(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20240826BHJP
B01D 46/10 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B23Q11/00 Z
B23Q11/00 E
B01D46/10 E
(21)【出願番号】P 2023522074
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 JP2021018969
(87)【国際公開番号】W WO2022244136
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-09-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【氏名又は名称】北原 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【氏名又は名称】藤原 賢司
(72)【発明者】
【氏名】山本 幸佑
(72)【発明者】
【氏名】小菅 正裕
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-089032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00,11/08-11/10;
B01D 45/00-46/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの加工エリアを有する本体と、
前記加工エリアにクーラントを吐出するための吐出部と、
前記吐出部が前記加工エリアにクーラントを吐出することにより発生した気中の物質を吸引するためのミストコレクタとを備え、
前記ミストコレクタは、前記加工エリアに開口する吸気口と前記本体の外側に排気する排気口とを具備するハウジングと、前記ハウジング内に設けられており、前記物質を除去するための第1フィルタと、前記ハウジング内において前記第1フィルタよりも前記排気口側に設けられており、前記加工エリアから吸気し、前記ハウジングの前記吸気口から前記排気口に至る気流を前記ハウジング内に形成するファンとを含み、
前記ハウジングから分岐し、前記第1フィルタを通過した前記物質を前記本体に排出するように構成されたドレンと、
前記第1フィルタを通過した前記物質を前記ミストコレクタから前記ドレンに吸引するための吸引機構とを備え、
前記ドレンは、前記ハウジングにおいて前記第1フィルタよりも下流側であり、かつ、前記ファンよりも上流側から分岐し、前記第1フィルタを通過して前記ファンを通過する前の前記物質を前記本体に排出するように構成されている、工作機械。
【請求項2】
前記本体は、前記加工エリアを区画形成するためのカバー体を含み、
前記ドレンの他端は、前記カバー体に連結されている、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記本体は、
前記加工エリアを区画形成するためのカバー体と、
前記吐出部から前記加工エリアに吐出されたクーラントを回収するための回収機構と、
前記回収機構によって回収されたクーラントを貯蔵するためのクーラントタンクとを含み、
前記ドレンの他端は、前記クーラントタンクに連結されている、請求項1に記載の工作機械。
【請求項4】
前記ミストコレクタは、前記ミストコレクタ内に固定されている多層の第2フィルタを含み、
前記本体から前記ミストコレクタに吸引された前記物質は、前記第1フィルタ、前記ファン、前記第2フィルタの順に通過する、請求項1~3のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項5】
前記第1フィルタは、回転可能に構成される回転フィルタであり、
前記工作機械は、さらに、
前記回転フィルタを洗浄するための洗浄機構と、
前記工作機械を制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、前記洗浄機構による前記回転フィルタの洗浄処理を実行している間に、
前記吸引機構による吸引処理を実行する、請求項2に記載の工作機械。
【請求項6】
ワークの加工エリアを有する本体と、
前記加工エリアにクーラントを吐出するための吐出部と、
前記吐出部が前記加工エリアにクーラントを吐出することにより発生した気中の物質を吸引するためのミストコレクタとを備え、前記ミストコレクタは、前記加工エリアに開口する吸気口と前記本体の外側に排気する排気口とを具備するハウジングと、前記ハウジング内に設けられており、前記物質を除去するための第1フィルタと、前記ハウジング内において前記第1フィルタよりも前記排気口側に設けられており、前記加工エリアから吸気し、前記ハウジングの前記吸気口から前記排気口に至る気流を前記ハウジング内に形成するファンとを含み、
前記ハウジングから分岐し、前記第1フィルタを通過した前記物質を前記本体に排出するように構成されたドレンと、
前記第1フィルタを通過した前記物質を前記ミストコレクタから前記ドレンに吸引するための吸引機構とを備え、
前記本体は、
前記加工エリアを区画形成するためのカバー体と、
前記吐出部から前記加工エリアに吐出されたクーラントを回収するための回収機構と、
前記回収機構によって回収されたクーラントを貯蔵するためのクーラントタンクとを含み、
前記ドレンの一端は、前記ミストコレクタの前記ハウジングに連結されており、
前記ドレンの他端は、前記クーラントタンクに連結されている、工作機械。
【請求項7】
工作機械であって、
ワークの加工エリアを有する本体と、
前記加工エリアにクーラントを吐出するための吐出部と、
前記吐出部が前記加工エリアにクーラントを吐出することにより発生した気中の物質を吸引するためのミストコレクタとを備え、前記ミストコレクタは、前記加工エリアに開口する吸気口と前記本体の外側に排気する排気口とを具備するハウジングと、前記ハウジング内に設けられており、前記物質を除去するための第1フィルタと、前記ハウジング内において前記第1フィルタよりも前記排気口側に設けられており、前記加工エリアから吸気し、前記ハウジングの前記吸気口から前記排気口に至る気流を前記ハウジング内に形成するファンとを含み、
前記ハウジングから分岐し、前記第1フィルタを通過した前記物質を前記本体に排出するように構成されたドレンと、
前記第1フィルタを通過した前記物質を前記ミストコレクタから前記ドレンに吸引するための吸引機構とを備え、
前記第1フィルタは、回転可能に構成される回転フィルタであり、
前記回転フィルタを洗浄するための洗浄機構と、
前記工作機械を制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、前記洗浄機構による前記回転フィルタの洗浄処理を実行している間に、前記吸引機構による吸引処理を実行する、工作機械。
【請求項8】
ワークの加工エリアを有する本体と、
前記加工エリアにクーラントを吐出するための吐出部と、
前記吐出部が前記加工エリアにクーラントを吐出することにより発生した気中の物質を吸引するためのミストコレクタを備え、
前記ミストコレクタは、
前記加工エリアに開口する吸気口と前記本体の外側に排気する排気口とを具備するハウジングと、
前記ハウジング内に設けられており、前記物質を除去するための第1フィルタと、
前記ハウジング内において前記第1フィルタよりも前記排気口側に設けられており、前記加工エリアから吸気し、前記ハウジングの前記吸気口から前記排気口に至る気流を前記ハウジング内に形成するファンと、
前記ハウジング内において前記ファンよりも下流側に固定されている第2フィルタとを含み、
前記ハウジングから分岐し、前記ミストコレクタの内部に吸引された前記物質を前記ミストコレクタの外部へ排出するように構成されたドレンと、
前記ミストコレクタ内の前記物質を前記ミストコレクタから前記ドレンに吸引するための吸引機構とを備え、
前記ファンは、その回転軸方向であり、前記第1フィルタ側に開口する吸入口と、
前記ファンの半径方向に開口する送風口とを具備し、
前記第2フィルタは、前記ファンの送風口よりも上方に設けられており、
前記本体から前記ミストコレクタに吸引された前記物質は、前記第1フィルタ、前記ファンの吸入口、前記ファンの送風口、前記第2フィルタの順に通過し、
前記ドレンの一端は、前記ファンの送風口と対向する位置または前記ファンの送風口よりも下方の位置に前記ハウジングに連結されている、工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ミストコレクタを備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械が工具でワークを加工する際には、熱が発生する。この発熱を抑えるために、工作機械は、クーラントをワークに吐出する。このとき、クーラントが気化し、工作機械内においてミストが発生する。また、気中には、当該ミストだけでなく、ワークの加工により発生した微小な切り屑なども含まれている。
【0003】
当該ミストや当該微小な切り屑などの気中の物質は、ミストコレクタによって収集される。これに関し、特許第6836683号公報(特許文献1)は、ミストコレクタを備えた工作機械を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ミストコレクタによって収集された気中の物質は、ミストコレクタ内のフィルタによって捕集される。しかしながら、当該物質は、ミストコレクタ内のフィルタを通過してしまうことがある。したがって、当該フィルタを通過した物質をミストコレクタから排出するための技術が望まれている。なお、特許文献1に開示される工作機械は、ミストコレクタ内のフィルタを通過した物質をミストコレクタから排出することを防ぐものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例では、工作機械は、ワークの加工エリアを有する本体と、上記加工エリアにクーラントを吐出するための吐出部と、上記吐出部が上記加工エリアにクーラントを吐出することにより発生した気中の物質を吸引するためのミストコレクタとを備える。上記ミストコレクタは、上記物質を除去するための第1フィルタを含む。上記工作機械は、上記第1フィルタを通過した上記物質を上記本体に排出するためのドレンと、上記第1フィルタを通過した上記物質を上記ミストコレクタから上記ドレンに吸引するための吸引機構とを備える。
【0007】
本開示の一例では、上記本体は、上記加工エリアを区画形成するためのカバー体を含む。上記ドレンの一端は、上記ミストコレクタに連結されている。上記ドレンの他端は、上記カバー体に連結されている。
【0008】
本開示の一例では、上記本体は、上記加工エリアを区画形成するためのカバー体と、上記吐出部から上記加工エリアに吐出されたクーラントを回収するための回収機構と、上記回収機構によって回収されたクーラントを貯蔵するためのクーラントタンクとを含む。上記ドレンの一端は、上記ミストコレクタに連結されている。上記ドレンの他端は、上記クーラントタンクに連結されている。
【0009】
本開示の一例では、上記ミストコレクタは、上記本体内の上記物質を上記本体から上記ミストコレクタに送風するためのファンと、上記ミストコレクタ内に固定されている多層の第2フィルタとを含む。上記本体から上記ミストコレクタに吸引された上記物質は、上記第1フィルタ、上記ファン、上記第2フィルタの順に通過する。上記ドレンの上記一端は、上記第1フィルタを通過して上記ファンを通過する前の上記物質を上記本体に排出するように上記ミストコレクタに連結されている。
【0010】
本開示の一例では、上記ミストコレクタは、上記本体から上記ミストコレクタに送風するためのファンと、上記ミストコレクタ内に固定されている多層の第2フィルタとを含む。上記本体から上記ミストコレクタに吸引された上記物質は、上記第1フィルタ、上記ファン、上記第2フィルタの順に通過する。上記ドレンの上記一端は、上記ファンを通過して上記第2フィルタを通過する前の上記物質を上記本体に排出するように上記ミストコレクタに連結されている。
【0011】
本開示の一例では、上記第1フィルタは、回転可能に構成される回転フィルタである。上記工作機械は、さらに、上記回転フィルタを洗浄するための洗浄機構と、上記工作機械を制御するための制御部とを備える。上記制御部は、上記洗浄機構による上記回転フィルタの洗浄処理を実行している間に、上記吸引機構による吸引処理を実行する。
【0012】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】
図2とは異なる方向から工作機械内の様子を表わす図である。
【
図4】工作機械における駆動機構の構成例を示す図である。
【
図5】クーラントの循環機構の一例を示す図である。
【
図6】
図1に示されるミストコレクタの断面図を示す図である。
【
図7】ミストコレクタおよび本体間におけるドレンの連結態様の一例を示す図である。
【
図8】ミストコレクタおよび本体間におけるドレンの連結態様の他の例を示す図である。
【
図9】ミストコレクタおよび本体間におけるドレンの連結態様の他の例を示す図である。
【
図10】ミストコレクタおよび本体間におけるドレンの連結態様の他の例を示す図である。
【
図11】
図1に示されるミストコレクタの断面図を示す図である。
【
図12】工作機械の制御部が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0015】
<A.工作機械100の外観>
図1を参照して、実施の形態に従う工作機械100について説明する。
図1は、工作機械100の外観を示す図である。
【0016】
本明細書でいう「工作機械」とは、ワークを加工する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。本明細書では、工作機械100の一例として、横形のマシニングセンタを例に挙げて説明を行うが、工作機械100は、これに限定されない。たとえば、工作機械100は、縦形のマシニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械100は、旋盤であってもよいし、付加加工機であってもよいし、その他の切削機械や研削機械であってもよい。さらに、工作機械100は、これらを複合した複合機であってもよい。
【0017】
図1に示されるように、工作機械100は、ミストコレクタ40と、加工機能を備えた本体130とを含む。本体130は、その一部を構成するカバー体130Aを有する。カバー体130Aは、スプラッシュガードとも呼ばれ、工作機械100の外観を成すとともに、ワークWの加工エリアAR(
図2参照)を区画形成している。
【0018】
ミストコレクタ40は、本体130内の気中の物質(以下、「微小物質」ともいう。)を収集可能なようにカバー体130Aの天井部分に連結されている。これにより、ミストコレクタ40は、機内の微小物質が工作機械100外に漏れることを防ぐ。ミストコレクタ40によって収集される微小物質は、たとえば、クーラントの排出により発生したミストと、ワークの加工により発生した微小な切り屑と、気中を浮遊するその他の異物などを含む。
【0019】
なお、ミストコレクタ40の設置位置は、工作機械100の天井に限定されない。たとえば、ミストコレクタ40は、工作機械100の側面に設けられてもよい。また、ミストコレクタ40は、工作機械100とは別の場所に設けられてもよい。この場合、ミストコレクタ40は、工作機械100と配管などで繋がれる。
【0020】
<B.工作機械100の内部構成>
次に、
図2および
図3を参照して、工作機械100の内部構成について説明する。
図2は、工作機械100内の様子を表わす図である。
図3は、
図2とは異なる方向から工作機械100内の様子を表わす図である。
【0021】
図2および
図3に示されるように、工作機械100は、その内部に、クーラントの吐出部125と、主軸頭131と、工具134と、テーブル136と、回収機構150とを含む。主軸頭131は、主軸132と、ハウジング133とを含む。
【0022】
説明の便宜のために、以下では、主軸132の軸方向を「Z軸方向」とも称する。重力方向を「Y軸方向」とも称する。Y軸方向およびZ軸方向の両方に直交する方向を「X軸方向」と称する。
【0023】
カバー体130Aの天井には開口135が形成されている。上述のミストコレクタ40は、開口135を覆うように設けられる。これにより、ミストコレクタ40は、開口135を介して加工エリアARから微小物質を収集する。
【0024】
吐出部125は、工作機械100内に設けられ、ワークWの加工により生じた切り屑を回収機構150に排出するためにクーラントを吐出する。吐出部125は、1つ以上の吐出機構で構成されている。
図2および
図3には、吐出部125の一例として、吐出機構125A,125Bが示されている。
【0025】
吐出機構125Aは、主軸頭131に設けられている。吐出機構125Aは、主軸頭131のハウジング133を通じて主軸132の端面からクーラントを吐出するサイドスルー仕様であってもよいし、主軸頭131の主軸中心を通じて主軸頭131に保持された工具の刃先からクーラントを吐出するセンタースルー仕様であってもよい。吐出機構125Aは、主に、ワークの加工点にクーラントを吐出することにより、主軸132および工具134に付着した切り屑を除去したり、ワークの加工点の発熱を抑えたりする。吐出機構125Aは、X軸方向を回転軸とした回転方向(すなわち、A軸方向)に駆動可能に構成されるとともに、Z軸方向を回転軸とした回転方向(すなわち、C軸方向)に駆動可能に構成される。これにより、吐出機構125Aは、A軸方向およびC軸方向におけるクーラントの吐出方向を変える。
【0026】
吐出機構125Bは、吐出機構125Aよりも上方に設けられている。吐出機構125Bは、たとえば、カバー体130Aの天井部分に取り付けられる。吐出機構125Bは、主に、カバー体130Aから加工エリアARの全体にクーラントを吐出する。これにより、ワークWの加工に伴って生じた切り屑が加工エリアAR内から回収機構150に排出される。
【0027】
主軸132は、ハウジング133の内部に設けられている。主軸132には、被加工物であるワークWを加工するための工具が装着される。
図2および
図3の例では、ワークWのミーリング加工に用いられる工具134が主軸132に装着されている。
【0028】
切り屑の回収機構150は、ワークWの加工によって生じた切り屑を加工エリアARの外へ排出するための機構である。
【0029】
<C.工作機械100の駆動機構>
次に、
図4を参照して、工作機械100における各種の駆動機構について説明する。
図4は、工作機械100における駆動機構の構成例を示す図である。
【0030】
図4に示されるように、工作機械100は、制御部50と、吸引機構66と、ポンプ109と、モータドライバ111A,111R,111X~111Zと、モータ112A,112R,112X~112Zと、移動体113と、吐出機構125A,125Bと、主軸頭131と、工具134と、テーブル136とを含む。
【0031】
本明細書でいう「制御部50」とは、工作機械100を制御する装置を意味する。制御部50の装置構成は、任意である。制御部50は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。
図4の例では、制御部50は、PLC(Programmable Logic Controller)としてのCPUユニット20と、CNC(Computer Numerical Control)ユニット30とで構成されている。CPUユニット20およびCNCユニット30は、通信経路B(たとえば、フィールドバスまたはLANケーブルなど)を介して互いに通信を行う。
【0032】
CPUユニット20は、予め設計されているPLCプログラムに従って、工作機械100内の各種ユニットを制御する。当該PLCプログラムは、たとえば、ラダープログラムで記述されている。
【0033】
一例として、CPUユニット20は、PLCプログラムに従って、吸引機構66を制御する。吸引機構66は、ミストコレクタ40のドレン65(
図6参照)に繋がれている。吸引機構66は、ドレン65内に空気を圧送し、ドレン65を介してミストコレクタ40内の微小物質を吸引する。吸引機構66によって吸引された微小物質は、工作機械100の本体130に戻される。CPUユニット20は、たとえば、PLCプログラムに従って、吸引機構66による吸引のオン/オフ、および吸引機構66による吸引量などを制御する。
【0034】
他の例として、CPUユニット20は、PLCプログラムに従って、ミストコレクタ40内のモータドライバ111Mを制御する。モータドライバ111Mは、モータ112Mの目標回転速度の入力をCPUユニット20から受け、モータ112Mを制御する。これにより、ミストコレクタ40の駆動のオン/オフ、およびミストコレクタ40によるミストの吸引量などが制御される。なお、モータ112Mは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0035】
他の例として、CPUユニット20は、PLCプログラムに従って、ポンプ109を制御し、吐出部125によるクーラントの吐出を制御する。これにより、クーラントの吐出のオン/オフ、およびクーラントの吐出量などが制御される。
【0036】
他の例として、CPUユニット20は、PLCプログラムに従って、モータドライバ111Aを制御する。モータドライバ111Aは、モータ112Aの目標回転速度の入力をCPUユニット20から受け、モータ112Aを制御する。これにより、回収機構150の駆動のオン/オフ、および回収機構150による切り屑の搬送速度などが制御される。なお、モータ112Aは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0037】
CNCユニット30は、CPUユニット20からの加工開始指令を受けたことに基づいて、予め設計されている加工プログラムの実行を開始する。当該加工プログラムは、たとえば、NC(Numerical Control)プログラムで記述されている。CNCユニット30は、当該加工プログラムに従ってモータドライバ111R,111X~111Zを制御し、テーブル136に固定されているワークWを加工する。
【0038】
モータドライバ111Rは、CNCユニット30から目標回転速度の入力を逐次的に受け、モータ112Rを制御する。モータ112Rは、Z軸方向を中心として主軸132を回転駆動する。モータ112Rは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0039】
モータ112Rがサーボモータである場合、モータドライバ111Rは、モータ112Rの回転角度を検知するためのエンコーダ(図示しない)のフィードバック信号からモータ112Rの実回転速度を算出する。そして、モータドライバ111Rは、算出した実回転速度が目標回転速度よりも小さい場合にはモータ112Rの回転速度を上げ、算出した実回転速度が目標回転速度よりも大きい場合にはモータ112Rの回転速度を下げる。このように、モータドライバ111Rは、モータ112Rの回転速度のフィードバックを逐次的に受けながらモータ112Rの回転速度を目標回転速度に近付ける。
【0040】
モータドライバ111Xは、CNCユニット30から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ112Xを制御する。モータ112Xは、主軸頭131が取り付けられている移動体113をボールネジ(図示しない)を介して送り駆動し、X方向の任意の位置に主軸132を移動する。モータドライバ111Xによるモータ112Xの制御方法は、モータドライバ111Rと同様であるので、その説明については繰り返さない。なお、モータ112Xは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0041】
モータドライバ111Yは、CNCユニット30から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ112Yを制御する。モータ112Yは、主軸頭131が取り付けられている移動体113をボールネジ(図示しない)を介して送り駆動し、Y方向の任意の位置に主軸132を移動する。モータドライバ111Yによるモータ112Yの制御方法は、モータドライバ111Rと同様であるので、その説明については繰り返さない。なお、モータ112Yは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0042】
モータドライバ111Zは、CNCユニット30から目標位置の入力を逐次的に受け、モータ112Zを制御する。モータ112Zは、主軸頭131が取り付けられている移動体113をボールネジ(図示しない)を介して送り駆動し、Z方向の任意の位置に主軸132を移動する。モータドライバ111Zによるモータ112Zの制御方法は、モータドライバ111Rと同様であるので、その説明については繰り返さない。なお、モータ112Zは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0043】
<D.クーラントの循環機構>
次に、
図5を参照して、クーラントの循環機構について説明する。
図5は、クーラントの循環機構の一例を示す図である。
【0044】
工作機械100は、加工機能を備えた本体130を有する。本体130は、カバー体130Aを少なくとも含む。本体130は、さらに、クーラントタンク130Bを含んでもよい。
【0045】
吐出部125から吐出されたクーラントは、工作機械100内を循環する。工作機械100は、クーラントの循環機構の構成として、流路R1,R2A~R2C,R3と、ポンプ109と、バルブ110と、吐出部125と、クーラントタンク130Bと、回収機構150と、液面センサ151と、ポンプ152とを含む。吐出部125は、たとえば、吐出機構125A~125Cを含む。
【0046】
クーラントタンク130Bには、クーラントが貯蔵されている。クーラントタンク130Bは、流路R1の一端に繋がっている。流路R1の他端は、流路R2A~R2Cと繋がっている。
【0047】
流路R2Aは、吐出機構125Aと繋がっている。吐出機構125Aは、流路R2Aを通じて圧送されたクーラントを主軸頭131に向けて吐出する。これにより、主軸頭131に付着したワークの切り屑が回収機構150に排出される。
【0048】
流路R2Bは、吐出機構125Bと繋がっている。吐出機構125Bは、流路R2Bを通じて圧送されたクーラントを加工エリアAR全体に向けて吐出する。これにより、加工エリアAR内にあるワークの切り屑が回収機構150に排出される。
【0049】
流路R2Cは、吐出機構125Cと繋がっている。吐出機構125Cは、流路R2Cを通じて圧送されたクーラントをベッドBDの壁面に向けて吐出する。これにより、ベッドBD上に溜まっている切り屑が回収機構150に排出される。
【0050】
ポンプ109は、その駆動に伴って、クーラントタンク130Bに貯留されたクーラントを、流路R1を介して、流路R2A~R2Cのそれぞれに圧送する。
【0051】
バルブ110は、流路R1,R2A~R2Cの流路上に設けられている。バルブ110は、クーラントタンク130Bから吐出機構125A~125Cに向けて圧送されるクーラントの流量を制御する制御弁である。バルブ110は、上述の制御部50によって制御される。なお、バルブ110は、ポンプ109と一体的に構成されてもよいし、別に構成されてもよい。
【0052】
回収機構150は、吐出部125から加工エリアARに吐出されたクーラントを回収する。回収機構150は、たとえば、濾過機構10と、クーラント槽11とを有する。濾過機構10は、クーラントに含まれる切り屑などの異物を捕獲可能なフィルタから構成されている。濾過機構10によって切り屑が除去されたクーラントは、クーラント槽11に排出される。
【0053】
液面センサ151は、クーラント槽11に溜まっているクーラントの液面までの高さを検知する。当該高さは、上述の制御部50に出力される。制御部50は、当該高さが一定になるようにポンプ152によるクーラントの汲み上げ量を調整する。
【0054】
ポンプ152は、流路R3に繋がっている。ポンプ152は、クーラント槽11に溜まっているクーラントを汲み上げ、流路R3を通じてクーラントタンク130Bに戻す。これにより、クーラントタンク130Bは、回収機構150によって回収されたクーラントを貯蔵する。
【0055】
<E.ミストコレクタ40の内部構造>
次に、
図6を参照して、ミストコレクタ40内の内部構造について説明する。
図6は、
図1に示されるミストコレクタ40の断面図を示す図である。
【0056】
ミストコレクタ40は、ハウジング52を含む。ハウジング52は、吸気口として機能する開口135を有する。ミストコレクタ40は、加工エリアAR内の気中の微小物質を、開口135を介してハウジング52内に導く。
【0057】
ハウジング52の内部は、第1フィルタリングエリア52Aと、第2フィルタリングエリア52Bとに分けられている。加工エリアARから収集された微小物質は、第1フィルタリングエリア52Aおよび第2フィルタリングエリア52Bを順に通過する。
【0058】
第1フィルタリングエリア52Aは、筒状部分55Aと、筒状部分55Bとで構成されている。筒状部分55Aは、筒状部分55Bと連結している。筒状部分55Aおよび筒状部分55Bは、軸AXを中心軸として同軸上に配置されている。
【0059】
以下では、軸AXの直交方向を「径方向」とも称する。典型的には、径方向における筒状部分55Aの内径は、径方向における筒状部分55Bの内径よりも長い。
【0060】
第1フィルタリングエリア52Aには、シャフト54が収容されている。シャフト54には、回転フィルタ56およびファン57が固定されている。シャフト54は、上述のモータ112Mに接続されており、軸AXを中心として回転可能に構成されている。これにより、シャフト54は、回転軸として機能し、回転フィルタ56およびファン57を連動して回転する。
【0061】
回転フィルタ56は、ハウジング52の筒状部分55Aに収容されている。回転フィルタ56の径方向は、筒状部分55Aの内面と直交している。ここでいう「直交」とは、90度だけでなく、略90度も含み得る概念である。すなわち、回転フィルタ56の径方向と、筒状部分55Aの内面とが成す角度は、90度であってもよいし、略90度(たとえば、85度以上95度以下)であってもよい。
【0062】
ファン57は、ハウジング52の筒状部分55Bに収容されている。ファン57は、回転フィルタ56を通過する気流を発生させるための動翼として機能する。すなわち、ファン57が回転することで、加工エリアAR内の微小物質は、回転フィルタ56に導かれる。回転フィルタ56は、遠心力を利用して衝突した微小物質を径方向に飛ばす。これにより、当該微小物質は、回転フィルタ56に捕集される。回転フィルタ56によって捕集された微小物質は、上述のカバー体130A内または上述のクーラントタンク130B内に戻される。
【0063】
第2フィルタリングエリア52Bには、多層フィルタ70が収容されている。多層フィルタ70は、回転フィルタ56とは異なり不動である。多層フィルタ70は、回転フィルタ56を通過した微小物質を捕集する。
【0064】
以上のように、本体130からミストコレクタ40に吸引された微小物質は、回転フィルタ56、ファン57、多層フィルタ70の順に通過する。これにより、空気のみが排気口72から排気される。
【0065】
<F.ドレン65および吸引機構66>
次に、
図7を参照して、上述のドレン65および上述の吸引機構66について説明する。
図7は、ミストコレクタ40および本体130間におけるドレン65の連結態様の一例を示す図である。
【0066】
ドレン65は、ミストコレクタ40と本体130との間を繋ぎ、ミストコレクタ40内の微小物質を本体130に戻すためのものである。一例として、ドレン65の一端は、回転フィルタ56を通過する気流の方向において回転フィルタ56よりも下流側に連結されている。また、ドレン65の他端は、本体130に連結されている。
【0067】
以下では、説明の便宜のために、ミストコレクタ40との接続部分に当たるドレン65の一端を「ドレン65の吸気口65A」ともいう。また、本体130との接続部分に当たるドレン65の他端を「ドレン65の排気口65B」ともいう。
【0068】
ドレン65の途中には、吸引機構66が設けられている。吸引機構66は、ドレン65の吸気口65Aからドレン65の排気口65Bに向けて気流を発生させる。当該気流は、たとえば、吸引機構66がドレン65の排気口65Bに向けて空気を圧送することにより発生する。
【0069】
このように、吸引機構66は、バキュームフローとして機能し、回転フィルタ56(第1フィルタ)を通過した微小物質をミストコレクタ40からドレン65に吸引する。その結果、当該微小物質は、回転フィルタ56を通過した場合であっても、ドレン65を通じてミストコレクタ40外に排出される。ドレン65を通じてミストコレクタ40から排出される微小物質は、たとえば、クーラントの吐出により発生したミスト、当該ミストが液化したクーラント、ワークの加工により発生した微小な切り屑、その他の異物などを含む。
【0070】
なお、ドレン65は、ミストコレクタ40と本体130との間において任意の箇所に連結され得る。
【0071】
一例として、ドレン65の吸気口65Aは、ミストコレクタ40に連結される。また、ドレン65の排気口65Bは、カバー体130Aに連結される。これにより、ドレン65内に吸引された微小物質は、カバー体130Aに戻される。
【0072】
好ましくは、ドレン65の吸気口65Aは、回転フィルタ56を通過してファン57を通過する前の微小物質を本体130に排出するようにミストコレクタ40に連結される。異なる言い方をすれば、ドレン65の吸気口65Aは、回転フィルタ56を通過する気流の方向において回転フィルタ56よりも下流側で、かつ、ファン57を通過する気流の方向においてファン57よりも上流側に連結されている。これにより、回転フィルタ56を通過後かつファン57を通過前における微小物質がドレン65内に吸引される。
【0073】
<G.ドレン65の変形例1>
次に、
図8を参照して、ドレン65の連結態様の変形例1について説明する。
図8は、ミストコレクタ40および本体130間におけるドレン65の連結態様の他の例を示す図である。
【0074】
上述の
図7の例では、ドレン65の吸気口65Aはミストコレクタ40に連結され、ドレン65の排気口65Bはカバー体130Aに連結されていた。これに対して、本変形例では、ドレン65の吸気口65Aはミストコレクタ40に連結され、ドレン65の排気口65Bはクーラントタンク130Bに連結されている。これにより、ミストコレクタ40から吸引された微小物質は、ドレン65を通じてクーラントタンク130Bに戻される。
【0075】
<H.ドレン65の変形例2>
次に、
図9を参照して、ドレン65の連結態様の変形例2について説明する。
図9は、ミストコレクタ40および本体130間におけるドレン65の連結態様の他の例を示す図である。
【0076】
上述の
図7の例では、ドレン65の吸気口65Aは、回転フィルタ56を通過してファン57を通過する前の微小物質を本体130に排出するようにミストコレクタ40に連結されていた。また、ドレン65の排気口65Bは、カバー体130Aに連結されていた。
【0077】
これに対して、本変形例では、ドレン65の吸気口65Aは、ファン57を通過して多層フィルタ70を通過する前における微小物質を本体130に排出するようにミストコレクタ40に連結されている。異なる言い方をすれば、ドレン65の吸気口65Aは、ファン57を通過する気流の方向においてファン57よりも下流側で、かつ、多層フィルタ70を通過する気流の方向において多層フィルタ70よりも上流側に連結されている。また、ドレン65の排気口65Bは、カバー体130Aに連結されている。
【0078】
これにより、回転フィルタ56およびファン57を通過した微小物質は、多層フィルタ70を通過する前にドレン65内に吸引され、カバー体130A内に戻される。
【0079】
<I.ドレン65の変形例3>
次に、
図10を参照して、ドレン65の連結態様の変形例3について説明する。
図10は、ミストコレクタ40および本体130間におけるドレン65の連結態様の他の例を示す図である。
【0080】
上述の
図7の例では、ドレン65の吸気口65Aは、回転フィルタ56を通過してファン57を通過する前の微小物質を本体130に排出するようにミストコレクタ40に連結されていた。また、ドレン65の排気口65Bは、カバー体130Aに連結されていた。
【0081】
これに対して、本変形例では、ドレン65の吸気口65Aは、ファン57を通過して多層フィルタ70を通過する前における微小物質を本体130に排出するようにミストコレクタ40に連結されている。異なる言い方をすれば、ドレン65の吸気口65Aは、ファン57を通過する気流の方向においてファン57よりも下流側で、かつ、多層フィルタ70を通過する気流の方向において多層フィルタ70よりも上流側に連結されている。また、ドレン65の排気口65Bは、クーラントタンク130Bに連結されている。
【0082】
これにより、回転フィルタ56およびファン57を通過した微小物質は、多層フィルタ70を通過する前にドレン65に吸引され、クーラントタンク130B内に戻される。
【0083】
<J.吸引機構66による吸引タイミング>
次に、
図11を参照して、上述の吸引機構66について説明する。
図11は、
図1に示されるミストコレクタ40の断面図を示す図である。
【0084】
図11に示されるミストコレクタ40は、洗浄機構90をさらに備える点で
図6に示されるミストコレクタ40とは異なる。洗浄機構90以外の構成については
図6に示されるミストコレクタ40と同じであるので、以下では、それらの構成については説明を繰り返さない。
【0085】
洗浄機構90は、回転フィルタ56を洗浄するための機構である。洗浄機構90は、ミストコレクタ40のハウジング52に固定されている。
【0086】
洗浄機構90は、筒状部分55Bの内部に配置されている。洗浄機構90は、軸AXの軸方向において、回転フィルタ56およびファン57の間に配置されている。異なる言い方をすれば、洗浄機構90は、回転フィルタ56を通過する気流の方向において回転フィルタ56よりも下流側で、かつ、ファン57を通過する気流の方向においてファン57よりも上流側に配置されている。
【0087】
洗浄機構90は、クーラントの吐出口を有する。洗浄機構90は、当該吐出口が回転フィルタ56と対向するように配置されている。クーラントは、たとえば、上述のクーラントタンク130Bから供給される。洗浄機構90に供給されたクーラントは、吐出口を通じて、回転フィルタ56に吐出される。これにより、洗浄機構90は、回転フィルタ56の下流側に付着している異物を回転フィルタ56の上流側から除去する。除去された異物は、開口135を通じて工作機械100の本体130に戻される。
【0088】
なお、洗浄機構90から吐出される流体は、クーラントに限られず、たとえば、エアであってもよい。
【0089】
洗浄機構90は、上述の制御部50によって制御される。一例として、洗浄機構90は、上述のCPUユニット20によって制御される。CPUユニット20は、たとえば、PLCプログラムに従って、洗浄機構90によるクーラントの吐出のオン/オフ、および洗浄機構90からのクーラントの吐出量などを制御する。
【0090】
制御部50は、洗浄機構90による回転フィルタ56の洗浄処理を実行している間に、上述の吸引機構66による吸引処理を実行する。これにより、吸引機構66は、回転フィルタ56を通過した微小物質だけでなく、洗浄機構90からのクーラントの吐出によって発生したミストを吸引することができる。
【0091】
<K.制御フロー>
次に、
図12を参照して、上述の吸引機構66の制御フローについて説明する。
図12は、工作機械100の制御部50が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0092】
図12に示される処理は、制御部50が制御プログラムを実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0093】
ステップS110において、制御部50は、工作機械100が加工中から非加工中に遷移したか否かを判断する。工作機械100が加工中から非加工中に遷移したか否かは、種々の方法で判断される。一例として、制御部50は、加工プログラムの最終行の実行が完了したことに基づいて、工作機械100が加工中から非加工中に遷移したと判断する。あるいは、制御部50は、主軸132の回転が停止したことに基づいて、工作機械100が加工中から非加工中に遷移したと判断する。一例として、主軸132の回転が停止したことは、主軸132に設けられている加速度センサを用いて判断されてもよい。制御部50は、工作機械100が加工中から非加工中に遷移したと判断した場合(ステップS110においてYES)、制御をステップS112に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてNO)、制御部50は、ステップS110の処理を再び実行する。
【0094】
ステップS112において、制御部50は、上述のモータドライバ111Mを制御し、工作機械100が加工中である時よりも回転フィルタ56の回転速度を下げる。
【0095】
ステップS114において、制御部50は、上述の洗浄機構90に対してクーラントの吐出開始指令を出力する。これにより、洗浄機構90からクーラントが吐出され、回転フィルタ56が洗浄される。
【0096】
ステップS116において、制御部50は、上述の吸引機構66に対して吸引開始指令を出力する。これにより、吸引機構66は、微小物質の吸引処理を開始し、ミストコレクタ40内の微小物質をドレン65内に吸引する。
【0097】
ステップS120において、制御部50は、洗浄機構90による洗浄処理が終了したか否かを判断する。一例として、制御部50は、洗浄機構90による洗浄処理を開始してから予め定められた時間が経過したことに基づいて、洗浄機構90による洗浄処理を終了する。制御部50は、洗浄機構90による洗浄処理が終了したと判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS122に切り替える。そうでない場合には(ステップS120においてNO)、制御部50は、制御をステップS116に戻す。
【0098】
ステップS122において、制御部50は、上述の吸引機構66に対して吸引停止指令を出力する。これにより、吸引機構66は、微小物質の吸引処理を停止する。なお、吸引停止指令は、洗浄機構90による洗浄処理が終了した直後に出力されてもよいし、洗浄機構90による洗浄処理が終了してから所定時間後に出力されてもよい。
【0099】
<L.ミストコレクタ40の変形例>
次に、ミストコレクタ40の変形例について説明する。
【0100】
上述の
図6においては、回転フィルタ56およびファン57が水平面に平行に設けられている横形のミストコレクタ40について説明を行ったが、ミストコレクタ40は、横形のミストコレクタ40に限定されない。ミストコレクタ40は、縦形のミストコレクタ40であってもよい。この場合、ミストコレクタ40は、回転フィルタ56およびファン57が水平面に直交するように配置される。
【0101】
この場合、ドレン65の吸気口65Aは、回転フィルタ56とファン57との間におけるハウジング52内の底面に連結される。あるいは、ドレン65の吸気口65Aは、ファン57と多層フィルタ70との間におけるハウジング52内の底面に連結されてもよい。
【0102】
<M.まとめ>
以上のようにして、ミストコレクタ40は、回転フィルタ56を通過した微小物質を本体130に排出するためのドレン65と、当該微小物質をミストコレクタ40からドレン65に吸引するための吸引機構66とを備える。これにより、ミストコレクタ40は、回転フィルタ56を通過した微少物質を、ドレン65を通じてミストコレクタ40から排出することができる。
【0103】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0104】
10 濾過機構、11 クーラント槽、20 CPUユニット、30 CNCユニット、40 ミストコレクタ、50 制御部、52 ハウジング、52A 第1フィルタリングエリア、52B 第2フィルタリングエリア、54 シャフト、55A 筒状部分、55B 筒状部分、56 回転フィルタ、57 ファン、65 ドレン、65A 吸気口、65B 排気口、66 吸引機構、70 多層フィルタ、72 排気口、90 洗浄機構、100 工作機械、109 ポンプ、110 バルブ、111A モータドライバ、111M モータドライバ、111R モータドライバ、111X モータドライバ、111Y モータドライバ、111Z モータドライバ、112A モータ、112M モータ、112R モータ、112X モータ、112Y モータ、112Z モータ、113 移動体、125 吐出部、125A 吐出機構、125B 吐出機構、125C 吐出機構、130 本体、130A カバー体、130B クーラントタンク、131 主軸頭、132 主軸、133 ハウジング、134 工具、135 開口、136 テーブル、150 回収機構、151 液面センサ、152 ポンプ。