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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】鋳造装置の圧力射出システム
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/32 20060101AFI20240826BHJP
【FI】
B22D17/32 E
B22D17/32 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024090184
(22)【出願日】2024-06-03
【審査請求日】2024-06-03
(31)【優先権主張番号】202410116264.7
(32)【優先日】2024-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524210747
【氏名又は名称】寧波力勁科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【弁理士】
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】馮 光明
(72)【発明者】
【氏名】王 云祥
(72)【発明者】
【氏名】張 瑞亭
(72)【発明者】
【氏名】高 斌燿
(72)【発明者】
【氏名】丁 広平
(72)【発明者】
【氏名】呂 安慶
(72)【発明者】
【氏名】胡 奨品
(72)【発明者】
【氏名】劉 亜剛
(72)【発明者】
【氏名】鐘 小鋒
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-226447(JP,A)
【文献】特開2005-21976(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107218260(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103752792(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 15/00 - 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造装置の圧力射出システムであって、
油路により接続されたエネルギ貯蓄器、射出油圧シリンダ、増圧油圧シリンダ及びバルブモジュールを含み、
前記射出油圧シリンダの低速圧力射出段階において、前記バルブモジュールは、ポンプによる油路の単独給油モード及び前記ポンプ及び前記エネルギ貯蓄器による油路の共同給油モードの切り替えに用いられ、
高速圧力射出段階、制動段階及び追従段階において、前記バルブモジュールは、A型半ブリッジ構造が形成されるように、前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティを油路のポンプ及びタンクに連通させ、
増圧射出段階において、前記バルブモジュールは、A型半ブリッジ構造が形成されるように、前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティを油路のポンプ及びタンクに連通させ、
前記バルブモジュールは、開閉弁V4、開閉弁V5、開閉弁V8、開閉弁V12、サーボ弁V7、サーボ弁V9、逆止弁V11及び逆止弁V13を含み、
前記ポンプの出力ポートは、順に直列に接続された逆止弁V11及びサーボ弁V9により、前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティと接続されて、第1油路が形成され、
前記ポンプの出力ポートは、開閉弁V12により前記エネルギ貯蓄器と接続されて、第2油路が形成され、
前記ポンプの出力ポートは、順に直列に接続された逆止弁V11、逆止弁V13、開閉弁V8及び開閉弁V5により前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティと接続されて、第3油路が形成され、
前記エネルギ貯蓄器は、順に直列に接続された開閉弁V4及び開閉弁V5により前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティと接続されて、第4油路が形成され、
前記タンクは、サーボ弁V7により前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティと接続されて、第5油路が形成され、
前記エネルギ貯蓄器は、開閉弁V4により前記増圧油圧シリンダのロッド無キャビティと接続されて、第6油路が形成され、
前記ポンプの出力ポートは、順に直列に接続された逆止弁V11、サーボ弁V9及び開閉弁V6により前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティと接続されて、第8油路が形成され、
高速圧力射出段階及び制動段階において、前記エネルギ貯蓄器は、導通された前記第4油路により、前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティに給油するとともに、前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティの圧力油は、導通された前記第5油路に沿って前記タンクに還流され、前記第1油路と前記第5油路とが導通してA型半ブリッジ構造が形成され、サーボ弁V7及びサーボ弁V9の開度を制御することにより前記射出油圧シリンダの圧力射出速度を調整し、
追従段階において、前記ポンプ及び前記エネルギ貯蓄器は、それぞれ導通された前記第3油路及び導通された前記第4油路により前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティに給油し、前記ポンプは、前記第2油路により前記エネルギ貯蓄器に補油するとともに、前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティの圧力油は、導通された前記第5油路に沿って前記タンクに還流され、前記第1油路と前記第5油路とが導通してA型半ブリッジ構造が形成され、サーボ弁V7及びサーボ弁V9の開度を制御することにより、前記射出油圧シリンダの圧力射出速度を調整し、
前記バルブモジュールは、開閉弁V6を含み、又は、サーボ弁V14,V15を含み、
前記バルブモジュールがサーボ弁V14,V15を含まず、開閉弁V6を含む場合に、前記タンクは、順に直列に接続されたサーボ弁V7及び開閉弁V6により前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティと接続されて、第7油路が形成され、増圧射出段階において、前記エネルギ貯蓄器は、導通された前記第6油路により前記増圧油圧シリンダのロッド無キャビティに給油するとともに、前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティの圧力及び前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティの圧力油は、それぞれ導通された前記第7油路及び前記第5油路に沿って前記タンクに還流され、前記第8油路と前記第7油路とが導通してA型半ブリッジ構造が形成され、サーボ弁V7及びサーボ弁V9の開度を制御することにより、前記増圧油圧シリンダの増圧圧力を調整し、
前記バルブモジュールが開閉弁V6を含まず、サーボ弁V14,V15を含む場合に、前記エネルギ貯蓄器は、サーボ弁V14により前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティと接続されて、第11油路が形成され、前記タンクは、サーボ弁V15により前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティと接続されて、第12油路が形成され、増圧射出段階において、前記エネルギ貯蓄器は、導通された前記第6油路により前記増圧油圧シリンダのロッド無キャビティに給油するとともに、前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティの圧力油は、導通された前記第5油路に沿って前記タンクに還流され、前記第11油路と前記第12油路とが導通してA型半ブリッジ構造が形成され、サーボ弁V14及びサーボ弁V15の開度を制御することにより、前記増圧油圧シリンダの増圧圧力を調整する、
ことを特徴とする鋳造装置の圧力射出システム。
【請求項2】
低速圧力射出の前記ポンプによる単独給油モードにおいて、前記ポンプは、導通された前記第3油路により前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティに給油するとともに、前記第1油路と前記第3油路とにより差動回路が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の鋳造装置の圧力射出システム。
【請求項3】
低速圧力射出の前記ポンプ及び前記エネルギ貯蓄器による共同給油モードにおいて、前記ポンプの単独給油に加え、前記エネルギ貯蓄器は、導通された前記第4油路により前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティに給油している、
ことを特徴とする請求項2に記載の鋳造装置の圧力射出システム。
【請求項4】
増圧圧力射出段階が完了してから減圧させる場合に、前記増圧油圧シリンダのロッド無キャビティに対する前記エネルギ貯蓄器の給油を停止し、かつ、サーボ弁V9の開度を大きくするとともにサーボ弁V7の開度を小さくすることにより、ポンプは、導通された前記第8油路により前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティに給油し、前記増圧油圧シリンダは、戻り、そのロッド無キャビティの圧力油が導通された前記第6油路に沿って前記エネルギ貯蓄器に還流されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の鋳造装置の圧力射出システム。
【請求項5】
バルブモジュールは、開閉弁V10を含み、
前記タンクは、前記開閉弁V10により前記増圧油圧シリンダのロッド無キャビティと接続されて、第9油路が形成され、
前記タンクは、順に直列に接続された開閉弁V10及び開閉弁V5により前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティと接続されて、第10油路が形成され、
前記追従段階が完了してからハンマー戻り段階を行う場合に、ポンプは、導通された前記第1油路及び前記第8油路によりそれぞれ前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティ及び前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティに給油するとともに、前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティ及び前記増圧油圧シリンダのロッド無キャビティは、それぞれ導通された前記第10油路及び前記第9油路により圧力油を前記タンクに還流させている、
ことを特徴とする請求項1に記載の鋳造装置の圧力射出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属鋳造の技術分野に関連し、特に鋳造装置の圧力射出システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
鋳造装置は、圧力鋳造に用いられる装置であり、よく自動車部品等の生産加工に用いられている。鋳造装置は、溶融した金属液を圧力により金型に圧力射出して、金属を冷却して成形することができる。そして、金型を開くと固体金属鋳造部材が得られる。
【0003】
現状の冷却室鋳造装置の圧力射出動作は、低速圧力射出、高速圧力射出及び増圧射出といった過程を含む。ここでは、高速圧力射出が完了してから増圧射出を準備する前に射出油圧シリンダを制動する必要がある。鋳造装置が圧力射出動作が完了した後に、減圧過程、追従過程及びハンマー戻り過程を行うことにより、初期位置に戻る。
【0004】
しかしながら、現状の鋳造装置の圧力射出システムは、上記過程を行う際に下記の不具合がある。
【0005】
(1)低速始動段階において、始動衝撃が発生するおそれがあり、かつ、精度制御が悪い。
【0006】
(2)高速圧力射出段階において、速度が超過するおそれがある。
【0007】
(3)増圧射出段階において、油の排出量が所定値を超え、又は、不足するおそれがあり、増圧圧力の精度が悪い。
【0008】
(4)制動段階において、制動が鈍く、制動効果が低下するおそれがある。
【0009】
(5)追従段階において、ハンマーヘッドを制御しきれないおそれがあり、追従を制御できなくなる。
【0010】
以上のことに鑑み、現状の鋳造装置の圧力射出システムを改良する必要がある。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、上述した背景技術の少なくとも一つの欠陥を解決することができる圧力射出システムを提供することを目的としている。
【0012】
上述した少なくとも一つの目的を達成するために、本発明によれば、鋳造装置の圧力射出システムであって、油路により接続されたエネルギ貯蓄器、射出油圧シリンダ、増圧油圧シリンダ及びバルブモジュールを含み、前記射出油圧シリンダの低速圧力射出段階において、前記バルブモジュールは、ポンプによる油路の単独給油モード及び前記ポンプ及び前記エネルギ貯蓄器による油路の共同給油モードの切り替えに用いられ、高速圧力射出段階、制動段階及び追従段階において、前記バルブモジュールは、A型半ブリッジ構造が形成されるように、前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティを油路のポンプ及びタンクに連通させ、前記射出油圧シリンダの増圧射出段階において、前記バルブモジュールは、A型半ブリッジ構造が形成されるように、前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティを油路のポンプ及びタンクに連通させている鋳造装置の圧力射出システムが提供される。
【0013】
前記バルブモジュールは、開閉弁V5、開閉弁V8、サーボ弁V9、逆止弁V11及び逆止弁V13を含み、前記ポンプの出力ポートは、順に直列に接続された逆止弁V11及びサーボ弁V9により、前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティと接続されて、第1油路が形成され、前記ポンプの出力ポートは、順に直列に接続された逆止弁V11、逆止弁V13、開閉弁V8及び開閉弁V5により前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティと接続されて、第3油路が形成され、低速圧力射出の前記ポンプによる単独給油モードにおいて、前記ポンプは、導通された前記第3油路により前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティに給油するとともに、前記第1油路と前記第3油路とにより差動回路が形成されていることが好ましい。
【0014】
前記バルブモジュールは、開閉弁V4を含み、前記エネルギ貯蓄器は、順に直列に接続された開閉弁V4及び開閉弁V5により前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティと接続されて、第4油路が形成され、低速圧力射出の前記ポンプ及び前記エネルギ貯蓄器による共同給油モードにおいて、前記ポンプの単独給油に加え、前記エネルギ貯蓄器は、導通された前記第4油路により前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティに給油していることが好ましい。
【0015】
前記バルブモジュールは、サーボ弁V7を含み、前記タンクは、サーボ弁V7により前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティと接続されて、第5油路が形成され、前記射出油圧シリンダの高速圧力射出段階及び制動段階において、前記エネルギ貯蓄器は、導通された前記第4油路により、前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティに給油するとともに、前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティの圧力油は、導通された前記第5油路に沿って前記タンクに還流され、前記第1油路と前記第5油路とが導通してA型半ブリッジ構造が形成され、サーボ弁V7及びサーボ弁V9の開度を制御することにより前記射出油圧シリンダの圧力射出速度を調整していることが好ましい。
【0016】
前記バルブモジュールは、開閉弁V12を含み、前記ポンプの出力ポートは、開閉弁V12により前記エネルギ貯蓄器と接続されて、第2油路が形成され、前記射出油圧シリンダの追従段階において、前記ポンプ及び前記エネルギ貯蓄器は、それぞれ導通された前記第3油路及び導通された前記第4油路により前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティに給油し、前記ポンプは、前記第2油路により前記エネルギ貯蓄器に補油するとともに、前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティの圧力油は、導通された前記第5油路に沿って前記タンクに還流され、前記第1油路と前記第5油路とが導通してA型半ブリッジ構造が形成され、サーボ弁V7及びサーボ弁V9の開度を制御することにより、前記射出油圧シリンダの圧力射出速度を調整していることが好ましい。
【0017】
前記バルブモジュールは、開閉弁V6を含み、前記エネルギ貯蓄器は、開閉弁V4により前記増圧油圧シリンダのロッド無キャビティと接続されて、第6油路が形成され、前記タンクは、順に直列に接続されたサーボ弁V7及び開閉弁V6により前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティと接続されて、第7油路が形成され、前記ポンプの出力ポートは、順に直列に接続された逆止弁V11、サーボ弁V9及び開閉弁V6により前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティと接続されて、第8油路が形成され、前記射出油圧シリンダの増圧射出段階において、前記エネルギ貯蓄器は、導通された前記第6油路により前記増圧油圧シリンダのロッド無キャビティに給油するとともに、前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティの圧力及び前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティの圧力油は、それぞれ導通された前記第7油路及び前記第5油路に沿って前記タンクに還流され、前記第8油路と前記第7油路とが導通してA型半ブリッジ構造が形成され、サーボ弁V7及びサーボ弁V9の開度を制御することにより、前記増圧油圧シリンダの増圧圧力を調整していることが好ましい。
【0018】
増圧圧力射出段階が完了してから減圧させる場合に、前記増圧油圧シリンダのロッド無キャビティに対する前記エネルギ貯蓄器の給油を停止し、かつ、サーボ弁V9の開度を大きくするとともにサーボ弁V7の開度を小さくすることにより、ポンプは、導通された前記第8油路により前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティに給油し、前記増圧油圧シリンダは、戻り、そのロッド無キャビティの圧力油が導通された前記第6油路に沿って前記エネルギ貯蓄器に還流されていることが好ましい。
【0019】
バルブモジュールは、開閉弁V10を含み、前記タンクは、前記開閉弁V10により前記増圧油圧シリンダのロッド無キャビティと接続されて、第9油路が形成され、前記タンクは、順に直列に接続された開閉弁V10及び開閉弁V5により前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティと接続されて、第10油路が形成され、前記追従段階が完了してからハンマー戻り段階を行う場合に、ポンプは、導通された前記第1油路及び前記第8油路によりそれぞれ前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティ及び前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティに給油するとともに、前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティ及び前記増圧油圧シリンダのロッド無キャビティは、それぞれ導通された前記第10油路及び前記第9油路により圧力油を前記タンクに還流させていることが好ましい。
【0020】
前記バルブモジュールは、サーボ弁V14及びサーボ弁V15を含み、前記エネルギ貯蓄器は、サーボ弁V4により前記増圧油圧シリンダのロッド無キャビティと接続されて、第6油路が形成され、前記エネルギ貯蓄器は、サーボ弁V14により前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティと接続されて、第11油路が形成され、前記タンクは、サーボ弁V15により前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティと接続されて、第12油路が形成され、前記射出油圧シリンダの増圧射出段階において、前記エネルギ貯蓄器は、導通された前記第6油路により前記増圧油圧シリンダのロッド無キャビティに給油するとともに、前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティの圧力油は、導通された前記第5油路に沿って前記タンクに還流され、前記第11油路と前記第12油路とが導通してA型半ブリッジ構造が形成され、サーボ弁V14及びサーボ弁V15の開度を制御することにより、前記増圧油圧シリンダの増圧圧力を調整することが好ましい。
【0021】
増圧射出段階が完了してから減圧させる場合に、前記第5油路及び前記第12油路を遮断するとともに、前記第6油路及び前記第11油路を導通させるものの、前記第6油路に対する前記エネルギ貯蓄器の給油を停止することにより、前記エネルギ貯蓄器は、前記第11油路により前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティに給油し、前記増圧油圧シリンダは、戻り、そのロッド無キャビティの圧力油が導通された前記第6油路に沿って前記エネルギ貯蓄器に還流されていることが好ましい。
【0022】
前記バルブモジュールは、開閉弁V10を含み、前記タンクは、前記開閉弁V10により前記増圧油圧シリンダのロッド無キャビティと接続されて、第9油路が形成され、前記タンクは、順に直列に接続された開閉弁V10及び開閉弁V5により前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティと接続されて、第10油路が形成され、前記ポンプは、順に直列に接続された開閉弁V12及びサーボ弁V14により前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティに接続されて、第13油路が形成され、前記追従段階が完了してからハンマー戻り段階を行う場合に、ポンプは、導通された前記第1油路及び前記第13油路によりそれぞれ前記射出油圧シリンダのロッド有キャビティ及び前記増圧油圧シリンダのロッド有キャビティに給油するとともに、前記射出油圧シリンダのロッド無キャビティ及び前記増圧油圧シリンダのロッド無キャビティは、それぞれ導通された前記第10油路及び前記第9油路により圧力油を前記タンクに還流させていることが好ましい。
【0023】
従来技術に比べ、本発明は、以下の効果を奏し得る。
【0024】
(1)低速圧力射出段階において、ポンプによる油路の単独給油モードを増やし、ポンプによる油路の単独給油モード及びポンプ及びエネルギ貯蓄器による油路の共同給油モードの組み合わせにより、エネルギ貯蓄器の油消費を効率的に低下させるとともに射出油圧シリンダの動的射出力を向上させることができる。
【0025】
(2)油路を設計することによりA型半ブリッジ構造を取得し、A型半ブリッジ構造により射出油圧シリンダの速度及び増圧油圧シリンダの増圧圧力を制御することができる。従来方式に比べ、効果的に速度超過を回避し又は低減させることができるとともに、増圧射出の圧力安定及び制御精度を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例1に係る圧力射出システムの油路構造概略図である。
図2】本発明の実施例1に係るエネルギ蓄積段階の油路等を示す概略図である。
図3】本発明の実施例1に係るポンプが単独で行う低速圧力射出段階の油路等を示す概略図である。
図4】本発明の実施例1に係るポンプ及びエネルギ貯蓄器が共同して行う低速圧力射出段階の油路等を示す概略図である。
図5】本発明の実施例1に係る高速圧力射出段階及び制動段階の油路等を示す概略図である。
図6】本発明の実施例1に係る増圧遅延段階の油路等を示す概略図である。
図7】本発明の実施例1に係る増圧荷重段階の油路等を示す概略図である。
図8】本発明の実施例1に係る減圧段階の油路等を示す概略図である。
図9】本発明の実施例1に係る追従段階の油路等を示す概略図である。
図10】本発明の実施例1に係るハンマー戻り段階の油路等を示す概略図である。
図11】従来圧力射出システムの圧力射出位置、圧力射出速度及び鋳造圧力の関係曲線部分概略図である。
図12】本発明の圧力射出位置、圧力射出速度及び鋳造圧力の関係曲線部分概略図である。
図13】本発明の実施例2に係る圧力射出システムの油路構造概略図である。
図14】本発明の実施例2に係るエネルギ蓄積段階の油路等を示す概略図である。
図15】本発明の実施例2に係るポンプが単独で行う低速圧力射出段階の油路等を示す概略図である。
図16】本発明の実施例2に係るポンプ及びエネルギ貯蓄器が共同して行う低速圧力射出段階の油路等を示す概略図である。
図17】本発明の実施例2に係る高速圧力射出段階及び制動段階の油路等を示す概略図である。
図18】本発明の実施例2に係る増圧遅延段階の油路等を示す概略図である。
図19】本発明の実施例2に係る増圧荷重段階の油路等を示す概略図である。
図20】本発明の実施例2に係る減圧段階の油路等を示す概略図である。
図21】本発明の実施例2に係る追従段階の油路等を示す概略図である。
図22】本発明の実施例2に係るハンマー戻り段階の油路等を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、具体実施形態を参照しながら本発明をさらに説明する。ここでは、矛盾しない限り、下記のように記載した各実施例及び各技術特徴を任意に組み合わせて新たな実施例を形成することができる。
【0028】
実施形態において述べる、例えば、「中心」、「横方向」、「縦方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「逆時計周り」等の方位用語が方位及び位置関係を示すのは、図面に示される方位又は位置関係である。これらの用語は、実施形態を説明しやすいためのものに過ぎず、装置等の特定の方向を直接又は間接的に示すものではなく、本願の保護範囲を制限するものではない。
【0029】
くわえて、本願の明細書及び特許請求の範囲に用いられる「第1」及び「第2」は、類似する対象を区別するためのものであり、特定の順次を説明するためのものではない。
【0030】
本願の明細書及び特許請求の範囲に用いられる「含む」、「有する」及びこれらのいかなる変形は、カバーすることを意味し、それ以外のものを排除するものではない。例えば、方法、システム、製品又は装置は、羅列されたステップ又はユニットに限定されるものではなく、羅列されていないステップ又はユニットを含んでもよい。
【0031】
図1から図22に示すように、本発明の好適例に係る鋳造装置の圧力射出システムは、油路により接続されたエネルギ貯蓄器3、射出油圧シリンダ1、増圧油圧シリンダ2及びバルブモジュールを含む。射出油圧シリンダ1の低速圧力射出段階において、バルブモジュールは、ポンプによる油路の単独給油モード及びポンプ及びエネルギ貯蓄器3による油路の共同給油モードの切り替えに用いられる。射出油圧シリンダ1の高速圧力射出段階、制動段階及び追従段階において、バルブモジュールは、A型半ブリッジ構造が形成されるように、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティを油路のポンプ及びタンクに連通させている。射出油圧シリンダ1の増圧射出段階において、バルブモジュールは、A型半ブリッジ構造が形成されるように、増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティを油路のポンプ及びタンクに連通させている。
【0032】
従来の圧力射出システムにおいて、射出油圧シリンダ1の圧力射出速度の制御モードは、比較的に単一である。通常、射出油圧シリンダ1の安定動作を保証するために、低速圧力射出段階において、エネルギ貯蓄器3により射出油圧シリンダ1に給油している。低速圧力射出段階の持続時間は、比較的に長く、かつ、後続の複数の圧力射出段階のいずれにおいて、エネルギ貯蓄器3により動力出力を行う必要があるため、低速圧力射出段階の油消費量は、後続の圧力射出の過程に影響を与える。
【0033】
本実施例では、バルブモジュールにより射出油圧シリンダ1、エネルギ貯蓄器3及びポンプを油路接続することにより、低速圧力射出段階において、射出油圧シリンダ1による給油モードは、3種類ある。第1給油モード、射出油圧シリンダ1は、ポンプにより給油している。第2給油モード、射出油圧シリンダ1は、エネルギ貯蓄器3により給油している。第3給油モード、射出油圧シリンダ1は、ポンプ及びエネルギ貯蓄器3により給油している。圧力射出段階の安定をより保証するために、本実施例に係る低速圧力射出段階の給油モードは、第1給油モード及び第3給油モードの組み合わせを採用している。すなわち、速度要求が低い場合に、第1給油モードにより給油し、速度要求が高い場合に、第3給油モードにより給油している。第1給油モードと第3給油モードとの切り替えは、バルブモジュールにより制御されることにより、エネルギ貯蓄器3の油消費を効率的に低下させるとともに射出油圧シリンダ1の動的射出力を向上させることができる。
【0034】
従来の圧力射出システムが高速圧力射出段階を行う場合に、慣性により射出油圧シリンダ1の圧力射出速度が最高速度に達した時点では、通常、所定の目標速度を上回る。すると、速度曲線に立ち上げが発生し、すなわち、高速超過という。増圧射出段階において、油路におけるサーボ弁の応答は、制御システムの制御周期に遅れるため、増圧油圧シリンダ2の排出油量の不足又は超過が発生し、増圧圧力の精度に影響を与える。追従段階において、増圧が完了した後の射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティの圧力が高くなりすぎて、ロッド有キャビティに十分な油がないため、金型を開く際に圧縮されたロッド無キャビティの油は、ハンマーヘッドを押し進み、ハンマーヘッドが制御不能となり、追従不能を引き起こす。
【0035】
本実施例では、高速圧力射出段階及び追従段階を行う場合に、バルブモジュールにより射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティを油路のポンプ及びタンクに連通させることで、A型半ブリッジ構造を形成する。増圧射出段階を行う場合に、バルブモジュールにより増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティをそれぞれ油路のポンプ及びタンクに連通させることで、A型半ブリッジ構造を形成する。A型半ブリッジ構造は、すなわち、2つのサーボ弁を連動して構成された連動制御構造であり、油圧シリンダの圧力射出速度及び鋳造圧力を同時に制御することができる。これにより、圧力射出の速度制御精度及び圧力制御精度を向上させるとともに、コストダウンを大幅に図ることができる。
【0036】
本実施例によれば、上述した機能を備える圧力射出システムの油路構造は、複数の種類を有するが、理解しやすいように、以下、2つの具体的な実施例を参照しながら説明する。もちろん、具体的な油路構造は、後述した2つの実施例を含むが、これらに限定されるものではない。ここでは、図2から図10及び図14から図22に示される実線は、導通された油路を示し、図2から図10及び図14から図22に示される破線は、導通された油路を示し、ポンプは、Pにより示され、タンクは、Tにより示されている。
【0037】
実施例1
図1から図10に示すように、バルブモジュールは、開閉弁V4からV6、開閉弁V8,V10,V12、サーボ弁V7,V9及び逆止弁V11,V13を含む。ポンプの出力ポートは、順に直列に接続された逆止弁V11及びサーボ弁V9により、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティと接続されて、第1油路が形成される。ポンプの出力ポートは、開閉弁V12によりエネルギ貯蓄器3と接続されて、第2油路が形成される。ポンプの出力ポートは、順に直列に接続された逆止弁V11、逆止弁V13、開閉弁V8及び開閉弁V5により射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティと接続されて、第3油路が形成される。エネルギ貯蓄器3は、順に直列に接続された開閉弁V4及び開閉弁V5により射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティと接続されて、第4油路が形成される。タンクは、サーボ弁V7により射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティと接続されて、第5油路が形成される。エネルギ貯蓄器3は、開閉弁V4により増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティと接続されて、第6油路が形成される。タンクは、順に直列に接続されたサーボ弁V7及び開閉弁V6により増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティと接続されて、第7油路が形成される。ポンプの出力ポートは、順に直列に接続された逆止弁V11、サーボ弁V9及び開閉弁V6により増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティと接続されて、第8油路が形成される。タンクは、開閉弁V10により増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティと接続されて、第9油路が形成される。タンクは、順に直列に接続された開閉弁V10及び開閉弁V5により射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティと接続されて、第10油路が形成される。
【0038】
開閉弁V12は、エネルギをエネルギ貯蓄器3に補油するようにポンプを制御する。
【0039】
エネルギ貯蓄器3の油は、開閉弁V4,V5によりそれぞれ増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティ及び射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティに流れ込む。具体的には、開閉弁V5は、圧力射出において、エネルギ貯蓄器3の油が射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティに流れ込むことを許可する。従来の複数開閉弁油路に比べ、高速圧力射出段階の絞り損失を低下することができるため、射出油圧シリンダ1の動的射出力を効果的に向上させることができる。また、増圧射出段階において、開閉弁V5の閉止は、高圧油の流出を防止するとともに、ハンマー戻り段階において、射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティの油を排出することができる。
【0040】
開閉弁V4は、増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティと直接接続されている。増圧射出段階において、エネルギ貯蓄器3の油は、開閉弁V4により増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティに流れ込む。開閉弁V5と接続された開閉弁V8は、低速圧力射出段階において、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティの油をサーボ弁V9に経由させてから、逆止弁V11,V13からの油と共に開閉弁V8を経由して、差動接続が形成される。
【0041】
サーボ弁V9及び開閉弁V5は、射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティと接続されている。低速圧力射出段階において、サーボ弁V9は、射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティの油戻り速度を制御することができる。高速圧力射出段階において、サーボ弁V9,V7は、油路における射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティ位置で接続されて、A型半ブリッジ構造を形成することで、高速圧力射出の速度を制御することができる。増圧射出段階において、開閉弁V6を開くと、サーボ弁V9,V7は、油路における増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティ位置で接続されて、A型半ブリッジ構造を形成することで、増圧油圧シリンダ2の増圧圧力を制御することができる。具体的には、開閉弁V6は、増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティと接続されて、増圧の要否を制御する。
【0042】
開閉弁V10,V5は、それぞれ増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティ及び射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティをタンクと接続させて、ハンマー戻り段階において、増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティ及び射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティの油がタンクに還流されることを許可する。
【0043】
逆止弁V11は、逆止弁の後続の油路の圧力が高くなりすぎて油の逆流を引き起こすことを防止する。
【0044】
本実施例の圧力射出システムの圧力射出プロセスは、順にエネルギ蓄積段階、低速圧力射出段階、高速圧力射出段階、制動段階、増圧遅延段階、増圧射出段階、減圧段階、追従段階及びハンマー戻り段階に分割される。理解しやすいように、各段階の具体的な動作について詳細に記述する。
【0045】
図2に示すように、エネルギ蓄積段階において、圧力射出システムの制御システムは、サーボ弁V9及び開閉弁V12をオンにするように制御すことができる。すると、第1油路及び第2油路は、導通された状態において、起動されたポンプは、導通された第1油路により射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティに給油するとともに、導通された第2油路によりエネルギ貯蓄器3に給油している。低速圧力射出段階を行う前に、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティに対する給油を行って圧力を上げることにより、低速圧力射出段階における起動衝撃を軽減又は回避することができる。
【0046】
低速圧力射出段階は、ポンプによる油路の単独給油モード及びポンプ及びエネルギ貯蓄器3による油路の共同給油モードを含む。
【0047】
図3に示すように、ポンプによる油路の単独給油モードにおいて、エネルギ蓄積段階が完了してから開閉弁V12を閉じてサーボ弁V9の開放を保持して、開閉弁V5,V8を開く。すると、第1油路及び第3油路は、導通された状態において、第1油路と第3油路とは、逆止弁V11の出力ポートにおいて接続されて差動回路を形成する。すなわち、ポンプは、導通された第3油路により射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティに給油するとともに、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティの圧力油は、サーボ弁9に沿って逆止弁V13、開閉弁V5,V8を経由して射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティに流れ込む。
【0048】
図4に示すように、エネルギ貯蓄器3による油路の共同給油モードにおいて、ポンプの単独給油に加え、開閉弁V4,V12を開く。すると、第1油路、第2油路、第3油路及び第4油路は、いずれも導通された状態において、第1油路と第3油路とは、逆止弁V11の出力ポートにおいて接続されて差動回路を形成する。すなわち、ポンプの単独給油に加え、エネルギ貯蓄器3は、導通された第4油路により射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティに給油するとともにポンプは、導通された第2油路によりエネルギ貯蓄器3に補油する。
【0049】
低速圧力射出段階において差動制御を採用することで、低速圧力射出の安定を保証するとともにサーボ弁V9により射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティの流量を制御して低速圧力射出の速度を制御することができる。差動制御時におけるサーボ弁V9の手前とサーボ弁V9の後続との圧力差は、従来の単独出口制御時の圧力差よりも小さいため、サーボ弁V9の圧力増を小さくして射出油圧シリンダ1の制御精度を向上させることができる。また、低速圧力射出が開始する前にエネルギ蓄積段階において射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティに対する増圧を行ったため、低速圧力射出を起動した時に射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティの油の圧縮量が減少し、起動衝撃を防止又は低減することができる。
【0050】
実際の圧力射出段階において、低速圧力射出が多くのストロークを占める。本実施例では、差動回路により、射出油圧シリンダ1が低速圧力射出を行う際に必要とされる流量を従来の非差動制御において必要とさせる流量よりも小さくすることができ、かつ、ポンプ及びエネルギ貯蓄器3の共同給油は、エネルギ貯蓄器3が給油する給油量をさらに減少させることができ、エネルギ貯蓄器3の容積を適宜小さくすることができる。
【0051】
図5に示すように、高速圧力射出段階及び制動段階において、サーボ弁V7を開いて、開閉弁V8,V12を閉じて、開閉弁V4,V5の開放を保持すると、第1油路、第4油路及び第5油路は、いずれも導通された状態において、第1油路と第5油路とは、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティにおいて接続されている。エネルギ貯蓄器3は、導通された第4油路により射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティに給油するとともに、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティの圧力油は、第5油路に沿ってタンクに還流される。同時に、ポンプは、第1油路に給油し、第1油路と第5油路とは、接続された位置において、A型半ブリッジ構造を形成する。これにより、サーボ弁V7,V9の開度を制御することで、射出油圧シリンダ1の圧力射出速度を調整することができる。
【0052】
高速圧力射出段階において、サーボ弁V7の開度が大きく、サーボ弁V9の開度が小さいため、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティの圧力油を迅速にタンクに還流させることができ、高速圧力射出を図ることができる。高速圧力射出段階において、第1油路を導通させることにより、A型半ブリッジ構造を形成する。そして、サーボ弁V9の開度を制御することにより、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティの流量を迅速に調整して速度の高精度制御を実現することができるため、高速超過を低減又は回避することができる。
【0053】
制動段階において、サーボ弁V7の開度が小さく、サーボ弁V9の開度が大きいため、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティの圧力を増大させることで、主動制動を実現することができる。ポンプの給油は、A型半ブリッジ構造により射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティの圧力の立ち上げを速めることができるため、加速度をより早く減速させることができ、主動制動を実現することができる。
【0054】
図6に示すように、増圧遅延段階、すなわち、増圧射出段階が開始する前の準備段階において、制動段階が完了してから、開閉弁V5を閉じるとともにサーボ弁V7,V9を所定の位置に調整すると、第6油路が導通された状態において、エネルギ貯蓄器3は、導通された第6油路により増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティに給油している。制度段階が完了してから増圧を行う準備動作において、鋳造圧力の不変期間を減少することができる。また、従来の受動閉止に比べ、本実施例では、主動的に開閉弁を開閉することで増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティに圧力が存在し、増圧時に立ち上げの圧力速度を向上させることができる。
【0055】
増圧遅延段階は、制動段階の後続とみなされてもよい。従来の圧力射出システムが制動段階を完了させてから増圧射出段階を直接行い、圧力射出システムが図11の曲線が示すような圧力振動を引き起こす。本実施例では、増圧射出を行う前に、すなわち、制動段階がまもなく終了する時点に、開閉弁V5を閉じて増圧遅延段階に入り込む。開閉弁V5の閉止速度が速く、制動速度を大幅に向上させることができ、図12に示すように、鋳造圧力の振動を弱めることができる。
【0056】
図7に示すように、増圧射出段階において、増圧遅延段階を基にして、開閉弁V6を開くと、第6油路、第7油路及び第8油路は、いずれも導通された状態となり、第7油路と第8油路とは、開閉弁V6とサーボ弁V9との間に接続されている。エネルギ貯蓄器3は、導通された第6油路により、増圧射出シリンダ2のロッド無キャビティに給油するとともに、増圧射出シリンダ2のロッド有キャビティの圧力油は、導通された第7油路によりタンクに還流される。ポンプは、導通された第8油路に給油することができるため、第8油路と第7油路とは、接続された位置において導通し、A型半ブリッジ構造を形成し、サーボ弁V9,V7の開度を制御することにより、増圧射出シリンダ2の増圧圧力を調整することができる。
【0057】
サーボ弁V7,V9が導通された状態となるため、第1油路と第5油路とは、導通された状態である。増圧射出段階において、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティは、圧力の需要に応じて給油又は排油することができる。すなわち、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティの圧力が低い場合に、第1油路により射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティに対する給油を行うことができるとともに、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティの圧力が高い場合に、第5油路により射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティに対する排油降圧を行うことができる。これにより、従来の油路において、増圧射出終了時に射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティの圧力が高く、ロッド有キャビティに油がないことによる追従制御不能を回避することができる。
【0058】
A型半ブリッジ構造により増圧圧力を精度よく制御する方法は、以下の通りである。すなわち、増圧が開始する前の遅延段階において、増圧射出段階において圧力の立ち上げを迅速に行うために、サーボ弁V7を所定の開度に開き、サーボ弁V9を所定の開度に開く。射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティの圧力が第1レベルの所定値のある比例に達する場合に、サーボ弁V7の開度をある設定値に小さく調整し、サーボ弁V9に流れる流量が変更するようにサーボ弁V9の開度を調整することにより、サーボ弁V9に流れる流量と増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティからの流量とがサーボ弁V7に流れる際に降圧が発生する。この降圧は、増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティの圧力であり、増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティの圧力を制御することで増圧圧力を調整することができる。このため、サーボ弁V9の開度を調整することで流量を制御することができ、サーボ弁V7の降圧を制御することにより、増圧圧力を制御することができる。このような制御方法によれば、増圧圧力の調整精度がより高くなり、かつ、増圧圧力が超過する場合に増圧圧力を小さくすることができる。
【0059】
増圧射出段階において、開閉弁V12を開くと、ポンプは、導通された第2油路によりエネルギ貯蓄器3に補油している。エネルギ貯蓄器3に対する補油により、エネルギ貯蓄器3の圧力を向上させることができるため、後続の追従段階において、エネルギ貯蓄器3が十分な圧力を有することを保証することができる。同時に、射出油圧シリンダ1及び増圧油圧シリンダ2は、単一のエネルギ貯蓄器3を共有している。増圧射出段階及び低速圧力射出段階のいずれにおいても、エネルギ貯蓄器3に対する補油を行うことにより、エネルギ貯蓄器3の容積をより小さくすることができ、コストダウンを図ることができる。
【0060】
図6に示すように、減圧段階において、開閉弁V12を閉じると、エネルギ貯蓄器3に対するポンプの補油を停止するとともに、増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティに対するエネルギ貯蓄器3の給油を停止する。そして、サーボ弁V9の開度を大きくするとともにサーボ弁V7の開度を小さくすることにより、ポンプは、導通された第8油路により増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティに給油し、増圧油圧シリンダ2は、戻って、ロッド無キャビティの圧力油を導通された第6油路に沿ってエネルギ貯蓄器3に還流させている。
【0061】
従来の圧力射出システムにおいて、増圧射出段階が終了した後に、ハンマーヘッドにより製品を固定金型から押し出す必要があり、増圧射出段階が完了した後に射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティの圧力が高すぎて、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティに十分な油がないため、金型を開く際に、圧縮された射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティの油は、ハンマーヘッドを押し進み、ハンマーヘッドが制御不能となり、追従不能を引き起こす。
【0062】
本実施例では、サーボ弁V9の開度を大きくすることにより、増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティの圧力を高めることができ、増圧油圧シリンダ2が戻り、増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティの圧力油は、エネルギ貯蓄器3に還流され、射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティの圧力を主動的に低下させることができ、力のバランスにより射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティの圧力を低下させることができる。もちろん、減圧段階において、射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティの圧力は、システム圧力と同じとなるように押し出され、射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティの圧力が高すぎることによる追従不能が起きないことを保証することができる。
【0063】
図9に示すように、追従段階において、開閉弁V6を閉じて、開閉弁V5,V12を開くと、第2油路、第3油路、第4油路及び第5油路が導通された状態となり、かつ、第1油路と第5油路とは、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティの接続位置において接続されている。ポンプ及びエネルギ貯蓄器3は、それぞれ導通された第3油路及び導通された第4油路により射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティに給油している。ポンプは、第2油路によりエネルギ貯蓄器3に補油するとともに、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティの圧力は、第5油路に沿ってタンクに還流され、ポンプは、導通された第1油路に給油することで、第1油路と第5油路とは、接続された位置においてA型半ブリッジ構造を形成し、サーボ弁V7,V9の開度を制御することにより射出油圧シリンダ1の圧力射出速度を調整することができる。
【0064】
具体的には、減圧段階が完了した後に、サーボ弁V7の開度を大きくするとともにサーボ弁V9の開度を小さくすることにより、ハンマーヘッドの追従速度を制御することができる。エネルギ貯蓄器3に対するポンプの補油は、追従圧力を高めることができる。
【0065】
図10に示すように、ハンマー戻り段階において、開閉弁V4,V8,V12及びサーボ弁V7を閉じるとともに、開閉弁V10を開くと、第1油路、第8油路、第9油路及び第10油路が導通された状態となる。ポンプは、導通された第1油路及び第8油路によりそれぞれ射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティ及び増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティに給油するとともに、射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティ及び増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティは、導通された第10油路及び第9油路により圧力油をタンクに還流させている。
【0066】
ハンマー戻り段階において、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティ及び増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティに給油することにより、従来の圧力射出システムがハンマー戻り段階においてロッド有キャビティに摩耗が起きるリスクを回避することができる。
【0067】
本実施例では、低速圧力射出段階、高速圧力射出段階、増圧射出段階、追従段階及びハンマー戻り段階のいずれにおいて、サーボ弁V9を用いている。一方、高速圧力射出段階、増圧射出段階及び追従段階のいずれにおいて、サーボ弁V7,V9を用いている。すなわち、圧力射出システムは、二つのサーボ弁のみを用いることにより、圧力射出システムのコストダウンを効果的に図ることができる。
【0068】
実施例2
実施例2は、実施例1に比べ、以下の点で相違する。実施例2は、サーボ弁V14,15を増やすとともに開閉弁V6を削除した。具体的には、図13から図22に示すように、実施例2に係るバルブモジュールは、開閉弁V4,V5,V8,V10,V12、サーボ弁V7,V9,V14,V15、逆止弁V11,V13を含む。ポンプの出力ポートは、順に直列に接続された逆止弁V11及びサーボ弁V9により、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティと接続されて、第1油路が形成される。ポンプの出力ポートは、開閉弁V12によりエネルギ貯蓄器3と接続されて、第2油路が形成される。ポンプの出力ポートは、順に直列に接続された逆止弁V11、逆止弁V13、開閉弁V8及び開閉弁V5により射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティと接続されて、第3油路が形成される。エネルギ貯蓄器3は、順に直列に接続された開閉弁V4及び開閉弁V5により射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティと接続されて、第4油路が形成される。タンクは、サーボ弁V7により射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティと接続されて、第5油路が形成される。エネルギ貯蓄器3は、開閉弁V4により増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティと接続されて、第6油路が形成される。タンクは、開閉弁V10により増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティと接続されて、第9油路が形成される。タンクは、順に直列に接続された開閉弁V10及び開閉弁V5により射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティと接続されて、第10油路が形成される。エネルギ貯蓄器3は、サーボ弁V14により増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティと接続されて、第11油路が形成される。ポンプは、サーボ弁V15により増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティと接続されて、第12油路が形成される。ポンプは、順に直列に接続された開閉弁V12及びサーボ弁V14により増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティと接続されて、第13油路が形成される。
【0069】
本実施例では、圧力射出システムの圧力射出プロセスは、順にエネルギ蓄積段階、低速圧力射出段階、高速圧力射出段階、制動段階、増圧遅延段階、増圧射出段階、減圧段階、追従段階及びハンマー戻り段階に分割される。理解しやすいように、各段階の具体的な動作について詳細に記述する。
【0070】
図14に示すように、エネルギ蓄積段階において、本実施例の等価油路構造は、実施例1の図2に示す油路構造と同様であるため、ここでは、その詳細な説明を省略し、詳細については実施例1のエネルギ蓄積段階を参照されたい。
【0071】
図15及び図16に示すように、低速圧力射出段階において、本実施例の等価油路構造は、実施例1の図3,4に示す油路構造と同様であるため、ここでは、その詳細な説明を省略し、詳細については実施例1の低速圧力射出段階を参照されたい。
【0072】
図17に示すように、高速圧力射出段階及び制動段階において、本実施例の等価油路構造は、実施例1の図5に示す油路構造と同様であるため、ここでは、その詳細な説明を省略し、詳細については実施例1の高速圧力射出段階及び制動段階を参照されたい。
【0073】
図18に示すように、増圧遅延段階、すなわち、増圧射出段階が開始する前の準備段階において、制動段階が完了した後に、開閉弁V5及びサーボ弁V9を閉じるとともに開閉弁V12を開くと、第2油路、第5油路及び第6油路は、いずれも導通された状態となる。制動段階が完了した後に増圧の準備動作を加えることにより、鋳造圧力の不変期間を減少することができる。
【0074】
図19に示すように、増圧射出段階において、増圧遅延段階を基にして、サーボ弁V14,V15を開くと、第2油路、第5油路、第6油路、第11油路及び第12油路は、いずれも導通された状態となり、第11油路と第12油路とは、増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティにおいて接続されている。エネルギ貯蓄器3は、導通された第6油路により増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティに給油するとともに、射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティの圧力油は、導通された第5油路によりタンクに還流されている。同時に、エネルギ貯蓄器3は、導通された第11油路に給油するとともに、増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティは、導通された第12油路により排油することにより、第11油路と第12油路とは、接続された位置においてA型半ブリッジ構造を形成し、サーボ弁V14,V15の開度を制御することにより増圧油圧シリンダ2の増圧圧力を調整することができる。
【0075】
A型半ブリッジ構造により増圧圧力を精度よく制御する方法は、以下の通りである。サーボ弁V7を所定の開度に開くとともに、サーボ弁V14,15を所定の開度に開く。射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティの圧力が第1レベルの所定値のある比例に達する場合に、サーボ弁V15の開度をある設定値に小さく調整し、サーボ弁V14に流れる流量が変更するようにサーボ弁V14の開度を調整することにより、サーボ弁V14に流れる流量と増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティからの流量とがサーボ弁V15に流れる際に降圧が発生する。この降圧は、増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティの圧力であり、増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティの圧力を制御することで増圧圧力を調整することができる。このため、サーボ弁V14の開度を調整することで流量を制御することができ、サーボ弁V15の降圧を制御することにより、増圧圧力を制御することができる。このような制御方法によれば、増圧圧力の調整精度がより高くなり、かつ、増圧圧力が超過する場合に増圧圧力を小さくすることができる。
【0076】
増圧射出段階において、開閉弁V12を開くことにより、第2油路を導通させ、ポンプは、導通された第2油路によりエネルギ貯蓄器3に補油している。これにより、増圧射出段階において、エネルギ貯蓄器3が十分な圧力を有することを保証することができる。
【0077】
図20に示すように、減圧段階において、増圧射出段階が完了した後に開閉弁V12を閉じるととともに、サーボ弁V7,V15を閉じると、第2油路、第5油路及び第12油路は、遮断されるとともに、エネルギ貯蓄器3が第6油路により増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティに給油することを停止するものの、第6油路及び第11油路の導通を保持している。エネルギ貯蓄器3は、導通された第11油路により増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティに給油し、増圧油圧シリンダ2は、戻って、ロッド無キャビティの圧力油を導通された第6油路沿ってエネルギ貯蓄器3に還流させている。このとき、射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティの圧力は、システム圧力と同じとなるように押し出され、射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティの圧力が高すぎることによる追従不能が起きないことを保証することができる。
【0078】
図21に示すように、追従段階において、本実施例の等価油路構造は、実施例1の図9に示す油路構造と同様であるため、ここでは、その詳細な説明を省略し、詳細については実施例1の追従段階を参照されたい。
【0079】
図22に示すように、ハンマー戻り段階において、追従段階が完了した後に、開閉弁V4,V8及びサーボ弁V7を閉じるとともに、サーボ弁V14を開くと、第1油路、第2油路、第9油路、第10油路及び第13油路は、導通されている。ポンプは、導通された第1油路、第13油路によりそれぞれ射出油圧シリンダ1のロッド有キャビティ及び増圧油圧シリンダ2のロッド有キャビティに給油するとともに、ポンプは、導通された第2油路によりエネルギ貯蓄器3に補油することにより、次回の圧力射出プロセスにおける蓄積段階の時間を短縮することができる。同時に、射出油圧シリンダ1のロッド無キャビティ及び増圧油圧シリンダ2のロッド無キャビティは、それぞれ導通された第9油路及び第10油路により圧力油をタンクに還流させている。
【0080】
上述した内容は、本発明の基本原理、主要特徴及び優れた点である。当業者であれば、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、上述した実施例及び明細書に記載された事項は、本発明の原理に過ぎず、実施例を変更しても特許請求の範囲に含まれている。
【符号の説明】
【0081】
1 射出油圧シリンダ
2 増圧油圧シリンダ
3 エネルギ貯蓄器
【要約】      (修正有)
【課題】低速始動段階において始動衝撃が発生するおそれがあり、かつ、精度制御が悪い等の、鋳造装置の圧力射出システムの欠陥を解決できる圧力射出システムを提供する。
【解決手段】圧力射出システムは、油路により接続されたエネルギ貯蓄器3、射出油圧シリンダ1、増圧油圧シリンダ2及びバルブモジュールを含み、射出油圧シリンダの低速圧力射出段階において、バルブモジュールは、ポンプによる油路の単独給油モード及びポンプ及びエネルギ貯蓄器による油路の共同給油モードの切り替えに用いられ、射出油圧シリンダの高速圧力射出段階、制動段階及び追従段階において、油路のポンプ及びタンクを連通させてA型半ブリッジ構造を形成している。
【選択図】図1
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