IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KDDI株式会社の特許一覧

特許7543589情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
<>
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図1
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図3
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図4
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図5
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/00 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
G08G5/00 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024063592
(22)【出願日】2024-04-10
(62)【分割の表示】P 2023046425の分割
【原出願日】2023-03-23
【審査請求日】2024-04-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 卓弥
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-174023(JP,A)
【文献】特開2021-60407(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-2212682(KR,B1)
【文献】特開2020-98610(JP,A)
【文献】特開2019-86902(JP,A)
【文献】特開2020-154762(JP,A)
【文献】特開2020-113130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G05D 1/00 - 1/87
B64B 1/00 - 1/70
B64C 1/00 - 99/00
B64D 1/00 - 47/08
B64F 1/00 - 5/60
B64G 1/00 - 99/00
B64U 10/00 - 80/86
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行計画に基づく飛行をしている複数の飛行体それぞれの状態を示す状態情報であって、前記複数の飛行体それぞれの位置と、前記複数の飛行体それぞれが有する機能と、を含む前記状態情報を前記複数の飛行体それぞれについて取得する状態情報取得部と、
前記複数の飛行体それぞれの飛行計画を記憶する記憶部と、
災害及び緊急事態の少なくとも一方が発生した場所を示す情報を含む有事場所情報を取得する有事場所情報取得部と、
前記有事場所情報取得部が前記有事場所情報を取得した場合、前記複数の飛行体それぞれの飛行計画と、前記状態情報が示す前記複数の飛行体それぞれの位置及び機能と、前記有事場所情報が示す場所と、に基づいて、前記複数の飛行体のうち前記有事場所情報が示す場所を含む地域に向けて飛行する飛行体を特定する特定部と、
前記特定部が特定した飛行体の状態及び前記有事場所情報に基づいて、前記地域に向けて該飛行体が飛行するよう該飛行体の前記飛行計画を変更する設定部と、
を有し、
前記特定部は、前記複数の飛行体のうち前記地域を飛行するための所定の機能を有する飛行体を、前記地域に向けて飛行する飛行体として特定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記記憶部は、飛行体が具備する機能と、当該機能を具備する飛行体が前記地域に向けて飛行体として特定される優先度と、を関連付けた判定テーブルをさらに記憶し、
前記特定部は、前記判定テーブルを参照し、前記複数の飛行体それぞれが有する機能に基づいて特定される優先度のうち、最も高い優先度を有する飛行体を前記地域に向けて飛行する飛行体として特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記状態情報取得部は、前記複数の飛行体それぞれにおけるカメラの有無を含み、
前記特定部は、前記複数の飛行体それぞれの位置と、カメラの有無と、に基づいて、前記地域に向けて飛行する飛行体を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記状態情報取得部は、前記複数の飛行体それぞれの連続飛行可能時間又は速度を含み、
前記特定部は、前記複数の飛行体それぞれの位置と、連続飛行可能時間又は速度と、に基づいて、前記地域に向けて飛行する飛行体を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記飛行体の飛行計画であって、出発地点と帰着地点と、を少なくとも含む前記飛行計画を記憶する記憶部をさらに有し、
前記設定部は、前記状態情報が示す前記飛行体の位置から前記地域へ飛行した後、前記記憶部が記憶する前記飛行体の飛行計画が示す帰着地点へ飛行するよう、前記飛行体の飛行計画を変更する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特定部は、前記状態情報が示す前記複数の飛行体それぞれの位置と、前記有事場所情報が示す場所と、の距離に基づいて、前記複数の飛行体のうち前記地域に向けて飛行する飛行体を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記状態情報取得部は、前記飛行体のバッテリー残量をさらに含む前記状態情報を、前記複数の飛行体それぞれについて取得し、
前記特定部は、前記複数の飛行体それぞれの前記状態情報が示す前記複数の飛行体それぞれのバッテリー残量に基づいて、前記複数の飛行体のうち前記地域に向けて飛行する飛行体を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記特定部が特定した飛行体を前記地域に飛行させる許可を求めるメッセージを、該飛行体の運航者に送信する送信部をさらに有し、
前記設定部は、前記有事場所情報取得部が前記有事場所情報を取得した場合であって、かつ、該飛行体の運航者から承諾を示すメッセージを受信した場合に、前記地域に該飛行体が飛行するよう該飛行体の飛行計画を変更する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する、
飛行計画に基づく飛行をしている複数の飛行体それぞれの状態を示す状態情報であって、前記複数の飛行体それぞれの位置と、前記複数の飛行体それぞれが有する機能と、を含む前記状態情報を前記複数の飛行体それぞれについて取得するステップと、
災害及び緊急事態の少なくとも一方が発生した場所を示す情報を含む有事場所情報を取得するステップと、
前記有事場所情報を取得した場合、記憶部が記憶する前記複数の飛行体それぞれの飛行計画を参照し、前記複数の飛行体それぞれの飛行計画と、前記状態情報が示す前記複数の飛行体それぞれの位置及び機能と、前記有事場所情報が示す場所と、に基づいて、前記複数の飛行体のうち前記有事場所情報が示す場所を含む地域に向けて飛行する飛行体を特定するステップと、
前記特定するステップにおいて特定された飛行体の状態及び前記有事場所情報に基づいて、前記地域に向けて該飛行体が飛行するよう該飛行体の前記飛行計画を変更するステップと、
を有し、
前記特定するステップにおいては、前記複数の飛行体のうち前記地域を飛行するための所定の機能を有する飛行体を、前記地域に向けて飛行する飛行体として特定する、
情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
飛行計画に基づく飛行をしている複数の飛行体それぞれの状態を示す状態情報であって、前記複数の飛行体それぞれの位置と、前記複数の飛行体それぞれが有する機能と、を含む前記状態情報を前記複数の飛行体それぞれについて取得するステップと、
災害及び緊急事態の少なくとも一方が発生した場所を示す情報を含む有事場所情報を取得するステップと、
前記有事場所情報を取得した場合、記憶部が記憶する前記複数の飛行体それぞれの飛行計画を参照し、前記複数の飛行体それぞれの飛行計画と、前記状態情報が示す前記複数の飛行体それぞれの位置及び機能と、前記有事場所情報が示す場所と、に基づいて、前記複数の飛行体のうち前記有事場所情報が示す場所を含む地域に向けて飛行する飛行体を特定するステップと、
前記特定するステップにおいて特定された飛行体の状態及び前記有事場所情報に基づいて、前記地域に向けて該飛行体が飛行するよう該飛行体の前記飛行計画を変更するステップと、
を実行させ、
前記特定するステップにおいては、前記複数の飛行体のうち前記地域を飛行するための所定の機能を有する飛行体を、前記地域に向けて飛行する飛行体として特定する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害を受けた地域を示す防災情報を取得した場合に、災害地域に向けて飛行体を飛行させるシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-166074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術においては災害発生の情報を取得した後、飛行開始できる機体が無い場合や飛行できる機体がり災した地域から遠い場合に初動の遅れが生じうるという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、災害が発生した場合により早くり災地域に飛行体を派遣できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置においては、飛行計画に基づく飛行をしている複数の飛行体それぞれの状態を示す状態情報であって、前記複数の飛行体それぞれの位置と、前記複数の飛行体それぞれが有する機能と、を含む前記状態情報を前記複数の飛行体それぞれについて取得する状態情報取得部と、前記複数の飛行体それぞれの飛行計画を記憶する記憶部と、災害及び緊急事態の少なくとも一方が発生した場所を示す情報を含む有事場所情報を取得する有事場所情報取得部と、前記有事場所情報取得部が前記有事場所情報を取得した場合、前記複数の飛行体それぞれの飛行計画と、前記状態情報が示す前記複数の飛行体それぞれの位置及び機能と、前記有事場所情報が示す場所と、に基づいて、前記複数の飛行体のうち前記有事場所情報が示す場所を含む地域に向けて飛行する飛行体を特定する特定部と、前記特定部が特定した飛行体の状態及び前記有事場所情報に基づいて、前記地域に向けて該飛行体が飛行するよう該飛行体の前記飛行計画を変更する設定部と、を有し、前記特定部は、前記複数の飛行体のうち前記地域を飛行するための所定の機能を有する飛行体を、前記地域に向けて飛行する飛行体として特定する。
【0007】
前記記憶部は、飛行体が具備する機能と、当該機能を具備する飛行体が前記地域に向けて飛行体として特定される優先度と、を関連付けた判定テーブルをさらに記憶し、前記特定部は、前記判定テーブルを参照し、前記複数の飛行体それぞれが有する機能に基づいて特定される優先度のうち、最も高い優先度を有する飛行体を前記地域に向けて飛行する飛行体として特定してもよい。
【0008】
前記状態情報取得部は、前記複数の飛行体それぞれにおけるカメラの有無を含み、前記特定部は、前記複数の飛行体それぞれの位置と、カメラの有無と、に基づいて、前記地域に向けて飛行する飛行体を特定してもよい。
【0009】
前記状態情報取得部は、前記複数の飛行体それぞれの連続飛行可能時間又は速度を含み、前記特定部は、前記複数の飛行体それぞれの位置と、連続飛行可能時間又は速度と、に基づいて、前記地域に向けて飛行する飛行体を特定してもよい。
【0010】
前記飛行体の飛行計画であって、出発地点と帰着地点と、を少なくとも含む前記飛行計画を記憶する記憶部をさらに有し、前記設定部は、前記状態情報が示す前記飛行体の位置から前記地域へ飛行した後、前記記憶部が記憶する前記飛行体の飛行計画が示す帰着地点へ飛行するよう、前記飛行体の飛行計画を変更してもよい。
【0011】
前記特定部は、前記状態情報が示す前記複数の飛行体それぞれの位置と、前記有事場所情報が示す場所と、の距離に基づいて、前記複数の飛行体のうち前記地域に向けて飛行する飛行体を特定してもよい。
【0012】
前記状態情報取得部は、前記飛行体のバッテリー残量をさらに含む前記状態情報を、前記複数の飛行体それぞれについて取得し、前記特定部は、前記複数の飛行体それぞれの前記状態情報が示す前記複数の飛行体それぞれのバッテリー残量に基づいて、前記複数の飛行体のうち前記地域に向けて飛行する飛行体を特定してもよい。
【0013】
前記特定部が特定した飛行体を前記地域に飛行させる許可を求めるメッセージを、該飛行体の運航者に送信する送信部をさらに有し、前記設定部は、前記有事場所情報取得部が前記有事場所情報を取得した場合であって、かつ、該飛行体の運航者から承諾を示すメッセージを受信した場合に、前記地域に該飛行体が飛行するよう該飛行体の飛行計画を変更してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様の情報処理方法においては、コンピュータが実行する、飛行計画に基づく飛行をしている複数の飛行体それぞれの状態を示す状態情報であって、前記複数の飛行体それぞれの位置と、前記複数の飛行体それぞれが有する機能と、を含む前記状態情報を前記複数の飛行体それぞれについて取得するステップと、災害及び緊急事態の少なくとも一方が発生した場所を示す情報を含む有事場所情報を取得するステップと、前記有事場所情報を取得した場合、記憶部が記憶する前記複数の飛行体それぞれの飛行計画を参照し、前記複数の飛行体それぞれの飛行計画と、前記状態情報が示す前記複数の飛行体それぞれの位置及び機能と、前記有事場所情報が示す場所と、に基づいて、前記複数の飛行体のうち前記有事場所情報が示す場所を含む地域に向けて飛行する飛行体を特定するステップと、前記特定するステップにおいて特定された飛行体の状態及び前記有事場所情報に基づいて、前記地域に向けて該飛行体が飛行するよう該飛行体の前記飛行計画を変更するステップと、を有し、前記特定するステップにおいては、前記複数の飛行体のうち前記地域を飛行するための所定の機能を有する飛行体を、前記地域に向けて飛行する飛行体として特定する。
【0015】
本発明の第3の態様のプログラムにおいては、コンピュータに、飛行計画に基づく飛行をしている複数の飛行体それぞれの状態を示す状態情報であって、前記複数の飛行体それぞれの位置と、前記複数の飛行体それぞれが有する機能と、を含む前記状態情報を前記複数の飛行体それぞれについて取得するステップと、災害及び緊急事態の少なくとも一方が発生した場所を示す情報を含む有事場所情報を取得するステップと、前記有事場所情報を取得した場合、記憶部が記憶する前記複数の飛行体それぞれの飛行計画を参照し、前記複数の飛行体それぞれの飛行計画と、前記状態情報が示す前記複数の飛行体それぞれの位置及び機能と、前記有事場所情報が示す場所と、に基づいて、前記複数の飛行体のうち前記有事場所情報が示す場所を含む地域に向けて飛行する飛行体を特定するステップと、前記特定するステップにおいて特定された飛行体の状態及び前記有事場所情報に基づいて、前記地域に向けて該飛行体が飛行するよう該飛行体の前記飛行計画を変更するステップと、を実行させ、前記特定するステップにおいては、前記複数の飛行体のうち前記地域を飛行するための所定の機能を有する飛行体を、前記地域に向けて飛行する飛行体として特定する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、災害が発生した場合により早くり災地域に飛行体を派遣できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態にかかる情報処理システムSの処理の概要を説明する図である。
図2】情報処理装置1の構成を示すブロック図である。
図3】記憶部12が記憶する飛行計画情報のデータ構造の一例を示す図である。
図4】記憶部12が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。
図5】送信部135が送信するメッセージの一例を示す図である。
図6】情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[情報処理システムSの概要]
図1は、実施形態にかかる情報処理システムSの処理の概要を説明する図である。情報処理システムSは、飛行体を管理するためのシステムである。情報処理システムSは、情報処理装置1及び飛行体2を有する。
【0019】
情報処理装置1は、飛行体2の飛行計画を管理し、飛行体2を制御する装置である。飛行計画は、飛行体2が飛行する時刻、経路及び飛行体2の運航者等を含む。情報処理装置1は、例えばサーバである。情報処理装置1は、災害や緊急事態の発生を受付けた場合に情報処理装置1において管理される飛行体2を災害や緊急事態が発生した地域に飛行させる。情報処理装置1、複数の飛行体2の飛行計画を管理し、複数の飛行体2から特定した飛行体を災害等が発生した地域に飛行させてもよい。
【0020】
飛行体2は、飛行計画に基づいて指定された経路を飛行する装置である。飛行体2は、自律的に飛行範囲を飛行し、又は運航者が使用する情報端末を介して受付けた操作に応じて飛行範囲を飛行する。飛行体3は、例えば、ドローン等の無人飛行装置である。飛行体2は、無線通信によって情報処理装置1又は運航者が使用する情報端末との間で情報を送受信する。飛行体2は、情報処理装置1から飛行計画の変更を受け付け、受付けた変更後の飛行計画に基づいて飛行する。
【0021】
情報処理システムSにおける処理について説明する。図1において飛行体2は、飛行計画Aに基づいて飛行している。情報処理装置1は、飛行している飛行体2から状態情報を取得する(図1における(1))。状態情報は、飛行中の飛行体2の状態を示す。状態情報は、一例として、飛行体2の位置、バッテリー残量及び機能のうち少なくともいずれかを含む。情報処理装置1は、有事場所情報を取得する(図1における(2))。有事場所情報は、災害及び緊急事態の少なくとも一方が発生した場所を含む。
【0022】
情報処理装置1は、有事場所情報を取得した場合、有事場所情報が示す災害が発生した地域に飛行するよう飛行体2の飛行計画を変更する(図1における(3))。情報処理装置1は、変更後の飛行計画(飛行計画B)を飛行体2に通知する(図1における(4))。)飛行体2は、飛行計画Bに基づいて災害等が発生した地域へ飛行する。
【0023】
情報処理システムSにおいては、飛行中の飛行体の飛行計画を変更することにより、災害が発生した場合により早くり災地域に飛行体2を派遣できるようにすることができる。
【0024】
[情報処理装置1の構成]
図2は、情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、状態情報取得部131、有事場所情報取得部132、設定部133、特定部134及び送信部135を有する。
【0025】
通信部11は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。
【0026】
記憶部12は、飛行体2の飛行計画であって、出発地点と帰着地点と、を少なくとも含む飛行計画を記憶する。記憶部12は、複数の飛行体2それぞれの飛行計画を記憶してもよい。図3は、記憶部12が記憶する飛行計画情報のデータ構造の一例を示す図である。図3に示す飛行計画情報においては、「飛行計画ID」、「開始日時」、「終了日時」、「飛行体ID」、「運航者」、「開始地点」、「帰着地点」及び「飛行経路」が関連付けられている。
【0027】
「飛行計画ID」は、飛行計画を識別するためのID(IDentification)である。「開始日時」及び「終了日時」はそれぞれ、当該飛行計画が示す飛行を開始及び終了する日時である。「飛行体ID」は、当該飛行計画において飛行する飛行体2を示すIDである。「運航者」は、当該飛行計画において飛行体2を運航する運航者を示す。「運航者」は、該飛行体の運航者の連絡先を含んでいてもよい。「開始地点」及び「帰着地点」はそれぞれ、当該飛行計画において飛行体2が飛行を開始する地点及び飛行を終了した飛行体2が帰着する地点を示す。「飛行経路」は、当該飛行計画において飛行体2が飛行する経路又は領域を示す。「飛行経路」は、一例として飛行体2が飛行するウェイポイントや飛行体2が飛行する領域の位置情報である。
【0028】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、状態情報取得部131、有事場所情報取得部132、設定部133、特定部134及び送信部135として機能する。
【0029】
状態情報取得部131は、飛行計画に基づく飛行をしている飛行体2の状態を示す状態情報を取得する。状態情報取得部131は、飛行体2から状態情報を取得する。状態情報取得部131は、定期的に飛行体2の状態情報を取得する。状態情報は、飛行中の飛行体2の位置を含んでいてもよい。
【0030】
有事場所情報取得部132は、災害及び緊急事態の少なくとも一方が発生した場所を示す情報を含む有事場所情報を取得する。有事場所情報は、一例として、災害及び緊急事態の少なくとも一方が発生した場所を示す座標を含む。有事場所情報は、災害及び緊急事態の少なくとも一方が発生した場所の住所、市町村、県域等示す情報を含んでいてもよい。有事場所情報は、一例として、自然災害、人為災害、事件又は事故等が発生した位置又は地域を示す。また、有事場所情報は、自然災害、人為災害等により影響を受けている地域を示してもよい。
【0031】
設定部133は、飛行体2の飛行計画を生成又は変更する。設定部133は、有事場所情報取得部132が有事場所情報を取得した場合、取得した飛行体2の状態及び有事場所情報に基づいて、有事場所情報が示す場所を含む地域(以下、「り災地域」という)に向けて飛行体2が飛行するよう飛行計画を変更する。設定部133は、り災地域が飛行経路に含まれるよう飛行体2の飛行計画情報(変更後の飛行計画情報)を生成する。設定部133は、変更後の飛行計画情報を記憶部12に記憶させる。設定部133は、変更後の飛行計画情報を飛行体2に通知してもよいし、当該飛行体2の運航者に通知してもよい。なお、設定部133は、飛行計画情報において新たな情報を追加することで飛行計画を変更してもよいし、それまで飛行体2が従って飛行していた飛行計画を示す情報を修正することにより飛行計画を変更してもよい。
【0032】
飛行体2の位置に基づいて飛行体2の飛行計画を変更するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0033】
設定部133は、状態情報が示す飛行体2の位置からり災地域に向けて飛行するよう飛行体2の飛行計画を変更する。設定部133は、取得した飛行体2の状態情報に含まれる飛行体2の位置を開始地点としてり災地域に向かう飛行経路を含む飛行計画情報を生成する。
【0034】
情報処理装置1がこのように構成されることで、災害が発生した場合により早くり災地域に飛行体2を派遣できるようにすることができる。
【0035】
変更前の飛行計画に基づいて、変更前に設定されていた帰着地点に飛行体2が帰着するように変更後の飛行計画が設定されることで、飛行体2の運航者に与える影響を軽減することができる。設定部133は、状態情報が示す飛行体2の位置からり災地域へ飛行した後、記憶部12が記憶する飛行体2の飛行計画が示す帰着地点へ飛行するよう、飛行体2の飛行計画を変更する。設定部133は、記憶部12が記憶する飛行計画情報に含まれる帰着地点が変更後の飛行計画においても帰着地点となるよう、飛行計画情報を生成する。
【0036】
[飛行計画を変更する飛行体2の特定]
飛行している複数の飛行体2からり災地域へ飛行する飛行体2を特定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。状態情報取得部131は、複数の飛行体2それぞれの状態情報を取得する。具体的には、状態情報取得部131は、飛行体2の飛行体IDを含む状態情報を取得する。
【0037】
特定部134は、複数の飛行体2それぞれの飛行計画と、状態情報が示す複数の飛行体2それぞれの状態と、有事場所情報が示す場所と、に基づいて、複数の飛行体2のうちり災地域に向けて飛行する飛行体2を特定する。後述するように、特定部134は、飛行体2の位置、バッテリー残量及び機能の少なくともいずれかに基づいて、飛行計画を変更する飛行体2を特定する。設定部133は、特定部134が特定した飛行体2が、り災地域に向けて飛行するよう該飛行体の飛行計画を変更する。
【0038】
飛行中の飛行体2の位置とり災地域との距離に基づいてり災地域に向けて飛行する飛行体2を特定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0039】
特定部134は、状態情報が示す複数の飛行体2それぞれの位置と、有事場所情報が示す場所と、の距離に基づいて、複数の飛行体2のうちり災地域に向けて飛行する飛行体2を特定する。特定部134は、状態情報が示すそれぞれの飛行体2の位置とり災地域との距離を、状態情報を取得した複数の飛行体2それぞれについて算出する。一例として特定部134は、状態情報を取得した複数の飛行体2のうち、飛行体2の位置とり災地域との距離が最も短い飛行体2をり災地域に向けて飛行する飛行体2として特定する。
【0040】
飛行体2のバッテリー残量に基づいてり災地域に向かう飛行体2を特定してもよい。状態情報取得部131は、飛行体2のバッテリー残量をさらに含む状態情報を、複数の飛行体2それぞれについて取得する。
【0041】
特定部134は、複数の飛行体2それぞれの状態情報が示す複数の飛行体2それぞれのバッテリー残量に基づいて、複数の飛行体2のうち有事場所情報が示す場所を含む地域に向けて飛行する飛行体2を特定する。一例として、特定部134は、取得した状態情報が示すそれぞれの飛行体2のバッテリー残量のうち最もバッテリー残量が多い飛行体2をり災地域に向けて飛行する飛行体2として特定してもよい。
【0042】
特定部134は、取得した状態情報が示すそれぞれの飛行体2の位置と、バッテリー残量と、に基づいてり災地域に向かう飛行体2を特定してもよい。一例として、特定部134は、それぞれの飛行体2の位置とり災地域との距離を算出し、当該飛行体2のバッテリー残量が、当該飛行体2について算出したり災地域との距離を飛行するために必要な残量以上である飛行体2を、り災地域に向かう飛行体2として特定する。
【0043】
飛行体2の機能に基づいて、り災地域に向けて飛行する飛行体2を特定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。状態情報取得部131は、飛行体2が有する機能をさらに含む状態情報を、飛行体2それぞれについて取得する。状態情報は例えばカメラの有無、連続飛行可能時間及び最高速度を含む。
【0044】
特定部134は、複数の飛行体2それぞれの状態情報が示す複数の飛行体2それぞれが有する機能に基づいて、複数の飛行体2のうちり災地域を飛行するための所定の機能を有する飛行体2を、り災地域に向けて飛行する飛行体2として特定する。図4は、記憶部12が記憶する判定テーブルの一例を示す図である。図4に示す判定テーブルにおいては、「機能」と「優先度」とが関連付けられている。「機能」は、「カメラ」、「飛行可能時間」及び「速度」を有する。「カメラ」、「飛行可能時間」及び「速度」はそれぞれ、カメラの有無、連続飛行可能時間及び最高速度における判定条件である。「優先度」は、そのレコードにおいて関連付けられた機能を具備する場合にり災地域に向けて飛行する飛行体2として特定されるための優先度を示す。優先度は、一例として正の整数で示され、値が小さいほど優先度が高いことを示す。
【0045】
特定部134は、記憶部12が記憶する判定テーブルを参照し、状態情報取得部131が取得した飛行体2の状態情報が示す機能に対応する優先度を特定する。特定部134は、優先度を特定した飛行体2のうち優先度が最も高い飛行体2をり災地域に向けて飛行する飛行体2として特定する。また、特定部134は、優先度を特定した飛行体2のうち優先度が最も高い飛行体2のうち、飛行体2の位置とり災地域との距離が最も短い飛行体2をり災地域に向けて飛行する飛行体2として特定してもよい。また、特定部134は、優先度が最も高い飛行体2のうち、当該飛行体2のバッテリー残量が当該飛行体2について算出したり災地域との距離を飛行するために必要な残量以上である飛行体2を、り災地域に向かう飛行体2として特定してもよい。
【0046】
情報処理装置1がこのように構成されることで、適切な機能を有する飛行体2をり災地域に派遣することができる。
【0047】
飛行計画を変更する際に飛行体2の運航者に許可を求めるよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0048】
送信部135は、特定部134が特定した飛行体2をり災地域に飛行させる許可を求めるメッセージを、該飛行体の運航者に送信する。送信部135は、記憶部12が記憶する飛行計画情報を参照し、特定した飛行体2を運航する運航者を特定する。図5は、送信部135が送信するメッセージの一例を示す図である。図5に示すメッセージにおいては、飛行計画を変更する許可を求めるメッセージと、承諾を示す「OK」と表示されたボタンと、承諾しないことを示す「NG」のボタンが配置されている。図5に示すメッセージにおいて飛行体2の運航者が「OK」のボタンを押した場合、送信部135は運航者が承諾したことを示すメッセージを取得する。
【0049】
設定部133は、有事場所情報取得部132が有事場所情報を取得した場合であって、かつ、該飛行体の運航者から承諾を示すメッセージを受信した場合に、り災地域に該飛行体が飛行するよう該飛行体の飛行計画を変更する。設定部133は、承諾を示すメッセージを取得した場合に、当該飛行体の飛行計画を変更する。また、図5に示すメッセージにおいて飛行体2の運航者が「NG」のボタンを押した場合、送信部135は運航者が承諾しないことを示すメッセージを取得する。運航者が承諾しないことを示すメッセージを取得した場合、特定部134は、当該飛行体を除く複数の飛行体2のうち飛行計画を変更する飛行体2を特定する。
【0050】
情報処理装置1がこのように構成されることで、飛行体2の運航者が飛行計画の変更を知ることができ、運航者の不測の事態を防止することができる。
【0051】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図6は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、情報処理装置1が飛行体2の状態の管理を開始した時点から開始している。状態情報取得部131は、状態情報を取得する(S01)。有事場所情報取得部132が有事場所情報を取得したか否かを判定する(S02)。有事場所情報取得部132が有事場所情報を取得しない場合(S02におけるNO)、情報処理装置1は、処理をS01に進める。
【0052】
有事場所情報取得部132が有事場所情報を取得する場合(S02におけるYES)、特定部134は、取得した状態情報に基づいて有事場所情報が示す場所へ飛行する飛行体2を特定する(S03)。
【0053】
送信部135は、特定した飛行体2の運航者にメッセージを送信する(S04)。送信部135は、特定した飛行体2の運航者から送信されたメッセージを取得する(S05)。送信部135は、取得したメッセージが承諾を示すか否かを判定する(S06)。取得したメッセージが承諾を示さない場合(S06におけるNO)、情報処理装置1は、処理をS03に進める。
【0054】
取得したメッセージが承諾を示す場合(S06におけるYES)、設定部133は、特定部134が特定した飛行体2がり災地域に向けて飛行するよう飛行計画を変更する(S07)。そして、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0055】
[情報処理装置1による効果]
以上説明したように情報処理装置1においては、災害が発生した場合により早くり災地域に飛行体を派遣できるようにすることができる。
【0056】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0057】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0058】
1 情報処理装置
2 飛行体
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 状態情報取得部
132 有事場所情報取得部
133 設定部
134 特定部
135 送信部
【要約】
【課題】災害が発生した場合により早くり災地域に飛行体を派遣できるようにする。
【解決手段】飛行計画に基づく飛行をしている飛行体2の状態を示す状態情報を取得する状態情報取得部131と、災害及び緊急事態の少なくとも一方が発生した場所を示す情報を含む有事場所情報を取得する有事場所情報取得部132と、有事場所情報取得部132が有事場所情報を取得した場合、取得した飛行体2の状態及び有事場所情報に基づいて、有事場所情報が示す場所を含む地域に向けて飛行体2が飛行するよう飛行計画を変更する設定部133と、を有する情報処理装置1である。
【選択図】図2

図1
図2
図3
図4
図5
図6