(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】光ノード装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1368 20060101AFI20240827BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240827BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20240827BHJP
G02F 1/01 20060101ALI20240827BHJP
G02F 1/31 20060101ALI20240827BHJP
H04B 10/27 20130101ALI20240827BHJP
【FI】
G02F1/1368
G02F1/13 505
G02F1/133 550
G02F1/01 D
G02F1/31
H04B10/27
(21)【出願番号】P 2020201572
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 隆行
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-156015(JP,A)
【文献】特開2019-101141(JP,A)
【文献】特開2008-107378(JP,A)
【文献】特開平06-095621(JP,A)
【文献】特開2003-058130(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0299744(US,A1)
【文献】特開2009-58809(JP,A)
【文献】特開2005-189867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1368
G02F 1/13
G02F 1/133
G02F 1/01
G02F 1/31
H04B 10/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を入射する入力ポートと、前記入射光に含まれる各波長に応じた出射光を出射する出力ポートと、を有する入出力部と、
前記入射光に含まれる各波長の光を各波長に応じて空間的に分散させ、前記出射光を前記入出力部の側へ出射する波長分散器と、
前記波長分散器によって分散された各波長の光を各波長毎に2次元平面に集光し、反射された各波長の光を前記波長分散器の側へ出射する光学結合器と、
前記2次元平面の位置に配置され、複数の画素を有し、前記複数の画素により階調を表すことにより、前記光学結合器によって集光された各波長の光を、各波長毎にルーティングによって決められた方向に反射する空間光変調器と、
前記空間光変調器の前記複数の画素を駆動する空間光変調器駆動部と、
前記入射光が入射する領域である第1の共通電極と前記入射光が入射しない領域である第2の共通電極とに分割された共通電極と、
を備え、
前記階調は、前記空間光変調器駆動部により前記複数の画素の各々に、1つのフレーム期間を分割した複数のサブフレーム期間の内の1つのサブフレーム期間に正転階調データが入力され、前記複数のサブフレーム期間の他の1つのサブフレーム期間に反転階調データが入力されることにより形成され、
前記複数の画素の各々は、
前記正転階調データ又は前記反転階調データを、データ線からサンプリングする第1スイッチング回路と、
前記第1スイッチング回路によってサンプリングされた前記正転階調データ又は前記反転階調データを保持す
る第1信号保持回路と、
前記第1信号保持回路に保持された前記正転階調データ又は前記反転階調データを、前記複数の画素の全部に共通のタイミングでサンプリングする第2スイッチング回路と、
前記第2スイッチング回路によってサンプリングされた前記正転階調データ又は前記反転階調データを、1サブフレーム期間保持するとともに、液晶表示素子の反射電極に印加す
る第2信号保持回路と、
を備え、
前記空間光変調器駆動部は、
前記タイミングで前記液晶表示素子の
前記第1の共通電極の電圧を反転することにより正負極性の交流電圧を前記液晶表示素子の液晶に印加し、
所定のサブフレーム数毎に前記液晶表示素子の前記第2の共通電極の電圧を反転することにより正負極性の交流電圧を前記液晶表示素子の液晶に印加し、
前記正転階調データと前記反転階調データとの間の振幅とは異なる振幅の電圧を、前記
第1の共通電極
及び前記第2の共通電極に供給し、
前記第1スイッチング回路及び前記第1信号保持回路は、第1ダイナミックランダムアクセスメモリを構成し、
前記第2スイッチング回路及び前記第2信号保持回路は、第2ダイナミックランダムアクセスメモリを構成し、
前記第1信号保持回路及び前記第2信号保持回路の各々は、容量で構成されている、
光ノード装置。
【請求項2】
前記第1スイッチング回路は、1つのトランジスタで構成されている、
請求項1に記載の光ノード装置。
【請求項3】
前記第1スイッチング回路は、Pチャネル型のトランジスタ及びNチャネル型のトランジスタで構成された相補型スイッチング回路である、
請求項1に記載の光ノード装置。
【請求項4】
前記第2スイッチング回路は、1つのトランジスタで構成されている、
請求項1に記載の光ノード装置。
【請求項5】
前記第2スイッチング回路は、Pチャネル型のトランジスタ及びNチャネル型のトランジスタで構成された相補型スイッチング回路である、
請求項1に記載の光ノード装置。
【請求項6】
前記空間光変調器駆動部は、
前記空間光変調器の光が入射しない領域内の画素のフレーム数を、前記空間光変調器の光が入射する領域内の画素のフレーム数よりも、少なくする、
請求項1に記載の光ノード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ノード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ネットワークは、高速大容量の電気通信についての現代の需要をサポートするために使用される。これらのネットワークは、一般に、光波長分割多重方式(WDM)として知られている技術を使用して、できる限り多くの光スペクトルを利用する。
【0003】
多くの光ネットワークでは、光ネットワークの分岐点に対応する光ノード装置が使用される。しばしば、光ノード装置において、再構成可能なアド/ドロップ機能を有する再構成可能な光アド/ドロップマルチプレクサ(ROADM)デバイスを使用することが、望ましい。
【0004】
ROADMシステムを実現するために、波長選択スイッチ(WSS)が、任意の波長チャネルのルーティングのために使用されても良い。WSSでは、空間光変調器等の光ビーム偏向デバイスが使用されて、所望の出力ポートへの偏向のために波長を選択してもよい。反射型の空間光変調器を使用するWSSが、現在使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した、反射型の空間光変調器では、信頼性を高くするために、焼き付きを抑制できることが望ましい。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑み、信頼性を高くすることができる光ノード装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様にかかる光ノード装置は、入射光を入射する入力ポートと、前記入射光に含まれる各波長に応じた出射光を出射する出力ポートと、を有する入出力部と、前記入射光に含まれる各波長の光を各波長に応じて空間的に分散させ、前記出射光を前記入出力部の側へ出射する波長分散器と、前記波長分散器によって分散された各波長の光を各波長毎に2次元平面に集光し、反射された各波長の光を前記波長分散器の側へ出射する光学結合器と、前記2次元平面の位置に配置され、複数の画素を有し、前記複数の画素により階調を表すことにより、前記光学結合器によって集光された各波長の光を、各波長毎にルーティングによって決められた方向に反射する空間光変調器と、前記空間光変調器の前記複数の画素を駆動する空間光変調器駆動部と、を備える。前記階調は、前記空間光変調器駆動部により前記複数の画素の各々に、1つのフレーム期間を分割した複数のサブフレーム期間の内の1つのサブフレーム期間に正転階調データが入力され、前記複数のサブフレーム期間の他の1つのサブフレーム期間に反転階調データが入力されることにより形成される。前記複数の画素の各々は、前記正転階調データ又は前記反転階調データを、データ線からサンプリングする第1スイッチング回路と、前記第1スイッチング回路によってサンプリングされた前記正転階調データ又は前記反転階調データを保持する及び第1信号保持回路と、前記第1信号保持回路に保持された前記正転階調データ又は前記反転階調データを、前記複数の画素の全部に共通のタイミングでサンプリングする第2スイッチング回路と、前記第2スイッチング回路によってサンプリングされた前記正転階調データ又は前記反転階調データを、1サブフレーム期間保持するとともに、液晶表示素子の反射電極に印加する及び第2信号保持回路と、を備える。前記空間光変調器駆動部は、前記タイミングで前記液晶表示素子の共通電極の電圧を反転することにより正負極性の交流電圧を前記液晶表示素子の液晶に印加し、前記正転階調データと前記反転階調データとの間の振幅とは異なる振幅の電圧を、前記共通電極に供給する。前記第1スイッチング回路及び前記第1信号保持回路は、第1ダイナミックランダムアクセスメモリを構成する。前記第2スイッチング回路及び前記第2信号保持回路は、第2ダイナミックランダムアクセスメモリを構成する。前記第1信号保持回路及び前記第2信号保持回路の各々は、容量で構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、信頼性を高くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態に係る波長選択スイッチアレイの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態に係る波長選択スイッチアレイの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態の波長選択アレイの反射型液晶表示装置を示す図である。
【
図4】
図4は、第2の実施の形態の反射型液晶表示装置の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、第2の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、第3の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の回路構成を示す図である。
【
図7】
図7は、CMOSインバータの回路構成を示す図である。
【
図8】
図8は、インバータ間の駆動力の大小関係を説明する図である。
【
図9】
図9は、第3の実施の形態の反射型液晶表示装置の動作を示すタイミング図である。
【
図10】
図10は、液晶の印加電圧とグレースケール値との関係を示す図である。
【
図11】
図11は、第4の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の回路構成を示す図である。
【
図12】
図12は、第5の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の回路構成を示す図である。
【
図13】
図13は、第5の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の断面構成を示す図である。
【
図14】
図14は、第6の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の回路構成を示す図である。
【
図15】
図15は、第6の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の断面構成を示す図である。
【
図16】
図16は、第7の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の回路構成を示す図である。
【
図17】
図17は、第7の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
<第1の実施の形態>
図1及び
図2は、第1の実施の形態に係る波長選択スイッチ(WSS)アレイの構成を示す図である。
図1は、WSSアレイ10を、x軸方向と逆向きの方向に見た図である。
図2は、WSSアレイ10を、y軸方向と逆向きの方向に見た図である。
【0013】
WSSアレイ10が、本開示の「光ノード装置」の一例に相当する。
【0014】
本開示のWSSアレイ10は、単一パッケージ内で少なくとも2つのWSSを使用する。本開示のWSSアレイ10は、専用の光学素子を必要とすることなく、WSSアレイ10内でそれぞれのWSSの独立した動作を可能にする。それどころかむしろ、光学素子の多くは、個々のWSSデバイス間で共有されることが可能であり、したがって、コスト低減及び小型化が可能である。こうしたデバイスは、例えば、再構成可能な光アド/ドロップマルチプレクサ(ROADM)として現代の通信ネットワークで使用するのに理想的に適している。更に、1つ又は複数の、結合された2つのWSSを有するアレイは、ルート及びセレクト(RS)アーキテクチャを使用する分岐ノード内の構成要素として理想的に適し得る。
【0015】
図1を参照すると、WSSアレイ10は、それぞれが独立したWSSデバイスとして動作し得る2つの独立したWSSデバイスWSS1及びWSS2を含む。本開示において、「独立した」という用語は、WSSデバイスWSS2とは無関係に1つ又は複数のWDM信号を独立して処理するWSSデバイスWSS1の機能を指し、また、その逆も同様である。本開示において、「処理」という用語は広義に使用され、例えば、それぞれのWDM信号を構成する個々の波長チャネルを変調させること、減衰させること、ブロックすること、方向転換させること、及び/又は、スイッチングすることを含む。
【0016】
WSSアレイ10は、入出力部11と、光学系12と、を含む。光学系12は、それぞれのWDM信号ビームをビーム整形するように構成される。また、光学系12は、それぞれのWDM信号を、それらを構成する波長チャネル(又は波長チャネルのグループ)にスペクトル分散(多重分離)させるように構成される。更に、光学系12は、分散済み波長チャネル(又は波長チャネルのグループ)を1つ又は複数のWDM信号にスペクトル結合(多重化)するように構成される。更に、WSSアレイ10は、反射型液晶表示装置13を含む。反射型液晶表示装置13は、例えば個々の波長チャネルをWSSアレイ10内の所定の経路に沿って方向転換させるために、分散済み波長チャネルを光学的に処理するように構成される。
【0017】
反射型液晶表示装置13が、本開示の「空間光変調器」の一例に相当する。反射型液晶表示装置13については、第2の実施の形態以降で詳しく説明する。
【0018】
WSSアレイ10は、対称軸14に関して対称のアーキテクチャを使用することにより、単一の光学系12及び反射型液晶表示装置13が、WSSアレイ10の幾つかのWSSデバイス、この例ではWSSデバイスWSS1及びWSS2の間で共有可能にする。しかしながら、WSSデバイスWSS1及びWSS2が同じ光学部品の多くを共有し得る一方で、第1の実施の形態のアーキテクチャは、WSSアレイ10のWSSデバイスWSS1及びWSS2が独立して制御可能なデバイスであることを可能にする。そのため、第1の実施の形態のWSSアレイ10は、小型化され、光学的複雑さが軽減される。加えて、WSSアレイ10は、より大型でコストがかかるデバイスに固有の独立した処理能力を保持するマルチWSSデバイスを提供する。
【0019】
本開示では、入出力部11は、1つ又は複数の光WDM信号を伝達するための幾つかの入力ポート及び出力ポートを含み得る。例えば、デバイスは、幾つかの光ファイバー、平面導波路等を含み得るが、そのいずれもが入力ポート又は出力ポートとして割当てられ得る。以下で述べる第1の実施の形態では、入力ポート又は出力ポートは、光ファイバー15として実装される。しかしながら、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の他の種類のポートを使用することができる。
【0020】
入出力部11は、WSSデバイスWSS1用の入出力部11-1を含む。入出力部11-1は、入力ファイバー1及び幾つかの出力ファイバー1a、1b、・・・、1nを含む。ここで、nは自然数である。入出力部11は、WSSデバイスWSS2用の入出力部11-2を更に含む。入出力部11-2は、入力ファイバー2及び幾つかの出力ファイバー2a、2b、・・・、2nを含む。ここで、nは自然数である。したがって、
図1は、WSSデバイスWSS1及びWSS2を含む2つの1×N WSSデバイスのアレイを例として示している。換言すると、WSSアレイ10の入出力部11は、y軸方向に沿って配置される光ファイバースタックを形成する入力ファイバー1、出力ファイバー1a、1b、・・・、1n、入力ファイバー2、出力ファイバー2a、2b、・・・、2nのアレイを含む。
【0021】
入出力部11は、マイクロレンズアレイの形態をとるコリメートレンズ16のアレイを更に含む。コリメートレンズ16のアレイは、対応する光パワー素子のアレイ、例えば、それぞれが光ファイバーの出力部及び/又は入力部の前方(z方向)に配置される。本開示では、コリメートレンズ16は、光ビームの方向を誘導及び/又は変更する、及び/又は、一組の光線を集光する能力を有する任意の光学素子を含む。入力ファイバー1、出力ファイバー1a、1b、・・・、1nを含む第1のグループは、対になるコリメートレンズ16の第1のグループと組み合わされて、WSSデバイスWSS1の入出力部11-1を形成する。入力ファイバー2、出力ファイバー2a、2b、・・・、2nを含む第2のグループは、対になるコリメートレンズ16の第2のグループと組み合わされて、WSSデバイスWSS2の入出力部11-2を形成する。
図1では、マイクロレンズアレイとして実装されるWSSアレイ10を示すが、本発明の範囲から逸脱することなく、他のタイプのWSSアレイも使用することができる。
【0022】
本開示では、例えば、第1のグループの光ファイバーの光軸は、第1のグループのコリメートレンズ16の光軸に対して変位される。入力ポート及び出力ポートのアレイとコリメートレンズ16のアレイとの間のこの相対的な位置のずれにより、第1のグループの入力ビーム及び出力ビームは、対称軸14に対して角度θ1をなして光学系12に入る(又は光学系12から出る)ように送出される。これにより、WSSデバイスWSS1からの入力ビーム及び出力ビームのグループが、全体として下降する方向(y軸方向と逆方向)の角度θ1に沿って送出されることになる。
【0023】
同様に、第2のグループのファイバーの光軸は、第2のグループのコリメートレンズ16の光軸に対して変位される。第2のグループの入力ビーム及び出力ビームは、対称軸14に対して角度θ2をなして光学系12に入る(又は光学系12から出る)ように送出されることになる。これにより、WSSデバイスWSS2からの入力ビーム及び出力ビームのグループが、全体として上昇する方向(y軸方向)の角度θ2に沿って送出されることになる。
【0024】
先に言及したように、
図1に示す例示的な例は、2つの1×N WSS、即ちWSSデバイスWSS1及びWSS2を使用するWSSアレイ10である。そのため、
図1に示す例では、WSSデバイスWSS1は、WDM信号ビーム31をデバイスに入射させる1つの入力ファイバー1を含み、また、WDM信号ビーム32をデバイスに入射させる1つの入力ファイバー2を含む。ここで示す入力ファイバー/出力ファイバー構成は、例示する目的で示されるものにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。むしろ、任意の有用な入力ポート/出力ポートの組合せを、本発明の範囲から逸脱することなく用いることが可能である。
【0025】
WDM信号ビーム31は、入力ファイバー1からデバイスへ送出され、コリメートレンズ16を通過した後、角度θ1にてy-z平面内で光学系12を通って進む。WDM信号ビーム31は、その後、WDM信号ビーム31をx方向に整形するためのレンズ21に入射する。一例では、レンズ21は、円柱軸がy方向に沿って延びるシリンドリカルレンズであっても良い。そのため、レンズ21は、
図1に示すような視点から見るときに、WDM信号ビーム31に影響を及ぼさない。
【0026】
WDM信号ビーム31は、レンズ21を通過した後、レンズ22に入射する。
図1に示す例では、レンズ22は、円柱軸がx方向に沿って延びるシリンドリカルレンズであっても良い。レンズ22の作用は、レンズ22の焦点面に位置決めされる反射型液晶表示装置13に依存する。更に、レンズ22は、その中心(円柱軸)が対称軸14上にある。反射型液晶表示装置13がレンズ22の焦点面に位置決めされるので、レンズ22に入る平行光線の任意の組は、反射型液晶表示装置13上の同じ高さに集光されることになる。逆に、反射型液晶表示装置13上の同じ高さから始まる光線の任意の組は、一組の平行光線としてレンズ22から出ることになる。
【0027】
例えば、
図1に示すように、角度θ1に沿って進む任意の入射ビーム(例えば、WDM信号ビーム31)は、レンズ22によって、反射型液晶表示装置13上のy軸方向の位置LC1に向かうように方向付けられる。逆に、反射型液晶表示装置13上の位置LC1から始まる光線41の群は、
図1に示すように同じ角度θ1をなして進む平行光線としてレンズ22を出る。同様に、角度θ2に沿って進む任意の入射ビーム(例えば、WDM信号ビーム32)は、レンズ22によって、反射型液晶表示装置13上のy軸方向の位置LC2に向かうように方向付けられる。逆に、反射型液晶表示装置13上の位置LC2から始まる光線42の群は、
図1に示すように同じ角度θ2をなして進む平行光線としてレンズ22を出る。
【0028】
光学系12を通るWDM信号ビーム31の伝搬に話を戻すと、レンズ22を通過した後、WDM信号ビーム31は、
図1及び
図2に示すように、WDM信号ビーム31の波長チャネルを角度分散させる分散素子24を通過する。本開示では、分散素子24は、回折格子、プリズム、などの透過型光学部品であっても良い。
【0029】
分散素子24が、本開示の「波長分散器」の一例に相当する。
【0030】
分散された波長チャネルは、分散素子24を通過した後、
図1及び
図2に示すように、分散された波長チャネルを波長チャネル毎に反射型液晶表示装置13の表面上に集光するレンズ23を通過する。本開示では、レンズ23は、シリンドリカルレンズであっても良い。
【0031】
レンズ23が、本開示の「光学結合器」の一例に相当する。
【0032】
反射型液晶表示装置13は、2次元ピクセル化光学素子、例えばピクセル化空間光変調器である。2次元ピクセル化光学素子は、以下でより詳細に述べるように、分散された波長チャネルの1つ又は複数が出力ファイバーの任意の1つにルーティングされるように、分散された波長チャネルの1つ又は複数を反射し得るか、あるいは方向転換させ得る。
【0033】
WSSデバイスWSS1に関して、本開示によれば、レンズ22があるので、反射型液晶表示装置13上の位置LC1から始まる光線の全ては、
図1に示すように、角度θ1に沿ってレンズ22から出力される。但し、反射型液晶表示装置13上の位置LC1から始まる光線の全ては、反射型液晶表示装置13からの偏向角度に応じた量だけ互いに対して変位することになる。従って、偏向角度が適切に設定される場合、反射される出力光線は、出力ファイバー1a、1b、・・・、1nのうち任意の出力ファイバーにルーティングされ得る。ここで、反射される出力光線は、例えば、それぞれがWDM信号ビーム31の波長チャネルの1つ又は複数を含み得る光線41の群に対応する、反射される出力光線である。更に、本開示では、コリメートレンズ16の各々が、その対応する出力ファイバーに対して同じ量だけ変位されているので、個々の出力ビームは、効率が改善された状態で、それぞれの出力ファイバーに再結合されることが可能である。
【0034】
同様に、WSSデバイスWSS2に関して、本開示によれば、レンズ22があるので、反射型液晶表示装置13上の位置LC2から始まる光線の全ては、
図1に示すように角度θ2に沿ってレンズ22から出力される。但し、反射型液晶表示装置13上の位置LC2から始まる光線の全ては、反射型液晶表示装置13からの偏向角度に応じた量だけ互いに対して変位することになる。従って、偏向角度が適切に設定される場合、反射される出力光線は、出力ファイバー2a、2b、・・・、2nのうち任意の出力ファイバーにルーティングされ得る。ここで、反射される出力光線は、例えば、それぞれがWDM信号ビーム32の波長チャネルの1つ又は複数を含み得る光線42の群に対応する、反射される出力光線である。更に、本開示では、コリメートレンズ16の各々が、その対応する出力ファイバーに対して同じ量だけ変位されているので、個々の出力ビームは、効率が改善された状態で、それぞれの出力ファイバーに再結合されることが可能である。
【0035】
そのため、入出力部11及びレンズ22の組合せは、所与の角度(例えば、WSSデバイスWSS1の場合、角度θ1、WSSデバイスWSS2の場合、角度θ2)に沿って所与の組のビームを送出する。その後、入出力部11及びレンズ22の組合せは、これらのビームを、入力角度にのみ依存する反射型液晶表示装置13上の位置(位置LC1及び位置LC2)に向かうように方向付ける、WSSアレイデバイスをもたらす。よって、WSSアレイ10は、WSSデバイスWSS1及びWSS2からのWDM信号ビーム31及び32、又は、WSSデバイスWSS1及びWSS2への光線41及び42の2つの組が同一の光学系12及び反射型液晶表示装置13を共有することを可能にする。その一方で、WSSアレイ10は、同時に、個々の波長チャネルを別々に処理するWSSアレイの能力を保持する。
【0036】
図2を参照すると、入出力部11を構成するファイバー及びマイクロレンズのスタックは、ファイバースタックの上部から観察され、したがって、入力ファイバー1だけが、その対応するコリメートレンズ16と共に見えている。以下の説明はWSSデバイスWSS1に的を絞るが、システムの対称性により、全く同じ説明がWSSデバイスWSS2について当てはまることになる。
【0037】
上述したように、WSSデバイスWSS1の場合、WDM信号ビーム31は、入力ファイバー1を介してシステムへ入射される。
図2では、角度θ1は、紙面の奥側に入り込む方向であるため、見えない。本開示では、WDM信号ビーム31は、幾つかの波長チャネルを含み、該チャネルは、最長の波長λ1から最短の波長λnまでの波長範囲を有する。幾つかの例では、波長チャネルの数は多くても良く、例えば固定格子上に50GHz又は100GHzの間隔を有する96の波長チャネルであっても良い。他の例では、デバイスは、例えば12.5GHzの周波数間隔を使用することができ、97以上の波長チャネル、例えば130以上の波長チャネルを有する、適応性のある格子システムで使用され得る。
【0038】
WDM信号ビーム31は、レンズ21に最初に入射する。レンズ21は、分散素子24上で所望のビームサイズを達成するのに適した径にビームを拡張するように、機能する。例えば、コリメートレンズ16及びレンズ21は、ビーム拡張テレスコープとして機能しても良い。本開示では、分散素子24は、
図2に示すように、WDM信号ビーム31の波長チャネルをx軸方向に角度分散させるように機能する。波長チャネル51から5nまでの各々は、分散素子24によってx軸方向に角度分散された後に、レンズ23によって反射型液晶表示装置13の表面上に集光される。それにより、波長チャネル51から5nまでは、波長に応じて、反射型液晶表示装置13上で波長分散方向(x軸方向)に空間的に分散される。
【0039】
図3は、第1の実施の形態のWSSアレイの反射型液晶表示装置を示す図である。
図3は、反射型液晶表示装置13を、z軸方向から見た図である。
【0040】
反射型液晶表示装置13の表面上における波長チャネルの分布の一例が、
図3においてより明瞭に示される。より一般的には、波長チャネルは、長尺ストリップ又は楕円形スポットとして、反射型液晶表示装置13の2次元表面上に配列され得る。簡潔に言えば、波長チャネルは、反射型液晶表示装置13によって独立して作用され得る、離散的な波長信号として処理される。しかしながら、本開示では、反射型液晶表示装置13は、波長チャネルの個々に対して作用することに限定される必要はなく、波長チャネルのグループに対して作用してもよい。更に、
図3に示すように、波長チャネル又は波長チャネルのグループは、それ自体が固定帯域幅を有している必要はない。なぜならば、反射型液晶表示装置13は、動的に完全に再構成可能である空間光変調器として実装され得るからである。したがって、本開示は、目下の固定格子アーキテクチャにおいて、及び/又は、目下の又は将来開発される適応性の高い格子アーキテクチャにおいて実装され得る。
【0041】
再び
図2を参照すると、反射型液晶表示装置13は、波長チャネル51から5nまでの1つ又は複数を或る方向に選択的に方向転換させる。そして、反射型液晶表示装置13は、選択された1つ又は複数の波長チャネル51から5nまでを、1つ又は複数の出力ポート(例えば、
図2の紙面奥側にある1つ又は複数の出力ファイバー(
図1参照))へ最終的に向かうように方向転換させ得る。
図2に示す場合、反射型液晶表示装置13によって達成される方向転換は、紙面に直交する平面(y-z平面)内に位置する角度に沿って行われる。波長チャネル51から5nまでは、例えば、
図1を参照して先に更に詳細に示され、述べられたように、方向転換される。方向転換された波長チャネル51から5nまでは、反射型液晶表示装置13によって反射された後、レンズ23に再び入射し、分散素子24に到るよう更に方向転換され、分散素子24において再結合される。例えば、同じ角度に沿って方向転換されるそれらの波長チャネル51から5nまでは、再結合されて単一ビームとなり、該単一ビームはその後、出力ポートの1つにおいて処理済み信号の出力を可能にし得る方向に沿って方向転換される。
【0042】
例えば、波長λ1、λ2及びλ3並びにチャネル帯域幅δλ1、δλ2及びδλ3をそれぞれ有する3つのWDMチャネルを含むWDM信号ビーム31について検討する。
図1に示す例では、WDM信号ビーム31は、角度θ1にてシステムに入る。更に、角度θ1で進むWDM信号ビーム31は、レンズ22の中心を通過し、角度θ1からずれて偏向されない。WDM信号ビーム31の3つの波長チャネルは、分散素子24を通過した後、直交する平面(x-z平面)内で角度分散される一方で、角度分散されたチャネルの全ては、角度θ1にて依然として進む。これらの3つの分散済み波長チャネルは、その後、
図3に示すように、反射型液晶表示装置13上の異なる位置にレンズ23によって集光される。
【0043】
デバイスのルーティング機能に関して、幾つかの異なるルーティングの組合せがここでは可能である。例えば、3つ全ての波長チャネルが、
図1に示す出力ファイバー1nにルーティングされることを所望される場合を検討する。反射型液晶表示装置13の対応する部分は、波長λ1、λ2及びλ3の波長チャネルそれぞれが
図1に示す光線41の内の1つに沿って戻るように、波長λ1、λ2及びλ3の波長チャネルそれぞれを偏向させる。これらの波長チャネルについての戻り経路に対する分散素子24の作用は、現在伝搬している同一のビームとなるように波長チャネルのそれぞれを再結合(多重化)することである。この結合済みビームは、その後、レンズ22によって方向転換されて角度θ1を有し、WDM信号ビーム31から今や変位した出力ビーム31cに沿って伝搬する。コリメートレンズ16の作用は、再結合済みでかつ方向転換済みの出力ビーム31cを出力ファイバー1nに結合することである。こうして、この動作モードでは、WSSデバイスWSS1の作用は、入力ファイバー1から出力ファイバー1nへWDM信号ビーム31の3つ全ての波長チャネルを通過させることである。
【0044】
別の例では、場合によっては、波長チャネルの幾つかを異なる出力ファイバーへと別々にルーティングすることが所望されるであろう。例えば、場合によっては、反射型液晶表示装置13は、出力ビーム31aに沿って波長λ1の波長チャネルを偏向させ、出力ビーム31bに沿って波長λ2の波長チャネルを偏向させ、出力ビーム31cに沿って波長λ3の波長チャネルを偏向させる。ここでも、分散素子24の作用は、これらの出力ビームのそれぞれを方向転換させることである。但し、この場合、分散素子24は、出力ビームを単一ビームになるよう再結合させるのではなく、扇状に広がって進む3つの出力ビームを生成する。更に、これらの出力ビームのそれぞれが反射型液晶表示装置13上の同じy軸方向の位置LC1から始まっているので、これらの出力ビームは、元々のWDM信号ビーム31と同じ角度θ1に沿って伝搬する一組の平行光線としてレンズ22から出射される。しかしながら、各出力ビームが異なる高さ(y軸方向の異なる位置)でレンズ22に入射するので、出力ビームは、互いから変位することになる。それにより、例えば、波長λ1の波長チャネルは、出力ビーム31aに沿って伝搬し、波長λ2の波長チャネルは、出力ビーム31bに沿って伝搬し、波長λ3の波長チャネルは、出力ビーム31cに沿って伝搬することになる。従って、この構成では、WSSデバイスWSS1の作用は、波長λ1の波長チャネルを入力ファイバー1から出力ファイバー1aまでルーティングすることである。また、WSSデバイスWSS1の作用は、波長λ2の波長チャネルを入力ファイバー1から出力ファイバー1bまでルーティングすることである。また、WSSデバイスWSS1の作用は、波長λ3の波長チャネルを入力ファイバー1から出力ファイバー1nまでルーティングすることである。
【0045】
上記を考慮すると、本開示のWSSアレイ10は、WDM信号ビームの任意の波長チャネルが、必要に応じて出力ファイバーのうちの任意の出力ファイバーにルーティングされ得ることが明らかである。更に、
図1に示すシステムの対称性により、上記説明は、WSSデバイスWSS2を使用してWDM信号ビーム32をルーティングすることにも同様に当てはまる。これは、
図3に示すように、WSSデバイスWSS1及びWSS2の分散済み波長チャネルが最終的に反射型液晶表示装置13の異なる部分上にそれぞれ集光されるからである。更に、
図1から
図3に示す例では、1つの入力ポート及びn個の出力ポートを使用しているが、出力ポートが入力ポートとして再構成され得ること、また、その逆も同様であることが理解されよう。更に、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の個数の入力ポート及び出力ポートを使用することができる。同様に、
図1から
図3に明示的に示す例は、2つのWSSデバイスWSS1及びWSS2を使用するWSSアレイ10であるが、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の個数のWSSデバイスを使用することができる。例えば、入出力部11が4つの別個の送出角度を使用するように設計される場合、WSSアレイ10は、4つの独立したWSSデバイスを提供してもよい。
【0046】
<第2の実施の形態>
図4は、第2の実施の形態の反射型液晶表示装置の構成を示す図である。
【0047】
反射型液晶表示装置13は、中間調表示方式として、サブフレーム駆動方式を用いる。時間軸変調方式の一種であるサブフレーム駆動方式では、所定の期間(例えば、動画の場合には1画像の表示単位である1フレーム期間)を複数のサブフレーム期間に分割し、表示すべき階調に応じたサブフレームの組み合わせで画素を駆動する。表示される階調は、所定の期間に占める画素の駆動期間の割合によって決まり、この割合は、サブフレームの組み合わせによって決まる。
【0048】
反射型液晶表示装置13は、複数の画素Pixが規則的に配置された画像表示部61と、タイミングジェネレータ62と、垂直シフトレジスタ63と、データラッチ回路64と、水平ドライバ65と、を含む。水平ドライバ65は、水平シフトレジスタ65aと、ラッチ回路65bと、レベルシフタ/画素ドライバ65cと、を含む。
【0049】
タイミングジェネレータ62、垂直シフトレジスタ63、データラッチ回路64及び水平ドライバ65が、本開示の「空間光変調器駆動部」の一例に相当する。
【0050】
m本(mは2以上の自然数)の行走査線g1からgmまでは、行方向(x方向)に延在し、夫々の一端が垂直シフトレジスタ63に接続されている。なお、行走査線g1からgmに加えて、反転行走査線gb1からgbmまでが設けられる場合もあり得る。n本(nは2以上の自然数)の列データ線d1からdnまでは、列方向(y方向)に延在し、夫々の一端がレベルシフタ/画素ドライバ65cに接続されている。なお、列データ線d1からdnまでに加えて、反転列データ線db1からdbnまでが設けられる場合もあり得る。
【0051】
画像表示部61は、行走査線g1からgmまでと、列データ線d1からdnまでと、が交差する各交差部に設けられた、複数の画素Pixを有する。つまり、複数の画素Pixは、二次元マトリクス状に配置されている。
【0052】
画像表示部61内の全ての画素Pixは、一端がタイミングジェネレータ62に接続されたトリガ線trigに、共通接続されている。なお、トリガ線trigに加えて、反転トリガ線trigbを備える場合もあり得る。
【0053】
行走査線g1からgmまでが伝送する正転(非反転)行走査パルスと、反転行走査線gb1からgbmまでが伝送する反転行走査パルスとは、常に逆論理値の関係(相補的な関係)にある。
【0054】
また、列データ線d1からdnまでが伝送する正転(非反転)データと、反転列データ線db1からdbnまでが伝送する反転データとは、常に逆論理値の関係(相補的な関係)にある。
【0055】
また、トリガ線trigが伝送する正転トリガパルスTRIGと、反転トリガ線trigbが伝送する反転トリガパルスTRIGBとは、常に逆論理値の関係(相補的な関係)にある。
【0056】
タイミングジェネレータ62は、上位装置71から垂直同期信号Vst、水平同期信号Hst、基本クロック信号CLKといった外部信号を入力信号として受ける。タイミングジェネレータ62は、外部信号に基づいて、交流化信号FR、垂直スタートパルスVST、水平スタートパルスHST、クロック信号VCK及びHCK、ラッチパルスLT、正転トリガパルスTRIG、反転トリガパルスTRIGB等の内部信号を生成する。
【0057】
交流化信号FRは、1サブフレーム毎に極性反転する信号であり、画像表示部61を構成する画素Pix内の液晶素子の共通電極に、後述する共通電極電圧Vcomとして供給される。垂直スタートパルスVSTは、後述する各サブフレームの開始タイミングに出力されるパルス信号であり、この垂直スタートパルスVSTによって、サブフレームの切り替わりが制御される。水平スタートパルスHSTは、水平シフトレジスタ65aに入力する開始タイミングに出力されるパルス信号である。クロック信号VCKは、垂直シフトレジスタ63における1水平走査期間(1H)を規定するシフトクロックであり、クロック信号VCKのタイミングで垂直シフトレジスタ63がシフト動作を行う。クロック信号HCKは、水平シフトレジスタ65aにおけるシフトクロックであり、32ビット幅でデータをシフトしていくための信号である。
【0058】
ラッチパルスLTは、水平シフトレジスタ65aが水平方向の1行の画素数分のデータをシフトし終わったタイミングで出力されるパルス信号である。タイミングジェネレータ62は、正転トリガパルスTRIGをトリガ線trigを通して、反転トリガパルスTRIGBを反転トリガ線trigbを通して、画像表示部61内の全ての画素Pixに供給する。正転トリガパルスTRIG及び反転トリガパルスTRIGBは、サブフレーム期間内で画像表示部61内の各画素Pix内の第1信号保持回路(後述)に順次データを書き込み終わった直後に出力される。正転トリガパルスTRIG及び反転トリガパルスTRIGBは、出力されたサブフレーム期間内で画像表示部61内の全ての画素Pixの第1信号保持回路(後述)のデータを同じ画素Pix内の第2信号保持回路(後述)に一度に転送するための信号である。
【0059】
垂直シフトレジスタ63は、それぞれのサブフレームの最初に供給される垂直スタートパルスVSTを、クロック信号VCKに従って転送する。また、垂直シフトレジスタ63は、行走査線g1からgmまでに対して正転行走査パルスを、反転行走査線gb1からgbmまでに対して反転行走査パルスを、1H単位で順次排他的に供給する。垂直シフトレジスタ63は、1フレーム期間では、全ての行走査線g1からgmまでに正転行走査パルスを供給し、全ての反転行走査線gb1からgbmに反転行走査パルスを供給する。これにより、1フレーム期間において、画像表示部61において最も上にある行走査線g1及び反転行走査線gb1から最も下にある行走査線gm及び反転行走査線gbmまで、行走査線g及び反転行走査線gbがそれぞれ1本ずつ順次1H単位で選択されていく。
【0060】
データラッチ回路64は、図示しない外部回路から供給される、1サブフレーム毎に分割された32ビット幅のデータを、上位装置71からの基本クロック信号CLKに基づいてラッチする。その後、データラッチ回路64は、ラッチしたデータを、基本クロック信号CLKに同期して水平シフトレジスタ65aへ出力する。ここで、第2の実施の形態では、反射型液晶表示装置13は、映像信号の1フレームを、その映像信号の1フレーム期間より短い表示期間を持つ複数のサブフレームに分割して、サブフレームの組み合わせによって階調表示を行う。従って、上記の外部回路は、映像信号の各画素毎の階調を示す階調データを、上記複数のサブフレーム全体で各画素の階調を表示するための各サブフレーム単位の1ビットのサブフレームデータに変換する。そして、上記外部回路は、更に同じサブフレームにおける32画素分の上記サブフレームデータをまとめて上記32ビット幅のデータとして、データラッチ回路64に供給する。
【0061】
水平シフトレジスタ65aは、1ビットシリアルデータの処理系でみた場合、タイミングジェネレータ62から1Hの最初に供給される水平スタートパルスHSTによりシフトを開始する。そして、水平シフトレジスタ65aは、データラッチ回路64から供給される32ビット幅のデータをクロック信号HCKに同期してシフトする。ラッチパルスLTは、水平シフトレジスタ65aが画像表示部61の1行分の画素数nと同じnビット分のデータをシフトし終わった時点で、タイミングジェネレータ62から供給される。ラッチ回路65bは、ラッチパルスLTに従って、水平シフトレジスタ65aから並列に供給されるnビット分のデータ(即ち、同じ行のn画素分のサブフレームデータ)をラッチし、レベルシフタ/画素ドライバ65cのレベルシフタへ出力する。ラッチ回路65bへのデータ転送が終了すると、タイミングジェネレータ62から水平スタートパルスHSTが再び出力され、水平シフトレジスタ65aはクロック信号HCKに従ってデータラッチ回路64からの32ビット幅のデータのシフトを再開する。
【0062】
レベルシフタ/画素ドライバ65c内のレベルシフタは、ラッチ回路65bによりラッチされて供給される1行のn画素に対応したn個のサブフレームデータの信号レベルを、液晶駆動電圧振幅までレベルシフトする。レベルシフタ/画素ドライバ65c内の画素ドライバは、レベルシフト後の、1行のn画素に対応したn個のサブフレームデータを、n本の列データ線d1からdnまでに、並列に出力する。
【0063】
水平ドライバ65は、1H内において、今回データを書き込む画素行に対するデータの出力と、次の1H内でデータを書き込む画素行に関するデータのシフトとを並行して行う。ある水平走査期間において、ラッチされた1行分のn個のサブフレームデータが、データ信号としてそれぞれn本の列データ線d1からdnまでに、並列に且つ一斉に出力される。
【0064】
垂直シフトレジスタ63からの正転行走査パルスによって選択された1つの行のn個の画素Pixは、レベルシフタ/画素ドライバ65cから一斉に出力された1行分のn個のサブフレームデータを、n本の列データ線d1からdnまでを介してサンプリングする。そして、1つの行のn個の画素Pixは、サンプリングした1行分のn個のサブフレームデータを、各画素Pix内の第1信号保持回路(後述)に夫々書き込む。
【0065】
図5は、第2の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の構成を示す図である。
【0066】
画素Pixは、行走査線gと、列データ線dと、の交差部に、配置されている。画素Pixは、1ビットの階調データ(画素データ)を夫々記憶する、第1メモリ81及び第2メモリ82を含む。第1メモリ81は、スイッチ81aと、第1信号保持回路81bと、を含む。第2メモリ82は、スイッチ82aと、第2信号保持回路82bと、を含む。
【0067】
画素Pixは、液晶表示素子LCを含む。液晶表示素子LCは、互いに対向して配置された反射電極PEと共通電極CEとの間に液晶LCMが挟持されている。共通電極CEは、反射型液晶表示装置13の対向基板に形成されることが例示されるが、本開示はこれに限定されない。
【0068】
列データ線dは、水平ドライバ65(
図4参照)に接続されている。水平ドライバ65は、駆動タイミングを変えて特定の列データ線dを駆動する。行走査線gは、垂直シフトレジスタ63(
図4参照)に接続されている。垂直シフトレジスタ63は、駆動タイミングを変えて特定の行走査線gを駆動する。
【0069】
スイッチ81aは、行走査線gに正転行走査パルスが供給されると、オン状態になる。このとき、列データ線dから供給される階調データが、スイッチ81aを経由して、第1信号保持回路81bに書き込まれる。スイッチ82aは、トリガ線trigに正転トリガパルスTRIGが供給されると、オン状態になる。このとき、第1信号保持回路81bに保持されている階調データが、スイッチ82aを経由して、第2信号保持回路82bに転送される。第2信号保持回路82bに転送された階調データは、液晶表示素子LCの反射電極PEに供給される。
【0070】
列データ線dと行走査線gとによって特定の交差部の画素Pixが選択されると、画素Pix内の第1メモリ81に、1ビットの階調データが書き込まれる。これを全部の画素Pixに対してタイミングをずらして繰り返すことによって、全部の画素Pixに1ビットの階調データが書き込まれる。その後、全部の画素Pixに共通に接続されたトリガ線trigに正転トリガパルスTRIGが供給されることによって、全部の画素Pixにおいて、第1メモリ81に保持された階調データが、第2メモリ82に転送される。第2メモリ82には反射電極PEが接続されており、第2メモリ82に保持されている階調データは、液晶表示素子LCに印加されることになる。
【0071】
第1メモリ81から第2メモリ82への階調データの転送が終わったところで正転トリガパルスTRIGの供給が終了することによって、第1メモリ81と第2メモリ82との間が非導通となる。そして、再び、全部の画素Pixの第1メモリ81に、1ビットの階調データが書き込まれる。第1メモリ81に階調データが書き込まれている最中は、第2メモリ82に保持されている階調データが、液晶表示素子LCに印加され続ける。
【0072】
階調データについて、説明する。まず、正転サブフレーム階調データが、全部の画素Pixに書き込まれ、液晶表示素子LCは、正転サブフレーム階調データに基づいて表示を行う。次に、反転階調データが、全部の画素Pixの第1メモリ81に書き込まれる。反転階調データの第1メモリ81への書き込みが終わったところで正転トリガパルスTRIGが供給され、反転階調データが全部の画素Pixの第2メモリ82に一度に転送される。そして、液晶表示素子LCは、反転階調データに基づいて表示を行う。このタイミングにおいて、液晶表示素子LCの共通電極CEに供給される共通電極電圧Vcomが、反転される。反転階調データと共通電極電圧Vcomとの電圧の関係は、正転サブフレーム階調データを液晶表示素子LCに印加した場合と比較して、逆側の電圧となる。つまり、正転サブフレーム階調データ及び反転階調データが画素Pixに順次入力されることにより、液晶表示素子LCは、正負の交流駆動を行うことができる。これにより、液晶表示素子LCが焼き付くことなく、信頼性の高い反射型液晶表示装置13が実現できる。
【0073】
画素Pixの構成によれば、画素Pixの第1メモリ81への階調データ書き込み時間と、液晶表示素子LCの反射電極PEへの階調データ印加時間と、を分けることができる。つまり、階調データ書き込み時間に第1メモリ81に書き込まれる階調データは、第1メモリ81に書き込まれた時点では、液晶表示素子LCに印加されることがない。従って、第1メモリ81への階調データの書き込みの途中で、反射電極PEの電圧と共通電極電圧Vcomとの電圧関係が崩れることがない。そのため、従来のように、階調データ書き込み時間において、反射電極PEと共通電極CEとを同電位にして液晶表示素子LCをオフ状態にする必要がない。このように、階調データ書き込み時間における液晶表示素子LCの表示ロス時間を無くすことができるので、階調が良い高性能な反射型液晶表示装置13を提供することができる。また、階調データ書き込み時間中に液晶表示素子LCが表示を行うことができないという制約がなくなる。従って、FHD(1920×1080)や4K2Kなどの画素数の多いものについても、階調を犠牲にすることなく、性能の良い反射型液晶表示装置13を実現することが可能である。
【0074】
<第3の実施の形態>
図6は、第3の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の回路構成を示す図である。
【0075】
列データ線d及び反転列データ線dbは、レベルシフタ/画素ドライバ65c(
図4参照)に一端が夫々接続されて列方向(y方向)に延在する。列データ線d及び反転列データ線dbは、正転サブフレーム階調データ用の列データ線djと反転階調データ用の反転列データ線dbjとを1対とする、全部でn対の列データ線のうちの、任意の1対である。画素Pix1は、任意の1対の列データ線d及び反転列データ線dbと、任意の1本の行走査線gと、の交差部に設けられている。
【0076】
画素Pix1は、第1メモリ91及び第2メモリ92と、液晶表示素子LCと、を含む。第1メモリ91は、スイッチSW11a及びSW11bと、第1信号保持回路SM11と、を含む。第2メモリ92は、スイッチSW12a及びSW12bと、第2信号保持回路SM12と、を含む。
【0077】
画素Pix1では、第1メモリ91及び第2メモリ92の各々が、スタティックランダムアクセスメモリ(Static Random Access Memory:SRAM)で構成されている。
【0078】
スイッチSW11a及びSW11bが、本開示の「第1スイッチング回路」の一例に相当する。第1信号保持回路SM11が、本開示の「第1信号保持回路」の一例に相当する。第1メモリ91が、本開示の「第1スタティックランダムアクセスメモリ」の一例に相当する。スイッチSW12a及びSW12bが、本開示の「第2スイッチング回路」の一例に相当する。第2信号保持回路SM12が、本開示の「第2信号保持回路」の一例に相当する。第2メモリ92が、本開示の「第2スタティックランダムアクセスメモリ」の一例に相当する。
【0079】
スイッチSW11aは、ゲートが行走査線gに接続され、ドレインが列データ線dに接続され、ソースが第1信号保持回路SM11の一方の入力端子に接続されている、Nチャネル型のMOS(Metal Oxide Semiconductor:金属酸化物半導体)(以下、NMOS)トランジスタで構成されている。スイッチSW11bは、ゲートが行走査線gに接続され、ドレインが反転列データ線dbに接続され、ソースが第1信号保持回路SM11の他方の入力端子に接続されている、NMOSトランジスタで構成されている。
【0080】
第1信号保持回路SM11は、一方の出力端子が他方の入力端子に接続された2つのインバータINV1及びINV2で構成される、自己保持型メモリである。インバータINV1の入力端子は、インバータINV2の出力端子と、スイッチSW11aを構成するNMOSトランジスタのソースと、スイッチSW12aと、に接続されている。インバータINV2の入力端子は、インバータINV1の出力端子と、スイッチSW11bを構成するNMOSトランジスタのソースと、スイッチSW12bと、に接続されている。
【0081】
スイッチSW12aは、ゲートがトリガ線trigに接続され、ドレインが第1信号保持回路SM11とスイッチSW11aとの接続点に接続され、ソースが第2信号保持回路SM12の一方の入力端子に接続されている、NMOSトランジスタで構成されている。スイッチSW12bは、ゲートがトリガ線trigに接続され、ドレインが第1信号保持回路SM11とスイッチSW11bとの接続点に接続され、ソースが第2信号保持回路SM12の他方の入力端子に接続されている、NMOSトランジスタで構成されている。
【0082】
第2信号保持回路SM12は、一方の出力端子が他方の入力端子に接続された2つのインバータINV3及びINV4で構成される、自己保持型メモリである。インバータINV3の入力端子は、インバータINV4の出力端子と、スイッチSW12aを構成するNMOSトランジスタのソースと、反射電極PEと、に接続されている。インバータINV4の入力端子は、インバータINV3の出力端子と、スイッチSW12bを構成するNMOSトランジスタのソースと、に接続されている。
【0083】
インバータINV1、INV2、INV3及びINV4の各々は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)インバータの構成が例示される。
【0084】
図7は、CMOSインバータの回路構成を示す図である。PMOSトランジスタPtrのソースは、電源電圧VDDに接続されている。PMOSトランジスタPtrのドレインは、NMOSトランジスタNtrのドレインに接続されている。NMOSトランジスタNtrのソースは、基準電圧GNDに接続されている。PMOSトランジスタPtrのゲートとNMOSトランジスタNtrのゲートとは接続されており、CMOSインバータの入力端子INである。PMOSトランジスタPtrのドレインとNMOSトランジスタNtrのドレインとは接続されており、CMOSインバータの出力端子OUTである。
【0085】
再び
図6を参照すると、第1メモリ91への階調データ書き込みは、正転行走査パルスによって動作する2つのスイッチSW11a及びSW11bを経由して行われる。列データ線dと反転列データ線dbとには、互いに逆極性の階調データが供給される。2つのスイッチSW11a及びSW11bは、NMOSトランジスタで構成されている。スイッチSW11a及びSW11bのうち、一方のスイッチのNMOSトランジスタのドレインには電源電圧VDDが供給され、他方のスイッチのNMOSトランジスタのドレインには基準電圧GNDが供給される。一方のNMOSトランジスタのドレインに電源電圧VDDが供給される場合、NMOSトランジスタのソースからは、電源電圧VDDからNMOSトランジスタの閾値電圧Vth分だけ低い電圧しか、出力されない。しかも、この電圧では、NMOSトランジスタを閾値電圧Vth近辺で駆動することになるので、電流がほとんど流れなくなる。このため、他方の基準電圧GNDが供給されるNMOSトランジスタによって、第1メモリ91に階調データが書き込まれる。
【0086】
第2メモリ92への階調データ書き込みは、正転トリガパルスTRIGによって動作する2つのスイッチSW12a及びSW12bを経由して行われる。インバータINV2の出力端子とスイッチSW12aとの間の配線mと、インバータINV1の出力端子とスイッチSW12bとの間の配線mbと、には、互いに逆極性の階調データが供給される。2つのスイッチSW12a及びSW12bは、NMOSトランジスタで構成されている。スイッチSW12a及びSW12bのうち、一方のスイッチのNMOSトランジスタのドレインには電源電圧VDDが供給され、他方のスイッチのNMOSトランジスタのドレインには基準電圧GNDが供給される。一方のNMOSトランジスタのドレインに電源電圧VDDが供給される場合、NMOSトランジスタのソースからは、電源電圧VDDからNMOSトランジスタの閾値電圧Vth分だけ低い電圧しか、出力されない。しかも、この電圧では、NMOSトランジスタを閾値電圧Vth近辺で駆動することになるので、電流がほとんど流れなくなる。このため、他方の基準電圧GNDが供給されるNMOSトランジスタによって、第2メモリ92に階調データが書き込まれる。
【0087】
正転トリガパルスTRIGが供給された場合に、第2メモリ92の階調データを第1メモリ91の階調データによって書き換える必要がある。つまり、第2メモリ92の階調データによって第1メモリ91の階調データが書き換わってはならない。このため、第2メモリ92を構成するインバータINV3及びINV4の駆動力は、第1メモリ91を構成するインバータINV1及びINV2の駆動力よりも、小さくする必要がある。つまり、第1メモリ91と第2メモリ92の階調データが異なっていた場合、正転トリガパルスTRIGが供給されたときに、インバータINV1の出力とインバータINV3の出力とが競合することになる。インバータINV4の階調データをインバータINV1の階調データによって確実に書き換えることができるように、インバータINV1の駆動力は、インバータINV3の駆動力よりも大きくする必要がある。
【0088】
同様に、インバータINV2とインバータINV4との競合では、インバータINV3の階調データをインバータINV2の階調データによって確実に書き換えることができる必要がある。従って、インバータINV2の駆動力は、インバータINV4の駆動力よりも大きくする必要がある。
【0089】
図8は、インバータ間の駆動力の大小関係を説明する図である。
【0090】
インバータINV1とインバータINV3との関係を簡単に説明すると、配線mbにおける第1メモリ91の階調データが“H”レベルの場合、インバータINV1のPMOSトランジスタPT1がオンしている状態である。それに対し、第2メモリ92のmb側の階調データが既に“L”レベルであった場合、インバータINV3のNMOSトランジスタNT2がオンしている状態である。
【0091】
正転トリガパルスTRIGの“H”レベルによって、スイッチSW12bを構成するNMOSトランジスタがオンし、インバータINV1とインバータINV3との出力同士が導通した場合を検討する。電流は、電源電圧VDDからインバータINV1のPMOSトランジスタPT1及びインバータINV3のNMOSトランジスタNT2を経由して基準電圧GNDへ流れる。このとき、配線mbの電圧は、インバータINV1のPMOSトランジスタPT1及びインバータINV3のNMOSトランジスタNT2のオン抵抗の比によって、決まる。
【0092】
逆に、配線mbにおける第1メモリ91の階調データが“L”レベルの場合、インバータINV1のNMOSトランジスタNT1がオンしている状態である。それに対し、第2メモリ92のmb側の階調データが既に“H”レベルであった場合、インバータINV3のPMOSトランジスタPT2がオンしている状態である。
【0093】
正転トリガパルスTRIGの“H”レベルによって、スイッチSW12bを構成するNMOSトランジスタがオンし、インバータINV1とインバータINV3との出力同士が導通した場合を検討する。電流は、電源電圧VDDからインバータINV3のPMOSトランジスタPT2及びインバータINV1のNMOSトランジスタNT1を経由して基準電圧GNDへ流れる。このとき、配線mbの電圧は、インバータINV3のPMOSトランジスタPT2及びインバータINV1のNMOSトランジスタNT1のオン抵抗の比によって、決まる。
【0094】
また、配線mbには、インバータINV4(
図6参照)の入力ゲートが接続されている。インバータINV4は、配線mbの電圧レベルの入力によって、出力データが“L”レベル又は“H”レベルに確定される。つまり、第2メモリ92の出力データは、配線mbの電圧レベルによって決定される。従って、第1メモリ91の階調データによって第2メモリ92の階調データを書き換えるためには、インバータINV1及びINV2のトランジスタのオン抵抗が、インバータINV3及びINV4のトランジスタのオン抵抗よりも低い必要がある。インバータINV1及びINV2のトランジスタのオン抵抗がインバータINV3及びINV4のトランジスタのオン抵抗よりも低いことにより、第1メモリ91の階調データは、第2メモリ92の階調データレベルによらず、第2メモリ92に確実に書き込まれる。
【0095】
オン抵抗が低いトランジスタを使用するということは、駆動力が高いトランジスタを使用するということで実現でき、ゲート長を小さくしたり、ゲート幅を大きくしたりすることで実現できる。
【0096】
再び
図6を参照すると、全部の画素Pix1の第2メモリ92に第1メモリ91に記憶されていた階調データが一斉に転送されると、正転トリガパルスTRIGが“L”レベルとなり、スイッチSW12a及びSW12bがオフ状態になる。このため、第2メモリ92は、転送された階調データを保持し、任意の時間(ここでは、1サブフレーム期間)、反射電極PEの電位を、階調データに応じた電位に固定することができる。
【0097】
なお、スイッチSW11a、SW11b、SW12a及びSW12bは、PMOSトランジスタで構成しても良い。その場合は、上記の説明とは逆極性として考えればよいので、図示及び説明を省略する。
【0098】
また、スイッチSW11a、SW11b、SW12a及びSW12bは、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとで構成されるトランスミッションゲートであっても良い。
【0099】
図9は、第3の実施の形態の反射型液晶表示装置の動作を示すタイミング図である。
【0100】
前述したように、反射型液晶表示装置13(
図4参照)において、垂直シフトレジスタ63から出力される正転行走査パルスによって、行走査線g1から行走査線gmへ向って、行走査線gが1本ずつ順次1H単位で選択されていく。これにより、画像表示部61を構成する複数の画素Pix1は、選択された行走査線gに共通に接続された1行のn個の画素Pix1単位で階調データの書き込みが行われる。そして、画像表示部61を構成する複数の画素Pix1の全部への書き込みが終わった後、正転トリガパルスTRIGによって、全部の画素Pix1の第1メモリ91から第2メモリ92への転送が一斉に行われる。
【0101】
図9(A)は、水平ドライバ65から列データ線d1からdnまでに出力される1ビットのサブフレーム階調データの一画素の書き込み期間及び読み出し期間を模式的に示す。右下がりの斜線が書き込み期間を示す。なお、
図9(A)中、ビットB0b、B1b及びB2bは、ビットB0、B1及びB2の階調データの反転データである。
【0102】
図9(B)は、タイミングジェネレータ62からトリガ線trigに出力される正転トリガパルスTRIGを示す。正転トリガパルスTRIGは、1サブフレーム毎に出力される。
【0103】
図9(C)は、反射電極PEに印加されるサブフレーム階調データのビットを模式的に示す。
図9(D)は、共通電極電圧Vcomを示す。
図9(E)は、液晶LCMに印加される電圧を示す。
【0104】
まず、タイミングジェネレータ62から出力される正転行走査パルスによって選択された1行の複数の画素Pix1は、正転行走査パルスによって、スイッチSW11a及びSW11bがオン状態になる。そのとき、列データ線dに出力されるビットB0(
図9(A))の正転サブフレーム階調データが、スイッチSW11aによってサンプリングされ、第1信号保持回路SM11に書き込まれる。以下、同様にして、画像表示部61を構成する全ての画素Pix1の第1信号保持回路SM11にビットB0の正転サブフレーム階調データの書き込みが行われる。その書き込み動作が終了した後のタイミングT1において、“H”レベルの正転トリガパルスTRIG(
図9(B))が、画像表示部61を構成する全ての画素Pix1に同時に供給される。
【0105】
これにより、全ての画素Pix1のスイッチSW12a及びSW12bがオン状態となる。従って、第1信号保持回路SM11に記憶されているビットB0の正転サブフレーム階調データが、スイッチSW12a及びSW12bを経由して、第2信号保持回路SM12に一斉に転送されて保持される。それと共に、ビットB0の正転サブフレーム階調データが反射電極PEに印加される。第2信号保持回路SM12によるビットB0の正転サブフレーム階調データの保持期間は、タイミングT1から、次の“H”レベルの正転トリガパルスTRIGが入力されるタイミングT2まで、の1サブフレーム期間である。
【0106】
ここで、サブフレーム階調データのビット値が「1」即ち“H”レベルの場合、反射電極PEには、電源電圧VDD(例えば、3.3V)が印加される。サブフレーム階調データのビット値が「0」即ち“L”レベルの場合、反射電極PEには、基準電圧GND(例えば、0V)が印加される。一方、共通電極CEには、基準電圧GND、電源電圧VDDに制限されることなく、自由な電圧が共通電極電圧Vcomとして印加できるようになっている。共通電極電圧Vcomは、“H”レベルの正転トリガパルスTRIGが供給される時と同時タイミングで規定の電圧に切り替わるようにされている。ここでは、共通電極電圧Vcomは、正転サブフレーム階調データが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間(例えば、タイミングT1からタイミングT2まで)は、
図9(D)に示すように、0Vよりも液晶の閾値電圧Vttだけ低い電圧に設定される。
【0107】
液晶表示素子LCは、反射電極PEの印加電圧と共通電極電圧Vcomとの差電圧の絶対値である、液晶LCMの印加電圧に応じた階調表示を行う。タイミングT1からタイミングT2までの1サブフレーム期間では、ビットB0の正転サブフレーム階調データが反射電極PEに印加される。従って、液晶LCMの印加電圧は、
図9(E)に示すように、サブフレーム階調データのビット値が「1」の場合は3.3V+Vtt(=3.3V-(-Vtt))となる。一方、液晶LCMの印加電圧は、サブフレーム階調データのビット値が「0」の場合は+Vtt(=0V-(-Vtt))となる。
【0108】
図10は、液晶の印加電圧(RMS(実効)電圧)とグレースケール値との関係を示す図である。
【0109】
図10に示すように、グレースケール値曲線101は、高い電圧側にシフトされる。具体的には、黒のグレースケール値が液晶LCMの閾値電圧VttのRMS電圧に対応し、白のグレースケール値が液晶LCMの飽和電圧Vsat(=3.3V+Vtt)のRMS電圧に対応する。グレースケール値をグレースケール値曲線101の有効部分に一致させることが可能である。従って、液晶表示素子LCは、上記のように液晶LCMの印加電圧が(3.3V+Vtt)のときは白を表示し、+Vttのときは黒を表示する。
【0110】
再び
図9を参照すると、ビットB0の正転サブフレーム階調データを表示しているサブフレーム期間内において、ビットB0b(
図9(A)参照)の反転サブフレーム階調データの、画素Pix1の第1信号保持回路SM11への書き込みが順番に開始される。そして、画像表示部61の全部の画素Pix1の第1信号保持回路SM11にビットB0bの反転サブフレーム階調データが書き込まれる。その書き込み終了後のタイミングT2において、“H”レベルの正転トリガパルスTRIGが画像表示部61を構成する全ての画素Pix1に同時に供給される。
【0111】
これにより、全ての画素Pix1のスイッチSW12a及びSW12bがオン状態になる。従って、第1信号保持回路SM11に記憶されているビットB0bの反転サブフレーム階調データが、スイッチSW12a及びSW21bを経由して、第2信号保持回路SM
12に転送されて保持される。それと共に、ビットB0bの反転サブフレーム階調データが反射電極PEに印加される。第2信号保持回路SM12によるビットB0bの反転サブフレーム階調データの保持期間は、タイミングT2から、次の“H”レベルの正転トリガパルスTRIGが供給されるタイミングT3まで、の1サブフレーム期間である。ここで、ビットB0bの反転サブフレーム階調データは、ビットB0の正転サブフレーム階調データと常に逆論理値の関係にある。従って、ビットB0bの反転サブフレーム階調データは、ビットB0の正転サブフレーム階調データが「1」の場合は「0」であり、ビットB0の正転サブフレーム階調データが「0」の場合は「1」である。
【0112】
一方、共通電極電圧Vcomは、反転サブフレーム階調データが反射電極PEに印加されるタイミングT2からタイミングT3までの1サブフレーム期間は、
図9(D)に示すように、3.3Vよりも液晶LCMの閾値電圧Vttだけ高い電圧に設定される。従って、タイミングT2からタイミングT3までの1サブフレーム期間では、液晶LCMの印加電圧は、
図9(E)に示すように、サブフレーム階調データのビット値が「1」の場合は-Vtt(=3.3V-(3.3V+Vtt))となる。一方、液晶LCMの印加電圧は、サブフレーム階調データのビット値が「0」の場合は、-3.3V-Vtt(=0V-(3.3V+Vtt))となる。
【0113】
ビットB0の正転サブフレーム階調データのビット値が「1」であった場合は、続いて入力されるビットB0bの反転サブフレーム階調データのビット値は「0」である。そのため、液晶LCMの印加電圧は、-(3.3V+Vtt)となり、液晶LCMに印加される電位の方向は、ビットB0の正転サブフレーム階調データの時とは逆となるが絶対値が同じである。従って、画素Pix1は、ビットB0の正転サブフレーム階調データ表示の時と同様に、白を表示する。同様に、ビットB0の正転サブフレーム階調データのビット値が「0」であった場合は、続いて入力されるビットB0bの反転サブフレーム階調データのビット値は「1」である。そのため、液晶LCMの印加電圧は、-Vttとなり、液晶LCMに印加される電位の方向はビットB0の正転サブフレーム階調データの時とは逆となるが絶対値が同じである。従って、画素Pix1は、ビットB0の正転サブフレーム階調データ表示の時と同様に、黒を表示する。
【0114】
従って、画素Pix1は、
図9(E)に示すように、タイミングT1からT3までの2サブフレーム期間は、ビットB0と、ビットB0の相補ビットであるビットB0bと、で同じ階調を表示する。それと共に、画素Pix1は、液晶LCMの電位方向がサブフレーム毎に反転する交流駆動を行う。これにより、画素Pix1は、液晶LCMの焼き付きを防止することができる。
【0115】
続いて、ビットB0bの反転サブフレーム階調データを表示しているサブフレーム期間内において、ビットB1(
図9(A)参照)の正転サブフレーム階調データの画素Pix1の第1信号保持回路SM11への書き込みが順番に開始される。そして、画像表示部61の全部の画素Pix1の第1信号保持回路SM11にビットB1の正転サブフレーム階調データが書き込まれる。その書き込み終了後のタイミングT3において、“H”レベルの正転トリガパルスTRIGが画像表示部61を構成する全ての画素Pix1に同時に供給される。
【0116】
これにより、全ての画素Pix1のスイッチSW12a及びSW12bがオン状態になる。従って、第1信号保持回路SM11に記憶されているビットB1の正転サブフレーム階調データが、スイッチSW12a及びSW12bを経由して、第2信号保持回路SM12に転送されて保持される。それと共に、ビットB1の正転サブフレーム階調データが反射電極PEに印加される。第2メモリ92によるビットB1の正転サブフレーム階調データの保持期間は、タイミングT3から、次の“H”レベルの正転トリガパルスTRIGが供給されるタイミングT4まで、の1サブフレーム期間である。
【0117】
一方、共通電極電圧Vcomは、正転サブフレーム階調データが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間は、
図9(D)に示すように、0Vよりも液晶LCMの閾値電圧Vttだけ低い電圧に設定される。タイミングT3からタイミングT4までの1サブフレーム期間では、ビットB1の正転サブフレーム階調データが反射電極PEに印加される。従って、液晶LCMの印加電圧は、
図9(E)に示すように、サブフレーム階調データのビット値が「1」の場合は3.3V+Vtt(=3.3V-(-Vtt))となる。一方、液晶LCMの印加電圧は、サブフレーム階調データのビット値が「0」の場合は、+Vtt(=0V-(-Vtt))となる。
【0118】
続いて、ビットB1の正転サブフレーム階調データを表示しているサブフレーム期間内において、ビットB1b(
図9(A)参照)の反転サブフレーム階調データの画素Pix1の第1信号保持回路SM11への書き込みが順番に開始される。そして、画像表示部61の全部の画素Pix1の第1信号保持回路SM11にビットB1bの反転サブフレーム階調データが書き込まれる。その書き込み終了後のタイミングT4において、“H”レベルの正転トリガパルスTRIGが画像表示部61を構成する全ての画素Pix1に同時に供給される。
【0119】
これにより、全ての画素Pix1のスイッチSW12a及びSW12bがオン状態になる。従って、第1信号保持回路SM11に記憶されているビットB1bの反転サブフレーム階調データが、スイッチSW12a及びSW12bを経由して、第2信号保持回路SM12に転送されて保持される。それと共に、ビットB1bの反転サブフレーム階調データが反射電極PEに印加される。第2信号保持回路SM12によるビットB1bの反転サブフレーム階調データの保持期間は、タイミングT4から、次の“H”レベルの正転トリガパルスTRIGが供給されるタイミングT5まで、の1サブフレーム期間である。ここで、ビットB1bの反転サブフレーム階調データは、ビットB1の正転サブフレーム階調データと常に逆論理値の関係にある。
【0120】
一方、共通電極電圧Vcomは、反転サブフレーム階調データが反射電極PEに印加されるサブフレーム期間は、
図9(D)に示すように、3.3Vよりも液晶LCMの閾値電圧Vttだけ高い電圧に設定される。タイミングT4からタイミングT5までの1サブフレーム期間では、ビットB1bの反転サブフレーム階調データが反射電極PEに印加される。従って、液晶LCMの印加電圧は、
図9(E)に示すように、サブフレーム階調データのビット値が「1」の場合は、-Vtt(=3.3V-(3.3V+Vtt))となる。一方、液晶LCMの印加電圧は、サブフレーム階調データのビット値が「0」の場合は、-3.3V-Vtt(=0V-(3.3V+Vtt))となる。
【0121】
従って、画素Pix1は、
図9(E)に示すように、タイミングT3からT5までの2サブフレーム期間は、ビットB1と、ビットB1の相補ビットであるビットB1bと、で同じ階調を表示する。それと共に、画素Pix1は、液晶LCMの電位方向がサブフレーム毎に反転する交流駆動を行う。これにより、画素Pix1は、液晶LCMの焼き付きを防止することができる。
【0122】
以降、上記と同様の動作が繰り返され、画素Pix1を含む反射型液晶表示装置13によれば、複数のサブフレームの組み合わせによって階調表示を行うことができる。
【0123】
なお、ビットB0の表示期間長と、相補ビットであるビットB0bの表示期間長と、は同じ第1のサブフレーム期間長である。また、ビットB1の表示期間長と、相補ビットであるビットB1bの表示期間長と、は同じ第2のサブフレーム期間長である。但し、第1のサブフレーム期間長と第2のサブフレーム期間長とは、同一であるとは限らない。ここでは、一例として第2のサブフレーム期間長は、第1のサブフレーム期間長の2倍に設定されている。また、ビットB2の表示期間長と、相補ビットであるビットB2bの表示期間長と、である第3のサブフレーム期間長は、第2のサブフレーム期間長の2倍に設定されている。他のサブフレーム期間についても同様であり、システムに従って各サブフレーム期間長が所定の長さに決められ、またサブフレーム数も任意の数に決定される。
【0124】
(まとめ)
第2メモリ92に書き込まれる階調データは、1サブフレーム毎に切り替わる正転サブフレーム階調データ及び反転サブフレーム階調データである。一方、共通電極電圧Vcomは、書き込みと同期して1サブフレーム毎に所定電位に交互に切り替わる。これにより、画素Pix1は、液晶表示素子LCの正負の交流駆動を行うことができる。従って、反射型液晶表示装置13は、液晶表示素子LCが焼き付くことを抑制できるので、信頼性を高めることができる。
【0125】
また、画素Pix1は、階調データ書き込み時間において、反射電極PEと共通電極CEとを同電位にして液晶表示素子LCをオフ状態にする必要がない。従って、反射型液晶表示装置13は、階調データ書き込み時間における液晶表示素子LCの表示ロス時間を無くすことができるので、階調を良くすることができる。また、反射型液晶表示装置13は、階調データ書き込み時間中に液晶表示素子LCが表示を行うことができないという制約がなくなるので、FHDや4K2Kなどの画素数の多いものについても、階調を犠牲にすることがない。
【0126】
また、画素Pix1は、インバータINV1及びINV2の駆動力をインバータINV3及びINV4の駆動力よりも大きく設定したので、安定且つ正確な階調表示ができる。
【0127】
また、画素Pix1は、液晶表示素子LCの印加電圧を高く設定することができ、ダイナミックレンジを広くすることができる。これにより、反射型液晶表示装置13は、コントラストの低下を抑制でき、明るさの低下を抑制できる。また、反射型液晶表示装置13は、反射光の反射角度を大きくすることができる。
【0128】
コントラストの低下を抑制でき、明るさの低下を抑制できる第3の実施の形態の反射型液晶表示装置13をWSSアレイ10に適用すると、出力ビーム31aから31cまで(
図1参照)のコントラストの低下を抑制でき、明るさの低下を抑制できる。これにより、WSSアレイ10は、波長チャネルのS/N(signal/noise)比を向上させることができる。
【0129】
また、反射光の反射角度を大きくすることができる第3の実施の形態の反射型液晶表示装置を第1の実施の形態のWSSアレイ10に適用すると、出力ビーム31aから31cまで(
図1参照)の空間的な間隔を広くすることができる。これにより、WSSアレイ10は、波長チャネルのS/N比を向上させることができる。或いは、WSSアレイ10は、出力ビーム31aから31cまでの空間的な間隔を維持したまま、新たな出力ビームを出力することが可能になる。これにより、WSSアレイ10は、波長チャネルを増加させることができる。
【0130】
また、画素Pix1は、第1信号保持回路SM11及び第2信号保持回路SM12がスタティックランダムアクセスメモリである。従って、画素Pix1は、ノイズ耐性を高めることができる。
【0131】
<第4の実施の形態>
図11は、第4の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の回路構成を示す図である。
【0132】
第4の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素Pix2の構成要素のうち、第3の実施の形態の画素Pix1と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0133】
画素Pix2は、任意の1本の列データ線dと、任意の1本の行走査線gと、の交差部に設けられている。
【0134】
画素Pix2は、第1メモリ111及び第2メモリ112と、液晶表示素子LCと、を含む。第1メモリ111は、スイッチSW13と、第1信号保持回路SM13と、を含む。第2メモリ112は、スイッチSW14と、第2信号保持回路SM14と、を含む。
【0135】
画素Pix2では、第1メモリ111及び第2メモリ112の各々が、SRAMで構成されている。
【0136】
スイッチSW13が、本開示の「第1スイッチング回路」の一例に相当する。第1信号保持回路SM13が、本開示の「第1信号保持回路」の一例に相当する。第1メモリ111が、本開示の「第1スタティックランダムアクセスメモリ」の一例に相当する。スイッチSW14が、本開示の「第2スイッチング回路」の一例に相当する。第2信号保持回路SM14が、本開示の「第2信号保持回路」の一例に相当する。第2メモリ112が、本開示の「第2スタティックランダムアクセスメモリ」の一例に相当する。
【0137】
画素Pix2は、画素Pix1(
図6参照)と同様に、SRAM2段で構成しているが、第1信号保持回路SM13及び第2信号保持回路SM14への書き込みは、スイッチSW13及びSW14を経由して行われる点に特徴がある。
【0138】
スイッチSW13は、ゲートが行走査線gに接続され、ドレインが列データ線dに接続され、ソースが第1信号保持回路SM13の一方の入力端子に接続されている、NMOSトランジスタで構成されている。
【0139】
第1信号保持回路SM13は、一方の出力端子が他方の入力端子に接続された2つのインバータINV11及びINV12で構成される、自己保持型メモリである。インバータINV11の入力端子は、インバータINV12の出力端子と、スイッチSW13を構成するNMOSトランジスタのソースと、に接続されている。インバータINV12の入力端子は、インバータINV11の出力端子と、スイッチSW14を構成するNMOSトランジスタのドレインと、に接続されている。
【0140】
スイッチSW14は、ゲートがトリガ線trigに接続され、ドレインが第1信号保持回路SM13の出力端子に接続され、ソースが第2信号保持回路SM14の入力端子に接続されている、NMOSトランジスタで構成されている。
【0141】
第2信号保持回路SM14は、一方の出力端子が他方の入力端子に接続された2つのインバータINV13及びINV14で構成される、自己保持型メモリである。インバータINV13の入力端子は、インバータINV14の出力端子と、反射電極PEと、に接続されている。インバータINV14の入力端子は、インバータINV13の出力端子と、スイッチSW14を構成するNMOSトランジスタのソースと、に接続されている。
【0142】
インバータINV11、INV12、INV13及びINV14の各々は、CMOSインバータ(
図7参照)の構成が例示される。
【0143】
画素Pix2は、第3の実施の形態で
図9のタイミング図と共に説明した動作と同様の動作を行う。
【0144】
まず、タイミングジェネレータ62から出力される正転行走査パルスによって選択された1行の複数の画素Pix2は、正転行走査パルスによって、スイッチSW13がオン状態になる。そのとき、列データ線dに出力される正転サブフレーム階調データが、スイッチSW13によってサンプリングされ、第1信号保持回路SM13に書き込まれる。以下、同様にして、画像表示部61を構成する全ての画素Pix2の第1信号保持回路SM13に正転サブフレーム階調データの書き込みが行われる。その書き込み動作が終了した後のタイミングにおいて、“H”レベルの正転トリガパルスTRIGが、画像表示部61を構成する全ての画素Pix2に同時に供給される。
【0145】
これにより、全ての画素Pix2のスイッチSW14がオン状態となる。従って、第1信号保持回路SM13に記憶されている正転サブフレーム階調データが、スイッチSW14を経由して、第2信号保持回路SM14に一斉に転送されて保持される。それと共に、正転サブフレーム階調データが、反射電極PEに印加される。第2信号保持回路SM14による正転サブフレーム階調データの保持期間は、次の“H”レベルの正転トリガパルスTRIGが入力されるまでの1サブフレーム期間である。
【0146】
続いて、画像表示部61内の各画素Pix2は、上記と同様にして正転行走査パルスによって、行単位で選択され、各画素Pix2に直前の正転サブフレーム階調データと逆論理値の反転サブフレーム階調データが、第1信号保持回路SM13に書き込まれる。画像表示部61を構成する全ての画素Pix2の第1信号保持回路SM13への反転サブフレーム階調データの書き込みが終了すると、“H”レベルの正転トリガパルスTRIGが画像表示部61を構成する全ての画素Pix2に同時に供給される。
【0147】
これにより、全ての画素Pix2のスイッチSW14がオン状態になる。従って、第1信号保持回路SM13に記憶されている反転サブフレーム階調データが、スイッチSW14を経由して、第2信号保持回路SM14に一斉に転送されて保持される。それと共に、反転サブフレーム階調データが、反射電極PEに印加される。第2信号保持回路SM14による反転サブフレーム階調データの保持期間は、次の“H”レベルの正転トリガパルスTRIGが供給されるまでの1サブフレーム期間である。
【0148】
第1信号保持回路SM13へのデータ書き込みは、上記のように1個のスイッチSW13を経由して行われる。この場合、スイッチSW13から見て入力側のインバータINV11内のトランジスタは、スイッチSW13から見て出力側のインバータINV12内のトランジスタと比較して、駆動力が大きいトランジスタを用いている。更に、スイッチSW13を構成しているNMOSトランジスタは、インバータINV12を構成しているトランジスタよりも駆動力が大きいトランジスタを用いている。
【0149】
これは、第1信号保持回路SM13の階調データを書き換える場合に関係する。特に、第1信号保持回路SM13のスイッチSW13側の電圧aが“L”レベルであり、且つ、列データ線dのデータが“H”レベルである場合に、インバータINV11が反転する入力電圧(閾値電圧)よりも、電圧aを高くする必要があるからである。
【0150】
即ち、“H”レベルの場合の電圧aは、インバータINV12を構成するNMOSトランジスタの電流とスイッチSW13を構成するNMOSトランジスタの電流との比によって決まる。スイッチSW13は、NMOSトランジスタである。従って、スイッチSW13がオン状態の場合に、“H”レベルの電源電圧VDDが列データ線dからドレインに入力されても、ソースから出力される電圧は、電源電圧VDDよりもNMOSトランジスタの閾値電圧Vthだけ低くなる。つまり、電圧aの“H”レベルの電圧は、電源電圧VDDから閾値電圧Vthだけ低い電圧になる。しかも、この電圧では、スイッチSW13のNMOSトランジスタは、閾値電圧Vth近辺で動作することになるので、電流が殆ど流れなくなる。つまり、スイッチSW13を導通する電圧aが高くなるほど、スイッチSW13で流す電流は少なくなる。
【0151】
つまり、電圧aが“H”レベルの場合に、電圧aがインバータINV11のNMOSトランジスタが反転する電圧以上に達するためには、スイッチSW13に流れる電流が、インバータINV12のNMOSトランジスタを流れる電流よりも、大きい必要がある。従って、スイッチSW13を構成しているNMOSトランジスタは、駆動力がインバータINV12を構成しているNMOSトランジスタよりも大きいトランジスタを用いる。この駆動力の大小関係を考慮して、スイッチSW13を構成しているNMOSトランジスタのトランジスタサイズと、インバータINV12を構成しているNMOSトランジスタのトランジスタサイズと、を決める必要がある。
【0152】
また、第2信号保持回路SM14へのデータ書き込みは、1個のスイッチSW14を経由して行われる。この場合、スイッチSW14から見て入力側のインバータINV14内のトランジスタは、スイッチSW14から見て出力側のインバータINV13内のトランジスタと比較して、駆動力が大きいトランジスタを用いている。
【0153】
正転トリガパルスTRIGが“H”レベルとなってスイッチSW14がオン状態になった場合について、検討する。第1信号保持回路SM13が保持している階調データと第2信号保持回路SM14が保持している階調データとが異なる場合、インバータINV11の出力とインバータINV13の出力とが競合することになる。しかしながら、インバータINV11の駆動力はインバータINV13の駆動力よりも大きい。従って、第1信号保持回路SM13の階調データが第2信号保持回路SM14の階調データによって書き換わることなく、第2信号保持回路SM14の階調データが第1信号保持回路SM13の階調データによって書き換わる。
【0154】
更に、スイッチSW14を構成しているNMOSトランジスタは、インバータINV13を構成しているNMOSトランジスタと比較して、駆動力が大きいトランジスタを用いている。
【0155】
これは、第2信号保持回路SM14の階調データを書き換える場合に関係する。特に、第2信号保持回路SM14のスイッチSW14側の電圧bが“L”レベルであり、且つ、第1信号保持回路SM13の階調データが“H”レベルである場合に、インバータINV14が反転する閾値電圧よりも、電圧bを高くする必要があるからである。
【0156】
即ち、“H”レベルの場合の電圧bは、インバータINV13を構成するNMOSトランジスタの電流とスイッチSW14を構成するNMOSトランジスタの電流との比によって決まる。スイッチSW14は、NMOSトランジスタである。従って、スイッチSW14がオン状態の場合に、“H”レベルの電源電圧VDDが第1信号保持回路SM13からドレインに入力されても、ソースから出力される電圧は、電源電圧VDDよりもNMOSトランジスタの閾値電圧Vthだけ低い電圧になる。つまり、電圧bの“H”レベルの電圧は、電源電圧VDDから閾値電圧Vthだけ低い電圧になる。しかも、この電圧では、スイッチSW14のNMOSトランジスタは、閾値電圧Vth近辺で動作することになるので、電流が殆ど流れなくなる。つまり、スイッチSW14を導通する電圧bが高くなるほど、スイッチSW14で流す電流は少なくなる。
【0157】
つまり、電圧bが“H”レベルの場合に、電圧bがインバータINV14のNMOSトランジスタが反転する電圧以上に達するためには、スイッチSW14に流れる電流が、インバータINV13のNMOSトランジスタを流れる電流よりも、大きい必要がある。従って、スイッチSW14を構成しているNMOSトランジスタは、駆動力がインバータINV13を構成しているNMOSトランジスタよりも大きいトランジスタを用いる。この駆動力の大小関係を考慮して、スイッチSW14を構成しているNMOSトランジスタのトランジスタサイズと、インバータINV13を構成するNMOSトランジスタのトランジスタサイズと、を決める必要がある。
【0158】
全部の画素Pix2の第2メモリ112に第1メモリ111に保持されていた階調データが一斉に転送されると、正転トリガパルスTRIGが“L”レベルとなり、スイッチSW14がオフ状態になる。このため、第2メモリ112は、転送された階調データを保持し、任意の時間(ここでは、1サブフレーム期間)、反射電極PEの電位を、階調データに応じた電位に固定することができる。
【0159】
なお、スイッチSW13及びSW14は、PMOSトランジスタで構成しても良い。その場合は、上記の説明とは逆極性として考えればよいので、図示及び説明を省略する。
【0160】
また、スイッチSW13及びSW14は、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとで構成されるトランスミッションゲートであっても良い。
【0161】
(まとめ)
画素Pix2は、第3の実施の形態の画素Pix1と同様の効果を奏する。
【0162】
加えて、画素Pix2は、小型化が可能であるという効果を奏する。その理由は、次の通りである。インバータINV11からインバータINV14までの各々は、2個のトランジスタで構成される。従って、画素Pix2は、計10個のトランジスタで構成され、画素Pix1(計12個のトランジスタ)よりも少ない数の素子で構成できる。
【0163】
<第5の実施の形態>
第3の実施の形態の画素Pix1は、計12個のトランジスタを必要とする。第4の実施の形態の画素Pix2は、計10個のトランジスタを必要とする。
【0164】
また、液晶表示素子LCは、3Vから5Vで駆動することが求められており、トランジスタは、3.3V又は5V駆動が必要である。従って、高耐圧で大きなサイズのトランジスタを使用する必要がある。
【0165】
更に、2個のSRAMを使用している画素Pix1及びPix2では、確実にデータを書き換えるために、各スイッチとSRAMのトランジスタサイズを考慮して設計する必要がある。駆動力を大きくする必要があるトランジスタは、サイズを大きくする必要がある。
【0166】
一方で、反射型液晶表示装置は年々高画素化しており、画素小型化の要求が強く、小さい画素ピッチにおいて、少ないトランジスタ数で、
図5に示したような2段メモリを構成する必要がある。
【0167】
第5の実施の形態の画素Pix3は、上記のような要請に応えることができる。
【0168】
図12は、第5の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の回路構成を示す図である。
【0169】
第5の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素Pix3の構成要素のうち、第3の実施の形態の画素Pix1又は第4の実施の形態の画素Pix2と同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0170】
画素Pix3は、任意の1本の列データ線dと、任意の1本の行走査線gと、の交差部に設けられている。
【0171】
画素Pix3は、第1メモリ111及び第2メモリ121と、液晶表示素子LCと、を含む。第2メモリ121は、スイッチSW21と、第2信号保持回路DM21と、を含む。
【0172】
画素Pix3では、第1メモリ111がSRAMで構成されており、第2メモリ121が、ダイナミックランダムアクセスメモリ(Dynamic Random Access Memory:DRAM)で構成されている。
【0173】
スイッチSW13が、本開示の「第1スイッチング回路」の一例に相当する。第1信号保持回路SM13が、本開示の「第1信号保持回路」の一例に相当する。第1メモリ111が、本開示の「第1スタティックランダムアクセスメモリ」の一例に相当する。スイッチSW21が、本開示の「第2スイッチング回路」の一例に相当する。第2信号保持回路DM21が、本開示の「第2信号保持回路」の一例に相当する。第2メモリ121が、本開示の「第1ダイナミックランダムアクセスメモリ」の一例に相当する。
【0174】
スイッチSW21は、互いのドレイン同士が接続され、且つ、互いのソース同士が接続されたNMOSトランジスタTr1とPMOSトランジスタTr2とで構成される、公知のトランスミッションゲートである。NMOSトランジスタTr1のゲートは、トリガ線trigに接続され、PMOSトランジスタTr2のゲートは、反転トリガ線trigbに接続されている。
【0175】
また、スイッチSW21は、一方の端子が第1信号保持回路SM13に接続され、他方の端子が第2信号保持回路DM21及び反射電極PEに接続されている。従って、スイッチSW21は、正転トリガパルスTRIGが“H”レベルの場合(この場合は、反転トリガパルスTRIGBは“L”レベル)は、オン状態になる。従って、スイッチSW21は、第1信号保持回路SM13の階調データを読み出して第2信号保持回路DM21及び反射電極PEへ転送する。また、スイッチSW21は、正転トリガパルスTRIGが“L”レベルの場合(この場合は、反転トリガパルスTRIGBは“H”レベル)は、オフ状態になり、第1信号保持回路SM13の階調データの読み出しを行わない。
【0176】
スイッチSW21は、NMOSトランジスタTr1とPMOSトランジスタTr2とで構成される公知のトランスミッションゲートであるので、基準電圧GNDから電源電圧VDDまでの範囲の電圧をオン、オフすることができる。つまり、NMOSトランジスタTr1及びPMOSトランジスタTr2のゲートに印加される信号が基準電圧GND側の電圧(“L”レベル)の場合は、PMOSトランジスタTr2が導通することができない。その代わりに、NMOSトランジスタTr1が低抵抗で導通することができる。一方、NMOSトランジスタTr1及びPMOSトランジスタTr2のゲートに印加される信号が電源電圧VDD側の電圧(“H”レベル)の場合は、NMOSトランジスタTr1が導通することができない。その代わりに、PMOSトランジスタTr2が低抵抗で導通することができる。従って、正転トリガパルスTRIGと、反転トリガパルスTRIGBと、により、スイッチSW21を構成するトランスミッションゲートをオン/オフ制御する。この制御によって、スイッチSW21は、基準電圧GNDから電源電圧VDDまでの電圧範囲を低抵抗、高抵抗でスイッチングすることができる。
【0177】
第2信号保持回路DM21は、容量C1で構成されている。ここで、第1信号保持回路SM13の階調データと第2信号保持回路DM21の階調データとが異なっていた場合を検討する。スイッチSW21がオン状態にされ、第1信号保持回路SM13の階調データが第2信号保持回路DM21へ転送されたときに、第2信号保持回路DM21の階調データを第1信号保持回路SM13の階調データで書き換える必要がある。
【0178】
第2信号保持回路DM21を構成する容量C1の階調データが書き換わる場合、その階調データは、充電又は放電によって変化する。容量C1の充放電は、インバータINV11の出力信号によって駆動される。
【0179】
容量C1の階調データを充電によって“L”レベルから“H”レベルに書き換える場合、インバータINV11の出力信号は“H”である。このとき、インバータINV11を構成するPMOSトランジスタ(
図7のPMOSトランジスタPtr参照)がオン状態であり、NMOSトランジスタ(
図7のNMOSトランジスタNtr参照)がオフ状態である。従って、インバータINV11のPMOSトランジスタのソースに接続されている電源電圧VDDによって、容量C1が充電される。
【0180】
一方、容量C1の階調データを放電によって“H”レベルから“L”レベルに書き換える場合、インバータINV11の出力信号は“L”レベルである。このとき、インバータINV11を構成するNMOSトランジスタ(
図7のNMOSトランジスタNtr参照)がオン状態であり、PMOSトランジスタ(
図7のPMOSトランジスタPtr参照)がオフ状態である。従って、容量C1の電荷が、インバータINV11のNMOSトランジスタを経由して基準電圧GNDへ放電される。スイッチSW21は、トランスミッションゲートを用いたアナログスイッチの構成であるので、容量C1の高速な充放電が可能になる。
【0181】
更に、インバータINV11の駆動力は、インバータINV12の駆動力よりも大きく設定されている。従って、インバータINV11は、第2信号保持回路DM21を構成する容量C1を、高速に充放電することが可能である。
【0182】
なお、スイッチSW21がオン状態になると、容量C1に蓄えられた電荷は、インバータINV12の入力ゲートにも影響を与え得る。しかしながら、インバータINV11の駆動力をインバータINV12よりも大きく設定しているので、インバータINV12のデータ反転よりも、インバータINV11による容量C1の充放電が優先される。従って、第1信号保持回路SM13の階調データが第2信号保持回路DM21の階調データによって書き換えられてしまうことはない。
【0183】
画素Pix3は、基準電圧GNDと電源電圧VDDとの振幅で、1ビット階調データを第1信号保持回路SM13から第2信号保持回路DM21へ転送することができる。従って、画素Pix3は、同じ電源電圧VDDで駆動した場合、液晶表示素子LCの印加電圧を高く設定することができるようになり、ダイナミックレンジを広くすることが可能になる。
【0184】
加えて、画素Pix3は、小型化が可能であるという効果を奏する。その第1の理由は、次の通りである。インバータINV11及びINV12の各々は、2個のトランジスタで構成される。従って、画素Pix3は、計7個のトランジスタと1個の容量C1とで構成され、画素Pix1(計12個のトランジスタ)、画素Pix2(計10個のトランジスタ)よりも少ない数の素子で構成できる。第2の理由は、以下に説明するように、第1信号保持回路SM13と第2信号保持回路DM21と反射電極PEとを、素子の高さ方向に有効に配置することができるからである。
【0185】
図13は、第5の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の断面構成を示す図である。
【0186】
容量C1には、配線間で容量を形成するMIM(Metal-Insulator-Metal)容量、基板-ポリシリコン間で容量を形成するDiffusion容量、2層ポリシリコン間で容量を形成するPIP(Poly-Insulator-Poly)容量等を用いることができる。
図13は、このうちMIMで容量C1を構成した場合の反射型液晶表示装置の断面構成を示す。
【0187】
図13において、シリコン基板200に形成されたNウェル201上に、拡散層を共通化することでドレイン同士が接続されたインバータINV11のPMOSトランジスタPTr11と、スイッチSW21のPMOSトランジスタTr2と、が形成されている。また、シリコン基板200に形成されたPウェル202上に、ドレインとなる拡散層を共通化することでドレイン同士が接続されたインバータINV11のNMOSトランジスタNTr11と、スイッチSW21のNMOSトランジスタTr1と、が形成されている。なお、
図13には、インバータINV12を構成するNMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタは、図示されていない。
【0188】
また、PMOSトランジスタPTr11及びTr2、並びに、NMOSトランジスタTr1及びNTr12の上方には、層間絶縁膜205をメタル間に介在させて、第1メタル206、第2メタル208、第3メタル210、電極212、第4メタル214及び第5メタル216が積層されている。第5メタル216は、画素毎に形成される反射電極PEを構成している。スイッチSW21を構成するNMOSトランジスタTr1及びPMOSトランジスタTr2のソースを夫々構成する2つの拡散層は、2つのコンタクト218によって第1メタル206に夫々電気的に接続されている。更に、2つの拡散層は、スルーホール219a、219b、219c及び219eを介して、第2メタル208、第3メタル210、第4メタル214及び第5メタル216に電気的に接続されている。即ち、スイッチSW21を構成するNMOSトランジスタTr1及びPMOSトランジスタTr2の各々のソースは、反射電極PEに電気的に接続されている。
【0189】
更に、反射電極PE(第5メタル216)上には、保護膜としてパッシベーション膜(PSV)217が形成され、透明電極である共通電極CEに離間対向配置されている。それら反射電極PEと共通電極CEとの間に、液晶LCMが充填封止されて、液晶表示素子LCが構成されている。
【0190】
ここで、第3メタル210上には、層間絶縁膜205を介して電極212が形成されている。この電極212と、第3メタル210と、電極212と第3メタル210との間の層間絶縁膜205と、は、容量C1を構成している。
【0191】
MIMによって容量C1を構成すると、第1信号保持回路SM13、スイッチSW13及びスイッチSW12は、シリコン基板200上のトランジスタと、第1メタル206及び第2メタル208の1,2層配線と、で構成することができる。また、第2信号保持回路DM21は、トランジスタ上部の第3メタル210を利用したMIM配線で構成することができる。
【0192】
電極212は、スルーホール219dを介して第4メタル214に電気的に接続されている。更に、第4メタル214は、スルーホール219eを介して、反射電極PEに電気的に接続されている。従って、容量C1は、反射電極PEに電気的に接続されている。
【0193】
図示しない光源からの光は、共通電極CE及び液晶LCMを透過して反射電極PE(第5メタル216)に入射して反射され、元の入射経路を逆進し、共通電極CEを通過して出射される。
【0194】
画素Pix3は、
図13に示すように、第5メタル216を反射電極PEに割り当てることにより、第1信号保持回路SM13と、第2信号保持回路DM21と、反射電極PEと、を高さ方向に有効に配置することが可能になる。従って、画素Pix3は、画素小型化を実現できる。これにより、画素Pix3は、例えば3μm以下のピッチの画素を、電源電圧3.3Vのトランジスタで構成できる。この3μmピッチの画素は、対角の長さ0.55インチ、横方向4000画素、縦方向2000画素の液晶表示パネルを実現できる。
【0195】
画素Pix3は、第3の実施の形態で
図9のタイミング図と共に説明した動作と同様の動作を行う。
【0196】
まず、タイミングジェネレータ62から出力される正転行走査パルスによって選択された1行の複数の画素Pix3は、正転行走査パルスによって、スイッチSW13がオン状態になる。そのとき、列データ線dに出力される正転サブフレーム階調データが、スイッチSW13によってサンプリングされ、第1信号保持回路SM13に書き込まれる。以下、同様にして、画像表示部61を構成する全ての画素Pix3の第1信号保持回路SM13に正転サブフレーム階調データの書き込みが行われる。その書き込み動作が終了した後のタイミングにおいて、“H”レベルの正転トリガパルスTRIG及び“L”レベルの反転トリガパルスTRIGBが、画像表示部61を構成する全ての画素Pix3に同時に供給される。
【0197】
これにより、全ての画素Pix3のスイッチSW21がオン状態となる。従って、第1信号保持回路SM13に記憶されている正転サブフレーム階調データが、スイッチSW21を経由して、第2信号保持回路DM21に一斉に転送されて保持される。それと共に、正転サブフレーム階調データが、反射電極PEに印加される。第2信号保持回路DM21による正転サブフレーム階調データの保持期間は、次の“H”レベルの正転トリガパルスTRIG及び“L”レベルの反転トリガパルスTRIGBが入力されるまでの1サブフレーム期間である。
【0198】
続いて、画像表示部61内の各画素Pix3は、上記と同様にして正転行走査パルスによって、行単位で選択され、各画素Pix3に直前の正転サブフレーム階調データと逆論理値の反転サブフレーム階調データが、第1信号保持回路SM13に書き込まれる。画像表示部61の全ての画素Pix3の第1信号保持回路SM13への反転サブフレーム階調データの書き込みが終了すると、“H”レベルの正転トリガパルスTRIG及び“L”レベルの反転トリガパルスTRIGBが全ての画素Pix3に同時に供給される。
【0199】
これにより、全ての画素Pix3のスイッチSW21がオン状態になる。従って、第1信号保持回路SM13に記憶されている反転サブフレーム階調データが、スイッチSW21を経由して、第2信号保持回路DM21に一斉に転送されて保持される。それと共に、反転サブフレーム階調データが、反射電極PEに印加される。第2信号保持回路DM21による反転サブフレーム階調データの保持期間は、次の“H”レベルの正転トリガパルスTRIG及び“L”レベルの反転トリガパルスTRIGBが供給されるまでの1サブフレーム期間である。
【0200】
なお、スイッチSW13は、PMOSトランジスタで構成しても良い。その場合は、上記の説明とは逆極性として考えればよいので、図示及び説明を省略する。
【0201】
また、スイッチSW13は、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとで構成されるトランスミッションゲートであっても良い。
【0202】
また、スイッチSW21は、PMOSトランジスタ又はNMOSトランジスタで構成しても良い。
【0203】
(まとめ)
画素Pix3は、第3及び第4の実施の形態の画素Pix1及びPix2と同様の効果を奏する。
【0204】
加えて、画素Pix3は、小型化が可能であるという効果を奏する。
【0205】
<第6の実施の形態>
図14は、第6の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の回路構成を示す図である。
【0206】
第6の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素Pix4の構成要素のうち、第3から第5の実施の形態の画素Pix1からPix3までと同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0207】
画素Pix4は、任意の1本の列データ線dと、任意の1対の行走査線g及び反転行走査線gbと、の交差部に設けられている。
【0208】
画素Pix4は、第1メモリ131及び第2メモリ132と、液晶表示素子LCと、を含む。第1メモリ131は、スイッチSW31と、第1信号保持回路DM31と、を含む。第2メモリ132は、スイッチSW32と、第2信号保持回路SM32と、を含む。
【0209】
画素Pix4では、第1メモリ131がDRAMで構成されており、第2メモリ132が、SRAMで構成されている。
【0210】
スイッチSW31が、本開示の「第1スイッチング回路」の一例に相当する。第1信号保持回路DM31が、本開示の「第1信号保持回路」の一例に相当する。第1メモリ131が、本開示の「第1ダイナミックランダムアクセスメモリ」の一例に相当する。スイッチSW32が、本開示の「第2スイッチング回路」の一例に相当する。第2信号保持回路SM32が、本開示の「第2信号保持回路」の一例に相当する。第2メモリ132が、本開示の「第1スタティックランダムアクセスメモリ」の一例に相当する。
【0211】
スイッチSW31は、互いのドレイン同士が接続され、且つ、互いのソース同士が接続されたNMOSトランジスタTr31とPMOSトランジスタTr32とで構成される、公知のトランスミッションゲートである。NMOSトランジスタTr31のゲートは、行走査線gに接続され、PMOSトランジスタTr32のゲートは、反転行走査線gbに接続されている。
【0212】
また、スイッチSW31は、一方の端子が列データ線dに接続され、他方の端子が第1信号保持回路DM31に接続されている。従って、スイッチSW31は、正転行走査パルスが“H”レベルの場合(この場合は、反転行走査パルスは“L”レベル)は、オン状態になり、列データ線dの階調データを読み出して第1信号保持回路DM31へ転送する。また、スイッチSW31は、正転行走査パルスが“L”レベルの場合(この場合は、反転行走査パルスは“H”レベル)は、オフ状態になり、列データ線dの階調データの読み出しを行わない。
【0213】
スイッチSW31は、NMOSトランジスタTr31とPMOSトランジスタTr32とで構成される公知のトランスミッションゲートであるので、基準電圧GNDから電源電圧VDDまでの範囲の電圧をオン、オフすることができる。つまり、NMOSトランジスタTr31及びPMOSトランジスタTr32のゲートに印加される信号が基準電圧GND側の電圧(“L”レベル)の場合は、PMOSトランジスタTr32が導通することができない。その代わりに、NMOSトランジスタTr31が低抵抗で導通することができる。一方、NMOSトランジスタTr31及びPMOSトランジスタTr32のゲートに印加される信号が電源電圧VDD側の電圧(“H”レベル)の場合は、NMOSトランジスタTr31が導通することができない。その代わりに、PMOSトランジスタTr32が低抵抗で導通することができる。従って、正転行走査パルスと、反転行走査パルスと、により、スイッチSW31を構成するトランスミッションゲートをオン/オフ制御することによって、基準電圧GNDから電源電圧VDDまでの電圧範囲を低抵抗、高抵抗でスイッチングすることができる。
【0214】
第1信号保持回路DM31は、容量C2で構成されている。ここで、列データ線dの階調データと第1信号保持回路DM31の階調データとが異なっていた場合を検討する。スイッチSW31がオン状態にされ、列データ線dの階調データが第1信号保持回路DM31へ転送された場合に、第1信号保持回路DM31の階調データを列データ線dの階調データで書き換える必要がある。
【0215】
第1信号保持回路DM31を構成する容量C2の階調データが書き換わる場合、その階調データは、充電又は放電によって変化する。列データ線dの階調データが容量C2へ転送される場合には、列データ線dのデータ線容量と容量C2との間の電荷転送により階調データが書き込まれる。通常、列データ線dのデータ線容量と、容量C2と、の容量比は、1000:1程度と大きい。従って、画素Pix4は、容量C2の階調データを確実に書き換えることが出来る。
【0216】
スイッチSW32は、互いのドレイン同士が接続され、且つ、互いのソース同士が接続されたNMOSトランジスタTr33とPMOSトランジスタTr34とで構成される、公知のトランスミッションゲートである。NMOSトランジスタTr33のゲートは、トリガ線trigに接続され、PMOSトランジスタTr34のゲートは、反転トリガ線trigbに接続されている。
【0217】
また、スイッチSW32は、一方の端子が第1信号保持回路DM31に接続され、他方の端子が第2信号保持回路SM32に接続されている。従って、スイッチSW32は、正転トリガパルスTRIGが“H”レベルの場合(この場合は、反転トリガパルスTRIGBは“L”レベル)は、オン状態になり、第1信号保持回路DM31の階調データを読み出して第2信号保持回路SM32へ転送する。また、スイッチSW32は、正転トリガパルスTRIGが“L”レベルの場合(この場合は、反転トリガパルスTRIGBは“H”レベル)は、オフ状態になり、第1信号保持回路DM31の階調データの読み出しを行わない。
【0218】
第2信号保持回路SM32は、一方の出力端子が他方の入力端子に接続された2つのインバータINV33及びINV34で構成される、自己保持型メモリである。インバータINV33の入力端子は、インバータINV34の出力端子と、反射電極PEと、に接続されている。インバータINV34の入力端子は、インバータINV33の出力端子と、スイッチSW32と、に接続されている。
【0219】
インバータINV33及びINV34の各々は、CMOSインバータ(
図7参照)の構成が例示される。
【0220】
第2信号保持回路SM32へのデータ書き込みは、上記のように1個のスイッチSW32を経由して行われる。この場合、スイッチSW32から見て入力側のインバータINV34内のトランジスタは、スイッチSW32から見て出力側のインバータINV33内のトランジスタと比較して、駆動力が大きいトランジスタを用いている。更に、スイッチSW32を構成しているトランジスタは、インバータINV33を構成しているトランジスタよりも駆動力が大きいトランジスタを用いている。これにより、第2信号保持回路SM32は、容量C2からはデータが入力され易く、液晶表示素子LCからはデータが入力され難くなる。
【0221】
スイッチSW32がオン状態になると、容量C2に蓄えられた電荷は、インバータINV34の入力ゲートを駆動し、第2信号保持回路SM32の階調データを書き換える。なお、スイッチSW32がオン状態になると、インバータINV33の出力は、容量C2に影響を与え得る。しかしながら、インバータINV33の入力側の容量は、インバータINV33を構成するゲート容量及び液晶表示素子LCの液晶容量しかなく、インバータINV34の入力を構成するゲート容量及び容量C2と比較して、格段に容量が少ない。また、インバータINV34は、インバータINV33と比較して、駆動力が大きく設定されている。従って、インバータINV33の出力よりも容量C2によるインバータINV34の駆動が優先され、容量C2の階調データが第2信号保持回路SM33の階調データによって書き換えられてしまうことはない。
【0222】
また、容量C2の階調データは、列データ線dからの電荷転送である。また、スイッチSW31を構成するNMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタがオフになるタイミングで発生するゲートフィードスルーなどの影響が発生する。そのため、容量C2は、電位変動を伴って電位が確定し、基準電圧GNDや電源電圧VDDとはダイナミックレンジが少なくなる方向にずれた電圧になる。しかし、反射電極PEに最終的に印加される電圧は、第2信号保持回路SM33により整形され、正確な基準電圧GNDや電源電圧VDDの電圧が印加されるようになる。従って、画素Pix4は、ダイナミックレンジを広くすることができる。
【0223】
また、容量C2に接続されたスイッチSW31及びSW32を構成するトランジスタの拡散電極部に光が当たると、リーク電流が発生し、容量C2に保持された電荷が減少して電位変動が発生し得る。
【0224】
しかし、容量C2に保持された電圧は、第2信号保持回路SM33を駆動するためのものである。従って、容量C2に保持された電圧は、多少変動したとしても、第2信号保持回路SM33が“L”レベル又は“H”レベルで階調データを保持できる閾値を超えて変動しなければ、反射電極PEの電圧には影響を与えない。このとき、液晶表示体LCMに印加される反射電極PEの電圧は、第2信号保持回路SM33から供給される。反射電極PEの電圧が“H”レベルの場合は、第2信号保持回路SM33を構成するインバータINV34内のPMOSトランジスタがオンしており、電源電圧VDDが反射電極PEに印加される。反射電極PEの電圧が“L”レベルの場合は、第2信号保持回路SM33を構成するインバータINV34内のNMOSトランジスタがオンしており、基準電圧GNDが印加される。従って、反射電極PEの電圧は、光によるリーク電流の影響を受けず、反射電極PEは、安定した電圧を液晶LCMに印加することが可能である。
【0225】
なお、上記に説明したように、容量C2の電圧は、電荷転送やゲートフィードスルー、光リークなどにより多少変動したとしても、第2信号保持回路SM33の階調データを書き換えることができれば、問題がない。
【0226】
このため、第1メモリ131を構成するスイッチSW31や、第2メモリ132を構成するスイッチSW32は、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタを使用した相補型スイッチでなくてもよい。
【0227】
例えば、スイッチSW31やスイッチSW32がNMOSトランジスタのみで構成される場合を検討する。この場合、スイッチSW31やスイッチSW32は、入力信号の“H”レベルの電圧を、基板効果を含めたVDD-Vthまでしか通すことが出来ない。つまり、スイッチSW31がNMOSトランジスタのみで構成されている場合、列データ線dに3.3Vの電圧を供給したとしても、スイッチSW31と容量C2との接続点の電圧aは、VDD-Vth以下、例えば2.5Vとなる。従って、2.5Vの電圧が、容量C2に蓄積される。次に、スイッチSW32をオンして第2信号保持回路SM33の階調データを書き換える。スイッチSW32もNMOSトランジスタのみで構成されている場合、スイッチSW32と第2信号保持回路SM33との接続点の電圧bは、電圧aと同様に、2.5Vとなる。しかしながら、電圧bは、VDD/2の1.65V以上あれば、第2信号保持回路SM33に“H”レベルを入力すること(出力の反射電極PEには“L”レベルを印加すること)ができる。従って、第2信号保持回路SM33は、“H”レベルの階調データ、“L”レベルの階調データのいずれをも書き込むことが出来る。
【0228】
スイッチSW31やスイッチSW32がPMOSトランジスタのみで構成される場合は、入力されない電圧範囲が上記の逆になる。
【0229】
このように、スイッチSW31やスイッチSW32は、相補型スイッチではなく、1つのMOSトランジスタを使用したスイッチであっても良い。この場合、1画素を構成するトランジスタ数が少なくなるので、画素Pix4は、更なる小型化を図ることができるという効果を奏する。
【0230】
なお、反射電極PEには、容量C2の電圧とは論理反転した電圧が印加される。そのため、画素Pix4へ書き込む階調データは、反射電極PEに印加したいデータ(電圧)の反転データを入力する必要がある。
【0231】
画素Pix4は、画素の小型化が可能であるという効果を奏する。その第1の理由は、次の通りである。インバータINV33及びINV34の各々は、2個のトランジスタで構成される。従って、画素Pix4は、計8個のトランジスタと1個の容量C1とで構成され、画素Pix1(計12個のトランジスタ)、画素Pix2(計10個のトランジスタ)よりも少ない数の素子で構成できるからである。更に、第1の理由に加えて、第2の理由は、以下に説明するように、第1信号保持回路DM31と第2信号保持回路SM32と反射電極PEとを、素子の高さ方向に有効に配置することができるからである。
【0232】
図15は、第6の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の断面構成を示す図である。
【0233】
容量C2には、MIM容量、Diffusion容量、PIP容量等を用いることができる。
図15は、このうちMIMで容量C2を構成した場合の反射型液晶表示装置の断面構成を示す。
【0234】
図15において、シリコン基板200に形成されたNウェル201上に、拡散層を共通化することでドレイン同士が接続されたインバータINV33のPMOSトランジスタPTr11と、スイッチSW32のPMOSトランジスタTr2と、が形成されている。また、シリコン基板200に形成されたPウェル202上に、ドレインとなる拡散層を共通化することでドレイン同士が接続されたインバータINV33のNMOSトランジスタNTr11と、スイッチSW32のNMOSトランジスタTr1と、が形成されている。なお、
図15には、インバータINV34を構成するNMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタは、図示されていない。
【0235】
また、PMOSトランジスタTr2及びPTr11、並びに、NMOSトランジスタNTr11及びTr1の上方には、層間絶縁膜205をメタル間に介在させて、第1メタル206、第2メタル208、第3メタル210、電極212、第4メタル214及び第5メタル216が積層されている。第5メタル216は、画素毎に形成される反射電極PEを構成している。図示しないインバータINV34を構成するNMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタの各ドレインを構成する各拡散層と、NMOSトランジスタNTr11のゲート電極と、PMOSトランジスタPTr11のゲート電極と、は、図示しないコンタクトを経由して、第1メタル206に夫々電気的に接続されている。更に、上記拡散層及び上記ゲート電極は、スルーホール219a、219b、219c及び219eを経由して、第2メタル208、第3メタル210、第4メタル214及び第5メタル216に、電気的に接続されている。すなわち、図示しないインバータINV34を構成するNMOSトランジスタ及びPMOSトランジスタの各ドレインは、反射電極PEに電気的に接続されている。
【0236】
更に、反射電極PE(第5メタル216)上には、保護膜としてパッシベーション膜(PSV)217が形成され、透明電極である共通電極CEに離間対向配置されている。それら反射電極PEと共通電極CEとの間に、液晶LCMが充填封止されて、液晶表示素子LCが構成されている。
【0237】
ここで、第3メタル210上には、層間絶縁膜205を介して電極212が形成されている。この電極212と、第3メタル210と、電極212と第3メタル210との間の層間絶縁膜205と、は、容量C2を構成している。
【0238】
MIMによって容量C2を構成すると、第2信号保持回路SM32、スイッチSW31及びスイッチSW32は、シリコン基板200上のトランジスタと、第1メタル206及び第2メタル208の1,2層配線と、で構成することができる。また、第1信号保持回路DM31は、トランジスタ上部の第3メタル210を利用したMIM配線で構成することができる。
【0239】
電極212は、スルーホール219dを介して、第4メタル214に電気的に接続されている。更に、第4メタル214は、図示しない場所でスイッチSW31及びSW32に電気的に接続されている。
【0240】
図示しない光源からの光は、共通電極CE及び液晶LCMを透過して反射電極PE(第5メタル216)に入射して反射され、元の入射経路を逆進し、共通電極CEを通過して出射される。
【0241】
画素Pix4は、
図15に示すように、第5メタル216を反射電極PEに割り当てることにより、第1信号保持回路DM31と、第2信号保持回路SM32と、反射電極PEと、を高さ方向に有効に配置することが可能になる。従って、画素Pix4は、画素小型化を実現できる。これにより、画素Pix4は、例えば3μm以下のピッチの画素を、電源電圧3.3Vのトランジスタで構成できる。この3μmピッチの画素は、対角の長さ0.55インチ、横方向4000画素、縦方向2000画素の液晶表示パネルを実現できる。
【0242】
画素Pix4は、第3の実施の形態で
図9のタイミング図と共に説明した動作と同様の動作を行う。
【0243】
まず、タイミングジェネレータ62から出力される正転行走査パルス及び反転行走査パルスによって選択された1行の複数の画素Pix4は、正転行走査パルス及び反転行走査パルスによって、スイッチSW31がオン状態になる。そのとき、列データ線dに出力される正転サブフレーム階調データが、スイッチSW31によってサンプリングされ、第1信号保持回路DM31に書き込まれる。以下、同様にして、画像表示部61を構成する全ての画素Pix4の第1信号保持回路DM31に正転サブフレーム階調データの書き込みが行われる。その書き込み動作が終了した後のタイミングにおいて、“H”レベルの正転トリガパルスTRIG及び“L”レベルの反転トリガパルスTRIGBが、画像表示部61を構成する全ての画素Pix4に同時に供給される。
【0244】
これにより、全ての画素Pix4のスイッチSW32がオン状態となる。従って、第1信号保持回路DM31に記憶されている正転サブフレーム階調データが、スイッチSW32を経由して、第2信号保持回路SM32に一斉に転送されて保持される。それと共に、正転サブフレーム階調データが、反射電極PEに印加される。第2信号保持回路SM32による正転サブフレーム階調データの保持期間は、次の“H”レベルの正転トリガパルスTRIG及び“L”レベルの反転トリガパルスTRIGBが入力されるまでの1サブフレーム期間である。
【0245】
続いて、画像表示部61内の各画素Pix4は、上記と同様にして正転行走査パルス及び反転行走査パルスによって、行単位で選択される。そして、直前の正転サブフレーム階調データと逆論理値の反転サブフレーム階調データが、第1信号保持回路DM31に書き込まれる。画像表示部61の全ての画素Pix4の第1信号保持回路DM31への反転サブフレーム階調データの書き込みが終了すると、“H”レベルの正転トリガパルスTRIG及び“L”レベルの反転トリガパルスTRIGBが全ての画素Pix4に同時に供給される。
【0246】
これにより、全ての画素Pix4のスイッチSW32がオン状態になる。従って、第1信号保持回路DM31に記憶されている反転サブフレーム階調データが、スイッチSW32を経由して、第2信号保持回路SM32に一斉に転送されて保持される。それと共に、反転サブフレーム階調データが、反射電極PEに印加される。第2信号保持回路SM32による反転サブフレーム階調データの保持期間は、次の“H”レベルの正転トリガパルスTRIG及び“L”レベルの反転トリガパルスTRIGBが供給されるまでの1サブフレーム期間である。
【0247】
(まとめ)
画素Pix4は、第3から第5までの実施の形態の画素Pix1からPix3までと同様の効果を奏する。
【0248】
加えて、画素Pix4は、小型化が可能であるという効果を奏する。
【0249】
<第7の実施の形態>
図16は、第7の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の回路構成を示す図である。
【0250】
第7の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素Pix5の構成要素のうち、第3から第6の実施の形態の画素Pix1からPix4までと同一の構成要素については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0251】
画素Pix5は、任意の1本の列データ線dと、任意の1本の行走査線gと、の交差部に設けられている。
【0252】
画素Pix5は、第1メモリ141及び第2メモリ142と、液晶表示素子LCと、を含む。第1メモリ141は、スイッチSW41と、第1信号保持回路DM41と、を含む。第2メモリ142は、スイッチSW42と、第2信号保持回路DM42と、を含む。
【0253】
画素Pix5では、第1メモリ141及び第2メモリ142がDRAMで構成されている。
【0254】
スイッチSW41が、本開示の「第1スイッチング回路」の一例に相当する。第1信号保持回路DM41が、本開示の「第1信号保持回路」の一例に相当する。第1メモリ141が、本開示の「第1ダイナミックランダムアクセスメモリ」の一例に相当する。スイッチSW42が、本開示の「第2スイッチング回路」の一例に相当する。第2信号保持回路DM42が、本開示の「第2信号保持回路」の一例に相当する。第2メモリ142が、本開示の「第2ダイナミックランダムアクセスメモリ」の一例に相当する。
【0255】
スイッチSW41は、ゲートが行走査線gに接続され、ドレインが列データ線dに接続され、ソースが第1信号保持回路DM11に接続されている、NMOSトランジスタで構成されている。
【0256】
第1信号保持回路DM41は、容量C3で構成されている。ここで、列データ線dの階調データと第1信号保持回路DM41の階調データとが異なっていた場合を検討する。スイッチSW41がオン状態にされ、列データ線dの階調データが第1信号保持回路DM41へ転送された場合に、第1信号保持回路DM41の階調データを列データ線dの階調データで書き換える必要がある。
【0257】
第1信号保持回路DM41を構成する容量C3の階調データが書き換わる場合、その階調データは、充電又は放電によって変化する。列データ線dの階調データが容量C3へ転送される場合には、列データ線dのデータ線容量と容量C3との間の電荷転送により階調データが書き込まれる。通常、列データ線dのデータ線容量と、容量C3と、の容量比は、1000:1程度と大きい。従って、画素Pix5は、容量C3の階調データを確実に書き換えることが出来る。
【0258】
スイッチSW42は、ゲートがトリガ線trigに接続され、ドレインが第1信号保持回路DM41に接続され、ソースが第2信号保持回路DM42及び反射電極PEに接続されている、NMOSトランジスタで構成されている。
【0259】
第2信号保持回路DM42は、容量C4で構成されている。ここで、第1信号保持回路DM41の階調データと第2信号保持回路DM42の階調データとが異なっていた場合を検討する。スイッチSW42がオン状態にされ、容量C3と容量C4とが導通した場合に、第2信号保持回路DM42の階調データを第1信号保持回路DM41の階調データで書き換える必要がある。
【0260】
容量C3の電荷レベル(第1信号保持回路DM41の階調データ)と容量C4の電荷レベル(第2信号保持回路DM42の階調データ)とが異なる場合に、電荷の中和が生じる。そこで、本開示では、容量C3を容量C4よりも大きくする。つまり、C3>C4とする。例えば、容量C3に“H”レベルの階調データが保持されており、容量C4に“L”レベルの階調データが保持されている場合、電荷の中和が生じる。しかしながら、C3>C4とすることにより、電荷の中和が生じても、中和後の電圧を閾値電圧よりも高くすることができる。つまり、容量C4に“H”レベルの階調データを書き込むことができる。これにより、画素Pix5は、容量C4の階調データを容量C3の階調データで確実に書き換えることが出来る。
【0261】
なお、スイッチSW41及びSW42は、PMOSトランジスタで構成しても良い。その場合は、上記の説明とは逆極性として考えればよいので、図示及び説明を省略する。
【0262】
また、スイッチSW41及びSW42は、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとで構成されるトランスミッションゲートであっても良い。
【0263】
画素Pix5は、小型化が可能であるという効果を奏する。その第1の理由は、次の通りである。画素Pix5は、計2個のトランジスタと2個の容量C3及びC4とで構成される。つまり、画素Pix5は、画素Pix1(計12個のトランジスタ)、画素Pix2(計10個のトランジスタ)、画素Pix3(計7個のトランジスと1個の容量)、画素Pix4(計8個のトランジスタと1個の容量)よりも少ない数の素子で構成できる。第2の理由は、以下に説明するように、第1信号保持回路DM41及び第2信号保持回路DM42と反射電極PEとを、素子の高さ方向に有効に配置することができるからである。
【0264】
図17は、第7の実施の形態の反射型液晶表示装置の画素の断面構成を示す図である。
【0265】
容量C3及びC4には、MIM容量、Diffusion容量、PIP容量等を用いることができる。
図17は、このうちMIMで容量C3及びC4を構成した場合の反射型液晶表示装置の断面構成を示す。
【0266】
図17において、シリコン基板200に形成されたPウェル202上に、スイッチSW41のNMOSトランジスタが形成されている。スイッチSW41のNMOSトランジスタのドレインは、コンタクト218a及び第1メタル206を介して、列データ線d(図示せず)に電気的に接続されている。
【0267】
また、シリコン基板200に形成されたPウェル203上に、スイッチSW42のNMOSトランジスタが形成されている。スイッチSW42のNMOSトランジスタのドレインは、コンタクト218b及び第1メタル206を介して、スイッチSW41のNMOSトランジスタのソースに電気的に接続されている。
【0268】
また、スイッチSW41のNMOSトランジスタ及びスイッチSW42のNMOSトランジスタの上方には、層間絶縁膜205をメタル間に介在させて、第1メタル206、第2メタル208、第3メタル210、電極212、第4メタル214及び第5メタル216が積層されている。第5メタル216は、画素毎に形成される反射電極PEを構成している。
【0269】
更に、反射電極PE(第5メタル216)上には、保護膜としてパッシベーション膜(PSV)217が形成され、透明電極である共通電極CEに離間対向配置されている。それら反射電極PEと共通電極CEとの間に、液晶LCMが充填封止されて、液晶表示素子LCが構成されている。
【0270】
ここで、第3メタル210上には、層間絶縁膜205を介して電極212a及び212bが形成されている。電極212aと、第3メタル210と、電極212aと第3メタル210との間の層間絶縁膜205と、は、容量C3を構成している。電極212bと、第3メタル210と、電極212bと第3メタル210との間の層間絶縁膜205と、は、容量C4を構成している。
【0271】
ここで、電極212aは、電極212bよりも大きい。これにより、容量C3は、容量C4よりも大きくなる。つまり、C3>C4となる。
【0272】
MIMによって容量C3及びC4を構成すると、スイッチSW41及びスイッチSW42は、シリコン基板200上のトランジスタと、第1メタル206及び第2メタル208の1,2層配線と、で構成することができる。また、第1信号保持回路DM41及び第2信号保持回路DM42は、トランジスタ上部の第3メタル210を利用したMIM配線で構成することができる。
【0273】
スイッチSW41のNMOSトランジスタのソースは、コンタクト218c、スルーホール219d、219e、219f及び219gを経由して、電極212aに電気的に接続されている。電極212aに対向する第3メタル210は、スルーホール219hを経由して、基準電位(接地電位)に電気的に接続されている。
【0274】
スイッチSW42のNMOSトランジスタのソースは、コンタクト218d、スルーホール219j、219k、219l及び219mを経由して、電極212bに電気的に接続されている。電極212bに対向する第3メタル210は、スルーホール219nを経由して、基準電位(接地電位)に電気的に接続されている。電極212bは、スルーホール219m及び219oを経由して、反射電極PEに電気的に接続されている。
【0275】
図示しない光源からの光は、共通電極CE及び液晶LCMを透過して反射電極PE(第5メタル216)に入射して反射され、元の入射経路を逆進し、共通電極CEを通過して出射される。
【0276】
画素Pix5は、
図17に示すように、第5メタル216を反射電極PEに割り当てることにより、第1信号保持回路DM41及び第2信号保持回路DM42と、反射電極PEと、を高さ方向に有効に配置することが可能になる。従って、画素Pix5は、画素小型化を実現できる。これにより、画素Pix5は、例えば3μm以下のピッチの画素を、電源電圧3.3Vのトランジスタで構成できる。この3μmピッチの画素は、対角の長さ0.55インチ、横方向4000画素、縦方向2000画素の液晶表示パネルを実現できる。
【0277】
画素Pix5は、第3の実施の形態で
図9のタイミング図と共に説明した動作と同様の動作を行う。
【0278】
まず、タイミングジェネレータ62から出力される正転行走査パルスによって選択された1行の複数の画素Pix5は、正転行走査パルスによって、スイッチSW41がオン状態になる。そのとき、列データ線dに出力される正転サブフレーム階調データが、スイッチSW41によってサンプリングされ、第1信号保持回路DM41に書き込まれる。以下、同様にして、画像表示部61を構成する全ての画素Pix5の第1信号保持回路DM41に正転サブフレーム階調データの書き込みが行われる。その書き込み動作が終了した後のタイミングにおいて、“H”レベルの正転トリガパルスTRIGが、画像表示部61を構成する全ての画素Pix5に同時に供給される。
【0279】
これにより、全ての画素Pix5のスイッチSW42がオン状態となる。従って、第1信号保持回路DM41に記憶されている正転サブフレーム階調データが、スイッチSW4
2を経由して、第2信号保持回路DM42に一斉に転送されて保持される。それと共に、正転サブフレーム階調データが、反射電極PEに印加される。第2信号保持回路DM42による正転サブフレーム階調データの保持期間は、次の“H”レベルの正転トリガパルスTRIGが入力されるまでの1サブフレーム期間である。
【0280】
続いて、画像表示部61内の各画素Pix5は、上記と同様にして正転行走査パルスによって、行単位で選択され、各画素Pix5に直前の正転サブフレーム階調データと逆論理値の反転サブフレーム階調データが、第1信号保持回路DM41に書き込まれる。画像表示部61を構成する全ての画素Pix5の第1信号保持回路DM41への反転サブフレーム階調データの書き込みが終了すると、“H”レベルの正転トリガパルスTRIGが画像表示部61を構成する全ての画素Pix5に同時に供給される。
【0281】
これにより、全ての画素Pix5のスイッチSW42がオン状態になる。従って、第1信号保持回路DM41に記憶されている反転サブフレーム階調データが、スイッチSW4
2を経由して、第2信号保持回路DM42に一斉に転送されて保持される。それと共に、反転サブフレーム階調データが、反射電極PEに印加される。第2信号保持回路DM42による反転サブフレーム階調データの保持期間は、次の“H”レベルの正転トリガパルスTRIGが供給されるまでの1サブフレーム期間である。
【0282】
(まとめ)
画素Pix5は、第3から第6までの実施の形態の画素Pix1からPix4までと同様の効果を奏する。
【0283】
加えて、画素Pix5は、小型化が可能であるという効果を奏する。画素Pix5は、上記した電荷の中和が生じ得たり、SRAMに比べてノイズ耐性が低いものの、画素Pix1からPix4までと比べて、更なる小型化が可能である。従って、反射型液晶表示装置13に要求される仕様(例えば、小型化優先、ノイズ耐性優先等)に応じて、画素Pix1からPix5までのいずれを採用するかを決めれば良い。
【0284】
<付記>
図3に示す反射型液晶表示装置13の、拡散された複数の波長チャネルが入射する部分13aの画素は、サブフレーム期間毎に反転させる。しかし、拡散された複数の波長チャネルが入射しない部分(額縁部)13bの画素は、サブフレーム毎に反転させる必要はない。消費電力の観点からは、反転の回数を減らすことが良い。
【0285】
そこで、共通電極CEを、部分13aと、部分13bと、で分割し、別々に駆動して、部分13bでは反転の回数を減らすようにしてもよい。この場合、部分13aではサブフレーム毎に反転させるが、部分13bでは所定フレーム数だけ反転を行わない(換言すると、所定フレーム数毎に反転を行う)とすると良い。
【0286】
この場合、部分13bの画素が画素Pix3(
図12参照)のような構成の場合は、容量C1の電荷のリークがあると反射電極PEの電位が下がる。従って、一定時間ごとに正転トリガパルスTRIG及び反転トリガパルスTRIGBをオンにして、容量C1への再書き込み動作を行うのが良い。あるいは、他の画素回路構成に比べて、反転までの所定フレーム数を減らすのが良い。
【0287】
また、部分13bの第1メモリへの書き込みは、できるだけ反転の直前に行う方が良い。第1メモリ111と第2メモリ121の内容が反転していると、スイッチSW21を通して、リーク電流が発生し、消費電力が増えるからである。
【0288】
なお、画素Pix1(
図6参照)の構成では、第1メモリ91への書き込みが最も早く行えるので、最も直前に第1メモリ91の内容を書き換えるようにした方が良い。
【0289】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0290】
10 WSSアレイ
11 入出力部
12 光学系
13 反射型液晶表示装置
16 コリメートレンズ
21、22、23 レンズ
24 分散素子
61 画像表示部
62 タイミングジェネレータ
63 垂直シフトレジスタ
64 データラッチ回路
65 水平ドライバ
65a 水平シフトレジスタ
65b ラッチ回路
65c レベルシフタ/画素ドライバ
81、91、111、131、141 第1メモリ
81a、82a、SW11a、SW11b、SW12a、SW12b、SW13、SW14、SW21、SW31、SW32、SW41、SW42 スイッチ
81b、SM11、SM13、DM31、DM41 第1信号保持回路
82、92、112、121、132、142 第2メモリ
82b、SM12、SM14、DM21、SM32、DM42 第2信号保持回路
INV1、INV2、INV3、INV4、INV11、INV12、INV13、INV14、INV33、INV34 インバータ
Pix、Pix1、Pix2、Pix3、Pix4、Pix5 画素
PT1、PT2 PMOSトランジスタ
NT1、NT2 NMOSトランジスタ
C1、C2、C3、C4 容量
LC 液晶表示素子
LCM 液晶
PE 反射電極
CE 共通電極