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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】作物収穫車両
(51)【国際特許分類】
   A01D 46/30 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
A01D46/30
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020015302
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021122179
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-166014(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0073584(US,A1)
【文献】特開平09-191747(JP,A)
【文献】特開2008-206438(JP,A)
【文献】特開平06-141649(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0261565(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106134638(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 46/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培されている作物を収穫するロボットアーム機構(200)と、
前記ロボットアーム機構(200)により前記収穫された作物を収納する、車体(100)へ取付けられたコンテナー(500)と、
を備え、
前記ロボットアーム機構(200)は、前記栽培されている作物を保持するハンド部(210)を備え、
前記ハンド部(210)は、各々の指が略球形状の作物へフィットするように独立的に動作する多指形状とし、ローリング機能による回転動作を行う構成とし、
前記栽培されている作物は、選択的に収穫され、
前記栽培されている作物の撮像を行うカメラユニット(300)を備え、
前記カメラユニット(300)は広域撮像カメラおよび狭域撮像カメラを備え、
前記ロボットアーム機構(200)はロボットブーム部(240)およびロボットアーム部(250)を備え、
前記広域撮像カメラは、前記ロボットブーム部(240)の先端へ取付けられ、前記狭域撮像カメラは、前記ロボットアーム部(250)の先端へ取付けられ、
前記栽培されている作物は、前記カメラユニット(300)により行われた前記撮像の結果に基づいて、選択的に収穫されることを特徴とする作物収穫車両
【請求項2】
前記ロボットアーム機構(200)の後方に貯留部としての前記コンテナー(500)を設け、
前記コンテナー(500)はコンテナーフォークリフト機構(400)により昇降され、
前記コンテナー(500)は前記車体(100)へ自由に脱着可能であるように積載され、前記コンテナーフォークリフト機構(400)と前記ロボットアーム機構(200)とを独立的に動作することを特徴とする請求項1に記載の作物収穫車両
【請求項3】
前記車体(100)の第一回目の走行は平均的な作物の大きさおよび色などを把握するティーチング工程を行い、前記車体(100)の第二回目の走行は収穫開始工程として行うことを特徴とする請求項1または2に記載の作物収穫車両
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット収穫機などのような作物収穫車両に関する。
【背景技術】
【0002】
人参収穫装置により収穫された人参を搬送するコンベアー装置と、コンベアー装置のコンベアー終端部から落下する人参を収容するコンテナーを吊下げるハンガーと、一端がハンガーを保持する、コンベアー装置へ回動可能に取付けられたハンガー保持アームと、を有する人参収穫機が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-333917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、南瓜、西瓜、キャベツ、白菜、レタス、ピーマンおよび苺などのような作物については、栽培されている多数の苗の内、どの苗が収穫の対象であるのかが重要であり、さらに、苗のどの部分が収穫の対象であるのかもしばしば重要であることに気付いた。
【0005】
しかしながら、上述された従来の人参収穫機のような作物収穫車両は、選択的な収穫を行うことができない。
【0006】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、選択的な収穫を行うことができる作物収穫車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、栽培されている作物を収穫するロボットアーム機構(200)と、
前記ロボットアーム機構(200)により前記収穫された作物を収納する、車体(100)へ取付けられたコンテナー(500)と、
を備え、
前記ロボットアーム機構(200)は、前記栽培されている作物を保持するハンド部(210)を備え、
前記ハンド部(210)は、各々の指が略球形状の作物へフィットするように独立的に動作する多指形状とし、ローリング機能による回転動作を行う構成とし、
前記栽培されている作物は、選択的に収穫され、
前記栽培されている作物の撮像を行うカメラユニット(300)を備え、
前記カメラユニット(300)は広域撮像カメラおよび狭域撮像カメラを備え、
前記ロボットアーム機構(200)はロボットブーム部(240)およびロボットアーム部(250)を備え、
前記広域撮像カメラは、前記ロボットブーム部(240)の先端へ取付けられ、前記狭域撮像カメラは、前記ロボットアーム部(250)の先端へ取付けられ、
前記栽培されている作物は、前記カメラユニット(300)により行われた前記撮像の結果に基づいて、選択的に収穫されることを特徴とする作物収穫車両である。
第2の本発明は、前記ロボットアーム機構(200)の後方に貯留部としての前記コンテナー(500)を設け、
前記コンテナー(500)はコンテナーフォークリフト機構(400)により昇降され、
前記コンテナー(500)は前記車体(100)へ自由に脱着可能であるように積載され、前記コンテナーフォークリフト機構(400)と前記ロボットアーム機構(200)とを独立的に動作することを特徴とする第1の本発明の作物収穫車両である。
第3の本発明は、前記車体(100)の第一回目の走行は平均的な作物の大きさおよび色などを把握するティーチング工程を行い、前記車体(100)の第二回目の走行は収穫開始工程として行うことを特徴とする第1または第2の本発明の作物収穫車両である。
本発明に関連する第1の発明は、栽培されている作物を収穫するロボットアーム機構(200)と、
前記ロボットアーム機構(200)により前記収穫された作物を収納する、車体(100)へ取付けられたコンテナー(500)と、
を備え、
前記栽培されている作物は、選択的に収穫されることを特徴とする作物収穫車両である。
【0008】
本発明に関連する第2の発明は、前記栽培されている作物の撮像を行うカメラユニット(300)を備え、
前記栽培されている作物は、前記カメラユニット(300)により行われた前記撮像の結果に基づいて、選択的に収穫されることを特徴とする本発明に関連する第1の発明の作物収穫車両である。
【0009】
本発明に関連する第3の発明は、前記ロボットアーム機構(200)は、
前記栽培されている作物を保持するハンド部(210)と、
前記ハンド部(210)により前記保持された作物の重量測定を行う重量センサー部(220)と、
前記栽培されている作物を切断するカッター部(230)と、
を有し、
所定部位が前記カッター部(230)により切断されることにより、前記栽培されている作物は、前記重量センサー部(220)により行われた前記重量測定の結果に基づいて、選択的に収穫されることを特徴とする本発明に関連する第1または第2の発明の作物収穫車両である。
【0010】
本発明に関連する第4の発明は、前記栽培されている作物の内、廃棄されるべき前記作物の所定部位は、前記カッター部(230)により切断されることを特徴とする本発明に関連する第3の発明の作物収穫車両である。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、選択的な収穫を行うことが可能である。
本発明に関連する第1の発明により、選択的な収穫を行うことが可能である。
【0012】
本発明に関連する第2の発明により、本発明に関連する第1の発明の効果に加えて、より選択的な収穫を行うことが可能である。
【0013】
本発明に関連する第3の発明により、本発明に関連する第1または第2の発明の効果に加えて、選択的な収穫を正確に行うことが可能である。
【0014】
本発明に関連する第4の発明により、本発明に関連する第3の発明の効果に加えて、利便性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明における実施の形態のロボット収穫機の模式的な左側面図
図2】本発明における実施の形態のロボット収穫機の模式的な背面図
図3】本発明における実施の形態のロボット収穫機の模式的な斜視図
図4】本発明における実施の形態のロボット収穫機のハンド部の模式的な斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
本実施の形態のロボット収穫機は、本発明における作物収穫車両の例である。
【0018】
はじめに、図1から3を主として参照しながら、本実施の形態のロボット収穫機の構成および動作について具体的に説明する。
【0019】
ここに、図1は本発明における実施の形態のロボット収穫機の模式的な左側面図であり、図2は本発明における実施の形態のロボット収穫機の模式的な背面図であり、図3は本発明における実施の形態のロボット収穫機の模式的な斜視図である。
【0020】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあるし透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0021】
ロボットアーム機構200は、栽培されている作物を収穫するロボットアーム機構である。
【0022】
作物は南瓜、西瓜、キャベツ、白菜、レタス、ピーマンおよび苺などであり、栽培されている多数の苗の内、どの苗が収穫の対象であるのかが重要であり、さらに、苗のどの部分が収穫の対象であるのかもしばしば重要である。
【0023】
たとえば、圃場のどこで結実するのかを予想することが困難である南瓜および西瓜などについては、車体100の走行が収穫の対象である作物の畝に隣接する畝において行われるとともに、上下方向、車体前後方向および車体左右方向における縦横無尽なロボットアーム動作がしばしば要求される。
【0024】
結実地点が南瓜および西瓜などのように疎らであって生育スピードがバラつきやすくても、車体100の後方に取付けられたロボットアーム機構200はかなり大型であり、畝また圃場進入路に沿ったいわゆる側方作業が実現される。
【0025】
ロボットアーム機構200は、位置制御のためのポジションセンサーを有する、油圧機構、電動油圧機構および電動モーター機構などを利用して駆動されるので、重量が必ずしも小さくない作物の搬送が実現される。
【0026】
たとえば、電動油圧機構が利用される場合には、エンジンが停止されても、充電量が十分であれば油圧動作のための電動モーターは駆動可能であるので、ロボットアーム機構200は動作することができる。
【0027】
ロボットアーム機構200のロボットブーム部240およびロボットアーム部250は自由に屈伸可能である部材であり、ロボットアーム機構200のスイベル部260は、スイベルマウントフレーム261およびスイベルモーター262などを利用して設けられている、全体的なロボットアーム動作のための部材である。
【0028】
スイベルモーター262はスイベル部260のスイベル軸263を収納するスイベルマウントフレーム261へ内装されており、省スペース構成が実現される。
【0029】
平面視におけるロボットアーム機構200の動作範囲角度は180度を大きく超えないので、ロボットアーム機構200は車体100の後方からキャビンスペースへ侵入しない。
【0030】
作物が見つかると、収穫のための車体100の走行が必要に応じて行われ、作物の収穫およびコンテナー500への収納が終了すると、つぎの作物が探される。見つかった作物に対するロボットアーム機構200の概略位置合わせは、車体100の走行が行われていても、十分な概略位置合わせ精度で行われる。微修正をともなうロボットアーム機構200の精密位置合わせは、ロボットアーム振動が抑制されるように車体100の走行が停止された後に、十分な精密位置合わせ精度で行われる。
【0031】
ロボットアーム機構200が遠い作物へも届くように、ロボットアーム長さは十分に大きい。作物のコンテナー500への整列的な収納が行われるとき、損傷を惹起しやすい作物の落下が抑制されるように、自由に屈伸可能であるロボットブーム部240およびロボットアーム部250は十分に屈折される。
【0032】
ロボットブーム部240が車体100へ接続されるブーム回動支点の高さのみならず、スイベル部260の壁の高さも、昇降されるコンテナー500との干渉が発生しないように十分に大きい。
【0033】
たとえば、収穫のために切断される作物の根などに対する位置合わせ、および収穫された作物のコンテナー500の内部における段積みが容易に行われるように、ロボットアーム部250の先端にまたは根本にはテレスコピック機構が採用されていてもよい。ロボットアーム機構200は、このようなテレスコピック機構の収縮により、収納時にまたは移動時にコンパクト化される。
【0034】
コンテナー500は、ロボットアーム機構200により収穫された作物を収納する、車体100へ取付けられたコンテナーである。
【0035】
たとえば、実の重量が必ずしも小さくない南瓜および西瓜などについても、収穫された実がロボットアーム動作によりコンテナー500へスムーズに収納され、効率的なコンテナー運搬が実現される。
【0036】
ロボットアーム機構200の後方に取付けられた貯留部としてのコンテナー500は、コンテナー姿勢が変化しにくい3点リンク機構を利用するコンテナーフォークリフト機構400により昇降される。たとえば、車体100が圃場端に位置しており、コンテナー500の作物収納量が所定値に達していると認識されたとき、コンテナー500は作物積降ろしのために下降される。
【0037】
コンテナー500は車体100へ自由に脱着可能であるように積載されており、コンテナーフォークリフト機構400と独立的に動作するロボットアーム機構200により収穫された作物を収納するための専用の運搬台車は不要である。
【0038】
コンテナーフォークリフト機構400には、収納された作物のコンテナー500の内部における偏在が発生しにくいように、たとえば、コンテナー500の車体前後方向フォーク積載位置調節機構が設けられていることが望ましい。2本のフォークの間のコンテナー500の底部が下方へ向かって突出しており、突出しているコンテナー500の底部を収穫作業の途中で地面へ当接させることにより、浮上がるように持上げられたコンテナー500の車体前後方向におけるフォーク積載位置が調節されてもよい。2本のフォークの間の平坦なコンテナー500の底部を突出している畝面のような地面へ当接させることにより、コンテナー500の車体前後方向におけるフォーク積載位置が、調節されてもよい。
【0039】
車体100の側方幅範囲からはみ出ないように、車体左右方向におけるロボットブーム部240およびロボットアーム部250の屈折により、収納時にコンパクト化されるロボットアーム機構200は、作物がコンテナー500へ収納されていない場合には、ハンド部210がコンテナー500へ収納されるように後方へ向かって傾けられ、ブーム高さが抑制されてもよい。
【0040】
栽培されている作物は、選択的に収穫される。
【0041】
作物の収穫は、一斉に行われる一律的な収穫ではなく、選択的な収穫である。したがって、収穫効率が向上するのみならず、作物の生育状態がバラついていても、不適切な収穫が行われにくく廃棄が減少するので、いわゆる収穫率も向上する。
【0042】
つぎに、図1から3を主として参照しながら、本実施の形態のロボット収穫機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0043】
カメラユニット300は、栽培されている作物の撮像を行うカメラユニットである。
【0044】
栽培されている作物は、カメラユニット300により行われた撮像の結果に基づいて、選択的に収穫される。
【0045】
車体100の走行速度は基本的に低速度であるが、たとえば、車体100へ、または収穫部としてのロボットアーム機構200へ取付けられたカメラユニット300により行われた撮像の結果に基づいて、車体100の走行は停止され、収穫が行われる。
【0046】
たとえば、栽培されている作物の大きさおよび色などに関する値が、撮像の結果に基づいて、所定値に達していると認識されたとき、作物の畝の上方に常に位置するロボットアーム部250は作物へ向かって動作する。
【0047】
カメラユニット300により行われた撮像の結果は、モニターとしてのタブレット端末装置600において搭乗作業者のために表示されてもよい。
【0048】
車体100の走行は、作物の畝に隣接する畝において自動走行機能を利用して行われてもよい。撮像がカメラユニット300により正確に行われるように車体100の走行速度が調節されるとともに、ロボットアーム機構200の動作範囲内において、ロボットアーム部250は車体100の旋回に応じて旋回反対側の畝の上方に常に位置するように動作し、無人収穫作業が実現される。
【0049】
車体100の第一回目の走行は平均的な作物の大きさおよび色などを把握するためのいわゆるティーチング工程として行われ、車体100の第二回目の走行が収穫開始工程として行われてもよい。たとえば、車体100の走行が行われた畝、または隣接する畝において栽培されている作物の大きさおよび色などに関する値が平均値に達していると認識されたとき、栽培されている作物は収穫される。
【0050】
作物の選択的な収穫は、自動で行われてもよいが、半自動でまたは手動で行われてもよい。
【0051】
カメラユニット300のカメラにより行われた撮像の結果がタブレット端末装置600において表示されるのみならず、栽培されている作物は搭乗作業者のパネルタッチ操作による選択の結果に基づいて収穫されてもよい。
【0052】
たとえば、圃場が見渡される上方の視点から全体的な作物の撮像を行うための広域撮像カメラにより行われた撮像の結果のみならず、狭域撮像カメラにより行われた撮像の結果も、タブレット端末装置600において収穫される作物の最終的な選択のために表示される。
【0053】
車体100を走行させるための運転操作、およびロボットアーム機構200のアーム操作は自動で行われ、このような収穫される作物の最終的な選択は半自動でまたは手動で行われてもよい。
【0054】
たとえば、広域撮像カメラおよび狭域撮像カメラにより行われた撮像の結果が表示された後に、収穫される作物の候補として自動で判別された一つの作物が最終的な選択のためにパネルタッチ操作によりロックオンされてもよいし、自動でサブロックオンされたいくつかの作物の内、一つの作物がパネルタッチ操作により手動で選択されてもよい。利便性が向上するように、サブロックオンされた全ての作物を一括的に自動で選択するための一括的自動選択モードが設けられていることが望ましい。
【0055】
たとえば、収穫される作物の候補として自動で作物を判別するための作物の大きさおよび色などに関する値の上限閾値および下限閾値などは、搭乗作業者により調節される。
【0056】
車体100の全ての走行は、カメラユニット300により行われた撮像の結果が圃場管理などのために記録される、ティーチング工程として行われてもよい。作物の生育状態が遠隔的に認識されるので、収穫時期が最適化される。
【0057】
車体100の走行における変速は、たとえば、ショックが小さくロボットアーム先端揺れが抑制される、無段変速である。車体100は、たとえば、収穫されない作物が踏まれないように跨がれる、大きい車高のいわゆるハイクリアランス車体である。
【0058】
走行経路は、画像認識データにのみならず、畝立て時などに得られたGNSS(Global Navigation Satellite System)データにも基づいて設定される。収穫される作物と圃場土壌との間の区別も、画像認識データおよびGNSSデータに基づいて行われる。
【0059】
圃場進入路からのロボットブーム部240およびロボットアーム部250の伸長により、圃場端の一列の畝についてのいわゆる全量収穫が圃場進入時に行われてもよい。
【0060】
作物の収穫は、車体100の前進のみならず車体100の後進を利用して行われてもよい。
【0061】
ロボットアーム機構200は、栽培されている作物を保持するハンド部210と、ハンド部210により保持された作物の重量測定を行う重量センサー部220と、栽培されている作物を切断するカッター部230と、を有する。
【0062】
ロボットアーム機構200の先端ハンドとしてのハンド部210は、上下動作および開閉動作を行うのみならず、ローリング機能による左右回転動作も行うので、作物キャッチ角度は自由に調節可能である。
【0063】
本発明における実施の形態のロボット収穫機のハンド部210の模式的な斜視図である図4に示されているように、ハンド部210の形状は、各々の指が略球形状の作物へフィットするように独立的に動作する、多指形状である。たとえば、開閉される左右一対の指が協働しながら作物へフィットするように、ハンド部210の指はスプリングを利用して構成されている。
【0064】
広域撮像カメラが車体100のキャビンルーフなどへ取付けられているとともに、作物の形状および作物までの距離などを認識するためのステレオ複眼カメラのような狭域撮像カメラがハンド部210へ取付けられていてもよい。
【0065】
広域撮像カメラは、ロボットアーム部250がロボットブーム部240へ接続される、ロボットブーム部240の先端へ取付けられていてもよい。狭域撮像カメラは、ハンド部210の上述された動作の影響が抑制されるように、ロボットアーム部250の先端へ固定的に取付けられていてもよい。過度な車体100の前進が行われた場合には、自動走行機能による車体100の後進とともに、ロボットアーム機構200の位置合わせが広域撮像カメラおよび狭域撮像カメラを併せて利用することにより正確に行われる。
【0066】
所定部位がカッター部230により切断されることにより、栽培されている作物は、重量センサー部220により行われた重量測定の結果に基づいて、選択的に収穫される。
【0067】
たとえば、蔓を有する南瓜および西瓜などについては、ロードセルを有する重量センサー部220の圧力センサーにより、切断の前にハンド部210により保持された結実した作物の実の重量測定が行われる。
【0068】
作物の茎または根などは、カッター部230により切断される。
【0069】
カッター部230の上側および下側の少なくとも一方の側にはカッターが設けられており、上側のカッターは南瓜および西瓜などのような作物の収穫に利用され、下側のカッターはキャベツおよび白菜などのような作物の収穫に利用される。
【0070】
ロボットアーム機構200は、作物の収穫のみならず、カッター部230による繁茂した作物の葉などの切断、またはハンド部210による結実した作物の実などの向き修正を行ってもよい。
【0071】
栽培されている作物の内、廃棄されるべき作物の所定部位は、カッター部230により切断される。
【0072】
車体100の全ての走行が上述されたようにティーチング工程として行われるが、異形または変色などをともなう病気が発生している作物は収穫を待たずにティーチング工程において除去されてもよい。除去された作物は、収穫された作物が収納されていない、コンテナー500へ収納され、作物の病気の発生が基地局のパーソナルコンピューターまたは携帯電話へ通知される。作物の病気の発生が速やかに認識されるのみならず、病気が発生している作物の除去は病気が発生していない作物への十分な栄養供給を促進する。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明における作物収穫車両は、選択的な収穫を行うことができ、ロボット収穫機などのような作物収穫車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0074】
100 車体
200 ロボットアーム機構
210 ハンド部
220 重量センサー部
230 カッター部
240 ロボットブーム部
250 ロボットアーム部
260 スイベル部
261 スイベルマウントフレーム
262 スイベルモーター
263 スイベル軸
300 カメラユニット
400 コンテナーフォークリフト機構
500 コンテナー
600 タブレット端末装置
図1
図2
図3
図4