(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ボイラ給水処理装置及びボイラ給水処理方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20240827BHJP
C02F 1/42 20230101ALI20240827BHJP
B01D 61/12 20060101ALI20240827BHJP
F22D 11/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
C02F1/44 A
C02F1/44 D
C02F1/42 A
C02F1/42 B
B01D61/12
F22D11/00 D
(21)【出願番号】P 2020181299
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】菊池 陽介
(72)【発明者】
【氏名】上笹 政仁
(72)【発明者】
【氏名】武内 誠
(72)【発明者】
【氏名】野上 康雄
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-239649(JP,A)
【文献】特開昭55-018258(JP,A)
【文献】特開2017-074550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/42、44
B01D61/00-71/82
F22D1/00-11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を逆浸透膜処理して透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜装置と、
前記原水を前記逆浸透膜装置により分離された透過水に混合する原水導入ラインと、
前記原水導入ラインに配置され、前記原水の流量を調節することにより硬度成分以外の不純物の濃度を適切な範囲に調整する流量調節弁と、
前記原水と前記透過水との混合水からイオン交換により硬度成分を除去
することにより硬度が1ppm以下のボイラ補給水を得る軟水化装置と、
を備える、ボイラ給水処理装置。
【請求項2】
前記逆浸透膜装置から流出する前記透過水と、前記原水導入ラインを通して供給される前記原水と、が導入される混合水タンクをさらに備える、請求項1に記載のボイラ給水処理装置。
【請求項3】
前記原水又は前記混合水の水質を検出する水質センサと、
前記水質センサの検出値に応じて前記混合水の水質を設定値に保つように前記流量調節弁の開度を制御する制御装置と、
をさらに備える、請求項
1又は2に記載のボイラ給水処理装置。
【請求項4】
前記原水又は前記混合水の水質を検出する水質センサと、
前記水質センサの検出値に応じて前記混合水の水質を設定値に保つように前記逆浸透膜装置の回収率を調節する制御装置と、
をさらに備える、請求項1に記載のボイラ給水処理装置。
【請求項5】
前記水質センサは、前記水質としてシリカ濃度又は電気伝導率を検出する、請求項
3又は4に記載のボイラ給水処理装置。
【請求項6】
原水を逆浸透膜処理して透過水と濃縮水とに分離する工程と、
前記原水を前記透過水に混合し
、前記透過水に混合する前記原水の流量を調節することにより硬度成分以外の不純物の濃度を適切な範囲に調整する工程と、
前記原水と前記透過水との混合水から、イオン交換により硬度成分を除去する
ことにより硬度が1ppm以下のボイラ補給水を得る工程と、
を備える、ボイラ給水処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラ給水処理装置及びボイラ給水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラの補給水としては、ボイラ内でのスケールの付着を防止するために、イオン交換を行う軟水化装置によって原水から硬度成分を除去した水が使用されている。軟水化装置は硬度成分以外の例えばシリカ等の非イオン性の不純物を除去することができないので、原水の硬度成分以外の不純物の含有量が多い場合、電気伝導率が大きくなってボイラのブロー量が増大する等の不都合が生じ得る。このため、原水から硬度成分以外の不純物を除去することが望まれる。そこで、逆浸透膜によって溶質を除去する逆浸透膜装置を軟水化装置と直列に配置した水処理装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
逆浸透膜装置の透過水の不純物濃度は、逆浸透膜装置に供給される被処理水の不純物濃度に比例し、任意に調整することが難しい。このため、逆浸透膜装置と軟水化装置とを直列に接続した水処理装置では、原水の不純物濃度が低い場合には、ボイラの補給水の不純物濃度を必要以上に低下させるおそれがある。一般的に、ボイラは、電気伝導率を指標としてボイラに補給された缶水の水質管理を行うなど、給水に一定量の不純物が含まれることを前提として設計されているため、補給水の不純物濃度が低すぎると、ボイラの運転が困難となり得る。不純物濃度が極めて低い純水をボイラの補給水として利用する場合、補給水にさらに薬品を添加したり、缶水の濃縮度合いを検出するために別途センサを使用したりする必要がある。かかる実情に鑑みて、本発明は、補給水の不純物濃度を適切に管理できるボイラ給水処理装置及びボイラ給水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係るボイラ給水処理装置は、原水を逆浸透膜処理して透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜装置と、前記原水を前記逆浸透膜装置により分離された透過水に混合する原水導入ラインと、前記原水と前記透過水との混合水から、イオン交換により硬度成分を除去する軟水化装置と、を備える。
【0006】
上述のボイラ給水処理装置は、前記逆浸透膜装置から流出する前記透過水と、前記原水導入ラインを通して供給される前記原水と、が導入される混合水タンクをさらに備えてもよい。
【0007】
上述のボイラ給水処理装置は、前記原水導入ラインに配置され、前記原水の流量を調節する流量調節弁をさらに備えてもよい。
【0008】
上述のボイラ給水処理装置は、前記原水又は前記混合水の水質を検出する水質センサと、前記水質センサの検出値に応じて前記混合水の水質を設定値に保つように前記流量調節弁の開度を制御する制御装置と、をさらに備えてもよい。
【0009】
上述のボイラ給水処理装置は、前記原水又は前記混合水の水質を検出する水質センサと、前記水質センサの検出値に応じて前記混合水の水質を設定値に保つように前記逆浸透膜装置の回収率を調節する制御装置と、さらに備えてもよい。
【0010】
上述のボイラ給水処理装置において、前記水質センサは、前記水質としてシリカ濃度又は電気伝導率を検出してもよい。
【0011】
本発明の一態様に係るボイラ給水処理方法は、原水を逆浸透膜処理して透過水と濃縮水とに分離する工程と、前記原水を前記透過水に混合する工程と、前記原水と前記透過水との混合水から、イオン交換により硬度成分を除去する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、補給水の不純物濃度を適切に管理できるボイラ給水処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るボイラ給水処理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るボイラ給水処理装置1の構成を示す図である。ボイラ給水処理装置1は、本発明に係るボイラ給水処理方法の一実施形態を実施する装置である。
【0015】
本実施形態のボイラ給水処理装置1は、原水を逆浸透膜処理して透過水と濃縮水とに分離する逆浸透膜装置2と、逆浸透膜装置2を通していない原水と逆浸透膜装置2から流出する透過水とを混合した混合水を貯留する混合水タンク3と、イオン交換により混合水から硬度成分を除去して軟水を得る軟水化装置4と、軟水化装置4から流出した軟水を貯留する軟水タンク5と、ボイラ給水処理装置1の動作を制御する制御装置6と、を備える。
【0016】
ボイラ給水処理装置1は、逆浸透膜装置2に原水を供給する原水供給ライン10と、逆浸透膜装置2により分離された透過水を混合水タンク3に案内する透過水案内ライン20と、逆浸透膜装置2から濃縮水を排出する濃縮水排出ライン30と、原水供給ライン10から分岐し、逆浸透膜装置2をバイパスして透過水案内ライン20に原水を導入することにより透過水に原水を混合する原水導入ライン40と、混合水タンク3から混合水を軟水化装置4に供給する混合水供給ライン50と、軟水化装置4から流出する軟水を軟水タンク5に案内する軟水案内ライン60と、軟水タンク5から軟水を不図示のボイラに供給する軟水供給ライン70と、をさらに備える。
【0017】
逆浸透膜装置2は、原水を、逆浸透膜を透過することにより不純物の濃度が低減された透過水と、逆浸透膜を透過せず、透過水から分離された不純物が加わることで不純物の濃度が増大した濃縮水と、に分離する。
【0018】
原水供給ライン10は、不図示の原水供給源から逆浸透膜装置2に原水を供給する。原水供給ライン10は、原水導入ライン40の分岐よりも下流側に、逆浸透膜装置2に供給される原水の流量を検出する供給流量センサ11を備えてもよい。また、原水供給ライン10には、図示しないが、必要に応じて、大きい懸濁物質を除去するためのプレフィルタ、逆浸透膜装置2の逆浸透膜を保護するための還元剤注入装置等の付帯装置が設けられてもよい。
【0019】
透過水案内ライン20は、透過水を案内して混合水タンク3に導入する。透過水案内ライン20には、後述する原水導入ライン40が接続され、透過水案内ライン20の内部で透過水に原水が混合される。透過水案内ライン20は、原水導入ライン40の接続部よりも下流側に配設され、透過水に原水を混合した後の混合水の水質を検出する水質センサ21を備える。
【0020】
水質センサ21は、逆浸透膜装置2によって調整可能な水質の指標となる値を検出する。水質センサ21の検出値に基づいて、制御装置6が水質センサ21の検出値を設定値に保つよう逆浸透膜装置2の運転条件を調整することにより、混合水の水質が一定に保たれる。これにより、ボイラ給水処理装置1は、軟水化装置4を安定して運転することができる。
【0021】
水質センサ21が検出する値の具体例としては、シリカ濃度、電気伝導率等が挙げられる。混合水のシリカ濃度を設定値に保つことによって、ボイラ給水処理装置1において最終的に得られる軟水、つまりボイラの補給水に一定の少量のシリカを残留させることができる。これにより、ボイラの水管の内面に適切な厚みのシリカの被膜を形成することで防蝕効果を得ることができる。また、原水の電気伝導率が高い場合には、混合水ひいてはボイラ補給水の電気伝導率を十分に低下させることで、ボイラの頻繁なブローを防止しつつ、電気伝導度が低下し過ぎることによりボイラにおいて高価な検出器の使用や薬品の添加が必要となることを防止できる。
【0022】
濃縮水排出ライン30は、逆浸透膜装置2によって分離された濃縮水を案内し、廃棄又は上流側に還流させる。濃縮水排出ライン30は、逆浸透膜装置2から流出する濃縮水の流量を検出する濃縮水流量センサ31と、濃縮水の流出量を調整する濃縮水流量調節弁32と、を備える。
【0023】
原水導入ライン40は、原水供給ライン10から原水の一部を取り出して透過水案内ライン20に導入する。これにより、透過水案内ライン20の中で、透過水と原水とを混合した混合水を生成し、混合水タンク3に混合水を導入する。
【0024】
原水導入ライン40は、透過水案内ライン20に導入する原水の流量を検出する導入流量センサ41と、透過水案内ライン20に導入する原水の流量を調節する原水流量調節弁42と、を備える。
【0025】
混合水タンク3は、逆浸透膜装置2と軟水化装置4とを独立して運転するためのバッファタンクである。つまり、ボイラ給水処理装置1は、混合水を貯留する混合水タンク3を備えるため、軟水化装置4の運転を止めることなく逆浸透膜装置2の逆浸透膜の洗浄を行うことができ、また、ボイラ給水処理装置1は、混合水タンク3を備えることで、軟水化装置4の停止又は再生運転中に逆浸透膜装置2を運転することもできる。
【0026】
また、混合水タンク3に一定量の混合水を貯留することにより、軟水化装置4に供給される混合水の水質を安定させられる。これにより、ボイラ給水処理装置1は、最終的に得られる軟水、つまりボイラ補給水の水質を向上することができる。
【0027】
混合水供給ライン50は、混合水タンク3から、混合水を軟水化装置4に供給する。このため、混合水供給ライン50は混合水を加圧して吐出する混合水ポンプ51を備える。
【0028】
軟水化装置4は、イオン交換体により、供給された混合水中に含まれる硬度成分のイオンをナトリウムイオンに置換することによって、硬度成分を除去した軟水を製造する。
【0029】
軟水案内ライン60は、軟水化装置4から流出する軟水を軟水タンク5に導入する。軟水案内ライン60は、軟水化装置4から流出する軟水の硬度を検出する硬度センサ61を備える。
【0030】
軟水タンク5は、軟水化装置4から流出する軟水を貯留し、必要に応じて不図示のボイラに補給水として供給可能とするためのバッファタンクである。
【0031】
軟水供給ライン70は、軟水タンク5から軟水をボイラに供給するための流路である。軟水供給ライン70には、一般的に、ボイラへ軟水を供給するための給水ポンプが設けられる。
【0032】
制御装置6は、PIDコントローラ、プログラマブルコントローラ等の産業用制御装置によって構成されてもよく、CPU、メモリ、入出力インターフェイス等を備える汎用コンピュータ装置に適切なプログラムを実行させることにより実現されてもよい。制御装置6は、少なくとも原水導入ライン40の原水流量調節弁42又は濃縮水排出ライン30の濃縮水流量調節弁32の開度を制御する。制御装置6は、原水流量調節弁42及び濃縮水流量調節弁32以外の構成要素を制御してもよく、ボイラ給水処理装置1以外の外部機器を制御する装置と一体に構成されてもよい。
【0033】
本実施形態のボイラ給水処理装置1において、制御装置6は、水質センサ21の検出値に応じて、混合水タンク3に導入される混合水の水質を設定値に保つように原水導入ライン40の原水流量調節弁42の開度を制御してもよい。これにより、混合水ひいてはボイラ給水処理装置1からボイラに供給される補給水の水質を一定に保つこと、つまり、特定の不純物の過剰な除去を防止することができる。具体的には、上述のように、シリカの過剰な除去を防止してボイラ補給水に適量のシリカを残留させることにより、ボイラの防蝕効果を得ることができ、ボイラ補給水の電気伝導率を低下させ過ぎないことにより、一般的なボイラにおいて適切なブロー制御が可能となる。
【0034】
また、例えば供給流量センサ11及び濃縮水流量センサ31の検出値に基づく原水の供給圧力制御等により逆浸透膜装置2から流出する透過水の流量が一定に保持される場合、制御装置6は、導入流量センサ41の検出値を目標値に保持するよう原水流量調節弁42の開度をフィードバック制御してもよい。原水の水質が一定である場合、逆浸透膜装置2から流出する透過水に一定の割合で原水導入ライン40から原水を混合するだけでも、混合水の水質を一定に保持することができる。原水の水質が変化し得る場合、水質センサ21の検出値を設定値に保持するよう、水質センサ21の検出値に基づいて前記流量制御の目標値をフィードバック制御するカスケード制御を行ってもよい。
【0035】
また、制御装置6は、導入流量センサ41の検出値を設定値に保持するよう原水流量調節弁42の開度をフィードバック制御し、且つ水質センサ21の検出値を一定の値に保持するよう逆浸透膜装置2の回収率を調節してもよい。逆浸透膜装置2の回収率は、逆浸透膜装置2に供給される原水の流量に対する透過水の水量の比率であり、導入流量センサ41及び濃縮水流量センサ31の検出値から算出できる。また、逆浸透膜装置2の回収率は、濃縮水流量調節弁32の開度によって調節することができる。このように、逆浸透膜装置2の回収率を調節することによっても、混合水の水質つまり逆浸透膜装置2で除去し得る不純物の含有量を適切な範囲に保持して、ボイラ補給水の品質を所望の範囲内に保持することができる。また、逆浸透膜装置2からの濃縮水の排出量を増大させても、原水の使用量が増大するだけであり、軟水化装置4の負荷を増大することはないので、コストの増加は十分に小さい。
【0036】
以上のように、本実施形態に係るボイラ給水処理装置1は、ボイラに補給水として供給するの軟水の全量を軟水化装置4によって処理するため、ボイラに供給する軟水の硬度を例えば1ppm以下の低いレベルに保持することができる。これにより、ボイラ給水処理装置1は、補給水中の硬度成分がボイラの水管等の内面にスケールを生じることを確実に防止できる。
【0037】
また、ボイラ給水処理装置1は、供給された水の一部を濃縮水として排出する必要がある逆浸透膜装置2を軟水化装置4の上流側に配置したことで、軟水化装置4によって軟水化した水の一部を系外に排出する必要がない。このため、ボイラ給水処理装置1は、逆浸透膜装置2が軟水化装置4の負荷を増大しないため、原水の利用率が高く、軟水化装置4の寿命を長くできる。特に、原水のシリカ濃度が高い場合、シリカによる逆浸透膜のファウリングを避けるために、逆浸透膜装置2の回収率がシリカ濃度によって制限される。シリカは軟水化装置4では除去できないため、先に原水を軟水化装置4で処理しても、逆浸透膜装置2の回収率を大きくすることができない。このため、原水を先に軟水化装置4で処理すると、その後の逆浸透膜装置2から排出される濃縮水の分だけ軟水化装置4の負荷を無駄に利用することになる。目安として、原水のシリカ濃度が50ppm以上である場合、逆浸透膜装置2を軟水化装置4の上流側に配置することが有利となる。
【0038】
また、ボイラ給水処理装置1は、逆浸透膜装置2により分離された透過水に逆浸透膜装置2をバイパスした原水混合する原水導入ライン40を備えるので、軟水化装置4に供給される混合水における硬度成分以外の所定の不純物の濃度を調整することができる。これにより、ボイラ給水処理装置1は、軟水化装置4から流出するボイラ補給水における硬度成分及びそれ以外の不純物の濃度を適切な範囲に調整することができる。特に、ボイラ給水に一定量のシリカを残留させることで、ボイラの水管の内面に防食性の皮膜を形成することができる。一方、シリカ濃度が高すぎると水管の内面に過剰な被膜、つまり熱交換の効率を低下させるスケールを生成する。このため、ボイラ給水処理装置1は、シリカによる適度な被膜を形成できる範囲内にボイラ給水のシリカ濃度を調節できるので、ボイラの効率化及び長寿命化に資する。
【0039】
ボイラ給水処理装置1は、原水導入ライン40に配置され、原水の流量を調節する原水流量調節弁42を備えるので、原水導入ライン40を介して供給する原水の流量を調節することによって、混合水の水質つまり硬度成分以外の不純物の含有量を任意に調節してボイラ補給水の品質を適切に設定できる。
【0040】
ボイラ給水処理装置1は、水質センサの検出値に応じて混合水の水質を設定値に保つように原水流量調節弁42又は濃縮水流量調節弁32の開度を制御する制御装置6を備えるため、原水の水質が変動してもボイラ補給水の品質を保持できる。
【0041】
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態に係るボイラ給水処理方法は、原水を逆浸透膜処理して透過水と濃縮水とに分離する工程と、原水を透過水に混合する工程と、原水と透過水との混合水から、イオン交換により硬度成分を除去する工程と、を備える。このため、本実施形態のボイラ給水処理方法は、ボイラ補給水における硬度成分及びそれ以外の不純物の濃度を適切な範囲に調整することができる。
【0042】
以上、本発明のボイラ給水処理装置の好ましい各実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。例として、上述の実施形態に係るボイラ給水処理装置1では、水質センサ21によって検出される混合水の水質を設定値に保つための制御装置6による複数の制御方法に対応できるよう構成されているが、選択した制御方法において利用されない構成要素は省略されてもよい。
【0043】
本発明に係るボイラ給水処理装置は、混合水の水質を自動的に調節するものに限られない。原水の水質は地域によって差はあるものの、同一の場所において取得される原水の水質が短時間で大きく変化することは極めて稀である。このため、本発明に係るボイラ給水処理装置は、原水導入ラインの原水流量調節弁を手動弁等の流量調整手段に置き換えたものであってもよい。
【0044】
本発明に係るボイラ給水処理装置は、原水供給ライン又は原水導入ラインに水質センサが設けられ、検出した原水の水質と逆浸透膜装置の運転条件とに基づいて推測される混合水の水質を設定値に保つように構成されてもよい。
【0045】
本発明に係るボイラ給水処理装置は、逆浸透膜装置に洗浄液を供給して逆浸透膜を洗浄する洗浄ライン、軟水化装置に再生液を供給してイオン交換体を再生する再生ライン等を備えてもよい。
【0046】
本発明に係るボイラ給水処理装置において、水質センサは、混合水の水質を直接検出するものに限られず、原水の水質を検出するものであってもよい。水質センサが原水の水質を検出するものであっても、逆浸透膜の運転条件、原水導入ラインの流量等の情報が得られれば、原水の水質から混合水の水質を推定することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 ボイラ給水処理装置
2 逆浸透膜装置
3 混合水タンク
4 軟水化装置
5 軟水タンク
6 制御装置
10 原水供給ライン
11 供給流量センサ
20 透過水案内ライン
21 水質センサ
30 濃縮水排出ライン
31 濃縮水流量センサ
32 濃縮水流量調節弁
40 原水導入ライン
41 導入流量センサ
42 原水流量調節弁
50 混合水供給ライン
51 混合水ポンプ
60 軟水案内ライン
61 硬度センサ
70 軟水供給ライン