(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】日焼け止め組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20240827BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20240827BHJP
A61K 8/27 20060101ALI20240827BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/29
A61K8/27
A61Q17/04
(21)【出願番号】P 2020178496
(22)【出願日】2020-10-25
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】長坂 祐理子
(72)【発明者】
【氏名】薛 茜
(72)【発明者】
【氏名】松藤 孝志
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-014709(JP,A)
【文献】特開2017-197434(JP,A)
【文献】特開2017-088835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)を0.01~0.5質量%、成分(B)を5~40質量%、成分(C)を0.1~10質量%含有することを特徴とする日焼け止め組成物。
成分(A):下記の式(I)で表される構成単位と下記の式(II)で表される構成単位とを含み、両構成単位のモル比(I/II)が90/10~30/70である(メタ)アクリル系共重合体
【化1】
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を表し、R
2は-(CH
2)n-を表し、nは1~4の整数である。*は他の構成単位との結合部位を表す。)
【化2】
(式中、R
3は水素原子又はメチル基を表し、L
1はフェニレン、シクロヘキシレン、-C(=O)-O-、-O-、-C(=O)-NH-、-O-C(=O)-、又は-O-C(=O)-O-を表し、L
2は炭素数10~22の直鎖又は分岐アルキル基を表す。*は他の構成単位との結合部位を表す。)
成分(B):紫外線散乱剤
成分(C):数平均分子量が100~3000である水添ポリイソブテン
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥肌でも十分に保湿でき、紫外線散乱剤による肌のきしみを軽減し、乾燥肌を自然な仕上がりにする日焼け止め組成物に関する
【背景技術】
【0002】
日焼け止め組成物は、紫外線によるダメージから肌を守る働きを持つ。紫外線を防ぐ成分には大きく分けて紫外線吸収剤と紫外線散乱剤があるが、紫外線散乱剤は、紫外線吸収剤に比べて肌への刺激が弱いイメージがあることから、特に敏感肌用やベビー用などの分野で多く使用されている。しかし、紫外線散乱剤は、使用時に、肌が乾燥する、きしむ、ムラになりやすい、メイクが粉浮きしやすいなどの課題がある。
【0003】
紫外線散乱剤による乾燥感を改善した例として、例えば特許文献1では、金属酸化物粒子、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー、保湿剤を組み合わせることで、保湿性を付与する皮膚外用剤が提案されている。しかし、この皮膚外用剤は、肌のきしみの面では不十分だった。
【0004】
また特許文献2では、N-アシルアミノ酸又はその塩で表面処理された微粒子酸化亜鉛、揮発性油分、トリメチルシロキシケイ酸を組み合わせることで、塗布後の肌のきしみや乾燥感を改善した日焼け止め化粧料が提供されている。しかし、この化粧料は、肌の自然な仕上がりの面では不十分だった。
【0005】
これに対して特許文献3では、酸化鉄被覆酸化チタン、架橋型オルガノポリシロキサン、球状シリコーン弾性粉体の組み合わせにより、毛穴やシミの目立ち、塗布時のすじムラを抑えることで自然な肌に仕上げる油中水型乳化化粧料が提案されている。しかし、この化粧料は、乾燥した肌でも自然に仕上げる効果については不十分だった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-74656号公報
【文献】特開2018-8910号公報
【文献】特開2019-26620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑み、乾燥肌でも十分に保湿でき、紫外線散乱剤による肌のきしみを軽減し、乾燥肌を自然な仕上がりにする日焼け止め組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、ウレタン結合とグリセロール骨格を含む側鎖を有する構成単位と側鎖の末端に長鎖アルキル鎖を有する構成単位とを特定の量比で含有する特定の(メタ)アクリル系共重合体、紫外線散乱剤、および特定の炭化水素を所定の配合量で組み合わせることにより、上記課題を解決できる日焼け止め組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、成分(A)を0.01~0.5質量%、成分(B)を5~40質量%、成分(C)を0.1~10質量%含有する日焼け止め組成物である。
【0010】
成分(A):下記の式(I)で表される構成単位と下記の式(II)で表される構成単位とを含み、両構成単位のモル比(I/II)が90/10~30/70である(メタ)アクリル系共重合体
【0011】
【0012】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2は-(CH2)n-を表し、nは1~4の整数である。*は他の構成単位との結合部位を表す。)
【0013】
【0014】
(式中、R3は水素原子又はメチル基を表し、L1はフェニレン、シクロヘキシレン、-C(=O)-O-、-O-、-C(=O)-NH-、-O-C(=O)-、又は-O-C(=O)-O-を表し、L2は炭素数10~22の直鎖又は分岐アルキル基を表す。*は他の構成単位との結合部位を表す。)
成分(B):紫外線散乱剤
成分(C):数平均分子量が100~3000である水添ポリイソブテン
【発明の効果】
【0015】
本発明の日焼け止め組成物によれば、乾燥肌でも十分に保湿でき、紫外線散乱剤による肌のきしみを軽減し、乾燥肌を自然な仕上がりにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を説明する。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」および「メタクリロイル」の両方を意味し、「(メタ)アクリル」は「アクリル」および「メタクリル」の両方を意味する。
また、本明細書において記号「~」を用いて規定された数値範囲は「~」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2~5」は2以上かつ5以下を表す。
【0017】
本発明の日焼け止め組成物は、成分(A)、成分(B)および成分(C)を少なくとも含有する。以下、各成分について説明する。
【0018】
〔成分(A)〕
本発明に用いられる(A)成分は、下記の式(I)で表される構成単位と下記の式(II)で表される構成単位とを含む(メタ)アクリル系共重合体である。
【0019】
【0020】
式(I)において、R1は水素原子又はメチル基を表し、当該共重合体の安定性の点からメチル基が好ましい。R2は-(CH2)n-を表し、nは1~4の整数である。すなわち、R2は、-(CH2)-、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-のいずれかであり、入手のし易さから-(CH2)2-が好ましい。
【0021】
式(I)の構成単位を形成する単量体の具体例としては、例えば、グリセロール-1-メタクリロイルオキシエチレンウレタン、グリセロール-1-メタクリロイルオキシプロピレンウレタン等が挙げられる。合成のし易さから、グリセロール-1-メタクリロイルオキシエチレンウレタンが好ましい。
【0022】
式(I)の構成単位を形成する単量体は公知の方法で合成することができる。例えば、特開2007-119374号公報等に記載の方法又はそれに準ずる方法によって合成することができる。具体的方法としては、例えば、環状ケタールと(メタ)アクリロイルオキシアルキレンイソシアネートとをウレタン化反応させて得られる化合物を、ウレタン化反応用触媒の存在下に、水含有溶媒中で加水開環反応させる方法等が挙げられる。
【0023】
【0024】
式(II)において、R3は水素原子又はメチル基を表し、当該共重合体の安定性の点から、メチル基が好ましい。L1はフェニレン、シクロヘキシレン、-C(=O)-O-、-O-、-C(=O)-NH-、-O-C(=O)-、又は-O-C(=O)-O-を表し、中でも、-O-が好ましい。L2は炭素数10~22、好ましくは15~20の直鎖又は分岐アルキル基を表し、例えば、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0025】
式(II)の構成単位を形成する単量体の具体例としては、例えば、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でも、オクタデシル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0026】
成分(A)における式(I)の構成単位と式(II)の構成単位のモル比(I/II)は90/10~30/70である。この範囲よりも式(I)の構成単位の割合が多いと、べたつきが強く、肌がきしみ易くなることがあり、式(II)の構成単位の割合が多いと、水への溶解性が低下して安定な組成物が得られ難くなることがある。以上の点から、当該モル比(I/II)は80/20~40/60が好ましく、より好ましくは70/30~50/50である。
【0027】
成分(A)の(メタ)アクリル系共重合体は、式(I)の構成単位及び式(II)の構成単位以外に、他の構成単位を含むことができる。そのような他の構成単位を形成する単量体としては、例えば、イソボルニルメタクリレート、メタクリル酸エチルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。成分(A)の(メタ)アクリル系共重合体が式(I)の構成単位及び式(II)の構成単位以外の他の構成単位を含む場合、共重合体における他の構成単位の含有量は、式(I)の構成単位と式(II)の構成単位の合計量に対して、10モル%以下であることが好ましい。
成分(A)の(メタ)アクリル系共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよいが、ランダム共重合体が好ましい。
【0028】
成分(A)の共重合体の重量平均分子量(Mw)は、肌を自然な仕上がりにする効果や配合し易さの点から、5千~50万であることが好ましく、より好ましくは1万~20万である。なお、(A)成分は取扱い易くするために、グリセリンや1,3-ブチレングリコール等の多価アルコールで希釈したものを用いることができる。
なお、共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリエチレングリコール換算)で測定される。GPC法による重量平均分子量は、0.5質量%の臭化リチウムを含むメタノール/クロロホルム混合溶媒(6/4(体積比))を用いて試料溶液を調製し、標準ポリエチレングリコールの検量線を用いて算出することができる。
【0029】
成分(A)は、式(I)の構成単位となる単量体及び式(II)の構成単位となる単量体を少なくとも含む単量体組成物を用いて、公知の方法により重合して調製することができる。例えば、上記の構成単位のモル比(I/II)を満たす単量体組成物を調製し、ラジカル重合開始剤の存在下、窒素等の不活性ガス雰囲気において溶液重合を行なうことにより調製することができる。
【0030】
また、成分(A)を調製する代わりに、市販の製品を用いることもできる。成分(A)の市販品としては、例えば、日油株式会社製「CERACUTE-L」等が挙げられる。
なお、この市販品(商品名「CERACUTE-L」)は(A)成分をグリセリン及び1,3-ブチレングリコールで希釈した製品であり、(A)成分としてグリセリル-N-(2-メタクリロイルオキシエチル)カルバメート・メタクリル酸ステアリル共重合体を含有する。この共重合体は、式(I)においてR1がメチル基、R2が-(CH2)2-を表し、式(II)においてL1が-O-、L2がオクタデシル基、R3がメチル基を表し、両構成単位のモル比(I/II)が60/40である。
【0031】
本発明の日焼け止め組成物における成分(A)の含有量は、組成物全量中、0.01~0.5質量%であり、好ましくは0.03~0.25質量%、さらに好ましくは0.05~0.15質量%である。成分(A)の含有量が少なすぎると、十分な保湿感や乾燥肌を自然な仕上がりにする効果が得られないことがあり、成分(A)の含有量が多すぎると、べたつきやきしみを感じ、かつ日焼け止め組成物の安定性が低下することがある。
【0032】
〔成分(B)〕
本発明に用いられる(B)成分は、紫外線散乱剤であり、紫外線を散乱又は遮蔽する目的で配合される。紫外線散乱剤としては、化粧品に一般的に使用されるものであれば問題なく使用できるが、酸化チタンや酸化亜鉛が好ましく、それらを微粒子化したものがより好ましい。また、脂肪酸やシリコーンなどで表面処理(被覆処理)した紫外線散乱剤を用いても良い。
【0033】
これらの紫外線散乱剤は、単体を入手して用いても良く、あるいは金属酸化物が油剤中に安定的に低次粒子化された市販品を用いても良い。金属酸化物を低次粒子化させる際に用いられる油剤としては、例えば、シリコーン油、エステル油、炭化水素油などが挙げられる。かかる市販品としては、株式会社KOBOディスパテック製の「IOPP60ZIAJ」、「IOPP50TIJ」、堺化学工業株式会社製の「DIF-3ST2」、「DIS-11A」などが挙げられる。
株式会社KOBOディスパテック製の「IOPP60ZIAJ」は酸化亜鉛、パルミチン酸エチルヘキシル、イソステアリン酸、ポリヒドロキシステアリン酸から成り、「IOPP50TIJ」は酸化チタン、パルミチン酸エチルヘキシル、水酸化アルミニウム、イソステアリン酸、ポリヒドロキシステアリン酸から成る。堺化学工業株式会社製の「DIF-3ST2」は酸化亜鉛、シクロペンタシロキサン、ハイドロゲンジメチコンから成り、「DIS-11A」は酸化チタン、シクロペンタシロキサン、含水シリカ、水酸化アルミニウム、ハイドロゲンジメチコンから成る。
(B)成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
本発明の日焼け止め組成物における成分(B)の含有量は、組成物全量中、5~40質量%であり、好ましくは10~30質量%、さらに好ましくは15~25質量%である。成分(B)の含有量が少なすぎると、日焼け止め組成物として十分な紫外線防御効果が得られないことがあり、成分(B)の含有量が多すぎると、肌のきしみや乾燥など、使用感に悪影響を与えることがある。
【0035】
〔成分(C)〕
本発明に用いられる(C)成分は、数平均分子量が100~3000である水添ポリイソブテンであり、通常、イソブテンとn-ブテンとの重合体を水素添加して得られる。水添ポリイソブテンの数平均分子量は、保湿感ときしみ軽減の観点から、200~2500が好ましく、1000~2000がさらに好ましく、1250~1750が特に好ましい。水添ポリイソブテンの数平均分子量(又は分子量)が低すぎると、保湿感が不十分となることがあり、数平均分子量(又は分子量)が高すぎると、肌がきしんだり、肌に均一に塗るのが難しくなり肌を自然に仕上げる効果が弱くなったりすることがある。
水添ポリイソブテンの数平均分子量(Mn)は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GFC)分析により算出することができる。
【0036】
水添ポリイソブテンの市販品としては、日油株式会社製の「パールリーム3」(数平均分子量:217)、「パールリーム4」(数平均分子量:272)、「パールリーム18」(数平均分子量:1122)「パールリーム24」(数平均分子量:1653)等が挙げられる。
(C)成分は、1種を単独で、又は数平均分子量の異なる2種以上の水添ポリイソブテンを組み合わせて用いることができる。
【0037】
本発明の日焼け止め組成物における成分(C)の含有量は、組成物全量中、0.1~10質量%であり、好ましくは0.3~4質量%、さらに好ましくは0.5~2質量%である。成分(C)の含有量が少なすぎると、保湿感、きしみの無さの面で不十分となることがあり、成分(C)の含有量が多すぎると、べたつきが生じたり、肌に均一に塗るのが難しくなり肌を自然に仕上げる効果が弱くなったりすることがある。
【0038】
〔他の成分〕
本発明の日焼け止め組成物は、上記成分(A)~(C)に加え、通常、水を含有する。水としては、例えば、精製水、水道水、工業用水、脱イオン水等が挙げられる。
本発明の日焼け止め組成物における水の含有量は、組成物全量中、通常、30~90質量%であり、好ましくは40~80質量%、さらに好ましくは45~75質量%、特に好ましくは50~70質量%である。
【0039】
本発明の日焼け止め組成物は、上記成分(A)~(C)及び水の合計含有量が、組成物全量中、35.11~100質量%であり、好ましくは40~95質量%、さらに好ましくは45~90質量%である。
【0040】
本発明の日焼け止め組成物は、上記成分(A)~(C)および水に加え、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、化粧料、医薬部外品、医薬品等に使用される添加剤を含有してもよい。
かかる添加剤としては、例えば界面活性剤が挙げられ、界面活性剤としてはノニオン界面活性剤が好ましく、例えばポリグリセリル型界面活性剤、ソルビタン型界面活性剤等が挙げられる。これら界面活性剤は、必要に応じて、1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
また、これらの中でもソルビタン型界面活性剤が好ましく、特にセスキイソステアリン酸ソルビタンは、乾燥肌を自然な仕上がりにする効果が得られ易い点で好ましい。市販品としては、日光ケミカルズ株式会社製の「NIKKOLSI-15RV」等が挙げられる。
本発明の日焼け止め組成物がセスキイソステアリン酸ソルビタンを含有する場合、その含有量は、組成物全量中、通常、0.01~4質量%であり、好ましくは0.1~3質量%、さらに好ましくは0.3~2質量%である。
【0041】
本発明の日焼け止め組成物は、日焼け止め化粧料として様々な用途に応じた形態で提供することができ、例えば、日焼け止め化粧水として顔や肌などの皮膚に適用することができる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
〔実施例1~5、比較例1~3〕
成分(A)、(B-1)、(B-2)、(C-1)、(C-2)、(A’)、表3に示す共通添加剤12種、精製水を用いて、表1及び表2に示す組成で日焼け止め化粧料を調製し、下記(1)~(3)の方法により評価を行った。表1及び表2に示される配合成分を下記に示す。
【0043】
成分(A):「Ceracute-L」(日油株式会社製)(有効成分:グリセリル-N-(2-メタクリロイルオキシエチル)カルバメート・メタクリル酸ステアリル共重合体)
成分(A’):「SOLTEX INO Polymer」(ダウ・ケミカル日本株式会社製)(有効成分:(アクリレーツ/リン酸メタクリロイルオキシエチル)コポリマー)
成分(B-1):「DIS-11A」(堺化学工業株式会社製)(有効成分:酸化チタン(34%)、その他成分:含水シリカ、水酸化アルミニウム、ハイドロゲンジメチコン、シクロペンタシロキサン)
成分(B-2):「DIF-3ST2」(堺化学工業株式会社製)(有効成分:酸化亜鉛(48%)、その他成分:ハイドロゲンジメチコン、シクロペンタシロキサン)
成分(C-1):「パールリーム4」(日油株式会社製)(有効成分:水添ポリイソブテン(数平均分子量:272))
成分(C-2):「パールリーム24」(日油株式会社製)(有効成分:水添ポリイソブテン(数平均分子量:1653))
共通添加剤12種:表1及び表2に記載された共通添加剤12種は、表3に示す12種の成分からなるものである。なお、表3及び以下において、PEGはポリエチレングリコールを表し、VPはビニルピロリドンを表し、BGは1,3-ブチレングリコールを表す。
なお、表1及び表2に記載された各成分の含有量は、有効成分の含有量である。
【0044】
〔評価方法〕
(1)保湿感、(2)肌のきしみの無さ、(3)乾燥肌の自然な仕上がりについて、下記判断基準にて4段階に評価した。
【0045】
(判断基準)
(1)保湿感
20名の女性(23~55才)をパネラーとし、顔に日焼け止め化粧料を塗布した後の肌の保湿感を評価した。
2点:保湿感を感じた。
1点:やや保湿感を感じた。
0点:保湿感を感じなかった。
【0046】
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が30点以上:保湿感がある日焼け止め化粧料である。
○:合計点が20点以上、30点未満:やや保湿感がある日焼け止め化粧料である。
△:合計点が10点以上、20点未満:保湿感が無い日焼け止め化粧料である。
×:合計点が10点未満:全く保湿感が無い日焼け止め化粧料である。
【0047】
(2)肌のきしみの無さ
20名の女性(23~55才)をパネラーとし、顔に日焼け止め化粧料を塗布した後の肌のきしみ具合を評価した。
2点:きしみが感じられなかった。
1点:わずかにきしみが感じられた。
0点:きしみを感じた。
【0048】
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が30点以上:肌がきしまない日焼け止め化粧料である。
○:合計点が20点以上、30点未満:あまり肌がきしまない日焼け止め化粧料である。
△:合計点が10点以上、20点未満:肌がきしむ日焼け止め化粧料である。
×:合計点が10点未満:かなり肌がきしむ日焼け止め化粧料である。
【0049】
(3)乾燥肌の自然な仕上がり
乾燥肌の20名の女性(23~55才)をパネラーとし、顔に日焼け止め化粧料を塗布した後の肌の仕上がりを評価した。
2点:乾燥した肌でも肌が自然な仕上がりになった。
1点:乾燥した肌でもわずかに肌が自然な仕上がりになった。
0点:変化がなかった、もしくは乾燥肌が自然な仕上がりにならなかった。
【0050】
20名の合計点を求め、以下のように判定した。
◎:合計点が30点以上:乾燥肌でも肌を自然な仕上がりにする効果が非常に高い。
○:合計点が20点以上、30点未満:乾燥肌でも肌を自然な仕上がりにする効果が高い。
△:合計点が10点以上、20点未満:乾燥肌を自然な仕上がりにする効果が低い。
×:合計点が10点未満:乾燥肌を自然な仕上がりにする効果が非常に低い。
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
実施例1~5については、いずれのサンプルにおいても、保湿感があり、肌のきしみが無く、乾燥肌でも肌を自然な仕上がりにすることができた。
一方、比較例1~3については、十分な効果は得られなかった。
すなわち、比較例1では、成分(A)が含まれていなかったため、保湿感、肌のきしみの無さ、乾燥肌の自然な仕上がりの面では十分とは言えなかった。
比較例2では、成分(A)とは異なる成分を使用したため、保湿感、乾燥肌の自然な仕上がりの面では十分とは言えなかった。
比較例3では、成分(C)が含まれていなかったため、肌のきしみの無さ、乾燥肌の自然な仕上がりの面では十分とは言えなかった。
【0055】
以下に、本発明に係る日焼け止め組成物の製剤例を例示する。
[製剤例1]日焼け止めミルク(質量%)
シクロペンタシロキサン:10
水添ポリイソブテン(数平均分子量:1653):1
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル:7
t-ブチルメトキシベンゾイルメタン:1
疎水化処理酸化チタン:5
疎水化処理酸化亜鉛:7
(VP/ヘキサデセン)コポリマー:3
CERACUTE-L:0.1
グリセリン:6
BG:0.6
ステアリン酸:2
PEG-10ジメチコン:4.5
オレイン酸グリセリル:0.5
硫酸マグネシウム:0.5
エチルヘキシルグリセリン:0.2
フェノキシエタノール:0.3
セスキイソステアリン酸ソルビタン:0.5
香料:適量
水:残量
【0056】
[製剤例2]日焼け止めジェル(質量%)
パルミチン酸エチルヘキシル:1.5
水添ポリイソブテン(数平均分子量:1653):1
オリーブ果実油:2
ジメチコン:3
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル:5.2
t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン:1.3
疎水化処理酸化チタン:5
疎水化処理酸化亜鉛:8
CERACUTE-L:0.1
ポリクオタニウム-51:0.01
ヒアルロン酸Na:0.01
グリセリン:12
PEG-32:2.5
BG:8
(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー:0.6
ペンチレングリコール:2.5
フェノキシエタノール:0.5
トコフェロール:0.01
エチドロン酸:0.01
セスキイソステアリン酸ソルビタン:0.5
ポリソルベート60:0.02
水酸化カリウム:0.12
香料:適量
水:残量
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の日焼け止め組成物は、顔や肌などの皮膚に適用することができ、従来の日焼け止め組成物では得られない特有の効果、具体的には、乾燥した肌でも十分な保湿感と肌のきしみの無さが得られる効果、及び乾燥肌でも自然な肌に仕上げる効果を併せて奏することができるため、広く日焼け止め組成物への応用が期待できる。