(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】接合方法及び接合構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20240827BHJP
F16B 3/00 20060101ALI20240827BHJP
B29C 65/56 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
E04B1/58 600F
E04B1/58 503Z
F16B3/00 C
B29C65/56
(21)【出願番号】P 2020134043
(22)【出願日】2020-08-06
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 貴史
(72)【発明者】
【氏名】辻 芳人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】下田 亮太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寛人
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-98300(JP,A)
【文献】金輪継(1/2)大工神業・分解も可能な最強の継手_【小林建工_017】,Youtube,2014年01月07日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00 - 1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、第2部材とを接合する接合方法であって、
前記第1部材は、第1方向に第1長さを有する第1嵌合部と、第1対向面とを有し、
前記第2部材は、前記第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部と、前記第1対向面と対向する第2対向面とを有し、
前記第1部材及び前記第2部材のうちの、前記第1部材のみを前記第1方向とは異なる第2方向に、又は前記第2部材のみを前記第2方向とは逆の方向にスライドさせることによって、前記第2方向の所定長さにわたって前記第1対向面と前記第2対向面とを対向させる第1スライドステップと、
前記第1スライドステップの後、
前記第1部材及び前記第2部材のうちの、前記第1部材のみを前記第1方向とは逆の方向に、又は前記第2部材のみを前記第1方向にスライドさせることによって、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とを嵌合させるとともに、前記第1対向面と前記第2対向面との間に前記第1方向に前記第1長さよりも長い第2長さの空洞部を形成する第2スライドステップと、
前記空洞部に栓部材を挿入する挿入ステップと
を有し、
前記第1部材は、当接部を有する非貫通穴を有しており、
前記第1スライドステップにおいて、前記第2部材の端部が前記第1部材の前記当接部に当接するまで、前記第1部材及び前記第2部材のうちの、前記第1部材のみを前記第2方向に、又は前記第2部材のみを前記第2方向とは逆の方向にスライドさせることを特徴とする接合方法。
【請求項2】
第1部材と、第2部材とを接合する接合方法であって、
前記第1部材は、第1方向に第1長さを有する第1嵌合部と、第1対向面とを有し、
前記第2部材は、前記第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部と、前記第1対向面と対向する第2対向面とを有し、
前記第1部材及び前記第2部材のうちの、前記第1部材のみを前記第1方向とは異なる第2方向に、又は前記第2部材のみを前記第2方向とは逆の方向にスライドさせることによって、前記第2方向の所定長さにわたって前記第1対向面と前記第2対向面とを対向させる第1スライドステップと、
前記第1スライドステップの後、前記第1部材及び前記第2部材のうちの、前記第1部材のみを前記第1方向とは逆の方向に、又は前記第2部材のみを前記第1方向にスライドさせることによって、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とを嵌合させるとともに、前記第1対向面と前記第2対向面との間に前記第1方向に前記第1長さよりも長い第2長さの空洞部を形成する第2スライドステップと、
前記空洞部に栓部材を挿入する挿入ステップと
を有し、
前記第1部材及び前記第2部材を3Dプリンタで構成することを特徴とする接合方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の接合方法であって、
前記第1スライドステップにおいて、前記第1対向面と前記第2対向面とを接触させながら、
前記第1部材及び前記第2部材のうちの、前記第1部材のみを前記第1方向とは異なる第2方向に、又は前記第2部材のみを前記第2方向とは逆の方向にスライドさせることを特徴とする接合方法。
【請求項4】
請求項2に記載の接合方法であって、
前記第1部材は、前記第1方向に突出した第1突出部と、第1受け部とを有しており、
前記第2部材は、前記第1方向に突出し前記第1受け部の内側に配置させる第2突出部と、前記第1突出部を内側に配置させる第2受け部とを有しており、
前記第2スライドステップにおいて、
前記第1部材及び前記第2部材のうちの、前記第1部材のみを前記第1方向とは逆の方向に、又は前記第2部材のみを前記第1方向にスライドさせることによって、前記第1突出部を前記第2受け部に配置させるとともに、前記第2突出部を前記第1受け部に配置させることを特徴とする接合方法。
【請求項5】
請求項4に記載の接合方法であって、
前記第1スライドステップの後、前記第1対向面と前記第2対向面とを接触させた状態のとき、前記第1突出部の第1先端部が前記第2受け部に配置されるとともに、前記第2突出部の第2先端部が前記第1受け部に配置されることを特徴とする接合方法。
【請求項6】
請求項1、4、又は5に記載の接合方法であって、
前記第1部材及び前記第2部材を3Dプリンタで構成することを特徴とする接合方法。
【請求項7】
第1部材と、第2部材と、栓部材とを備える接合構造であって、
前記第1部材は、第1方向に第1長さを有する第1嵌合部と、第1対向面とを有し、
前記第2部材は、前記第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部と、前記第1対向面と対向する第2対向面とを有し、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部は、前記第1方向から嵌合しており、
前記第1対向面と前記第2対向面は、前記第1方向とは異なる第2方向の所定長さにわたって対向しつつ、前記第1方向に前記第1長さよりも長い第2長さをあけて配置されており、
前記栓部材は、前記第1対向面と前記第2対向面との間の空洞部に
配置されており、
前記第1部材は、当接部を有する非貫通穴を有しており、
前記第2部材の端部が前記第1部材の前記当接部に当接することを特徴とする接合構造。
【請求項8】
第1部材と、第2部材と、栓部材とを備える接合構造であって、
前記第1部材は、第1方向に第1長さを有する第1嵌合部と、第1対向面とを有し、
前記第2部材は、前記第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部と、前記第1対向面と対向する第2対向面とを有し、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部は、前記第1方向から嵌合しており、
前記第1対向面と前記第2対向面は、前記第1方向とは異なる第2方向の所定長さにわたって対向しつつ、前記第1方向に前記第1長さよりも長い第2長さをあけて配置されており、
前記栓部材は、前記第1対向面と前記第2対向面との間の空洞部に配置されており、
前記第1部材は、前記第1方向に突出した第1突出部と、第1受け部とを有しており、
前記第2部材は、前記第1方向に突出し前記第1受け部の内側に配置させる第2突出部と、前記第1突出部を内側に配置させる第2受け部とを有し、
前記第1突出部及び前記第2突出部は、前記第1方向の先端側ほど幅が狭まるように構成されており、
前記第1受け部及び前記第2受け部は、前記第1方向の基端側ほど幅が狭まるように構成されていることを特徴とする接合構造。
【請求項9】
請求項8に記載の接合構造であって、
前記第1対向面と前記第2対向面とを接触させた状態のとき、前記第1突出部の第1先端部が前記第2受け部に配置されるとともに、前記第2突出部の第2先端部が前記第1受け部に配置されることを特徴とする接合構造。
【請求項10】
第1部材と、第2部材と、栓部材とを備える接合構造であって、
前記第1部材は、第1方向に第1長さを有する第1嵌合部と、第1対向面とを有し、
前記第2部材は、前記第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部と、前記第1対向面と対向する第2対向面とを有し、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部は、前記第1方向から嵌合しており、
前記第1対向面と前記第2対向面は、前記第1方向とは異なる第2方向の所定長さにわたって対向しつつ、前記第1方向に前記第1長さよりも長い第2長さをあけて配置されており、
前記栓部材は、前記第1対向面と前記第2対向面との間の空洞部に配置されており、
前記第1部材は、前記第1方向に突出した第1突出部と、第1受け部とを有しており、
前記第2部材は、前記第1方向に突出し前記第1受け部の内側に配置させる第2突出部と、前記第1突出部を内側に配置させる第2受け部とを有し、
前記第1突出部及び前記第2突出部が曲面を有しており、
前記第1受け部及び前記第2受け部が曲面を有しており、
前記第1突出部の前記曲面と前記第2受け部の前記曲面とが接触し、前記第2突出部の前記曲面と前記第1受け部の前記曲面とが接触した状態で、前記第1部材と前記第2部材とが接合されることを特徴とする接合構造。
【請求項11】
第1部材と、第2部材と、栓部材とを備える接合構造であって、
前記第1部材は、第1方向に第1長さを有する第1嵌合部と、第1対向面とを有し、
前記第2部材は、前記第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部と、前記第1対向面と対向する第2対向面とを有し、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部は、前記第1方向から嵌合しており、
前記第1対向面と前記第2対向面は、前記第1方向とは異なる第2方向の所定長さにわたって対向しつつ、前記第1方向に前記第1長さよりも長い第2長さをあけて配置されており、
前記栓部材は、前記第1対向面と前記第2対向面との間の空洞部に配置されており、
前記栓部材は、前記第1対向面と前記第2対向面に対向する側面に突起部を有することを特徴とする接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合方法及び接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの部材を接合することによって大型構造物を構成することがある。ボルトや溶接などの構造用接合部材で2つの部材を接合した場合、接合部の強度が問題となる。また、ボルトや溶接などの構造用接合部材で2つの部材を接合した場合、構造用接合部材が外部に突出するため、美観を損なうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-98300号公報
【文献】実開昭63-28715号公報
【文献】特開2015-118535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ボルトや溶接などの構造用接合部材を用いて2つの部材を接合する代わりに、一方の部材に凸状の嵌合部を形成し、他方の部材に凹状の嵌合部を形成し、嵌合部同士を嵌合させて2つの部材を接合することがある。但し、この場合、嵌合部を嵌合させる方向の力に対して、接合部の強度が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、嵌合部を嵌合させて2つの部材を接合する場合に、接合部の強度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための主たる本発明は、
第1部材と、第2部材とを接合する接合方法であって、
前記第1部材は、第1方向に第1長さを有する第1嵌合部と、第1対向面とを有し、
前記第2部材は、前記第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部と、前記第1対向面と対向する第2対向面とを有し、
前記第1部材及び前記第2部材のうちの、前記第1部材のみを前記第1方向とは異なる第2方向に、又は前記第2部材のみを前記第2方向とは逆の方向にスライドさせることによって、前記第2方向の所定長さにわたって前記第1対向面と前記第2対向面とを対向させる第1スライドステップと、
前記第1スライドステップの後、前記第1部材及び前記第2部材のうちの、前記第1部材のみを前記第1方向とは逆の方向に、又は前記第2部材のみを前記第1方向にスライドさせることによって、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とを嵌合させるとともに、前記第1対向面と前記第2対向面との間に前記第1方向に前記第1長さよりも長い第2長さの空洞部を形成する第2スライドステップと、
前記空洞部に栓部材を挿入する挿入ステップと
を有し、
前記第1部材は、当接部を有する非貫通穴を有しており、
前記第1スライドステップにおいて、前記第2部材の端部が前記第1部材の前記当接部に当接するまで、前記第1部材及び前記第2部材のうちの、前記第1部材のみを前記第2方向に、又は前記第2部材のみを前記第2方向とは逆の方向にスライドさせることを特徴とする接合方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、嵌合部を嵌合させて2つの部材を接合する場合に、接合部の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1Aは、第1実施形態の接合構造100の分解説明図である。
図1Bは、第1実施形態の接合構造100の接合状態の説明図である。
【
図2A】
図2Aは、第1実施形態の接合方法の第1スライドステップの説明図である。
【
図2B】
図2Bは、第1実施形態の接合方法の第2スライドステップの説明図である。
【
図2C】
図2Cは、第1実施形態の接合方法の挿入ステップの説明図である。
【
図3】
図3Aは、第2実施形態の接合構造100の分解説明図である。
図3Bは、第2実施形態の接合構造100の接合状態の説明図である。
【
図4A】
図4Aは、第2実施形態の接合方法の第1スライドステップの説明図である。
【
図4B】
図4Bは、第2実施形態の接合方法の第1スライドステップの直後の様子の説明図である。
【
図4C】
図4Cは、第2実施形態の接合方法の第2スライドステップの説明図である。
【
図4D】
図4Dは、第2実施形態の接合方法の挿入ステップの説明図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0010】
第1部材と、第2部材とを接合する接合方法であって、前記第1部材は、第1方向に第1長さを有する第1嵌合部と、第1対向面とを有し、前記第2部材は、前記第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部と、前記第1対向面と対向する第2対向面とを有し、前記第1部材と前記第2部材とを前記第1方向とは異なる第2方向にスライドさせることによって、前記第2方向の所定長さにわたって前記第1対向面と前記第2対向面とを対向させる第1スライドステップと、前記第1スライドステップの後、前記第1部材と前記第2部材とを前記第1方向にスライドさせることによって、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とを嵌合させるとともに、前記第1対向面と前記第2対向面との間に前記第1方向に前記第1長さよりも長い第2長さの空洞部を形成する第2スライドステップと、前記空洞部に栓部材を挿入する挿入ステップとを行う接合方法が明らかとなる。このような接合方法によれば、接合部の強度が向上する。
【0011】
前記第1スライドステップにおいて、前記第1対向面と前記第2対向面とを接触させながら、前記第1部材と前記第2部材とを前記第2方向にスライドさせることが望ましい。これにより、第1対向面及び第2対向面によって、第1部材及び第2部材とを第2方向に案内させることができる。
【0012】
前記第1部材は、当接部を有する非貫通穴を有しており、前記第1スライドステップにおいて、前記第2部材の端部が前記第1部材の前記当接部に当接するまで、前記第1部材と前記第2部材とを前記第2方向にスライドさせることが望ましい。これにより、第2方向の適切な位置まで第1部材と第2部材とをスライドさせることができる。
【0013】
前記第1部材は、前記第1方向に突出した第1突出部と、第1受け部とを有しており、前記第2部材は、前記第1方向に突出し前記第1受け部の内側に配置させる第2突出部と、前記第1突出部を内側に配置させる第2受け部とを有しており、前記第2スライドステップにおいて、前記第1部材と前記第2部材とを前記第1方向にスライドさせることによって、前記第1突出部を前記第2受け部に配置させるとともに、前記第2突出部を前記第1受け部に配置させることが望ましい。これにより、接合部の強度が向上する。
【0014】
前記第1スライドステップの後、前記第1対向面と前記第2対向面とを接触させた状態のとき、前記第1突出部の先端部が前記第2受け部に配置されるとともに、前記第2突出部の先端部が前記第1受け部に配置されることが望ましい。これにより、誤った手順になることを抑制できる。
【0015】
前記第1部材及び前記第2部材を3Dプリンタで構成することが望ましい。このような場合に特に有効である。
【0016】
第1部材と、第2部材と、栓部材とを備える接合構造であって、前記第1部材は、第1方向に第1長さを有する第1嵌合部と、第1対向面とを有し、前記第2部材は、前記第1嵌合部と嵌合する第2嵌合部と、前記第1対向面と対向する第2対向面とを有し、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部は、前記第1方向から嵌合しており、前記第1対向面と前記第2対向面は、前記第1方向とは異なる第2方向の所定長さにわたって対向しつつ、前記第1方向に前記第1長さよりも長い第2長さをあけて配置されており、前記栓部材は、前記第1対向面と前記第2対向面との間の空洞部に配置されていることを特徴とする接合構造が明らかとなる。このような接合構造によれば、接合部の接合強度が向上する。
【0017】
前記第1部材は、当接部を有する非貫通穴を有しており、前記第2部材の端部が前記第1部材の前記当接部に当接することが望ましい。これにより、第2方向の適切な位置まで第1部材と第2部材とをスライドさせることが可能な構成になる。
【0018】
前記第1部材は、前記第1方向に突出した第1突出部と、第1受け部とを有しており、
前記第2部材は、前記第1方向に突出し前記第1受け部の内側に配置させる第2突出部と、前記第1突出部を内側に配置させる第2受け部とを有することが望ましい。これにより、接合部の接合強度が向上する。
【0019】
前記第1対向面と前記第2対向面とを接触させた状態のとき、前記第1突出部の第1先端部が前記第2受け部に配置されるとともに、前記第2突出部の第2先端部が前記第1受け部に配置されることが望ましい。これにより、誤った手順で第1部材と第2部材とが接合されることを抑制できる。
【0020】
前記第1突出部及び前記第2突出部は、前記第1方向の先端側ほど幅が狭まるように構成されており、前記第1受け部及び前記第2受け部は、前記第1方向の基端側ほど幅が狭まるように構成されていることが望ましい。これにより、第1嵌合部と第2嵌合部とを滑らかに嵌合させることができる。
【0021】
前記第1突出部及び前記第2突出部が曲面を有しており、前記第1受け部及び前記第2受け部が曲面を有しており、前記第1突出部の前記曲面と前記第2受け部の前記曲面とが接触し、前記第2突出部の前記曲面と前記第1受け部の前記曲面とが接触した状態で、前記第1部材と前記第2部材とが接合されることが望ましい。これにより、接合部の強度が向上する。
【0022】
前記栓部材は、前記第1対向面と前記第2対向面に対向する側面に突起部を有することが望ましい。これにより、栓部材が外れ難くなる。
【0023】
===第1実施形態===
図1Aは、第1実施形態の接合構造100の分解説明図である。
図1Bは、第1実施形態の接合構造100の接合状態の説明図である。
【0024】
第1実施形態の接合構造100は、第1部材10と、第2部材20と、栓部材30とを有する。第1部材10及び第2部材20を接合することによって、大型の構造物を構成することができる。
【0025】
第1部材10及び第2部材20は、例えば3Dプリンタで構成された部材である。本実施形態のように2つの部材を接合することによって、3Dプリンタで形成可能な大きさを超える大型の構造物を製造可能になる。3Dプリンタは、樹脂や金属などの材料により第1部材10及び第2部材20を形成可能である。樹脂によって第1部材10及び第2部材20を構成する場合には、カーボン繊維などを含有する繊維強化樹脂を用いることが望ましい。但し、第1部材10及び第2部材20は、3Dプリンタで構成した部材に限られるものではなく、例えば木材で構成しても良い。
【0026】
第1部材10は、接合構造100を構成する2つの部材のうちの一方の部材である。第1部材10は、第1嵌合部11と、第1接触面12と、第1対向面13とを有する。
【0027】
第1嵌合部11は、第2部材20の第2嵌合部21と嵌合する部位である。第1嵌合部11は、凸部又は凹部で構成される。ここでは、第1嵌合部11は凹部で構成されている。第1嵌合部11のX方向(第1方向に相当)の長さは、L1(第1長さに相当)である。
【0028】
第1接触面12は、接合状態のときに第2部材20の第2接触面22と接触する面である。第1接触面12は、X方向(第1方向に相当)に垂直な面である。第1接触面12は、第2部材20の第2接触面22とX方向に対向する面である。前述の第1嵌合部11は、第1接触面12に対してX方向に長さL1だけ凹んだ部位となる。
【0029】
第1対向面13は、第2部材20の第2対向面23と対向する面である。第1対向面13と第2部材20の第2対向面23との間に形成される空洞部40に栓部材30が挿入されることになる。また、第1対向面13は、Y方向(第2方向に相当)に平行な面である。第1対向面13に第2部材20(詳しくは第2部材20の第2対向面23)を接触させながら、第1部材10と第2部材20とを相対的にY方向(第2方向に相当)にスライドさせることができる(後述)。つまり、第1対向面13は、第1部材10及び第2部材20をY方向に案内する案内面としての機能も有する。
【0030】
第1実施形態では、第1部材10に非貫通穴14が形成されており、非貫通穴14の開口に第1接触面12と第1対向面13とが配置されている。非貫通穴14の底には、当接部15が形成されている。当接部15は、第2部材20(詳しくは端部25)を当接させる部位である。言い換えると、当接部15は、第2部材20を突き当てる突き当て面としての機能を有する(後述)。第1部材10のY方向の長さ(厚さ)をD0とし、第1部材10の非貫通穴14の開口から当接部15までのY方向の長さ(非貫通穴14の深さ)をD1としたとき、長さD1は長さD0よりも小さい。このように第1部材10の非貫通穴14を形成することにより(第1部材10が当接部15を有することにより)、第1部材10の逆側から接合部を露出させない構造を実現できる。
【0031】
また、第1実施形態では、第1嵌合部11が凹部で構成されているため、当接部15の面積は、非貫通穴14の開口の面積よりも大きくなる。通常、奥側が大きくなる非貫通穴14を形成することは難しいが、本実施形態では3Dプリンタによって第1部材10を形成しているため、このような形状の非貫通穴14を構成することが容易である。
【0032】
第2部材20は、第1部材10に接合する部材である。つまり、第2部材20は、接合構造100を構成する2つの部材のうちの他方の部材である。第2部材20は、第2嵌合部21と、第2接触面22と、第2対向面23とを有する。
【0033】
第2嵌合部21は、第1部材10の第1嵌合部11と嵌合する部位である。第2嵌合部21は、凹部又は凸部で構成される。第2嵌合部21は、第1嵌合部11が凸部の場合には凹部で構成され、第1嵌合部11が凹部の場合には凸部で構成される。ここでは、第1嵌合部11が凹部で構成されるため、第2嵌合部21は凸部で構成されている。第2嵌合部21のX方向(第1方向に相当)の長さは、L1(第1長さに相当)である。第2嵌合部は、X方向から第1嵌合部11と嵌合する。
【0034】
第2接触面22は、接合状態の時に第1部材10の第1接触面12と接触する面である。第2接触面22は、X方向(第1方向に相当)に垂直な面である。第2接触面22は、第1部材10の第1接触面12とX方向に対向する面である。前述の第2嵌合部21は、第2接触面22に対してX方向に長さL1だけ突出した部位となる。
【0035】
第2対向面23は、第1部材10の第1対向面13と対向する面である。既に説明したように、第2対向面23と第1対向面13との間に形成される空洞部40に栓部材30が挿入されることになる。また、第2対向面23は、Y方向(第2方向に相当)に平行な面であり、第1対向面13と平行な面である。第2対向面23に第1部材10(詳しくは第1部材10の第1対向面13)を接触させながら、第1部材10と第2部材20とを相対的にY方向(第2方向に相当)にスライドさせることができる(後述)。つまり、第2対向面23は、第1部材10及び第2部材20をY方向に案内する案内面としての機能も有する。第2対向面23は、Y方向の所定長さ(ここでは長さD1)にわたって第1対向面13と対向することになる。また、第2対向面23は、第1対向面13からX方向に長さL2をあけて配置されることになる。
【0036】
栓部材30は、第1対向面13と第2対向面23との間に挿入する部材である。栓部材30が第1対向面13と第2対向面23との間に挿入されることによって、第1部材10と第2部材20とがX方向(第1方向)にずれることが抑制される。ここでは栓部材30は直方体状に構成されているが、線部材の形状はこれに限られるものではなく、例えば楔状でも良い。栓部材30のX方向の長さは、L2(第2長さに相当)である。栓部材30のX方向の長さL2は、第1嵌合部11や第2嵌合部21のX方向の長さL1よりも長い。
【0037】
【0038】
図2Aに示すように、第1部材10と第2部材20とをY方向(第2方向に相当)に近接させ、第1部材10の非貫通穴14に第2部材20の端部25を挿入する。このとき、第1部材10の第1対向面13と第2部材20の第2対向面23とを接触させつつ、第1部材10と第2部材20とを相対的にY方向(第2方向に相当)にスライドさせる。これにより、Y方向の所定長さ(ここでは長さD1)にわたって第1対向面13と第2対向面23とが対向して配置される。第1部材10と第2部材20とをY方向(第2方向に相当)にスライドさせることを「第1スライドステップ」と呼ぶことがある。
【0039】
第1実施形態では、第2部材20の端部25が第1部材10の当接部15に突き当たるまで、第1部材10と第2部材20とを相対的にY方向(第2方向に相当)にスライドさせることになる。これにより、Y方向の適切な位置まで、第1部材10と第2部材20とをY方向(第2方向に相当)にスライドさせることができる。
【0040】
第2部材20の端部25が第1部材10の当接部15に突き当たった後、
図2Bに示すように、第1部材10と第2部材20とを相対的にX方向(第1方向に相当)にスライドさせる。このとき第1部材10と第2部材20とをスライドさせる方向(X方向)は、
図2Aに示す方向(Y方向)とは異なる方向である。第1部材10と第2部材20とをX方向(第1方向に相当)にスライドさせることを「第2スライドステップ」と呼ぶことがある。
【0041】
第1実施形態では、第1部材10の第1接触面12と第2部材20の第2接触面22とが接触するまで、第1部材10と第2部材20とを相対的にX方向(第1方向に相当)にスライドさせることになる。これにより、第1部材10の第1嵌合部11と第2部材20の第2嵌合部21とが嵌合する。言い換えると、第1部材10の第1嵌合部11と第2部材20の第2嵌合部21とが嵌合するまで、第1部材10と第2部材20とを相対的にX方向(第1方向に相当)にスライドさせることになる。なお、第1部材10の第1対向面13と第2部材20の第2対向面23とが接触した状態から、第1部材10の第1接触面12と第2部材20の第2接触面22とが接触するまで(言い換えると、第1部材10の第1嵌合部11と第2部材20の第2嵌合部21とが嵌合するまで)に必要な第1部材10と第2部材20とのX方向(第1方向に相当)のスライド量は、長さL2に相当し、長さL1(第1嵌合部11及び第2嵌合部21のX方向の長さ)よりも長い。第1部材10の第1接触面12と第2部材20の第2接触面22とが接触した状態のとき、
図2Cに示すように、第2対向面23は、第1対向面13からX方向に長さL2をあけて配置され、これにより、第1部材10の第1対向面13と第2部材20の第2対向面23との間に長さL2の空洞部40が形成される。
【0042】
第1部材10の第1接触面12と第2部材20の第2接触面22とを接触させた後、言い換えると、第1部材10の第1嵌合部11と第2部材20の第2嵌合部21とを嵌合させた後、
図2Cに示すように、第1部材10の第1対向面13と第2部材20の第2対向面23との間の空洞部40に、栓部材30を挿入する。なお、栓部材30を空洞部40に挿入することを「挿入ステップ」と呼ぶことがある。栓部材30は、Y方向(第2方向)から空洞部40に挿入されることになる。栓部材30が挿入されることによって、第1部材10と第2部材20とがX方向(第1方向)にずれることが抑制され、第1部材10の第1嵌合部11と第2部材20の第2嵌合部21との嵌合が保持される。栓部材30が空洞部40に挿入されることによって、第1部材10と第2部材20とが接合される。
【0043】
上記の通り、第1実施形態の接合方法は、第1部材10と第2部材20とを接合することになる。ここで、第1部材10は、X方向(第1方向に相当)に長さL1(第1長さに相当)を有する第1嵌合部11と、第1対向面13とを有する。また、第2部材20は、第1嵌合部11と嵌合する第2嵌合部21と、第1対向面13と対向する第2対向面23とを有する。そして、第1部材10と第2部材20とをY方向(第1方向とは異なる第2方向に相当)にスライドさせる第1スライドステップが行われる。また、第1スライドステップの後、第1部材10と第2部材20とをX方向(第1方向に相当)にスライドさせることによって、第1嵌合部11と第2嵌合部21とを嵌合させるとともに、第1対向面13と第2対向面23との間に長さL2(第1長さよりも長い第2長さに相当)の空洞部40を形成する第2スライドステップが行われる。また、第2スライドステップの後、空洞部40に栓部材30を挿入する挿入ステップが行われる。このような第1実施形態の接合方法によれば、異なる方向にスライドさせて第1部材10及び第2部材20を嵌合させた後、栓部材30によって第1部材10と第2部材20との嵌合が外れないように固定されるため、第1部材10と第2部材20とが外れ難くなり、接合部の強度が向上する。
【0044】
===第2実施形態===
図3Aは、第2実施形態の接合構造100の分解説明図である。
図3Bは、第2実施形態の接合構造100の接合状態の説明図である。第2実施形態の接合構造100は、いわゆる金輪継ぎを改良した構造である。
【0045】
第2実施形態の接合構造100は、第1実施形態と同様に、第1部材10と、第2部材20と、栓部材30とを有する。第2実施形態においても、第1部材10及び第2部材20は、例えば3Dプリンタで構成された部材である。但し、第1部材10及び第2部材20は、3Dプリンタで構成した部材に限られるものではなく、例えば木材で構成しても良い。
【0046】
第1部材10は、接合構造100を構成する2つの部材のうちの一方の部材である。第1部材10は、第1実施形態と同様に、第1嵌合部11と、第1接触面12と、第1対向面13とを有する。また、第2実施形態の第1部材10は、第1突出部16と、第1受け部17とを有する。
【0047】
第1嵌合部11は、第2部材20の第2嵌合部21と嵌合する部位である。第1嵌合部11は、凸部又は凹部で構成される。第2実施形態では、第1部材10は、2つの第1嵌合部11を有する。このように、第1部材10が有する第1嵌合部11の数は、1つに限らず、2つでも良いし、2以上でも良い。2つの第1嵌合部11のうち、一方の第1嵌合部11は、第1突出部16に隣接して配置(詳しくは、第1突出部16のZ方向外側に配置)されており、他方の第1嵌合部11は、第1受け部17に隣接して配置(詳しくは、第1受け部17のZ方向外側に配置)されている。2つの第1嵌合部11のうち、一方の第1嵌合部11(第1突出部16に隣接する第1嵌合部11)は凸部で構成されており、他方の第1嵌合部11(第1受け部17に隣接する第1嵌合部11)は凹部で構成されている。但し、2つの第1嵌合部11の凹凸を逆にしても良いし、両方の第1嵌合部11を凸部で構成しても良いし、両方の第1嵌合部11を凹部で構成しても良い。なお、第2実施形態においても、第1嵌合部11のX方向(第1方向に相当)の長さは、L1(第1長さに相当)である。
【0048】
第1接触面12は、接合状態のときに第2部材20の第2接触面22と接触する面である。第1接触面12は、X方向(第1方向に相当)に垂直な面である。第1接触面12は、第2部材20の第2接触面22とX方向に対向する面である。第2実施形態では、第1部材10は、2つの第1接触面12を有する。このように、第1部材10が有する第1接触面12の数は、1つに限らず、2つでも良いし、2以上でも良い。2つの第1接触面12のうち、一方の接触面は、第1突出部16に隣接して配置(詳しくは、第1突出部16のZ方向外側に配置)されており、他方の第1接触面12は、第1受け部17に隣接して配置(詳しくは、第1受け部17のZ方向外側に配置)されている。第2実施形態においても、それぞれの第1嵌合部11は、第1接触面12に対してX方向に長さL1だけ突出した部位又は凹んだ部位となる。なお、後述するように、第1部材10は、X方向に垂直な第1接触面12を備えていなくても良い。
【0049】
第1対向面13は、第2部材20の第2対向面23と対向する面である。第1対向面13と第2部材20の第2対向面23との間に形成される空洞部40に栓部材30が挿入されることになる。また、第1対向面13は、Y方向(第2方向に相当)に平行な面である。第1対向面13に第2部材20(詳しくは第2部材20の第2対向面23)を接触させながら、第1部材10と第2部材20とを相対的にY方向(第2方向に相当)にスライドさせることができる(後述)。つまり、第2実施形態においても、第1対向面13は、第1部材10及び第2部材20をY方向に案内する案内面としての機能も有する。第1対向面13は、Z方向において2つの第1嵌合部11の間に配置されている。また、第1対向面13は、Z方向において2つの第1接触面12の間に配置されている。また、第1対向面13は、X方向において第1突出部16と第1受け部17の間に配置されている。
【0050】
第1突出部16は、第2部材20の第2受け部27の内側に配置させる部位である。言い換えると、第1突出部16は、第2部材20の第2受け部27に差し込む部位である。第1突出部16は、第1部材10のX方向の端部に設けられる部位である。第1突出部16は、第1接触面12に対してX方向に突出した部位である。第1突出部16は、X方向の先端側ほど幅(Z方向の寸法)が狭まるように構成されている。第1突出部16の側面は、第2受け部27の内面と対向配置することになる。また、第1突出部16の先端部である第1先端部16Aは、丸みを帯びた曲面で構成されている。本実施形態では、3Dプリンタによって第1部材10が形成されるため、第1突出部16の第1先端部16Aに曲面を形成することは容易である。第1突出部16は、第1嵌合部11に隣接して配置(詳しくは、第1嵌合部11のZ方向内側に配置)されている。第1突出部16の第1接触面12に対する長さ(突出量)はL3(第3長さに相当)である。第1突出部16のX方向の長さL3は、第1嵌合部11のX方向の長さL1よりも長い。また、第1突出部16のX方向の長さL3は、栓部材30のX方向の長さL2よりも長い。
【0051】
第1受け部17は、第2部材20の第2突出部26を内側に配置させる部位である。言い換えると、第1受け部17は、第2部材20の第2突出部26を受け入れる部位である。第1受け部17は、第1接触面12に対してX方向基端側に凹んだ部位である。第1受け部17は、X方向の基端側ほど幅(Z方向の寸法)が狭まるように構成されている。第1受け部17の内面は、第2突出部26の側面と対向配置することになる。また、第1受け部17のX方向基端側の内面は、丸みを帯びた曲面で構成されている。本実施形態では、3Dプリンタによって第1部材10が形成されるため、第1受け部17のX方向基端側の内面に曲面を形成することは容易である。第1受け部17は、第1対向面13よりも第1部材10のX方向基端側に設けられる部位である。第1受け部17は、第1突出部16よりも第1部材10のX方向基端側に設けられており、第1受け部17と第1突出部16との間には第1対向面13が配置されている。第1受け部17は、第1嵌合部11に隣接して配置(詳しくは、第1嵌合部11のZ方向内側に配置)されている。ここでは、第1受け部17の第1接触面12に対する長さ(凹み量)はL3である。
【0052】
第2部材20は、第1部材10に接合する部材である。つまり、第2部材20は、接合構造100を構成する2つの部材のうちの他方の部材である。第2部材20は、第1実施形態と同様に、第2嵌合部21と、第2接触面22と、第2対向面23とを有する。また、第2実施形態の第2部材20は、第2突出部26と、第2受け部27とを有する。
【0053】
第2嵌合部21は、第1部材10の第1嵌合部11と嵌合する部位である。第2嵌合部21は、凹部又は凸部で構成される。第2嵌合部21は、第1嵌合部11が凸部の場合には凹部で構成され、第1嵌合部11が凹部の場合には凸部で構成される。第2部材20が有する第2嵌合部21の数は、第1部材10が有する第1嵌合部11の数と同じである。このため、ここでは、第2部材20は、2つの第2嵌合部21を有する。2つの第1嵌合部11のうち、一方の第2嵌合部21は、第2突出部26に隣接して配置(詳しくは、第2突出部26のZ方向外側に配置)されており、他方の第2嵌合部21は、第2受け部27に隣接して配置(詳しくは、第2受け部27のZ方向の外側に配置)されている。2つの第2嵌合部21のうち、一方の第2嵌合部21(第2突出部26に隣接する第2嵌合部21)は凸部で構成されており、他方の第2嵌合部21(第2受け部27に隣接する第2嵌合部21)は凹部で構成されている。但し、2つの第2嵌合部21の凹凸を逆にしても良いし、両方の第2嵌合部21を凸部で構成しても良いし、両方の第2嵌合部21を凹部で構成しても良い。なお、第2実施形態においても、第2嵌合部21のX方向(第1方向に相当)の長さは、L1(第1長さに相当)である。第2嵌合部21は、X方向から第1嵌合部11と嵌合する。
【0054】
第2接触面22は、接合状態の時に第1部材10の第1接触面12と接触する面である。第2接触面22は、X方向(第1方向に相当)に垂直な面である。第2接触面22は、第1部材10の第1接触面12とX方向に対向する面である。第2部材20が有する第2接触面22の数は、第1部材10が有する第1接触面12の数と同じである。このため、ここでは、第2部材20は、2つの第2接触面22を有する。2つの第2接触面22のうち、一方の第2接触面22は、第2突出部26に隣接して配置(詳しくは、第2突出部26のZ方向外側に配置)されており、他方の第2接触面22は、第2受け部27に隣接して配置(詳しくは、第2受け部27のZ方向外側に配置)されている。第2実施形態においても、それぞれの第2嵌合部21は、第2接触面22に対してX方向に長さL1だけ突出した部位又は凹んだ部位となる。なお、後述するように、第2部材20は、X方向に垂直な第2接触面22を備えていなくても良い。
【0055】
第2対向面23は、第1部材10の第1対向面13と対向する面である。既に説明したように、第2対向面23と第1対向面13との間に形成される空洞部40に栓部材30が挿入されることになる。また、第2対向面23は、Y方向(第2方向に相当)に平行な面である。第2対向面23に第1部材10(詳しくは第1部材10の第1対向面13)を接触させながら、第1部材10と第2部材20とを相対的にY方向(第2方向に相当)にスライドさせることができる(後述)。つまり、第2実施形態においても、第2対向面23は、第1部材10及び第2部材20をY方向に案内する案内面としての機能も有する。第2対向面23は、Y方向の所定長さ(第1部材10や第2部材20のY方向の寸法)にわたって第1対向面13と対向することになる。また、第2対向面23は、第1対向面13からX方向に長さL2をあけて配置されることになる。第2対向面23は、Z方向において2つの第2嵌合部21の間に配置されている。また、第2対向面23は、Z方向において2つの第2接触面22の間に配置されている。また、第2対向面23は、X方向において第2突出部26と第2受け部27の間に配置されている。
【0056】
第2突出部26は、第1部材10の第1受け部17の内側に配置させる部位である。言い換えると、第2突出部26は、第1部材10の第1受け部17に差し込む部位である。第2突出部26は、第1部材10のX方向の端部に設けられる部位である。第2突出部26は、第2接触面22に対してX方向に突出した部位である。第2突出部26は、X方向の先端側ほど幅(Z方向の寸法)が狭まるように構成されている。第2突出部26の側面は、第1受け部17の内面と対向配置することになる。また、第2突出部26の先端部である第2先端部26Aは、丸みを帯びた曲面で構成されている。本実施形態では、3Dプリンタによって第2部材20が形成されるため、第2突出部26の第2先端部26Aに曲面を形成することは容易である。第2突出部26は、第2嵌合部21に隣接して配置(詳しくは、第2嵌合部21のZ方向内側に配置)されている。第2突出部26の第2接触面22に対する長さ(突出量)はL3(第3長さに相当)である。第2突出部26のX方向の長さL3は、第2嵌合部21のX方向の長さL1よりも長い。また、第2突出部26のX方向の長さL3は、栓部材30のX方向の長さL2よりも長い。
【0057】
第2受け部27は、第1部材10の第1突出部16を内側に配置させる部位である。言い換えると、第2受け部27は、第1部材10の第1突出部16を受け入れる部位である。第2受け部27は、第2接触面22に対してX方向基端側に凹んだ部位である。第2受け部27は、X方向の基端側ほど幅(Z方向の寸法)が狭まるように構成されている。第2受け部27の内面は、第1突出部16の側面と対向配置することになる。また、第2受け部27のX方向基端側の内面は、丸みを帯びた曲面で構成されている。本実施形態では、3Dプリンタによって第2部材20が形成されるため、第2受け部27のX方向基端側の内面に曲面を形成することは容易である。第2受け部27は、第2対向面23よりも第2部材20のX方向基端側に設けられる部位である。第2受け部27は、第2突出部26よりも第2部材20のX方向基端側に設けられており、第2受け部27と第2突出部26との間には第2対向面23が配置されている。第2受け部27は、第2嵌合部21に隣接して配置(詳しくは、第2嵌合部21のZ方向内側に配置)されている。第2受け部27の第2接触面22に対する長さ(凹み量)はL3である。
【0058】
第2実施形態では、長さL3が長さL2よりも長いため、X方向における第1突出部16の第1先端部16Aと第1対向面13との間の長さL5は、X方向における第2接触面22と第2対向面23との間の長さL4よりも長い。同様に、X方向における第2突出部26の第2先端部26Aと第2対向面23との間の長さL5は、X方向における第1接触面12と第1対向面13との間の長さL4よりも長い。これにより、最初に第1部材10と第2部材20とを相対的にスライドさせる方向を所定のY方向(第2方向に相当)に制限でき、誤った手順で第1部材10と第2部材20とを接合することを抑制できる(後述)。
【0059】
栓部材30は、第1対向面13と第2対向面23との間に挿入する部材である。第1実施形態と同様に、栓部材30が第1対向面13と第2対向面23との間に挿入されることによって、第1部材10と第2部材20とがX方向(第1方向)にずれることが抑制される。第2実施形態においても、栓部材30は直方体状に構成されているが、線部材の形状はこれに限られるものではなく、例えば楔状でも良い。栓部材30のX方向の長さは、L2(第2長さに相当)である。栓部材30のX方向の長さL2は、第1嵌合部11や第2嵌合部21のX方向の長さL1よりも長い。一方、栓部材30のX方向の長さL2は、第1突出部16や第2突出部26のX方向の長さL3よりも短い。
【0060】
【0061】
図4Aに示すように、第1部材10と第2部材20とをY方向(第2方向に相当)に近接させ、第1部材10の第1対向面13と第2部材20の第2対向面23とを接触させつつ、第1部材10と第2部材20とを相対的にY方向(第2方向に相当)にスライドさせる。これにより、Y方向の所定長さ(第1部材10や第2部材20のY方向の寸法)にわたって第1対向面13と第2対向面23とが対向して配置される。この第1部材10と第2部材20とをY方向(第2方向に相当)にスライドさせることは「第1スライドステップ」に相当する。
【0062】
第2実施形態では、長さL3が長さL2よりも長いため、X方向における第1突出部16の第1先端部16Aと第1対向面13との間の長さL5は、X方向における第2接触面22と第2対向面23との間の長さL4よりも長い。また、X方向における第2突出部26の第2先端部26Aと第2対向面23との間の長さL5は、X方向における第1接触面12と第1対向面13との間の長さL4よりも長い。これにより、第1スライドステップにおいて、Y方向(第2方向に相当)の代わりに、Z方向から第1部材10と第2部材20とを近接させることを防止できる。つまり、第2実施形態では、
図4Aに示すように、最初に第1部材10と第2部材20とを相対的にスライドさせる方向は、Y方向(第2方向に相当)に制限されている。このため、誤った手順で第1部材10と第2部材20とを接合することが抑制される。
【0063】
また、第2実施形態では、
図4Bに示すように、長さL3が長さL2よりも長いため(また、長さL5が長さL4よりも長いため)、第1スライドステップの直後の第1対向面13と第2対向面23とが接触した状態では、第1突出部16の第1先端部16Aは第2受け部27に配置されるとともに、第2突出部26の第2先端部26Aは第1受け部17に配置される。このため、第1突出部16が第2受け部27から外れたり、第2突出部26が第1受け部17から外れたりすることが抑制される。また、
図4Bに示す状態から、第1部材10と第2部材20とをZ方向に相対的にスライドさせることが防止されるため、次に第1部材10と第2部材20とを相対的にスライドさせる方向は、X方向(第1方向に相当)に制限されている。このため、誤った手順で第1部材10と第2部材20とを接合することが抑制される。
【0064】
第1部材10と第2部材20とを相対的にY方向(第2方向に相当)にスライドさせて
図4Bに示す状態にさせた後、
図4Cに示すように、第1部材10と第2部材20とを相対的にX方向(第1方向に相当)にスライドさせる。このとき第1部材10と第2部材20とをスライドさせる方向(X方向)は、
図4Aに示す第1スライドステップのスライド方向(Y方向)とは異なる方向である。この第1部材10と第2部材20とをX方向(第1方向に相当)にスライドさせることは「第2スライドステップ」に相当する。
【0065】
第2実施形態においても、第1部材10の第1接触面12と第2部材20の第2接触面22とが接触するまで、第1部材10と第2部材20とを相対的にX方向(第1方向に相当)にスライドさせることになる。これにより、第1部材10の第1嵌合部11と第2部材20の第2嵌合部21とが嵌合する。言い換えると、第1部材10の第1嵌合部11と第2部材20の第2嵌合部21とが嵌合するまで、第1部材10と第2部材20とを相対的にX方向(第1方向に相当)にスライドさせることになる。なお、第1部材10の第1対向面13と第2部材20の第2対向面23とが接触した状態(
図4B参照)から、第1部材10の第1接触面12と第2部材20の第2接触面22とが接触した状態(
図4D参照;言い換えると、第1部材10の第1嵌合部11と第2部材20の第2嵌合部21とが嵌合する状態)までに必要な第1部材10と第2部材20とのX方向(第1方向に相当)のスライド量は、長さL2に相当し、長さL1(第1嵌合部11及び第2嵌合部21のX方向の長さ)よりも長い。
【0066】
第2実施形態では、
図4Cに示すように、第1部材10と第2部材20とを相対的にX方向(第1方向に相当)にスライドさせると、第1突出部16が第2受け部27に入り込み、第2突出部26が第1受け部17に入り込む。また、第1部材10と第2部材20とを相対的にX方向(第1方向に相当)にスライドさせると、第1嵌合部11と第2嵌合部21とが近接するとともに、第1接触面12と第2接触面22とが近接する。また、第1部材10と第2部材20とを相対的にX方向(第1方向に相当)にスライドさせると、第1対向面13と第2対向面23とが離間し、第1対向面13と第2対向面23との間に空洞部40が形成される。
【0067】
なお、
図4Bに示す段階で既に第1突出部16の第1先端部16Aが第2受け部27に配置されるとともに、第2突出部26の第2先端部26Aが第1受け部17に配置されているため、
図4Cに示すように、第1部材10と第2部材20とを相対的にX方向(第1方向に相当)にスライドさせると、第1部材10の第1突出部16の側面が第2部材20の第2受け部27の内面に案内され、第2部材20の第2突出部26の側面が第1部材10の第1受け部17の内面に案内される。このため、第1部材10と第2部材20とを相対的にX方向(第1方向に相当)にスライドさせるときに、第1突出部16が第2受け部27から外れたり、第2突出部26が第1受け部17から外れたりするおそれがなく、第1部材10と第2部材20とのZ方向の位置ずれが抑制される。また、第1部材10と第2部材20とのZ方向の位置ずれが抑制されているため、第1部材10と第2部材20とを相対的にX方向(第1方向に相当)にスライドさせることによって、
図4Dに示すように、第1嵌合部11と第2嵌合部21とを嵌合させることができ、第1接触面12と第2接触面22とを接触させることができる。
【0068】
更に、第2実施形態では、第1部材10の第1突出部16と第2部材20の第2突出部26は、X方向の先端側ほど幅(Z方向の寸法)が狭まるように構成されているとともに、第1部材10の第1受け部17と第2部材20の第2受け部27は、X方向基端側ほど幅(Z方向の寸法)が狭まるように構成されている。このため、
図4Cに示すように、第1部材10と第2部材20とを相対的にX方向(第1方向に相当)に徐々にスライドさせ、第1突出部16が第2受け部27に徐々に入り込み、第2突出部26が第1受け部17に徐々に入り込むと、第1部材10と第2部材20とのZ方向の位置ずれが徐々に抑制されることになる。このため、第1嵌合部11と第2嵌合部21とが嵌合し始める段階では、第1部材10と第2部材20とのZ方向の位置ずれが小さくなっており、第1嵌合部11と第2嵌合部21とを滑らかに嵌合させることができる。
【0069】
図4Dに示すように、第1部材10の第1接触面12と第2部材20の第2接触面22とが接触した状態のとき(言い換えると、第1部材10の第1嵌合部11と第2部材20の第2嵌合部21とを嵌合させた状態のとき)、第1対向面13と第2対向面23とがX方向に長さL2をあけて配置され、これにより、第1部材10の第1対向面13と第2部材20の第2対向面23との間に長さL2の空洞部40が形成される。
【0070】
第1部材10の第1接触面12と第2部材20の第2接触面22とを接触させた後、言い換えると、第1部材10の第1嵌合部11と第2部材20の第2嵌合部21とを嵌合させた後、
図4Dに示すように、第1部材10の第1対向面13と第2部材20の第2対向面23との間の空洞部40に、栓部材30を挿入する。この栓部材30を空洞部40に挿入することは「挿入ステップ」に相当する。Y方向(第2方向)から空洞部40に挿入されることになる。栓部材30が挿入されることによって、第1部材10と第2部材20とがX方向(第1方向)にずれることが抑制され、第1部材10の第1嵌合部11と第2部材20の第2嵌合部21との嵌合が保持される。栓部材30が空洞部40に挿入されることによって、第1部材10と第2部材20とが接合される。
【0071】
第2実施形態では、第1突出部16(詳しくは第1先端部16A)及び第2突出部26(詳しくは第2先端部26A)が曲面を有しており、第1受け部17及び第2受け部27も曲面を有している。そして、第2実施形態では、第1突出部16の曲面と第2受け部27の曲面とが接触し、第2突出部26の曲面と第1受け部17の曲面とが接触した状態で、第1部材10と第2部材20とが接合されている(
図4D参照)。これにより、第1突出部16や第2突出部26の第2先端部26Aが角張った形状の場合と比べて、第1部材10及び第2部材20に応力集中が生じにくくなり、接合部の強度が向上する。但し、第1突出部16及び第2突出部26に曲面を形成せず、第1受け部17及び第2受け部27に曲面を形成しないことも可能である。
【0072】
上記の通り、第2実施形態の接合方法は、第1実施形態と同様に、第1部材10と第2部材20とを接合することになる。第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1部材10は、X方向(第1方向に相当)に長さL1(第1長さに相当)を有する第1嵌合部11と、第1対向面13とを有する。また、第2部材20は、第1嵌合部11と嵌合する第2嵌合部21と、第1対向面13と対向する第2対向面23とを有する。そして、第2実施形態においても、第1部材10と第2部材20とをY方向(第1方向とは異なる第2方向に相当)にスライドさせる第1スライドステップが行われる。また、第1スライドステップの後、第1部材10と第2部材20とをX方向(第1方向に相当)にスライドさせることによって、第1嵌合部11と第2嵌合部21とを嵌合させるとともに、第1対向面13と第2対向面23との間に長さL2(第1長さよりも長い第2長さに相当)の空洞部40を形成する第2スライドステップが行われる。また、第2スライドステップの後、空洞部40に栓部材30を挿入する挿入ステップが行われる。このような第2実施形態の接合方法によれば、異なる方向にスライドさせて第1部材10及び第2部材20を嵌合させた後、栓部材30によって第1部材10と第2部材20との嵌合が外れないように固定されるため、第1実施形態と同様に、第1部材10と第2部材20とが外れ難くなり、接合部の強度が向上する。
【0073】
<変形例>
図5は、第2実施形態の変形例の説明図である。
【0074】
変形例の栓部材30は、突起部30Aを有する。突起部30Aは、側面からピン状に突出した部位である。第1対向面13と第2対向面23の間の空洞部40に栓部材30を挿入すると、突起部30Aが潰れるように弾性変形する。これにより、挿入された栓部材30が外れ難くなる。また、突起部30Aは、第1対向面13及び第2対向面23と対向する側面に設けられている。これにより、第1部材10と第2部材20との接合が強固になる。なお、第1実施形態においても、栓部材30が突起部30Aを有していても良い。
【0075】
図中の第1対向面13には、第1凹所13Aが形成されており、第2対向面23には、第2凹所23Aが形成されている。第1凹所13A及び第2凹所23Aは、栓部材30の突起部30Aが入り込む部位である。栓部材30を空洞部40に挿入したときに一旦潰れるように弾性変形した突起部30Aは、第1凹所13A及び第2凹所23Aにおいて弾性変形が戻ることによって、第1凹所13A及び第2凹所23Aに入り込む。これにより、栓部材30が更に外れ難くなる。但し、第1凹所13A及び第2凹所23Aが無くても、突起部30Aを有する栓部材30を挿入した場合には、挿入された栓部材30が外れ難くなる。なお、第1実施形態においても、第1対向面13に第1凹所13Aが形成され、第2対向面23に第2凹所23Aが形成されても良い。
【0076】
【0077】
図6A~
図6Dに示すように、第1部材10が第1突出部16及び第1受け部17を備えず、第2部材20が第2突出部26及び第2受け部27を備えていなくても良い。また、
図6A及び
図6Bに示すように、X方向に垂直な第1接触面12や第2接触面22が設けられて無くても良い。また、第1嵌合部11及び第2嵌合部21は、
図6A及び
図6Bに示すように外部に露出しても良いし、
図6Cに示すように外部に露出しないように構成しても良い。また、
図6Bに示すように、第1嵌合部11及び第2嵌合部21は、曲面を有していても良い。同様に、
図6Bに示すように、第1対向面13及び第2対向面23は、曲面で構成されても良く、互いに平行で無くても良い。また、
図6Dに示すように、第1嵌合部11及び第2嵌合部21の対がそれぞれ異なる形状でも良い。
【0078】
===その他の実施形態===
以上、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0079】
10 第1部材、11 第1嵌合部、12 第1接触面、
13 第1対向面、13A 第1凹所、
14 非貫通穴、15 当接部、
16 第1突出部、16A 第1先端部、17 第1受け部、
20 第2部材、21 第2嵌合部、22 第2接触面、
23 第2対向面、23A 第2凹所、25 端部、
26 第2突出部、26A 第2先端部、27 第2受け部、
30 栓部材、30A 突起部、
40 空洞部、
100 接合構造