(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】海水循環システムの管理方法
(51)【国際特許分類】
F28G 13/00 20060101AFI20240827BHJP
E02B 9/04 20060101ALI20240827BHJP
F28B 9/06 20060101ALI20240827BHJP
F01K 13/00 20060101ALI20240827BHJP
G21D 1/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
F28G13/00 Z
E02B9/04 Z
F28B9/06
F01K13/00 E
G21D1/00 R
(21)【出願番号】P 2020180931
(22)【出願日】2020-10-28
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今岡 侑太
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-243698(JP,A)
【文献】特開平10-061411(JP,A)
【文献】特開2013-176735(JP,A)
【文献】特開平09-229592(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0294100(US,A1)
【文献】中国実用新案第206321128(CN,U)
【文献】特開平05-341090(JP,A)
【文献】特開平06-308285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28G 13/00
F28B 9/06
F01K 13/00
G21D 1/00
E02B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取水管と、
取水管から分岐し各冷却器に接続する供給管と、各前記冷却器から排出される海水を回収する排出管と、を有する複数の分岐管と、
各前記排出管と合流し、前記海水を放水する放水管と、
前記取水管に設けられ、前記取水管で取水した前記海水を各前記冷却器に供給する循環ポンプと、
を備え、
循環ポンプを停止する循環ポンプ停止工程と、
前記循環ポンプの点検と、少なくとも取水管及び供給管の清掃と、を実施する点検・清掃工程と、
前記冷却器をバイパスするバイパス配管を、少なくとも1つ以上の前記分岐管に取り付けるバイパス配管取付工程と、
前記循環ポンプの試運転を行う試運転工程と、
前記循環ポンプを停止し、前記バイパス配管を取り外すバイパス配管取り外し工程と、
前記循環ポンプを駆動し、各前記冷却器に前記海水を継続的に供給する通常運転工程と、
を含む
海水循環システムの管理方法。
【請求項2】
前記供給管には、弁が設けられ、
前記バイパス配管取付工程において、前記バイパス配管を取り付けない前記分岐管の弁を閉弁し、
前記バイパス配管取り外し工程において、前記弁を開弁する
請求項1に記載の海水循環システムの管理方法。
【請求項3】
前記冷却器は、
前記点検・清掃工程の実施時、駆動している第1淡水冷却器と、
前記点検・清掃工程の実施時、停止している第2淡水冷却器と、
を有し、
前記分岐管は、
前記第1淡水冷却器に海水を供給し、かつ回収する第1分岐管と、
前記第2淡水冷却器に海水を供給し、かつ回収する第2分岐管と、
を有し、
前記循環ポンプ停止工程において、前記第1分岐管の弁を閉弁し、かつ工業用水を供給する工業用水配管を前記第1淡水冷却器に接続する
請求項2に記載の海水循環システムの管理方法。
【請求項4】
前記通常運転工程の後、前記工業用水配管を取り外し、前記第1分岐管の前記弁を開弁する工業用水配管取り外し工程を含む
請求項3に記載の海水循環システムの管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水循環システムの管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所や工場では、冷却器の冷媒を冷却するため、海水が利用される。各冷却器に海水を供給する海水循環システムは、海水を取水する取水管と、取水管から各冷却器に海水を供給する分岐管と、分岐管から排出された海水を海に放水する放水管と、海水を循環させる循環ポンプと、を備える。また、海水循環システムにおいては、下記特許文献に示すように、定期的に循環ポンプ等の点検が実施される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
循環ポンプ等の点検時、取水管や分岐管の内壁に付着した汚泥や貝等の除去(清掃)が実施される。しかしながら、取水管等の内壁から汚泥や貝等を剥がすものの、その全てを外部に排出できず、取水管等の内部に残ってしまう場合がある。そして、循環ポンプ等の点検の終了後、冷却器よりも上流側に残った汚泥等は、海水に流されて冷却器に供給されると、冷却器の早期浸食の原因となる。
【0005】
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたもので、取水管等に残った汚泥等を冷却器に供給することなく排出できる海水循環システムの管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様に係る海水循環システムは、取水管と、取水管から分岐し各冷却器に接続する供給管と、各前記冷却器から排出される海水を回収する排出管と、を有する複数の分岐管と、各前記排出管と合流し、前記海水を放水する放水管と、前記取水管に設けられ、前記取水管で取水した前記海水を各前記冷却器に供給する循環ポンプと、を備える。海水循環システムの管理方法は、循環ポンプを停止する循環ポンプ停止工程と、前記循環ポンプの点検と、少なくとも取水管及び供給管の清掃と、を実施する点検・清掃工程と、前記冷却器をバイパスするバイパス配管を、少なくとも1つ以上の前記分岐管に取り付けるバイパス配管取付工程と、前記循環ポンプの試運転を行う試運転工程と、前記循環ポンプを停止し、前記バイパス配管を取り外すバイパス配管取り外し工程と、前記循環ポンプを駆動し、各前記冷却器に前記海水を継続的に供給する通常運転工程と、を含む。
【0007】
試運転工程で循環ポンプが正常に駆動するか否かの確認を行うため、取水管から海水が取水される。この結果、各分岐管に海水が供給され、取水管及び供給管に残った汚泥等が海水とともに移動する。つまり、汚泥等は、バイパス配管を通って排出管に流れ、放水管から海に放水される。以上から、通常運転工程時には、取水管等には汚泥等が残っておらず、冷却器に汚泥等が供給されない。また、循環ポンプの試運転を実施しつつ汚泥等が排出されるため、汚泥等を排出するための作業が不要となり、労力が削減する。
【0008】
また、一態様に係る海水循環システムの管理方法において、前記供給管には、弁が設けられている。前記バイパス配管取付工程において、前記バイパス配管を取り付けない前記分岐管の弁を閉弁する。前記バイパス配管取り外し工程において、前記弁を開弁する。
【0009】
これによれば、閉弁された弁の下流側にある冷却器に汚泥等が供給されない。つまり、海水循環システムの分岐管の全てにバイパス配管を取り付ける必要性がなく、労力が削減する。
【0010】
また、一態様に係る海水循環システムの管理方法において、前記冷却器は、前記点検・清掃工程の実施時、駆動している第1淡水冷却器と、前記点検・清掃工程の実施時、停止している第2淡水冷却器と、を有する。前記分岐管は、前記第1淡水冷却器に海水を供給し、かつ回収する第1分岐管と、前記第2淡水冷却器に海水を供給し、かつ回収する第2分岐管と、を有する。前記循環ポンプ停止工程において、前記第1分岐管の弁を閉弁し、かつ工業用水を供給する工業用水配管を前記第1淡水冷却器に接続する。
【0011】
上記構成によれば、第1分岐管の供給管の清掃は、弁よりも上流側に限定されるものの、駆動する第1淡水冷却器に冷却水(工業用水)を供給できる。また、閉弁しているため、試運転工程時、取水管等の汚泥が第1淡水冷却器に供給されない。
【0012】
また、一態様に係る海水循環システムの管理方法において、前記通常運転工程の後、前記工業用水配管を取り外し、前記第1分岐管の前記弁を開弁する工業用水配管取り外し工程を含む。
【0013】
第2淡水冷却器による通常運転を確認した後に、工業用水配管取り外し工程が実施される。よって、通常運転を開始し、仮に第2淡水冷却器による運転が正常に行われなかった場合、第1淡水冷却器で対応でき、安全性が高い。
【発明の効果】
【0014】
本開示の海水循環システムの管理方法によれば、取水管等に残った汚泥等が冷却器に供給されない。これにより、冷却器の早期浸食が回避される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態に係る海水循環システムの概略図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る海水循環システムにおいて、循環ポンプ停止工程及び点検・清掃工程を示す概略図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る海水循環システムにおいて、バイパス配管取付工程及び試運転工程を示す概略図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る海水循環システムにおいて、バイパス配管取り外し工程及び通常運転工程を示す概略図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る海水循環システムにおいて、工業用水配管取り外し工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0017】
図1は、実施形態に係る海水循環システムの概略図である。最初に、
図1を参照しながら、実施形態に係る海水循環システム100について説明する。また、実施形態においては、海水循環システム100が火力発電所の各設備(冷却器)に用いられる例を挙げて説明する。
【0018】
海水循環システム100は、臨海地に設けられた取水口(不図示)から海水を取水し、冷却器に冷却水(海水)を供給する設備である。本実施形態の冷却器は、第1淡水冷却器101と、第2淡水冷却器102と、油冷却器103と、復水冷却器104との4つである。第1淡水冷却器101と第2淡水冷却器102は、火力発電における補器類を冷却するための冷却器である。油冷却器103は、蒸気タービンの軸受の軸受油を冷却するための冷却器である。復水冷却器104は、復水器の冷媒を冷却するための冷却器である。
【0019】
海水循環システム100は、取水管1と、循環ポンプ2と、放水管3と、4つの分岐管(第1分岐管10、第2分岐管20、第3分岐管30、第4分岐管40)と、を備える。取水管1は、取水口(不図示)から海水を取水するための配管である。循環ポンプ2は、取水管1から海水を取水し、各冷却器に海水を循環させるためのポンプである。放水管3は、海水を海に放出するための配管である。分岐管は、冷却器の数に対応して4つ設けられている。次に各分岐管について説明する。
【0020】
第1分岐管10は、取水管1と第1淡水冷却器101の流入口とを接続する第1供給管11と、第1淡水冷却器101の排出口と放水管3とを接続する第1排出管12と、第1供給管11に設けられた開閉式の第1上流側弁13と、第1排出管12に設けられた開閉式の第1下流側弁14と、を備える。
【0021】
第2分岐管20は、取水管1と第2淡水冷却器102の流入口とを接続する第2供給管21と、第2淡水冷却器102の排出口と放水管3とを接続する第2排出管22と、第2供給管21に設けられた開閉式の第2上流側弁23と、第2排出管22に設けられた開閉式の第2下流側弁24と、を備える。
【0022】
第3分岐管30は、取水管1と油冷却器103の流入口とを接続する第3供給管31と、油冷却器103の排出口と放水管3とを接続する第3排出管32と、第3供給管31に設けられた開閉式の第3上流側弁33と、第3上流側弁33をバイパスする配管35と、配管35に設けられたポンプ36と、配管35に設けられた第1弁37及び第2弁38と、を備える。
【0023】
第4分岐管40は、取水管1と復水冷却器104の流入口とを接続する第4供給管41と、復水冷却器104の排出口と放水管3とを接続する第4排出管42と、第4供給管41に設けられた開閉式の第4上流側弁43と、第4排出管42に設けられた開閉式の第4下流側弁44と、を備える。
【0024】
海水循環システム100の通常運転時、循環ポンプ2が駆動している。また、第1分岐管10に関し、第1上流側弁13と第1下流側弁14とが開弁している。第2分岐管20に関し、第2上流側弁23と第2下流側弁24とが開弁している。第3分岐管30に関し、第3上流側弁33が開弁している。第1弁37及び第2弁38の両方又は一方が閉弁している(
図1では第1弁37及び第2弁38の両方が閉弁している場合を図示)。第4分岐管40に関し、第4上流側弁43と第4下流側弁44とが開弁している。これにより、
図1の矢印で示すように、取水管1から海水が取水され、第1淡水冷却器101、第2淡水冷却器102、油冷却器103、及び復水冷却器104に海水が供給される。そして、第1淡水冷却器101、第2淡水冷却器102、油冷却器103、及び復水冷却器104から排出された海水は、放水管3から海へ排出される。また、油冷却器103に供給する海水量を増加させたい場合、第3上流側弁33が閉弁し、第1弁37及び第2弁38が開弁する。さらに、ポンプ36が駆動することで、油冷却器103への供給量が増加する。
【0025】
次に、海水循環システム100の管理方法について説明する。海水循環システム100の管理方法は、火力発電所の各設備の点検に伴い、海水循環システム100の各設備の点検等を行う管理方法である。海水循環システム100の管理方法は、循環ポンプ停止工程S1と、点検・清掃工程S2と、バイパス配管取付工程S3と、試運転工程S4と、バイパス配管取り外し工程S5と、通常運転工程S6と、工業用水配管取り外し工程S7と、を含む。以下、各工程を説明する。
【0026】
図2は、実施形態に係る海水循環システムにおいて、循環ポンプ停止工程及び点検・清掃工程を示す概略図である。
図2に示すように、循環ポンプ停止工程S1は、循環ポンプ2の駆動を停止する。これにより、各冷却器への海水の供給が停止し、配管の内部に海水がない状態となる。
【0027】
また、循環ポンプ停止工程S1は、第1分岐管10の弁(第1上流側弁13)の閉弁を行う。そして、工業用水配管50を第1淡水冷却器101の流入口に接続する。工業用水配管50は、工業用水を供給する配管である。これにより、
図2の矢印で示すように、第1淡水冷却器101には、引き続き冷却水が供給される。そして、第1淡水冷却器101から排出された工業用水は、第1排出管12と放水管3とを介して海に排出される。これによれば、火力発電所の点検時、火力発電所の主な設備は停止しているものの、駆動している一部の設備の冷却を第1淡水冷却器101によって行うことができる。
【0028】
点検・清掃工程S2は、点検作業と清掃作業とを実施する。点検作業の対象設備は、循環ポンプ2と、第2淡水冷却器102と、油冷却器103と、復水冷却器104とである。清掃作業の対象は、取水管1と、第2分岐管20と、第3分岐管30と、第4分岐管40と、である。また、第1供給管11は、第1上流側弁13よりも上流側を清掃する。清掃は、各配管の内壁の汚泥や貝等などの付着物を除去する作業である。なお、本開示の海水循環システムの管理方法において、清掃は、配管全てを行った場合に限定されず、少なくとも取水管及び供給管を行った場合に適用される。つまり、少なくとも取水管及び供給管を清掃すれば、これらの配管に残った汚泥等が冷却器に供給される可能性があるからである。よって、放水管3のみ清掃した場合は、本開示の海水循環システムの管理方法の対象外となる。
【0029】
図3は、実施形態に係る海水循環システムにおいて、バイパス配管取付工程及び試運転工程を示す概略図である。バイパス配管取付工程S3は、各分岐管に冷却器をバイパスするバイパス配管51、52を取り付ける。なお、本実施形態では、第2分岐管20と第4分岐管40とにバイパス配管51、52を取り付ける。
【0030】
詳細に説明すると、第2供給管21と第2淡水冷却器102の流入口との接続を切り離す。また、第2淡水冷却器102の排出口と第2排出管22との接続を切り離す。そして、バイパス配管51の一方を第2供給管21と接続し、バイパス配管51の他方を第2排出管と接続する。第4分岐管においても、同じように、第4供給管41と復水冷却器104の流入口との接続を切り離す。復水冷却器104の排出口と第4排出管42との接続を切り離す。そして、バイパス配管52の一方を第4供給管41と接続し、バイパス配管52の他方を第4排出管42と接続する。
【0031】
また、バイパス配管取付工程S3において、バイパス配管51、52を取り付けない分岐管がある場合、冷却器よりも上流側の弁を閉じる。本実施形態では、第3分岐管30にバイパス配管51、52を取り付けないため、第3上流側弁33を閉じる。
【0032】
試運転工程S4は、通常運転を行う前に、点検した循環ポンプ2が正常に駆動するか否かを確認する。よって、当該工程によれば、循環ポンプ2の駆動により、
図3の矢印で示すように、取水管1から海水が取水される。この結果、第2分岐管20と第4分岐管40に海水が供給され、一方で、第1分岐管10及び第3分岐管30に海水が供給されない。そして、循環ポンプ2の正常な運転が確認出来たら、循環ポンプ2を停止し、試運転工程S4を終了する。また、循環ポンプ2の停止により各分岐管から海水が抜ける。
【0033】
図4は、実施形態に係る海水循環システムにおいて、バイパス配管取り外し工程及び通常運転工程を示す概略図である。バイパス配管取り外し工程S5は、
図4に示すように、バイパス配管51、52を取り外す工程である。そして、第2供給管21と第2淡水冷却器102の流入口とを接続する。また、第2淡水冷却器102の排出口と第2排出管22とを接続する。第4分岐管においても、同じように、第4供給管41と復水冷却器104の流入口とを接続する。また、復水冷却器104の排出口と第4排出管42とを接続する。
【0034】
また、バイパス配管取り外し工程S5において、バイパス配管51、52を設けなかった第3分岐管30については、第3上流側弁33を開弁する。
【0035】
通常運転工程S6は、循環ポンプ2を駆動し、海水循環システム100の通常運転させる。これにより、
図4に示すように、取水管1から海水が取水され、第2分岐管20、第3分岐管30、及び第4分岐管40に海水が供給される。そして、第2淡水冷却器102の正常な運転を確認した後、次工程に移行する。
【0036】
図5は、実施形態に係る海水循環システムにおいて、工業用水配管取り外し工程を示す概略図である。工業用水配管取り外し工程S7は、第1分岐管10から工業用水配管50を取り外す工程である。詳細には、工業用水配管50と第1淡水冷却器101との接続を切り離す。さらに、第1上流側弁13を開弁する。これにより、
図5の矢印で示すように、第1淡水冷却器101に海水が供給され、第1淡水冷却器101は海水を利用して冷却する。
【0037】
以上、実施形態による海水循環システム100の管理方法によれば、点検・清掃工程S2において、各冷却器よりも上流側の配管(例えば取水管1など)に残った汚泥、貝等は、試運転工程S4の海水供給により流される。また、海水により流された汚泥、貝等は、第2分岐管20及び第4分岐管40では、バイパス配管51、52を通過して第2排出管22又は第4排出管42に流れる。よって、第2淡水冷却器102や復水冷却器104に汚泥、貝等が供給されない。つまり、第2淡水冷却器102や復水冷却器104の早期浸食が回避される。また、循環ポンプ2の試運転により汚泥等が排出されるため、汚泥等を排出するための作業が不要となり、労力が削減する。
【0038】
また、第1分岐管10と第3分岐管30に関し、弁(第1上流側弁13、第3上流側弁33)の閉弁により、冷却器(第1淡水冷却器101、油冷却器103)に汚泥等が供給されない。よって、海水循環システム100の分岐管の全てにバイパス配管51、52を取り付ける必要性がなく、労力が削減する。
【0039】
また、第1淡水冷却器101は、工業用水配管50から工業用水が供給されているため、第1淡水冷却器101による冷却を継続することができる。
【0040】
また、第2淡水冷却器102による通常運転を確認した後、工業用水配管取り外し工程S7を実施しているため、仮に第2淡水冷却器による運転が正常に行われなかった場合、第1淡水冷却器101で冷却することができ、安全性が高い。
【0041】
以上、実施形態について説明したが、本開示の海水循環システム100の管理方法はこれに限定されない。実施形態においてバイパス配管は2つ用いているが、本開示においてバイパス配管は、複数の分岐管のうち少なくとも1つ取り付ければよく、分岐管の全てにバイパス配管を取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0042】
100 海水循環システム
101 第1淡水冷却器(冷却器)
102 第2淡水冷却器(冷却器)
103 油冷却器(冷却器)
104 復水冷却器(冷却器)
1 取水管
2 循環ポンプ
3 放水管
10 第1分岐管(分岐管)
11 第1供給管(供給管)
12 第1排出管(排出管)
13 第1上流側弁(弁)
14 第1下流側弁
20 第2分岐管(分岐管)
21 第2供給管(供給管)
22 第2排出管(排出管)
23 第2上流側弁(弁)
24 第2下流側弁
30 第3分岐管(分岐管)
31 第3供給管(供給管)
32 第3排出管(排出管)
33 第3上流側弁(弁)
40 第4分岐管(分岐管)
41 第4供給管(供給管)
42 第4排出管(排出管)
43 第4上流側弁(弁)
44 第4下流側弁
50 工業用水配管
51、52 バイパス配管