(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ランプユニット
(51)【国際特許分類】
F21S 43/20 20180101AFI20240827BHJP
B62J 6/026 20200101ALI20240827BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240827BHJP
F21S 43/15 20180101ALI20240827BHJP
F21V 5/02 20060101ALI20240827BHJP
F21V 5/08 20060101ALI20240827BHJP
F21V 13/02 20060101ALI20240827BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20240827BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20240827BHJP
F21Y 113/10 20160101ALN20240827BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240827BHJP
F21W 105/00 20180101ALN20240827BHJP
【FI】
F21S43/20
B62J6/026
F21S43/14
F21S43/15
F21V5/02
F21V5/08
F21V13/02 400
F21W103:20
F21W103:10
F21Y113:10
F21Y115:10
F21W105:00
(21)【出願番号】P 2020177972
(22)【出願日】2020-10-23
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】柴山 拓也
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/157354(WO,A1)
【文献】特開2011-025820(JP,A)
【文献】実開平05-023306(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/20
B62J 6/026
F21S 43/14
F21S 43/15
F21V 5/02
F21V 5/08
F21V 13/02
F21W 103/20
F21W 103/10
F21Y 113/10
F21Y 115/10
F21W 105/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットケースの開口をアウターレンズで覆ったランプユニットであって、
前記アウターレンズの内側に設けられた第1のインナーレンズと、
前記アウターレンズの内側に設けられた第2のインナーレンズと、
前記アウターレンズの内側に設けられた第3のインナーレンズと、
前記第1のインナーレンズの入射面に対向する第1の光源と、
前記第2のインナーレンズの入射面に対向する第2の光源と、
前記第3のインナーレンズの入射面に対向する第3の光源と、を備え、
前記第1のインナーレンズの一方側に前記第2のインナーレンズが隣接し、前記第1のインナーレンズの内側の空間と前記第2のインナーレンズの内側の空間が連
なり、
前記第1のインナーレンズの他方側に前記第3のインナーレンズが隣接し、前記第1のインナーレンズの内側の空間と前記第3のインナーレンズの内側の空間が連なり、
前記第1の光源の照射範囲に前記第2のインナーレンズの入射面の少なくとも一部が含まれ
、前記第2の光源の照射範囲に前記第1のインナーレンズの入射面の少なくとも一部が含まれ、前記第3の光源の照射範囲に前記第1のインナーレンズの入射面の少なくとも一部が含まれることを特徴とするランプユニット。
【請求項2】
前記第2の光源の照射範囲に前記第1のインナーレンズの入射面の少なくとも一部が含まれることを特徴とする請求項1に記載のランプユニット。
【請求項3】
前記第1の光源がターンシグナルランプの光源として機能し、
前記第2の光源がポジションランプの光源として機能することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のランプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ランプユニットとして、ユニットケースの開口を覆うアウターレンズの内側に複数のランプを収容したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のランプユニットには、複数のランプとしてターンシグナルランプとポジションランプが設けられている。ターンシグナルランプとポジションランプが隣り合わせに設置されており、各ランプのインナーレンズによってアウターレンズの内側が更に仕切られている。各インナーレンズの内側にはそれぞれ光源が設置されており、各光源からの照射光がそれぞれインナーレンズ及びアウターレンズを通じて外部に放射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のランプユニットに小型のランプを用いると、各ランプからの照射光の照射範囲が狭くなって十分な視認性が得られない。このため、各ランプの視認性を向上させるためには大型のランプを用意しなければならず、ランプユニットが大型化するという問題があった。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、コンパクト化を図りつつ、十分な視認性を得ることができるランプユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のランプユニットは、ユニットケースの開口をアウターレンズで覆ったランプユニットであって、前記アウターレンズの内側に設けられた第1のインナーレンズと、前記アウターレンズの内側に設けられた第2のインナーレンズと、前記アウターレンズの内側に設けられた第3のインナーレンズと、前記第1のインナーレンズの入射面に対向する第1の光源と、前記第2のインナーレンズの入射面に対向する第2の光源と、前記第3のインナーレンズの入射面に対向する第3の光源と、を備え、前記第1のインナーレンズの一方側に前記第2のインナーレンズが隣接し、前記第1のインナーレンズの内側の空間と前記第2のインナーレンズの内側の空間が連なり、前記第1のインナーレンズの他方側に前記第3のインナーレンズが隣接し、前記第1のインナーレンズの内側の空間と前記第3のインナーレンズの内側の空間が連なり、前記第1の光源の照射範囲に前記第2のインナーレンズの入射面の少なくとも一部が含まれ、前記第2の光源の照射範囲に前記第1のインナーレンズの入射面の少なくとも一部が含まれ、前記第3の光源の照射範囲に前記第1のインナーレンズの入射面の少なくとも一部が含まれることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様のランプユニットによれば、第1の光源からの照射光が第1のインナーレンズの入射面に入射される。また、第1の光源からの照射光が第2のインナーレンズの内側の空間を通じて、第2の光源に対向する第2のインナーレンズの入射面にも入射される。第1の光源によって第1、第2のインナーレンズが内側から照らされるため、第1の光源が小型であっても十分な視認性を得ることができる。また、第1のインナーレンズを小型化しても、第2のインナーレンズで視認性が確保され、ランプユニットをコンパクトに形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】比較例のランプユニットの照射状態を示す図である。
【
図6】本実施例のランプユニットからアウターレンズを外した平面図である。
【
図7】本実施例のランプユニットの照射状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様のランプユニットは、ユニットケースの開口をアウターレンズで覆っている。アウターレンズの内側には第1、第2のインナーレンズが設けられ、第1のインナーレンズの入射面には第1の光源が対向し、第2のインナーレンズの入射面には第2の光源が対向している。第1のインナーレンズの内側の空間と第2のインナーレンズの内側の空間が連なり、第1の光源の照射範囲に前記第2のインナーレンズの入射面の少なくとも一部が含まれている。第1の光源からの照射光が第1のインナーレンズの入射面に入射され、第1の光源からの照射光が第2のインナーレンズの内側の空間を通じて、第2の光源に対向する第2のインナーレンズの入射面にも入射される。第1の光源によって第1、第2のインナーレンズが内側から照らされるため、第1の光源が小型であっても十分な視認性が確保される。第1のインナーレンズを小型化しても、第2のインナーレンズで視認性が確保され、ランプユニットをコンパクトに形成することができる。
【実施例】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本実施例について詳細に説明する。
図1は、本実施例の鞍乗型車両の左側面図である。また、以下の図では、矢印FRは車両前方、矢印REは車両後方、矢印Lは車両左方、矢印Rは車両右方をそれぞれ示している。
【0011】
図1に示すように、鞍乗型車両1は、アルミ鋳造によって形成されるツインスパー型の車体フレーム10に、エンジン16や電装系等の各種部品を搭載して構成されている。車体フレーム10はヘッドパイプ(不図示)から左右に分岐して後方に延びる一対のメインフレーム11と、ヘッドパイプから左右に分岐して下方に延びる一対のダウンフレーム(不図示)とを有している。一対のメインフレーム11によってエンジン16の後部が支持され、一対のダウンフレームによってエンジン16の前部が支持されている。エンジン16が車体フレーム10に支持されることで、車両全体の剛性が確保されている。
【0012】
メインフレーム11の前側部分はエンジン16の上方に位置するタンクレール12になっており、タンクレール12によって燃料タンク17が支持されている。メインフレーム11の後側部分はエンジン16の後方に位置するボディフレーム13になっており、ボディフレーム13の上下方向の略中間位置にスイングアーム18が揺動可能に支持されている。ボディフレーム13の上部からは、シートレール(不図示)とバックステーが後方に向かって延びている。シートレール上には、燃料タンク17の後方においてライダーシート21及びピリオンシート22が支持されている。
【0013】
ヘッドパイプには、ステアリングシャフト(不図示)を介して一対のフロントフォーク23が操舵可能に支持されている。フロントフォーク23の下部には前輪25が回転可能に支持されており、前輪25の上部はフロントフェンダ26に覆われている。スイングアーム18はボディフレーム13から後方に向かって延びている。スイングアーム18の後端には後輪28が回転可能に支持され、後輪28の上方はリアフェンダ29に覆われている。後輪28にはチェーンドライブ式の変速機構を介してエンジン16が連結されており、変速機構を介してエンジン16からの動力が後輪28に伝達されている。
【0014】
鞍乗型車両1は車体外装としての各種カバーに覆われている。例えば、車両前部の前面側はフロントカウル31によって覆われており、車両前部の側面側は一対のサイドカウル32によって覆われている。フロントカウル31の上部にはスクリーン33が設けられ、フロントカウル31の前面からはヘッドランプ34が露出されている。ヘッドランプ34を挟んだ左右両側には、ターンシグナルランプとポジションランプとして機能する一対のランプユニット40が設けられている。これらの車体外装やランプによって走行風から受ける空気抵抗を減らす流線形が形成されている。
【0015】
図2の模式図に示すように、比較例のランプユニット60では、アウターレンズ61の内側にターンシグナルランプ62とポジションランプ65が隣り合わせに設置されている。ターンシグナルランプ62のインナーレンズ63とポジションランプ65のインナーレンズ66によってアウターレンズ61の内側がランプ毎に仕切られている。ターンシグナルランプ62の光源64からの照射光によってインナーレンズ63を通じてアウターレンズ61が内側から照らされ、ポジションランプ65の光源67からの照射光によってインナーレンズ66を通じてアウターレンズ61が内側から照らされる。
【0016】
比較例のランプユニット60に大型のランプを用いることで、ランプユニット60の発光領域が広がって視認性が向上されるが、大型のランプによってランプユニット60が大型化する。一方で、ランプユニット60に小型のランプを用いることで、ランプユニット60が小型化するが、ランプユニット60の発光領域が狭まって視認性が低下する。そこで、本実施例のランプユニット40では、ターンシグナルランプ用の光源とポジションランプ用の光源のうち、一方の光源の照射範囲に他方の光源のインナーレンズが含まれることで、ランプユニット40の視認性の向上とコンパクト化が両立されている。
【0017】
以下、
図3から
図6を参照して、鞍乗型車両のランプユニットについて説明する。
図3は、本実施例の車両前部の前面図である。
図4は、本実施例のランプユニットの斜視図である。
図5は、本実施例のランプユニットの断面図である。
図6は、本実施例のランプユニットからアウターレンズを外した平面図である。
【0018】
図3に示すように、フロントカウル31の上部には防風用のスクリーン33が設けられ、フロントカウル31の左縁及び右縁にはフロントフォーク23の側方を覆う一対のサイドカウル32が設けられている。フロントカウル31は、スクリーン33の基端側を覆うと共に、中央のヘッドランプ34の周囲を覆うように形成されている。フロントカウル31と一対のサイドカウル32の間には一対のランプユニット40が設けられると共に一対の開口36が形成されている。ランプユニット40は、前面視で車幅方向内側から車幅方向外側に向かって斜め上方に細長く延びており、側面視(
図1参照)で車両前方から車両後方に向かって斜め上方に延びている。
【0019】
図4に示すように、ランプユニット40はユニットケース41の開口にアウターレンズカバー42が装着されている。ユニットケース41の下部からはコード44が延出しており、コード44の先端にコネクタ45が設けられている。アウターレンズカバー42はドーム状に膨出しており、アウターレンズカバー42の内側にはインナーレンズカバー51(
図5参照)と複数の光源57a-57d(
図5参照)が設けられている。アウターレンズカバー42の上面がアウターレンズ43になっており、ランプユニット40はアウターレンズ43を露出させた状態でフロントカウル31(
図1参照)に覆われている。
【0020】
図5及び
図6に示すように、ユニットケース41の底壁が段状に形成されており、底壁の車幅方向内側の前段が第1のベース部46になり、底壁の車幅方向外側の後段が第2のベース部47になっている。第1のベース部46には複数のボスを介して第1の回路基板48が固定されており、第2のベース部47には複数のボスを介して第2の回路基板49が固定されている。第1、第2の回路基板48、49の表面が前方に向けられ、第1の回路基板48は第2の回路基板49よりも前方に位置付けられている。第1の回路基板48の表面には光源57a、57bが実装され、第2の回路基板49の表面には光源57c、57bが実装されている。
【0021】
第1の回路基板48の光源(第1の光源)57a及び第2の回路基板49の光源57cはターンシグナルランプの光源として機能しており、本実施例では光源57a、57cにアンバー色LED(Light Emitting Diode)が用いられている。第1の回路基板48の光源(第2の光源)57b及び第2の回路基板49の光源(第3の光源)57dはポジションランプの光源として機能しており、本実施例では光源57b、57dに白色LEDが用いられている。光源57a、57cと光源57b、57dの発光が切り替えられることで、ランプユニット40が2種類のランプとして機能している。
【0022】
ユニットケース41には、インナーレンズカバー51が取り付けられている。インナーレンズカバー51には、第1の回路基板48を覆うようにインナーレンズ52a、52bが形成され、第2の回路基板49を覆うようにインナーレンズ52c、52dが形成されている。第1の回路基板48の表面上の光源57aにインナーレンズ52aの入射面53aが対向し、第1の回路基板48の表面上の光源57bにインナーレンズ52bの入射面53bが対向している。第2の回路基板49の表面上の光源57cにインナーレンズ52cの入射面53cが対向し、第2の回路基板49の表面上の光源57dにインナーレンズ52dの入射面53dが対向している。
【0023】
インナーレンズ(第1のインナーレンズ)52a及びインナーレンズ(第2のインナーレンズ)52bは車幅方向内側から車幅方向外側に向かって第1の回路基板48に近づくように傾斜している。光源57aの照射範囲よりもインナーレンズ52aが小さく形成され、光源57bの照射範囲よりもインナーレンズ52bが小さく形成されている。インナーレンズ52aでは、ターンシグナルランプの光度条件を満たすように入射面53aが凹凸状に形成されている。インナーレンズ52bでは、ポジションランプの光度条件を満たすように出射面54bが凹凸状に形成されている。
【0024】
インナーレンズ52c及びインナーレンズ(第3のインナーレンズ)52dは車幅方向内側から車幅方向外側に向かって第2の回路基板49に近づくように傾斜している。光源57cの照射範囲よりもインナーレンズ52cが小さく形成され、光源57dの照射範囲よりもインナーレンズ52dが小さく形成されている。インナーレンズ52cでは、ターンシグナルランプの光度条件を満たすように入射面53cが凹凸状に形成されている。インナーレンズ52dでは、ポジションランプの光度条件を満たすように出射面54dが凹凸状に形成されている。
【0025】
インナーレンズ52a-52dは車幅方向内側から車幅方向外側かつ後方に向かって傾斜して連なっている(
図5参照)。インナーレンズ52aの内側の空間とインナーレンズ52bの内側の空間が連なり、インナーレンズ52cの内側の空間とインナーレンズ52dの内側の空間が連なり、インナーレンズ52aの内側の空間とインナーレンズ52dの内側の空間が連なっている。インナーレンズ52a-52dの内側の空間が連なって、長い1つの空間が形成されている。
【0026】
このように、ランプユニット40は、ユニットケース41の開口がアウターレンズ43で覆われ、このアウターレンズ43の内側にインナーレンズ52a-52dが設けられている。各インナーレンズ52a-52dの内側に光源57a-57dが設けられ、光源57a-57dの照射光によってインナーレンズ52a-52dを通じてアウターレンズ43が内側から照らされる。光源57a、57cのアンバー色の照射光にアウターレンズ43が照らされてランプユニット40がターンシグナルランプとして機能し、光源57b、57dの白色の照射光にアウターレンズ43が照らされてランプユニット40がポジションランプとして機能する。
【0027】
光源57aの照射範囲Ra(
図7(A)参照)には、インナーレンズ52aの入射面53aに加えて、インナーレンズ52bの入射面53b、インナーレンズ52dの入射面53dの一部が含まれている。光源57cの照射範囲Rc(
図7(A)参照)には、インナーレンズ52cの入射面53cに加えて、インナーレンズ52dの入射面53dが含まれている。光源57bの照射範囲Rb(
図7(B)参照)には、インナーレンズ52bの入射面53bに加えて、インナーレンズ52aの入射面53aとインナーレンズ52dの入射面53dの一部が含まれている。光源57dの照射範囲Rd(
図7(B)参照)には、インナーレンズ52dの入射面53dに加えて、インナーレンズ52aの入射面53a、インナーレンズ52bの入射面53bの一部、インナーレンズ52cの入射面53cの一部が含まれている。
【0028】
光源57a-57dに小型のLEDを用いた場合であっても、光源57a-57dの照射範囲Ra-Rdが広く確保されて視認性が向上されている。なお、光源57a-57dの照射範囲Ra-Rdがインナーレンズ52a-52dの入射面53a-53dよりも広い場合でも、ターンシグナルランプの光度条件及びポジションランプの光度条件が満たされる。
【0029】
図7を参照して、ランプユニットの照射状態について説明する。
図7は、本実施例のランプユニットの照射状態を示す図である。
図7(A)はランプユニットがターンシグナルランプとして機能した照射状態の一例を示し、
図7(B)はランプユニットがポジションランプとして機能した照射状態の一例を示している。
【0030】
図7(A)に示すように、ランプユニット40がターンシグナルランプとして点灯する場合に、光源57a、57cが発光してアンバー色の照射光によってアウターレンズ43が内側から照らされる。光源57aの照射範囲Raにはインナーレンズ52aの入射面53aの全域、インナーレンズ52bの入射面53bの全域とインナーレンズ52dの入射面53dが部分的に含まれている。光源57aからの照射光は、インナーレンズ52aの入射面53aに入射され、インナーレンズ52bの内側の空間を通じてインナーレンズ52bの入射面53bに入射され、インナーレンズ52dの内側の空間を通じてインナーレンズ52dの入射面53dに入射される。
【0031】
光源57aからの照射光がインナーレンズ52a、52b、52dに入射されることで、ランプユニット40の発光領域が広がって視認性が向上されている。インナーレンズ52a全域、インナーレンズ52b全域、インナーレンズ52dの一部がそれぞれ光源57aに照らされている。
【0032】
光源57cの照射範囲Rcにはインナーレンズ52cの入射面53cとインナーレンズ52dの入射面53d全域が含まれている。光源57cからの照射光は、インナーレンズ52cの入射面53cに入射され、インナーレンズ52dの内側の空間を通じてインナーレンズ52dの入射面53dに入射される。光源57cからの照射光がインナーレンズ52c全域、52d全域に入射されることで、ランプユニット40の発光領域が広がって視認性が向上されている。
【0033】
図7(B)に示すように、ランプユニット40がポジションランプとして点灯する場合に、光源57b、57dが発光し白色の照射光によってアウターレンズ43が内側から照らされる。光源57bの照射範囲Rbにはインナーレンズ52bの入射面53bの全域、インナーレンズ52aの入射面53aの全域と、インナーレンズ52dの入射面53dが部分的に含まれている。光源57bからの照射光は、インナーレンズ52bの入射面53bに入射され、インナーレンズ52aの内側の空間を通じてインナーレンズ52aの入射面53aに入射され、インナーレンズ52a、52dの内側の空間を通じてインナーレンズ52dの入射面53dに入射される。
【0034】
光源57bからの照射光がインナーレンズ52a、52b、52dに入射されることで、ランプユニット40の発光領域が広がって視認性が向上されている。インナーレンズ52a全域、52b全域、インナーレンズ52dの一部がそれぞれ光源57bに照らされている。
【0035】
光源57dの照射範囲Rdにはインナーレンズ52dの入射面53dの全域、インナーレンズ52aの入射面53aの全域と、インナーレンズ52bの入射面53bが部分的に含まれ、インナーレンズ52cの入射面53cが部分的に含まれている。光源57dからの照射光は、インナーレンズ52dの入射面53dに入射され、インナーレンズ52aの内側の空間を通じてインナーレンズ52aの入射面53aに入射され、インナーレンズ52a、52bの内側の空間を通じてインナーレンズ52bの入射面53bに入射され、インナーレンズ52cの内側の空間を通じてインナーレンズ52cの入射面53cに入射される。
【0036】
光源57dからの照射光がインナーレンズ52a、52b、52c、52dに入射されることで、ランプユニット40の発光領域が広がって視認性が向上されている。インナーレンズ52a全域、52d全域とインナーレンズ52bの一部、52cの一部がそれぞれ光源57dに照らされている。
【0037】
以上、本実施例によれば、各光源57a-57dの照射光が複数のインナーレンズ52a-52dに入射されるため、各光源57a-57dがLED等の小型の光源であっても十分な視認性を得ることができる。また、個々のインナーレンズ52a-52dを小型化しても、隣り合うインナーレンズ52a-52dの互いの発光面の不足分を補い合って視認性が確保される。よって、ランプユニット40をコンパクトに形成することができる。また、ターンシグナルランプとポジションランプを組み合わせてランプユニット40にすることで、双方の機能を集約することができる。
【0038】
なお、本実施例では、第1の回路基板の車幅方向外側の光源がターンシグナルランプ用の光源、第1の回路基板の車幅方向内側の光源がポジションランプ用の光源としたが、ターンシグナルランプ用の光源とポジションランプ用の光源が逆に設置されてもよい。同様に、第2の回路基板の車幅方向外側の光源がターンシグナルランプ用の光源、第2の回路基板の車幅方向内側の光源がポジションランプ用の光源としたが、ターンシグナルランプ用の光源とポジションランプ用の光源が逆に設置されてもよい。
【0039】
また、本実施例では、ターンシグナルランプとポジションランプを組み合わせてランプユニットにしたが、他のランプを組み合わせてランプユニットにしてもよい。
【0040】
また、本実施例では、第1、第2の回路基板にそれぞれ2つずつ光源が設置されたが、全ての光源が単一の回路基板に設置されてもよいし、各光源が個別の回路基板に設置されてもよい。単一の回路基板に全ての光源を設置すれば、コストを低減することができる。個々の回路基板を用意すれば、ランプユニットをより均一に発光させることができる。
【0041】
また、本実施例では、インナーレンズカバーに複数のインナーレンズが形成され、ランプユニットがこのインナーレンズカバーを備える構成にしたが、ランプユニットは複数のインナーレンズを個別に備えてもよい。
【0042】
また、本実施例では、光源としてLEDを例示したが、光源はアウターレンズを内側から照明可能であれば、どのように構成されていてもよい。例えば、光源として有機EL、無機ELが用いられてもよい。
【0043】
また、本実施例では、隣り合う光源のうち、一方の光源の照射範囲に他方の光源に対向するインナーレンズが含まれ、他方の光源の照射範囲に一方の光源に対向するインナーレンズが含まれる構成にしたが、光源の照射範囲はこの構成に限定されない。例えば、隣り合う光源のうち、一方の光源の照射範囲に他方の光源に対向するインナーレンズが含まれるが、他方の光源の照射範囲には一方の光源に対向するインナーレンズが含まれなくてもよい。
【0044】
また、本実施例では、光源によってはその照射範囲に他の光源に対向するインナーレンズの照射面の全域が含まれる構成を有しているが、光源の照射範囲はこの構成に限定されない。例えば、一つの光源の照射範囲に他の光源に対向するインナーレンズの照射面の一部が含まれる構成でもよい。
【0045】
また、本実施例のランプユニットは、ツアラータイプの鞍乗型車両に限らず、他のタイプの鞍乗型車両に採用されてもよい。鞍乗型車両とは、ライダーがシートに跨った姿勢で乗車する車両全般に限定されず、ライダーがシートに跨らずに乗車するスクータタイプの車両も含んでいる。
【0046】
以上の通り、本実施例のランプユニット(40)は、ユニットケース(41)の開口をアウターレンズ(43)で覆ったランプユニットであって、アウターレンズの内側に設けられた第1のインナーレンズ(インナーレンズ52a)と、アウターレンズの内側に設けられた第2のインナーレンズ(インナーレンズ52b)と、第1のインナーレンズの入射面(53a)に対向する第1の光源(光源57a)と、第2のインナーレンズの入射面(53b)に対向する第2の光源(光源57b)と、を備え、第1のインナーレンズの内側の空間と第2のインナーレンズの内側の空間が連なっており、第1の光源の照射範囲(Ra)に第2のインナーレンズの入射面の少なくとも一部が含まれる。この構成によれば、第1の光源からの照射光が第1のインナーレンズの入射面に入射される。また、第1の光源からの照射光が第2のインナーレンズの内側の空間を通じて、第2の光源に対向する第2のインナーレンズの入射面にも入射される。第1の光源によって第1、第2のインナーレンズが内側から照らされるため、第1の光源が小型であっても十分な視認性を得ることができる。また、第1のインナーレンズを小型化しても第2のインナーレンズによって視認性が確保され、ランプユニットをコンパクトに形成することができる。
【0047】
また、本実施例のランプユニットにおいて、第2の光源の照射範囲(Rb)に第1のインナーレンズの入射面の少なくとも一部が含まれる。この構成によれば、第2の光源からの照射光が第2のインナーレンズの入射面に入射される。また、第2の光源からの照射光が第1のインナーレンズの内側の空間を通じて、第1の光源に対向する第1のインナーレンズの入射面にも入射される。第2の光源によって第1、第2のインナーレンズが内側から照らされるため、第2の光源が小型であっても十分な視認性を得ることができる。
【0048】
また、本実施例のランプユニットにおいて、第1の光源がターンシグナルランプの光源として機能し、第2の光源がポジションランプの光源として機能する。この構成によれば、ポジションランプは自車の存在を周囲に知らせるものであり、ターンシグナルランプと同様に車体の左右両側に設けられると効果的である。このため、ターンシグナルランプとポジションランプを組み合わせてランプユニットにすることで双方の機能を集約することができる。また、ターンシグナルランプ用のインナーレンズが小型であっても、ターンシグナルランプの視認性が確保される。
【0049】
また、本実施例のランプユニットにおいて、アウターレンズの内側に設けられた第3のインナーレンズ(インナーレンズ52c)と、第3のインナーレンズの入射面(53c)に対向する第3の光源(光源57c)と、を備え、第1のインナーレンズの一方側に第2のインナーレンズが隣接し、第1のインナーレンズの内側の空間と第2のインナーレンズの内側の空間が連なり、第1のインナーレンズの他方側に第3のインナーレンズが隣接し、第1のインナーレンズの内側の空間と第3のインナーレンズの内側の空間が連なり、第2の光源の照射範囲に第1のインナーレンズの入射面の少なくとも一部が含まれ、第3の光源の照射範囲(Rc)に第1のインナーレンズの入射面の少なくとも一部が含まれる。この構成によれば、第2の光源からの照射光が第2のインナーレンズの入射面に入射され、第3の光源からの照射光が第3のインナーレンズの入射面に入射される。また、第2、第3の光源からの照射光が、第1の光源に対向する第1のインナーレンズの入射面にも入射される。第1のインナーレンズが第2、第3の光源からの照射光を集めて視認性が向上される。
【0050】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0051】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0052】
40 :ランプユニット
41 :ユニットケース
43 :アウターレンズ
52a:インナーレンズ(第1のインナーレンズ)
52b:インナーレンズ(第2のインナーレンズ)
52d:インナーレンズ(第3のインナーレンズ)
53a:入射面(第1のインナーレンズの入射面)
53b:入射面(第2のインナーレンズの入射面)
53d:入射面(第3のインナーレンズの入射面)
57a:光源(第1の光源)
57b:光源(第2の光源)
57d:光源(第3の光源)
Ra :照射範囲(第1の光源の照射範囲)
Rb :照射範囲(第2の光源の照射範囲)
Rd :照射範囲(第3の光源の照射範囲)