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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】竪型粉砕機
(51)【国際特許分類】
   B02C 15/04 20060101AFI20240827BHJP
   B02C 25/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B02C15/04
B02C25/00 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020081381
(22)【出願日】2020-05-01
(65)【公開番号】P2021175565
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-04-10
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】日名内 竜也
(72)【発明者】
【氏名】下野 和也
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-139054(JP,A)
【文献】特開2007-185570(JP,A)
【文献】特開2001-129421(JP,A)
【文献】特開2018-167192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転テーブル上で粉砕原料を介して接するn個(n≧2)の粉砕ローラが従動して前記粉砕原料を粉砕する竪型粉砕機であって、
前記粉砕ローラの回転数から摩耗量を求める摩耗量推定部と、
前記粉砕ローラの層厚、ケーシング内の前記粉砕ローラの前後のガス吹き上げ速度又は圧力のうちいずれか1以上を測定して前記粉砕ローラの運転時の負荷を求める負荷測定部と、
前記粉砕原料の処理量に応じて、定格の70%~100%の処理量では前記粉砕ローラを全数運転し、定格の60%~70%の処理量では負荷の高い前記粉砕ローラ、定格の40%~60%の処理量では摩耗の少ない前記粉砕ローラ、定格の30%~40%の処理量では負荷の低い前記粉砕ローラのいずれかの組み合わせに減じて運転させるローラ切替部を備えたことを特徴とする竪型粉砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、石炭、オイルコークス、石灰石、スラグ、クリンカ、セメント原料、その他の無機原料、又は化学品、バイオマス等の有機原料を回転テーブル上で従動する複数の粉砕ローラで粉体に粉砕する竪型粉砕機に関し、特に粉砕原料の処理量が低下しても高効率な粉砕が可能な竪型粉砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉スラグ、セメント、石炭、バイオマス等の原料を粉砕する粉砕機として、竪型粉砕機が広く用いられている。従来の竪型粉砕機は、粉砕機の外郭を形成するケーシング内に、回転テーブルと、回転テーブルの上面外周部を円周方向に等分する位置に配置した複数個の粉砕ローラを備えている。
このような竪型粉砕機は、回転テーブルの中央に粉砕原料が供給されると回転テーブルの回転により、粉砕原料が回転テーブルの外周部へと移動する。外周部では粉砕ローラが圧接して回転しているので、粉砕原料は、粉砕ローラと回転テーブルの間へ侵入して粉砕される。そして、回転テーブルの外周面とケーシングの内周面との間の環状通路から吹き上がる熱空気によって、熱空気とともに粉粒体が乾燥されながらケーシング内を上昇する。粉粒体は、ケーシング内の上部に設けた分級手段によって振り分けられて所定粒度の製品が外部へ排出される。分級手段を通過できない粗粉は再度回転テーブル上に落下して粉砕される。
【0003】
近年のセメント需要の低下に伴い、セメント原料を扱う粉砕機では、粉砕機を建設した当時よりも低い処理量で運転することが求められている。
またセメント原料以外でも、例えば、昼間と夜間で処理量を大きく変えた運転を要求される場合がある。その一方で、本来、竪型粉砕機は負荷が高い領域で高い効率(電力原単位)を発揮するように設計されており、低処理量(低負荷)状態においては、電力原単位が悪化してしまう。
また粉砕機の処理量自体も下限があり、通常は定格の60~70%程度が下限となる。極端に低い処理量で運転した場合には、粉砕ローラ直下の層厚が薄くなり、衝撃振動によって運転が不可能になる。
そのような状態においては、振動による機器の損傷や、粉砕ローラと回転テーブルがメタルタッチすることによるローラタイヤの割れや剥離といったトラブルも発生する。従って、低処理量運転時においても、安定的(低振動)かつ高効率な運転が可能な技術が求められている。
また運転人員の省力化のために処理量低下の運転切り替えを自動で行うことや、摩耗部品であるローラタイヤ、テーブルライナの延命化といった課題に対する解決策が求められている。
【0004】
特許文献1に開示の制御装置は、粉砕機の運転動作の駆動と停止とを、原料供給の有無に応じて自動的に切り替えている。しかしながら原料の処理量が低下しても原料供給有りと見なされて粉砕機の粉砕ローラが全部駆動されてしまい、振動による機器の損傷の問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-102742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、粉砕原料の処理量が低下しても効率的な粉砕ができる竪型粉砕機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、回転テーブル上で粉砕原料を介して接するn個(n≧2)の粉砕ローラが従動して前記粉砕原料を粉砕する竪型粉砕機であって、
前記粉砕ローラの回転数から摩耗量を求める摩耗量推定部と、
前記粉砕ローラの層厚、ケーシング内の前記粉砕ローラの前後のガス吹き上げ速度又は圧力のうちいずれか1以上を測定して前記粉砕ローラの運転時の負荷を求める負荷測定部と、
前記粉砕原料の処理量に応じて、定格の70%~100%の処理量では前記粉砕ローラを全数運転し、定格の60%~70%の処理量では負荷の高い前記粉砕ローラ、定格の40%~60%の処理量では摩耗の少ない前記粉砕ローラ、定格の30%~40%の処理量では負荷の低い前記粉砕ローラのいずれかの組み合わせに減じて運転させるローラ切替部を備えたことを特徴とする竪型粉砕機を提供することにある。
上記第1の手段によれば、粉砕原料の処理量が低下しても、ローラ数を減じて高効率で運転でき、かつローラタイヤの延命化を実現できる。
また低処理量の運転時において、低振動、高効率(低電力原単位)、ローラタイヤの延命化を実現できる。
また粉砕ローラを減じる運転時に最適な粉砕ローラの組み合わせを選択できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来では定格の60%程度であった処理量の下限を、粉砕ローラの全数運転又は減数運転の組み合わせにより約30%まで拡大できる。またローラ切替部の構成により粉砕原料の処理量により粉砕ローラの全数又は減数運転を(遠隔)自動で切換え操作できる。さらに粉砕ローラの摩耗量と負荷の検出情報により、粉砕ローラの減数運転時に最適な粉砕ローラの組み合わせを選択できる。このため低処理量の運転時において、低振動、高効率(低電力原単位)、ローラタイヤの延命化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ローラ切替部、摩耗量推定部、負荷測定部の説明図である。
図2】4個の粉砕ローラの稼働ローラ数切り替えの説明図である。
図3】摩耗量推定部の説明図である。
図4】竪型粉砕機の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の竪型粉砕機の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
[竪型粉砕機10]
図4は、竪型粉砕機の構成概略図である。図示のように竪型粉砕機10は、ケーシング12と、回転テーブル14と、回転テーブル14の上面外周部を円周方向に等分する位置に配置した複数個(n個(n≧2))の粉砕ローラ16と、回転テーブル14の外周に沿って形成した環状通路40と、ケーシング12の上部に設けた分級手段30と、回転テーブル14の外周縁部上に取り付けたダムリング48を主な基本構成としている。
粉砕ローラ16は、支点となる下部ケーシング12Bに回動自在に軸着したアーム20を介して油圧シリンダ24のピストンロッドに連結されている。粉砕ローラ16は油圧シリンダ24の作動によって回転テーブル上面14Aに押圧されて、回転テーブル14に粉砕原料を介して従動することによって回転する。
ケーシング12の回転テーブル上面14Aの上方には、分級手段30及び原料投入口32が設けられている。
【0013】
分級手段30は、回転軸30aと、回転羽根30bと、固定羽根30cを備えている。回転軸30aはケーシング12の上面から下方へ垂下し、外部の駆動モータ(不図示)により回転自在な構成である。回転軸30aの下部には、回転軸30aを軸心として環状に複数の回転羽根30bが並んで形成されている。さらに、回転羽根30bの外周には、複数の固定羽根30cが並んで形成されている。回転羽根30b及び固定羽根30cはいずれも、長手方向が回転軸30aの軸心と平行に配置されており、ケーシング12内を上昇してきた熱空気は、回転軸30a軸心と平行な羽根の隙間から供給される。このような構成の分級手段30は、回転軸30aと共に回転羽根30bが回転し、固定羽根30cと回転羽根30bを通過した微細な粉粒体(微粉)のみが上部取出口44から排出される。
固定羽根30cの下端部には、内部コーン30e及びフィード管30fが設けられている。内部コーン30eは、上方から下方に向かって径が小さくなる漏斗状に形成し、フィード管30fは、内部コーン30eの下端に接続する円筒状に形成し、分級手段30を通過できなかった粉粒体を捕捉して、フィード管30fを介して下部の排出口から回転テーブル上面14Aへ供給する構造となっている。
原料投入口32は回転軸30aの内部に取り付けている。この原料投入口32から回転テーブル上面14Aに原料が投入される。
原料投入口32から投入した原料は、回転テーブル上面14Aを渦巻き状の軌跡を描きながら回転テーブル上面14Aの外周部に移動して、回転テーブル上面14Aと粉砕ローラ16の間に噛み込まれ粉砕される。そして、粉砕された粉粒体の一部は、回転テーブル上面14Aの外縁部に周設されて原料の層厚を調整するダムリング48を乗り越えて、回転テーブル上面14Aの外周部とケーシング12の隙間である環状通路40へと向かう。ここで、下部ケーシング12Bの回転テーブル14の下方には、所定温度に加熱された熱空気を導入するためのガス導入口42を設けている。
【0014】
竪型粉砕機10の運転中において、ガス導入口42より熱空気を導入することによって、ケーシング12内において回転テーブル14の下方から分級手段30を通過して上部取出口44へと流れる熱空気の気流が生じている。
竪型粉砕機10内に投入した原料と、回転テーブル14と粉砕ローラ16に粉砕されて後述するダムリング48を乗り越えた粉粒体の一部は、環状通路40からの熱空気によって吹き上げられてケーシング12内を上昇し、分級手段30に到達する。
ここで、径及び質量の大きな粉粒体は、分級手段30の固定羽根30c及び回転羽根30bを通過することができず、内部コーン30eに落下して再度粉砕ローラ16に噛み込まれて粉砕される。一方、径の小さな粉粒体は、隙間を開けて並べられた固定羽根30c及び回転羽根30bの間を抜けて分級手段30を通過して上部取出口44よりケーシング12外へ取り出される。
また、粉砕ローラ16に噛み込まれずそのまま環状通路40に達したような一部の極大の粒径の原料は、環状通路40より回転テーブル14の下方に落下して下部取出口46より竪型粉砕機10の外に取り出される。
【0015】
(ローラ切替部60)
図1はローラ切替部、摩耗量推定部、負荷測定部の説明図である。図2は4個の粉砕ローラの稼働ローラ数切り替えの説明図である。図2(1)に示すように各粉砕ローラ16a,16bには油圧源からの油圧配管が分岐して接続している。この分岐配管62に電動式の開閉弁(以下、電磁弁64ということあり)を取り付けている。ローラ切替部60は電磁弁64と電気的に接続して、任意の粉砕ローラ16a,16bを減数運転(稼働する粉砕ローラ数を減らす運転、例えば、対向する粉砕ローラ16a同士又は16b同士など)又は停止可能に構成している。また図2(2)に示すように4つの粉砕ローラ16のうち対向(直線上に配置)するローラ同士を1つのユニットとして2つの油圧ユニット66,68を設置する。2つの油圧ユニット66,68は、いずれか一方のユニットの粉砕ローラ16を減数運転し、いずれか他方を停止可能に構成している。
ローラ切替部60の切替動作によって、停止中の粉砕ローラ16は、回転テーブル上面14Aから上昇させて完全に停止させた状態のほか、回転テーブル上面14Aに粉砕荷重を作用させない状態となる自重のみで保持する状態でも良い。この場合、回転テーブル上面14Aの粉砕原料を脱気、圧密させる補助ローラの役割を果たすことができる。さらに、粉砕ローラ16の30%程度の荷重を上限とする若干の荷重を負荷させる構成としても良い。この場合、粉砕ローラ16への粉砕原料の噛み込みが向上して、減数運転時であっても理論上の数値以上の処理量、例えば定格の70%の処理量を実現できる。
【0016】
(摩耗量推定部50)
図3は摩耗量推定部の説明図である。
摩耗量推定部50は粉砕ローラ16の回転数を測定し記録している。回転数測定は一例として、粉砕ローラ16の回転箇所に設けてローラと共に回転するターゲット52と、周回転するターゲット52の軌道付近に設けた近接スイッチ54により、時間当たりの検知回数から回転数に変換する方式を採用している。
ここで、ローラの回転数Nr(rpm)、摩耗時のローラ回転数Nr’(rpm)は、Dt:テーブル軌道径(mm)、Dr:ローラ回転径(mm)、Dr’ :摩耗時のローラ回転径(mm)、Nt:テーブル回転数(rpm)、t:初期設定隙間長さ(mm)としたとき数式1(ローラの新品時),2(ローラの摩耗時)のように表すことができる。
【0017】
【数1】

【数2】

ローラタイヤ17が摩耗すると、ローラ径(Dr)は小さくなるため、結果として、ローラ回転数(Nr)は増加する。従って、ローラ回転数から摩耗深さ(tr)を推定できる。
そこでローラタイヤ17の摩耗深さ(tr)は数式3のように表すことができる。
【数3】
数式3に数式1,2を代入し、整理すると数式4のように表すことができる。
【数4】

数式4に示すようにローラ回転数からローラタイヤ17の摩耗量を求めることができる。このような摩耗量推定部50の構成により、従来であれば粉砕機を一旦停止して測定ゲージを使用するなどして摩耗量を測定しなければならなかったが、粉砕機を停止することなく、かつ遠隔で摩耗量を把握することができる。摩耗量推定部50は摩耗量を測定し、検出情報をローラ切替部60に出力する。
【0018】
(負荷測定部)
負荷測定部は、粉砕ローラ16に作用する負荷を測定する。本実施形態の負荷とは、回転テーブル14と粉砕ローラ16間の粉砕原料の層厚、粉砕ローラ16の前後(回転テーブル14の前後)のガス吹き上げ時の速度差又は圧力差をいう。
(層厚)
負荷測定部による層厚測定は層厚計72を用いている(図1参照)。層厚計72は、アーム20に取り付けたストライカー(反射板)と、ストライカーにレーザ光を照射するレーザセンサを有している。このような構成の層厚計72は、ローラタイヤ17の上下運動(原料層厚の変化)に連動して、アーム20に取り付けたストライカーもアーム20の軸回りをスイング移動する際、ストライカーにレーザ光を照射した反射光によりレーザセンサとストライカーの間の距離を計測して、レバー比(R2(アーム軸心とストライカーまでの距離)/R1(アーム軸心とローラタイヤ17と回転テーブル14の接触中心までの距離))から原料層厚を検出することができる。
(ガス吹き上げ時の速度差又は圧力差)
負荷測定部による粉砕ローラ16前後のガス吹き上げ速度差又は圧力差の測定は、速度計又は圧力計74を用いている(図1参照)。速度計又は圧力計74は、粉砕ローラ16の前後のケーシング12側面の上下方向に対となるように取り付けている。このような速度計又は圧力計74は各粉砕ローラ16に取り付けて、上方又は下方同士が同一平面上となるように配置している。各速度計又は圧力計74は速度又は圧力を測定し、検出情報をローラ切替部60に出力する。
ローラ切替部60は、速度計又は圧力計74からの検出情報に基づいて、各粉砕ローラ16の前後のガス吹き上げ速度又は圧力の差分(速度差又は圧力差)を算出する。この速度差又は圧力差から各粉砕ローラ16の負荷を判断する。
一般に粉砕機への粉砕原料の投入量に対して、排出される粉砕物の粉砕量が少ない状態は粉砕効率が悪い。このときケーシング内部では粉砕原料の滞留量が多いために、粉砕ローラ16の前後のガス吹き上げ速度が低下し、圧力差は大きくなる。ローラ切替部60は、粉砕効率の悪い(ガス吹き上げ速度が低下、圧力差が大きい)とき高負荷と判断する。
【0019】
(作用)
上記構成による本発明の竪型粉砕機の作用(運用方法)について、以下説明する。
竪型粉砕機10は、粉砕原料の処理量の上限を100%とすると60~70%までは、通常全ての粉砕ローラ16で運転して高い効率(電力原単位)を発揮する。
本発明の竪型粉砕機10は、運転中の各粉砕ローラ16の摩耗量及び負荷をそれぞれ摩耗量推定部50及び負荷測定部で検出する。
粉砕原料の処理量が70%を下回ったとき、ローラ切替部60により粉砕ローラ16を全数から減じて運転する。
具体的には、理論上では全ての粉砕ローラ16に均等に負荷が掛かるが、実際は回転テーブル上面14Aに粉砕原料を投入する原料投入口32と粉砕ローラ16の位置関係によって、粉砕原料が流れ易い粉砕ローラ16もあれば、そうでない粉砕ローラ16もあり、負荷に偏りが生じている。また回転テーブル14外周から吹き上がるガスの吹き上げ速度についても、ガス導入口42の位置や、分級手段30通過後の上部取出口44の位置関係で均一ではなく、粉砕原料の吹き出しや回転テーブル上面14Aの原料流れに影響を及ぼす。このような偏りによって各粉砕ローラ16の負荷にも偏りが生じることになる。負荷の高い粉砕ローラ16ほど早く摩耗が進行して、各粉砕ローラ16によって摩耗量が異なる場合がある。また負荷に差が生じる。
このため、原料流れやガスの吹き上げ速度の影響により減数運転する粉砕ローラ16の組み合わせにより処理能力が異なる。そこで粉砕ローラ16の運転中の層厚の検出情報により、ローラ切替部60は、例えば、定格の40~70%の処理量で運転できる粉砕ローラ16aの組み合わせと、定格の30~60%の処理量で運転できる粉砕ローラ16bの組み合わせを切り替える。このようにローラ切替部は運転中の処理能力に応じて最適な粉砕ローラ16の組み合わせを層厚で判断できる。
この他、粉砕ローラ前後のガス吹き上げ速度又は圧力の差分(風力差、圧力差)から各粉砕ローラの負荷を判断して、処理能力に応じた最適な粉砕ローラ16a又は16bの組み合わせを行う。
一例としてローラ切替部60は、定格の70%~100%では粉砕ローラを全数運転、定格の60~70%では負荷の高い粉砕ローラの組み合わせを減じて選択、定格の40~60%では摩耗の少ない粉砕ローラの組み合わせを減じて選択、定格の30~40%では負荷の低い粉砕ローラの組み合わせを減じて選択することにより最適な運転を行う。
【0020】
このような本発明の竪型粉砕機によれば、従来では定格の60%程度であった処理量の下限を、粉砕ローラの全数運転又は減数運転の組み合わせにより約30%まで拡大できる。またローラ切替部の構成により粉砕原料の処理量により粉砕ローラの全数又は減数運転を(遠隔)自動で切換え操作できる。さらに粉砕ローラの摩耗量と負荷の検出情報により、粉砕ローラの減数運転時に最適な粉砕ローラの組み合わせを選択できる。このため低処理量の運転時において、低振動、高効率(低電力原単位)、ローラタイヤの延命化を実現できる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0021】
10 竪型粉砕機
12 ケーシング
12B 下部ケーシング
14 回転テーブル
14A 回転テーブル上面
15 テーブルライナ
16,16a,16b 粉砕ローラ
17 ローラタイヤ
20 アーム
24 油圧シリンダ
30 分級手段
30a 回転軸
30b 回転羽根
30c 固定羽根
30e 内部コーン
30f フィード管
32 原料投入口
40 環状通路
42 ガス導入口
44 上部取出口
48 ダムリング
50 摩耗量推定部
52 ターゲット
54 近接スイッチ
60 ローラ切替部
62 分岐配管
64 電磁弁
66,68 油圧ユニット
72 層厚計
74 速度計又は圧力計
図1
図2
図3
図4