(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】光伝送装置および光伝送方法
(51)【国際特許分類】
H04J 14/02 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
H04J14/02 198
(21)【出願番号】P 2020116247
(22)【出願日】2020-07-06
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】ゴー ハーアン
(72)【発明者】
【氏名】寺原 隆文
(72)【発明者】
【氏名】合中 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中島 久雄
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0245626(US,A1)
【文献】特開2015-162720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 14/02
H04B 10/27 - 10/278
H04B 10/516 - 10/556
H04B 10/61 - 10/64
H04B 10/40 - 10/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なるキャリア周波数が割り当てられた複数のノードを含む光ネットワークにおいて、前記複数のノードの中の第1のノードに設けられる光伝送装置であって、
前記第1のノードに割り当てられた第1のキャリア周波数の局発光を生成する第1の光源と、
前記局発光を使用して、前記第1のキャリア周波数の低周波数側に設定される第1のサブキャリアにおいて第1のサブキャリア光信号を生成し、前記第1のキャリア周波数の高周波数側に設定される第2のサブキャリアにおいて第2のサブキャリア光信号を生成する送信部と、
前記第1のサブキャリア光信号および前記第2のサブキャリア光信号を含む光信号を分岐して、第1の隣接ノードに送信される第1の光信号および第2の隣接ノードに送信される第2の光信号を生成する光スプリッタと、
前記第1の隣接ノードから受信する光信号および前記第2の隣接ノードから受信する光信号を合波する光カプラと、
前記局発光を使用して、前記光カプラの出力光信号から、前記第1のサブキャリアにより伝送された第1の受信信号および前記第2のサブキャリアにより伝送された第2の受信信号を再生する受信部と、を備え、
前記第1の光源の周波数と前記第1の隣接ノードの光源の周波数との差分は、前記第1のサブキャリアの帯域幅に対応する
ことを特徴とする光伝送装置。
【請求項2】
前記第1のキャリア周波数と前記第1の隣接ノードに割り当てられたキャリア周波数との差分は、前記第1のサブキャリアの帯域幅と同じであり、前記第1のキャリア周波数と前記第2の隣接ノードに割り当てられたキャリア周波数との差分は、前記第2のサブキャリアの帯域幅と同じである
ことを特徴とする請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項3】
前記第1のサブキャリアの帯域幅および前記第2のサブキャリアの帯域幅は互いに同じであり、
前記第1のサブキャリアは、前記第1のキャリア周波数の低周波数側に隣接して設定され、前記第2のサブキャリアは、前記第1のキャリア周波数の高周波数側に隣接して設定される
ことを特徴とする請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項4】
前記第1のサブキャリアの帯域幅および前記第2のサブキャリアの帯域幅は、前記送信部および前記受信部を含む光送受信機の最大通信帯域の2分の1である
ことを特徴とする請求項3に記載の光伝送装置。
【請求項5】
互いに異なるキャリア周波数が割り当てられた複数のノードを含む光ネットワークにおいて、前記複数のノードの中の第1のノードに設けられる光伝送装置により使用される光伝送方法であって、
前記第1のノードに割り当てられた第1のキャリア周波数の局発光を生成する第1の光源を使用して、前記第1のキャリア周波数の低周波数側に設定される第1のサブキャリアで伝送される第1のサブキャリア光信号および前記第1のキャリア周波数の高周波数側に設定される第2のサブキャリアで伝送される第2のサブキャリア光信号を含む送信光信号を出力し、
光スプリッタを用いて前記送信光信号を分岐して第1の光信号および第2の光信号を生成し、
前記第1の光信号および前記第2の光信号をそれぞれ第1の隣接ノードおよび第2の隣接ノードに送信し、
光カプラを用いて前記第1の隣接ノードから受信する光信号および前記第2の隣接ノードから受信する光信号を合波し、
前記第1の光源を使用して、前記光カプラの出力光信号から、前記第1のサブキャリアにより伝送された第1の受信信号および前記第2のサブキャリアにより伝送された第2の受信信号を再生し、
前記第1の光源の周波数と前記第1の隣接ノードの光源の周波数との差分は、前記第1のサブキャリアの帯域幅に対応する
ことを特徴とする光伝送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送装置および光伝送方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の光通信システムの一例を示す。この光通信システムは、光ファイバにより接続された複数のノードを備える。複数のノードは、リングネットワークを構成する。リングネットワークは、時計回り方向および反時計回り方向に光信号を伝送することができる。
【0003】
各ノードには、光伝送装置が設けられる。光伝送装置は、2個の光送受信機を備える。この実施例では、光送受信機は、トランスポンダ(TR)により実現される。すなわち、光伝送装置は、2個のトランスポンダを備える。トランスポンダは、隣接ノードに光信号を送信し、また、隣接ノードから光信号を受信する。例えば、ノード#2に実装される光伝送装置は、トランスポンダTR1およびトランスポンダTR2を備える。トランスポンダTR1は、ノード#1に光信号を送信し、ノード#1から光信号を受信する。トランスポンダTR2は、ノード#3に光信号を送信し、ノード#3から光信号を受信する。
【0004】
各ノードにおいて、光伝送装置にスイッチ回路(SW/IF)が接続される。スイッチ回路は、複数のクライアントを収容することができる。また、スイッチ回路は、光通信システムとクライアントとの間のインタフェースを提供する。
【0005】
なお、様々な光伝送方式が提案されている(例えば、特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国公開2019/0245627
【文献】特開2017-158031号公報
【文献】特開2015-220590号公報
【文献】特表2013-505676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、大容量のトランスポンダが開発されている。例えば、400~800Gbpsのトランスポンダが実用化されている。そして、人口密度が高い市街地では、大きな通信容量が要求されるので、光ネットワークの各ノードに大容量のトランスポンダが実装されることが好ましい。ところが、地域によっては要求される通信容量は大きくない。例えば、郊外(Rural Area)で要求される通信容量は100~300Gbps程度である。このため、人口密度が高い市街地と同様に、要求される通信容量が大きくない地域の光ネットワークに大容量のトランスポンダを実装すると、トランスポンダの能力が十分に活用されず、帯域(または、スペクトル)の利用効率が低くなることがある。この場合、光ネットワークを構築するためのコストが必要以上に高くなってしまう。特に、
図1に示す光リングネットワークを構築する場合、各ノードに2個のトランスポンダが設けられる。あるいは、光分岐挿入装置(Fixed Optical Add Drop Multiplexer/Re-configurable Optical Add Drop Multiplexer)を増設する必要がある。したがって、各トランスポンダのスペクトル利用効率が低くなり、光伝送装置のコストが高くなる。
【0008】
本発明の1つの側面に係わる目的は、スペクトルの利用効率が高い光伝送装置および光伝送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの態様に係わる光伝送装置は、互いに異なるキャリア周波数が割り当てられた複数のノードを含む光ネットワークにおいて、前記複数のノードの中の第1のノードに設けられる。この光伝送装置は、前記第1のノードに割り当てられた第1のキャリア周波数の局発光を生成する第1の光源と、前記局発光を使用して、前記第1のキャリア周波数の低周波数側に設定される第1のサブキャリアにおいて第1のサブキャリア光信号を生成し、前記第1のキャリア周波数の高周波数側に設定される第2のサブキャリアにおいて第2のサブキャリア光信号を生成する送信部と、前記第1のサブキャリア光信号および前記第2のサブキャリア光信号を含む光信号を分岐して、第1の隣接ノードに送信される第1の光信号および第2の隣接ノードに送信される第2の光信号を生成する光スプリッタと、前記第1の隣接ノードから受信する光信号および前記第2の隣接ノードから受信する光信号を合波する光カプラと、前記局発光を使用して、前記光カプラの出力光信号から、前記第1のサブキャリアにより伝送された第1の受信信号および前記第2のサブキャリアにより伝送された第2の受信信号を再生する受信部と、を備える。前記第1の光源の周波数と前記第1の隣接ノードの光源の周波数との差分は、前記第1のサブキャリアの帯域幅に対応する。
【発明の効果】
【0010】
上述の態様によれば、光伝送装置のスペクトルの利用効率が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】従来の光通信システムの一例を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係わる光通信システムの一例を示す図である。
【
図3】各ノードに割り当てられるキャリア周波数およびサブキャリアの一例を示す図である。
【
図4】各ノードにおける受信動作を説明する図である。
【
図6】光伝送装置に実装されるトランスポンダの送信部の一例を示す図である。
【
図7】光伝送装置に実装されるトランスポンダの送信部の一例を示す図である。
【
図10】第1の実施形態に係わる光通信システムのバリエーションを示す図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係わる光通信システムの一例を示す図である。
【
図12】本発明の第3の実施形態に係わる光通信システムの一例を示す図である。
【
図13】本発明の第4の実施形態に係わる光通信システムの一例を示す図である。
【
図14】サイクリックフィルタで光フィルタを実現する例を示す図である。
【
図15】本発明の第5の実施形態に係わる光通信システムの一例を示す図である。
【
図16】他の実施形態に係わる光通信システムの一例を示す図である。
【
図17】本発明の実施形態の効果を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
図2は、本発明の第1の実施形態に係わる光通信システムの一例を示す。この実施例では、第1の実施形態に係わる光通信システム100は、ノード#1~#5を含む。ノード#1~#5は、光ファイバにより接続され、光リングネットワークを構成する。光リングネットワークは、時計回り方向および反時計回り方向に光信号を伝送できる。
【0013】
各ノードには、光伝送装置1が設けられる。ただし、ノード#1~#5のうちの1つのノードには、光伝送装置2が設けられる。この実施例では、ノード#1~#4にそれぞれ光伝送装置1が設けられ、ノード#5に光伝送装置2が設けられている。
【0014】
光伝送装置1は、トランスポンダTR、光スプリッタSPT、および光カプラCPLを備える。尚、光伝送装置1は、
図2に示していない他の回路または機能を備えてもよい。また、光伝送装置1にはスイッチ回路SW/IFが接続される。スイッチ回路SW/IFは、複数のクライアントを収容することができる。そして、スイッチ回路SW/IFは、光通信システム100とクライアントとの間のインタフェースを提供する。
【0015】
光伝送装置2は、トランスポンダTRa、TRbを備える。なお、光伝送装置2は、
図2に示していない他の回路または機能を備えてもよい。また、光伝送装置1と同様に、光伝送装置2にもスイッチ回路SW/IFが接続される。
【0016】
上記構成の光通信システム100において、ノード#1~#5には、互いに異なるキャリア周波数(又は、波長)が割り当てられる。この実施例では、ノード#1~#5に対してそれぞれキャリア周波数f1~f5が割り当てられる。なお、光伝送装置2が実装されるノード#5には、キャリア周波数f5に加えてキャリア周波数f1も割り当てられる。
【0017】
ノード#1~#5に割り当てられるキャリア周波数f1~f5は、
図3に示すように、等間隔で設定される。この実施例では、キャリア周波数f1~f5が設定される周波数間隔Δfは、トランスポンダTRの最大通信帯域の2分の1または約2分の1である。したがって、例えば、トランスポンダTRの最大通信帯域が800Gbpsであるときには、Δfは、400Gbpsまたは約400Gbpsである。なお、トランスポンダTRの最大通信帯域は、トランスポンダTRの通信容量または最大通信送信レートに相当する。また、トランスポンダTRがデジタル信号処理器(DSP)を用いて信号を処理するときには、トランスポンダTRの最大通信帯域は、DSPの処理能力に相当する。
【0018】
各ノード#1~#4は、2つのサブキャリアを使用してデータを隣接ノードに送信することができる。ここで、各ノード#1~#4は、割り当てられたキャリア周波数に対応する2つのサブキャリアを使用する。具体的には、ノード#i(i=1~4)は、キャリア周波数fiの低周波数側に隣接して設けられるサブキャリアおよびキャリア周波数fiの高周波数側に隣接して設けられるサブキャリアを使用する。
【0019】
例えば、ノード#1には、キャリア周波数f1が割り当てられる。したがって、ノード#1は、
図2に示すように、サブキャリアB1およびサブキャリアB2を使用してデータを送信することができる。なお、サブキャリアB1はキャリア周波数f1の低周波数側に隣接して設定され、サブキャリアB2はキャリア周波数f1の高周波数側に隣接して設定される。同様に、ノード#2は、キャリア周波数f2に隣接するサブキャリアB2およびサブキャリアB3を使用してデータを送信する。ノード#3は、キャリア周波数f3に隣接するサブキャリアB3およびサブキャリアB4を使用してデータを送信する。ノード#4は、キャリア周波数f4に隣接するサブキャリアB4およびサブキャリアB5を使用してデータを送信する。ノード#5については、後で記載する。
【0020】
各ノード#1~#4は、1組の隣接ノードに送信するデータを1組のサブキャリアに割り当てる。例えば、ノード#1は、ノード#5に送信するデータをサブキャリアB1に割り当て、ノード#2に送信するデータをサブキャリアB2に割り当てる。そして、各ノード#1~#4は、1組のサブキャリアを使用して1組のサブキャリア光信号を生成する。例えば、ノード#1は、サブキャリア光信号B1およびサブキャリア光信号B2を生成する。そして、トランスポンダTRは、生成した1組のサブキャリア光信号を合波して出力する。以下の記載では、サブキャリア光信号Biおよびサブキャリア光信号Bjを合波することで得られる光信号を「サブキャリア光信号Bi+Bj」と呼ぶことがある。
【0021】
各ノード#1~#4において、トランスポンダTRから出力される光信号は、光スプリッタSPTにより分岐され、1組の隣接ノードに送信される。このとき、1組の隣接ノードに同じ光信号が送信される。例えば、ノード#1は、サブキャリア光信号B1+B2を生成する。よって、ノード#1からノード#2にサブキャリア光信号B1+B2が送信され、また、ノード#1からノード#5にもサブキャリア光信号B1+B2が送信される。同様に、ノード#2からノード#1およびノード#3にサブキャリア光信号B2+B3が送信される。ノード#3からノード#2およびノード#4にサブキャリア光信号B3+B4が送信される。ノード#4からノード#3およびノード#5にサブキャリア光信号B4+B5が送信される。
【0022】
なお、あるノードにおいて、そのノードに割り当てられたキャリア周波数に対して設定される2つのサブキャリアの帯域幅は、互いに同じである。また、あるノードに割り当てられたキャリア周波数とそのノードの隣接ノードに割り当てられたキャリア周波数との差分は、サブキャリアの帯域幅と同じまたはほぼ同じである。
【0023】
各ノード#1~#4は、隣接ノードから受信する光信号からデータを再生する。このとき、各ノード#1~#4は、一方の隣接ノードから受信する光信号および他方の隣接ノードから受信する光信号を合波する。そして、合波された光信号に基づいて、一方の隣接ノードから送信されたデータおよび他方の隣接ノードから送信されたデータを再生する。
【0024】
例えば、ノード#2は、
図2に示すように、ノード#1からサブキャリア光信号B1+B2を受信し、ノード#3からサブキャリア光信号B3+B4を受信する。そうすると、サブキャリア光信号B1+B2およびサブキャリア光信号B3+B4は、光カプラCPLにより合波される。よって、ノード#2のトランスポンダTRは、
図4(b)に示すように、サブキャリアB1~B4を受信することになる。また、ノード#2は、局発光を利用して、受信光信号をベースバンド信号に変換する。ここで、ノード#2にはキャリア周波数f2が割り当てられているので、ノード#2においては、キャリア周波数f2の局発光が生成される。他方、トランスポンダTRの最大通信帯域は、この実施例では、各サブキャリアの帯域幅の2倍である。したがって、ノード#2においては、キャリア周波数f2を中心として、サブキャリアの帯域幅の2倍の周波数領域の信号が抽出される。具体的には、ノード#2においては、
図4(b)に示すように、サブキャリアB2およびサブキャリアB3が抽出される。
【0025】
ノード#2は、抽出したサブキャリアからそれぞれデータを再生する。具体的には、ノード#1から送信されるデータがサブキャリアB2から再生され、ノード#3から送信されるデータがサブキャリアB3から再生される。
【0026】
同様に、ノード#3は、
図2に示すように、ノード#2からサブキャリア光信号B2+B3を受信し、ノード#4からサブキャリア光信号B4+B5を受信する。また、ノード#3は、キャリア周波数f3の局発光を使用して光信号を受信する。そして、ノード#3においては、
図4(c)に示すように、サブキャリアB3およびサブキャリアB4が抽出される。したがって、ノード#3においては、ノード#2から送信されるデータがサブキャリアB3から再生され、ノード#4から送信されるデータがサブキャリアB4から再生される。
【0027】
上述したように、第1の実施形態に係わる光通信システム100においては、各ノード#1~#5に割り当てられるキャリア周波数がΔfずつ順番にシフトする。ただし、この場合、ノード#1~#5のうちのいずれか1つのノードにおいて、一方の隣接ノードとの通信で使用するサブキャリアの周波数と他方の隣接ノードとの通信で使用するサブキャリアの周波数との差分が大きくなる。
図2に示すケースでは、ノード#5において、ノード#1との通信で使用するサブキャリアB1の中心周波数とノード#4との通信で使用するサブキャリアB5の中心周波数との差分が、トランスポンダTRの最大通信帯域より大きい。このため、ノード#5においては、1つのトランスポンダTRを用いて2つの隣接ノードと通信を行うことはできない。よって、ノード#5においては、2つのトランスポンダTRa、TRbが設けられ、2つのキャリア周波数f1、f5が割り当てられる。そして、トランスポンダTRaはキャリア周波数f1を使用してサブキャリア通信を行い、トランスポンダTRbはキャリア周波数f5を使用してサブキャリア通信を行う。
【0028】
具体的には、ノード#5において、トランスポンダTRaは、サブキャリア光信号B1を生成してノード#1に送信する。また、トランスポンダTRbは、サブキャリア光信号B5を生成してノード#4に送信する。
【0029】
この場合、ノード#1は、
図2に示すように、ノード#5からサブキャリア光信号B1を受信し、ノード#2からサブキャリア光信号B2+B3を受信する。また、ノード#1は、キャリア周波数f1の局発光を使用して光信号を受信する。そして、ノード#1においては、
図4(a)に示すように、サブキャリアB1およびサブキャリアB2が抽出される。したがって、ノード#1においては、ノード#5から送信されるデータがサブキャリアB1から再生され、ノード#2から送信されるデータがサブキャリアB2から再生される。
【0030】
ノード#4は、
図2に示すように、ノード#3からサブキャリア光信号B3+B4を受信し、ノード#5からサブキャリア光信号B5を受信する。また、ノード#4は、キャリア周波数f4の局発光を使用して光信号を受信する。そして、ノード#4においては、
図4(d)に示すように、サブキャリアB4およびサブキャリアB5が抽出される。したがって、ノード#4においては、ノード#3から送信されるデータがサブキャリアB4から再生され、ノード#5から送信されるデータがサブキャリアB5から再生される。
【0031】
ノード#5は、
図2に示すように、ノード#4からサブキャリア光信号B4+B5を受信し、ノード#1からサブキャリア光信号B1+B2を受信する。このとき、
図4(e)に示すように、トランスポンダTRaは、キャリア周波数f1の局発光を使用して光信号を受信し、トランスポンダTRbは、キャリア周波数f5の局発光を使用して光信号を受信する。そうすると、トランスポンダTRaによりサブキャリアB1およびサブキャリアB2が抽出される。ただし、サブキャリアB2は、ノード#2に送信されるデータを伝送する。よって、トランスポンダTRaは、サブキャリアB1からデータを再生するが、サブキャリアB2からはデータを再生しない。一方、トランスポンダTRbは、サブキャリアB5を抽出する。そして、トランスポンダTRbは、サブキャリアB5からデータを再生する。すなわち、ノード#5においては、ノード#1から送信されるデータがサブキャリアB1から再生され、ノード#4から送信されるデータがサブキャリアB5から再生される。
【0032】
図5は、光伝送装置1の一例を示す。光伝送装置1は、この例では、トランスポンダ10、光スプリッタSPT、光カプラCPL、パケットスイッチ20を備える。なお、光伝送装置1は、
図5に示していない他の要素を備えてもよい。また、
図5に示す例ではパケットスイッチ20は光伝送装置1に含まれているが、パケットスイッチ20は光伝送装置1に接続されてもよい。光伝送装置1は、
図2に示す光通信システム100においては、各ノード#1~#4に設けられる。
【0033】
パケットスイッチ20は、クライアントから受信するパケットをトランスポンダ10に導く。また、パケットスイッチ20は、トランスポンダ10から出力されるパケットを対応するクライアントに導く。ただし、パケットの宛先によっては、パケットスイッチ20は、トランスポンダ10から受信するパケットをトランスポンダ10に戻す。
【0034】
トランスポンダ10は、インタフェース11、フレーマ12、デジタル信号処理器(DSP)13、デジタル/アナログ変換器(DAC)14、光送信機(TX)15、光受信機(RX)16、アナログ/デジタル変換器(ADC)17を備える。なお、トランスポンダ10は、
図5に示していない他の要素を備えてもよい。
【0035】
インタフェース11は、光伝送装置10とパケットスイッチ20との間のインタフェースを提供する。フレーマ12は、インタフェース11を介して受信するパケットを所定のフレーム(例えば、OTNフレーム)に格納する。また、フレーマ12は、DSP13により再生される受信フレームからパケットを抽出する。
【0036】
DSP13は、フレーマ12から出力されるフレームを表す送信信号を生成する。DAC14は、DSP13により生成される送信信号をアナログ信号に変換する。光送信機15は、この送信信号で局発光を変調して変調光信号を生成する。光送信機15により生成される光信号は、光スプリッタSPTにより分岐され、2つの隣接ノードに送信される。
【0037】
光カプラCPLは、2つの隣接ノードからそれぞれ受信する光信号を合波する。光受信機16は、コヒーレント受信器であり、局発光を使用して受信光信号を表す電界情報信号を生成する。ADC17は、電界情報信号をデジタル信号に変換する。DSP13は、受信光信号を表す電界情報信号に基づいてビット列を再生し、そのビット列からフレームを再構成する。
【0038】
図6~
図7は、光伝送装置1に実装されるトランスポンダ10の一例を示す。なお、
図6は、トランスポンダ10の送信部の一例を示し、
図7は、トランスポンダ10の受信部の一例を示す。また、
図6~
図7に示すトランスポンダ10の構成は、後述する第2~第5の実施形態でも実質的に同じである。
【0039】
トランスポンダ10の送信部は、
図6に示すように、インタフェース(IF)11T、フレーマ12T、FECエンコーダ31X、31Y、マッパ(MAP)32X、32Y、ナイキストフィルタ(N-FIL)33X、33Y、リサンプラ(RE-SAMP)34X、34Y、周波数シフタ(FREQ SHIFT)35X、35Y、サブキャリア多重化器(MUX)36、送信不完全補償器37、DAC14、光送信機15を備える。
【0040】
インタフェース11Tおよびフレーマ12Tは、それぞれ、
図5に示すインタフェース11およびフレーマ12の一部である。光源(LO)40は、送信部および受信部により共用される。FECエンコーダ31X、31Y、マッパ32X、32Y、ナイキストフィルタ33X、33Y、リサンプラ34X、34Y、周波数シフタ35X、35Y、サブキャリア多重化器36、送信不完全補償器37は、例えば、
図5に示すDSP13により実現される。
【0041】
インタフェース11Tは、パケットスイッチ20から出力されるパケットを受信する。フレーマ12Tは、インタフェース11Tを介して受信するパケットを所定のフレームに格納する。このとき、フレーマ12Tは、一方の隣接ノード(以下、隣接ノード#X)に送信するフレームXおよび他方の隣接ノード(以下、隣接ノード#Y)に送信するフレームYを生成する。隣接ノード#Xに送信されるパケットはフレームXに格納され、隣接ノード#Yに送信されるパケットはフレームYに格納さる。
【0042】
FECエンコーダ31X、31Yは、それぞれ、フレームX、Yに誤り訂正符号を付加する。マッパ32X、32Yは、それぞれ、指定された変調方式に従って、FECエンコーダ31X、31Yから出力されるビット列をコンステレーション上にマッピングする。このマッピングにより、隣接ノード#Xに送信される送信信号Xおよび隣接ノード#Yに送信される送信信号Yが生成される。ナイキストフィルタ33X、33Yは、それぞれ、送信信号X、Yがナイキスト条件を満足するようにフィルタリングを行う。リサンプラ34X、34Yは、それぞれ、ナイキストフィルタ33X、33Yの出力信号に対して再サンプリングを行う。
【0043】
周波数シフタ35X、35Yは、それぞれ、再サンプリングされた送信信号X、Yの周波数をシフトさせる。例えば、周波数シフタ35Xは、
図8(a)に示すように、再サンプリングされた送信信号Xの周波数を高周波数側にシフトさせる。このとき、周波数シフタ35Xは、例えば、送信信号Xに対応する信号帯域の低周波数側の端部が「ゼロ」になるように、送信信号Xの周波数をシフトさせる。周波数シフタ35Yは、
図8(b)に示すように、再サンプリングされた送信信号Yの周波数を低周波数側にシフトさせる。このとき、周波数シフタ35Yは、例えば、送信信号Yに対応する信号帯域の高周波数側の端部が「ゼロ」になるように、送信信号Yの周波数をシフトさせる。なお、周波数シフタ35X、35Yの構成および動作については後で説明する。
【0044】
サブキャリア多重化器36は、周波数シフタ35Xの出力信号および周波数シフタ35Yの出力信号を多重化する。この結果、
図8(c)に示す多重化信号が生成される。送信不完全補償器37は、サブキャリア多重化器36の出力信号に対して、送信回路の不完全性を補償する処理を行う。送信回路の不完全性は、例えば、不図示の増幅器の歪などを含む。DAC14は、送信不完全補償器37の出力信号をアナログ信号に変換して駆動信号を生成する。
【0045】
光送信機15は、光変調器を含み、光源40により生成される連続光を駆動信号で変調することにより、サブキャリア多重光信号を生成する。ここで、光源40により生成される連続光の周波数がf1である場合、
図8(d)に示すサブキャリア多重光信号が生成される。なお、このサブキャリア多重光信号は、隣接ノード#Xに送信されるデータを伝送するサブキャリア光信号および隣接ノード#Yに送信されるデータを伝送するサブキャリア光信号を含む。そして、このサブキャリア多重光信号は、
図5に示す光スプリッタSLTにより分岐されて、隣接ノード#Xおよび隣接ノード#Yに送信される。
【0046】
トランスポンダ10の受信部は、
図7に示すように、光受信機16、ADC17、分散補償器(FEQ)51、サブキャリア分離器(DMUX)52、周波数シフタ53X、53Y、リサンプラ54X、54Y、適応等化器(AEQ)55X、55Y、周波数オフセット補償器(OFFSE COMP)56X、56Y、位相同期部57X、57Y、FECデコーダ58X、58Y、フレーマ12R、インタフェース(IF)11Rを備える。
【0047】
インタフェース11Rおよびフレーマ12Rは、それぞれ、
図5に示すインタフェース11およびフレーマ12の一部である。光源(LO)40は、送信部および受信部により共用される。分散補償器51、サブキャリア分離器52、周波数シフタ53X、53Y、リサンプラ54X、54Y、適応等化器55X、55Y、周波数オフセット補償器56X、56Y、位相同期部57X、57Y、FECデコーダ58X、58Yは、例えば、
図5に示すDSP13により実現される。
【0048】
トランスポンダ10の受信部は、隣接ノード#Xから送信される光信号および隣接ノード#Yから送信される光信号を受信する。例えば、
図2に示すノード#2に実装されるトランスポンダTRは、
図4(b)に示すように、隣接ノード#1から送信されるサブキャリア光信号(B1+B2)および隣接ノード#3から送信されるサブキャリア光信号(B3+B4)を受信する。
【0049】
光受信機16は、コヒーレント受信器であり、光源40により生成される連続光を利用して受信光信号を表す電界情報信号を生成する。ADC17は、電界情報信号をデジタル信号に変換する。分散補償器51は、固定等化器であり、光伝送路の分散を補償する。なお、分散補償器51は、例えば、デジタルフィルタにより実現される。サブキャリア分離器52は、分散補償器51の出力信号から、トランスポンダ10が処理すべきサブキャリアを抽出する。このとき、サブキャリア分離器52は、DSP13の処理能力に対応する周波数領域範囲において信号を抽出する。例えば、
図2に示すノード#2に実装されるトランスポンダTRは、
図4(b)に示すように、サブキャリアB1~B4からサブキャリアB2およびサブキャリアB3を抽出する。以下の記載では、隣接ノード#Xから送信され、サブキャリア分離器52により抽出される信号を「受信信号X」と呼ぶことがある。隣接ノード#Yから送信され、サブキャリア分離器52により抽出される信号を「受信信号Y」と呼ぶことがある。
【0050】
周波数シフタ53X、53Yは、それぞれ、受信信号X、Yの周波数をシフトさせる。ここで、周波数シフタ53Xは、周波数シフタ35Xによる周波数シフトと逆の動作を行う。また、周波数シフタ53Yは、周波数シフタ35Yによる周波数シフトと逆の動作を行う。リサンプラ54X、54Yは、それぞれ、周波数シフタ53X、53Yの出力信号に対して再サンプリングを行う。
【0051】
適応等化器55X、55Yは、それぞれ、リサンプラ54X、54Yの出力信号を適応的に等化する。適応等化器55X、55Yは、例えば、デジタルフィルタにより実現される。この場合、デジタルフィルタの係数は、受信信号に応じて適応的に更新される。周波数オフセット補償器56X、56Yは、それぞれ、適応等化器55X、55Yの出力信号において、受信光信号のキャリア周波数と局発光の周波数との間の誤差を補償する。
【0052】
位相同期部57X、57Yは、それぞれ、周波数オフセット補償器56X、56Yの出力信号において位相同期を確立する。すなわち、シンボル毎に、送信元ノードで設定された位相と受信信号の位相との間のオフセットが補償され、送信元ノードで設定された位相が検出される。この結果、シンボル毎に、1または複数のビットの値が判定され、受信信号を表すビット列が再生される。FECデコーダ58X、58Yは、それぞれ、位相同期部57X、57Yの出力信号に対して誤り検出および誤り訂正を行う。この結果、受信フレームが再生される。
【0053】
フレーマ12Rは、DSP13によって再生される受信フレームからパケットを抽出する。再生されたパケットは、インタフェース11Rを介してパケットスイッチ20に導かれる。
【0054】
図9は、周波数シフタ35X、35Y、53X、53Yの一例を示す。なお、周波数35X、35Y、53X、53Yの構成は、実質的に同じである。
【0055】
周波数シフタは、積算回路61および回転演算回路62を備える。そして、周波数シフタには、関数f(t)および電界情報信号が与えられる。関数f(t)は、周波数シフト量を表す。電界情報信号は、I成分信号およびQ成分信号から構成される。また、周波数シフタ35X、35Yに与えられる電界情報信号は、
図6に示す例では、リサンプラ34X、34Yから出力される。周波数シフタ53X、53Yに与えられる電界情報信号は、
図7に示す例では、サブキャリア分離器52から出力される。
【0056】
積算回路61は、周波数シフト量(すなわち、f(t))を時間で積分する。そして、積算回路61は、積分結果として、下記の位相情報θ(t)を出力する。
θ(t)=∫2πf(t)dt
なお、積算回路61は、mod2π回路を備えていてもよい。この場合、積算回路61の出力値は、0~2πの範囲内の値に変換される。
【0057】
回転演算回路62は、下記の演算により、位相情報θ(t)を利用してI成分信号およびQ成分信号を補正する。IおよびQは、回転演算回路62の入力信号を表す。IoutおよびQoutは、回転演算回路62の出力信号を表す。
Iout=Icosθ(t)-Qsinθ(t)
Qout=Isinθ(t)+Qcosθ(t)
すなわち、回転演算回路62は、指定された周波数シフト量に基づいて、I成分信号およびQ成分信号により表される位相を制御する。この結果、信号の周波数がシフトする。例えば、
図8(a)に示すように信号の周波数を高くするときには、電界情報信号の位相を進める回転演算が行われる。また、
図8(b)に示すように信号の周波数を低くするときには、電界情報信号の位相を遅らせる回転演算が行われる。
【0058】
このように、第1の実施形態においては、各ノード(
図2では、ノード#1~#4)に実装される光伝送装置1は、1個のトランスポンダTRを用いて2つの隣接ノードと通信を行う。これに対して、
図1に示す光通信システムにおいては、各ノードに実装される光伝送装置は、2個のトランスポンダを用いて2つの隣接ノードと通信を行う。よって、第1の実施形態によれば、各ノードに実装されるトランスポンダの数が少なくなるので、光伝送装置のコストまたは光通信システム100のコストが削減される。
【0059】
また、光ネットワークの通信容量が小さいときは、
図1に示す光通信システムでは、トランスポンダの能力が十分に活用されないことがある。一方、第1の実施形態によれば、1個のトランスポンダTRを用いて2つの隣接ノードと通信を行うので、トランスポンダの周波数利用効率が高くなりやすい。すなわち、トランスポンダの能力が十分に活用される。
【0060】
図10は、本発明の第1の実施形態に係わる光通信システムのバリエーションを示す。
図2に示すシステムでは、各スパンにおいてそれぞれ2本の光ファイバを用いて双方向伝送が実現されるが、本発明はこの構成に限定されるものではない。すなわち、1本の光ファイバを用いてノード間の双方向伝送を実現してもよい。
図10に示す例では、光サーキュレータを利用して双方向伝送を実現している。すなわち、光サーキュレータ71は、ノード#3から出力されるサブキャリア光信号B3+B4をノード#4に導き、ノード#4から受信するサブキャリア光信号B4+B5をノード#3に導く。同様に、光サーキュレータ72は、ノード#4から出力されるサブキャリア光信号B4+B5をノード#3に導き、ノード#3から受信するサブキャリア光信号B3+B4をノード#3に導く。
【0061】
なお、1本の光ファイバを用いてノード間の双方向伝送を実現する場合、
図10に示す光サーキュレータの代わりに光カプラを実装してもよい。ただし、光カプラを使用する構成と比べて、光サーキュレータを使用する構成は、光損失が小さくなる(約0.6dB)。
【0062】
<第2の実施形態>
図11は、本発明の第2の実施形態に係わる光通信システムの一例を示す。
図2に示す光通信システム100と同様に、光通信システム200はノード#1~#5を含む。ノード#1~#5は、光ファイバにより接続され、光リングネットワークを構成する。また、ノード#1~#4にそれぞれ光伝送装置3が設けられ、ノード#5に光伝送装置2が設けられる。なお、光伝送装置2は、第1の実施形態と同様に、2個のトランスポンダ(TRa、TRb)を備える。
【0063】
光伝送装置3は、トランスポンダTR、光フィルタFIL、および光カプラCPLを備える。なお、光伝送装置3は、光カプラCPLの代わりに、カプラ機能を備える光フィルタを使用してもよい。また、光伝送装置3は、
図11に示していない他のデバイスを備えてもよい。さらに、光伝送装置3には、スイッチ回路SW/IFが接続される。スイッチ回路SW/IFは、
図2および
図11において実質的に同じである。
【0064】
光通信システム200においては、ノード#1~#5は、同じキャリア周波数を使用して光信号を伝送する。この実施例では、キャリア周波数はf0である。
【0065】
各ノード#1~#4は、1組のサブキャリアを使用してデータを隣接ノードに送信することができる。ここで、各ノード#1~#4は、キャリア周波数f0の低周波数側に設けられるサブキャリアB1およびキャリア周波数f0の高周波数側に設けられるサブキャリアB2を使用する。すなわち、各ノード#1~#4のトランスポンダTRは、サブキャリア光信号B1およびサブキャリア光信号B2を生成する。
【0066】
光フィルタFILは、トランスポンダTRから出力される2つのサブキャリア光信号を互いに分離する。具体的には、光フィルタFILは、サブキャリア光信号B1およびサブキャリア光信号B2を互いに分離する。そして、光フィルタFILにより抽出されたサブキャリア光信号B1は一方の隣接ノードに導かれ、光フィルタFILにより抽出されたサブキャリア光信号B2は他方の隣接ノードに導かれる。
【0067】
具体的には、ノード#1、#3においては、サブキャリア光信号B1が時計回り方向に送信され、サブキャリア光信号B2が反時計回り方向に送信される。これに対して、ノード#2、#4においては、サブキャリア光信号B1が反時計回り方向に送信され、サブキャリア光信号B2が時計回り方向に送信される。この結果、各スパンにおいて、時計回り方向の伝送および反時計回り方向の伝送で同じサブキャリアが使用される。例えば、ノード#1、#2間では、サブキャリアB2を使用して光信号が双方向に伝送され、ノード#2、#3間では、サブキャリアB1を使用して光信号が双方向に伝送される。
【0068】
各ノード#1~#4は、隣接ノードから受信する光信号からデータを再生する。このとき、各ノード#1~#4において、一方の隣接ノードから受信する光信号および他方の隣接ノードから受信する光信号は、光カプラCPLにより合波される。そして、トランスポンダTRは、合波された光信号に基づいて、一方の隣接ノードから送信されたデータおよび他方の隣接ノードから送信されたデータをそれぞれ再生する。
【0069】
例えば、ノード#2は、
図11に示すように、ノード#1からサブキャリア光信号B2を受信し、ノード#3からサブキャリア光信号B1を受信する。そうすると、サブキャリア光信号B2およびサブキャリア光信号B1は、光カプラCPLによって合波される。そして、トランスポンダTRは、
図7に示す受信部を利用してデータを再生する。具体的には、ノード#1から送信されるデータがサブキャリアB2から再生され、ノード#3から送信されるデータがサブキャリアB1から再生される。
【0070】
同様に、ノード#3は、
図11に示すように、ノード#2からサブキャリア光信号B1を受信し、ノード#4からサブキャリア光信号B2を受信する。そうすると、サブキャリア光信号B1およびサブキャリア光信号B2は合波される。そして、トランスポンダTRは、
図7に示す受信部を利用してデータを再生する。具体的には、ノード#2から送信されるデータがサブキャリアB1から再生され、ノード#4から送信されるデータがサブキャリアB2から再生される。
【0071】
このように、光通信システム200においては、サブキャリアB1およびサブキャリアB2がスパン毎に交互に設定される。ところが、光リングネットワークを構成するノードの数は奇数である。このため、ノード#1~#5のうちのいずれか1つのノードにおいては、一方の隣接ノードとの通信で使用するサブキャリアと他方の隣接ノードとの通信で使用するサブキャリアとが同じになる。この実施例では、ノード#5において、ノード#1との通信でサブキャリアB1が使用され、ノード#4との通信でもサブキャリアB1が使用される。この場合、ノード#5において同じサブキャリアが重複する。したがって、ノード#5には、2個のトランスポンダ(TRa、TRb)を備える光伝送装置2が実装される。
【0072】
トランスポンダTRaは、ノード#1に送信するデータをサブキャリアB1に割り当てることによりサブキャリア信号B1を生成する。そして、トランスポンダTRaにより生成されるサブキャリア信号B1は、ノード#1に送信される。トランスポンダTRbは、ノード#4に送信するデータをサブキャリアB1に割り当てることによりサブキャリア信号B1を生成する。そして、トランスポンダTRbにより生成されるサブキャリア信号B1は、ノード#4に送信される。
【0073】
また、トランスポンダTRaは、ノード#1から送信されるサブキャリア信号B1からデータを再生する。トランスポンダTRbは、ノード#4から送信されるサブキャリア信号B1からデータを再生する。
【0074】
このように、第2の実施形態においても、各ノード(
図11では、ノード#1~#4)に実装される光伝送装置3は、1個のトランスポンダTRを用いて2つの隣接ノードと通信を行う。よって、第2の実施形態によれば、
図1に示す構成と比較して、各ノードに実装されるトランスポンダの数が少なくなるので、光伝送装置および/または光通信システムのコストが削減される。また、第1の実施形態と同様に第2の実施形態においても、各ノードにおいて1個のトランスポンダTRを用いて2つの隣接ノードと通信を行うので、トランスポンダの周波数利用効率が高くなりやすい。すなわち、トランスポンダの能力が十分に活用される。
【0075】
ところで、第2の実施形態の光伝送装置3においては、
図2に示す第1の実施形態で使用される光スプリッタSLTの代わりに、光フィルタFILが使用される。ここで、光スプリッタと比較して光フィルタは高価である。よって、第2の実施形態と比較して、第1の実施形態の方が光伝送装置のコストが低くなる。
【0076】
ただし、第1の実施形態では、光リングネットワークを構成するノードの数と同じ数のサブキャリアが必要である。
図2に示す例では、5個のノード#1~#5を備える光リングネットワークにおいて、5つのサブキャリアB1~B5が使用される。ここで、光ファイバ通信は、限られた資源(例えば、Cバンド)を使用して実現される。このため、第1の実施形態では、光リングネットワークを構成するノードの数の上限が制限されることがある。或いは、各サブキャリアの帯域幅が制限されることがある。これに対して、第2の実施形態では、光リングネットワークを構成するノードの数にかかわらず、必要なサブキャリアの数は2である。このため、第2の実施形態では、光リングネットワークを構成するノードの数の上限が制限されることはない。或いは、各サブキャリアの帯域幅が制限されることはない。
【0077】
なお、第2の実施形態で使用される光伝送装置3においても、トランスポンダは、
図6~
図7に示す構成により実現される。また、光伝送装置3は、2つの受信光信号を合波する光カプラCPLの代わりに、カプラ機能を備える光フィルタ回路を使用してもよい。この場合、光フィルタ回路は、サブキャリアB1を抽出するフィルタ、サブキャリアB2を抽出するフィルタ、および2つのフィルタの出力を合波するカプラを備えてもよい。
【0078】
図11に示す実施例では、光リングネットワークを構成するノードの数は奇数である。このため、ノード#1~#5のうちのいずれか1つのノードに、2個のトランスポンダを備える光伝送装置が設けられる。ただし、光リングネットワークを構成するノードの数が偶数であるケースでは、全てのノードにそれぞれ光伝送装置3を設けてもよい。
【0079】
<第3の実施形態>
図12は、本発明の第3の実施形態に係わる光通信システムの一例を示す。第3の実施形態に係わる光通信システム300は、ノード#1~#4を含む。ノード#1~#4は、光ファイバにより接続され、光リニアネットワークを構成する。また、ノード#2~#3にそれぞれ光伝送装置3が設けられ、ノード#1、#4にそれぞれ光伝送装置4が設けられる。
【0080】
光伝送装置3の構成および動作は、第2の実施形態および第3の実施形態において実質的に同じである。すなわち、光伝送装置3は、1つのトランスポンダTRを用いて2つのサブキャリア光信号を処理する。ただし、第3の実施形態では、各光伝送装置3は、ノード#4からノード#1に向う方向にサブキャリア光信号B1を送信し、ノード#1からノード#4に向う方向にサブキャリア光信号B2を送信する。
【0081】
光伝送装置4は、1個のトランスポンダTRを備える。そして、光伝送装置4は、サブキャリア光信号B1、B2のうちの一方を送信し、サブキャリア光信号B1、B2のうちの他方を受信する。この例では、ノード#1に実装される光伝送装置4は、サブキャリア光信号B2を送信し、サブキャリア光信号B1を受信する。ノード#4に実装される光伝送装置4は、サブキャリア光信号B1を送信し、サブキャリア光信号B2を受信する。
【0082】
このように光通信システム300においては、ノード#1からノード#4に向う伝送にサブキャリアB2が使用され、ノード#4からノード#1に向う伝送にサブキャリアB1が使用される。そして、光リニアネットワークの両端以外のノードに実装される光伝送装置(すなわち、ノード#2、#3に実装される光伝送装置3)は、1個のトランスポンダTRを用いて2つの隣接ノードと通信を行う。よって、第3の実施形態によれば、各ノードに実装されるトランスポンダの数が少なくなるので、光伝送装置および/または光通信システムのコストが削減される。また、第1~第2の実施形態と同様に、第3の実施形態においても、各ノードにおいて1個のトランスポンダTRを用いて2つの隣接ノードと通信を行うので、トランスポンダの周波数利用効率が高くなりやすい。すなわち、トランスポンダの能力が十分に活用される。
【0083】
<第4の実施形態>
図13は、本発明の第4の実施形態に係わる光通信システムの一例を示す。
図2に示す光通信システム100と同様に、光通信システム400はノード#1~#5を含む。ノード#1~#5は、光ファイバにより接続され、光リングネットワークを構成する。また、ノード#1~#5にそれぞれ光伝送装置3が設けられる。すなわち、全てのノードに同じ光伝送装置が設けられる。さらに、各ノードの局発光源の発振周波数は、互いに同期が確立している。この実施例では、各ノードの局発光源の発振周波数はf0である。
【0084】
光伝送装置3の構成および動作は、第2の実施形態および第4の実施形態において実質的に同じである。すなわち、光伝送装置3は、
図6~
図7に示すトランスポンダ、光フィルタFIL、光カプラCPLを備える。光カプラCPLは、第2の実施形態と同様に、カプラ機能付きの光フィルタであってもよい。そして、光伝送装置3は、2つのサブキャリア光信号を送信し、2つのサブキャリア光信号を受信する。
【0085】
具体的には、トランスポンダTRは、時計回り方向に送信するデータをサブキャリアB1に割り当てることでサブキャリア光信号B1を生成し、反時計回り方向に送信するデータをサブキャリアB2に割り当てることでサブキャリア光信号B2を生成する。光フィルタFILは、サブキャリア光信号B1およびサブキャリア光信号B2を互いに分離する。そして、サブキャリア光信号B1は時計回り方向の隣接ノードに送信され、サブキャリア光信号B2は反時計回り方向の隣接ノードに送信される。
【0086】
また、光伝送装置3は、一方の隣接ノードからサブキャリア光信号B1を受信し、他方の隣接ノードからサブキャリア光信号B2を受信する。サブキャリア光信号B1およびサブキャリア光信号B2は、光カプラCPLにより合波されてトランスポンダTRに導かれる。トランスポンダTRは、サブキャリア光信号B1およびサブキャリア光信号B2からそれぞれデータを再生する。
【0087】
このように、第4の実施形態においては、2つのサブキャリアのうちの一方のサブキャリア(
図13では、サブキャリアB1)が時計回り方法の伝送に使用され、他方のサブキャリア(
図13では、サブキャリアB2)が反時計回り方法の伝送に使用される。各ノードに設けられる光伝送装置は、1個のトランスポンダTRを用いて2つの隣接ノードと通信を行う。よって、第4の実施形態によれば、各ノードに実装されるトランスポンダの数が少なくなるので、光伝送装置および/または光通信システムのコストが削減される。また、第1~第3の実施形態と同様に、第4の実施形態においても、各ノードにおいて1個のトランスポンダTRを用いて2つの隣接ノードと通信を行うので、トランスポンダの周波数利用効率が高くなりやすい。すなわち、トランスポンダの能力が十分に活用される。
【0088】
なお、光フィルタFILは、例えば、
図14に示すサイクリックフィルタ(インターリーバー)で実現してもよい。サイクリックフィルタの透過率は、周波数に対して周期的に変化する。また、サイクリックフィルタは、例えば、透過率の変化の周期が1つのサブキャリアの帯域幅と同じまたはほぼ同じになるように設計される。さらに、サイクリックフィルタは、2つの光出力ポートを備える。この場合、奇数番の透過帯(F1、F3、・・・)の出力光が一方の光出力ポートに導かれ、偶数番の透過帯(F2、F4、・・・)の出力光が他方の光出力ポートに導かれる。そして、サイクリックフィルタは、サブキャリアB1、B2の中心周波数がそれぞれ対応する透過帯の中心周波数に一致するように設計される。
図14に示す例では、サブキャリアB1、B2の中心周波数がそれぞれ透過帯F2、F3の中心周波数に一致するように設計されている。
【0089】
このように、第4の実施形態においても、各ノードに実装される光伝送装置3は、1個のトランスポンダTRを用いて2つの隣接ノードと通信を行う。よって、第4の実施形態によれば、
図1に示す構成と比較して、各ノードに実装されるトランスポンダの数が少なくなるので、光伝送装置および/または光通信システムのコストが削減される。また、第1の実施形態と同様に第4の実施形態においても、各ノードにおいて1個のトランスポンダTRを用いて2つの隣接ノードと通信を行うので、トランスポンダの周波数利用効率が高くなりやすい。すなわち、トランスポンダの能力が十分に活用される。
【0090】
<第5の実施形態>
第5の実施形態の光通信システム500においては、第4の実施形態と同様に、2つのサブキャリアのうちの一方のサブキャリア(例えば、サブキャリアB1)が時計回り方法の伝送に使用され、他方のサブキャリア(例えば、サブキャリアB2)が反時計回り方法の伝送に使用される。ただし、第5の実施形態では、1以上のノードに光伝送装置1が設けられ、他のノードに光伝送装置5が設けられる。
図15に示す例では、ノード#1、#3に光伝送装置1が設けられ、ノード#2、#4、#5に光伝送装置5が設けられる。
【0091】
光伝送装置1は、第1の実施形態において説明したように、トランスポンダTR、光スプリッタSPT、光カプラCPLを備える。したがって、トランスポンダTRから出力される光サブキャリア信号B1+B2は、光スプリッタSPTにより分岐される。そして、光サブキャリア信号B1+B2は、時計回り方向および反時計回り方向に送信される。例えば、ノード#1からノード#2およびノード#5に光サブキャリア信号B1+B2が送信される。同様に、ノード#3からノード#2およびノード#4に光サブキャリア信号B1+B2が送信される。
【0092】
光伝送装置5は、トランスポンダTR、光フィルタFIL、光フィルタFIL_Rを備える。光フィルタFIL_Rは、2つの光入力ポートを備える。一方の光入力ポートに接続されるフィルタはサブキャリアB1を抽出し、他方の光入力ポートに接続されるフィルタはサブキャリアB2を抽出する。すなわち、光伝送装置5は、光フィルタFIL_Rを用いて、各受信光信号から指定されたサブキャリアを抽出する。
【0093】
例えば、ノード#2は、ノード#1から光サブキャリア信号B1+B2を受信し、ノード#3からも光サブキャリア信号B1+B2を受信する。ここで、ノード#1からノード#2に送信されるデータはサブキャリアB2に割り当てられている。よって、ノード#2に設けられる光伝送装置5は、光フィルタFIL_Rを用いて、ノード#1から送信される光信号から光サブキャリア信号B2を抽出する。一方、ノード#3からノード#2に送信されるデータはサブキャリアB1に割り当てられている。よって、ノード#2に設けられる光伝送装置5は、光フィルタFIL_Rを用いて、ノード#3から送信される光信号から光サブキャリア信号B1を抽出する。この構成により、ノード#2においてサブキャリアの重複が回避される。
【0094】
このように、光伝送装置5は、サブキャリアの重複を回避することができる。換言すれば、光ネットワークにおいてサブキャリアの重複を回避するためには、光伝送装置1が設けられるノードの隣なりのノードに光伝送装置5を設ける必要がある。ここで、送信光信号から対応するサブキャリアを抽出する光フィルタを備えない光伝送装置1は、光フィルタを備えない光伝送装置と比較して安価である。よって、光伝送装置1および光伝送装置5が混在する第5の実施形態の構成は、第4の実施形態と比較して安価に構築される。
【0095】
<他の実施形態>
図16は、他の実施形態に係わる光通信システムの一例を示す。
図2に示す光通信システム100と同様に、光通信システム600はノード#1~#5を含む。ノード#1~#5は、光ファイバにより接続され、光リングネットワークを構成する。また、ノード#1~#5にそれぞれ光伝送装置7が設けられる。さらに、各ノードの局発光源の発振周波数は互いに同じである。
【0096】
光通信システム600においては、光伝送装置7の通信帯域は、光リングネットワークを構成するノードの数で分割される。この実施例では、光リングネットワークは5つのノード#1~#5を備える。よって、光伝送装置7が使用する通信帯域は、5つのサブキャリアB1~B5に分割される。そして、光伝送装置7は、5つのサブキャリアB1~B5のうちの2つを使用して隣接ノードと通信を行う。このとき、各ノードに割り当てられるサブキャリアは、各ノードにおいて受信サブキャリアが互いに重複しないように決定される。
【0097】
各ノードにおいて、トランスポンダTRは、当該ノードに割り当てられた2つのサブキャリアを、光フィルタFILを用いて互いに分離する。そして、光伝送装置7は、一方のサブキャリア光信号を時計回り方向に送信し、他方のサブキャリア光信号を反時計回り方向に送信する。また、各ノードは、各隣接ノードから受信するサブキャリア光信号を合波する。そして、トランスポンダTRは、合波した光信号から1組のデータを再生する。
【0098】
例えば、ノード#1にはサブキャリアB4、B5が割り当てられ、ノード#2にはサブキャリアB3、B4が割り当てられ、ノード#3にはサブキャリアB2、B3が割り当てられている。ノード#1は、サブキャリア光信号B5をノード#5に送信し、サブキャリア光信号B4をノード#2に送信する。ノード#3は、サブキャリア光信号B3をノード#2に送信し、サブキャリア光信号B2をノード#4に送信する。そうすると、ノード#2は、ノード#1からサブキャリア光信号B4を受信し、ノード#3からサブキャリア光信号B3を受信する。
【0099】
このように、他の実施形態に係わる光通信システム600においても、複数のサブキャリアを利用する双方向光伝送が実現される。ただし、上述した第1、第2、第4、第5の実施形態は、
図16に示す他の実施形態よりも有利な効果を有する。
【0100】
他の実施形態においては、光リングネットワークがN個のノードを備える場合、光伝送装置7は、N個のサブキャリアの中の指定された2個のサブキャリアを使用して通信を行う。ここで、各ノードに設けられる光伝送装置7の構成を共通化するためには、光伝送装置7は、N個のサブキャリアを提供できることが要求される。例えば、光リングネットワークが5個のノード#1~#5を備える場合、光伝送装置7は、
図17(a)に示すように、サブキャリアB1~B5を提供するように構成される。しかし、信号を伝送するために使用されるサブキャリアは2つである。したがって、
図16に示す他の実施形態では、スペクトルの利用効率が低い。例えば、光伝送装置7の通信帯域が800Gbpsである場合、データを伝送するための使用される帯域は320Gbpsである。
【0101】
これに対して、
図2に示す第1の実施形態においては、各ノードに割り当てられるキャリア周波数が互いに異なる。そして、各ノードに設けられる光伝送装置1は、割り当てられたキャリア周波数の低周波数側および高周波数側にそれぞれ隣接する2つのサブキャリアを使用して通信を行う。このため、第1の実施形態では、光リングネットワークを構成するノードの数にかかわらず、割り当てられたキャリア周波数に隣接する2つのサブキャリアを使用して通信を行う。例えば、
図2に示すノード#1においては、
図17(b)に示すように、周波数f1に隣接するサブキャリアB1、B2を使用して信号が伝送され、ノード#2においては、
図17(c)に示すように、周波数f2に隣接するサブキャリアB2、B3を使用して信号が伝送される。例えば、光伝送装置7の通信帯域が800Gbpsである場合、データを伝送するための使用される帯域も800Gbpsである。すなわち、光伝送装置1の全通信帯域を使用して通信を行うことが可能である。したがって、第1の実施形態によれば、
図16に示す他の実施形態と比較して、スペクトルの利用効率が高くなる。加えて、第1の実施形態の光伝送装置は、安価な光スプリッタSPTを使用して送信光信号を2つの隣接ノードに送信するので、光伝送装置のコストが削減される。
【0102】
図11に示す第2の実施形態、
図13に示す第4の実施形態、
図15に示す第5の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、キャリア周波数の低周波数側および高周波数側にそれぞれ隣接する2つのサブキャリアを使用して通信が行われる。したがって、スペクトルの利用効率が高い。
【0103】
加えて、
図16に示す他の実施形態では、ノード毎に、送信光信号を分岐するための光フィルタFILの構成が異なる。例えば、ノード#1では、サブキャリアB4、B5を抽出する光フィルタが実装され、ノード#2では、サブキャリアB3、B4を抽出する光フィルタが実装される。これに対して、第2および第4の実施形態では、各ノードにおいて送信光信号を分岐するための光フィルタFILの構成が同じである。よって、光伝送装置のコストが削減される。
【符号の説明】
【0104】
1、2、3、4、5 光伝送装置
10 トランスポンダ
13 デジタル信号処理器(DSP)
15 光送信機
16 光受信機
35X、35Y 周波数シフタ
40 光源(LO)
53X、53Y 周波数シフタ
71、72 光サーキュレータ
100、200、300、400、500 光通信システム