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特許7543771光源装置、光源装置の動作制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】光源装置、光源装置の動作制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/54 20200101AFI20240827BHJP
   H05B 45/24 20200101ALI20240827BHJP
【FI】
H05B45/54
H05B45/24
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020140052
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035603
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高島田 悠美
(72)【発明者】
【氏名】成川 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】尾田 潔
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-049178(JP,A)
【文献】特開2015-069895(JP,A)
【文献】特開2017-227783(JP,A)
【文献】特開2012-051526(JP,A)
【文献】特開2009-055940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が直列に接続された光源部と、
前記複数の発光素子への印加電圧を計測する計測部と、
前記計測部が計測する電圧に基づいて前記発光素子の故障数を特定し、前記故障数に応じて前記発光素子の発光を制御する制御部と、
複数の動作モード及び前記発光素子の故障数に応じた前記制御の内容を各々記憶している記憶部と、
を備え
前記制御部は、前記複数の動作モードのうちの実行中の動作モード及び特定された前記故障数に応じた前記制御の内容を前記記憶部から読み出して設定することを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記光源部への通電をオフからオンに切り替えるタイミングを基準タイミングからずらす度合を変更する前記制御を行うことを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記光源部に流す電流を所定の値に維持する定電流部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の光源装置。
【請求項4】
前記制御部は、定期的に前記計測部の結果を取得して前記特定を行い、前記故障数が変化した場合に前記制御の内容を更新設定することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記故障数の変化に応じて前記制御の内容を更新設定した場合には、前記光源部の発光動作の開始時又は前記複数の動作モードの間での切り替え時に当該更新設定に応じた前記制御に切り替える
ことを特徴とする請求項記載の光源装置。
【請求項6】
前記光源部を複数備え、
前記複数の光源部は、互いに異なる波長の光を出射し、
前記計測部は、前記複数の光源部の前記複数の発光素子の組への印加電圧を各々計測し、
前記制御部は、前記複数の光源部における前記発光素子の故障数を各々特定し、特定された複数の前記故障数に応じて前記発光素子の発光を前記光源部ごとに制御する
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項7】
前記発光素子を有さない他色光源部を備えることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項8】
前記他色光源部は、発光ダイオードを有することを特徴とする請求項記載の光源装置。
【請求項9】
複数の発光素子が直列に接続された光源部を備える光源装置の発光制御方法であって、
前記複数の発光素子への印加電圧を計測し、
計測された電圧に基づいて前記発光素子の故障数を特定し、
複数の動作モードのうちの実行中の動作モード及び特定された前記故障数に応じた制御の内容にしたがって前記発光素子の発光を制御する
ことを特徴とする発光制御方法。
【請求項10】
複数の発光素子が直列に接続された光源部と、前記複数の発光素子への印加電圧を計測する計測部と、を備える光源装置のコンピュータを
計測された電圧に基づいて前記発光素子の故障数を特定する特定手段、
複数の動作モードのうちの実行中の動作モード及び特定された前記故障数に応じた制御の内容にしたがって前記発光素子の発光を制御する制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光源装置、光源装置の動作制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタや照明など、レーザーダイオード(LD)から光を出射させて利用する技術がある。LDの光量は電流に依存するので、画素当たりの光量などが足りない場合には、複数のLDを直列に接続し、単一の電流制御で容易に各LDから均等に光を出射させて所望の光量を得ることができる。特許文献1では、複数の青色レーザー発光器が配列されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-57375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LDなどの電子部品は、通電開始時にその負荷などにより立ち上がり遅延時間を生じる。従来、最適な発光状態が得られるように通電開始タイミングがそれぞれ調整されている。しかしながら、複数色の波長の光を合波させて出力させる場合に、直列に接続されたLDのうち一部が故障して短絡状態になると、その分の負荷の変化に応じて立ち上がり遅延時間も変化し、波長間の光量バランスが崩れるという課題がある。
【0005】
この発明の目的は、より安定して適切な色合いの光を出力することのできる光源装置、光源装置の動作制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、
複数の発光素子が直列に接続された光源部と、
前記複数の発光素子への印加電圧を計測する計測部と、
前記計測部が計測する電圧に基づいて前記発光素子の故障数を特定し、前記故障数に応じて前記発光素子の発光を制御する制御部と、
複数の動作モード及び前記発光素子の故障数に応じた前記制御の内容を各々記憶している記憶部と、
を備え
前記制御部は、前記複数の動作モードのうちの実行中の動作モード及び特定された前記故障数に応じた前記制御の内容を前記記憶部から読み出して設定することを特徴とする光源装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に従うと、より安定して適切な色合いの光を出力することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の光源装置を有するプロジェクタの機能構成を示すブロック図である。
図2】LD光源部の構成及び点灯動作について説明する図である。
図3】LD光源部の点灯動作について説明する図である。
図4】LDが短絡した場合の印加電圧の変化を説明する図である。
図5】本実施形態のプロジェクタで実行される発光制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の光源装置100を有するプロジェクタ1の機能構成を示すブロック図である。
【0010】
プロジェクタ1は、CPU10(Central Processing Unit)と、記憶部20と、光源部30と、光源駆動部40と、表示駆動部50と、計測部60と、デジタルシグナルプロセッサ(DSP65)と、操作受付&報知動作部70と、通信部80などを備える。
【0011】
CPU10は、演算処理を行ってプロジェクタ1の動作を統括制御し、各種処理を行うハードウェアプロセッサである。CPU10は、取得された画像データが動画データの場合にこれを伸長し、画像表示駆動用に処理するプロセッサを含んでよい。このプロセッサは、統括制御を行うCPU10などとは別個の専用プロセッサや論理回路などであってもよい。
【0012】
記憶部20は、各種一時データ、各種制御用のプログラム21や設定データなどを記憶する。記憶部20は、例えば、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリなどを有する。あるいは、記憶部20は、着脱可能なメモリカードなどの可搬型記憶媒体を取り付けるための端子を有し、不揮発性の記憶デバイスを有して(内蔵して)いなくてもよい。RAMは、CPU10に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。不揮発性メモリには、プログラム21や設定データが記憶される。プログラム21は、外部から取得された画像データに応じた画像を投影出力するための制御プログラム(後述の発光制御処理に係る制御を含む)を含む。また、設定データには、後述の故障数情報22及び遅延時間設定23が含まれる。なお、変更、更新されない制御プログラムや初期データなどは、ROM(Read Only Memory)に格納されて保持されていてもよい。これにより、大きな動作トラブルなどがあっても最低限のプログラムやデータは保持されやすくなる。
【0013】
光源部30は、複数の波長(波長帯域、すなわち色)の光を出射(出力)する。光源部30は、LED光源部31(他色光源部)と、LD光源部32(光源部)と、蛍光体層33などを有する。LED光源部31は、赤色の波長帯の光を出射する発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)を有する。LD光源部32は、青色の波長帯の光を発するレーザーダイオード(LD)を有する。蛍光体層33は、LD光源部32から出射された青色の波長帯の光を受けて緑色の波長帯の光を出射する。本実施形態において、発光素子とは、LDを意味する。
【0014】
光源駆動部40は、出力させる画像データに基づいて光源部30から各波長帯の光を発する動作を行わせる。光源駆動部40は、LED光源部31に対応するLED駆動部41と、LD光源部32に対応するLD駆動部42などを有する。LED駆動部41及びLD駆動部42は、それぞれLED光源部31及びLD光源部32への電力供給の有無、すなわち、発光の有無を切り替える。LD駆動部42は、LDの発光時にLD光源部32から一定の光量を出射させる、すなわち、電流を一定に保つ(所定の値に維持する)ための電流調整部421(定電流部)を有する。LED駆動部41も一定光量を出射するための調整部を有していてもよい。なお、LED光源部31及びLD光源部32の発光は、独立に制御され、光が同時に出射可能であってもよいし、排他的なタイミングでの発光期間が切り替え可能であってもよい。なお、プロジェクタ1は、複数の動作モードを有していてよい。例えば、通常の動作モードに加えて、動作状況に応じて光量を絞って電力消費やLDの寿命の延長を図る省電力動作モードなどを有していてもよい。動作モードの切り替えは、操作受付&報知動作部70への所定の入力操作に応じてなされてもよい。
【0015】
表示駆動部50は、光源部30の異なる光源から各々出射された複数の波長帯の光を合波し、所定の向きへ所定の焦点距離(ズーム)や投影位置(ピント)で出射する動作を行う。表示駆動部50は、例えば、レンズやミラーなどを含む光学系を有し、焦点距離や投影位置に応じてこれらの光軸方向に沿った位置関係が可動調整可能となっている。また、表示駆動部50は、可動ミラー、例えば、デジタル(マイクロ)ミラーデバイス(DMD)などを有していてもよい。また、表示駆動部50は、光源部30などを冷却するヒートシンクやファンなどを有していてもよい。
【0016】
計測部60は、LD光源部32へ所定の電流値の電流を流すためのフィードバック制御に係る計測を行う。計測部60は、電圧計61及び電流計62を含む。
【0017】
DSP65は、所定の周期で定期的に計測部60による計測値を取得し、電流調整部421に対して定電流を維持するためのフィードバック信号を出力する。
【0018】
操作受付&報知動作部70は、操作受付部として、ユーザなどの外部からの操作を受け付けて入力信号としてCPU10へ出力し、また、報知動作部として、インジケータや音声出力部などにより、プロジェクタ1への電力供給状況、動作状況、動作モードの設定状況、各種入力操作などの受付状況や、異常発生状況などを報知する。
【0019】
操作受付部は、例えば、押しボタンスイッチ、ロッカースイッチやスライドスイッチなどの各種スイッチの一部又は全部を含む。操作受付部は、例えば、電力供給の有無(電源スイッチ)、映像表示の有無、動作モードの切り替えなどに係る操作を受け付ける。
【0020】
インジケータは、例えば、LED(Light Emitting Diode)ランプなどを含む。LEDは、動作モードや状態に応じて複数色で点灯や点滅可能であってもよい。また、セグメント配置されて、数字やアルファベットなどを表示可能であってもよい。音声出力部は、例えば、スピーカ及び/又はビープ音の発生部などを含む。
【0021】
通信部80は、外部機器との間で通信、特に画像データを取得するための接続端子を有し、必要に応じて通信を制御するためのドライバなどを有していてもよい。接続端子としては、例えば、アナログRGB信号に係る各種端子、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(High Definition Multimedia Interface;登録商標)などが挙げられ、これらのうち複数から選択的に利用可能であってもよい。
CPU10と光源駆動部40とが本実施形態の制御部及び光源装置100のコンピュータを構成する。また、少なくともこの制御部と、光源部30と、電圧計61とにより本実施形態の光源装置100が構成される(本実施形態上では、DSP65も含む)。
【0022】
次に、図2図5により、本実施形態のLD光源部32の構成及び動作について説明する。
図2(a)は、LD光源部32及び計測部60について説明する図である。
【0023】
LD光源部32は、複数(ここでは8個)のLD301(発光素子)を有し、プラス側電極とマイナス側電極との間に直列に接続されている。プラス側電極とマイナス側電極との間に電圧が印加されることでLD301にそれぞれ印加電圧の1/8ずつ電圧がかかり、当該電圧に応じた電流が流れて発光する。発光強度が所定の基準以上となると、所定波長、位相の光が選択的に励起されてレーザー光として出射される。
【0024】
計測部60の電圧計61は、8個のLD301(LD光源部32)に対して並列に位置し、これら8個のLD301(複数の発光素子)の両端にかかる電圧(印加電圧)を計測してDSP65へ出力する。電流計62は、8個のLD301(LD光源部32)に対して直列に位置し、これらLD301を流れる電流を計測してDSP65へ出力する。DSP65で処理された定電流に係るデータは、光源駆動部40(電流調整部421)へ出力されて、定電流制御に用いられる。電圧の計測に係るデータは、CPU10へ出力されて、LDの故障数の特定に用いられる。
【0025】
電流調整部421は、電流計62が計測する電流が所定の基準の電流値Inとなるように、電流計62の計測結果をフィードバックさせる。すなわち、電流が不足している場合には、電流を増大(電圧を上昇)させ、電流が電流値Inを超過している場合には、電流を減少(電圧を低下)させる。ここで、電流値Inは、LD光源部32の動作状況やプロジェクタ1の動作モードなどに応じて変化する値である。なお、電流調整部421の動作は、LD駆動部42ではなく、CPU10が直接制御してもよい。この場合には、DSP65からの定電流に係るデータは、CPU10へ出力されて、LD駆動部42による定電流制御がCPU10の制御に基づいて行われる。
【0026】
この電流調整部421は、電流の大きさが電流値In程度に維持されている間は、微小な変化に対してほぼ遅滞なく印加電圧が変化する。一方で、電流の遮断状態から通電状態に切り替えられる場合には、回路中の負荷、寄生容量や寄生インダクタンスなどに基づいて電流の立ち上がりに時間を要する。
【0027】
ここでは、図2(b)に示すように、発光の開始時において、開始タイミングTsで通電が開始されてから、安定して目標の電流値Inとなる立ち上がりの終了タイミングTfまでの間に、所定の時間を要する。なお、定電流制御では、タイミングTn以降において一度電流が電流値Inを若干超過してから(オーバーシュート)最終的に電流値Inで安定する。この立ち上がり時間(立ち上がりの速さ)は、負荷の大きさ、すなわち、発光するLD301の数に応じて変化する。
【0028】
図3(a)に示すように、直列に接続されているLD301の数が異なる場合、開始タイミングTsで同時に通電を開始すると、所定数のLD301が接続されている場合の細実線で示される発光量(すなわち電流値)の立ち上がりよりも、LD301の数が所定数よりも少ない太実線で示される立ち上がりの方が速い。すなわち、LD301がN個の場合に立ち上がりが終了して光量が一定となる終了タイミングTf(N)よりも、LD301がN-1個の場合に立ち上がりが終了して光量が一定となる終了タイミングTf(N-1)の方が早い。立ち上がり時のような変化途中で生じる一時的な光量のアンバランスは、視認されやすい。したがって、発光させるLDの数に応じて通電開始時の発光状態の変化が適切となるように、電流の立ち上がりが調整される必要がある。
【0029】
また、複数のLD301が直列接続されたLD光源部32では、LD301が劣化により故障、短絡する(頓死とも呼ばれる)ことで、発光させるLD301の数が当初のLD301の数から減少する場合がある。この結果、故障、短絡したLD301が生じたLD光源部32では、LD301の故障、短絡が生じていないときにはまだ目標の電流値In(各LDの発光量Ln)に到達していない段階で既にオーバーシュートの発光量(電流値)となる場合が生じる。これにより、LD光源部32とLED光源部31などとの間でも当初の発光量のバランスが本来想定されているものから崩れる。
図3(b)に示すように、ここでは、発光させるLD301の数に応じて通電を開始させる(オフからオンに切り替える)タイミングを異ならせることで発光の制御を行う。すなわち、当初のLD301の数Nに対し、発光可能なLD301の数が減った場合(ここでは、N-1個)には、通電を開始させるタイミングを減った数(故障数、ここでは1個)に応じて定められている設定時間td(ここでは、設定時間td(1))だけ基準タイミングから遅延させた(ずらす度合を変更した)開始タイミングTs(ここでは、A=1のタイミングTs(N-1))とする。基準タイミングは、例えば、クロック信号などにより機械的に、例えば、LD301の故障がなく、N個のLD301を発光させる場合の開始タイミングTs(N)に定められ、あるいは、CPU10からの制御信号により定められる。設定時間td(A)は、一律に立ち上がりの終了タイミングTfをそろえるように定められるとは限られない。ここでは、故障数Aが1の場合の終了タイミングTf(N-1)が、故障がない場合の終了タイミングTf(N)よりもわずかに早くなっている場合の例を示している。
【0030】
ただし、状況によっては、設定時間tdの調整時の変化自体が目立つ場合などもあるので、故障数Aが変化した場合に必ずしも即座に設定時間tdを変更しなくてもよい。例えば、電力供給の開始時(発光動作の開始時。ここでいう発光動作とは、LD301の点消灯の各々ではなく、これら全体の動作をまとめたものを指す。すなわち、表示動作)、動作モードの切り替え時や表示内容が大きく変化する場合などに合わせて設定時間td(制御の内容)を切り替え変更させることとしてもよい。
【0031】
LD301の頓死は、しばしば突然発生する。このような場合に、上記のような立ち上がり時間のずれが急激に生じる。このとき、定電流で制御されている直列配置された複数個のLD301の両端間の印加電圧は、故障、短絡したLD301の数に応じて急激に低下する。
【0032】
図4は、発光素子(LD301)が短絡した場合の印加電圧の変化を説明する図である。なお、ここでは、通電時に離散的に計測された電圧をつないだ線の例を示しており、実際には、途中で通電が遮断されて印加電圧がゼロとなっている期間があってもよい。
【0033】
正常にN個のLD301が動作していた状態から1個のLD301が短絡すると、印加電圧は、(N-1)/N・Vn(N=8の場合、7/8)に低下する。2個のLD301が短絡すると、(N-2)/N・Vn(N=8の場合、6/8)に低下する。すなわち、1個のLD301の故障が生じるごとに、印加電圧は、電圧差(1/N・Vn)ずつ低下する。
【0034】
言い換えると、故障したLD301の数である故障数Aは、計測された電圧Vоにより、以下のように示される。
A=N(1-Vо/Vn) … (数式1)
電圧の多少のばらつきなどから、算出される故障数Aは、厳密に整数とはならない場合があるが、単純に四捨五入するなどで求められてもよい。例えば、電圧Vоが(N-1.5)/N・Vnより大きく、(N-0.5)/N・Vn以下の場合には、1個の故障であると判別されてもよい。プロジェクタ1では、この電圧の低下を計測することでLD301の故障の発生を検知し、故障数を特定する。
【0035】
実線に示す例では、タイミングTv(1)で1個のLD301が故障したことが判別され、タイミングTv(2)で2個のLD301が故障したことが判別される。複数のLD301が同時に故障した場合でも同様に故障数Aが算出可能である。破線で示す例では、タイミングTv(2a)で一度に2個のLD301が故障、短絡している。
【0036】
なお、実際には階段状に電圧Voが変化するが、急激に変化したか否かは判別には考慮されなくてもよい。急激な変化を考慮する場合には、所定時間内に基準値以上の電圧変化などを判別条件に加えてもよい。また、電圧Vоに基づいて求められる故障数Aが整数から大きくずれた状態が継続する場合(例えば、±0.2以上など)には、頓死以外の要因での電流の異常が生じている可能性があるので、別途対処や警告などがなされてもよい。
【0037】
LD301の故障が生じたLD光源部32に対して電流値Inより大きい電流を流して残りの各LD301の発光量を増加させるのは、これら残りのLD301の劣化や故障を誘発しやすい。元のLD301の数Nに対して故障数Aが小さい場合には、通常の発光状態での色合いには大きな差が生じないので、そのまま異なるLD301の数での発光状態が維持されてもよいが、故障数Aが多くなると、他の色に比して光量の低下が目立つので、他の光源、すなわち、LED光源部31における発光量も低下させることで色間の光量バランスを得ることとしてもよい(すなわち、全色の発光量を低下させる)。
【0038】
また、動作モードMが複数ある場合には、故障数Aに加えて、更に、選択され、実行中の動作モードMにも依存した設定時間td(A、M)が各々記憶部20に記憶されていてもよい。読み出しに必要なパラメータが設定されることで、対応する設定時間tdが所得される。
【0039】
図5は、本実施形態のプロジェクタ1で実行される発光制御処理のCPU10による制御手順を示すフローチャートである。この発光制御処理は、プログラム21に含まれ、本実施形態の発光制御方法におけるCPU10の動作部分に対応する部分を含む。発光制御処理は、プロジェクタ1において画像の表示動作(発光動作)が開始される場合に実行される。
【0040】
発光制御処理が開始されると、CPU10は、記憶部20にアクセスして、LD光源部32におけるLD301の故障数情報22を取得する(ステップS101)。CPU10は、LD301の故障数Aに応じた設定時間tdを記憶部20の遅延時間設定23から読み出して設定する(ステップS102)。
【0041】
CPU10は、表示対象の画像データに従って光源駆動部40に制御信号を出力し、LED光源部31及びLD光源部32における発光(ここでは点消灯)に係る動作制御を開始する(ステップS103)。電流計62の計測値は、適宜な頻度でDSP65へ出力されて、電流調整部421による定電流制御に利用される。CPU10は、点消灯の動作制御を終了する命令が取得されたか否かを判別する(ステップS104)。
【0042】
点消灯の動作制御を終了する命令が取得されていないと判別された場合には(ステップS104で“NO”)、CPU10は、計測部60の電圧計61により計測された複数のLD301(LD光源部32)への印加電圧を、DSP65を介して取得し、計測値からLDの故障数Aをそれぞれ算出する(ステップS105;特定手段)。CPU10は、故障数情報22から取得されているLD光源部32におけるLD301の故障数Aと比較して増加しているか否かを判別する(ステップS106)。増加していないと判別された場合には(ステップS106で“NO”)、CPU10の処理は、ステップS104へ戻る。
【0043】
増加していると判別された場合には(ステップS106で“YES”)、LD光源部32について、増加後の故障数Aに応じた(動作モードMもパラメータに含まれてよい)設定時間tdを遅延時間設定23から各々読み出す(ステップS107)。CPU10は、設定時間tdの変更可能タイミングであるか否かを判別する(ステップS108)。設定変更可能タイミングではないと判別された場合には(ステップS108で“NO”)、CPU10の処理は、ステップS104に戻る。設定変更可能タイミングであると判別された場合には(ステップS108で“YES”)、CPU10は、設定時間tdを変更し、故障数情報22を更新する(ステップS109;制御手段)。なお、設定時間tdが変更されないうちに更に故障数が増加した場合には、増加に応じて更に設定時間tdが上書き変更されてよい。
【0044】
ステップS104の判別処理で、表示動作の終了に係る命令が取得されたと判別された場合には(ステップS104で“YES”)、CPU10は、光源駆動部40に対する点消灯の動作制御を終了する(ステップS111)。制御部11は、現在設定されている故障数情報22が正確な情報であるか否かを判別する(ステップS112)。正確な情報であると判別された場合、すなわち、読み込み時から変化がない場合やステップS109の処理で更新済みの場合には(ステップS112で“YES”)、CPU10は、発光制御処理を終了する。正確ではないと判別された場合、すなわち、ステップS106で“YES”に分岐した後、ステップS109の処理がいまだなされていない場合には(ステップS112で“NO”)、CPU10は、故障数情報22を更新する(ステップS113)。そして、CPU10は、発光制御処理を終了する。
電圧計61による複数のLD301の電圧計測と、ステップS105、S109の処理とが、本実施形態の発光制御方法の内容を構成する。
【0045】
[変形例]
上記実施の形態では、LED光源部31が赤色の波長帯域の光を出射し、LD光源部32が青色の波長帯域の光を出射し、蛍光体層33が青色の波長帯域の光を受けて緑色の波長帯域の光を出射するものとして説明したが、これに限られるものではない。赤色の波長帯域や緑色の波長帯域の光を発するLD光源部が青色の波長帯域の光を発するLD光源部32とは別個に設けられていてもよい。また、緑色の波長帯域以外の波長帯域の光も、フィルタなどにより変換されて得られてもよい。すなわち、LD光源部32が発する光は、RGBの波長帯域に限られず、赤外線などの可視光外であってもよい。また、出射される光がRGBに限られなくてもよい。
【0046】
異なる波長帯域の光を発する複数(例えば、3色)のLD光源部を有する場合には、あるLD光源部でのLDの頓死による立ち上がりと他のLD光源部での立ち上がりとの間に生じるずれは、相対的である。したがって、発光しないLD301を有するLD光源部32と他のLD光源部との発光期間のずれや数の関係などに応じて、設定時間tdが各々設定されてもよい。すなわち、LDの頓死が生じたあるLD光源部の調整に加えて又は代えて、他のLD光源部の立ち上がりが調整されてもよい。各LD光源部に対して各々電圧計61による電圧計測が行われ、それぞれ故障数Aが特定される。なお、単一の電圧計が順番に各LD光源部の複数のLD301への印加電圧を計測することが可能であってもよい。
【0047】
また、あるLD光源部でN個中A個のLD301の故障が生じた場合、N個全てが正常に動作している他のLD光源部では、各LDの発光量を(N-A)/Nに低下させてもよい。すなわち、他のLD光源部では、維持する電流値Inを初期設定の(N-A)/N)に低下させることで、LD301の発光量をいずれも(N-A)・Lnとする。
【0048】
プロジェクタ1では、各LD光源部におけるLD301の故障数の各々を故障数情報22として記憶部20に保持する。そして、各故障数Aのうちの最大故障数Amを有するLD光源部の発光量Ln(N-Am)で全てのLD光源部から発光がなされるように、各LD光源部のLD301の故障数Aと最大故障数Amとの組に対してそれぞれ設定時間td(A、Am)が記憶されて、必要に応じて読み出されてもよい。すなわち、設定時間tdが調整(制御)されるのは、LD301が新たに故障したLD光源部だけでなくてもよい。LD301が故障したLD光源部以外の他のLD光源部でも発光の制御がなされてもよい。読み出された設定時間tdは、光源駆動部40に記憶されて継続的に利用される。そして、LD301の新たな故障が検知されて故障数Aが変化した場合には、新たに適切な設定時間td(制御の内容)を読み出して、光源駆動部40の設定を上書き更新(更新設定)すればよい。故障の検出時に即座に設定時間tdが変更されない場合には、読み出された設定時間tdを元の設定時間tdと一時的に並列に保持し、新たな設定時間tdに切り替えが行われた後に、不要となった設定時間tdを削除すればよい。上述のように、発光量(電流値In)も変更される場合には、同様に故障数A及び最大故障数Amの組に対して記憶部20に各々記憶され、必要に応じて読み出されればよい。設定時間tdは、実験的に定められてよい。実験は、電流計、照度センサ又は輝度センサの計測値を得るものであってもよく、1又は複数の試験者が目視した結果を得るものであってもよい。
【0049】
この場合も、動作モードMが複数ある場合には、故障数A及び最大故障数Amに加えて、更に、選択され、実行中の動作モードMにも依存した設定時間td(A、Am、M)が各々記憶部20に記憶されていてもよい。
【0050】
以上のように、本実施形態のプロジェクタ1の光源装置100は、複数のLD301が直列に接続されたLD光源部32と、これら複数のLD301への印加電圧を計測する電圧計61と、電圧計61が計測する電圧に基づいてLD301の故障数Aを特定し、故障数Aに応じてLD301の発光を制御する制御部としてのCPU10及び光源駆動部40と、を備える。このように、電圧計61の計測により容易にLD光源部32の故障の度合とこれに応じた負荷の低下が得られるので、光源装置100では、この負荷の低下に合わせてLD301の発光を制御することができる。これにより、光源装置100では、他の色の発光を開始させる(点灯させる)際の立ち上がりに比して従来と立ち上がり速度がずれることによる出射光の不具合を容易かつ効果的に低減し、より安定して適切な色合いの光を出力することができる。
【0051】
また、制御部は、LD光源部32への通電をオフからオンに切り替えるタイミングを基準タイミングからずらす度合を変更する。立ち上がり波形全体を変えなくても、通電開始のタイミングを相対的にずらす制御動作により、色(波長帯域)間での立ち上がりのずれによる色合いの変化を容易かつ効果的に低減させることができる。
【0052】
また、制御部は、LD光源部32に流す電流を所定の値に維持する電流調整部421を有する。LD301は、電流の大きさに光量が依存するので、定電流に調整することで、安定した光量での出力が可能となる。また、これにより、電圧計61でのLD301の故障の検出が容易になる。
【0053】
また、制御部は、定期的に電圧計61の計測結果を取得して故障数Aの特定を行い、故障数Aが変化した場合に設定時間tdを更新設定する。これにより長期間新たな故障の発生を見落とさずに適宜適切な色合いに調整して複数の波長帯域の光を出力することができる。
【0054】
また、光源装置100は、LD301の故障数Aに対応する設定時間tdを含む遅延時間設定23を記憶する記憶部20を備える。制御部は、特定された故障数Aに応じた制御の内容(設定時間td)を記憶部20から読み出して発光の制御に係る設定を行う。このように、予め設定時間tdを定めて記憶させておくことで、動作時には、この記憶内容を参照するだけで設定が変更可能なので、LD301の故障時に容易に適切な色合いを得ることができる。
【0055】
また、記憶部20は、複数の動作モードに応じた発光の制御の内容を各々記憶する。制御部は、実行中の動作モード及び故障数Aに応じた設定時間tdを記憶部20から読み出して設定する。最終的な目標の光量(電流値)が異なると、当該光量に到達するまでの時間も変化するので、一律に設定時間tdを定めると、色合いが正確に出ない場合が生じる。したがって、光源装置100では、故障数Aだけではなく、動作モードにも応じて適切な色合いの光を出力することができる。
【0056】
また、制御部は、故障数Aの変化に応じて設定時間tdを更新設定した場合には、電力供給の開始(電源スイッチのオン)などによるLD301の発光動作の開始時(すなわち、プロジェクタ1の表示動作の開始時)又は複数の動作モードの間での切り替え時に当該更新設定に応じた設定時間tdに切り替える。
LD301の数Nに比して少ない故障数Aの変化が生じた場合では、色合いの変化はあまり目立たない場合もあり、画像の途中で不用意に切り替わる方が目立つ場合もある。したがって、光源装置100では、画像の表示内容や状態が大きく切り替わるタイミングに合わせて設定時間tdも変更することで、色合いの変化が目立たないように調整することができる。
【0057】
また、光源装置100は、変形例に示したように、LD光源部を複数備え、複数のLD光源部は、互いに異なる波長の光を出射し、電圧計61は、複数のLD光源部の複数のLD301の組への印加電圧を各々計測してもよい。制御部は、複数のLD光源部におけるLD301の故障数Aを各々特定し、特定された複数の故障数Aに応じてLD301の発光をLD光源部ごとに制御する。
このように、複数のLD光源部を有する光源装置100では、いずれのLD光源部でLD301に故障が生じた場合でも、それぞれ発光の制御動作、すなわち、点灯時の通電の開始タイミングや光量(電流)を変更させることができる。故障を生じたLD光源部だけでなく、全体で調整することで、より適切な色合いで安定した出力を行うことができる。
【0058】
また、光源装置100は、LD301を有さない他色光源部、ここではLED光源部31を備えていてもよい。LD光源部32でLD301の故障、短絡が生じた場合、他色光源部での光量の立ち上がりともずれが生じ得るので、このような場合でもLD光源部32におけるLD301の発光の制御がなされることで、より適切な色合いでの出力が可能となる。
【0059】
また、他色光源部は、発光ダイオード(LED)を有していてもよい。LD301に限らずとも、低消費電力で所望の色の波長帯の光を得ることができる。
【0060】
また、本実施形態の光源装置100の発光制御方法では、複数のLD301への印加電圧を計測し、計測された電圧に基づいてLD301の故障数Aを特定し、故障数Aに応じてLD301の発光を制御する。この発光制御方法を用いることで、直列に接続されたLD301に故障(頓死)が生じた場合における負荷の変化に応じた立ち上がりを容易により適切に定めて調整することができる。これにより、複数色(波長帯域)間での点灯時の色合いの乱れを低減し、より正確に所望の色を出力することができる。
【0061】
また、本実施形態のプログラム21を記憶部20にインストールし、上記の発光制御処理を実行することで、容易にLD301の故障数Aに応じて適切な立ち上がり制御で色合いを適切に調整することができる。
【0062】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、電圧計61は、電圧値を出力するものとして説明したが、これに限られない。故障数Aが判別可能なステップ数で離散化された情報が取得されてもよい。この場合には、数式1に基づいて故障数Aを算出するまでもなく、直接故障数Aが判別される。また、故障数Aの判別は、数式1によらず、単に電圧値がどの故障数Aの範囲にあるかを条件判定するだけであってもよい。
【0063】
また、上記実施の形態では、記憶部20が故障数Aを記憶して、最新の故障数Aが変化した場合に、光源駆動部40に対して変更された設定時間tdで動作させるように定めるものとして説明したが、これに限られない。毎回設定時間tdが取得設定されてもよい。また、CPU10による設定動作ではなく、計測された電圧値に応じた設定時間tdを有する回路が機械的に選択されてもよい。
【0064】
なお、故障数Aが元のLD301の数Nに比してあまり多くなると、必要な光量での表示が困難になるので、表示動作を停止して報知動作部により故障報知を行わせてもよい。また、現在のLD301の故障数Aが報知動作部の動作により識別可能であってもよいし、表示動作の停止まで残り1、2個の場合に所定の警告を行わせることとしてもよい。
【0065】
また、電流調整部421の動作は、回路により機械的に行われるだけであってもよいし、CPU10やマイコンなどの制御動作が介在してもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、基準タイミングから通電開始を遅らせる設定時間tdを定めたが、早めることができる場合には、基準タイミングより早く通電が開始されるのであってもよい。基準タイミングは、故障数Aがゼロの場合の通電開始タイミングに限られない。
【0067】
また、上記実施の形態では、発光の制御として、通電の開始タイミングTsのみを調整する制御を行うものとしたが、立ち上がりの波形全体を調整してもよい。すなわち、発光の制御は、回路上生じる立ち上がりよりも長い立ち上がり時間での電流の立ち上がり波形全体を制御するものであってもよい。
【0068】
また、以上の説明では、本発明のLD光源部32(LD301)の発光制御に係るプログラム21を記憶するコンピュータ読み取り可能な媒体としてフラッシュメモリなどの不揮発性メモリなどからなる記憶部20を例に挙げて説明したが、これらに限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、HDD(Hard Disk Drive)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、磁気抵抗メモリ(MRAM)、相変化メモリ(PCM)などの他の不揮発性メモリや、CD-ROM、DVDディスクなどの可搬型記憶媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、処理動作の内容及び手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0070】
[付記]
<請求項1>
複数の発光素子が直列に接続された光源部と、
前記複数の発光素子への印加電圧を計測する計測部と、
前記計測部が計測する電圧に基づいて前記発光素子の故障数を特定し、前記故障数に応じて前記発光素子の発光を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする光源装置。
<請求項2>
前記制御部は、前記光源部への通電をオフからオンに切り替えるタイミングを基準タイミングからずらす度合を変更する前記制御を行うことを特徴とする請求項1記載の光源装置。
<請求項3>
前記制御部は、前記光源部に流す電流を所定の値に維持する定電流部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の光源装置。
<請求項4>
前記制御部は、定期的に前記計測部の結果を取得して前記特定を行い、前記故障数が変化した場合に前記制御の内容を更新設定することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の光源装置。
<請求項5>
前記発光素子の故障数に対応する前記制御の内容を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、特定された前記故障数に応じた前記制御の内容を前記記憶部から読み出して前記制御に係る設定を行う
ことを特徴とする請求項4記載の光源装置。
<請求項6>
前記記憶部は、複数の動作モードに応じた前記制御の内容を各々記憶し、
前記制御部は、実行中の動作モード及び前記故障数に応じた前記制御の内容を前記記憶部から読み出して設定する
ことを特徴とする請求項5記載の光源装置。
<請求項7>
前記制御部は、前記故障数の変化に応じて前記制御の内容を更新設定した場合には、前記光源部の発光動作の開始時又は前記複数の動作モードの間での切り替え時に当該更新設定に応じた前記制御に切り替える
ことを特徴とする請求項6記載の光源装置。
<請求項8>
前記光源部を複数備え、
前記複数の光源部は、互いに異なる波長の光を出射し、
前記計測部は、前記複数の光源部の前記複数の発光素子の組への印加電圧を各々計測し、
前記制御部は、前記複数の光源部における前記発光素子の故障数を各々特定し、特定された複数の前記故障数に応じて前記発光素子の発光を前記光源部ごとに制御する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の光源装置。
<請求項9>
前記発光素子を有さない他色光源部を備えることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の光源装置。
<請求項10>
前記他色光源部は、発光ダイオードを有することを特徴とする請求項9記載の光源装置。
<請求項11>
複数の発光素子が直列に接続された光源部を備える光源装置の発光制御方法であって、
前記複数の発光素子への印加電圧を計測し、
計測された電圧に基づいて前記発光素子の故障数を特定し、
前記故障数に応じて前記発光素子の発光を制御する
ことを特徴とする発光制御方法。
<請求項12>
複数の発光素子が直列に接続された光源部と、前記複数の発光素子への印加電圧を計測する計測部と、を備える光源装置のコンピュータを
計測された電圧に基づいて前記発光素子の故障数を特定する特定手段、
前記故障数に応じて前記発光素子の発光を制御する制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0071】
1 プロジェクタ
10 CPU
11 制御部
20 記憶部
21 プログラム
22 故障数情報
23 遅延時間設定
30 光源部
31 LED光源部
32 LD光源部
33 蛍光体層
301 LD
40 光源駆動部
41 LED駆動部
42 LD駆動部
421 電流調整部
50 表示駆動部
60 計測部
61 電圧計
62 電流計
65 DSP
70 報知動作部
80 通信部
100 光源装置
A 故障数
M 動作モード
Tf 終了タイミング
Ts 開始タイミング
td 設定時間
図1
図2
図3
図4
図5