(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】投写装置および投写システム
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240827BHJP
G03B 21/16 20060101ALI20240827BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240827BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G03B21/14 E
G03B21/16
H04N5/74 Z
H05K7/20 H
(21)【出願番号】P 2020198130
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】大月 伸行
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-076734(JP,A)
【文献】特開2016-071037(JP,A)
【文献】特開2013-044963(JP,A)
【文献】特開2011-002610(JP,A)
【文献】特開2010-160232(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0256525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00-21/10
21/12-21/30
21/56-21/64
33/00-33/16
H04N 5/66-5/74
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源ユニットと、
画像形成ユニットと、
投写光学ユニットと、
互いに対向する第1面と第2面と、前記第1面と前記第2面に交差し互いに対向する第
3面と第4面と、前記第1面と前記第2面と前記第3面と前記第4面に交差し互いに対向
する第5面と第6面と、を有し、前記光源ユニット、前記画像形成ユニット、および前記
投写光学ユニットを収容する筐体と、
を備え、
前記第1面と前記第2面の鉛直方向を前記筐体の高さ方向、
前記第3面と
前記第4面と
の直交方向を筐体の幅方向、
前記第5面と
前記第6面との直交方向を筐体の長さ方向と定
義し、
前記筐体の長さ方向の長さは、前記筐体の幅方向よりも長く、
前記投写光学ユニットからの画像光は、前記第
3面側に向けて投写され、
前記第1面は、第1領域と、前記第2面からの高さが前記第1領域よりも低い第2領域
と、を有し、
前記第1領域は、
前記第1領域が
前記第2領域の
前記第
4面側と、
前記第2領域の
前記
第5面側と、
前記第2領域の
前記第6面側の
前記第2領域
を囲むように、前記第2領域に
対して前記第
4面側、前記第5面側と前記第6面側に位置し、
前記第2領域は、前記第
3面に連なり、
前記第2領域に、吊下用取付具が装着される受け部が設けられている、投写装置。
【請求項2】
前記筐体の内部空間は、前記筐体の高さ方向から見て前記第1領域と重なる第1内部空
間と、前記筐体の高さ方向から見て前記第2領域と重なる第2内部空間と、を有し、
前記第1内部空間のうち、前記第2領域よりも高い位置にある上部空間に、前記筐体の
内部空間に収容される構成部材の少なくとも一部が配置されている、請求項1に記載の投
写装置。
【請求項3】
前記第1内部空間に、前記光源ユニット、前記画像形成ユニット、および前記投写光学
ユニットのいずれかを構成する複数の構成部材が前記高さ方向に並んで配置されている、
請求項2に記載の投写装置。
【請求項4】
前記投写光学ユニットは、前記第1領域に向けて突出する第1外形部と、前記第1外形
部よりも高さが低い第2外形部と、を有し、
前記第1領域は、前記投写光学ユニットの前記第1外形部に沿い、
前記第2領域は、前記投写光学ユニットの前記第2外形部に沿う、請求項2または請求
項3に記載の投写装置。
【請求項5】
前記筐体の高さ方向から見て、前記投写光学ユニットの前記第2外形部は、前記第2領
域と重なる領域内に配置されている、請求項4に記載の投写装置。
【請求項6】
前記光源ユニットを冷却するヒートシンクをさらに備え、
前記上部空間に、前記ヒートシンクの少なくとも一部が配置されている、請求項2から
請求項5までのいずれか一項に記載の投写装置。
【請求項7】
前記筐体の内部を冷却する冷却用ファンをさらに備え、
前記上部空間に、前記冷却用ファンの少なくとも一部が配置されている、請求項2から
請求項6までのいずれか一項に記載の投写装置。
【請求項8】
前記光源ユニット、前記画像形成ユニット、および前記投写光学ユニットを制御する制
御ユニットをさらに備え、
前記上部空間に、前記制御ユニットの少なくとも一部が配置されている、請求項2から
請求項7までのいずれか一項に記載の投写装置。
【請求項9】
前記筐体の高さ方向から見て、前記筐体の中央部に前記第2領域が設けられ、前記中央
部に対して一方の端部側および他方の端部側に前記第1領域が設けられ、
前記光源ユニット、前記画像形成ユニット、前記投写光学ユニット、および制御ユニッ
トのうち、いずれかのユニットは、前記一方の端部側の前記第1内部空間に配置され、他
のユニットは、前記他方の端部側の前記第1内部空間に配置されている、請求項8に記載
の投写装置。
【請求項10】
前記第2領域に、据置時に前記筐体を支持する脚部が設けられている、請求項1から請
求項9までのいずれか一項に記載の投写装置。
【請求項11】
前記第3面は、前記第1領域から連なる第3領域と、前記第2領域から連なり、前記第
4面からの距離が前記第3領域よりも短い第4領域と、を有し、
前記受け部は、前記第2領域と前記第4領域とに設けられている、請求項1から請求項
9までのいずれか一項に記載の投写装置。
【請求項12】
前記筐体の内部空間は、前記第3面の法線方向から見て前記第3領域と重なる第3内部
空間と、前記第3面の法線方向から見て前記第4領域と重なる第4内部空間と、を有し、
前記第3内部空間のうち、前記第4領域よりも前記第3面の法線方向に突出した位置に
ある空間に、前記光源ユニット、前記画像形成ユニット、および前記投写光学ユニットの
うち、いずれかのユニットの一部が配置されている、請求項11に記載の投写装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の投写装置と、
前記投写装置を吊下する吊下用取付具と、
を備える、投写システム。
【請求項14】
請求項11または請求項12に記載の投写装置と、
前記投写装置を吊下する吊下用取付具と、
を備え、
前記吊下用取付具は、
前記第2領域に設けられた前記受け部に接続される第1支持部と、
前記第1支持部と交差し、前記第4領域に設けられた前記受け部に配置される第2支持
部と、
を有する、投写システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写装置および投写システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターの設置形態として、投写レンズをスクリーン等の被投写面に向けて机上に置いて設置する形態と、プロジェクター本体を上記の形態とは上下反転させ、天井または壁面から吊り下げて設置する形態と、が従来から知られている。本明細書においては、前者の形態を据え置きと称し、後者の形態を吊下と称する。プロジェクターを吊下状態で設置する場合、吊下用取付具を介してプロジェクター本体を天井または壁面に固定する方法が一般的である。
【0003】
例えば下記の特許文献1に、複数の取付部を有する筐体と、筐体の内部に配置される吊り用金属板と、筐体を壁面または天井に固定する吊り金具と、固定部材と、を備え、取付部において吊り用金属板が固定部材を介して吊り金具に固定される構成を有するプロジェクターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のプロジェクターにおいては、吊り金具が外観から見えるため、見栄えが悪く、プロジェクターが設置空間の雰囲気になじまない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様の投写装置は、光源ユニットと、画像形成ユニットと、投写光学ユニットと、互いに対向する第1面と第2面とを有し、前記光源ユニット、前記画像形成ユニット、および前記投写光学ユニットを収容する筐体と、を備え、前記第1面は、第1領域と、前記第2面からの高さが前記第1領域よりも低い第2領域と、を有し、前記第2領域に、吊下用取付具が装着される受け部が設けられている。
【0007】
本発明の一つの態様の投写システムは、本発明の一つの態様の投写装置と、前記投写装置を吊下する吊下用取付具と、を備える。
【0008】
本発明の他の一つの態様の投写システムは、本発明の一つの態様の投写装置と、前記投写装置を吊下する吊下用取付具と、を備え、前記吊下用取付具は、前記第2領域に設けられた前記受け部に接続される第1支持部と、前記第1支持部と交差し、前記第4領域に設けられた前記受け部に配置される第2支持部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態のプロジェクターの設置状態を示す斜視図である。
【
図2】吊下用取付具によるプロジェクターの取付構造を示す斜視図である。
【
図5】
図3のIV-IV線に沿うプロジェクターの側断面図である。
【
図6】
図3のV-V線に沿うプロジェクターの側断面図である。
【
図7】比較例のプロジェクターの設置状態を示す図である。
【
図8】第2実施形態のプロジェクターの設置状態を示す斜視図である。
【
図10】
図7のIX-IX線に沿うプロジェクターの側断面図である。
【
図11】プロジェクターの光学系の平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、
図1~
図6を用いて説明する。
図1は、本実施形態のプロジェクター11の設置状態を示すプロジェクションシステム10の斜視図であり、下方からプロジェクター11を見上げた状態を示す。
図2は、吊下用取付具12によるプロジェクター11の取付構造を示す斜視図であり、上方からプロジェクター11を見下ろした状態を示す。
なお、以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0011】
以下の説明に用いる図面においては、必要に応じてXYZ直交座標系を用いる。
X軸は、プロジェクター11を上方から見たとき、投写光学ユニット27から射出される光の光軸を投影した軸であり、前後方向に沿う軸である。Z軸は、X軸に直交し、上下方向に沿う軸である。Y軸は、X軸およびZ軸に直交し、左右方向に沿う軸である。本実施形態では、観察者から見て手前側を+X側とし、奥側を-X側とし、上側を+Z側とし、下側を-Z側とし、右側を+Y側とし、左側を-Y側として説明する。なお、X軸は、後述する筐体14の前面14cと背面14dとが対向する方向、Y軸は、筐体14の右側面14eと左側面14fとが対向する方向、Z軸は、筐体14の天面14aと底面14bとが対向する方向、と定義することができる。
【0012】
プロジェクター11は、据え置きと吊り下げの双方の形態で設置可能とされている。本実施形態では、
図1および
図2に示すように、プロジェクター11が据え置きの場合とは上下反転した姿勢で吊下用取付具12を介して壁面Wに設置されている。すなわち、プロジェクター11は、筐体14の天面14aが下方を向き、底面14bが上方を向いた姿勢で壁面Wに設置されている。
【0013】
プロジェクター11は、超短焦点型プロジェクターであり、吊下用取付具12が設置された壁面Wにおいて、プロジェクター11よりも低い位置に配置されたスクリーン等の被投写面上に画像を投写する。吊下用取付具12は、プロジェクター11と壁面Wとの距離、プロジェクター11の傾き等を変更することにより、プロジェクター11の位置および姿勢を微調整し、投写画像を最適化できる機能を有している。なお、吊下用取付具12は、例えば移動式のボードなどに固定する場合には、プロジェクター11の位置および姿勢の微調整のための機構あるいは制御機能を備えなくてもよい。
【0014】
本実施形態の場合、
図2に示すように、吊下用取付具12は、プロジェクター11の位置および姿勢等の調整に必要な各種の調整用部品を備えている。具体的には、吊下用取付具12は、壁面Wに固定される支持板16と、前後方向に伸縮するスライドアーム17と、スライドアーム17の前部に設けられたヘッド部18と、ヘッド部18の下面に設けられた金具ベース19(
図3参照)と、を有する。上述したように、ヘッド部18には、種々の調整用部品20が内蔵されている。また、プロジェクター11の位置および姿勢等の調整は、電子制御を用いて補正してもよい。
【0015】
本実施形態において、プロジェクター11と、プロジェクター11を吊下する吊下用取付具12と、を合わせた全体のシステムを、プロジェクションシステム10と称する。すなわち、プロジェクションシステム10は、プロジェクター11と、プロジェクター11を吊下する吊下用取付具12と、を備える。
本実施形態のプロジェクター11は、特許請求の範囲の投写装置に対応する。本実施形態のプロジェクションシステム10は、特許請求の範囲の投写システムに対応する。
【0016】
図3は、プロジェクター11の筐体14の底面14bを上方から見下ろした状態を示す斜視図である。
図3に示すように、プロジェクター11は、光源ユニット25(
図4参照)と、画像形成ユニット26(
図4参照)と、投写光学ユニット27(
図4参照)と、制御ユニット28(
図4参照)と、光源ユニット25、画像形成ユニット26、および投写光学ユニット27を収容する筐体14と、を備える。光源ユニット25、画像形成ユニット26、投写光学ユニット27および制御ユニット28の構成については、後で説明する。
【0017】
筐体14は、概ね直方体の形状を有し、内部が中空の箱状の部材である。筐体14は、天面14a、底面14b、前面14c、背面14d、右側面14e、および左側面14fからなる6つの面を有する。なお、筐体14の各面の名称については、プロジェクター11を据え置きの姿勢で設置した場合に上方を向く面を天面14aと称し、下方を向く面を底面14bと称する。また、観察者から見て、手前側に位置する面を前面14cと称し、奥側に位置する面を背面14dと称し、右側に位置する側面を右側面14eと称し、左側に位置する側面を左側面14fと称する。
本実施形態の底面14bは、特許請求の範囲の第1面に対応する。本実施形態の天面14aは、特許請求の範囲の第2面に対応する。
【0018】
底面14bには、凹部14hが設けられている。これにより、底面14bは、凹部14h以外の部分に対応する第1領域141と、凹部14hに対応し、天面14aからの高さが第1領域141よりも低い第2領域142と、を有する。なお、天面14aは、全体が平坦な面であってもよいし、凹凸を有する面であってもよいし、全体が凸状の曲面であってもよい。天面14aが凹凸を有する場合、天面14aのうち、凹凸を除く最も広い面積を占める部分を基準とした底面14bまでの高さを、天面14aからの高さと定義する。全体が凸状の曲面である場合、天面14aのうち、凹部14hの周囲に対応する第1領域141を基準とした底面14bまでの高さを、天面14aからの高さと定義する。
【0019】
第2領域142に、吊下用取付具12が装着される受け部22が設けられている。
図3では、第2領域142の受け部22に、吊下用取付具12の金具ベース19が固定部材23によって固定されている。第2領域142は、筐体14の長手方向、すなわち左右方向の略中央部に設けられている。第1領域141は、第2領域142に対して右側(+Y側)、左側(-Y側)、および前側(+X)に設けられている。また、第2領域142は、矩形部142aと、矩形部142aの右前方および左前方の角部近傍から前方に向かって三角形状に突出する2つの突出部142bと、からなる形状を有する。なお、2つの突出部142bの形状は、三角形状に限定されるものではない。
【0020】
金具ベース19は、第2領域142の矩形部142aと2つの突出部142bとに略一致する形状を有する。金具ベース19は、矩形部142aの右後方の角部近傍、左後方の角部近傍、右前方の突出部142b、および左前方の突出部142bの4個所において、固定部材23によって筐体14の底面14bに固定されている。固定部材23として、例えばネジが用いられるが、特に限定されない。また、金具ベース19の固定個所の数および配置についても、特に限定されない。また、金具ベース19を左右方向にスライド可能に調整して固定してもよい。その場合、金具ベース19は、第2領域142の矩形部142aと、2つの突出部142bと、からなる形状に一致していなくてもよい。
【0021】
図4は、プロジェクター11の一部を水平面に沿った平面で切断した状態を示す平断面図である。
図4に示すように、筐体14の内部空間14sには、光源ユニット25と、画像形成ユニット26と、投写光学ユニット27と、制御ユニット28と、が収容されている。
【0022】
光源ユニット25は、光源(図示略)と、光源を収容する光源ユニット筐体251と、を有する。光源は、例えば例えばメタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等の放電ランプから構成されている。なお、光源は、レーザー光源等の固体光源、固体光源からの励起光によって蛍光を射出する蛍光体を含む波長変換素子、レーザー光を拡散させる拡散素子等の構成要素を有していてもよい。光源ユニット25は、画像形成ユニット26に向けて白色の照明光を射出する。
【0023】
光源ユニット25から射出される照明光は、均一照明光学系(図示略)を経て画像形成ユニット26に入射する。均一照明光学系は、第1レンズアレイと、第2レンズアレイと、偏光変換素子と、重畳レンズと、を備える。光源ユニット25から射出される照明光は、均一照明光学系を通過することによって、光変調装置60R,60G,60Bの画像形成領域における照度分布が均一化されるとともに、光変調装置60R,60G,60Bに入射する光の偏光方向が揃えられる。なお、均一照明光学系は、後述する画像形成ユニット筐体261内に収容されていてもよい。
【0024】
画像形成ユニット26は、色分離導光光学系262と、画像形成モジュール263と、色分離導光光学系262および画像形成モジュール263を収容する画像形成ユニット筐体261と、を有する。
【0025】
色分離導光光学系262は、第1ダイクロイックミラー51と、第2ダイクロイックミラー52と、第1反射ミラー53と、第2反射ミラー54と、第3反射ミラー55と、第1リレーレンズ56と、第2リレーレンズ57と、第3リレーレンズ58と、を備える。
【0026】
画像形成モジュール263は、赤色光LRを変調する光変調装置60Rと、緑色光LGを変調する光変調装置60Gと、青色光LBを変調する光変調装置60Bと、各光変調装置60R,60G,60Bによって変調された色光を合成する光合成素子61と、を備える。
【0027】
色分離導光光学系262は、光源ユニット25から射出される白色の照明光LWを赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離し、赤色光LRを光変調装置60Rに導き、緑色光LGを光変調装置60Rに導き、青色光LBを光変調装置60Bに導く。
【0028】
色分離導光光学系262と光変調装置60Rとの間には、フィールドレンズ(図示略)が配置されている。色分離導光光学系262と光変調装置60Gとの間には、フィールドレンズ(図示略)が配置されている。色分離導光光学系262と光変調装置60Bとの間には、フィールドレンズ(図示略)が配置されている。
【0029】
本実施形態において、赤色光LRは、620nm~810nmの波長帯の光に相当する。緑色光LGは、480nm~520nmの波長帯の光に相当する。青色光LBは、430nm~480nmの波長帯の光に相当する。
【0030】
第1ダイクロイックミラー51は、赤色光LRを反射させ、緑色光LGおよび青色光LBを透過させる。第2ダイクロイックミラー52は、緑色光LGを反射させ、青色光LBを透過させる。第1反射ミラー53は、赤色光LRを反射する。第2反射ミラー54および第3反射ミラー55は、青色光LBを反射する。
【0031】
第1ダイクロイックミラー51で反射された赤色光LRは、第1反射ミラー53で反射され、フィールドレンズを透過して赤色光用の光変調装置60Rの画像形成領域に入射する。第1ダイクロイックミラー51を透過した緑色光LGは、第2ダイクロイックミラー52で反射され、フィールドレンズを透過して緑色光用の光変調装置60Gの画像形成領域に入射する。第1ダイクロイックミラー51を透過し、第2ダイクロイックミラー52をさらに透過した青色光LBは、第1リレーレンズ56、第2反射ミラー54、第2リレーレンズ57、第3反射ミラー55、第3リレーレンズ58、フィールドレンズを経て、青色光用の光変調装置60Bの画像形成領域に入射する。
【0032】
光変調装置60R、光変調装置60G、および光変調装置60Bの各々は、液晶パネルで構成されている。光変調装置60R、60G、60Bの各々は、光変調装置60R、60G、60Bに入射された各色光を画像情報に応じて変調し、各色光に対応する画像を形成する。なお、図示を省略したが、各フィールドレンズと光変調装置60R、光変調装置60G、および光変調装置60Bの各々との間には、入射側偏光板が配置されている。光変調装置60R、光変調装置60G、および光変調装置60Bの各々と光合成素子との間には、射出側偏光板が配置されている。
【0033】
光合成素子61は、クロスダイクロイックプリズムから構成されている。光合成素子61は、光変調装置60R、光変調装置60G、および光変調装置60Bのそれぞれから射出された各画像光を合成する。クロスダイクロイックプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わせられた平面視略正方形状の形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。
【0034】
光合成素子61から射出された画像光は、投写光学ユニット27によって拡大投写され、スクリーン上で画像を形成する。すなわち、投写光学ユニット27は、光変調装置60R、光変調装置60G、および光変調装置60Bのそれぞれによって変調された光をスクリーンに投写する。
【0035】
投写光学ユニット27は、複数のレンズからなる前段レンズ群272と、複数のレンズからなる後段レンズ群273と、ミラー274と、投写ミラー275と、前段レンズ群272、後段レンズ群273、ミラー274、および投写ミラー275を収容する投写光学ユニット筐体271と、を有する。ミラー274は、前段レンズ群272から射出される光の光路を後段レンズ群273に向けて折り曲げる。投写ミラー275は、凹面ミラーから構成され、後段レンズ群273から射出される光を反射し、スクリーンに向けて投写する。なお、投写光学ユニット27の光路は、折り曲げることなく、一直線上に延びる光路であってもよい。
【0036】
制御ユニット28は、プロジェクター11の各部を制御するための回路基板、電子部品等を有する。
【0037】
図5は、
図3のV-V線に沿うプロジェクター11の側断面図である。
図5に示すように、筐体14の内部空間14sは、筐体14の高さ方向から見て、底面14bの第1領域141と重なる第1内部空間14s1と、底面14bの第2領域142と重なる第2内部空間14s2と、を有する。すなわち、第1内部空間14s1のZ軸方向の高さH1は、第2内部空間14s2のZ軸方向の高さH2よりも高い。第1内部空間14s1のうち、第2領域142よりも高い位置にある上部空間には、筐体14の内部空間14sに収容される構成部材の少なくとも一部が配置されている。
【0038】
具体的には、本実施形態の場合、第2内部空間14s2には、投写光学ユニット27が配置されている。第1内部空間14s1のうち、第2内部空間14s2に対して+Y側に位置する第1内部空間14s1には、光源ユニット25、画像形成ユニット26、ヒートシンク30、冷却ファン31等の構成部材が配置されている。ヒートシンク30は、光源ユニット25で発生する熱を放出する。冷却ファン31は、画像形成ユニット26を冷却する。ヒートシンク30および冷却ファン31は、光源ユニット25および画像形成ユニット26の上方に配置されている。光源ユニット25および画像形成ユニット26の下面からヒートシンク30および冷却ファン31の上面までの最大高さは、投写光学ユニット27の高さよりも高い。したがって、-Y側に位置する第1内部空間14s1のうち、第2領域142よりも高い位置にある上部空間には、ヒートシンク30および冷却ファン31の一部が配置されている。
【0039】
第1内部空間14s1のうち、第2内部空間14s2に対して-Y側に位置する第1内部空間14s1には、制御ユニット28を構成する第1回路基板281、第2回路基板282、電源基板33、冷却ファン34等の構成部材が配置されている。冷却ファン34は、第1回路基板281、第2回路基板282、および電源基板33等の構成部材を冷却する。電源基板33および冷却ファン34は、第1回路基板281の上方に配置されている。第2回路基板282は、第1回路基板281の下方に配置されている。第2回路基板282の下面から電源基板33および冷却ファン34の上面までの最大高さは、投写光学ユニット27の高さよりも高い。したがって、-Y側に位置する第1内部空間14s1のうち、第2領域142よりも高い位置にある上部空間には、電源基板33および冷却ファン34の一部が配置されている。なお、第2領域142よりも高い位置にある上部空間に、制御ユニット28を構成する第1回路基板281、第2回路基板282が配置されていてもよい。
【0040】
このように、本実施形態の場合、第2内部空間14s2に、投写光学ユニット27が単体で配置されているのに対して、第1内部空間14s1には、光源ユニット25、画像形成ユニット26、および制御ユニット28のいずれか、およびその他の構成部材が筐体14の高さ方向に並んで配置されている。なお、投写光学ユニット27上に制御ユニット28の基板を重ねてもよく、制御ユニット28の基板は、第1内部空間14s1、第2内部空間14s2の少なくとも一方に配置してもよい。
【0041】
図6は、
図3のVI-VI線に沿うプロジェクター11の側断面図である。
図6に示すように、投写光学ユニット27は、筐体14の第1領域141に向けて突出する第1外形部27aと、第1外形部27aよりも高さが低い第2外形部27bと、を有する。底面14bの第1領域141は、投写光学ユニット27の第1外形部27aに沿い、底面14bの第2領域142は、投写光学ユニット27の第2外形部27bに沿っている。図示を省略するが、筐体14の高さ方向から見た平面視において、投写光学ユニット27の第2外形部27bは、底面14bの第2領域142と重なる領域内に配置されており、第1領域141と重なる領域には配置されていない。
【0042】
X軸方向において、投写光学ユニット27は、第1内部空間14s1のうち、第2内部空間14s2に対して+X側に位置する第1内部空間14s1と、第2内部空間14s2と、にわたって配置されている。投写光学ユニット筐体271内に収容された各構成部材のZ軸方向の高さを比較すると、投写ミラー275のZ軸方向の高さは、他のいずれの構成部材のZ軸方向の高さよりも高い。そのため、後段レンズ群273等の構成部材は、第2外形部27bに対応する、第2内部空間14s2に配置されている。投写ミラー275は、第1外形部27aに対応し、後段レンズ群273が配置された第2内部空間14s2に対して+X側に位置する第1内部空間14s1に配置されている。+X側に位置する第1内部空間14s1のうち、第2領域142よりも高い位置にある上部空間には、投写ミラー275の上端側の一部が配置されている。
【0043】
また、筐体14の天面14aには、投写ミラー275で反射された画像光を筐体14の外部に透過させるための窓部36が設けられている。なお、窓部36は、筐体14aに限らず、投写光学ユニット27に備えてもよい。
【0044】
ここで、筐体の底面に凹部が設けられておらず、底面が平坦面とされた比較例のプロジェクターを想定する。
図7は、比較例のプロジェクター111の設置状態を示す斜視図である。
図2に示す本実施形態の吊下用取付具12を用いて、比較例のプロジェクター111を設置する場合、筐体114の平坦な底面114bに金具ベース(図示略)を固定する。この場合、
図7に示すように、吊下用取付具12のヘッド部18と筐体114との間に隙間Sが生じるため、隙間Sを通してヘッド部18内の調整用部品20等を含む内部構造が外観から見える状態となる。このように、比較例のプロジェクター111を設置した状態においては、見栄えが悪く、例えば金属製の部品が見える場合など、プロジェクター111の設置空間の雰囲気になじまない場合がある。
【0045】
これに対して、本実施形態のプロジェクター11の場合、
図3に示すように、筐体14の底面14bは、第1領域141と、天面14aからの高さが第1領域141よりも低い第2領域142と、を有し、第2領域142に設けられた受け部22に吊下用取付具12の金具ベース19が固定されている。そのため、本実施形態のプロジェクター11を壁面Wに設置した場合、プロジェクター11の設置位置は、吊下用取付具12のヘッド部18に接近し、比較例のプロジェクター111を壁面Wに設置した場合に比べて高くなる。その結果、
図1に示すように、吊下用取付具12のヘッド部18と筐体14との間の隙間が比較例に比べて小さくなり、ヘッド部18の内部構造が外観から見え難くなる。これにより、本実施形態によれば、設置した状態での見栄えが良く、設置空間の雰囲気になじみやすいプロジェクター11を提供することができる。
【0046】
また、ヘッド部18の内部構造を見え難くする他の方法として、吊下用取付具12のヘッド部18と筐体14との間の隙間を隠すカバーを筐体14に設ける方法も考えられるが、その場合には筐体14の構成が複雑になり、やはり見栄えが悪くなるおそれがある。これに対して、本実施形態のプロジェクター11によれば、吊下用取付具12のヘッド部18と筐体14との間の隙間を隠すカバーが不要であるため、筐体14の構成が複雑になることがなく、スマートな外観を有するプロジェクター11を提供することができる。
【0047】
また、本実施形態のプロジェクター11において、筐体14の内部空間14sは、筐体14の高さ方向から見て、底面14bの第1領域141と重なる第1内部空間14s1と、第2領域142と重なる第2内部空間14s2と、を有する。換言すると、筐体14の内部空間14sは、Z軸方向の寸法、すなわち高さが相対的に高い第1内部空間14s1と、高さが相対的に低い第2内部空間14s2と、を有する。第1内部空間14s1のうち、第2領域142よりも高い位置にある上部空間に、筐体14の内部空間14sに収容される構成部材の少なくとも一部が配置されている。
この構成によれば、プロジェクター11を設置した際の見栄えが良くなることに加え、第1内部空間14s1の上部空間を構成部材の収容に有効利用することができ、プロジェクター11の薄型化を図ることができる。
【0048】
特に本実施形態の場合、第2内部空間14s2に対して+Y側に位置する第1内部空間14s1において、ヒートシンク30および冷却ファン31が光源ユニット25および画像形成ユニット26の上方に積み上げられて配置され、-Y側に位置する第1内部空間14s1においては、電源基板33および冷却ファン34が第1回路基板281および第2回路基板282の上方に積み上げられて配置されている。このように、複数の構成部材は、第1内部空間14s1において高さ方向に沿って並んで配置されている。
この構成によれば、高さが相対的に高い第1内部空間14s1を有効利用して、複数の構成部材を効率良く配置することができる。特に第1内部空間14s1の上方に配置されるヒートシンク30、冷却ファン31、電源基板33等の構成部材は、その配置に光学的な制約を受けることがないため、第1内部空間14s1の上方に配置する構成部材として有効である。
【0049】
また、本実施形態の場合、投写光学ユニット27は、第2内部空間14s2に対して+X側に位置する第1内部空間14s1と第2内部空間14s2とにわたって配置され、筐体14は、底面14bの第1領域141が投写光学ユニット27の第1外形部27aに沿い、第2領域142が投写光学ユニット27の第2外形部27bに沿う形状を有する。
この構成によれば、比較的大型の構成部材である投写光学ユニット27を筐体14内に効率良く配置することができるとともに、筐体14と投写光学ユニット27との隙間を最小限に狭くすることができ、筐体14の大型化を抑えることができる。
【0050】
また、本実施形態のプロジェクター11においては、筐体14の長手方向である左右方向の中央部に第2領域142が設けられ、第2領域142の両側方に第1領域141が設けられ、+Y側に位置する第1内部空間14s1に光源ユニット25および画像形成ユニット26等が配置され、-Y側に位置する第1内部空間14s1に制御ユニット28等が配置されている。
この構成によれば、投写光学ユニット27が収容される第2内部空間14s2の両側方に位置する第1内部空間14s1に、光源ユニット25および画像形成ユニット26と、制御ユニット28と、が振り分けて配置されるため、筐体14の内部空間14sの有効利用を図ることができる。
【0051】
本実施形態のプロジェクションシステム10は、本実施形態のプロジェクター11と吊下用取付具と12を備えているため、プロジェクター11を設置した状態での見栄えが良く、設置空間の雰囲気になじみやすい。
【0052】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、
図8~
図11を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターおよびプロジェクションシステムの基本構成は第1実施形態と同様であり、筐体および吊下用取付具の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターおよびプロジェクションシステムの基本構成の説明は省略する。
図8は、本実施形態のプロジェクションシステム70の斜視図である。
図9は、プロジェクター71の斜視図である。
図10は、
図7のIX-IX線に沿うプロジェクター71の側断面図である。
図8~
図11において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0053】
図8に示すように、本実施形態のプロジェクションシステム70は、プロジェクター71と、プロジェクター71を吊下する吊下用取付具72と、を備える。
図10に示すように、吊下用取付具72は、壁面Wに固定される支持板73と、支持板73に連結されて前後方向に延びる支持アーム74と、支持アーム74の先端部の下面に設けられた金具ベース75と、を有する。
本実施形態の支持板73は、特許請求の範囲の第2支持部に対応する。本実施形態の支持アーム74と金具ベース75は、特許請求の範囲の第1支持部に対応する。支持アーム74と金具ベース75は、別部材で構成されるだけでなく、単一の部材で構成しても良い。
【0054】
図9に示すように、第1実施形態と同様、筐体77は、天面77a、底面77b、前面77c、背面77d、右側面77e、および左側面77fからなる6つの面を有する。底面77bに、第1凹部77hが設けられている。これにより、底面77bは、第1凹部77h以外の部分に対応する第1領域771と、第1凹部77hに対応し、天面77aからの高さが第1領域771よりも低い第2領域772と、を有する。なお、天面77aは、平坦な面であってもよいし、凹凸を有する面であってもよい。
本実施形態の背面77dは、特許請求の範囲の第3面に対応する。本実施形態の前面77cは、特許請求の範囲の第4面に対応する。
【0055】
さらに本実施形態の場合、筐体77の背面77dには、第2凹部77jが設けられている。これにより、背面77dは、第1領域771から連なる第3領域773と、第2領域772から連なり、前面77cからの距離が第3領域773よりも短い第4領域774と、を有する。第3領域773は、第2凹部77j以外の部分に対応し、第4領域774は、第2凹部77jに対応する。なお、前面77cは、平坦な面であってもよいし、凹凸を有する面であってもよい。前面77cが凹凸を有する場合、前面77cのうち、凹凸を除く最も広い面積を占める部分を基準とした背面77dまでの距離を、前面77cからの距離と定義する。
【0056】
吊下用取付具72が装着される受け部79は、第2領域772と第4領域774とにわたって設けられている。
図9では、第2領域772の受け部79に、吊下用取付具72の金具ベース75が固定部材23によって固定されている。第2領域772は、筐体77の長手方向、すなわち左右方向の略中央部に設けられている。第1領域771は、第2領域772の右側方、左側方、および前方に設けられている。また、第2領域772は、矩形部772aと、矩形部772aの右前方および左前方の角部近傍から前方に向かって三角形状に突出する2つの突出部772bと、からなる形状を有する。なお、2つの突出部772bの形状は、三角形状に限定されるものではない。
【0057】
金具ベース75は、第2領域772の矩形部772aと2つの突出部772bとに略一致する形状を有する。金具ベース75は、第2領域772の右後方の角部近傍、左後方の角部近傍、右側の突出部、および左側の突出部の4個所において、固定部材23によって筐体77の底面77bに固定されている。固定部材23として、例えばネジが用いられるが、特に限定されない。また、金具ベース75の固定個所の数および配置についても、特に限定されない。
【0058】
底面77bの第2領域772に、プロジェクター71の据置時に筐体77を支持する脚部81が設けられている。脚部81は、円柱状の形状を有する。脚部81は、第2領域772において、筐体77の左右方向の略中央部における後部側、すなわち背面77dの近傍に設けられている。脚部81の底面の高さは、第1領域771の高さと略一致している。金具ベース75は、脚部81に対応する個所に切欠部75kを有し、脚部81を囲むように配置されている。なお、この例では、脚部81は、第2領域772のみに設けられているが、第2領域772に加えて第1領域771に設けられていてもよく、これら複数の脚部81で筐体77を支持する構成であってもよい。
【0059】
図10に示すように、吊下用取付具72の支持アーム74は、筐体77の底面77bに設けられた第1凹部77h内に配置され、第2領域772の上方に位置する。また、吊下用取付具72の支持板73は、筐体77の背面77dに設けられた第2凹部77j内に配置され、第4領域774の後方に位置する。すなわち、吊下用取付具72は、第2領域772に設けられた受け部79に接続される支持アーム74と、支持アーム74と交差し、第4領域774に設けられた受け部79に接続される支持板73と、を有する。
【0060】
図11に示すように、本実施形態において、画像形成ユニット26の第2ダイクロイックミラー52、緑色光用の光変調装置60G、光合成素子61等の構成部材は、投写光学ユニット27の前段レンズ群272の光軸上に配置される。これに対して、画像形成ユニット26の第2反射ミラー54、第2リレーレンズ57、第3反射ミラー55等の構成部材は、投写光学ユニット27の前段レンズ群272よりも後方側(-X側)に配置される。このような位置関係から、画像形成ユニット26の後端部は、投写光学ユニット27の後端部よりも後方に突出する。
【0061】
筐体77の内部空間77sは、背面77dの法線方向から見て、第3領域773と重なる第3内部空間77s3と、第4領域774と重なる第4内部空間77s4と、を有する。すなわち、第3内部空間77s3の前後方向(X軸方向)の寸法は、第4内部空間77s4の前後方向(X軸方向)の寸法よりも大きい。そこで、第3内部空間77s3のうち、第4領域774よりも後方に突出した位置にある空間に、画像形成ユニット26の第2反射ミラー54、第2リレーレンズ57、第3反射ミラー55等の構成部材が配置された部分が配置されている。
プロジェクター71のその他の構成は、第1実施形態のプロジェクター11の構成と同様である。
【0062】
本実施形態のプロジェクションシステム70は、プロジェクター71と、プロジェクター71を吊下する吊下用取付具72と、を備え、吊下用取付具72は、第2領域772に設けられた受け部79に接続される支持アーム74と、支持アーム74と交差し、第4領域774に設けられた受け部79に配置される支持板73と、を有する。なお、支持板73は、直接あるいは間接的に第4領域774に設けられた受け部79に固定部材によって固定されてもよい。
【0063】
本実施形態においても、筐体77の構造を複雑にすることなく、設置状態での見栄えが良く、設置空間の雰囲気になじみやすいプロジェクター71を提供できる、筐体77の内部空間を構成部材の収容に有効利用することでプロジェクター71の小型化が図れる、等の第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
さらに、本実施形態のプロジェクター71は、筐体77の背面77dに第2凹部77jが設けられ、吊下用取付具72の支持板73の一部が第2凹部77j内に収容される構成を有している。この構成によれば、
図8に示すように、支持アーム74に加えて支持板73も外観から見え難く、プロジェクター71が設置空間の雰囲気にさらになじみやすくなる。
【0065】
また、本実施形態のプロジェクター71においては、第3内部空間77s3のうち、第4領域774よりも後方に突出した位置にある空間に画像形成ユニット26の一部が配置されている。この構成によれば、背面77dに第2凹部77jを設けたことで形成された後方の空間を構成部材の収容に有効利用することができ、プロジェクター71の前後方向の寸法の増大を抑えることができる。
【0066】
また、本実施形態のプロジェクター71においては、筐体77の底面77bの第2領域772に脚部81が設けられている。この構成によれば、底面77bに第1凹部77hが設けられた構成であっても、据え置き時に第1領域771とともに脚部81が筐体77を支持するため、プロジェクター71を安定して設置することができる。なお、脚部81は、第1実施形態のプロジェクター11に設けられていてもよい。
【0067】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば上記実施形態では、筐体の第1内部空間の上部に、ヒートシンク、冷却ファン、電源基板等の構成部材が配置された例を挙げたが、これらの構成部材に代えて、光源ユニット、画像形成ユニット、投写光学ユニット、および制御ユニットにおける各種構成部材のいずれかが配置されていてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、投写光学ユニットが投写ミラーを有する超短焦点型プロジェクターに本発明を適用した例を示したが、超短焦点型プロジェクター以外のプロジェクターに本発明を適用してもよい。
【0069】
また、本発明による投写装置を、反射型液晶パネルまたはデジタルマイクロミラーデバイスからなる光変調装置を備えるプロジェクター、もしくは、一つの光変調装置を備える単板方式のプロジェクターに適用してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、吊下用取付具を介してプロジェクターを壁面に固定する例を挙げたが、吊下用取付具を介してプロジェクターを天井に固定する構成を有するプロジェクションシステムに本発明を適用してもよい。この場合にも、天井に取り付けられる吊下用取付具の構成が上記実施形態と異なるだけであり、上記実施形態と同様のプロジェクターが使用可能である。
【0071】
また、上記実施形態のプロジェクターおよびプロジェクションシステムを構成する各構成要素の数、配置、形状、寸法、および構成材料等に関しては、上記実施形態の例示に限らず、適宜変更が可能である。
【0072】
本発明の一つの態様の投写装置は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様の投写装置は、光源ユニットと、画像形成ユニットと、投写光学ユニットと、互いに対向する第1面と第2面とを有し、前記光源ユニット、前記画像形成ユニット、および前記投写光学ユニットを収容する筐体と、を備え、前記第1面は、第1領域と、前記第2面からの高さが前記第1領域よりも低い第2領域と、を有し、前記第2領域に、吊下用取付具が装着される受け部が設けられている。
【0073】
本発明の一つの態様の投写装置において、前記筐体の内部空間は、前記筐体の高さ方向から見て前記第1領域と重なる第1内部空間と、前記筐体の高さ方向から見て前記第2領域と重なる第2内部空間と、を有し、前記第1内部空間のうち、前記第2領域よりも高い位置にある上部空間に、前記筐体の内部空間に収容される構成部材の少なくとも一部が配置されていてもよい。
【0074】
本発明の一つの態様の投写装置において、前記第1内部空間に、前記光源ユニット、前記画像形成ユニット、および前記投写光学ユニットのいずれかを構成する複数の構成部材が前記高さ方向に並んで配置されていてもよい。
【0075】
本発明の一つの態様の投写装置において、前記投写光学ユニットは、前記第1領域に向けて突出する第1外形部と、前記第1外形部よりも高さが低い第2外形部と、を有し、前記第1領域は、前記投写光学ユニットの前記第1外形部に沿い、前記第2領域は、前記投写光学ユニットの前記第2外形部に沿っていてもよい。
【0076】
本発明の一つの態様の投写装置において、前記筐体の高さ方向から見て、前記投写光学ユニットの前記第2外形部は、前記第2領域と重なる領域内に配置されていてもよい。
【0077】
本発明の一つの態様の投写装置は、前記光源ユニットを冷却するヒートシンクをさらに備え、前記上部空間に、前記ヒートシンクの少なくとも一部が配置されていてもよい。
【0078】
本発明の一つの態様の投写装置は、前記筐体の内部を冷却する冷却用ファンをさらに備え、前記上部空間に、前記冷却用ファンの少なくとも一部が配置されていてもよい。
【0079】
本発明の一つの態様の投写装置は、前記光源ユニット、前記画像形成ユニット、および前記投写光学ユニットを制御する制御ユニットをさらに備え、前記上部空間に、前記制御ユニットの少なくとも一部が配置されていてもよい。
【0080】
本発明の一つの態様の投写装置において、前記筐体の高さ方向から見て、前記筐体の中央部に前記第2領域が設けられ、前記中央部に対して一方の端部および他方の端部に前記第1領域が設けられ、前記光源ユニット、前記画像形成ユニット、前記投写光学ユニット、および制御ユニットのうち、いずれかのユニットは、前記一方の端部側の前記第1内部空間に配置され、他のユニットは、前記他方の端部側の前記第1内部空間に配置されていてもよい。
【0081】
本発明の一つの態様の投写装置において、前記第2領域に、据置時に前記筐体を支持する脚部が設けられていてもよい。
【0082】
本発明の一つの態様の投写装置において、前記筐体は、前記第1面および前記第2面に交差し、互いに対向する第3面および第4面をさらに有し、前記第3面は、前記第1領域から連なる第3領域と、前記第2領域から連なり、前記第4面からの距離が前記第3領域よりも短い第4領域と、を有し、前記受け部は、前記第2領域と前記第4領域とに設けられていてもよい。
【0083】
本発明の一つの態様の投写装置において、前記筐体の内部空間は、前記第3面の法線方向から見て前記第3領域と重なる第3内部空間と、前記第3面の法線方向から見て前記第4領域と重なる第4内部空間と、を有し、前記第3内部空間のうち、前記第4領域よりも前記第3面の法線方向に突出した位置にある空間に、前記光源ユニット、前記画像形成ユニット、および前記投写光学ユニットのうち、いずれかのユニットの一部が配置されていてもよい。
【0084】
本発明の一つの態様の投写システムは、本発明の一つの態様の投写装置と、前記投写装置を吊下する吊下用取付具と、を備える。
【0085】
本発明の一つの態様の投写システムは、本発明の一つの態様の投写装置と、前記投写装置を吊下する吊下用取付具と、を備え、前記吊下用取付具は、前記第2領域に設けられた前記受け部に接続される第1支持部と、前記第1支持部と交差し、前記第4領域に設けられた前記受け部に接続される第2支持部と、を有する。
【符号の説明】
【0086】
10,70…プロジェクションシステム、11,71…プロジェクター、12,72…吊下用取付具、14,77…筐体、14a,77a…天面(第2面)、14b,77b…底面(第1面)、22,79…受け部、25…光源ユニット、26…画像形成ユニット、27…投写光学ユニット、27a…第1外形部、27b…第2外形部、28…制御ユニット、30…ヒートシンク、31…冷却ファン、73…支持板(第2支持部)、74…支持アーム(第1支持部)、77c…前面(第4面)、77d…背面(第3面)、81…脚部、141,771…第1領域、142,772…第2領域、14s1…第1内部空間、14s2…第2内部空間、773…第3領域、774…第4領域、77s3…第3内部空間、77s4…第4内部空間。