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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】包装材料および包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20240827BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B65D75/62 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019173999
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2021050021
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 和美
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-002790(JP,A)
【文献】特開2007-302314(JP,A)
【文献】特開2017-196851(JP,A)
【文献】特開2018-203336(JP,A)
【文献】特開2011-025992(JP,A)
【文献】特開2003-192054(JP,A)
【文献】特開2017-178392(JP,A)
【文献】特開2016-137931(JP,A)
【文献】特開2006-330715(JP,A)
【文献】特開2018-034841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B65D 75/62
B65D 30/00-33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最外層と、中間層と、最内層とからなる積層体から構成される包装材料において、
前記中間層のみに、炭酸ガスレーザーのレーザー光の吸収率の高い部分を有し、
前記最外層側または前記最内層側から照射したレーザー光により、前記中間層の前記レーザー光の吸収率の高い部分のみに脆弱加工部が形成され、
前記脆弱加工部が、両端部の押し開け部と、前記両端部の押し開け部の間で、かつ、前記両端部の押し開け部のそれぞれに接するように形成された、直線状切れ目線とから構成され、
それぞれの前記押し開け部の端部には、押し開け部上の破れ止めのかえし部が形成され、
前記最外層および前記最内層は、C=Oの二重結合を有さない材料で構成され、
前記中間層は、C=Oの二重結合を有する樹脂を用いて構成され、かつ、前記レーザー光を吸収する色素および添加材を含有しないことを特徴とする、包装材料。
【請求項2】
最外層と、中間層と、最内層とからなる積層体から構成される包装材料において、
前記中間層のみに、炭酸ガスレーザーのレーザー光の吸収率の高い部分を有し、
前記最外層側または前記最内層側から照射したレーザー光により、前記中間層の前記レーザー光の吸収率の高い部分のみに脆弱加工部が形成され、
前記脆弱加工部が、両端部の破れ防止部と、前記両端部の破れ防止部の間に位置する直線状の突き破り部とから構成され、
前記直線状の突き破り部は、その直線状の突き破り部の両端が前記両端部のそれぞれの破れ防止部の方を向き、かつ、前記両端部の破れ防止部のそれぞれに接しないように形成され、
それぞれの前記破れ防止部の端部には、破れ防止部上の破れ止めのかえし部が形成され、
前記最外層および前記最内層は、C=Oの二重結合を有さない材料で構成され、
前記中間層は、C=Oの二重結合を有する樹脂を用いて構成され、かつ、前記レーザー光を吸収する色素および添加材を含有しないことを特徴とする、包装材料。
【請求項3】
前記中間層の前記レーザー光の吸収率の高い部分の厚さが、前記積層体全体の13%以上18%以下である、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の包装材料。
【請求項4】
請求項1からのいずれかに記載の包装材料を用いて、内容物を密封包装してなる包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、易開封性を付与した包装体、およびそれに使用する包装材料に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックを含む積層体で構成された包装材料を使用した袋などにおいて、内容物の保護性に加えて、その袋などを容易に開封するための易開封性が求められる。この易開封性を付与するため、従来、端部の切れ込みを起点として実線状あるいは破線状にフィルムをハーフカットして設けられた脆弱加工部を利用した袋などが存在する。
【0003】
例えば、特許文献1には、重ね合わされた2枚のシートの周縁をシールして内部に収納部を形成した包装袋において、前記2枚のシートの一方に前記収納部を横断するミシン目状の切れ目線をシートの表面に一列または複数列形成し、前記切れ目線に重なる位置で他方の前記シートに、前記切れ目線の幅よりも広い所定幅内で破断可能となるように多数の切れ目が前記切れ目線に沿ってシートの表面に間欠的に並んだ破断ラインを形成したことを特徴とする包装袋、が提案されている。
【0004】
上記発明により、一方のシートに形成された破断ラインと、その所定幅内に他方のシートに形成された切れ目線とが重なるようにしたため、袋を引き裂く際に切れ目線と破断ラインに沿って確実に破断することができる。
【0005】
しかし、包装袋の表面に切れ目線や破断ラインなどのいわゆる脆弱加工部が形成されることで、その脆弱加工部が包装袋の外側から見える状態になるだけでなく、包装袋の表面に傷の段差ができたりする可能性もあり、外観不良の問題がある。また、輸送中などに包装袋の表面上の脆弱加工部に引っ掛かるなどすることで、輸送中に包装袋が破れて開封してしまうおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2004-98363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような問題点に鑑み、本発明は、易開封性を維持しつつ、外観上良好で、また、輸送中に脆弱加工部に引っ掛かって破れるおそれがない包装材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、最外層と、中間層と、最内層とからなる積層体から構成される包装材料において、前記中間層のみに、炭酸ガスレーザーのレーザー光の吸収率の高い部分を有し、前記最外層側または前記最内層側から照射したレーザー光により、前記中間層の前記レーザー光の吸収率の高い部分のみに脆弱加工部が形成され、前記脆弱加工部が、両端部の押し開け部と、前記両端部の押し開け部の間で、かつ、前記両端部の押し開け部のそれぞれに接するように形成された、直線状切れ目線とから構成され、それぞれの前記押し開け部の端部には、押し開け部上の破れ止めのかえし部が形成され、前記最外層および前記最内層は、C=Oの二重結合を有さない材料で構成され、前記中間層は、C=Oの二重結合を有する樹脂を用いて構成され、かつ、前記レーザー光を吸収する色素および添加材を含有しないことを特徴とする包装材料である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、最外層と、中間層と、最内層とからなる積層体から構成される包装材料において、前記中間層のみに、炭酸ガスレーザーのレーザー光の吸収率の高い部分を有し、前記最外層側または前記最内層側から照射したレーザー光により、前記中間層の前記レーザー光の吸収率の高い部分のみに脆弱加工部が形成され、前記脆弱加工部が、両端部の破れ防止部と、前記両端部の破れ防止部の間に位置する直線状の突き破り部とから構成され、前記直線状の突き破り部は、その直線状の突き破り部の両端が前記両端部のそれぞれの破れ防止部の方を向き、かつ、前記両端部の破れ防止部のそれぞれに接しないように形成され、それぞれの前記破れ防止部の端部には、破れ防止部上の破れ止めのかえし部が形成され、前記最外層および前記最内層は、C=Oの二重結合を有さない材料で構成され、前記中間層は、C=Oの二重結合を有する樹脂を用いて構成され、かつ、前記レーザー光を吸収する色素および添加材を含有しないことを特徴とする、包装材料である。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記中間層の前記レーザー光の吸収率の高い部分の厚さが、前記積層体全体の13%以上18%以下である、ことを特徴とする、請求項1または2に記載の包装材料である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の包装材料を用いて、内容物を密封包装してなる包装体である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、最外層、中間層、最内層とからなる積層体から構成される包装材料において、中間層のみに、レーザー光の吸収率の高い部分を有する。この積層体にレーザー光が照射されることで、中間層のみに脆弱加工部が形成される。よって、易開封性を維持しつつ、包装材料の表面に傷である脆弱加工部が見えないので、外観上良好で、輸送中などに、この脆弱加工部に引っ掛かって包装材料が破れるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る包装材料を構成する積層体に、レーザー光により脆弱加工部を形成した場合を、その積層体の断面模式図で示した図である。
図2】本発明に係る包装材料の第一実施形態を示す斜視図である。
図3】本発明に係る包装体の第一実施形態を示す斜視図である。
図4】(a)押し開け、かつ、直線状にカットされるように誘導される形状の、脆弱加工部の第一実施形態を示す平面図である。(b)押し開け、かつ、直線状にカットされるように誘導される形状の、脆弱加工部の第二実施形態を示す平面図である。
図5】(a)突き破り、かつ、脆弱加工部の端部の傷加工が広がることを防ぐ形状の、脆弱加工部の第一実施形態を示す平面図である。(b)突き破り、かつ、脆弱加工部の端部の傷加工が広がることを防ぐ形状の、脆弱加工部の第二実施形態を示す平面図である。
図6】(a)突き破り、かつ、直線状にカットされるように誘導される形状の、脆弱加工部の第一実施形態を示す平面図である。(b)図6(a)において連続する一組の複合切れ目線の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、必要に応じて図面を参照して、本発明に係る包装材料1または包装体20の実施形態の例について説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る包装材料1を構成する積層体に、レーザー光2により脆弱加工部3を形成した場合を、その積層体の断面模式図で示した図である。ここで、最外層と最内層は、包装材料1の外側から見える層であり、中間層は、最外層と最内層以外の、包装材
料1の外側から見えない層である。本発明の包装材料1を構成する積層体に積層される層としては、例えば、最外層としての基材層31、中間層32、および最内層としてのシーラント層33などが挙げられる。図1では、この基材層31側から、レーザー光2を照射して脆弱加工部3を形成しているが、基材層31ではなく、最内層であるシーラント層33側から、レーザー光2を照射して脆弱加工部3を形成してもよい。中間層32のみにレーザー光2による焼き切り加工を施すべく、中間層32のみに、レーザー光2の吸収率の高い部分を有する。この中間層32のレーザー光2の吸収率の高い部分の厚さは、易開封性をさらによくするため、積層体全体の13%以上18%以下であることが好ましい。(図1では、例として中間層32全体がレーザー光2の吸収率の高い部分であるため、中間層32の深さ全体に脆弱加工部3が形成されている。)
【0018】
上記各層に用いる材料は、そのレーザー光2の吸収率を考慮して、下記の通りとする。なお、脆弱加工部3を中間層32のみに形成可能であれば、上記各層の数は限定されず、また、包装材料1を構成する積層体の構成も限定されない。
【0019】
基材層31は、レーザー光2の吸収率の低いフィルムを用いる。
【0020】
例えば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、セロファン、またはこれらの2つ以上のフィルムを積層した複合フィルムであっても構わない。
【0021】
基材層31の厚さは、加工性を考慮すると、積層体全体の25%以上33%以下であることが好ましい。この基材層31には、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤などの公知の添加剤を加えることができ、必要に応じて適宜添加される。さらに、基材層31の表面にコロナ放電処理、アンカーコート処理等の表面改質を行い、後述する中間層32等との接着性や印刷適性を向上させることも可能である。また、基材層31にバリア性のあるフィルムを使用することにより、中間層32にバリア性が付与される場合で、その中間層32に脆弱加工部3を形成しても、積層体全体のバリア性が低下することなく、バリア性の優れた包装材料1を提供することが可能となる。
【0022】
また、必要に応じて基材層31の表面または裏面に印刷層を形成することができる。印刷層は、基材層31の表裏どちらでも形成可能であるが、一般的なプラスチックフィルムへの印刷の場合と同様に、インキの耐摩擦性、耐候性などを考慮して、基材層31の内面となる面にグラビア印刷方式などで設けることが好ましい。
【0023】
中間層32のみに、脆弱加工部3を形成するため、中間層32のみにレーザー光2の吸収率の高いフィルムを使用する。
【0024】
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレ-ト(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ナイロン-6、ナイロン-66などのポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの延伸又は無延伸樹脂フィルム、ナイロン6/メタキシリレンジアミンナイロン6共押出しフィルム、ポリプロピレン/エチレン-ビニルアルコール共重合体共押出しフィルムなどが使用できる。またはこれらの2つ以上のフィルムを積層した複合フィルムであっても構わない。また、無機酸化物を蒸着したガスバリアフィルム等を用いることができる。
【0025】
中間層32の機能としては、例えば、ガスバリア性、耐屈曲性、耐寒性、耐薬品性、機械的強靭性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐熱性などが挙げられる。ただし、中
間層32のレーザー光2の吸収率の高い部分については、レーザー光2の照射により焼き切り加工を施す必要があることを考慮した上で、機械的強靭性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐摩耗性、耐熱性などの機能が付与される。
【0026】
また、この中間層32のレーザー光2の吸収率の高い部分の厚さは、易開封性をさらによくするため、積層体全体の13%以上18%以下であることが好ましい。
【0027】
シーラント層33は、レーザー光2の吸収率の低いフィルムを使用する。
【0028】
例えば、ポリエチレン(PE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(L-LDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、エチレン-プロピレン共重合体(EP)、エチレン-αオレフィン共重合体などの樹脂、またはこれらの樹脂を成膜化したフィルムを使用することができる。またはこれらの2つ以上のフィルムを積層した複合フィルムであっても構わない。
【0029】
また、シーラント層33の厚さは、シール強度、物性面、加工性、を考慮すると、積層体全体の10%以上80%以下であることが好ましい。
【0030】
最外層である基材層31と、中間層32と、最内層であるシーラント層33とを積層する方法としては、例えば、ドライラミネーション法、エクストルージョンラミネーション法、及びエクストルージョンラミネーション法を利用したサンドイッチラミネーション法などの公知の方法が使用出来る。
【0031】
前記ドライラミネーション方法に使用する接着剤は、一般的に、ポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系などのラミネート用接着剤を使用することができる。
【0032】
このように、中間層32のみにレーザー光2の吸収率が高い材料を用い、最外層と最内層にレーザー光2の吸収率が低い材料を用いることによって、図1に示す通り、最外層側からレーザー光2を照射しても最外層や最内層に影響を与えることなく、選択的に中間層32のみに焼き切り加工が施され、ハーフカット状の脆弱加工部3を設けることが可能となる。
【0033】
図1に示す本発明に係る包装材料1において、レーザー光2の照射により脆弱加工部35を形成させるに当たっては、中間層32の単体、最外層である基材層31を含めた2層、あるいは最内層であるシーラント層33も含めた3層、のいずれの状態において形成させても良い。さらに、炭酸ガスレーザー光を用いた場合は該積層体を使用してなる包装体20の状態において形成させることも可能である。このように、レーザー光2の照射による脆弱加工部3の形成は、最内層と最外層を貼り合せる前でも後でも良いが、貼り合せた後の方が、位置合せが容易であり、煩雑な工程を要することなく、安定して脆弱加工部3を設けることが可能である。なお、刃物により中間層32のみに脆弱加工部3を形成する場合は、必ず、最外層と最内層を積層する前に、中間層32にあらかじめ脆弱加工部3を形成しておく手間がある。その意味においても、刃物よりレーザー光2を使用した方がよい。
【0034】
脆弱加工部3が中間層32のみに形成されることにより、脆弱加工部3は、包装材料1の外側から見えず、外観上良好である。また、この脆弱加工部3として切り取られた部分は最外層、最内層に挟まれて保護された形になり、輸送時や店頭販売時など、消費者が商品を購入して開封する前に、脆弱加工部3に引っ掛かって包装材料1が破れるおそれがな
い。
【0035】
このように、本発明に係る包装材料1は、脆弱加工部3が表面に表れないため、本発明に係る包装材料1を用いた包装体20を開封する場合は、通常、この脆弱加工部3に、指で強く押したり突き刺したりすることにより、開封する。また、上記の通り脆弱加工部3が表面に表れないため、脆弱加工部3が形成された開封すべき部分が分かるように、包装体20の表面に印刷して示すことが考えられる。
【0036】
図2は、本発明に係る包装材料1の第一実施形態を示す斜視図である。図2は、芳香剤などが収納された容器本体23とその蓋部22から構成される収納体21を示している。この容器本体23の材料や形態は特に限定されず、本発明に係る包装材料1を蓋部22として用いた際に、この蓋部22と合わせて内容物が密封され、内容物の保護性に適していればよい。また、前記蓋部22の形状も特に限定されず、上記容器本体23と合わせて内容物が密封され、内容物の保護性に適していればよい。この蓋部22の一部に、開封するための脆弱加工部3が設けられており、この脆弱加工部3の全体が、中間層32のレーザー光2の吸収率の高い部分に重なっている。脆弱加工部3が表面に表れないため、脆弱加工部3が形成された開封すべき部分が分かるように、蓋部22の表面に開封すべき部分が印刷されている。
【0037】
図2では、芳香剤などの収納体21の蓋部22にこの脆弱加工部3を設けた場合、この脆弱加工部3を強く押して突き刺して破る。図2に示した脆弱加工部3の形状は、例として、後述する図5(a)で示す形状で設けられている。このように本発明に係る包装材料1を蓋部22として使用する場合は、通常硬くて厚めの材料を用いることが多いため、ここでは例として、強く押して突き刺して破る形式として示している。
【0038】
なお、図2で示す形態の包装材料1は、芳香剤を収納する容器の蓋部以外に、同じく揮発性液体である、脱臭剤、消臭剤、防臭剤、防虫剤、殺虫剤、抗菌剤、除菌剤などを収容する容器の蓋部などとしても用いることができる。
【0039】
図3は、本発明に係る包装体20の第一実施形態を示す斜視図である。図3は、スナック菓子などが収納された包装袋24である。包装袋24としては、三方シール袋、四方シール袋、ピロー袋、あるいはガゼット袋や自立性包装袋のいずれであってもよい。これら包装袋24を構成する前面部材25の一部に、開封するための脆弱加工部3が設けられており、この脆弱加工部3の全体が、中間層32のレーザー光2の吸収率の高い部分に重なっている。脆弱加工部3が表面に表れないため、脆弱加工部3が形成された開封すべき部分が分かるように、袋の表面に開封すべき部分が印刷されている。
【0040】
図3では、スナック菓子の包装袋24に設けた脆弱加工部3を押して開けた後に、直線状切れ目線に沿って切れ目が容易に誘導される。図3に示した脆弱加工部3の形状は、例として、後述する図4(a)の形状で設けられている。なお、開封の誘導の場合、脆弱加工部3をフィルムの延伸方向と交差する位置に設けると、通常は開きにくくなるため、易開封性と突き刺し耐性(押し破り耐性)の両立を考慮して、各層の材料や脆弱加工部3の厚さなどと合わせて、脆弱加工部3の形成方向を調整することが好ましい。
【0041】
なお、図3で示す形態の包装体20は、スナック菓子の包装袋以外に、小型の工業部品(ボルト、ナットなど)の包装袋などとしても用いることができる。
【0042】
上記を含む包装体20における、脆弱加工部3を形成する位置については、例えば、図3に示すような袋状である場合は、積層体を袋状に形成するために熱融着される部位と異なる部位であればどこでもよい。その他の形態の包装体20についても、易開封性、内容
物の種類、および充填工程などを考慮して任意に位置に形成することが可能である。また、図2に示す蓋部22や図3に示す包装袋24では、一箇所に脆弱加工部3を形成しているが、複数個所に脆弱加工部3を形成しても良い。
【0043】
以下に、脆弱加工部3を形成するために用いるレーザー光2について詳細に説明する。
【0044】
レーザー光2を採用する利点として、1)非接触で加工できる、2)微細な加工ができる、3)ドライプロセスである、4)加工スピードが速い、5)オートメーション化が容易である、などが挙げられる。
【0045】
また、レーザー光2ではなく刃物を用いて脆弱加工部3を中間層32のみに形成する場合、必ず最外層と最内層を積層する前に、中間層32にあらかじめ脆弱加工部3を形成しておく手間がある。また、最外層と最内層を積層する前に中間層32における脆弱加工部3からの接着剤が染み出し、それが内容物や包装袋の表面に付着し、衛生上問題となるおそれもある。また、いったん中間層32に脆弱加工部3を形成して最外層と最内層で挟んでしまうと、包装体20となった後に、脆弱加工が不足のために開封しづらい、ということが判明しても、後から開封補助ができない、という問題がある。さらに、刃物のかえりによる中間層32における脆弱加工部3の盛り上がりにより最外層も合わせて盛り上がり、外観不良の問題がある。
【0046】
レーザー光2の吸収率は、照射される材料によって異なり、その材料の吸収率が高いほど、照射されたレーザー光2の散乱または反射や、透過が低減し、レーザー光2が効率よく焼き切り加工に貢献する。
【0047】
レーザー光2として、例えば、炭酸ガスレーザー光を用いた場合、C=Oの二重結合で表されるカルボニル基を有する樹脂層であれば、焼き切り加工を行うことができる。上述の通り、本発明における包装材料1においては、中間層32のみに選択的に焼き切り加工が行われる。よって、例えば、中間層32には、C=Oの二重結合が用いられたポエチレンテレフタレート(PET)を用い、最外層である基材層31には、C=Oの二重結合を持たない二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)を用い、最内層であるシーラント層33には、C=Oの二重結合を持たないポリエチレン(PE)を用いたとする。この場合、基材層31の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)とシーラント層33のポリエチレン(PE)は、レーザー光2をほぼ吸収せず、ほぼ無傷となる。
【0048】
レーザー光2として、炭酸ガスレーザー光を用いてフィルムに脆弱加工部3のための焼き切り加工を施すことで、フィルムを包装袋などの包装体20の状態に形成した後でも、包装材料1の一部の層にのみ焼き切り加工を容易に施すことができる。ただし、レーザー光2としては、炭酸ガスレーザー以外にも、窒素レーザーなどのガスレーザーや、ルビーレーザー、YAGレーザーなどの固体レーザーなども用いることができる。
【0049】
また、各層に用いた材料におけるレーザー光2の吸収率以外に、レーザー光2の出力エネルギー、照射時間、スキャンスピードなどによって、焼き切り加工度合を調整することも可能である。スキャンスピードが遅いと脆弱加工部3の加工度合いは良いが脆弱加工部3がやや目立ちやすくなり、逆にスキャンスピードが速いと脆弱加工部3の加工度合いはやや悪くなるが脆弱加工部3は目立ちにくくなる。よって、中間層32の中で、ある一部分に焼き切り加工を施したい場合に、レーザー光2の吸収率の異なる材料を複数積層した中間層32を用いるとともに、上記方法も併せて用いたりしてもよい。
【0050】
(脆弱加工部3の形状について)
図4(a)は、押し開け、かつ、直線状にカットされるように誘導される形状の脆弱加
工部3の第一実施形態を示す平面図である。図4(b)は、押し開け、かつ、直線状にカットされるように誘導される形状の脆弱加工部3の第二実施形態を示す平面図である。
【0051】
図4に示す脆弱加工部3は、本発明に係る包装体20を、押し開け、かつ、直線状にカットされるように誘導されることで開封するための形状で形成されたものである。図4に示す通り、両端部の押し開け部4と、その両端部の押し開け部4につながるようにして形成された、直線状切れ目線5とが形成されている。直線状切れ目線5は、両端部の押し開け部4の間で、かつ、その両端部の押し開け部4のそれぞれに接するように形成されている。この直線状切れ目線5は、手切れ誘導性を考慮して、実線であることが好ましい。ここで、「両端部の押し開け部4のそれぞれに接する」とは、両端部の押し開け部4のそれぞれに到達して交わらない(突き抜けない)場合、および、両端部の押し開け部4のそれぞれに到達した後に交わる(突き抜ける)場合、の両方の場合を含む。
【0052】
図4(a)は、上記した構成の脆弱加工部3の形状の一実施形態であり、左端部に、右側に円弧状に膨れる円弧状の切れ目線の押し開け部4が、右端部に、左側に円弧状に膨れる円弧状の切れ目線である折り開け部が形成され、これら両端部の押し開け部4をつなげるように、直線状切れ目線5が形成されている。左端部の押し開け部4と右端部の押し開け部4は、直線状切れ目線5の中央に位置し、この直線状切れ目線5に対する仮想直角線(図示せず)に対して左右対称に形成される。また、両端部の押し開け部4は、それぞれ、直線状切れ目線5に対して上下対称に形成される。この形状の脆弱加工部3から包装体20を開封する際、まず開封始めに指で押す場所は、左右の円弧状の切れ目線を円としたときのそのどちらかの円の中となり、直線状切れ目線5により開封を直線状に誘導された最後は、他方の押し開け部4に到達する。
【0053】
前記円弧状の切れ目線は、その円弧状の切れ目線を円としたときのその中心点から180度より大きい角度で切り取った扇形の円弧状であることが好ましい。この180度を超えた分の円弧の一部の切れ目線は、いわゆる押し開け部上の破れ止めのかえし部6となる。この押し開け部上の破れ止めのかえし部6により、開封時に、必要以上にフィルムが破れることを防止し、外観不良などの問題がない。
【0054】
図4(b)は、に示す脆弱加工部3は、上記図4(a)と押し開け部4の形状が異なる。左端部側の押し開け部4は、直線状切れ目線5の左上側から直線状切れ目線5側へ右下に傾いた斜線状の切れ目線と、直線状切れ目線5の左下側から直線状切れ目線5側へ右上に傾いた斜線状の切れ目線と、および前記それぞれの斜線状の切れ目線の直線状切れ目線5と反対側の端に付された、押し開け部上の破れ止めのかえし部6とから構成される。前記左端部側の斜線状の切れ目線同士は交わらず、それぞれ、直線状切れ目線5に到達する。右端部側の押し開け部4は、直線状切れ目線5の右上側から直線状切れ目線5側へ左下に傾いた斜線状の切れ目線と、直線状切れ目線5の右下側から直線状切れ目線5側へ左上に傾いた斜線状の切れ目線と、および前記それぞれの斜線状の切れ目線の直線状切れ目線5と反対側の端に付された、押し開け部上の破れ止めのかえし部6とから構成される右側の押し開け部4とから構成される。前記右端部側の斜線状の切れ目線同士は交わらず、それぞれ、直線状切れ目線5に到達する。ここでは、押し開け部上の破れ止めのかえし部6は、前記押し開け部4のそれぞれの斜線状の切れ目線の直線状切れ目線5と反対側の端から伸びる線で、直線状切れ目線5に対して略直角線となっている。押し開け部上の破れ止めのかえし部6同士は、つながらない。
【0055】
これら両端部の押し開け部4をつなげるように、直線状切れ目線5が形成されている。また、左端部の押し開け部4と右端部の押し開け部4は、直線状切れ目線5の中央に位置し、この直線状切れ目線5に対する仮想直角線(図示せず)に対して左右対称に形成される。また、両端部の押し開け部4は、それぞれ、直線状切れ目線5に対して上下対称に形
成される。この形状の脆弱加工部3から包装体20を開封する際、まず開封始めに指で押す場所は、左右の2本の斜線状の切れ目線の間となり、直線状切れ目線5により開封を直線状に誘導された最後は、他方の押し開け部4に到達する。また、両端部の押し開け部上の破れ止めのかえし部6により、開封時に、必要以上にフィルムが破れることを防止し、外観不良などの問題がない。
【0056】
図5(a)は、突き破り、かつ、脆弱加工部3の端部の傷加工が広がることを防ぐ形状の、脆弱加工部3の第一実施形態を示す平面図である。図5(b)は、突き破り、かつ、脆弱加工部3の端部の傷加工が広がることを防ぐ形状の、脆弱加工部3の第二実施形態を示す平面図である。
【0057】
図5に示す脆弱加工部3は、本発明に係る包装体20を、突き破り、かつ、脆弱加工部3の端部の傷加工が広がって必要以上に破れることを防止しつつ開封するための形状で形成されたものである。図5に示す通り、脆弱加工部3は、両端部の破れ防止部8と、その両端部の破れ防止部8の間に位置する直線状の突き破り部7とから構成される。前記直線状の突き破り部7は、その直線状の突き破り部7の両端が前記の両端部のそれぞれの破れ防止部8の方を向き、かつ、前記両端部の破れ防止部8のそれぞれに接しないように形成されている。つまり、図5のように、破れ防止部8が左右に位置される場合は、直線状の突き破り部7はその間に左右に伸びる直線状に形成されている。また、この直線状の突き破り部7は、手切れ誘導性を考慮して、実線であることが好ましい。
【0058】
図5(a)は、上記した構成の脆弱加工部3の形状の一実施形態であり、左端部に、左側に円弧状に膨れる円弧状の切れ目線の破れ防止部8が、右端部に、右側に円弧状に膨れる円弧状切れ目線である破れ防止部8が形成され、これら両端部の破れ防止部8の間に直線状の突き破り部7が形成されている。左端部の破れ防止部8と右端部の破れ防止部8は、この直線状の突き破り部7の中央に位置し、この直線状の突き破り部7に対する仮想直角線(図示せず)に対して左右対称に形成される。また、両端部の破れ防止部8はそれぞれ、直線状の突き破り部7に対して上下対称に形成される。この形状の脆弱加工部3から包装体20を開封する際、まず開封始めに指で突く場所は、直線状の突き破り部7の中央が好ましく、直線状の突き破り部7により開封を直線状に誘導され、両端部の破れ防止部8により、脆弱加工部3の端部の傷加工が広がって必要以上に破れることを防止される。
【0059】
図5(b)に示す脆弱加工部3は、上記図5(a)と破れ防止部8の形状が異なる。左端部側の破れ防止部8は、直線状の突き破り部7の右上側から直線状の突き破り部7側へ左下に傾いた斜線状の切れ目線と、直線状の突き破り部7の右下側から直線状の突き破り部7側へ左上に傾いた斜線状の切れ目線と、前記それぞれの斜線の直線状の突き破り部7側の端に付された、破れ防止部上の破れ止めのかえし部9とから構成される。前記左端部側の斜線同士は交わらずにつながる。右端部側の破れ防止部8は、直線状の突き破り部7の左上側から直線状の突き破り部7側へ右下に傾いた斜線状の切れ目線と、直線状の突き破り部7の左下側から直線状の突き破り部7側へ右上に傾いた斜線状の切れ目線と、前記それぞれの斜線状の切れ目線の直線状の突き破り部7側の端に付された、破れ防止部上の破れ止めのかえし部9とから構成される。前記右端部側の斜線状の切れ目線同士は交わらずにつながる。ここでは、破れ防止部上の破れ止めのかえし部9は、前記押し開け部4のそれぞれの斜線状の切れ目線の直線状の突き破り部7と反対側の端から伸びる線で、直線状の突き破り部7に対して略直角線となっている。破れ防止部上の破れ止めのかえし部9同士は、つながらない。
【0060】
これら両端部の破れ防止部8の間に直線状の突き破り部7が形成されている。また、左端部の破れ防止部8と右端部の破れ防止部8は、この直線状の突き破り部7の中央に位置し、この直線状の突き破り部7に対する仮想直角線(図示せず)に対して左右対称に形成
される。また、両端部の破れ防止部8はそれぞれ、直線状の突き破り部7に対して上下対称に形成される。この形状の脆弱加工部3から包装体20を開封する際、まず開封初めに指で突く場所は、直線状の突き破り部7の中央が好ましく、直線状の突き破り部7により開封を直線状に誘導され、両端部の破れ防止部8と、この破れ防止部上の破り止めのかえし部9により、脆弱加工部3の端部の傷加工が広がって必要以上に破れることを防止され、外観不良などの問題がない。
【0061】
図6(a)は、突き破り、かつ、直線状にカットされるように誘導される形状の、脆弱加工部3の第一実施形態を示す平面図である。図6(b)は、図6(a)において連続する一組の複合切れ目線12の拡大図である。
【0062】
図6に示す脆弱加工部3は、本発明に係る包装体20を、突き破り、直線状にカットされるように誘導されることで開封するための形状で形成されたものである。図6に示す通り、屈曲状の切れ目線10と直線状の誘導部11の組(以下、複合切れ目線12と言う)が直線状に連続している。具体的には、直線状の誘導部11は、切れ目部と非切れ目部とからなる。屈曲状の切れ目線10は、直線状の誘導部11の左上側から直線状の誘導部11側に右下に傾いた斜線部と、直線状の誘導部11の左下側から直線状の誘導部11側に右上に傾いた斜線部とで構成され、この2本の斜線部のそれぞれの直線状の誘導部11側の端部がつながることで、いわゆる右側に屈曲した一つの屈曲状の切れ目線10が形成される。この屈曲状の切れ目線10の屈曲部の右側につながって直線状の誘導部11の切れ目部が形成され、その直線状の誘導部11の切れ目部の右側に、直線状の誘導部11の非切れ目部が形成される。この屈曲状の切れ目線10とその右側の直線状の誘導部11の切れ目部が合わさった箇所が、突き破り部13となる。この屈曲状の切れ目線10とその右側の直線状の誘導部11の切れ目部・非切れ目部の組が直線状に連続することで、一つの脆弱加工部3が形成される。
【0063】
この形状の脆弱加工部3から包装体20を開封する際、まず開封始めに指で突く場所を、例えば、脆弱加工部3の中央とした場合は、フィルムを突き破り部13で突き破った後に、連続した複合切れ目線12につながるように破断していく。直線状の誘導部11の非切れ目部に差し掛かった後も、切れ目がその右上または右下の斜線部である切れ目に差し掛かることで、脆弱加工部3から外れにくくなる。屈曲状の切れ目線10を構成する各斜線部や直線状の誘導部11の切れ目部の長さは限定されない。なお、直線状の誘導部11の切れ目部は、長くするほど、直線性をより良くすることが可能となる。
【0064】
以上の各脆弱加工部3の全体的形状は、包装体20の形状などに応じて開封しやすい形状であればよく、左右だけでなく、上下、あるいは、斜線状(角度も限定されない)でもよい。
【実施例
【0065】
以下、本発明に係る包装材料の具体的実施例について説明する。下記の実施例1および比較例1ともに、積層体に照射したレーザー光の条件は同じで、炭酸ガスレーザー光照射機(キーエンス社製の3-Axis)を使用し、出力を80%とし、スキャナスピードを1600mm/secとしてレーザー照射し、40mm×0.2mmの直線状の脆弱加工部を形成した。
【0066】
<実施例1>
使用した包装材料を構成する積層体は、最外層である基材層が、炭酸ガスレーザー光の吸収率の低い二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム20μm、中間層が、炭酸ガスレーザー光の吸収率の高いポリエチレンテレフタレート(PET)12μm、最内層であるシーラント層が、炭酸ガスレーザー光の吸収率の低いポリエチレン(PE)40μmで
ある。
【0067】
<比較例1>
使用した包装材料を構成する積層体は、基材層が、炭酸ガスレーザー光の吸収率の高いナイロン(NY)15μm、中間層が、炭酸ガスレーザー光の吸収率の高いポリエチレンテレフタレート(PET)12μm、シーラント層が、炭酸ガスレーザー光の吸収率の低いポリエチレン(PE)50μmである。
【0068】
<評価>
上記の実施例1および比較例1のそれぞれの包装材料を作成し、それぞれの、表面傷の有無、手切れ誘導性、および、突き刺し強度(包装材料を破るのに必要な力)を比較した。その結果を表1に示した。
【0069】
【表1】
【0070】
評価の結果、積層体へのレーザー光の照射後は、実施例1では、表面に傷が無く、一方、比較例1では、表面に傷が有った。また、実施例1と比較例1ともに、手切れ誘導性は良好であった。また、包装材料への突き刺し強度は、実施例1では、脆弱加工形成部は5.7Nで、脆弱加工未形成部よりも約59%減少し、一方、比較例1では、脆弱加工形成部は3.6Nで、脆弱加工未形成部よりも約78%減少した。
【0071】
上記の表から明らかなように、本発明に係る包装材料1である実施例1は表面に傷がないため、外観上良好である。また、突き刺し強度が、比較例1の包装材料よりも高い。しかし、実施例1は、手切れ誘導性は良好で、突き刺し強度は手で破るのに問題ない程度の強度である。つまり、本発明に係る包装材料の一例である実施例1は、ある程度の突き刺し耐性を持ちつつ、突き破りや手切れ誘導性を持つことが可能である。
【0072】
以上の通り、本実施の形態に係る包装体によれば、本発明は、最外層、中間層、最内層とからなる積層体の中で中間層のみに脆弱加工部が形成されているが、押し込みや突き刺しにより開封できる程度の脆弱加工が施されているため、易開封性は維持されている。また、包装材料の表面に傷である脆弱加工部が見えないので外観上良好で、例えば、最外層に、印刷による内容表示や加飾層が設けられる際にも、脆弱加工部は中間層のみに設けられているため、最外層の表面から見えず、意匠性を阻害することもない。さらに、輸送中などに、この脆弱加工部に引っ掛かって破れるおそれがない。
【0073】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0074】
1・・・包装材料
2・・・レーザー光
3・・・脆弱加工部
4・・・押し開け部
5・・・直線状切れ目線
6・・・押し開け部上の破れ止めのかえし部
7・・・直線状の突き破り部
8・・・破れ防止部
9・・・破れ防止部上の破れ止めのかえし部
10・・・屈曲状の切れ目線
11・・・直線状の誘導部
12・・・複合切れ目線(上記屈曲状の切れ目線10と直線状の誘導部11の組)
13・・・突き破り部
20・・・包装体
21・・・収納体
22・・・蓋部
23・・・容器本体
24・・・包装袋
25・・・前面部材
31・・・基材層
32・・・中間層
33・・・シーラント層
図1
図2
図3
図4
図5
図6