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  • 特許-イオン液体を用いた平滑材料の固定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】イオン液体を用いた平滑材料の固定方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/12 20060101AFI20240827BHJP
   B32B 37/12 20060101ALI20240827BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20240827BHJP
   C04B 37/00 20060101ALI20240827BHJP
   C03C 27/10 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B32B7/12
B32B37/12
C09J5/00
C04B37/00 A
C03C27/10 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020035825
(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公開番号】P2021137995
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004374
【氏名又は名称】日清紡ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 現
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/104002(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/064925(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/170663(WO,A1)
【文献】特開2005-028624(JP,A)
【文献】特開2002-003655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
C03C27/10
C09J1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン液体を含浸しない平滑材料同士の間にイオン液体を介在させ、これらの平滑材料同士を固定化する平滑材料の固定方法であって、
前記イオン液体が、下記式(1)で表される第4級アンモニウム塩型イオン液体、イミダゾリウム塩型イオン液体、ピリジニウム塩型イオン液体、第4級ホスホニウム塩型イオン液体、コリン型イオン液体、またはスルホニウム塩型イオン液体である平滑材料の固定化方法。
【化1】
(式(1)において、R 1 ~R 4 は、それぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基、または-(CH 2 n -ORで示されるアルコキシアルキル基(nは、1または2の整数を表す。)を表し、Rは、炭素数1~4のアルキル基を表すが、R 1 ~R 4 のいずれか1つはアルコキシアルキル基であり、X - は1価のアニオンを表す。)
【請求項2】
第1の平滑材料の表面に、イオン液体を塗布または滴下し、その上に第2の平滑材料を貼付して固定化する請求項1記載の平滑材料の固定方法。
【請求項3】
前記平滑材料が、金属、ガラス、石英ガラス、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物、樹脂およびこれらの複合材料である請求項1または2記載の平滑材料の固定方法。
【請求項4】
前記イオン液体が、下記式(2)または(3)で表される第4級アンモニウム塩型イオン液体である請求項1または2記載の平滑材料の固定方法。
【化2】
(式中、R 1 ~R 3 、R、nおよびXは、前記と同じ意味を表す。)
【請求項5】
基板上に、イオン液体を介して基材を固定化した後、この基材の表面に、スピンコート法によって積層材料を塗布する工程を含む積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン液体を用いた平滑材料の固定方法に関し、さらに詳述すると、水貼り法の液体としてイオン液体を用い、平滑材料を固定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチック製の断熱シート等の平滑材料をガラス窓に貼り、暖房や冷房の効率を高めることが行われている。
このような断熱シートとして、ガラス面に水を塗ってそこへシートを押し付ける、いわゆる「水貼り」が可能なシートが報告されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
しかし、これらの従来法では、水貼りが可能となるように、シートを構成する樹脂の材質を改良したり、シート自体の構造を特殊なものとしたりする等、特殊な材料や構造のシートを用いる必要があり、汎用性に欠ける。
また、水で固定化する以上、揮発等によって長期的に固定状態を維持することは困難である上、剥離の際に静電気が発生する等の問題もある。
【0004】
さらに、水貼り法では、使用する液体の沸点以上の高温で接合したり、高温下で接合状態を維持したりすることは難しいうえ、高真空下で接合状態を維持することも難しい。
【0005】
一方、従来、半導体ウェハなどの基材を加工(ダイシング、裏面研削、フォトファブリケーション等)や移動(ある装置から別の装置へ基材を移動)するに際して、支持体から基材がずれて動かないように、基材と支持体とを仮固定する手法が用いられている。
この仮固定材としては、種々の粘着剤や接着剤が用いられているものの、粘着剤の種類によっては粘着剤成分が剥離面に残る、剥離時に静電気が発生して不具合を生じる、温度変化による材料の収縮・伸長に対応できない場合がある等の問題がある。
【0006】
また、特許文献3では、所定の仮固定用組成物からなる剥離層および接着層を用いる手法が開示され、この手法では仮固定材が剥離面に残る等の問題は生じないものの、接着層および剥離層をそれぞれ部分的に形成した仮固定材を作製する必要があり、仮固定材自体の作製が煩雑で、簡便な手法であるとは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-003655号公報
【文献】特開2005-028624号公報
【文献】特開2013-084950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、水貼り法を利用した、簡便で汎用性の高い平滑材料の固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、水貼り用の液体としてイオン液体を用いることで、イオン液体を含浸しない種々の平滑材料同士を簡便かつ容易に固定でき、また固定化した平滑材料を容易に剥離可能であることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、
1. イオン液体を含浸しない平滑材料同士の間にイオン液体を介在させ、これらの平滑材料同士を固定化することを特徴とする平滑材料の固定方法、
2. 第1の平滑材料の表面に、イオン液体を塗布または滴下し、その上に第2の平滑材料を貼付して固定化する1の平滑材料の固定方法、
3. 前記平滑材料が、金属、ガラス、石英ガラス、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物、樹脂およびこれらの複合材料である1または2の平滑材料の固定方法、
4. 前記イオン液体が、第4級アンモニウム塩型イオン液体である1~3のいずれかの平滑材料の固定方法、
5. 基板上に、イオン液体を介して基材を固定化した後、この基材の表面に、スピンコート法によって積層材料を塗布する工程を含む積層体の製造方法
を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表面平滑な材料同士を、イオン液体を用い、水貼り法という簡便な手段で剥離容易な状態で接合、固定化することができる。
また、不揮発性のイオン液体を介在させて平滑材料同士を接合、固定化しているため、真空下、高温下でも、その接合状態を保つことができ、また温度変化による材料の収縮・伸長にも対応できる。
また、接合・固定化にイオン液体を用いているため、剥離も容易であるうえ、剥離時に静電気が発生せず、さらに、固定化に用いたイオン液体は、剥離後、拭き取り等によって容易に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例2および比較例1において、PETフィルム上にイオン液体および水道水を滴下した位置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る平滑材料の固定方法は、イオン液体を含浸しない平滑材料同士の間にイオン液体を介在させ、これらの平滑材料同士を固定化することを特徴とする。
平滑材料としては、イオン液体を含浸しない限り特に限定されるものではないが、本発明では、特に、金属、ガラス、石英ガラス、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)、樹脂およびこれらの複合材料が好ましい。
【0014】
樹脂の具体例としては、ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、トリアセチルセルロースなどが挙げられる。
【0015】
また、平滑材料の形状も特に制限はないが、本発明では固定方法という性質上、特に、板状、シート状、フィルム状のものが好適に利用できる。
【0016】
イオン液体としては、第4級アンモニウム塩型、イミダゾリウム塩型、ピリジニウム塩型、第4級ホスホニウム塩型、コリン型、スルホニウム塩型イオン液体等の従来公知のイオン液体から適宜選択して用いることができる。イオン液体種は多種多様であることから使用状況に応じ適切なイオン液体を選択することが可能であり、例えば窓ガラス等への貼り付け等、環境、人体への影響が懸念される場合には毒性が少ないと思われるコリン等のカチオンと酢酸、アミノ酸、サッカリネート等のアニオンの組み合わせのイオン液体を選択可能であり、高温下で用いる場合には耐熱性の良いホスホニウム塩のカチオンとビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドイオン(TFSA)等のフッ素系アニオンの組み合わせのものを選ぶことができる。一般的な基準からすると、25℃程度の常温で液体のイオン液体が好ましく、経済性、環境面を考慮すると第4級アンモニウム塩型のイオン液体がより好ましく、下記式(1)で示されるイオン液体がより一層好ましい。なお、これらのイオン液体は、市販品として入手できるものもあり、多くは公知の方法で簡便に合成できるものである。
【0017】
【化1】
【0018】
式(1)において、R1~R4は、それぞれ独立して、炭素数1~4、好ましくは炭素数1~3のアルキル基、または-(CH2n-ORで示されるアルコキシアルキル基(nは、1または2の整数を表す。)を表し、Rは、炭素数1~4、好ましくは炭素数1~3のアルキル基を表すが、R1~R4のいずれか1つはアルコキシアルキル基であり、X-は1価のアニオンを表す。
【0019】
炭素数1~4のアルキル基としては、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、c-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、c-ブチル基等が挙げられるが、R1~R4およびRのいずれにおいても、メチル基、エチル基が好ましい。
【0020】
また、R1~R4は、いずれか2つが互いに結合して窒素原子とともに環を形成していてもよい。
そのような環構造としては、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、アゼパン環等が挙げられるが、ピロリジン環、ピペラジン環が好ましく、ピロリジン環がより好ましい。
【0021】
本発明において、特に好適なイオン液体としては、下記式(2)および(3)で表されるものが挙げられる。
【0022】
【化2】
(式中、R1~R4、R、nおよびXは、上記と同じ意味を表す。)
【0023】
上記式(2)で示されるイオン液体を構成するカチオン構造の好適例としては下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
【化3】
【0025】
中でも下記(A)のカチオン構造が好ましい。
【0026】
【化4】
【0027】
上記式(3)で示されるイオン液体を構成するカチオン構造の好適例としては下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
【化5】
【0029】
中でも下記(B)のカチオン構造が好ましい。
【0030】
【化6】
【0031】
-の1価のアニオンとしては、イオン液体を構成する従来公知の1価のアニオンから適宜選択することができる。
その具体例としては、BF4 -、BF(CN)3 -、PF6 -、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドイオン)(TFSA)、ビス(フルオロスルホニル)アミドイオン(FSA)、トリフルオロメタンスルホン酸、アルキル硫酸エステルアニオン、アルキルリン酸エステルアニオン、アルキル亜リン酸エステルアニオン、アミノ酸類、カルボン酸類、ハロゲン類、硝酸アニオン、サッカリネートアニオン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
特に、本発明で用いるイオン液体としては、多くのアニオン種とイオン液体を形成する能力が高いことから下記式(2-1)および(3-1)で示されるイオン液体が好ましく、高温や、高真空下での使用を考慮すると式(2-1)で示されるイオン液体がより好ましい。
【0033】
【化7】
【0034】
本発明の平滑材料の固定方法の具体的な手法としては、例えば、第1の平滑材料の表面にイオン液体を塗布または滴下し、その上に第2の平滑材料を貼付して固定化する手法が挙げられ、この際、第1および第2平滑材料は、いずれが固定材料でも被固定材料でもよく、第1平滑材料および第2平滑材料は、同一素材の材料でも異種素材の材料でもよい。
また、平滑材料は2個に限らず、3個以上であってもよく、その場合、3層以上の積層体として固定されている態様でも、1つの平滑材料の上に、2個以上の平滑材料が別々に固定されている態様でもよい。
なお、第1の平滑材料表面におけるイオン液体の塗布または滴下の面積は、第1および第2の平滑材料が固定化できる限り任意であり、第1の平滑材料の全面に塗布または滴下しても、その一部のみに塗布または滴下してもよい。また、塗布の手法も任意であり、公知の手法から適宜選択すればよい。
【0035】
例えば、窓ガラスを基材とし、これにPETフィルムを固定化する場合、窓ガラスにイオン液体を塗布または滴下し、これにPETフィルムを押し付けて貼り合わせて固定しても、PETフィルム表面にイオン液体を塗布または滴下した状態でこれを窓ガラスに押し付けて貼り合わせて固定してもよい。
このように、室温付近での利用でこの手法を加熱下、真空下等で用いない場合は、イオン液体と相溶する有機溶媒、水等の溶剤を加え、イオン液体の粘度を下げて使用することも可能である。その場合、霧吹き等で先に固定したい窓ガラス等の基材側にイオン液体を含む溶液を噴霧し、その後固定するPETフィルムを押し付けて固定しても良い。この場合完全に溶剤が揮発してイオン液体のみとなるのを待ってから押し付けて固定してもよいが、残留分に多少の溶剤成分が残っていても押し付けて固定可能である。
【0036】
また、例えば、ガラス基板上に、イオン液体を介してITO基板等の基材を固定する場合も、ガラス基板にイオン液体を塗布または滴下し、これにITO基板を押し付けて貼り合わせて固定しても、ITO基板におけるガラスとの接合面にイオン液体を塗布または滴下した状態でこれをガラス基板に押し付けて貼り合わせて固定してもよい。
この場合、ガラス基板に固定されたITO基板上に、さらにスピンコート法により正孔輸送層作製用インク等の機能性薄膜作製用インク(積層材料)を塗布し、これを焼成して積層体を得ることができる。この2層からなる積層体は、その状態でガラス基板から剥離してもよく、さらに発光層、電子輸送層、陰極等のその他の機能層を積層して素子を作製した後にガラス基板から剥離してもよい。この場合、イオン液体にて固定化しているため、発光層等を真空蒸着で作製する場合でもそのまま使用することができる。
このように、本発明の平滑材料の固定方法は、有機EL素子や半導体素子等の電子デバイスの作製に好適に適用できる。
【0037】
本発明の平滑材料の固定方法を用いて固定化された平滑材料は、上述のとおり、イオン液体が揮発性を有しないため長期に亘って固定状態を維持することができるという利点を有しており、例えば、断熱シートや遮光シート等を窓ガラス等に貼り付けて固定して使用する場合、シートの交換時まで固定状態を維持することができる。
その一方で、液体による水貼り法で固定化しているため、固定化した平滑材料を剥離することも容易であり、剥離面も拭き取り等によって容易に清浄化することができるため、上述した電子デバイス作製時の仮固定にも適している。
【実施例
【0038】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0039】
[1]スピンコート時の基材固定
ITO付きPETフィルム((株)厚木ミクロ製)上に、ポリ(4-スチレンスルホン酸)をドープしたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT/PSS溶液、商品名CLEVIOS(登録商標) P VP AI 4083、H.C.スタルク(株))をスピンコートし、焼き付ける際に以下の2つの方法を用いた。
【0040】
[比較例1]
ガラス基板(50mm×5mm、厚さ1mm)上に、同サイズに切った両面接着シートNW-5302A(日東電工(株)製)を、アクリル系接着面を用いて貼り付けた。両面接着シートのシリコーン系接着面を露出させ、ITO付きPETフィルム(50mm×50mm、厚さ0.25mm)をITO面が上になるようにし、ガラス基板とぴったり重なる様に貼り付け固定した。
この部材を、スピンコータ(ACT-220AII、(株)アクティブ製)に付属の専用治具に載せてバキューム方式で固定した。部材上にPEDOT/PSS溶液を、シリンジを用いて全面をPEDOT/PSS溶液が覆うまで滴下した。その後、1000rpm、1分間の条件でスピンコートを行った。バキューム解除後、この部材を表面温度120℃に加熱したホットプレート上に載せ、1時間加熱を行った。ホットプレートから外して放冷後、スピンコートしたITO付きPETフィルムを剥がそうとしたが、粘着層が加熱により凝固して容易に剥離しなかった。無理やり剥がしたところ、成膜面は目視で分かるほど剥離操作によりスジが入り均一性が損なわれていた。
【0041】
[実施例1]
ガラス基板(50mm×50mm、厚さ1mm)上に、イオン液体(N-(2-メトキシエチル)-N-メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(MEMP・TFSA)、関東化学(株)製)をスポイトで1滴たらした後、ITO付きPETフィルム(50mm×50mm、厚さ0.25mm)を、ITO面を上、PET面を下にし、イオン液体が全体に拡がる様に載せ、ガラス基板とぴったり重なる様に固定した。
比較例1と同様にしてスピンコート、焼き付けを行った。放冷後、ガラス基板からITO付きPETフィルムを剥がす際、端部に少しの力を加えるだけで容易にPETフィルムがずれて、そこから簡単に剥離できた。ストレスをかけることなくフィルムを剥がせたことから成膜面も均一維持したままのものが得られた。
【0042】
[2]ガラスへの樹脂フィルムの貼り付け
[実施例2および比較例1]
市販のPETフィルム(ルミラー#100S10 厚さ100μm)を50mm×50mm角に切ったものに以下のイオン液体1~5の5種および比較として水道水を、図1に「×」で示した5点に各点1滴ずつたらし、できるだけこぼさないようにして窓ガラスへ押し付け固定した。その結果、水道水を用いたものは翌日剥がれ落ちたがその他のフィルムは1か月以上張り付いたままであった。
〔使用イオン液体〕
イオン液体1:コリンアラニン(Choline-Ala)
イオン液体2:N,N-ジエチル-N-(2-メトキシエチル)-N-メチルアンモニウム トリフルオロメチルスルホネート(DEME・CF3SO3
イオン液体3:トリブチルドデシルホスホニウム ビス(フルオロスルホニル)アミド
(BDDP・FSA)
イオン液体4:1-エチル-3-メチルイミダゾリウム アセテート(EMI・AcO)
イオン液体5:N-(2-メトキシエチル)-N-メチルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(MEMP・TFSA)
図1