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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】自動車の解体支援システム
(51)【国際特許分類】
   B62D 67/00 20060101AFI20240827BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20240827BHJP
   B09B 3/00 20220101ALI20240827BHJP
【FI】
B62D67/00 ZAB
G06T7/70 Z
B09B3/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019207939
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021079778
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智祥
(72)【発明者】
【氏名】高村 玲央奈
(72)【発明者】
【氏名】田中 精一
(72)【発明者】
【氏名】中島 一
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-249253(JP,A)
【文献】特開2019-074817(JP,A)
【文献】特開2009-035905(JP,A)
【文献】特開平06-246256(JP,A)
【文献】特開2002-220074(JP,A)
【文献】特開2002-220075(JP,A)
【文献】特開2019-096072(JP,A)
【文献】国際公開第2015/001806(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 67/00
G06T 7/70
B09B 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者が操縦する解体作業機械による対象物体の解体作業を支援するシステムであって、
対象物体を撮影可能なカメラと、
前記対象物体に、光学情報を投光可能な複数の投光器と、
前記対象物体の固有情報を取得する固有情報取得部と、
前記対象物体の解体作業中に、前記カメラによる該対象物体の撮影画像に基づいて前記投光器に対する該対象物体の相対的な位置姿勢を推定する位置姿勢推定部と、
複数種類の物体に関する情報をあらかじめ記憶保持したデータベースから、前記取得した固有情報に基づいて、前記対象物体における取外し対象部品の搭載位置を示す部品位置情報を取得する部品位置情報取得部と、
前記取外し対象部品の位置を示す表示情報を前記運転者が視認し得るように発生する表示情報発生部とを備え、
前記複数の投光器は、前記光学情報の投光方向が互いに異なり、
前記表示情報発生部は、前記推定された前記対象物体の相対的な位置姿勢と、前記取得された部品位置情報とに基づいて、前記投光器に対する前記取外し対象部品の相対位置を特定する対象部品位置特定部を有し、前記対象物体の当該特定した相対位置を指示し得るように生成した前記光学情報を前記投光器から前記対象物体における、前記取外し対象部品の搭載位置またはその近辺位置に投光し、かつ、
前記カメラによる撮影映像に基づいて、各投光器と前記対象物体との間に、該投光器から投光される光学情報を遮る遮蔽物が存在するか否かを判断する遮蔽物判断部を有し、該遮蔽物が存在すると判断された投光器以外の投光器から前記光学情報を投光するように構成されていることを特徴とする解体支援システム。
【請求項2】
運転者が操縦する解体作業機械による対象物体の解体作業を支援するシステムであって、
対象物体を撮影可能なカメラと、
前記運転者が前記対象物体を見た状態での該運転者の視野域に存在するように配置された透明な表示部と、
前記対象物体の固有情報を取得する固有情報取得部と、
前記対象物体の解体作業中に、前記カメラによる該対象物体の撮影画像に基づいて前記運転者に対する該対象物体の相対的な位置姿勢を推定する位置姿勢推定部と、
複数種類の物体に関する情報をあらかじめ記憶保持したデータベースから、前記取得した固有情報に基づいて、前記対象物体における取外し対象部品の搭載位置を示す部品位置情報を取得する部品位置情報取得部と、
前記推定された前記対象物体の位置姿勢と前記取得された部品位置情報とから、該対象物体の前記取外し対象部品の位置を特定し、当該取外し対象部品の位置を示す表示情報を前記運転者が視認し得るように発生する表示情報発生部とを備え、
前記表示情報発生部は、前記推定された前記対象物体の相対的な位置姿勢と、前記取得された部品位置情報とに基づいて、前記運転者から見た前記表示部上での前記取外し対象部品の位置を特定する対象部品位置特定部を有し、当該特定した取外し対象部品の位置を指示し得るように生成した前記表示情報を前記表示部に表示させるように構成されていることを特徴とする解体支援システム。
【請求項3】
運転者が操縦する解体作業機械による対象物体の解体作業を支援するシステムであって、
対象物体を撮影可能なカメラと、
前記対象物体の固有情報を取得する固有情報取得部と、
前記対象物体の解体作業中に、前記カメラによる対象物体の撮影画像に基づいて、該カメラに対する該対象物体の位置姿勢を推定する位置姿勢推定部と、
複数種類の物体に関する情報をあらかじめ記憶保持したデータベースから、前記取得した固有情報に基づいて、前記対象物体における取外し対象部品の搭載位置を示す部品位置情報を取得する部品位置情報取得部と、
前記解体作業機械の運転者が視認し得るように配置された表示器と、
前記推定された前記対象物体の位置姿勢と前記取得された部品位置情報とから、該対象物体の前記取外し対象部品の位置を特定し、当該取外し対象部品の位置を示す表示情報を前記運転者が視認し得るように発生する表示情報発生部とを備え、
前記表示情報発生部は、前記カメラによる撮影映像中の対象物体を模した加工画像を生成する加工画像生成部と、前記推定された前記対象物体の位置姿勢と前記取得された部品位置情報とから、前記カメラによる撮影映像中の該対象物体の画像における前記取外し対象部品の位置を特定する対象部品位置特定部とを有し、前記生成された加工画像を前記表示器に表示させると共に、該加工画像中の前記特定された取外し対象部品の位置を指示するように生成した前記表示情報を前記表示器に表示させ
前記加工画像生成部は、前記撮影映像中の対象物体の位置姿勢に一致する位置姿勢を有する該対象物体の外形状を表す外形画像を前記加工画像として生成するように構成されていることを特徴とする解体支援システム。
【請求項4】
運転者が操縦する解体作業機械による対象物体の解体作業を支援するシステムであって、
対象物体を撮影可能なカメラと、
前記対象物体の固有情報を取得する固有情報取得部と、
前記対象物体の解体作業中に、前記カメラによる該対象物体の撮影画像に基づいて、該カメラに対する該対象物体の位置姿勢を推定する位置姿勢推定部と、
複数種類の物体に関する情報をあらかじめ記憶保持したデータベースから、前記取得した固有情報に基づいて、前記対象物体における取外し対象部品の搭載位置を示す部品位置情報を取得する部品位置情報取得部と、
前記解体作業機械の運転者が視認し得るように配置された表示器と、
前記推定された前記対象物体の位置姿勢と前記取得された部品位置情報とから、該対象物体の前記取外し対象部品の位置を特定し、当該取外し対象部品の位置を示す表示情報を前記運転者が視認し得るように発生する表示情報発生部とを備え、
前記表示情報発生部は、前記推定された前記対象物体の位置姿勢と前記取得された部品位置情報とから、前記カメラによる撮影映像中の該対象物体の画像における前記取外し対象部品の位置を特定する対象部品位置特定部を有し、前記カメラによる撮影映像を前記表示器に表示させると共に、該撮影映像中の前記特定された取外し対象部品の位置を指示するように生成した前記表示情報を前記表示器に表示させるように構成されていることを特徴とする解体支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の解体作業機械を用いて自動車を解体する作業を支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の解体作業を支援する技術としては、従来、例えば特許文献1に見られる技術が知られている。この技術では、解体対象の自動車にワイヤーハーネスの取外しに必要な情報を記録した記録媒体を搭載しおき、解体時に作業者もしくは機械が、記録媒体のデータを利用(参照)して取外し作業を行う。記録媒体には、ワイヤーハーネスの取り付け位置や、その取外しのための掴む位置、引っ張り方向、力等のデータが含まれる。
【0003】
また、リサイクル品の解体作業に関する技術として、特許文献2に見られる技術も知られている。この技術では、ターンテーブルに載置したリサイクル対象物品の撮影画像から、物品識別と作業工程の特定とが行われ、これらに対応する解体図を表示器に表示する。解体図は、リサイクル対象物品の角度情報を基に、作業者からみて正面図となるようにCADデータから作成される。解体図には、該当部品にパターン、色等が付され、また、該当部品がネジである場合には、作業方向が付される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-220075号公報
【文献】特開2004-249253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
油圧ショベル等の解体作業機械を用いて自動車を解体する場合、運転者は、取外し対象部品がどの位置にあるかを解体作業中にリアルタイムで認識し得ることが望ましい。ここで、例えば、解体作業の開始時に、先行技術文献1のように、解体図を表示器に表示して、運転者に視認させたり、あるいは、先行技術文献2の記録媒体のデータの内容を表示器に表示して、運転者に視認させることで、運転者に取外し対象部品が解体対象の自動車のどの位置に存在しているかを認識させることは可能である。
【0006】
しかしながら、解体作業機械を用いて自動車を解体する場合、解体作業機械に対する自動車の位置姿勢(ひいては、運転者に対する自動車の位置姿勢)は、一般に、作業中に種々様々に変化する。このため、運転者は、取外し対象部品の位置が作業途中で判らなくなってしまいやすい。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、解体作業機械の運転者が、作業を行いながら、対象物体のどの箇所に取外し対象部品があるのかを容易に認識することができる解体支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本第1の発明の解体支援システムは、運転者が操縦する解体作業機械による対象物体の解体作業を支援するシステムであって、
対象物体を撮影可能なカメラと、
前記対象物体の固有情報を取得する固有情報取得部と、
前記対象物体の解体作業中に、前記カメラによる該対象物体の撮影画像に基づいて該対象物体の位置姿勢を推定する位置姿勢推定部と、
複数種類の物体に関する情報をあらかじめ記憶保持したデータベースから、前記取得した固有情報に基づいて、前記対象物体における取外し対象部品の搭載位置を示す部品位置情報を取得する部品位置情報取得部と、
前記推定された前記対象物体の位置姿勢と前記取得された部品位置情報とから、該対象物体の前記取外し対象部品の位置を特定し、当該取外し対象部品の位置を示す表示情報を前記運転者が視認し得るように発生する表示情報発生部と
を備え、
前記表示情報発生部は、前記表示情報が、運転者から見た前記対象物体における、前記取外し対象部品の位置またはその近辺位置に重なって見えるように該表示情報を発生するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
なお、本発明において、対象物体の位置姿勢は、該対象物体の空間的な位置と姿勢(向き)との組を意味する。
【0010】
かかる本発明によれば、位置姿勢推定部がカメラの撮影映像に基づき推定した対象物体の位置姿勢と、部品位置情報取得部が対象物体の固有情報に基づいて取得した部品位置情報とから、対象物体の前記カメラから見て背後に隠れている部位に搭載されている前記取外し対象部品を含む取外し対象部品の位置が特定されるので、対象物体の様々な位置姿勢で該対象物体のどの位置に取外し対象部品があるのか特定することができる。
【0011】
そして、当該取外し対象部品の位置を示す表示情報を前記運転者が視認し得るように発生することで、運転者は取外し対象部品が、対象物体のどの位置にあるのかを上記表示情報によって、視覚的に容易に認識することが可能となる。ひいては、運転者は、解体作業機械により対象物体を解体しながら、取外し対象部品を対象物体から取り外す作業を効率よく進めることが可能となる。
【0012】
また、前記表示情報発生部は、前記表示情報が、運転者から見た前記対象物体における、前記取外し対象部品の位置またはその近辺位置に重なって見えるように該表示情報を発生するように構成されるため、運転者は、対象物体を視認しながら、該対象物体のどの位置に取り外し対象部品があるかを認識することができるので、対象物体の解体作業中に、当該認識を容易に行うことを効果的に実現できる。
【0013】
また、上記第1発明の解体支援システムでは、より具体的には、前記対象物体に、前記表示情報としての光学情報を投光可能な投光器を備えており、前記位置姿勢推定部は、前記投光器に対する前記対象物体の相対的な位置姿勢を推定し得るように構成されており、前記表示情報発生部は、前記推定された前記対象物体の相対的な位置姿勢と、前記取得された部品位置情報とに基づいて、前記投光器に対する前記取外し対象部品の相対位置を特定する対象部品位置特定部を有し、前記対象物体の当該特定した相対位置を指示し得るように生成した前記光学情報を前記投光器から前記対象物体における、前記取外し対象部品の搭載位置またはその近辺位置に投光させるように構成されているという態様を採用する。
【0014】
これによれば、取外し対象部品の位置から離れた遮蔽物に光学情報を投光してしまうのを極力防止することが可能となる。ひいては、運転者が遮蔽物に投光された光学情報によって、取外し対象部品の位置を誤認識してしまうのを防止することが可能となる。従って、取外し対象部品の位置を運転者に適切に認識させ得るように、光学情報の投光を行うことができる。
【0015】
また、上記第1の発明の解体支援システムでは、前記光学情報の投光方向が互いに異なる複数の前記投光器を備えており、前記表示情報発生部は、前記カメラによる撮影映像に基づいて、各投光器と前記対象物体との間に、該投光器から投光される光学情報を遮る遮蔽物が存在するか否かを判断する遮蔽物判断部を有し、該遮蔽物が存在すると判断された投光器以外の投光器から前記光学情報を投光するように構成されているという態様を採用する。
【0016】
これによれば、運転者が透明な表示部を介して対象物体を視認した状態で、取外し対象部品の位置を運転者に対して指示し得るように生成された表示情報が表示部に表示される。これにより、運転者が、対象物体を視認しながら、該対象物体のどの位置に取り外し対象部品があるかを容易に認識できるようにすることを小型の構成で実現できる。
【0017】
本第2の発明の解体支援システムは、運転者が操縦する解体作業機械による対象物体の解体作業を支援するシステムであって、
対象物体を撮影可能なカメラと、
前記運転者が前記対象物体を見た状態での該運転者の視野域に存在するように配置された透明な表示部と、
前記対象物体の固有情報を取得する固有情報取得部と、
前記対象物体の解体作業中に、前記カメラによる該対象物体の撮影画像に基づいて前記運転者に対する該対象物体の相対的な位置姿勢を推定する位置姿勢推定部と、
複数種類の物体に関する情報をあらかじめ記憶保持したデータベースから、前記取得した固有情報に基づいて、前記対象物体における取外し対象部品の搭載位置を示す部品位置情報を取得する部品位置情報取得部と、
前記推定された前記対象物体の位置姿勢と前記取得された部品位置情報とから、該対象物体の前記取外し対象部品の位置を特定し、当該取外し対象部品の位置を示す表示情報を前記運転者が視認し得るように発生する表示情報発生部とを備え、
前記表示情報発生部は、前記推定された前記対象物体の相対的な位置姿勢と、前記取得された部品位置情報とに基づいて、前記運転者から見た前記表示部上での前記取外し対象部品の位置を特定する対象部品位置特定部を有し、当該特定した取外し対象部品の位置を指示し得るように生成した前記表示情報を前記表示部に表示させるように構成されていることを特徴とする。
【0018】
これによれば、運転者は、対象物体を視認しながら、該対象物体のどの位置に取り外し対象部品があるかを認識することができるので、対象物体の解体作業中に、当該認識を容易に行うことを効果的に実現できる。
【0019】
本第3の発明の解体支援システムは、運転者が操縦する解体作業機械による対象物体の解体作業を支援するシステムであって、
対象物体を撮影可能なカメラと、
前記対象物体の固有情報を取得する固有情報取得部と、
前記対象物体の解体作業中に、前記カメラによる対象物体の撮影画像に基づいて、該カメラに対する該対象物体の位置姿勢を推定する位置姿勢推定部と、
複数種類の物体に関する情報をあらかじめ記憶保持したデータベースから、前記取得した固有情報に基づいて、前記対象物体における取外し対象部品の搭載位置を示す部品位置情報を取得する部品位置情報取得部と、
前記解体作業機械の運転者が視認し得るように配置された表示器と、
前記推定された前記対象物体の位置姿勢と前記取得された部品位置情報とから、該対象物体の前記取外し対象部品の位置を特定し、当該取外し対象部品の位置を示す表示情報を前記運転者が視認し得るように発生する表示情報発生部とを備え、
前記表示情報発生部は、前記カメラによる撮影映像中の対象物体を模した加工画像を生成する加工画像生成部と、前記推定された前記対象物体の位置姿勢と前記取得された部品位置情報とから、前記カメラによる撮影映像中の該対象物体の画像における前記取外し対象部品の位置を特定する対象部品位置特定部とを有し、前記生成された加工画像を前記表示器に表示させると共に、該加工画像中の前記特定された取外し対象部品の位置を指示するように生成した前記表示情報を前記表示器に表示させるように構成されていることを特徴とする。
【0020】
これによれば、カメラによる撮影映像中の対象物体を模した加工画像が表示器に表示された状態で、該加工画像中での取外し対象部品の位置を指示するように生成した表示情報が表示部に表示される。このため、運転者は表示器に表示された加工画像と表示情報とを視認することで、対象物体のどの位置に取り外し対象部品があるかを容易に認識することができる。
【0021】
また、この場合、対象物体を模した加工画像は、対象物体における外し対象部品の位置を視覚的に認識し得るような画像であればよいので、簡素な画像でよい。ひいては、運転者は、該加工画像と表示情報とから、対象物体における取外し対象部品の位置を認識し易くなる。
【0022】
また、上記第3の発明の解体支援システムでは、前記加工画像生成部は、前記撮影映像中の対象物体の位置姿勢に一致する位置姿勢を有する該対象物体の外形状を表す外形画像を前記加工画像として生成するように構成されている。
【0023】
これによれば、加工画像が単純外形画像であるので、運転者は、対象物体のどの位置に取外し対象部品があるのかを、表示器に表示される加工画像及び表示情報から一目で素早く認識できるようになる。
【0024】
本第4の発明の解体支援システムは、運転者が操縦する解体作業機械による対象物体の解体作業を支援するシステムであって、
対象物体を撮影可能なカメラと、
前記対象物体の固有情報を取得する固有情報取得部と、
前記対象物体の解体作業中に、前記カメラによる該対象物体の撮影画像に基づいて、該カメラに対する該対象物体の位置姿勢を推定する位置姿勢推定部と、
複数種類の物体に関する情報をあらかじめ記憶保持したデータベースから、前記取得した固有情報に基づいて、前記対象物体における取外し対象部品の搭載位置を示す部品位置情報を取得する部品位置情報取得部と、
前記解体作業機械の運転者が視認し得るように配置された表示器と、
前記推定された前記対象物体の位置姿勢と前記取得された部品位置情報とから、該対象物体の前記取外し対象部品の位置を特定し、当該取外し対象部品の位置を示す表示情報を前記運転者が視認し得るように発生する表示情報発生部とを備え、
前記表示情報発生部は、前記推定された前記対象物体の位置姿勢と前記取得された部品位置情報とから、前記カメラによる撮影映像中の該対象物体の画像における前記取外し対象部品の位置を特定する対象部品位置特定部を有し、前記カメラによる撮影映像を前記表示器に表示させると共に、該撮影映像中の前記特定された取外し対象部品の位置を指示するように生成した前記表示情報を前記表示器に表示させるように構成されていることを特徴とする。
【0025】
これによれば、カメラによる撮影映像が表示器に表示された状態で、該撮影画像に含まれる対象物体の画像中で、取外し対象部品の位置を指示するように生成した表示情報が表示部に表示される。このため、運転者は表示器に表示された対象物体の撮影画像と表示情報とを視認することで、対象物体のどの位置に取り外し対象部品があるかを容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態の解体支援システムの全体構成を示す図。
図2】第1実施形態の解体支援システムに備えた制御処理装置に係る構成を示すブロック図。
図3】第1実施形態における対象物体(自動車)への光学情報の投光例を示す図。
図4】本発明の第2実施形態の解体支援システムの全体構成を示す図。
図5】第2実施形態の解体作業機械の運転室に関する構成を示す図。
図6】第2実施形態の解体支援システムに備えた制御処理装置に係る構成を示すブロック図。
図7】第2実施形態における部品位置指示画像の表示例を示す図。
図8】第3実施形態の解体作業機械の運転室に関する構成を示す図。
図9】第3実施形態の解体支援システムに備えた制御処理装置に係る構成を示すブロック図。
図10】第3実施形態における部品位置指示画像の表示例を示す図。
図11】第4実施形態の解体支援システムに備えた制御処理装置に係る構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1図3を参照して以下に説明する。図1を参照して、本実施形態の解体支援システムにおける解体作業機械1は、解体作業の対象物体の一例としての自動車W(以降、対象自動車Wという)を解体すると共に該対象自動車Wからハーネス等の所要の取外し対象部品を回収する作業を行い得る作業機械である。
【0028】
この解体作業機械1は、例えば油圧ショベル型の作業機械であり、クローラ式の走行体2と、走行体2上に旋回可能に搭載された旋回体3と、旋回体3に取り付けられた作業装置4とを備える。旋回体3の前部には、解体作業機械1の運転者が搭乗する運転室3aが備えられ、後部には、図示しないエンジン、油圧装置等が収容された機械室3bが備えられている。
【0029】
作業装置4は、運転室3aの側方箇所で旋回体3の前部から揺動可能に延設されたブーム11と、ブーム11の先端部から揺動可能に延設されたアーム13と、アーム13の先端部に揺動可能に取り付けられた解体作業用のアタッチメント20と、ブーム11、アーム13及びアタッチメント20をそれぞれ揺動させるアクチュエータとしての油圧シリンダ12,14,16とを備える。
【0030】
アタッチメント20は、例えば、破砕機(所謂、ニブラ)であり、アーム13に対してピッチ方向に揺動し得るように該アーム13の先端部に揺動軸13aを介して軸支された基部21と、該基部21に搭載された油圧モータ22により、揺動軸13aと直交する軸心C1周りに回転駆動し得るように該基部21に取付けられた本体部23と、本体部23に搭載された図示しない油圧シリンダにより開閉し得るように該本体部23に取付けられた一対の爪部24a,24bとを備える。
【0031】
かかるアタッチメント20を備える作業装置4は、該アタッチメント20の爪部24a,24bにより対象自動車Wの車体の構成部材(車体フレーム、ドア等)、あるいは、対象自動車Wに搭載されている種々の部品を把持もしくは係止することが可能である。そして、ブーム11、アーム13、及びアタッチメント20のそれぞれの揺動動作、あるいは、アタッチメント20の本体部23の回転動作(軸心C1周りの回転動作)を行うことで、爪部24a,24bにより把持もしくは係止した部材もしくは部品を動かすことが可能である。
【0032】
本実施形態では、かかる作業装置4を備える解体作業機械1が、対象自動車Wの解体作業の全体の工程のうちの所定の工程の作業現場において、ハーネス等の所定種類の取外し対象部品を取り外して回収するために使用される。なお、解体作業機械1は、アタッチメント20の他、対象自動車Wを挟み込むことが可能な左右一対のアームが走行体2から前方側に延設されたものであってもよい。また、走行体2は、クローラ式に限らず、車輪型の走行体であってもよい。
【0033】
本実施形態の解体支援システムは、解体作業機械1の作業現場の天井や壁、支柱等に各々設置された複数のカメラ30及び複数の投光器32と、投光器32の作動制御等を行う機能を有する制御処理装置50(図2に示す)とを備える。
【0034】
各カメラ30は、解体作業機械1と対象自動車Wとを撮影し得るように作業現場に設置されている。なお、各カメラ30は、単眼カメラ及びステレオカメラのいずれでもよい。また、各投光器32は、例えばプロジェクタにより構成され、対象自動車Wの任意の部位に向かって、表示情報としての光学情報を投光し得るように設置されている。この場合、各投光器32は、図形的な光学情報や、文字示す光学情報を投光することが可能である。
【0035】
制御処理装置50は、例えばマイクロコンピュータ、メモリ、インターフェース回路、通信回路等を含む1つ以上の電子回路ユニット、あるいは、パソコン等のコンピュータ、あるいは、これらの組み合わせにより構成される。該制御処理装置50は、例えば解体作業機械1の外部の任意の適所に設置される。ただし、制御処理装置50は、解体作業機械1に搭載されていてもよい。また、制御処理装置50は、解体作業機械1の運転制御を行う機能を含んでいてもよい。
【0036】
この制御処理装置50は、各カメラ30及び各プロジェクタ31と通信(無線通信又は有線通信)を行うことが可能であり、各カメラ30との通信により、各カメラ30の撮影映像を適宜取得することが可能である。また、制御処理装置50は、各投光器32との通信により、各投光器32の投光作動を制御することが可能である。また、制御処理装置50は、解体作業に関する様々な情報を保持する管理サーバ100と通信を行うことも可能であり、この管理サーバ100との通信により、対象自動車Wに関する情報を適宜取得することが可能である。
【0037】
そして、制御処理装置50は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)との両方又は一方により実現される機能として、対象自動車Wの固有情報を取得する固有情報取得部51としての機能と、対象自動車Wにおける取外し対象部品の搭載位置を示す部品位置情報を取得する部品位置情報取得部52としての機能と、対象自動車Wの解体作業中に、対象自動車Wの位置姿勢を推定する位置姿勢推定部53としての機能と、対象自動車Wの位置姿勢の推定値と取得された部品位置情報とから、対象自動車Wの取外し対象部品の位置を特定し、当該取外し対象部品の位置を示す表示情報を実物の対象自動車W上で表示させるように1つ以上の投光器32を制御する表示情報発生部54としての機能とを備える。
【0038】
この場合、表示情報発生部54は、投光器32に対する取外し対象部品の相対位置を特定する対象部品位置特定部54aとしての機能と、各投光器32と取外し対象部品との間に遮蔽物が存在するか否かを判断する遮蔽物判断部54bとしての機能とを含む。
【0039】
次に、解体作業機械1による対象自動車Wの解体作業時に、制御処理装置50が実行する処理について具体的に説明する。対象自動車Wは、例えば、エンジン、バッテリ、車輪、動力伝達装置(変速装置等)、サスペンション装置等をそれぞれ取り外す工程、燃料タンクから燃料を抜き取る工程等の種々の前工程を経て、解体作業機械1による作業(所定種類の取外し対象部品を対象自動車Wから取り外して回収する作業)を行う工程の作業現場に搬送される。
【0040】
そして、該作業現場において、解体作業機械1の運転者が作業の開始のための所定の操作(例えば制御処理装置50の操作部、もしくは制御処理装置50と通信可能な操作部のの操作、あるいは、制御処理装置50に対する音声入力操作等)を行うと、制御処理装置50は、あらかじめ登録された作業スケジュールデータ等に基づいて、対象自動車Wの固有情報(例えば、車種情報、車体番号、識別コード等)を取得して記憶保持する処理を固有情報取得部51により実行する。
【0041】
なお、固有情報取得部51は、例えば、管理サーバ100から対象自動車Wの固有情報を取得してもよい。また、固有情報取得部51が取得する固有情報は、例えば作業者が工程管理表等に基づいて、制御処理装置50に入力した情報であってもよい。また、例えば、対象自動車Wにその固有情報を示すマーカやシールが付されている場合には、固有情報取得部51は、カメラ30を介して上記マーカやシールの画像を取得し、その画像から対象自動車Wの固有情報を取得してもよい。
【0042】
さらに、制御処理装置50は、対象自動車Wにおける取外し対象部品の搭載位置を示す部品位置情報を取得して記憶保持する処理を部品位置情報取得部52により実行する。この場合、例えば、前記管理サーバ100は、複数の種類の自動車の固有情報と、各種類の自動車における取外し対象部品の搭載位置(各種類の自動車に対して設定される座標系で見た搭載位置)を示す部品位置情報とがあらかじめ登録されたデータベースを有している。
【0043】
そして、制御処理装置50は、対象自動車Wの固有情報に対応する部品位置情報を管理サーバ100に要求する。これに応じて、管理サーバ100は、対象自動車Wの固有情報に対応する部品位置情報をデータベースから抽出して制御処理装置50に送信する。これにより、制御処理装置50の部品位置情報取得部52は、対象自動車Wに関する部品位置情報を取得する。該部品位置情報は、取外し対象部品の長さ等のサイズ情報を含み得る。
【0044】
なお、制御処理装置50は、上記データベースを有するように構成されていてもよい。この場合には、部品位置情報取得部52は、管理サーバ100との通信を必要とせずに、部品位置情報を取得できる。
【0045】
また、制御処理装置50は、解体作業機械1による作業の開始後、各カメラ30の撮影映像を逐次取得しつつ、その撮影映像に基づいて、対象自動車Wの位置姿勢を推定する処理を位置姿勢推定部53により実行する。なお、対象自動車Wの位置姿勢は、より詳しくは、対象自動車Wの空間的な位置と空間的な姿勢(向き)との組を意味する。
【0046】
本実施形態では、位置姿勢推定部53は、まず、解体作業機械1の作業現場に対して任意に設定されたグローバル座標系(ワールド座標系)で見た対象自動車Wの位置姿勢を推定する。より具体的には、各カメラ30の撮影映像に写っている対象自動車Wの画像から、公知の手法により、各カメラ30に対する対象自動車Wの相対的な位置姿勢(各カメラ30に対して設定されたローカル座標系で見た位置姿勢)が逐次推定される、そして、グローバル座標系で見た各カメラ30の位置姿勢と、各カメラ30に対する対象自動車Wの相対的な位置姿勢とから、グローバル座標系で見た対象自動車Wの位置姿勢が逐次推定される。
【0047】
さらに、位置姿勢推定部53は、グローバル座標系で見た対象自動車Wの位置姿勢の推定値と、グローバル座標系で見た各投光器32の位置とから、各投光器32に対する対象自動車Wの相対的な位置姿勢(各投光器32に対して設定されたローカル座標系で見た対象自動車Wの位置姿勢)を推定する。
【0048】
制御処理装置50は、上記のように位置姿勢推定部53により対象自動車Wの位置姿勢を逐次推定しつつ、表示情報発生部54により投光器32の作動制御を実行する。この場合、表示情報発生部54は、各投光器32に対する対象自動車Wの相対的な位置姿勢の推定値と、対象自動車Wにおける部品位置情報とから、各投光器32に対する対象自動車Wの取外し対象部品の相対位置(各投光器32に設定されたローカル座標系で見た取外し対象部品の位置)を逐次特定する処理を対象部品位置特定部54aにより実行する。
【0049】
この場合、各投光器32に対する対象自動車Wの取外し対象部品の相対位置は、部品位置情報により示される取外し対象部品の搭載位置(対象自動車Wに設定される座標系で見たと位置)を、各投光器32に対する対象自動車Wの相対的な位置姿勢の推定値に応じて座標変換することで特定される。
【0050】
また、表示情報発生部54は、各投光器32毎に、該投光器32と取外し対象部品との間に、該投光器32から取外し対象部品の搭載位置への光学情報の投光を遮る遮蔽物が存在するか否かを、1つ以上のカメラ30の撮影映像に基づいて判断する。当該遮蔽物は、より詳しくは、取外し対象部品の搭載位置の近辺領域(該搭載位置から所定の距離内の領域)の外側で、該近辺領域と投光器32との間の光路を遮るように存在する物体である。かかる遮蔽物としては、対象自動車Wの構成要素、あるいは、解体作業機械1の構成要素、あるいは、その他の物体が挙げられる。
【0051】
そして、表示情報発生部54は、複数の投光器32のうち、取外し対象部品の搭載位置との間に遮蔽物が存在しない1つの投光器32を選定し、その投光器32から、取外し対象部品の搭載位置に向かって光学情報を投光させるように該投光器32を制御する。この場合、該投光器32は、取外し対象部品のサイズや長さに合わせた形態の光学情報を対象自動車に投光するように制御される。
【0052】
例えば、図3を参照して、取外し対象部品としてのハーネスが、対象自動車Wの右前のドアのa1部分に該ドアの前後方向に延在するように搭載されているものである場合、該a1部分(もしくはその近辺部分)に、前後方向に線分状に延在する所定色の光学情報L1が投光される。なお、図3に示す対象自動車Wは、解体作業機械1の運転室3aから見た実物の対象自動車Wを概略的に示している。
【0053】
また、例えば、取外し対象部品としてのハーネスが、対象自動車Wのエンジンルームのa2部分に対象自動車Wの車体の左右方向に延在するように該車体に搭載されているものである場合、該a2部分(もしくはその近辺部分)に、左右方向に線分状に延在する所定色の光学情報L2が投光される。
【0054】
また、例えば、取外し対象部品としての電動モータが、対象自動車Wの右前のドアのa3部分に搭載されているものである場合、該a3部分に、円形状等の所定形状を有する所定色の光学情報L3が投光される。
【0055】
なお、対象自動車Wに投光する光学情報の色は、赤色等の一定色であってもよいが、解体作業機械1の運転者が視認しやすいように、対象自動車Wの車体色と異なる色が使用され得る。あるいは、光学情報の色を、運転者が事前に好みの色に選定し得るようにしてもよい。また、光学情報は、例えば、取外し対象部品の搭載位置を指し示す矢印等のマーカを含んでいてもよい。また、光学情報は、例えば、取外し対象部品の種類毎に、色や模様等を異ならせるようにしてもよい。また、光学情報は、例えば、取外し対象部品の名称を示す文字情報や、該取外し対象部品の識別用の図形情報等を含んでいてもよい。
【0056】
上記のように、取外し対象部品の搭載位置(もしくはその近辺位置)向かって光学情報が投光されることで、該取外し対象部品の搭載位置を示す表示情報としての該光学情報は、実物の対象自動車Wのうち、取外し対象部品の搭載位置(もしくはその近辺位置)の部分に重ね合わせられるようにして付与される。このため、解体作業機械1の運転者は、解体作業機械1による対象自動車Wの解体作業を行いながら、対象自動車Wのどの箇所に取外し対象部品が存在するのかを、対象自動車Wに対して投光された光学情報により視覚的に容易に認識することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、制御処理装置50は、複数の投光器32のうち、取外し対象部品の搭載位置との間に遮蔽物が存在しない投光器32が1つも無い場合には、該取外し対象部品の搭載位置に光学情報を投光することを実行しない。この場合、対象自動車Wの解体作業の実行中に、該対象自動車Wの位置姿勢が変化することで、一般には、いずれかの投光器32と、取外し対象部品との間に遮蔽物が存在しない状態が実現される。そして、この状態では、取外し対象部品の搭載位置(もしくはその近辺位置)に向かって光学情報が投光される。
【0058】
ただし、取外し対象部品の搭載位置との間に遮蔽物が存在しない投光器32が1つも無い場合に、例えば、いずれかの投光器32から、該遮蔽物が存在しない場合と異なる形態の光学情報を対象自動車の搭載位置に向かって投光し、ひいては、該遮蔽物に光学情報を投光してもよい。例えば、点線状の光学情報を、遮蔽物に投光してもよい。このようにすることで、投光器32から見て遮蔽物の奥側に、取外し対象部品が存在することを運転者に認識させることが可能である。
【0059】
以上説明した第1実施形態によれば、解体作業機械1の運転者は、対象自動車Wに投光される光学情報により、該対象自動車Wにおける取外し対象部品の搭載位置を視覚的に容易に認識することができる。このため、運転者は、対象自動車Wの解体作業を効率よく進めることが可能となる。
【0060】
なお、本実施形態では、複数のカメラ30を備えたが、1つのカメラ30だけを備えてもよい。また、カメラ30は、運転室3aの前方を撮影し得るように旋回体3に搭載されたカメラを含んでいてもよい。さらに、投光器32は、旋回体3に搭載された投光器を含んでいてもよい。また、対象自動車Wに投光する投光器32を運転者等が選択し得るようにすることで、対象自動車Wに投光する投光器32が運手者の要求に反して勝手に切り替わったり、運転者がまぶしいと感じたり、運転者が見えづらいと感じるのを防止し得るようにしてもよい。
【0061】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図4図6を参照して説明する。図4を参照して、本実施形態の解体支援システムにおける解体作業機械1は、一部の構成を除いて、第1実施形態で説明した解体作業機械1と同じである。具体的には、本実施形態では、旋回体3の運転室3aには、運転室3aの前方を撮影可能なカメラ35が搭載されている。該カメラ35は、対象自動車Wの解体作業時には、該対象自動車Wが撮影範囲内に含まれるように運転室3aの天井部等に設置されている。なお、カメラ35は、単眼カメラ及びステレオカメラのいずれでもよい。また、複数のカメラ35が運転室3aに搭載されていてもよい。
【0062】
さらに、図5に示すように、運転室3aには、シート(運転席)Sに着座した運転者Pを撮影可能なカメラ36と、ヘッドアップディスプレイ装置37(以降、HUD37という)とが搭載されている。カメラ36は、シートSに着座した運転者Pの頭部を前方側から撮影し得るように、運転室3a内に設置されている。
【0063】
HUD37は、画像投影器37aと、該画像投影器37aから投影される画像を表示可能な表示部としての機能を有するように構成され、運転室3aの前面部に窓として取付けられた透明なフロントウィンドウ37bとを備える。画像投影器37aは、例えば、運転室3aの後部側からフロントウィンドウ37bに画像を投影し得るように配置されている。
本実施形態の解体作業機械1は、上記の如く、カメラ35,36及びHUD37を備えること以外の構成は、第1実施形態のものと同じである。
【0064】
本実施形態の解体支援システムは、さらに、図6に示すように、5HUD37の作動制御等を行う機能を有する制御処理装置60を備える。この制御処理装置60は、第1実施形態のものと同様に、マイクロコンピュータ、メモリ、インターフェース回路、通信回路等を含む1つ以上の電子回路ユニット、あるいは、パソコン等のコンピュータ、あるいは、これらの組み合わせにより構成される。そして、該制御処理装置60は、解体作業機械1の外部の任意の適所に設置され、あるいは、解体作業機械1に搭載される。
【0065】
この制御処理装置60は、カメラ35,36と通信(無線通信又は有線通信)を行うことが可能であり、カメラ35,その通信により、各カメラ35,36の撮影映像を適宜取得することが可能である。また、制御処理装置60は、第1形態のものと同様に、管理サーバ100と通信を行うことも可能であり、その通信により、対象自動車Wに関する情報を適宜取得することが可能である。
【0066】
そして、制御処理装置60は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)との両方又は一方により実現される機能として、対象自動車Wの固有情報を取得する固有情報取得部61としての機能と、対象自動車Wにおける取外し対象部品の搭載位置を示す部品位置情報を取得する部品位置情報取得部62としての機能と、対象自動車Wの解体作業中に、運転者Pに対する対象自動車Wの相対的な位置姿勢を推定する位置姿勢推定部63としての機能と、対象自動車Wの取外し対象部品の位置を特定し、当該取外し対象部品の位置を示す表示情報をフロントウィンドウ37bに表示させるようにHUD37の画像投影器37aを制御する表示情報発生部64としての機能とを備える。この場合、表示情報発生部64は、運転者Pから見たフロントウィンドウ37b上での取外し対象部品の位置を特定する対象部品位置特定部64aとしての機能を含む。
【0067】
次に、解体作業機械1による対象自動車Wの解体作業時に、制御処理装置60が実行する処理について具体的に説明する。対象自動車Wは、第1実施形態と同様に、前工程を経て、解体作業機械1による作業(所定種類の取外し対象部品を対象自動車Wから取り外して回収する作業)を行う作業現場に搬送される。
【0068】
そして、該作業現場において、解体作業機械1の運転者Pが作業の開始のための所定の操作を行うと、制御処理装置60は、固有情報取得部61及び部品位置情報取得部62の処理を実行する。該固有情報取得部61及び部品位置情報取得部62のそれぞれの処理は、第1実施形態と同じである。
【0069】
また、制御処理装置60は、解体作業機械1による作業の開始後、カメラ35,36の撮影映像を逐次取得しつつ、これらの撮影映像に基づいて、運転者Pに対する対象自動車Wの相対的な位置姿勢を推定する処理を位置姿勢推定部63により実行する。
【0070】
本実施形態では、位置姿勢推定部63は、まず、カメラ35に対する対象自動車Wの相対的な位置姿勢(カメラ35に対して設定されたローカル座標系で見た対象自動車Wの位置姿勢)をカメラ35の撮影映像から、公知の手法により逐次推定する。
【0071】
また、位置姿勢推定部63は、カメラ36に対する運転者Pの目の相対的な位置(カメラ36に対して設定されたローカル座標系で見た運転者Pの目の位置)をカメラ36の撮影映像から公知の手法により推定する。
【0072】
そして、位置姿勢推定部63は、カメラ35に対する対象自動車Wの相対的な位置姿勢と、カメラ36に対する運転者Pの目の相対的な位置と、カメラ35,36の既定の位置関係とから、運転者Pの目に対する対象自動車Wの相対的な位置姿勢(運転者Pの目で見た対象自動車Wの位置姿勢)を推定する。
【0073】
制御処理装置60は、上記のように位置姿勢推定部63により対象自動車Wの相対的な位置姿勢を逐次推定しつつ、表示情報発生部64によりHUD37の画像投影器37aの作動制御を実行する。
【0074】
この場合、表示情報発生部64は、運転者Pの目に対する対象自動車Wの相対的な位置姿勢の推定値と、対象自動車Wにおける部品位置情報と、運転者Pの目とフロントウィンドウ37bとの間の距離(これは例えば、カメラ36の撮影映像に基づいて特定される)とから、運転者Pの目から見た対象自動車Wをフロントウィンドウ37bに仮想的に投影させた領域(図5において、フロントウィンドウ37bのうち、一点鎖線c1,c2の間の領域37b1)での取外し対象部品の位置を特定する処理を対象部品位置特定部54aにより実行する。なお、図5の一点鎖線c1,c2の間の領域は、運転者Pの視野内で対象自動車Wが視認される領域である。
【0075】
そして、表示情報発生部64は、その特定した位置、又はその近辺領域(当該特定した位置から所定距離内の領域)に、取外し対象部品の位置(フロントウィンドウ37b上での位置)を運転者Pに指示するための表示情報としての部品位置指示画像を投影させるようにHUD37の画像投影器37aを制御する。該部品位置指示画像は、運転者Pから見える対象自動車Wと区別し得る画像(例えば対象自動車Wの車体色と異なる色の画像、もしくは、適当な模様等を付した画像)であり、図5の破線の矢印Y1で例示する如く、フロントウィンドウ37bの上記領域37b1内に投影される。
【0076】
ここで、図7を参照して、Wsは運転者Pから見た対象自動車Wのフロントウィンドウ37b上での映像(詳しくは、フロントウィンドウ37bの上記領域37b1内で運転者Pが視認する対象自動車Wの映像を概略的に示している。そして、対象自動車Wの映像Ws内で、図示の領域A1が、対象自動車Wの右前ドアに搭載された取外し対象部品としてのハーネスの位置の近辺領域を示し、領域A2が対象自動車Wのエンジンルームに搭載された取外し対象部品としてのハーネスの位置の近辺領域を示し、領域A3が対象自動車Wの右前ドアに搭載された取外し対象部品としての電動モータの位置の近辺領域を示している。この場合、表示情報発生部64の上記の制御により、これらの領域A1、A2、A3にHUD37の画像投影器37aから部品位置指示画像が投影される。
【0077】
なお、部品位置指示画像の形態は、運転者が事前に好みの形態を選定し得るようにしてもよい。また、部品位置指示画像は、例えば、取外し対象部品の位置を指し示す矢印等のマーカを含んでいてもよい。また、部品位置指示画像は、例えば、取外し対象部品の種類毎に、色や模様等を異ならせるようにしてもよい。また、部品位置指示画像は、例えば、取外し対象部品の名称を示す文字情報や、該取外し対象部品の識別用の図形情報等を含んでいてもよい。
【0078】
上記のように、取外し対象部品の位置もしくはその近辺位置で、運転者Pに指示する部品位置指示画像がフロントウィンドウ37bに投影されることで、該部品位置指示画像は、運転者Pから見える対象自動車Wの映像に重ね合わせられるようにしてフロントウィンドウ37bに投影される。このため、運転者Pは、解体作業機械1による対象自動車Wの解体作業を行いながら、対象自動車Wのどの箇所に取外し対象部品が存在するのかを、フロントウィンドウ37bに投影される部品位置指示画像により視覚的に容易に認識することができる。
【0079】
なお、本実施形態では、表示情報発生部64は、対象自動車Wの取外し対象部品の搭載位置の近辺領域(実空間で近辺領域)と運転者Pの目との間に遮蔽物が存在するか否かをカメラ35の撮影映像(あるいは、解体作業機械1の外部に設置されるカメラの撮影映像)とカメラ36の撮影映像とに基づき判断し得る。そして、表示情報発生部64は、該遮蔽物が存在すると判断された取外し対象部品(その近辺領域を運転者Pが視認することができない取外し対象部品)については、前記部品位置指示画像をフロントウィンドウ37b上に表示させない。このため、例えば図7において、対象自動車Wの左前ドアに搭載されているハーネスやモータに対応する部品位置指示画像は表示されない。
【0080】
ただし、運転者Pの目との間に遮蔽物が存在する取外し対象部品については、該遮蔽物が存在しない場合と異なる形態の部品位置指示画像(例えば、点線状の部品位置指示画像)を、運転者Pから見た遮蔽物の映像上に重ねるようにして、フロントウィンドウ37bに表示するようにしてもよい。このようにすることで、運転者Pから見て、遮蔽物の奥側に、取外し対象部品が存在することを運転者Pに認識させることが可能である。
【0081】
以上説明した第2実施形態によれば、解体作業機械1の運転者Pは、透明な表示部としてのフロントウィンドウ37bに投影される部品位置指示画像により、該対象自動車Wにおける取外し対象部品の搭載位置を視覚的に容易に認識することができる。このため、運転者は、対象自動車Wの解体作業を効率よく進めることが可能となる。
【0082】
なお、本実施形態では、対象自動車Wを撮影可能なカメラ35を解体作業機械1に搭載したが、第1実施形態と同様に、解体作業機械1の外部(作業現場の天井や壁、支柱等)に対象自動車Wと解体作業機械1とを撮影し得るカメラを備えてもよい。この場合であっても、解体作業機械1の外部のカメラの撮影映像(解体作業機械1と対象自動車Wとが写っている撮影映像)と、前記カメラ36の撮影映像とに基づいて、運転者Pの目から見た対象自動車Wの位置姿勢を推定できる。
【0083】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を図8図10を参照して説明する。本実施形態の解体支援システムにおける解体作業機械1は、一部の構成を除いて、第2実施形態で説明した解体作業機械1と同じである。具体的には、本実施形態では、旋回体3の運転室3aには、液晶ディスプレイ等により構成される表示器38が設置されている。この表示器38は、シート(運転席)Sに着座した運転者Pが視認し得るようにシートSの前側(右斜め前方等)に配置されている、また、運転室3aには、その前方を撮影可能なカメラ35が第2実施形態と同様に搭載されている。なお、本実施形態での解体作業機械1には、HUD37や、運転者Pの頭部を撮影可能なカメラ36は不要である。上記以外の解体作業機械1の構成は第1実施形態又は第2実施形態と同じである。
【0084】
本実施形態の解体支援システムは、さらに、図9に示すように、表示器38の表示制御等を行う機能を有する制御処理装置70を備える。この制御処理装置70は、第1実施形態のものと同様に、マイクロコンピュータ、メモリ、インターフェース回路、通信回路等を含む1つ以上の電子回路ユニット、あるいは、パソコン等のコンピュータ、あるいは、これらの組み合わせにより構成される。そして、該制御処理装置70は、解体作業機械1の外部の任意の適所に設置され、あるいは、解体作業機械1に搭載される。
【0085】
この制御処理装置70は、カメラ35と通信(無線通信又は有線通信)を行うことが可能であり、その通信により、カメラ35の撮影映像を適宜取得することが可能である。また、制御処理装置70は、第1形態のものと同様に、管理サーバ100と通信を行うことも可能であり、その通信により、対象自動車Wに関する情報を適宜取得することが可能である。
【0086】
そして、制御処理装置70は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)との両方又は一方により実現される機能として、対象自動車Wの固有情報を取得する固有情報取得部71としての機能と、対象自動車Wにおける取外し対象部品の搭載位置を示す部品位置情報を取得する部品位置情報取得部72としての機能と、対象自動車Wの解体作業中に、カメラ35に対する対象自動車Wの相対的な位置姿勢を推定する位置姿勢推定部73としての機能と、対象自動車Wの取外し対象部品の位置を特定し、当該取外し対象部品の位置を示す表示情報を表示器38に表示させるように表示器38を制御する表示情報発生部74としての機能とを備える。この場合、表示情報発生部74は、カメラ35による撮影映像中の対象自動車Wの画像における取外し対象部品の位置を特定する対象部品位置特定部74aとしての機能と、カメラ35により撮影された対象自動車Wを模した加工画像を生成する加工画像生成部74bとしての機能を含む。
【0087】
次に、解体作業機械1による対象自動車Wの解体作業時に、制御処理装置70が実行する処理について具体的に説明する。対象自動車Wは、第1実施形態と同様に、前工程を経て、解体作業機械1による作業(所定種類の取外し対象部品を対象自動車Wから取り外して回収する作業)を行う作業現場に搬送される。
【0088】
そして、該作業現場において、解体作業機械1の運転者Pが作業の開始のための所定の操作を行うと、制御処理装置70は、固有情報取得部71及び部品位置情報取得部72の処理を実行する。該固有情報取得部71及び部品位置情報取得部72のそれぞれの処理は、第1実施形態と同じである。
【0089】
また、制御処理装置70は、解体作業機械1による作業の開始後、カメラ35の撮影映像を逐次取得しつつ、該撮影映像に基づいて、カメラ35に対する対象自動車Wの相対的な位置姿勢(カメラ35に対して設定されたローカル座標系で見た位置姿勢)を推定する処理を位置姿勢推定部73により実行する。その処理は、公知の手法により行われる。
【0090】
制御処理装置70は、上記のように位置姿勢推定部73により対象自動車Wの相対的な位置姿勢を逐次推定しつつ、表示情報発生部74により表示器38の表示制御を実行する。この場合、表示情報発生部74は、カメラ35に対する対象自動車Wの相対的な位置姿勢の推定値と、対象自動車Wにおける部品位置情報とから、カメラ35の撮影映像のうちの対象自動車Wの画像における取外し対象部品の位置を特定する処理を対象部品位置特定部74aにより実行する。
【0091】
また、表示情報発生部74は、カメラ35の撮影映像のうちの対象自動車Wの画像から、該画像の加工画像を生成する処理を加工画像生成部74bにより実行する。該加工画像は、本実施形態では、撮影映像中の対象自動車Wの姿勢と一致する姿勢を有する該対象自動車Wの外形状(輪郭形状)を表す外形画像である。例えば図10に参照符号Wxを付して示すように、対象自動車Wの外形画像としての加工画像が生成される。
【0092】
この場合、該加工画像Wxでは、対象自動車Wのうち、カメラ35の撮影映像には写っていない部分(図10では、対象自動車Wの左側面部)の外形状の輪郭(図10では細線で示す)も含まれる。このような加工画像は、例えば、対象自動車Wを含む一般の自動車の外形状が有する左右対称性を利用して生成し得る。あるいは、例えば前記固有情報として、対象自動車Wの外形情報を管理サーバ100から取得し、その外形情報と、カメラ35に対する対象自動車Wの位置姿勢の推定値とに基づいて、加工画像を生成してもよい。
【0093】
そして、表示情報発生部74は、表示器38にカメラ35の撮影映像の代わりに、上記加工画像を表示させる。この場合、該加工画像により示される対象自動車Wの姿勢は、カメラ35の撮影映像中の対象自動車Wの姿勢と同じである。
【0094】
さらに、表示情報発生部74は、対象部品位置特定部74aにより特定した取外し対象部品の位置(カメラ35の撮影映像内の対象自動車Wの画像中での位置)、又はその近辺領域(当該特定した位置から所定距離内の領域)に、取外し対象部品の位置を運転者Pに指示するための表示情報としての部品位置指示画像を表示器38に表示させる。該部品位置指示画像は、加工画像と区別し得る画像(例えば加工画像と異なる色、明度、もしくは彩度を有する画像、あるいは、適当な模様等を付した画像)である。
【0095】
ここで、図10を参照して、表示器38に表示される対象自動車Wの加工画像Wx内で、図示の領域B1が、対象自動車Wの右前ドアに搭載された取外し対象部品としてのハーネスの位置の近辺領域を示し、領域B2が対象自動車Wのエンジンルームに搭載された取外し対象部品としてのハーネスの位置の近辺領域を示し、領域B3が対象自動車Wの右前ドアに搭載された取外し対象部品としての電動モータの位置の近辺領域を示している。また、領域B4が対象自動車Wの左前ドアに搭載された取外し対象部品としてのハーネスの位置の近辺領域を示し、領域B5が対象自動車Wの右前ドアに搭載された取外し対象部品としての電動モータの位置の近辺領域を示している。この場合、表示情報発生部74による上記の表示制御により、これらの領域B1~B5に部品位置指示画像が表示される。
【0096】
そして、この場合、対象自動車Wの取外し対象部品の搭載位置の近辺領域(実空間で近辺領域)とカメラ35との間に遮蔽物が存在するか否かによらずに、各取外し対象部品に対応する部品位置指示情報が表示される。例えば、図10では、カメラ35の撮影映像には写らない対象自動車Wの左前ドアに搭載されている取外し対象部品(ハーネス及び電動モータ)対応する部品位置指示画像が領域B4,B5に表示される。
【0097】
なお、第2実施形態の場合と同様に、部品位置指示画像の形態は、運転者が事前に好みの形態を選定し得るようにしてもよい。また、部品位置指示画像は、例えば、取外し対象部品の位置を指し示す矢印等のマーカを含んでいてもよい。また、部品位置指示画像は、例えば、取外し対象部品の種類毎に、色や模様等を異ならせるようにしてもよい。また、部品位置指示画像は、例えば、取外し対象部品の名称を示す文字情報や、該取外し対象部品の識別用の図形情報等を含んでいてもよい。
【0098】
上記のように、表示器38にカメラ35の撮影映像の代わりに加工画像が表示されると共に、撮影映像中での取外し対象部品の位置もしくはその近辺位置で、部品位置指示画像が表示器38に表示されることで、該部品位置指示画像は、カメラ35の撮影映像に写っている対象自動車Wの外形画像としての加工画像に重ね合わせられるようにして表示器38に表示される。
【0099】
このため、運転者Pは、解体作業機械1による対象自動車Wの解体作業を行いながら、対象自動車Wのどの箇所に取外し対象部品が存在するのかを、表示器38の表示される加工画像内の部品位置指示画像により視覚的に容易に認識することができる。また、この場合、カメラ35の撮影映像中の対象自動車Wのうち、カメラ35から見て手前側の部位に搭載されている取外し対象部品だけでなく、背後に隠れてしまっている部位に搭載されている取外し対象部品の位置も該取外し対象部品に対応する部品位置指示画像により容易に認識することができる。このように、解体作業機械1の運転者Pは、対象自動車Wにおける取外し対象部品の搭載位置を視覚的に容易に認識することができるため、対象自動車Wの解体作業を効率よく進めることが可能となる。
【0100】
なお、本実施形態では、加工画像及び部品位置指示画像と、カメラ35の撮影映像とを区別し得るように、該加工画像及び部品位置指示画像に加えて、カメラ35の撮影映像を表示器38に表示させるようにしてもよい。例えば、加工画像及び部品位置指示画像を、カメラ35の撮影映像よりも鮮明な色、明度で表示器38に表示させるようにしてもよい。
【0101】
また、本実施形態では、表示器38を運転室3a内に設置された液晶ディスプレイ等より構成したが、表示器38は、例えば、運転室3aのフロントウィンドウとして構成されるヘッドアップディスプレイ装置の透明な表示部、あるいは、フロントウィンドウとして構成される透明な液晶ディスプレイであってもよい。
【0102】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を図11を参照して説明する。本実施形態の解体支援システムにおける解体作業機械1は、前記第3実施形態のものと同一である。そして、本実施形態の解体支援システムは、さらに、図11に示すように、表示器38の表示制御等を行う機能を有する制御処理装置80を備える。この制御処理装置80は、第1実施形態のものと同様に、マイクロコンピュータ、メモリ、インターフェース回路、通信回路等を含む1つ以上の電子回路ユニット、あるいは、パソコン等のコンピュータ、あるいは、これらの組み合わせにより構成される。そして、該制御処理装置80は、解体作業機械1の外部の任意の適所に設置され、あるいは、解体作業機械1に搭載される。
【0103】
この制御処理装置80は、第3実施形態のものと同様に、カメラ35及び管理サーバ100と通信(無線通信又は有線通信)を行うことが可能である。そして、制御処理装置70は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)との両方又は一方により実現される機能として、第3実施形態のものと同様に、固有情報取得部81、部品位置情報取得部82、位置姿勢推定部83、及び表示情報発生部84としての機能とを備える。この場合、固有情報取得部81、部品位置情報取得部82及び位置姿勢推定部83による実行する処理は、第3実施形態と同じである。また、表示情報発生部84は、第3実施形態と同じ処理を実行する対象部品位置特定部84aとしての機能を含む。ただし、本実施形態では、表示情報発生部84は、加工画像生成部を含まず、表示器38の表示制御の一部の処理が第3実施形態と相違する。
【0104】
そこで、以下に、解体作業機械1による対象自動車Wの解体作業時に、制御処理装置80が実行する処理のうち、表示情報発生部84により実行する処理について説明する。
【0105】
制御処理装置80は、位置姿勢推定部83により対象自動車Wの相対的な位置姿勢(カメラ35に対する相対的な位置姿勢)を逐次推定しつつ、表示情報発生部84により表示器38の表示制御を実行する。この場合、表示情報発生部84は、カメラ35の撮影映像を表示器38に表示させる。
【0106】
さらに、表示情報発生部84は、カメラ35に対する対象自動車Wの相対的な位置姿勢の推定値と、対象自動車Wにおける部品位置情報とから、カメラ35の撮影映像のうちの対象自動車Wの画像における取外し対象部品の位置を特定する処理を対象部品位置特定部84aにより実行する。
【0107】
そして、表示情報発生部74は、対象部品位置特定部84aにより特定した取外し対象部品の位置(カメラ35の撮影映像内の対象自動車Wの画像中での位置)、又はその近辺領域(当該特定した位置から所定距離内の領域)に、取外し対象部品の位置を運転者Pに指示するための表示情報としての部品位置指示画像を表示器38に表示させる。該部品位置指示画像は、対象自動車Wの画像と区別し得る画像(例えば対象自動車Wの画像と異なる色、明度、もしくは彩度を有する画像、あるいは、適当な模様等を付した画像)である。
【0108】
これにより、前記第2実施形態に関して図7に例示したものと同様の形態で、表示器38に対象自動車Wの撮影画像と部品位置指令画像とが表示される。すなわち、この場合、図7に示すWsが表示器38に表示される対象自動車Wの画像に相当し、その画像内の領域A1~A3が部品位置指示画像が表示する領域になる。
【0109】
なお、第2実施形態の場合と同様に、部品位置指示画像の形態は、運転者が事前に好みの形態を選定し得るようにしてもよい。また、部品位置指示画像は、例えば、取外し対象部品の位置を指し示す矢印等のマーカを含んでいてもよい。また、部品位置指示画像は、例えば、取外し対象部品の種類毎に、色や模様等を異ならせるようにしてもよい。また、部品位置指示画像は、例えば、取外し対象部品の名称を示す文字情報や、該取外し対象部品の識別用の図形情報等を含んでいてもよい。
【0110】
上記のように、表示器38にカメラ35の撮影映像(対象自動車Wの画像を含む)が表示されると共に、該撮影映像中での取外し対象部品の位置もしくはその近辺位置で、部品位置指示画像が表示器38に表示されることで、該部品位置指示画像は、カメラ35の撮影映像に写っている対象自動車Wの画像に重ね合わせられるようにして表示器38に表示される。このため、運転者Pは、解体作業機械1による対象自動車Wの解体作業を行いながら、対象自動車Wのどの箇所に取外し対象部品が存在するのかを、表示器38の表示される撮影映像内の対象自動車Wの画像と、部品位置指示画像とにより視覚的に容易に認識することができる。
【0111】
なお、本実施形態では、表示情報発生部84は、対象自動車Wの取外し対象部品の搭載位置の近辺領域(実空間で近辺領域)とカメラ35との間に遮蔽物が存在するか否かをカメラ35の撮影映像(あるいは、解体作業機械1の外部に設置されるカメラの撮影映像)に基づき判断し得る。そして、表示情報発生部84は、該遮蔽物が存在すると判断された取外し対象部品(その近辺領域がカメラ35の撮影映像中に写らない取外し対象部品)については、前記部品位置指示画像を表示器38に表示させない。
【0112】
ただし、カメラ35との間に遮蔽物が存在する取外し対象部品については、該遮蔽物が存在しない場合と異なる形態の部品位置指示画像(例えば、点線状の部品位置指示画像)を、対象自動車Wの画像に重ねるようにして、表示器38に表示するようにしてもよい。このようにすることで、カメラ35から見て、遮蔽物の奥側に、取外し対象部品が存在することを運転者Pに認識させることが可能である。
【0113】
以上説明した第4実施形態によれば、解体作業機械1の運転者Pは、表示器38に表示される対象自動車Wの画像と部品位置指示画像とにより、該対象自動車Wにおける取外し対象部品の搭載位置を視覚的に容易に認識することができる。このため、運転者は、対象自動車Wの解体作業を効率よく進めることが可能となる。
【0114】
なお、本実施形態では、表示器38を運転室3a内に設置された液晶ディスプレイ等より構成したが、表示器38は、例えば、運転室3aのフロントウィンドウとして構成されるヘッドアップディスプレイ装置の透明な表示部、あるいは、フロントウィンドウとして構成される透明な液晶ディスプレイであってもよい。
【符号の説明】
【0115】
1…解体作業機械、30,35…カメラ、32…投光器、51,61,71,81…固有情報取得部、52,62,72,82…部品位置情報取得部、53,63,73,83…位置姿勢推定部、54,64,74,84…表示情報発生部、54a,64a,74a,84a…対象部品位置特定部、54b…遮蔽物判断部、74b…加工画像生成部、W…対象自動車(対象物体)。
図1
図2
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図4
図5
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図9
図10
図11