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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】転写装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
G03G15/16 103
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020136477
(22)【出願日】2020-08-12
(65)【公開番号】P2022032584
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 智章
(72)【発明者】
【氏名】宮本 陽子
(72)【発明者】
【氏名】馬場 俊彰
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-107567(JP,A)
【文献】特開2010-197724(JP,A)
【文献】特開平08-286522(JP,A)
【文献】特開平07-092824(JP,A)
【文献】特開平02-173689(JP,A)
【文献】特開2020-071283(JP,A)
【文献】特開2020-140062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像が外面に転写される環状の転写ベルトと、
基材、及び、前記基材の外周に巻かれ、前記基材に対して交換可能な表層を有し、且つ、前記転写ベルトの外面とで記録媒体を挟んだ状態で前記トナー画像が前記転写ベルトから前記記録媒体に転写される転写領域を有する転写胴であって、前記表層が弾性層を含み、表面粗さRzが25μm以下、アスカーC硬度が45°以上65°以下、体積抵抗値が6.0(logΩ)以上8.5(logΩ)以下、厚さが10mm以下である、転写胴を有する転写部と、
前記転写ベルトの内面に接触し、前記転写領域で、前記転写胴に対向して配置される対向ロール部材と、
を備え
前記転写部が、前記転写胴の軸方向両端側に配置された回転体を有し、
前記回転体に巻き掛けられ、前記回転体の回転により周回する周回部材と、
前記周回部材に取り付けられ、前記記録媒体を保持し、該周回部材の周回により前記記録媒体を搬送して、前記転写領域を通過させる保持部と、
を備える転写装置。
【請求項2】
前記転写胴における前記表層の、表面粗さRzが10μm以下、アスカーC硬度が55°以上60°以下、体積抵抗値が6.5(logΩ)以上8.0(logΩ)以下、厚さが6.5mm以上7.5mm以下である請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記転写胴の表面を清掃する清掃ブラシ部材を備え、
前記転写胴の表面に対する前記清掃ブラシ部材のブラシ食い込み量が、1mm以上である請求項1又は請求項2に記載の転写装置。
【請求項4】
前記清掃ブラシ部材のブラシ長さが、4mm以上である請求項に記載の転写装置。
【請求項5】
前記対向ロール部材の体積抵抗値が、7.0(logΩ)以上8.0(logΩ)以下である請求項1~請求項のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項6】
前記転写胴の外周には、前記保持部が収容される凹部が形成されている請求項に記載の転写装置。
【請求項7】
請求項1~請求項のいずれか1項に記載の転写装置を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、転写材搬送手段と、この搬送手段に取付けられており、回転軸に軸支されて台部材に対して回転動作し、転写材の先端辺を把持するグリッパー片と、台部材側に取付たスイッチ部材とを有し、グリッパー片のスイッチ部材位置を一部切欠くことによりグリッパー内の転写材の存在を検知する転写装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭58-005789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、トナー画像が外面に転写される環状の転写ベルトと、基材、及び、基材の外周に巻かれ、基材に対して交換可能な表層を有し、且つ、転写ベルトの外面とで記録媒体を挟んだ状態でトナー画像が転写ベルトから記録媒体に転写される転写領域を有する転写胴を有する転写部と、転写ベルトの内面に接触し、転写領域で、転写胴に対向して配置される対向ロール部材と、を備える転写装置において、転写胴における表層が弾性層を含み、表面粗さRzが25μm超え、アスカーC硬度が45°未満若しくは65°超え、体積抵抗値が6.0(logΩ)未満若しくは8.5(logΩ)超え、又は、厚さが10mm超えである場合に比べ、転写胴における表層の交換性と画像転写性との両立が図られる転写装置を提供することである。
また、本発明の課題は、トナー画像が外面に転写される環状の転写ベルトと、基材、及び、基材の外周に巻かれ、基材に対して交換可能な表層を有し、且つ、転写ベルトの外面とで記録媒体を挟んだ状態でトナー画像が転写ベルトから記録媒体に転写される転写領域を有する転写胴を有する転写部と、転写ベルトの内面に接触し、転写領域で、転写胴に対向して配置される対向ロール部材と、を備える転写装置において、転写胴における表層が、発泡導電性弾性層からなる単層構造である場合に比べ、転写胴における表層の交換性と画像転写性との両立が図られる転写装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
<1> トナー画像が外面に転写される環状の転写ベルトと、
基材、及び、前記基材の外周に巻かれ、前記基材に対して交換可能な表層を有し、且つ、前記転写ベルトの外面とで記録媒体を挟んだ状態で前記トナー画像が前記転写ベルトから前記記録媒体に転写される転写領域を有する転写胴であって、前記表層が弾性層を含み、表面粗さRzが25μm以下、アスカーC硬度が45°以上65°以下、体積抵抗値が6.0(logΩ)以上8.5(logΩ)以下、厚さが10mm以下である転写胴を有する転写部と、
前記転写ベルトの内面に接触し、前記転写領域で、前記転写胴に対向して配置される対向ロール部材と、
を備える転写装置。
【0006】
<2> 前記転写胴における前記表層の、表面粗さRzが10μm以下、アスカーC硬度が55°以上60°以下、体積抵抗値が6.5(logΩ)以上8.0(logΩ)以下、厚さが6.5mm以上7.5mm以下である<1>に記載の転写装置。
【0007】
<3> トナー画像が外面に転写される環状の転写ベルトと、
基材、及び、前記基材の外周に巻かれ、前記基材に対して交換可能な表層を有し、且つ、前記転写ベルトの外面とで記録媒体を挟んだ状態で前記トナー画像が前記転写ベルトから前記記録媒体に転写される転写領域を有する転写胴であって、前記表層が、基材側から発泡導電性弾性層と非発泡導電性弾性層とをこの順に有し、前記発泡導電性弾性層の厚さが前記非発泡導電性弾性層の厚さよりも大きい転写胴を有する転写部と、
前記転写ベルトの内面に接触し、前記転写領域で、前記転写胴に対向して配置される対向ロール部材と、
を備える転写装置。
【0008】
<4> 前記転写胴の表面を清掃する清掃ブラシ部材を備え、
前記転写胴の表面に対する前記清掃ブラシ部材のブラシ食い込み量が、1mm以上である<1>~<3>のいずれか1つに記載の転写装置。
<5> 前記清掃ブラシ部材のブラシ長さが、4mm以上である<4>に記載の転写装置。
【0009】
<6> 前記対向ロール部材の体積抵抗値が、7.0(logΩ)以上8.0(logΩ)以下である<1>~<5>のいずれか1つに記載の転写装置。
【0010】
<7> 前記転写部が、前記転写胴の軸方向両端側に配置された回転体を有し、
前記回転体に巻き掛けられ、前記回転体の回転により周回する周回部材と、
前記周回部材に取り付けられ、前記記録媒体を保持し、該周回部材の周回により前記記録媒体を搬送して、前記転写領域を通過させる保持部と、
を備える<1>~<6>のいずれか1つに記載の転写装置。
<8> 前記転写胴の外周には、前記保持部が収容される凹部が形成されている<7>に記載の転写装置。
【0011】
<9> <1>~<8>のいずれか1つに記載の転写装置を備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0012】
<1>、<7>、又は<8>に係る発明によれば、トナー画像が外面に転写される環状の転写ベルトと、基材、及び、基材の外周に巻かれ、基材に対して交換可能な表層を有し、且つ、転写ベルトの外面とで記録媒体を挟んだ状態でトナー画像が転写ベルトから記録媒体に転写される転写領域を有する転写胴を有する転写部と、転写ベルトの内面に接触し、転写領域で、転写胴に対向して配置される対向ロール部材と、を備える転写装置において、転写胴における表層が弾性層を含み、表面粗さRzが25μm超え、アスカーC硬度が45°未満若しくは65°超え、体積抵抗値が6.0(logΩ)未満若しくは8.5(logΩ)超え、又は、厚さが10mm超えである場合に比べ、転写胴における表層の交換性と画像転写性との両立が図られる転写装置が提供される。
【0013】
<2>に係る発明によれば、転写胴における表層の、表面粗さRzが10μm超え、アスカーC硬度が55°未満若しくは60°超え、体積抵抗値が6.5(logΩ)未満若しくは8.0(logΩ)超え、又は、厚さが6.5mm未満若しくは7.5mm超えである場合に比べ、転写胴における表層の交換性と画像転写性との両立が図られる転写装置が提供される。
【0014】
<3>、<7>、又は<8>に係る発明によれば、トナー画像が外面に転写される環状の転写ベルトと、基材、及び、基材の外周に巻かれ、基材に対して交換可能な表層を有し、且つ、転写ベルトの外面とで記録媒体を挟んだ状態でトナー画像が転写ベルトから記録媒体に転写される転写領域を有する転写胴を有する転写部と、転写ベルトの内面に接触し、転写領域で、転写胴に対向して配置される対向ロール部材と、を備える転写装置において、転写胴における表層が、発泡導電性弾性層からなる単層構造の弾性層を有する場合に比べ、転写胴における表層の交換性と画像転写性との両立が図られる転写装置が提供される。
【0015】
<4>に係る発明によれば、転写胴の表面を清掃する清掃ブラシ部材を備え、転写胴の表面に対する清掃ブラシ部材のブラシ食い込み量が1mm未満である場合に比べ、転写胴の表面におけるトナーの除去性に優れる転写装置が提供される。
<5>に係る発明によれば、清掃ブラシ部材のブラシ長さが4mm未満である場合に比べ、転写胴の表面におけるトナーの除去性に優れる転写装置が提供される。
【0016】
<6>に係る発明によれば、対向ロール部材の体積抵抗値が7.0(logΩ)未満又は8.0(logΩ)超えの場合に比べ、画像転写性に優れる転写装置が提供される。
【0017】
<9>に係る発明によれば、<1>と同様の、転写ベルト、転写部、及び対向ロール部材を備え、転写部が有する転写胴が有する表層が弾性層を含み、表面粗さRzが25μm超え、アスカーC硬度が45°未満若しくは65°超え、体積抵抗値が6.0(logΩ)未満若しくは8.5(logΩ)超え、又は、厚さが10mm超えである場合に比べ、転写胴における表層の交換性と画像転写性との両立が図られる画像形成装置が提供される。
<9>に係る発明によれば、<2>と同様の、転写ベルト、転写部、及び対向ロール部材を備え、転写部が有する転写胴が有する表層が、発泡導電性弾性層からなる単層構造の弾性層を有する場合に比べ、転写胴における表層の交換性と画像転写性との両立が図られる画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
図2】一実施形態に係る画像形成装置の二次転写部分を拡大して示す斜視図である。
図3】一実施形態に係る画像形成装置の二次転写部分を拡大して示す側面図である。
図4図3に示す二次転写部分を更に拡大した側面図である。
図5】一実施形態に係る回転体を示す側面図である。
図6】一実施形態に係るグリッパを示す斜視図である。
図7】転写胴が有する表層の表面粗さRzとトナーの除去性との関係を示すグラフである。
図8】転写胴の表面に対する清掃ブラシのブラシ食い込み量とトナーの除去性との関係を示すグラフである。
図9】転写胴が有する表層の厚さと体積抵抗ムラとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明を実施する形態の一例であって、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0020】
本明細書において、段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0021】
<転写装置>
第1実施形態及び第2実施形態に係る転写装置は、トナー画像が外面に転写される環状の転写ベルトと、基材、及び、基材の外周に巻かれ、基材に対して交換可能な表層を有し、かつ、転写ベルトの外面とで記録媒体を挟んだ状態でトナー画像が転写ベルトから記録媒体に転写される転写領域を有する転写胴を有する転写部と、転写ベルトの内面に接触し、転写領域で、転写胴に対向して配置される対向ロール部材と、を備える。
そして、第1実施形態に係る転写装置において、転写胴が有する表層は、弾性層を含み、且つ、表面粗さRzが25μm以下、アスカーC硬度が45°以上65°以下、体積抵抗値が6.0(logΩ)以上8.5(logΩ)以下、厚さが10mm以下である。
また、第2実施形態に係る転写装置において、転写胴が有する表層は、基材側から発泡導電性弾性層と非発泡導電性弾性層とをこの順に有し、発泡導電性弾性層の厚さが非発泡導電性弾性層の厚さよりも大きい。
【0022】
上述のような、転写ベルト、転写部、及び対向ロール部材を備える転写装置では、転写ベルト、転写部(具体的には、転写胴)、及び対向ロール部材から構成された転写領域にて、転写ベルトの外面のトナー画像が記録媒体へと転写される。
また、上述のように、転写部が有する転写胴において、基材の外周に巻かれた表層が交換可能であると、表層が劣化等した時には表層のみを交換することができ、その結果として、例えば、転写胴の大型化が図れる利点を有する。
ここで、上記の構成の転写装置では、転写ベルトの外面におけるトナー画像が記録媒体へと転写される際には電界が用いられることから、電界に起因する又は電界不良に起因する画像転写性の低下がみられることがある。このような転写に用いられる電界には、転写胴において転写領域を形成する表層が関与することが多い。そこで、本発明者らは、表層の交換性を保ちつつ、表層が関与する画像転写性の低下を抑制する手法について検討を行った結果、第1実施形態及び第2実施形態に係る転写装置の構成を見出した。
つまり、第1実施形態及び第2実施形態に係る転写装置の構成とすることで、転写胴における表層の交換性と画像転写性との両立が図られる。
【0023】
〔転写部〕
第1実施形態及び第2実施形態に係る転写装置における転写部について説明する。
第1実施形態及び第2実施形態における転写部は、いずれも、基材、及び、基材の外周に巻かれ、基材に対して交換可能な表層を有し、かつ、転写ベルトの外面とで記録媒体を挟んだ状態でトナー画像が転写ベルトから記録媒体に転写される転写領域を有する転写胴を備える。
転写部は、転写胴の軸方向両端側に配置された回転体を更に有することが好ましい。ここで、回転体は、後述の、周回部材及び保持部と共に、転写領域への記録媒体の搬送に関わる部材である。
【0024】
[転写胴]
第1実施形態及び第2実施形態における転写胴は、いずれも、基材、及び、基材の外周に巻かれ、基材に対して交換可能な表層を有しており、転写ベルトの外面とで記録媒体を挟んだ状態でトナー画像が転写ベルトから記録媒体に転写される転写領域を有する。
【0025】
(基材)
転写胴における基材としては、金属(銅、アルミニウム、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)、又は合金(ステンレス鋼等)を含んで構成される円柱状部材又は円筒状部材が挙げられる。
なお、基材(転写胴)の外周には、後述の、記録媒体の搬送に関わる保持部が収容される1つ以上の凹部が形成されていてもよい。
【0026】
基材の外径(直径)は、特に制限はないが、表層が交換可能であることから大型であってもよい。例えば、基材の外径(直径)としては、200mm以上350mm以下の範囲が挙げられ、200mm以上300mm以下が好ましい。
基材の軸方向における長さについても特に制限はなく、用途に応じ適宜選択すればよく、例えば、600mm以上1000mm以下の範囲が挙げられる。
【0027】
また、表層の交換性、及び後述する回転体の配置の容易性等の観点から、表層又は弾性層の厚みに対する導電性基材の外径は、30倍以上であることが好ましく、30倍以上45倍以下であることがより好ましく、32倍以上38倍以下であることが更に好ましい。
【0028】
(表層)
転写胴における表層は、基材の外周に巻かれ、基材に対して交換可能である。
以下、第1実施形態における表層と、第2実施形態における表層と、に分けて説明する。
【0029】
(第1実施形態における表層)
第1実施形態における表層(以下、表層(1)と称する)は、弾性層を含み、且つ、表面粗さRzが25μm以下、アスカーC硬度が45°以上65°以下、体積抵抗値が6.0(logΩ)以上8.5(logΩ)以下、厚さが10mm以下である。
表層(1)は、少なくとも弾性層を含む。表層(1)は、弾性層の他に、最表面を構成する表面層、接着層等を含んでいてもよい。つまり、表層(1)の最表面を構成する層は、弾性層であってもよいし、表面層であってもよい。
【0030】
表層(1)は表面粗さRzが25μm以下である。
転写胴の表面(即ち、表層の表面)には、トナーが付着することがある。具体的には、例えば、電界を用いた転写を行う際、形成された電界の影響により、転写胴の表面の記録媒体と接触していない領域(所謂、非通紙部)等へトナーが付着することがある。転写胴の表面にトナーが付着すると、記録媒体の裏面(即ち、記録媒体のトナー画像が転写される側とは反対の面)の汚れに繋がる。
表層(1)の表面粗さRzが25μm以下(好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下)であることで、表層(1)の表面の、清掃部材による清掃が容易になり、記録媒体の裏面の汚れを抑制しうる。特に、表層(1)の表面粗さRzが25μm以下であると、清掃ブラシでの清掃との組み合わせにおいて、表面の清掃がより容易となり、記録媒体の裏面の汚れをより効果的に抑制しうる。
なお、表層(1)の表面粗さRzの下限としては、例えば、1μmが挙げられる。
【0031】
表層の表面粗さRzは、JIS B 0601:1994に準拠して測定される十点平均粗さRzを示している。
表層の表面粗さRz(十点平均粗さRz)は、以下のようにして求める。
温度23℃、湿度55%RHの環境下において、接触式表面粗さ測定装置(サーフコム570A、東京精密社製)と、先端がダイヤモンド(5μmR、90°円錐)の接触針と、を用いて測定する。
なお、測定距離は2.5mmであり、表層の測定部位は、表層における面内等間隔(例えば、周方向に等間隔で8点、軸方向に等間隔で10点、以下同様)の80箇所とし、その平均値を、表層の表面粗さRzとする。
【0032】
表層(1)はアスカーC硬度が45°以上65°以下である。
第1実施形態における転写装置においては、転写胴における転写領域にて、転写胴と対向ロール部材との間に電界を形成することで、転写ベルトの外面のトナー画像を記録媒体へと転写する。この際、転写領域では、記録媒体に対して適切な転写荷重をかけることで、画像転写性を高める(具体的には、転写効率を高め、転写乱れを抑制する)ことができる。
表層(1)のアスカーC硬度が45°以上であることで、転写領域にて、記録媒体に適切な転写荷重がかけることができ、転写効率を高められる。より具体的に言えば、表層(1)のアスカーC硬度が45°以上(好ましくは55°以上)であることで、転写領域における記録媒体の搬送速度が600mm/s以上であっても、転写領域にて、記録媒体に適切な転写荷重がかけることができ、転写効率を高められる。
また、表層(1)のアスカーC硬度が65°以下であることで、記録媒体(具体的には厚紙などのコシの強い記録媒体)が転写領域に突入した際の衝撃を緩和し、かかる衝突にて生じる転写乱れを抑制しうる。より具体的に言えば、表層(1)のアスカーC硬度が65°以下(好ましくは60°以下)であることで、坪量が200gsm(g/m)以上の記録媒体を用いても、転写領域に突入した際の衝撃にて生じる転写乱れを抑制しうる。
つまり、表層(1)のアスカーC硬度が45°以上65°以下であることで、転写領域における記録媒体の搬送速度及び/又は記録媒体の坪量に関わらず、画像転写性を高められる(具体的には、転写効率を高め、転写乱れを抑制しうる)。
表層(1)のアスカーC硬度は、転写効率を高め、転写乱れを抑制する観点から、55°以上60°以下がより好ましい。
【0033】
表層のアスカーC硬度は、以下のようにして求める。
表層における面内等間隔の80箇所について、高分子計器社製、デ・ファクトスタンダード アスカーC型硬度計で測定を行い、その平均値を、表層のアスカーC硬度とする。なお、測定は、温度23℃、湿度55%RH環境下で行う。
【0034】
表層(1)は体積抵抗値が6.0(logΩ)以上8.5(logΩ)以下である。
上述のように、第1実施形態における転写装置においては、転写胴における転写領域にて、転写胴と対向ロール部材との間に電界を形成することで、転写ベルトの外面のトナー画像を記録媒体へと転写する。この際、転写領域では印加電圧に応じて放電が発生することから、表層(1)の体積抵抗値の画像転写性に対する影響が大きい。
表層(1)の体積抵抗値が6.0(logΩ)以上であることで、転写領域での放電による局所的な転写不良(所謂、白抜け)を抑制し易くなり、画像転写性が高まる。また、体積抵抗値が8.5(logΩ)であることで、表層(1)の自己除電が可能となり、表層(1)の電荷履歴が次の転写時の電界に影響することで生じるゴーストを抑制し易くなり、画像転写性が高まる。
表層(1)の体積抵抗値は、白抜け及びゴーストの抑制の観点から、6.0(logΩ)以上7.5(logΩ)以下がより好ましい。
【0035】
表層の体積抵抗値は、以下のようにして求める。
まず、表層の任意の80箇所について切り取り、80個の測定試料を作製する。80個の測定試料について、JIS K 6911:1995に従って、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ)を用いて測定を行い、その平均値を表層の体積抵抗値とする。なお、測定は、温度22℃、湿度55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め、体積抵抗値を算出する。
【0036】
表層(1)は厚さが10mm以下である。
表層(1)は、上述の体積抵抗値から明らかなように、導電性層である。導電性層の厚みが大きい場合、製造する上で、架橋(具体的には加硫)が均一に行われにくく、その影響を受け、導電点の分布の均一性が低くなることがある。また、表層(1)の厚みが大きいことで、重さ、形状維持などの点で、基材への取り付けが難しくなり、表層の交換性も低下することがある。例えば、表層(1)が厚いと、基材への取り付け時、基材外周へ表層(1)を沿わせることが難しくなり、基材との密着性が低下することがある。
表層(1)の厚さが10mm以下であることで、導電点の分布の均一性が高まり、優れた画像転写性が得られ、基材に対する交換性も高まる。表層(1)の厚さの下限としては、例えば、6.5mmが挙げられる。
表層(1)の厚さは、画像転写性及び交換性の観点から、8mm以下が好ましく、6.5mm以上7.5mm以下がより好ましい。
【0037】
表層の厚さは、以下のようにして求める。
表層における面内等間隔の80箇所について、サンコー電子社製:渦電流式膜厚計CTR-1500Eを使用して測定を行い、その平均値を表層の厚さとする。なお、測定は、温度23℃、湿度55%RH環境下で行う。
【0038】
表層(1)としては、転写胴における表層の交換性と画像転写性との両立の観点から、表面粗さRzが10μm以下、アスカーC硬度が55°以上60°以下、体積抵抗値が6.5(logΩ)以上(8.0)logΩ以下、厚さが6.5mm以上7.5mm以下であることが好ましい。
【0039】
-表層(1)における弾性層の組成-
表層(1)における弾性層は、弾性材料を含み、上述の各物性を達成する観点から、必要に応じて、導電剤等の各種添加剤を含むことが好ましい。
【0040】
なお、表層(1)における弾性層は、発泡弾性層であってもよいし、非発泡弾性層であってもよいし、発泡弾性層と非発泡弾性層との積層体であってもよい。ここで、発泡弾性層は、発泡剤の発泡により形成される気泡を有する材料(所謂、発泡体)で構成された層であり、非発泡弾性層は、発泡剤の発泡により形成される気泡を有しない材料(所謂、非発泡体)で構成された層である。
【0041】
・弾性材料
弾性材料としては、例えば、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、エピクロロヒドリン-エチレンオキシドゴム、エピクロロヒドリン-エチレンオキシド-アリルグリシジルエーテルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリイソプレン、水素化ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、及びこれらを混合した弾性材料が挙げられる。
これらの弾性材料の中でも、ポリウレタン、シリコーンゴム、ニトリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エピクロロヒドリン-エチレンオキシドゴム、エピクロロヒドリン-エチレンオキシド-アリルグリシジルエーテルゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、及びこれらを混合した弾性材料が好ましい。
【0042】
・導電剤
導電剤としては、電子導電剤とイオン導電剤とが挙げられる。
電子導電剤としては、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カラーブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン;グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ-酸化アンチモン固溶体、酸化スズ-酸化インジウム固溶体等の金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理した物質;などの粉末が挙げられる。
イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリアルキルアンモニウム等の過塩素酸塩又は塩素酸塩;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過塩素酸塩又は塩素酸塩;などが挙げられる。
導電剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
導電剤は、一次粒径が1nm以上200nm以下であることが好ましい。
【0044】
電子導電剤の含有量は、弾性材料100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましく、15質量部以上25質量部以下がより好ましい。
イオン導電剤の含有量は、弾性材料100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下が好ましく、0.5質量部以上3質量部以下がより好ましい。
【0045】
・加硫剤及び加硫促進剤
表層(1)における弾性層は、加硫剤を含んでいてもよい。
加硫剤としては、例えば、イオウ、有機含イオウ化合物の他、有機過酸化物等が挙げられる。有機含イオウ化合物としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、N,N’-ジチオビスモルホリン等が挙げられる。また、有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルペルオキシド等が挙げられる。
加硫剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加硫剤の添加量は、使用する弾性材料(ゴム材料)の特性等によって適宜、調整されればよく、例えば、弾性材料100質量部に対し、0.3質量部以上10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上8質量部以下であることがより好ましい。
【0046】
表層(1)における弾性層は、加硫促進剤を含んでいてもよい。
加硫促進剤としては、公知の加硫促進剤が使用され、特にスルフェンアミド系加硫促進剤を使用するのが好ましい。
加硫剤促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
加硫促進剤の添加量は、弾性材料100質量部に対し、0.3質量部以上4質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。
【0047】
・その他の添加剤
表層(1)における弾性層は、その他の添加剤を含んでいてもよい。
その他の添加剤としては、公知の各種のゴム用添加剤が挙げられる。具体的には、例えば、加工助剤(ステアリン酸等)、軟化剤、可塑剤、硬化剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム等)等が挙げられる。
なお、表層(1)が発泡弾性層を含む場合、表層(1)は、その他の添加剤として、発泡助剤、整泡剤、触媒等を含んでいてもよい。
【0048】
・発泡剤
表層(1)が発泡弾性層を含む場合、発泡弾性層を形成する組成物は発泡剤を含んでいてもよい。
発泡剤としては、水;アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジアゾアミノベンゼン等のアゾ化合物;ベンゼンスルホニルヒドラジド、4,4’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、トルエンスルホニルヒドラジド等のベンゼンスルホニルヒドラジド類;熱分解により炭酸ガスを発生する炭酸水素ナトリウム等の重炭酸塩;窒素ガスを発生するNaNOとNHClの混合物;酸素を発生する過酸化物;などが挙げられる。
発泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
発泡剤の添加量は、使用する弾性材料の特性、発泡量等によって適宜、調整されればよく、例えば、弾性材料100質量部に対し、0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上20質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上15質量部以下であることが更に好ましく、2質量部以上10質量部以下であることが特に好ましい。
【0049】
-表層(1)における弾性層の形成-
表層(1)における弾性層の形成は、特に制限はなく、例えば、弾性材料と導電剤と加硫剤とを含む弾性層形成用組成物を、目的とする形状に成形した後に加硫を行う、又は、目的とする形状の成形しつつ加硫を行う、ことにより行われることが好ましい。
なお、発泡弾性層を形成する場合には、例えば、弾性材料、導電剤、及び加硫剤に加え、発泡剤を含む弾性層形成用組成物を用いればよい。
また、上記のような弾性層形成用組成物を用い、上記の方法にて弾性体を成形した後、これをシート状に延伸し、これを表層(1)における弾性層としてもよい。
なお、加硫(又は加硫及び発泡)を行った後は、必要に応じて、形成された弾性層の研磨を行ってもよい。
【0050】
発泡弾性層を得る際の加硫及び発泡は、同時に行っても、逐次で行ってもよい。逐次で行う場合は、加硫を行った後、発泡することが好ましい。
加硫及び発泡時における温度及び時間は、特に制限はなく、使用する加硫及び発泡剤に応じて、適宜設定すればよい。
加硫及び/又は発泡は、加熱により行うことが好ましく、加熱温度としては、50℃以上200℃以下であることが好ましい。加硫時間としては、例えば15分以上60分以下の範囲が挙げられる。
【0051】
なお、不活性ガス等の物理発泡剤にて発泡弾性層を形成してもよい。不活性ガスとしては、超臨界状態の二酸化炭素、窒素、又は、これらの混合物を使用することが好ましい。
発泡弾性層の形成に用いる発泡方法としては、特に制限はないが、具体的には、バッチ発泡法、プレス発泡法、常圧発泡法、常圧二次発泡法、加硫釜内による蒸気加圧加熱発泡などの方法が挙げられる。
また、発泡弾性層の形成に用いる発泡剤、及び発泡方法としては、特開平11-106543号公報や「新版 ゴム技術の基礎 改訂版」、日本ゴム協会編に記載の発泡剤及び発泡方法を参照することができる。
【0052】
-表層(1)における表面層-
表層(1)は、最表面を構成する表面層を有していてもよい。
表層(1)における表面層は、高分子材料を含んでいることが好ましい。
高分子材料としては、例えば、アクリル樹脂、フッ素変性アクリル樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、エチレンテトラフルオロエチレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、フッ素樹脂(ポリフッ化ビニリデン樹脂、4フッ化エチレン樹脂、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等)等の樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂は、硬化性樹脂を硬化剤若しくは触媒により硬化又は架橋したものが好ましい。
高分子材料は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
表面層は、抵抗制御の観点から、導電剤を含んでいてもよい。
導電剤としては、上述の弾性層に用いられる導電剤と同様のものが挙げられる。
導電剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
表面層は、その他、例えば、充填剤、硬化剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤等の、公知の添加剤を含んでいてもよい。
【0055】
表面層の厚さは、表層(1)に求められる物性等に応じて決定されればよく、特に制限はされない。表面層の厚さは、例えば、1μm以上100μm以下の範囲にて、適宜、設定されればよい。
【0056】
(第2実施形態における表層)
第2実施形態における表層(以下、表層(2)と称する)は、基材側から発泡導電性弾性層と非発泡導電性弾性層とをこの順に有し、発泡導電性弾性層の厚さが非発泡導電性弾性層の厚さよりも大きい。
表層(2)は、少なくとも、発泡性導電性弾性層と非発泡導電性弾性層とを含む。表層(2)は、発泡性導電性弾性層及び非発泡導電性弾性層の他に、最表面を構成する表面層、接着層等を含んでいてもよい。つまり、表層(2)の最表面を構成する層は、非発泡導電性弾性層であってもよいし、表面層であってもよい。
【0057】
表層(2)が上記の構成を有することで、基材側に配置された発泡導電性弾性層により表層(2)の硬度を制御しつつ、表面側に配置された非発泡導電性弾性層により表層(2)の表面粗さを小さくしうる。
表層(2)の表面粗さが小さくなることで、表層(1)と同様に、表層(2)の表面の、清掃部材による清掃が容易になり、記録媒体の裏面の汚れを抑制し易くなる。
また、非発泡導電性弾性層よりも硬度が低い発泡導電性弾性層が基材側に配置され、発泡導電性弾性層の厚さを非発泡導電性弾性層よりも大きくすることで、表層(2)の硬度を適度に柔らかく制御しうる。このことで、表層(2)は、表層(1)と同様に、転写領域にて、記録媒体に適切な転写荷重がかけることができ、転写効率を高められる。また、表層(2)は、記録媒体(具体的には厚紙などのコシの強い記録媒体)が転写領域に突入してきた際の衝撃を緩和し、かかる衝突にて生じる転写乱れを抑制しうる。
【0058】
表層(2)の表面粗さRzは、25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、10μm以下が更に好ましい。
この表面粗さRzを達成するため、非発泡導電性弾性層の厚さと発泡導電性弾性層の厚さは後述する関係を有することが好ましい。
【0059】
表層(2)において、表層(2)の厚さ(又は、発泡導電性弾性層の厚さと非発泡導電性弾性層の厚さとの総計)に対する非発泡導電性弾性層の厚さの比率は、5%以上10%以下であることが好ましい。
このような関係とすることで、表層(2)のアスカーC硬度を、45°以上65°以下(好ましくは55°以上60°以下)に制御し易くなる。
なお、非発泡導電性弾性層の厚さ及び発泡導電性弾性層の厚さは、表層(1)の厚さと同様の方法で測定される。
【0060】
表層(2)は、発泡導電性弾性層及び非発泡導電性弾性層を含み、且つ、体積抵抗値は、6.0(logΩ)以上8.5(logΩ)以下(好ましくは6.5(logΩ)以上7.5(logΩ)以下)であることが好ましい。
このようにすることで、転写領域での放電による白抜けを抑制し易くなり、画像転写性が高まる。また、表層(2)の自己除電が可能となり、表層(2)の電荷履歴が次の転写時の電界に影響することで生じるゴーストを抑制し易くなり、画像転写性が高まる。
【0061】
表層(2)は、発泡導電性弾性層及び非発泡導電性弾性層を含み、その厚さは、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましく、6.5mm以上7.5mm以下であることが更に好ましい。
このようにすることで、表層(2)の導電点の分布の均一性が高まり、優れた画像転写性が得られ、基材に対する交換性も高まる。
【0062】
-表層(2)における弾性層の組成-
表層(2)における弾性層は、発泡導電性弾性層と非発泡導電性弾性層とを含んで構成されるが、発泡導電性弾性層及び非発泡導電性弾性層は共に、弾性材料を含み、上述の各物性を達成する観点から、必要に応じて、導電剤等の各種添加剤を含むことが好ましい。
発泡導電性弾性層及び非発泡導電性弾性層のそれぞれに含まれる、弾性材料、導電剤等の成分は、表層(1)における弾性層の組成と同様のものが用いられ、好ましい態様、添加量(含有量)も同様である。
【0063】
-表層(2)における弾性層の形成-
表層(2)における弾性層の形成は、発泡導電性弾性層と非発泡導電性弾性層との積層構造が形成されれば特に制限はない。発泡導電性弾性層及び非発泡導電性弾性層のそれぞれの形成には、表層(1)の形成と同様の方法が用いられる。
なお、積層構造を形成する際には、例えば、シート状の発泡導電性弾性層とシート状の非発泡導電性弾性層とを別々に作製し、両者を貼り合わせる方法が挙げられる。
なお、発泡導電性弾性層と非発泡導電性弾性層とを貼り合わせる際には、例えば、導電性を有する接着剤が用いられる。
【0064】
-表層(2)における表面層-
表層(2)は、最表面を構成する表面層を有していてもよい。
表層(2)における表面層は、表層(1)における表面層と同様のものが用いられ、好ましい態様も同様である。
【0065】
[回転体]
第1実施形態及び第2実施形態における転写部は、上述した転写胴の他、転写胴の軸方向両端側に配置した回転体を備えることが好ましい。
この回転体と、後述する、周回部材及び保持部と、にて、転写胴の外周にて記録媒体を保持及び搬送する機能を有する。
回転体、周回部材、及び保持部の機能、配置等の詳細は後述する。
【0066】
[清掃ブラシ部材]
第1実施形態及び第2実施形態に係る転写装置は、上述した転写胴の表面を清掃する清掃ブラシ部材を備えることが好ましい。
清掃ブラシ部材におけるブラシ繊維の材質としては、例えば、ナイロン、アクリル、ポリプロピレン、ポリエステル等の樹脂繊維が挙げられる。
ここで、転写胴の表面に対する清掃ブラシ部材のブラシ食い込み量は1mm以上であることが好ましく、1.2mm以上であることがより好ましい。
このような食い込み量にて清掃を行うことで、転写胴の表面(即ち、表層(1)及び(2)に示されるように、表面粗さRzが小さい表面)におけるトナーの除去性が高まる。
ここで、ブラシ食い込み量は、清掃ブラシ部材と転写胴との間の軸間距離と、清掃ブラシ部材の無負荷状態の半径に清掃ブラシ部材の無負荷状態の半径を加算した値と、の差によって求められる。
【0067】
特に、清掃ブラシ部材のブラシ(ブラシ繊維)の長さが、4mm以上(好ましくは6mm以上)であることで、転写胴の表面(即ち、表層(1)及び(2)に示されるように、表面粗さRzが小さい表面)におけるトナーの除去性がより高めることができる。
また、清掃ブラシ部材におけるブラシ繊維の太さは、2デニール以上10デニール以下が好ましく、4デニール以上6デニール以下がより好ましい。
更に、清掃ブラシ部材におけるブラシ繊維密度としては、60×10本/inch以上100×10本/inch以下程度が好ましい。
【0068】
なお、第1実施形態及び第2実施形態に係る転写装置において、清掃ブラシ部材に代えて、又は、清掃ブラシ部材と共に、清掃ブレード部材を備えてもよい。
つまり、転写胴の表面を清掃する清掃部材としては、清掃ブレードであってもよいし、清掃ブラシ部材と清掃ブレード部材とを併用してもよい。
【0069】
〔転写ベルト〕
第1実施形態及び第2実施形態に係る転写装置における転写ベルトは、トナー画像が外面に転写される環状のベルト部材である。
転写ベルトは、外面にトナー画像が転写されうる環状のベルト部材であれば特に制限はなく、所謂、中間転写ベルトと呼ばれるものを適用しうる。
転写ベルトは、例えば、外面(即ち外周)を構成する弾性層(好ましくは導電性弾性層)と、この弾性層の内周側に配置されて内面(即ち内周)を構成する基材と、を有する積層構造のベルト部材であってもよい。なお、転写ベルトの弾性層及び基材は、その界面で両者が直接接するよう配置されていても、間に接着層等の他の層を介して配置されていてもよい。
また、転写ベルトは、弾性層(好ましくは導電性弾性層)のみからなる単層構造のベルト部材であってもよい。
転写ベルトが有する弾性層としては、上述の表層(1)及び(2)と同様に、弾性材料を含み、転写ベルトとして求められる各物性を達成する観点から、必要に応じて、導電剤等の各種添加剤を含むことが好ましい。
【0070】
〔対向ロール部材〕
第1実施形態及び第2実施形態に係る転写装置における対向ロール部材は、転写ベルトの内面に接触し、上述の転写領域で、転写胴に対向して配置されるロール部材である。
対向ロール部材は、転写領域にて転写胴との間に電界を形成し得る部材であれば特に制限はなく、所謂、二次転写ロールと呼ばれるものを適用しうる。
対向ロール部材は、転写領域にて、転写胴に対して圧接しており、この圧接条件を変更することで、記録媒体に適切な転写荷重をかけることができる。そのため、対向ロール部材は、具体的には、金属、合金等から構成される基材(シャフトとも呼ばれる)上に導電性弾性層を備える構成が好ましい。
対向ロール部材が有する導電性弾性層としては、上述の表層(1)及び(2)と同様に、弾性材料を含み、対向ロール部材として求められる各物性を達成する観点から、必要に応じて、導電剤等の各種添加剤を含むことが好ましい。
【0071】
ここで、対向ロール部材の体積抵抗値は、転写領域での放電により生じる画像欠陥を抑制する観点から、7.0(logΩ)以上8.0(logΩ)以下の範囲であることが好ましい。
【0072】
対向ロール部材の体積抵抗値は、以下のように求める。
対向ロール部材の基材を接地し、また、対向ロール部材に対向するようにロール電極を外接させた後、ロール電極に電圧を印加して、対向ロール部材とロール電極との間に流れる電流から体積抵抗値を測定する。
【0073】
<画像形成装置>
続いて、第1実施形態及び第2実施形態に係る転写装置を備えた画像形成装置の一例を示す図1を参照して、第1実施形態及び第2実施形態に係る転写装置とかかる転写装置を備える画像形成装置(即ち、本実施形態に係る画像形成装置)について説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0074】
〔画像形成装置10〕
図1に示される画像形成装置10は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置の一例である。具体的には、画像形成装置10は、記録媒体Pにトナー像(画像の一例)を形成する電子写真式の画像形成装置である。さらに具体的には、画像形成装置10は、画像形成部14と、搬送部15と、定着装置16と、を備えている。以下、画像形成装置10の各部(画像形成部14、搬送部15、及び定着装置16)について説明する。
【0075】
(画像形成部14)
画像形成部14は、トナー画像を記録媒体Pに形成する機能を有している。具体的には、画像形成部14は、トナー像形成部22と、一次及び二次転写部17と、を有している。
【0076】
-トナー像形成部22-
図1に示されるトナー像形成部22は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の計4色のトナー像形成部22が設けられている。図1に示す(Y)、(M)、(C)、及び(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。
【0077】
なお、画像形成装置10では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)を区別する必要がある場合は、各部材の符号の後に(Y)、(M)、(C)、及び(K)を付し、各色を区別する必要がない場合は、(Y)、(M)、(C)、及び(K)を省略する場合がある。また、各色のトナー像形成部22は、用いるトナーを除き同様に構成されているので、各色のトナー像形成部22を代表して、図1ではトナー像形成部22(Y)の各部に符号を付している。
【0078】
各色のトナー像形成部22は、具体的には、一方向(例えば、図1における反時計回り方向)に回転する感光体ドラム32(感光体)を有している。さらに、各色のトナー像形成部22は、帯電器23と、露光装置36と、現像装置38と、除去装置40と、を有している。
【0079】
各色のトナー像形成部22では、帯電器23が、感光体ドラム32を帯電させる。さらに、露光装置36が、帯電器23によって帯電された感光体ドラム32を露光して、感光体ドラム32に静電潜像を形成する。また、現像装置38が、露光装置36によって感光体ドラム32に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。そして、除去装置40が、後述の転写ベルト24へのトナー像の転写後に感光体ドラム32に残留したトナーを除去する。
【0080】
-一次及び二次転写部17-
図1に示される一次及び二次転写部17は、トナー像形成部22で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する部位である。具体的には、一次及び二次転写部17は、各色の感光体ドラム32のトナー像を、中間転写体としての転写ベルト24に重ねて一次転写し、該重ねられたトナー像を二次転写位置T2(後述のニップ領域28A)で記録媒体Pに二次転写する。さらに具体的には、一次及び二次転写部17は、図1に示されるように、転写ベルト24と、一次転写ロール26と、二次転写体27と、二次転写ロール60と、を備えている。
ここで、一次及び二次転写部17中の、転写ベルト24、二次転写体27、及び二次転写ロール60を備え、二次転写に関わる構成が、第1実施形態及び第2実施形態に係る転写装置の一例に該当する。
【0081】
・転写ベルト24
図1に示される転写ベルト24は、画像が外面に転写される環状の転写ベルトの一例である。具体的には、転写ベルト24は、各色の感光体ドラム32からトナー画像が外周面(外面の一例)に転写される。さらに具体的には、転写ベルト24は、以下のように構成されている。転写ベルト24は、図1に示されるように、環状を成している。さらに、転写ベルト24は、駆動ロール42Dを含む複数のロール42に巻き掛けられて姿勢が決められている。転写ベルト24は、例えば、複数のロール42のうち、駆動ロール42Dが、駆動部(図示省略)によって回転駆動することで、予め定められた矢印A方向(以下、ベルト周回方向Aという)へ周回する。
【0082】
・一次転写ロール26
図1に示される一次転写ロール26は、各色の感光体ドラム32のトナー像を、感光体ドラム32と一次転写ロール26との間の一次転写位置T1にて転写ベルト24に転写させるロールである。一次転写ロール26と感光体ドラム32との間に一次転写電界が形成されることで、感光体ドラム32に形成されたトナー像が、一次転写位置T1にて転写ベルト24に転写される。
【0083】
・二次転写体27
二次転写体27は、転写部の一例であり、具体的には、図2に示されるように、転写胴28と、一対のスプロケット29と、を有している。転写胴28は、転写ベルトの外面とで記録媒体を挟んで画像を転写ベルトから記録媒体に転写する転写領域を有する転写胴の一例である。転写胴28は、具体的には、図3に示されるように、転写ベルト24の外周面とで記録媒体Pを挟むニップ領域28A(転写領域の一例)を有している。ニップ領域28Aは、記録媒体Pが挟まれる領域であるので挟み領域ともいえる。転写胴28は、記録媒体Pを転写ベルト24とで挟むので挟み部ともいえる。なお、図3では、記録媒体Pを簡略化し、前端部のみを示しており、記録媒体Pはニップ領域28Aにて、転写胴28と転写ベルト24との間に挟まれる。
【0084】
ニップ領域28Aは、転写ベルト24が転写胴28に巻き掛けられることで形成されている。換言すれば、ニップ領域28Aは、転写ベルト24と転写胴28とが接触する接触領域ともいえる。そして、ニップ領域28Aが、転写ベルト24から記録媒体Pにトナー像が転写される二次転写位置T2とされている。また、転写胴28は、ニップ領域28Aにおいて転写ベルト24との間に記録媒体Pを挟んで搬送する。
【0085】
一対のスプロケット29は、回転体の一例である。この一対のスプロケット29は、図2に示されるように、転写胴28の軸方向両端側に配置されている。換言すれば、一対のスプロケット29の間に転写胴28が設けられている。さらに、一対のスプロケット29は、転写胴28の同軸上に配置されており、転写胴28と一体に回転する構成とされている。二次転写体27は、駆動部(図示省略)によって回転駆動される。
【0086】
一対のスプロケット29は、図5に示されるように、外径が、転写胴28の外径よりも小さくされている。スプロケット29の外径とは、歯29Aを含んだ外径(すなわち、歯先の径)である。
【0087】
また、転写胴28は、図2に示されるように、基材28Eと、基材28Eの外周に巻かれ基材28Eに対して交換可能な表層28Fと、を有している。
基材28E及び表層28Fの構成及び組成等の詳細は、前述の通りである。第1実施形態の場合には、表層28Fは、前述の、表面粗さRz、アスカーC硬度、体積抵抗値、及び厚さを有する表層である。第2実施形態の場合には、表層28Fは、基材28E側から発泡導電性弾性層と非発泡導電性弾性層とをこの順に有する積層構造を有する。
【0088】
さらに、転写胴28の外周(即ち、基材28Eの外周)には、搬送部15の後述のグリッパ54及び取付部材55が収容される2つの凹部28Dが形成されている。なお、凹部28Dは、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0089】
・二次転写ロール60
図1に示される二次転写ロール60は、転写ベルトの内面に接触し、転写胴が有する転写領域で、転写胴に対向して配置される対向ロール部材の一例である。この二次転写ロール60は、図3に示されるように、転写ベルト24の内側で転写胴28に対向するように配置されている。このとき、二次転写ロール60は転写胴28に対して押し当てられており、図4に示されるように、転写胴28の表層28Fが変形した領域がニップ領域28A(二次転写位置T2)となる。
また、二次転写ロール60、転写ベルト24、及び転写胴28の間に二次転写電界が形成されることで、転写ベルト24に重ねられたトナー像がニップ領域28A(二次転写位置T2)にて転写ベルト24から記録媒体Pへ転写される。
なお、二次転写ロール60の構成(具体的には導電性弾性層を備える構成)の詳細については、前述の通りである。
【0090】
・清掃ブラシ70
転写胴28の表面を清掃する目的(具体的には、転写胴28の表面に付着したトナー等を除去する目的で)で、転写胴28の外周(即ち、表層28Fの表面)に接触するように、清掃ブラシ70(清掃ブラシ部材の一例)が配置されている。
清掃ブラシ70が回転することで、転写胴28の表面のトナー等が掻き取られ、転写胴28の表面が清掃される。このとき、転写胴28の表面に対する清掃ブラシ70の食い込み量は、1mm以上とすることが好ましい。
清掃ブラシ70の詳細は、前述の通りである。
【0091】
(搬送部15)
図1図3等に示される搬送部15は、記録媒体Pを搬送する機能を有している。具体的には、搬送部15は、記録媒体Pを搬送してニップ領域28A(図3参照)を通過させる機能を有している。さらに具体的には、搬送部15は、図1及び図2に示されるように、一対のスプロケット19と、一対のチェーン52と、グリッパ54と、吸着ロール59と、を有している。一対のチェーン52は、周回部材の一例である。グリッパ54は、記録媒体を保持する保持部の一例である。なお、図1では、スプロケット19、チェーン52及びグリッパ54を簡略化して示している。また、図3では、チェーン52及びグリッパ54を簡略化して示している。
【0092】
一対のスプロケット19は、図1に示されるように、二次転写体27が有する一対のスプロケット29に対する定着装置16側(図1における左側)において装置前後方向に間隔をおいて配置されている。一対のスプロケット19は、同軸上に一体回転可能に画像形成装置10の装置本体(図示省略)に支持されている。
【0093】
一対のチェーン52は、図1に示されるように、環状に形成されている。この一対のチェーン52は、図2に示されるように、装置前後方向(図2のD方向)に間隔をおいて配置されている。この一対のチェーン52は、それぞれ、二次転写体27が有する一対のスプロケット29と、一対のスプロケット19(図1参照)と、に巻き掛けられている。そして、一対のスプロケット29を有する転写胴28が回転することで、チェーン52が周回方向C(図1の矢印C方向)へ周回する構成とされている。ここで、チェーン52は、周回方向Cにおいて、ニップ領域28Aのうち、少なくとも二次転写ロール60と対向する領域を跨ぐように巻き掛けられている。これにより、二次転写中は記録媒体Pがチェーン52で搬送されるため、二次転写位置T2で記録媒体Pの速度変動が抑制される。更に、チェーン52は、ニップ領域28Aの全体を跨ぐように巻き掛けられている。これにより、二次転写位置T2でより確実に記録媒体Pの速度変動が抑制される。なお、本実施形態では、チェーン52がスプロケット29に巻き掛けられる巻き掛け角度は、180度以上となっている。このため、記録媒体Pが転写胴28の表面に倣って搬送されやすくなる。なお、記録媒体Pが転写胴28の表面に倣って搬送されやすくなるには、巻き掛け角度を90度以上とすることが望ましい。また、本実施形態では、周回方向Cにおいて、チェーン52が巻き掛けられ始めてから二次転写位置T2に到達するまでの間の巻き掛け角度は、90度以上となっている。このため、二次転写位置T2に到達するまでの間に記録媒体Pが転写胴28の表面に倣って搬送されやすくなる。
【0094】
本実施形態では、チェーン52は、側面視にて、ニップ領域28Aに対する搬送方向下流側において、転写ベルト24と転写胴28との間を進行している。換言すれば、チェーン52は、側面視にて、巻掛部分43Fに対して隙間を有し、且つ、チェーン52に対する巻掛部分43Fとは反対側において、転写胴28に対して隙間を有している。
【0095】
一対のチェーン52には、図2に示されるように、グリッパ54が取り付けられた取付部材55が装置前後方向に沿って掛け渡されている。取付部材55は、チェーン52の周方向(周回方向C)に沿って予め定められた間隔で複数が一対のチェーン52に固定されている。
【0096】
グリッパ54は、図2に示されるように、装置前後方向に沿って予め定められた間隔で複数が取付部材55に取り付けられている。換言すれば、グリッパ54は、取付部材55を介して、チェーン52に取り付けられている。このグリッパ54は、記録媒体Pの前端部を保持する機能を有している。具体的には、グリッパ54は、図6に示されるように、爪54Aと爪台54Bとを有している。グリッパ54では、爪54Aと爪台54Bとの間に記録媒体Pの前端部を挟むことで記録媒体Pを保持する構成とされている。換言すれば、グリッパ54は、記録媒体Pを厚み方向に挟持する挟持部の一例ともいえる。
【0097】
さらに具体的には、グリッパ54は、記録媒体Pの画像領域外において、記録媒体Pの前端部を保持する。記録媒体Pの画像領域とは、記録媒体Pにおいて、トナー像が転写される領域である。なお、グリッパ54は、例えば、爪54Aが爪台54Bに対してバネ等により押し付けられる共に、カム等の作用により爪54Aが爪台54Bに対して開閉される。
【0098】
そして、搬送部15では、記録媒体Pが収容された収容部(図示省略)から送られた記録媒体Pの前端部を、図6に示されるように、グリッパ54で保持する。さらに、搬送部15では、グリッパ54が記録媒体Pの前端部を保持した状態でチェーン52が周回方向Cへ周回することで、グリッパ54を移動させて記録媒体Pを搬送し、グリッパ54で記録媒体Pを保持したまま、グリッパ54と共にニップ領域28Aを通過させる。さらに、搬送部15では、記録媒体Pを、ニップ領域28Aを通過させた後、定着装置16へ搬送する。
【0099】
吸着ロール59は、ニップ領域28Aに対する搬送方向上流側において、転写胴28に接触している。吸着ロール59は、記録媒体Pを転写胴28に押し付けると共に、電源57からの給電により、記録媒体Pを帯電させる。これにより、記録媒体Pを転写胴28の外周面に静電吸着させる。
【0100】
(定着装置16)
図1に示される定着装置16は、転写胴28によって記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着する装置である。さらに具体的には、定着装置16は、図1に示されるように、加熱部材としての加熱ロール68と、加圧部材としての加圧ロール69と、を有している。定着装置16では、加熱ロール68及び加圧ロール69によって、記録媒体Pを加熱及び加圧することで、記録媒体Pに形成されたトナー像を該記録媒体Pに定着する。
【0101】
図1に示される画像形成装置10における、記録媒体Pの動き及び記録媒体Pに対するトナー画像の転写について説明する。
まず、記録媒体Pが収容された収容部(図示省略)から送られた記録媒体Pの前端部を、図6に示されるように、グリッパ54で保持する。さらに、グリッパ54が記録媒体Pの前端部を保持した状態でチェーン52が周回方向Cへ周回することで、グリッパ54を移動させて記録媒体Pを搬送し、グリッパ54で記録媒体Pを保持したまま、グリッパ54と共にニップ領域28Aを通過させる(図3参照)。なお、記録媒体Pは、ニップ領域28Aに対する搬送方向上流側で、吸着ロール59によって、転写胴28に静電吸着される。
【0102】
記録媒体Pがニップ領域28Aを通過させる際に、二次転写ロール60における放電ワイヤ60Aの放電により、記録媒体Pが転写ベルト24及び転写胴28に静電吸着される。また、二次転写ロール60における放電ワイヤ60Aの放電により、転写ベルト24に重ねられたトナー像が、ニップ領域28A(二次転写位置T2)にて転写ベルト24から記録媒体Pへ転写される。
【0103】
なお、記録媒体Pは、ニップ領域28Aにて転写ベルト24と転写胴28とで挟まれることで、転写胴28及び転写ベルト24に付着される。そして、例えば、転写ベルト24が記録媒体Pから離れることで、記録媒体Pが転写ベルト24から剥離される。
【0104】
[転写装置における変形例]
図1及び図3に示される態様では、1つの二次転写ロール60が備えられていたが、二次転写ロール60(対向ロール部材の一例)を2つ以上有する構成であってもよいし、二次転写ロール60と他の帯電手段(例えば、非接触帯電手段)とが並んで配置されていてもよい。
【0105】
[その他の変形例]
また、図3に示される態様では、保持部の一例としてのグリッパ54は、記録媒体Pの前端部を保持していたが、これに限られない。例えば、保持部の一例としては、記録媒体Pの側端部を保持するグリッパを用いてもよい。
【0106】
また、図2に示される態様では、周回部材の一例として、チェーン52を用いたが、これに限られない。例えば、周回部材の一例としては、タイミングベルトであってもよい。 また、図6に示される態様では、回転体の一例として、スプロケット29を用いたが、これに限られない。例えば、回転体の一例としては、タイミングベルトが巻き掛けられるタイミングプーリを用いてもよい。
【0107】
図1に示される態様では、定着装置16は、加熱ロール68と、加圧ロール69と、を有する構成であるがが、このような構成に限定されるものでない。
定着装置16としては、公知の定着装置を適用することができる。
【0108】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【実施例
【0109】
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0110】
〔転写胴の作製〕
-基材の準備-
幅が100mmの凹部を1つ有する、外径243mmのアルミニウム製基材を準備した。
【0111】
-表層の作製-
以下のようにして、表層を作製した。
弾性材料と、導電剤、加硫剤、発泡剤等の添加剤と、を含む弾性層形成用組成物を調製し、これを金型に入れ、加硫、発泡、及び成形を行い、発泡導電性弾性体を作製した。得られた発泡導電性弾性体を加圧してシート状に延伸し、シート状の発泡導電性弾性層を得た。
また、弾性材料と、導電剤、加硫剤等の添加剤と、を含む弾性層形成用組成物を調製し、これを金型に入れ、加硫及び成形を行い、非発泡導電性弾性体を作製した。得られた非発泡導電性弾性体を加圧してシート状に延伸し、シート状の非発泡導電性弾性層を得た。
得られた、シート状の発泡導電性弾性層と、シート状の非発泡導電性弾性層と、を導電性接着剤にて貼り付けることで、積層構造の弾性層を得た。
ここで、弾性層形成用組成物において、弾性材料としては、上述した各種の弾性材料のうちの1種又は2種以上を用い、また、添加剤としては、上述した各種の添加剤のうち1種又は2種以上を用いた。
得られた弾性層における非発泡導電性弾性層の表面を研磨した後、非発泡導電性弾性層の上に、上述した表面層を形成し、表層を得た。
【0112】
-表層の取り付け-
上記のようにして作製した表層を以下のように基材の外周に取り付けた。
まず、表層の先端部を基材に取り付け、表層を基材に対し押圧しながら基材を回転させて、基材の外周に表層を密着させ、最後に表層の後端部を固定した。
【0113】
〔その他の転写胴の作製〕
表層の作製条件を適宜変更した以外は、上記の転写胴の作製と同様の方法にて、表面粗さ、アスカーC硬度、体積抵抗値、及び厚さの少なくとも1つが異なる各種の転写胴を作製した。
変更した表層の作製条件としては、以下のようなものが挙げられる。
表面粗さは、例えば、金型の表面粗さ、研磨条件等を変更することで、制御した。
アスカーC硬度は、例えば、弾性材料の種類、硬化剤の配合量等を変更することで、制御した。
体積抵抗値は、例えば、導電剤の種類、配合量等を変更することで、制御した。
厚さは、金型の大きさ、シート状に延伸する際の加圧条件等を変更することで、制御した。
【0114】
<評価>
上述のようにして得られた転写胴を組み込み、図1に示される構成を有する画像形成装置を用いて、以下のような評価を行った。
【0115】
[転写胴が有する表層の表面粗さRzに関する評価]
転写胴28、清掃ブラシ70、及び二次転写ロール60として以下に示すものを組み込んだ画像形成装置を用いて画像形成を行い、転写胴28が有する表層28Fの表面粗さRzに関する評価を行った。
ここで、転写胴28としては、表面粗さRzが40μm、35μm、22μm、10μm、又は5μmであって、アスカーC硬度が50°、体積抵抗値が7(logΩ)、厚さ7mmである表層28Fを備える5種の転写胴を用いた。
また、清掃ブラシ70としては、ブラシ長6mm、ブラシ繊維径2デニール、ブラシ繊維密度80×10本/inchのブラシ(1)と、ブラシ長6mm、ブラシ繊維径6デニール、ブラシ繊維密度80×10本/inch以下のブラシ(2)と、の2種を用いた。
更に、二次転写ロール60としては、体積抵抗値が7.5logΩである導電性弾性層を備えるロール部材を用いた。
【0116】
また、画像形成の際の条件は以下の通りである。
Y、M、C、及びKの各色の画像カバレッジ10%の画像を、1,000枚印刷した。
トナーの除去性は、以下のようにして評価した。
非通紙部でのかぶりトナーは転写胴28における表層28Fに直接付着することがある。このようにして付着したトナーについて、清掃ブラシ70による清掃領域を通過した後の、表層28F上のトナー量を目視にて確認し、このトナー量が少ないほど、トナーの除去性が優れると評価した。
【0117】
以上のようにして得られた結果を図7及び図8に示す。
図7は、清掃ブラシ(1)を用い、転写胴の表面に対する清掃ブラシのブラシ食い込み量を1mmとしたときの、転写胴が有する表層の表面粗さRzとトナーの除去性との関係を示すグラフである。
図8は、清掃ブラシ(1)及び(2)を用い、表面粗さRzが22μmである表層を有する転写胴を用いたときの、転写胴の表面に対する清掃ブラシのブラシ食い込み量とトナーの除去性との関係を示すグラフである。
図7及び図8中、縦軸は、清掃ブラシ70による清掃領域を通過した後における表層28F上のトナー量を示し、このトナー量が少ないほどトナーの除去性に優れることを示している。図7及び図8中、特に、点線より下の領域にてトナーの除去性が優れることを示す。
【0118】
図7のグラフによれば、表面粗さRzが25μm以下の表層を有する転写胴を用いることで、清掃部材によるトナーの除去性が優れることが分かる。
また、図8のグラフによれば、転写胴の表面に対する清掃ブラシのブラシ食い込み量が大きいほどトナーの除去性に優れ、特に、ブラシ食い込み量を1以上とすることでトナーの除去性が特に高まることが分かる。
【0119】
[転写胴が有する表層のアスカーC硬度に関する評価]
転写胴28、二次転写ロール60、及び清掃ブラシ70として以下に示すものを組み込んだ画像形成装置を用いて画像形成を行い、転写胴28が有する表層のアスカーC硬度に関する評価を行った。
ここで、転写胴28としては、アスカーC硬度が35°、45°、55°、65°、又は75°であって、表面粗さRzが20μm、体積抵抗値が7(logΩ)、厚さ7mmである表層を備える5種の転写胴を用いた。
また、清掃ブラシ70としては、上述のブラシ(1)を、転写胴の表面に対する清掃ブラシのブラシ食い込み量を1mmとして組み込んだ。
更に、二次転写ロール60としては、体積抵抗値が7.5logΩである導電性弾性層を備えるロール部材を用いた。
【0120】
また、画像形成の際の条件は以下の通りである。
Y、M、C、及びKの各色の画像カバレッジ10%の画像を、1,000枚印刷した。なお、記録媒体としては、坪量が127gsm、350gsm、又は470gsmの3種を用い、転写領域での記録媒体の搬送速度は560mm/s又は800mm/sとした。
【0121】
得られた印刷物における画像について目視にて観察し、画像転写性を評価した。
転写効率の低下は、画像濃度の低下領域の有無、画像濃度の低下領域の大きさ等にて評価した。また、転写乱れは、画像ムラにて評価した。
評価基準は以下の通りである。ここでは、画像転写性の評価が「G11」及び「G12」であることが許容レベルである。
・G11:画像転写性が良好である。
・G12:転写効率の低下又は転写乱れがごく僅かにあるが、画像転写性は良好である。
・G21:転写荷重が十分でなく、転写効率が低下している。
・G22:記録媒体が転写領域(ニップ領域)に突入した際の衝撃による転写乱れが発生している。
・G3 :記録媒体が転写領域(ニップ領域)に突入した際の衝撃による転写乱れが顕著に発生している。
【0122】
画像転写性の評価結果を下記表1及び表2に示す。
表1は、坪量が127gsm、350gsm、又は470gsmの記録媒体を用い、転写領域での記録媒体の搬送速度が560mm/sであるときの、転写胴が有する表層のアスカーC硬度と画像転写性との関係を示す表である。
表2は、坪量が127gsm、350gsm、又は470gsmの記録媒体を用い、転写領域での記録媒体の搬送速度が800mm/sであるときの、転写胴が有する表層のアスカーC硬度と画像転写性との関係を示す表である。
【0123】
【表1】
【0124】
【表2】
【0125】
表1及び表2によれば、アスカーC硬度が45°以上65°以下であることで、記録媒体の搬送速度に関わらず、また、記録媒体の坪量に関わらず、良好な画像転写性が得られることが分かる。
【0126】
[転写胴が有する表層の体積抵抗値に関する評価]
転写胴28、二次転写ロール60、及び清掃ブラシ70として以下に示すものを組み込んだ画像形成装置を用いて画像形成を行い、転写胴28が有する表層の体積抵抗値に関する評価を行った。
ここで、転写胴28としては、体積抵抗値が5.5(logΩ)、6.0(logΩ)、6.5(logΩ)、7.0(logΩ)、7.5(logΩ)、8.0(logΩ)、8.5(logΩ)、又は9.0(logΩ)であって、表面粗さRzが20μm、アスカーC硬度が50°、厚さ7mmである表層を備える8種の転写胴を用いた。
また、二次転写ロール60としては、体積抵抗値が6.5(logΩ)、7.0(logΩ)、7.5(logΩ)、8.0(logΩ)、又は8.5(logΩ)である導電性弾性層を備える5種のロール部材を用いた。
更に、清掃ブラシ70としては、上述のブラシ(1)を、転写胴の表面に対する清掃ブラシのブラシ食い込み量を1mmとして組み込んだ。
【0127】
また、画像形成の際の条件は以下の通りである。
Y、M、C、及びKの各色の画像カバレッジ10%の画像を、1,000枚印刷した。
【0128】
得られた画像について目視にて観察し、画像転写性に由来する画像欠陥を評価した。
評価基準は以下の通りである。ここでは、画像欠陥が、「G11」、「G12」、「G21」、及び「G22」であることが許容レベルである。
G11:画像転写性が良好であり、白抜け及びゴーストが見られない。
G12:画像転写性が良好であり、白抜け及びゴーストが見られない又は非常に少ない。
G21:白抜け及びゴーストは見られない又は非常に少ないが、若干、画像の粒状性が低い。
G22:白抜け及びゴーストは見られない又は非常に少ないが、若干、放電飛び散りによる画像欠陥が発生している。
G31:白抜けが発生している。
G32:ゴーストが発生している。
G41:白抜けが発生しており、画像の粒状性も低い。
G42:ゴーストが発生しており、画像の粒状性も低い。
G43:白抜けが発生しており、放電飛び散りによる画像欠陥も発生している。
G44:ゴーストが発生しており、放電飛び散りによる画像欠陥も発生している。
【0129】
画像欠陥の評価結果を下記表3に示す。
表3は、転写胴が有する表層の体積抵抗値と、二次転写ロールの体積抵抗値(導電性弾性層の体積抵抗値)と、画像欠陥と、の関係を示す表である。
【0130】
【表3】
【0131】
表3によれば、転写胴が有する表層の体積抵抗値が6.0(logΩ)以上8.5(logΩ)以下であることで、白抜け及びゴーストが抑制された画像が得られることが分かる。
特に、二次転写ロールの体積抵抗値が7.0(logΩ)以上8.0(logΩ)以下であると、画像欠陥がより少ない画像が得られることが分かる。
【0132】
[転写胴が有する表層の厚さに関する評価]
転写胴28としては、厚さが15mm、13mm、11mm、9mm、7mm、5mm、又は3mmであって、表面粗さRzが20μm、アスカーC硬度が50°、体積抵抗値が7(logΩ)、厚さ7mmである表層を備える7種の転写胴を用いた。
【0133】
得られた転写胴における体積抵抗ムラを以下のようにして測定した。
既述の、表層の体積抵抗値の測定方法を用い、面内等間隔の80箇所の体積抵抗値を測定し、得られた測定値から最大と最小の差分を算出し、差分を体積抵抗ムラとして評価した。
体積抵抗ムラの値が0.1(logΩ)以下であることは、導電点の分布の均一性が高い(即ち、転写胴が有する表層の抵抗均一性が高い)ことを示す。
【0134】
得られた転写胴における巻き付け性を以下のようにして評価した。
表層を巻き付けて得られた転写胴を用いて、1,000枚の印刷を行った後、表層の浮き、ズレ等を確認した。
【0135】
以上のようにして得られた体積抵抗ムラの結果を図9に示す。
図9は、転写胴が有する表層の厚さと体積抵抗ムラとの関係を示すグラフである。
【0136】
図9のグラフによれば、厚さ10mm以下の表層を有する転写胴を用いることで、表層における導電点の分布の均一性が高く、その結果、優れた画像転写性が得られるものと考えられる。
また、厚さ10mm以下の表層を有する転写胴の場合、1,000枚の印刷を行った後、表層の浮き、ズレが確認されず、基材と表層との密着性に優れることが分かった。このように、基材と表層との密着性に優れる巻き付けができることから、表層の交換性にも優れることが分かる。
【符号の説明】
【0137】
10 画像形成装置
16 定着装置
19 スプロケット
24 転写ベルト
27 二次転写体(転写部の一例)
28 転写胴
28E 基材
28F 表層
29 スプロケット(回転体の一例)
52 チェーン(周回部材の一例)
54 グリッパ(保持部の一例)
60 二次転写ロール(対向ロール部材の一例)
68 加熱ロール
69 加圧ロール
70 清掃ブラシ(清掃ブラシ部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9