(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】ホースクランプ構造及び作業機
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20240826BHJP
E02F 3/36 20060101ALI20240826BHJP
F16L 3/12 20060101ALI20240826BHJP
F16L 3/23 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
E02F9/00 B
E02F3/36 C
F16L3/12 G
F16L3/23
(21)【出願番号】P 2023531438
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2022014354
(87)【国際公開番号】W WO2023276349
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2021107840
(32)【優先日】2021-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】八田 和之
【審査官】坪内 優佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-067212(JP,A)
【文献】特開2011-171617(JP,A)
【文献】特開2004-028220(JP,A)
【文献】実開昭61-051298(JP,U)
【文献】実開昭61-179784(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0265157(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
E02F 3/36
F16L 3/12
F16L 3/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する縦板と、
前記縦板における前記開口部に対して板面平行方向の一側側の背面側に前記開口部に隣接して設けられ且つ前記板面平行方向において前記開口部側に開放した溝部と、
前記縦板における前記開口部に対して板面平行方向の他側側の背面側に設けられた受け部と、
前記溝部に挿入される第1クランプ部材と、
前記第1クランプ部材が前記溝部に挿入された状態で前記縦板の正面側から前記開口部を介して前記受け部に当接するように配置され且つ前記開口部を挿通するホースを前記第1クランプ部材とで挟む弾性部材で形成された第2クランプ部材と、
前
記縦板に取り付けられる押え部材と、
を備え、
前記押え部材は、前記開口部内に挿入されて前記第2クランプ部材に当接する主板と、前記主板に固定されていて前記縦板に取り付けられる取付板とを有しており、前記第2クランプ部材によって前記第1クランプ部材を押圧すべく、前記取付板を前記縦板の正面側に重ねた状態で前記取付板及び前記縦板に前記縦板の正面側から前記縦板の板面法線方向に挿通されるボルトで前記縦板に取り付けることにより前記主板によって前記第2クランプ部材を前記縦板の正面側から押えて弾性変形させるホースクランプ構造。
【請求項2】
開口部を有する縦板と、
前記縦板における前記開口部に対して板面平行方向の一側側の背面側に前記開口部に隣接して設けられ且つ前記板面平行方向において前記開口部側に開放した溝部と、
前記縦板における前記開口部に対して板面平行方向の他側側の背面側に設けられた受け部と、
前記溝部に挿入される第1クランプ部材と、
前記第1クランプ部材が前記溝部に挿入された状態で前記縦板の正面側から前記開口部を介して前記受け部に当接するように配置され且つ前記開口部を挿通するホースを前記第1クランプ部材とで挟む弾性部材で形成された第2クランプ部材と、
前記第2クランプ部材を前記縦板の正面側から押えて弾性変形させることで当該第2クランプ部材によって前記第1クランプ部材を押圧すべく前記縦板に取り付けられる押え部材と、
を備え、
前記第1クランプ部材は、前記溝部の溝幅と略同じ厚さに形成され、
前記第2クランプ部材は、前記受け部に当接し且つ前記押え部材で押えられる前の状態で前記開口部を介して前記縦板の背面よりも正面側に突出する厚さに形成され、
前記押え部材は、前記開口部内に挿入されて前記第2クランプ部材を押える主板と、前記主板に固定されていて前記縦板の正面に当接して当該縦板に取り付けられる取付板とを有してい
るホースクランプ構造。
【請求項3】
開口部を有する縦板と、
前記縦板における前記開口部に対して板面平行方向の一側側の背面側に前記開口部に隣接して設けられ且つ前記板面平行方向において前記開口部側に開放した溝部と、
前記縦板における前記開口部に対して板面平行方向の他側側の背面側に設けられた受け部と、
前記溝部に挿入される第1クランプ部材と、
前記第1クランプ部材が前記溝部に挿入された状態で前記縦板の正面側から前記開口部を介して前記受け部に当接するように配置され且つ前記開口部を挿通するホースを前記第1クランプ部材とで挟む弾性部材で形成された第2クランプ部材と、
前記第2クランプ部材を前記縦板の正面側から押えて弾性変形させることで当該第2クランプ部材によって前記第1クランプ部材を押圧すべく前記縦板に取り付けられる押え部材と、
を備え、
前記縦板は、前記開口部に連通するように当該縦板の外縁部から前記開口部に向けて形成され且つ前記ホースが当該ホースの長手方向に直交する方向で通過可能な挿通溝を有してい
るホースクランプ構造。
【請求項4】
前記溝部は、前記開口部の前記板面平行方向の一側側の縁部を形成する前記縦板の部位である第1部位と、前記縦板の背面側において前記第1部位と対向する第2部位と、前記第2部位の前記板面平行方向の一側側の端部から前記縦板の背面に向けて延出されて当該縦板に固定された第3部位とによって形成されている請求項1~3のいずれか1項に記載のホースクランプ構造。
【請求項5】
前記受け部は、前記縦板の背面側で前記開口部に対向する第1壁部と、前記第1壁部の前記板面平行方向の他側端部から前記縦板の背面に向けて延出されて当該縦板に固定された第2壁部とを有し、
前記第2クランプ部材は、前記縦板の正面側から前記開口部を介して前記第1壁部及び前記第2壁部に当接するように配置される請求項1~4のいずれか1項に記載のホースクランプ構造。
【請求項6】
機体と、
前記機体に搭載された原動機と、
前記原動機を収容する原動機室と前記原動機室の外部とを隔てる隔壁と、
請求項1~5のいずれか1項に記載のホースクランプ構造と、
を備え、
前記縦板は、前記隔壁の一部を構成し、
前記ホースは、前記原動機室から前記隔壁の外部に配策される作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホースクランプ構造及び作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されたホースクランプ構造が知られている。
特許文献1に開示されたホースクランプ構造は、原動機を収容する原動機室の下部前方を仕切る仕切り板の上部に、当該仕切り板の上端から下方に向けて凹設した切欠き凹部を形成し、この切欠き凹部にホースを上下方向で挟むグロメットを挿入し、このグロメットの切欠き凹部からの抜止めをする抜止め板を仕切り板に取り付け、さらに、原動機室と原動機室の上部前方とを隔てる隔壁に設けられたシール体によってグロメット及び抜止め板を上方から押さえるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特許公開公報「特開2019-116752号公報」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のホースクランプ構造は、ホースを外す際に隔壁を外す必要があり、メンテナンス性が悪いという問題がある。
本発明は、前記問題点に鑑み、ホースの取り外しを容易に行えるホースクランプ構造及び作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るホースクランプ構造は、開口部を有する縦板と、前記縦板における前記開口部に対して板面平行方向の一側側の背面側に前記開口部に隣接して設けられ且つ前記板面平行方向において前記開口部側に開放した溝部と、前記縦板における前記開口部に対して板面平行方向の他側側の背面側に設けられた受け部と、前記溝部に挿入される第1クランプ部材と、前記第1クランプ部材が前記溝部に挿入された状態で前記縦板の正面側から前記開口部を介して前記受け部に当接するように配置され且つ前記開口部を挿通するホースを前記第1クランプ部材とで挟む弾性部材で形成された第2クランプ部材と、前記縦板に取り付けられる押え部材と、を備え、前記押え部材は、前記開口部内に挿入されて前記第2クランプ部材に当接する主板と、前記主板に固定されていて前記縦板に取り付けられる取付板とを有しており、前記第2クランプ部材によって前記第1クランプ部材を押圧すべく、前記取付板を前記縦板の正面側に重ねた状態で前記取付板及び前記縦板に前記縦板の正面側から前記縦板の板面法線方向に挿通されるボルトで前記縦板に取り付けることにより前記主板によって前記第2クランプ部材を前記縦板の正面側から押えて弾性変形させる。
【0006】
また、前記第1クランプ部材は、前記溝部の溝幅と略同じ厚さに形成され、前記第2クランプ部材は、前記受け部に当接し且つ前記押え部材で押えられる前の状態で前記開口部を介して前記縦板の背面よりも正面側に突出する厚さに形成され、前記押え部材は、前記開口部内に挿入されて前記第2クランプ部材を押える主板と、前記主板に固定されていて前記縦板の正面に当接して当該縦板に取り付けられる取付板とを有している。
【0007】
また、前記縦板は、前記開口部に連通するように当該縦板の外縁部から前記開口部に向けて形成され且つ前記ホースが当該ホースの長手方向に直交する方向で通過可能な挿通溝を有している。
また、前記溝部は、前記開口部の前記板面平行方向の一側側の縁部を形成する前記縦板の部位である第1部位と、前記縦板の背面側において前記第1部位と対向する第2部位と、前記第2部位の前記板面平行方向の一側側の端部から前記縦板の背面に向けて延出されて当該縦板に固定された第3部位とによって形成されている。
【0008】
また、前記受け部は、前記縦板の背面側で前記開口部に対向する第1壁部と、前記第1壁部の前記板面平行方向の他側端部から前記縦板の背面に向けて延出されて当該縦板に固定された第2壁部とを有し、前記第2クランプ部材は、前記縦板の正面側から前記開口部を介して前記第1壁部及び前記第2壁部に当接するように配置される。
また、本発明の一態様に係る作業機は、機体と、前記機体に搭載された原動機と、前記原動機を収容する原動機室と前記原動機室の外部とを隔てる隔壁と、前記ホースクランプ構造と、を備え、前記縦板は、前記隔壁の一部を構成し、前記ホースは、前記原動機室から前記隔壁の外部に配策される。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、押え部材を縦板から取り外すだけで、ホースを容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】ホースクランプ構造を示す正面斜視図である。
【
図5】ホースクランプが設けられた場所を示す正面斜視図である。
【
図6】ホースクランプが設けられた場所の分解斜視図である。
【
図12】ホースクランプ構造を示す平面断面図である。
【
図13】ホースクランプ構造を示す側面断面図である。
【
図14】ホースの組付け方法の一例を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る作業機1の全体構成を示す概略側面図である。本実施形態では、作業機1として旋回作業機であるバックホーが例示されている。
図1に示すように、作業機1は、機体(旋回台)2と、走行装置3と、作業装置4とを備えている。機体2には、オペレータ(運転者)が着座する運転席6が搭載されている。
【0012】
本実施形態においては、作業機1の運転席6に着座したオペレータの前側に向かう方向(
図1の矢印A1方向)を前方(機体前方)、オペレータの後側に向かう方向(
図1の矢印A2方向)を後方(機体後方)、
図1の矢印K1方向を前後方向(機体前後方向)として説明する。また、オペレータの左側に向かう方向(
図1の手前側)を左方、オペレータの右側に向かう方向(
図1の奥側)を右方として説明する。
【0013】
また、前後方向K1に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の幅方向の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体幅方向外方として説明する。つまり、機体幅方向外方は、機体2の幅方向の中心から機体幅方向に離れる方向である。機体幅方向外方とは反対の方向を、機体幅方向内方として説明する。つまり、機体幅方向内方は、機体幅方向において機体2の幅方向の中心に近づく方向である。
【0014】
図1に示すように、走行装置3は、機体2を走行可能に支持するクローラ式の走行装置であって、走行フレーム3Aと、走行フレーム3Aの左側に設けられた第1走行装置3Lと、走行フレーム3Aの右側に設けられた第2走行装置3Rとを有する。第1走行装置3L及び第2走行装置3Rは、油圧モータ(油圧アクチュエータ)によって構成された走行モータM1によって駆動される。本実施形態ではクローラ式の走行装置3を用いているが、これに限らず、ホイール式等の走行装置を用いてもよい。走行装置3の前部には、ドーザ装置7が装着されている。ドーザ装置7は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成されるドーザシリンダによって駆動可能である。
【0015】
図1に示すように、機体2は、走行装置3上に旋回ベアリング8を介して上下方向に延伸する軸心である旋回軸心X1回りに旋回可能に支持されている。また、機体2は、前部に、作業装置4を支持する支持ブラケット9及びスイングブラケット10を有している。支持ブラケット9は、機体2から前方に突出状に設けられている。スイングブラケット10は、支持ブラケット9の前部に、縦軸(上下方向に延伸する軸心)回りに揺動可能に取り付けられている。
【0016】
図1に示すように、作業装置4は、ブーム11、アーム12及びバケット13を有している。ブーム11の基部は、スイングブラケット10の上部に横軸(機体幅方向に延伸する軸心)回りに回動可能に枢着されている。アーム12は、ブーム11の先端側に横軸回りに回動可能に枢着されている。バケット13は、アーム12の先端側にスクイ動作及びダンプ動作可能に設けられている。スクイ動作とは、バケット13をブーム11に近づける方向に揺動させる動作であり、例えば、土砂等を掬う場合の動作である。また、ダンプ動作とは、バケット13をブーム11から遠ざける方向に揺動させる動作であり、例えば、掬った土砂等を落下(排出)させる場合の動作である。
【0017】
作業機1は、バケット13に代えて或いは加えて、油圧アクチュエータにより駆動可能な他の作業具(油圧アタッチメント)を装着することが可能である。他の作業具としては、油圧ブレーカ、油圧圧砕機、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等が例示できる。
スイングブラケット10は、図示しないスイングシリンダの伸縮によって揺動可能とされている。ブーム11は、ブームシリンダC2の伸縮によって揺動可能とされている。アーム12は、アームシリンダC3の伸縮によって揺動可能とされている。バケット13は、バケットシリンダC4の伸縮によってスクイ動作及びダンプ動作可能とされている。スイングシリンダ、ブームシリンダC2、アームシリンダC3、バケットシリンダC4は、油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)によって構成されている。
【0018】
図1に示すように、機体2の後部には、原動機E1が搭載されている。原動機E1は、ディーゼルエンジンである。なお、原動機E1は、ガソリンエンジン又は電動モータであってもよいし、エンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。機体2の原動機E1より前方側には、運転席6、運転席6の前方に配置された走行レバー16、運転席6の左側に配置された操縦装置17L及び右側に配置された操縦装置17R等、を含む運転部18が搭載されている。走行レバー16は、走行装置3を操作する操作部材である。操縦装置17L,17Rは、例えば、ブーム11の揺動操作、アーム12の揺動操作、バケット13のスクイ動作及びダンプ動作の操作、機体2の旋回操作等を行う装置である。機体2の上面側且つ運転席6の前方側には、床面を構成するステップ21が設けられている。
【0019】
図2に示すように、機体2は、骨格となる旋回フレーム30を有する。この旋回フレーム30は、機体2の底部を構成する旋回基板(基板)31、該旋回基板31を補強する補強リブ32、支持ブラケット9及びウエイト33(
図1参照)を有する。また、旋回フレーム30は、機体2に搭載される機器、タンク類、その他の部品等を取り付けるためのブラケットやステー等を有する。
【0020】
旋回基板31は、厚板の鋼板等によって形成されている。旋回フレーム30に装備されるブラケットやステー等は、旋回基板31上に溶接等によって固定される。この旋回基板31は、旋回ベアリング8を介して走行装置3上に旋回軸心X1回りに回転自在に支持される。
補強リブ32は、板材によって形成され、旋回基板31上に前部から後部に向けて設けられている。詳しくは、補強リブ32は、旋回基板31の前部に設けられた支持ブラケット9の左部の後部から後方に延びる第1縦リブ32Rと、支持ブラケット9の右部の後部から後方に延びる第2縦リブ32Lと、を含む。
【0021】
図2に示すように、旋回基板31上には、コントロールバルブV1、作動油タンク28、旋回モータ20等が取り付けられている。
コントロールバルブV1は、旋回基板31の左部の前部に配置されている。コントロールバルブV1は、作業機1に装備され且つ作動油により駆動される油圧アクチュエータへ供給される作動油の流量を制御する。詳しくは、コントロールバルブV1は、作業機1に装備される各油圧アクチュエータへ供給される作動油の流量を制御する各制御弁を集約したバルブユニットである。
【0022】
作動油タンク28は、コントロールバルブV1の後方に配置されている。作動油タンク28は、作動油を貯留するタンクである。
図3に示すように、原動機E1は、旋回基板31の後部に搭載されている。原動機E1の機体幅方向の一側部(左部)には、油圧ポンプ25が取り付けられている。油圧ポンプ25は、原動機E1の動力によって駆動される。油圧ポンプ25は、作動油タンク28内の作動油を吸い込んで、作業機1に装備された油圧モータ、油圧シリンダ等の油圧アクチュエータを駆動させる作動油(圧油)を吐出する。また、油圧ポンプ25は、油圧バルブを作動させるパイロット圧や、信号用の油圧を吐出する。
【0023】
原動機E1の右部には、冷却ファン14が設けられ、冷却ファン14の右方には、ラジエータ、オイルクーラ及び燃料クーラ等が配置される。
図3に示すように、原動機E1の前方には、原動機E1を収容する原動機室E2の前部側を画定する隔壁36が設けられている。言い換えると、隔壁36は、原動機室E2と原動機室E2の前方(原動機室E2の外部)とを隔てる部材である。
図5に示すように、隔壁36の左方側に作動油タンク28が配置されている。作動油タンク28は旋回基板31に設置されている。
【0024】
図5に示すように、隔壁36は、隔壁本体37と、仕切り板38とを有している。隔壁本体37は、原動機室E2と原動機室E2の上部前方とを隔てる部材であって、上壁37aと、上壁37aの前部から下方に延びる前壁37bとを有している。
図5に示すように、仕切り板38は、隔壁本体37の下方に配置されている。また、仕切り板38は、ステップ21の下方に配置される。つまり、仕切り板38は、原動機室E2の下部前方を仕切る部材である。仕切り板38は、第1仕切り板38Aと、第2仕切り板38Bとを有している。第1仕切り板38Aは、板面が前後方向K1を向くように旋回基板31上に立設されている。また、第1仕切り板38Aは、機体幅方向に延びるように旋回基板31上に配置されて当該旋回基板31に溶接等によって固定されている。第2仕切り板38Bは、下部が第1仕切り板38Aの背面に溶接等によって固定されると共に、左部が旋回基板31に溶接等によって固定されている。第2仕切り板38Bには、隔壁本体37の下部(前壁37bの下部)が取り付けられている。第2仕切り板38Bは、
図6に示すように、第1仕切り板38Aよりも左方に突出している。
【0025】
図5、
図6に示すように、隔壁36と作動油タンク28との間には、カバー部材39及びホースクランプ43が設けられている。カバー部材39の下方側にホースクランプ43が配置されている。カバー部材39及びホースクランプ43は、隔壁36と作動油タンク28との間の隙間を塞ぐ。カバー部材39及びホースクランプ43は、隔壁36の一部を構成する。
【0026】
図6、
図7に示すように、カバー部材39は、第1カバー40、第2カバー41、第3カバー42を有している。第1カバー40は、左方に開口するコ字形の切欠き溝40aを有する矩形状に形成されている。切欠き溝40aは、配線を束ねたハーネス等の配策部材を通すためのものであり、切欠き溝40aとハーネスとの隙間はグロメットによってシールされる。第2カバー41は、第1部位41aと、第2部位41bと、第3部位(延出部)41cとを有する。第1部位41aは、第1カバー40の下端部且つ前面側に溶接等によって固定されている。第2部位41bは、第1カバー40の左端部且つ前面側に、切欠き溝40aの下方側で溶接等によって固定されている。第3部位41cは、第1部位41aの左部から下方に延出されている。第3カバー42は、下方に開口するコ字形の切欠き溝42aを有する横長の矩形状に形成されている。切欠き溝42aは、第3カバー42の機体幅方向の中央部よりも右寄りに形成されている。第3カバー42は、上部が第2カバー41の第2部位41bの前面に溶接等によって固定されている。切欠き溝42aは、第2カバー41の第3部位41cに対して右方に位置ずれしている。切欠き溝42aは、第3カバー部材42と、後述する押え部材48の上側の取付板57Aとの干渉を回避するための溝である。
【0027】
第1カバー40は、隔壁本体37の前壁37bにボルト固定され、第2カバー41は、作動油タンク28から外方に張り出すように該作動油タンク28に溶接等によって固定されたフランジ板44にボルト固定される。フランジ板44の下部には、後述する溝部50との干渉を回避するための切欠き部44aが形成されている(
図11参照)。
第3カバー42は、第2仕切り板38B及びフランジ板44に、後述する縦板49と共締めでボルト固定される。
【0028】
図2、
図3、
図4に示すように、ホースクランプ43は、原動機E1から隔壁36の前方側(原動機E1の外部)に配策される油圧ホース45等のホースを保持する部材である。ホースクランプ43は、仕切り板38と作動油タンク28との間に設けられている。したがって、ホースクランプ43は、コントロールバルブV1と共にステップ21の下方側(機体2の内部)に配置されている。ホースクランプ43で保持される油圧ホース45は、複数本在る。複数本の油圧ホース45は、ほとんどが油圧ポンプ25とコントロールバルブV1とを繋ぐホースである。
図4に示すように、本実施形態では、複数本の油圧ホース45は7本である。7本の油圧ホース45は、上下方向に並べて配置され、上部の2本及び下部の3本の油圧ホース45aが中間部の2本の油圧ホース45bよりも、ホース径の小さい小径の油圧ホースである。
【0029】
図6に示すように、ホースクランプ43は、機体2側に取り付けられる保持体46と、保持体46に保持され且つ油圧ホース45を挟持するクランプ具47と、クランプ具47を押える押え部材48とを有している。
図8に示すように、保持体46は、縦板49と、溝部50と、受け部51と、連結板52とを有している。
【0030】
図8に示すように、縦板49は、板面が前後方向K1を向くように配置されている。つまり、縦板49は、上下方向に直交する板幅方向(板面平行方向)W1が、機体幅方向に一致し、板厚方向が前後方向K1に一致するように配置されている。縦板49は、開口部53及び挿通溝54を有している。詳しくは、縦板49は、板幅方向W1の一側側(機体幅方向左側。
図8では右側。)の部分(左部)である第1縦壁部49aと、板幅方向W1の他側側(機体幅方向右側。
図8では左側。)の部分(右部)であって第1縦壁部49aと板幅方向W1に間隔をあけて配置された第2縦壁部49bと、第2縦壁部49bの上部から第1縦壁部49aの上部側に向けて延びる延出壁49cと、第1縦壁部49a及び第2縦壁部49bの下部同士を連結する下部壁49dとを有している。延出壁49cと第1縦壁部49aの上部との間には間隔が設けられている。
【0031】
図8に示すように、開口部53は、第1縦壁部49a、第2縦壁部49b、延出壁49c、下部壁49dとによって形成されている。言い換えると、開口部53は、板幅方向W1の一側側の縁部である一側縁部(左縁部)53aと、板幅方向W1の他側側の縁部である他側縁部(右縁部)53bと、上縁部53cと、下縁部53dとを有している。挿通溝54は、延出壁49cと第1縦壁部49aの上部との間に形成されている。つまり、挿通溝54は、開口部53に連通するように縦板49の上端から開口部53に向けて形成されている。また、挿通溝54は、ホースクランプ43で保持される油圧ホース45が当該油圧ホース45の長手方向に直交する方向で通過可能な溝幅W2に形成されている。
【0032】
図7、
図9に示すように、縦板49は、正面側(前面側)の上部に第3カバー42が重ね合わされて、第2仕切り板38B及びフランジ板44に、第3カバー42と共締めでボルト固定される。
図9、
図10に示すように、第3カバー42の切欠き溝42aは、縦板49の延出壁49cに対応する位置に在る。
図10、
図11に示すように、挿通溝54には、第2カバー41の第3部位41cが挿入されている。また、第3部位41cは、挿通溝54から開口部53へ若干はみ出している。
【0033】
また、
図8に示すように、縦板49には、下部壁49dの下端から前方に延出した固定壁49eが形成されている。固定壁49eは、
図4に示すように、旋回基板31上にボルト固定される。
縦板49及びカバー部材39を組み付ける場合、例えば、先ず、縦板49の固定壁49eを旋回基板31にボルト固定し、その後、カバー部材39を第3カバー42が縦板49の上部の前面に位置するように配置する。そして、第1カバー40を前壁37bにボルト固定すると共に第2カバー41をフランジ板44にボルト固定し、且つ、第3カバー42と縦板49とを、第2仕切り板38B及びフランジ板44に共締めでボルト固定する。なお、第1カバー40、第2カバー41、第3カバー42の固定は、いずれを先に行ってもよい。また、第3カバー42と縦板49とを共締めした後に、縦板49の固定壁49eを旋回基板31にボルト固定することもできる。
【0034】
なお、縦板49は、上記構成に限定されることはなく、例えば、延出壁49cは、第1縦壁部49aの上部に接続されていてもよい。つまり、挿通溝54は、必ずしも設ける必要はない。また、第1縦壁部49a及び第2縦壁部49bが上下方向に延伸するように配置する構成に限らず、水平方向あるいは斜め方向に延伸するように配置してもよい。言い換えると、板幅方向W1が、上下方向あるいは上下方向に対して傾斜した斜め方向に一致するように縦板49を配置してもよい。
【0035】
図8、
図10、
図11、
図12に示すように、溝部50は、縦板49の板幅方向W1の一側側の背面49f側に開口部53に隣接して設けられている。詳しくは、溝部50は、第1部位50aと、第2部位50bと、第3部位50cとによって形成されている。第1部位50aは、縦板49の第1縦壁部49aの右部で構成される。言い換えると、第1部位50aは、縦板49の一部であって、開口部53の一側縁部53aを形成する縦板49の部位で構成される。第2部位50bは、第1部位50a(縦板49)の背面49fにおいて第1部位50aと間隔をあけて対向している。第3部位50cは、第2部位50bの板幅方向W1の一側側の端部(左端部)から第1部位50aの(縦板49)の背面49fに向けて延出されて当該第1部位50a(縦板49)に溶接等によって固定されている。したがって、溝部50は、板幅方向W1において開口部53側(右方)に開放(開口)している。また、溝部50は、上下方向に延伸するように形成されている。第3部位50cの上端部には、該上端部から右方に向けて延出した第1延出壁50dが形成されている。
【0036】
受け部51は、縦板49(開口部53)の板幅方向W1の他側側の背面49f側に設けられている。詳しくは、受け部51は、第1壁部51aと、第2壁部51bとを有している。第1壁部51aは、縦板49の背面49f側で開口部53に対向して配置されている。第2壁部51bは、第1壁部51aの板幅方向W1の他側側の端部(右端部)から縦板49の背面49fに向けて延出されて当該縦板49に溶接等によって固定されている。第2壁部51bの左面は、開口部53の他側縁部53bと略面一状である。また、受け部51は、上下方向に延伸するように形成されている。第2壁部51bの上端部には、該上端部から左方(第1延出壁50d)に向けて延出した第2延出壁51cが形成されている。第1延出壁50dと第2延出壁51cとは間隔を隔てて設けられている。
【0037】
連結板52は、板面が上下方向を向く板幅方向W1に長い帯板状に形成され、第3部位50cの下端と第2壁部51bの下端とを連結している。
押え部材48は、主板56と、取付板57とを有している。主板56は、板面が前後方向K1を向く上下方向に長い帯板材によって形成されている。主板56は、開口部53内に挿入されて後述する第2クランプ部材59を押えるためのものである。取付板57は、主板56に溶接等によって固定されていて縦板49の正面に当接して当該縦板49にボルト61によって取り付けられる。
図8に示すように、主板56の上下方向の長さは、当該主板56を開口部53内に挿入できる長さであって、開口部53の上下方向の寸法と略同じ長さに形成されている。取付板57は、主板56の上部と下部とに設けられている。つまり、取付板57は一対設けられている。上側の取付板57Aは、下部が主板56の前面に溶接等によって固定され、上部が主板56から上方に突出している。下側の取付板57Bは、上部が主板56の前面に溶接等によって固定され、下部が主板56から下方に突出している。したがって、取付板57A,57Bを縦板49の正面に当接させて該縦板49に取り付けると、主板56は、開口部53内に挿入状とされる。
【0038】
図8に示すように、クランプ具47は、第1クランプ部材58と、第2クランプ部材59とを含む。第1クランプ部材58及び第2クランプ部材59は、ゴム等の弾性部材で形成されている。クランプ具47には、7本の油圧ホース45が前後方向K1に挿通される7つの挿通孔60が上下方向に並べて形成されている。クランプ具47は、各挿通孔60を左右に二分する形で、左の第1クランプ部材58と右の第2クランプ部材59とに分割されている。したがって、各挿通孔60に油圧ホース45が挿通されるように、第1クランプ部材58と第2クランプ部材59とで各油圧ホース45を挟むことで油圧ホース45を保持することができる。また、第1クランプ部材58の板幅方向W1の幅W3は、第2クランプ部材59の板幅方向W1の幅W4よりも狭幅に形成されている。また、第2クランプ部材59の厚さ59a(板幅方向W1及び上下方向に直交する方向の寸法)は、第1クランプ部材58の厚さ58aよりも厚い。
【0039】
図10に示すように、第1クランプ部材58は、溝部50に挿入される部材である。第1クランプ部材58の上下方向の長さは、第1延出壁50dから連結板52にわたる長さに形成されている。
図12に示すように、第1クランプ部材58の厚さ58aは、第1クランプ部材58を溝部50に挿入できる厚さであって溝部50の溝幅50eと略同じ厚さに形成されている。
【0040】
図10に示すように、第1クランプ部材58は、左部が溝部50に挿入され、右部は溝部50から突出している。第1クランプ部材58の溝部50から突出する部分に挿通孔60の半分が形成されている。
第2クランプ部材59は、第1クランプ部材58が溝部50に挿入された状態で縦板49の正面側(前方側)から開口部53を介して、受け部51の第1壁部51aの前面及び第2壁部51bの左面に当接(受け部51に当接)するように配置される。
図14に示すように、第2クランプ部材59の厚さ59aは、第1壁部51aの前面から縦板49の背面49fまでの距離H1よりも大きい寸法に形成されている。つまり、第2クランプ部材59は、押え部材48で押えられる前の状態で開口部53を介して縦板49の背面49fよりも正面側に突出する厚さに形成されている。第1クランプ部材58の左部に挿通孔60の半分が形成されている。第1クランプ部材58の右部は、押え部材48の主板56が当接する部分である。
【0041】
図8に示すように、第2クランプ部材59は、上下方向で三分割されている。上部59bは、7つの挿通孔60のうちの上部側の2つの挿通孔60に対応する部位であり、中間部59cは、7つの挿通孔60のうちの中間部の2つの挿通孔60に対応する部位であり、下部59dは、7つの挿通孔60のうちの下部側の3つの挿通孔60に対応する部位である。
【0042】
油圧ホース45をホースクランプ43に組み付けるには、種々の方法が考えられる。
例えば、カバー部材39及び保持体46が取り付けられた状態で、保持体46にクランプ具47及び押え部材48を組み付けて油圧ホース45を保持することができる。
この場合、
図14の左側の図に示すように、先ず、第1クランプ部材58を溝部50に挿入する。次に、開口部53に通した油圧ホース45を第1クランプ部材58の挿通孔60の形成部分(挿通孔60を半割した部分)に嵌める。次に、
図14の右側の図に示すように、第2クランプ部材59を縦板49の正面側から開口部53を介して受け部51(第1壁部51a、第2壁部51b)に当接するように配置し、油圧ホース45を第1クランプ部材58と第2クランプ部材59とで挟む。このとき(第2クランプ部材59が押え部材48で押えられる前の状態では)、第2クランプ部材59は、開口部53を介して縦板49の背面49fよりも正面側に突出する。次に、押え部材48を縦板49にボルト固定する。このとき、
図12に示すように、押え部材48の主板56が開口部53内に挿入し、第2クランプ部材59を正面側(受け部51の反対側)から押えて弾性変形させる。第2クランプ部材59が弾性変形することで、当該第2クランプ部材59によって油圧ホース45及び第1クランプ部材58が押圧され、ホースクランプ43に油圧ホース45がしっかりと保持される。
【0043】
これによれば、第2クランプ部材59を弾性変形させることで第1クランプ部材58と第2クランプ部材59とで油圧ホース45を挟み込んで固定するので、油圧ホース45の脈動を押えることができ、制振性を向上させることができる。また、第2クランプ部材59が弾性変形することで、シール性も確保でき、原動機室E2から機体2内部への熱気の侵入を抑制することができる。また、押え部材48を取り外すだけで第1クランプ部材58及び第2クランプ部材59を容易に取り外すことができるので、油圧ホース45を容易に取り外すことができる。
また、油圧ホース45をホースクランプ43に組み付ける方法として、機体2に原動機E1を組み付ける前にホースクランプ43で油圧ホース45を保持することが考えられる。
【0044】
この場合、機体2に原動機E1を組み付けた後に、ホースクランプ43を機体2側に組み付ける。詳しくは、先ず、原動機E1を機体2に組み付ける前に、油圧ホース45を開口部53に挿通すると共に、第1クランプ部材58及び第2クランプ部材59で油圧ホース45を挟み、その後、押え部材48を取り付けてホースクランプ43で油圧ホース45を保持しておく。そして、油圧ホース45を保持した状態のホースクランプ43を原動機E1に載せたまま該原動機E1を旋回基板31上に降ろして該旋回基板31に設置する。その後、例えば、ホースクランプ43を設置位置よりも前方に配置しておき、隔壁本体37及び作動油タンク28を組み付ける。次に、例えば、油圧ホース45が組み付けられたホースクランプ43の固定壁49eを旋回基板31にボルト固定する。その後、カバー部材39を第3カバー42が縦板49の上部の前面に位置するように配置し、第1カバー40を前壁37bにボルト固定すると共に第2カバー41をフランジ板44にボルト固定する。その後、第3カバー42と縦板49とを、第2仕切り板38B及びフランジ板44に共締めでボルト固定する。なお、先に第3カバー42と縦板49とを共締めし、その後、第1カバー40及び第2カバー41を固定するようにしてもよい。また、第3カバー42と縦板49とを共締めした後に、縦板49の固定壁49eを旋回基板31にボルト固定してもよい。
【0045】
この組み付け方法では、ホースクランプ43に対する油圧ホース45の保持を広い場所で行え、作業性がよい。また、油圧ホース45は、挿通溝54を介して開口部53に挿通することができ、油圧ホース45の挿通を容易に行うことができる。
また、油圧ホース45をホースクランプ43に組み付ける方法として、カバー部材39を取り付けない状態で、油圧ホース45をホースクランプ43に保持することが考えられる。
【0046】
この場合、例えば、保持体46の固定壁49eを旋回基板31に固定した状態で、油圧ホース45を挿通溝54を介して開口部53に挿通すると共に第1クランプ部材58及び第2クランプ部材59で油圧ホース45を挟み、その後、押え部材48を取り付ける。次に、カバー部材39を組み付けて、保持体46の上部を固定する。なお、油圧ホース45を保持体46に組み付けた後に、固定壁49cを旋回基板31に固定することもできる。また、油圧ホース45を保持体46に組み付けた後に、第3カバー42と縦板49とを、第2仕切り板38B及びフランジ板44に共締めでボルト固定し、その後、固定壁49cを旋回基板31に固定することもできる。この組み付け方法にあっても、油圧ホース45は、挿通溝54を介して開口部53に挿通することができ、油圧ホース45の挿通を容易に行うことができる。
【0047】
上記のホースクランプ構造は、開口部53を有する縦板49と、縦板49における開口部53に対して板面平行方向(板幅方向W1)の一側側の背面49f側に開口部53に隣接して設けられ且つ板面平行方向(板幅方向W1)において開口部53側に開放した溝部50と、縦板49における開口部53に対して板面平行方向(板幅方向W1)の他側側の背面49f側に設けられた受け部51と、溝部50に挿入される第1クランプ部材58と、第1クランプ部材58が溝部50に挿入された状態で縦板49の正面側から開口部53を介して受け部51に当接するように配置され且つ開口部53を挿通するホース(油圧ホース45)を第1クランプ部材58とで挟む弾性部材で形成された第2クランプ部材59と、第2クランプ部材59を縦板49の正面側から押えて弾性変形させることで当該第2クランプ部材59によって第1クランプ部材58を押圧すべく縦板49に取り付けられる押え部材48と、を備えている。
【0048】
この構成によれば、押え部材48を縦板49から取り外すだけで、ホース(油圧ホース45)を容易に取り外すことができる。また、第2クランプ部材59を弾性変形させることで第1クランプ部材58と第2クランプ部材59とで油圧ホース45を挟み込んで固定するので、油圧ホースで構成されるホース45の脈動を押えることができ、制振性を向上させることができる。
【0049】
また、第1クランプ部材58は、溝部50の溝幅50eと略同じ厚さに形成され、第2クランプ部材59は、受け部51に当接し且つ押え部材48で押えられる前の状態で開口部53を介して縦板49の背面49fよりも正面側に突出する厚さに形成され、押え部材48は、開口部53内に挿入されて第2クランプ部材59を押える主板56と、主板56に固定されていて縦板49の正面に当接して当該縦板49に取り付けられる取付板57とを有している。
【0050】
この構成によれば、第1クランプ部材58の組み付けを容易に行える。
また、縦板49は、開口部53に連通するように当該縦板49の外縁部から開口部53に向けて形成され且つホース45が当該ホース45の長手方向に直交する方向で通過可能な挿通溝54を有している。
この構成によれば、挿通溝54を介して開口部53にホース45を容易に通すことができる。
【0051】
また、溝部50は、開口部53の板面平行方向(板幅方向W1)の一側側の縁部(一側縁部53a)を形成する縦板49の部位である第1部位50aと、縦板49の背面49f側において第1部位50aと対向する第2部位50bと、第2部位50bの板面平行方向(板幅方向W1)の一側側の端部から縦板49の背面49fに向けて延出されて当該縦板49に固定された第3部位50cとを有している。
【0052】
この構成によれば、縦板49の一部を溝部50の構成要素とすることで、構造の簡素化を図ることができる。
また、受け部51は、縦板49の背面49f側で開口部53に対向する第1壁部51aと、第1壁部51aの板面平行方向(板幅方向W1)の他側端部から縦板49の背面49fに向けて延出されて当該縦板49に固定された第2壁部51bとを有し、第2クランプ部材59は、縦板49の正面側から開口部53を介して第1壁部51a及び第2壁部51bに当接するように配置される。
【0053】
この構成によれば、押え部材48と第1壁部51aとで挟むことにより、第2クランプ部材59を良好に弾性変形させることができる。
また、作業機1は、機体2と、機体2に搭載された原動機E1と、原動機E1を収容する原動機室E2と該原動機室E2の外部とを隔てる隔壁36と、上記いずれかのホースクランプ構造と、を備え、縦板49は、隔壁36の一部を構成し、ホース45は、原動機室E2から隔壁36の外部に配策される。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0055】
1 作業機
2 機体
36 隔壁
45 ホース(油圧ホース)
48 押え部材
49 縦板
49f 背面
50 溝部
50a 第1部位
50b 第2部位
50c 第3部位
50e 溝幅
51 受け部
51a 第1壁部
51b 第2壁部
53 開口部
53a 一側縁部
54 挿通溝
56 主板
57 取付板
58 第1クランプ部材
59 第2クランプ部材
E1 原動機
E2 原動機室
W1 板面平行方向(板幅方向)