(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】学習支援装置、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 5/06 20060101AFI20240827BHJP
G09B 19/06 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G09B5/06
G09B19/06
(21)【出願番号】P 2020127067
(22)【出願日】2020-07-28
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100182936
【氏名又は名称】矢野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】梶川 知哉
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-206317(JP,A)
【文献】特開2008-032962(JP,A)
【文献】特開2004-226701(JP,A)
【文献】特開2012-155822(JP,A)
【文献】特開2008-058678(JP,A)
【文献】特開2014-059330(JP,A)
【文献】特開2018-146961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00- 9/56,17/00-19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声出力可能な対象単語と前記対象単語を含む例文を示す情報とを関連付けた登録情報に基づいて、前記対象単語を含む例文の音声データを取得し、前記例文の音声データの再生に関する再生情報を取得した後、前記例文における前記対象単語の再生が選択された場合に、取得した前記再生情報に基づいて、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分を再生するよう制御する制御部
を備
え、更に前記制御部は、前記例文における前記対象単語のみを再生する場合に、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分と、前記対象単語の発音記号に従った音声データとのどちらを再生するかの選択を受け付けることを特徴とする学習支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の学習支援装置において、
前記制御部は、前記例文の音声データ全体を再生した音声全体における再生開始時から前記対象単語の再生開始時までの時間を示す情報を含む前記再生情報を取得する
ことを特徴とする学習支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の学習支援装置において、
前記制御部は、前記例文の音声データ全体を再生した音声全体における前記対象単語の再生区間の時間を示す情報を含む前記再生情報を取得する
ことを特徴とする学習支援装置。
【請求項4】
請求項1に記載の学習支援装置において、
前記制御部は、前記対象単語を含む例文のテキストデータ及び音声データに基づいて、前記音声データ全体を再生した音声全体における前記対象単語の再生位置を示す情報を含む前記再生情報を導出する
ことを特徴とする学習支援装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の学習支援装置において、
前記制御部は、前記対象単語の部分を複数回再生する場合に、再生する毎に再生の音量を大きくする
ことを特徴とする学習支援装置。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の学習支援装置において、
前記制御部は、前記対象単語の部分を複数回再生する場合に、再生する毎に再生速度を増す
ことを特徴とする学習支援装置。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の学習支援装置において、
前記例文のテキストを表示する表示部を更に備え、
前記制御部は、前記例文全体の再生が選択された場合に、前記例文の音声データの再生における再生位置の変化と同期して、前記例文のテキストにおける前記再生位置と対応する箇所を示す情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする学習支援装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の学習支援装置において、
前記制御部は、前記例文のテキストのうちの、前記音声データにおける再生された部分と対応する箇所を、前記音声データにおける再生されていない部分と対応する箇所とは異なる表示形式で前記表示部に表示させる
ことを特徴とする学習支援装置。
【請求項9】
請求項
7又は
8に記載の学習支援装置において、
前記制御部は、前記例文に含まれる母音と、前記例文の音声データの再生における前記母音が再生される時間とを関連付けたテロップ情報に基づいて、前記例文のテキストにおける前記再生位置と対応する箇所を示す情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする学習支援装置。
【請求項10】
請求項1に記載の学習支援装置において、
前記登録情報と前記例文の音声データとを記憶する記憶部を更に備え、
前記登録情報は、前記再生情報を含む
ことを特徴とする学習支援装置。
【請求項11】
請求項1に記載の学習支援装置において、
前記登録情報は、複数の対象単語のそれぞれに、前記対象単語を含む例文を示す情報が関連付けられており、
前記制御部は、前記複数の対象単語の中から選択された対象単語を含む例文の音声データの再生を制御する
ことを特徴とする学習支援装置。
【請求項12】
請求項1に記載の学習支援装置において、
前記対象単語は、複数の単語が結合された複合語を含む
ことを特徴とする学習支援装置。
【請求項13】
例文の音声データが格納された外部装置と、
音声出力可能な対象単語と前記対象単語を含む例文を示す情報とを関連付けた登録情報に基づいて、前記対象単語を含む前記例文の音声データを前記外部装置から取得し、前記例文の音声データの再生に関する再生情報を取得した後、前記例文における前記対象単語の再生が選択された場合に、取得した前記再生情報に基づいて、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分を再生するよう制御する学習支援装置と
を備
え、更に前記学習支援装置は、前記例文における前記対象単語のみを再生する場合に、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分と、前記対象単語の発音記号に従った音声データとのどちらを再生するかの選択を受け付けることを特徴とする学習支援システム。
【請求項14】
コンピュータが、
音声出力可能な対象単語と前記対象単語を含む例文を示す情報とを関連付けた登録情報に基づいて、前記対象単語を含む例文の音声データを取得し、前記例文の音声データの再生に関する再生情報を取得した後、前記例文における前記対象単語の再生が選択された場合に、取得した前記再生情報に基づいて、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分を再生するよう制御する
処理を実行
し、更に前記例文における前記対象単語のみを再生する場合に、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分と、前記対象単語の発音記号に従った音声データとのどちらを再生するかの選択を受け付ける処理を実行することを特徴とする学習支援方法。
【請求項15】
コンピュータに、
音声出力可能な対象単語と前記対象単語を含む例文を示す情報とを関連付けた登録情報に基づいて、前記対象単語を含む例文の音声データを取得し、前記例文の音声データの再生に関する再生情報を取得した後、前記例文における前記対象単語の再生が選択された場合に、取得した前記再生情報に基づいて、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分を再生するよう制御
させ、更に前記例文における前記対象単語のみを再生する場合に、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分と、前記対象単語の発音記号に従った音声データとのどちらを再生するかの選択を受け付ける処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、学習支援装置、学習支援システム、学習支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子辞書等の学習支援装置には、装置から出力される音声を聞き取って発音の練習をすることが可能なものがある。特許文献1には、表示されたテキストの部分をユーザが指定すると、当該テキストの内容に関する音声データを指定した位置から再生する電子辞書が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した電子辞書を利用して発音の練習をする場合、利用者は、ある単語を含む例文における当該単語の発音を練習することを望むことがある。しかしながら、特許文献1に記載されたような方法では、例文中の発音練習の対象にする単語を利用者自身が選択するため、例文中のどの位置にあるかが分かりにくいことがある。
【0005】
以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、学習支援装置を利用した発音練習を効果的に行うことが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る学習支援装置は、音声出力可能な対象単語と前記対象単語を含む例文を示す情報とを関連付けた登録情報に基づいて、前記対象単語を含む例文の音声データを取得し、前記例文の音声データの再生に関する再生情報を取得した後、前記例文における前記対象単語の再生が選択された場合に、取得した前記再生情報に基づいて、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分を再生するよう制御する制御部を備え、更に前記制御部は、前記例文における前記対象単語のみを再生する場合に、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分と、前記対象単語の発音記号に従った音声データとのどちらを再生するかの選択を受け付けることを特徴とする学習支援装置である。
【0007】
本発明の一態様に係る学習支援システムは、例文の音声データが格納された外部装置と、音声出力可能な対象単語と前記対象単語を含む例文を示す情報とを関連付けた登録情報に基づいて、前記対象単語を含む前記例文の音声データを前記外部装置から取得し、前記例文の音声データの再生に関する再生情報を取得した後、前記例文における前記対象単語の再生が選択された場合に、取得した前記再生情報に基づいて、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分を再生するよう制御する学習支援装置とを備え、更に前記学習支援装置は、前記例文における前記対象単語のみを再生する場合に、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分と、前記対象単語の発音記号に従った音声データとのどちらを再生するかの選択を受け付けることを特徴とする学習支援システムである。
【0008】
本発明の一態様に係る学習支援方法は、コンピュータが、音声出力可能な対象単語と前記対象単語を含む例文を示す情報とを関連付けた登録情報に基づいて、前記対象単語を含む例文の音声データを取得し、前記例文の音声データの再生に関する再生情報を取得した後、前記例文における前記対象単語の再生が選択された場合に、取得した前記再生情報に基づいて、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分を再生するよう制御する処理を実行し、更に前記例文における前記対象単語のみを再生する場合に、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分と、前記対象単語の発音記号に従った音声データとのどちらを再生するかの選択を受け付ける処理を実行することを特徴とする学習支援方法である。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、音声出力可能な対象単語と前記対象単語を含む例文を示す情報とを関連付けた登録情報に基づいて、前記対象単語を含む例文の音声データを取得し、前記例文の音声データの再生に関する再生情報を取得した後、前記例文における前記対象単語の再生が選択された場合に、取得した前記再生情報に基づいて、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分を再生するよう制御させ、更に前記例文における前記対象単語のみを再生する場合に、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分と、前記対象単語の発音記号に従った音声データとのどちらを再生するかの選択を受け付ける処理を実行させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
上記の態様によれば、学習支援装置を利用した発音練習を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る電子辞書の外観を例示する斜視図である。
【
図2】一実施形態に係る電子辞書の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】学習用コンテンツに含まれるデータの一例を説明する図である。
【
図4】発音練習に関する登録情報の一例を説明する図である。
【
図6】対象単語及び例文の登録処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図7】例文を利用した発音練習処理の一例を説明するフローチャートである。
【
図8】電子辞書の画面遷移の一例を説明する図である。
【
図9】音声の再生方法の別の例を説明する図である。
【
図11】例文全文を再生する処理における画面遷移の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明では、発音練習をすることが可能な学習支援装置の一例として電子辞書を挙げる。また、以下の説明では、電子辞書における周知の機能、動作、及びハードウェア構成等についての詳細な説明を省略する。
【0013】
図1は、一実施形態に係る電子辞書の外観を例示する斜視図である。
【0014】
図1に例示した電子辞書1は、複数のキー4が配置された第1の筐体2と、タッチパネルディスプレイ5が配置された第2の筐体3とを含む。第1の筐体2と第2の筐体3とは、第1の筐体2における複数のキー4が配置された面と、第2の筐体3におけるタッチパネルディスプレイ5が配置された面との角度を変更可能な態様で、回転可能に係合している。
【0015】
第1の筐体2に配置された複数のキー4は、電源キー、カーソルキー、文字入力キー、決定キー、及びショートカットキーを含む。電源キーは、電子辞書1の電源のオン・オフを行うキーである。カーソルキーは、タッチパネルディスプレイ5に表示されたカーソルや選択された項目を表示画面内で上下左右に移動させるキーである。文字入力キーは、タッチパネルディスプレイ5に表示された文字入力欄に文字を入力することに利用するキーである。決定キーは、電子辞書1に対して行われた選択や入力等の操作を確定させるキーである。ショートカットキーは、電子辞書1で実行可能な複数のコンテンツのうちの所定のコンテンツを実行させるキーである。複数のキー4は、上述したキーとは別の機能が割り当てられたキーを含んでもよい。また、文字入力キー等の幾つかのキーは、複数の機能が割り当てられ、別のキー(例えば、シフトキーやファンクションキー)と組み合わせることにより複数の機能のうちの1つの機能を選択可能であってもよい。
【0016】
第2の筐体3に配置されたタッチパネルディスプレイ5は、液晶ディスプレイ等の表示装置の表示面上にデジタイザ(位置検出器)を重ねた入出力装置である。電子辞書1におけるタッチパネルディスプレイ5は、例えば、表示装置の表示面と隣接した選択領域を有し、表示装置の表示面上及び選択領域上に渡ってデジタイザが配置されたものであってもよい。タッチパネルディスプレイ5のデジタイザは、電子辞書1の入力部の一例である。以下の説明では、タッチパネルディスプレイ5をタッチパネル5という。
【0017】
また、
図1に例示した電子辞書1では、第1の筐体2にスピーカ6、イヤフォン端子7、及びマイク8が設けられている。
【0018】
図1に例示した電子辞書1では、例えば、複数のキー4のうちの所定のキー、又はタッチパネル5を利用して、複数のコンテンツのうちの所望のコンテンツを選択し、実行することができる。複数のコンテンツには、例えば、日本語の辞書(国語辞典)、英和辞典、及び和英辞典等の辞書のコンテンツが含まれる。また、複数のコンテンツには、例えば、TOEIC(登録商標)や英検(登録商標)等の語学検定の問題集のコンテンツが含まれてもよい。更に、複数のコンテンツには、日本語及び英語以外の言語(例えば、ドイツ語、フランス語、中国語等)のコンテンツが含まれてもよい。
【0019】
この種の電子辞書1は、例えば、辞書のコンテンツや問題集のコンテンツ等に含まれる音声データを再生し、スピーカ6、又はイヤフォン端子7に接続されたイヤフォン(図示せず)から音声を出力することができる。また、
図1に例示した電子辞書1では、例えば、電子辞書1の利用者が発した音声等をマイク8により収音することができる。このため、
図1に例示した電子辞書1の利用者は、電子辞書1を利用して、例えば、英語等の発音練習をすることができる。
【0020】
図2は、一実施形態に係る電子辞書の機能構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に例示したように、電子辞書1は、制御部100、記憶部110、キー入力部120、位置検出部131、表示部132、音声出力部140、及び収音部150を含む。
【0022】
キー入力部120は、
図1を参照して説明した複数のキー4と対応し、複数のキー4を利用した入力操作を受け付ける。位置検出部131及び表示部132は、それぞれ、
図1を参照して説明したタッチパネル5のデジタイザ(位置検出器)及び表示装置と対応し、表示部132による各種画面の表示と、電子辞書1における入力部の1つとして機能する位置検出部131によるタッチ位置の検出を行う。音声出力部140は、
図1を参照して説明したスピーカ6及びイヤフォン端子7と対応し、スピーカ6、又はイヤフォン端子7に接続されたイヤフォンから音声を出力する。収音部150は、
図1を参照して説明したマイク8と対応し、電子辞書1の周囲の音を電気信号に変換する。
【0023】
制御部100は、電子辞書1全体の動作を制御する。制御部100は、例えば、OS(Operating System)のプログラムを含む各種プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサと対応する。プロセッサが実行するプログラムは、後述する、対象単語(例えば、英単語)を含む例文と関連付けられた音声データの再生開始位置を制御する処理を含む、発音練習をするプログラムを含む。
【0024】
本実施形態の電子辞書1における制御部100は、検索部101、表示処理部102、音声再生処理部103、及び再生情報取得部104を含む。
【0025】
検索部101は、キー入力部120により受け付けた入力操作や、位置検出部131により検出した位置等に基づいて、記憶部110内を検索し、該当するデータを抽出する。検索部101は、例えば、辞書のコンテンツの実行中に入力された語句をキーワードとして記憶部110内を検索し、その語句の意味を示すデータを抽出する。また、検索部101は、例えば、利用者により入力又は選択された単語をキーワードとして記憶部110内を検索し、その単語を含む例文のデータを抽出する。
【0026】
表示処理部102は、表示部132に画面データを表示する処理を行う。
【0027】
音声再生処理部103は、音声データを再生して音声出力部140に出力させる処理を行う。音声再生処理部103は、例えば、表示部132に表示された文字情報(テキストデータ)と関連付けられた音声データを再生して音声出力部140に出力させる。音声データは、例えば、対象単語(例えば、英単語)の音声を収録した音声データと、対象単語を含む例文の音声を収録した音声データとを含む。
【0028】
再生情報取得部104は、音声再生処理部103による音声データの再生の制御に利用する再生情報を記憶部110から取得する。再生情報は、例えば、対象単語(例えば、英単語)を含む例文の音声を収録した音声データにおける、対象単語の部分のみを再生する場合の再生開始位置を示す情報を含む。
【0029】
記憶部110には、制御部100としてのプロセッサが実行する各種プログラム、辞書のコンテンツ及び問題集のコンテンツ等のコンテンツ、並びに電子辞書1の使用履歴等が格納される。記憶部110は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。
図2に例示した記憶部110は、第1の記憶領域111、第2の記憶領域112、及び第3の記憶領域113を含む、複数の記憶領域を有する。
図2に例示した記憶部110では、第1の記憶領域111には辞書Aのコンテンツに関するデータが格納され、第2の記憶領域112には辞書Bのコンテンツに関するデータが格納される。また、
図2に例示した記憶部110では、第3の記憶領域113に、発音練習を含む学習用コンテンツに関するデータが格納される。
【0030】
図3は、学習用コンテンツに含まれるデータの一例を説明する図である。
図3には、第3の記憶領域113に格納される、発音練習を含む学習用コンテンツに関するデータの一例を示している。以下の説明では、英単語の発音練習を例に挙げる。
【0031】
学習用コンテンツに関するデータは、例えば、画面データ20と、発音練習に関する登録情報21とを含む。画面データ20は、例えば、学習用コンテンツのメニュー画面(トップ画面)のデータ、発音練習する英単語を選択する画面のレイアウトデータ、及び発音練習する英単語が含まれる例文を表示する画面のレイアウトデータを含む。レイアウトデータは、例えば、選択可能な英単語、例文等のテキストデータを表示する領域、並びに選択に使用するボタン等の像及び表示位置等を示す情報を含む。登録情報21は、発音練習をするために利用者が選択した英単語と、その英単語を含む例文を示す情報と、例文の音声データの再生に関する再生情報とが登録される。再生情報は、例文の音声を収録した音声データにおける、英単語の部分のみを再生する場合の再生開始位置を示す情報を含む。言い換えると、再生情報は、例文の音声データを再生した音声全体のうちの、利用者が選択した英単語が再生される区間(再生区間)の位置を示す情報を含む。
【0032】
図4は、発音練習に関する登録情報の一例を説明する図である。
図5は、例文の幾つかの例を説明する図である。
【0033】
図4に例示した登録情報21における対象単語は、例えば、発音練習をするために利用者が選択した英単語である。対象単語は、電子辞書1を利用して行った発音練習(発音テスト)の結果に基づいて電子辞書1が登録した英単語であってもよい。また、対象単語は、1つの語であってもよいし、2つ以上の語(単語)が結合された複合語(例えば、「human resources」や「bank account」等)であってもよい。
【0034】
登録情報21のコンテンツIDは、対象単語(英単語)を含む例文が登録(収録)されているコンテンツを識別する情報である。
図4には、コンテンツIDの例として「辞書A」、「辞書B」、及び「辞書C」を示しているが、例文が登録されているコンテンツは、辞書に限らず、辞書とは別のコンテンツ(例えば、英語の問題集のコンテンツ、英会話のコンテンツ等)であってもよい。また、コンテンツIDは、各コンテンツに付与された固有の識別番号等であってもよい。
【0035】
登録情報21の例文IDは、対象単語を含む例文を識別する情報である。例文IDは、例えば、電子辞書1に登録(収録)された全ての例文のそれぞれに対して固有の情報が付与されている。
図4の登録情報21及び
図5の例文表25に示した例では、例文ID「R000051」は、辞書Aのコンテンツに登録された例文「Will you show me how to cook sukiyaki?」に付与されている。また、例えば、例文ID「R009812」は、辞書Bのコンテンツに登録された例文「He showed his abilities as a leader.」に付与されている。例文IDは、例文の音声データを識別する情報であってもよいし、辞書等のコンテンツにおいて例文の音声データと関連付けられた例文のテキストを識別する情報であってもよい。
【0036】
登録情報21の再生位置は、上述した再生情報の一例であり、例文IDに基づいて特定される例文の音声データにおける、対象単語の部分のみを再生する場合の再生開始位置を示す情報を含む。再生開始位置は、音声データ全体を再生した音声全体における、音声全体の再生開始時から、対象単語の再生が開始されるまでの時間(ms:ミリ秒)を示す情報を含む。再生位置は、
図4及び
図5に例示したように、音声全体の再生開始時から対象単語の再生が開始されるまでの時間(ms:ミリ秒)と、対象単語の再生が終了するまでの時間(ms)とを含む情報であってもよい。例えば、例文ID「R000051」が付与された例文「Will you show me how to cook sukiyaki?」における単語「show」は、
図4及び
図5に示したように、例文の音声データの全体を再生した音声における再生開始時(始端時刻0)から850(ms)が経過したときに再生が開始され、850+T1(ms)が経過したときに再生が終了する。このような例文中の対象単語の再生位置は、例えば、文章内の母音を識別し、音声データの再生音声における母音毎の発声区間の時間情報に基づいて、導出することができる。
【0037】
登録情報21により対象単語と関連付けられる例文は、1つの対象単語に限らず、複数の対象単語と関連付けることができてもよい。例えば、
図5に示した、例文ID「R009812」が付与された例文「He showed his abilities as a leader.」は、英単語「show」の例文であるとともに、英単語「ability」の例文であってもよい。
【0038】
登録情報21は、
図4に示した項目の情報に限らず、他の情報(例えば、対象単語の音声データを識別する情報等)を含んでもよい。また、登録情報21は、
図4に例示したようなテーブル形式の情報に限らず、他の形式の情報であってもよい。
【0039】
学習用コンテンツの登録情報21に対象単語と、対象単語を含む例文に関する情報とを登録する処理は、例えば、利用者が電子辞書1に学習用コンテンツを実行させて所定の操作を行うことにより電子辞書1上で実行される。
【0040】
図6は、対象単語及び例文の登録処理の一例を説明するフローチャートである。
【0041】
対象単語及び例文の登録処理を開始すると、電子辞書1は、登録する対象単語を特定し(ステップS1)、対象単語を含む例文を検索する(ステップS2)。ステップS1及びS2は、例えば、制御部100の検索部101が行う。検索部101は、利用者が入力又は選択した対象単語を検索語(見出し語)として、記憶部110に格納された辞書等のコンテンツを検索し、対象単語を含み、かつ音声出力可能な例文が登録(収録)されたコンテンツのコンテンツIDと、その例文の例文IDとを抽出する。ステップS1は、対象単語を特定するだけでなく、対象単語を含む例文の抽出条件(例えば、検索するコンテンツ、抽出する例文の数等)を指定する処理を含んでもよい。
【0042】
対象単語を含む例文を検索して抽出した後、電子辞書1は、抽出した例文毎に、対象単語の再生情報を取得する(ステップS3)。ステップS3の処理は、制御部100の再生情報取得部104が行う。再生情報取得部104は、例えば、
図5に例示したような、例文の音声データを再生した音声全体における対象単語の音声が再生される区間を示す時間情報(再生位置)を、再生情報として取得する。対象単語の音声が再生される区間を示す時間情報は、例えば、例文毎に予め導出して記憶部110に記憶させた対象単語となり得る単語の再生情報のリストを検索して抽出する。対象単語の音声が再生される区間の時間情報は、例えば、ステップS3において、例文内の母音を識別し、音声データの再生音声における母音毎の発声区間の時間情報に基づいて算出(導出)してもよい。
【0043】
次に、電子辞書1は、抽出した例文が含まれるコンテンツのID、例文ID、及び対象単語の再生情報を対象単語と関連付けて、学習用コンテンツの登録情報21に登録する(ステップS4)。ステップS4は、例えば、制御部100の再生情報取得部104、又は
図2には示していない登録処理部が行う。
【0044】
ステップS4の登録が終了すると、電子辞書1は、対象単語及び例文の登録処理を終了する。なお、対象単語及び例文の登録処理は、ステップS2により抽出された例文のなかから登録情報21により対象単語と関連付ける例文を選択し、選択した例文のみをステップS3及びS4の処理の対象にしてもよい。また、上述した対象単語及び例文の登録処理は、例えば、利用者が電子辞書1を利用して行った英単語の発音練習(発音テスト)において、模範となる発音との一致度が閾値以下である英単語があった場合に電子辞書1上で実行されてもよい。
【0045】
次に、
図7を参照して、登録情報21により対象単語と関連付けられた例文を利用して利用者が発音練習をするときに、電子辞書1が行う処理の一例を説明する。
図7は、例文を利用した発音練習処理の一例を説明するフローチャートである。電子辞書1は、例えば、表示部132に表示された学習用コンテンツのメニュー画面から発音練習を選択する操作が行われた場合に、
図7に例示した発音練習処理を開始する。
【0046】
発音練習処理を開始すると、電子辞書1は、まず、単語選択画面を表示し(ステップS11)、単語の選択が確定したか否かを判定する(ステップS12)。ステップS11は、制御部100の表示処理部102が行い、ステップS12は、制御部100の、
図2には示していない判定部が行う。単語選択画面は、登録情報21に登録された対象単語を含む。制御部100の判定部は、キー入力部120により受け付けた入力操作、又はタッチパネル5の位置検出部131の検出結果に基づいて、単語選択画面に含まれる対象単語を選択して確定する操作が行われたか否かを判定する。対象単語を選択して確定する操作は、対象単語を選択する操作と、その選択を確定する操作とが異なる操作であってもよいし、対象単語を選択する操作がその選択を確定する操作を兼ねている操作であってもよい。単語の選択が確定していない場合(ステップS12;NO)、制御部100は、ステップS12の判定を繰り返す。
【0047】
単語の選択が確定した場合(ステップS12;YES)、電子辞書1は、例文リスト画面を表示し(ステップS13)、例文の選択が確定したか否かを判定する(ステップS14)。ステップS13は、制御部100の表示処理部102が行い、ステップS14は、制御部100の、
図2には示していない判定部が行う。例文リスト画面は、例えば、登録情報21において選択された対象単語と関連付けられた例文IDの例文テキストを含む。制御部100の判定部は、キー入力部120により受け付けた入力操作、又はタッチパネル5の位置検出部131の検出結果に基づいて、例文リスト画面に含まれる例文テキストを選択して確定する操作が行われたか否かを判定する。例文を選択して確定する操作は、例文を選択する操作と、その選択を確定する操作とが異なる操作であってもよいし、例文を選択する操作がその選択を確定する操作を兼ねている操作であってもよい。例文の選択が確定していない場合(ステップS14;NO)、制御部100は、ステップS14の判定を繰り返す。
【0048】
例文の選択が確定した場合(ステップS14;YES)、電子辞書1は、再生選択画面を表示し(ステップS15)、再生方法の選択が確定したか否かを判定する(ステップS16)。ステップS15は、制御部100の表示処理部102が行い、ステップS16は、制御部100の、
図2には示していない判定部が行う。再生選択画面は、例えば、選択された例文のうちの対象単語の部分のみを再生する第1の再生ボタンと、例文全体を再生する第2の再生ボタンを含む。再生選択画面は、例えば、対象単語や例文の再生回数を選択することが可能な再生回数設定領域を含んでもよい。制御部100の判定部は、キー入力部120により受け付けた入力操作、又はタッチパネル5の位置検出部131の検出結果に基づいて、再生選択画面に含まれる第1の再生ボタン又は第2の再生ボタンを選択して確定する操作(すなわち再生方法を選択して確定する操作)が行われたか否かを判定する。再生ボタンを選択して確定する操作は、再生ボタンを選択する操作と、その選択を確定する操作とが異なる操作であってもよいし、再生を選択する操作がその選択を確定する操作を兼ねている操作であってもよい。再生方法の選択が確定していない場合(ステップS16;NO)、制御部100は、ステップS16の判定を繰り返す。
【0049】
再生方法の選択が確定した場合(ステップS16;YES)、電子辞書1は、確定した再生方法が対象単語のみを再生する方法と、例文全文を再生する方法とのどちらであるかを判定する(ステップS17)。
【0050】
確定した再生方法が全文を再生する方法である場合(ステップS17;全文)、電子辞書1は、選択した例文の音声データを取得し(ステップS18)、取得した音声データ全体を再生する(ステップS19)。ステップS18及びS19は、制御部100の音声再生処理部103が行う。ステップS18では、音声再生処理部103は、登録情報21の選択された例文の例文IDと、その例文が収録されたコンテンツのコンテンツIDとに基づいて、記憶部110から選択された例文の音声データを読み出して取得する。ステップS19では、音声再生処理部103は、取得した音声データの全体を再生して音声出力部140(例えば、スピーカ6、又はイヤフォン端子7に接続されたイヤフォン)に再生音声を出力させる。音声データ全体の再生が終了すると、電子辞書1は、発音練習処理を終了する。
【0051】
一方、確定した再生方法が対象単語のみを再生する方法である場合(ステップS17;対象単語のみ)、電子辞書1は、選択した例文の音声データと再生情報とを取得し(ステップS20)、取得した音声データのうちの再生情報で特定される区間を再生する(ステップS21)。ステップS20及びS21は、制御部100の音声再生処理部103が行う。ステップS20では、音声再生処理部103は、登録情報21の選択された例文の例文IDと、その例文が収録されたコンテンツのコンテンツIDとに基づいて、記憶部110から選択された例文の音声データを読み出して取得する。また、ステップS20では、音声再生処理部103は、再生情報として、登録情報21において選択された例文の例文IDと関連付けられている、音声データにおける対象単語の部分の再生位置を示す情報を読み出して取得する。再生情報は、例えば、
図4及び
図5を参照して説明したように、音声データを再生した音声全体のうちの、対象単語の再生区間を示す時間情報である。ステップS21では、音声再生処理部103は、取得した音声データのうちの、再生情報により特定される対象単語の再生区間のみを再生する。ステップS21では、音声再生処理部103は、例文中の対象単語の部分を複数回再生してもよい。例文中の対象単語の部分の再生が終了すると、電子辞書1は、発音練習処理を終了する。
【0052】
図8は、電子辞書の画面遷移の一例を説明する図である。
図8には、利用者が例文を利用した発音練習を行うときに電子辞書1の表示部132に表示される画面の遷移を示している。
【0053】
例文を利用した発音練習を行うために、利用者が学習用コンテンツを選択して実行する操作を行うと、電子辞書1の表示部132には、例えば、
図8に示したようなメニュー画面30が表示される。メニュー画面30は、例えば、発音練習ドリルを含む複数の選択肢を含む。メニュー画面30に含まれる選択肢は、
図8に例示した4つの選択肢の組み合わせに限らず、適宜変更可能である。メニュー画面30に表示された選択肢の中から発音練習ドリル30aを選択して確定する操作が行われると、
図7に例示したような発音練習処理が開始され、電子辞書1の表示部132に単語選択画面31が表示される(ステップS11)。単語選択画面31は、登録情報21に登録された対象単語を選択可能な選択ボタンを含む。
図8に例示した単語選択画面31には、単語「show」を選択する第1の選択ボタン31aと、単語「pronounce」を選択する第2の選択ボタン31bとを含む、6つの選択ボタンが含まれる。単語選択画面31に含まれる選択ボタンの数は、適宜変更可能である。また、単語選択画面31は、例えば、上下左右のいずれかにスクロールする操作により、選択可能な単語が切り替わってもよい。
【0054】
単語選択画面31に含まれる選択ボタン第1の選択ボタン31aを選択して確定する操作が行われると、電子辞書1の表示部132に例文リスト画面32が表示される(ステップS13)。例文リスト画面32は、登録情報21において単語「show」と関連付けられたコンテンツIDにより特定されるコンテンツを示す情報と、例文IDにより特定される例文のテキストを含む。
【0055】
例文リスト画面32に含まれる3つの例文のうちの一番上の例文32aを選択して確定する操作が行われると、電子辞書1の表示部132に再生選択画面33が表示される(ステップS15)。例文を選択して確定する操作は、例文リスト画面32内の例文を選択して確定する操作であってもよいし、例えば、例文と対応するチェックボックス32bを利用して行う操作であってもよい。
【0056】
再生選択画面33は、発音練習の対象に選択された単語(対象単語)のテキスト33a、発音練習に利用する例文のテキスト33b、対象単語のみを再生する第1の再生ボタン33c、及び例文全体を再生する第2の再生ボタン33dを含む。また、再生選択画面33は、対象単語のみを再生する場合の再生回数を設定する再生回数設定領域33eを含む。更に、再生選択画面33は、発音練習に利用する例文を、例文リスト画面32において現在選択されている例文の1つ前(画面上では1つ上)の例文に切り替える第1の例文切替ボタン33fと、1つ後(画面上では1つ下)の例文に切り替える第2の例文切替ボタン33gを含む。
【0057】
再生選択画面33の第1の再生ボタン33cを選択して確定する操作が行われると(例えば、表示部132の表示画面上で第1の再生ボタン33cを押下すると)、発音練習に利用する例文のテキスト33bと対応する音声データのうちの、単語「show」の部分のみが再生され(ステップS20、S21)、音声出力部140(例えば、スピーカ6、又はイヤフォン端子7に接続されたイヤフォン)から出力される。
【0058】
このように、本実施形態の電子辞書1では、対象単語と該対象単語を含む例文を示す情報とを関連付けた登録情報21に基づいて、選択された対象単語を含む例文の音声データを取得し、その例文の音声データの再生を制御する再生情報を取得した後、取得した再生情報に基づいて例文の音声データのうちの対象単語の部分のみを再生することができる。このため、利用者は、例文のテキスト33bから単語「show」を選択する操作を行うことなく、例文中の所望の単語「show」の音声のみを聞き取り、発音練習を集中的に行うことができる。したがって、本実施形態の電子辞書1を利用することにより、例文に含まれる所望の単語(対象単語)の発音練習を効果的に行うことができる。
【0059】
また、再生選択画面33内の構成は、
図8に例示した構成に限らず、適宜変更可能である。例えば、第1の再生ボタン33cを押下して対象単語「show」のみを再生する場合、例文のテキスト33bのうちの対象単語「show」のみを強調した表示にすることで、例文中の対象単語の位置をより明確に利用者に提示することができる。強調した表示は、例えば、対象単語を他の単語よりも太字で表示すること、対象単語の色を他の単語の色とは異なる色にすることを含む。
【0060】
図9は、音声の再生方法の別の例を説明する図である。
図9には、上述した発音練習処理により表示部132に表示される再生選択画面の別の例を示している。
【0061】
図9に例示した再生選択画面35は、対象単語のテキスト35a、発音練習に利用する例文のテキスト35b、対象単語のみを再生する第1の再生ボタン35cを含む。また、再生選択画面35は、再生する音声データを選択可能な第1の選択項目35h及び第2の選択項目35iを含む。第1の選択項目35hを選択すると、電子辞書1は、登録情報21を利用して例文の音声データにおける対象単語の部分を再生し、対象単語の音声を出力する。第2の選択項目35iを選択すると、電子辞書1は、例えば、所定の辞書のコンテンツにおいて対象単語と関連付けられた、対象単語を発音記号通りに発音した音声の音声データを再生し、対象単語の音声を出力する。所定の辞書のコンテンツは、例えば、発音練習に利用する例文が収録された辞書のコンテンツとする。第2の選択項目35iが選択された場合、電子辞書1は、例文が収録された辞書のコンテンツに含まれる単語の音声データのなかから対象単語の音声データを抽出し、該音声データを再生する。
【0062】
図9に例示した再生選択画面35における対象単語は「word」である。また、発音練習に利用する例文は「How do you pronounce this word?」という疑問文であり、対象単語は文の最後にある。疑問詞「How」を使った疑問文は、通常、文末のイントネーションを下げ調子にする。また、具体例は省略するが、疑問文には、文末のイントネーションを上げ調子にするものもある。また、具体例は省略するが、感嘆文の場合、通常、文末のイントネーションを下げ調子にする。更に、具体例は省略するが、英語の会話文では、対象単語の語頭を前の単語とつなげて発音することや、対象単語の語尾を次の単語とつなげて発音することがある。すなわち、例文の音声データにおける対象単語の部分の発音は、辞書で定義されている対象単語の発音記号通りの発音とは異なる場合がある。このため、
図9に例示したような再生選択画面35を利用して、対象単語の発音記号通りの辞書的に正しい発音と、実際の会話文における発音とを比較することにより、対象単語の発音練習をより効果的に行うことできる。
【0063】
また、本実施形態の電子辞書1は、例えば、例文全体を再生するときに、音声出力部140から出力されている箇所が例文中のどの部分であるかをわかりやすくするために、例文のテキストをテロップ表示にしてもよい。
【0064】
【0065】
例文のテキストをテロップ表示にする場合、例えば、
図10に例示したようなテロップ情報114を電子辞書1の記憶部110(
図2参照)の第4の記憶領域に記憶させる。テロップ情報114は、例えば、例文の音声データ全体を再生した音声全体における再生位置と例文中の単語との関係を示す再生位置情報が、その例文の例文IDと関連付けられている。例えば、例文ID「R000051」は、例文「Will you show me how to cook sukiyaki?」に付与されている(
図5を参照)。このため、テロップ情報114において例文ID「R000051」と関連付けられる再生位置情報は、例文の音声データ全体を再生した音声全体における例文内の各単語の再生が開始される再生開始時間を示す情報を含む。例文の音声データの音声全体における例文内の各単語の再生が開始される再生開始時間は、音響処理の分野における周知の方法により導出することができる。各単語の再生開始時間は、例えば、文章内の母音を識別し、音声データの再生音声における母音毎の発声区間の時間情報に基づいて、導出することができる。
【0066】
このようなテロップ情報114を利用することにより、例文「Will you show me how to cook sukiyaki?」の音声データを再生して出力するときに、表示部132に表示された例文のテキストをテロップ表示にし、どの部分が出力されているかを利用者に報知することができる。
【0067】
図11は、例文全文を再生する処理における画面遷移の一例を説明する図である。
図11には、対象単語「show」を含む例文「Will you show me how to cook sukiyaki?」を全文再生するときに電子辞書1の表示部132に表示される画面37の遷移の一例を示している。
【0068】
画面37は、再生選択画面33,35と同様、対象単語のテキスト37aと、発音練習に利用する例文のテキスト37bとを含む。また、画面37は、例文全体を再生する第2の再生ボタン37dを含む。電子辞書1の利用者が第2の再生ボタン37dを選択して確定する操作(例えば、表示部132に表示された第2の再生ボタン37dを押下する操作)を行うと、最上位の画面37のように、第2の再生ボタン37dの表示が選択されたことを示す表示に切り替わり、音声データ全体の再生が開始される。
【0069】
このとき、電子辞書1は、音声データ全体の再生と同期して、記憶部110の第4の記憶領域に記憶させたテロップ情報114(
図10参照)に基づいて、表示部132に表示された例文のテキスト37bのテロップ表示を行う。電子辞書1は、音声データ全体を再生した音声全体における先頭部分が音声出力部140から出力されるタイミングで、画面37の例文のテキスト37bのうちの、最初の単語「Will」を強調した表示に切り替える。そして、音声データ全体の再生が開始されてから420msが経過したタイミングで、2番目の単語「you」を強調した表示に切り替える。更に、音声データ全体の再生が開始されてから850msが経過したタイミングで、3番目の単語「show」を強調した表示に切り替える。以降、テロップ情報114に登録された各単語の再生開始時間が到来する毎に、再生が開始された単語を強調した表示に切り替えていく。
【0070】
このように、例文全文を再生する場合に、音声データ全体を再生した音声全体における各単語の再生開始時刻に基づいて、例文のテキストにおける音声が再生(出力)されている部分を示すテロップ表示をすることにより、利用者は、例文中における対象単語の音声が再生(出力)されるタイミングを把握することができる。このため、例えば、表示部132にテロップ表示される例文のテキストを見ながら、例文中の単語がどのように発音されているかを確認しながら発音練習をすることができ、より一層効果的に発音練習をすることができる。また、例えば、ニュースや映画等から抽出した例文の音声等の、ネイティブスピーカーが通常の速度又は早口で発話した音声を再生する場合にも、各単語の音声を聞き逃すことを防げる。なお、テロップ情報114を利用したテロップ表示は、単語毎に限らず、音節毎に再生されている位置を示す表示であってもよい。
【0071】
上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。印刷装置、制御方法、及びプログラムは、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。
【0072】
例えば、電子辞書1は、例文の音声データを再生して出力する発音練習処理での音声データの再生回数に応じて、再生する音声の音量や発音のスピードを自動で変更してもよい。また、例えば、電子辞書1は、例文の音声データを再生して出力する発音練習処理において、収音部150(例えば、マイク8)により収音した利用者の発音を評価し、その評価結果に基づいて、出力する音声の音量や発音のスピードを自動で変更してもよい。例えば、対象単語を複数回再生する場合、再生する毎にスピードを増すことにより、最初は低速で再生して発音を正しく聞き取ることに集中し、徐々にスピードを増して実際の会話での速さに近づけるような発音練習をすることができる。また、対象単語を再生する毎に音量を増すことにより、例えば、再生音声の強弱のリズムにおける「弱」の部分を正しく聞き取って発音練習することができる。
【0073】
また、例文の音声データを利用した対象単語の発音練習は、上述した実施形態で例示した英語の発音練習に限らず、他の言語の発音練習(例えば、ドイツ語、フランス語、中国語等)であってもよい。
【0074】
また、発音練習に利用する登録情報21に対象単語と、対象単語を含む例文に関する情報とを登録する処理は、
図6に例示したフローチャートに沿った登録処理に限らず、適宜変更可能である。例えば、対象単語と例文に関する情報とを登録する処理は、対象単語と該対象単語を含む例文を示す情報とを登録情報21に登録する処理と、例文の音声データの再生音声における対象単語の再生位置を示す情報(再生情報)を取得して登録情報21に登録する処理とが、別個の処理であってもよい。電子辞書1の制御部100は、例えば、登録情報21に登録された対象単語と対象単語を含む例文との組み合わせが発音練習の対象に初めて選択されたときに、選択された例文のテキストデータと音声データとに基づいて、例文の音声データ全体を再生した音声全体における対象単語の再生位置を導出して取得してもよい。また、電子辞書1の制御部100は、例えば、登録情報21に登録された対象単語と対象単語を含む例文との組み合わせが発音練習の対象に初めて選択されたときに、例文IDと対象単語とに基づいて、
図10に例示したようなテロップ情報114を検索し、例文の音声データ全体を再生した音声全体における対象単語の再生位置を取得してもよい。
【0075】
また、電子辞書1の機能構成は、
図2に例示した機能構成に限らず、適宜変更可能である。例えば、
図2に例示した制御部100に含まれる検索部101、表示処理部102、音声再生処理部103、及び再生情報取得部104は、それぞれ、2つ以上の機能ブロックに分割されていてもよい。また、例えば、制御部100は、検索部101、表示処理部102、音声再生処理部103、及び再生情報取得部104のうちの1つ以上の機能ブロックが、1つの機能ブロックに統合されていてもよい。更に、電子辞書1は、制御部100及び記憶部110の一部として機能するFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)を含んでもよい。
【0076】
また、上述した実施形態で例示した電子辞書1は、例文の音声データを利用した対象単語の発音練習が可能な学習支援装置の一例に過ぎない。本発明の学習支援装置は、例えば、タブレット型コンピュータ、ノートブック型コンピュータ、及びデスクトップ型コンピュータ等の汎用コンピュータや、スマートフォン等の、
図7を参照して説明したような発音練習処理を含むプログラムを実行可能な情報処理装置であってもよい。本発明の学習支援装置として利用可能な情報処理装置は、インターネット等の通信ネットワークに接続可能であり、該通信ネットワークを介して、上述した辞書のコンテンツや学習用コンテンツが格納された外部装置にアクセスすることにより発音練習処理を行うことが可能なものであってもよい。発音練習に利用する登録情報21や音声データが情報処理装置の記憶部(例えば、
図2に例示した電子辞書1の記憶部110)に格納されている場合、外部装置にアクセスすることなく発音練習をすることができるため、通信ネットワークに接続できない環境下でも発音練習をすることができる。一方、登録情報21や音声データ(特に音声データ)が外部装置に格納されている場合、より多くの対象単語、例文を登録情報に登録することや、例文及び該例文の音声データを適宜更新することができる。すなわち、本発明には、対象単語を含む例文の音声データが格納された外部装置と、外部装置から例文の音声データを取得して再生する学習支援装置とを含む学習支援システムも含まれる。この学習支援システムにおける学習支援装置は、音声出力可能な対象単語とその対象単語を含む例文を示す情報とを関連付けた登録情報に基づいて、外部装置から対象単語を含む例文の音声データを取得し、その例文の音声データの再生に関する再生情報を取得した後、取得した再生情報に基づいて、例文の音声データの再生を制御する制御部を備える。再生情報は、例文の音声データが格納された外部装置又は別の外部装置に格納されていてもよいし、学習支援装置において導出してもよい。
【0077】
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
音声出力可能な対象単語と前記対象単語を含む例文を示す情報とを関連付けた登録情報に基づいて、前記対象単語を含む例文の音声データを取得し、前記例文の音声データの再生に関する再生情報を取得した後、取得した前記再生情報に基づいて、前記例文の音声データの再生を制御する制御部
を備えることを特徴とする学習支援装置。
[付記2]
付記1に記載の学習支援装置において、
前記制御部は、前記例文の音声データ全体を再生した音声全体における再生開始時から前記対象単語の再生開始時までの時間を示す情報を含む前記再生情報を取得する
ことを特徴とする学習支援装置。
[付記3]
付記1に記載の学習支援装置において、
前記制御部は、前記例文の音声データ全体を再生した音声全体における前記対象単語の再生区間の時間を示す情報を含む前記再生情報を取得する
ことを特徴とする学習支援装置。
[付記4]
付記1に記載の学習支援装置において、
前記制御部は、前記対象単語を含む例文のテキストデータ及び音声データに基づいて、前記音声データ全体を再生した音声全体における前記対象単語の再生位置を示す情報を含む前記再生情報を導出する
ことを特徴とする学習支援装置。
[付記5]
付記1~4のいずれか1つに記載の学習支援装置において、
前記制御部は、前記例文における前記対象単語のみの再生が選択された場合に、前記再生情報に基づいて、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分のみを再生する
ことを特徴とする学習支援装置。
[付記6]
付記5に記載の学習支援装置において、
前記制御部は、前記対象単語の部分を複数回再生する場合に、再生する毎に再生の音量を大きくする
ことを特徴とする学習支援装置。
[付記7]
付記5に記載の学習支援装置において、
前記制御部は、前記対象単語の部分を複数回再生する場合に、再生する毎に再生速度を増す
ことを特徴とする学習支援装置。
[付記8]
付記5に記載の学習支援装置において、
前記制御部は、前記例文における前記対象単語のみを再生する場合に、前記例文の音声データのうちの前記対象単語の部分と、前記対象単語の発音記号に従った音声データとのどちらを再生するかの選択を受け付ける
ことを特徴とする学習支援装置。
[付記9]
付記1~8のいずれか1つに記載の学習支援装置において、
前記例文のテキストを表示する表示部を更に備え、
前記制御部は、前記例文全体の再生が選択された場合に、前記例文の音声データの再生における再生位置の変化と同期して、前記例文のテキストにおける前記再生位置と対応する箇所を示す情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする学習支援装置。
[付記10]
付記9に記載の学習支援装置において、
前記制御部は、前記例文のテキストのうちの、前記音声データにおける再生された部分と対応する箇所を、前記音声データにおける再生されていない部分と対応する箇所とは異なる表示形式で前記表示部に表示させる
ことを特徴とする学習支援装置。
[付記11]
付記9又は10に記載の学習支援装置において、
前記制御部は、前記例文に含まれる母音と、前記例文の音声データの再生における前記母音が再生される時間とを関連付けたテロップ情報に基づいて、前記例文のテキストにおける前記再生位置と対応する箇所を示す情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする学習支援装置。
[付記12]
付記1に記載の学習支援装置において、
前記登録情報と前記例文の音声データとを記憶する記憶部を更に備え、
前記登録情報は、前記再生情報を含む
ことを特徴とする学習支援装置。
[付記13]
付記1に記載の学習支援装置において、
前記登録情報は、複数の対象単語のそれぞれに、前記対象単語を含む例文を示す情報が関連付けられており、
前記制御部は、前記複数の対象単語の中から選択された対象単語を含む例文の音声データの再生を制御する
ことを特徴とする学習支援装置。
[付記14]
付記1に記載の学習支援装置において、
前記対象単語は、複数の単語が結合された複合語を含む
ことを特徴とする学習支援装置。
[付記15]
例文の音声データが格納された外部装置と、
音声出力可能な対象単語と前記対象単語を含む例文を示す情報とを関連付けた登録情報に基づいて、前記対象単語を含む前記例文の音声データを前記外部装置から取得し、前記例文の音声データの再生に関する再生情報を取得した後、取得した前記再生情報に基づいて前記例文の音声データを再生する学習支援装置と
を備えることを特徴とする学習支援システム。
[付記16]
コンピュータが、
音声出力可能な対象単語と前記対象単語を含む例文を示す情報とを関連付けた登録情報に基づいて、前記対象単語を含む例文の音声データを取得し、前記例文の音声データの再生に関する再生情報を取得した後、取得した前記再生情報に基づいて、前記例文の音声データの再生を制御する
処理を実行することを特徴とする学習支援方法。
[付記17]
コンピュータに、
音声出力可能な対象単語と前記対象単語を含む例文を示す情報とを関連付けた登録情報に基づいて、前記対象単語を含む例文の音声データを取得し、前記例文の音声データの再生に関する再生情報を取得した後、取得した前記再生情報に基づいて、前記例文の音声データの再生を制御する
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0078】
1 電子辞書
2、3 筐体
4 キー
5 タッチパネルディスプレイ
6 スピーカ
7 イヤフォン端子
8 マイク
20 画面データ
21 登録情報
25 例文表
30 メニュー画面
30a 発音練習ドリル
31 単語選択画面
31a、31b 選択ボタン
32 例文リスト画面
32a 例文
32b チェックボックス
33、35 再生選択画面
33a、35a 対象単語のテキスト
33b、35b 例文のテキスト
33c、33d、35c 再生ボタン
33e 再生回数設定領域
33f、33g 例文切替ボタン
35h、35i 選択項目
37 画面
37a 対象単語のテキスト
37b 例文のテキスト
37d 再生ボタン
100 制御部
101 検索部
102 表示処理部
103 音声再生処理部
104 再生情報取得部
110 記憶部
111、112、113 記憶領域
114 テロップ情報
120 キー入力部
131 位置検出部
132 表示部
140 音声出力部
150 収音部