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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20240827BHJP
   B65H 1/26 20060101ALI20240827BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240827BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B65H5/06 P
B65H1/26 314Z
G03G21/16 133
G03G21/16 138
B41J29/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020064255
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021160884
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】宮瀬 悟吏
(72)【発明者】
【氏名】三本 匡雄
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-156088(JP,A)
【文献】特開2018-172182(JP,A)
【文献】特開2015-066934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/06
B65H 1/26
G03G 21/16
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口と、上記第1開口から離間する第2開口とが形成された筐体と、
上記筐体に設けられ、上記第2開口を閉塞する閉位置と、上記第2開口を開放する開位置の間で移動可能なカバーと、
上記第1開口を通じて上記筐体内の装着位置へと向かう装着向きへと移動し、且つ上記装着向きと逆向きの引出向きに上記装着位置から移動可能であり、シートを支持するトレイと、
シートの搬送路と、
上記搬送路で互いに当接し且つ上記搬送路のシートを下流へと搬送する下ローラおよび上ローラを含み、上記下ローラが上記上ローラより下方にあるローラ対と、
上記搬送路において上記ローラ対より下流の位置でシートを支持するプラテンと、
上記プラテンに支持されるシートへとインクを吐出する記録ヘッドと、
上記プラテンより上記搬送路の下流側に位置し、上記搬送路と交差する交差方向に延びる第1シャフトと、
上記第1シャフトに取り付けられ、上記搬送路内の上記シートを搬送する第3ローラと、
上記トレイの上記引出向きへの移動に連動し、上記プラテンの上記装着向きにおける第1端部を、上記プラテンがシートを支持する第1支持位置から、上記第1支持位置より下方の位置で上記第2開口を通じてアクセス可能な第1下位置へと移動させ、上記下ローラを、上記上ローラと当接する第1当接位置から、上記上ローラから下方に離間し且つ上記第2開口を通じてアクセス可能な第2下位置に移動させる移動機構と、を備えており、
上記下ローラは、上記第1端部に取り付けられており、
上記トレイは、上記シートの支持面から上方に延びる側壁と、上記側壁から上記交差方向に突出する第1突起とを有し、
上記移動機構は、
上記第1シャフトに回転可能に支持されており、上記下ローラおよび上記プラテンを支持するフレームと、
上記筐体に設けられ、上記装着位置のトレイより上方で上記引出向きに延びるガイド部材と、
上記筐体に設けられ、上記ガイド部材より上方で上記交差方向に延びる第2シャフトと、
上記フレームを支持して上記プラテンを上記第1支持位置に位置決める第2支持位置と、上記第2支持位置より上記引出向きの位置であり且つ上記フレームを支持しない不支持位置との間で移動可能に上記ガイド部材に支持され、上記第2シャフトより下方の位置で上記引出向きに間隙をあけて並ぶ第1当接部および第2当接部を有するリンクロッドと、
上記第2シャフトに回転可能に支持される基端部と、上記基端部から上記間隙を通って上記トレイの水平面より下方に至る延出端部とを有し、上記トレイが装着位置にあるときに上記第1突起より上記引出向きに位置するリリースレバーとを備え、
上記リリースレバーは、上記トレイが上記引出向きに移動中に上記第1突起が当接することで上記第2シャフト周りに回動し、上記第1当接部を上記引出向きに押圧し、
上記リンクロッドは、上記リリースレバーの押圧により上記引出向きに移動することで、上記第2支持位置から上記不支持位置へと移動し、
上記第1端部および上記下ローラは、上記リンクロッドが上記不支持位置へと移動することで落下する画像記録装置。
【請求項2】
第1開口と、上記第1開口から離間する第2開口とが形成された筐体と、
上記筐体に設けられ、上記第2開口を閉塞する閉位置と、上記第2開口を開放する開位置の間で移動可能なカバーと、
上記第1開口を通じて上記筐体内の装着位置へと向かう装着向きへと移動し、且つ上記装着向きと逆向きの引出向きに上記装着位置から移動可能であり、シートを支持するトレイと、
シートの搬送路と、
上記搬送路で互いに当接し且つ上記搬送路のシートを下流へと搬送する下ローラおよび上ローラを含み、上記下ローラが上記上ローラより下方にあるローラ対と、
上記搬送路において上記ローラ対より下流の位置でシートを支持するプラテンと、
上記プラテンに支持されるシートへとインクを吐出する記録ヘッドと、
上記下ローラおよび上記プラテンを支持するフレームを備えており、上記トレイの上記引出向きへの移動に連動し、上記プラテンの上記装着向きにおける第1端部を、上記プラテンがシートを支持する第1支持位置から、上記第1支持位置より下方の位置で上記第2開口を通じてアクセス可能な第1下位置へと移動させ、上記下ローラを、上記上ローラと当接する第1当接位置から、上記上ローラから下方に離間し且つ上記第2開口を通じてアクセス可能な第2下位置に移動させる移動機構と、
上記搬送路と交差する交差方向に延び且つ上記下ローラが取り付けられる第3シャフトと、
上記下ローラが回転可能に上記第3シャフトを支持し、上記フレームにより支持されるホルダと、
上記第3シャフトと上記フレームとの間に介在し、上記第3シャフトを付勢する付勢部材と、を備えており、
上記下ローラは、上記第1端部に取り付けられている画像記録装置。
【請求項3】
上記プラテンより上記搬送路の下流側に位置し、上記交差方向に延びる第1シャフトを備え、
上記フレームは、上記第1シャフトに回転可能に支持される請求項に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記第1シャフトに取り付けられ、上記搬送路内の上記シートを搬送する第3ローラを備える請求項に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記トレイは、上記シートの支持面から上方に延びる側壁と、上記側壁から上記交差方向に突出する第1突起とを有し、
上記移動機構は、
上記筐体に設けられ、上記装着位置のトレイより上方で上記引出向きに延びるガイド部材と、
上記筐体に設けられ、上記ガイド部材より上方で上記交差方向に延びる第2シャフトと、
上記フレームを支持して上記プラテンを上記第1支持位置に位置決める第2支持位置と、上記第2支持位置より上記引出向きの位置であり且つ上記フレームを支持しない不支持位置との間で移動可能に上記ガイド部材に支持され、上記第2シャフトより下方の位置で上記引出向きに間隙をあけて並ぶ第1当接部および第2当接部を有するリンクロッドと、
上記第2シャフトに回転可能に支持される基端部と、上記基端部から上記間隙を通って上記トレイの水平面より下方に至る延出端部とを有し、上記トレイが装着位置にあるときに上記第1突起より上記引出向きに位置するリリースレバーとを備え、
上記リリースレバーは、上記トレイが上記引出向きに移動中に上記第1突起が当接することで上記第2シャフト周りに回動し、上記第1当接部を上記引出向きに押圧し、
上記リンクロッドは、上記リリースレバーの押圧により上記引出向きに移動することで、上記第2支持位置から上記不支持位置へと移動し、
上記第1端部および上記下ローラは、上記リンクロッドが上記不支持位置へと移動することで落下する請求項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記下ローラは、上記上ローラの回転により従動回転する請求項1からのいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記搬送路は、上記装着位置のトレイから上方に延びつつ上記引出向きへと湾曲する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項8】
第1開口と、上記第1開口から離間する第2開口とが形成された筐体と、
上記筐体に設けられ、上記第2開口を閉塞する閉位置と、上記第2開口を開放する開位置の間で移動可能なカバーと、
上記第1開口を通じて上記筐体内の装着位置へと向かう装着向きへと移動し、且つ上記装着向きと逆向きの引出向きに上記装着位置から移動可能であり、シートを支持するトレイと、
シートの第1搬送路と、
上記第1搬送路で互いに当接し且つ上記第1搬送路のシートを下流へと搬送する下ローラおよび上ローラを含み、上記下ローラが上記上ローラより下方にあるローラ対と、
上記第1搬送路において上記ローラ対より下流の位置でシートを支持するプラテンと、
上記プラテンに支持されるシートへとインクを吐出する記録ヘッドと、
上記第1搬送路における上記記録ヘッドよりも下流の分岐位置から分岐して上記第1搬送路における上記記録ヘッドよりも上流の合流位置へ合流する第2搬送路と、
上記第2搬送路を区画しており、上下方向において上記プラテンと上記トレイとの間に位置しており、シートを支持するガイド部材と、
上記トレイの上記引出向きへの移動に連動し、上記プラテンの上記装着向きにおける第1端部を、上記プラテンがシートを支持する第1支持位置から、上記第1支持位置より下方の位置で上記第2開口を通じてアクセス可能な第1下位置へと移動させ、上記下ローラを、上記上ローラと当接する第1当接位置から、上記上ローラから下方に離間し且つ上記第2開口を通じてアクセス可能な第2下位置に移動させる移動機構とを備える画像記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下記の画像記録装置が開示されている。画像記録装置では、画像記録時、搬送ローラ対に含まれる各ローラは、上下方向において互いに当接して回転する。これにより、搬送ローラ対は、供給トレイから搬送路に送り出されたシートをニップし、前方へと送り出す。プラテンは、搬送ローラ対よりも前方に設けられ、シートを支持する。記録ヘッドは、プラテン上のシートに画像を記録する。画像記録時、プラテンは、記録ヘッドからギャップをあけて下方で対向する基準位置にある。
【0003】
画像記録装置では、プラテンの周辺でジャムが発生すると、ユーザは、供給トレイを筐体から抜去した後、収容空間に手を入れて、筐体内に設けられたロックレバーを操作する。収容空間は、筐体において供給トレイが収容されていた空間であり、前方に向けて開放された開口を有する。ロックレバーの操作に応じて、プラテンは、下側のローラの回転軸周りに回動し、基準位置よりも記録ヘッドから離れた開放位置に移動する。その後、ユーザは、ジャム処理を行う(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-66934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像記録装置では、プラテンは筐体の前面から筐体の奥側に離れて位置するため、ユーザは、ジャム処理のために、収容空間の開口から奥の方まで手を入れる必要がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プラテンの周辺でのジャムを処理し易い画像記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像記録装置は、第1開口と、上記第1開口から離間する第2開口とが形成された筐体と、上記筐体に設けられ、上記第2開口を閉塞する閉位置と、上記第2開口を開放する開位置の間で移動可能なカバーと、上記第1開口を通じて上記筐体内の装着位置へと向かう装着向きへと移動し、且つ上記装着向きと逆向きの引出向きに上記装着位置から移動可能であり、シートを支持するトレイと、シートの搬送路と、上記搬送路で互いに当接し且つ上記搬送路のシートを下流へと搬送する下ローラおよび上ローラを含み、上記下ローラが上記上ローラより下方にあるローラ対と、上記搬送路において上記ローラ対より下流の位置でシートを支持するプラテンと、上記プラテンに支持されるシートへとインクを吐出する記録ヘッドと、上記トレイの上記引出向きへの移動に連動し、上記プラテンの上記装着向きにおける第1端部を、上記プラテンがシートを支持する第1支持位置から、上記第1支持位置より下方の位置で上記第2開口を通じてアクセス可能な第1下位置へと移動させ、上記下ローラを、上記上ローラと当接する第1当接位置から、上記上ローラから下方に離間し且つ上記第2開口を通じてアクセス可能な第2下位置に移動させる移動機構とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る画像記録装置によれば、プラテン上およびその周辺で詰まったシートを除去し易く、画像記録装置の低背化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】複合機10の外観構成を示す斜視図であり、(A),(B)は、前面側および背面側をそれぞれ示す。
図2図1の通紙中心面Cに沿うプリンタ部30の縦断面を示す模式図である。
図3】(A)は、供給トレイ31が装着位置P2にあるときのプリンタ部30を左方から見たときの模式図であり、(B)は、左側壁313を右方から見たときの模式図である。
図4】(A)は、供給トレイ31が引き出されたときのプリンタ部30を左方から見たときの模式図であり、(B)は、同図(A)のフレーム51の左前隅に形成される突片511を上方から見たときの模式図であり、(C)は、同図(A)のリンクロッド52およびリリースレバー52を左側面図である。
図5】プリンタ部30の構成要素(ローラ381を除く)を右斜め前方且つ上方から見た時の斜視図である。
図6】プリンタ部30の構成要素(ローラ381を含む)を右斜め前方且つ上方から見た時の斜視図である。
図7】プリンタ部30の構成要素を右斜め後方且つ下方から見た時の斜視図である。
図8】プラテン36が図4(A)に示す離間位置P7bにあるときのプリンタ部30の構成要素を右斜め後方且つ下方から見た時の斜視図である。
図9】プラテン36が離間位置P7b(図4(A)参照)にあるときのプリンタ部30の背面図である。
図10】プラテン36がシート支持位置P7a(図3(A)参照)にあるときのプリンタ部30の背面図である。
図11】供給トレイ31の装着過程および引出過程におけるプリンタ部30の状態を示す第1の模式図であり、(A)は、供給トレイ31が内部空間22にない状態を示し、(B)は、供給トレイ31が給送アーム332に当接している状態を示す。
図12】供給トレイ31の装着過程および引出過程におけるプリンタ部30の状態を示す第2の模式図であり、(A)は、カムフォロワ335およびカムフォロワ335が延出端面313A上で相対移動している状態を示し、(B)は、突起313Fがリリースレバー53に当接している状態を示す。
図13】供給トレイ31の装着過程および引出過程におけるプリンタ部30の状態を示す第3の模式図であり、(A)は、リリースレバー53の延出端部が突起313Fの後面313Pよりも前方に移動した状態を示し、(B)は、供給トレイ31が装着位置P2から前方に引き出され始めた状態を示す。
図14】供給トレイ31の装着過程および引出過程におけるプリンタ部30の状態を示す第4の模式図であり、リリースレバー53が前面313Qに当接している状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、第1開口21Aが設けられている面を手前(前面20A)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(前面20A側)から見て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、及び左右方向9は、互いに直交している。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。換言すると、向きは方向の一成分である。
【0011】
[複合機10、プリンタ部30の概略構成]
図1において、複合機10は、画像記録装置の一例であり、プリント機能やスキャン機能等、複数の機能を有している。
【0012】
複合機10は、略直方体で低背の筐体20を備えている。複合機10は、筐体20内に、プリント機能を実現するためにプリンタ部30(図2以降を参照)を有し、筐体20の上部に、スキャン機能を実現するためのスキャナ部を有している。なお、スキャナ部は、本実施形態の要部では無いため、その説明を控える。
【0013】
プリンタ部30は、図2に示すように、インクジェット方式でシート1の両面に画像を記録する。シート1は、用紙やOHPシート等である。プリンタ部30は、大略的な構成要素として、供給トレイ31、排出トレイ32、給送機構33、第1搬送路34、第1ローラ対35、プラテン36,記録ヘッド37、第2ローラ対38、第3ローラ対39、第2搬送路40、第4ローラ対41、フラップ47、固定下ガイド部材48、可動下ガイド部材49および可動上ガイド部材50を備えている。プリンタ部30は、図1(B)に示すように、カバー42を備えている。以下、各構成要素について詳説する。
【0014】
[筐体20,カバー42]
図1に示すように、筐体20は、外装体であって、筐体20の内部空間22(図2参照)を、筐体20の外部空間から区画する。筐体20は、複合機10の各種フレームに取り付けられる。各種フレームは、図5図8に示す左サイドフレーム23および右サイドフレーム24を含む。左サイドフレーム23および右サイドフレーム24は、金属製であり、内部空間22において左右方向9に互いに離間し、上下方向7および前後方向8に拡がっている。なお、プリンタ部30の各構成要素(図2参照)は、左サイドフレーム23および右サイドフレーム24(図5図8参照)の間に位置する。
【0015】
筐体20は、前面20Aおよび後面20Bを有している。後面20Bは、前面20Aから後方に離間している。前面20Aには第1開口21Aが形成され、後面20Bには第2開口21Bが形成されている。第1開口21Aは、図1(A)に示すように、前面20Aにおいて左右方向9の中央部分で、前方へと開放されている。第2開口21Bは、図1(B),図9図10に示すように、左右方向9に延びる矩形形状を有する。第2開口21Bは、後面20Bにおいて左右方向9の中央且つ下寄りの部分で、後方へ開放されている。
【0016】
筐体20の内部空間22(図2参照)は、第1開口21Aおよび第2開口21Bを通じて外部空間と連通している。
【0017】
図1(B)において、カバー42は、左右方向9に延びる矩形形状を有する。カバー42は、閉位置P1aおよび開位置P1bの間で、軸心42a周りに回動可能に、後面20Bにより支持される。閉位置P1aおよび開位置P1bは、第2開口21Bを閉塞および開放するカバー42の位置である。閉位置P1aおよび開位置P1bのカバー42は、実線および破線でそれぞれ示されている。軸心42aは、左右方向9に平行であり、カバー42の下端と交差する。
【0018】
[供給トレイ31]
図1(A)において、供給トレイ31(トレイの一例)は、第1開口21Aを通じて内部空間22(図2参照)内で前後に移動する。詳細には、図2図3に示すように、供給トレイ31は、装着過程において、内部空間22で後方(装着向きの一例)に移動して、装着位置P2に位置する。また、供給トレイ31は、引出過程において、内部空間22で装着位置P2から前方(引出向きの一例)に移動して、第1開口21A(図1(A)参照)を通じて筐体20から引き出される(図4(A)参照)。装着位置P2は、画像記録可能な状態のプリンタ部30における供給トレイ31の後端位置である。以下の説明において特に断り書きが無い場合、用語「供給トレイ31」は、「装着位置P2に位置する供給トレイ31」を意味する。
【0019】
図2図3に示すように、供給トレイ31は、上下方向7に薄い箱状の形状である。供給トレイ31は、底部311、複数のシートガイド312、左側壁313、および右側壁314を有している。なお、1つのシートガイド312、および右側壁314が図2に示され、左側壁313は図3に示されている。
【0020】
左側壁313、突起313F、傾斜面313G、水平面33H、凹部313Eは、移動機構の一部である。
【0021】
図2において、底部311は、自身の上面(支持面の一例)で、上下方向7に積載された複数のシート1を支持する。シート1は、底部311に設けられたサイドガイド(図示せず)により、シート1の幅方向における中心が通紙中心面C(図1参照)に揃うように位置決められる。通紙中心面Cは、第1搬送路34および第2搬送路40の左右方向9における概ね中心を通過し、上下方向7および前後方向8に平行な仮想面である。以下の説明において特に断り書きが無い場合、用語「左右対称」は、「通紙中心面Cを基準とする左右対称」を意味する。
【0022】
各シートガイド312は、底部311の後端から後方且つ上方に延びる。各シートガイド312は、前方および上方を向き且つ左右方向9に平行な傾斜面を有する。
【0023】
図3に示すように、左側壁313(側壁の一例)は、底部311の上面の左端から上方に延びる。左側壁313は、延出端面313A、左側面313B、右側面313D、凹部313Eおよび突起313Fを有している。左側面313Bは図3(A)に、右側面313Dおよび凹部313Eは図3(B)に示されている。
【0024】
延出端面313Aは、左側面313Bおよび右側面313Dの上端同士を繋いでおり、前後方向8に細長い形状である。延出端面313Aは、傾斜面313Gおよび水平面313Hを含む。傾斜面313Gは、左側壁313の後端において水平面313Hより下方の位置から前方且つ上方へ延び、左右方向9に平行である。水平面313Hは、傾斜面313Gの前端から前方へ延び、且つ前後方向8および左右方向9に平行である。
【0025】
図3(B)において、凹部313Eは、前傾斜面313Jおよび後傾斜面313Kを有し、右方および上方に開放された空間を区画する。凹部313Eは、水平面313Hから下方に凹み、且つ右側面313Dから左方に凹む空間を形成する。
【0026】
傾斜面313Gおよび水平面313Hは、後述の突起503を上下動させるカム面である。傾斜面313G、水平面313Hおよび凹部313Eは、カムフォロワ335(図4(A)参照)を上下動させるカム面である。
【0027】
図3(A)において、突起313F(第1突起の一例)は、左側面313Bから左方に突出し、前後位置P3a,P3bの間で前後に延びている。前後位置P3aは、左側面313Bの後端より若干前方の位置である。前後位置P3bは、図3(B)に示すように、凹部313Eより前方の位置である。
【0028】
上面313Nの上下位置は、前後位置P3a,P3bの間では前後位置P3c,P3dの間を除いて、傾斜面313Gより下方であり、前後位置P3c,P3dの間では、水平面313Hと概ね同じである。しかし、これに限らず、上面313Nにおいて前後位置P3c,P3dの間の部分が他の部分よりも上方であればよい。
【0029】
後面313Pおよび前面313Qは、上下方向7および左右方向9に平行な平坦面である。後面313Pは、前後位置P3cにおいて、上下位置P3e,P3fの間に位置する。前面313Qは、前後位置P3dにおいて、上下位置P3e,P3fの間に位置する。
【0030】
なお、左側壁313において突起313Fより前方の部分は、要部ではないため、その詳説を控える。
【0031】
右側壁314(図2参照)は、凹部313Eを備えない点を除き、左側壁313と左右対称な形状を有する。そのため、右側壁314の構成の図示および説明を控える。
【0032】
[排出トレイ32]
図2において、排出トレイ32は、内部空間22内で第3ローラ対39のすぐ下の位置から前方に向かって延びる。排出トレイ32は、自身の上面で、第3ローラ対39により排出されたシート1を支持する。
【0033】
[給送機構33,カムフォロワ335]
図2図4(A)に示すように、給送機構33は、給送シャフト331、給送アーム332、給送ローラ333、駆動力伝達機構334、およびカムフォロワ335を備える。
【0034】
図2において、給送シャフト331の上下位置は、供給トレイ31の上端および可動下ガイド部材49のシャフト491の間であり、その前後方向は、シャフト491およびローラ411の間である。給送シャフト331は、左右方向9に延びる。給送シャフト331の左端は、左ブラケット336(図11参照)により支持される。左ブラケット336は、左サイドフレーム23に取り付けられる。なお、給送シャフト331の右端は、左ブラケット336の左右対称な右ブラケット(図示せず)により支持される。右ブラケットは、右サイドフレーム24に取り付けられる。なお、給送シャフト331は、左サイドフレーム23および右サイドフレーム24から直接延出していてもよい。
【0035】
給送アーム332は、左右方向9において、右側壁314(図2参照)および左側壁313(図3参照)の間に位置する。給送アーム332は、自身の基端部において、給送シャフト331の周方向に回転可能に給送シャフト331に支持される。給送アーム332は、給送シャフト331の径方向且つ後方へ基端部から延びる。
【0036】
給送ローラ333は、左右方向9に沿う軸心周りに回転可能に、給送アーム332の延出端に取り付けられる。
【0037】
駆動力伝達機構334は、給送アーム332内に収容されており、複数のギヤを含む。駆動力伝達機構334は、搬送モータ46(図5図8参照)の駆動力を給送ローラ333に伝達する。給送ローラ333は、駆動力を受けて順回転し、供給トレイ31上のシート1に後ろ向きの力を加える。
【0038】
給送ローラ333が回転することで、シート1は、供給トレイ31の上面311A上で後方へ送られた後、シートガイド312の傾斜面により後方且つ上方へと案内され、第1搬送路34の上流端に送り込まれる。
【0039】
図4(A)に示すように、カムフォロワ335は、給送アーム332の左側面において前後方向8の概ね中央から左方に向かって延出する。カムフォロワ335の延出端は、左右方向9において、上面311Aおよび凹部313E(図3参照)の位置に至り、上面311Aおよび凹部313Eおよび上に当接する。
【0040】
なお、カムフォロワ335は、移動機構の一部である。
【0041】
カムフォロワ335は、供給トレイ31の装着過程または引出過程において延出端面313Aおよび凹部313E(図3参照)と当接して、凹部313Eの下端部と、水平面313Hとの間で上下動する。
【0042】
[第1搬送路34、外ガイド部材43、内ガイド部材44]
図2において、第1搬送路34は、一点鎖線の矢印で示される。第1搬送路34は、所謂Uターン搬送路である。第1搬送路34は、シートガイド312のすぐ上方の位置に上流端を有する。第1搬送路34は、自身の上流端から、第3ローラ対39のニップ位置P4cに至る。第1搬送路34では、シート1が搬送向き5Aに搬送される。
【0043】
詳細には、第1搬送路34は、湾曲部341と、直線部342とを有する。湾曲部341は、上流端から上方へ延びつつ湾曲して、第1ローラ対35のニップ位置P4aに至る。ニップ位置P4aは、湾曲部341の上流端より上方且つ前方の位置である。直線部342は、ニップ位置P4aで湾曲部341の下流端と連続し、湾曲部341の下流端から搬送向き5A(即ち、前方)に概ね直線的に延びて、ニップ位置P4cに至る。
【0044】
図2に示すように、プリンタ部30は、外ガイド部材43および内ガイド部材44をさらに備えている。
【0045】
図2に示すように、外ガイド部材43は、内部空間22において、閉位置P1aのカバー42よりも前側(即ち、内側)に設けられ、第4搬送姿勢と、第4非搬送姿勢とに、姿勢を変化する。
【0046】
第4搬送姿勢は、カバー42が閉位置P1a(図1(B)参照)にあるときの外ガイド部材43の姿勢である。第4搬送姿勢のとき、図2において実線で示すように、外ガイド部材43の内側にある湾曲面431は、湾曲部341の外側(即ち、後ろ側および上側)を区画し、且つニップ位置P4aの後方でニップ位置P4aを遮蔽する。第4搬送姿勢において、湾曲面431は、湾曲部341の上流端から下流端に至るほぼ全域を区画する。
【0047】
第4非搬送姿勢は、カバー42が開位置P1b(図1(B)参照)のにあるときの外ガイド部材43の姿勢である。第4非搬送姿勢のとき、図2において破線で示すように、外ガイド部材43は、第4搬送姿勢のときより後方且つ下方に離間し、これにより、ニップ位置P4aが第2開口21Bを通じて露出し、且つユーザがジャム処理のために湾曲部341にアクセス可能となる。
【0048】
なお、外ガイド部材43がカバー42と一体であっても別体であってもよい。一体の場合、第4非搬送姿勢の外ガイド部材43は、第4搬送姿勢の外ガイド部材43から軸心42aの周方向に離れた位置である。別体の場合、外ガイド部材43は、公知のスライダクランク機構により、カバー42の回動に連動して上下動することで、第4搬送姿勢および第4非搬送姿勢の間で姿勢を変更可能でもよい。
【0049】
内ガイド部材44は、湾曲部341の内側(即ち、前側および下側)において下流端付近を区画する内ガイド面441を有している。内ガイド面441は、湾曲部341において、第2搬送路40の下流端より上方の位置から湾曲部341の下流端に至る部分を区画する。
【0050】
詳細には、内ガイド部材44は、図7図9図10に示すように、後述のローラホルダ45の後端から後方へと突出する複数のリブである。内ガイド面441は、複数のリブの突出端面から構成される。
【0051】
内ガイド部材44は、ローラホルダ45とともにシャフト383の周方向に回転して、第3搬送姿勢および第3非搬送姿勢ととることが可能である。
【0052】
第3搬送姿勢は、図13(B)に示すように、供給トレイ31が装着位置P2にあるときの内ガイド部材44の姿勢である。第3搬送姿勢において、内ガイド部材44は、第1搬送路34の湾曲部341の内側を形成する。
【0053】
第3非搬送姿勢は、図11(A)に示すように、供給トレイ31の引出時における内ガイド部材44の姿勢である。第3非搬送姿勢において、内ガイド部材44は、第3搬送姿勢のときより、シャフト383の周方向において下方に回転した位置にある。
【0054】
[第1ローラ対35]
図2において、第1ローラ対35は、ニップ位置P4a(即ち、湾曲部341の下流端の位置)で互いに当接し合う2個一対のローラ351,352を有する。ローラ351は上ローラの一例であり、ローラ352は、下ローラの一例である。
【0055】
図3(A),図4(A)に示すように、ローラ351は、駆動ローラであって、左右方向9に延びる円柱形状を有している。ローラ351の左右両端からはシャフト353が延出している。シャフト353は、左サイドフレーム23および右サイドフレーム24の各々に設けられている軸受231,241により、左右方向9に延びるシャフト353周りに回転可能に支持されている。
【0056】
図2に示すように、ローラ351の下端は、ニップ位置P4aに位置する。
【0057】
ローラ352は、複数のピンチローラ等である。ローラ352は、後述の移動機構(リンクロッド52,リリースレバー53)に連動して、ニップ位置P4a(図2参照)および離間位置P6a(図4(A)参照)とに移動する。ニップ位置P4aは、ローラ352の上端がローラ351の下端に当接するローラ352の位置である。離間位置P6aは、ニップ位置P4aより下方であって、ローラ352の上端がローラ351の下端から、シャフト383の周方向において下方に離れる位置である。以下、特に断り書きが無い場合には、用語「ローラ352」は、「ニップ位置P4aに位置するローラ352」を意味する。なお、ニップ位置P4aは、第1当接位置の一例である。離間位置P6aは、第2下位置の一例である。
【0058】
ローラ351は、搬送モータ46(図5等を参照)で発生する駆動力により、シャフト353周りに順方向に回転する。ローラ352は、ローラ351の順転により従動回転する。これにより、第1ローラ対35は、湾曲部341で搬送されたシート1をニップし、シート1に前向き(即ち、搬送向き5A)の力を加える。これにより、シート1は、直線部342に送り込まれる。
【0059】
[プラテン36]
図2図5図6において、プラテン36は、後述のフレーム51の上面に取り付けられている。プラテン本体361、左被支持部362および右被支持部363を有しており、
【0060】
プラテン本体361は、前後方向8において、第1ローラ対35および第2ローラ対38の間に位置し、上下方向7において、直線部342(図2参照)より下方に位置する。プラテン本体361は、上下方向7に薄く且つ左右方向9に直線部342よりも長い概ね平板形状である。
【0061】
図2図5図6に示すように、右被支持部363は、プラテン本体361の右前隅の部分から前方に延出している。右被支持部363の先端部は、図5に示されるように、第2ローラ対38のシャフト383においてローラ381よりも右方に至る。右被支持部363には、左右方向9に貫通する係止孔が形成されている。係止孔には、シャフト383の右端が挿通される。
【0062】
左被支持部362は、右被支持部363と左右対称な形状であるため、その説明を控える。
【0063】
プラテン本体361は、シート支持位置P7a(図3(A)参照,第1支持位置の一例)および離間位置P7b(図4(A)参照,第1下位置の一例)に移動する。シート支持位置P7aにおいて、プラテン本体361の上面は、記録ヘッド37の下面から下方に僅かな距離を隔てて対向する。離間位置P7bにおいて、プラテン本体361の上面の後端(第1端部の一例)は、シート支持位置P7aよりもシャフト383の周方向において下方に離れ、これにより、ユーザが第2開口21Bを通じて第1搬送路34にアクセス可能となる。以下、特に断り書きが無い場合には、用語「プラテン36」は、「シート支持位置P7aに位置するプラテン36」を意味する。
【0064】
図2に示すように、プラテン本体361の上面は、前後方向8および左右方向9に拡がっており、左右方向9に長い概ね矩形の平面形状を有している。プラテン本体361は、直線部342で搬送されるシート1を上面で支持する。
【0065】
[フレーム51]
図3(A),図4(A)において、プリンタ部30は、フレーム51(フレームの一例)をさらに備える。フレーム51は、移動機構の一部である。フレーム51は、金属製であり、上下方向7に薄く且つ前後方向8および左右方向9に長い概ね平板形状である。フレーム51は、左右対称な形状である。フレーム51は、自身の上面の前端付近において、左被支持部362および右被支持部363の下端付近に固定される。即ち、フレーム51は、上面において、プラテン36を支持する。フレーム51は、プラテン本体361の下方で、プラテン本体361の上面と概ね平行に後方へと延びて、第1ローラ対35より後方に至る。フレーム51の後端は、シャフト383の周方向に回転する。
【0066】
フレーム51の上面においてプラテン本体361の後方には、プラテン本体361の後端(第1端部の一例)に沿って、ローラホルダ45が内ガイド部材44とともに取り付けられている。図4(A),図4(B)に示すように、フレーム51の左前隅付近において、ローラホルダ45より左方の位置からは、平板形状の突片511が左方に突出している。
【0067】
突片511は、第1部分511Aおよび第2部分511Bを有している。第1部分511Aは、突片511の前端を含む部分である。第2部分511Bは、第1部分511Aの後端と繋がっており、プラテン本体361の上面と概ね平行である。第1部分511Aは、第2部分511Bの前端から前方且つ上方に延出し、第2部分511Bに対し傾いている。
【0068】
フレーム51の右端には、突片511と同様の突片が設けられている。この突片は、突片511と左右対称であるため、その説明を控える。
【0069】
[ローラホルダ45]
図3(A),図4(A),図9図10に示すように、ローラホルダ45は、上方が開放され且つ左右方向9に延びる箱状形状であり、左右対称な形状を有する。ローラホルダ45は、自身の内部空間に、左右方向9に延びるシャフト354(図3参照,第3シャフトの一例)周りに回転可能に支持されている。即ち、ローラ352は、ローラホルダ45を介して、プラテン本体361の後端に取り付けられている。ローラ352の上端は、ローラホルダ45から僅かに上方に突出している。ローラホルダ45は、プラテン36の回転に連動して、プラテン36とともにシャフト383の周方向に回転する。
【0070】
ローラ352およびシャフト354は、フレーム51の上面と直交する方向に移動するようにローラホルダ45内で支持されている。図3(A),図4(A),図4(B)に示すように、ローラホルダ45内において、ローラ352より左方には、コイルばね451が位置する。コイルばね451は、フレーム51の上面とシャフト354の左端との間に介在する。詳細には、コイルばね451の下端および上端は、フレーム51の突片511およびシャフト354にそれぞれ当接する。これにより、コイルばね451は、シャフト354に上向きの付勢力を加える。
【0071】
図7に示すように、ローラホルダ45の左端からは、突起452が左方に突出している。また、左サイドフレーム23からは、ストッパ234が右方に突出している。ストッパ234の上下位置は、供給トレイ31(図3(A)参照)より上方であり、ストッパ234の前後位置は、供給トレイ31の後端付近である。ストッパ234は、ローラホルダ45の突起452に下方から当接することで、ローラホルダ45がストッパ234より下方に移動しないように、ローラホルダ45の回転を規制する。換言すると、ストッパ234は、プラテン本体361が離間位置P7bより下方に移動しないように、ローラホルダ45の回転を規制する。
【0072】
なお、ローラホルダ45内において、ローラ352より右方には、コイルばね451と左右対称なコイルばね(図示せず)が位置する。右サイドフレーム24からは、ストッパ234と左右対称なストッパ(図示せず)が左方に突出している。ローラホルダ45の右端からは、突起452と左右対称な突起(図示せず)が突出している。右側のコイルばね、ストッパおよび突起は、コイルばね451、ストッパ234および突起452と左右対称であるため、それらの図示および説明を控える。
【0073】
[記録ヘッド37]
図2図3(A),図4(A)において、記録ヘッド37は、プラテン36から上方に僅かな距離を隔てた位置で、プラテン36の上面に向けてインクを、記録ヘッド37の下面に形成されているノズル孔から吐出する。記録ヘッド37がコントローラの制御下でインクを吐出することで、プラテン本体361上のシート1には、画像データに基づく画像が記録される。
【0074】
[第2ローラ対38]
図2図5において、第2ローラ対38は、プラテン36および記録ヘッド37より前方に位置する。第2ローラ対38は、ニップ位置P4b(図2参照)で互いに当接し合う2個一対のローラ381,382を有する。
【0075】
図5に示すように、ローラ381は、左サイドフレーム23および右サイドフレーム24の軸受232,242に、左右方向9(交差方向の一例)に延びるシャフト383(第1シャフトの一例)周りに回転可能に支持されている。
【0076】
図2において、ローラ381の上端は、ニップ位置P4bに位置する。ローラ382は、拍車等であり、ローラ381の上端に上方から当接する。
【0077】
ローラ381は、搬送モータ46(図5等を参照)で発生する駆動力により、シャフト383周りに順方向に回転する。ローラ382は、ローラ381の順転により従動回転する。これにより、第2ローラ対38は、直線部342で搬送されたシート1をニップし、シート1に前向き(即ち、搬送向き5A)の力を加える。これにより、シート1は、直線部342をさらに前方へと搬送される。
【0078】
[第3ローラ対39]
図2において、第3ローラ対39は、第1搬送路34の直線部342において第2ローラ対38より前方(即ち、搬送向き5Aの下流)に位置する。第3ローラ対39は、ニップ位置P4cで互いに当接し合う2個一対のローラ391,392を有する。
【0079】
図5に示すように、ローラ391は、左サイドフレーム23および右サイドフレーム24の軸受233,243に、左右方向9に延びるシャフト393周りに回転可能に支持されている。
【0080】
図2において、ローラ391の上端は、ニップ位置P4cに位置する。ローラ392は、拍車等であり、ローラ391の上端に上方から当接する。
【0081】
ローラ391は、搬送モータ46(図5等を参照)で発生する駆動力により、シャフト393周りに回転する。ローラ392は、ローラ391の回転により従動回転する。ここで、搬送モータ46は、コントローラ(図示せず)の制御下で、順方向または逆方向に回転する。搬送モータ46の順転しているとき、ローラ391は順転する。これにより、第3ローラ対39は、直線部342で搬送されたシート1をニップし、シート1に前向き(即ち、搬送向き5A)の力を加える。これにより、シート1は、第1搬送路34から排出トレイ32へと排出される。搬送モータ46の逆転しているとき、ローラ391は、逆転する。これにより、第3ローラ対39は、ニップしているシート1に後向き(即ち、搬送向き5Aと逆向き)の力を加える。これにより、シート1は、直線部342でニップ位置P4cから搬送向き5Aとは逆向きに搬送される。
【0082】
[フラップ47]
図2において、プリンタ部30は、フラップ47をさらに備える。
【0083】
フラップ47は、直線部342において、第2ローラ対38および第3ローラ対39の間に位置する。フラップ47は、直線部342の上側に位置するシャフト471から搬送向き5Aに延出し、排出位置と、反転位置との間で、シャフト471周りに回動可能に、左サイドフレーム23および右サイドフレーム24(図5等を参照)の間で支持される。排出位置は、シート1を排出トレイ32に排出可能な位置であり、直線部342の上側に概ね沿う位置である。反転位置は、排出位置よりもフラップ47の延出端部が下方となる位置である。図2には、排出位置のフラップ47が破線で示され、反転位置のフラップ47が実線で示されている。
【0084】
フラップ47は、重力以外の力が加わっていない状態では、自重により反転位置にある。それに対し、フラップ47は、直線部342で搬送されるシート1と当接している間、シート1により加えられる当接力やシート1のコシにより反転位置から排出位置に持ち上げられる。フラップ47の延出端にシート1の後端が到達すると、フラップ47は、自重により排出位置から反転位置へと回動する。その結果、シート1の後端は、後述する第2搬送路40の方へと向く。この状態において、第3ローラ対39の順方向へ回転が継続されると、シート1は搬送向き5Aに搬送され排出トレイ32に排出される。一方、第3ローラ対39の回転向きが逆向きに切り替えられると、シート1は、搬送向き5Aとは逆向きに搬送されて第2搬送路40を経由して湾曲部341へと搬送される。
【0085】
[第2搬送路40、固定下ガイド部材48]
図2において、第2搬送路40は、直線部342における分岐位置と、湾曲部341における合流位置とを繋ぐ。分岐位置は、直線部342において、フラップ47の延出端および第3ローラ対39の間の位置であり、合流位置は、湾曲部341において内ガイド面441の下端より僅かに下方の位置である。
【0086】
第2搬送路40は、上流部401および下流部402を有している。上流部401は、分岐位置から、直線部342の下方を通過する。上流部401は、給送シャフト331より僅かに上方且つ可動上ガイド部材50の前端より僅かに下方の位置に至る。下流部402は、上流部401の下流端から、可動上ガイド部材50の下方を通過して、合流位置に至る。
【0087】
第2搬送路40は、固定下ガイド部材48、可動下ガイド部材49、および可動上ガイド部材50により区画されている。
【0088】
図2において、固定下ガイド部材48は、左サイドフレーム23および右サイドフレーム24(図5等を参照)の間で支持され、上流部401の下側を形成する。
【0089】
[第4ローラ対41]
図2において、第4ローラ対41は、上流部401の下流端付近であって、前後方向8において給送シャフト331より前方に位置する。第4ローラ対41は、ニップ位置P4dで互いに当接し合う2個一対のローラ411,412を有する。
【0090】
図7に示すように、ローラ411は、駆動ローラであって、左右方向9に延びる円柱形状である。固定下ガイド部材48および可動下ガイド部材49において左右方向9の中央寄りの部分に形成された孔411A内に位置する。ローラ411は、孔411Aの左右両側に設けられている軸受(図示せず)に、左右方向9に延びるローラ411の軸心周りに回転可能に支持されている。
【0091】
図2において、ローラ411の上端は、ニップ位置P4dに位置する。ローラ412は、拍車やピンチローラであり、ローラ411の上端に上方から当接する。
【0092】
ローラ411は、搬送モータ46(図5等を参照)で発生する駆動力により、自身の軸心周りに回転する。ローラ412は、ローラ411の回転により従動回転する。これにより、第4ローラ対41は、上流部401で搬送されたシート1をニップし、シート1に後向き(即ち、搬送向き5Aと逆向き)の力を加える。その結果、シート1は、下流部402へと搬送され、合流位置に向かう。
【0093】
[可動下ガイド部材49]
図2に示すように、可動下ガイド部材49(下ガイド部材の一例)は、上下方向7において、可動上ガイド部材50より下方且つ給送機構33より上方に位置する。
【0094】
図2図4(A),図7図8において、可動下ガイド部材49は、シャフト491、下ガイド本体492、および孔493を有している。
【0095】
シャフト491は、上下方向7において、給送シャフト331のすぐ上方且つすく後方に位置する。シャフト491は、左右方向9に延びており、シャフト491の左端および右端は、左サイドフレーム23および右サイドフレーム24(図5等を参照)にそれぞれ支持される。
【0096】
下ガイド本体492は、自身の基端部(即ち、前端)において、シャフト491の周方向に回転可能に支持され、シャフト491の径方向に延びて先端部(即ち、後端)に至る。下ガイド本体492の先端部は、内部空間22内で基端部より後方且つ給送機構33の先端部より上方に位置する。
【0097】
下ガイド本体492は、上下方向7に薄く且つ前後方向8および左右方向9に長い概ね平板形状であり、上面を有している。下ガイド本体492の上面は、左右対称な形状であり、図7に示すように、第2搬送路40の下流部402よりも若干広い左右幅を有している。
【0098】
下ガイド本体492は、給送アーム332上に位置しており、給送アーム332の回転に連動して、シャフト491の周方向に回転して、第1搬送姿勢および第1非搬送姿勢をとることが可能である。
【0099】
第1搬送姿勢は、図3(A)に示すように、供給トレイ31が装着位置P2にあるときの下ガイド本体492の姿勢である。第1搬送姿勢において、下ガイド本体492の上面は、第2搬送路40の下流部402における下側を形成する。
【0100】
第1非搬送姿勢は、図4(A)に示すように、供給トレイ31の引出時における下ガイド本体492の姿勢である。第1非搬送姿勢において、下ガイド本体492の上面の後端(第3端部の一例)は、第1搬送姿勢のときより、シャフト491の周方向において下方に回転した位置にある。
【0101】
図7図8に示すように、孔493は、下ガイド本体492において給送ローラ333の上方に形成され、下ガイド本体492の上面から下面へと貫通する。これにより、第1搬送姿勢の下ガイド本体492は、給送ローラ333に干渉しないため、給送ローラ333が安定的に回転する。
【0102】
[可動上ガイド部材50]
図2に示すように、可動上ガイド部材50(上ガイド部材の一例)は、フレーム51の下面側に取り付けられており、可動下ガイド部材49より上方に位置する。
【0103】
図2図7において、可動上ガイド部材50は、上ガイド本体501、アーム502、および突起503を備える。
【0104】
図2において、上ガイド本体501は、上下方向7に薄く且つ前後方向8および左右方向9に長い概ね平板形状である。上ガイド本体501は、下方を向く下面を有している。上ガイド本体501の下面は、左右対称な形状であり、図7に示すように、第2搬送路40の下流部402よりも若干広い左右幅を有している。
【0105】
上ガイド本体501は、プラテン36およびフレーム51の回動に連動して、シャフト383の周方向に回動し、第2搬送姿勢(図3(A)参照)および第2非搬送姿勢(図4(A)参照)をとることが可能である。
【0106】
図3(A)において、第2搬送姿勢は、供給トレイ31が装着位置P2にあるときの上ガイド本体501の姿勢である。第2搬送姿勢において、上ガイド本体501の下面は、第2搬送路40の下流部402の上側を形成する。
【0107】
図4(A)において、第2非搬送姿勢は、供給トレイ31の引出時における上ガイド本体501の姿勢である。第2非搬送姿勢において、上ガイド本体501の下面の後端(第2端部の一例)は、第2搬送姿勢のときよりシャフト383の周方向において下方に回転した位置にある。
【0108】
上ガイド本体501の左側面において、左右方向9の概ね中央部分からは、左右方向9に薄い平板形状のアーム502が下方に延出している。アーム502の延出端からは左方に、突起503が突出している。突起503の延出端は、左右方向9において供給トレイ31の延出端面313Aに至る。
【0109】
突起503は、供給トレイ31の装着過程または引出過程において延出端面313A上で供給トレイ31に対し相対移動する。これにより、突起503は、水平面313Hと、水平面313Hより下方の位置との間で上下動する。
【0110】
なお、上ガイド本体501の右側面には、アームおよび突起が位置する。右側のアームおよび突起は、アーム502および突起503と左右対称であるため、それらの図示および説明を控える。
【0111】
[リンクロッド52(移動機構)]
図3(A),図4(A)に示すように、プリンタ部30は、リンクロッド52をさらに備える。リンクロッド52は、移動機構の一部を構成する。
【0112】
図5に示すように、左サイドフレーム23は、右側面236を有している。図3(A),図4(A)において、水平ガイド部材235(ガイド部材の一例)は、上下方向7に薄く且つ前後方向8(具体的には、引出向き)に延びる金属板であり、右側面236(図5参照)から右方に延出している。なお、左サイドフレーム23は供給トレイ31の左方にあるため、図3(A),図4(A)には、左サイドフレーム23は示されていない。図3(A),図4(A)に示すように、水平ガイド部材235は、上下方向7において、供給トレイ31の水平面313Hより上方で、第2搬送姿勢の可動上ガイド部材50の左方付近に位置する。
【0113】
図4(A),図4(C)に示すように、リンクロッド52は、左右方向9に薄く且つ前後方向8に長い樹脂製の部材である。リンクロッド52は、水平ガイド部材235上で前後方向8に移動可能に水平ガイド部材235により支持される。リンクロッド52は、図4(C)に示すように、凹部521、貫通孔522、第1当接面523、第2当接面524および上面525を有している。
【0114】
図4(C)において、凹部521は、前面521A、後面521B、底面521Cおよび右面521Dを有し、左方および上方に開放された空間を区画する。
【0115】
貫通孔522は、凹部521の底面521Cからリンクロッド52の下端面へと、上下方向7に貫通する。貫通孔522は、平面視で前後方向8に長い矩形形状である。第1当接面523および第2当接面524は、貫通孔522の前側および後側を形成する。第1当接面523は、貫通孔522を挟んで第2当接面524より後方で第2当接面524から離間する。なお、第1当接面523および第2当接面524は、第1当接部および第2当接部の一例である。
【0116】
上面525は、傾斜面525Aおよび水平面525Bを有している。傾斜面525Aは、リンクロッド52の後端において水平面525Bより下方の位置から、前方且つ上方へと左右方向9に平行な延びる面である。
【0117】
水平面525Bは、傾斜面525Aの前端から前方へ延び、前後方向8および左右方向9に平行な平坦面である。水平面525Bの前端は、第1当接面523より後方である。水平面525Bの上下位置は、プラテン本体361がシート支持位置P7aに位置するとき、フレーム51の突片511の下面の上下位置と同じである。
【0118】
[リリースレバー53(移動機構)]
図3(A),図4(A),図5図6に示すように、プリンタ部30は、リリースレバー53をさらに備える。リリースレバー53は、移動機構の他の一部を構成する。
【0119】
図5に示すように、左サイドフレーム23の右側面236からシャフト531(第2シャフトの一例)が右方に突出する。シャフト531の上下位置は、リンクロッド52の上面525および水平ガイド部材235より上方であり、プラテン本体361の上面より下方である。シャフト531の前後位置は、水平ガイド部材235の前後方向8における中央より僅かに前方である。
【0120】
図4(C)に示すように、リリースレバー53は、基端部において、シャフト531の周方向に回転可能にシャフト531に支持される。リリースレバー53は、基端部からシャフト531の径方向に延びて、貫通孔522を通過し、下方にさらに延びる。リリースレバー53の延出端部は、左右方向9において供給トレイ31の突起313Fと同じ位置を有し、上下方向7において、供給トレイ31の水平面313Hより下方に至る。
【0121】
[プリンタ部30の動作]
以下、図3図4図11図14を参照して、プリンタ部30の動作について説明する。
【0122】
[供給トレイ31の装着過程での動作]
まず、図3図4図13を参照して、供給トレイ31の装着過程におけるプリンタ部30の動作について説明する。
【0123】
図4(A)に示すように、供給トレイ31が内部空間22に挿入される前、給送機構33の給送アーム332の先端は、給送シャフト331の周方向において下位置P8aで静止している。給送アーム332が下位置P8aにあるとき、給送ローラ333の下端は、供給トレイ31の底部より下方に位置する。この時、カムフォロワ335は、水平面313Hの上下位置より下方の位置(第4下位置の一例)で静止している。
【0124】
給送アーム332が下位置P8aにあるとき、可動下ガイド部材49は、第1非搬送姿勢(図4(A)参照)をとる。第1非搬送姿勢では、可動下ガイド部材49の下ガイド本体492は、給送アーム332の上面に当接し、第1搬送姿勢(図3(A)参照)のときよりシャフト491の周方向において下方に回転した位置にある。
【0125】
図4(A)に示すように、供給トレイ31の挿入前、フレーム51の後端は、シャフト383の周方向において、突起452およびストッパ234(図7参照)により下位置P9aで静止している。フレーム51が下位置P9aに静止しているとき、プラテン本体361およびローラ352は、離間位置P7b,P6aにそれぞれ位置し、可動上ガイド部材50は、第2非搬送姿勢をとる。第2非搬送姿勢では、可動上ガイド部材50の上ガイド本体501は、第2搬送姿勢(図3参照)のときよりシャフト383の周方向において下方に回転し、且つ可動下ガイド部材49の下ガイド本体492より上方に離間した位置にある。また、内ガイド部材44は、第3非搬送姿勢をとる。
【0126】
図4(A)に示すように、リリースレバー53は、シャフト531から下方に延びている。リンクロッド52は、前後方向8において、第1当接面523(図4(C)参照)が後方からリリースレバー53の後面に当接している。このとき、リンクロッド52の前端は、前後方向8における可動範囲において最も前方の前後位置P10aで静止している。リンクロッド52が前後位置P10a(不支持位置の一例)にあるとき、リンクロッド52の傾斜面525A(図4(C)参照)は、フレーム51の突片511より上方且つ突片511の前端より前方に位置する。即ち、リンクロッド52は、前後位置P10aにあるとき、フレーム51を支持しない。
【0127】
図11(A)に示すように、供給トレイ31が内部空間22に挿入されて装着位置P2に到達する過程(即ち、装着過程)で、供給トレイ31の後端(詳細には、シートガイド312(図2参照)の上端且つ後端)が、下位置P8aの給送アーム332の下面に当接し始める。これにより、給送アーム332には上向きの力が加わる。その結果、給送アーム332は、給送シャフト331の周方向において下位置P8aから上方へと回転する。また、可動下ガイド部材49の下ガイド本体492は、給送アーム332から受ける上向きの力により、シャフト491の周方向において、第1非搬送姿勢(図4(A)参照)のときより上方へと回転する。
【0128】
図11(B)に示すように、供給トレイ31は、給送アーム332に当接後も、装着位置P2に向かってさらに後方に移動する。その結果、カムフォロワ335および突起503のうち、カムフォロワ335がまず傾斜面313Gに当接して、傾斜面313G上で相対移動し始め、その後、水平面313H上で相対移動する。その結果、カムフォロワ335は上方へと移動し、給送アーム332は、給送シャフト331の周方向においてさらに上方へと移動する。
【0129】
図12(A)において、突起503は、カムフォロワ335が水平面313Hに当接後に傾斜面313Gに当接して、傾斜面313G上で相対移動する。その結果、突起503は上方へと移動し、フレーム51は、シャフト383の周方向において下位置P9a(図4(A)参照)から上方へと移動し始める。なお、カムフォロワ335が当接する水平面313Hの上下位置は、第3当接位置の一例である。
【0130】
図12(B)に示すように、突起503が傾斜面313Gから水平面313Hへと相対移動すると、フレーム51は、シャフト383の周方向において中間位置P9bへと到達する。フレーム51が中間位置P9bに位置したとき、フレーム51の突片511において第1部分511Aは、前後方向8において、リンクロッド52の傾斜面525Aの真後ろに到達し、上下方向7および左右方向9において傾斜面525Aと概ね同じ位置に到達する。また、供給トレイ31の突起313Fにおいて後面313Pは、リリースレバー53に前方側から当接する。
【0131】
図13(A)に示すように、後面313Pがリリースレバー53に当接した後も、供給トレイ31は、装着位置P2に向かってさらに後方に移動する。その結果、後面313Pは、リリースレバー53に後ろ向きの力を加え、リリースレバー53は、シャフト531の周方向において上方且つ後方へと回転し、リンクロッド52の第1当接面523(図4(C)参照)に後ろ向きの力を加える。これにより、リンクロッド52は、前後位置P10a(図4(A)参照)から後方へと移動し始め、傾斜面525A(図4(C)参照)は、突片511の第1部分511Aに下方から当接する。傾斜面525Aは、後方に移動することで、第1部分511Aを上方へと移動させる。その後、水平面525B(図4(C)参照)は、第2部分511Bに下方から当接し、第2部分511Bを下方から水平に支持する。即ち、第2部分511Bの下面は、水平面525Bと同じ上下位置に到達する。これにより、フレーム51は、シャフト383の周方向において、中間位置P9bより上方で、リンクロッド52の水平面525Bにより支持される上位置P9cに到達する。フレーム51が上位置P9cに位置することで、突起503は、水平面313Hより僅かに上方に離間する。ローラ352は、ニップ位置P4aに到達し、プラテン本体361は、シート支持位置P7aに到達する。可動上ガイド部材50は、第2搬送姿勢をとる。内ガイド部材44は、第3搬送姿勢をとる。このとき、突起503は、水平面313Hから離間する。
【0132】
図3(A)に示すように、リリースレバー53の延出端部が突起313Fの後面313Pよりも前方に移動した後、リリースレバー53は、シャフト531から鉛直下方に向かって延びる。このとき、リンクロッド52は、前後方向8における可動範囲において最も後方の前後位置P10b(第2支持位置の一例)で静止する。供給トレイ31は、後方へとさらに移動し続けて装着位置P2に到達する。この過程で、水平面313H上で相対移動していたカムフォロワ335は、凹部313E(図3(B)参照)にはまり込む。これにより、給送アーム332は、給送シャフト331の周方向において下方に回転し、給送ローラ333は下方へと移動して、シート1に上方から当接する。また、可動下ガイド部材49は、給送アーム332の回転とともに、シャフト491の周方向において下方へと回転し、第1搬送姿勢をとる。供給トレイ31が装着位置P2に到達後も、フレーム51は、リンクロッド52により支持された状態を維持し、これにより、ローラ352はニップ位置P4aに、プラテン本体361はシート支持位置P7aに位置決められる。また、可動上ガイド部材50は、第2搬送姿勢を維持する。その後、プリンタ部30は、画像記録可能となる。
【0133】
[供給トレイ31の引出過程での動作]
図3図4図11(A)~図14を参照して、供給トレイ31の引出過程におけるプリンタ部30の動作について説明する。
【0134】
プリンタ部30では、画像記録中に、第1搬送路34でジャム(即ち、シート1が第1搬送路34で詰まること)が発生する。ジャム発生により、プリンタ部30は、画像記録を停止して、ディスプレイ(図示)に、ジャムが発生したことをユーザに警告するためのメッセージを表示する。ユーザは、メッセージを確認後、供給トレイ31を引き出し始める。
【0135】
図13(B)に示すように、供給トレイ31は、装着位置P2から引き出され始め、内部空間22で前方へと移動する。引出過程において、カムフォロワ335は、凹部313Eから抜けて水平面313H上で相対移動し始める。この間、カムフォロワ335は、凹部313Eから抜けて水平面313H上で相対移動する。その結果、給送アーム332は、給送シャフト331の周方向において上方に回転し、可動下ガイド部材49は、シャフト491の周方向において上方に回転する。即ち、可動下ガイド部材49は、第1搬送姿勢より上方へと移動する。この間、突起503は、水平面313H上で水平面313Hに対して相対移動する。その後、供給トレイ31の突起313Fにおいて前面313Qは、リリースレバー53に後方側から当接する。
【0136】
図14に示すように、リリースレバー53が前面313Qに当接してから、上面313Nにおいて前面313Qおよび後面313Pの間に移動するまでの間、リリースレバー53は、突起313Fから受ける前向きの力により、シャフト531の周方向において上方且つ前方へと回転し、リンクロッド52の第2当接面524に前向きの力を加える。これにより、リンクロッド52は、前後位置P10bから前方へと移動し始める。その後、水平面525Bが突片511の第2部分511Bの直下で前方へと移動し、傾斜面525Aが第1部分511Aの直下で前方へと移動する。その結果、リンクロッド52は、前後位置P10aに到達する。この間、フレーム51は、シャフト383の周方向において、上位置P9cから中間位置P9bへと移動し、突起503は、供給トレイ31の水平面313Hから離間していた状態から水平面313H上に落下し当接する。フレーム51が中間位置P9bに位置することで、ローラ352は、ニップ位置P4aから下方に離間し、プラテン本体361は、シート支持位置P7aから下方に離間する。また、可動上ガイド部材50および内ガイド部材44は、第2搬送姿勢および第3搬送姿勢をとらなくなる。
【0137】
図14に示すように、カムフォロワ335は、フレーム51が上位置P9cから中間位置P9bへと移動した後も水平面313H上で相対移動する。この過程で、フレーム51は、水平面313Hよりも後方に到達したとき、シャフト383の周方向において下方へと回動し、可動下ガイド部材49を介して給送アーム332により支持される。
【0138】
図11(B)に示すように、供給トレイ31がさらに前方へと移動すると、カムフォロワ335が傾斜面313G上で相対移動し始め、給送アーム332は、給送シャフト331の周方向においてさらに下方へと回転する。その結果、可動下ガイド部材49は、第1非搬送姿勢により近い姿勢をとる。また、フレーム51は、給送アーム332の回転に連動して、シャフト383の周方向において下方へと回動し、その結果、可動上ガイド部材50および内ガイド部材44は、第2非搬送姿勢および第3非搬送姿勢により近い姿勢をとる。
【0139】
図11(A)に示すように、供給トレイ31が内部空間22から完全に引き出され、突起503およびカムフォロワ335が傾斜面313Gから離間すると、給送機構33の給送アーム332は、給送シャフト331の周方向において下位置P8aで停止し、可動下ガイド部材49は、第1非搬送姿勢をとる。また、フレーム51は、突起452およびストッパ234(図7参照)により下位置P9aで停止する。このとき、プラテン本体361およびローラ352は、離間位置P7b,P6aにそれぞれ位置し、可動上ガイド部材50および内ガイド部材44は、第2非搬送姿勢および第3非搬送姿勢をとらなくなる。
【0140】
ここで、可動上ガイド部材50がシャフト383の周方向において、第2搬送姿勢(図3(A)参照)から第2非搬送姿勢(図4(A)参照)へと変化するまでに回転する角度をR1aとする。角度R1aは、プラテン本体361の上面がシャフト383の周方向において、シート支持位置P7aから離間位置P7bへと移動するまでに回転する角度でもある。
【0141】
また、可動下ガイド部材49の下ガイド本体492がシャフト491の周方向において第1搬送姿勢(図3(A)参照)から第1非搬送姿勢(図4(A)参照)へと変化するまでに回転する角度をR2aとする。角度R1aは、角度R2aより小さい。角度R1a,R2aにより、可動上ガイド部材50の後端と、可動下ガイド部材49の後端との間の間隔は、可動上ガイド部材50が第1搬送姿勢であるときよりも第1非搬送姿勢であるときの方が広くなる。
【0142】
また、シート支持位置P7a(図3(A)参照)にあるプラテン本体361の上面と、離間位置P7b(図4(A)参照)にあるプラテン本体361の上面とがなす劣角の角度をθ1aとする。第1搬送姿勢(図3(A)参照)にある可動下ガイド部材49の上面と、第1非搬送姿勢(図4(A)参照)にある可動下ガイド部材49の上面とがなす劣角の角度をθ2aとする。角度θ1aは、角度θ2aより小さい。
【0143】
その後、ユーザは、カバー42を閉位置P1aから開位置P1bへと移動させ(図1(B)参照)、外ガイド部材43を閉位置P5aから開位置P5bへと移動させる(図2参照)。これにより、図9に示すように、第2開口21Bからは、ニップ位置P4aのローラ351、離間位置P6aのローラ352、プラテン36および内ガイド部材44が露出する。また。第2非搬送姿勢の可動上ガイド部材50の後端と、第1非搬送姿勢の可動下ガイド部材49の後端も、第2開口21Bから露出する。ユーザは、第1搬送路34の湾曲部341にアクセスして、詰まっているシート1を除去する。
【0144】
[プリンタ部30の作用効果]
プリンタ部30では、供給トレイ31が前方(即ち、引出向き)へ移動中に、記録ヘッド37およびプラテン36の間の空間は、供給トレイ31が装着位置P2にあるときよりも拡がる。そのため、ユーザは、第2開口21Bを通じて第1搬送路34の湾曲部341で詰まったシート1を容易に除去できる。すなわち、ジャム処理が容易になる。
【0145】
プリンタ部30では、ローラ352は、プラテン36の後端に取り付けられているため、プラテン36と一緒に移動する。即ち、プリンタ部30は、ローラ352およびプラテン36の移動機構を個別的に備える必要がない。
【0146】
プリンタ部30では、フレーム51は、ローラ352およびプラテン36を上面側で支持する。これにより、ローラ352およびプラテン36をまとめて移動させることが可能となる。
【0147】
プリンタ部30では、シャフト383は、プラテン36より第1搬送路34の下流側に位置し、左右方向9(交差方向の一例)に延びる。フレーム51は、プラテン36の左被支持部362および右被支持部363を介してシャフト383に回転可能に支持される。ローラ352およびプラテン36は、シャフト383の周方向に回転する。これにより、ローラ352およびプラテン36の全体を上下動させる場合と比較して、ローラ352およびプラテン36の移動スペースが小さくなる。
【0148】
プリンタ部30では、フレーム51は、第2ローラ対38のシャフト383により回転可能に支持される。即ち、シャフト383は、フレーム51および第2ローラ対38により共用される。これにより、プリンタ部30の構成要素数が低減する。
【0149】
プリンタ部30では、リンクロッド52およびリリースレバー53は、重力と、供給トレイ31の移動により生じる前向き(引出向きの一例)の力とを有効利用して、フレーム51(即ち、ローラ352、プラテン36および可動上ガイド部材50)を移動させる。そのため、フレーム51を移動させる動力を発生するモータ等が不要となる。
【0150】
プリンタ部30では、コイルばね451がシャフト354およびフレーム51の間の介在し、シャフト354に上向きの付勢力を加える。これにより、ローラ352をローラ351に圧接させやすい。
【0151】
プリンタ部30では、ローラ352がフレーム51に取り付けられる。ローラ352は従動ローラであるため軽量化し易く移動させやすい。
【0152】
プリンタ部30では、第1搬送路34は所謂Uターン経路である。これにより、プリンタ部30を低背化しつつ設置面積を抑制できる。
【0153】
[変形例]
実施形態では、供給トレイ31が内部空間22で前後方向8に移動し、シート1の搬送向き5Aが前後方向8および上下方向7に平行であった。そのため、筐体20の前面20Aに第1開口21Aが形成され、後面20Bに第2開口21Bが形成されていた。しかし、これに限らず、しかし、これに限らず、供給トレイ31が内部空間22で前後方向8に移動し、シート1の搬送向き5Aが左右方向9および上下方向7に平行であってもよい。この場合、第1開口21Aは前面20Aに形成され、第2開口21Bは、筐体20が有する左側面または右側面に形成されてもよい。
【0154】
実施形態では、第1搬送路34は、所謂Uターン経路であった。しかし、これに限らず、第1搬送路34は、所謂S字状の搬送路であってもよい。
【0155】
実施形態では、ローラ352、プラテン36、内ガイド部材44および可動上ガイド部材50がフレーム51に取り付けられ、これらが一緒にシャフト383の周方向に回転することで上下動していた。ローラ352、プラテン36、内ガイド部材44および可動上ガイド部材50は上下動させるだけでもよい。
【0156】
また、ローラ352を除くプラテン36、内ガイド部材44および可動上ガイド部材50が一緒にシャフト383の周方向に回転することで上下動してもよい。
【0157】
ローラ352、プラテン36、内ガイド部材44および可動上ガイド部材50は、第2ローラ対38のシャフト383周りに回転していた。しかし、これに限らず、ローラ352、プラテン36、内ガイド部材44および可動上ガイド部材50は、シャフト383とは異なる別のシャフト周りに回転してもよい。
【0158】
実施形態では、可動下ガイド部材49は、給送アーム332に上方から当接し、給送アーム332に連動していた。しかし、これに限らず、可動下ガイド部材49が、カムフォロワ335とは異なるカムフォロワにより、シャフト491の周方向に回転してもよい。
【0159】
実施形態では、角度R1aは角度R2aと同じであってもよい。角度θ1aは角度θ2aと同じであってもよい。
【0160】
実施形態では、プリンタ部30は、シート1の両面に画像を記録するために、第2搬送路40を備えていた。しかし、これに限らず、プリンタ部30は、第2搬送路40を備えず、シート1の片面だけに画像を記録してもよい。
【符号の説明】
【0161】
10・・・複合機
20・・・筐体
21A・・・第1開口
21B・・・第2開口
23・・・左サイドフレーム
234・・・ストッパ
235・・・水平ガイド部材(ガイド部材)
24・・・右サイドフレーム
42・・・カバー
30・・・プリンタ部(画像記録装置)
31・・・供給トレイ(トレイ)
313・・・左側壁(移動機構,側壁)
313F・・・突起(移動機構,第1突起)
313G・・・傾斜面(カム面)
313H・・・水平面(カム面)
313E・・・凹部(カム面)
314・・・右側壁
33・・・給送機構
335・・・カムフォロワ(移動機構)
34・・・第1搬送路
35・・・第1ローラ対
36・・・プラテン
37・・・記録ヘッド
38・・・第2ローラ対
383・・・シャフト(第1シャフト)
39・・・第3ローラ対
40・・・第2搬送路
43・・・外ガイド部材
44・・・内ガイド部材
45・・・ローラホルダ
452・・・突起
49・・・可動下ガイド部材(下ガイド部材)
50・・・可動上ガイド部材(上ガイド部材)
51・・・フレーム(移動機構)
52・・・リンクロッド(移動機構)
53・・・リリースレバー(移動機構)
531・・・シャフト(移動機構,第2シャフト)
52・・・リンクロッド(移動機構)
53・・・リリースレバー(移動機構)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14