(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】キャリア及び2成分現像剤
(51)【国際特許分類】
G03G 9/113 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
G03G9/113 361
G03G9/113 352
(21)【出願番号】P 2020163308
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】山下 雅史
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-116093(JP,A)
【文献】特開2006-039357(JP,A)
【文献】特開2014-174188(JP,A)
【文献】特開2010-217629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア粒子を含むキャリアであって、
前記キャリア粒子は、キャリアコアと、前記キャリアコアの表面を覆うコート層とを含み、
前記コート層は、シリコーン樹脂と、導電性粒子とを含み、
前記導電性粒子は、透明導電性材料から構成される透明導電性基体と、前記透明導電性基体の表面を覆う被膜とを含み、
前記被膜は、シリカを含
み、
前記透明導電性材料は、アンチモンドープ酸化スズ又はスズドープ酸化インジウムである、キャリア。
【請求項2】
キャリア粒子を含むキャリアであって、
前記キャリア粒子は、キャリアコアと、前記キャリアコアの表面を覆うコート層とを含み、
前記コート層は、シリコーン樹脂と、導電性粒子とを含み、
前記導電性粒子は、透明導電性材料から構成される透明導電性基体と、前記透明導電性基体の表面を覆う被膜とを含み、
前記被膜は、シリカを含
み、
前記コート層の厚さは、1.5μm以上2.5μm以下である、キャリア。
【請求項3】
前記コート層中の前記導電性粒子の量は、前記シリコーン樹脂100質量部に対して、
10質量部以上40質量部以下である、請求項1又は2に記載のキャリア。
【請求項4】
前記導電性粒子の個数平均一次粒子径は、30nm以上70nm以下である、請求項1~
3のいずれか一項に記載のキャリア。
【請求項5】
前記被膜の厚さは、5nm以上20nm以下である、請求項1~
4のいずれか一項に記載のキャリア。
【請求項6】
トナー粒子を含むトナーと、請求項1~
5のいずれか一項に記載のキャリアとを含有する、2成分現像剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア及び2成分現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂被覆キャリアが知られている。樹脂被覆キャリアに含まれるキャリア粒子は、キャリアコアと、キャリアコアの表面を覆う樹脂層(コート層)とを備える。また、樹脂被覆キャリアのコート層の電気抵抗を調整するため、コート層中にカーボンブラックを混在させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される技術だけでは、多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化を抑制しつつ、多数枚の印刷後において、高画質の画像を形成できるキャリアを得ることは難しい。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化を抑制しつつ、多数枚の印刷後において、高画質の画像を形成できるキャリア及び2成分現像剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るキャリアは、キャリア粒子を含む。前記キャリア粒子は、キャリアコアと、前記キャリアコアの表面を覆うコート層とを含む。前記コート層は、シリコーン樹脂と、導電性粒子とを含む。前記導電性粒子は、透明導電性材料から構成される透明導電性基体と、前記透明導電性基体の表面を覆う被膜とを含む。前記被膜は、シリカを含む。
【0007】
本発明に係る2成分現像剤は、トナー粒子を含むトナーと、本発明に係るキャリアとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化を抑制しつつ、多数枚の印刷後において、高画質の画像を形成できるキャリア及び2成分現像剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るキャリアに含まれるキャリア粒子の断面構造の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示すキャリア粒子のコート層に含まれる導電性粒子の断面構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。まず、本明細書中で使用される用語について説明する。「透明導電性材料」とは、波長が400nmよりも長波長である可視光領域の光に対する吸収率が小さく、かつ導電性を示す材料を意味する。ここで、波長が400nmよりも長波長である可視光領域の光に対する吸収率が小さい材料とは、波長500nmの可視光領域の光に対する光吸収係数が、例えば1000cm-1以下であり、好ましくは500cm-1以下である材料を意味する。また、導電性を示す材料とは、電気抵抗率が、例えば1×10-1Ω・cm以下であり、好ましくは1×10-2Ω・cm以下である材料を意味する。
【0011】
キャリアは、キャリア粒子の集合体(例えば粉体)である。トナーは、トナー粒子の集合体(例えば粉体)である。外添剤は、外添剤粒子の集合体(例えば粉体)である。粉体(より具体的には、トナー粒子の粉体、キャリア粒子の粉体、導電性粒子の粉体等)に関する評価結果(形状、物性等を示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から粒子を相当数選び取って、それら粒子の各々について測定した値の個数平均である。
【0012】
粒子(より詳しくは、粒子の粉体)の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA-950」)を用いて測定した、体積基準のメディアン径である。粉体の個数平均一次粒子径は、何ら規定していなければ、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM-7401F」)及び画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて測定した、100個の一次粒子の円相当径(ヘイウッド径:一次粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径)の個数平均値である。なお、粒子の個数平均一次粒子径は、特に断りがない限り、粉体中の粒子の個数平均一次粒子径(粉体の個数平均一次粒子径)を指す。
【0013】
帯電性の強さは、何ら規定していなければ、摩擦帯電のし易さである。例えば、日本画像学会から提供される標準キャリア(負帯電極性トナー用標準キャリア:N-01、正帯電極性トナー用標準キャリア:P-01)と測定対象(例えばトナー)とを混ぜて攪拌することで、測定対象を摩擦帯電させる。摩擦帯電させる前と後とでそれぞれ、例えば吸引式小型帯電量測定装置(トレック社製「MODEL 212HS」)で測定対象の帯電量を測定する。摩擦帯電の前後での帯電量の変化が大きい測定対象ほど帯電性が強いことを示す。
【0014】
軟化点(Tm)の測定値は、何ら規定していなければ、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT-500D」)を用いて測定した値である。高化式フローテスターで測定されたS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)において、「(ベースラインストローク値+最大ストローク値)/2」となる温度が、Tm(軟化点)に相当する。
【0015】
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。
【0016】
<第1実施形態:キャリア>
本発明の第1実施形態に係るキャリアは、静電潜像の現像に好適に用いることができる。第1実施形態に係るキャリアは、現像装置内においてトナーと摩擦することで、トナーを例えば正に帯電させる。
【0017】
第1実施形態に係るキャリアは、キャリア粒子を含む。キャリア粒子は、キャリアコアと、キャリアコアの表面を覆うコート層とを含む。コート層は、シリコーン樹脂と、導電性粒子とを含む。導電性粒子は、透明導電性材料から構成される透明導電性基体と、透明導電性基体の表面を覆う被膜とを含む。被膜は、シリカを含む。
【0018】
第1実施形態に係るキャリアは、上述の構成を備えることにより、多数枚(例えば5千枚)の印刷前後において、形成される画像の色味の変化を抑制しつつ、多数枚(例えば5千枚)の印刷後において、高画質の画像を形成できる。その理由は、以下のように推測される。
【0019】
第1実施形態に係るキャリアでは、コート層に、比較的硬度が高いシリコーン樹脂が含まれている。このため、第1実施形態に係るキャリアでは、多数枚(例えば5千枚)の印刷中において、コート層の摩耗が抑制される。
【0020】
また、第1実施形態に係るキャリアでは、コート層に導電性粒子が含まれており、かつ導電性粒子の表層がシリカを含む被膜である。シリカは、シリコーン樹脂と親和性が比較的高い。このため、第1実施形態に係るキャリアでは、多数枚(例えば5千枚)の印刷中において、コート層からの導電性粒子の脱離が抑制される。これらのことから、第1実施形態に係るキャリアでは、多数枚(例えば5千枚)の印刷中において、コート層の電気抵抗を適切な範囲に維持できる。よって、第1実施形態に係るキャリアは、多数枚の印刷中においてコート層の摩耗が抑制され、かつ多数枚の印刷中においてコート層の電気抵抗を適切な範囲に維持できるため、多数枚の印刷中においても帯電付与能を安定して維持できる。
【0021】
従って、第1実施形態に係るキャリアによれば、多数枚(例えば5千枚)の印刷中におけるトナーの帯電量の変動を抑制できるため、多数枚(例えば5千枚)の印刷後において、トナーの帯電量の変動に起因する画像不良(より具体的には、かぶり、画像濃度の低下等)の発生を抑制できる。このため、第1実施形態に係るキャリアによれば、多数枚(例えば5千枚)の印刷後において、高画質の画像を形成できる。
【0022】
また、第1実施形態に係るキャリアでは、コート層中の導電性粒子が、透明導電性材料から構成される透明導電性基体を含む。このため、第1実施形態に係るキャリアでは、多数枚(例えば5千枚)の印刷中においてコート層から導電性粒子が脱離しても、脱離した導電性粒子によるトナーの色汚れが抑制される。従って、第1実施形態に係るキャリアによれば、多数枚(例えば5千枚)の印刷前後において、形成される画像の色味の変化を抑制できる。
【0023】
多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化をより抑制しつつ、多数枚の印刷後において、より高画質の画像を形成するためには、コート層中の導電性粒子の量は、コート層中のシリコーン樹脂100質量部に対して、10質量部以上40質量部以下であることが好ましい。
【0024】
以下、第1実施形態に係るキャリアの詳細について、適宜図面を参照しながら説明する。なお、参照する図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の大きさ、個数、形状等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。
【0025】
[キャリア粒子の構成]
図1は、第1実施形態に係るキャリアに含まれるキャリア粒子の断面構造の一例を示す図である。
図1に示すように、キャリア粒子10は、キャリアコア11と、キャリアコア11の表面を覆うコート層12とを含む。コート層12は、シリコーン樹脂13と、複数個の導電性粒子14とを含む。
【0026】
図2は、
図1に示すキャリア粒子10のコート層12に含まれる導電性粒子14の断面構造の一例を示す図である。
図2に示すように、導電性粒子14は、透明導電性材料から構成される透明導電性基体15と、透明導電性基体15の表面を覆う被膜16とを含む。被膜16は、シリカを含む。
【0027】
良好な現像性を得るためには、コート層12の厚さは、1.5μm以上2.5μm以下であることが好ましく、1.7μm以上2.1μm以下であることがより好ましい。コート層12の厚さの測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はそれに準ずる方法である。
【0028】
良好な現像性を得るためには、コート層12がキャリアコア11の表面領域のうち90%以上100%以下の面積を覆っていることが好ましく、コート層12がキャリアコア11の表面全域(表面領域の100%)を覆っていることがより好ましい。
【0029】
良好な現像性を得るためには、キャリアコア11の体積中位径(D50)は、15μm以上150μm以下であることが好ましく、20μm以上100μm以下であることがより好ましい。
【0030】
良好な現像性を得るためには、キャリアコア11の3000(103/4π・A/m)の印加磁場での飽和磁化は、30A・m2/kg以上90A・m2/kg以下であることが好ましく、40A・m2/kg以上80A・m2/kg以下であることがより好ましい。
【0031】
多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化をより抑制しつつ、多数枚の印刷後において、より高画質の画像を形成するためには、導電性粒子14の個数平均一次粒子径は、30nm以上70nm以下であることが好ましく、40nm以上60nm以下であることがより好ましい。
【0032】
多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化をより抑制しつつ、多数枚の印刷後において、より高画質の画像を形成するためには、被膜16が透明導電性基体15の表面領域のうち90%以上100%以下の面積を覆っていることが好ましく、被膜16が透明導電性基体15の表面全域(表面領域の100%)を覆っていることがより好ましい。
【0033】
多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化をより抑制しつつ、多数枚の印刷後において、より高画質の画像を形成するためには、被膜16の厚さは、5nm以上20nm以下であることが好ましく、10nm以上15nm以下であることがより好ましい。被膜16の厚さの測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はそれに準ずる方法である。
【0034】
以上、
図1及び
図2を参照しながら、第1実施形態に係るキャリアに含まれるキャリア粒子の構成の一例について説明した。
【0035】
[キャリア粒子の要素]
次に、第1実施形態に係るキャリアに含まれるキャリア粒子の要素について説明する。
【0036】
(キャリアコア)
キャリアコアは、磁性材料を含有することが好ましい。キャリアコアは、磁性材料の粒子であってもよいし、キャリアコア用結着樹脂と、キャリアコア用結着樹脂中に分散した磁性材料の粒子とを備えるキャリアコア(以下、樹脂キャリアコアと記載することがある)であってもよい。
【0037】
キャリアコアに含有される磁性材料の例としては、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル、及びこれら金属の一種以上を含む合金等)、及び強磁性金属酸化物が挙げられる。強磁性金属酸化物の好適な例としては、フェライトが挙げられる。フェライトの好適な例としては、Baフェライト、Mnフェライト、Mn-Znフェライト、Ni-Znフェライト、Mn-Mgフェライト、Ca-Mgフェライト、Liフェライト、Cu-Znフェライト、及びMn-Mg-Srフェライトが挙げられる。また、強磁性金属酸化物の好適な例としては、スピネルフェライトの一種であるマグネタイトも挙げられる。キャリアコアの材料として、一種類の磁性材料を単独で使用してもよいし、二種以上の磁性材料を併用してもよい。キャリアコアを作製する方法としては、例えば磁性材料を粉砕及び焼成する工程を含む方法が挙げられる。なお、キャリアコアとしては、市販品を使用してもよい。
【0038】
キャリアコアが磁性材料の粒子である場合、磁性材料の粒子の好ましい例としては、フェライト粒子(フェライトコア)が挙げられる。フェライト粒子は、画像形成のために十分な磁性を有する傾向がある。
【0039】
キャリアコアが樹脂キャリアコアである場合、樹脂キャリアコアに含まれるキャリアコア用結着樹脂としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、及びフェノール樹脂からなる群より選択される一種以上の樹脂が好ましく、フェノール樹脂がより好ましい。キャリアコア用結着樹脂中に分散した磁性材料の粒子としては、例えば上記磁性材料の例として挙げられた磁性材料からなる群より選択される一種以上を含む粒子が挙げられる。
【0040】
(コート層)
コート層は、シリコーン樹脂と、導電性粒子とを含む。コート層は、シリコーン樹脂と導電性粒子とから構成されていてもよく、シリコーン樹脂及び導電性粒子以外の成分を更に含んでいてもよい。ただし、多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化をより抑制しつつ、多数枚の印刷後において、より高画質の画像を形成するためには、コート層は、シリコーン樹脂と導電性粒子とから構成されていることが好ましい。なお、シリコーン樹脂及び導電性粒子は、各々、カップリング剤(より具体的には、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等)で処理されていてもよい。
【0041】
多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化をより抑制しつつ、多数枚の印刷後において、より高画質の画像を形成するためには、シリコーン樹脂としては、メチルシリコーン樹脂及びメチルフェニルシリコーン樹脂からなる群より選択される一種以上が好ましく、メチルシリコーン樹脂が特に好ましい。シリコーン樹脂は、主鎖としてシロキサン結合「Si-O-Si」を有し、側鎖として有機基を有する。メチルシリコーン樹脂は、側鎖の有機基としてメチル基のみを有する。メチルフェニルシリコーン樹脂は、側鎖の有機基としてメチル基及びフェニル基のみを有する。シリコーン樹脂が優れた耐久性を有するためには、シリコーン樹脂の主鎖(シロキサン結合:Si-O-Si)同士が3次元的につながっていることが好ましい。
【0042】
導電性粒子の基体である透明導電性基体は、透明導電性材料から構成される。透明導電性材料としては、例えば、透明導電性酸化物が挙げられる。透明導電性酸化物の具体例としては、アンチモンドープ酸化スズ(以下、「ATO」と記載することがある)、スズドープ酸化インジウム(以下、「ITO」と記載することがある)、ニオブドープ酸化スズ、タンタルドープ酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛及びニオブドープ二酸化チタンが挙げられる。多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化をより抑制しつつ、多数枚の印刷後において、より高画質の画像を形成するためには、透明導電性材料としては、ATO又はITOが好ましく、ATOがより好ましい。
【0043】
透明導電性基体の表面を覆う被膜は、シリカを含む。被膜は、シリカから構成されていてもよく、シリカ以外の成分を更に含んでいてもよい。ただし、多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化をより抑制しつつ、多数枚の印刷後において、より高画質の画像を形成するためには、被膜は、シリカから構成されていることが好ましい。
【0044】
導電性粒子は、例えば、透明導電性基体と、アルコール(より具体的には、エタノール等)と、シリカ源(より具体的には、テトラエトキシシラン等)と、水(より具体的には、イオン交換水等)と、塩酸との混合物を、温度25℃以上35℃以下に保持しつつ、回転速度120rpm以上240rpm以下の条件で攪拌することにより、得られる。混合物の攪拌時間は、例えば3時間以上5時間以下である。導電性粒子の個数平均一次粒子径、及び被膜の厚さは、各々、例えば、透明導電性基体の量に対するシリカ源の量、攪拌する際の混合物の温度、及び混合物の攪拌時間のうちの少なくとも1つを変更することにより、調整できる。
【0045】
(材料の組合せ)
多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化を更に抑制しつつ、多数枚の印刷後において、更に高画質の画像を形成するためには、下記条件1を満たすことが好ましく、下記条件2を満たすことがより好ましく、下記条件3を満たすことが更に好ましい。
条件1:コート層が、メチルシリコーン樹脂と導電性粒子とから構成されている。
条件2:条件1を満たし、かつ被膜がシリカから構成されている。
条件3:条件2を満たし、かつ透明導電性基体がATOから構成されている。
【0046】
[キャリアの製造方法]
次に、第1実施形態に係るキャリアの好適な製造方法について説明する。まず、転動流動コーティング装置を用いて、キャリアコアを流動させながら、キャリアコアに向けてコート層の原料を含む液(以下、コート液と記載することがある)を噴霧する。コート液は、例えば、加熱硬化型シリコーン樹脂と、導電性粒子とを含む。コート液をキャリアコアに噴霧する際、例えば、コート液中の原料(より具体的には、加熱硬化型シリコーン樹脂、導電性粒子等)の濃度、及びコート液の噴霧量の少なくとも一方を変更することにより、得られるコート層の厚さを調整できる。またコート液中の導電性粒子の濃度を変更することにより、得られるコート層中の導電性粒子の量を調整できる。
【0047】
次いで、コート液で覆われたキャリアコアを熱処理することにより、キャリアコアの表面がコート層で覆われたキャリア粒子の粉体(キャリア)が得られる。加熱硬化型シリコーン樹脂(シラノール基を有するシリコーン樹脂)を使用してコート層を形成する場合、上記熱処理により、加熱硬化型シリコーン樹脂のシラノール基と、導電性粒子の被膜に含まれるシリカの表面に存在する水酸基とが反応し、シリコーン樹脂と導電性粒子との間に共有結合が形成される。その結果、コート層からの導電性粒子の脱離が、より抑制される。
【0048】
<第2実施形態:2成分現像剤>
次に、本発明の第2実施形態に係る2成分現像剤について説明する。第2実施形態に係る2成分現像剤(以下、現像剤と記載することがある)は、トナーと、上述した第1実施形態に係るキャリアとを含む。以下、上述した第1実施形態と重複する内容については、説明を省略する。
【0049】
現像剤に含まれるトナーは、トナー粒子を含む。現像剤に含まれるトナーは、例えば正帯電性トナーとして用いることができる。正帯電性トナーは、キャリアとの摩擦により正に帯電する。
【0050】
トナーに含まれるトナー粒子は、外添剤を備えてもよい。トナー粒子が外添剤を備える場合、トナー粒子は、トナー母粒子と、外添剤とを含む。外添剤はトナー母粒子の表面に付着する。トナー母粒子の構成は、特に限定されない。なお、必要がなければ外添剤を割愛してもよい。外添剤を割愛する場合には、トナー母粒子がトナー粒子に相当する。
【0051】
トナー粒子が外添剤を備える場合、流動性に優れるトナーを得るためには、外添剤粒子として、個数平均一次粒子径5nm以上30nm以下の無機粒子を使用することが好ましい。外添剤をトナー粒子間でスペーサーとして機能させて耐熱保存性に優れるトナーを得るためには、外添剤粒子として、個数平均一次粒子径50nm以上200nm以下の樹脂粒子を使用することが好ましい。トナー母粒子からの外添剤の脱離を抑制しながら外添剤の機能を十分に発揮させるためには、外添剤の量が、トナー母粒子100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
【0052】
トナー粒子は、シェル層を備えないトナー粒子(非カプセルトナー粒子)であってもよいし、シェル層を備えるトナー粒子(カプセルトナー粒子)であってもよい。カプセルトナー粒子は、トナーコアと、トナーコアの表面を覆うシェル層とを備えるトナー母粒子を含む。トナーコアの構成は、特に限定されない。シェル層は、実質的に熱硬化性樹脂のみからなってもよいし、実質的に熱可塑性樹脂のみからなってもよいし、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との両方を含有してもよい。
【0053】
画像形成に適したトナーを得るためには、トナー母粒子の体積中位径(D50)は、4μm以上9μm以下であることが好ましい。
【0054】
第2実施形態に係る現像剤は、例えば混合機(より具体的には、ボールミル、ロッキングミキサー(登録商標)等)を用いて、第1実施形態に係るキャリアと、トナーとを攪拌しながら混合することで得られる。キャリア粒子100質量部に対するトナー粒子の配合量は、好ましくは1質量部以上20質量部以下であり、より好ましくは3質量部以上15質量部以下である。
【0055】
以上説明した第2実施形態に係る現像剤は、第1実施形態に係るキャリアを含むため、多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化を抑制しつつ、多数枚の印刷後において、高画質の画像を形成できる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。なお、キャリア粒子のコート層の厚さ、及び導電性粒子の被膜の厚さは、各々、以下に示す方法で測定した。
【0057】
<キャリア粒子のコート層の厚さの測定方法>
キャリア粒子(後述するキャリア粒子CA-1~CA-7及びCB-1~CB-6のいずれか)の粉体を可視光硬化性樹脂(東亞合成株式会社製「アロニックス(登録商標)LCR D-800」)中に分散させた後、可視光照射により樹脂を硬化させて、硬化物を得た。続けて、得られた硬化物を、ナイフ及びヤスリを用いて加工して、所定の寸法(縦:1cm、横:1cm、厚さ:3mm)を有する矩形板状の薄片試料を得た。その後、断面試料作製装置(日本電子株式会社製「クロスセクションポリッシャ(登録商標)SM-09010」、加工方式:イオンビーム)を用いて、次に示す条件で薄片試料を加工して、キャリア粒子の断面を得た。
【0058】
(加工条件)
・イオン加速電圧:4.0kV
・使用ガス:アルゴン(純度:99.9999%以上、圧力:0.15MPa)
・加工時間:12時間
【0059】
得られたキャリア粒子の断面を、電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM)(日本電子株式会社製「JSM-7600F」)を用いて、倍率10000倍で撮影した。
【0060】
続けて、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて、撮影したキャリア粒子の断面撮影像を解析することで、コート層の厚さを測定した。測定の手順については、まず、得られた断面撮影像において、無作為に10個のキャリア粒子を選択した。そして、選択した10個のキャリア粒子について、それぞれコート層の厚さを測定し、測定対象(キャリア粒子)の評価値(コート層の厚さ)を求めた。より詳しくは、1つのキャリア粒子(断面)について、断面の略中心で直交する2本の直線を引き、それら2本の直線がコート層と交差する4箇所の各々で、コート層の厚さを測定した。測定された4箇所の厚さの算術平均値を、そのキャリア粒子のコート層の厚さとした。選択した10個のキャリア粒子について、それぞれコート層の厚さを測定し、得られた10個の測定値の個数平均値を、測定対象であるキャリア粒子の評価値(コート層の厚さ)とした。
【0061】
<導電性粒子の被膜の厚さの測定方法>
キャリア粒子の粉体の代わりに導電性粒子(後述する導電性粒子P1~P4、P6及びP7のいずれか)の粉体を使用したこと、及びFE-SEM(日本電子株式会社製「JSM-7600F」)を用いて撮影する際の倍率を50000倍に変更したこと以外は、上記<キャリア粒子のコート層の厚さの測定方法>と同じ方法で、導電性粒子の被膜の厚さを測定した。
【0062】
<導電性粒子の作製>
以下、導電性粒子P1~P4、P6及びP7の作製方法について説明する。
【0063】
[導電性粒子P1の作製]
ビーカーに、透明導電性基体としてのATO粒子(石原産業株式会社製「SN-100P」)30.0gと、エタノール250.0gとを入れた後、ビーカー内容物に対して、超音波分散機(アズワン株式会社販売「VS-F100」、出力:100W、発振周波数:50kHz)を用いて超音波処理を5分間施し、分散液を得た。次いで、ビーカー内の分散液に、テトラエトキシシラン(富士フイルム和光純薬株式会社製)60.0gと、イオン交換水15.0gと、塩酸(塩化水素の濃度:0.1モル/L)2.0gとを加えた。次いで、温調槽を用いてビーカー内容物の温度を30℃に保持しつつ、スターラーを用いて、回転速度120rpmの条件でビーカー内容物を4時間攪拌することにより、ATO粒子の表面全域を覆う被膜(詳しくは、シリカから構成された被膜)を形成した。次いで、ビーカー内容物を、デカンテーションとイオン交換水への分散とを繰り返すことによって洗浄し、ろ過(固液分離)した後、得られた固形分を、温度80℃に設定した電気炉内で24時間乾燥した。その結果、透明導電性基体としてのATO粒子と、ATO粒子の表面全域を覆う被膜(詳しくは、シリカから構成された被膜)とを含む導電性粒子P1の粉体を得た。
【0064】
[導電性粒子P2の作製]
ビーカー内の分散液に加えるテトラエトキシシラン(富士フイルム和光純薬株式会社製)の量を75.0gに変更したこと以外は、導電性粒子P1の作製と同じ方法で、ATO粒子と、ATO粒子の表面全域を覆う被膜(詳しくは、シリカから構成された被膜)とを含む導電性粒子P2の粉体を得た。
【0065】
[導電性粒子P3の作製]
ビーカー内の分散液に加えるテトラエトキシシラン(富士フイルム和光純薬株式会社製)の量を45.0gに変更したこと以外は、導電性粒子P1の作製と同じ方法で、ATO粒子と、ATO粒子の表面全域を覆う被膜(詳しくは、シリカから構成された被膜)とを含む導電性粒子P3の粉体を得た。
【0066】
[導電性粒子P4の作製]
ATO粒子(石原産業株式会社製「SN-100P」)30.0gの代わりに、ITO粒子(三菱マテリアル電子化成株式会社製)30.0gを使用したこと以外は、導電性粒子P1の作製と同じ方法で、導電性粒子P4の粉体を得た。導電性粒子P4は、透明導電性基体としてのITO粒子と、ITO粒子の表面全域を覆う被膜(詳しくは、シリカから構成された被膜)とを含んでいた。
【0067】
[導電性粒子P6の作製]
ATO粒子(石原産業株式会社製「SN-100P」)30.0gの代わりに、カーボンブラック粒子(三菱ケミカル株式会社製「#3400B」)15.0gを使用したこと以外は、導電性粒子P1の作製と同じ方法で、導電性粒子P6の粉体を得た。導電性粒子P6は、カーボンブラック粒子と、カーボンブラック粒子の表面全域を覆う被膜(詳しくは、シリカから構成された被膜)とを含んでいた。
【0068】
[導電性粒子P7の作製]
ビーカーに、透明導電性基体としてのATO粒子(石原産業株式会社製「SN-100P」)30.0gと、エタノール200.0gとを入れた後、ビーカー内容物に対して、超音波分散機(アズワン株式会社販売「VS-F100」、出力:100W、発振周波数:50kHz)を用いて超音波処理を5分間施し、分散液を得た。次いで、ビーカー内の分散液に、チタニウムテトライソプロポキシド(富士フイルム和光純薬株式会社製)6.3gと、イオン交換水1.0gと、塩酸(塩化水素の濃度:0.1モル/L)3.5gとを加えた。次いで、温調槽を用いてビーカー内容物の温度を25℃に保持しつつ、スターラーを用いて、回転速度120rpmの条件でビーカー内容物を2時間攪拌することにより、ATO粒子の表面全域を覆う被膜(詳しくは、チタニアから構成された被膜)を形成した。次いで、ビーカー内容物を、デカンテーションとイオン交換水への分散とを繰り返すことによって洗浄し、ろ過(固液分離)した後、得られた固形分を、温度80℃に設定した電気炉内で24時間乾燥した。その結果、透明導電性基体としてのATO粒子と、ATO粒子の表面全域を覆う被膜(詳しくは、チタニアから構成された被膜)とを含む導電性粒子P7の粉体を得た。
【0069】
導電性粒子P1~P4、P6及びP7のそれぞれについて、被膜の厚さ、及び個数平均一次粒子径を、表1に示す。
【0070】
【0071】
<導電性粒子P5及びP8の準備>
導電性粒子P5として、カーボンブラック粒子(三菱ケミカル株式会社製「#3400B」)を準備した。また、導電性粒子P8として、ATO粒子(石原産業株式会社製「SN-100P」)を準備した。
【0072】
<キャリア粒子の作製>
以下、キャリア粒子CA-1~CA-7及びCB-1~CB-6の作製方法について説明する。
【0073】
[キャリア粒子CA-1の作製]
まず、コート層の原料を含むコート液を調製した。詳しくは、100質量部の加熱硬化型メチルシリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製「KR-220L」、固形分濃度:100質量%)と、1質量部のチタン系触媒(信越化学工業株式会社製「D-25」)と、25質量部の導電性粒子P1と、1000質量部のトルエンとの混合物に対して、超音波分散機(アズワン株式会社販売「VS-F100」、出力:100W、発振周波数:50kHz)を用いて超音波処理を10分間施し、コート液を得た。また、キャリアコアとして、フェライトコア(パウダーテック株式会社製「EF-35B」、体積中位径(D50):35μm、3000(103/4π・A/m)の印加磁場での飽和磁化:68A・m2/kg)を準備した。
【0074】
次いで、転動流動コーティング装置(株式会社パウレック製「マルチプレックスMP-01」)に上記フェライトコア100質量部を投入し、フェライトコアを流動させながら、フェライトコアに向けて、上記コート液20質量部を噴霧した。続けて、コート液で覆われたフェライトコアを、温度280℃の条件で2時間熱処理することにより、フェライトコアの表面全域がコート層(メチルシリコーン樹脂と、導電性粒子P1とから構成された層)で覆われたキャリア粒子CA-1の粉体(キャリア)を得た。キャリア粒子CA-1のコート層において、導電性粒子P1の量は、メチルシリコーン樹脂100質量部に対して25質量部であった。
【0075】
[キャリア粒子CA-2の作製]
コート液を調製する際の導電性粒子P1の使用量を40質量部に変更したこと以外は、キャリア粒子CA-1の作製と同じ方法で、フェライトコアの表面全域がコート層(メチルシリコーン樹脂と、導電性粒子P1とから構成された層)で覆われたキャリア粒子CA-2の粉体(キャリア)を得た。キャリア粒子CA-2のコート層において、導電性粒子P1の量は、メチルシリコーン樹脂100質量部に対して40質量部であった。
【0076】
[キャリア粒子CA-3の作製]
コート液を調製する際の導電性粒子P1の使用量を10質量部に変更したこと以外は、キャリア粒子CA-1の作製と同じ方法で、フェライトコアの表面全域がコート層(メチルシリコーン樹脂と、導電性粒子P1とから構成された層)で覆われたキャリア粒子CA-3の粉体(キャリア)を得た。キャリア粒子CA-3のコート層において、導電性粒子P1の量は、メチルシリコーン樹脂100質量部に対して10質量部であった。
【0077】
[キャリア粒子CA-4の作製]
コート液を調製する際、25質量部の導電性粒子P1の代わりに25質量部の導電性粒子P2を使用したこと以外は、キャリア粒子CA-1の作製と同じ方法で、フェライトコアの表面全域がコート層(メチルシリコーン樹脂と、導電性粒子P2とから構成された層)で覆われたキャリア粒子CA-4の粉体(キャリア)を得た。キャリア粒子CA-4のコート層において、導電性粒子P2の量は、メチルシリコーン樹脂100質量部に対して25質量部であった。
【0078】
[キャリア粒子CA-5の作製]
コート液を調製する際、25質量部の導電性粒子P1の代わりに25質量部の導電性粒子P3を使用したこと以外は、キャリア粒子CA-1の作製と同じ方法で、フェライトコアの表面全域がコート層(メチルシリコーン樹脂と、導電性粒子P3とから構成された層)で覆われたキャリア粒子CA-5の粉体(キャリア)を得た。キャリア粒子CA-5のコート層において、導電性粒子P3の量は、メチルシリコーン樹脂100質量部に対して25質量部であった。
【0079】
[キャリア粒子CA-6の作製]
コート液を調製する際、100質量部の加熱硬化型メチルシリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製「KR-220L」、固形分濃度:100質量%)の代わりに、200質量部の加熱硬化型メチルフェニルシリコーン樹脂溶液(信越化学工業株式会社製「KR-300」、固形分濃度:50質量%)を用いたこと、及びトルエンの使用量を900質量部に変更したこと以外は、キャリア粒子CA-1の作製と同じ方法で、キャリア粒子CA-6の粉体(キャリア)を得た。キャリア粒子CA-6では、フェライトコアの表面全域がコート層(メチルフェニルシリコーン樹脂と、導電性粒子P1とから構成された層)で覆われていた。また、キャリア粒子CA-6のコート層において、導電性粒子P1の量は、メチルフェニルシリコーン樹脂100質量部に対して25質量部であった。
【0080】
[キャリア粒子CA-7の作製]
コート液を調製する際、25質量部の導電性粒子P1の代わりに25質量部の導電性粒子P4を使用したこと以外は、キャリア粒子CA-1の作製と同じ方法で、フェライトコアの表面全域がコート層(メチルシリコーン樹脂と、導電性粒子P4とから構成された層)で覆われたキャリア粒子CA-7の粉体(キャリア)を得た。キャリア粒子CA-7のコート層において、導電性粒子P4の量は、メチルシリコーン樹脂100質量部に対して25質量部であった。
【0081】
[キャリア粒子CB-1の作製]
コート液を調製する際、25質量部の導電性粒子P1の代わりに7質量部の導電性粒子P5を使用したこと以外は、キャリア粒子CA-1の作製と同じ方法で、フェライトコアの表面全域がコート層(メチルシリコーン樹脂と、導電性粒子P5とから構成された層)で覆われたキャリア粒子CB-1の粉体(キャリア)を得た。キャリア粒子CB-1のコート層において、導電性粒子P5の量は、メチルシリコーン樹脂100質量部に対して7質量部であった。
【0082】
[キャリア粒子CB-2の作製]
コート液を調製する際、25質量部の導電性粒子P1の代わりに7質量部の導電性粒子P6を使用したこと以外は、キャリア粒子CA-1の作製と同じ方法で、フェライトコアの表面全域がコート層(メチルシリコーン樹脂と、導電性粒子P6とから構成された層)で覆われたキャリア粒子CB-2の粉体(キャリア)を得た。キャリア粒子CB-2のコート層において、導電性粒子P6の量は、メチルシリコーン樹脂100質量部に対して7質量部であった。
【0083】
[キャリア粒子CB-3の作製]
コート液を調製する際、25質量部の導電性粒子P1の代わりに25質量部の導電性粒子P7を使用したこと以外は、キャリア粒子CA-1の作製と同じ方法で、フェライトコアの表面全域がコート層(メチルシリコーン樹脂と、導電性粒子P7とから構成された層)で覆われたキャリア粒子CB-3の粉体(キャリア)を得た。キャリア粒子CB-3のコート層において、導電性粒子P7の量は、メチルシリコーン樹脂100質量部に対して25質量部であった。
【0084】
[キャリア粒子CB-4の作製]
コート液を調製する際、25質量部の導電性粒子P1の代わりに25質量部の導電性粒子P8を使用したこと以外は、キャリア粒子CA-1の作製と同じ方法で、フェライトコアの表面全域がコート層(メチルシリコーン樹脂と、導電性粒子P8とから構成された層)で覆われたキャリア粒子CB-4の粉体(キャリア)を得た。キャリア粒子CB-4のコート層において、導電性粒子P8の量は、メチルシリコーン樹脂100質量部に対して25質量部であった。
【0085】
[キャリア粒子CB-5の作製]
コート液を調製する際、100質量部の加熱硬化型メチルシリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製「KR-220L」、固形分濃度:100質量%)の代わりに、ジメチルスルホキシドを用いて固形分濃度10質量%に希釈したアルコキシシリル基含有ポリアミドイミド樹脂溶液(荒川化学工業株式会社製「コンポセラン(登録商標)H901-2」)1000質量部を使用したこと、及び1000質量部のトルエンの代わりに100質量部のジメチルスルホキシドを使用したこと以外は、キャリア粒子CA-1の作製と同じ方法で、キャリア粒子CB-5の粉体(キャリア)を得た。キャリア粒子CB-5では、フェライトコアの表面全域がコート層(アルコキシシリル基含有ポリアミドイミド樹脂と、導電性粒子P1とから構成された層)で覆われていた。また、キャリア粒子CB-5のコート層において、導電性粒子P1の量は、アルコキシシリル基含有ポリアミドイミド樹脂100質量部に対して25質量部であった。
【0086】
[キャリア粒子CB-6の作製]
コート液を調製する際、導電性粒子P1を使用しなかったこと以外は、キャリア粒子CA-1の作製と同じ方法で、フェライトコアの表面全域がコート層(メチルシリコーン樹脂から構成された層)で覆われたキャリア粒子CB-6の粉体(キャリア)を得た。
【0087】
<評価用トナーの作製>
以下、評価用トナーの作製方法について説明する。まず、後述する第1評価用トナー及び第2評価用トナーの作製に用いるポリエステル樹脂の合成方法について説明する。
【0088】
[ポリエステル樹脂の合成]
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、精留塔及び攪拌装置を備えた容量5Lの4つ口フラスコを油浴にセットし、このフラスコ内に、1,2-プロパンジオール1200gと、テレフタル酸1700gと、ジオクタン酸錫(II)3gとを投入した。続けて、窒素雰囲気下、温度230℃の条件でフラスコ内容物を15時間反応(詳しくは、縮合反応)させた。続けて、フラスコ内を減圧し、減圧雰囲気(圧力8.0kPa)かつ温度230℃の条件で、反応生成物(ポリエステル樹脂)のTmが所定の温度(90℃)になるまで、フラスコ内容物を反応させた。その結果、結着樹脂としてのポリエステル樹脂(Tm:90℃)が得られた。
【0089】
[第1評価用トナーの作製]
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-20B」)に、前述の手順で得られたポリエステル樹脂80質量部と、離型剤(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP-3」、成分:合成エステルワックス)10質量部と、着色剤(三菱ケミカル株式会社製「MA100」、成分:カーボンブラック)9質量部と、正帯電性の電荷制御剤(オリヱント化学工業株式会社製「BONTRON(登録商標)P-51」)1質量部とを投入した後、上記FMミキサーを用いて、これらの材料を回転速度2000rpmの条件で4分間混合した。
【0090】
続けて、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM-30」)を用いて、材料供給速度5kg/時、軸回転速度160rpm、設定温度(シリンダー温度)100℃の条件で溶融混練した。その後、得られた混練物を冷却した。続けて、冷却された混練物を、機械式粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミルT250」)を用いて粉砕した。続けて、得られた粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ-LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)6.7μmのトナー母粒子が得られた。
【0091】
続けて、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-10B」)を用いて、回転速度3000rpmかつジャケット温度20℃の条件で、前述の手順で得られたトナー母粒子100質量部と、疎水性シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)RA-200HS」)1.5質量部と、導電性酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製「EC-100」)1.0質量部とを、5分間混合した。これにより、トナー母粒子の表面に外添剤(疎水性シリカ粒子及び導電性酸化チタン粒子)の全量を付着させた。
【0092】
続けて、得られた粉体を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。その結果、正帯電性の第1評価用トナー(トナー粒子の粉体)が得られた。なお、篩別の前後で、トナーを構成する成分の組成比は変化しなかった。
【0093】
[第2評価用トナーの作製]
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-20B」)を用いて材料を混合する際、着色剤(三菱ケミカル株式会社製「MA100」、成分:カーボンブラック)9質量部の代わりに、着色剤(大日精化工業株式会社製「セイカファースト(登録商標)イエロー2021」、成分:C.I.ピグメントイエロー74)9質量部を用いたこと以外は、第1評価用トナーの作製と同じ方法で、正帯電性の第2評価用トナーを作製した。
【0094】
<現像剤の調製>
以下、現像剤DA-1~DA-7及びDB-1~DB-6の調製方法について説明する。
【0095】
[第1現像剤DA-1及び第2現像剤DA-1の調製]
100質量部のキャリア粒子CA-1と、前述の手順で得られた第1評価用トナー8質量部とを、粉体混合機(愛知電機株式会社製「ロッキングミキサー(登録商標)」)を用いて、回転速度80rpmの条件で1時間混合して、第1現像剤DA-1を調製した。また、第1評価用トナー8質量部の代わりに第2評価用トナー8質量部を用いたこと以外は、第1現像剤DA-1の調製と同じ方法で、第2現像剤DA-1を調製した。第1現像剤DA-1は、後述する評価方法において、[色味の変化]以外の評価に使用する現像剤である。また、第2現像剤DA-1は、後述する評価方法において、[色味の変化]の評価に使用する現像剤である。以下の説明において冗長を避けるために、第1現像剤DA-1を、単に「現像剤DA-1」と記載することがある。同様に、第2現像剤DA-1を、単に「現像剤DA-1」と記載することがある。
【0096】
[第1現像剤DA-2~DA-7及びDB-1~DB-6の調製]
以下の変更点以外は、第1現像剤DA-1の調製と同じ方法で、第1現像剤DA-2~DA-7及びDB-1~DB-6を、それぞれ調製した。第1現像剤DA-2~DA-7及びDB-1~DB-6は、後述する評価方法において、[色味の変化]以外の評価に使用する現像剤である。
【0097】
(変更点)
第1現像剤DA-2~DA-7及びDB-1~DB-6の調製では、100質量部のキャリア粒子CA-1の代わりに、それぞれ100質量部のキャリア粒子CA-2~CA-7及びCB-1~CB-6を用いて、第1評価用トナー8質量部と混合した。
【0098】
[第2現像剤DA-2~DA-7及びDB-1~DB-6の調製]
以下の変更点以外は、第2現像剤DA-1の調製と同じ方法で、第2現像剤DA-2~DA-7及びDB-1~DB-6を、それぞれ調製した。第2現像剤DA-2~DA-7及びDB-1~DB-6は、後述する評価方法において、[色味の変化]の評価に使用する現像剤である。
【0099】
(変更点)
第2現像剤DA-2~DA-7及びDB-1~DB-6の調製では、100質量部のキャリア粒子CA-1の代わりに、それぞれ100質量部のキャリア粒子CA-2~CA-7及びCB-1~CB-6を用いて、第2評価用トナー8質量部と混合した。
【0100】
以下の説明において冗長を避けるために、第1現像剤DA-2~DA-7及びDB-1~DB-6を、それぞれ現像剤DA-2~DA-7及びDB-1~DB-6と記載することがある。同様に、第2現像剤DA-2~DA-7及びDB-1~DB-6を、それぞれ現像剤DA-2~DA-7及びDB-1~DB-6と記載することがある。
【0101】
<評価方法>
以下、現像剤DA-1~DA-7及びDB-1~DB-6の評価方法について説明する。なお、以下において、特に断りがない限り、形成(印刷)された画像は、定着処理が施された画像である。
【0102】
[色味の変化]
評価機としては、カラー複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 3252ci」)を用いた。
【0103】
現像剤(評価対象:現像剤DA-1~DA-7及びDB-1~DB-6のいずれか)を評価機のイエロー用現像装置に投入し、第2評価用トナー(前述の方法で得られた第2評価用トナー)を評価機のイエロー用トナーコンテナに投入した。続けて、評価機を、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下に24時間静置した。続けて、24時間静置した評価機を用いて、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下、1枚の紙(A4サイズの普通紙:富士ゼロックス株式会社製「C2」)に、大きさ25mm×25mmのソリッド画像を形成した。続けて、紙に形成されたソリッド画像について、CIE1976(L*,a*,b*)色空間におけるL*値、a*値、及びb*値を、それぞれ反射濃度計(X-Rite社製「SpectroEye(登録商標)」)を用いて測定した。以下、ここで測定されたL*値、a*値、及びb*値を、それぞれ初期L*値、初期a*値、及び初期b*値と記載する。
【0104】
続けて、上記評価機を用いて、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下、印字率2%の画像を、紙(A4サイズの普通紙:富士ゼロックス株式会社製「C2」)に5千枚連続で形成した。続けて、上記評価機を用いて、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下、1枚の紙(A4サイズの普通紙:富士ゼロックス株式会社製「C2」)に、大きさ25mm×25mmのソリッド画像を形成した。続けて、紙に形成されたソリッド画像について、CIE1976(L*,a*,b*)色空間におけるL*値、a*値、及びb*値を、それぞれ反射濃度計(X-Rite社製「SpectroEye(登録商標)」)を用いて測定した。以下、ここで測定されたL*値、a*値、及びb*値を、それぞれ耐刷後L*値、耐刷後a*値、及び耐刷後b*値と記載する。
【0105】
そして、以下の式で示される色差ΔE*を算出し、色差ΔE*が3.0未満であれば、「多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化を抑制できている」と評価した。一方、色差ΔE*が3.0以上である場合、「多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化を抑制できていない」と評価した。
色差ΔE*={(耐刷後L*値-初期L*値)2+(耐刷後a*値-初期a*値)2+(耐刷後b*値-初期b*値)2}1/2
【0106】
[かぶり濃度]
評価機としては、カラー複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 3252ci」)を使用した。現像剤(評価対象:現像剤DA-1~DA-7及びDB-1~DB-6のいずれか)を評価機のブラック用現像装置に投入し、第1評価用トナー(前述の方法で得られた第1評価用トナー)を評価機のブラック用トナーコンテナに投入した。続けて、評価機を、温度32.5℃かつ湿度80%RHの環境下に24時間静置した。
【0107】
続けて、24時間静置した評価機を用いて、温度32.5℃かつ湿度80%RHの環境下、印字率5%の画像を、紙(A4サイズの普通紙:富士ゼロックス株式会社製「C2」)に1万枚連続で形成した。続けて、上記評価機を用いて、印字率2%の画像を、紙(A4サイズの普通紙:富士ゼロックス株式会社製「C2」)に1万枚連続で形成した。続けて、上記評価機を用いて、印字率20%の画像を、紙(A4サイズの普通紙:富士ゼロックス株式会社製「C2」)に100枚連続で形成した。続けて、上記評価機を用いて、1枚の紙(A4サイズの普通紙:富士ゼロックス株式会社製「C2」)に白紙画像を印刷した。
【0108】
得られた白紙画像の画像濃度(ID)を、白色光度計(有限会社東京電色製「TC-6DS/A」)を用いて測定し、かぶり濃度(FD)を算出した。なお、かぶり濃度(FD)は、上記白紙画像の画像濃度(ID)からベースペーパー(未印刷紙)の画像濃度(ID)を引いた値に相当する。
【0109】
かぶり濃度(FD)が0.010未満であれば、「多数枚の印刷後において、かぶりの発生を抑制できている」と評価した。一方、かぶり濃度(FD)が0.010以上である場合、「多数枚の印刷後において、かぶりの発生を抑制できていない」と評価した。
【0110】
[画像濃度]
評価機としては、カラー複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 3252ci」)を使用した。現像剤(評価対象:現像剤DA-1~DA-7及びDB-1~DB-6のいずれか)を評価機のブラック用現像装置に投入し、第1評価用トナー(前述の方法で得られた第1評価用トナー)を評価機のブラック用トナーコンテナに投入した。続けて、評価機を、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下に24時間静置した。
【0111】
続けて、24時間静置した評価機を用いて、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下、印字率5%の画像を、紙(A4サイズの普通紙:富士ゼロックス株式会社製「C2」)に5万枚連続で形成した。
【0112】
続けて、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下、上記評価機を用いて、1枚の紙(A4サイズの普通紙:富士ゼロックス株式会社製「C2」)に、大きさ25mm×25mmのソリッド画像を形成した。続けて、得られたソリッド画像の画像濃度(ID)を、反射濃度計(X-Rite社製「SpectroEye(登録商標)」)を用いて測定した。
【0113】
画像濃度(ID)が1.20以上であれば、「多数枚の印刷後において、適切な画像濃度を維持できている」と評価した。一方、画像濃度(ID)が1.20未満である場合、「多数枚の印刷後において、適切な画像濃度を維持できていない」と評価した。
【0114】
<評価結果>
現像剤DA-1~DA-7及びDB-1~DB-6のそれぞれについて、キャリア粒子の種類、キャリア粒子のコート層の厚さ、色差ΔE*、かぶり濃度(FD)、及びソリッド画像の画像濃度(ID)を、表2に示す。
【0115】
【0116】
現像剤DA-1~DA-7では、キャリア粒子のコート層が、シリコーン樹脂と、導電性粒子とを含んでいた。現像剤DA-1~DA-7では、コート層中の導電性粒子が透明導電性材料から構成される透明導電性基体と、透明導電性基体の表面を覆う被膜とを含み、かつ、被膜がシリカを含んでいた。
【0117】
表2に示すように、現像剤DA-1~DA-7では、色差ΔE*が3.0未満であった。よって、現像剤DA-1~DA-7は、多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化を抑制できていた。現像剤DA-1~DA-7では、かぶり濃度(FD)が0.010未満であった。よって、現像剤DA-1~DA-7は、多数枚の印刷後において、かぶりの発生を抑制できていた。現像剤DA-1~DA-7では、画像濃度(ID)が1.20以上であった。よって、現像剤DA-1~DA-7は、多数枚の印刷後において、適切な画像濃度を維持できていた。
【0118】
現像剤DB-1及びDB-2では、コート層中の導電性粒子が透明導電性基体を含んでいなかった。現像剤DB-3では、コート層中の導電性粒子が被膜を含んでいたが、被膜がシリカを含んでいなかった。現像剤DB-4では、コート層中の導電性粒子が被膜を含んでいなかった。現像剤DB-5では、コート層がシリコーン樹脂を含んでいなかった。現像剤DB-6では、コート層が導電性粒子を含んでいなかった。
【0119】
表2に示すように、現像剤DB-1及びDB-2では、色差ΔE*が3.0以上であった。よって、現像剤DB-1及びDB-2は、多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化を抑制できていなかった。現像剤DB-1~DB-5では、かぶり濃度(FD)が0.010以上であった。よって、現像剤DB-1~DB-5は、多数枚の印刷後において、かぶりの発生を抑制できていなかった。現像剤DB-6では、画像濃度(ID)が1.20未満であった。よって、現像剤DB-6は、多数枚の印刷後において、適切な画像濃度を維持できていなかった。
【0120】
以上の結果から、本発明に係るキャリア及び2成分現像剤によれば、多数枚の印刷前後において、形成される画像の色味の変化を抑制しつつ、多数枚の印刷後において、高画質の画像を形成できることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明に係るキャリア及び2成分現像剤は、例えば複写機、プリンター又は複合機において画像を形成するために用いることができる。
【符号の説明】
【0122】
10 :キャリア粒子
11 :キャリアコア
12 :コート層
13 :シリコーン樹脂
14 :導電性粒子
15 :透明導電性基体
16 :被膜