(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】鍵盤楽器及び鍵盤楽器用の鍵
(51)【国際特許分類】
G10B 3/12 20060101AFI20240827BHJP
G10C 3/12 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G10B3/12 100
G10C3/12 100
(21)【出願番号】P 2020142207
(22)【出願日】2020-08-26
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白石 康志
【審査官】大野 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-111235(JP,A)
【文献】特開2009-229515(JP,A)
【文献】特開2015-079118(JP,A)
【文献】特開2006-163444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10B 1/00-3/24
G10C 1/00-3/30
G10H 1/00-1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵ベース部材と、前記鍵ベース部材の長手方向に沿った側面に配置されている板部材と、を有する鍵を含む鍵盤を備え、
前記板部材は、
前記鍵ベース部材の短手方向にあたる前記板部材の厚み方向の
前記板部材の長さより短い長さで、外周面から突出する凸部を有し、
前記鍵ベース部材は、前記側面に、前記板部材の貼り付け面部と、前記凸部に対応する凹部と、
前記板部材の中央部に対応する位置に前記貼り付け面部より凹む第2凹部であって、鍵の長手方向に延存する溝である第2凹部と、を有する、鍵盤楽器。
【請求項2】
前記第2凹部は、前記鍵ベース部材の内部に貫通する貫通孔
を含む、請求項1に記載の鍵盤楽器。
【請求項3】
前記鍵ベース部材は、前記板部材の外周外側の少なくとも1部に対応する位置に、前記貼り付け面部より突き出る貼り付け位置合わせ凸部を有する、請求項1
又は2に記載の鍵盤楽器。
【請求項4】
前記板部材は、木目を有する突き板部と、前記突き板部を補強する不織布部と、前記鍵ベース部材に貼り付けられる両面テープ部と、を含む、請求項1乃至
3のいずれかに記載の鍵盤楽器。
【請求項5】
鍵ベース部材と、前記鍵ベース部材の長手方向に沿った側面に配置されている板部材と、を有する鍵盤楽器用の鍵であって、
前記板部材は、
前記鍵ベース部材の短手方向にあたる前記板部材の厚み方向の
前記板部材の長さより短い長さで、外周面から突出する凸部を有し、
前記鍵ベース部材は、前記側面に、前記板部材の貼り付け面部と、前記凸部に対応する凹部と、
前記板部材の中央部に対応する位置に前記貼り付け面部より凹む第2凹部であって、鍵の長手方向に延存する溝である第2凹部と、を有する、鍵盤楽器用の鍵。
【請求項6】
前記第2凹部は、前記鍵ベース部材の内部に貫通する貫通孔を含む、請求項5に記載の鍵盤楽器用の鍵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍵盤楽器及び鍵盤楽器用の鍵に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から鍵に木質感を付与した鍵盤楽器が提案されている。例えば、特許文献1には、白鍵の基材の左右両側の側面に、木質部を有する板状部品をそれぞれ貼り付けることにより、木質部の使用量を抑えながら、木質感を出すことができる鍵盤楽器(鍵構造体)が開示されている。また、木質部を有する板状部品は、貼着用シートによって白鍵の側面に貼り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の鍵盤楽器では、貼着用シートの作成過程等において、縁に不要に突出したバリが生じると、貼着用シートを白鍵に貼り付ける際に、バリが生じた箇所が、貼着用シートの浮きとなってしまう。貼着用シートの浮きは、貼着不良や隣接する白鍵と接触を誘引する場合があった。
【0005】
本発明は、鍵の側面に板部材を良好に貼り付け可能な鍵盤楽器及び鍵盤楽器用の鍵を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例の鍵盤楽器は、鍵ベース部材と、前記鍵ベース部材の長手方向に沿った側面に配置されている板部材と、を有する鍵を含む鍵盤を備え、前記板部材は、前記鍵ベース部材の短手方向にあたる前記板部材の厚み方向の前記板部材の長さより短い長さで、外周面から突出する凸部を有し、前記鍵ベース部材は、前記側面に、前記板部材の貼り付け面部と、前記凸部に対応する凹部と、前記板部材の中央部に対応する位置に前記貼り付け面部より凹む第2凹部であって、鍵の長手方向に延存する溝である第2凹部と、を有する。
【0007】
本発明の一実施例の鍵盤楽器は、鍵ベース部材と、前記鍵ベース部材の長手方向に沿った側面に配置されている板部材と、を有する鍵盤楽器用の鍵であって、前記板部材は、前記鍵ベース部材の短手方向にあたる前記板部材の厚み方向の前記板部材の長さより短い長さで、外周面から突出する凸部を有し、前記鍵ベース部材は、前記側面に、前記板部材の貼り付け面部と、前記凸部に対応する凹部と、前記板部材の中央部に対応する位置に前記貼り付け面部より凹む第2凹部であって、鍵の長手方向に延存する溝である第2凹部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、鍵の側面に板部材を良好に貼り付け可能な鍵盤楽器及び鍵盤楽器用の鍵を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る鍵盤楽器の鍵盤を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る鍵盤楽器の白鍵を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る白鍵の板部材を分解した状態を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る鍵ベース部材を示す斜視図であり、(a)は鍵ベース部材の左側面側を示し、(b)は鍵ベース部材の右側面側を示す。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る白鍵の左側面側に貼り付けられる板部材を中間省略して示す
図3のV-V断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る白鍵の右側面側に貼り付けられる板部材を中間省略して示す
図3のVI-VI断面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る板部材の作成工程を示すフロー図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る板部材の作成工程における外形抜き加工を行っている状態を示す模式図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る鍵ベース部材を示す
図4(b)のIX-IX断面に相当する断面図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る鍵ベース部材を示す
図4(b)のX-X断面に相当する断面図であり、(a)は鍵ベース部材の左側面側を示し、(b)は鍵ベース部材の右側面側を示す。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る鍵ベース部材の変形例を示し、
図4(b)に示される鍵ベース部材のIX-IX断面に相当する断面図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係る鍵ベース部材を示す斜視図であり、(a)は鍵ベース部材の左側面側を示し、(b)は鍵ベース部材の右側面側を示す。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係る鍵ベース部材を示す
図12(b)のXIII-XIII断面に相当する断面図である。
【
図14】本発明の第3の実施形態に係る鍵ベース部材を示す斜視図であり、(a)は鍵ベース部材の左側面側を示し、(b)は鍵ベース部材の右側面側を示す。
【
図15】本発明の第3の実施形態に係る鍵ベース部材を示す
図14(b)のXV-XV断面に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、本発明を実施するための形態について述べる。
図1は、鍵盤楽器1の鍵2を正面側から見た斜視図であり、奏者(ユーザ)から鍵盤楽器1を見た場合の右側端部であり、鍵2のひとつ(G鍵である白鍵21)が押鍵された状態を示す。本実施形態の鍵盤楽器1は、電子ピアノについて示しているが、鍵盤を備えるものであればよく、例えば、奏者の押鍵操作に応じて発音する楽器であればその他の鍵盤楽器であってもよい。
【0011】
鍵盤楽器1は、演奏操作子として音高を指定する複数の鍵2を有し、長方形状かつ平板状に形成される。鍵2は、白鍵21及び黒鍵22のいずれかを含む。白鍵21及び黒鍵22は、鍵盤楽器1の長辺方向に所定の順序で規則的に配列される。本実施形態の鍵盤楽器1の鍵盤20は、白鍵21及び黒鍵22併せて、61鍵を有する。なお、以下の説明において、鍵盤楽器1の鍵2側に位置する奏者から見た手前側を前又は正面、その反対側を後又は背面とし、奏者から見た左側を左、その反対側を右とする。
【0012】
図2は、
図1に示す鍵盤楽器1の鍵盤20に含まれる白鍵21の1つである白鍵21A(F鍵に相当)を示した斜視図である。白鍵21Aは、鍵ベース部材210(鍵ベース部材210は、回転軸部211と、幅狭部212と、第1脚部213と、幅広部214と、第2脚部215と、を有する。)と、板部材216と、を備える。
【0013】
図3は、
図2に示す白鍵21Aの幅狭部212及び幅広部214の夫々の側面に貼り付けられる板部材216を白鍵21Aから分離した分解斜視図である。換言すれば、
図3は、白鍵21Aの鍵ベース部材210及び板部材216を分離した状態を示している。以下に、白鍵21Aが備える鍵ベース部材210及び板部材216について説明する。なお、鍵ベース部材210については、鍵ベース部材210が有する各部について説明する。
【0014】
回転軸部211は、白鍵21A(鍵ベース部材210)の後側端部に位置する。回転軸部211は、鍵ベース部材210の背面側に向かって延在する2枚の平板状の部材である延在部211a及び延在部211bと、延在部211a及び延在部211bを接続する平板状の部材である接続部211cとを有する。回転軸部211の延在部211a及び延在部211bには、夫々、白鍵21Aの回転軸を通す挿通孔211Aが設けられる。白鍵21Aは、回転軸部211の挿通孔211A及び挿通孔211A内を通す回転軸により、回転軸周りに所定の範囲回転し、押鍵及び押鍵後の復帰動作が可能となる。
【0015】
幅狭部212は、その下方から内部が空洞の中空構造を有する四角柱状である。そして、幅狭部212は、鍵ベース部材210の最も背面側に位置する回転軸部211から前方向に延在する。幅狭部212は、回転軸部211より延在した先で、幅広部214と接続する。換言すれば、幅狭部212は、一方端において回転軸部211と接続し、他方端において幅広部214と接続する。
【0016】
幅狭部212は、
図4(a)及び(b)に示すように、上面212a、左側面212b及び右側面212cから構成される。なお、幅狭部212においては、右側面212cについてのみ説明し、幅狭部212の上面212a及び左側面212bの説明は、後述する幅広部214において行う。
【0017】
幅狭部212の右側面212cは、白鍵21A(鍵ベース部材210)の右側に位置する1側面であり、長方形状である。右側面212cには、上面212a側の外周縁に沿って延在する凸部212c-1(後述する貼り付け位置合わせ凸部に相当)が設けられる。そして、右側面212cには、外側表面に、外周凹部212c-2及び内側凹部212c-3が設けられる。
【0018】
外周凹部212c-2は、右側面212cの外周側に設けられ、板部材216と接する接触面部である貼り付け面部212c-4より凹む凹部である。ここで、第1凹部について説明する。第1凹部は、右側面212cの表面等の面の外周側に設けられる。また、第1凹部は、右側面212c等に板部材216を貼り付けた際に、板部材216の外周側に沿うように設けられる。また、第1凹部は、後述する板部材216と接する接触面部より凹む凹部である。そして、外周凹部212c-2は、第1凹部に該当する。
【0019】
内側凹部212c-3は、外周凹部212c-2の内側に設けられ、板部材216と接する接触面部である貼り付け面部212c-4より凹む凹部である。ここで、第2凹部について説明する。第2凹部は、右側面212c等に板部材216を貼り付けた際に、板部材216の中央部(板部材216の外周側より内側)に対応する位置に設けられ、接触面部となる貼り付け面部212c-4等より凹む凹部である。そして、内側凹部212c-3は、第2凹部に該当する。内側凹部212c-3は、外周凹部212c-2と接続しており、外周凹部212c-2の内側に幅狭部212の右側面212cの長手方向(白鍵21A又は鍵ベース部材210の長手方向)並びに、幅狭部212の右側面212cの短手方向(上下方向)に複数延在して、格子状に設けられる。
【0020】
なお、外周凹部212c-2をはじめとする第1凹部及び内側凹部212c-3をはじめとする第2凹部は、幅0.5mm、深さ0.2mm程度とすることができるが、例えば、幅0.1mm、深さ0.3mmとして設けられる。
【0021】
第1脚部213は、幅狭部212における幅広部214側(回転軸部211側の反対側)より下方に延在する。第1脚部213は、略中央に前後方向に貫通した長方形状の孔部213Aを有する。なお、第1脚部213は、白鍵21Aが押鍵された際に、孔部213A内部に位置する打弦用のハンマー(不図示)の一端部を押圧することに用いられる。
【0022】
幅広部214は、その下方から内部が空洞の中空構造を有する直方体状である。また、幅広部214は、平面視すると幅狭部212より拡幅している。幅広部214は、上面214a、左側面214b及び右側面214cを有する。
【0023】
幅広部214は、その上面214aにおいて、幅狭部212の上面212aと同一面状の一体となった平坦面となり、白鍵21Aの上面となる。そして、幅広部214は、その左側面214bにおいても、幅狭部212の左側面212bと同一面状の一体となり、白鍵21A(鍵ベース部材210)の1側面である左側面となる。なお、幅広部214の上面214aは、鍵盤楽器1を奏者が使用する際に奏者の指で押す押鍵部となる。
【0024】
幅狭部212の左側面212b及び幅広部214の左側面214bは、
図4(a)に示すように、夫々長方形状である。幅広部214の左側面214bは、幅狭部212の左側面212bと短手方向の長さがやや幅広であり、長手方向の長さが幅狭部212の左側面212bよりも短い長方形状である。従って、幅狭部212の左側面212b及び幅広部214の左側面214bは、一体となると、長方形状となる。
【0025】
幅狭部212の左側面212b及び幅広部214の左側面214bには、幅狭部212の上面212a側及び幅広部214の上面214a側の外周縁(本実施形態では上方及び前方の一部)と、幅広部214の正面214dと、に沿って夫々延在する凸部212b-1(後述する貼り付け位置合わせ凸部に相当)が設けられる。そして、幅狭部212の左側面212b及び幅広部214の左側面214bには、貼り付け面部212b-4より凹む複数の凹部として、外周側に位置する外周凹部212b-2及び外周凹部212b-2より内側の凹部である内側凹部212b-3が設けられる(
図4(a)参照)。なお、外周凹部212b-2は、前述の第1凹部に該当し、内側凹部212b-3は、前述の第2凹部に該当する。外周凹部212b-2及び内側凹部212b-3は、左側面212b及び左側面214bに亘って設けられる。そして、内側凹部212b-3は、外周凹部212b-2と接続されており、外周凹部212b-2の内側において、幅狭部212の左側面212b及び幅広部214の左側面214bの長手方向(白鍵21A又は鍵ベース部材210の長手方向)並びに、幅狭部212の左側面212b及び幅広部214の左側面214bの短手方向(上下方向)に複数延在して、格子状に設けられる。
【0026】
図4(b)に示す幅広部214の右側面214cは、白鍵21A(鍵ベース部材210)の右側に位置する1側面であり、長方形状である。右側面214cには、幅広部214の上面214a側及び正面214d側の外周縁(本実施形態では上方及び前方の一部)に沿って延在する凸部214c-1(後述する貼り付け位置合わせ凸部に相当)が設けられる。さらに、右側面214cには、後述する貼り付け面部214c-4より凹む複数の凹部として、外周側に位置する外周凹部214c-2及び外周凹部214c-2より内側の凹部である内側凹部214c-3が設けられる(
図4(a)参照)。なお、外周凹部214c-2は、前述の第1凹部に該当し、内側凹部214c-3は、前述の第2凹部に該当する。
【0027】
内側凹部214c-3は、外周凹部214c-2と接続されており、外周凹部214c-2の内側において、幅広部214の右側面214cの長手方向(白鍵21A又は鍵ベース部材210の長手方向)並びに、幅広部214の右側面214cの短手方向(上下方向)に延在して、格子状に設けられる。右側面214cは、幅広部214の背面214eにより、幅狭部212の右側面212cと接続する。背面214eは、幅狭部212の右側面212cと上下方向に略同幅で右側面214cよりも小さい面積の四角形状の面である。背面214eは、幅狭部212の右側面212cに位置する貼り付け面部212c-4に対して鍵ベース部材210の右方に突出している。なお、幅広部214の正面214dの説明は、後述する第2脚部215において行う。
【0028】
第2脚部215は、幅広部214の前方の端部側(回転軸部211側又は幅狭部212側の反対側)より下方に延在している。第2脚部215は、左側面215a、右側面215b及び正面215cを有し、その下方及び後方(規制突起215A側)が開口し、内部が空洞の中空構造を有する四角柱状である。第2脚部215の左側面215a及び右側面215bは、第2脚部215の下端側において、回転軸部211側に突出した規制突起215Aが設けられる。従って、左側面215a及び右側面215bは、L字状に設けられる。
【0029】
第2脚部215の正面215cは、幅広部214の正面214dと一体となって、白鍵21Aの正面21Aaとなる。幅広部214の正面214d及び第2脚部215の正面215cは、夫々四角形状であり、白鍵21Aの正面21Aaは、表面が平坦な長方形状となる(
図2も参照)。第2脚部215(規制突起215A)は、白鍵21Aの押鍵による上下運動の移動範囲を、鍵盤楽器1内の図示しない規制部と当接する等して、規制することができる。
【0030】
板部材216は、
図2及び
図3に示すように、白鍵21Aの左側面及び右側面に貼り付けられる。換言すれば、板部材216は、鍵ベース部材210の長手方向に沿った側面に配置される。板部材216は、突き板216-1(突き板部)、不織布216-2(不織布部)及び両面テープ216-3(両面テープ部)を含む(
図4及び
図5も参照)。なお、板部材216は、両面テープ216-3の代わりに接着剤を用いてもよい。
【0031】
ここで、板部材216の作成方法について、
図7のフロー図を用いて説明する。まず、ステップS101として、木材を薄く削り、木材の厚さを調整し、薄板を作成する。ここで、薄板の厚さは、原料である木材の材質によって異なるが、0.2~0.5mm程度とすることができる。そして、薄板をカットすること(又は、薄板の短手方向の幅を任意の大きさに調整すること)により、突き板216-1を作成する。従って、突き板216-1は、木材より作成され、木目を有する。
【0032】
次に、ステップS102として、ステップS101において作成した突き板216-1を複数つなぎ合わせ、長いロール状にする。次に、ステップS103として、ステップS102において長いロール状にした突き板216-1に接着材を塗布し、接着材を塗布した突き板216-1の面に不織布216-2を貼り付けた後、接着材を乾燥させる。ここで、突き板216-1に貼り付ける不織布216-2の厚さは、突き板216-1の強度及び厚さの加工精度により、0.05~0.1mmとすることができる。なお、不織布216-2は、突き板216-1を補強する効果を有する。
【0033】
次に、ステップS104として、ステップS103において突き板216-1に貼り付けられた不織布216-2に、両面テープ216-3を貼り付ける。両面テープ216-3は、突き板216-1、不織布216-2、両面テープ216-3の順に重ね合わせるように貼り付けられる。こうして、板部材216が作成される。そして、両面テープ216-3の厚さは、突き板216-1及び不織布216-2の強度により、適宜選択(例えば、0.15mm)可能である。
【0034】
次に、ステップS105として、
図8に示すように、2つの金型を用いて、板部材216を任意の外形にする。具体的には、凸型である第1金型301の上に両面テープ216-3を第1金型301側に位置させて板部材216を配置する。そして、第1金型301の上部と略同一形状の凹部を有する凹型の第2金型302を、第1金型301の上方向から被せるように近接させて、第1金型301及び第2金型302を型締めすると、板部材216が打ち抜かれる。その後、第1金型301及び第2金型302を型開きすると、第1金型301側には、所定の外形に打ち抜かれた板部材216が作成される。
【0035】
ここで、ステップS105において、板部材216の外周端部側には、第2金型302を移動させて第1金型301及び第2金型302の型締めの剪断の際、又は型開きする際に、凸部であるバリ400が発生することがある(
図8のA部拡大図参照)。ロール状の板部材216における長手方向及び短手方向を切断する場合は、バリ400は、第2金型302の凹部の内側に位置していた板部材216の外周縁部の全体に亘って出ることもあれば、板部材216の外周縁部の一部にのみ出ることもある。ロール状の板部材216における長手方向の2か所を切断する場合であれば、バリ400は、第2金型302の凹部の内側に位置していた板部材216の左右方向の両端部側に出ることもあれば、左右どちらか片方の端部側のみに出ることもある。また、バリ400は、板部材216の厚み方向の長さより短い長さ(最大0.1mm程度)で、板部材216の外周面から突出する凸部となり、バリ400の成分は、両面テープ216-3のみに限らず、突き板216-1及び不織布216-2のいずれも含み得る。
【0036】
本実施形態において板部材216は、第1板部材216a、第2板部材216b及び第3板部材216cとして、鍵ベース部材210の側面に夫々貼り付けられる。
図3に示した第1板部材216a、第2板部材216b及び第3板部材216cは、前述のステップS101乃至ステップS105により、夫々作成される。
【0037】
第1板部材216aは、白鍵21A(鍵ベース部材210)の左側面(幅狭部212の左側面212b及び幅広部214の左側面214b)に貼り付けられる。
図5は、鍵ベース部材210の左側面側に貼り付けられる板部材216である第1板部材216aの構成を示す断面図である。なお、第1板部材216aにおけるバリ400の有無及び形状は、一例である。第1板部材216aは、
図5及び
図10(a)に示すように、白鍵21Aの左側面側に向かって、突き板216a-1、不織布216a-2、両面テープ216a-3の順に配置される。従って、白鍵21Aの左側面には、両面テープ216a-3が接する。第1板部材216aの縁部から突出するバリ400は、幅狭部212の左側面212b及び幅広部214の左側面214bの外周凹部212b-2の内側に配置される。
【0038】
第2板部材216bは、幅狭部212の右側面212cに貼り付けられる。第2板部材216bは、幅狭部212の右側面212c側に向かって、突き板216b-1、不織布216b-2、両面テープ216b-3の順に配置される(断面構成は、後述の
図6に示す第3板部材216cと同様)。従って、幅狭部212の右側面212cには、両面テープ216b-3が接する。第2板部材216bの縁部から突出するバリ400は、幅狭部212の右側面212cの外周凹部212c-2の内側に配置される。
【0039】
第3板部材216cは、幅広部214の右側面214cに貼り付けられる。
図6は、鍵ベース部材210の右側面側(幅広部214の右側面214c側)に貼り付けられる板部材216である第3板部材216cの構成を示す断面図である。第3板部材216cは、第2板部材216b同様、
図6及び
図10(b)に示すように、幅広部214の右側面214c側に向かって、突き板216c-1、不織布216c-2、両面テープ216c-3の順に配置される。従って、幅広部214の右側面214cには、両面テープ216c-3が接する。第3板部材216cのバリ400は、幅広部214の右側面214cの外周凹部214c-2の内側に配置される。
【0040】
ここで、第3板部材216cを幅広部214の右側面214cに貼り付ける場合の態様を示す。まず、第3板部材216cの端部を、上面214a側及び/又は正面214d側の凸部214c-1の側面に接するように合わせる。次に、第3板部材216cの端部を凸部214c-1の側面に合わせたまま、第3板部材216cの両面テープ216c-3側を、幅広部214の表面に位置する貼り付け面部214c-4に接触するまで近づけていく。この際、第3板部材216cの端部を凸部214c-1の側面に合わせながら近づけることより、第3板部材216c及び幅広部214の右側面214cの間にズレや隙間が生じにくくなる。換言すれば、凸部214c-1は、幅広部214の右側面214cに第3板部材216cを貼り付ける際のガイドとなり、貼り付け位置合わせ凸部として機能する。貼り付け位置合わせ凸部は、鍵ベース部材210に設けられるものであって、板部材216の外周外側の少なくとも1部に対応する位置に設けられる。なお、第2板部材216bを幅狭部212の右側面212cに貼り付ける際には、凸部212c-1に加え、幅広部214の背面214eも貼り付け位置合わせ凸部として機能する。
【0041】
このようにして、突き板216c-1に現れる木目を貼り付け位置合わせ凸部により隙間なく白鍵21の安定した位置に施し、高い意匠性を得ることができる。
【0042】
次に、第3板部材216c及び幅広部214の右側面214cが接触したら、第3板部材216cの両面テープ216c-3により、第3板部材216cを
図9に示すように幅広部214の貼り付け面部214c-4に貼り付ける。このとき、幅広部214の右側面214c(鍵ベース部材210)は、凸部214c-1の側面及び貼り付け面部214c-4の2か所の接触面部により、第3板部材216cと接する。
【0043】
また、第3板部材216cを幅広部214の右側面214cに貼り付ける際、幅広部214の右側面214c側(鍵ベース部材210側)に突出した第3板部材216cの端部のバリ400は、第3板部材216cの表面の外周に設けられる外周凹部214c-2の内側に配置される(
図9のB部拡大図参照)。従って、外周凹部214c-2をはじめとする第1凹部は、凸部であるバリ400に対応する凹部となる。その際、外周凹部214c-2及び内側凹部214c-3は、第3板部材216cにより覆われるが、右側面214cの下側及び後側の外周凹部214c-2は開放されたままとなる。そのため、第3板部材216c及び幅広部214の右側面214cの間に混入した空気(気泡)は、例えば、第3板部材216cをヘラなどで押して混入した気泡を外周凹部214c-2又は内側凹部214c-3まで移動させることで、右側面214cの外周縁側より排出することができる。従って、混入した気泡は、外周凹部214c-2及び/又は内側凹部214c-3により抜く(除去する)ことができる。
【0044】
本実施形態では、板部材216をF鍵である白鍵21Aの側面に貼り付ける構成について示したが、その他の音高の鍵2の側面にも、板部材216との接触面部となる貼り付け面部及び接触面部より凹む第1凹部を設けることで、板部材216を良好に貼り付けることができる。
【0045】
(変形例)
次に、
図11を参照して、本発明の変形例を説明する。なお、本変形例の説明において、前述の実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略又は簡素化する。本変形例は、第1凹部(第1の実施形態の
図9に示した外周凹部212b-2、外周凹部212c-2及び外周凹部214c-2)が、貼り付け位置合わせ凸部である凸部214c-1に隣接する場合は、凸部214c-1の側面に設けるものである。なお、凸部214c-1の側面は、板部材216を貼り付けた際の接触面部となる。第1凹部を貼り付け位置合わせ凸部の側面に設けることで、バリ400が板部材216の側面(突き板216-1、不織布216-2及び両面テープ216-3が露出する断面)より突出した場合においても、バリ400を第1凹部の内側に配置することができる。
【0046】
例えば、第1の実施形態の幅広部214の右側面214cに本変形例を適用した場合、
図11に示すように、第1の実施形態において貼り付け面部214c-4側に設けられていた外周凹部214c-2は、凸部214c-1(貼り付け位置合わせ凸部)の側面に設けられる。なお、第1の実施形態に本変形例を適用する場合、外周凹部214c-2は、内側凹部214c-3と接続されている(不図示)。また、第3板部材216cのバリ400は、第1の実施形態と突出する方向が異なり、板部材216の側面方向に突出する。そして、第3板部材216cを幅広部214の右側面214cに貼り付けると、
図11のG部拡大図に示すように、幅広部214の右側面214cは、第3板部材216cのバリ400を凸部214c-1の側面の内側に配置することができる。
【0047】
また、外周凹部214c-2は、第1の実施形態のように貼り付け面部214c-4側に設けた上で、凸部214c-1の側面にも設けることもできる。さらに、外周凹部214c-2は、貼り付け面部214c-4の端部より斜め下方向に設けることもできる。様々な形態の外周凹部214c-2のうちの一つを適宜選択又は複数を組み合わせることで、様々な突出方向を有するバリ400に対応できる。本変形例は、後述する第2の実施形態及び第3の実施形態においても、外周凹部214c-2の位置を変更することで、適用可能である。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、本実施形態の説明において、前述の実施形態及び変形例と同様の構成及び効果については、その説明を省略又は簡素化する。本実施形態は、
図12(a)及び(b)に示すように、第2凹部として、第1内側凹部(内側凹部212b-3a、内側凹部212c-3a及び内側凹部214c-3a)及び第2内側凹部(内側凹部212b-3b、内側凹部212c-3b及び内側凹部214c-3b)の2つの凹部が、鍵ベース部材210の各面に夫々設けられる。第1内側凹部は、設けられた鍵ベース部材210の面を内部(鍵ベース部材210の中空構造となっている箇所)に向かって貫通する貫通孔である。第2内側凹部は、第1内側凹部から白鍵21A(鍵ベース部材210)の長手方向の前後両側方向に延在する溝である。なお、第2内側凹部は、第1内側凹部から白鍵21A(鍵ベース部材210)の短手方向に延在するものであってもよい。また、第2内側凹部である内側凹部212b-3b、内側凹部212c-3b及び内側凹部214c-3bは、夫々、第1凹部である外周凹部212b-2、外周凹部212c-2及び外周凹部214c-2とは接続されずに設けられる。本実施形態は、第1凹部及び第2内側凹部が接続されないことに限定されない。従って、第1凹部及び第2内側凹部は、接続して設けることもできる。
【0049】
例えば、幅広部214の右側面214cにおける第1内側凹部及び第2内側凹部は、
図13に示すように、夫々、内側凹部214c-3a及び内側凹部214c-3bとして設けられる。第1内側凹部である内側凹部214c-3aは、幅広部214の右側面214cの略中央に設けられる。第2内側凹部である内側凹部214c-3bは、内側凹部214c-3aを中心として前後両側方向に延在する(
図12(b)参照)。そして、第3板部材216cを幅広部214の右側面214cに貼り付ける際には、第3板部材216c及び幅広部214の右側面214cの間に混入した空気(気泡)を内側凹部214c-3a又は内側凹部214c-3bまで移動させることで、貫通孔である内側凹部214c-3aより、抜く(除去する)ことができる。本実施形態は、貫通孔である内側凹部214c-3aのみでなく、その周囲に溝である内側凹部214c-3bを設けたことにより、より広範囲の空気を抜くことができる上、内側凹部214c-3bが設けられた範囲で内側凹部214c-3aの位置を自由に設計可能となる。なお、第1内側凹部は、幅狭部212の左側面212b及び幅広部214の左側面214b、幅狭部212の右側面212cと幅広部214の右側面214cの各面に1つずつ設けることに限定されず、第2内側凹部と接続して複数設けてもよい。
【0050】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。なお、本実施形態の説明において、前述の実施形態及び変形例と同様の構成及び効果については、その説明を省略又は簡素化する。本実施形態は、
図14(a)及び(b)に示すように、第2凹部として、内側凹部212b-3c、内側凹部212c-3c及び内側凹部214c-3cが、鍵ベース部材210の各側面となる幅狭部212の左側面212b、幅狭部212の右側面212c及び幅広部214の右側面214cに夫々設けられる。本実施形態において、第2凹部(内側凹部212b-3c、内側凹部212c-3c及び内側凹部214c-3c)は、設けられた鍵ベース部材210の面を内部(鍵ベース部材210の中空構造となっている箇所)に向かって貫通する貫通孔である。
【0051】
例えば、幅広部214の右側面214cにおける第2凹部は、
図15に示すように、内側凹部214c-3cとして設けられる。内側凹部214c-3cは、幅広部214の右側面214c上下方向の中央側かつ前後方向やや前側及び幅広部214の右側面214c上下方向の中央側かつ前後方向やや後側に夫々1つずつ設けられる。そして、第3板部材216cを幅広部214の右側面214cに貼り付ける際には、第3板部材216c及び幅広部214の右側面214cの間に混入した空気(気泡)を貫通孔である2つの内側凹部214c-3aにより、抜くことができる。本実施形態は、第3板部材216cとの接着面となる幅広部214の右側面214cの貼り付け面部214c-4が連続的で広くなるため、第3板部材216c及び幅広部214の右側面214cの固定が強固となる他、第3板部材216cを幅広部214の右側面214cに貼り付けた後に幅広部214の右側面214cの表面に凹凸が現れにくくなる。なお、
図14(a)に示す左側面212bにおいては、内側凹部213b-3cは、幅広部214の左側面212b上下方向の中央側かつ前後方向に亘って合計7箇所に設けられる。
図14(b)に示す右側面212cにおいては、内側凹部212c-3cは、幅狭部212の右側面212c上下方向の中央側かつ前後方向に亘って、略等間隔に合計4箇所に設けられる。
【0052】
以上、各実施形態では、鍵ベース部材210と、鍵ベース部材210の長手方向に沿った側面に配置されている板部材216と、を有する鍵2を含む鍵盤20を備え、板部材216は、厚み方向の長さより短い長さで、外周面から突出する凸部(400)を有し、鍵ベース部材210は、側面に、板部材216の貼り付け面部212b-4、212c-4及び214c-4と、凸部(400)に対応する凹部と、を有する鍵盤楽器1について説明した。この構成により、鍵盤楽器1は、バリ400を有する板部材216であっても鍵ベース部材210に良好に貼り付けることができる。
【0053】
また、鍵ベース部材210は、板部材216の中央部に対応する位置に貼り付け面部212b-4、212c-4及び214c-4より凹む第2凹部を有する鍵盤楽器1は、鍵ベース部材210及び板部材216の間に混入した空気又は気泡を第2凹部へと移動させることで、空気又は気泡を鍵ベース部材210及び板部材216の間から除去できる。
【0054】
また、第2凹部は、鍵ベース部材210の内部に貫通する貫通孔である鍵盤楽器1は、鍵ベース部材210及び板部材216の間に混入した空気又は気泡を第2凹部より抜くことができる。
【0055】
また、第2凹部は、鍵2の長手方向に延在する溝である鍵盤楽器1は、鍵ベース部材210及び板部材216の間に混入した空気又は気泡を、第2凹部である溝の内部に収納することができる。
【0056】
また、第2凹部は、鍵ベース部材210の内部に貫通する貫通孔及び、鍵2の長手方向に延在する溝である鍵盤楽器1は、鍵ベース部材210及び板部材216の間に混入した空気又は気泡を、第2凹部である貫通孔から抜くことができる他、第2凹部である溝の内部に収納した後、第2凹部である貫通孔から抜くことができる。従って、広範囲となった第2凹部より空気又は気泡を抜くことができる。更に、第2凹部である貫通孔の位置は、第2凹部である溝が設けられている範囲で自由に配置できる。
【0057】
また、鍵ベース部材210は、板部材216の外周外側の少なくとも1部に対応する位置に、貼り付け面部212b-4、212c-4及び214c-4より突き出る貼り付け位置合わせ凸部を有する鍵盤楽器1は、鍵ベース部材210に板部材216を貼り付けることが容易となる。
【0058】
また、板部材216は、木目を有する突き板部(216-1)と、突き板部(216-1)を補強する不織布部(216-2)と、鍵ベース部材210に貼り付けられる両面テープ部(216-3)と、を含む鍵盤楽器1は、木目を有する突き板部(216-1)により木質感をだすことができ、不織布部(216-2)により板部材216の強度を向上させ、両面テープ部(216-3)により板部材216を鍵ベース部材210に貼り付けることができる。
【0059】
また、鍵ベース部材210と、鍵ベース部材210の短手方向の少なくとも1側面に配置されている板部材216と、を有する鍵2を含む鍵盤を備え、板部材216は、外周側から鍵ベース部材210側に突出する凸部(400)を有し、鍵ベース部材210は、少なくとも1側面に、板部材216と接する接触面部と、板部材216の外周側に沿って接触面部より凹む第1凹部と、を有し、鍵ベース部材210における第1凹部内に、板部材216における凸部(400)が配置され、接触面部は、鍵ベース部材210に板部材216が貼り付けられる貼り付け面部212b-4、212c-4及び214c-4を含む鍵盤楽器用の鍵2を説明した。この構成により、鍵盤楽器用の鍵2は、バリ400を有する板部材216であっても鍵ベース部材210に良好に貼り付けることができる。
【0060】
なお、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0061】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[請求項1]
鍵ベース部材と、前記鍵ベース部材の長手方向に沿った側面に配置されている板部材と、を有する鍵を含む鍵盤を備え、
前記板部材は、厚み方向の長さより短い長さで、外周面から突出する凸部を有し、
前記鍵ベース部材は、前記側面に、前記板部材の貼り付け面部と、前記凸部に対応する凹部と、を有する、鍵盤楽器。
[請求項2]
前記鍵ベース部材は、前記板部材の中央部に対応する位置に前記貼り付け面部より凹む第2凹部を有する、請求項1に記載の鍵盤楽器。
[請求項3]
前記第2凹部は、前記鍵ベース部材の内部に貫通する貫通孔である、請求項2に記載の鍵盤楽器。
[請求項4]
前記第2凹部は、鍵の長手方向に延在する溝である、請求項2に記載の鍵盤楽器。
[請求項5]
前記第2凹部は、前記鍵ベース部材の内部に貫通する貫通孔及び、鍵の長手方向に延在する溝である、請求項2に記載の鍵盤楽器。
[請求項6]
前記鍵ベース部材は、前記板部材の外周外側の少なくとも1部に対応する位置に、前記貼り付け面部より突き出る貼り付け位置合わせ凸部を有する、請求項1乃至5のいずれかに記載の鍵盤楽器。
[請求項7]
前記板部材は、木目を有する突き板部と、前記突き板部を補強する不織布部と、前記鍵ベース部材に貼り付けられる両面テープ部と、を含む、請求項1乃至6のいずれかに記載の鍵盤楽器。
[請求項8]
鍵ベース部材と、前記鍵ベース部材の長手方向に沿った側面に配置されている板部材と、を有する鍵盤楽器用の鍵であって、
前記板部材は、厚み方向の長さより短い長さで、外周面から突出する凸部を有し、
前記鍵ベース部材は、前記側面に、前記板部材の貼り付け面部と、前記凸部に対応する凹部と、を有する、鍵盤楽器用の鍵。
【符号の説明】
【0062】
1 鍵盤楽器 2 鍵
20 鍵盤 21 白鍵
21A 白鍵 21Aa 正面
22 黒鍵 210 鍵ベース部材
211 回転軸部
211A 挿通孔 211a 延在部
211b 延在部 211c 接続部
212 幅狭部 212a 上面
212b 左側面 212b-1 凸部
212b-2 外周凹部 212b-3 内側凹部
212b-3a 内側凹部 212b-3b 内側凹部
212b-3c 内側凹部 212b-4 貼り付け面部
212c 右側面 212c-1 凸部
212c-2 外周凹部 212c-3 内側凹部
212c-3a 内側凹部 212c-3b 内側凹部
212c-3c 内側凹部 212c-4 貼り付け面部
213 第1脚部 213A 孔部
214 幅広部 214a 上面
214b 左側面 214c 右側面
214c-1 凸部 214c-2 外周凹部
214c-3 内側凹部 214c-3a 内側凹部
214c-3b 内側凹部 214c-3c 内側凹部
214c-4 貼り付け面部 214d 正面
214e 背面 215 第2脚部
215A 規制突起 215a 左側面
215b 右側面 215c 正面
216 板部材 216-1 突き板(部)
216-2 不織布(部) 216-3 両面テープ(部)
216a 第1板部材 216a-1 突き板
216a-2 不織布 216a-3 両面テープ
216b 第2板部材 216b-1 突き板
216b-2 不織布 216b-3 両面テープ
216c 第3板部材 216c-1 突き板
216c-2 不織布 216c-3 両面テープ
301 第1金型 302 第2金型
400 バリ