(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】飛行体の吐出装置
(51)【国際特許分類】
B65D 83/16 20060101AFI20240827BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20240827BHJP
B05B 12/12 20060101ALI20240827BHJP
B05B 13/04 20060101ALI20240827BHJP
B05B 17/00 20060101ALI20240827BHJP
B64D 1/18 20060101ALI20240827BHJP
B64D 47/08 20060101ALI20240827BHJP
B64U 10/16 20230101ALI20240827BHJP
B64U 20/80 20230101ALI20240827BHJP
B65D 83/14 20060101ALI20240827BHJP
B64U 101/45 20230101ALN20240827BHJP
【FI】
B65D83/16
B05B9/04
B05B12/12
B05B13/04
B05B17/00 101
B64D1/18
B64D47/08
B64U10/16
B64U20/80
B65D83/14 220
B64U101:45
(21)【出願番号】P 2020087355
(22)【出願日】2020-05-19
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小南 敦嗣
(72)【発明者】
【氏名】荒木 宗司
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/095884(WO,A1)
【文献】特開2017-104063(JP,A)
【文献】特開昭61-033997(JP,A)
【文献】特開平05-031208(JP,A)
【文献】登録実用新案第3061260(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/16
B65D 83/14
B05B 17/00
B05B 12/12
B05B 13/04
B05B 9/04
B64D 1/18
B64D 47/08
B64U 10/16
B64U 20/80
B64U 101/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に搭載されるエアゾール容器からノズルを介して内容物を吐出する飛行体の吐出装置であって、
前記エアゾール容器は機体外部に搭載され、前記ノズルの一端が、前記エアゾール容器の吐出端部に、前記ノズルの回動を許容する管継手を介して、少なくとも一つの回動軸を中心に、回動自在に支持され、
前記エアゾール容器は、前記機体に対して、ヨー軸と平行方向の旋回軸を中心に回動可能に支持されていることを特徴とする飛行体の吐出装置。
【請求項2】
前記エアゾール容器の吐出端部は、前記エアゾール容器のステムに接続されるアクチュエータである
請求項1に記載の飛行体の吐出装置。
【請求項3】
前記ノズルの回動軸は1軸である
請求項1又は2に記載の飛行体の吐出装置。
【請求項4】
前記ノズルの回動軸は、互いに方向が異なる2軸であり、ノズルを二方向に回動自在とする
請求項1又は2に記載の飛行体の吐出装置。
【請求項5】
前記ノズルの回動軸は、前記エアゾール容器の中心軸線に対して軸直角方向の回動軸である
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の飛行体の吐出装置。
【請求項6】
前記ノズルの回動軸が、エアゾール容器の中心軸線に対して軸直角方向にオフセットされている
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の飛行体の吐出装置。
【請求項7】
前記オフセットされるノズルの回動軸は、前記エアゾール容器の最大径部よりも外側に位置する
請求項6に記載の飛行体の吐出装置。
【請求項8】
前記ノズルを回動させる駆動手段を備えている
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の飛行体の吐出装置。
【請求項9】
前記旋回軸と前記ノズルの回動軸は所定距離だけ離れている
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の飛行体の吐出装置。
【請求項10】
前記ノズルを回転駆動するノズル駆動手段と、前記エアゾール容器を、前記機体に対して旋回駆動する容器駆動手段と、を備えている
請求項9に記載の飛行体の吐出装置。
【請求項11】
前記エアゾール容器は、該エアゾール容器の中心軸が前記機体のロール軸と平行方向に配置される横積み構成となっている
請求項9または10に記載の飛行体の吐出装置。
【請求項12】
前記エアゾール容器は、該エアゾール容器の中心軸が前記機体のヨー軸と平行方向に配置される縦積み構成となっている
請求項9または10に記載の飛行体の吐出装置。
【請求項13】
前記エアゾール容器は収容部材に収容された構成となっている
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の飛行体の吐出装置。
【請求項14】
前記収容部材には、エアゾール容器の内容物を吐出させる吐出駆動部を備えている
請求項13に記載の飛行体の吐出装置。
【請求項15】
前記吐出駆動部は、前記エアゾール容器の容器本体を移動させることで、容器本体から突出するステムを容器本体に対して押し込んで内容物を吐出させる構成となっている請求項14に記載の飛行体の吐出装置。
【請求項16】
前記ノズルに、カメラが保持されている
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の飛行体の吐出装置。
【請求項17】
前記ノズルに、距離センサが保持されている
請求項1乃至15のいずれか1項に記載の飛行体の吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人飛行体等の飛行体から液体、ガス、空気、音(ホーン)等を吐出する飛行体の吐出装置に関し、特に、ガス圧によって内容物を噴出させるエアゾール容器を備えた飛行体の吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種のエアゾール容器を利用した飛行体の吐出装置として、たとえば、特許文献1に記載のような蜂の駆除装置が知られている。この蜂の駆除装置は、機体内部に、薬剤を蜂の巣に供給する薬剤供給部を備え、この薬剤供給部に、噴射用器具としてエアゾール容器が装着されている。薬剤供給部は、飛行体内部に配置されるエアゾール容器及び電磁切替弁と、飛行体外部に配置される姿勢制御部を備えた筒状部(ノズル)とを備え、筒状部の角度を制御できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の無人飛行体は、飛行体内部でエアゾール容器から筒状部まで輸送路が長く、輸送路内での液の損失や圧力の損失が生じ、吐出圧が低下してしまう。エアゾール容器の場合には、容器の内圧によって液を吐出しており、圧力損失が問題となる。
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、エアゾール容器からの吐出圧の圧力損失を可及的に小さくし得る飛行体の吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、
機体に搭載されるエアゾール容器からノズルを介して内容物を吐出する飛行体の吐出装置であって、
前記エアゾール容器は機体外部に搭載され、前記ノズルの一端が、前記エアゾール容器の吐出端部に、前記ノズルの回動を許容する管継手を介して、少なくとも一つの回動軸を中心に、回動自在に支持されていることを特徴とする。
本発明は、エアゾール容器の吐出端部に回動を許容する管継手部材を介してノズルを回動自在に接続しているので、ノズルまでの輸送用のチューブ等が不要で、エアゾール容器からの内容物の輸送路が短くなり、吐出圧の圧力損失を可及的に小さくすることができる。
また、管継手でよってエアゾール容器の吐出端部とノズル間を接続しているので、内容物の流路の接続を管継手だけで行うことができる。
【0006】
本発明は、次のように構成することができる。
1.前記エアゾール容器の吐出端部は、前記エアゾール容器のステムに接続されるアクチュエータである
2.前記ノズルの回動軸は1軸である。
たとえば、水平の回動軸を中心に上下に回動、または垂直の回動軸に対して左右に回動する構成とすることができる。このように、上下または左右に回動するようにすれば、ノ
ズルの仰角、俯角、方位角に対応し、制御方向が明確で、操作者にとって操作しやすい。
もっとも、回動軸の方向は、垂直、水平方向に限らず、水平あるいは垂直に対して所定角度傾いていてもよい。
3.前記ノズルの回動軸は、互いに方向が異なる2軸であり、ノズルを二方向に回動自在とすることもできる。
このように2方向に回動自在とすれば、たとえば、回動軸を水平方向と、垂直方向に設定すれば、上下、左右に回動する構成となり、ノズルの仰角、俯角、方位角をすべて制御可能となる。
4.前記ノズルの回動軸は、
エアゾール容器の中心線に対して軸直角方向の回動軸である。
たとえば、容器の中心線を機体のロール軸と平行の横積みとした場合、ノズルの回動軸を水平にすれば上下に回動し、回動軸を垂直にすれば左右に回動する構成となる。
また、エアゾール容器の中心線を機体のヨー軸と平行の縦積み状態とした場合、ノズルは上下に回動する。
5.前記ノズルの回動軸が、エアゾール容器の中心軸に対して軸直角方向にオフセットされていてもよい。
このようにオフセットさせておけば、エアゾール容器の中心線から離れた範囲に内容物を吐出させることができる。
6.オフセットされるノズルの回動軸は、前記エアゾール容器の最大径部よりも外側に位置する。
このようにすれば、吐出物をエアゾール容器の後方に向けて吐出することができる。
7.前記ノズルを回動させる駆動手段を備えている。
このようにすれば、自動的にノズルの角度を調整できる。
8.前記機体に搭載されるエアゾール容器は、前記機体に対して、前記ヨー軸と平行方向の旋回軸を中心に回動自在に支持され、前記旋回軸と前記ノズルの回動軸は所定距離だけ離れている。
たとえば、エアゾール容器を旋回軸を中心に機体に対して旋回させ、エアゾール容器の吐出端部を吐出目標の方向に定め、その位置で、ノズルを回動軸を中心に回動させて吐出目標に正確に向ける。このようにすれば、飛行体の向きに関わらず、ノズルを吐出目標に向けることができる。
9.前記ノズルを回転駆動するノズル駆動手段と、前記エアゾール容器を、前記機体に対して回転駆動する容器駆動手段と、を備えている。
このようすれば、自動的にエアゾール容器の向き、およびノズルの角度を調整できる。10.前記エアゾール容器は、エアゾール容器の中心線と前記機体のロール軸とを平行に向けた横積み構成とすることができる。
11.前記エアゾール容器は、エアゾール容器の中心線を前記機体のヨー軸と並行に向けた縦積み構成とすることもできる。
たとえば、横積みの場合に、離隔型のエアゾール容器が用いられるが、内容物の量が少なくとなるにともない、内容物が占める空間が横方向に移動するため、重心が横方向に変化し、機体の安定性が悪くなる。これに対して、縦置きの場合には、離隔型で内容物の量が少なくなっても、上下移動するだけなので、機体を安定させることができ、吐出方向を安定させることができる。
12.前記エアゾール容器は収容部材に収容された構成とすることができる。
このように収容部材を用いれば、ノズルを回動自在に支持する管継手を、収容部材を利用して支持することができる。
13.前記収容部材には、エアゾール容器の内容物を吐出させる吐出駆動部を備えている。
14.前記吐出駆動部は、前記エアゾール容器の容器本体を移動させることで、容器本体から突出するステムを容器本体に対して押し込んで内容物を吐出させる構成となっている。
収容部材に収容した状態のエアゾール容器を移動させるので、アクチュエータ側の位置を一定に保つことができ、回転自在の管継手部材の位置、すなわち、回転軸の位置は変化しない。
15.前記吐出駆動部は、前記収容部材に設けられている。
収容部材に吐出駆動部を設けておけば、エアゾール容器のサイズや形状や重量に対して、適当な機構を選択でき、エアゾール容器に対して最適な構造とすることができる。
15.前記ノズルに、カメラが保持されている。
このようにノズルにカメラを保持しておけば、ノズルの吐出方向に自動的にカメラの撮影方向が合致し、カメラの方向の制御が不要となる。
16.前記ノズルに、距離センサが保持されている。
このようにノズルに距離センサを保持しておけば、ノズルの吐出方向の対象物までの距離を正確に測定することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エアゾール容器からの内容物の輸送路が短くなり、吐出圧の圧力損失を可及的に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る飛行体の吐出装置を概念的に示すもので、(A)は飛行体を透視図として示した全体構成図,(B)はスリーブを斜め前方から見た斜視図、(C)はノズル近傍の水平断面図、(D)はスイベル管継手近傍の概略拡大断面図である。
【
図2】
図2(A)は、
図1の吐出装置の垂直方向中央断面図、(B)は(A)水平方向中央断面図、(C)はノズルを下向きに傾斜させた状態の垂直方向中央断面図である。
【
図3】
図3は
図2のエアゾール容器のバルブ機構の一例を示す図である。
【
図4】
図4は吐出駆動部の他の方式を示す図である。
【
図5】
図5(A)は、吐出装置を搭載した飛行体の操縦端末と操作端末の遠隔操作例を示す説明図、(B)は制御ブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態2に係る飛行体の吐出装置を概念的に示すもので、(A)は飛行体を透視図として示した全体構成図,(B)はスリーブを斜め前方から見た斜視図である。
【
図7】
図7(A)は、
図6の回転支持部の構成例を示す断面図、(B)はエアゾール容器組立体の旋回状態を示す上面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態3に係る飛行体の吐出装置を示すもので、(A)はスリーブを斜め前方から見た斜視図、(B)はノズル取付部近傍の側面図、(C)はノズル取付部近傍の上面図である。
【
図9】
図9(A)は本発明の実施形態4に係る飛行体の吐出装置を斜め前方から見た斜視図、(B)はノズル近傍の側面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態5に係る飛行体の吐出装置を概念的に示すもので、(A)は飛行体を透視図として示した全体構成図,(B)は吐出装置の断面図、(C)は(B)の装置のノズルを後方に向けた状態の断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態6に係る飛行体の吐出装置を概念的に示すもので、(A)は飛行体を透視図として示した全体構成図,(B)は吐出装置の断面図である。
【
図13】
図13は本発明の実施形態7に係る飛行体の吐出装置を概念的に示すもので、(A)はノズルを前方に向けた状態の断面図、(B)はノズルを下方に向けた状態の断面図である。
【
図14】
図14(A)は、本発明の実施形態8に係る飛行体の吐出装置を示す側面図、(B)は本発明の実施形態9に係る飛行体の吐出装置を示す側面図である。
【
図15】
図15(A)は、ノズルにカメラを取り付けた例を示す吐出装置の斜視図、(B)はノズルに距離センサを取り付けた例を示す吐出装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0010】
[実施形態1]
図1は本発明の実施形態1に係る飛行体の吐出装置を概念的に示すもので、
図1(A)は飛行体を透視図として示した全体構成図,(B)は、吐出装置を斜め前方から見た斜視図、(C)はノズル近傍の水平断面図、(D)はスイベル管継手の概略断面図である。
図1(A)において、1は吐出装置、100は吐出装置1が搭載される飛行体を示している。飛行体100は、いわゆるマルチコプタ等の無人航空機であり、機体101は、機体胴部102と、機体胴部102から放射状に延びる4本の腕部103と、離着陸のための脚部107と、を備え、腕部103の先端に、それぞれモータ105を介して4つの回転翼104が設けられている。図示例では、回転翼104が4つのクアッドコプタを例示しているが、3つ(トライコプタ)、6つ(ヘキサコプタ)等、公知の種々のマルチコプタが適用可能である。図において、飛行体100のヨー軸をZ、ロール軸をX、ピッチ軸をYとし、ヨー軸Zに沿って紙面上方を上、下方を下、ロール軸Xに沿って紙面左方向を前、右方向を後ろとする。
【0011】
吐出装置1は、エアゾール容器10と、エアゾール容器10を収容するスリーブ20と、エアゾール容器10の吐出端部に接続されるノズル15と、吐出駆動部30とを備え、エアゾール容器10からノズル15を介して内容物を吐出するように構成されている。エアゾール容器10はスリーブ20に収容された状態で、連結部50を介して機体胴部102の下面に連結されている。以下の説明において、スリーブ20にエアゾール容器10を収容した状態の組立体をエアゾール容器組立体40と呼ぶものとする。
【0012】
エアゾール容器10は、その中心線N(以下、容器中心線Nと称す)が飛行体100のロール軸Xと平行となるように、頭部を前方に向けて前後方向に寝かせた横積み状態で搭載されている。
ノズル15は直線状部材で、回動軸Mを中心に回動自在に支持され、角度が調整可能となっている。この例では、回動軸Mは、容器中心線Nと軸直角方向に延び、かつピッチ軸Yと平行となるように配置されている。飛行体100が水平状態の場合、回動軸Mは水平である。したがって、ノズル15は、回動軸Mを中心に、ロール軸Xとヨー軸Zを通るXZ平面と平行な平面上を、上下方向に回動し、ノズルの角度(仰俯角)が調整可能となっている。図示例では、エアゾール容器10は、機体胴部102の下面の前寄りに搭載され、エアゾール容器10の前端部が機体胴部102の前端よりも前方にせり出しており、ノズル15は機体胴部102と干渉することなく上方に回動可能で、可動範囲が広くなっている。
【0013】
なお、ノズル15の回動軸Mは、水平方向に限定されず、垂直方向として、ノズルを左右に回動自在とすることもできる。このように、上下または左右に回動するようにすれば、回動方向が、ノズルの仰俯角、方位角に対応し、操作者にとって操作しやすい。もっとも、回動軸Mの方向は、垂直、水平方向に限らず、水平あるいは垂直に対して所定角度傾いていてもよい。回動軸Mの方向は、この実施形態では、エアゾール容器組立体40が横積み状態なので、容器中心線Nを中心とする回転方向の位相を変えることで設定可能であ
る。
【0014】
次に、
図1(B),(C)を参照して、ノズル15の支持構造について、詳細に説明す
る。
図1(B)(C)に示すように、ノズル15は、スリーブ20の第1端部カバー部22から突出するアクチュエータ14に、上記した回動軸Mを構成する回動自在の管継手部材であるスイベル管継手17を介して接続されている。アクチュエータ14は、第1端部カバー部22に固定された押圧部材221を介してスリーブ20内に挿通される直線状部材で、スリーブ20内の端部が、スリーブ20内に収納されているエアゾール容器10のステム12に接続され、エアゾール容器10の吐出端部を構成している。アクチュエータ14はステム12を押し込んで内容物を吐出させる吐出ボタンとして機能する。アクチュエータ14とステム12は、
図1(C)では、離間している状態を示しているが、後述するように、吐出時にエアゾール容器10がアクチュエータ14側に移動してステム12がアクチュエータ14に押し付けられて接続される。
【0015】
スイベル管継手17は、ノズル15とエアゾール容器10のアクチュエータ14との流路の接続状態を維持しつつ、ノズル15の回動を許容する。スイベル管継手17の構成は、回動軸Mに沿って第1継手部材171と第2継手部材172が直列に配置され、第1継手部材171にノズル15の端部が接続され、第2継手部材172にアクチュエータ14が接続されている。アクチュエータ14は、第2継手部材172に対して回動軸Mと直交方向に接続されている。また、ノズル15は直線状部材で、第1継手部材171に対して、回動軸Mと直交方向に接続されている。スイベル管継手17自体の回動範囲は360°であるが、ノズル15の回動範囲は、上方への回動はスリーブ20あるいは機体胴部102との干渉によって制限され、下方への回動は、スリーブ20との干渉によって制限される。
一方、スイベル管継手17の第1継手部材171には、駆動手段を構成するモータ18が作動連結され、第1継手部材171を回転駆動することにより、ノズル15の回動角度が調整可能となっている。モータ18は、スリーブ20の第1端部カバー部22に固定された支持フレーム181に支持されている。モータ18によって、ノズル15を回動させると共に、目標角度でノズル15が動かないように位置決め保持する。回転位置を保持するためのブレーキやクラッチ等を設けてもよいし、モータ18自体で保持するようにしてもよい。
【0016】
ノズル15の駆動手段としては、モータ18が直接連結されるように簡略化しているが、モータ18と第1継手部材171間に歯車等の伝動機構を備えていてもよいし、クラッチ機構を備えていてもよいし、種々の構成を採用することができる。
スイベル管継手17は、
図1(D)に、模式的に示すように、筒状の第1継手部材171と第2継手部材172が、ボール等の転動体173を介して互いに回転自在に嵌合されている。また、第1継手部材171と第2継手部材172間の隙間は、シール部材174によって密封され、内容物の漏洩が防止される。図示例では転動体173によって転がり接触となっているが、すべり接触構造であってもよい。
本実施形態では、エアゾール容器10のアクチュエータ14にスイベル管継手17を介してノズル15を回動自在に接続しているので、ノズル15までの輸送用のチューブ等が不要で、エアゾール容器10からの内容物の輸送路が短くなり、吐出圧の圧力損失を可及的に小さくすることができる。
【0017】
次に、エアゾール容器組立体40の構成について、
図2を参照して詳細に説明する。
図2は、エアゾール容器組立体の断面図であり、(A)は、ノズルの回転軸と直交し容器中心線を通る平面で切断した垂直方向断面図、(B)は(A)に対して90°位相が異なる平面で切断した水平方向断面図、(C)はノズルを下向きに傾斜させた状態を示す垂
直方向断面図である。
【0018】
上記した通り、エアゾール容器10は、スリーブ20に収納され、エアゾール容器組立体40として、機体101に搭載され、機体101の下からエアゾール容器10の内容物を吐出するものである。吐出される内容物は、液体だけでなく、ガス、空気等の気体、粉体等を吐出するもの、さらに、音(ホーン)等を吐出する場合も含まれる。音の吐出は、たとえば、気体を噴出させる際に音が出るように構成される。
スリーブ20には、エアゾール容器10から内容物を吐出させるための吐出駆動部30が内蔵されている。スリーブ20とエアゾール容器10は一体として交換可能である。
以下、各部の構成について説明する。
【0019】
[エアゾール容器について]
エアゾール容器10は、内部に充填された液化ガスや圧縮ガスのガス圧によって、内容物を噴出する容器であり、既存の金属製のエアゾール容器が適用可能であるし、耐圧性を有するプラスチック製の容器を用いることもできる。エアゾール容器10には、吐出方向や吐出形態に応じて流路が形成された各種アクチュエータがステム12に装着される。図示例では、エアゾール容器10のステム12に、フランジ部14bを有するアクチュエータ14を装着した例を示している。アクチュエータ14は、ストレートの吐出流路を備えた直線状のアクチュエータ本体部14aと、アクチュエータ本体部14aから軸直角方向に張り出すフランジ部14bと、を備えた構成となっている。このアクチュエータ14の流路構成は、内容物を霧状に吐出するか、直線状の噴流として吐出するか、内容物の吐出形態、吐出方向に応じて、適宜選択される。
【0020】
本実施形態1では、エアゾール容器10を、その容器中心線Nが機体101にロール軸Xと平行となる横積み状態で搭載しているので、封入される噴射剤と内容物の形態としては、原液が内袋に収容され、内袋外周と容器本体内周との間に噴射剤が収容された隔離型が用いられる。隔離型であれば、エアゾール容器の姿勢が、横向き(ステムの位置が横)、下向き(ステムの位置が下)であっても吐出可能である。
もっとも、本実施形態1のように水平状態に搭載しない場合には、隔離型に限定されるものではない。たとえば、容器中心線Nがヨー軸Zと平行の縦積み構成でエアゾール容器10を搭載される場合で、ステム12が上向きで使用される場合には、ディップチューブを備えた二相系、三相系の容器が使用できる。また、ステム12が下向きで使用される場合には、ディップチューブを有さない二相系、三相系の容器を適用可能である。
【0021】
なお、噴射剤としては、一般的な炭化水素(液化石油ガス)(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、フッ化炭化水素(HFO-1234ZE)等の液化ガス、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)、亜酸化窒素(N2O)等の圧縮ガスが適用可能であるが、火災に対する安全性を考慮すると非引火性のフッ化炭化水素、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素等が好適であり、特に、環境負荷を考慮すると、窒素が好適である。
【0022】
[スリーブ20の構成]
スリーブ20の材料としては、アルミ等の金属、プラスチック、または炭素繊維等の強度の高い軽量の素材で構成される。また、硬質の材料に限らず、軟質の材料、たとえば、シリコーンゴムやウレタンフォーム等のゴム材料を使用することもでき、要するにエアゾール容器10を収容する収容部の形状を保持することができる各種素材を用いることができる。なお、「スリーブ」の用語は、円筒状のエアゾール容器10が収容される筒状の部材の意味で使用している。
スリーブ20は、エアゾール容器10より大径の円筒状のスリーブ本体21と、スリーブ本体21の一方の端部を覆う第1端部カバー部22と、他方の端部に設けられる第2端部カバー部23とで構成されている。
第1端部カバー部22はスリーブ本体21に対してねじ部を介して着脱可能にねじ込み固定される構成で、第2端部カバー部23はスリーブ本体21に対して取り外し不能に固定されている。第2端部カバー部23とスリーブ本体21が一体であってもよい。
【0023】
第1端部カバー部22は、ドーム状のカバー本体222と、スリーブ本体21のめねじ部にねじ込まれるねじ筒部223とを備えた構成となっている。カバー本体222は、空力特性を考慮して先端に向かって徐々に小径となるように縮径された、先端が丸みを帯びた円錐状、あるいはドーム状の曲面となっている。このように空力特性のよい形状とすることにより、水平方向の風(横風)の影響が小さくなり、飛行の安定化を図ることができる。
エアゾール容器10の底部側に位置する第2端部カバー部23は、一端がスリーブ本体21の後端部(エアゾール容器10の底部側の端部)に固定される筒状部231と、筒状部231の他端を閉塞する端板232とを備えた構成となっている。この第2端部カバー部23には、吐出駆動部30が収納されている。
【0024】
[エアゾール容器10の支持構造]
スリーブ20の内径はエアゾール容器10の胴部11aの外径よりも大きく、エアゾール容器10は、スリーブ20の壁面から離間させて一定の距離をとって支持されている。エアゾール容器10の胴部11aをスリーブ20の内壁と離間させないで支持するようにしてもよいが、スリーブ20の内壁からエアゾール容器10の胴部11aを離間させることにより、離間スペースに断熱材や蓄熱材を介装することができる。
なお、スリーブ20は密閉構造ではなく、一部が通気する構造でもよい。例えば、網目構造、パンチングなどの構造を適用可能である。このようにすれば、エアゾール吐出時の自己冷却を外気で緩和させること、スリーブ20の軽量化を図れること等の効果がある。
一方、エアゾール容器10の底部11bは、容器保持部33に支持され、エアゾール容器10の頭部側は、第1端部カバー部22に設けられた押圧部材221によって支持されている。
押圧部材221は、第1端部カバー部22の頂部からエアゾール容器10の中心軸方向にステム12に向かって突出する筒状体221aと、筒状体221aの一端に設けられ第1端部カバー部22に固定される端部フランジ部221bと備えている。押圧部材221の筒状体221aの内周には、アクチュエータ本体部14aが軸方向に摺動自在に挿入され、筒状体221aの先端面が、アクチュエータ14のフランジ部14bに当接あるいは近接している。この押圧部材221は、第2端部カバー部23と一体成形してもよい。
【0025】
次に、吐出駆動部30について説明する。
吐出駆動部30は、回転駆動源であるモータ31と、このモータ31の回転運動を、容器保持部33の直線運動に変換するカム機構32と、を有している。モータ31とカム機構32は、第2端部カバー部23に固定された不図示のフレームに組付けられている。カム機構32は、モータ31によって回転駆動されるカム32aと、容器保持部33に設けられるカムフォロワ32bとを有している。カムフォロワ32bは、カム32aのカム面に摺接し、容器中心線Nと平行方向に直線移動する。図示例のカム32aは卵形の円板カムで、カム軸は容器中心線Nに対して直交しており、カム32aの回転が、カムフォロワ32bを介して容器保持部33の直線運動に変換される。カム32aは円板カムなので、カム32aにカムフォロワ32bを常時当接させるためのスプリング等の付勢手段が適宜設けられる。
容器保持部33は、エアゾール容器10の底部11bに当接する円板部33aと、円板部33aの外径端部からエアゾール容器10の胴部11aの底部側の端部を保持する環状凸部33bと、円板部33aのモータ側の面の中央部に設けられる連結軸部33cとを備え、連結軸部33cにカムフォロワ32bが設けられている。
カム32aは、通常は、最小径部分がカムフォロワ32bに当接していて、容器保持部
33が後退限位置にあり、エアゾール容器10のバルブ機構が閉弁状態で保持されている。モータ31によってカム32aを回転させることで、容器保持部33が軸方向に前進する。すなわち、後退限位置でカムフォロワ32bが当接するカム32aの接触位置は、回転中心からの径が小さく、前進限位置でカムフォロワ32bが当接するカム32aの接触位置は、回転中心から径が大きく設定されている。
【0026】
この容器保持部33の前進によって、エアゾール容器10が軸方向頭部側に移動し、このエアゾール容器10の移動によって、アクチュエータ14が押圧部材221の筒状体221aに押し付けられる。押圧部材221はスリーブ20の第1端部カバー部22に固定されているので、筒状体221aからの反力で、ステム12がエアゾール容器10内に押し込まれ、エアゾール容器10内のバルブ機構が開弁される。バルブ機構が開弁すると、ガス圧によって内容物が自動的に吐出される。
この例では、カム機構32によってモータ31の回転運動を直線運動に変換するようになっているが、カム機構32に限定されるものではなく、たとえば、ねじ送り機構や、ラックアンドピニオン等、モータ31の回転運動を直線運動に変換する機構であれば適用可能である。また、回転モータではなく、直線駆動用のリニアモータや、電磁ソレノイド等の直線駆動源を用い、運動変換機構を用いることなく、エアゾール容器10を軸方向に移動させる構成とすることもできる。
【0027】
[バルブ機構の構成]
図3には、上記吐出駆動部30によって開弁されるエアゾール容器10のバルブ機構13の一例を示している。
すなわち、ステム12には、先端開口部から軸方向に所定寸法延びる吐出流路12aが設けられ、ステム12の側面に弁孔となるステム孔12bが開口しており、このステム孔12bがマウンティングカップ11dの挿通孔の孔縁に装着されたガスケット13aの内周面によって封止されている。
通常は、ガス圧とスプリング13bの付勢力でステム12が突出方向に付勢され、弁体となるガスケット13aの内周縁を軸方向に押圧することで、ガスケット13aの内周面が弁座を構成するステム孔12bの孔縁に密接して閉弁状態に維持されている。
【0028】
図2に示した吐出駆動部30のカム機構32によって、容器保持部33が前進限に移動すると、エアゾール容器10が第1端部カバー部22側に移動し、フランジ付きのアクチュエータ14のフランジ部14bが押圧部材221の端面に当接し、その反力によってステム12が相対的に容器内方に向かって押し込まれる。ステム12が押し込まれると、ガスケット13aの内周縁が容器の内方に向けて撓み、ガスケット13aの内周面がステム孔12bの孔縁から離れて開弁し、ガス圧で押された内容物がステム12の吐出流路12aから吐出される。
図示例のバルブ機構13は一例であり、このような構成に限定されるものではなく、通常は閉弁状態を維持し、ステム12を押し込むことによって開弁する種々の構成を適用することができる。
【0029】
[吐出駆動部の別方式]
次に、吐出駆動部の別方式について説明する。
図2では、エアゾール容器10をスリーブ20内で移動させているが、エアゾール容器10は固定し、アクチュエータ14を押し込む構成としてもよいし、機械的に移動させる構成ではなく、エアゾール容器10のバルブ機構は常時開とし、外部弁によって、吐出と停止を切り替えるようにしてもよい。
図4は、吐出駆動部30を、エアゾール容器10の内部のバルブ機構13ではなく、外部弁30Cによって駆動するようにしたものである。外部弁30Cは、図示するように、ソレノイドによって停止位置と吐出位置を切り替える2方向切り替え弁を用いることがで
きる。通常は停止位置に保持しておき、吐出時にはソレノイドを駆動して吐出位置に切り替え、内容物を吐出させるように構成する。このような外部弁30Cを用いた場合、管路30Dにエアゾール容器10のステム12を接続するだけなので、エアゾール容器10の取付けが容易で、開閉制御も容易となる。既存のエアゾール容器10を使用する場合には、たとえば、エアゾール容器10を組み付ける際に、ステム12を押し込んで内部のバルブを常時開の状態に保持するように構成する。
【0030】
[電気設備]
次に、
図1(A)に戻って、吐出駆動部30やノズル15のモータ18を駆動するための電気設備について説明する。
図1(A)には、飛行体に搭載される電気設備について、概念的に記載している。
吐出駆動部30やノズル15のモータ18等の搭載装置を制御する搭載装置用制御部210が、飛行体100の飛行を制御する飛行制御部110とは別に設けられており、飛行制御部110と共に、機体101側に設けられている。また、吐出駆動部30やノズル15を回転するモータ18を駆動するための搭載装置用電源211が、飛行体100を駆動するための電源(飛行制御部110に組み込まれているものとし、図示せず)とは別に設けられ、機体101側に搭載されている。ノズル15については、モータ18と搭載装置用電源211によって、本願発明の駆動手段が構成される。また、搭載装置用制御部210には、吐出駆動部30と共に、ノズル15のモータ18の制御系が設けられ、ノズル15の角度調整がなされる。 また、吐出装置1やノズル15を遠隔操作するためのアンテナを含む搭載装置用通信部212が、飛行体100を遠隔操作するためのアンテナを含む飛行用通信部112とは別に設けられ、機体101に搭載されている。
搭載装置用制御部210、搭載装置用通信部212及び搭載装置用電源211は、飛行制御部110、飛行用通信部112及び飛行用電源の一部、あるいは全てに、その役割を持たせてもよい。
【0031】
[機体との支持構造]
エアゾール容器組立体40の機体101への連結部50は、たとえば、スライドレールとT形溝のスライド式の嵌合構造、バヨネット結合のような回転方向に掛け外しが可能な構成としてもよいし、ねじ止め、クリップ結合、クランプ等、取り外しと取り付けを容易化した種々の支持手段を適用可能である。
機体101側に配置された搭載装置用制御部210及び搭載装置用電源211と吐出駆動部30のモータ31及びノズル15を駆動するモータ18等と電気的に接続する電気接点を設けてもよいし、スリーブ20から機体101に配置されたコネクタにケーブルなどで直接接続してもよい。他にも、スリーブ20内に二次電池などの電源および無線通信機を有し、機体101側に配置された飛行制御部110からの電気信号を無線通信により、スリーブ20内の搭載装置用制御部210と送受信してもよい。
【0032】
次に、本発明の飛行体の吐出装置の作用について説明する。
[交換作業]
予め、
図2に示したような、スリーブ20内にエアゾール容器10を収容した交換用のエアゾール容器組立体40を準備しておく。交換作業は、機体胴部102からエアゾール容器組立体40を外し、新たなエアゾール容器組立体40を装着する。交換後のエアゾール容器組立体40は、スリーブ20からエアゾール容器10を取り出し、ガス及び内容物を完全に放出させて廃棄する。スリーブ20は繰り返し利用することができる。また、この実施形態では、スリーブ20を機体101に固定したまま、エアゾール容器10のみを交換することもできる。
【0033】
[撒布作業]
次に、撒布作業について、
図5を参照して説明する。
図5(A)は、吐出装置を搭載し
た飛行体の操縦端末と操作端末の遠隔操作例を示す説明図、(B)は簡単な制御ブロック図である。
撒布作業は、たとえば
図5(A)に示すように、飛行体100の飛行は操縦端末120により遠隔操作され、吐出装置1は、操作端末160により遠隔操作される。操作端末160には、たとえば、ノズル15の操作レバー165、吐出ボタン163や停止ボタン164が設けられ、操作者はディスプレイ167上の画像を見ながら、ノズル15の吐出方向を調整する。
操作レバー165を操作すると、方向変更指令信号が送信され、飛行体100に搭載された搭載装置用通信部212に受信される。受信された方向変更指令信号に基づいて、搭載装置用制御部210によりノズル15の角度が演算処理され、モータ18に駆動信号が送信され、モータ18が駆動してノズル15が指定された角度まで回転駆動して停止する。
【0034】
ノズル15の方向が決まると、吐出ボタン163を押し、吐出指令信号が送信される。吐出指令信号は、飛行体100に搭載された搭載装置用通信部212に受信され、受信された吐出指令信号に基づいて、搭載装置用制御部210により吐出駆動部30が駆動され、エアゾール容器10のステム12が押し込まれて内容物が吐出される。停止ボタン164を押すと、停止指令信号が送信され、吐出駆動部30によってステム12の押し込みが開放されて吐出が停止する。
吐出と停止の切り替えは、ボタンの操作だけでなく、予め記憶されたプログラムに従って、自動的に切り替えることもできる。たとえば、航路を予めプログラムしておいて、GPSからの信号によって、地図上の位置及び高度計によって高さを検出し、所定の位置に達すると吐出を開始し、所定のエリアの吐出が終了すると吐出を停止するようにすることもできる。
【0035】
上記実施形態では、ノズル15を所定角度に停止して使用する場合について説明したが、このような使用方法ではなく、ノズル15が連続的に回動し、角度を変えながら内容物を吐出させるようにしてもよい。
また、ノズル15を駆動するモータが無く、ノズル15を回動可能としてノズルの角度を手動で調節するような構成でもよい。すなわち、飛行前に所定角度に調節して、飛行中は調節不能な構成となっていてもよい。この場合、ノズルの角度を保持しておく手段としては、たとえば、スイベル管継手の第1継手部材と第2継手部材を滑り摩擦の摩擦接触とし、適度な摩擦力によって、回動可能で、かつ任意角度で保持できるように設定することができるし、ラチェット機構等、その他種々の角度保持機構を用いることができる。
【0036】
次に、本発明の飛行体の吐出装置の他の実施形態について説明する。以下の説明では上記実施形態と異なる部分についてのみ説明するものとし、同一の構成部分については、同一の符号を付して説明は省略するものとする。
[実施形態2]
次に、
図6を参照して、本発明の実施形態2について説明する。
図6(A)は飛行体を透視図として示した全体構成図、(B)は吐出装置を斜め前方から見た斜視図である。
この実施形態2の吐出装置201は、機体101に搭載されるエアゾール容器10が、機体101に対して、ヨー軸Zと平行方向の旋回軸Vを中心に回動可能に支持され、旋回軸Vとノズル15の回動軸Mは所定距離だけ離れた構成となっている。
具体的には、ノズル15は、1軸の回転自由度を有するスイベル管継手17を介して、水平(ピッチ軸と平行)の回動軸Mを中心に、上下方向に回動可能に支持されている点は実施形態1と同様であり、エアゾール容器組立体40が、回転支持部990を介して、機体101に回転可能に支持されている点で相違している。すなわち、機体101に搭載されるエアゾール容器組立体40は、容器中心線Nを機体101のロール軸Xと平行にした
横積み構成で、機体胴部102に対して、ヨー軸Zと平行方向の旋回軸Vを中心に水平方向に回動可能に支持されている。
回転支持部990は、概念的に示すもので、機体101側に固定されるモータ980と、支持部材981とを有し、支持部材981を介して、エアゾール容器組立体40とモータ980を連結する構成となっている。
【0037】
図7(A)には、回転支持部990の具体的な構成例を示している。
モータ980は、機体胴部102に固定される支持箱992に収容され、支持部材981の上端が、支持箱992に回転軸受993を介して回転自在に支持され、モータ980に連結されている。
支持箱992は、基板部992aと、基板部992aの下方に所定間隔を隔てて対向配置される端板部992bと、基板部992aと端板部992bを連結する側板部992cとを有し、端板部992bに、回転軸受993を介して、支持部材981の上端が回転自在に支持されている。支持部材981の上端は回転軸受993に係合するフランジ981cが設けられている。支持部材981は旋回軸Vに沿って垂直下方に延び、下端がエアゾール容器組立体40のスリーブ20に固定されている。
【0038】
本実施形態2の吐出装置は、
図7(B)に示すように、エアゾール容器組立体40を旋回軸Vを中心に機体に対して水平方向に旋回させ、ノズル15の方位角を目標角度に設定し、その位置で、目標に向けてノズル15を回動軸Mを中心に回動させ、所定の仰角あるいは俯角を調節する。このようにすれば、飛行体100の向きに関わらず、ノズル15を吐出目標に向けることができる。
このように、ノズル15は一軸の回動軸Mを中心に上下に回動する構成でありながら、エアゾール容器組立体40を旋回軸Vを中心に回動して、ノズル15を旋回させることで、ノズル15の方位角を調節することができ、吐出範囲を広げることができる。
【0039】
[実施形態3]
次に、
図8を参照して、本発明の実施形態3について説明する。
本発明の実施形態3に係る飛行体の吐出装置を示すもので、(A)はスリーブを斜め前方から見た斜視図、(B)はノズル取付部近傍の側面図、(C)はノズル取付部近傍の上面図である。
この実施形態3の吐出装置301は、ノズル15の回動軸が、互いに方向が異なる2軸であり、ノズル15が二方向に回動自在となっている。図示例では、回動軸を水平方向の第1回動軸M1と、垂直方向の第2回動軸M2の2方向に設定され、ノズル15が上下、左右に回動する構成となっている。
具体的には、ノズル15が、エアゾール容器10のアクチュエータ14に対して、互いに直交する第1回動軸M1と第2回動軸M2を有する二方向スイベル管継手317を介して二方向に回動自在となっている。
【0040】
エアゾール容器10は、容器中心線Nが機体101のロール軸Xと平行に配置され、第1回動軸M1は、機体101のピッチ軸Yと平行方向、第2回動軸M2は、ヨー軸Zと平行に配置される。したがって、ノズル15は、第1回動軸M1を中心に上下方向に回動自在で、仰角、俯角を調節可能であり、かつ、垂直の第2回動軸M2を中心に水平方向に左右に回転自在で、方位角を調節可能となっている。
二方向スイベル管継手317は、継手本体部3173と、継手本体部3173に対して第1回動軸M1に沿って回動自在に組付けられる第1継手部材3171と、継手本体部3173に対して第2回動軸M2に沿って回転自在に接続される第2継手部材3172とを備えている。
【0041】
第2継手部材3172には、スリーブ20の第1端部カバー部22から突出するアクチ
ュエータ14が接続されている。アクチュエータ14は容器中心線Nに沿って延びており、第2継手部材3172に対して軸直角方向に接続される。この第2継手部材3172に対して、継手本体部3173が、垂直方向に延びる第2回動軸M2を中心に水平方向に回動自在となっている。一方、継手本体部3173に対して第1継手部材3171が、水平の第1回動軸M1中心に回動自在に接続される。ノズル15は、実施形態1と同様に、第1回動軸M1対して軸直角方向に接続されている。
したがって、ノズル15は、第1回動軸M1を中心に上下に回動して、仰角、俯角が調節可能で、第2回動軸M2を中心に左右に回動して、方位角が調節可能である。アクチュエータ14から吐出される内容物は、第2継手部材3172、継手本体部3173及び第1継手部材3171内の流路を通してノズル15に流入し、ノズル15の先端から吐出される。
【0042】
また、本実施形態では、ノズル15を第1回動軸M1を中心に回転駆動させる第1モータ318Aと共に、ノズル15を第2回動軸M2を中心に回転駆動するための第2モータ318Bが設けられている。第1モータ318A及び第2モータ318Bは、簡略化して記載しているが、歯車等の伝動機構を備えていてもよいし、クラッチ機構を備えていてもよいし、種々の構成を採用することができる。
第1モータ318Aは、実施形態1と同様に、第1継手部材3171に作動連結され、第1継手部材3171を回転駆動してノズル15の上下方向の角度を調整する。一方、第2モータ318Bは、第2継手部材3172の直上に離間して配置され、第2モータ318Bの回転軸は、第2回動軸M2の延長線上に合致するように配置されている。第2モータ318Bは、第2支持フレーム3192を介してスリーブ20に支持されると共に、第1支持フレーム3191を介して第1モータ318Aのモータ支持部3193に連結されている。
したがって、第2モータ318Bは、第1支持フレーム3191及び第1モータ318Aを介して、ノズル15を含めて二方向スイベル管継手317全体を、第2回動軸M2を中心に回転駆動させる。また、第1モータ318Aは、第1支持フレーム3191、第2モータ318B及び第2支持フレーム3192を介してスリーブ20に支持されることになる。
第1モータ318Aおよび第2モータ318Bの支持構成は、このような構成に限定されず、たとえば、第2モータ318Bを第2継手部材3172に直接接続し、第1モータ318Aを支持する第1支持フレーム3191の一端をスリーブ20に固定するようにしてもよい。
【0043】
この実施形態3においても、第1モータ318A及び第2モータ318Bの電源については、
図1(A)に示されるように、搭載装置用電源211から電力を受け、操作は操作端末160によって操作することができる。この第1モータ318Aと搭載装置用電源211によって、ノズル15を第1回動軸M1回りに回転駆動させる駆動手段が構成され、第2モータ318Bと搭載装置用電源211によって、ノズル15を第2回動軸M2回りに回転駆動させる駆動手段が構成される。また、搭載装置用制御部210に制御系を追加することにより、吐出駆動部30の制御と共にノズル15の角度を制御することができる。
【0044】
撒布作業は、上記した
図5に示した操作レバー165を操作すると、方向変更指令信号が送信され、搭載装置用制御部210によりノズル15の第1回動軸M1回り、および第2回動軸M2回りの角度が演算処理され、第1モータ318A及び第2モータ318Bへの制御信号が送信されて、第1モータ318A及び第2モータ318Bが駆動されて、ノズル15の角度が制御される。
このようにすれば、ノズル15の仰角及び俯角を調整できると共に、方位角についても調節でき、吐出範囲を広げることができる。
なお、この実施形態では、第2回動軸M2を機体のヨー軸Zと平行方向、第1回動軸M1をピッチ軸Yと平行方向に設定しているが、第1回動軸M1と第2回動軸M2が、直角を保ちながら、それぞれヨー軸Z及びピッチ軸Yに対して所定角度傾斜していてもよい。また、第1回動軸M1と第2回動軸M2が直角でなくてもよいし、第1回動軸M1と第2回動軸M2が、容器中心線Nに対して直交していなくてもよい。
【0045】
[実施形態4]
次に、
図9を参照して、本発明の実施形態4について説明する。
図9(A)は本発明の実施形態4に係る飛行体の吐出装置を斜め前方から見た斜視図、(B)はノズル近傍の側面図である。
この実施形態4の吐出装置401は、ノズル15が1軸の回転自由度を有するスイベル管継手17を介して、水平の回動軸Mを中心に、上下方向に回動自在に支持されている点は実施形態1と同様であるが、回動軸Mの位置が、容器中心線Nに対して所定距離だけオフセットしている点で、実施形態1と相違する。
すなわち、この実施形態4では、回動軸Mの位置が、容器中心線Nの延長線に対して、所定距離だけ下方に位置しており、スイベル管継手17の第2継手部材172に連結されるアクチュエータ14が、容器中心線Nの延長線に対して下方に傾斜して延びている。すなわち、アクチュエータ14は、スリーブ20の第1端部カバー部22の押圧部材221との嵌合部においては、容器中心線N上に位置し、前方に向けて、容器中心線Nに対して徐々に下方に離間するように直線的に傾斜し、先端が第2継手部材172に連結されている。
このようにオフセットさせておけば、容器中心線から離れた範囲に内容物を吐出させることができる。たとえば、機体101とノズル15が干渉する場合には、オフセットさせることで、干渉範囲を小さくすることができる。
なお、この実施形態4では、オフセット量aを、エアゾール容器組立体40の外周の最大径の範囲内を想定している。
【0046】
[実施形態5]
次に、
図10を参照して、本発明の実施形態5について説明する。
図10(A)は飛行体を透視図として示した全体構成図、(B)は吐出装置の断面図、(C)はノズルを後方に向けた吐出装置の断面図である。
実施形態5の吐出装置501は、実施形態4と同様に、ノズル15の回動軸Mを、エアゾール容器10の容器中心線Nに対して、軸直角方向に大きくオフセットさせた構成である。この実施形態5では、オフセット量bが、ノズル15が、他の部位と干渉することなくエアゾール容器10の底部側に向けて回動可能な大きさに設定されている。具体的には、スイベル管継手17の回動軸Mが、エアゾール容器組立体40の最大径部よりも外側に位置している。
【0047】
この実施形態でも、エアゾール容器組立体40は、容器中心線Nを機体101のロール軸Xと平行に向けた横積み構成で、ノズル15の回動軸Mが、容器中心線Nの延長線に対して下方に位置している。図示例では、エアゾール容器組立体40の外壁よりも、所定距離だけ、さらに下方に位置しており、ノズル15を後方に向けた際の空間を確保している。
スリーブ20の第1端部カバー部22から突出するアクチュエータ514は、L字状に下方に曲がっており、下端部がスイベル管継手17の第1継手部材171に連結されている。すなわち、アクチュエータ514は、水平に延びる第1管部5141と、第1管部5141から直角に下方に延びる第2管部5142とを有し、第2管部5142がスイベル管継手17の第1継手部材171に連結されている。図示例では、第1継手部材171は第2継手部材172と重なって隠れているが、
図9(A)と同じである。
スイベル管継手17が、容器中心線Nに対して下方に位置するので、モータ18を支持
する支持フレーム5181も、スリーブ20の第1端部カバー部22から下方に延びている。すなわち、支持フレーム5181は、スリーブ20に固定される基部が下方に延びる第1支持部5181aと、第1支持部5181aの下端部から前方に突出する第2支持部5181bによって構成され、第2支持部5181bにモータ18が支持されている。
また、この実施形態5は、実施形態2と同様に、エアゾール容器組立体40が、機体101に対して、回転支持部990を介して、ヨー軸Zと平行方向の旋回軸Vを中心に回動可能に支持されている。回転支持部990については、モータ980と、支持部材981のみを簡略化して記載している。
【0048】
また、本実施形態5では、スリーブ本体21に対して吐出駆動部30が収納された第2端部カバー部23が開閉可能となっており、スリーブ本体21が機体101に装着された状態で、第2端部カバー部23を開いて、エアゾール容器10を交換することができる。図示例では、スナップ錠70によって、第2端部カバー部23を、スリーブ本体21に対して着脱可能に固定している。
図示例では、スナップ錠70を、180°反対側の位置に2個設けた例を示している。開く際には、2つのスナップ錠70,70を同時に外すこともできるし、片方ずつ外すこともできる。このようにすれば、第2端部カバー部23をスリーブ本体21から切り離すことができる。
【0049】
次に、スナップ錠70について、
図11を参照して説明する。
図11は、スナップ錠70を外した状態の、
図10のエアゾール組立体の分解断面図である。
スナップ錠70は、スリーブ20の第2端部カバー部23の開口部に固定される錠本体71と、錠本体71に回動自在に取り付けられるレバー72と、レバー72の中途位置に回動可能に取り付けられるスナップリング73と、スリーブ本体21の開口縁に固定されるフック部材74と、を備えた構成となっている。連結固定する際には、第1端部カバー部22を閉じた状態で、レバー72を起こしてスナップリング73をフック部材74に掛け、レバー72を倒すことで、てこ作用によってフック部材74に引っ掛けたスナップリング73を引っ張り、スナップリング73に作用する張力によって、強固に固定される。レバー72の支点よりも開く際には、レバー72を引き起こすことで、スナップリング73をフック部材74から外すことができる。
【0050】
このようにして、第2端部カバー部23とそれに収納された吐出駆動部30をスリーブ本体21から分離することができ、エアゾール容器10の交換が容易となる。第2端部カバー部23のスリーブ本体21に対する固定は、スナップ錠70に限定されず、ねじ係合など、他の着脱可能な固定手段を採用することができる。
本実施形態では、エアゾール容器組立体40が回転支持部990によって旋回可能で、方位角を調節できるようになっているが、エアゾール容器組立体40が前方に向けた状態で、ノズル15を回動するだけで迅速に180°後方に向けることができる。
【0051】
[実施形態6]
次に、
図12を参照して、本発明の実施形態6について説明する。
図12は、本発明の実施形態6に係る飛行体の吐出装置を概念的に示すもので、(A)は飛行体を透視図として示した全体構成図,(B)は吐出装置の断面図である。
この実施形態6の吐出装置601は、ノズル15が、エアゾール容器10のアクチュエータ14に対して、1軸の回転自由度を有するスイベル管継手17を介して、水平(ピッチ軸と平行)の回動軸Mを中心に、上下方向に回動可能に支持されている点は実施形態1と同様であるが、機体101に搭載されるエアゾール容器組立体40が、容器中心線Nを機体101のヨー軸Zと平行にした縦積み構成となっている点で相違している。
図示例では、エアゾール容器の頭部を上、底部を下にした姿勢で、アクチュエータ14
、スイベル管継手17及びノズル15は、エアゾール容器組立体の上端部に設けられている。
【0052】
また、実施形態5と同様に、エアゾール容器組立体40は、機体101に対して、ヨー軸Zと平行方向の旋回軸Vを中心に水平方向に旋回自在に支持されている点でも、実施形態1と相違する。エアゾール容器組立体40は、支持部材981を介して、機体胴部102の回転支持部990に回転自在に支持されている。
【0053】
支持部材981は、垂直の第1支持部981aと水平の第2支持部981bを備えたL字状の部材で、第1支持部981aが旋回軸Vに沿って直線状に延び、第2支持部981bが第1支持部981aの下端から直角方向に延びて、エアゾール容器組立体40に固定されている。
旋回軸Vを構成する第1支持部981aは、機体胴部102の前端部に位置し、エアゾール容器組立体40は、容器中心線Nがヨー軸Zと平行状態の姿勢を維持したまま、旋回軸Vを中心として円形の軌道上を旋回可能となっている。
したがって、旋回軸Vを中心にエアゾール容器組立体40を回動することによって、ノズル15の方位角が調節可能で、ノズル15を上下動させることで、仰角、俯角が調節可能となっている。
【0054】
ノズル15の回動軸Mは、実施形態1の横置き構成と同様に、水平方向に限定されず、垂直方向として、ノズル15を左右に回動自在とすることもできる。水平方向に回動する構成とすれば、方位角の調節は、たとえば、エアゾール容器組立体40を旋回させることで租調節を行い、ノズル15回動軸を中心に回動することで、微調節を行うような構成とすることができる。また、回動軸の方向は、垂直、水平方向に限らず、水平あるいは垂直に対して所定角度傾いていてもよい。
【0055】
次に、本実施形態の作用について説明する。
エアゾール容器10の姿勢が、実施形態1や実施形態2のように横積みの場合に、離隔型のエアゾール容器が用いられるが、内容物の量が少なくとなるに伴い、内容物が占める空間が横方向に移動するため、重心が横方向に変化し、機体の安定性が悪くなる。これに対して、本実施形態のように、縦置きの場合には、離隔型で内容物の量が少なくなっても、重心は上下移動するだけなので、機体を安定させることができ、吐出方向を安定させることができる。
【0056】
[実施形態7]
次に、
図13を参照して、本発明の実施形態7について説明する。
図13は本発明の実施形態7に係る飛行体の吐出装置を概念的に示すもので、(A)はノズルを前方に向けた状態の断面図、(B)はノズルを下方に向けた状態の断面図である。
この実施形態7の吐出装置701は、基本的な構成は実施形態6と同様で、実施形態6と異なる点は、ノズル15の回動軸Mを、エアゾール容器10の容器中心線Nに対して軸直角方向にオフセットさせ、オフセット量cを、ノズル15が、他の部位と干渉することなくエアゾール容器10の底部側に向けて回動可能な大きさに設定したものである。具体的には、スイベル管継手17の回動軸Mを、エアゾール容器組立体40の最大径部よりも外側に位置させている。
ノズル15の回動軸Mが容器中心線Nとオフセットしていない場合には、ノズル15の下方への回転は、スリーブ20の第1端部カバー部22との干渉によって制限されるが、本実施形態7のように、オフセットさせておけば、俯角を90°まで広げることができる。
【0057】
上記した実施形態1~7については、エアゾール容器10をスリーブ20に収容して機
体101に搭載しているが、必ずしもスリーブ20に収納した状態で搭載する必要はない。以下に、スリーブに格納しないでエアゾール容器を機体に装着する実施形態について説明する。
【0058】
[実施形態8]
図14(A)は、本発明の実施形態8に係る飛行体の吐出装置を示している。図中、飛行体100は、実施形態1よりも簡略的に記載しているが、基本的な構成は同一であり、同一の構成部分については同一の符号を付している。
本実施形態8の吐出装置801においても、エアゾール容器10は機体101の外部に搭載され、ノズル15の一端が、エアゾール容器10の吐出端部であるアクチュエータ814に、ノズル15の回転を許容するスイベル管継手17を介して回転自在に支持されている。
この実施形態8では、エアゾール容器10の支持構成、ノズル15の取付構成、吐出駆動部の構成が、実施形態1と相違する。
【0059】
まず、エアゾール容器10の支持構成について説明する。
エアゾール容器10が、容器中心線Nを水平に向けた横積み状態で搭載される点は、実施形態1と同様であるが、この実施形態で8は、機体胴部102の下面に、露出した状態のエアゾール容器10を支持する容器支持装置850が設けられている点で相違する。容器支持装置850は、エアゾール容器10の胴部を把持する把持部材851を備え、把持部材851によって、エアゾール容器10を機体101に支持するようになっている。エアゾール容器10の支持手段としては、把持部材851に限らず、たとえば、バンドによる締め付け固定でもよいし、保持部材をねじ固定するような方式でもよく、種々の支持手段を用いることができる。
【0060】
次に、ノズル15の取付構造について説明する。
ノズルの取付部は、ノズル15の一端が、ステム12に係合するアクチュエータ814に、スイベル管継手17を介して接続されている。スイベル管継手17の回動軸Mは、容器中心線Nと直交する水平方向(ピッチ軸方向)である。スイベル管継手17の構成自体は実施形態1と同一である。
吐出駆動部330は、アクチュエータ814のフランジ部814bに係合する係合部331aを備えた押込み部材331と、押込み部材331を直線駆動するソレノイドやリニアモータ等の駆動手段である駆動部332と、を備えている。この駆動部332によって、押込み部材331をエアゾール容器の軸方向に駆動することによって、押込み部材331及びアクチュエータ14を介して、ステム12を容器内に押し込む方向に駆動する。駆動部332は、直線方向に駆動する機構であればよく、リニアモータや、ソレノイド等によって直接的に直線駆動するようにしてもよいし、回転モータの回転運動を直線方向に変換するカムやねじ送り機構等の運動変換機構を介して直線駆動する構成としてもよい。
この吐出駆動部330の押込み部材331の係合部331aには、支持部材8181を介してモータ18が取付けられ、モータ18によって、スイベル管継手17を回転駆動して、ノズル15を上下に回動させ、ノズル15の仰角、俯角を調節する。スイベル管継手17の構成については、実施形態1と同様である。
【0061】
次に本発明の実施形態9について説明する。
図14(B)は、本発明の実施形態9に係る飛行体の吐出装置を示している。
この吐出装置901は、基本的な構成は実施形態8と同様であり、エアゾール容器10を、回転支持部990を介して、機体101に対して、垂直の旋回軸Vを中心に回動自在に支持されている点で、実施形態8と相違している。
この回転支持部990は、簡略的に記載しているが、基本的に実施形態2と同様の構成
で、モータ980と、モータ980によって回転駆動される支持部材981とを有している。支持部材981は、一端がモータ980に作動連結され、他端が連結板852に固定されている。連結板852には、実施形態8で説明した容器支持装置850と、押込み部材331を含む吐出駆動部330が配置されている。
このように、エアゾール容器10を水平方向に回転させることで、ノズル15は一軸の回動軸Mを中心に上下に回動する構成でありながら、エアゾール容器10を旋回軸Vを中心に旋回させることで、ノズル15の方位角を調節することができ、吐出範囲を広げることができる。
【0062】
次に、
図15を参照して、上記実施形態1乃至9に適用可能なカメラ及び距離センサの付加構造について説明する。
図15(A)は、ノズル15の先端に、保持部材191を介してカメラ190を付加したもの、
図15(B)は、ノズル15の先端に、保持部材191を介して距離センサ193を付加したものである。図では、実施形態1の吐出装置のノズル15を例示しているが、実施形態2乃至9の吐出装置のノズル15に付加することもできる。
このように、ノズル15にカメラ190を取り付ければ、ノズル15の方向が変更されると、カメラ190はノズル15と同期して移動し、ノズル15の吐出方向にカメラ190が追随し、常に、吐出状態をカメラ190の視野範囲に入れて視認することができる。
また、ノズル15に距離センサ193を設ければ、吐出対象部までの距離を計測できるので、射程距離に達したかどうかが検出でき、内容物を確実に吐出対象物まで吹き付けることができ、無駄な消費を低減することができる。
【0063】
また、上記各実施形態では、吐出装置が搭載される飛行体としてマルチコプタを使用する例について説明したが、本発明の移動体の吐出装置は、ヘリコプターにも適用できるし、回転翼(ロータ)を用いる飛行体だけではなく、固定翼機、飛行船、滑空機等の無人航空機に適用することができるし、無人に限らず有人航空機にも適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
・実施形態1(
図1~
図5)
1 吐出装置
10 エアゾール容器
11a 胴部、11b 底部、11d マウンティングカップ
12 ステム、12a 吐出流路、12b ステム孔
13 バルブ機構
13a ガスケット、13b スプリング
14 アクチュエータ
14a アクチュエータ本体部、14b フランジ部
15 ノズル
17 スイベル管継手
171 第1継手部材、172 第2継手部材
18 モータ、181 支持部材
20 スリーブ(収容部材)
21 スリーブ本体、
22 第1端部カバー部、
221 押圧部材、221a 筒状体、221b 端部フランジ部
222 カバー本体、223 ねじ筒部
23 第2端部カバー部
231 筒状部、232 端板
30 吐出駆動部
31 モータ、
32 カム機構、32a カム、32b カムフォロワ
33 容器保持部、33a 円板部、33b 環状凸部、33c 連結軸部
30C 外部弁、30D 管路
40 エアゾール容器組立体
100 飛行体
101 機体、102 機体胴部、103 腕部、
104 回転翼、105 モータ、106 カメラ、107 脚部
108 小翼、
110 飛行制御部、112 飛行用通信部、
210 搭載装置制御部、211 搭載装置用電源、
212 搭載装置用通信部
120 操縦端末、160 操作端末、163 吐出ボタン、164 停止ボタン
167 ディスプレイ
M 回動軸
N 容器中心線
X ロール軸、Y ピッチ軸、Z ヨー軸
実施形態2(
図6、
図7)
201 吐出装置
990 回転支持部
980 モータ、981 支持部材、981c フランジ
992 支持箱、992a 支持板 、992b 端板、992c 側板
993 軸受
V 旋回軸
実施形態3(
図8)
301 吐出装置
317 二方向スイベル管継手
3171 第1継手部材、3172 第2継手部材、3173 継手本体部
M1 第1回動軸、M2 第2回動軸
3191 第1支持フレーム、3192 第2支持フレーム、3193 モータ支持部
318A 第1モータ、318B 第2モータ
実施形態4(
図9)
414 アクチュエータ
a オフセット量
実施形態5(
図10、
図11)
501 吐出装置
514 アクチュエータ
5181 支持フレーム、5181a 第1支持部、5181b 第2支持部
70 スナップ錠
71 錠本体、72 レバー、73 スナップリング、74 フック部材
b オフセット量
実施形態6(
図12)
601 吐出装置
981 支持部材、981a 第1支持部、981b 第2支持部
実施形態7(
図13)
601 吐出装置
981 支持部材、981a 第1支持部、981b 第2支持部
c オフセット量
実施形態8(
図14(A))
801 吐出装置
814アクチュエータ、814b フランジ部
8181 支持部材
330吐出駆動部、331押込み部材、331a 係合部、332駆動部
850容器支持装置、851把持部材
・実施形態9(
図14(B))
901 吐出装置
852 連結板
・付加構造(
図15)
190 カメラ、191 保持部材、193距離センサ
5141 :第1管部
5142 :第2管部