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特許7543597搬送路切換装置、搬送システムおよび搬送路切換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-23
(45)【発行日】2024-09-02
(54)【発明の名称】搬送路切換装置、搬送システムおよび搬送路切換方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 54/02 20060101AFI20240826BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20240826BHJP
   B65G 47/64 20060101ALI20240826BHJP
【FI】
B65G54/02
B65G47/52 Z
B65G47/64
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2024502395
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2022007997
(87)【国際公開番号】W WO2023162165
(87)【国際公開日】2023-08-31
【審査請求日】2024-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】山口 洸太
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/229781(WO,A1)
【文献】特開2019-103225(JP,A)
【文献】国際公開第2018/055709(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0029238(US,A1)
【文献】特開2013-213550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 54/00-54/02
B65G 47/52
B65G 47/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアテーブルを所定の搬送方向に搬送する可動リニアコンベアと、
前記搬送方向に対して傾斜する切換方向において互いに異なる第1位置と第2位置との間で前記可動リニアコンベアを移動させるコンベア移動ユニットと
を備え、
前記第1位置に対しては、前記搬送方向の一方側から第1固定リニアコンベアが対向し、
前記第2位置に対しては、前記搬送方向の前記一方側と逆の他方側から第2固定リニアコンベアが対応し、
前記可動リニアコンベアは、前記第1位置に停止しつつ、前記第1固定リニアコンベアとの間で前記コンベアテーブルを移載し、
前記可動リニアコンベアは、前記第2位置に停止しつつ、前記第2固定リニアコンベアとの間で前記コンベアテーブルを移載し、
前記コンベア移動ユニットは、前記第2位置に位置する前記可動リニアコンベアの前記他方側の端である他方端と前記第2固定リニアコンベアとの間に前記搬送方向へ間隔を空けつつ、前記第2固定リニアコンベアに対して前記可動リニアコンベアを支持する他方側支持機構を有し、
前記他方側支持機構は、前記搬送方向において前記可動リニアコンベアの前記他方端の前記他方側への変位を許容する搬送路切換装置。
【請求項2】
前記他方側支持機構は、前記可動リニアコンベアに取り付けられる可動部材と、前記第2固定リニアコンベアに取り付けられた案内部と、前記案内部によって前記切換方向に案内される被案内部材と、前記被案内部材に対して前記可動部材を支持する他方側支持部とを有し、
前記他方側支持部は、前記搬送方向において前記被案内部材に対する前記可動部材の前記他方側への移動を許容し、前記切換方向において前記被案内部材に対して前記可動部材を拘束する請求項1に記載の搬送路切換装置。
【請求項3】
前記他方側支持部は、前記可動部材および被案内部材のうち一の部材に取り付けられて前記搬送方向に延設されるシャフトと、前記可動部材および被案内部材のうちの前記一の部材と異なる他の部材に取り付けられて前記搬送方向に開口する滑り軸受けとを有し、
前記シャフトは、前記滑り軸受けに嵌入されて、前記滑り軸受けに対して前記搬送方向に滑る請求項2に記載の搬送路切換装置。
【請求項4】
前記他方側支持機構は、前記可動部材の前記他方側に設けられた規制部材を有し、
前記可動リニアコンベアの熱変形による前記他方端の前記他方側への変位に応じて、前記可動部材が前記他方側へ変位するのに伴って前記規制部材に突き当たることで、前記可動部材の前記他方側への変位が前記規制部材により規制され、
前記可動部材の前記他方側への変位が前記規制部材により規制された状態において、前記可動リニアコンベアの前記他方端と前記第2固定リニアコンベアとの間に間隔が空いている請求項2または3に記載の搬送路切換装置。
【請求項5】
前記コンベア移動ユニットは、前記第1位置に位置する前記可動リニアコンベアの前記一方側の端である一方端と前記第1固定リニアコンベアとの間に前記搬送方向へ間隔を空けつつ、前記第1固定リニアコンベアに対して前記可動リニアコンベアを支持する一方側支持機構を有し、
前記一方側支持機構は、前記搬送方向において前記可動リニアコンベアの前記一方端の前記一方側への変位を許容する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の搬送路切換装置。
【請求項6】
前記一方側支持機構は、前記第1固定リニアコンベアに取り付けられた単軸ロボットと、前記単軸ロボットによって前記切換方向に駆動される被駆動部材と、前記被駆動部材に対して前記可動リニアコンベアを支持する一方側支持部とを有し、
前記一方側支持部は、前記搬送方向において前記被駆動部材に対する前記可動リニアコンベアの前記一方側への移動を許容し、前記切換方向において前記被駆動部材に対して可動リニアコンベアを拘束する請求項5に記載の搬送路切換装置。
【請求項7】
前記一方側支持部は、前記搬送方向に設けられたスライドガイドである請求項6に記載の搬送路切換装置。
【請求項8】
前記一方側支持機構は、前記搬送方向において前記一方側支持部と前記他方側支持機構との間の位置で前記被駆動部材と前記可動リニアコンベアとを固定する固定部材を有する請求項6または7に記載の搬送路切換装置。
【請求項9】
前記コンベア移動ユニットは、前記第1位置に位置する前記可動リニアコンベアの前記一方側の端である一方端と前記第1固定リニアコンベアとの間に前記搬送方向へ間隔を空けつつ、前記第1固定リニアコンベアに対して前記可動リニアコンベアを支持する一方側支持機構を有し、
前記一方側支持機構は、前記搬送方向において前記可動リニアコンベアを拘束する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の搬送路切換装置。
【請求項10】
前記他方側支持機構は、前記第2固定リニアコンベアに取り付けられた単軸ロボットと、前記単軸ロボットによって前記切換方向に駆動される被駆動部材と、前記被駆動部材に対して前記可動リニアコンベアを支持する他方側支持部とを有し、
前記他方側支持部は、前記搬送方向において前記被駆動部材に対する前記可動リニアコンベアの前記他方側への移動を許容し、前記切換方向において前記被駆動部材に対して可動リニアコンベアを拘束する請求項1に記載の搬送路切換装置。
【請求項11】
搬送方向にコンベアテーブルを駆動する第1固定リニアコンベアと、
前記搬送方向に前記コンベアテーブルを駆動する第2固定リニアコンベアと、
前記搬送方向において前記第1固定リニアコンベアと前記第2固定リニアコンベアとの間に配置された請求項1ないし10のいずれか一項に記載の搬送路切換装置と
を備える搬送システム。
【請求項12】
コンベアテーブルを所定の搬送方向に搬送する可動リニアコンベアを、コンベア移動ユニットが前記搬送方向に対して傾斜する切換方向において互いに異なる第1位置と第2位置との間で移動させる工程を備え、
前記第1位置に対しては、前記搬送方向の一方側から第1固定リニアコンベアが対向し、
前記第2位置に対しては、前記搬送方向の前記一方側と逆の他方側から第2固定リニアコンベアが対応し、
前記可動リニアコンベアは、前記第1位置に停止しつつ、前記第1固定リニアコンベアとの間で前記コンベアテーブルを移載し、
前記可動リニアコンベアは、前記第2位置に停止しつつ、前記第2固定リニアコンベアとの間で前記コンベアテーブルを移載し、
前記コンベア移動ユニットは、前記第2位置に位置する前記可動リニアコンベアの前記他方側の端である他方端と前記第2固定リニアコンベアとの間に前記搬送方向へ間隔を空けつつ、前記第2固定リニアコンベアに対して前記可動リニアコンベアを支持する他方側支持機構を有し、
前記他方側支持機構は、前記搬送方向において前記可動リニアコンベアの前記他方端の前記他方側への変位を許容する搬送路切換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、可動リニアコンベアの両側に配置された2個の固定リニアコンベアの間におけるテーブルコンベアの搬送路の切り換えを可動リニアコンベアによって実行する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、並列に配置された2本の固定リニアコンベアの間でテーブルコンベアを搬送する可動リニアコンベアを用いて、テーブルコンベアを循環的に搬送する循環搬送装置が記載されている。かかる循環搬送装置では、2本の固定リニアコンベアのうち一方に対向する位置と、他方に対向する位置との間で、可動リニアコンベアは移動可能である。この可動リニアコンベアは、一方の固定リニアコンベアに対向する位置で、一方の固定リニアコンベアとの間でテーブルコンベアを受け渡し、他方の固定リニアコンベアに対向する位置で、他方の固定リニアコンベアとの間でテーブルコンベアを受け渡す。
【0003】
また、このようなリニアコンベアでは、例えば特許文献2に示されるように、発熱に伴って変形が発生しうる。特に特許文献1のように、取付架台に取り付けられた固定リニアコンベアでは、長尺方向への伸縮が拘束されるため、発熱に伴って反りが発生してしまう場合があった。そこで、特許文献1では、固定リニアコンベアのフレームを取付架台に支持するにあたって、フレームの一端を取付架台に固定する一方、フレームの他端を取付架台に固定しないことで、発熱に伴うフレームの反りを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】WO2021/229781
【文献】特開2019-083597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような熱変形は可動リニアコンベアにも発生しうる。そして、可動リニアコンベアの熱変形は、可動リニアコンベアの両側に配置された固定リニアコンベアの間で搬送路を切り換える構成においては、対応することが難しかった。つまり、一方側の固定リニアコンベアと他方側の固定リニアコンベアとの間で搬送路を切り換えるために、これらの間に配置された可動リニアコンベアが用いられる。このような場合、一方側の固定リニアコンベアとの間でコンベアテーブルを移載する際には、可動リニアコンベアの一端が一方側の固定リニアコンベアに対向し、他方側の固定リニアコンベアとの間でコンベアテーブルを移載する際には、可動リニアコンベアの他端が他方側の固定リニアコンベアに対向する。したがって、例えば上記のように、可動リニアコンベアの両端のうちの一の端を解放するとしても、当該一の端に対向する固定リニアコンベアと当該一の端とが、可動リニアコンベアの熱変形に伴って接触すると、可動リニアコンベアが反ることになる。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、可動リニアコンベアの熱変形に起因して、可動リニアコンベアと当該可動リニアコンベアに隣接する固定リニアコンベアとが接触するのを回避して、可動リニアコンベアの反りの発生を抑制することを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る搬送路切換装置は、コンベアテーブルを所定の搬送方向に搬送する可動リニアコンベアと、搬送方向に対して傾斜する切換方向において互いに異なる第1位置と第2位置との間で可動リニアコンベアを移動させるコンベア移動ユニットとを備え、第1位置に対しては、搬送方向の一方側から第1固定リニアコンベアが対向し、第2位置に対しては、搬送方向の一方側と逆の他方側から第2固定リニアコンベアが対応し、可動リニアコンベアは、第1位置に停止しつつ、第1固定リニアコンベアとの間でコンベアテーブルを移載し、可動リニアコンベアは、第2位置に停止しつつ、第2固定リニアコンベアとの間でコンベアテーブルを移載し、コンベア移動ユニットは、第2位置に位置する可動リニアコンベアの他方側の端である他方端と第2固定リニアコンベアとの間に搬送方向へ間隔を空けつつ、第2固定リニアコンベアに対して可動リニアコンベアを支持する他方側支持機構を有し、他方側支持機構は、搬送方向において可動リニアコンベアの他方端の他方側への変位を許容する。
【0008】
本発明に係る搬送システムは、搬送方向にコンベアテーブルを駆動する第1固定リニアコンベアと、搬送方向にコンベアテーブルを駆動する第2固定リニアコンベアと、搬送方向において第1固定リニアコンベアと第2固定リニアコンベアとの間に配置された上記の搬送路切換装置とを備える。
【0009】
本発明に係る搬送路切換方法は、コンベアテーブルを所定の搬送方向に搬送する可動リニアコンベアを、コンベア移動ユニットが搬送方向に対して傾斜する切換方向において互いに異なる第1位置と第2位置との間で移動させる工程を備え、第1位置に対しては、搬送方向の一方側から第1固定リニアコンベアが対向し、第2位置に対しては、搬送方向の一方側と逆の他方側から第2固定リニアコンベアが対応し、可動リニアコンベアは、第1位置に停止しつつ、第1固定リニアコンベアとの間でコンベアテーブルを移載し、可動リニアコンベアは、第2位置に停止しつつ、第2固定リニアコンベアとの間でコンベアテーブルを移載し、コンベア移動ユニットは、第2位置に位置する可動リニアコンベアの他方側の端である他方端と第2固定リニアコンベアとの間に搬送方向へ間隔を空けつつ、第2固定リニアコンベアに対して可動リニアコンベアを支持する他方側支持機構を有し、他方側支持機構は、搬送方向において可動リニアコンベアの他方端の他方側への変位を許容する。
【0010】
このように構成された本発明(搬送路切換装置、搬送システムおよび搬送路切換方法)では、搬送方向において可動リニアコンベアの他方端の他方側への変位を許容する他方側支持機構が設けられており、換言すれば、可動リニアコンベアの他方端が解放されている。特に、この他方側支持機構は、第2位置に位置する可動リニアコンベアの他方端と第2固定リニアコンベアとの間に搬送方向へ間隔を空けつつ、第2固定リニアコンベアに対して可動リニアコンベアを支持する。このように、第2固定リニアコンベアに対して可動リニアコンベアを支持する他方側支持機構によって可動リニアコンベアの他方端と第2固定リニアコンベアとの間に間隔を設けることで、これらの間に確実に間隔を形成することができる。したがって、解放された他方端の変位を当該間隔によって吸収して、可動リニアコンベアの他方端と第2固定リニアコンベアとの接触を回避することができる。こうして、可動リニアコンベアの熱変形に起因して、可動リニアコンベアと当該可動リニアコンベアに隣接する固定リニアコンベアとが接触するのを回避して、可動リニアコンベアの反りの発生を抑制することが可能となっている。
【0011】
また、他方側支持機構は、可動リニアコンベアに取り付けられる可動部材と、第2固定リニアコンベアに取り付けられた案内部と、案内部によって切換方向に案内される被案内部材と、被案内部材に対して可動部材を支持する他方側支持部とを有し、他方側支持部は、搬送方向において被案内部材に対する可動部材の他方側への移動を許容し、切換方向において被案内部材に対して可動部材を拘束するように、搬送路切換装置を構成してもよい。かかる構成では、可動部材が可動リニアコンベアに取り付けられ、この可動部材は、切換方向に案内される被案内部材に対して、他方側支持部によって支持される。この他方側支持部は、切換方向において被案内部材に対して可動部材を拘束することから、被案内部が切換方向に案内されると、可動部材が被案内部に伴って移動し、さらに可動リニアコンベアが可動部材に伴って移動する。こうして、可動リニアコンベアを切換方向に適切に案内することができる。また、他方側支持部は、搬送方向において被案内部材に対する可動部材の他方側への移動を許容することから、可動リニアコンベアの熱変形に伴って可動部材は他方側へ移動することができ、可動リニアコンベアの他方端の変位が妨げられない。その結果、可動リニアコンベアの切換方向への案内と、可動リニアコンベアの反りの抑制との両機能を実現することが可能となっている。
【0012】
また、他方側支持部は、可動部材および被案内部材のうち一の部材に取り付けられて搬送方向に延設されるシャフトと、可動部材および被案内部材のうちの一の部材と異なる他の部材に取り付けられて搬送方向に開口する滑り軸受けとを有し、シャフトは、滑り軸受けに嵌入されて、滑り軸受けに対して搬送方向に滑るように、搬送路切換装置を構成してもよい。かかる構成では、可動リニアコンベアの切換方向への案内と、可動リニアコンベアの反りの抑制との両機能を簡便な構成で実現することができる。
【0013】
また、他方側支持機構は、可動部材の他方側に設けられた規制部材を有し、可動リニアコンベアの熱変形による他方端の他方側への変位に応じて、可動部材が他方側へ変位するのに伴って規制部材に突き当たることで、可動部材の他方側への変位が規制部材により規制され、可動部材の他方側への変位が規制部材により規制された状態において、可動リニアコンベアの他方端と第2固定リニアコンベアとの間に間隔が空いているように、搬送路切換装置を構成してもよい。かかる構成では、熱変形が大きい場合には、可動リニアコンベアの他方端の変位を規制部材によって抑えて、可動リニアコンベアの他方端と第2固定リニアコンベアとの接触を回避することができる。
【0014】
また、コンベア移動ユニットは、第1位置に位置する可動リニアコンベアの一方側の端である一方端と第1固定リニアコンベアとの間に搬送方向へ間隔を空けつつ、第1固定リニアコンベアに対して可動リニアコンベアを支持する一方側支持機構を有し、一方側支持機構は、搬送方向において可動リニアコンベアの一方端の一方側への変位を許容するように、搬送路切換装置を構成してもよい。かかる構成では、搬送方向において可動リニアコンベアの一方端の一方側への変位を許容する一方側支持機構が設けられており、換言すれば、可動リニアコンベアの一方端が解放されている。特に、この一方側支持機構は、第1位置に位置する可動リニアコンベアの一方側の端である一方端と第1固定リニアコンベアとの間に搬送方向へ間隔を空けつつ、第1固定リニアコンベアに対して可動リニアコンベアを支持する。このように、第1固定リニアコンベアに対して可動リニアコンベアを支持する一方側支持機構によって可動リニアコンベアの一方端と第1固定リニアコンベアとの間に間隔を設けることで、これらの間に確実に間隔を形成することができる。したがって、解放された一方端の変位を当該間隔によって吸収して、可動リニアコンベアの一方端と第1固定リニアコンベアとの接触を回避することができる。こうして、可動リニアコンベアの熱変形に起因して、可動リニアコンベアと当該可動リニアコンベアに隣接する固定リニアコンベアとが接触するのを回避して、可動リニアコンベアの反りの発生を抑制することが可能となっている。
【0015】
また、一方側支持機構は、第1固定リニアコンベアに取り付けられた単軸ロボットと、単軸ロボットによって切換方向に駆動される被駆動部材と、被駆動部材に対して可動リニアコンベアを支持する一方側支持部とを有し、一方側支持部は、搬送方向において被駆動部材に対する可動リニアコンベアの一方側への移動を許容し、切換方向において被駆動部材に対して可動リニアコンベアを拘束するように、搬送路切換装置を構成してもよい。かかる構成では、単軸ロボットによって切換方向に駆動される被駆動部に対して、可動リニアコンベアが一方側支持部によって支持される。この一方側支持部は、切換方向において被駆動部材に対して可動リニアコンベアを拘束することから、被駆動部材が切換方向に駆動されると、可動リニアコンベアが被駆動部材に伴って移動する。こうして、可動リニアコンベアを切換方向に適切に駆動することができる。また、一方側支持部は、搬送方向において被駆動部材に対する可動リニアコンベアの一方側への移動を許容することから、可動リニアコンベアの熱変形に伴って可動リニアコンベアは一方側へ移動することができ、可動リニアコンベアの一方端の変位が妨げられない。その結果、可動リニアコンベアの切換方向への駆動と、可動リニアコンベアの反りの抑制との両機能を実現することが可能となっている。
【0016】
また、一方側支持部は、搬送方向に設けられたスライドガイドであるように、搬送路切換装置を構成してもよい。かかる構成では、可動リニアコンベアの切換方向への案内と、可動リニアコンベアの反りの抑制との両機能を簡便な構成で実現することができる。
【0017】
また、一方側支持機構は、搬送方向において一方側支持部と他方側支持機構との間の位置で被駆動部材と可動リニアコンベアとを固定する固定部材を有するように、搬送路切換装置を構成してもよい。かかる構成では、固定部材によって固定される位置の両側に、可動リニアコンベアの変形が分散される。したがって、可動リニアコンベアの両端の変位をバランスさせることができ、当該両端に対して設けられた固定リニアコンベアとの両間隔のそれぞれを有効に活用して、可動リニアコンベアの端と固定リニアコンベアとの接触を効果的に回避することができる。
【0018】
また、コンベア移動ユニットは、第1位置に位置する可動リニアコンベアの一方側の端である一方端と第1固定リニアコンベアとの間に搬送方向へ間隔を空けつつ、第1固定リニアコンベアに対して可動リニアコンベアを支持する一方側支持機構を有し、一方側支持機構は、搬送方向において可動リニアコンベアを拘束するように、搬送路切換装置を構成してもよい。かかる構成では、可動リニアコンベアの一方端と固定リニアコンベアとの接触を確実に回避することができる。
【0019】
また、他方側支持機構は、第2固定リニアコンベアに取り付けられた単軸ロボットと、単軸ロボットによって切換方向に駆動される被駆動部材と、被駆動部材に対して可動リニアコンベアを支持する他方側支持部とを有し、他方側支持部は、搬送方向において被駆動部材に対する可動リニアコンベアの他方側への移動を許容し、切換方向において被駆動部材に対して可動リニアコンベアを拘束するように、搬送路切換装置を構成してもよい。かかる構成では、可動リニアコンベアが、単軸ロボットによって切換方向に駆動される被駆動部に対して、他方側支持部によって支持される。この他方側支持部は、切換方向に被駆動部材に対して可動リニアコンベアを拘束することから、被駆動部材が切換方向に駆動されると、可動リニアコンベアが被駆動部材に伴って移動する。こうして、可動リニアコンベアを切換方向に適切に駆動することができる。また、他方側支持部は、搬送方向において被駆動部材に対する可動リニアコンベアの他方側への移動を許容することから、可動リニアコンベアの熱変形に伴って可動リニアコンベアは他方側へ移動することができ、可動リニアコンベアの他方端の変位が妨げられない。その結果、可動リニアコンベアの切換方向への駆動と、可動リニアコンベアの反りの抑制との両機能を実現することが可能となっている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、可動リニアコンベアの熱変形に起因して、可動リニアコンベアと当該可動リニアコンベアに隣接する固定リニアコンベアとが接触するのを回避して、可動リニアコンベアの反りの発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】発明に係る搬送システムの構成および動作を模式的に示す平面図。
図1B】発明に係る搬送システムの構成および動作を模式的に示す平面図。
図1C】発明に係る搬送システムの構成および動作を模式的に示す平面図。
図1D】発明に係る搬送システムの構成および動作を模式的に示す平面図。
図1E】発明に係る搬送システムの構成および動作を模式的に示す平面図。
図2図1Aないし図1Eに示す基板搬送システムが具備する電気的構成を示すブロック図。
図3】基板搬送システムが備える分岐搬送装置の第1例を模式的に示す正面図。
図4】単軸ロボットによって可動リニアコンベアを支持する支持機構を模式的に示す側面図。
図5】スライドガイドによって可動リニアコンベアを支持する支持機構を模式的に示す側面図。
図6図5に示す支持機構の機能を模式的に示す部分拡大断面図。
図7】基板搬送システムが備える分岐搬送装置の第2例を模式的に示す正面図。
図8】基板搬送システムが備える分岐搬送装置の第3例を模式的に示す正面図。
図9】2台の単軸ロボットを備える分岐搬送装置における移載制御の一例を示すフローチャート。
図10】基板搬送システムが備える分岐搬送装置の第4例を模式的に示す正面図。
図11図10の分岐搬送装置が有するリンク機構の一例を模式的に示す側面図。
図12】基板搬送システムが備える分岐搬送装置の第5例を模式的に示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1Aないし図1Eは本発明に係る搬送システムの構成および動作を模式的に示す平面図であり、図2図1Aないし図1Eに示す基板搬送システムが具備する電気的構成を示すブロック図である。本明細書の図では、水平方向であるX方向、X方向に直交する水平方向であるY方向および鉛直方向であるZ方向を適宜示すとともに、X方向において互いに逆を向くXl側(図1ないし図1Eの紙面左側)およびXr側(図1ないし図1Eの紙面右側)を適宜示す。
【0023】
図1Aないし図1Eに示すように、搬送システム1は、2台の取付架台11と、4台の固定リニアコンベア2とを備える。なお、2台の取付架台11を区別する場合には、取付架台11l、11rと適宜称し、4台の固定リニアコンベア2を区別する場合には、固定リニアコンベア2a、2b、2c、2dと適宜称することとする。また、図2では、4台の固定リニアコンベア2を代表して1台の固定リニアコンベア2が示されている。
【0024】
2台の取付架台11l、11rは、X方向に間隔12を空けて配置され、X方向に平行な2辺とY方向に平行な2辺により構成される矩形を平面視において有する。4台の固定リニアコンベア2のうち、2台の固定リニアコンベア2a、2dは、Xl側の取付架台11lの上面111に配置され、2台の固定リニアコンベア2b、2cは、Xr側の取付架台11rの上面111に配置される。各取付架台11l、11rの上面111は、Z方向に直交する水平な平面である。
【0025】
4台の固定リニアコンベア2はいずれもX方向に平行に配置される。特に、取付架台11l上の2台の固定リニアコンベア2a、2dはX方向に互いに並列に配置され、取付架台11r上の2台の固定リニアコンベア2b、2cはX方向に互いに並列に配置される。また、取付架台11l上の固定リニアコンベア2aと取付架台11r上の固定リニアコンベア2cとはX方向に直列に配置され、取付架台11l上の固定リニアコンベア2dと取付架台11r上の固定リニアコンベア2bとはX方向に直列に配置される。そして、搬送システム1は、これらの固定リニアコンベア2a、2b、2c、2dの間でテーブルコンベアTを搬送することができる。
【0026】
固定リニアコンベア2は、X方向に延設されたリニアハウジング21を備え、リニアハウジング21は、X方向に平行な2辺とY方向に平行な2辺により構成される矩形を平面視において有する。このリニアハウジング21は、Y方向の両側に突出するフランジ23を有し、フランジ23が取付架台11の上面111にネジによって締結されることで、固定リニアコンベア2が取付架台11の上面111に固定される。また、リニアハウジング21のXl側の端面21lおよびXr側の端面21rは、X方向に垂直に立設されている。
【0027】
かかるリニアハウジング21に対しては、テーブルコンベアTがX方向から係合・離脱することができる。つまり、テーブルコンベアTは、リニアハウジング21のXl側から端面21lに進入することで、リニアハウジング21の上部に係合でき、リニアハウジング21のXr側から端面21rに進入することで、リニアハウジング21の上部に係合する。このようにリニアハウジング21に係合したテーブルコンベアTは、リニアハウジング21によってX方向に案内される。また、リニアハウジング21に係合したテーブルコンベアTは、端面21lからXl側へ退出することで、リニアハウジング21の上部から離脱し、端面21rからXr側へ退出することで、リニアハウジング21の上部から離脱する。
【0028】
さらに、固定リニアコンベア2は、リニアハウジング21内に配置されたリニアモータ固定子25と、リニアスケール27とを有する(図2)。リニアモータ固定子25は、印加される電流に応じた磁界を発生するコイルを有する。これに対して、テーブルコンベアTは、可動子である永久磁石を有し、リニアモータ固定子25は、リニアハウジング21に係合するテーブルコンベアTの可動子との間に生じる磁力によって、テーブルコンベアTをX方向に駆動する。また、リニアスケール27は、X方向におけるテーブルコンベアTの位置(X座標)を検出する。
【0029】
可動リニアコンベア3は、平面視において、X方向における取付架台11lと取付架台11rとの間の間隔12に配置される。可動リニアコンベア3は、X方向に延設されたリニアハウジング31を備え、リニアハウジング31は、X方向に平行な2辺とY方向に平行な2辺により構成される矩形を平面視において有する。このリニアハウジング31は、Y方向の両側に突出するフランジ33を有する。また、リニアハウジング31のXl側の端面31lおよびXr側の端面31rは、X方向に垂直に立設されている。
【0030】
かかるリニアハウジング31に対しては、テーブルコンベアTがX方向から係合・離脱することができる。つまり、テーブルコンベアTは、リニアハウジング31のXl側から端面31lに進入することで、リニアハウジング31の上部に係合でき、リニアハウジング31のXr側から端面31rに進入することで、リニアハウジング31の上部に係合する。このようにリニアハウジング31に係合したテーブルコンベアTは、リニアハウジング31によってX方向に案内される。また、リニアハウジング31に係合したテーブルコンベアTは、端面31lからXl側へ退出することで、リニアハウジング31の上部から離脱し、端面31rからXr側へ退出することで、リニアハウジング31の上部から離脱する。
【0031】
さらに、可動リニアコンベア3は、リニアハウジング31内に配置されたリニアモータ固定子35と、リニアスケール37とを有する(図2)。リニアモータ固定子35は、印加される電流に応じた磁界を発生するコイルを有する。このリニアモータ固定子35は、リニアハウジング31に係合するテーブルコンベアTの可動子との間に生じる磁力によって、テーブルコンベアTをX方向に駆動する。また、リニアスケール37は、X方向におけるテーブルコンベアTの位置(X座標)を検出する。
【0032】
可動リニアコンベア3が配置される間隔12では、可動リニアコンベア3の可動範囲YmがY方向に平行に延設されている。搬送システム1は、この可動範囲Ymに対して設けられたコンベア移動ユニット4を備え、コンベア移動ユニット4が可動リニアコンベア3を可動範囲YmにおいてY方向に移動させる。このコンベア移動ユニット4は、可動範囲YmのXl側に対して配置された支持機構41と、可動範囲YmのXr側に対して配置された支持機構43とを有する。
【0033】
支持機構41は、Y方向に平行に配置された単軸ロボット51を有する。単軸ロボット51は、Y方向に延設されたロボット本体52を有する。ロボット本体52は、Y方向に延設されたロボットハウジング521と、ロボットハウジング521内でY方向に平行に配置されたボールネジ523とを有する。このロボットハウジング521は、固定プレート13を介して取付架台11lの上面111に固定される。具体的には、X方向において、取付架台11の上面111と単軸ロボット51のロボットハウジング521の上面521tとを跨ぐように固定プレート13が上側から配置される。そして、固定プレート13のXl側の端部が取付架台11の上面111にネジ(締結部材)によって締結・固定されるとともに、固定プレート13のXr側の端部が単軸ロボット51のロボットハウジング521の上面521tにネジ(締結部材)によって締結・固定される。特に、一対の固定プレート13が固定リニアコンベア2をY方向から挟むように、固定リニアコンベア2a、2dのそれぞれに対して各固定プレート13が配置されている。さらに、ロボットハウジング521は、後述するように、固定リニアコンベア2a、2dのそれぞれに固定される。また、単軸ロボット51は、Y方向においてロボット本体52の一端に取り付けられた駆動モータ531と、駆動モータ531の回転位置を検出するエンコーダ532(図2)とを有し、駆動モータ531がボールネジ523に接続されている。単軸ロボット51のボールネジ523のナットは、可動リニアコンベア3のXl側の端部に接続されており、駆動モータ531がボールネジ523のネジ軸を回転させると、可動リニアコンベア3がY方向に移動する。
【0034】
また、支持機構43は、Y方向に平行に延設されたY軸コンベアガイド71を有する。Y軸コンベアガイド71は、固定プレート13を介して取付架台11rの上面111に固定される。具体的には、X方向において、取付架台11の上面111とY軸コンベアガイド71の上面722tとを跨ぐように固定プレート13が上側から配置される。そして、固定プレート13のXr側の端部が取付架台11の上面111にネジ(締結部材)によって締結・固定されるとともに、固定プレート13のXl側の端部がY軸コンベアガイド71の上面722tにネジ(締結部材)によって締結・固定される。特に、一対の固定プレート13が固定リニアコンベア2をY方向から挟むように、固定リニアコンベア2b、2cのそれぞれに対して各固定プレート13が配置されている。さらに、Y軸コンベアガイド71は、後述するように、固定リニアコンベア2b、2cのそれぞれに固定される。Y軸コンベアガイド71は、可動リニアコンベア3のXr側の端部に接続されており、駆動モータ531の駆動力によって移動する可動リニアコンベア3をY方向に案内する。
【0035】
さらに、搬送システム1は、4台の固定リニアコンベア2、可動リニアコンベア3および単軸ロボット51を制御する制御部100(図2)を有する。この制御部100は、CPU(Central Processing Unit)といったプロセッサあるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって構成される。制御部100は、リニアスケール27によって検出したテーブルコンベアTの位置に基づきリニアモータ固定子25に印加する電流を調整することでテーブルコンベアTの位置を制御するフィードバック制御を各固定リニアコンベア2に対して実行する。また、制御部100は、リニアスケール37によって検出したテーブルコンベアTの位置に基づきリニアモータ固定子35に印加する電流を調整することでテーブルコンベアTの位置をX方向に制御するフィードバック制御を可動リニアコンベア3に対して実行する。さらに、制御部100は、エンコーダ532が検出した駆動モータ531の回転位置、換言すればY方向への可動リニアコンベア3の位置(Y座標)に基づき駆動モータ531の回転位置を調整することでテーブルコンベアTの位置をY方向に制御するフィードバック制御を単軸ロボット51に対して実行する。
【0036】
かかる搬送システム1では、可動リニアコンベア3は、可動範囲YmにおいてY方向に移動可能であり、可動範囲Ymに含まれる複数の対向位置Lf1、Lf2のいずれかに位置することができる。ここで、対向位置Lf1、Lf2はY方向において互いに異なる位置であり、対向位置Lf1は、X方向において固定リニアコンベア2a、2cに対向し、対向位置Lf2は、X方向において固定リニアコンベア2b、2dに対向する。つまり、対向位置Lf1に位置する可動リニアコンベア3は、固定リニアコンベア2aのXr側の端面21rにXr側から対向するとともに、固定リニアコンベア2cのXl側の端面21lにXl側から対向する。また、対向位置Lf2に位置する可動リニアコンベア3は、固定リニアコンベア2dのXr側の端面21rにXr側から対向するとともに、固定リニアコンベア2bのXl側の端面21lにXl側から対向する。
【0037】
なお、対向位置Lf1に位置する可動リニアコンベア3の端面31lと、固定リニアコンベア2aの端面21rとの間に間隔(隙間)が空くように、支持機構41は、可動リニアコンベア3を固定リニアコンベア2aに対して支持する。また、対向位置Lf1に位置する可動リニアコンベア3の端面31rと、固定リニアコンベア2cの端面21lとの間に間隔(隙間)が空くように、支持機構43は、可動リニアコンベア3を固定リニアコンベア2cに対して支持する。同様に、対向位置Lf2に位置する可動リニアコンベア3の端面31lと、固定リニアコンベア2dの端面21rとの間に間隔(隙間)が空くように、支持機構41は、可動リニアコンベア3を固定リニアコンベア2dに対して支持する。また、対向位置Lf2に位置する可動リニアコンベア3の端面31rと、固定リニアコンベア2bの端面21lとの間に間隔(隙間)が空くように、支持機構43は、可動リニアコンベア3を固定リニアコンベア2bに対して支持する。
【0038】
したがって、制御部100は、単軸ロボット51を制御して可動リニアコンベア3を対向位置Lf1に位置させつつ固定リニアコンベア2aおよび可動リニアコンベア3を制御することで、固定リニアコンベア2aと可動リニアコンベア3との間でテーブルコンベアTを移載できる。また、制御部100は、単軸ロボット51を制御して可動リニアコンベア3を対向位置Lf1に位置させつつ固定リニアコンベア2cおよび可動リニアコンベア3を制御することで、固定リニアコンベア2cと可動リニアコンベア3との間でテーブルコンベアTを移載できる。
【0039】
あるいは、制御部100は、単軸ロボット51を制御して可動リニアコンベア3を対向位置Lf2に位置させつつ固定リニアコンベア2dおよび可動リニアコンベア3を制御することで、固定リニアコンベア2dと可動リニアコンベア3との間でテーブルコンベアTを移載できる。また、制御部100は、単軸ロボット51を制御して可動リニアコンベア3を対向位置Lf2に位置させつつ固定リニアコンベア2bおよび可動リニアコンベア3を制御することで、固定リニアコンベア2bと可動リニアコンベア3との間でテーブルコンベアTを移載できる。
【0040】
ここで、固定リニアコンベア2と可動リニアコンベア3との間でのテーブルコンベアTの移載とは、固定リニアコンベア2から可動リニアコンベア3へのテーブルコンベアTの移動および可動リニアコンベア3から固定リニアコンベア2へのテーブルコンベアTへの移動の両方の動作を含む。
【0041】
このような制御部100は、種々の態様でテーブルコンベアTを搬送することができ、特に、次のような分岐搬送を実行することができる。例えば図1Aでは、テーブルコンベアTは、固定リニアコンベア2aに係合する。これに対して、搬送システム1では、テーブルコンベアTが係合する固定リニアコンベア2aのXr側に2個の固定リニアコンベア2b、2cが並列に配列されている。したがって、このテーブルコンベアTを固定リニアコンベア2aからXr側へ搬送するにあたって、固定リニアコンベア2bおよび固定リニアコンベア2cのそれぞれを搬送先として使用できる。つまり、これらの固定リニアコンベア2b、2cのいずれかに搬送路を分岐してテーブルコンベアTを搬送することができる(分岐搬送)。なお、このような分岐搬送は、固定リニアコンベア2b(搬送元)と固定リニアコンベア2a、2d(搬送先)との間や、固定リニアコンベア2c(搬送元)と固定リニアコンベア2a、2d(搬送先)との間や、固定リニアコンベア2d(搬送元)と固定リニアコンベア2b、2c(搬送先)との間で実行できる。
【0042】
ここでは、図1Aないし図1Fを用いて、固定リニアコンベア2aから固定リニアコンベア2bにテーブルコンベアTを分岐搬送する例を説明する。図1Aでは、テーブルコンベアTが係合する固定リニアコンベア2aに対向する対向位置Lf1に可動リニアコンベア3が停止する。図1A~1Bでは、テーブルコンベアTが固定リニアコンベア2aから可動リニアコンベア3に移載される。可動リニアコンベア3へのテーブルコンベアTの移載が完了すると、可動リニアコンベア3は、対向位置Lf1から対向位置Lf2に向けてY方向に移動する(図1C)。可動リニアコンベア3は、固定リニアコンベア2bに対向する対向位置Lf2に到着すると、当該対向位置Lf2に停止する(図1D)。そして、図1D~1Eでは、テーブルコンベアTが可動リニアコンベア3から固定リニアコンベア2bに移載される。
【0043】
図3は基板搬送システムが備える分岐搬送装置の第1例を模式的に示す正面図である。この分岐搬送装置Aは、上述の可動リニアコンベア3およびコンベア移動ユニット4を含む。図3では、搬送システム1の設置面に載置されるベースプレート19、ベースプレート19上に載置された取付架台11、取付架台11に取り付けられた固定リニアコンベア2および分岐搬送装置Aが示されている。この分岐搬送装置Aのコンベア移動ユニット4は、上述の通り支持機構41および支持機構43を有する。これらのうち、支持機構41は単軸ロボット51によって可動リニアコンベア3をY方向に移動させ、支持機構43はY軸コンベアガイド71によって可動リニアコンベア3をY方向に案内する。
【0044】
図4は単軸ロボットによって可動リニアコンベアを支持する支持機構を模式的に示す側面図である。図4に示す支持機構41は、Y方向に平行に配置された単軸ロボット51を有し、単軸ロボット51はY方向に延設されたロボット本体52と、ロボット本体52のY方向の一端に取り付けられた駆動モータ531とを有する。このロボット本体52は、ロボットハウジング521と、ロボットハウジング521に収納されるボールネジ523と、ロボットハウジング521のXr側に配置されたスライダ525(図3)とを有する。ボールネジ523は、Y方向に平行に延設されたネジ軸523aと、ネジ軸523aに螺合するナット523bとを有し、駆動モータ531がネジ軸523aに接続され、スライダ525が接続部材(不図示)によってナット523bに接続されている。したがって、駆動モータ531がネジ軸523aを回転させると、ナット523bがY方向に移動し、スライダ525がナット523bに伴ってY方向に移動する。このように、単軸ロボット51は、駆動モータ531の駆動力をボールネジ523によってスライダ525に伝達することで、ボールネジ523の延設方向であるY方向にスライダ525を案内しつつ、駆動モータ531の駆動力をスライダ525に加える。これによって、スライダ525はY方向へ移動する。
【0045】
ロボットハウジング521の上面521tは、固定リニアコンベア2のフランジ23の底面23bに下側から突き当てられており、上面521tと底面23bとが当接することで、ロボットハウジング521が固定リニアコンベア2に対して位置決めされる。特に、図3に示すように、Xl側の固定リニアコンベア2のXr側の端部22rは、当該固定リニアコンベア2が取り付けられる取付架台11からXr側に突出している。これに対して、単軸ロボット51のロボットハウジング521は、固定リニアコンベア2の端部22rに下側から対向して、平面視において当該端部22rに重複する。そして、固定リニアコンベア2の端部22rにおいて、固定リニアコンベア2のフランジ23とロボットハウジング521の上面521tとがネジS(締結部材)によって締結・固定される。
【0046】
なお、図4に示されるように、Y方向において、単軸ロボット51のロボットハウジング521は、可動範囲Ymを含むように可動範囲Ymよりも長く、2個の固定リニアコンベア2a、2dは、ロボットハウジング521の両端の間に位置する。そして、ロボットハウジング521の上面521tは、2個の固定リニアコンベア2a、2dのそれぞれのフランジ23とネジSによって締結・固定されている。
【0047】
また、支持機構41は、スライダ525のXr側に配置されたコンベア支持部材61を有する。コンベア支持部材61は、X方向に直交するようにZ方向に立設された立設プレート611と、立設プレート611の上端に水平に設けられた水平プレート612と、立設プレート611と水平プレート612との間に設けられたブレース613とを有する。立設プレート611は、スライダ525にXr側から当接して、ネジSによってスライダ525に締結・固定される。
【0048】
水平プレート612の上面612tは、可動リニアコンベア3のフランジ33の底面33bに下側から突き当てられており、上面612tと底面33bとが当接することで、コンベア支持部材61が可動リニアコンベア3に対して位置決めされる。そして、可動リニアコンベア3のフランジ33とコンベア支持部材61の水平プレート612の上面612tとがネジS(締結部材)によって締結・固定される。
【0049】
このように、固定リニアコンベア2に取り付けられた単軸ロボット51が、可動リニアコンベア3に取り付けられたコンベア支持部材61を、Z方向において支持する。つまり、単軸ロボット51およびコンベアコンベア支持部材61を有する支持機構41は、固定リニアコンベア2に対して可動リニアコンベア3を支持する機能を果たす。
【0050】
さらに、固定リニアコンベア2に取り付けられた単軸ロボット51が、可動リニアコンベア3に取り付けられたコンベア支持部材61を、Y方向に駆動・案内する。つまり、単軸ロボット51およびコンベア支持部材61を有する支持機構41は、固定リニアコンベア2に対して可動リニアコンベア3をY方向に駆動するとともに、固定リニアコンベア2に対する可動リニアコンベア3の移動をY方向へ案内する機能を果たす。
【0051】
図5はスライドガイドによって可動リニアコンベアを支持する支持機構を模式的に示す側面図であり、図6図5に示す支持機構の機能を模式的に示す部分拡大断面図である。図5および図6に示す支持機構43は、Y軸コンベアガイド71を有し、Y軸コンベアガイド71は、Y方向に延設されたベースフレーム72と、Y方向に延設された2本のスライドガイド73と、これらスライドガイド73に取り付けられた支持スライダ74とを有する。
【0052】
ベースフレーム72は、X方向に直交するようにZ方向に立設された立設プレート721と、立設プレート721の上端に水平に設けられた水平プレート722とを有し、立設プレート721のXl側の側面に、各スライドガイド73が固定されている。各スライドガイド73は、Y方向に平行に延設されたY軸ガイドレール731を有し、Y軸ガイドレール731がベースフレーム72の水平プレート722に固定されている。また、各スライドガイド73は、Y軸ガイドレール731に係合するスライダ732を有し、スライダ732は、Y軸ガイドレール731に沿ってY方向に移動する。支持スライダ74は、X方向に直交するように立設された平板であり、2本のスライドガイド73それぞれのスライダ732のXl側の側面に固定されている。かかる支持スライダ74は、2本のY軸ガイドレール731に沿ってY方向に移動する。
【0053】
水平プレート722の上面722tは、固定リニアコンベア2のフランジ23の底面23bに下側から突き当てられており、上面722tと底面23bとが当接することで、Y軸コンベアガイド71が固定リニアコンベア2に対して位置決めされる。特に、図3に示すように、Xr側の固定リニアコンベア2のXl側の端部22lは、当該固定リニアコンベア2が取り付けられる取付架台11からXl側に突出している。これに対して、Y軸コンベアガイド71のベースフレーム72は、固定リニアコンベア2の端部22lに下側から対向して、平面視において端部22lに重複する。そして、固定リニアコンベア2の端部22lにおいて、固定リニアコンベア2のフランジ23と水平プレート722の上面722tとがネジS(締結部材)によって締結・固定される。
【0054】
なお、図5に示されるように、Y方向において、Y軸ガイドレール731は、可動範囲Ymを含むように可動範囲Ymよりも長く、Y軸ガイドレール731を支持するベースフレーム72も、可動範囲Ymを含むように可動範囲Ymよりも長い。これに対して、2個の固定リニアコンベア2b、2cは、ベースフレーム72の両端の間に位置する。そして、ベースフレーム72の水平プレート722の上面722tは、2個の固定リニアコンベア2b、2cのそれぞれのフランジ23とネジSによって締結・固定されている。
【0055】
また、支持機構43は、支持スライダ74のXl側に配置されたコンベア支持部材81を有する。コンベア支持部材81は、X方向に直交するようにZ方向に立設された立設プレート811と、立設プレート811の上端に水平に設けられた水平プレート812とを有する。立設プレート811は、支持スライダ74にXl側から対向し、立設プレート811には、X方向に貫通する孔813が設けられている。
【0056】
特に支持機構43は、支持スライダ74によってコンベア支持部材81を支持する係合支持部85を有する。係合支持部85は、X方向に平行に支持スライダ74からXl側へ突出するシャフト851と、コンベア支持部材81の孔813に嵌め込まれた滑り軸受852とを有する。滑り軸受852は、X方向に貫通する開口853を有し、この開口853にシャフト851が挿入されている。つまり、滑り軸受852は、開口853に挿入されたシャフト851を受ける。こうして、支持スライダ74から突出するシャフト851に、滑り軸受852を介してコンベア支持部材81が係合する。この滑り軸受852は、当該滑り軸受852に対するシャフト851のX方向への移動を許容する一方、当該滑り軸受852に対してシャフト851をY方向およびZ方向に拘束する。
【0057】
換言すれば、シャフト851は、X方向においてコンベア支持部材81の移動を許容する。そのため。コンベア支持部材81は、Y軸コンベアガイド71に対してX方向に移動可能である。また、シャフト851は、Y方向においてコンベア支持部材81を拘束する。そのため、コンベア支持部材81は、Y軸ガイドレール731に沿って移動する支持スライダ74によってY方向に案内される。さらに、シャフト851は、Z方向においてコンベア支持部材81を拘束する。そのため、コンベア支持部材81は、Z方向への重力に抗してY軸コンベアガイド71により支持される。
【0058】
なお、ここの例では、支持スライダ74にシャフト851を設けて、立設プレート811に滑り軸受852を設けている。しかしながら、支持スライダ74に滑り軸受852を設けて、立設プレート811にシャフト851を設けても同様の機能を実現できる。
【0059】
コンベア支持部材81の水平プレート812の上面812tは、可動リニアコンベア3のフランジ33の底面33bに下側から突き当てられており、上面812tと底面33bとが当接することで、コンベア支持部材81が可動リニアコンベア3に対して位置決めされる。そして、可動リニアコンベア3のフランジ33とコンベア支持部材81の水平プレート812の上面812tとがネジS(締結部材)によって締結・固定される。
【0060】
このように、固定リニアコンベア2に取り付けられたY軸コンベアガイド71が、可動リニアコンベア3に取り付けられたコンベア支持部材81を、Z方向において支持する。つまり、Y軸コンベアガイド71およびコンベア支持部材81を有する支持機構43は、固定リニアコンベア2に対して可動リニアコンベア3を支持する機能を果たす。
【0061】
さらに、固定リニアコンベア2に取り付けられたY軸コンベアガイド71が、可動リニアコンベア3に取り付けられたコンベア支持部材81を、Y方向に案内する。つまり、Y軸コンベアガイド71およびコンベア支持部材81を有する支持機構43は、固定リニアコンベア2に対する可動リニアコンベア3の移動をY方向へ案内する機能を果たす。
【0062】
このように分岐搬送装置Aは、可動リニアコンベア3のXl側の端部32lを、固定リニアコンベア2のXr側の端部22rに対して支持する支持機構41と、可動リニアコンベア3のXr側の端部32rを、固定リニアコンベア2のXl側の端部22lに対して支持する支持機構43とを備える。かかる分岐搬送装置AのY方向への動作を図4および図5を用いつつ説明する。図4に示すように、駆動モータ531がボールネジ523のネジ軸523aを駆動すると、スライダ525(図3)に固定されたコンベア支持部材61がY方向に移動するとともに、コンベア支持部材61に固定された可動リニアコンベア3がY方向に移動する。また、図5に示すように、可動リニアコンベア3の移動は、Y軸コンベアガイド71のY軸ガイドレール731によってY方向に案内される。このように、可動リニアコンベア3は、単軸ロボット51によってY方向に駆動・案内されるとともに、Y軸ガイドレール731によってY方向に案内されることで、対向位置Lf1および対向位置Lf2を含む可動範囲YmをY方向に移動することができる。
【0063】
また、図6に示すように、分岐搬送装置AのXr側の支持機構43は、発熱に伴った可動リニアコンベア3のX方向への伸びを吸収する機能を果たす。つまり、支持機構43は、固定リニアコンベア2の端面21lと可動リニアコンベア3の端面31rとの間に間隔Daを空けつつ、固定リニアコンベア2に対して可動リニアコンベア3を支持する。また、固定リニアコンベア2に取り付けられたY軸コンベアガイド71と、可動リニアコンベア3に取り付けられたコンベア支持部材81とは、間隔Daに対応してX方向に離間する。したがって、X方向に互いに対向する水平プレート722と水平プレート812との間には、X方向に間隔Daが設けられ、X方向に互いに対向する支持スライダ74と立設プレート811との間には、X方向に間隔Dbが設けられる。
【0064】
例えばリニアモータ固定子25に印加される電流によってリニアモータ固定子25から放出される熱によって可動リニアコンベア3のリニアハウジング31がX方向に伸びると、可動リニアコンベア3の端面31rがX方向のXr側に変位する。また、可動リニアコンベア3の伸びに伴って、コンベア支持部材81もX方向のXr側に変位する。図6の「許容状態」の欄と「規制状態」との比較から分かるように、可動リニアコンベア3の熱変形に伴って、間隔Da、Dbは狭くなる。換言すれば、可動リニアコンベア3の熱変形を間隔Daによって吸収することで、可動リニアコンベア3と固定リニアコンベア2との接触が回避されている。
【0065】
また、支持機構43は、X方向においてY軸コンベアガイド71とコンベア支持部材81との間に配置された規制プレート87を有する。規制プレート87は、リング形状を有して、シャフト851に外側から嵌る。つまり、規制プレート87は、シャフト851に係合することで、シャフト851によって支持される。この規制プレート87は、支持スライダ74あるいは立設プレート811に固定されてもよいし、固定されなくてもよい。また、規制プレート87をいずれかに固定する場合には、規制プレート87をシャフト851に係合させる必要はなく、規制プレート87がリング形状を有する必要もない。
【0066】
この規制プレート87は、支持スライダ74と立設プレート811との間の間隔Dbに配置され、X方向に所定の厚みを有する。したがって、可動リニアコンベア3の端面31rのXr側への変位が大きくなって、立設プレート811が支持スライダ74に近接すると、立設プレート811が規制プレート87にXl側から接触するとともに支持スライダ74が規制プレート87にXr側から接触する。すなわち、立設プレート811は、Xr側から支持スライダ74に支持される規制プレート87にXl側から突き当たる。これによって、図6の「規制状態」の欄に示すように、コンベア支持部材81のXr側への変位が規制される。この規制状態において、可動リニアコンベア3の端面31rと固定リニアコンベア2の端面21lとの間には、間隔Daが確保されている。つまり、規制プレート87は、可動リニアコンベア3の端面31rの所定量以上のXr側への変位を規制することで、可動リニアコンベア3の端面31rと固定リニアコンベア2の端面21lとの接触を回避している。
【0067】
以上に説明する第1例では、X方向(搬送方向)において可動リニアコンベア3の端面31r(他方端)のXr側(他方側)への変位を許容する支持機構43(他方側支持機構)が設けられており、換言すれば、可動リニアコンベア3の端面31rが解放されている。特に、この支持機構43は、対向位置Lf1(第1位置)あるいは対向位置Lf2(第2位置)に位置する可動リニアコンベア3の端面31rと固定リニアコンベア2の端面21lとの間にX方向へ間隔Daを空けつつ、固定リニアコンベア2の端部22lに対して可動リニアコンベア3の端部32rを支持する。このように、固定リニアコンベア2に対して可動リニアコンベア3を支持する支持機構43によって可動リニアコンベア3の端面31rと固定リニアコンベア2の端面21lとの間に間隔Daを設けることで、これらの間に確実に間隔Daを形成することができる。したがって、解放された端面31rの変位を当該間隔Daによって吸収して、可動リニアコンベア3の端面31rと固定リニアコンベア2の端面21lとの接触を回避することができる。こうして、可動リニアコンベア3の熱変形に起因して、可動リニアコンベア3と当該可動リニアコンベア3に隣接する固定リニアコンベア2とが接触するのを回避して、可動リニアコンベア3の反りの発生を抑制することが可能となっている。
【0068】
また、支持機構43は、可動リニアコンベア3に取り付けられるコンベア支持部材81(可動部材)と、固定リニアコンベア2に取り付けられたスライドガイド73(案内部)と、スライドガイド73によってY方向(切換方向)に案内される支持スライダ74(被案内部材)とを有する。さらに、支持機構43は、支持スライダ74に対してコンベア支持部材81を支持する係合支持部85(他方側支持部)を有する。そして、係合支持部85は、X方向において支持スライダ74に対するコンベア支持部材81のXr側への移動を許容し、Y方向において支持スライダ74に対してコンベア支持部材81を拘束する。かかる構成では、コンベア支持部材81が可動リニアコンベア3に取り付けられ、このコンベア支持部材81は、Y方向に案内される支持スライダ74に対して、係合支持部85によって支持される。この係合支持部85は、Y方向において支持スライダ74に対してコンベア支持部材81を拘束することから、支持スライダ74がY方向に案内されると、コンベア支持部材81が支持スライダ74に伴って移動し、さらに可動リニアコンベア3がコンベア支持部材81に伴って移動する。こうして、可動リニアコンベア3をY方向に適切に案内することができる。また、係合支持部85は、X方向において支持スライダ74に対するコンベア支持部材81のXr側への移動を許容することから、可動リニアコンベア3の熱変形に伴ってコンベア支持部材81はXr側へ移動することができ、可動リニアコンベア3の端面31rの変位が妨げられない。その結果、可動リニアコンベア3のY方向への案内と、可動リニアコンベア3の反りの抑制との両機能を実現することが可能となっている。
【0069】
また、係合支持部85は、コンベア支持部材81および支持スライダ74のうち一の部材に取り付けられてX方向に延設されるシャフト851と、コンベア支持部材81および支持スライダ74のうちの当該一の部材と異なる他の部材に取り付けられてX方向に開口する滑り軸受852とを有する。そして、シャフト851は、滑り軸受852に嵌入されて、滑り軸受852に対してX方向に滑る。かかる構成では、可動リニアコンベア3のY方向への案内と、可動リニアコンベア3の反りの抑制との両機能を簡便な構成で実現することができる。
【0070】
また、支持機構43は、コンベア支持部材81のXr側に設けられた規制プレート87(規制部材)を有する。そして、可動リニアコンベア3の熱変形による端面31rのXr側への変位に応じて、コンベア支持部材81がXr側へ変位するのに伴って規制プレート87に突き当たることで、コンベア支持部材81のXr側への変位が規制プレート87により規制される。こうして、コンベア支持部材81のXr側への変位が規制プレート87により規制された状態において、可動リニアコンベア3の端面31rと固定リニアコンベア2の端面21lとの間に間隔Daが空いている。かかる構成では、熱変形が大きい場合には、可動リニアコンベア3の端面31rの変位を規制プレート87によって抑えて、可動リニアコンベア3の端面31rと固定リニアコンベア2の端面21lとの接触を回避することができる。
【0071】
また、コンベア移動ユニット4の支持機構41は、対向位置Lf1(第1位置)あるいは対向位置Lf2(第2位置)に位置する可動リニアコンベア3のXl側(一方側)の端面31lと固定リニアコンベア2の端面21rとの間にX方向へ間隔を空けつつ、固定リニアコンベア2に対して可動リニアコンベア3を支持する。この支持機構41は、支持機構43とは異なり、X方向において可動リニアコンベア3を拘束する。かかる構成では、支持機構41の拘束によって、可動リニアコンベア3の端面31lのXl側への変位が抑えられるため、可動リニアコンベア3の端面31lと固定リニアコンベア2の端面21rとの接触を確実に回避することができる。
【0072】
ちなみに、支持機構41によって確保される可動リニアコンベア3の端面31lと固定リニアコンベア2の端面21rと間隔は、可動リニアコンベア3の熱伸長を吸収できる必要はなく、端面31lと端面21rとの干渉を回避できればよい。したがって、当該間隔は、図6の間隔Daと比較して狭い隙間で構わない。
【0073】
図7は基板搬送システムが備える分岐搬送装置の第2例を模式的に示す正面図である。ここでは、図3の第1例との差異を中心に説明し、共通する部分は相当符号を付して適宜説明を省略する。この第2例では、可動リニアコンベア3の端面31lと固定リニアコンベア2(2a、2d)の端面21rとの間に、図6の間隔Daに相当する熱変形吸収用の間隔Dcが設けられるように、支持機構41は、固定リニアコンベア2(2a、2d)の端部22rに対して可動リニアコンベア3の端部32lを支持する。なお、間隔Daと間隔Dcとが同じ幅を有する必要はなく、これらの幅は異なっていても構わない。
【0074】
特に、支持機構41は、コンベア支持部材61に対して可動リニアコンベア3をX方向に移動可能に支持するスライド支持部63を有する。スライド支持部63は、X方向に平行なガイドレール631と、ガイドレール631に係合するスライダ632とを有するスライドガイドであり、スライダ632はガイドレール631に沿ってX方向に移動可能である。ガイドレール631は、水平プレート612の上面612tに固定される。スライダ632は、可動リニアコンベア3のフランジ33の底面33bに下側から当接して、ネジSによってフランジ33に締結・固定される。このように、可動リニアコンベア3のXl側の端部32lは、コンベア支持部材61に対してX方向へ移動可能にスライド支持部63によって支持される。したがって、可動リニアコンベア3の熱伸長が生じた場合には、可動リニアコンベア3の端面31lは、間隔Dcの範囲でXl側へ変位することができる。
【0075】
さらに、支持機構41は、X方向において、スライド支持部63とコンベア支持部材81との間で、コンベア支持部材61に可動リニアコンベア3のフランジ33を締結・固定するネジSa(締結部材)を有する。かかる構成では、可動リニアコンベア3のX方向への熱伸長は、ネジSaの両側に分散して生じる。ネジSaよりXr側で生じる熱伸長については、支持機構43が可動リニアコンベア3の端面31rのXr側への変位を間隔Daの範囲で許容することで吸収される。また、ネジSaよりXl側で生じた熱伸長については、支持機構41が可動リニアコンベア3の端面31lのXl側へ変位を間隔Dcの範囲で許容することで吸収される。
【0076】
以上に説明する第2例では、X方向において可動リニアコンベア3の端面31lのXl側への変位を許容する支持機構41が設けられており、換言すれば、可動リニアコンベア3の端面31lが解放されている。特に、この支持機構41は、対向位置Lf1あるいは対向位置Lf2に位置する可動リニアコンベア3の端面31lと固定リニアコンベア2の端面21rとの間にX方向へ間隔Dcを空けつつ、固定リニアコンベア2の端部22rに対して可動リニアコンベア3の端部32lを支持する。このように、固定リニアコンベア2に対して可動リニアコンベア3を支持する支持機構41によって可動リニアコンベア3の端面31lと固定リニアコンベア2の端面21rとの間に間隔Dcを設けることで、これらの間に確実に間隔Dcを形成することができる。したがって、解放された端面31lの変位を当該間隔Dcによって吸収して、可動リニアコンベア3の端面31lと固定リニアコンベア2の端面21rとの接触を回避することができる。こうして、可動リニアコンベア3の熱変形に起因して、可動リニアコンベア3と当該可動リニアコンベア3に隣接する固定リニアコンベア2とが接触するのを回避して、可動リニアコンベア3の反りの発生を抑制することが可能となっている。
【0077】
また、支持機構41は、固定リニアコンベア2に取り付けられた単軸ロボット51と、単軸ロボット51によってY方向に駆動されるコンベア支持部材61とを有する。さらに、支持機構41は、コンベア支持部材61に対して可動リニアコンベア3を支持するスライド支持部63(一方側支持部)を有する。このスライド支持部63は、X方向においてコンベア支持部材61に対する可動リニアコンベア3の端部32lのXl側への移動を許容する一方、Y方向においてコンベア支持部材61に対して可動リニアコンベア3の端部32lを拘束する。このように、単軸ロボット51によってY方向に駆動されるコンベア支持部材61に対して、可動リニアコンベア3がスライド支持部63によって支持される。このスライド支持部63は、Y方向においてコンベア支持部材61に対して可動リニアコンベア3を拘束することから、コンベア支持部材61がY方向に駆動されると、可動リニアコンベア3がコンベア支持部材61に伴って移動する。こうして、可動リニアコンベア3をY方向に適切に駆動することができる。また、スライド支持部63は、X方向においてコンベア支持部材61に対する可動リニアコンベア3の端部32lのXl側への移動を許容することから、可動リニアコンベア3の熱変形に伴って可動リニアコンベア3の端部32lはXl側へ移動することができ、可動リニアコンベア3の端面31lの変位が妨げられない。その結果、可動リニアコンベア3のY方向への駆動と、可動リニアコンベア3の反りの抑制との両機能を実現することが可能となっている。
【0078】
また、スライド支持部63は、X方向に設けられたスライドガイドである。かかる構成では、可動リニアコンベア3のY方向への案内および可動リニアコンベア3の反りの抑制の両機能を、スライドガイドといった簡便な構成で実現することができる。
【0079】
また、支持機構41は、X方向においてスライド支持部63と支持機構43との間の位置でコンベア支持部材61と可動リニアコンベア3とを固定するネジSa(固定部材)を有する。かかる構成では、ネジSaによって固定される位置の両側に、可動リニアコンベア3の変形が分散される。したがって、可動リニアコンベア3の端面31r、31lの変位をバランスさせることができ、当該端面31r、31lに対して設けられた固定リニアコンベア2との両間隔Da、Dcのそれぞれを有効に活用して、可動リニアコンベア3の端面31r、31lと固定リニアコンベアの端面21l、21rとの接触を効果的に回避することができる。
【0080】
図8は基板搬送システムが備える分岐搬送装置の第3例を模式的に示す正面図である。ここでは、図7の第2例との差異を中心に説明し、共通する部分は相当符号を付して適宜説明を省略する。この第3例では、支持機構43は、Y軸コンベアガイド71(第2例)に代えて単軸ロボット51を有するとともに、コンベア支持部材81(第2例)に代えてコンベア支持部材61およびスライド支持部63を有する。つまり、支持機構43は、ネジSaによる固定を除いて、支持機構41と共通する構成を備える。
【0081】
かかる支持機構43では、固定リニアコンベア2の端部22lの底面23bに対して、単軸ロボット51の上面521tが下側から当接する。そして、当該端部22lにおいて、固定リニアコンベア2のフランジ23に単軸ロボット51の上面521tがネジSによって締結・固定される。さらに、支持機構43では、単軸ロボット51のスライダ525にコンベア支持部材61が固定され、このコンベア支持部材61はスライド支持部63を介して可動リニアコンベア3の端部32rを支持する。このように、可動リニアコンベア3のXr側の端部32rは、コンベア支持部材61に対してX方向へ移動可能にスライド支持部63によって支持される。したがって、可動リニアコンベア3の熱伸長が生じた場合には、可動リニアコンベア3の端面31rは、間隔Daの範囲でXr側へ変位することができる。
【0082】
ところで、図8の第3例の様に、可動リニアコンベア3の両側に単軸ロボット51が設けられた分岐搬送装置Aでは、制御部100は、各単軸ロボット51の駆動モータ531を次のように制御してもよい。
【0083】
図9は2台の単軸ロボットを備える分岐搬送装置における移載制御の一例を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、固定リニアコンベア2と可動リニアコンベア3との間でテーブルコンベアTを移載する際に、制御部100の制御によって実行される。
【0084】
ステップS101では、テーブルコンベアTの移載を実行するか否かが判断される。そして、テーブルコンベアTを移載すると判断されると(ステップS101で「YES」)、ステップS102に進む。ステップS102では、可動リニアコンベア3との間でテーブルコンベアTを移載する固定リニアコンベア2が、可動リニアコンベア3のXl側の固定リニアコンベア2a、2dであるか、可動リニアコンベア3のXr側の固定リニアコンベア2b、2cであるかが判断される。
【0085】
対象の固定リニアコンベア2がXl側である場合には、制御部100は、Xr側の支持機構43の駆動モータ531の動作を停止させつつ、Xl側の支持機構41の駆動モータ531に対して上述のフィードバック制御を行ってテーブルコンベアTを対向位置Lf1あるいは対向位置Lf2に位置させる(ステップS103)。この際、支持機構43の駆動モータ531は停止しているため(サーボフリー)、支持機構43の単軸ロボット51は、可動リニアコンベア3を駆動する機能は果たさず、可動リニアコンベア3をY方向に案内する機能のみを果たす。こうして、可動リニアコンベア3が対向位置Lf1あるいは対向位置Lf2に位置決めされると、可動リニアコンベア3と当該可動リニアコンベア3のXl側の固定リニアコンベア2との間でテーブルコンベアTが移載される(ステップS104)。
【0086】
対象の固定リニアコンベア2がXr側である場合には、制御部100は、Xl側の支持機構41の駆動モータ531の動作を停止させつつ、Xr側の支持機構43の駆動モータ531に対して上述のフィードバック制御を行ってテーブルコンベアTを対向位置Lf1あるいは対向位置Lf2に位置させる(ステップS105)。この際、支持機構41の駆動モータ531は停止しているため(サーボフリー)、支持機構41の単軸ロボット51は、可動リニアコンベア3を駆動する機能は果たさず、可動リニアコンベア3をY方向に案内する機能のみを果たす。こうして、可動リニアコンベア3が対向位置Lf1あるいは対向位置Lf2に位置決めされると、可動リニアコンベア3と当該可動リニアコンベア3のXr側の固定リニアコンベア2との間でテーブルコンベアTが移載される(ステップS106)。
【0087】
図9の移載制御では、制御部100は、支持機構41、43それぞれの駆動モータ531(第1・第2駆動源)の動作を制御する。特に、制御部100は、可動リニアコンベア3とXl側の固定リニアコンベア2a、2dとの間でテーブルコンベアTを移載する際には、Xr側の支持機構43の駆動モータ531の動作を停止させつつ、Xl側の支持機構41の駆動モータ531の動作によって可動リニアコンベア3の位置を対向位置Lf1、Lf2に制御する(ステップS103)。また、制御部100は、可動リニアコンベア3とXr側の固定リニアコンベア2b、2cとの間でテーブルコンベアTを移載する際には、Xl側の支持機構41の駆動モータ531の動作を停止させつつ、Xr側の支持機構43の駆動モータ531の動作によって可動リニアコンベア3の位置を対向位置Lf1、Lf2に制御する(ステップS105)。かかる構成では、固定リニアコンベア2a、2dと可動リニアコンベア3との間でテーブルコンベアTを移載する際には、支持機構43の駆動モータ531の動作の干渉を防止しつつ、支持機構41の駆動モータ531によって可動リニアコンベア3を固定リニアコンベア2a、2dに対して的確に位置決めして、テーブルコンベアTのスムーズな移載を実現できる。また、固定リニアコンベア2b、2cと可動リニアコンベア3との間でテーブルコンベアTを移載する際には、支持機構41の駆動モータ531の動作の干渉を防止しつつ、支持機構43の駆動モータ531によって可動リニアコンベア3を固定リニアコンベア2b、2cに対して的確に位置決めして、テーブルコンベアTのスムーズな移載を実現できる。
【0088】
図10は基板搬送システムが備える分岐搬送装置の第4例を模式的に示す正面図であり、図11図10の分岐搬送装置が有するリンク機構の一例を模式的に示す側面図である。ここでは、図3の第1例との差異を中心に説明し、共通する部分は相当符号を付して適宜説明を省略する。この第4例では、支持機構41は、単軸ロボット51(第1例)に代えてY軸コンベアガイド71を有するとともに、コンベア支持部材61(第1例)に代えてコンベア支持部材81を有する。つまり、支持機構41は支持機構43と共通の構成を備える。
【0089】
かかる支持機構41では、固定リニアコンベア2の端部22rの底面23bに対して、Y軸コンベアガイド71の上面722tが下側から当接する。そして、当該端部22rにおいて、固定リニアコンベア2のフランジ23にY軸コンベアガイド71の上面722tがネジSによって締結・固定される。さらに、支持機構41では、Y軸コンベアガイド71のスライダ732にコンベア支持部材81が固定され、このコンベア支持部材81の上面812tは、可動リニアコンベア3の端部32lの底面33bに下側から当接して、当該端部32lにおいて、可動リニアコンベア3のフランジ33に締結・固定される。したがって、支持機構41は、固定リニアコンベア2の端部22rに対して可動リニアコンベア3の端部32lを支持するとともに、可動リニアコンベア3の端部32lをY方向に案内することができる。
【0090】
また、図10のコンベア移動ユニット4では、ベースプレート19に載置された支持フレーム18の上に、単軸ロボット51がY方向に配置されている。そして、単軸ロボット51と可動リニアコンベア3とがリンク機構9によって接続される。図11に示すように、リンク機構9は、取付プレート91と、取付プレート91の上面に固定された球面軸受92とを有する。また、リンク機構9は、取付プレート91より上側に設けられた取付プレート94と取付プレート94の下面に固定された球面軸受95とを有する。
【0091】
さらに、リンク機構9は、球面軸受92と球面軸受95との間を接続するロッド97を有し、このロッド97の一端971が球面軸受95によって受けられ、ロッド97の一端971と逆の他端972が球面軸受92によって受けられる。かかるロッド97は、球面軸受92に対して2個の回転自由度を有するとともに、球面軸受95に対して2個の回転自由度を有する。つまり、ロッド97は、互いに直交する2本の回転軸のそれぞれを中心として、球面軸受92に対して回転できるとともに、球面軸受95に対して回転できる。
【0092】
そして、取付プレート91が単軸ロボット51のスライダ525の上面にネジSによって締結・固定される。また、取付プレート94が可動リニアコンベア3のフランジ33の底面33bにネジSによって締結・固定される。この取付プレート94は、X方向において、可動リニアコンベア3の端部32lと端部32rとの間の中央位置で、可動リニアコンベア3に固定される。したがって、駆動モータ531がボールネジ523の駆動によってスライダ525をY方向に駆動すると、リンク機構9によってスライダ525に接続された可動リニアコンベア3がY方向に移動する。
【0093】
このように第4例では、可動リニアコンベア3の端部32lと端部32rの間の取付位置(取付プレート94の位置)で可動リニアコンベア3に取り付けられたリンク機構9と、リンク機構9をY方向に駆動することで、可動リニアコンベア3をY方向に移動させる単軸ロボット51とが具備されている。リンク機構9は、取付プレート94を介して可動リニアコンベア3に取り付けられた球面軸受95(第1球面軸受)と、単軸ロボット51のスライダ525に取付プレート91を介して取り付けられた球面軸受92(第2球面軸受)と、球面軸受95と球面軸受92とを接続するロッド97を有する。そして、ロッド97の一端971が球面軸受95によって受けられ、ロッド97の他端972が球面軸受92によって受けられる。かかる構成では、支持機構41、43それぞれのY軸コンベアガイド71と、単軸ロボット51との間における平行度の誤差を、リンク機構9の球面軸受92、95の自由度によって吸収することができる。したがって、可動リニアコンベア3をY方向にスムーズに移動させることができる。
【0094】
図12は基板搬送システムが備える分岐搬送装置の第5例を模式的に示す正面図である。ここでは、図8の第3例との差異を中心に説明し、共通する部分は相当符号を付して適宜説明を省略する。この第5例では、支持機構41では、単軸ロボット51(第3例)の代わりに、Y軸コンベアガイド71が固定リニアコンベア2の端部22lに取り付けられ、コンベア支持部材61の代わりにコンベア支持部材81が可動リニアコンベア3の端部32rに取り付けられている。つまり、第5例の支持機構41は、第1例(図3)の支持機構43と共通する構成を具備する。ただし、第5例の支持機構41では、係合支持部85が設けられておらず、立設プレート811は、支持スライダ74に固定されている。したがって、支持機構41は、可動リニアコンベア3の端部32rをX方向に拘束する。そのため、可動リニアコンベア3の熱伸長は、支持機構41では吸収できず、支持機構43における間隔Daによって吸収される。
【0095】
このように第5例では、支持機構43(他方側支持機構)は、固定リニアコンベア2(第2固定リニアコンベア)に取り付けられた単軸ロボット51と、単軸ロボット51によってY方向(切換方向)に駆動されるコンベア支持部材61(被駆動部材)と、コンベア支持部材61に対して可動リニアコンベア3を支持するスライド支持部63(他方側支持部)とを有する。このスライド支持部63は、X方向(搬送方向)においてコンベア支持部材61に対する可動リニアコンベア3の端部32rのXr側(他方側)への移動を許容し、Y方向においてコンベア支持部材61に対して可動リニアコンベア3の端部32rを拘束する。つまり、単軸ロボット51によってY方向に駆動されるコンベア支持部材61に対して、可動リニアコンベア3がスライド支持部63によって支持される。このスライド支持部63は、Y方向にコンベア支持部材61に対して可動リニアコンベア3を拘束することから、コンベア支持部材61がY方向に駆動されると、可動リニアコンベア3がコンベア支持部材61に伴って移動する。こうして、可動リニアコンベア3をY方向に適切に駆動することができる。また、スライド支持部63は、X方向においてコンベア支持部材61に対する可動リニアコンベア3のXr側への移動を許容することから、可動リニアコンベア3の熱変形に伴って可動リニアコンベア3の端部32rはXr側へ移動することができ、可動リニアコンベア3の端面31rの変位が妨げられない。その結果、可動リニアコンベア3のY方向への駆動と、可動リニアコンベア3の反りの抑制との両機能を実現することが可能となっている。
【0096】
このように上記の実施形態では、 送システム1が本発明の「搬送路切換装置」の一例に相当し、固定リニアコンベア2aが本発明の「第1固定リニアコンベア」の一例に相当し、固定リニアコンベア2bが本発明の「第2固定リニアコンベア」の一例に相当し、可動リニアコンベア3が本発明の「可動リニアコンベア」の一例に相当し、端面31lが本発明の「他方端」の一例に相当し、コンベア移動ユニット4が本発明の「コンベア移動ユニット」の一例に相当し、支持機構41が本発明の「一方側支持機構」の一例に相当し、支持機構43が本発明の「他方側支持機構」の一例に相当し、単軸ロボット51が本発明の「単軸ロボット」の一例に相当し、コンベア支持部材61が本発明の「被駆動部材」の一例に相当し、スライド支持部63が本発明の「一方側支持部」あるいは「他方側支持部」の一例に相当し、分岐搬送装置Aが本発明の「搬送路切換装置」の一例に相当し、間隔Daが本発明の「間隔」の一例に相当し、対向位置Lf1が本発明の「第1位置」の一例に相当し、対向位置Lf2が本発明の「第2位置」の一例に相当し、ネジSaが本発明の「固定部材」の一例に相当し、テーブルコンベアTが本発明の「コンベアテーブル」の一例に相当し、X方向が本発明の「搬送方向」の一例に相当し、Xl側が本発明の「一方側」の一例に相当し、Xr側が本発明の「他方側」の一例に相当し、Y方向が本発明の「切換方向」の一例に相当する。
【0097】
第1例(図3)、第2例(図7)および図10(第4例)では、コンベア支持部材81が本発明の「可動部材」の一例に相当し、スライドガイド73が本発明の「案内部」の一例に相当し、支持スライダ74が本発明の「被案内部材」の一例に相当し、係合支持部85が本発明の「他方側支持部」の一例に相当し、シャフト851が本発明の「シャフト」の一例に相当し、滑り軸受852が本発明の「滑り軸受」の一例に相当し、規制プレート87が本発明の「規制部材」の一例に相当する。
【0098】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、固定リニアコンベア2と可動リニアコンベア3との間の熱変形吸収用の隙間に対向する端面31lあるいは端面31rの変位を許容する機構は、上記の係合支持部85(シャフト851および滑り軸受852)や、スライド支持部63(スライドガイド)に限られず、例えばLMストローク等でもよい。
【0099】
また、上記の分岐搬送装置Aは、ベースプレート19を必ずしも必要としない。したがって、ベースプレート19を用いずに、分岐搬送装置Aを設置面に直接載置してもよい。
【0100】
また、搬送システム1で使用する固定リニアコンベア2の個数や配置は適宜変更が可能である。例えば、図1の例から固定リニアコンベア2cの位置をY方向にずらしたり、固定リニアコンベア2dの位置をY方向にずらしたり、固定リニアコンベア2cを省いたり、固定リニアコンベア2dを省いたりといった変形が可能である。
【0101】
また、可動リニアコンベア3を駆動する方向(切換方向)は、種々の変更が可能である。したがって、可動リニアコンベア3を駆動する方向は、水平方向に限られず、鉛直方向でもよい。この場合、分岐搬送装置Aは、鉛直方向にテーブルコンベアTの搬送路を分岐させることができる。
【符号の説明】
【0102】
1…搬送システム(搬送路切換装置)
2a…固定リニアコンベア(第1固定リニアコンベア)
2b…固定リニアコンベア(第2固定リニアコンベア)
3…可動リニアコンベア
31l…端面(他方端)
4…コンベア移動ユニット
41…支持機構(一方側支持機構)
43…支持機構(他方側支持機構)
51…単軸ロボット
61…コンベア支持部材(被駆動部材)
63…スライド支持部(一方側支持部、他方側支持部)
A…分岐搬送装置(搬送路切換装置)
Da…間隔
Lf1…対向位置(第1位置)
Lf2…対向位置(第2位置)
Sa…ネジ(固定部材)
T…テーブルコンベア
X…X方向(搬送方向)
Xl…Xl側(一方側)
Xr…Xr側(他方側)
Y…Y方向(切換方向)

図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12