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特許7543770情報処理装置、プログラム及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20240827BHJP
   G06Q 30/015 20230101ALI20240827BHJP
   G10L 25/63 20130101ALI20240827BHJP
   G10L 15/10 20060101ALI20240827BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20240827BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240827BHJP
【FI】
G06Q10/10
G06Q30/015
G10L25/63
G10L15/10 500T
G06T7/20 300B
G06T7/00 350C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020136747
(22)【出願日】2020-08-13
(65)【公開番号】P2022032691
(43)【公開日】2022-02-25
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】大野 和久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直之
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-98322(JP,A)
【文献】特開2011-87005(JP,A)
【文献】特開2020-71675(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0333078(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G10L 25/63
G10L 15/10
G06T 7/20
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
応対データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した応対データを、特徴毎に分類を関連付けた分類データベースに基づき、前記分類を特定する分類特定部と、
前記分類特定部が特定した分類を参照して、分類毎の辞書を用いて前記応対データを平易化する平易化部とを備え
前記平易化部は、
前記応対データに含まれる利用者による回答に含まれる語句の感情指数を導出し、
導出した前記感情指数が所定値以上の語句を含めて平易化する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記平易化部は、前記分類特定部が特定した分類に基づき、前記応対データに含まれる応対者の質問及び、応対者の質問に対応する利用者の回答の一部を抽出することにより、前記応対データを平易化する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記応対データは、前記利用者の音声データ及び、前記利用者の顔を撮像した画像データを含み、
前記平易化部は、前記音声データ又は前記画像データに基づき、前記利用者の回答に含まれる語句の感情指数を導出する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記分類特定部は、前記応対データにおける応対業務に関連する複数の用語が概念的及び階層的に関連付けられたオントロジー情報を用いて、前記応対データに含まれる応対者の質問の分類を特定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記分類特定部は、前記応対データに含まれる応対者の質問を入力した場合に応対者の質問の分類を出力するよう学習された学習モデルを用いて、前記応対者の質問の分類を導出する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記分類特定部が特定した分類に基づき、前記応対データから、要素情報を抽出する要素情報抽出部を
備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記要素情報は、前記要素情報の属性と、前記属性の内容を示す値とにより構成され、
前記要素情報抽出部は、
前記分類特定部が特定した分類に基づき、前記応対データに含まれる応対者の質問から属性を抽出し、前記応対者の質問に対応する利用者の回答から値を抽出し、
前記抽出した属性と値とを関連付ける
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記平易化部が平易化した情報及び前記要素情報抽出部が抽出した要素情報に基づき生成した要約表示画面を出力する出力部を
備えることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記出力部が出力した要約表示画面にて表示される、平易化した情報又は要素情報の修正を受け付ける修正部を
備えることを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記応対データの発信者を特定する発信者特定部を
備えることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記応対データの音声を文字データに変換する音声認識部を
備えることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータに、
応対データを取得し、
取得した前記応対データを、特徴毎に分類を関連付けた分類データベースに基づき、前記分類を特定し、
前記特定した分類を参照して、分類毎の辞書を用いて前記応対データを平易化し、
前記応対データに含まれる利用者による回答に含まれる語句の感情指数を導出し、導出した前記感情指数が所定値以上の語句を含めて平易化する
処理を実行させるプログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
応対データを取得し、
取得した前記応対データを、特徴毎に分類を関連付けた分類データベースに基づき、前記分類を特定し、
前記特定した分類を参照して、分類毎の辞書を用いて前記応対データを平易化し、
前記応対データに含まれる利用者による回答に含まれる語句の感情指数を導出し、導出した前記感情指数が所定値以上の語句を含めて平易化する
処理を実行させる情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
利用者からの問い合わせに対して、担当窓口を接続して対応するヘルプデスクシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のヘルプデスクシステムは、問い合わせ端末からの問い合わせを受信して受付窓口端末に送信した後、前記問い合わせが送信された受付窓口端末からの担当窓口の選択指示を受信して、問い合わせ端末、受付窓口端末及び担当窓口端末を接続した会話環境を確立する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-37674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のヘルプデスクシステムは、ヘルプデスクにおける対応結果を要約する点について考慮されていないという問題点がある。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ヘルプデスク等の対応業務における応対データの要約を効率的に作成することができる情報処理装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの案では、情報処理装置は、応対データを取得する取得部と、前記取得部が取得した応対データを、特徴毎に分類を関連付けた分類データベースに基づき、前記分類を特定する分類特定部と、前記分類特定部が特定した分類を参照して、分類毎の辞書を用いて前記応対データを平易化する平易化部とを備える。当該応対データは、応対者及び利用者による質問及び回答を含むものであり、例えば、応対者はヘルプデスク等の対応業務を行う者を示し、利用者はヘルプデスク等のサービスを利用する者を示す。当該応対者による質問は、チャットボット又は自動音声対応等による質問を含むものであってもよい。
【0007】
一つの案では、プログラムは、応対データを取得し、取得した前記応対データを、特徴毎に分類を関連付けた分類データベースに基づき、前記分類を特定し、前記特定した分類を参照して、分類毎の辞書を用いて前記応対データを平易化する。
【0008】
一つの案では、情報処理方法は、応対データを取得し、取得した前記応対データを、特徴毎に分類を関連付けた分類データベースに基づき、前記分類を特定し、前記特定した分類を参照して、分類毎の辞書を用いて前記応対データを平易化する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、対応業務における応対データの要約を効率的に作成する情報処理装置等を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る情報処理システムの構成例を示す模式図である。
図2】情報処理装置等の構成例を示すブロック図である。
図3】情報処理装置の制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
図4】応対管理テーブルの一例を示す説明図である。
図5】要約情報テーブルの一例を示す説明図である。
図6】応対データ(発話の原文)と、要約データ(平易化)との対比を例示する説明図である。
図7】制御部が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8】実施形態2(感情指数)に係る情報処理装置の制御部に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。
図9】要約情報テーブルの一例を示す説明図である。
図10】応対データ(発話の原文)と、要約データ(平易化)との対比を例示する説明図である。
図11】制御部が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図12】実施形態3に係る出力される画面(要約表示画面)の一例を示す説明図である。
図13】制御部が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る情報処理システムSの構成例を示す模式図である。図2は、情報処理装置1等の構成例を示すブロック図である。情報処理システムSは、情報処理装置1と、情報処理装置1に通信可能に接続される応対者側端末装置2とを含み、外部ネットを介して情報処理装置1に接続される利用者側端末装置3と、応対者側端末装置2との通信を中継する。情報処理システムSは、例えば、利用者側端末装置3の利用者に対するヘルプデスクに関するアプリケーションを提供するためのシステムである。利用者側端末装置3と応対者側端末装置2との間にて通信される応答データ(応対データ)は、例えば、利用者及び応対者の発話による音声データ、利用者及び応対者との間でのテキスト入力によるチャットのデータ、及び利用者及び応対者を撮像した画像データ(映像データ)を含む。
【0012】
情報処理装置1は、例えば、ビデオ通話を行うためのビデオ通話アプリケーション上にて入出力される利用者及び応対者による音声データ及び画像データを取得し、取得した音声データに基づき、質問者による質問と、回答者による回答とを区分化して個々の文単位となるように構成する。情報処理装置1は、利用者側端末装置3と応対者側端末装置2との間にて通信される応答データを平易化した情報(平易化文)と、応答データから抽出(特定)した要素情報とを、応対者側端末装置2に出力すると共に、自装置の記憶部12にこれら情報を記憶する。このように構成された情報処理システムSを用いることにより、例えばヘルプデスクの利用者と応対者との間で行われた質疑応答に関するデータ等、利用者側端末装置3と応対者側端末装置2との間にて通信される応答データを平易化すると共に、当該応答データから要素情報を抽出することにより応答データを構造化し、応対者の理解を支援することができる。
【0013】
情報処理装置1は、制御部11、記憶部12、及び通信部13を備えたコンピュータであり、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートホン又は外部ネットワークで接続されたクラウドサーバ等である。
【0014】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成してあり、時計機能を有し、記憶部12に予め記憶されたプログラム及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理、演算処理等を行う。
【0015】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子、及びRAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子により構成されている。記憶部12には、ビデオ通話アプリケーション、チャットアプリケーション等、情報処理システムSがヘルプデスクシステムとして機能するために必要なプログラム、データ等が記憶されている。更に、記憶部12には、応答データの平易化、及び当該応答データから要素情報を抽出するためのプログラム及び、オントロジー情報等が、記憶されている。更に、記憶部12には、応答データと、当該応答データを平易化した情報(平易化文)及び抽出した要素情報とが、関連付けられて登録される応対データベースが、記憶されている。これらについての詳細は、後述する。
【0016】
通信部13は、イーサネット(登録商標)等に対応したネットワークインターフェイスを有する有線通信デバイス又は、WIFI(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の所定のプロトコルに準拠した無線通信デバイスであってもよい。
【0017】
応対者側端末装置2は、制御部21、記憶部22、通信部23及び入出力I/F24を備えたコンピュータであり、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ又はスマートホン等である。応対者側端末装置2の制御部21、記憶部22及び通信部23は、情報処理装置1と同様の構成によるものであってもよい。
【0018】
入出力I/F24は、応対者側端末装置2の外部装置と通信を行うためのインターフェイス群であり、例えば、USB又はDSUB等の規格化された通信インターフェイスである。入出力I/F24には、ディスプレイ等の表示部241、マイク242、スピーカ243及びUSBカメラ等の撮像部244が接続され、各外部装置と、応対者側端末装置2の制御部21との通信を可能にしている。
【0019】
利用者側端末装置3は、応対者側端末装置2と同様に制御部(図示せず)、記憶部(図示せず)、通信部(図示せず)及び入出力I/F(図示せず)を備えたコンピュータであり、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ又はスマートホン等である。利用者側端末装置3の入出力I/Fについても、応対者側端末装置2と同様にディスプレイ等の表示部(図示せず)、マイク(図示せず)、スピーカ(図示せず)及びUSBカメラ等の撮像部(図示せず)が接続される。
【0020】
図3は、情報処理装置1の制御部11に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。情報処理装置1の制御部11は、記憶部12に記憶されている各種プログラムを実行することにより、取得部111、分類特定部112、平易化部113、要素情報抽出部114、及び出力部115として機能する。
【0021】
取得部111は、利用者及び応対者が行ったビデオ通話又は音声通話における応対データ、すなわち利用者による音声データと、応対者による音声データとを取得する。利用者及び応対者が行ったビデオ通話等において、利用者による音声データと、応対者による音声データとは、入力されるチャネルが異なるため、取得部111は、応対データにおいて、利用者による音声データと、応対者による音声データとを区別して取得することができる。取得部111は、例えばビデオ通話における利用者及び応対者の音声データを取得するとしたが、これに限定されない。利用者及び応対者による応対が、例えばチャット機能を用いて入力された文字データによって行われる場合、取得部111は、当該文字データを取得するものであってもよい。当該文字データを取得する場合であっても、利用者による入力と、応対者による入力とは、チャネルが異なるため、取得部111は、利用者による文字データと、応対者による文字データとを区別して取得することができる。
【0022】
取得部111は、取得した応対データにおいて、応対データに含まれる利用者による音声データと、応対者による音声データとに対し、音声認識処理を行い、音声データから、文字データ(テキストデータ)に変換する。すなわち、取得部111は、音声認識処理を行い、音声データから、文字データ(テキストデータ)に変換する音声認識部を含む。当該音声認識処理は、例えば、音響モデル、発音辞書及び言語モデル等の処理モジュールを用いて行うものであってもよい。音響モデルは、周波数成分や時間変化の分析を行い、音声、すなわち発音と、音響モデルの元となる音素夫々との近似量を計算し、最も近似する音素を特定する。特定した音素の組合せにより音素列が生成される。発音辞書は、生成された音素列との一致度合いに基づき、発音された用語(単語)を特定する。言語モデルは、特定した単語による単語列(文字列)が、適切であるかを評価するために用いられるモデルであり、単語や文字列の出現確率をデータ化したものである。取得部111は、取得した利用者及び応対者のそれぞれの音声データを、音波に変換し、音波から音素を特定する。特定した音素の並びを、予め登録した発音辞書とマッチングを行い単語に変換し、変換した単語による単語列(文字列)が適切な文章となるように言語モデルを用いて評価することにより文書を生成する。取得部111は、変換した音波の周波数に基づき、発話者(音声データの発信者)を特定するものであってもよい。すなわち、取得部111は、変換した音波の周波数に基づき発話者を特定する音声認識部を含む。応対者及び利用者による応対が、例えば対面等で行われた場合であっても、取得した音声データから変換した音波の周波数に基づき発話者(音声データの発信者)を峻別し、発話者が応対者又は利用者であるかと特定することができる。取得部111は、音声データから変換した文字データ(テキストデータ)による文書を、分類特定部112、平易化部113、及び要素情報抽出部114に出力する。
【0023】
分類特定部112は、取得部111にて変換及び出力された文書に対し、例えば、形態素解析、自然語解析を行うことにより、文章の区切りを判別し、一定のまとまりのある文単位に区分化し、これら区分化された複数の文単位に構成する。当該一定のまとまりのある文単位は、単一の文に限定されず、文脈上適切な範囲にて複数の文を含むものであってもよい。当該文単位は、応対者による質問(質問文)と、利用者による回答(回答文)とを含むものであり、これら対応する応対者による質問(質問文)と利用者による回答(回答文)により、対話セットが構成される。
【0024】
分類特定部112は、応対者による質問に含まれる語句又は用語を抽出し、抽出した語句と、記憶部12に記憶されているオントロジー情報とを照合することにより、一致する語句が多い業務分類を特定する。オントロジー情報は、例えばヘルプデスク等の対応業務に関連する複数の語句又は用語が概念的及び階層的に関連付けられた情報であり、例えばXML形式で保存されているリポジトリ(分類データベース)である。当該語句等は、対応業務の種類に依拠して選択されるものであってもよい。例えば、ヘルプデスク等の対応業務が損害保険に関する場合、当該損害保険に関連する語句又は用語により、オントロジー情報が構成されるものであってもよい。オントロジー情報には複数の業務分類が含まれており、当該業務分類は最上位概念に相当するものであり、個々の業務分類には、当該業務分類の下位概念に属する語句が階層的に関連付けられているものであってもよい。
【0025】
分類特定部112は、オントロジー情報を参照し、応対者による質問に含まれる複数の語句と、当該オントロジー情報に含まれる個々の業務分類に関連付けられている複数の語句とを、比較又は照合することにより、応対者による質問に含まれるそれぞれの語句が最も関連付けられている業務分類を、特定する。分類特定部112は、特定した業務分類を平易化部113及び要素情報抽出部114に出力する。
【0026】
平易化部113は、分類特定部112から取得した業務分類に基づき、取得部111から取得した文書(応答データから変換された文字データ)を平易化する。取得部111から取得した文書には、応対者による質問(質問文)と、利用者による回答(回答文)とが含まれており、これらにより対話セットが構成される。平易化部113は、業務分類に基づき、応対者による質問(質問文)及び利用者による回答(回答文)のそれぞれを平易化することにより、応対者による質問(質問文)及び利用者による回答(回答文)の平易化文(平易化された対話セット)が、生成される。
【0027】
平易化部113は、取得部111から取得した文書に対し自然語解析等の構文解析を行い当該文書の意味内容を把握すると共に、業務分類に基づき予め定められている抽出ルール(分類毎の辞書)に基づき、応対者による質問(質問文)及び利用者による回答(回答文)における必要個所を抽出する。すなわち、平易化部113は、業務分類に基づき、応対者による質問(質問文)及び利用者による回答(回答文)から不要個所を削除することにより、平易化した情報(平易化文)を生成する。当該抽出ルールは、例えば、情報処理装置1の記憶部12に記憶されている。
【0028】
要素情報抽出部114は、分類特定部112から取得した業務分類に基づき、取得部111から取得した文書(応答データから変換された文字データ)から、要素情報を抽出する。要素情報抽出部114は、取得部111から取得した文書に含まれる応対者による質問(質問文)及び利用者による回答(回答文)に対し、自然語解析等の構文解析を行い当該文書の意味内容を把握し、文書における主語と述語の関係を取得し、応答データを構造化した形式で抽出する。主語が省略されている場合、予め定められている推定ルールに基づき、主語を推定する。当該推定ルールは、例えば、情報処理装置1の記憶部12に記憶されている。
【0029】
要素情報抽出部114は、業務分類に基づきオントロジー情報を参照することにより、応答データに含まれていない語句を抽出するものであってもよい。分類特定部112によって特定される業務分類は、要素情報抽出部114によって抽出される要素情報の属性の上位概念に相当するものであってもよい。すなわち、業務分類を最上位概念とし、これ以下に展開される下位概念が、抽出された要素情報の属性それぞれに相当するものであってもよい。本実施形態において例示(図5図6参照)するように、業務分類を事故状況とした場合、事故現場は当該事故状況の下位概念に相当し、種別は当該事故現場の下位概念に相当する。そして、種別が最下位概念の属性となる場合、当該属性(種別)の値として、道路が抽出される。
【0030】
分類特定部112によって特定される業務分類及び、要素情報抽出部114によって抽出される要素情報の属性は、当該属性の値の主語に相当するものであってもよい。すなわち、本実施形態においては、「事故状況における事故現場の種別は、道路である」として、要素情報抽出部114は、業務分類及び要素情報の属性を主語とし、属性の値を述語とした文を生成することにより、要素情報を構成するものであってもよい。
【0031】
要素情報抽出部114は、記憶部12に記憶されているオントロジー情報を用いることにより、発話に含まれている語句に基づき、語句の概念により階層的に構造化された要素情報を抽出及び構成することができる。要素情報抽出部114は、要素情報を構成するにあたり、発話に含まれていない語句であっても、発話に含まれている語句との関連性に基づきオントロジー情報から抽出し、当該発話に含まれていない語句を用いて補完して、要素情報を構成するものであってよい。
【0032】
出力部115は、それぞれの機能部から取得した業務分類、平易化された情報(平易化文)、及び要素情報を関連付けて、応対者側端末装置2に出力する。応対者側端末装置2は、出力部115から出力されたこれら情報を、自装置に接続される表示部241にて表示する。出力部115は、更に機能部から取得した業務分類、平易化された情報(平易化文)及び要素情報と、取得部111から出力される文書(応答データから変換された文字データ)とを関連付けて、記憶部12に記憶されている応対データベースに登録するものであってもよい。出力部115は、これら情報を応対データベースに登録するにあたり、利用者及び応対者による画像データ等も関連付けて、登録するものであってもよい。
【0033】
本実施形態において、分類特定部112、平易化部113及び要素情報抽出部114は、オントロジー情報を用いて各処理を行うとしたがこれに限定されない。分類特定部112、平易化部113及び要素情報抽出部114の機能部は、当該オントロジー情報に替えて、例えば、RNN(Recurrent Neural Network)等のニューラルネットワークによる構成される学習モデルを用いて、各機能部における処理を行うものであってもよい。
【0034】
分類特定部112は、応対者の質問を入力した場合、応対者の質問の業務分類を出力するよう学習されている分類特定学習モデルを用いるものであってもよい。平易化部113は、業務分類と応答データとを入力した場合、当該応答データを平易化した情報(平易化文)を出力するよう学習されている平易化学習モデルを用いるものであってもよい。要素情報抽出部114は、業務分類と応答データとを入力した場合、当該応答データを構造化した要素情報を出力するよう学習されている要素情報学習モデルを用いるものであってもよい。これら学習モデルは、既に一般的な質問及び回答を含むデータセットで学習されたモデルに対し、例えば本実施形態のような損害保険に関するヘルプデスクの業務にて行われる質問及び回答を含む追加データセットを用いて、転移学習させることにより生成することができる。
【0035】
図4は、応対管理テーブル121の一例を示す説明図である。図5は、要約情報テーブル122の一例を示す説明図である。情報処理装置1の記憶部12には、利用者側端末装置3と応対者側端末装置2との間にて通信される応答データに関する情報が登録され、当該情報を保存及び管理する応対データベースが記憶されている。当該応対データベースは、例えば、応対管理テーブル121と、要約情報テーブル122とを含み、RDB、ODB又はXMLDB等により構成される。
【0036】
応対管理テーブル121における管理項目(フィールド)は、例えば、案件番号フィールド、応対者名フィールド、利用者名フィールド、応対日時フィールド及び対応データフィールドを含む。案件番号フィールドには、例えばヘルプデスク等の個々の案件を一意に識別するための案件番号が格納されている。応対者名フィールドには、例えばヘルプデスク等の対応業務を行った応対者の氏名が格納されている。利用者名フィールドには、例えばヘルプデスク等のサービスを利用した利用者の氏名が格納されている。応対日時フィールドには、例えばヘルプデスク等の対応業務が行われた日時が格納されている。対応データフィールドには、例えばヘルプデスク等の利用者による音声データ及び画像データ等のオブジェクトデータが格納されている。更に、応対管理テーブル121は、音声データから変換された文字データ(テキストデータ)を格納するフィールドを含むものであってもよい。
【0037】
要約情報テーブル122における管理項目(フィールド)は、例えば、案件番号フィールド、対話セット番号フィールド、業務分類フィールド、利用者発話フィールド、応対者発話フィールド、及び要素情報フィールドを含む。案件番号フィールドには、案件番号が格納されている。
【0038】
対話セット番号フィールドには、対話セットそれぞれの順番を示す番号(対話セット番号)が格納されている。上述のとおり、応対者及び利用者による対応データ(単一の対応データ)は、応対者の質問及び利用者の回答により構成される対話セットを、複数個、含む。すなわち、応対データにおいて、応対者の質問はセパレータとして機能するため、応対データは、応対者の発話による質問の数と同数の対話セットに区分化される。この場合、応対者の発話による質問それぞれは、順次に行われるものであり、当該質問がされた(発話された)時点に応じて、対話セットの順番を示す番号が、対話セット番号として格納される。当該対話セット番号を用いることにより、質問及び回答を含む対話セットそれぞれを、時系列に並べて表示することができる。
【0039】
業務分類フィールドには、対応する対話セットに含まれる応対者の質問に基づき特定された業務分類が格納されている。利用者発話フィールドには、対応する対話セットに含まれる利用者の発話(回答)を平易化した情報(平易化文)が格納されている。応対者発話フィールドには、対応する対話セットに含まれる応対者の発話(質問)を平易化した情報(平易化文)が格納されている。要素情報フィールドには、対応する対話セットに含まれる利用者の発話(回答)及び応対者の発話(質問)から抽出した要素情報が格納されている。
【0040】
図6は、応対データ(発話の原文)と、要約データ(平易化)との対比を例示する説明図である。本実施形態における図示において、応対者及び利用者の応対データ、すなわち発話の原文は、応対者の質問と、利用者の回答とにより、構成される。当該応対データは、応対者の質問を区切りとして、複数の文単位(対話セット)に区分化される。上述のとおり、当該質問の業務分類は、応対者の質問に基づき、オントロジー情報を用いることにより特定される。
【0041】
これら応対者の質問及び利用者の回答(対話セット)には、特定された業務分類とは無関係な発話も含まれているため、情報処理装置1の制御部11(各機能部)は、当該業務分類に基づき、個々の対話セットにおける応対者の質問及び利用者の回答を平易化し、更に要素情報を抽出する。従って、応対データに含まれる不要な個所を削除し、特定した業務分類に関連する語句を含む文書を主体した平易化文を生成することにより、応対者による理解を支援することができる。
【0042】
図7は、制御部11が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部11は、情報処理装置1の記憶部12に記憶されているプログラムが実行されると、以下に示す処理を開始する。
【0043】
情報処理装置1の制御部11は、応対者及び利用者による応対データを取得する(S101)。情報処理装置1の制御部11は、応対者側端末装置2から応対者の発話等のデータを取得し、利用者側端末装置3から利用者の発話等のデータを取得する。これらデータは別個のチャネルにより情報処理装置1の通信部13を介して入力されることにより、情報処理装置1の制御部11は、応対者側端末装置2からのデータと、利用者側端末装置3からのデータとを区別して取得することができる。応対者及び利用者による応対データは、例えば、ビデオ通話による音声データ及び画像データを含むものであってもよい。
【0044】
情報処理装置1の制御部11は、応対データを文字データに変換する(S102)。情報処理装置1の制御部11は、取得した応対データ(応対者側端末装置2からのデータ及び、利用者側端末装置3からのデータ)に含まれる応対者及び利用者による発話の音声データに対し、音声認識処理を行うことにより、当該発話を文字データ(テキストデータ)に変換する。
【0045】
情報処理装置1の制御部11は、応対データに含まれる応対者の質問に基づき、業務分類を特定する(S103)。情報処理装置1の制御部11は、応対データに含まれる応対者の質問の文字データ(質問文)において用いられる語句又は用語を抽出し、これら語句と、記憶部12に記憶されているオントロジー情報とを比較又は照合することにより、応対者の質問に対応する業務分類を特定する。例えば、応対者の質問(質問文)が、「早速お聞きしたいのですが、事故現場について、どのような道でしたか。」である場合、情報処理装置1の制御部11は、当該質問文に含まれる語句である「事故現場」を用いて、オントロジー情報を参照し、「事故現場」に関連付けられている「事故状況」を、業務分類として特定する。例えば、応対者の質問(質問文)が、「えー、お体はいかがでしょうか。」である場合、情報処理装置1の制御部11は、当該質問文に含まれる語句である「お体」を用いて、オントロジー情報を参照し、「お体」に関連付けられている「怪我有無」を、業務分類として特定する。
【0046】
情報処理装置1の制御部11は、業務分類に基づき、応対データを平易化する(S104)。情報処理装置1の制御部11は、特定した業務分類に基づき、応対データに含まれる応対者の質問(質問文)と、利用者の回答(回答文)とを平易化し、平易化文を生成する。例えば、業務分類が「事故状況」である場合、情報処理装置1の制御部11は、応対者の質問(質問文)である「早速お聞きしたいのですが、事故現場について、どのような道でしたか。」から、「事故状況」に関連する「事故現場」などの語句又は用語を含む「事故現場について、どのような道でしたか」を抽出することにより、平易化する。更に、情報処理装置1の制御部11は、利用者の回答(回答文)である「えーと、普段走らないところであまり知らないところだったんですが、交差点で、信号はありました。」から、「事故状況」に関連する「交差点、信号」などの語句又は用語を含む「交差点で、信号はありました。」を抽出することにより、平易化する。情報処理装置1の制御部11は、業務分類である「事故状況」に関連する語句又は用語を特定するにあたり、情報オントロジーを参照し、当該「事故状況」に概念的又は階層的に関連付けられている語句を特定するものであってもよい。
【0047】
情報処理装置1の制御部11は、業務分類に基づき、応対データから、要素情報を抽出する(S105)。情報処理装置1の制御部11は、特定した業務分類に基づき、例えば記憶部12に記憶されているオントロジー情報を参照し、応対データから要素情報の属性と、当該属性の値とを抽出する。情報処理装置1の制御部11は、応対者の質問(質問文)から要素情報の属性を抽出し、利用者の回答(回答文)から当該属性の値を抽出するものであってもよい。要素情報の属性を抽出するにあたり、情報処理装置1の制御部11は、オントロジー情報を参照し、特定した業務分類に関連付けられている語句を用いて、階層的に構成される複数の属性を抽出するものであってもよい。例えば、業務分類が「怪我有無」である場合、情報処理装置1の制御部11は、応対者の質問(質問文)である「えー、お体はいかがでしょうか。」から、「怪我有無」に関連する要素情報(属性)となる「自車、怪我(自車側の怪我)」を抽出する。更に、情報処理装置1の制御部11は、利用者の回答(回答文)である「うーん、そうですね、直進しているときに、一応、ブレーキもかけてハンドルを左に切って避けたつもりだったんですが、ぶつかっちゃって、少し突き指みたいになりました。」から、「怪我有無」に関連する要素情報(値)となる「確認済み、有、突き指」を抽出する。情報処理装置1の制御部11は、「怪我有無」に関連する要素情報(値)を抽出するにあたり、応対者の質問(質問文)から抽出した要素情報の属性である「自車、怪我(自車側の怪我)」に直接的に対応する値である「突き指」を、抽出する。情報処理装置1の制御部11は、利用者の回答(回答文)に対する自然語解析を行うことにより、当該値である「突き指」を抽出するものであってもよい。又は、情報処理装置1の制御部11は、オントロジー情報を参照し、抽出した要素情報の属性である「自車、怪我(自車側の怪我)」の下位概念として階層的に関連付けられている複数の語句を特定し、当該特定した複数の語句と、利用者の回答(回答文)とを比較し、同義となる語句がある場合、当該語句を、要素情報の属性の値となる「突き指」を抽出するものであってもよい。すなわち、オントロジー情報において、「自車、怪我(自車側の怪我)」の下位概念として階層的に関連付けられている複数の語句が、例えば、「突き指、捻挫、骨折、挫傷、及びむち打ち」を含む場合、情報処理装置1の制御部11は、特定したこれら複数の語句と、利用者の回答(回答文)とを比較し、同義となる語句である「突き指」を抽出するものであってもよい。
情報処理装置1の制御部11は、要素情報の属性である「自車、怪我(自車側の怪我)」に対し、「突き指」等の怪我の種類に関する語句を値として抽出できた場合、要素情報の属性である「自車、怪我(自車側の怪我)」の値として、「有」を抽出する。
利用者の回答(回答文)において「怪我はない」等が含まれており、情報処理装置1の制御部11は、要素情報の属性である「自車、怪我(自車側の怪我)」に対し、「突き指」等の怪我の種類に関する語句を値として抽出できなかった場合、要素情報の属性である「自車、怪我(自車側の怪我)」の値として、「無」を抽出する。
情報処理装置1の制御部11は、このような有無の判断を行った場合、要素情報の属性である「自車、怪我(自車側の怪我)」に対し、「確認済み」を当該属性の値として抽出するものであってもよい。
利用者の回答(回答文)において要素情報の属性に対応する語句がないため、当該有無の判断が行えなかった場合、情報処理装置1の制御部11は、このような有無の判断を行った場合、要素情報の属性である「自車、怪我(自車側の怪我)」に対し、「未確認」を当該属性の値として抽出するものであってもよい。
情報処理装置1の制御部11によるこれら判断の処理ロジック(ルール)は、記憶部12に記憶されているプログラムにて定義されているアルゴリズムに基づき行われる。このように情報処理装置1の制御部11は、応対者の質問(質問文)及び利用者の回答(回答文)を自然語解析し、オントロジー情報の参照及び予め定められている処理ロジックを用いることにより、3つの要素情報「自車:怪我:確認済み/自車:怪我:有/自車:怪我:突き指」を抽出するものとなる。
【0048】
情報処理装置1の制御部11は、平易化した情報(平易化文)及び要素情報を出力する(S106)。情報処理装置1の制御部11は、特定した業務分類と、平易化した情報(平易化文)及び要素情報とを、関連付けて、応対者側端末装置2に出力(送信)する。応対者側端末装置2は、情報処理装置1から出力(送信)された情報を取得(受信)し、取得した情報に基づいて自装置に接続されているディスプレイ等の表示部241に、本実施形態において例示する要約表示画面51を表示する。情報処理装置1の制御部11は、特定した業務分類と、平易化した情報(平易化文)及び要素情報とを関連付け、更に応対者側端末装置2及び利用者側端末装置3から取得した音声データ等の応答データ、及び当該応答データを変換した文字データ(テキストデータ)についても、同様に関連付けて、応対データベース(応対管理テーブル121、要約情報テーブル122)に登録するものであってもよい。
【0049】
本実施形態によれば、情報処理装置1は、応対データに含まれる応対者の質問の内容に基づき特定した業務分類により、当該応対者の質問と、応対者の質問に対応する利用者の回答とを平易化した文章に加工し、当該平易化されたそれぞれの文章は、互いに関連付けられて、例えば情報処理装置1の記憶部12に記憶される。従って、例えばヘルプデスクの利用者及び応対者それぞれの発話又はテキスト入力によるチャット等による対話によって発生する応対データにおいて、応対者の質問と利用者の回答との組み合わせによる対話セットが複数ある場合であっても、これら対話セットそれぞれに対して業務分類を特定し、当該業務分類に応じて平易化した情報(平易化文)を効率的に生成することができる。
当該平易化した情報(平易化文)は、応対者の質問と利用者の回答との組み合わせによる対話セットを、業務分類の観点から要約した文章に相当するものであり、従ってヘルプデスク等の対応業務における応対データの要約を効率的に作成することができる。
【0050】
情報処理装置1の記憶部12に記憶された平易化文は、例えば、応対データベース(要約情報テーブル122)に登録されることにより、業務分類等の所定の検索条件を用いて検索することができ、ヘルプデスクに関する業務を支援するための参考情報として活用又は再利用することができる。ヘルプデスクに関する業務が、例えば交通事故等を扱う損害保険に関するものである場合、当該平易化文を、過失割合の判定を支援するための情報として用いることができる。
【0051】
本実施形態によれば、情報処理装置1は、業務分類に基づき、応対者の質問及び利用者の回答を含む応対データから要素情報を抽出し、当該抽出した要素情報は、応対データ(応対者及び利用者の対話)を平易化した情報(平易化文)に関連付けられて、例えば情報処理装置1の記憶部12に記憶される。従って、当該要素情報を用いて、ヘルプデスク等の利用者及び応対者による応対データを効率的に整理することができる。
【0052】
本実施形態によれば、要素情報を属性及び、属性の内容を示す値により構成することにより、当該要素情報を構造的な情報として保存及び管理することができる。当該属性については、属性の概念における上下関係、すなわち上位概念と下位概念とによる階層的な構造とすることにより、応対データに対し、階層的に構成された属性に応じた整理を行うことができる。
【0053】
本実施形態によれば、情報処理装置1は、例えば自装置の記憶部12に記憶されているオントロジー情報を用いて、応対者の質問の業務分類を特定する。情報処理装置1は、オントロジー情報を用いることにより、応対者又は利用者による発話等(質問及び回答)に含まれている語句に基づき、当該語句に概念的に関連付けられている語句を特定し、要素情報を抽出するものであってもよい。従って、オントロジー情報に含まれる各語句の概念連携により、要素情報を抽出するにあたり、発話等に含まれていない語句を特定することができる。これにより、応対者又は利用者の発話等に含まれている語句を更に補完し、要素情報の精度を向上させることができる。
【0054】
(実施形態2)
図8は、実施形態2(感情指数)に係る情報処理装置1の制御部11に含まれる機能部を例示する機能ブロック図である。情報処理装置1の制御部11は、実施形態1と同様に記憶部12に記憶されている各種プログラムを実行することにより、取得部111、分類特定部112、平易化部113、要素情報抽出部114、及び出力部115として機能する。
【0055】
取得部111は、実施形態1と同様に利用者側端末装置3及び応対者側端末装置2から応対データを取得する。当該応対データには、利用者の発話を含む音声データ又は、利用者の発話による音声及び当該発話がされた時点における利用者の顔を含む画像データが、含まれている。
【0056】
実施形態2においても、情報処理装置1の制御部11は、実施形態1と同様に、記憶部12に記憶されている各種プログラムを実行することにより、取得部111、分類特定部112、平易化部113、要素情報抽出部114、及び出力部115として機能する。取得部111、分類特定部112、要素情報抽出部114、及び出力部115の処理については、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。実施形態2の平易化部113は、取得部111から出力された音声データ又は画像データに基づき、利用者の発話の感情指数を導出し、導出した感情指数が所定値以上の発話(感情発話)を含めて平易化する点で、実施形態1と異なる。感情指数とは、利用者が発話した時点において、当該利用者の感情の高まりを指数化したものであり、例えば、当該利用者が興奮、激高、憤慨、又は声高の状態が顕著になるにつれ、感情指数の値は大きくなる。
【0057】
平易化部113は、取得部111から出力された音声データを、音声データが入力された場合、音声データに含まれる発話の感情指数を出力するように学習された学習モデル(音声感情認識モデル41)に入力することによって、当該感情指数を出力するものであってもよい。又は、平易化部113は、取得部111から出力された画像データを、画像データが入力された場合、画像データに含まれる発話の感情指数を出力するように学習された学習モデル(表情感情認識モデル42)に入力することによって、当該感情指数を出力するものであってもよい。これら音声感情認識モデル41及び表情感情認識モデル42は、時系列の情報を処理するRNN(Recurrent Neural Network)又はRCNN(Recurrent convolutional neural network)により構成されるものであってもよい。訓練データについては、例えば、日本語話し言葉コーパス(CSJ:Corpus of Spontaneous Japanese) を用いて学習させるものであってもよい。これら音声感情認識モデル41及び表情感情認識モデル42を用いることにより、平易化部113は、感情指数を導出する感情指数導出部としての機能を含むものとなる。
【0058】
本実施形態において、平易化部113は、音声感情認識モデル41及び表情感情認識モデル42による2つの学習モデルを用いるものとして記載しているが、これに限定されない。平易化部113は、音声感情認識モデル41又は表情感情認識モデル42のいずれかの学習モデルを用いるものであってもよい。又は、平易化部113は、音声感情認識モデル41及び表情感情認識モデル42から出力されたそれぞれの感情指数の平均値等、それぞれの学習モデルから出力された感情指数を後処理した値を用いるものであってもよい。
【0059】
平易化部113は、音声感情認識モデル41、表情感情認識モデル42、又はこれら2つの学習モデルを用いて、利用者の発話における感情指数を導出し、導出した感情指数が、例えば記憶部12に予め記憶されている所定値以上である場合、当該利用者の発話(感情発話)を含めて平易化する。すなわち、平易化部113は、業務分類に基づき、利用者による回答(回答文)から不要個所を削除するにあたり、当該業務分類とは関連性が低い発話であっても、感情指数が所定値以上の発話(感情発話)は削除せず、平易化した情報(平易化文)を生成する。平易化部113は、感情指数が所定値以上の発話を含めて、利用者の回答を含む発話を平易化する場合、当該感情指数が所定値以上の発話(感情発話)と、回答を含む発話とを、区分けして平易化するものであってもよい。
【0060】
平易化部113は、感情指数が所定値以上の発話(感情発話)を含めて平易化した情報(平易化文)を、出力部115に出力する。出力部115は、実施形態1と同様に平易化部113等の各機能部から取得した情報を応対者側端末装置2に出力する共に、これら情報を応対データベース(要約情報テーブル122)に登録する。
【0061】
図9は、要約情報テーブル122の一例を示す説明図である。要約情報テーブル122は、実施形態1と同様に管理項目(フィールド)として、案件番号フィールド、対話セット番号フィールド、業務分類フィールド、利用者発話フィールド、応対者発話フィールド、及び要素情報フィールドを含み、更に利用者感情発話フィールドを含む。
【0062】
利用者感情発話フィールドには、対応する対話セットに含まれる利用者の発話において、業務分類との関連性が低い発話であっても、感情指数が所定値以上の発話(感情発話)が含まれている場合、当該感情発話が格納される。
【0063】
図10は、応対データ(発話の原文)と、要約データ(平易化)との対比を例示する説明図である。実施形態1と同様に情報処理装置1の制御部11の処理によって、応対者及び利用者の応対データ、すなわち発話の原文は、応対者の質問と、利用者の回答とにより、構成される。当該応対データは、応対者の質問を区切りとして、複数の文単位(対話セット)に区分化される。当該対話セットにおける利用者の発話において、感情指数が所定値以上の発話(感情発話)が含まれている場合、当該感情発話についても平易化される。従って、応対データに含まれる不要な個所を削除し、特定した業務分類に関連する語句を含む文書を主体した平易化文を生成することにより応対者による理解を支援すると共に、利用者による感情指数が所定値以上の発話(感情発話)は削除することなく平易化し、応対者がヘルプデスク等の対応業務をより円滑に行うことを支援することができる。
【0064】
図11は、制御部11が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部11は、情報処理装置1の記憶部12に記憶されているプログラムが実行されると、以下に示す処理を開始する。
【0065】
情報処理装置1の制御部11は、応対者及び利用者による応対データを取得する(S201)。情報処理装置1の制御部11は、応対データを文字データに変換する(S202)。情報処理装置1の制御部11は、応対データに含まれる応対者の質問に基づき、業務分類を特定する(S203)。情報処理装置1の制御部11は、業務分類に基づき、応対データを平易化する(S204)。情報処理装置1の制御部11は、実施形態1の処理S101からS204と同様に、S201からS204までの処理を行う。
【0066】
情報処理装置1の制御部11は、応対データに含まれる利用者の発話における語句の感情指数を導出する(S205)。情報処理装置1の制御部11は、例えば、音声感情認識モデル41又は表情感情認識モデル42を用いて、利用者の発話における感情指数を導出する。
【0067】
情報処理装置1の制御部11は、導出した感情指数は、所定値以上であるか否かを判定する(S206)。情報処理装置1の制御部11は、例えば記憶部12等のアクセス可能な所定の記憶領域を参照し、導出した感情指数が、当該記憶領域に予め記憶されている所定値以上であるか否かを判定する。
【0068】
所定値以上である場合(S206:YES)、情報処理装置1の制御部11は、感情指数が所定値以上である語句を、平易化した情報(平易化文)に含める(S207)。導出した感情指数が所定値以上である場合、当該感情指数の発話(感情発話)をした時点における利用者の感情は高まっている状態であり、情報処理装置1の制御部11は、感情指数が所定値以上である語句を、平易化した情報(平易化文)に含める。従って、S204の処理にて、当該感情発話が業務分類に基づき平易化されなかった場合であっても、情報処理装置1の制御部11は、S207の処理にて当該感情発話を平易化文に含める処理を行う。
【0069】
所定値以上でない場合(S206:NO)又は、処理S207の実行後、情報処理装置1の制御部11は、業務分類に基づき、応対データから、要素情報を抽出する(S208)。情報処理装置1の制御部11は、平易化した情報(平易化文)及び要素情報を出力する(S209)。情報処理装置1の制御部11は、実施形態1のS105、S106と同様にS208、S209の処理を行う。
【0070】
本実施形態によれば、情報処理装置1は、利用者の発話に含まれる語句の感情指数を導出し、導出した感情指数が所定値以上の語句を含めて平易化する。従って、例えばいずれかの語句が業務分類に基づき抽出されなかった場合であっても、当該語句の感情指数が所定値以上であれば、情報処理装置1は当該語句についても抽出し、平易化した情報(平易化文)に含めることができる。
【0071】
(実施形態3)
図12は、実施形態3に係る出力される画面(要約表示画面51)の一例を示す説明図である。要約表示画面51及び、当該要約表示画面51からポップアップ表示される原文表示画面52は、情報処理装置1から出力された情報に基づき、応対者側端末装置2の表示部241にて表示される画面である。
【0072】
要約表示画面51は、書誌事項表示領域と、要約表示領域とを含む。書誌事項表示領域には、例えばヘルプデスク等の対応業務における個々の案件を管理するための書誌事項が表示される。当該書誌事項は、例えば、対応業務を一意に特定する案件番号、応対者名、利用者名、及び応対日時である。
【0073】
要約表示領域には、表示されている案件番号の対応業務において、応対者名及び利用者名による応対データに関する情報が表示される。上述のとおり、応対者名及び利用者名の発話による応対データは、応対者名の質問(質問文)及び利用者名の回答(回答文)を含んでいる。これら応対者名の質問(質問文)及び利用者名の回答(回答文)の組み合わせにより対話セットが構成され、応対データには複数の対話セットが含まれる。対話セットそれぞれには、発話がされた時点に基づき時系列となる対話セット番号が、連番形式で付与されている。
【0074】
要約表示領域において、それぞれの対話セットは、当該対話セット番号によりソートされ、時系列に並べて表示されている。各対話セットにおける表示項目は、業務分類、利用者発話、利用者感情発話、応対者発話、及び要素情報の項目を含む。個々の対話セットにおける表示項目に対応するそれぞれの表示欄には、上述のとおり、情報処理装置1の制御部11により導出、生成又は抽出された業務分類、平易化された情報(平易化文)、及び要素情情報が、表示される。
【0075】
平易化された情報(平易化文)に含まれる利用者発話(回答)、利用者感情発話、及び応対者発話(質問)は、それぞれが異なる表示欄にて、表示される。又は、利用者の発話である回答及び感情発話は、同一の表示欄にて、文結合されて表示されるものであってもよい。
【0076】
業務分類、利用者発話、利用者感情発話、応対者発話、及び要素情報を表示する表示欄は、表示されている情報(内容)の追記又は修正が入力される修正内容入力領域として機能するものであってもよい。いずれかの表示欄に表示されている情報が、応対者の入力操作により追記又は修正された場合、例えば、要約表示領域の右上に配置されている変更ボタンを押下することにより、当該修正等された情報は、応対者側端末装置2から情報処理装置1に送信される。情報処理装置1は、応対者側端末装置2から送信される当該修正等された情報を取得し(受け付け)、取得した情報に基づき、例えば要約情報テーブル122に登録されている情報を更新する。
【0077】
利用者感情発話の表示欄には、感情指数が所定値以上となる利用者の発話(感情発話)が、表示されている。表示されている感情発話には、例えばハイパーリンク等が設定されており、感情発話をクリック等することにより、当該感情発話を含む原文(応対データを変換した文字データ)を示す原文表示画面52が、ポップアップ表示されるものであってもよい。原文表示画面52は、応対者及び利用者のそれぞれ発話を区分けし、発話された時点に基づき時系列に並べて表示する。いずれかの対話セットにおいて感情発話が含まれている場合、平易化された情報(平易化文)のみならず、当該感情発話がされた時点の前後関係等を把握した場合もあり、感情発話に原文を関連付けて表示することにより、応対者の理解を支援することができる。
【0078】
図13は、制御部11が実行する処理手順の一例を示すフローチャートである。情報処理装置1の制御部11は、情報処理装置1の記憶部12に記憶されているプログラムが実行されると、以下に示す処理を開始する。
【0079】
情報処理装置1の制御部11は、応対者及び利用者による応対データを取得する(S301)。情報処理装置1の制御部11は、応対データを文字データに変換する(S302)。情報処理装置1の制御部11は、応対データに含まれる応対者の質問に基づき、業務分類を特定する(S303)。情報処理装置1の制御部11は、業務分類に基づき、応対データを平易化する(S304)。情報処理装置1の制御部11は、応対データに含まれる利用者の発話における語句の感情指数を導出する(S305)。情報処理装置1の制御部11は、導出した感情指数は、所定値以上であるか否かを判定する(S306)。所定値以上である場合(S306:YES)、情報処理装置1の制御部11は、感情指数が所定値以上である語句を、平易化した情報(平易化文)に含める(S307)。所定値以上でない場合(S306:NO)又は、処理S307の実行後、情報処理装置1の制御部11は、業務分類に基づき、応対データから、要素情報を抽出する(S308)。情報処理装置1の制御部11は、平易化した情報(平易化文)及び要素情報を出力する(S309)。情報処理装置1の制御部11は、実施形態2の処理S201からS209と同様に、S301からS309の処理を行う。
【0080】
情報処理装置1の制御部11は、平易化した情報(平易化文)及び要素情報の修正を受け付ける(S310)。情報処理装置1の制御部11は、受け付けた修正に基づき、要約情報テーブル122を更新する(S311)。応対者側端末装置2の表示部241にて表示される要約表示画面51において、業務分類、平易化文(利用者発話、利用者感情発話、応対者発話)、又は要素情報の内容に対し、応対者による追記又は修正等の入力操作がされた場合、応対者側端末装置2は、当該追記又は修正等された情報を情報処理装置1に出力(送信)する。
【0081】
情報処理装置1は、応対者側端末装置2から出力(送信)された情報を取得(受信)することにより、これら追記又は修正等を受け付け、受け付けた追記又は修正等の内容に基づき、要約情報テーブル122に登録されている情報を更新する。
【0082】
本実施形態によれば、応対者と利用者による応対データの要約を表示する要約画面を、応対者側端末装置2に表示させることにより、応対者の理解を含め、応対者によるヘルプデスク等の対応業務を効率的に支援することができる。応対者側端末装置2にて表示される要約画面において、要約画面内にて示される平易化文等の情報の追記又は修正を受け付けるため、当該情報の精度を高め有用性を向上させることができる。
【0083】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0084】
S 情報処理システム
1 情報処理装置
11 制御部
111 取得部
112 分類特定部
113 平易化部
114 要素情報抽出部
115 出力部
12 記憶部
121 応対管理テーブル
122 要約情報テーブル
13 通信部
2 応対者側端末装置
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 入出力I/F
241 表示部
242 マイク
243 スピーカ
244 撮像部
3 利用者側端末装置
41 音声感情認識モデル
42 表情感情認識モデル
51 要約表示画面
52 原文表示画面
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