(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20240827BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G03G15/00 680
G03G21/16 185
(21)【出願番号】P 2020165054
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】大西 祥太
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-124383(JP,A)
【文献】実開昭62-007080(JP,U)
【文献】特開2013-003363(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0032003(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートにトナー像を形成する作像装置と、
前記シートに前記トナー像を定着させる定着装置と、
高圧電源基板と、
前記作像装置と前記定着装置と前記高圧電源基板とを収容する本体ハウジングと、
前記定着装置に対向するように前記本体ハウジングに設けられた扉と、を備え、
前記定着装置は、
回転可能な定着部材と、
前記定着部材との間に前記シートを挟持する加圧ローラーと、
前記高圧電源基板から電圧を印加され、前記定着部材に電荷を付与する電荷付与装置と、
前記定着部材と前記加圧ローラーと前記電荷付与装置とを収容する定着ハウジングと、
前記扉を開けることでアクセス可能な箇所に設けられ、前記高圧電源基板側の給電線と前記電荷付与装置側の給電線とが接続される接点部材と、を備え
、
前記定着ハウジングは、前記シートの入口又は出口の長手方向の端部に前記シートの搬送方向に沿って設けられた突出部を備え、
前記接点部材は、前記突出部の表面の前記シートが対向しない部分に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
シートにトナー像を形成する作像装置と、
前記シートに前記トナー像を定着させる定着装置と、
高圧電源基板と、
前記作像装置と前記定着装置と前記高圧電源基板とを収容する本体ハウジングと、
前記定着装置に対向するように前記本体ハウジングに設けられた扉と、を備え、
前記定着装置は、
回転可能な定着部材と、
前記定着部材との間に前記シートを挟持する加圧ローラーと、
前記高圧電源基板から電圧を印加され、前記定着部材に電荷を付与する電荷付与装置と、
前記定着部材と前記加圧ローラーと前記電荷付与装置とを収容する定着ハウジングと、
前記扉を開けることでアクセス可能な箇所に設けられ、前記高圧電源基板側の給電線と前記電荷付与装置側の給電線とが接続される接点部材と、を備え
、
前記定着ハウジングは、前記シートの入口又は出口の長手方向の端部に前記シートの搬送方向に沿って設けられた突出部を備え、
前記突出部は、
最大サイズのシートが接触する第1突出部と、
前記第1突出部と間隔を空けて前記第1突出部よりも外側に設けられ、前記最大サイズのシートが斜行している場合にのみ前記シートが接触する第2突出部と、を備え、
前記接点部材は、前記第2突出部に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
シートにトナー像を形成する作像装置と、
前記シートに前記トナー像を定着させる定着装置と、
高圧電源基板と、
前記作像装置と前記定着装置と前記高圧電源基板とを収容する本体ハウジングと、
前記定着装置に対向するように前記本体ハウジングに設けられた扉と、を備え、
前記定着装置は、
回転可能な定着部材と、
前記定着部材との間に前記シートを挟持する加圧ローラーと、
前記高圧電源基板から電圧を印加され、前記定着部材に電荷を付与する電荷付与装置と、
前記定着部材と前記加圧ローラーと前記電荷付与装置とを収容する定着ハウジングと、
前記扉を開けることでアクセス可能な箇所に設けられ、前記高圧電源基板側の給電線と前記電荷付与装置側の給電線とが接続される接点部材と、を備え
、
前記定着ハウジングは、前記シートの入口又は出口の長手方向の端部に前記シートの搬送方向に沿って設けられた突出部を備え、
前記突出部は、
最大サイズのシートが接触する第1突出部と、
前記第1突出部と間隔を空けて前記第1突出部よりも外側に設けられ、前記最大サイズのシートが斜行している場合にのみ前記シートが接触する第2突出部と、を備え、
前記接点部材は、前記第2突出部の表面の前記シートが対向しない部分に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、シートにトナーを定着させる定着装置を備えている。定着装置は、筒状の定着部材(ベルト又はローラー)と、定着部材との間にシートを挟持する加圧ローラーと、定着部材を加熱するヒーターと、を備える。定着装置においては、定着部材の摩擦帯電や剥離帯電によりシートから定着部材にトナーが転移する静電オフセットが発生する場合がある。そこで、静電オフセットを抑制するために、帯電と逆極性の電荷を定着部材に付与する電荷付与装置が設けられる(例えば、特許文献1乃至4)。電荷付与装置は、定着部材に対向する針状電極からコロナ放電することで定着部材を除電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-194499号公報
【文献】特開2017-219790号公報
【文献】特開2018-4670号公報
【文献】特開2018-10163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、工場での組立完了後に製品の検査が行われるが、その際、高圧電源基板から電荷付与装置への電圧の出力確認も行われる。ところが、電荷付与装置は定着装置の内部に設けられているため、直接的に出力確認を行うには、従来は、画像形成装置から定着装置を取り外す必要があった。定着装置を取り外さずに出力確認を行う手段としては、正常に電荷が付与されない場合に静電オフセットが発生するように作成された画像データを用いて画像形成させ、静電オフセットが発生しないことを確認することで間接的な出力確認を行うことが考えられる。しかし、静電オフセットが発生するまでには、定着処理を長時間連続する必要があり、非効率的である。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、画像形成装置から定着装置を取り外さなくても直接的に電荷付与装置への電圧の出力確認を行うことのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、シートにトナー像を形成する作像装置と、前記シートに前記トナー像を定着させる定着装置と、高圧電源基板と、前記作像装置と前記定着装置と前記高圧電源基板とを収容する本体ハウジングと、前記定着装置に対向するように前記本体ハウジングに設けられた扉と、を備え、前記定着装置は、回転可能な定着部材と、前記定着部材との間に前記シートを挟持する加圧ローラーと、前記高圧電源基板から電圧を印加され、前記定着部材に電荷を付与する電荷付与装置と、前記定着部材と前記加圧ローラーと前記電荷付与装置とを収容する定着ハウジングと、前記扉を開けることでアクセス可能な箇所に設けられ、前記高圧電源基板側の給電線と前記電荷付与装置側の給電線とが接続される接点部材と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る画像形成装置において、前記定着ハウジングは、前記シートの入口又は出口の長手方向の端部に前記シートの搬送方向に沿って設けられた突出部を備え、前記接点部材は、前記突出部に設けられていてもよい。
【0008】
本発明に係る画像形成装置において、前記接点部材は、前記突出部の表面の前記シートが対向しない部分に設けられていてもよい。
【0009】
本発明に係る画像形成装置において、前記突出部は、最大サイズのシートが接触する第1突出部と、前記第1突出部と間隔を空けて前記第1突出部よりも外側に設けられ、前記最大サイズのシートが斜行している場合にのみ前記シートが接触する第2突出部と、を備え、前記接点部材は、前記第2突出部に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成装置から定着装置を取り外さなくても直接的に電荷付与装置への電圧の出力確認を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る複合機の外観(本体ハウジングの扉が閉じられた様子)を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る複合機の内部構成を模式的に示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る本体ハウジングの扉が開けられた様子を示す斜視図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係る定着装置の外観を示す斜視図である。
【
図4B】本発明の一実施形態に係る定着装置の内部構成を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る定着装置の断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る高圧電源基板と電荷付与装置との配線を模式的に示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る定着装置の突出部の斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る定着装置の突出部の斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る定着装置の突出部の平面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る高圧電源基板から電荷付与装置への電圧の出力確認を行う様子を示す平面図である。
【
図11】本発明の一実施形態の変形例に係る定着装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る複合機100について説明する。複合機100は、プリンター1(画像形成装置の一例)と画像読取装置91と原稿送り装置92を備える。プリンター1は、作像装置6と定着装置7を備える。
【0013】
最初に、プリンター1の全体の構成について説明する。
図1は、複合機100の外観(本体ハウジング3の扉3Aが閉じられた様子)を示す斜視図である。
図2は、複合機100の内部構成を模式的に示す正面図である。以下、
図2における紙面手前側を複合機100の正面側(前側)とし、左右の向きは複合機100を正面から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0014】
プリンター1は、直方体状の本体ハウジング3を備える。本体ハウジング3の下部には、シートSが収容される給紙カセット4と、給紙カセット4からシートSを送り出す給紙ローラー5が設けられている。給紙カセット4の上方には、電子写真方式にてトナー像を形成する作像装置6と、トナー像をシートSに定着させる定着装置7が設けられている。本体ハウジング3の上部には、トナー像が定着されたシートSを排出する排出ローラー対8と、排出されたシートSが積載される排出トレイ9が設けられている。
【0015】
作像装置6は、光の照射により電位が変化する感光体ドラム11、放電により感光体ドラム11を帯電させる帯電装置12、画像データに応じたレーザー光を出射する露光装置13、感光体ドラム11にトナーを供給する現像装置14、転写バイアスを発生する転写ローラー15及び感光体ドラム11に残留したトナーを除去するクリーニング装置16を備える。現像装置14には、現像装置14にトナーを供給するトナーコンテナ20が接続されている。
【0016】
本体ハウジング3の内部には、給紙ローラー5から作像装置6、定着装置7を経て排出ローラー対8に至る搬送路10が設けられている。搬送路10には、シートSを搬送する複数の搬送ローラー対17が設けられている。作像装置6よりも搬送方向Y上流側には、レジストローラー対18が設けられている。
【0017】
プリンター1の各部は、制御部2によって制御される。制御部2は、プロセッサーとメモリーとを備える。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。メモリーは、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の記憶媒体を含む。プロセッサーは、メモリーに記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで各種処理を実施する。なお、制御部2は、ソフトウェアを用いない集積回路によって実現されてもよい。
【0018】
次に、プリンター1の画像形成動作の概要について説明する。外部のコンピューター等からプリンター1に印刷ジョブが入力されると、給紙ローラー5が給紙カセット4から搬送路10にシートSを送り出し、回転が停止されたレジストローラー対18がシートSの斜行を補正し、レジストローラー対18が所定のタイミングで作像装置6にシートSを送り出す。作像装置6においては、帯電装置12が感光体ドラム11を所定の電位に帯電させ、露光装置13が感光体ドラム11に潜像を書き込み、現像装置14がトナーコンテナ20から供給されたトナーを用いて潜像を現像することでトナー像を形成し、転写ローラー15がトナー像をシートSに転写する。続いて、定着装置7がシートSを挟持して搬送しながらトナー像を溶融させることでトナー像をシートSに定着させ、排出ローラー対8が排出トレイ9にシートSを排出する。クリーニング装置16は、感光体ドラム11に残留したトナーを除去する。
【0019】
[定着装置]
次に、定着装置7の構成について詳細に説明する。
図3は、本体ハウジング3の扉3Aが開けられた様子を示す斜視図である。
図4Aは、定着装置7の外観を示す斜視図である。
図4Bは、定着装置7の内部構成を示す斜視図である。
図5は、定着装置7の断面図である。
図6は、高圧電源基板51と電荷付与装置41との配線を模式的に示す図である。
図7、8は、定着装置7の突出部36の斜視図である。
図9は、定着装置7の突出部36の平面図である。
【0020】
プリンター1は、シートSにトナー像を形成する作像装置6と、シートSにトナー像を定着させる定着装置7と、高圧電源基板51と、作像装置6と定着装置7と高圧電源基板51とを収容する本体ハウジング3と、定着装置7に対向するように本体ハウジング3に設けられた扉3Aと、を備え、定着装置7は、回転可能な定着部材21と、定着部材21との間にシートSを挟持する加圧ローラー27と、高圧電源基板51から電圧を印加され、定着部材21に電荷を付与する電荷付与装置41と、定着部材21と加圧ローラー27と電荷付与装置41とを収容する定着ハウジング30と、扉3Aを開けることでアクセス可能な箇所に設けられ、高圧電源基板51側の給電線52と電荷付与装置41側の給電線42とが接続される接点部材43と、を備える。具体的には、以下のとおりである。
【0021】
[本体ハウジング、扉]
図2、3に示されるように、本体ハウジング3の右側面には、下端部に設けられたヒンジを中心として開閉可能な扉3Aが設けられている。扉3Aの下部は、手差しトレイ3Bを兼ねており、扉3Aが閉められた状態で、下端部に設けられたヒンジを中心として開閉可能である。搬送路10に詰まったシートSの除去や、定着装置7のメンテナンス等を行う場合に、扉3Aが開けられる。定着装置7は、扉3Aの内面に対向する位置に設けられており、扉3Aが開けられると、定着装置7の右側部と上部が露出される。
【0022】
[定着部材]
定着部材21は、前後方向を長手方向とする円筒形のローラー部材であり、アルミニウム合金やステンレス鋼等の薄肉管が用いられている。その外周面には、フッ素樹脂等で形成された離形層(図示省略)が設けられている。
【0023】
[加圧ローラー]
加圧ローラー27は、前後方向を長手方向とする円柱形又は円筒形の芯金27Cと、芯金27Cの外周面に形成された弾性層27Eと、弾性層27Eの外周面に形成された離形層(図示省略)と、を有する。芯金27Cは、アルミニウム合金やステンレス鋼等の金属で形成されている。弾性層27Eは、シリコーンゴム等で形成されている。離型層は、フッ素樹脂等で形成されている。芯金27Cの左右の両端部には、軸受(図示省略)が装着されている。軸受は、上下方向に移動可能な機構(図示省略)に支持されている。加圧ローラー27は、軸受を介してばね等の付勢部材(図示省略)によって上方に付勢されることで定着部材21に押し当てられ、定着部材21と加圧ローラー27とが面接触する加圧領域Nを形成する。駆動部29は、モーターやギア列を備え、加圧ローラー27を回転させる。定着部材21は、加圧ローラー27に追従して回転する。
【0024】
[加熱部]
加熱部23は、前後方向を長手方向とする棒状のハロゲンヒーターであり、ガラス管と、ガラス管に収容されたフィラメントと、を備え、定着部材21の内部に配置される。
【0025】
[電荷付与装置]
電荷付与装置41は、電極針41Eと、回路部41Cと、を備える。電極針41Eは、前後方向を長手方向とする基部を備え、基部から上方に突出する多数の針状突起が前後方向に並んでいる。回路部41Cから数千Vの電圧が電極針41Eに印加されることで、電極針41Eの先端にコロナ放電が発生する。
【0026】
[定着ハウジング]
定着ハウジング30は、前後方向を長手方向とする全体として直方体状の箱であり、その内部に定着部材21と加圧ローラー27と電荷付与装置41が収容される。定着ハウジング30の底板部には、シートSの入口31が設けられている。定着ハウジング30の天板部には、シートSの出口32が形成されている。加圧領域Nよりも搬送方向Y下流側には、ブレード33が設けられている。ブレード33の先端部が定着部材21に接触することで、定着部材21に付着したシートSが定着部材21から剥離される。ブレード33よりも搬送方向Y下流側には、シートSを上方に案内する案内板34が設けられている。案内板34の上部は、出口32から外部に露出されている。案内板34の上部の2箇所に切欠が設けられており、切欠を通じて左右方向に対向する搬送ローラー対35が設けられている。
【0027】
図4A、4Bに示されるように、定着ハウジング30は、シートSの出口32の長手方向の端部にシートSの搬送方向Yに沿って設けられた突出部36を備えている。具体的には、
図5に示されるように、搬送路10は、入口31から加圧領域N、ブレード33、案内板34、出口32を経て左上方の排出ローラー対8に至る。出口32の前後方向(長手方向)の端部には、搬送されるシートSの画像形成面に対して突出した板状の形状を有する突出部36が設けられている。
図7乃至9では後側の突出部36が図示されているが、前側の突出部36も、前後が反対である以外は、同様の形状を有している。突出部36は、最大サイズのシートSが接触する第1突出部361と、第1突出部361と間隔を空けて第1突出部361よりも外側に設けられ、最大サイズのシートSが斜行している場合にのみシートSが接触する第2突出部362と、を備える。第1突出部361、第2突出部362は、出口32から左上方へ向かって滑らかに湾曲した案内面36Gを備え、案内面36GがシートSの画像形成面に接触することで、シートSを搬送方向Yに案内する。
【0028】
[接点部材]
接点部材43は、第2突出部362の表面のシートSが対向しない部分に設けられている。
図7乃至9に示されるように、接点部材43は、第2突出部362の左側から後側の側面36Sに回り込むように設けられている。
図6に示されるように、接点部材43には、高圧電源基板51側の給電線52と、電荷付与装置41側の給電線42と、が接続される。給電線42は、出口32及び定着ハウジング30の内面を経て電荷付与装置41に配線されている。接点部材43は、給電線52が接続される端子43Tを備える(
図8参照)。
【0029】
図10は、高圧電源基板51から電荷付与装置41への電圧の出力確認を行う様子を示す平面図である。出力確認は、複合機100の組立完了後に、扉3Aを開けて行われる(
図3参照)。作業者が扉3Aを開けると、定着装置7の上面と右側面が露出され、突出部36にアクセス可能となる。作業者が第2突出部362にワニ口クリップCを装着すると、ワニ口クリップCが接点部材43に接触する。ワニ口クリップCは、回路計に接続されている(図示省略)。作業者は、プリンター1に電源を投入し、試験用の画像形成ジョブを入力する。高圧電源基板51から電荷付与装置41に所定値の電圧が出力されている場合には、回路計に所定値が表示される。
【0030】
以上説明した本実施形態に係るプリンター1によれば、扉3Aを開けることでアクセス可能な箇所に設けられ、高圧電源基板51側の給電線52と電荷付与装置41側の給電線42とが接続される接点部材43を備えるから、プリンター1から定着装置7を取り外さなくても直接的に電荷付与装置41への電圧の出力確認を行うことができる。
【0031】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、定着ハウジング30は、シートSの出口32の長手方向の端部にシートSの搬送方向Yに沿って設けられた突出部36を備え、接点部材43は、突出部36に設けられているから、突出部36をワニ口クリップCで挟むことで出力確認を行うことができ、作業が容易である。
【0032】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、接点部材43は、突出部36の表面のシートSが対向しない部分に設けられているから、接点部材43の損傷を防ぐことができる。また、接点部材43がシートSの搬送の抵抗にならない。
【0033】
また、本実施形態に係るプリンター1によれば、突出部36は、最大サイズのシートSが接触する第1突出部361と、第1突出部361と間隔を空けて第1突出部361よりも外側に設けられ、最大サイズのシートSが斜行している場合にのみシートSが接触する第2突出部362と、を備え、接点部材43は、第2突出部362に設けられている。従来は、第1突出部361と第2突出部362とが連続した1つの突出部36として形成されていたため、ワニ口クリップCで挟みにくく、挟んだとしてもワニ口クリップCの開口角度が大きくなるため、ワニ口クリップCを接点部材43に接触させにくかった。これに対して、本実施形態では、第1突出部361と間隔を空けて第2突出部362が形成されており、従来の突出部36よりも第2突出部362の厚みが小さいため、ワニ口クリップCで挟みやすく、ワニ口クリップCを接点部材43に接触させることが容易である。また、従来の突出部36を2分割した形状であるため、設計変更が少なくて済む。
【0034】
上記実施形態が以下のように変形されてもよい。
【0035】
上記実施形態では、突出部36が第1突出部361と第2突出部362とを備える例が示されたが、突出部36が第2突出部362を備えず、接点部材43が第1突出部361に設けられていてもよい
【0036】
上記実施形態では、接点部材43が、シートSの出口32の長手方向の端部にシートSの搬送方向Yに沿って設けられた突出部36に設けられている例が示されたが、これ以外の箇所に設けられた突出部36に接点部材43が設けられていてもよい。
図11は、本変形例に係る定着装置7Aの断面図である。この例では、定着装置7AのシートSの入口31が右側に、出口32が左側に設けられている。この場合、扉3Aを開けることでアクセス可能な箇所は入口31の近辺であるため、入口31の長手方向の端部に突出部36が設けられている。この構成によっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0037】
あるいは、シートSの出口32や入口31以外に、扉3Aを開けることでアクセス可能な突出した箇所がある場合には、その箇所に接点部材43が設けられていてもよい。
【0038】
上記実施形態の構成に加えて、出力確認後に接点部材43を覆い隠すカバーが設けられてもよい。この構成によれば、ユーザーが誤って接点部材43に触れることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0039】
1 プリンター(画像形成装置)
3 本体ハウジング
3A 扉
6 作像装置
7 定着装置
21 定着部材
27 加圧ローラー
30 定着ハウジング
31 入口
32 出口
36 突出部
361 第1突出部
362 第2突出部
41 電荷付与装置
42 給電線
43 接点部材
51 高圧電源基板
52 給電線