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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】画像形成装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B41J 25/20 20060101AFI20240827BHJP
   B41J 3/54 20060101ALI20240827BHJP
   G06F 21/62 20130101ALI20240827BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B41J25/20
B41J3/54 B
G06F21/62 309
G08B25/04 E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020143489
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022038817
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前後 武志
(72)【発明者】
【氏名】藤田 護
(72)【発明者】
【氏名】三原 顕
(72)【発明者】
【氏名】北村 篤行
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-150348(JP,A)
【文献】特開2007-180608(JP,A)
【文献】米国特許第04956666(US,A)
【文献】特開2007-277404(JP,A)
【文献】特開2008-090386(JP,A)
【文献】特開2007-166220(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0253894(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 25/20
B41J 3/54
B41J 29/00 -29/46
G06F 21/62
G08B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に印刷する情報の機密レベルを取得する情報取得部と、
前記機密レベルに応じて、前記記録媒体に機密情報を付与し、かつ前記記録媒体に付与された前記機密情報を構成する材料が非接触で検知可能とされた付与部と、
備える機密情報付与装置と、
前記記録媒体に前記機密情報以外の画像を形成する画像形成部と、
異なる種類の前記記録媒体を収納する収納部と、
前記機密レベルに応じて、前記記録媒体の種類を選択する選択部と、
を有し、
前記機密レベルが高い場合に、磁性体を含む記録媒体に前記画像形成部が画像を形成し、
前記機密レベルが高くない場合に、前記付与部により前記機密情報を前記記録媒体に付与する画像形成装置
【請求項2】
前記記録媒体に付与された前記機密情報を構成する材料は、電波の少なくとも一部を吸収又は反射する材料である請求項1に記載の画像形成装置
【請求項3】
前記記録媒体に付与された前記機密情報を構成する材料は、揮発性材料である請求項1に記載の画像形成装置
【請求項4】
前記揮発性材料は、人にとって無臭である請求項3に記載の画像形成装置
【請求項5】
前記揮発性材料は、水酸基又は水酸基とエーテル基を含む有機化合物である請求項3又は請求項4に記載の画像形成装置
【請求項6】
前記記録媒体に付与された前記機密情報を構成する材料は、視認できない材料である請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像形成装置
【請求項7】
記録媒体に印刷する情報の機密レベルを取得する情報取得部と、
前記機密レベルに応じて、前記記録媒体に機密情報を付与し、かつ前記記録媒体に付与された前記機密情報を構成する材料が非接触で検知可能とされた付与部と、
を備える機密情報付与装置と、前記記録媒体に前記機密情報以外の画像を形成する画像形成部と、を有する画像形成装置と、
前記記録媒体に付与された前記機密情報を検知する検知部と、
を有し、
前記検知部は、人が出入り可能なゲートに設けられており、
前記記録媒体に付与された前記機密情報を構成する材料が揮発性材料である場合に、前記ゲート内を通過する前記機密情報から前記検知部に向かって気流を発生させる気流発生装置を有するシステム
【請求項8】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の画像形成装置と、
前記記録媒体に付与された前記機密情報を検知する検知部と、
を有するシステム
【請求項9】
前記検知部は、人が出入り可能なゲートに設けられている請求項に記載のシステム
【請求項10】
前記ゲートには、前記検知部が前記機密情報を検知したときに、アラートを発生するアラート発生装置が設けられている請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記ゲートには、前記検知部が前記機密情報を検知したときに、アラートを発生するアラート発生装置が設けられている請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記記録媒体に付与された前記機密情報を構成する材料が揮発性材料である場合に、前記ゲート内を通過する前記機密情報から前記検知部に向かって気流を発生させる気流発生装置を有する請求項又は請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記ゲートには、人感センサが設けられおり、
前記人感センサにより前記ゲートへの人の侵入が検知されたときに、前記気流発生装置を作動させる請求項7又は請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記ゲートにおける人の通過方向端部の少なくとも一方には、前記ゲートの内部からの空気の拡散を規制する拡散規制部材が設けられている請求項12又は請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機密情報付与装置、画像形成装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、複数ページの文書を表す文書データを取得する取得手段と、被検出体を含む第1のシートと前記被検出体を含まない第2のシートのいずれかを供給する供給手段と、前記文書の各ページについて、前記第1又は第2のシートのいずれかを選択する選択手段と、前記選択手段により選択されたシートを前記供給手段により順次供給され、前記取得手段により取得された文書データが表す文書を当該シートに順次印字する印字手段と、文書のセキュリティレベルに関するポリシー情報であって、前記第1のシートと前記第2のシートの比率を表す情報を取得するポリシー取得手段とを備え、前記選択手段は、前記比率に応じ、かつ、ランダムな順番で前記第1又は第2のシートを順次選択することを特徴とする印字装置と、前記印字装置により文書が印字されたシートに含まれる被検出体を検出する検出手段と、前記検出手段により被検出体が検出された場合に報知を行う報知手段とを有する検出装置とを備えることを特徴とする検出システムが開示されている。
【0003】
例えば、特許文献2には、印刷装置と、前記印刷装置に印刷情報を送信して印刷依頼を行う印刷依頼端末とを具備し、前記印刷装置は、遠隔でその存在を検出可能な特定の用紙が印刷準備状態になっているかを検出する検出手段と、前記検出手段で検出した特定の用紙が印刷準備状態になっていることを示す信号を前記印刷依頼装置に送信する送信手段と、前記特定の用紙を指定した印刷情報の印刷依頼に際して前記特定の用紙を用いて該印刷情報の印刷を行う印刷制御手段とを具備し、前記印刷依頼装置は、前記印刷情報に付与された属性を認識する認識手段と、前記送信手段で送信された前記特定の用紙が印刷準備状態になっていることを示す信号を受信する受信手段と、前記認識手段で認識した属性が前記特定の用紙のみの印刷を許可するものである場合は、前記受信手段で前記特定の用紙が印刷準備状態になっていることを示す信号を受信している場合に前記特定の用紙を指定した該印刷情報の印刷依頼を前記印刷装置に送信することを許可するように制御する送信制御手段とを具備する印刷システムが開示されている。
【0004】
例えば、特許文献3には、画像形成装置が印刷対象とする画像情報及びその画像情報に対応する付加情報を入力する情報入力手段と、前記情報入力手段から入力された付加情報の内容に従った磁性タグを、対応する画像情報が印刷される印刷媒体に形成する付加情報形成手段と、を有し、印刷媒体に記録した磁性タグから画像情報に対応する付加情報を遠隔読取り可能にしたことを特徴とする印刷媒体への付加情報記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許4849012号公報
【文献】特開2008-090386号公報
【文献】特開2004-110689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の文書管理技術は、例えば、構造物を付着させたり磁性体を漉き込んだりした記録媒体を使用しており、特殊な記録媒体を用いなければならない場合があった。
【0007】
本開示は、記録媒体の印刷内容が機密である場合に、印刷プロセス中に、記録媒体の任意の場所に非接触で検知可能な機密情報を付与することを可能とする機密情報付与装置および画像形成装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る機密情報付与装置は、記録媒体に印刷する情報の機密レベルを取得する情報取得部と、前記機密レベルに応じて、前記記録媒体に機密情報を付与し、かつ前記記録媒体に付与された前記機密情報を構成する材料が非接触で検知可能とされた付与部と、を有する。
【0009】
第2態様に係る機密情報付与装置は、第1態様に記載の機密情報付与装置において、前記記録媒体に付与された前記機密情報を構成する材料は、電波の少なくとも一部を吸収又は反射する材料である。
【0010】
第3態様に係る機密情報付与装置は、第1態様に記載の機密情報付与装置において、前記記録媒体に付与された前記機密情報を構成する材料は、揮発性材料である。
【0011】
第4態様に係る機密情報付与装置は、第3態様に記載の機密情報付与装置において、前記揮発性材料は、人にとって無臭である。
【0012】
第5態様に係る機密情報付与装置は、第3態様又は第4態様に記載の機密情報付与装置において、前記揮発性材料は、水酸基又は水酸基とエーテル基を含む有機化合物である。
【0013】
第6態様に係る機密情報付与装置は、第1態様から第5態様までのいずれか1つの態様に記載の機密情報付与装置において、前記記録媒体に付与された前記機密情報を構成する材料は、視認できない材料である。
【0014】
第7態様に係る画像形成装置は、第1態様から第6態様までのいずれか1つの態様に記載の機密情報付与装置と、前記記録媒体に前記機密情報以外の画像を形成する画像形成部と、を有する。
【0015】
第8態様に係る画像形成装置は、第7態様に記載の画像形成装置において、異なる種類の前記記録媒体を収納する収納部と、前記機密レベルに応じて、前記記録媒体の種類を選択する選択部と、を有する。
【0016】
第9態様に係る画像形成装置は、第8態様に記載の画像形成装置において、前記機密レベルが高い場合に、磁性体を含む記録媒体に前記画像形成部が画像を形成し、前記機密レベルが高くない場合に、前記付与部により前記機密情報を前記記録媒体に付与する。
【0017】
第10態様に係るシステムは、第7態様から第9態様までのいずれか1つの態様に記載の画像形成装置と、前記記録媒体に付与された前記機密情報を検知する検知部と、を有する。
【0018】
第11態様に係るシステムは、第10態様に記載のシステムにおいて、前記検知部は、人が出入り可能なゲートに設けられている。
【0019】
第12態様に係るシステムは、第11態様に記載のシステムにおいて、前記ゲートには、前記検知部が前記機密情報を検知したときに、アラートを発生するアラート発生装置が設けられている。
【0020】
第13態様に係るシステムは、第11態様又は第12態様に記載のシステムにおいて、前記記録媒体に付与された前記機密情報を構成する材料が揮発性材料である場合に、前記ゲート内を通過する前記機密情報から前記検知部に向かって気流を発生させる気流発生装置を有する。
【0021】
第14態様に係るシステムは、第13態様に記載のシステムにおいて、前記ゲートには、人感センサが設けられおり、前記人感センサにより前記ゲートへの人の侵入が検知されたときに、前記気流発生装置を作動させる。
【0022】
第15態様に係るシステムは、第13態様又は第14態様に記載のシステムにおいて、前記ゲートにおける人の侵入方向端部の少なくとも一方には、前記ゲートの内部からの空気の拡散を規制する拡散規制部材が設けられている。
【発明の効果】
【0023】
第1態様に係る機密情報付与装置によれば、記録媒体の印刷内容が機密である場合に、印刷プロセス中に、記録媒体の任意の場所に非接触で検知可能な機密情報を付与することが可能である。
【0024】
第2態様に係る機密情報付与装置によれば、記録媒体にバーコード又はQRコード(登録商標)を形成する場合と比較して、遮蔽物があっても機密情報を検知可能である。
【0025】
第3態様に係る機密情報付与装置によれば、記録媒体にバーコード又はQRコードを形成する場合と比較して、遮蔽物があっても検知可能な機密情報を記録媒体に付与することができる。
【0026】
第4態様に係る機密情報付与装置によれば、揮発性材料が人にとって臭いがある場合と比較して、揮発性材料が付与されたことが人に認知されにくい。
【0027】
第5態様に係る機密情報付与装置によれば、臭気のある材料を主成分とする場合と比較して、人に与える不快感が抑制される。
【0028】
第6態様に係る機密情報付与装置によれば、付与部により記録媒体に付与する材料が視認できる場合と比較して、記録媒体から機密情報が剥がされることがない。
【0029】
第7態様に係る画像形成装置によれば、記録媒体に画像を形成する装置と機密情報を付与する装置とを別個に設ける場合と比較して、記録媒体に画像を形成するプロセスで、記録媒体に機密情報を付与することが可能である。
【0030】
第8態様に係る画像形成装置によれば、1種類の記録媒体を用いる場合と比較して、機密レベルに応じて、記録媒体の種類を選択するこが可能である。
【0031】
第9態様に係る画像形成装置によれば、磁性体を含む記録媒体を用いない場合と比較して、機密レベルの高い記録媒体の持ち出しを抑制することが可能である。
【0032】
第10態様に係るシステムによれば、画像形成装置のみを備える場合と比較して、画像形成後に機密情報が付与された記録媒体の持ち出しを抑制することが可能である。
【0033】
第11態様に係るシステムによれば、複数の出入り口から人が出入りする場合と比較して、機密情報が付与された記録媒体の持ち出しを抑制することが可能である。
【0034】
第12態様に係るシステムによれば、アラートを生じない場合と比べて、機密情報が付与された記録媒体の持ち出しを抑制することが可能である。
【0035】
第13態様に係るシステムによれば、気流を発生させない場合と比較して、記録媒体に付与された機密情報を検知しやすい。
【0036】
第14態様に係るシステムによれば、気流発生装置を常時作動させる場合と比較して、ゲートに人が侵入した場合のみ気流発生装置を作動させることが可能である。
【0037】
第15態様に係るシステムによれば、ゲートにおける人の侵入方向端部の両側が開放されている場合と比較して、記録媒体に付与された機密情報を検知しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】第1実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
図2】第1実施形態に係る画像形成装置に用いられる機密情報付与装置の制御部の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る画像形成装置によって記録媒体に形成された画像の一例を示す図である。
図4】第1実施形態に係る画像形成装置によって記録媒体に画像と共に付与された検知用画像の例を示す図である。(A)は検知用画像の第1例を示す図であり、(B)は検知用画像の第2例を示す図であり、(C)は検知用画像の第3例を示す図であり、(D)は検知用画像の第4例を示す図であり、(E)は検知用画像の第5例を示す図であり、(F)は検知用画像の第6例を示す図である。
図5】第1実施形態に係る画像形成装置によって記録媒体に付与された検知用画像の第7例を示す図である。
図6】第1実施形態に係る画像形成装置によって画像及び検知用画像が付与された記録媒体の状態を示す断面図である。
図7】第1実施形態に係る画像形成装置を備えたシステムにおいて、記録媒体の検知用画像を検知する検知装置の一例を示す斜視図である。
図8】検知装置に設けられたセンサの一例を示す断面図である。
図9】第2実施形態に係る検知装置を示す正面図である。
図10】第3実施形態に係る検知装置を示す正面図である。
図11】第4実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
図12】第4実施形態に係る画像形成装置の制御部の機能構成の一例を示すブロック図である。
図13】画像形成装置の制御部が担当する機密情報処理の流れを示すフローチャートである。
図14】第5実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
図15】第5実施形態に係る画像形成装置を備えたシステムにおいて、記録媒体の検知用画像を検知する検知装置の一例を示す斜視図である。
図16】比較例の記録媒体であって、画像と共に構造物を備えた記録媒体の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を用いて、本開示の実施形態について説明する。なお、これらの図面に適宜示される矢印Hは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Dは、水平方向であって装置奥行方向を示す。
【0040】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0041】
(画像形成装置の全体構成)
図1に示されるように、画像形成装置10は、電子写真方式によりトナー画像を形成する画像形成部12と、記録媒体Pを収容する収容部18と、各部を制御する制御部28とを備えている。さらに、画像形成装置10は、収容部18に収容された記録媒体Pを搬送経路16に沿って画像形成部12へ向けて搬送し、搬送経路16に沿って搬送された記録媒体Pを反転経路26に沿って搬送させて記録媒体Pの表裏を反転させて再度画像形成部12へ向けて搬送する搬送部14を備えている。ここで、トナー画像は、画像の一例である。なお、画像形成部12による画像形成方式は、電子写真方式に限らず、例えばインクジェット方式でもよい。
【0042】
また、画像形成装置10は、記録媒体Pの搬送方向における画像形成部12との対向部よりも下流側に配置される機密情報付与装置100を備えている。機密情報付与装置100は、機密情報を記録媒体Pに付与する。機密情報付与装置100については、後に説明する。
【0043】
記録媒体Pは、例えば、紙で構成された基材、又は基材の上にコート層が形成された記録媒体である。すなわち、記録媒体Pは、IC(Integrated Circuit)チップなどの構造物を付着させたり磁性体を漉き込んだりした特殊な記録媒体とは異なる。
【0044】
まず、機密情報付与装置100を省略した状態で、画像形成装置10の全体構成及び作用について説明する。画像形成装置10では、画像形成部12によって形成されたトナー画像が、搬送経路16に沿って搬送される記録媒体Pの表面に形成される。さらに、トナー画像が形成された記録媒体Pは、装置本体10aの外部へ排出される。
【0045】
一方、記録媒体Pの裏面にトナー画像を形成する場合は、表面にトナー画像が形成された記録媒体Pが反転経路26に沿って搬送され、再度画像形成部12によって形成されたトナー画像が、記録媒体Pの裏面に形成される。そして、記録媒体Pは、装置本体10aの外部へ排出される。
【0046】
〔画像形成部12〕
画像形成部12は、各色のトナー画像を夫々形成する複数のトナー画像形成部30と、トナー画像形成部30で形成されたトナー画像を記録媒体Pに転写する転写部32とを備えている。さらに、画像形成部12は、転写部32によって記録媒体Pに転写されたトナー画像を記録媒体Pに定着する定着装置34を備えている。
【0047】
トナー画像形成部30は、色ごとにトナー画像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー画像形成部30が備えられている。なお、以後の説明では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)を区別する必要が無い場合は、符号に付するY、M、C、及びKを省略する。
【0048】
各色のトナー画像形成部30は、用いるトナーを除き基本的に同様に構成されている。より具体的には、トナー画像形成部30は、回転する円筒状の像保持体40と、像保持体40を帯電する帯電器42とを備えている。さらに、トナー画像形成部30は、帯電した像保持体40に露光光を照射して静電潜像を形成する露光装置44と、トナーを含んだ現像剤Gで静電潜像をトナー画像として現像する現像装置46とを備えている。これにより、各色のトナー画像形成部30では、各色のトナー画像を、各色のトナーを用いて形成するようになっている。
【0049】
また、各色の像保持体40は、周回する転写ベルト50に接触している。そして、転写ベルト50の周回方向(図中矢印参照)において、上流側からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)のトナー画像形成部30が、この順番で水平方向に並んで配置されている。
【0050】
転写部32は、複数のロール(符号省略)に巻き掛けられて図中矢印方向に周回する転写ベルト50と、転写ベルト50を挟んで各色の像保持体40の反対側に夫々配置され、各色の像保持体40に形成されたトナー画像を転写ベルト50に転写する一次転写ロール52とを備えている。
【0051】
さらに、転写部32は、転写ベルト50が巻き掛けられた巻掛ロール56と、転写ベルト50を挟んで巻掛ロール56の反対側に配置され、転写ベルト50上に転写されたトナー画像を記録媒体Pに転写する二次転写ロール54とを備えている。そして、二次転写ロール54と転写ベルト50との間には、記録媒体Pにトナー画像を転写する転写ニップNTが形成されている。
【0052】
この構成において、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の順番で、転写ベルト50上にトナー画像が一次転写ロール52によって一次転写される。一方、転写ベルト50と二次転写ロール54との間に挟まれて搬送される記録媒体Pに、転写ベルト50からトナー画像が転写される。さらに、トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置34に受け渡される。
【0053】
定着装置34は、記録媒体Pの搬送方向において転写ニップNTの下流側に配置されている。定着装置34は、記録媒体Pを搬送しながら、記録媒体Pに転写されたトナー画像を加熱及び加圧して記録媒体Pに定着させる。
【0054】
〔収容部18〕
収容部18は、記録媒体Pを収容可能な、収容部材20と、収容部材20に積載された最上位の記録媒体Pを搬送経路16に送り出す送出ロール22とを備えている。
【0055】
〔搬送部14〕
搬送部14は、収容部18に対して装置幅方向の一方(図中左方)に配置されており、収容部材20から送り出された記録媒体Pが搬送される搬送経路16に沿って記録媒体Pを搬送するようになっている。また、記録媒体Pの裏面にトナー画像を形成する場合には、搬送部14は、記録媒体Pの搬送方向を逆向きにすることで(スイッチバック搬送することで)表裏を反転させる反転経路26に沿って記録媒体Pを搬送するようになっている。
【0056】
搬送部14は、収容部材20から送り出された記録媒体Pを搬送経路16に沿って搬送する第一搬送ロール64と、第二搬送ロール60とを備えている。さらに、搬送部14は、搬送経路16に沿って記録媒体Pを搬送する停止ロール68と、排出ロール70とを備えている。二次転写ロール54と定着装置34とは、停止ロール68と、排出ロール70との間に配置されている。
【0057】
さらに、搬送部14は、記録媒体Pの搬送方向を逆向きにすることで表裏を反転させる反転経路26に沿って記録媒体Pを搬送する転換ロール36と、搬送ロール38と、搬送経路16に沿って搬送される記録媒体Pを反転経路26へ案内する切替部材58とを備えている。
【0058】
反転経路26は、搬送経路16の下流側の部分から分岐している分岐路26aと、分岐路26aから延びており、記録媒体Pがスイッチバックする転換路26bとを有している。さらに、反転経路26は、転換路26bの端部から分岐路26aとは異なる方向に延びると共に、記録媒体Pを停止ロール68に向けて案内するJ字路26cを有している。
【0059】
そして、搬送部14は、分岐路26aから転換路26bに進入した記録媒体Pをスイッチバックさせる2個の転換ロール36と、スイッチバックしてJ字路26cに進入した記録媒体Pを停止ロール68へ向けて搬送する3個の搬送ロール38とを備えている。
【0060】
搬送部14では、記録媒体Pの裏面に画像を形成する場合は、切替部材58が、表面にトナー画像が形成された記録媒体Pを分岐路26aへ案内する。2個の転換ロール36は、分岐路26aから転換路26bへ進入した記録媒体Pを受け取り、スイッチバックさせることで記録媒体Pの表裏を反転させてJ字路26cへ向けて搬送する。3個の搬送ロール38は、転換路26bからJ字路26cへ進入した記録媒体Pを受け取り停止ロール68へ向けて搬送し、記録媒体Pの先端を停止ロール68へ突き当てる。さらに、停止ロール68は、トナー画像が転写されるタイミングに合わせて回転し、記録媒体Pを転写ニップNTへ搬送する。
【0061】
(全体構成の作用)
画像形成装置10では、次のようにして画像が形成される。
【0062】
先ず、各色の帯電器42は、各色の像保持体40の表面を予定の電位で一様にマイナス帯電する。続いて、露光装置44は、帯電した各色の像保持体40の表面に露光光を照射して静電潜像を形成する。さらに、各色の現像装置46は、この静電潜像を現像し、トナー画像として可視化する。また、各色の像保持体40の表面に形成されたトナー画像は、一次転写ロール52によって転写ベルト50に順番に転写される。
【0063】
また、収容部材20から送出ロール22によって搬送経路16へ送り出された記録媒体Pは、転写ベルト50と二次転写ロール54とが接する転写ニップNTへ送り出される。転写ニップNTでは、記録媒体Pが転写ベルト50と二次転写ロール54との間で搬送されることで、転写ベルト50のトナー画像は、記録媒体Pの表面に転写される。
【0064】
記録媒体Pの表面に転写されたトナー画像は、定着装置34によって記録媒体Pに定着される。そして、トナー画像が定着された記録媒体Pは、排出ロール70により装置本体10aの外部の排出部10bへ排出される。
【0065】
一方、記録媒体Pの裏面にもトナー画像を形成する場合には、表面にトナー画像が形成された記録媒体Pが、反転経路26に沿って搬送されることで、表裏が反転して再度転写ニップNTへ搬送される。そして、前述した工程と同様の工程を経て形成されたトナー画像が、記録媒体Pの裏面に転写される。また、記録媒体Pの裏面に転写されたトナー画像が、定着装置34によって記録媒体Pに定着される。さらに、トナー画像が定着された記録媒体Pは、排出ロール70により装置本体10aの外部の排出部10bへ排出される。
【0066】
(要部構成)
次に、機密情報付与装置100及びこれに関連する構成について説明する。
【0067】
図1に示されるように、機密情報付与装置100は、画像形成部12によるトナー画像が転写される転写部32及び定着装置34よりも記録媒体Pの搬送方向下流側に配置されている。機密情報付与装置100は、記録媒体Pが搬送される搬送経路16に対して画像形成部12と同じ側に配置されている。
【0068】
〔機密情報付与装置100〕
機密情報付与装置100は、画像形成部12によって記録媒体Pに形成される画像の機密レベルに応じて、記録媒体Pに機密情報を付与する。画像形成装置10では、例えば、画像形成部12によって記録媒体Pに形成される画像を秘密管理するための機密レベルが定められたレベルよりも高い場合に、機密情報付与装置100により、記録媒体Pに機密情報が付与される。本開示において「秘密管理」とは、秘密の状態に保持すべき画像の情報(以下「秘密情報」という。)を、秘密の状態に保持し続ける目的で管理することを指す。本開示における「秘密管理」の実施形態例としては、例えば、以下の4つが挙げられる。1つ目は、予め定められた要件を満足する記録媒体に機密情報を記録することである。2つ目は、機密情報が記録された記録媒体と、機密情報が記録されていない記録媒体とを区別することである。3つ目は、機密情報が記録された記録媒体を、予め定められた要件を満足する建物又は部屋に保管することである。4つ目は、機密情報が記録された記録媒体を、ある建物又はある部屋から持ち出さないことである。また、「機密情報」とは、秘密の状態に保持し続ける目的で管理するために記録媒体Pに付す情報である。「機密情報」は、後述する検知装置150(図6参照)によって検知可能な情報である。
【0069】
図2に示されるように、機密情報付与装置100は、制御部102と、記録媒体Pに機密情報を付与する付与部104と、を有する。制御部102は、記録媒体Pに印刷する画像の情報の機密レベルを取得する情報取得部102Aと、付与部104の動作を制御する付与制御部102Bと、を備えている。図示を省略するが、制御部102は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)と、ストレージなどの記憶部とを含んで構成されている。
【0070】
一例として、制御部102は、情報取得部102Aにより取得された画像の情報の機密レベル(すなわち、秘密管理レベル)が定められたレベルよりも高いかどうかを判定する。制御部102に設けられた記憶部(図示省略)には、例えば、秘密管理されるべきキーワード、文章、及び図形などの秘密情報を示すテーブルが格納されている。制御部102は、画像の情報をテーブルの秘密情報と比較し、画像の情報の機密レベルが定められたレベルよりも高いかどうかを判定する。他の例として、機密情報付与装置100の外部から画像の機密レベルを情報取得部102Aが取得してもよい。
【0071】
制御部102は、画像の情報の機密レベルが定められたレベルよりも高い場合は、付与制御部102Bにより付与部104を動作させ、記録媒体Pに機密情報を付与する。
【0072】
機密情報付与装置100の付与部104は、記録媒体Pに機密情報を付与することができればよく、画像形成方式は限定されない。機密情報付与装置100の付与部104は、例えば、電子写真方式、インクジェットなどの液滴吐出方式、スタンプ方式、塗布方式、又はシルク印刷方式などの画像形成方式から選択可能である。
【0073】
また、図1に示されるように、画像形成装置10では、反転経路26に沿って記録媒体Pを搬送する場合には、機密情報付与装置100は、記録媒体Pの裏面に対向する位置に配置されている。これにより、記録媒体Pの表面に画像200のみを形成し、記録媒体Pの裏面に検知用画像202を形成することが可能である。記録媒体Pの裏面に検知用画像202を形成した場合にも、検知装置150により、検知用画像202が付与された記録媒体Pが検知される。
【0074】
図3には、画像形成部12により記録媒体Pに形成される画像200の一例が示されている。図3に示されるように、記録媒体Pには、画像形成部12によって、トナーによる通常の画像200が形成されている。
【0075】
図4には、記録媒体Pに形成される画像200の機密レベルが定められたレベルよりも高い場合に、記録媒体Pに機密情報付与装置100によって付与される検知用画像の例が示されている。検知用画像は、機密情報の一例である。図4(A)に示されるように、機密情報付与装置100は、記録媒体Pの縁部を除いたほぼ全面にベタ画像又は細かい網目パターンからなる検知用画像202Aを付与してもよい。検知用画像202Aは、記録媒体Pの画像200と重なる位置に付与されている。図4(B)に示されるように、機密情報付与装置100は、記録媒体Pの縁部を除いたほぼ全面に粗い網目パターンの検知用画像202Bを付与してもよい。検知用画像202Bは、記録媒体Pの画像200と重なる位置に付与されている。図4(C)に示されるように、機密情報付与装置100は、記録媒体Pの縁部を除いた領域に縞パターンからなる検知用画像202Cを付与してもよい。図4(C)では、検知用画像202Cは、斜め方向に縞パターンが配置されているが、これに代えて、縦方向又は横方向に縞パターンを配置してもよい。
【0076】
図4(D)に示されるように、機密情報付与装置100は、記録媒体Pの一部にベタ画像又は細かい網目パターンからなる検知用画像202Dを付与してもよい。検知用画像202Dは、記録媒体Pの右上に付与された矩形状の画像であり、記録媒体Pの画像200と重ならない位置に付与されている。図4(E)に示されるように、機密情報付与装置100は、記録媒体Pの縁部に沿った枠状のベタ画像又は細かい網目パターンからなる検知用画像202Eを付与してもよい。検知用画像202Eは、記録媒体Pの画像200と重ならない位置に付与されている。図4(F)に示されるように、機密情報付与装置100は、記録媒体Pの複数の箇所に帯状の検知用画像202Fを付与してもよい。検知用画像202Fは、記録媒体Pの画像200と重ならない位置に付与されている。
【0077】
また、図5に示されるように、機密情報付与装置100によって付与される材料が可視性材料である場合は、ドキュメント(例えば、単語、文章)により構成された検知用画像202Gを記録媒体Pに付与してもよい。
【0078】
本開示の実施形態の一例では、機密情報付与装置100は、例えば、検知用画像202A~202Gのうちのいずれか1つの検知用画像を記録媒体Pに付与する。検知用画像202A~202Gのどれを選択してもよいので、検知用画像の位置及び形状を区別する必要がない場合は、A~Gの符号を記載せずに検知用画像202として説明する。
【0079】
なお、記録媒体Pに付与する機密情報の一例としての検知用画像の形状および位置は、検知用画像202A~202Gの形状および位置に限定されず、変更が可能である。例えば、検知用画像が記録媒体Pの表面に有る場合は、図4(D)~(F)に示すように、ドキュメントの記録及び読み取りを妨げない位置に検知用画像202D~202Gを付与することが好ましい。検知用画像が記録媒体の裏面に有る場合は、例えば、全面ベタ塗、全面網目パターン又は全面縞パターン等の形状としてもよい。検知用画像を全面ベタ塗、全面網目パターン又は全面縞パターン等の形状とすることで、検知用画像が切り取られるのを防止でき、検知用画像が付与された記録媒体Pが持ち出されることを抑止できる。また、検知用画像が視認されない材料で構成されている場合は、例えば、図4(A)~(C)に示すように、全面ベタ塗、全面網目パターン又は全面縞パターン等の形状としてもよい。
【0080】
〔機密情報付与装置100で使用する付与材料〕
次に、機密情報付与装置100で使用する付与材料について説明する。本開示の実施形態の一例では、検知用画像202を構成する付与材料として、揮発性材料が使用されている。揮発性材料は、記録媒体Pの表面に付着することで検知用画像202を形成し、検知用画像202を検知装置150によって非接触で検知可能にする。検知用画像202に揮発性材料が使用されていることで、検知用画像202から揮発性ガスが発生し、検知装置150によって揮発性ガスが検知される。検知用画像202は、記録媒体Pに付着した状態で検知装置150を通過するときに、検知装置150によって検知可能な濃度の揮発性ガスを発生すればよい。
【0081】
図6には、記録媒体Pに形成された画像200及び検知用画像202の状態を示す断面図である。図6に示されるように、画像200及び検知用画像202は、記録媒体Pに表面から紙繊維中に浸透しており、記録媒体Pに画像200及び検知用画像202が付与された部分の厚みは、記録媒体Pの厚みと同等である。また、記録媒体Pに画像200及び検知用画像202が付与された部分の剛性も、記録媒体Pの剛性と同等である。
【0082】
図16には、比較例として、記録媒体Pの表面に構造物600を付着させた例が示されている。図16に示されるように、記録媒体Pの表面に、粘着剤又は接着剤などによって構造物600が付着されている。構造物600は、例えば、磁性体600Aと、磁性体600Aの周りを覆う保護層600Bと、を備えている。記録媒体Pの画像200が形成された部分の厚みは、記録媒体Pの厚みとほとんど変わらない。しかし、記録媒体Pの表面から構造物600が突出しているため、記録媒体Pの構造物600が設けられた部分の厚みは、記録媒体Pの厚みよりも厚い。
【0083】
例えば、記録媒体Pの厚みは、100μmであり、構造物600の厚みは、100μmである。これにより、例えば、記録媒体Pを10枚重ねたときは、構造物600を付与した部分の厚みは1mm増加する。記録媒体Pを100枚重ねたときは、構造物600を付与した部分の厚みは10mm増加する。このため、記録媒体Pに構造物600を設けた場合は、記録媒体Pのハンドリング性が悪化する可能性がある。
【0084】
これに対し、本開示の揮発性材料によって検知用画像202が形成された記録媒体Pは、構造物600を付着させた特殊な記録媒体に比較して、ハンドリング性に優れる。本開示の揮発性材料を用いれば、検知用画像202を形成しようとする記録媒体の種類の制限が少ない点、検知用画像を有する記録媒体の製造コストが低い点、又は、検知用画像が形成された記録媒体の厚さが比較的薄く且つ均一性が高く、スタッキング性に優れる点も有利である。
【0085】
本開示の揮発性材料は、例えば、化粧品、食品、又は芳香剤などに使用されている香料を使用することが好ましい。化粧品、食品、又は芳香剤などに使用されている香料は安全性、安定性の点で優れている。例えば、機密情報付与装置100でインクなどの液体組成物を使用する場合、液体組成物に合った香料を選択することが好ましい。一般に天然香料よりも人工香料の方が安価で使用しやすい
【0086】
香料の一例を以下に示す。検知用画像を形成する目的で、以下の香料から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
<花の香り(フローラル)>
例えば、ベンジルアセテート、ゲラニオール、エピジャスモン酸メチル、ラバンジェロール、β-フェニルエチルアルコール、酢酸ゲラニル、n-オクタノール、l-デカノール、ヒドロキシシトロネラール、α-アミルシンナミックアルデヒドなどが好適である。
【0087】
<果実の香り(フルーティー)>
例えば、シトラール、シトロネラール、リモネン、酢酸3-メチルブチル、γ-ヘキサラクトン、γ-ジャスモラクトン、フェニルグリシド酸エチル、4,7-ジメチルビシクロ[3.2.1]オクト-3-エン-6-オン、3-メチル-3-ブテン-1-オール、3-ヒドロキシ-β-ダマスコン、ペンタン-2-チオール、3-ヒドロキシ-2-エチル-γ-ピロン、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、2,5-ジメチル-4,5-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンなどが好適である。
【0088】
<その他>
その他、バニリン、メントール、イソチオシアン酸アリル、l-カルボン、シクロペンタデカノリド、ニトロムスク類、セドロール、ゲルマクレンBなどが好適である。
【0089】
検知用画像を構成する材料は、揮発した状態で人にとって無臭であること、又は揮発した状態で人の臭覚で認識できない濃度であることが好ましい。人にとって無臭の揮発性材料として、例えば、水酸基又は水酸基とエーテル基を含む有機化合物などが挙げられる。これらの有機化合物として、例えば、アルコール類、グリコール類、又はグリコールエーテル類などが挙げられる。
【0090】
無臭の揮発性材料としては、例えば、グリコール類としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。アルコール類としてグリセリンなどが挙げられる。グリコールエーテル類としては、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。その他エーテル基およびアルコール基をもつものとして、tert-ブチルセロソルブ、ソルフィットなどが挙げられる。
【0091】
無臭であることの評価方法は、6段階臭気強度尺度を用いることができる。6段階臭気強度尺度では、尺度0または1を無臭とする。評価は臭気判定士の資格を持つものが行うことが望ましい。尺度0または1となる濃度が、人間が嗅覚で検知できない濃度である。また、既知の安全性評価で安全であることが確認されている揮発性材料を使用することが望ましい。
【0092】
本開示の検知用画像を構成する材料は、二種類以上の有機化合物を含有していてもよい。二種類以上の有機化合物を含有することで、例えば、検知装置150で各々の有機化合物の特徴を付与することも可能である。例えば、揮発性ガスの発生時間を持続させるために、揮発速度の異なる二種類以上の有機化合物を含有してもよい。
【0093】
本開示の検知用画像を構成する材料は、視認できない材料であってもよい。検知用画像を構成する材料が視認できない材料である場合、図3(A)~図3(C)に示すように、記録媒体Pに形成される画像200に重ねて検知用画像202を付与しても、画像200の読み取りの妨げとなることがない。
【0094】
本開示の検知用画像を構成する材料は、検知用画像を着色する目的で、色材(例えば、顔料、染料)を含有していてもよい。本開示の記録材料は、記録媒体表面への定着性の観点から、樹脂(例えば、ポリステル樹脂、アクリル樹脂)を含有していてもよい。本開示の記録材料は、記録材料の流動性を確保する観点から、溶媒を含有していてもよい。
【0095】
本開示の検知用画像を構成する材料の一例は、液体組成物又はペースト組成物である。液体組成物は、例えば、インクである。
【0096】
液体組成物である材料としては、例えば、インクジェット記録用インク、ペン状デバイスに充填されるインク、スタンプ用インクが挙げられる。
ペースト組成物である材料としては、例えば、スタンプ用ペースト、スクリーン印刷用ペースト、オフセット印刷用ペーストが挙げられる。
【0097】
〔検知装置150〕
次に、検知装置の一例について説明する。
【0098】
図7に示されるように、検知装置150は、床面152に設置されたゲート154と、記録媒体Pに付与された検知用画像202を検知する検知部の一例としてのセンサ156と、を備えている。さらに、検知装置150は、アラートを発生するアラート発生装置160と、センサ156及びアラート発生装置160にそれぞれ電気的に接続される制御部158と、を備えている。
【0099】
床面152は、ユーザーが歩行可能な床面であり、例えば、画像が形成された記録媒体Pを持ったユーザーが歩行する。
【0100】
ゲート154は、左右一対の側壁部154A、154Bと、側壁部154A、154Bの上部に掛け渡された上壁部154Cと、を備えている。ゲート154は、人が出入り可能とされている。例えば、画像が形成された記録媒体Pを持ったユーザーは、ゲート154内の側壁部154A、154Bの間を歩行する。本開示の実施形態の一例では、ゲート154は、画像形成装置10が配置された部屋の出口に設けられている。これによって、画像形成装置10と検知装置150とを備えたシステムが構成されている。このシステムは、例えば、画像形成装置10によって機密レベルが高い画像が記録媒体Pに形成された際に、検知装置150によって、その記録媒体Pの持ち出しを検知する。
【0101】
センサ156は、記録媒体Pに付与された検知用画像202を構成する材料を非接触で検知する機能を有する。センサ156は、一例として、一方の側壁部154Aの下部側に設けられている。本開示の実施形態の一例では、センサ156は、記録媒体Pに付与された検知用画像202から発生する(すなわち揮発する)揮発性ガスを検知する。
【0102】
図8には、センサ156の一例が示されている。このセンサ156は、金属酸化物式のガスセンサである。図7に示されるように、センサ156は、ケース170と、ケース170に設けられた支持部172と、支持部172に支持されたプレート174と、プレート174に設けられた複数の電極176、178と、を備えている。支持部172は、シリコンで構成されている。プレート174は、定められた温度に加熱される。さらに、センサ156は、プレート174上に電極176、178を覆うように設けられた金属酸化物層180と、電極176、178との間の抵抗値を測定する抵抗測定部182と、を備えている。
【0103】
センサ156では、例えば、空気中の酸素が金属酸化物層180の電子を捕捉し、金属酸化物層180の表面にマイナスイオンOとなって吸着する。金属酸化物層180付近に還元性ガスが存在すると、金属酸化物層180の表面のマイナスイオンOが還元性ガスと反応し(例えば、還元性ガスの水素と反応することで水となり)、金属酸化物層180中で電子Eが移動可能となる。これにより、抵抗測定部182で測定される抵抗値が変化する。例えば、検知用画像202から発生する揮発性ガスの濃度が高い場合、揮発性ガスの少なくとも一部が金属酸化物層180の表面のマイナスイオンOと反応することで、金属酸化物層180中の電子Eが増加する。このため、抵抗測定部182で電極176、178との間の抵抗値を測定することで、記録媒体Pに付与された検知用画像202を検知することが可能となる。
【0104】
図7に示されるように、センサ156で検知された信号は、制御部158に入力される。制御部158は、アラート発生装置160の動作を制御する。記録媒体Pに検知用画像202が付与されている場合は、記録媒体Pに形成された画像は機密レベルが高い。制御部158は、センサ156によって記録媒体Pの検知用画像202が検知されたときは、アラート発生装置160を動作させる。
【0105】
アラート発生装置160は、警告音などのアラートを発生させるスピーカ160Aを備えている。アラート発生装置160は、一例として、側壁部154Bの上部側に設けられている。アラート発生装置160がアラートを発生させることで、検知用画像202が付与された記録媒体Pがゲート154を通過したことを周囲に報知させることが可能である。
【0106】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0107】
機密情報付与装置100では、制御部102の情報取得部102Aによって記録媒体Pに形成する画像の情報の機密レベルを取得する。そして、制御部102は、情報取得部102Aによって取得された画像の情報の機密レベルに応じて、付与制御部102Bにより付与部104を動作させ、記録媒体Pに検知用画像202を付与する。例えば、情報取得部102Aによって取得された画像の機密レベルが定められたレベルよりも高い場合は、制御部102は、付与部104により記録媒体Pに検知用画像202を付与する。記録媒体Pに付与された検知用画像202を構成する材料は、検知装置150によって非接触で検知可能とされている。
【0108】
画像形成装置10の印刷プロセスに沿って説明すると、画像形成部12によって形成されたトナー画像が記録媒体Pに転写され、定着装置34によってトナー画像が記録媒体Pに加熱及び加圧により定着される。さらに、記録媒体Pは、機密情報付与装置100との対向部に搬送され、記録媒体Pに検知用画像202が付与される。そして、記録媒体Pは、排出部10bに排出される。
【0109】
このため、機密情報付与装置100では、記録媒体Pの印刷内容が機密である場合に、印刷プロセス中に、記録媒体Pの任意の場所に非接触で検知可能な検知用画像202を付与することが可能である。このため、機密情報付与装置100では、記録媒体に予め磁性体などの構造物を付着させる場合と比較して、特殊な記録媒体を用いる必要がない。また、機密情報付与装置100では、記録媒体Pに検知用画像202が付与されるため、記録媒体Pにおける検知用画像202が付与された部分の厚みがほとんど変わらない。このため、記録媒体に磁性体などの構造物を付着させる場合と比較して、記録媒体のハンドリング性を損ないにくい。
【0110】
また、機密情報付与装置100によって、記録媒体Pに付与された検知用画像202を構成する材料は、揮発性材料である。このため、機密情報付与装置100では、記録媒体にバーコード又はQRコード(登録商標)を形成する場合と比較して、遮蔽物があっても検知可能な検知用画像202を記録媒体Pに付与することができる。
【0111】
また、機密情報付与装置100では、揮発性材料として、人にとって無臭の材料を用いてもよい。これにより、機密情報付与装置100では、揮発性材料が人にとって臭いがある場合と比較して、揮発性材料が付与されたことが人に認知されにくい。
【0112】
また、機密情報付与装置100では、揮発性材料は、水酸基又は水酸基とエーテル基を含む有機化合物を用いてもよい。人にとって無臭の材料の例として、水酸基又は水酸基とエーテル基を含む有機化合物が挙げられる。これにより、機密情報付与装置100では、臭気のある材料を主成分とする場合と比較して、人に与える不快感が抑制される。
【0113】
また、機密情報付与装置100では、記録媒体Pに付与された検知用画像202を構成する材料は、視認できない材料を用いてもよい。これにより、機密情報付与装置100では、付与部により記録媒体に付与する材料が視認できる場合と比較して、記録媒体Pから検知用画像202が剥がされることがない。
【0114】
また、画像形成装置10では、記録媒体Pに検知用画像202を付与する機密情報付与装置100と、記録媒体Pに検知用画像202以外の通常の画像を形成する画像形成部12とが設けられている。このため、画像形成装置10では、記録媒体に画像を形成する装置と機密情報を付与する装置とを別個に設ける場合と比較して、記録媒体Pに画像を形成するプロセスで、記録媒体Pに検知用画像202を付与することが可能である。
【0115】
また、上記のシステムでは、画像形成装置10と、記録媒体Pに付与された検知用画像202を検知するセンサ156を備えた検知装置150とが設けられている。このため、上記のシステムでは、画像形成装置10のみを備える場合と比較して、画像形成後に検知用画像202が付与された記録媒体Pの持ち出しを抑制することが可能である。
【0116】
また、上記のシステムでは、センサ156は、人が出入り可能なゲート154に設けられている。このため、上記のシステムでは、複数の出入り口から人が出入りする場合と比較して、検知用画像202が付与された記録媒体Pの持ち出しを抑制することが可能である。
【0117】
また、上記のシステムでは、ゲート154には、センサ156が検知用画像202を検知したときに、アラートを発生するアラート発生装置160が設けられている。このため、上記のシステムでは、アラートを生じない場合と比べて、検知用画像202が付与された記録媒体Pの持ち出しを抑制することが可能である。
【0118】
<第2実施形態>
次に、図9を用いて、第2実施形態の検知装置について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0119】
図9に示されるように、第2実施形態の検知装置250は、センサ156が設けられた側壁部154Aと対向する側壁部154Bに形成された開口部252と、開口部252に向かって気流を発生される気流発生装置254と、を備えている。また、検知装置250は、センサ156が設けられた側壁部154Aの背面側に配置された気流排出口256を備えている。さらに、検知装置250は、ゲート154に設けられた人感センサ258を備えている。センサ156は、記録媒体Pに付与された検知用画像202を構成する材料が揮発性材料である場合に、検知用画像202から発生した揮発性ガスを検知する。
【0120】
開口部252は、側壁部154Bにおけるセンサ156と対向する位置に設けられている。開口部252は、例えば、格子状の開口を備えている。気流発生装置254は、例えば、回転により気流を送ることが可能なファンを備えている。気流発生装置254により、開口部252を通じてセンサ156に向かって気流を発生させることが可能である。気流発生装置254からセンサ156に向かって送られた気流は、センサ156に当たり、側壁部154Aの面に沿って流れ、側壁部154Aの幅方向外側を通って背面側の気流排出口256から排出される。なお、側壁部154Bのセンサ156の周囲に、気流排出口256に気流を導く開口を設けてもよい。例えば、検知用画像202が付与された記録媒体Pがゲート154を通過する場合、気流発生装置254は、ゲート154内を通過する検知用画像202からセンサ156に向かって気流を発生させる。これにより、検知用画像202から発生した揮発性ガスが気流発生装置254によって発生する気流によりセンサ156に向けて送られる。
【0121】
人感センサ258は、ゲート154に侵入する人を検知する。人感センサ258は、例えば、ゲート154の上壁部154Cにおける人の侵入方向の両側に取り付けられている。これにより、人感センサ258は、ゲート154に向かって近づいてくる人を検知することが可能である。
【0122】
制御部158は、気流発生装置254と電気的に接続されており、気流発生装置254の動作を制御する。制御部158は、人感センサ258と電気的に接続されており、人感センサ258によって検知された信号は、制御部158に入力される。制御部158は、例えば、人感センサ258によりゲート154への人の侵入が検知されたとき、気流発生装置254を作動させる。また、制御部158は、ゲート154へ人が近づいてくるのが検知されたときに、人がゲート154に侵入する直前に気流発生装置254を作動させてもよい。
【0123】
検知装置250の他の構成は、第1実施形態の検知装置150と同様である。
【0124】
上記の検知装置250を備えたシステムは、第1実施形態の検知装置150を備えたシステムと同様の構成による作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を有している。
【0125】
検知装置250を備えたシステムでは、ゲート154内を通過する検知用画像202からセンサ156に向かって気流を発生させる気流発生装置254が設けられている。このため、検知装置250を備えたシステムでは、気流を発生させない場合と比較して、記録媒体Pに付与された検知用画像202を検知しやすい。
【0126】
検知装置250を備えたシステムでは、ゲート154に設けられた人感センサ258によりゲート154への人の侵入が検知されたときに、気流発生装置254を作動させる。このため、検知装置250を備えたシステムでは、気流発生装置を常時作動させる場合と比較して、ゲート154に人が侵入した場合のみ気流発生装置254を作動させることができ、消費電力の低減が可能である。
【0127】
<第3実施形態>
次に、図10を用いて、第3実施形態の検知装置について説明する。なお、前述した第1実施形態及び第2実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0128】
図10に示されるように、第3実施形態の検知装置270は、ゲート154における人が通過する方向の両側に、ゲート154の内部からの空気の拡散を規制する拡散規制部材272を備えている。拡散規制部材272は、側壁部154A、154Bに開閉可能に取り付けられた2枚の扉272A、272Bを備えている。扉272A、272Bは、側壁部154A、154Bに設けられた回転機構(図示省略)により、側壁部154A、154Bに沿った側から側壁部154A、154Bと交差する側(本実施形態では直交する側)までの間を回転する。これにより、扉272A、272Bによって、ゲート154が開閉される構成とされている。なお、拡散規制部材272は、ゲート154における人の通過方向端部の少なくとも一方に設けてもよい。
【0129】
拡散規制部材272は、制御部158と電気的に接続されており、制御部158は、拡散規制部材272を構成する扉272A、272Bの動作を制御する。例えば、検知用画像202が付与された記録媒体Pがゲート154を通過する場合、拡散規制部材272によりゲート154が閉止された状態では、検知用画像202からの揮発性ガスの拡散が拡散規制部材272によって抑制される。
【0130】
制御部158は、例えば、ゲート154内に人が侵入した場合に、拡散規制部材272の扉272A、272Bを動作させ、ゲート154における人の通過方向の両側をいったん閉止してもよい。そして、制御部158は、検知用画像202からの揮発性ガスがセンサ156によって検知されない場合に、拡散規制部材272の扉272A、272Bを動作させることで、ゲート154を開放するようにしてもよい。
【0131】
検知装置270の他の構成は、第1実施形態の検知装置150と同様である。なお、拡散規制部材272は、扉に代えて、シャッタなどを用いてもよい。
【0132】
上記の検知装置270を備えたシステムは、第1実施形態の検知装置150を備えたシステムと同様の構成による作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を有している。
【0133】
上記の検知装置270を備えたシステムは、拡散規制部材272によりゲート154が開閉される構成とされている。例えば、検知用画像202が付与された記録媒体Pがゲート154に侵入した場合、拡散規制部材272によりゲート154が閉止された状態では、ゲート154の内部からの検知用画像202の揮発性ガスの拡散が拡散規制部材272によって抑制される。このため、検知装置270を備えたシステムは、ゲートが開放されている場合に比べて、センサ156により検知用画像202(すなわち、検知用画像202から発生する揮発性ガス)を検知しやすい。
【0134】
<第4実施形態>
次に、図11図13を用いて、第4実施形態の画像形成装置について説明する。なお、前述した第1~第3実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0135】
図11に示されるように、第4実施形態の画像形成装置300は、第1実施形態の画像形成装置10に設けられた収容部18に代えて、収納部302を備えている。収納部302は、異なる種類の記録媒体がそれぞれ収容される複数(本開示の実施形態の一例では2つ)の収容部材20、304を備えている。収容部材20には、第1実施形態の画像形成装置10と同様に通常の記録媒体Pが収容されている。収容部材304には、磁性体が付着された特殊記録媒体P2が収容されている。
【0136】
また、画像形成装置300は、収容部材304に積載された最上位の特殊記録媒体P2を搬送経路16に送り出す送出ロール23と、特殊記録媒体P2を搬送する第1搬送ロール64と、を備えている。
【0137】
また、画像形成装置300は、第1実施形態の画像形成装置10の制御部28に代えて、制御部306を備えている。図12に示されるように、制御部306は、画像の情報の機密レベルを取得する情報取得部306Aと、記録媒体の種類を選択する選択部306Bと、機密情報付与装置100に機密像法を付与する信号を送信する送信部306Cと、を備えている。図示を省略するが、制御部306は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)と、ストレージなどの記憶部とを含んで構成されている。
【0138】
選択部306Bは、情報取得部306Aにより取得された画像の情報の機密レベルに応じて、記録媒体の種類(すなわち、記録媒体Pと特殊記録媒体P2のとぢらか)を選択する。選択部306Bは、例えば、画像の情報が秘密管理されるべき機密レベルでない場合は、記録媒体Pを選択する。これにより、記録媒体Pに画像形成部12により画像が形成される。また、選択部306Bは、例えば、画像の情報の機密レベルが予め設定されたレベルより高い場合(例えば、機密レベルが最も高い機密レベル1の場合)に、磁性体が付着された特殊記録媒体P2を選択する。これにより、特殊記録媒体P2に画像形成部12により画像が形成される。
【0139】
また、選択部306Bは、例えば、画像の情報が秘密管理されるべき機密レベルであって、機密レベルが予め設定されたレベルより高くない場合(例えば、機密レベルが機密レベル1より低い機密レベル2の場合)に、記録媒体Pを選択する。この場合は、制御部306は、記録媒体Pに画像形成部12により画像を形成し、さらに記録媒体Pに機密情報付与装置100により検知用画像202を付与するような制御を行う。
【0140】
送信部306Cは、画像の情報が秘密管理されるべき機密レベルであって、機密レベルが予め設定されたレベルより高くない場合に、機密情報付与装置100に検知用画像202を付与するための信号を送信する。これにより、機密情報付与装置100によって記録媒体Pに検知用画像202が付与される。
【0141】
図13は、画像形成装置300の制御部306による処理の流れを示すフローチャートである。制御部306では、CPUが記憶部から機密情報処理プログラムを読み出して実行することにより、処理が行なわれる。
【0142】
図13に示すように、制御部306は、画像形成部12によって形成する画像の機密情報を取得する(ステップS320)。画像の機密情報は、例えば、画像のプロパティなどに画像の情報として付与されている。
【0143】
制御部306は、画像に機密情報が有るかあるか否かを判断する(ステップS321)。例えば、秘密管理されるべき機密情報は、記憶部に記憶されており、制御部306は、画像の情報に、秘密管理されるべき機密情報が含まれるか否かを判断する。
【0144】
画像に機密情報が無い場合(ステップS321:NO)、制御部306は、記録媒体Pを選択する(ステップS322)。
【0145】
制御部306は、記録媒体Pに画像形成部12により画像を形成する(ステップS323)。すなわち、画像の情報が秘密管理されるべき機密レベルでない場合は、記録媒体Pが送り出され、画像形成部12により記録媒体Pに通常の画像形成が行われる。この場合は、記録媒体Pには検知用画像202が付与されない。これにより、機密情報処理プログラムに基づく処理を終了する。
【0146】
画像に機密情報が有る場合(ステップS321:YES)、制御部306は、画像の機密情報が機密レベルの高い機密レベル1であるか否かを判断する(ステップS324)。機密レベル1となる機密情報は、予め記憶部に記憶されている。
【0147】
画像の機密情報が機密レベル1でない場合(ステップS324:NO)、制御部306は、記録媒体Pを選択する(ステップS325)。すなわち、画像の情報が秘密管理されるべき機密レベルであって、画像の機密情報が機密レベルの高い機密レベル1でない場合(すなわち、機密情報が機密レベル1ほど高くない場合)は、記録媒体Pが選択される。
【0148】
制御部306は、記録媒体Pに画像形成部12により画像を形成する(ステップS326)。
【0149】
制御部306は、記録媒体Pに機密情報付与装置100により検知用画像202を付与する(ステップS327)。実際には、制御部306は、機密情報付与装置100に検知用画像を付与する信号を送信する。機密情報付与装置100は、制御部306からの信号に基づき、記録媒体Pに検知用画像202を付与する。すなわち、画像の機密情報が機密レベル1ほど高くない場合は、記録媒体Pが送り出され、画像形成部12により記録媒体Pに画像が形成され、さらに機密情報付与装置100により検知用画像202が記録媒体Pに付与される。これにより、機密情報処理プログラムに基づく処理を終了する。
【0150】
画像の機密情報が機密レベル1である場合(ステップS324:YES)、制御部306は、磁性体が付着された特殊記録媒体P2を選択する(ステップS328)。
【0151】
制御部306は、特殊記録媒体P2に画像形成部12により画像を形成する(ステップS329)。すなわち、画像の機密情報が機密レベルの高い機密レベル1である場合は、磁性体が付着された特殊記録媒体P2が送り出され、画像形成部12により特殊記録媒体P2に画像が形成される。これにより、機密情報処理プログラムに基づく処理を終了する。
【0152】
図示を省略するが、検知装置には、検知用画像202を検知するセンサ156に加えて、磁性体が付着された特殊記録媒体P2を検知する検知部が設けられている。磁性体が付着された特殊記録媒体P2を検知する検知部は、揮発性材料で構成された検知用画像202を検知するセンサ156よりも検知の感度が高い場合が多く、特殊記録媒体P2を検知しやすい。
【0153】
上記の画像形成装置300は、第1実施形態の画像形成装置10と同様の構成による作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を有している。
【0154】
画像形成装置300では、異なる種類の記録媒体Pと特殊記録媒体P2をそれぞれ収容する収容部材20、304を備えた収納部302が設けられている。さらに、画像形成装置300では、選択部306Bによって、画像の情報の機密レベルに応じて、記録媒体Pと特殊記録媒体P2のどちらかが選択される。このため、画像形成装置300では、1種類の記録媒体を用いる場合と比較して、機密レベルに応じて、記録媒体の種類、すなわち記録媒体Pと特殊記録媒体P2のどちらかを選択するこが可能である。
【0155】
また、画像形成装置300では、画像の情報の機密レベルが高い場合に、特殊記録媒体P2に画像形成部12が画像を形成し、画像の情報の機密レベルが高くない場合に、機密情報付与装置100により検知用画像202を記録媒体Pに付与する。このため、画像形成装置300では、磁性体を含む記録媒体を用いない場合と比較して、画像の情報の機密レベルの高い特殊記録媒体P2の持ち出しを抑制することが可能である。
【0156】
<第5実施形態>
次に、図14及び図15を用いて、第5実施形態の画像形成装置について説明する。なお、前述した第1~第4実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0157】
図14に示されるように、第5実施形態の画像形成装置400は、第1実施形態の画像形成装置10の機密情報付与装置100に代えて、機密情報付与装置402を備えている。機密情報付与装置402は、第1実施形態の画像形成装置10の機密情報付与装置100で使用した付与材料とは異なる付与材料を使用している。また、機密情報付与装置402は、第1実施形態の機密情報付与装置100と同様に、記録媒体Pに印刷する画像の情報の機密レベルを取得する情報取得部102Aと、機密レベルに応じて、記録媒体Pに機密情報を付与する付与部104と、を備えている。
【0158】
〔機密情報付与装置402で使用する付与材料〕
ここで、機密情報付与装置402で使用する付与材料について説明する。機密情報付与装置402は、記録媒体Pに機密情報の一例としての検知用画像202を付与する。検知用画像202には、画像形成部12でトナー画像の形成時に使用する記録材料とは、電波の反射率又は吸収率が異なる付与材料が使用されている。付与材料は、記録媒体Pの表面に付着することで、周波数1GHz以上5THz以下の電波の少なくとも一部を反射又は吸収する検知用画像202を形成し、記録媒体Pを後述する検知装置418によって検知可能にする。検知用画像202は、周波数1GHz以上5THz以下の電波の少なくとも一部を反射又は吸収すればよい。検知用画像202は、例えば、周波数1GHz以上5THz以下の電波の全範囲を反射又は吸収してもよく、周波数1GHz以上5THz以下のある領域の電波を反射し、別のある領域を吸収してもよい。
【0159】
本開示の記録材料によって検知用画像202が形成された記録媒体Pは、構造物600を付着させた特殊な記録媒体(図16参照)に比較して、ハンドリング性に優れる。本開示の記録材料を用いれば、検知用画像202を形成しようとする記録媒体の種類の制限が少ない点、検知用画像を有する記録媒体の製造コストが低い点、又は、検知用画像が形成された記録媒体の厚さが比較的薄く且つ均一性が高く、スタッキング性に優れる点も有利である。
【0160】
検知用画像202は、一例として、ミリ波又はサブミリ波の少なくとも一部を反射又は吸収する画像であり、ミリ波の少なくとも一部を反射又は吸収する画像であることが好ましく、ミリ波の少なくとも一部を反射する画像であることがより好ましい。
検知用画像202は、別の一例として、テラヘルツ波の少なくとも一部を反射又は吸収する画像である。
本開示において、周波数1GHz以上5THz以下の電波のうち、周波数30GHz以上300GHz以下の領域の電波を「ミリ波」といい、周波数300GHz以上3000GHz(=3THz)以下の領域の電波を「サブミリ波」といい、周波数3THz以上5THz以下の領域の電波を「テラヘルツ波」という。
【0161】
また、検知用画像202は、ベタ画像に代えて、メッシュ状画像としてもよい。メッシュ状画像である場合、メッシュ状の格子径(すなわち、メッシュの開口)の寸法は、検知装置150で使用する電波の波長に応じて設定することが好ましい。例えば、メッシュ状画像の格子径のサイズは、電波が検知用画像202をシールド可能な(すなわち、電波が通過しにくい)寸法に設定することが好ましい。電波の波長をλとした場合、メッシュ状画像の格子径のサイズは、例えば、1/2λ以下であることが好ましい。また、メッシュ状画像の線幅は、開口の幅よりも小さいことが好ましい。メッシュ状画像の格子径のサイズが小さいほど、電波をシールドする効果は高くなる。
【0162】
検知用画像202の実地形態の一例は、ミリ波の少なくとも一部を反射又は吸収する画像である。ミリ波の少なくとも一部を反射又は吸収する検知用画像202としては、好ましくは周波数70GHz以上90GHz以下の領域の少なくとも一部を反射又は吸収する画像であり、より好ましくは周波数70GHz以上90GHz以下の領域の少なくとも一部を反射する画像である。
【0163】
本開示の記録材料は、検知用画像を形成する目的で、導電性材料、誘電性材料及び磁性材料からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。本開示の記録材料に含まれる導電性材料、誘電性材料又は磁性材料が検知用画像に含まれることによって、検知用画像が電波反射性能又は電波吸収性能を示すことが好ましい。
【0164】
導電性材料、誘電性材料又は磁性材料としては、銀、銅、ニッケル等の金属粒子;アルミニウム、黄銅、青銅、ニッケル、ステンレス、亜鉛等の金属粉顔料;酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide,ITO)、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛等の金属酸化物粒子;フェライト粒子、マグネタイト粒子、カルボニル鉄粉、カーボン;これら材料と樹脂とを複合化することにより電波吸収性能を持たせた粒子;などが挙げられる。
【0165】
本開示の記録材料は、検知用画像を着色する目的で、色材(例えば、顔料、染料)を含有していてもよい。本開示の記録材料は、記録媒体表面への定着性の観点から、樹脂(例えば、ポリステル樹脂、アクリル樹脂)を含有していてもよい。本開示の記録材料は、記録材料の流動性を確保する観点から、溶媒を含有していてもよい。
【0166】
本開示の記録材料の実施形態の一例は、液体組成物又はペースト組成物である。液体組成物は、例えば、インクである。記録材料は、画像形成装置10の定着装置34により
加熱処理されるものでもよい。
【0167】
液体組成物である記録材料としては、例えば、インクジェット記録用インク、ペン状デバイスに充填されるインク、スタンプ用インクが挙げられる。
ペースト組成物である記録材料としては、例えば、スタンプ用ペースト、スクリーン印刷用ペースト、オフセット印刷用ペーストが挙げられる。
【0168】
液体組成物又はペースト組成物は、例えば、導電性材料、誘電性材料及び磁性材料からなる群から選ばれる少なくとも1種であって粒子状の材料が溶媒に分散した形態を有する。
【0169】
本開示の記録媒体が有する検知用画像は、検知装置418による検知を容易にする観点から、導電性を有する画像であることが好ましい。
【0170】
〔検知装置418〕
次に、検知装置の一例について説明する。
【0171】
図15に示されるように、検知装置418は、電波を発信する送信アンテナ420と、電波を受信する受信アンテナ422と、を備えている。送信アンテナ420と受信アンテナ422とは、記録媒体Pが通過する位置を挟んで両側に配置されている。送信アンテナ420と受信アンテナ422とは、例えば、ゲート(図示省略)の両側に設けられており、ゲート内を人が出入り可能とされている。
【0172】
検知装置418では、送信アンテナ420は、周波数1GHz以上5THz以下の電波を印刷物に対して発信する。受信アンテナ422は、送信アンテナ420から発信された電波を受信することで、電波の反射又は吸収を検知する。送信アンテナ420及び受信アンテナ422は、検知部の一例である。本開示の実施形態の一例では、送信アンテナ420から発信する電波は、ミリ波である。送信アンテナ420及び受信アンテナ422は、複数設けてもよく、また、複数の送信アンテナ420及び受信アンテナ422を異なる平面上に設けてもよい。
【0173】
本開示の実施形態の一例では、検知装置418は、画像形成装置400が配置された部屋の出口に設けられている。これによって、画像形成装置400と検知装置418とを備えたシステムが構成されている。このシステムは、例えば、画像形成装置400によって機密レベルが高い画像が記録媒体Pに形成された際に、検知装置418によって、その記録媒体Pの持ち出しを検知する。
【0174】
検知装置418では、送信アンテナ420が電波を発信し、受信アンテナ422が電波を受信することで、記録媒体Pに機密レベルが高い画像が形成されていることを検知する。すなわち、記録媒体Pの表面に検知用画像202を形成することによって、記録媒体Pの検知用画像202を送信アンテナ420及び受信アンテナ422により非接触で検知可能とする。送信アンテナ420及び受信アンテナ422による検知用画像202又はこれを有する記録媒体Pの検知において、近距離(例えば、10m以内)での検知の場合、送信アンテナ420及び受信アンテナ422からの小さい出力で検知可能であるので、人体への影響が無いレベルの比較的小さい電波検知手段を使用することができ、したがって、人体への影響を抑えられる。周波数1GHz以上5THz以下の電波は布や紙程度の遮蔽物であれば透過可能であるので、検知用画像又はこれを有する記録媒体は、衣服、封筒、かばん等の遮蔽物があっても検知可能である。
【0175】
記録媒体Pに検知用画像202が形成されている場合、電波のほとんどは記録媒体Pの画像200が形成された部位を通過する(すなわち、透過する)が、電波の少なくとも一部が検知用画像202で反射又は吸収される。
【0176】
図15に示す例では、検知用画像202は、電波の少なくとも一部を反射する検知用画像である。この場合、送信アンテナ420から発信された電波のほとんどは、記録媒体Pに画像200が形成されている部位を通過するが、電波の少なくとも一部は、検知用画像202で反射する。これにより、受信アンテナ422で取得される受信イメージ432は、記録媒体Pのうち検知用画像202の部分432Aが抜けたイメージとなる。このため、受信アンテナ422で検知用画像202が形成された記録媒体Pを検知することが可能である。
【0177】
また、検知装置418では、受信アンテナ422に代えて、記録媒体Pに対して電波を発信する送信アンテナ420と同じ側に、電波を受信する受信アンテナ424を配置してもよい。この場合、受信アンテナ424は、検知部の一例である。
【0178】
受信アンテナ424で取得される受信イメージ434は、記録媒体Pのうち検知用画像202の部分434Aのみが現れたイメージとなる。このため、受信アンテナ424で検知用画像202が形成された記録媒体Pを検知することが可能である。図示を省略するが、本実施形態では、検知装置418によって検知用画像202が検知されたときに、アラート発生装置によりアラートを発生させる構成とされている。
【0179】
上記の画像形成装置400の機密情報付与装置402は、第1実施形態の機密情報付与装置100と同様の構成による作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を有している。
【0180】
機密情報付与装置402では、記録媒体Pに付与された検知用画像202を構成する材料は、電波の少なくとも一部を吸収又は反射する材料である。このため、機密情報付与装置402では、記録媒体にバーコード又はQRコード(登録商標)を形成する場合と比較して、遮蔽物があっても検知用画像202を検知可能である。
【0181】
また、機密情報付与装置402では、記録媒体Pに付与された検知用画像202を構成する材料は、視認できない材料(例えば、透明な材料)としてもよい。例えば、視認できない材料として、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide,ITO)などが用いられる。これにより、記録媒体Pの表面に画像200と検知用画像202を形成しても、画像200のみが視認可能であり、検知用画像202は視認されない。このため、機密情報付与装置402では、付与部により記録媒体に付与する材料が視認できる場合と比較して、記録媒体Pから検知用画像202が剥がされることがない。
【0182】
また、上記の検知装置418を備えたシステムは、第1実施形態の検知装置150を備えたシステムと同様の構成による作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を有している。
【0183】
検知装置418を備えたシステムでは、送信アンテナ420は、周波数1GHz以上5THz以下の電波を印刷物に対して発信し、受信アンテナ422は、送信アンテナ420から発信された電波を受信することで、電波の反射又は吸収を検知する。これにより、送信アンテナ420及び受信アンテナ422により、記録媒体Pの検知用画像202を非接触で検知する。検知用画像が揮発性材料で構成されている場合は、検知用画像から揮発性ガスが経時的に散逸する可能性があるが、電波の少なくとも一部を吸収又は反射する材料で構成された検知用画像202は、劣化しにくい。このため、検知装置418を備えたシステムでは、揮発性材料で構成された機密情報を検知する場合と比較して、記録媒体Pの検知用画像202を検知しやすい。
【0184】
なお、第1~第5実施形態では、機密情報付与装置100、402と、画像形成部12とを備えた画像形成装置であったが、本開示はこの構成に限定するものではない。例えば、機密情報付与装置100、402は、市場において独立して取引が可能な構成でもよい。例えば、画像形成部12を備えた画像形成装置に、後付けで機密情報付与装置100、402を設けてもよい。また、機密情報付与装置100、402に後付けで画像形成部12を設けてもよい。
【0185】
また、第1~第4実施形態では、検知用画像202を揮発性材料で構成すると共に、機密情報付与装置100によって検知用画像202が付与された記録媒体Pは、排出部10bに排出されたが、本開示はこの構成に限定するものではない。例えば、転換ロール36の搬送方向下流側に気密の排出トレイを設け、機密情報付与装置100によって検知用画像202が付与された記録媒体Pを気密の排出トレイに排出し、通常の画像のみが形成された記録媒体Pは、排出部10bに排出するようにしてもよい。これにより、画像形成装置では、機密情報が付与された記録媒体が通常の排出部に排出される場合と比較して、揮発性材料で構成された検知用画像202の汚染などを抑制できる。
【0186】
また、第1~第4実施形態の画像形成装置10、300では、記録媒体Pの搬送方向における定着装置34の下流側に検知用画像を付与する機密情報付与装置100を設けたが、機密情報付与装置100の位置は変更可能である。例えば、機密情報付与装置100は、記録媒体Pの搬送方向における画像形成部12よりも上流側に設けてもよいし、画像形成部12と定着装置34との間に設けてもよい。また、第1~第4実施形態において、検知用画像を構成する揮発性材料は、収容部材20に配置された図示しない機密情報付与装置により付与するようにしてもよい。
【0187】
また、第5実施形態の画像形成装置400では、記録媒体Pの搬送方向における定着装置34の下流側に検知用画像を付与する機密情報付与装置402を設けたが、機密情報付与装置402の位置は変更可能である。例えば、機密情報付与装置402は、記録媒体Pの搬送方向における画像形成部12よりも上流側に設けてもよいし、画像形成部12と定着装置34との間に設けてもよい。
【0188】
また、第1~第5実施形態では、検知用画像がセンサ156又は検知装置418で検知されたときに、その検出結果をシステム又はインターネットに送信し、アラートログを残すようにしてもよい。
【0189】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
【実施例
【0190】
以下、本開示の記録材料及び記録媒体を実施例により更に具体的に説明するが、本開示の記録材料及び記録媒体はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0191】
[実施例1.検知用画像として揮発性材料を用いた場合の検知]
機密情報付与装置100では、検知用画像を構成する揮発性材料として、プロピレングリコールを用いた。また、検知装置150では、検知用のセンサ156は金属酸化物半導体ガスセンサを用いた。金属酸化物半導体ガスセンサは、新コスモス電機社製のセンサXPー329mを用いた。
【0192】
機密情報付与装置100の制御部102は、画像の情報に応じて機密文書(機密レベルが高い)と判定したので、画像形成部12により機密文書をA4用紙に形成した後、印刷済用紙に機密情報付与装置100により揮発性材料であるプロピレングリコールを塗布した。これにより、検知用画像として、揮発性材料であるプロピレングリコールを記録媒体Pに0.02g付与した。
【0193】
この検知用画像が付与された用紙を手で持って検知装置150のセンサ156から5cm離れたところを通過した。センサ156の検出値は上昇し、アラート発生装置160でアラートが発生した。センサ156において、1~5の範囲で安定していた検出値は、閾値である10を超えアラート発生装置160でアラートが発生した。
【0194】
[実施例2.気流発生装置を用いた場合の検知]
実施例1の構成に加えて、気流発生装置254と気流排出口256とを設置した検知装置250を用いた。このとき、検知用画像である揮発性材料が塗布された部分の風速は1.2m/sであった。検知用画像の距離がセンサ156から20cm離れても、センサ156で検知することができた。
【0195】
[実施例3.ゲートに扉を設けた場合の検知]
実施例2の構成に加えて、ゲート154に拡散規制部材272としての2枚の扉272A、273Bを設けた。このとき、検知用画像である揮発性材料が塗布された部分の風速は1.5m/sであった。検知用画像の距離がセンサ156から100cm離れても、センサ156で検知することができた。
【符号の説明】
【0196】
10 画像形成装置
12 画像形成部
100 機密情報付与装置
102A 情報取得部
104 付与部
150 検知装置
156 センサ(検知部の一例)
160 アラート発生装置
200 画像
202 検知用画像(機密情報の一例)
202A~202G 検知用画像(機密情報の一例)
250 検知装置
254 気流発生装置
258 人感センサ
270 検知装置
272 拡散規制部材
300 画像形成装置
302 収納部
306B 選択部
400 画像形成装置
402 機密情報付与装置
418 検知装置
420 送信アンテナ(検知部の一例)
422 受信アンテナ(検知部の一例)
424 受信アンテナ(検知部の一例)
P 記録媒体
P2 特殊記録媒体(磁性体を含む記録媒体の一例)
図1
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