(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】液体原料気化装置
(51)【国際特許分類】
B01J 7/02 20060101AFI20240827BHJP
C03B 8/04 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B01J7/02 A
C03B8/04 Z
(21)【出願番号】P 2020090645
(22)【出願日】2020-05-25
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】幅崎 利已
(72)【発明者】
【氏名】川越 聡
(72)【発明者】
【氏名】笠井 久嗣
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/012257(WO,A1)
【文献】特開昭63-040739(JP,A)
【文献】特開昭62-207725(JP,A)
【文献】特開2001-064093(JP,A)
【文献】特開2000-319095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 4/00-02
B01J 7/02
C03B 8/04、19/14、20/00、37/018
C23C 16/448-452
C30B 25/14
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体のガラス原料をバブリングで気化させるバブラと、
前記バブラで気化されたガラス原料が流れるコンデンサと、
を有し、
前記コンデンサは、
筐体と、
前記筐体内で前記ガラス原料の流路となる複数のガラス原料配管と、
前記筐体内に循環液を導入する導入口と、
前記筐体内から前記循環液を排出する排出口と、
を有し、
前記複数のガラス原料配管は、
前記筐体内において、並列に配置されて
おり、
前記複数のガラス原料配管は、
螺旋状であり、螺旋の中心軸の方向が前記筐体の長手方向と一致するように配置されている、
液体原料気化装置。
【請求項2】
前記複数のガラス原料配管における各前記中心軸が同軸である、
請求項
1に記載の液体原料気化装置。
【請求項3】
前記複数のガラス原料配管同士は、前記筐体内で接続されておらず、前記筐体の外部で接続されている、
請求項1
または請求項2に記載の液体原料気化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体原料気化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3には、液体原料気化装置において、液体原料をバブリングで気化させる際に、ガラス原料ガスを凝縮処理して飽和状態にし、余分のガスを液化して除去することにより、ガラス原料ガスを一定濃度に保つ装置であるコンデンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭60-248228号公報
【文献】特開2003-340265号公報
【文献】特開平8-47629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3のように、コンデンサを備えた液体原料気化装置は、ガラス原料ガスの流量を増やすとコンデンサの配管内を通るガラス原料ガスの流速が上がる。このため、ガラス原料ガスが目標の温度になる前に、コンデンサからガラス原料ガスが出てしまうおそれがある。コンデンサの配管を内径が大きいものにすれば、ガラス原料ガスの流速を下げることができるが、配管の中心部分を通るガラス原料ガスと配管の外周部分を通るガラス原料ガスとの温度差が大きくなるおそれがある。このように、コンデンサの配管の内径を大きくすると、ガラス原料ガスが均一な目標の温度にならないまま、コンデンサからガラス原料ガスが出てしまうおそれがある。
【0005】
コンデンサを備えた液体原料気化装置は、以上のように、コンデンサから出るガラス原料ガスが目標の温度にならない場合、ガラス原料ガスが目標の温度における飽和蒸気圧とならないので、ガラス原料ガスの流量および濃度が目標の数値からずれてしまう。
このため、コンデンサを備えた液体原料気化装置は、ガラス原料ガスの流量を増やしつつ、一定の濃度で安定した流量のガラス原料ガスを供給することは難しい。
【0006】
そこで、本開示は、ガラス原料ガスの流量を増やしつつ、一定の濃度で安定した流量のガラス原料ガスを供給できる、液体原料気化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る液体原料気化装置は、
液体のガラス原料をバブリングで気化させるバブラと、
前記バブラで気化されたガラス原料が流れるコンデンサと、
を有し、
前記コンデンサは、
筐体と、
前記筐体内で前記ガラス原料の流路となる複数のガラス原料配管と、
前記筐体内に循環液を導入する導入口と、
前記筐体内から前記循環液を排出する排出口と、
を有し、
前記複数のガラス原料配管は、
前記筐体内において、並列に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る液体原料気化装置によれば、ガラス原料ガスの流量を増やしつつ、一定の濃度で安定した流量のガラス原料ガスを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に係る液体原料気化装置の構成を示す模式図である。
【
図2】
図1の液体原料気化装置におけるコンデンサの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図2のコンデンサのガラス原料配管の形状を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の実施形態の説明)
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の一態様に係る液体原料気化装置は、
(1)液体のガラス原料をバブリングで気化させるバブラと、
前記バブラで気化されたガラス原料が流れるコンデンサと、
を有し、
前記コンデンサは、
筐体と、
前記筐体内で前記ガラス原料の流路となる複数のガラス原料配管と、
前記筐体内に循環液を導入する導入口と、
前記筐体内から前記循環液を排出する排出口と、
を有し、
前記複数のガラス原料配管は、
前記筐体内において、並列に配置されている。
前記構成の液体原料気化装置は、コンデンサの筐体内に並列に配置された複数のガラス原料配管が設けられている。したがって、ガラス原料ガスの流量を増やしても、配管が1本の場合に比べて、複数のガラス原料配管内のガラス原料ガスの流速の上昇を抑えることができる。これにより、前記液体原料気化装置は、ガラス原料ガスの流量を増やしても、目標の温度になる前に、コンデンサからガラス原料ガスが出てしまうことを防ぐことができる。
また、前記液体原料気化装置は、上記のようにガラス原料配管が複数あるので、ガラス原料配管が1本のみの場合と比較して、ガラス原料ガスの流量を増やすことができる。このように、前記液体原料気化装置は、例えばガラス原料ガスの流速とガラス原料配管の内径を大きくせずに、ガラス原料配管が1本のみの場合と比較して、ガラス原料ガスの流量を増やせるので、ガラス原料ガスが均一な目標の温度にならないまま、コンデンサからガラス原料ガスが出てしまうことを防ぐことができる。
すなわち、前記液体原料気化装置は、コンデンサの筐体内に並列に配置された複数のガラス原料配管が設けられているので、ガラス原料ガスの流量を増やしつつ、一定の濃度で安定した流量のガラス原料ガスを供給することができる。
【0011】
(2)前記複数のガラス原料配管は、
螺旋状であり、螺旋の中心軸の方向が前記筐体の長手方向と一致するように配置されていてもよい。
前記構成の液体原料気化装置によれば、コンデンサの筐体内部のガラス原料配管が螺旋状であるので、筐体自体を長くせずとも、ガラス原料ガスが所定の飽和蒸気圧となるのに必要な流路の長さを確保することができる。
【0012】
(3)前記複数のガラス原料配管における各前記中心軸が同軸であってもよい。
前記構成の液体原料気化装置によれば、複数のガラス原料配管の螺旋の中心軸が同軸となるように配置されているので、各ガラス原料配管がコンデンサの筐体内のほぼ同じ空間に位置している。このため、コンデンサの筐体内部の循環液の流れ方やガラス原料配管内のガラス原料ガスの温度変化などによって生じる温度分布が各ガラス原料配管で同じようになる。これにより、複数のガラス原料配管の配管内の温度差が小さくなるので、各ガラス原料配管によるガラス原料ガスの流量および流速をほぼ同じにでき、ガラス原料ガスの供給の安定性がさらによくなる。また、複数のガラス原料配管の螺旋の中心軸が同軸となるような配置により、筐体内で複数のガラス原料配管が占有する空間領域を小さくすることができるので、コンデンサの筐体のサイズを大きくすることなく複数のガラス原料配管を配置できる。
【0013】
(4)前記複数のガラス原料配管同士は、前記筐体内で接続されておらず、前記筐体の外部で接続されていてもよい。
前記構成の液体原料気化装置によれば、コンデンサの筐体内にガラス原料配管同士の接続部分がないため、循環液による接続部分の劣化は発生しない。このため、コンデンサの寿命を長くすることができる。また、コンデンサの筐体の外部でガラス原料配管同士が接続されているので、コンデンサの筐体内に接続部分がある場合に比べて、接続部分のメンテナンスが容易である。
【0014】
(本開示の実施形態の詳細)
本開示の実施形態に係る液体原料気化装置の具体例を、図面を参照しつつ説明する。
なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0015】
図1は、本開示の実施形態に係る液体原料気化装置の構成を示す模式図である。
図1に示すように、液体原料気化装置1は、バブラ2と、コンデンサ3と、を備えている。
【0016】
バブラ2は、液体のガラス原料をキャリアガスでバブリングしてキャリアガスとガラス原料とが混合されたガラス原料ガスを生成するものである。バブラ2は、光ファイバ製造用の液体ガラス原料22(例えば四塩化ゲルマニウム:GeCl4)が収容される気密なバブラ容器21を有している。バブラ容器21の外周面には、液体ガラス原料22の温度を所定の温度に保つためのヒータ23が設けられている。また、バブラ容器21には、N2ガスやArガス等のキャリアガスを供給する配管24が、液体ガラス原料22中に開放端を挿入させた状態で設けられている。配管24の途中には、キャリアガスの流量を制御するMFC(マスフローコントローラ)25が設けられている。
【0017】
液体ガラス原料22は、バブラ容器21に満杯ではない所定量が収容されている。このため、バブラ容器21内の上部には液体ガラス原料22が充填されていない空間26が存在している。空間26には、バブラ容器21で生成されたガラス原料ガスをコンデンサ3へ送出するための配管27,28が、配管27,28の開放端を空間26中に配置させた状態で設けられている。配管27,28の上記開放端とは反対側の端部は、コンデンサ3のガラス原料配管(
図2を参照して後述する)に接続されている。
【0018】
図2は、コンデンサ3の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、コンデンサ3は、筐体31と、ガラス原料配管32,33と、を有している。ガラス原料配管32,33は、バブラ2で生成されたガラス原料ガスが流れるコンデンサ3内の流路を構成している。本例では、2本のガラス原料配管32,33を有するコンデンサ3を示しているが、ガラス原料配管の数は3本以上であってもよい。
【0019】
筐体31は、縦長形状の例えば円筒状あるいは角筒状に形成されている。筐体31には、図示しない温度制御器によって所定の温度に温調された循環液(例えば、温水)を導入するための導入口31aと、循環液を温度制御器に戻すための排出口31bとが設けられている。本例では、導入口31aが筐体31の上部に設けられ、排出口31bが筐体31の下部に設けられている。所定の温度に温調された循環液が循環することにより、コンデンサ3の筐体31内は所定の温度に保たれる。
【0020】
ガラス原料配管32,33は、各々が筐体31を貫通するように設けられている。ガラス原料配管32,33における一方の端部32a,33aは、筐体31の底壁を貫通して筐体31の外部に飛び出した状態で設けられている。ガラス原料配管32,33における上記一方の端部32a,33aとは反対側の端部32b,33bは、筐体31の天壁を貫通して筐体31の外部に飛び出した状態で設けられている。
【0021】
ガラス原料配管32,33の内径は、小さい方が配管内の温度差が小さくなるが、小さすぎるとガラス原料ガスの流速が大きくなりすぎる。このため、ガラス原料配管32,33の内径は、例えば、3mmから15mm程度の範囲が好ましい。
【0022】
ガラス原料配管32と33とは、筐体31内において、並列に配置されている。ガラス原料配管32の配管長とガラス原料配管33の配管長とは、異なってもよいが、等しい長さとなるように形成されている方が好ましい。
【0023】
また、ガラス原料配管32,33は、筐体31内において、各々が螺旋状に巻かれた状態で配管されている。
図3は、
図2におけるガラス原料配管32,33の形状を説明する模式図であり、それぞれ単一のガラス原料配管32と33とに分解された状態とした模式図である。
【0024】
図3に示すように、ガラス原料配管32,33は、螺旋の隙間に互いの配管が入り込むことが可能な程度の螺旋巻きのピッチで、長手方向に向かって同じ向きで螺旋状に巻き回されている。また、ガラス原料配管32と33とは、それぞれの外径と螺旋の巻きピッチとが等しくなるように構成されている。そして、ガラス原料配管32,33は、螺旋の隙間に互いの配管が入り込むように組み合わされることにより、
図2のように構成される。
【0025】
すなわち、
図2に示すように、螺旋状に巻かれたガラス原料配管32と33とは、各々の螺旋の中心軸Cの方向が、いずれも筐体31の長手方向(
図2において上下方向)と一致するように構成されている。そして、ガラス原料配管32と33とは、それぞれの中心軸Cが同軸になるように組み合わされている。
【0026】
なお、ガラス原料配管32と33とは組み合わされていない構成であってもよい。すなわち、ガラス原料配管32と33とは、両中心軸Cが同軸となっていない構成であってもよい。
【0027】
ガラス原料配管32,33における一方(
図2において下側)の端部32a,33aは、筐体31の下方からコンデンサ3の外部に突出している。そして端部32a,33aの開口は、
図1に示すように、開放端がバブラ容器21内の空間26に配置された配管27,28にそれぞれ接続されている。
【0028】
ガラス原料配管32,33における他方(
図2において上側)の端部32b,33bは、筐体31の上方からコンデンサ3の外部に突出している。そして、端部32bの開口は、配管41に接続されており、端部33bの開口は、配管42に接続されている。
配管41,42の上方(
図2において上側)には、継手43(
図2の例では、Y型継手)が設けられている。継手43は、二股に分岐した一端部43a,43bと他端部43cとを有している。そして配管41は、継手43の一端部43aに接続されており、配管42は、継手43の一端部43bに接続されている。
すなわち、ガラス原料ガスが流れる2つの流路となる2つの配管は、コンデンサ3の筐体31の内部では接続されておらず、コンデンサ3の筐体31の外部で接続される構成となっている。
【0029】
また、継手43の他端部43cは、図示しないガラス合成用バーナに通じる配管44に接続されている。配管41と継手43の一端部43aとの接続、配管42と継手43の一端部43bとの接続、および、継手43の他端部43cと配管44との接続は、例えば、ねじ込み接続、フランジ接続、溶接接続などの接続方法で接続し得る。
【0030】
次に、本実施形態に係る液体原料気化装置1を用いた気化方法について
図1および
図2を参照して説明する。
図1に示した液体原料気化装置1において、MFC25によって流量制御されたキャリアガスが配管24からバブラ容器21の液体ガラス原料22内に供給される。バブラ容器21の液体ガラス原料22は、キャリアガスによってバブリングされ、キャリアガスとガラス原料とが混合されたガラス原料ガスとしてバブラ容器21上部の空間26内に生成される。
【0031】
バブラ容器21で生成されたガラス原料ガスは、配管27,28を通ってコンデンサ3のガラス原料配管32,33に送出される。
コンデンサ3の循環液は、図示しない温度制御器によって、所定の温度となるように温調して、筐体31内に循環させる。この所定の温度は、ガラス原料ガスが所望の濃度の飽和蒸気となるような目標の温度である。
【0032】
ガラス原料配管32,33に送出されたガラス原料ガスは、筐体31内において、循環液の温度にまで冷却されて目標の温度における飽和蒸気となる。この過程で過剰のガラス原料ガスは、ガラス原料配管32,33内で凝結する。凝結したガラス原料の液体は、ガラス原料配管32,33内を重力によって落下し、配管27,28を通じてバブラ容器21内に戻る。
【0033】
ガラス原料配管32,33を通過して目標の温度における飽和蒸気となったガラス原料ガスは、配管41,42および継手43を介して配管44内を通って反応容器に送り出される。
【0034】
なお、コンデンサ3を通して反応容器に送られるガラス原料ガスを含むガスの流量は、200ml/分以上であることが好ましく、300ml/分以上であることがさらに好ましい。
【0035】
以上説明したように、本実施形態に係る液体原料気化装置1は、コンデンサ3の筐体31内に並列に配置された複数のガラス原料配管32,33が設けられている。これにより、液体原料気化装置1は、配管が1本のみの場合と比較して、コンデンサ3の筐体31内のガラス原料ガスの流路を実質的に太くすることができる。
したがって、ガラス原料ガスの流量を増やしても、ガラス原料配管32,33内のガラス原料ガスの流速の上昇を配管が1本の場合に比べて抑えることができる。これにより、液体原料気化装置1は、ガラス原料ガスの流量を増やしても、目標の温度になる前に、コンデンサ3からガラス原料ガスが出てしまうことを防ぐことができる。
また、液体原料気化装置1は、ガラス原料配管が複数(ガラス原料配管32,33)あることにより、例えばガラス原料ガスの流速とガラス原料配管の内径が同じであれば、ガラス原料配管が1本のみの場合に比べて、ガラス原料ガスの流量を増やすことができる。
このように、液体原料気化装置1は、ガラス原料ガスの流速とガラス原料配管の内径を大きくせずに、ガラス原料配管が1本のみの場合と比較して、ガラス原料ガスの流量を増やせるので、ガラス原料ガスが均一な目標の温度にならないまま、コンデンサ3からガラス原料ガスが出てしまうことを防ぐことができる。
すなわち、液体原料気化装置1は、コンデンサ3の筐体31内に並列に配置された複数のガラス原料配管32,33が設けられているので、ガラス原料ガスの流量を増やしつつ、一定の濃度で安定した流量のガラス原料ガスを供給することができる。
【0036】
また、液体原料気化装置1は、コンデンサ3の筐体31内部のガラス原料配管32,33が螺旋状に巻かれた配管として形成されている。このため、筐体31を長手方向に長くせずとも、ガラス原料ガスを目標の温度における飽和蒸気とするために必要な流路の長さを確保することができる。
【0037】
また、本実施形態におけるコンデンサ3は、螺旋状に巻かれた各ガラス原料配管32,33が、それぞれの螺旋の中心軸Cが同軸となるように配置されているので、各ガラス原料配管32,33がコンデンサの筐体内のほぼ同じ空間に位置している。これにより、コンデンサ3の筐体31内部の循環液の流れ方やガラス原料配管32,33内のガラス原料ガスの温度変化などによって生じる温度分布が各ガラス原料配管32,33で同じようになる。したがって、ガラス原料配管32,33の配管内の温度差が小さくなるので、各ガラス原料配管32,33によるガラス原料ガスの流量および流速をほぼ同じにでき、ガラス原料ガスの供給の安定性がさらによくなる。
【0038】
また、コンデンサ3は、ガラス原料配管32,33の螺旋の中心軸Cを同軸とすれば、
図2に示すように、一方のガラス原料配管32の螺旋の隙間に他方のガラス原料配管33が入るように配置することができる。これにより、筐体31内でガラス原料配管32,33が占有する空間領域を小さくすることができる。したがって、コンデンサ3は、筐体31のサイズを大きくすることなく複数のガラス原料配管32,33を配置することができる。
【0039】
また、液体原料気化装置1は、筐体31の外部に継手43が設けられ、コンデンサ3の筐体31の内部にガラス原料配管32,33同士の接続部分がない。したがって、ガラス原料配管32,33同士の接続部分が循環液によって腐食する(特に、金属の管を溶接した場合は腐食しやすい)などの接続部分の劣化がコンデンサ3内で発生しない。このため、コンデンサ3の寿命を長くすることができる。
【0040】
また、液体原料気化装置1は、コンデンサ3の筐体31の外部でガラス原料配管32,33同士が接続されているので、コンデンサ3の筐体31の内部に接続部分がある場合に比べて、接続部分のメンテナンスが容易である。
【0041】
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。
【符号の説明】
【0042】
1:液体原料気化装置
2:バブラ
3:コンデンサ
21:バブラ容器
22:液体ガラス原料
23:ヒータ
24:配管
25:MFC
26:空間
27,28:配管
31:筐体
31a:導入口
31b:排出口
32,33:ガラス原料配管
32a,33a:端部
32b,33b:端部
41,42:配管
43:継手
C:中心軸