可承認をSECC10Bに返信する。ユーザーインターフェースデバイスは、ネットワーク12を通じてサーバー13とのデータ通信を行う。ユーザーインターフェースデバイスは、(i)カスタム充電プラン、(ii)充電パイル10Aのために事前構成された充電プランであって、ユーザーインターフェースデバイスを通じてサーバー13からアクセス可能である、事前構成された充電プラン、(iii)過去に電動乗り物によって成功裏に実行された、事前のマルチパイル充電プラン、のうちの少なくとも1つに基づいてマルチパイル充電プランを組み上げるように構成される。カスタム充電プランは、(1)始動ステージが成功裏に完了したBCU-SECC通信経路22に関連付けられた充電パイル10Aから受信したパラメータセット(各充電パイル10Aの出力電圧範囲および最大転送電流を含む)と、(2)バッテリー15の開始電力貯蔵量と、(3)バッテリー15の目標電力貯蔵量と、(4)乗り物電気システムの安全限界値のセットとに基づいて計算される。マルチパイル充電プランの安全性シミュレーションは、充電ステージの前にユーザーインターフェースデバイスまたはサーバー13によって実行される。各マルチパイル充電プランには、緊急シャットダウンプロトコルが含まれる。充電ステージの開始には、電動乗り物の認証されたユーザーによる、マルチパイル充電プランのユーザーインターフェースデバイスを通じた事前のレビューおよび許可が必要となる。ユーザーインターフェースデバイスまたはサーバー13は、各マルチパイル充電セッションのセンサー情報ログを記憶する。
【0045】
許可承認は、例えば、フェリー14の請求および/または安全手順への適切な順守を保証するために、フェリー14の船長または他の訓練を受けた船員のログインおよびパスワードを要求することによって確立することができる。AI/MLを使用して、過去のマルチパイル充電セッション中に電動乗り物からのセンサーログの詳細を分析することで、将来のマルチパイル充電プランを改善することができる。
【0046】
本明細書では様々な態様および実施形態が開示されているが、当業者であれば、上記の開示を読めば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明の他の様々な修正および適応を行えるであろうことは明らかであり、このような修正および適応はすべて、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。本明細書に開示される様々な態様および実施形態は、例示を目的としたものであり、限定することを意図したものではなく、本発明の真の範囲および精神は添付の特許請求の範囲によって示される。

図1
図2
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図4