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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報端末
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240827BHJP
   H04L 67/00 20220101ALI20240827BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240827BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G06F3/12 365
G06F3/12 303
G06F3/12 311
G06F3/12 326
H04L67/00
B41J29/38 201
H04N1/00 127Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020136242
(22)【出願日】2020-08-12
(65)【公開番号】P2022032450
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】堀金 隆一
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-176307(JP,A)
【文献】特開2014-085728(JP,A)
【文献】特開2014-146230(JP,A)
【文献】特開2019-006013(JP,A)
【文献】特開2013-248150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00-29/70
H04L 51/00-51/58
H04L 67/00-67/75
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
情報端末によって出力されるファイルの出力要求を外部装置から受け付け、
前記外部装置との連携により、前記ファイルが出力される候補となる複数の情報端末の中から、ユーザを区別せずに管理される前記ファイルの取得を要求する回数が予め定めた閾値を越える情報端末を特定し、
特定された情報端末に対して、ユーザから前記ファイルに関する情報の表示が指示される前に、当該ファイルが格納されている場所の特定に使用する第1の情報を、特定された情報端末に送信する、
情報処理装置であり、
さらに、前記プロセッサは、
特定された情報端末から前記ファイルの取得の要求を受け付けた場合、前記第1の情報とは別に、特定された情報端末に対して当該ファイルの実体データを送信する、
情報処理装置
【請求項2】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
情報端末によって出力されるファイルの出力要求を外部装置から受け付け、
前記外部装置との連携により、前記ファイルが出力される候補となる複数の情報端末の中から、予め定めた条件を満たす情報端末を特定し、
特定された情報端末に対して、ユーザから前記ファイルに関する情報の表示が指示される前に、当該ファイルが格納されている場所の特定に使用する第1の情報を、特定された情報端末に送信する、
情報処理装置であり、
前記プロセッサは、
前記第1の情報に対する変更の通知を受け付けた場合、前記予め定めた条件を満たす前記情報端末に対し、受け付けた当該変更に関する情報を転送する
情報処理装置。
【請求項3】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
自端末で出力されるファイルに関する情報の表示の指示をユーザから受け付けた場合に、当該ファイルが格納されている場所の特定に使用する第1の情報が自端末内に既に保存されているとき、当該第1の情報の取得を要求する通信を実行することなく、端末内に保存されている当該第1の情報を表示する、情報端末であり、
前記プロセッサは、
前記第1の情報に含まれていない第2の情報の表示が求められた場合、ユーザから前記ファイルに関する情報の表示の指示の受け付け後に新たに取得した当該第2の情報を、当該第1の情報に反映して表示する
情報端末。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第2の情報が反映された前記第1の情報を自装置内に保存する、請求項に記載の情報端末。
【請求項5】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
自端末で出力されるファイルに関する情報の表示の指示をユーザから受け付けた場合に、当該ファイルが格納されている場所の特定に使用する第1の情報が自端末内に既に保存されているとき、当該第1の情報の取得を要求する通信を実行することなく、端末内に保存されている当該第1の情報を表示する、情報端末であり、
前記プロセッサは、
前記第1の情報に対する変更の通知を受け取った場合、通知された変更の内容を当該第1の情報に反映する
情報端末。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記変更が削除の場合、前記第1の情報から該当する情報を削除する、請求項に記載の情報端末。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記変更が追加の場合、前記第1の情報に通知された情報を追加する、請求項に記載の情報端末。
【請求項8】
前記第1の情報に対する前記変更の通知はプッシュ配信される、請求項に記載の情報端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報端末、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが操作する任意の印刷装置から、クラウドネットワーク等に接続されたストレージやサーバ等(以下「ストレージ等」という)に記憶されているファイルを読み出し、読み出されたファイルの印刷物の出力を可能にするサービスがある。ユーザによるサービスの利用の選択は、印刷装置からサービスを提供するサーバへと送信され、このサーバがストレージ等からファイルの一覧を取得して印刷装置に提供する。ユーザは、印刷装置の操作部に表示される一覧の中から印刷するファイルを特定し、特定したファイルの印刷の実行を指示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-006013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、ファイルの特定に必要な情報の取得には、印刷装置からサーバへの通信、サーバからストレージ等への通信、ストレージ等からサーバへの通信、サーバから印刷装置への通信が階層構造を辿る度に必要となる。このため、目的とするファイルに辿り着くまでには、複数回の通信が必要となり、待ち時間が長くなる。
【0005】
本発明は、外部のシステムに格納されているファイルをユーザが操作する任意の情報端末で使用する場合に、ファイルが格納されている場所を特定するための情報を、ユーザが情報端末に対してファイルの表示を指示した後に、外部のシステムから毎回取得して表示する場合に比して、ファイルが格納されている場所の特定に使用する情報が表示されるまでの時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、情報端末によって出力されるファイルの出力要求を外部装置から受け付け、前記外部装置との連携により、前記ファイルが出力される候補となる複数の情報端末の中から、ユーザを区別せずに管理される前記ファイルの取得を要求する回数が予め定めた閾値を越える情報端末を特定し、特定された情報端末に対して、ユーザから前記ファイルに関する情報の表示が指示される前に、当該ファイルが格納されている場所の特定に使用する第1の情報を、特定された情報端末に送信する、情報処理装置であり、さらに、前記プロセッサは、特定された情報端末から前記ファイルの取得の要求を受け付けた場合、前記第1の情報とは別に、特定された情報端末に対して当該ファイルの実体データを送信する、情報処理装置である。
請求項2に記載の発明は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、情報端末によって出力されるファイルの出力要求を外部装置から受け付け、前記外部装置との連携により、前記ファイルが出力される候補となる複数の情報端末の中から、予め定めた条件を満たす情報端末を特定し、特定された情報端末に対して、ユーザから前記ファイルに関する情報の表示が指示される前に、当該ファイルが格納されている場所の特定に使用する第1の情報を、特定された情報端末に送信する、情報処理装置であり、前記プロセッサは、前記第1の情報に対する変更の通知を受け付けた場合、前記予め定めた条件を満たす前記情報端末に対し、受け付けた当該変更に関する情報を転送する情報処理装置である。
請求項3に記載の発明は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、自端末で出力されるファイルに関する情報の表示の指示をユーザから受け付けた場合に、当該ファイルが格納されている場所の特定に使用する第1の情報が自端末内に既に保存されているとき、当該第1の情報の取得を要求する通信を実行することなく、端末内に保存されている当該第1の情報を表示する、情報端末であり、前記プロセッサは、前記第1の情報に含まれていない第2の情報の表示が求められた場合、ユーザから前記ファイルに関する情報の表示の指示の受け付け後に新たに取得した当該第2の情報を、当該第1の情報に反映して表示する情報端末である。
請求項に記載の発明は、前記プロセッサは、前記第2の情報が反映された前記第1の情報を自装置内に保存する、請求項に記載の情報端末である。
請求項に記載の発明は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、自端末で出力されるファイルに関する情報の表示の指示をユーザから受け付けた場合に、当該ファイルが格納されている場所の特定に使用する第1の情報が自端末内に既に保存されているとき、当該第1の情報の取得を要求する通信を実行することなく、端末内に保存されている当該第1の情報を表示する、情報端末であり、前記プロセッサは、前記第1の情報に対する変更の通知を受け取った場合、通知された変更の内容を当該第1の情報に反映する情報端末である。
請求項に記載の発明は、前記プロセッサは、前記変更が削除の場合、前記第1の情報から該当する情報を削除する、請求項に記載の情報端末である。
請求項に記載の発明は、前記プロセッサは、前記変更が追加の場合、前記第1の情報に通知された情報を追加する、請求項に記載の情報端末である。
請求項に記載の発明は、前記第1の情報に対する前記変更の通知はプッシュ配信される、請求項に記載の情報端末である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、ファイルを取得する機会が多い情報端末に対しては、ファイルが格納されている場所の特定に使用する情報が表示されるまでの時間を短縮できる。
請求項2記載の発明によれば、ファイルが格納されている場所の特定に使用する情報に変更があっても情報端末において同情報が表示されるまでの時間を短縮できる。
請求項3記載の発明によれば、新たに取得した第2の情報と既存の第1の情報とを統合してユーザに表示できる。
請求項記載の発明によれば、第1の情報に無い第2の情報が新たに取得された場合、次回以降における情報の表示に要する時間を短縮できる。
請求項記載の発明によれば、第1の情報に対する変更を反映した第1の情報が装置内に保存されるので、次回以降における情報の表示に要する時間を短縮できる。
請求項記載の発明によれば、第1の情報に対する変更を反映した第1の情報が装置内に保存されるので、次回以降における情報の表示に要する時間を短縮できる。
請求項記載の発明によれば、第1の情報に対する変更を反映した第1の情報が装置内に保存されるので、次回以降における情報の表示に要する時間を短縮できる。
請求項記載の発明によれば、ユーザの操作とは無関係に自端末内に保存される第1の情報を最新の状態に保つことができる
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】クラウド上に存在する文書ファイルを任意の画像形成装置から取り出して印刷することを可能にするサービスで使用するネットワークシステムの構成例を説明する図である。
図2】実施の形態1で使用するプリントサーバの構成例を示す図である。
図3】実施の形態1で使用する優先機管理テーブルの一例を説明する図である。
図4】実施の形態1で使用する画像形成装置の構成例を説明する図である。
図5】文書ファイルの一覧の一例を説明する図である。
図6】実施の形態1で使用するプリントサーバで実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。
図7】実施の形態1のステップ14で実行される処理動作の例を説明するフローチャートである。
図8】実施の形態1のステップ16で実行される処理動作の例を説明するフローチャートである。
図9】実施の形態1で使用する画像形成装置で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。
図10】優先機として登録されていない画像形成装置からどこでもプリントサービスが利用される場合の処理シーケンスの一例を示す図である。
図11】優先機として新たに登録される画像形成装置からどこでもプリントサービスが利用される場合の処理シーケンスの一例を示す図である。
図12】優先機として既に登録済みの画像形成装置からどこでもプリントサービスが利用される場合の処理シーケンスの一例を示す図である。
図13】実施の形態2で使用するプリントサーバ40(図1参照)で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。
図14】文書ファイルの変更を反映する場合に実行される処理シーケンスの一例を示す図である。
図15】画像形成装置に記憶される文書ファイルの一覧の変更例を説明する図である。(A)は文書ファイルの挿入の例であり、(B)は文書ファイルの更新の例であり、(C)は文書ファイルの削除の例である。
図16】実施の形態3で使用する優先機管理テーブルの一例を説明する図である。
図17】実施の形態3で使用するプリントサーバで実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。
図18】実施の形態3のステップ14Aで実行される処理動作の例を説明するフローチャートである。
図19】実施の形態3のステップ16Aで実行される処理動作の例を説明するフローチャートである。
図20】特定のユーザの優先機として登録済みの画像形成装置からどこでもプリントサービスが利用される場合の処理シーケンスの一例を示す図である。
図21】実施の形態4で使用するプリントサーバで実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。
図22】文書ファイルの変更を反映する場合に実行される処理シーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
<システム構成>
図1は、クラウド上に存在する文書ファイルを任意の画像形成装置70から取り出して印刷することを可能にするサービスで使用するネットワークシステム1の構成例を説明する図である。
このサービスは、「どこでもプリントサービス」とも呼ばれる。また、文書ファイルはファイルの一例である。
本実施の形態におけるネットワークシステム1は、情報処理システムの一例である。
【0010】
図1に示すネットワークシステム1は、クラウドネットワーク10に接続されるクラウドストレージ20と、ユーザ端末30と、プリントサーバ40と、ディレクトリサーバ50と、シングルサインオン(以下「SSO」という)サーバ60と、複数台の画像形成装置70とで構成される。
図中、クラウドストレージ20とユーザ端末30はそれぞれ1台であるが、物理的には複数台でもよい。
【0011】
クラウドネットワーク10は、有線ネットワークに限らず、無線ネットワークでもよい。また、クラウドネットワーク10は、有線ネットワークと無線ネットワークの組み合わせでもよい。
図1では、ユーザ端末30と画像形成装置70がLAN(=Local Area Network)経由でクラウドネットワーク10に接続されているが、ユーザ端末30や画像形成装置70の全部又は一部が、クラウドネットワーク10に直接接続されていてもよい。
【0012】
クラウドストレージ20は、文書ファイルが記憶されるストレージである。本実施の形態における文書ファイルは、コンピュータを用いて生成されるデータファイルであり、例えば文字、図、画像で構成される。画像は、静止画像と動画像を含み、例えばカメラやイメージセンサで撮像されるイメージデータ、ファクシミリのイメージデータがある。
もっとも、本実施の形態で扱う文書ファイルは、特定の用途や特定の分野で扱うデータファイルに限らない。例えばオフィス内で扱うデータファイルに限らない。
【0013】
クラウドストレージ20は、文書ファイルが記憶されるストレージである。本実施の形態におけるクラウドストレージ20には、文書ファイルの一覧の取得に用いられる同期型のAPI(=Application Programming Interface)と、文書ファイルの実体データの取得に用いられる同期型のAPIと、文書ファイルの変更の通知に用いられる非同期型のAPIとが設けられている。
【0014】
文書ファイルの変更には、挿入、更新、削除がある。
文書ファイルの一覧は、画像形成装置70を操作するユーザが、印刷の対象とする文書ファイルを選択する場合に使用される。
文書ファイルの一覧は、文書ファイルに関連するユーザを識別する情報、文書ファイルが存在する場所を識別する情報、文書ファイルの表示名等で構成される。なお、文書ファイルの一覧は、第1の情報の一例である。
【0015】
ユーザ端末30は、どこでもプリントサービスを利用するユーザが、クラウドストレージ20上の文書ファイルを操作するために使用するコンピュータである。具体的には、ユーザ端末30は、クラウドストレージ20に対する文書ファイルの挿入、クラウドストレージ20に記憶されている文書ファイルの更新、クラウドストレージ20に記憶されている文書ファイルの削除に用いられる。
図1では、ユーザ端末30としてノート型のコンピュータを例示しているが、例えば据え置き型のコンピュータ、タブレット型のコンピュータ、スマートフォンでもよい。なお、ユーザ端末30は、外部装置の一例である。
【0016】
プリントサーバ40は、クラウドストレージ20と画像形成装置70との通信を仲介し、画像形成装置70から指定された特定の文書ファイルをクラウドストレージ20から取得して印刷するサービスを可能にするサーバである。
プリントサーバ40は、前述した同期型のAPIを使用し、クラウドストレージ20から文書ファイルの一覧や文書ファイルの実体データを取得し、対象とする画像形成装置70に送信する機能を有している。プリントサーバ40には、取得された文書ファイルの実体データを、画像形成装置70が印刷可能なデータ形式に変換して出力する機能が備えられている。画像形成装置70に出力される実体データは、PDL(=Page Description Language)で記述される。
【0017】
プリントサーバ40は、前述した非同期型のAPIを使用し、クラウドストレージ20に記憶されている文書ファイルの変更を検知する機能を有している。この検知の機能により、プリントサーバ40は、クラウドストレージ20内における文書ファイルの状況をほぼリアルタイムで検知する。
この他、プリントサーバ40は、予め定めた条件を満たす特定の画像形成装置70を優先機として管理する機能を有している。
本実施の形態の場合、全ての画像形成装置70に共通の基準を使用し、優先機として管理するか否かを判定する。もっとも、1つ又は複数の画像形成装置70毎に異なる条件を与えることも可能である。
【0018】
予め定めた条件は、どこでもプリントサービスの利用の状況を判断する基準を与える。本実施の形態では、予め定めた期間内における利用の回数や利用の頻度が閾値より多い場合を「予め定めた条件を満たす」といい、予め定めた期間内における利用の回数や利用の頻度が閾値以下の場合を「予め定めた条件を満たさない」という。本実施の形態の場合、利用の回数や利用の頻度は、画像形成装置70を利用するユーザを区別せずに計算される。
【0019】
本実施の形態の場合、プリントサーバ40は、どこでもプリントサービスの利用が可能な画像形成装置70のうち優先機に登録された画像形成装置70に対して、文書ファイルが記憶されている場所を表す文書ファイルの一覧を送信し、記憶させる。すなわち、プリントサーバ40は、どこでもプリントサービスを利用するユーザから文書ファイルの一覧の表示が指示される前に、優先機である画像形成装置70に対して文書ファイルの一覧を送信する。この結果、優先機に登録された画像形成装置70では、どこでもプリントサービスを利用する度に、文書ファイルの一覧をプリントサーバ40から取得する必要がなくなり、文書ファイルの一覧が表示されるまでの時間の短縮が可能になる。
【0020】
もっとも、本実施の形態におけるプリントサーバ40は、どこでもプリントサービスの利用を受け付けた画像形成装置70からの通知の受信に伴って優先機の条件を満たすか否かを判定する。
このため、プリントサーバ40は、どこでもプリントサービスを利用する画像形成装置70が優先機に登録される受信回では、クラウドストレージ20から文書ファイルの一覧を取得して、画像形成装置70に通知する動作が残ることになる。ただし、2度目以降の利用では、ユーザの操作に伴う文書ファイルの一覧の取得は不要になる。
なお、文書ファイルの一覧は、第1の情報の一例である。また、プリントサーバ40は、情報処理装置の一例である。
【0021】
なお、プリントサーバ40は、優先機に登録された画像形成装置70の文書ファイルの一覧を常に最新の状態に管理する機能も備えている。例えばクラウドストレージ20に存在する文書ファイルに変更が生じた場合、プリントサーバ40は、リアルタイムで優先機に登録されている画像形成装置70に変更の内容を通知する。これにより、画像形成装置70に記憶されている文書ファイルの一覧は、クラウドストレージ20と同期状態になる。従って、どこでもプリントサービスの利用の指示があっても、新たに文書ファイルの一覧は取得されることはない。換言すると、この同期に伴う文書ファイルの一覧の送信は、ユーザから文書ファイルの一覧の表示が指示される前に実行される。この場合、ユーザから文書ファイルの一覧の表示が指示される前には、ユーザによるログインの前と文書ファイルの一覧の表示の指示の前の両方が含まれる。
【0022】
この他、本実施の形態におけるプリントサーバ40は、優先機の登録の解除も管理する。優先機の登録の解除も、全ての画像形成装置70に共通の基準が使用される。なお、解除の判定に用いる基準は、登録の判定に用いる基準とは異なる。
プリントサーバ40は、優先機以外の画像形成装置70には、どこでもプリントサービスの利用中に限り、文書ファイルの一覧を通知し、その記憶は指示しない。換言すると、どこでもプリントサービスの利用が終わると、文書ファイルの一覧は画像形成装置70から削除される。
この結果、優先機に登録されていない画像形成装置70では、どこでもプリントサービスの利用の度に、文書ファイルの一覧をクラウドストレージ20から取得する時間が必要になる。この点が優先機に登録されている画像形成装置70との違いである。
【0023】
ディレクトリサーバ50は、ユーザ端末30の権限を管理するサーバであり、ユーザ端末30からプリントサーバ40への認証の手続きを一元化する。
SSOサーバ60は、一度の認証により、複数のサービスの利用を可能にするサーバであり、クラウドストレージ20へのアクセスを可能にする。
画像形成装置70は、どこでもプリントサービスの利用をユーザから受け付けた場合、プリントサーバ40から文書ファイルの一覧を取得してユーザに提示し、ユーザにより選択された文書ファイルを印刷する装置である。もっとも、本実施の形態で使用する画像形成装置70には、印刷以外の機能も設けられている。
【0024】
例えば画像形成装置70は、プリントサーバ40に対してユーザの認証を要求する機能と、プリントサーバ40から取得した文書ファイルの一覧を装置内に記憶する機能を有している。
これらの機能により、本実施の形態における画像形成装置70は、どこでもプリントサービスの利用をユーザから受け付ける度に、クラウドストレージ20に問い合わせなくても、装置内に記憶されている文書ファイルの一覧を読み出してユーザに提示することが可能である。プリントサーバ40を経由するクラウドストレージ20との通信が省略されるため、文書ファイルの一覧が提示されるまでのユーザの待ち時間が短縮される。
【0025】
ただし、提示した文書ファイルの一覧にユーザが指定した文書ファイルが存在しない場合、画像形成装置70は、プリントサーバ40に対して文書ファイルの一覧に存在しない文書ファイルの取得を要求する機能も備えている。
この場合には、新たな文書ファイルの一覧を取得するための通信が必要であり、新たな文書ファイルの一覧が既存の文書ファイルの一覧に反映されて表示されるまでの待ち時間が発生する。
【0026】
もっとも、新たに取得する文書ファイルの一覧は差分情報で済むため、文書ファイルの一覧の全てを一度に取得する場合に比して通信に要する時間の短縮が期待される。
この他、画像形成装置70には、プリントサーバ40から文書ファイルの一覧の変更の通知を受信した場合、保持している文書ファイルの一覧に反映することにより、クラウドストレージ20における文書ファイルの状態との整合性を保つ機能も備えている。本実施の形態における画像形成装置70は情報端末の一例である。
【0027】
<システムを構成する各装置の構成>
以下では、ネットワークシステム1を構成する装置のうちの幾つかについて、より詳細に装置の構成を説明する。
【0028】
<プリントサーバの構成>
図2は、実施の形態1で使用するプリントサーバ40の構成例を示す図である。
図2に示すプリントサーバ40は、プログラムの実行を通じて装置全体を制御するプロセッサ401と、プロセッサ401と共にコンピュータを形成する半導体メモリ402と、プログラムや管理に必要なデータを記憶するハードディスク装置403と、入出力ポート404と、外部との通信を実現する通信装置405とを有している。これらの各部は、バスや各種の信号線により接続されている。
ここでのプロセッサ401は、第2のプロセッサの一例である。
【0029】
半導体メモリ402は、BIOS(=Basic Input Output System)等が記憶されたROM(=Read Only Memory)とワークエリアとして使用されるRAM(=Random Access Memory)とで構成される。RAMは、主記憶装置である。
ハードディスク装置403は、磁気ディスクを記憶媒体とする補助記憶装置である。もっとも、補助記憶装置にも半導体メモリを用いてもよい。
本実施の形態の場合、ハードディスク装置403には、優先機を管理するテーブル403A(以下「優先機管理テーブル403A」ともいう)が記憶されている。
【0030】
図3は、実施の形態1で使用する優先機管理テーブル403Aの一例を説明する図である。本実施の形態の場合、優先機管理テーブル403Aは、どこでもプリントサービスの利用が可能な画像形成装置70(図1参照)を識別する情報に紐づけて、優先機の登録の有無に関する情報と、利用の履歴の情報とが紐付けられた状態とが記憶されている。
優先機とする画像形成装置を識別する情報には、例えばメールアドレス、IP(=Internet Protocol)アドレス、MAC(=Media Access Control)アドレス、デバイス名その他が用いられる。
【0031】
本実施の形態の場合、どこでもプリントサービスの利用が可能な画像形成装置70として5台の装置が管理されている。
本実施の形態の場合、優先機の登録はユーザとは無関係である。このため、図3に示す優先機管理テーブル403Aには、ユーザを識別する情報との紐付けは含まない。
優先機の登録の有無に関する情報における記号の○は、利用の履歴が予め定めた条件を満たす場合に付される。一方、優先機の登録の有無に関する情報における記号の×は、利用の履歴が予め定めた条件を満たさない場合に付される。
通信装置405は、各種の通信規格に準拠したモジュールで構成される。通信装置405は、例えばLAN(=Local Area Network)モジュール、ブルートゥース(登録商標)モジュール、公衆交感電話網との通信モジュールを使用する。
【0032】
<画像形成装置の構成>
本実施の形態で使用する画像形成装置70(図1参照)は、原稿の複製物を生成するコピー機能、用紙に文書や画像を印刷する印刷機能、原稿のイメージを光学的に読み取るスキャナ機能、ユーザの認証に必要な情報を取得する機能等を備えている。
図4は、実施の形態1で使用する画像形成装置70の構成例を説明する図である。
【0033】
図4に示す画像形成装置70は、プログラムの実行を通じて装置全体を制御するプロセッサ701と、プロセッサ701と共にコンピュータを形成する半導体メモリ702と、プログラムや印刷データ等を記憶するハードディスク装置703と、原稿のイメージを光学的に読み取るスキャナ704と、記録媒体の一例である用紙の表面に画像を形成する印刷エンジン705と、処理対象とする画像データに色補正や階調補正等の処理を加える画像処理部706と、ユーザの指示の受け付けや情報の表示に使用される操作受付部707と、操作用の情報を表示するディスプレイ708と、外部との通信に用いる通信装置709とを有している。これらの各部は、バスや不図示の信号線により接続されている。
ここでのプロセッサ701は、第1のプロセッサの一例である。
【0034】
半導体メモリ702は、BIOS等が記憶されたROMと、ワークエリアとして用いられるRAMとで構成される。RAMは、主記憶装置である。
ハードディスク装置703は、磁気ディスクを記憶媒体とする補助記憶装置である。もっとも、補助記憶装置にも半導体メモリを用いてもよい。
本実施の形態の場合、ハードディスク装置703には、文書ファイルの一覧703Aが記憶されている。
図5は、文書ファイルの一覧703Aの一例を説明する図である。本実施の形態の場合、文書ファイルの一覧703Aは、優先機に登録された画像形成装置70(図1参照)のハードディスク装置703(図4参照)に記憶される。従って、優先機に登録されていない画像形成装置70には、文書ファイルの一覧703Aは記憶されない。
【0035】
図5に示す文書ファイルの一覧703Aは、ユーザを識別する情報と、文書ファイルの場所を識別する情報と、表示名とで構成される。
ユーザを識別する情報には、例えばユーザについて登録されているメールアドレス、社員番号、指名、所属その他が用いられる。図5の例では、ユーザを識別する情報として、メールアドレスが記載されている。
文書ファイルの場所を識別する情報は、ユーザに関連付けられている文書ファイルが存在するクラウドストレージ20(図1参照)上の場所を示す。文書ファイルの場所を識別する情報は、例えばURL(=Uniform Resource Locator)で表される。
図5に示す文書ファイルの一覧703Aの場合、山田太郎については表示名が「メモ帳」と「報告書」の2つの文書ファイルが記憶され、横浜花子については表示名が「週報」である1つの文書ファイルが記憶されている。
【0036】
図4の説明に戻る。
スキャナ704は、光学的に原稿のイメージを読み取るデバイスであり、画像読取部の一例である。本実施の形態におけるスキャナ704には、読み取り位置に原稿を1枚ずつ搬送する機構も取り付けられている。この種の機構は、例えばADF(=Auto Document Feeder)と呼ばれる。
印刷エンジン705は、電子写真方式やインクジェット方式等により用紙の表面に画像を印刷するデバイスである。用紙は、記録媒体の一例である。印刷エンジン705には、用紙を1枚ずつ搬送する機構も取り付けられている。印刷エンジン705は、画像形成部の一例である。
【0037】
画像処理部706は、使用する機能に応じた画像処理を実行するための専用のプロセッサや処理回路等で構成される。
操作受付部707は、ユーザによる指示の入力に用いられるデバイスである。操作受付部707は、ディスプレイ708の表面に設けられる静電容量式のフィルムセンサや各種のボタンで構成される。このうち、静電容量式のフィルムセンサは、ディスプレイ708に表示される画像の観察を妨げない特性を有し、ユーザが操作する位置の検知に使用される。
ディスプレイ708は、有機EL(=Electro Luminescent)ディスプレイや液晶ディスプレイである。
通信装置709は、各種の通信規格に準拠したモジュールで構成される。通信装置709は、例えばLAN、公衆電話網との通信が可能である。
【0038】
<処理動作>
<プリントサーバの処理動作>
図6は、実施の形態1で使用するプリントサーバ40(図1参照)で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。図中に示す記号のSはステップを意味する。なお、図6に示す処理動作は、プリントサーバ40のプロセッサ401(図2参照)が実行する。
まず、プロセッサ401は、どこでもプリントサービスの指示を受け付けた画像形成装置70(図1参照)からの文書ファイルの要求の日時を記憶する(ステップ11)。
次に、プロセッサ401は、要求元である画像形成装置からの要求の回数と要求の頻度を更新する(ステップ12)。すなわち、プロセッサ401は、優先機管理テーブル403A(図3参照)の利用の履歴を更新する。
【0039】
次に、プロセッサ401は、要求元である画像形成装置70が優先機か否かを判定する(ステップ13)。本実施の形態の場合、プロセッサ401は、優先機管理テーブル403Aを参照し、要求元である画像形成装置70が優先機に登録されているか否かを判定する。
要求元である画像形成装置70が優先機の場合、プロセッサ401は、ステップ13で肯定結果を得る。
この場合、プロセッサ401は、要求元である画像形成装置70に関する利用の履歴が解除条件を満たすか否かを判定する(ステップ14)。
【0040】
図7は、実施の形態1のステップ14で実行される処理動作の例を説明するフローチャートである。
プロセッサ401は、要求元の画像形成装置70が文書ファイルの取得を最後に要求してから経過した期間は閾値A以上か否かを判定する(ステップ141)。この判定は、どこでもプリントサービスが長らく利用されていない画像形成装置70を優先機の登録から解除する目的で実行される。
閾値Aは、例えば経験則に基づいて設定される。閾値Aは、プリントサーバ40を管理するスタッフによる変更が可能である。
【0041】
優先機に登録された画像形成装置70の場合、文書ファイルの一覧を取得するための通信は省略が可能であるが、クラウドストレージ20(図1参照)から特定の文書ファイルを取得するためのプリントサーバ40(図1参照)への通信は無くならない。プリントサーバ40は、この文書ファイルの取得に伴うアクセスを利用の履歴として管理する。
文書ファイルを最後に要求してから経過した期間が閾値A以上の場合、プロセッサ401は、ステップ141で肯定結果を得る。
一方、文書ファイルを最後に要求してから経過した期間が閾値A未満の場合、プロセッサ401は、ステップ141で否定結果を得る。
【0042】
ステップ141で否定結果が得られた場合、プロセッサ401は、要求元の画像形成装置70が文書ファイルの取得を要求する頻度は閾値B以下か否かを判定する(ステップ142)。この判定は、最後の利用からの経過の期間は短くても利用の頻度が少ない画像形成装置70については優先機の登録から解除する目的で実行される。
閾値Bも、例えば経験則に基づいて設定される。閾値Bは、プリントサーバ40を管理するスタッフによる変更が可能である。
文書ファイルの取得を要求する頻度は閾値B以下の場合、プロセッサ401は、ステップ142で肯定結果を得る。
一方、文書ファイルの取得を要求する頻度が閾値Bを超える場合、プロセッサ401は、ステップ142で否定結果を得る。
【0043】
ステップ141又はステップ142で肯定結果が得られた場合が、ステップ14で肯定結果が得られる場合に相当する。この場合、プロセッサ401は、ステップ15(図6参照)に進み、要求元の画像形成装置70に関する優先機の登録を解除する。本実施の形態におけるプロセッサ401は、優先機の登録が解除された場合、要求元の画像形成装置70に対して印刷の終了後に文書ファイルの一覧を削除するように指示する。
【0044】
一方、ステップ141とステップ142の両方で否定結果が得られた場合が、ステップ14で否定結果が得られる場合に相当する。ステップ141とステップ142に示す条件は、第2の条件の一例である。また、閾値Aは、第2の閾値の一例であり、閾値Bは、第3の閾値の一例である。この場合、プロセッサ401は、図6の処理動作を終了する。
【0045】
図6の説明に戻る。
要求元である画像形成装置70が優先機でなかった場合、プロセッサ401は、ステップ13で否定結果を得る。
この場合、プロセッサ401は、要求元である画像形成装置70に関する利用の履歴が登録条件を満たすか否かを判定する(ステップ16)。
【0046】
図8は、実施の形態1のステップ16で実行される処理動作の例を説明するフローチャートである。
プロセッサ401は、要求元の画像形成装置が予め定めた期間内に文書ファイルを要求した回数は閾値C以上か否かを判定する(ステップ161)。この判定は、どこでもプリントサービスの利用の回数が多い画像形成装置70を優先機に登録する目的で実行される。
閾値Cは、例えば経験則に基づいて設定される。閾値Cは、プリントサーバ40を管理するスタッフによる変更が可能である。
【0047】
また、予め定めた期間は、例えば経験則に基づいて設定される。予め定めた期間も、プリントサーバ40を管理するスタッフによる変更が可能である。なお、予め定めた期間が経過する度に、文書ファイルを要求した回数と利用の頻度はリセットされる。もっとも、それらの履歴はログとして記憶されてもよい。
予め定めた期間内に文書ファイルを要求した回数が閾値C以上の場合、プロセッサ401は、ステップ161で肯定結果を得る。
一方、予め定めた期間内に文書ファイルを要求した回数が閾値C未満の場合、プロセッサ401は、ステップ161で否定結果を得る。
【0048】
ステップ161で否定結果が得られた場合、プロセッサ401は、要求元の画像形成装置が予め定めた期間内に文書ファイルを要求した頻度は閾値D以上か否かを判定する(ステップ162)。この判定は、利用の回数は少なくても利用の頻度が多い画像形成装置70については優先機に登録する目的で実行される。
閾値Dも、例えば経験則に基づいて設定される。閾値Dは、プリントサーバ40を管理するスタッフによる変更が可能である。
【0049】
ステップ161又はステップ162で肯定結果が得られた場合が、ステップ16で肯定結果が得られる場合に相当する。この場合、プロセッサ401は、ステップ17(図6参照)に進み、要求元の画像形成装置70を優先機に登録する。
一方、ステップ161とステップ162の両方で否定結果が得られた場合が、ステップ16で否定結果が得られる場合に相当する。この場合、プロセッサ401は、図6の処理動作を終了する。
なお、ステップ161とステップ162に示す条件は、予め定めた条件の一例である。また、閾値Cと閾値Dは予め定めた閾値の一例である。
【0050】
<画像形成装置の処理動作>
図9は、実施の形態1で使用する画像形成装置70(図1参照)で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。図中に示す記号のSはステップを意味する。なお、図9に示す処理動作は、画像形成装置70のプロセッサ701(図4参照)が実行する。
まず、プロセッサ701は、どこでもプリントサービスの選択を受け付けたか否かを判定する(ステップ21)。
図9の場合、ステップ21で否定結果が得られている間、プロセッサ701は、ステップ21の判定を繰り返す。
【0051】
ステップ21で肯定結果が得られた場合、プロセッサ701は、自装置内に文書ファイルの一覧があるか否かを判定する(ステップ22)。
文書ファイルの一覧が存在する場合、プロセッサ701は、ステップ22で肯定結果を得る。この場合、プロセッサ701は、記憶されている文書ファイルの一覧を表示する(ステップ23)。
次に、プロセッサ701は、既存の文書ファイルの一覧には存在しない場所の表示を要求しているか否かを判定する(ステップ24)。
文書ファイルの一覧に存在しない場所が指示された場合、プロセッサ701は、ステップ24で肯定結果を得る。
【0052】
ステップ24で肯定結果が得られた場合、プロセッサ701は、プリントサーバ40(図1参照)に対し、指示された場所にある文書ファイルの一覧の送信を要求する(ステップ25)。
この後、プロセッサ701は、新たに取得した文書ファイルの一覧を、既存の文書ファイルの一覧に反映して表示する(ステップ26)。
また、プロセッサ701は、新たに取得した文書ファイルの一覧を、既存の文書ファイルの一覧に反映して記憶する(ステップ27)。
【0053】
この処理の後、プロセッサ701は、ステップ24の判定に戻る。
既存の文書ファイルの一覧に存在する文書ファイルの印刷が指示された場合、プロセッサ701は、ステップ24で否定結果を得る。
ステップ24で否定結果が得られた場合、プロセッサ701は、文書ファイルの実体データをプリントサーバ40に要求し(ステップ28)、取得した実体データに基づいて印刷を実行する(ステップ29)。
これに対し、ステップ22で否定結果が得られた場合、プロセッサ701は、ステップ30を実行する。ここで、ステップ22で否定結果が得られる場合は、自装置内に文書ファイルの一覧が存在しない場合である。例えば画像形成装置70が優先機に登録されていない場合が相当する。
【0054】
ステップ22で否定結果が得られた場合、プロセッサ701は、プリントサーバ40に文書ファイルの一覧を要求する(ステップ30)。もっとも、本実施の形態では、どこでもプリントサービスの利用の要求として、プリントサーバ40に通知される。
文書ファイルの一覧がプリントサーバ40から受信されると、プロセッサ701は、受信した文書ファイルの一覧を表示する(ステップ31)。
次に、プロセッサ701は、文書ファイルの一覧の記憶が指示されているか否かを判定する(ステップ32)。
【0055】
優先機に登録されていない画像形成装置70の場合、文書ファイルの一覧の記憶は指示されない。このため、プロセッサ701は、ステップ32で否定結果を得、ステップ28に進む。文書ファイルの一覧の記憶が指示されていないので、文書ファイルの一覧は、表示後に画像形成装置70から削除される。
一方、優先機に登録されている画像形成装置70の場合、文書ファイルの一覧の記憶が指示される。このため、プロセッサ701は、ステップ32で肯定結果を得、文書ファイルの一覧を記憶する(ステップ33)。なお、プロセッサ701は、ステップ33の実行後、ステップ28に進む。
【0056】
<システム全体の処理シーケンス>
<画像形成装置が優先機として登録されていない場合>
図10は、優先機として登録されていない画像形成装置70からどこでもプリントサービスが利用される場合の処理シーケンスの一例を示す図である。図中に示す記号のSはステップを意味する。
一連の処理シーケンスは、ユーザがいずれかの画像形成装置70のICカードをかざすことで開始される(ステップ101)。
【0057】
ICカードからユーザの情報を取得した画像形成装置70は、プリントサーバ40に対し、ユーザの認証を要求する(ステップ102)。この要求を受け付けたプリントサーバ40は、ディレクトリサーバ50に対し、ユーザの認証を要求する(ステップ103)。認証の結果は、ディレクトリサーバ50からプリントサーバ40を通じて画像形成装置70に通知される。
認証に成功したユーザは、画像形成装置70の操作が可能になる。例えば画像形成装置70のディスプレイ708(図4参照)には、ユーザが操作可能なボタン類が表示される。
【0058】
なお、プリントサーバ40は、認証が成功した段階で、認証を要求した画像形成装置70を優先機として登録するか否かを判定する(ステップ104)。図10は、優先機として登録されない場合であるので、優先機としての登録はプリントサーバ40において行われない。
続いて、ユーザは、どこでもプリントサービスの利用を指示する(ステップ105)。この指示を受け付けた画像形成装置70は、プリントサーバ40に対し、どこでもプリントサービスの利用を要求する(ステップ106)。要求を受け付けたプリントサーバ40は、SSOサーバ60に対して認証を要求する(ステップ107)。
【0059】
認証に成功すると、プリントサーバ40は、クラウドストレージ20に対し、文書ファイルの一覧を要求する(ステップ108)。
クラウドストレージ20は、要求された文書ファイルの一覧を返信する(ステップ109)。
文書ファイルの一覧を受信したプリントサーバ40は、要求元である画像形成装置70に対し、文書ファイルの一覧を通知する(ステップ110)。画像形成装置70は、受信した文書ファイルの一覧を記憶する。
文書ファイルの一覧を受信した画像形成装置70は、ユーザからファイルの一覧の表示の指示を受け付けると、記憶している文書ファイルの一覧を表示する(ステップ111)。本実施の形態の場合、表示される文書ファイルの一覧は、ステップ102で認証されたユーザの文書ファイルに限られ、別のユーザに関する文書ファイルの一覧は表示されない。
【0060】
この後、ユーザが特定の文書ファイルを選択して印刷を指示すると(ステップ112)、画像形成装置70は、プリントサーバ40に対し、選択された文書ファイルの取得を要求する(ステップ113)。なお、プリントサーバ40は、特定の文書ファイルが存在するクラウドストレージ20に対し、文書ファイルの取得を要求する(ステップ114)。
文書ファイルの実体データが取得されると、プリントサーバ40は、実体データをPDL変換し(ステップ115)、生成された印刷データを画像形成装置70に出力する(ステップ116)。この後、画像形成装置70は、印刷データに基づいた印刷を実行する。
【0061】
図10に示すように、優先機に登録されていない画像形成装置70からどこでもプリントサービスの利用が要求された場合、文書ファイルの一覧をクラウドストレージ20から取得する通信が発生する。このため、画像形成装置70は、どこでもプリントサービスの利用の要求を受け付けてから文書ファイルの一覧が表示されるまでに待ち時間が発生する。
【0062】
<画像形成装置が新たに優先機として登録される場合>
図11は、優先機として新たに登録される画像形成装置70からどこでもプリントサービスが利用される場合の処理シーケンスの一例を示す図である。図11には、図10との対応部分に対応する符号を付して示している。
この処理シーケンスも、ユーザがいずれかの画像形成装置70のICカードをかざすことで開始される(ステップ101)。
ICカードからユーザの情報を取得した画像形成装置70は、プリントサーバ40に対し、ユーザの認証を要求する(ステップ102)。この要求を受け付けたプリントサーバ40は、ディレクトリサーバ50に対し、ユーザの認証を要求する(ステップ103)。認証の結果は、ディレクトリサーバ50からプリントサーバ40を通じて画像形成装置70に通知される。
【0063】
認証に成功したユーザは、画像形成装置70の操作が可能になる。例えば画像形成装置70のディスプレイ708(図4参照)には、ユーザが操作可能なボタン類が表示される。
プリントサーバ40は、認証が成功した段階で、認証を要求した画像形成装置70を優先機として登録するか否かを判定する(ステップ104)。図11の場合は、既に優先機として登録される条件を満たしている。このため、プリントサーバ40は、認証を要求した画像形成装置70を優先機に登録する(ステップ104A)。
【0064】
続いて、ユーザは、どこでもプリントサービスの利用を指示する(ステップ105)。図11における画像形成装置70は優先機であるが、この段階では、文書ファイルの一覧が装置内に記憶されていない。このため、画像形成装置70は、プリントサーバ40に対し、どこでもプリントサービスの利用を要求する(ステップ106)。要求を受け付けたプリントサーバ40は、SSOサーバ60に対して認証を要求する(ステップ107)。
認証に成功すると、プリントサーバ40は、クラウドストレージ20に対し、文書ファイルの一覧を要求する(ステップ108)。
クラウドストレージ20は、要求された文書ファイルの一覧を返信する(ステップ109)。
【0065】
文書ファイルの一覧を受信したプリントサーバ40は、要求元である画像形成装置70に対し、文書ファイルの一覧を通知すると共に文書ファイルの一覧の記憶を要求する(ステップ110A)。
要求を受け付けた画像形成装置70は、文書ファイルの一覧を表示する(ステップ111A)と共に文書ファイルの一覧を記憶する(ステップ111B)。勿論、ステップ111Aでは、ステップ102で認証されたユーザに関する文書ファイルの一覧だけが表示され、別のユーザに関する文書ファイルの一覧は表示されない。
【0066】
この後、ユーザが特定の文書ファイルを選択して印刷を指示すると(ステップ112)、画像形成装置70は、プリントサーバ40に対し、選択された文書ファイルの取得を要求する(ステップ113)。なお、プリントサーバ40は、特定の文書ファイルが存在するクラウドストレージ20に対し、文書ファイルの取得を要求する(ステップ114)。
文書ファイルの実体データが取得されると、プリントサーバ40は、実体データをPDL変換し(ステップ115)、生成された印刷データを画像形成装置70に出力する(ステップ116)。この後、画像形成装置70は、印刷データに基づいた印刷を実行する。
【0067】
図11の場合、画像形成装置70は優先機に登録されるが、登録された直後の画像形成装置70には文書ファイルの一覧が記憶されていない。このため、プリントサーバ40による管理が優先機に切り替わった直後は、文書ファイルの一覧をクラウドストレージ20から取得する通信が発生する。
このため、画像形成装置70は、どこでもプリントサービスの利用の要求を受け付けてから文書ファイルの一覧が表示されるまでに待ち時間が発生する。
【0068】
<画像形成装置が優先機に登録されてから2回目以降の場合>
図12は、優先機として既に登録済みの画像形成装置70からどこでもプリントサービスが利用される場合の処理シーケンスの一例を示す図である。図12には、図11との対応部分に対応する符号を付して示している。
この処理シーケンスも、ユーザがいずれかの画像形成装置70のICカードをかざすことで開始される(ステップ101)。
ICカードからユーザの情報を取得した画像形成装置70は、プリントサーバ40に対し、ユーザの認証を要求する(ステップ102)。この要求を受け付けたプリントサーバ40は、ディレクトリサーバ50に対し、ユーザの認証を要求する(ステップ103)。認証の結果は、ディレクトリサーバ50からプリントサーバ40を通じて画像形成装置70に通知される。
【0069】
認証に成功したユーザは、画像形成装置70の操作が可能になる。例えば画像形成装置70のディスプレイ708(図4参照)には、ユーザが操作可能なボタン類が表示される。
プリントサーバ40は、認証が成功した段階で、認証を要求した画像形成装置70を優先機として登録するか否かを判定する(ステップ104)。もっとも、図12の場合は、既に優先機として登録されている。このため、プリントサーバ40は、優先機の解除条件を満たすか否かも判定する。
【0070】
続いて、ユーザは、どこでもプリントサービスの利用を指示する(ステップ105)。図12で説明する画像形成装置70には、文書ファイルの一覧が装置内に記憶されている。
このため、画像形成装置70は、装置内に記憶されている文書ファイルの一覧を即座に表示する(ステップ111A)。勿論、ステップ111Aでは、ステップ102で認証されたユーザに関する文書ファイルの一覧だけが表示され、別のユーザに関する文書ファイルの一覧は表示されない。
【0071】
なお、画像形成装置70は、表示中の文書ファイルの一覧とは別の場所の表示がユーザより指示された場合、ユーザにより指示された場所に存在する文書ファイルの一覧の取得をプリントサーバ40に要求する。この場合、画像形成装置70は、プリントサーバ40からの新たな文書ファイルの一覧の通知を待機する。ここでの新たな文書ファイルの一覧は、第2の情報の一例である。
因みに、画像形成装置70は、新たに取得した文書ファイルの一覧を既存の文書ファイルの一覧に反映して表示する。
【0072】
この後、ユーザが特定の文書ファイルを選択して印刷を指示すると(ステップ112)、画像形成装置70は、プリントサーバ40に対し、選択された文書ファイルの取得を要求する(ステップ113)。なお、プリントサーバ40は、特定の文書ファイルが存在するクラウドストレージ20に対し、文書ファイルの取得を要求する(ステップ114)。
【0073】
文書ファイルの実体データが取得されると、プリントサーバ40は、実体データをPDL変換し(ステップ115)、生成された印刷データを画像形成装置70に出力する(ステップ116)。この後、画像形成装置70は、印刷データに基づいた印刷を実行する。
図12に示す例の場合、画像形成装置70は、プリントサーバ40に対する通信なしに、文書ファイルの一覧の表示が可能である。すなわち、図12に示す例の画像形成装置70では、どこでもプリントサービスの利用の要求を受け付けてから文書ファイルの一覧が表示されるまでの待ち時間が短縮される。
【0074】
<画像形成装置に対する優先機の登録が解除される場合>
優先機として登録されていた画像形成装置70が優先機の解除条件を満たす場合、図11に示した処理シーケンスと同様になる。
本実施の形態の場合、プリントサーバ40は、ユーザ認証の要求元である画像形成装置70が優先機の解除条件を満たすと判定した場合、ステップ104Aで優先機の登録を解除し、要求元の画像形成装置70に対し、文書ファイルの一覧の削除を指示する。この点が、前述した図11に示す処理シーケンスとの違いである。
このため、どこでもプリントサービスの利用をユーザが画像形成装置70に指示すると、プリントサーバ40は、文書ファイルの一覧をクラウドストレージ20から取得して画像形成装置70に通知する。
【0075】
<実施の形態2>
本実施の形態では、優先機に登録された特定の画像形成装置70(図1参照)に記憶されている文書ファイルの一覧を最新の状態に維持する機能をプリントサーバ40(図1参照)に設ける場合について説明する。
このため、本実施の形態で使用するシステム構成や各装置の構成は実施の形態1と同じである。
【0076】
図13は、実施の形態2で使用するプリントサーバ40(図1参照)で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。図中に示す記号のSはステップを意味する。なお、図13に示す処理動作は、プリントサーバ40のプロセッサ401(図2参照)が実行する。
プロセッサ401は、文書ファイルの変更の通知をクラウドストレージ20から受信したか否かを判定している(ステップ31)。この通知は、クラウドストレージ20が非同期型のAPIを用いて通知する。なお、クラウドストレージ20に記憶されている文書ファイルの変更は、ユーザ端末30(図1参照)から指示される。
【0077】
文書ファイルの変更には、挿入、更新、削除がある。クラウドストレージ20は、文書ファイルの変更を検知すると、通知先として事前に設定されているプリントサーバ40に対し、即座に通知する。
なお、プリントサーバ40が定期的にクラウドストレージ20に対して文書ファイルの変更の有無を問い合わせてもよい。この問い合わせには、クラウドストレージ20に用意されている同期型のAPIが用いられる。
ステップ31で否定結果が得られている間、プロセッサ401は、ステップ31の判定を繰り返す。
【0078】
一方、ステップ31で肯定結果が得られた場合、プロセッサ401は、対象とする文書ファイルを含む一覧を通知済みの優先機があるか否かを判定する(ステップ32)。
ステップ32で否定結果が得られた場合、変更を反映する対象が存在しない。このため、プロセッサ401は、一連の処理を終了する。
一方、ステップ32で肯定結果が得られた場合、プロセッサ401は、該当する画像形成装置70に文書ファイルの変更を通知する(ステップ33)。この通知には、変更の内容が含まれる。
【0079】
図14は、文書ファイルの変更を反映する場合に実行される処理シーケンスの一例を示す図である。図中に示す記号のSはステップを意味する。
一連の処理シーケンスは、ユーザがユーザ端末30を用いてクラウドストレージ20の文書ファイルを変更することで開始される(ステップ121)。
文書ファイルの変更を検知したクラウドストレージ20は、プリントサーバ40に対し、文書ファイルの変更を通知する(ステップ122)。
通知を受け付けたプリントサーバ40は、対象とする文書ファイルを含む一覧を通知済みの優先機を特定する(ステップ123)。
【0080】
次に、プリントサーバ40は、特定された優先機である画像形成装置70に文書ファイルの変更を通知する(ステップ124)。換言すると、文書ファイルの変更は、プリントサーバ40から対象とする画像形成装置70にプッシュ配信される。
文書ファイルの変更の通知を受け付けた画像形成装置70は、通知の内容を装置内に記憶している文書ファイルの一覧に反映する(ステップ125)。これにより、画像形成装置70に記憶されている文書ファイルの一覧の内容と、クラウドストレージ20との同期が確保される。
【0081】
すなわち、ユーザが操作する画像形成装置70に表示される文書ファイルの一覧は常にクラウドストレージ20の状態を反映する。結果的に、ユーザが画像形成装置70に対して指示した場所に、ユーザが選択した文書ファイルが存在しないことがなく、文書ファイルの一覧の再取得に伴うユーザの待ち時間を無くすことが可能になる。
この場合、ユーザによる文書ファイルの一覧の表示の指示の前に、画像形成装置70に文書ファイルの一覧が記憶される。このため、ユーザが文書ファイルの表示を指示した場合には、待ち時間なく、最新の文書ファイルの一覧が表示される。
【0082】
図15は、画像形成装置70に記憶される文書ファイルの一覧703Aの変更例を説明する図である。(A)は文書ファイルの挿入の例であり、(B)は文書ファイルの更新の例であり、(C)は文書ファイルの削除の例である。
例えば変更の内容が挿入の場合、画像形成装置70における文書ファイルの一覧703Aには、新しく追加された文書ファイルの情報が追加される。図15では、メモ帳が文書ファイルの一覧703Aに追加されている。
【0083】
例えば変更の内容が文書ファイルの更新の場合、画像形成装置70における文書ファイルの一覧703Aでは変更があった項目の情報が更新される。図15では、表示名が「メモ帳」から「メモ帳2」に更新されている。この他、ユーザを識別する情報や文書ファイルの場所を識別する情報が更新の対象になる可能性もある。
例えば変更の内容が文書ファイルの削除の場合、画像形成装置70における文書ファイルの一覧703Aからは削除の対象である文書ファイルの情報が削除される。
【0084】
<実施の形態3>
本実施の形態で使用するプリントサーバ40は、ユーザ別に優先機を設定する。本実施の形態におけるユーザは1名である。
なお、本実施の形態で使用するシステム構成や各装置の構成は実施の形態1と同じである。
【0085】
図16は、実施の形態3で使用する優先機管理テーブル403A1の一例を説明する図である。図16には、図3との対応部分に対応する符号を付して示している。
プリントサーバ40が優先機の管理に使用する優先機管理テーブル403A1は、ユーザを識別する情報に紐付けて、画像形成装置を識別する情報と、優先機の登録の有無と、利用の頻度とが記憶されている。
図16に示す優先機管理テーブル403A1における利用の履歴は、特定のユーザによる特定の画像形成装置70の利用の履歴である。この点が、前述した実施の形態との違いである。このため、優先機の登録の有無は、ユーザ単位で判定される。従って、あるユーザについては優先機である画像形成装置70が、別のユーザについては優先機でないことが起こり得る。
【0086】
図17は、実施の形態3で使用するプリントサーバ40(図1参照)で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。図17には、図6との対応部分に対応する符号を付して示している。
図17に示す処理動作は、プリントサーバ40のプロセッサ401(図2参照)が実行する。
まず、プロセッサ401は、どこでもプリントサービスの指示を受け付けた画像形成装置70(図1参照)と認証されたユーザとの組み合わせについて文書ファイルの要求の日時を記憶する(ステップ11A)。
次に、プロセッサ401は、今回の組み合わせについて要求の回数と要求の頻度を更新する(ステップ12A)。すなわち、プロセッサ401は、優先機管理テーブル403A1(図16参照)の利用の履歴を更新する。
【0087】
次に、プロセッサ401は、要求元である画像形成装置70が認証されたユーザの優先機か否かを判定する(ステップ13A)。本実施の形態の場合、プロセッサ401は、優先機管理テーブル403A1を参照し、要求元である画像形成装置70が認証されたユーザの優先機に登録されているか否かを判定する。
要求元である画像形成装置70が認証されたユーザの優先機の場合、プロセッサ401は、ステップ13Aで肯定結果を得る。
この場合、プロセッサ401は、要求元である画像形成装置70を利用中のユーザの利用の履歴が解除条件を満たすか否かを判定する(ステップ14A)。
【0088】
図18は、実施の形態3のステップ14Aで実行される処理動作の例を説明するフローチャートである。
プロセッサ401は、認証されたユーザが要求元の画像形成装置70を用いて文書ファイルの取得を最後に要求してから経過した期間が閾値A1上か否かを判定する(ステップ141A)。この判定は、どこでもプリントサービスが長らく利用されていないユーザと画像形成装置70の組み合わせを優先機の登録から解除する目的で実行される。
閾値A1は、例えば経験則に基づいて設定される。閾値A1は、プリントサーバ40を管理するスタッフによる変更が可能である。
【0089】
文書ファイルを最後に要求してから経過した期間が閾値A1以上のユーザと画像形成装置70の組み合わせの場合、プロセッサ401は、ステップ141Aで肯定結果を得る。
一方、文書ファイルを最後に要求してから経過した期間が閾値A1未満のユーザと画像形成装置70の組み合わせの場合、プロセッサ401は、ステップ141Aで否定結果を得る。
【0090】
ステップ141Aで否定結果が得られた場合、プロセッサ401は、認証されたユーザが要求元の画像形成装置を用いて文書ファイルの取得を要求する頻度は閾値B1以下か否かを判定する(ステップ142A)。この判定は、最後の利用からの経過の期間は短くても利用の頻度が少ないユーザと画像形成装置70の組み合わせを優先機の登録から解除する目的で実行される。
閾値B1も、例えば経験則に基づいて設定される。閾値B1は、プリントサーバ40を管理するスタッフによる変更が可能である。
文書ファイルの取得を要求する頻度は閾値B1以下のユーザと画像形成装置70の組み合わせの場合、プロセッサ401は、ステップ142Aで肯定結果を得る。
一方、文書ファイルの取得を要求する頻度が閾値B1を超えるユーザと画像形成装置70の組み合わせの場合、プロセッサ401は、ステップ142Aで否定結果を得る。
【0091】
ステップ141A又はステップ142Aで肯定結果が得られた場合が、ステップ14Aで肯定結果が得られる場合に相当する。この場合、プロセッサ401は、ステップ15A(図17参照)に進み、要求元の画像形成装置70とユーザの組み合わせに関する優先機の登録を解除する。本実施の形態におけるプロセッサ401は、優先機の登録が解除された場合、要求元の画像形成装置70における印刷の終了後に対象とするユーザに関する文書ファイルの一覧を削除するように指示する。
【0092】
一方、ステップ141Aとステップ142Aの両方で否定結果が得られた場合が、ステップ14Aで否定結果が得られる場合に相当する。ステップ141Aとステップ142Aに示す条件は、第2の条件の一例である。また、閾値A1は、第2の閾値の一例であり、閾値B1は、第3の閾値の一例である。この場合、プロセッサ401は、図17の処理動作を終了する。
【0093】
図17の説明に戻る。
要求元である画像形成装置70が認証されたユーザの優先機でなかった場合、プロセッサ401は、ステップ13Aで否定結果を得る。
この場合、プロセッサ401は、認証されたユーザと要求元である画像形成装置70との組み合わせに関する利用の履歴が登録条件を満たすか否かを判定する(ステップ16A)。
【0094】
図19は、実施の形態3のステップ16Aで実行される処理動作の例を説明するフローチャートである。
プロセッサ401は、認証されたユーザが要求元の画像形成装置が予め定めた期間内に文書ファイルを要求した回数は閾値C1以上か否かを判定する(ステップ161A)。この判定は、どこでもプリントサービスの利用の回数が多いユーザと画像形成装置70の組み合わせを優先機に登録する目的で実行される。
閾値C1は、例えば経験則に基づいて設定される。閾値C1は、プリントサーバ40を管理するスタッフによる変更が可能である。
【0095】
また、予め定めた期間は、例えば経験則に基づいて設定される。予め定めた期間も、プリントサーバ40を管理するスタッフによる変更が可能である。なお、予め定めた期間が経過する度に、ユーザと画像形成装置70の組み合わせに紐付けられている、文書ファイルを要求した回数と利用の頻度はリセットされる。もっとも、それらの履歴はログとして記憶されてもよい。
予め定めた期間内に文書ファイルを要求した回数が閾値C1以上の場合、プロセッサ401は、ステップ161Aで肯定結果を得る。
一方、予め定めた期間内に文書ファイルを要求した回数が閾値C1未満の場合、プロセッサ401は、ステップ161Aで否定結果を得る。
【0096】
ステップ161Aで否定結果が得られた場合、プロセッサ401は、認証されたユーザが要求元の画像形成装置から予め定めた期間内に文書ファイルを要求した頻度は閾値D1以上か否かを判定する(ステップ162A)。この判定は、利用の回数は少なくても利用の頻度が多いユーザと画像形成装置70の組み合わせについては優先機に登録する目的で実行される。
閾値D1も、例えば経験則に基づいて設定される。閾値D1は、プリントサーバ40を管理するスタッフによる変更が可能である。
【0097】
ステップ161A又はステップ162Aで肯定結果が得られた場合が、ステップ16A(図17参照)で肯定結果が得られる場合に相当する。この場合、プロセッサ401は、ステップ17A(図17参照)に進み、要求元の画像形成装置70を認証されたユーザに関する優先機に登録する。
一方、ステップ161Aとステップ162Aの両方で否定結果が得られた場合が、ステップ16A(図17参照)で否定結果が得られる場合に相当する。ステップ161Aとステップ162Aに示す条件は、予め定めた条件の一例である。また、閾値C1と閾値D1は予め定めた閾値の一例である。この場合、プロセッサ401は、図17の処理動作を終了する。
【0098】
図20は、特定のユーザの優先機として登録済みの画像形成装置70からどこでもプリントサービスが利用される場合の処理シーケンスの一例を示す図である。図20には、図12との対応部分に対応する符号を付して示している。
図12に示すプリントサーバ40は、ユーザを区別することなく画像形成装置70を優先機として登録するか否かを判定しているが、図20におけるプリントサーバ40は、ユーザの認証を画像形成装置70から受け付けた場合に、要求元の画像形成装置70を認証されたユーザの優先機として登録するかを判定する(ステップ104B)。
【0099】
なお、ユーザが操作する画像形成装置70がユーザに関する優先機として未登録の場合における処理シーケンスは、図10を参照すればよい。勿論、優先機か否かは、認証を要求しているユーザについて判定される。
また、ユーザが操作する画像形成装置70がユーザの優先機として新たに登録される場合における処理シーケンスは、図11を参照すればよい。勿論、優先機か否かは、認証を要求しているユーザについて判定され、優先機としての登録はユーザ毎に実行される。
【0100】
<実施の形態4>
ここでは、実施の形態3で説明したプリントサーバ40に、優先機に登録された特定の画像形成装置70(図1参照)に記憶されている文書ファイルの一覧を最新の状態に維持する機能を追加する場合について説明する。
本実施の形態で使用するシステム構成や各装置の構成は実施の形態3と同じである。
【0101】
図21は、実施の形態4で使用するプリントサーバ40(図1参照)で実行される処理動作の一例を説明するフローチャートである。図21には、図13との対応部分に対応する符号を付して示している。
図21に示す処理動作は、プリントサーバ40のプロセッサ401(図2参照)が実行する。
プロセッサ401は、文書ファイルの変更の通知をクラウドストレージ20から受信したか否かを判定している(ステップ31)。この通知は、クラウドストレージ20が非同期型のAPIを用いて通知する。
【0102】
ステップ31で否定結果が得られている間、プロセッサ401は、ステップ31の判定を繰り返す。
【0103】
一方、ステップ31で肯定結果が得られた場合、プロセッサ401は、通知があった文書ファイルのアクセス権を有するユーザを特定する(ステップ31A)。
続いて、プロセッサ401は、対象とする文書ファイルを含む一覧が通知済みのユーザの優先機があるか否かを判定する(ステップ32A)。
ステップ32Aで否定結果が得られた場合、変更を反映する対象が存在しない。このため、プロセッサ401は、一連の処理を終了する。
一方、ステップ32Aで肯定結果が得られた場合、プロセッサ401は、該当する画像形成装置70にユーザを指定して文書ファイルの変更を通知する(ステップ33A)。この通知には、変更の内容が含まれる。
【0104】
図22は、文書ファイルの変更を反映する場合に実行される処理シーケンスの一例を示す図である。図22には、図14との対応部分に対応する符号を付して示している。
一連の処理シーケンスは、ユーザがユーザ端末30を用いてクラウドストレージ20の文書ファイルを変更することで開始される(ステップ121)。
文書ファイルの変更を検知したクラウドストレージ20は、プリントサーバ40に対し、文書ファイルの変更を通知する(ステップ122)。
通知を受け付けたプリントサーバ40は、対象とする文書ファイルへのアクセス権を有するユーザについて登録されている優先機を特定する(ステップ123A)。
【0105】
次に、プリントサーバ40は、特定された優先機である画像形成装置70にユーザを指定して文書ファイルの変更を通知する(ステップ124A)。
文書ファイルの変更の通知を受け付けた画像形成装置70は、通知の内容を特定のユーザについて装置内に記憶している文書ファイルの一覧に反映する(ステップ125A)。
これにより、画像形成装置70に記憶されている特定のユーザに関連する文書ファイルの一覧の内容と、クラウドストレージ20との同期が確保される。すなわち、ユーザが操作する画像形成装置70に表示される文書ファイルの一覧は常にクラウドストレージ20の状態を反映する。
【0106】
結果的に、ユーザが画像形成装置70に対して指示した場所に、ユーザが選択した文書ファイルが存在しないことがなく、文書ファイルの一覧の再取得に伴うユーザの待ち時間を無くすことが可能になる。
本実施の形態では、画像形成装置70における文書ファイルの一覧の変更をユーザに紐付けて管理しているが、文書ファイルの一覧の変更はユーザとは無関係に実行し、ユーザに文書ファイルの一覧を提示する段階でフィルタリングしてもよい。
【0107】
<他の実施の形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。前述した実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0108】
例えば前述の実施の形態で説明したネットワークシステム1は、クラウドネットワーク10上に構築されているが、LAN上に構築されてもよい。
【0109】
また、前述の実施の形態1の場合では、優先機に登録された画像形成装置70(図1参照)における、どこでもプリントサービスの初回利用時等に、画像形成装置70が文書ファイルの一覧を取得しているが、画像形成装置70が文書ファイルの一覧を取得するタイミングは、これらに限らない。
例えば優先機に登録されたことを条件として、プリントサーバ40(図1参照)が文書ファイルの一覧を画像形成装置70にプッシュ配信してもよい。この場合、実施の形態1とは異なり、どこでもプリントサービスの初回利用時までの間に、文書ファイルの一覧が画像形成装置70に記憶される。結果的に、どこでもプリントサービスの初回利用時から、待ち時間なく、文書ファイルの一覧を表示することが可能になる。
【0110】
この他、ユーザ端末30(図1参照)からの印刷ジョブの通知をトリガーとして、画像形成装置70が文書ファイルの一覧を取得してもよい。この場合、ユーザのログイン操作やどこでもプリントサービスの利用の指示の前に文書ファイルの一覧が画像形成装置70に記憶される。
なお、印刷ジョブがプリントサーバ40に通知される場合、又は、印刷ジョブの受信を画像形成装置70がプリントサーバ40に通知する場合、プリントサーバ40が文書ファイルの一覧を取得して画像形成装置70に配布してもよい。この場合も、ユーザのログイン操作やどこでもプリントサービスの利用の指示の前に文書ファイルの一覧が画像形成装置70に記憶される。
【0111】
また、前述の実施の形態2の場合には、クラウドストレージ20(図1参照)に対してユーザ端末30が文書ファイルの変更を指示した場合に、文書ファイルの変更がプリントサーバ40から画像形成装置70に通知されているが、ユーザ端末30がクラウドストレージ20に文書ファイルをアップすると、アップされた文書ファイルを含む文書ファイルの一覧がプリントサーバ40経由で画像形成装置70に通知される仕組みを採用してもよい。この場合も、ユーザのログイン操作やどこでもプリントサービスの利用の指示の前に文書ファイルの一覧が画像形成装置70に記憶される。
【0112】
前述の実施の形態では、画像形成装置70からクラウドストレージ20に対する文書ファイルの取得の要求の履歴を優先機の登録及び解除の判定に用いているが、その前作業である画像形成装置70を用いたユーザの認証の要求を文書ファイルの要求とみなしてもよい。文書ファイルの要求前には、ユーザの認証が必要になるためである。この場合、ユーザが認証を求めた時点で履歴が更新され、優先機か否かを判定するタイミングと最後の利用回との間の時間差を無くすことが可能になる。
【0113】
前述の実施の形態の場合には、優先機として登録される画像形成装置70の台数に制限を設けていないが、優先機として登録可能な台数の上限を設定してもよい。
前述の実施の形態の場合には、優先機管理テーブル403A(図3参照)や優先機管理テーブル403A1(図16参照)をプリントサーバ40(図1参照)で管理しているが、各テーブルをディレクトリサーバ50で管理してもよい。
【0114】
前述の実施の形態の場合には、ユーザが1名の場合を想定しているが、複数人のユーザを単位として優先機を管理してもよい。複数人のユーザには、例えば部、課、係等の組織上の単位の他、家族、サークル、クラブ等の私的な集まりを単位としてもよい。この場合、優先機に登録された画像形成装置70には、各ユーザにより文書ファイルの一覧の表示が指示される前だけでなく、優先機に対するログインの前でも、文書ファイルの一覧が装置内に記憶される。このため、各ユーザは、待ち時間なく文書ファイルの一覧を確認することが可能になる。
前述の実施の形態の場合には、クラウドストレージ20から複数の機能を備える画像形成装置70に文書ファイルを取得して印刷する場合について説明したが、画像形成装置70は印刷専用の装置でもよいし、3次元データで規定された断面形状を積層して立体物を造形する3次元プリンタでもよい。
【0115】
前述の実施の形態の場合には、クラウドストレージ20(図1参照)から文書ファイルを取得する情報端末として画像形成装置70(図1参照)を例示したが、画像形成装置70に代えて情報キオスクを用いてもよい。情報キオスクは、情報やサービスの提供が可能であり、料金の支払いや各種の手続きにも用いられる端末である。すなわち、ネットワークシステム1上で提供されるサービスは、どこでもプリントサービスに限らず、各種の情報の提供、金融サービス等でもよい。
【0116】
前述の実施の形態では、クラウドストレージから文書ファイルを取得する情報端末との通知を中継する情報処理装置としてプリントサーバ40(図1参照)を例示したが、ルータやゲートウェイ装置等の通信装置でもよい。
前述の実施の形態では、クラウドストレージに記憶されるファイルが文書ファイルの場合について説明したが、金融データや医療データの文書ファイルでもよい。
【0117】
前述した各実施の形態におけるプロセッサは、広義的な意味でのプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU等)の他、専用的なプロセッサ(例えばGPU、ASIC(=Application Specific Integrated Circuit)、FPGA、プログラム論理デバイス等)を含む。
また、前述した各実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサが単独で実行してもよいが、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して実行してもよい。また、プロセッサにおける各動作の実行の順序は、前述した各実施の形態に記載した順序のみに限定されるものでなく、個別に変更してもよい。
【符号の説明】
【0118】
1…ネットワークシステム、10…クラウドネットワーク、20…クラウドストレージ、30…ユーザ端末、40…プリントサーバ、50…ディレクトリサーバ、60…SSOサーバ、70…画像形成装置、401、701…プロセッサ、402、702…半導体メモリ、403、703…ハードディスク装置、403A、403A1…優先機管理テーブル、404…入出力ポート、405、709…通信装置、704…スキャナ、705…印刷エンジン、706…画像処理部、707…操作受付部、708…ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22