(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】コネクタ付き電線
(51)【国際特許分類】
H01R 13/533 20060101AFI20240827BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01R13/533 D
H01R13/52 301E
(21)【出願番号】P 2020208587
(22)【出願日】2020-12-16
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】池田 吉孝
(72)【発明者】
【氏名】小森 洋和
(72)【発明者】
【氏名】村上 翔
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-352902(JP,A)
【文献】特開平10-012317(JP,A)
【文献】特開2006-114288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/40-13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティが形成されたコネクタハウジングと、
電線と前記電線の端部に接続された端子とを含み、前記キャビティに挿入された端子付き電線と、
を備え、
前記コネクタハウジングは、第1ハウジングと、前記第1ハウジングの後端側に装着された第2ハウジングとを含み、
前記第1ハウジングには前記キャビティの一部として第1キャビティが形成され、
前記第2ハウジングには前記キャビティの他の一部として第2キャビティが形成され、
前記端子付き電線のうち前記第1キャビティに収まる部分が第1部分とされ、前記第2キャビティに収まる部分が第2部分とされ、
前記コネクタハウジングには、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングの装着状態を維持する本係止部が設けられ、
前記本係止部による本係止がなされる前の状態であって対応する前記第1キャビティ及び前記第2キャビティが連通する第1状態で、前記第1部分が前記第2キャビティを通過して前記第1キャビティに収まることが可能であるとともに、前記第2部分が前記第2キャビティに収められ、
前記本係止部による本係止がなされた第2状態で、
前記端子付き電線は前記第1キャビティから前記コネクタハウジングの外側まで直線状に延びるとともに、前記キャビティの軸方向から観察されたときに、前記第2キャビティの内面のうち規制面が前記第1状態のときよりも前記第2部分に接近
し、
前記コネクタハウジングは、前記第2ハウジングの後端側に装着された第3ハウジングをさらに含み、
前記第3ハウジングには前記キャビティの他の一部として第3キャビティが形成され、
前記端子付き電線のうち前記第3キャビティに収まる部分が第3部分とされ、
前記第1状態は、前記第3キャビティが対応する前記第2キャビティと連通した状態であり、前記第2状態は、前記第3ハウジングが前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングに本係止した状態であり、
前記第1状態で、前記第1部分及び前記第2部分が前記第3キャビティを通過して前記第1キャビティ及び前記第2キャビティに収まることが可能であるとともに、前記第3部分が前記第3キャビティに収められ、
前記第2状態で、前記第3キャビティの内面のうち規制面が前記第1状態のときよりも前記第3部分に接近し、
前記第2キャビティの前記規制面が前記第2部分に接近する向きと、前記第3キャビティの前記規制面が前記第3部分に接近する向きとが互いに異なる、コネクタ付き電線。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ付き電線であって、
前記コネクタハウジングには、前記第1状態を維持する仮係止部が設けられている、コネクタ付き電線。
【請求項3】
請求項
1又は請求項2に記載のコネクタ付き電線であって、
前記第2ハウジングと前記第3ハウジングとが同じ形状に形成されている、コネクタ付き電線。
【請求項4】
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載のコネクタ付き電線であって、
前記第2部分に前記端子の一部が含まれる、コネクタ付き電線。
【請求項5】
請求項
4に記載のコネクタ付き電線であって、
前記第2部分に前記端子のうちワイヤーバレルが含まれる、コネクタ付き電線。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載のコネクタ付き電線であって、
前記第2部分に前記端子付き電線のうち前記端子から延び出る電線部分が含まれる、コネクタ付き電線。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載のコネクタ付き電線であって、
前記第2キャビティの前記規制面が複数の平面又は少なくとも1つの曲面である、コネクタ付き電線。
【請求項8】
請求項
7に記載のコネクタ付き電線であって、
前記第2キャビティの前記内面に凹部が形成され、
前記第2状態において前記第2部分が前記凹部に収まり、
前記凹部の底面と、前記凹部の前記底面から開口部に向かう2つの側面とが、前記第2キャビティの前記規制面とされる、コネクタ付き電線。
【請求項9】
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載のコネクタ付き電線であって、
前記第2キャビティの前記規制面が前記第2部分に当たっている、コネクタ付き電線。
【請求項10】
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載のコネクタ付き電線であって、
前記第2キャビティの前記規制面が前記第2部分と間隔をあけている、コネクタ付き電線。
【請求項11】
請求項1から請求項
10のいずれか1項に記載のコネクタ付き電線であって、
前記端子付き電線は、前記端子に装着されたシール部材をさらに含み、
前記シール部材は前記第1部分に含まれる、コネクタ付き電線。
【請求項12】
キャビティが形成されたコネクタハウジングと、
電線と前記電線の端部に接続された端子とを含み、前記キャビティに挿入された端子付き電線と、
を備え、
前記コネクタハウジングは、第1ハウジングと、前記第1ハウジングの後端側に装着された第2ハウジングとを含み、
前記第1ハウジングには前記キャビティの一部として第1キャビティが形成され、
前記第2ハウジングには前記キャビティの他の一部として第2キャビティが形成され、
前記端子付き電線のうち前記第1キャビティに収まる部分が第1部分とされ、前記第2キャビティに収まる部分が第2部分とされ、
前記コネクタハウジングには、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングの装着状態を維持する本係止部が設けられ、
前記本係止部による本係止がなされる前の状態であって対応する前記第1キャビティ及び前記第2キャビティが連通する第1状態で、前記第1部分が前記第2キャビティを通過して前記第1キャビティに収まることが可能であるとともに、前記第2部分が前記第2キャビティに収められ、
前記本係止部による本係止がなされた第2状態で、
前記端子付き電線は前記第1キャビティから前記コネクタハウジングの外側まで直線状に延びるとともに、前記キャビティの軸方向から観察されたときに、前記第2キャビティの内面のうち規制面が前記第1状態のときよりも前記第2部分に接近
し、
前記コネクタハウジングは、前記第2ハウジングの後端側に装着された第3ハウジングをさらに含み、
前記第3ハウジングには前記キャビティの他の一部として第3キャビティが形成され、
前記端子付き電線のうち前記第3キャビティに収まる部分が第3部分とされ、
前記第1状態は、前記第3キャビティが対応する前記第2キャビティと連通した状態であり、前記第2状態は、前記第3ハウジングが前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングに本係止した状態であり、
前記第1状態で、前記第1部分及び前記第2部分が前記第3キャビティを通過して前記第1キャビティ及び前記第2キャビティに収まることが可能であるとともに、前記第3部分が前記第3キャビティに収められ、
前記第2状態で、前記第3キャビティの内面のうち規制面が前記第1状態のときよりも前記第3部分に接近し、
前記第2キャビティの前記規制面が前記第2部分に接近する向きと、前記第3キャビティの前記規制面が前記第3部分に接近する向きとが互いに異なり、
前記第2部分に前記端子の一部が含まれ、
前記端子が前記第2部分から前記第3部分まで延びる、コネクタ付き電線。
【請求項13】
キャビティが形成されたコネクタハウジングと、
電線と前記電線の端部に接続された端子とを含み、前記キャビティに挿入された端子付き電線と、
を備え、
前記コネクタハウジングは、第1ハウジングと、前記第1ハウジングの後端側に装着された第2ハウジングとを含み、
前記第1ハウジングには前記キャビティの一部として第1キャビティが形成され、
前記第2ハウジングには前記キャビティの他の一部として第2キャビティが形成され、
前記端子付き電線のうち前記第1キャビティに収まる部分が第1部分とされ、前記第2キャビティに収まる部分が第2部分とされ、
前記コネクタハウジングには、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングの装着状態を維持する本係止部が設けられ、
前記本係止部による本係止がなされる前の状態であって対応する前記第1キャビティ及び前記第2キャビティが連通する第1状態で、前記第1部分が前記第2キャビティを通過して前記第1キャビティに収まることが可能であるとともに、前記第2部分が前記第2キャビティに収められ、
前記本係止部による本係止がなされた第2状態で、前記キャビティの軸方向から観察されたときに、前記第2キャビティの内面のうち規制面が前記第1状態のときよりも前記第2部分に接近
し、
前記コネクタハウジングは、前記第2ハウジングの後端側に装着された第3ハウジングをさらに含み、
前記第3ハウジングには前記キャビティの他の一部として第3キャビティが形成され、
前記端子付き電線のうち前記第3キャビティに収まる部分が第3部分とされ、
前記第1状態は、前記第3キャビティが対応する前記第2キャビティと連通した状態であり、前記第2状態は、前記第3ハウジングが前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングに本係止した状態であり、
前記第1状態で、前記第1部分及び前記第2部分が前記第3キャビティを通過して前記第1キャビティ及び前記第2キャビティに収まることが可能であるとともに、前記第3部分が前記第3キャビティに収められ、
前記第2状態で、前記第3キャビティの内面のうち規制面が前記第1状態のときよりも前記第3部分に接近し、
前記第2キャビティの前記規制面が前記第2部分に接近する向きと、前記第3キャビティの前記規制面が前記第3部分に接近する向きとが互いに異なり、
前記第2状態で、前記端子付き電線は前記第2部分から前記第3部分まで直線状に延びる、コネクタ付き電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ付き電線及びコネクタハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コネクタハウジング内における端子付き電線の振動抑制を行う技術を開示している。特許文献1では、端子に突起が設けられることによって、振動抑制が行われる。かかる突起は、圧着部などからコネクタハウジングにおけるキャビティ内面に向けて突出するように設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャビティへの端子挿入時におけるキャビティ内面への影響を抑制しつつ、コネクタハウジング内における端子付き電線の振動抑制を行うことが望まれている。
【0005】
そこで、端子の突起によらずともコネクタハウジング内における端子付き電線の振動抑制を行える技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタ付き電線は、キャビティが形成されたコネクタハウジングと、電線と前記電線の端部に接続された端子とを含み、前記キャビティに挿入された端子付き電線と、を備え、前記コネクタハウジングは、第1ハウジングと、前記第1ハウジングの後端側に装着された第2ハウジングとを含み、前記第1ハウジングには前記キャビティの一部として第1キャビティが形成され、前記第2ハウジングには前記キャビティの他の一部として第2キャビティが形成され、前記端子付き電線のうち前記第1キャビティに収まる部分が第1部分とされ、前記第2キャビティに収まる部分が第2部分とされ、前記コネクタハウジングには、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングの装着状態を維持する本係止部が設けられ、前記本係止部による本係止がなされる前の状態であって対応する前記第1キャビティ及び前記第2キャビティが連通する第1状態で、前記第1部分が前記第2キャビティを通過して前記第1キャビティに収まることが可能であるとともに、前記第2部分が前記第2キャビティに収められ、前記本係止部による本係止がなされた第2状態で、前記キャビティの軸方向から観察されたときに、前記第2キャビティの内面のうち規制面が前記第1状態のときよりも前記第2部分に接近する、コネクタ付き電線である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、端子の突起によらずともコネクタハウジング内における端子付き電線の振動抑制を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態1にかかるコネクタ付き電線を示す斜視図である。
【
図2】
図2は実施形態1にかかるコネクタ付き電線を示す平面図である。
【
図5】
図5は実施形態1にかかるコネクタ付き電線を示す縦断面図である。
【
図6】
図6は実施形態1にかかるコネクタハウジングを示す分解斜視図である。
【
図7】
図7は実施形態1にかかるコネクタハウジングを示す分解斜視図である。
【
図8】
図8は第1ハウジング及び第2ハウジングが仮係止する様子を示す説明図である。
【
図9】
図9は端子付き電線を示す分解斜視図である。
【
図10】
図10はコネクタ付き電線を製造する様子を示す模式図である。
【
図11】
図11はコネクタ付き電線を製造する様子を示す模式図である。
【
図12】
図12はコネクタ付き電線を製造する様子を示す模式図である。
【
図13】
図13はコネクタ付き電線を製造する様子を示す模式図である。
【
図14】
図14は第2状態における規制面と端子付き電線との隙間寸法を示す模式図である。
【
図15】
図15はコネクタ付き電線の変形例を示す模式図である。
【
図16】
図16はコネクタ付き電線の別の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示のコネクタ付き電線は、次の通りである。
【0011】
(1)キャビティが形成されたコネクタハウジングと、電線と前記電線の端部に接続された端子とを含み、前記キャビティに挿入された端子付き電線と、を備え、前記コネクタハウジングは、第1ハウジングと、前記第1ハウジングの後端側に装着された第2ハウジングとを含み、前記第1ハウジングには前記キャビティの一部として第1キャビティが形成され、前記第2ハウジングには前記キャビティの他の一部として第2キャビティが形成され、前記端子付き電線のうち前記第1キャビティに収まる部分が第1部分とされ、前記第2キャビティに収まる部分が第2部分とされ、前記コネクタハウジングには、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングの装着状態を維持する本係止部が設けられ、前記本係止部による本係止がなされる前の状態であって対応する前記第1キャビティ及び前記第2キャビティが連通する第1状態で、前記第1部分が前記第2キャビティを通過して前記第1キャビティに収まることが可能であるとともに、前記第2部分が前記第2キャビティに収められ、前記本係止部による本係止がなされた第2状態で、前記キャビティの軸方向から観察されたときに、前記第2キャビティの内面のうち規制面が前記第1状態のときよりも前記第2部分に接近する、コネクタ付き電線である。第2状態で、第2キャビティの内面のうち規制面が第1状態のときよりも第2部分に接近することによって、コネクタハウジング内における端子付き電線の振動抑制がなされる。これにより、端子の突起によらずともコネクタハウジング内における端子付き電線の振動抑制を行うことが可能となる。
【0012】
(2)(1)のコネクタ付き電線において、前記コネクタハウジングには、前記第1状態を維持する仮係止部が設けられていてもよい。これにより、端子挿入時に第1ハウジングと第2ハウジングとが位置決めされた状態に保持されやすい。
【0013】
(3)(1)又は(2)のコネクタ付き電線において、前記コネクタハウジングは、前記第2ハウジングの後端側に装着された第3ハウジングをさらに含み、前記第3ハウジングには前記キャビティの他の一部として第3キャビティが形成され、前記端子付き電線のうち前記第3キャビティに収まる部分が第3部分とされ、前記第1状態は、前記第3キャビティが対応する前記第2キャビティと連通した状態であり、前記第2状態は、前記第3ハウジングが前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングに本係止した状態であり、前記第1状態で、前記第1部分及び前記第2部分が前記第3キャビティを通過して前記第1キャビティ及び前記第2キャビティに収まることが可能であるとともに、前記第3部分が前記第3キャビティに収められ、前記第2状態で、前記第3キャビティの内面のうち規制面が前記第1状態のときよりも前記第3部分に接近し、前記第2キャビティの前記規制面が前記第2部分に接近する向きと、前記第3キャビティの前記規制面が前記第3部分に接近する向きとが互いに異なってもよい。これにより、第2キャビティの規制面と第3キャビティの規制面とが互いに異なる向きから端子付き電線に面することが可能となることによって、端子付き電線がより振動しにくくなる。
【0014】
(4)(3)のコネクタ付き電線において、前記第2ハウジングと前記第3ハウジングとが同じ形状に形成されていてもよい。これにより、コネクタハウジングを構成する部品種類数が増加することを抑制できる。
【0015】
(5)(1)から(4)のいずれか1つのコネクタ付き電線において、前記第2部分に前記端子の一部が含まれてもよい。これにより、第2キャビティの規制面が端子付き電線のうち端子が設けられた部分に面することができ、第2キャビティの規制面が端子付き電線のうち端子から延び出る電線に面する場合と比べて、コネクタハウジングが電線の長手方向に大きくなることを抑制できる。
【0016】
(6)(5)のコネクタ付き電線において、前記第2部分に前記端子のうちワイヤーバレルが含まれてもよい。これにより、第2キャビティの規制面がワイヤーバレルに面することができる。ワイヤーバレルは電線への圧着されるときに圧着金型に対応する大きさにされるため、寸法管理が容易な部分である。このため、第2キャビティの規制面がワイヤーバレルに面することによって、第2キャビティの規制面と、ワイヤーバレルとの距離を安定して管理しやすい。
【0017】
(7)(1)から(6)のいずれか1つのコネクタ付き電線において、前記第2部分に前記端子付き電線のうち前記端子から延び出る電線部分が含まれてもよい。これにより、第2キャビティの規制面が端子付き電線のうち電線部分に面することができる。
【0018】
(8)(1)から(7)のいずれか1つのコネクタ付き電線において、前記第2キャビティの前記規制面が複数の平面又は少なくとも1つの曲面であってもよい。これにより、第2キャビティの規制面が1つの平面である場合と比べて、複数方向において端子付き電線の振動が抑制されやすい。
【0019】
(9)(8)のコネクタ付き電線において、前記第2キャビティの前記内面に凹部が形成され、前記第2状態において前記第2部分が前記凹部に収まり、前記凹部の底面と、前記凹部の前記底面から開口部に向かう2つの側面とが、前記第2キャビティの前記規制面とされてもよい。これにより、第2キャビティの規制面が簡易に複数の向きから第2部分に面することができる。
【0020】
(10)(1)から(9)のいずれか1つのコネクタ付き電線において、前記第2キャビティの前記規制面が前記第2部分に当たっていてもよい。これにより、端子付き電線の振動をより抑制しやすい。
【0021】
(11)(1)から(9)のいずれか1つのコネクタ付き電線において、前記第2キャビティの前記規制面が前記第2部分と間隔をあけていてもよい。これにより、コネクタハウジングの傷つきが抑制される。
【0022】
(12)(1)から(11)のいずれか1つのコネクタ付き電線において、前記端子付き電線は、前記端子に装着されたシール部材をさらに含み、前記シール部材は前記第1部分に含まれてもよい。これにより、端子付き電線のうちシール部材よりも後端側の部分が第2キャビティの規制面によって押さえられる。
【0023】
(13)また、本開示のコネクタハウジングは、端子付き電線が挿入されるキャビティが形成されたコネクタハウジングであって、第1ハウジングと、前記第1ハウジングの後端側に装着された第2ハウジングと、を備え、前記第1ハウジングには前記キャビティの一部として第1キャビティが形成され、前記第2ハウジングには前記キャビティの他の一部として第2キャビティが形成され、前記端子付き電線のうち前記第1キャビティに収まる部分が第1部分とされ、前記第2キャビティに収まる部分が第2部分とされ、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングの装着状態を維持する本係止部が設けられ、前記本係止部による本係止がなされる前の状態であって対応する前記第1キャビティ及び前記第2キャビティが連通する第1状態で、前記第1部分が前記第2キャビティを通過して前記第1キャビティに収まることが可能であるとともに、前記第2部分が前記第2キャビティに収められ、前記第2ハウジングが前記第1ハウジングに本係止した第2状態で、前記第2キャビティの内面の一部が前記第1状態のときよりも前記第2部分に接近する、コネクタハウジングである。第2状態で、第2キャビティの内面の一部が第1状態のときよりも第2部分に接近することによって、コネクタハウジング内における端子付き電線の振動抑制がなされる。これにより、端子に突起が設けられずともコネクタハウジング内における端子付き電線の振動抑制を行うことが可能となる。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタ付き電線の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかるコネクタ付き電線について説明する。
図1は実施形態1にかかるコネクタ付き電線1を示す斜視図である。
図2は実施形態1にかかるコネクタ付き電線1を示す平面図である。
図3は
図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4は
図2のIV-IV線に沿った断面図である。
図5は実施形態1にかかるコネクタ付き電線1を示す縦断面図である。
【0026】
コネクタ付き電線1は、コネクタハウジング10と端子付き電線50とを備える。コネクタハウジング10には、キャビティが形成されている。端子付き電線50はキャビティに挿入されている。以下では、キャビティの軸方向をX方向とし、キャビティの軸方向と直交する2方向をY方向及びZ方向とする。X方向に沿って負の側に位置するキャビティの開口部から端子付き電線50が挿入される。キャビティは、Y方向に複数並んで形成されている。キャビティは、Z方向にも複数並んで形成されている。もっともキャビティは複数形成される必要はなく、1つであってもよい。またキャビティが複数形成される場合に、Y方向及びZ方向の両方に並んでいる必要はなく、Y方向及びZ方向のいずれか一方のみに並んでいてもよい。
【0027】
<コネクタハウジング>
コネクタハウジング10について、
図1から
図5に加えて
図6から
図8を参照しつつ説明する。
図6は実施形態1にかかるコネクタハウジング10を示す分解斜視図である。
図7は実施形態1にかかるコネクタハウジング10を示す分解斜視図である。
図7は
図6とは異なる向きから見た図である。
図8は第1ハウジング12及び第2ハウジング24が仮係止する様子を示す説明図である。
【0028】
コネクタハウジング10は、第1ハウジング12と第2ハウジング24とを含む。コネクタハウジング10は、第3ハウジング34をさらに含む。第1ハウジング12にはキャビティの一部として第1キャビティ14が形成されている。第2ハウジング24にはキャビティの別の一部として第2キャビティ26が形成されている。第3ハウジング34にはキャビティのまた別の一部として第3キャビティ36が形成されている。第1キャビティ14、第2キャビティ26、及び第3キャビティ36は、コネクタハウジング10におけるキャビティが軸方向に沿って分割されたうちの互いに異なる一部分である。1つの端子付き電線50の一部が第1キャビティ14に収まり、他の一部が第2キャビティ26に収まり、他の一部が第3キャビティ36に収まる。本開示では、端子付き電線50のうち第1キャビティ14に収まる部分が第1部分とされ、第2キャビティ26に収まる部分が第2部分とされ、第3キャビティ36に収まる部分が第3部分とされる。
【0029】
第2ハウジング24は、第1ハウジング12の後端側に装着されている。第2キャビティ26が第1キャビティ14よりも端子の挿入口側に位置する。第3ハウジング34は、第2ハウジング24の後端側に装着されている。第3キャビティ36が第2キャビティ26よりも端子の挿入口側に位置する。第1キャビティ14、第2キャビティ26及び第3キャビティ36は、X方向に沿って、正の側からこの順で並んでいる。従って、端子付き電線50における第1部分、第2部分及び第3部分もX方向に沿って、正の側からこの順で並んでいる。
【0030】
コネクタハウジング10には、第1ハウジング12、第2ハウジング24及び第3ハウジング34の装着状態を維持する本係止部が設けられている。本開示では、本係止部による本係止がなされる前の状態であって対応する第1キャビティ14、第2キャビティ26及び第3キャビティ36が連通する状態を第1状態とする。また本係止部による本係止がなされた状態を第2状態とする。
図1から
図5には、第2状態が示されている。
図6及び
図7には、第1状態となる前の状態が示されている。
図8の第2ハウジング24のうち実線で示される第2ハウジング24は、第1状態となる前の状態であり、仮想線で示される第2ハウジング24は第1状態である。また第1状態は、後述する
図11及び
図12でも示される。
図6及び
図7に示す状態から第2ハウジング24及び第3ハウジング34が、第1ハウジング12に向けてY方向に沿って互いに逆向きに移動し、やがて第1状態となる。この状態からさらに第2ハウジング24及び第3ハウジング34が、第1ハウジング12に向けてY方向に沿って互いに逆向きに移動し、やがて第2状態となる。コネクタハウジング10には、第1状態を維持する仮係止部が設けられている。
【0031】
第1状態で、端子付き電線50がキャビティに挿入される。このとき端子付き電線50はキャビティの所定の位置まで挿入可能とされる。第1状態で、第1部分が第3キャビティ36及び第2キャビティ26を通過して第1キャビティ14に収まることが可能である。また第1状態で、第2部分が第3キャビティ36を通過して第2キャビティ26に収まることが可能である。また第1状態で、第3部分が第3キャビティ36に収まることが可能である。
【0032】
端子付き電線50がキャビティに挿入された後、第1状態から第2状態に状態変更されることによって、キャビティ内の端子付き電線50の振動抑制がなされる。これについて、詳しくは後述する。
【0033】
第1ハウジング12は、第1キャビティ14が形成された第1ハウジング本体13を含む。第1キャビティ14は第1ハウジング本体13を貫通するように形成されている。第1キャビティ14の一方開口部は第1ハウジング本体13の一方面に開口する。この一方開口部から第1キャビティ14内に端子付き電線50の第1部分が挿入される。第1キャビティ14の他方開口部は第1ハウジング本体13の他方面に開口する。他方開口部はオス端子に設けられた導体ピンが通る部分である。本例では、端子付き電線50の端子がオス端子である例が説明されるが、端子付き電線50の端子がメス端子であってもよい。第1キャビティ14の内面形状は適宜設定可能である。ここでは第1キャビティ14のうち一方開口部から後述するシール部材70が収まる部分までの内面は円形状に形成されている。第1キャビティ14のうちシール部材70が収まる部分から一方開口部に向けて、徐々に内径が大きくなる。第1キャビティ14のうちシール部材70が収まる部分の内径(内面の直径)はD1である(
図10参照)。第1キャビティ14のうち一方開口部の内径はD2である(
図10参照)。内径D2は内径D1よりも大きい。
【0034】
第1ハウジング本体13には、第2ハウジング24及び第3ハウジング34を位置決めする2つの第1壁部15が設けられている。2つの第1壁部15は第1ハウジング本体13の一方面のうち第1キャビティ14を挟んだ両側からX方向に沿って突出する。2つの第1壁部15は、Z方向に離れて設けられる。2つの第1壁部15の間に第2ハウジング24及び第3ハウジング34がY方向に沿って挿入される。
【0035】
各第1壁部15には、2つの溝16、17とスリット19とが形成されている。2つの溝16、17は、Z方向に凹む。2つの溝16、17は、第1壁部15の外縁からスリット19までY方向に沿って延びる。2つの溝16、17はX方向に離れて設けられる。2つの溝16、17は第1壁部15のY方向に互いに反対側の外縁からスリット19に向けて延びる。2つの溝16、17それぞれの底面16a、17aは傾斜面とされる。2つの第1壁部15の溝16は、第2ハウジング24の後述する係止片31をガイドする。2つの第1壁部15の溝17は、第3ハウジング34の後述する係止片41をガイドする。底面16a、17aに仮係止凹部18が設けられる。仮係止凹部18が仮係止部として用いられる。スリット19は、第1壁部15のX方向に沿った端面からX方向に沿って延びる。スリット19によって第1壁部15の一部がY方向に分断される。スリット19は、本係止部として用いられる。
【0036】
第2ハウジング24は、第2キャビティ26が形成された第2ハウジング本体25を含む。第2キャビティ26は第2ハウジング本体25を貫通するように形成されている。第2キャビティ26の一方開口部は第2ハウジング本体25の一方面に開口する。この一方開口部から第2キャビティ26内に端子付き電線50の第1部分及び第2部分が挿入される。第2キャビティ26の他方開口部は第2ハウジング本体25の他方面に開口する。他方開口部から端子付き電線50の第1部分が第1キャビティ14に向けて延出する。
【0037】
第2キャビティ26の内面26aは方形状(ここでは正方形状)に形成される。第2キャビティ26の内面26aに凹部27が形成されている。凹部27は第2キャビティ26の内面26aのうちY方向正の側を向く面に形成される。凹部27はY方向負の側に凹む。凹部27は、Y方向にとなり合う2つの第2キャビティ26を仕切る仕切壁部に設けられているととらえることもできる。凹部27の深さ寸法(Y方向に沿った寸法)は、第2ハウジング本体25における仕切壁部の厚み寸法よりも小さい。凹部27の幅寸法(Z方向に沿った寸法)は、当該凹部27が形成される内面26aとは反対側の内面のZ方向に沿った寸法(正方形の一辺)よりも小さい。Z方向に沿った凹部27の中心は、第2キャビティ26の中心(正方形の中心)よりもZ方向負の側にずれている。凹部27は、底面と、底面から開口部に向かう2つの側面とを有する形状に形成されている。凹部27は、第2キャビティ26の一方開口部から他方開口部までX方向に沿って連続的に設けられる。凹部27のうちX方向に沿った一部が、X方向に沿った他の一部よりも小さく形成されている。凹部27のうち小さい部分を小凹部28とし、大きい部分を大凹部29とする。第2キャビティ26において、大凹部29が小凹部28よりもX方向に沿って第1キャビティ14側に位置する。小凹部28の幅寸法(Z方向の寸法)は、大凹部29の幅寸法よりも小さい。小凹部28の深さ寸法(Y方向の寸法)は、大凹部29の深さ寸法よりも小さい。第2状態において第2部分が凹部27に収まる。
【0038】
第2ハウジング本体25に第2壁部30が設けられている。第2壁部30は、第2ハウジング本体25からX方向に突出する。第2壁部30は、第2ハウジング本体25のY方向に沿った外縁部から部分的に突出する。第1ハウジング12、第2ハウジング24及び第3ハウジング34が本係止した状態で、第2壁部30は、第3ハウジング34をY方向に位置決めする。
【0039】
第2ハウジング本体25に2つの係止片31が設けられる。係止片31は、仮係止及び本係止の両方に用いられる。各係止片31は、支持片32及び係止突起33を有する。支持片32は、第2壁部30の側面からL字状に突出する。係止突起33は支持片32の先端部に設けられる。係止突起33は、支持片32の先端部からZ方向に突出する。第2ハウジング24が第1壁部15の間に挿入されると、係止突起33が溝16の底面16aに接触し、Z方向の外力を受ける。支持片32は、このZ方向の外力を受けて、2つの係止片31の先端部の間隔が狭まるように弾性変形可能である。これにより、第2ハウジング24が第1壁部15の間に進入可能となる。そして、係止突起33が仮係止凹部18の位置まで来たときに、支持片32が弾性復帰して係止突起33が仮係止凹部18に引っ掛かることによって、第1ハウジング12と第2ハウジング24とが仮係止する。また、係止突起33がスリット19に引っ掛かることによって、第1ハウジング12と第2ハウジング24とが本係止する。
【0040】
第3ハウジング34は、第3キャビティ36が形成された第3ハウジング本体35を含む。第3キャビティ36は第3ハウジング本体35を貫通するように形成されている。第3キャビティ36の一方開口部は第3ハウジング本体35の一方面に開口する。この一方開口部から第3キャビティ36内に端子付き電線50の第1部分、第2部分及び第3部分が挿入される。第3キャビティ36の他方開口部は第3ハウジング本体35の他方面に開口する。他方開口部から端子付き電線50の第1部分及び第2部分が第1キャビティ14及び第2キャビティ26に向けて延出する。
【0041】
第3キャビティ36の内面36aは方形状(ここでは正方形状)に形成される。第3キャビティ36の内面36aに凹部37が形成されている。凹部37は第3キャビティ36の内面36aのうちY方向負の側を向く面に形成される。凹部37はY方向正の側に凹む。凹部37は、Y方向にとなり合う2つの第3キャビティ36を仕切る仕切壁部に設けられるととらえることもできる。凹部37の深さ寸法(Y方向に沿った寸法)は、第3ハウジング本体35における仕切壁部の厚み寸法よりも小さい。凹部37の幅寸法(Z方向に沿った寸法)は、当該凹部37が形成される内面36aとは反対側の内面のZ方向に沿った寸法(正方形の一辺)よりも小さい。Z方向に沿った凹部37の中心は、第3キャビティ36の中心(正方形の中心)よりもZ方向負の側にずれている。凹部37は、底面と、底面から開口部に向かう2つの側面とを有する形状に形成されている。凹部37は第3キャビティ36の一方開口部から他方開口部までX方向に沿って連続的に設けられる。凹部37のうちX方向に沿った一部が、X方向に沿った他の一部よりも小さく形成されている。凹部37のうちX方向に沿って小さい部分を小凹部38とし、大きい部分を大凹部39とする。第3キャビティ36において、小凹部38が大凹部39よりもX方向に沿って第1キャビティ14側に位置する。小凹部38の幅寸法(Z方向の寸法)は、大凹部39の幅寸法よりも小さい。小凹部38の深さ寸法(Y方向の寸法)は、大凹部39の深さ寸法よりも小さい。第2状態において第3部分が凹部37に収まる。
【0042】
第3ハウジング本体35に第3壁部40が設けられている。第3壁部40は、第3ハウジング本体35からX方向に突出する。第3壁部40は、第3ハウジング本体35のY方向に沿った外縁部から部分的に突出する。第1ハウジング12、第2ハウジング24及び第3ハウジング34が本係止した状態で、第3壁部40は、第2ハウジング24をY方向に位置決めする。
【0043】
第3ハウジング本体35に2つの係止片41が設けられる。係止片41は、仮係止及び本係止の両方に用いられる。各係止片41は、支持片42及び係止突起43を有する。支持片42は、第3壁部40の側面からL字状に突出する。係止突起43は支持片42の先端部に設けられる。係止突起43は、支持片42の先端部からZ方向に突出する。第3ハウジング34が第1壁部15の間に挿入されると、係止突起43が溝17の底面17aに接触し、Z方向の外力を受ける。支持片42は、このZ方向の外力を受けて、2つの係止片41の先端部の間隔が狭まるように弾性変形可能である。これにより、第3ハウジング34が第1壁部15の間に進入可能となる。そして、係止突起43が仮係止凹部18の位置まで来たときに、支持片42が弾性復帰して係止突起43が仮係止凹部18に引っ掛かることによって、第1ハウジング12と第3ハウジング34とが仮係止する。また、係止突起43がスリット19に引っ掛かることによって、第1ハウジング12と第3ハウジング34とが本係止する。
【0044】
ここでは第2キャビティ26の数は第1キャビティ14の数よりも少ない。第1キャビティ14のうちY方向に沿って最も正の側に位置する列の4つの第1キャビティ14に対応するキャビティが、第2キャビティ26には設けられていない。代わりに、この4つの第1キャビティ14に挿入される端子付き電線50の第2部分は、第2ハウジング本体25及び第3壁部40によって保護される。同様に、第3キャビティ36の数は第1キャビティ14の数よりも少ない。第1キャビティ14のうちY方向に沿って最も負の側に位置する列の4つの第1キャビティ14に対応するキャビティが、第3キャビティ36には設けられていない。代わりに、この4つの第1キャビティ14に挿入される端子付き電線50の第3部分は、第3ハウジング本体35及び第2壁部30によって保護される。
【0045】
具体的には、第2ハウジング本体25の外面のうち挿入方向前方(Y方向正の向き)を向く面にはそれぞれ上記凹部27と同様の凹部が形成されている。第2壁部30の外面のうち挿入方向前方(Y方向正の向き)を向く面にはそれぞれ上記大凹部39と同様の凹部が形成されている。第3ハウジング本体35の外面のうち挿入方向前方(Y方向負の向き)を向く面には上記凹部37と同様の凹部37が形成されている。第3壁部40の外面のうち挿入方向前方(Y方向負の向き)を向く面には上記大凹部29と同様の凹部が形成されている。第2ハウジング本体25の外面に設けられた凹部の内面と、第3壁部40に設けられた凹部の内面とによって、一部の端子付き電線50(ここではY方向に沿って最も正の側に位置する端子付き電線50)の第2部分が囲まれている。第3ハウジング本体35の外面に設けられた凹部の内面と、第2壁部30に設けられた凹部の内面とによって、一部の端子付き電線50(ここではY方向に沿って最も負の側に位置する端子付き電線50)の第3部分が囲まれている。
【0046】
第2ハウジング24と第3ハウジング34とが同じ形状に形成されている。第1ハウジング12に対する第2ハウジング24の姿勢及び第3ハウジング34の姿勢は異なる。第1ハウジング12に対する第2ハウジング24の姿勢及び第3ハウジング34の姿勢は、Z方向に沿う軸回りに180度回転した姿勢である。
【0047】
コネクタハウジング10に車両取付部20が設けられている。ここでは車両取付部20は第1ハウジング本体13の側面から外方に突出するように設けられている。車両取付部20はコネクタハウジング10を車両に取付けるための部分である。車両取付部20には装着孔21が形成されている。装着孔21にボルト等が挿入されて車両取付部20が車両に取付けられる。装着孔21に金属リングなどが設けられていてもよい。コネクタハウジング10において車両取付部20は省略されてもよい。
【0048】
またコネクタハウジング10に封止材装着部22が設けられている。封止材装着部22は第1ハウジング本体13の側面の一部が環状に凹むように設けられている。封止材装着部22は車両取付部20の片側に設けられる。封止材装着部22には、Oリング等の封止材Sが装着される。コネクタハウジング10において封止材装着部22は省略されてもよい。
【0049】
第1ハウジング12、第2ハウジング24及び第3ハウジング34は、絶縁性を有する樹脂等を材料として形成される。第1ハウジング12、第2ハウジング24及び第3ハウジング34は、例えば射出成形品である。第1ハウジング12、第2ハウジング24及び第3ハウジング34は、別々に成形される。
【0050】
<端子付き電線>
端子付き電線50について、
図1から
図5に加えて
図9を参照しつつ説明する。
図9は端子付き電線50を示す分解斜視図である。
【0051】
端子付き電線50は被覆電線52と端子とを含む。端子は被覆電線52の端部に接続されている。端子は、被覆電線52と相手側の導体とを電気的に接続する部材である。本例では、端子として、ジョイント端子56とコネクタ端子62と中継導体68とが設けられている。被覆電線52の端部にジョイント端子56が設けられる。ジョイント端子56の先端側にコネクタ端子62と中継導体68とが設けられる。中継導体68がジョイント端子56及びコネクタ端子62にそれぞれ接続される。ジョイント端子56とコネクタ端子62とは中継導体68を介して接続される。被覆電線52のうちジョイント端子56に接続される部分及びそれよりも一端側部分がキャビティに収まっている。被覆電線52のうちジョイント端子56に接続される部分よりも他端側部分が一方開口部からキャビティの外方に延びている。端子付き電線50はシール部材70をさらに含む。
【0052】
被覆電線52は導体芯線53と絶縁被覆54とを有する。ここでは導体芯線53は撚線である。撚線は複数の素線が撚られて形成されている。かかる素線は銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の導体を材料に形成される。絶縁被覆54は導体芯線53を覆う。絶縁被覆54は導体芯線53の周りに樹脂材料が押出成形されたり、絶縁塗料が塗布されたりして形成される。導体芯線53の先端は絶縁被覆54より外方に突出し、芯線露出部をなしている。
【0053】
ジョイント端子56は、被覆電線52及び中継導体68に圧着されて接続されている。ジョイント端子56はワイヤーバレル57、59とインシュレーションバレル58とを含む。ワイヤーバレル57、59及びインシュレーションバレル58はオープンバレルである。ワイヤーバレル57、59及びインシュレーションバレル58は、それぞれ一対の圧着片を有する。三対の圧着片は、ジョイント端子56における底部につながっている。
【0054】
底部は平板状又は半筒状などに形成される。底部は一方に長く形成される。底部の長手方向がジョイント端子56の長手方向である。三対の圧着片は、底部の長手方向に沿って一端側から他端側に向けて一対ずつ順に並んでいる。各対の圧着片は底部の幅方向両側から突出する。底部の幅方向がジョイント端子56の幅方向である。三対の圧着片は、底部に対して一方側に突出する。底部から圧着片が突出する方向がジョイント端子56の高さ方向である。かかるジョイント端子56は、例えば、導体板が折り曲げられて形成される。
【0055】
ワイヤーバレル57は導体芯線53における端部の芯線露出部に圧着されている。ワイヤーバレル59は中継導体68に圧着されている。インシュレーションバレル58は、絶縁被覆54に圧着されている。ワイヤーバレル57とインシュレーションバレル58とは電線接続部とされる。ワイヤーバレル59は中継導体接続部とされる。インシュレーションバレル58が絶縁被覆54に圧着された部分は被覆保持部とされる。インシュレーションバレル58は省略されてもよい。
【0056】
コネクタ端子62は相手側接続部63と中継導体接続部とを含む。上記したように相手側接続部63はオス端子形状に形成されている。相手側接続部63はメス端子形状に形成されていてもよい。コネクタ端子62は、中継導体68に圧着されて接続されている。コネクタ端子62は、例えば、導体板が折り曲げられて形成される。もっとも、コネクタ端子62は中継導体68に溶接、圧接等によって接続されていてもよい。
【0057】
相手側接続部63は箱状に形成された箱部と導体ピンとを有する。導体ピンは箱部の先端面から突出している。導体ピンの先端部は、キャビティから外に突出している。導体ピンは相手側のメス端子に挿入される。相手側のメス端子の内部には適宜バネ接点部等が設けられる。相手側のメス端子の内部においてバネ接点部等と導体ピンとが接続される。
【0058】
中継導体接続部はワイヤーバレル65とインシュレーションバレル66とを有している。ワイヤーバレル65は中継導体68に圧着されている。インシュレーションバレル66はシール部材70に圧着されている。中継導体接続部においてインシュレーションバレル66は省略されてもよい。
【0059】
中継導体68は単芯の1つの導体として形成されている。中継導体68は円柱状の棒状に形成される。中継導体68は円筒状の棒状に形成されてもよい。中継導体68はシール部材70よりも長尺に設けられている。中継導体68の長手方向に沿った両端部はシール部材70の外方に突出している。中継導体68の両端部はワイヤーバレル59、65にそれぞれ圧着されている。中継導体68の長手方向に沿った中間部にシール部材70が装着されている。
【0060】
シール部材70はシール本体71と突出部72、73とを有している。シール部材70には貫通孔74が形成されている。貫通孔74に中継導体68が通される。シール本体71及び突出部72、73は貫通孔74の軸方向に沿って並んでいる。ここではシール本体71の一方側に突出部72が設けられ、他方側に突出部73が設けられている。突出部72、73のいずれか一方又は両方は省略されてもよい。
【0061】
シール本体71は、端子付き電線50がキャビティに挿入された状態で、キャビティの一方開口部と他方開口部との間を止水する部分である。シール本体71の外面において環状凹部と環状凸部とが長手方向に沿って交互に連なっている。シール本体71は長手方向に沿ってジョイント端子56及びコネクタ端子62の間に位置する。シール本体71における環状凸部は、ジョイント端子56及びコネクタ端子62よりも径方向に沿って外側に突出する。端子付き電線50がキャビティに挿入される前の状態で、シール本体71の外径(環状凸部の外径)はD3である(
図10参照)。シール本体71の外径D3は、所定のシール位置における第1キャビティ14の内径D1と同じかそれよりも大きく設定される。端子付き電線50が第1キャビティ14に挿入された状態で、シール本体71の外面は第1キャビティ14の内面に密着する。ここでは、シール本体71の外径D3は、第1キャビティ14の内径D1よりも大きく設定されて、シール本体71は圧縮状態で第1キャビティ14に収まっている。また、シール本体71の外径D3は、第1キャビティ14の一方開口部の内径D2と同じかそれよりも小さく(ここでは内径D2よりも小さく)設定される。これにより、シール本体71が第1キャビティ14の一方開口部から内部に向かって挿入される際、傾斜面を伝うことができ、もって、シール本体71の外径D3が内径D1に向けて好適に圧縮可能とされる。
【0062】
2つの突出部72、73のうち一方の突出部73は中継導体68に被さった状態でインシュレーションバレル66に圧着される。これにより、突出部73がコネクタ端子62に位置決め保持され、シール部材70が端子付き電線50に位置決め保持される。突出部72に圧着されるインシュレーションバレルが、ジョイント端子56に設けられてもよい。また突出部72がジョイント端子56のインシュレーションバレルに圧着保持されていなだいけでなく、突出部73もコネクタ端子62のインシュレーションバレル66に圧着保持されていなくてもよい。シール部材70はX方向に沿ってジョイント端子56及びコネクタ端子62に挟まれて位置決め保持されていてもよい。また、中継導体68はシール部材70を位置決め保持可能な形状にされてもよい。例えば中継導体68に環状の溝が形成されてもよい。環状の溝にシール部材70が収まることによってシール部材70が中継導体68に位置決め保持される。
【0063】
端子付き電線50がキャビティに収容された状態において、シール部材70が設けられることによって第1キャビティ14の一方開口部と他方開口部との間が止水されている。これにより、コネクタハウジング10におけるキャビティの他方開口部(第1キャビティ14の他方開口部)から一方開口部(第3キャビティ36の一方開口部)への水等の浸入が抑制されている。シール部材70による止水対象となる液体としては、水、オイル等が想定される。オイルは、例えば、自動変速機において自動変速の制御動作を行うためのオイル(作動油)である。キャビティの一方開口部と他方開口部との間の止水は例えば以下のようにしてなされる。
【0064】
中継導体68の内部は中実に形成されている。これにより中継導体68の内部を伝って液体が第1キャビティ14の両側の開口部の一方から他方に浸透することが抑制される。中継導体68の内部は中空であってもよい。この場合でも、長手方向に沿って中継導体68の少なくとも一方が閉塞されていれば中継導体68の内部を伝って液体が第1キャビティ14の両側の開口部の一方から他方に浸透することが抑制される。
【0065】
シール本体71における内面(貫通孔74の内周面)は円形状とされる。シール本体71における内面は周方向全体にわたって中継導体68の外面に密着している。これによりシール本体71と中継導体68との間を伝って液体が第1キャビティ14の両側の開口部の一方から他方に浸透することが抑制される。なおシール本体71において長手方向に沿った少なくとも一部における内面が全周にわたって中継導体68の外面に密着していればよい。シール本体71における内面は中継導体68に装着される前の状態で中継導体68の外面よりも小さく形成されていてもよい。端子付き電線50がキャビティに収容された状態で第1キャビティ14からの圧力を受けてシール本体71における内面が中継導体68における外面に押し付けられていてもよい。
【0066】
シール本体71の環状凸部における外面は円形状とされる。シール本体71の環状凸部における外面は、シール位置における第1キャビティ14の内面に全周にわたって密着している。これによりシール本体71と第1ハウジング本体13との間を伝って液体が第1キャビティ14の両側の開口部の一方から他方に浸透することが抑制される。
【0067】
上述のように、端子付き電線50のうち第1キャビティ14に収まる部分が第1部分とされ、第2キャビティ26に収まる部分が第2部分とされ、第3キャビティ36に収まる部分が第3部分とされる。第1部分には、相手側接続部63が含まれる。第1部分には、コネクタ端子62のうち導体ピン部分を除く全体が含まれる。また第1部分には、シール部材70が含まれる。シール部材70のうち少なくともシール本体71が第1部分に含まれていると良い。また第2部分に端子の一部が含まれる。ここでは第2部分にジョイント端子56のうちワイヤーバレル57とそれよりも前端部分が含まれる。第3部分にジョイント端子56のうちワイヤーバレル57とそれよりも後端部分が含まれる。ワイヤーバレル57のうちX方向に沿った中間部が第2部分と第3部分との境界部分となる。
【0068】
端子付き電線50のうちコネクタハウジング10に収容される部分(第1部分、第2部分及び第3部分)がX方向から観察されたとき、シール本体71の環状凸部が、最も外周側に凸の部分である。コネクタハウジング10のキャビティは、第1状態において、このシール本体71の環状凸部を一方開口部から所定位置まで通過可能とされる。
【0069】
<製造工程>
図10から
図13はコネクタ付き電線1を製造する様子を示す模式図である。
図10、
図11及び
図13では、理解容易のため、コネクタハウジング10における複数のキャビティのうち3つが記載されている。3つのキャビティのうち2つのキャビティがY方向に並び、残りの1つのキャビティが2つのキャビティの1つに対してZ方向に並ぶ。
【0070】
コネクタ付き電線1を製造するにあたり、コネクタハウジング10及び端子付き電線50を準備する。コネクタハウジング10において第1ハウジング12、第2ハウジング24、及び第3ハウジング34は、別々に成形された後に端子付き電線50を挿入可能な挿入姿勢に保持される。
図10は、
図6又は
図7と同様に、第1ハウジング12に第2ハウジング24及び第3ハウジング34が取付けられる前の状態であり、挿入姿勢ではない。
図11及び
図12が、端子付き電線50を挿入可能な挿入姿勢とされた状態である。かかる挿入姿勢は、対応する第1キャビティ14、第2キャビティ26及び第3キャビティ36が連通する姿勢である。
図6、
図7又は
図10の状態から、第2ハウジング24及び第3ハウジング34がY方向に移動して、第1ハウジング12に部分的に挿入されて挿入姿勢とされる。ここでは、
図8の仮想線に示されるように、第1ハウジング12及び第2ハウジング24の仮係止部が仮係止するとともに、第1ハウジング12及び第3ハウジング34の仮係止部が仮係止することによって、挿入姿勢に保持される。
【0071】
第1ハウジング12、第2ハウジング24、及び第3ハウジング34が挿入姿勢とされた状態で、端子付き電線50がコネクタハウジング10のキャビティに挿入される。ここでは第3キャビティ36の一方開口部からキャビティ内に端子付き電線50が挿入される。また端子付き電線50は、相手側接続部63の側からキャビティ内に挿入される。
図12には、挿入度合いの異なる3つの端子付き電線50が示されている。
図12において、最も左側の端子付き電線50から最も右側の端子付き電線50に向けて、挿入度合いが順次大きくなっている。
図12において、真ん中の端子付き電線50は、シール本体71が小凹部28、38の位置を通過する状態とされている。
図12において、最も右側の端子付き電線50は、所定位置まで挿入が完了している。
【0072】
すべての端子付き電線50が、
図12における最も右側の端子付き電線50のように、所定位置まで挿入されたら、第1ハウジング12、第2ハウジング24、及び第3ハウジング34の本係止部が本係止されて第2状態とされる。ここでは第1ハウジング12に対して、第2ハウジング24及び第3ハウジング34をY方向に移動して、係止突起33、43を仮係止凹部18から外し、スリット19の内面に係止させる。これにより、第2ハウジング24及び第3ハウジング34が第1ハウジング12に対して挿入方向後方に抜けることが抑制される。また、第2ハウジング24に挿入方向前方への力がかかった場合、第2ハウジング本体25と第3壁部40とが接することによって、第2ハウジング24が第1ハウジング12に対して、挿入方向前方へ抜けることが抑制される。同様に、第3ハウジング34に挿入方向前方への力がかかった場合、第3ハウジング本体35と第2壁部30とが接することによって、第3ハウジング34が第1ハウジング12に対して、挿入方向前方へ抜けることが抑制される。
【0073】
第2状態において、第2部分の一部(Y方向に沿って端子付き電線50の一方側)が凹部27に収まる。凹部27の底面と2つの側面とが、第2キャビティ26の規制面28a、28b、28cとされる。第2状態において、第3部分の一部(Y方向に沿って端子付き電線50の他方側)が凹部37に収まる。凹部37の底面と2つの側面とが、第3キャビティ36の規制面38a、38b、38cとされる。第2状態において、端子付き電線50の側面がY方向を向く規制面28a、38aに覆われる。規制面28a、38aのほか、Z方向を向く規制面28b、28c、38b、38cによっても、端子付き電線50が規制される。端子付き電線50の上面が規制面28b、38bに覆われ、下面が規制面28c、38cに覆われる。第2キャビティ26の規制面28a、28b、28cが複数の平面である。第3キャビティ36の規制面38a、38b、38cも複数の平面である。小凹部28が半円筒状に形成されるなどして、第2キャビティ26の規制面が少なくとも1つの曲面であってもよい。第3キャビティ36の規制面についても同様である。
【0074】
X方向から観察されたときに、第2状態で、第2キャビティ26の内面26aのうち規制面28a、28b、28cが第1状態のときよりも第2部分に接近する。また第2状態で、第3キャビティ36の内面36aのうち規制面38a、38b、38cが第1状態のときよりも第3部分に接近する。第2キャビティ26の規制面28a、28b、28c、が第2部分に接近する向きと、第3キャビティ36の規制面38a、38b、38cが第3部分に接近する向きとが互いに異なる。
【0075】
図10に示される寸法R1は、第1キャビティ14の半径のうちシール部材70が収まる部分の半径R1である。
図10に示される寸法R2は、第1キャビティ14の半径のうち端子付き電線50が挿入される側の開口部における半径R2である。
図13に示される寸法dは、第1状態から第2状態に向けて第2ハウジング24が第1ハウジング12に対して移動するときの距離dである。ここでは、距離dは、半径R1以上であって半径R2以下である。ここでは距離dは、半径R1よりも大きく、半径R2よりも小さい。ここでは第1状態から第2状態に向けて第3ハウジング34が第1ハウジング12に対して移動するときの距離も距離dと同じである。
【0076】
より詳細には、
図11に示されるように、ここでは第1状態において、第2キャビティ26の内面及び第3キャビティ36の内面は、X方向から見て第1キャビティ14のうちシール部材70が収まる部分全体を開放している。また第1状態において、第2キャビティ26の内面及び第3キャビティ36の内面は、X方向から見て第1キャビティ14の開口部の一部を開放し、一部を塞いでいる。
図13に示されるように、第2状態において、X方向から見て、第2キャビティ26の内面26a及び第3キャビティ36の内面36aが、接しているように見える程度に接近する。このため、ワイヤーバレル57の上面及び下面のうち規制面28b、28c、38b、38cに覆われる面積及びが大きくなる。ここではワイヤーバレル57の上面及び下面のほぼ全体が規制面28b、28c、38b、38cに覆われる。なお、第2キャビティ26の内面26a及び第3キャビティ36の内面36aはX方向に離れているため、実際には接することはない。
【0077】
図14は第2状態における規制面28a、28b、28c、38a、38b、38cと端子付き電線50との隙間寸法を示す模式図である。
【0078】
ここでは規制面28a、28b、28c、38a、38b、38cは、第2部分及び第3部分と間隔をあけている。Y方向及びZ方向の両方において、規制面28a、28b、28c、38a、38b、38cは、第2部分及び第3部分と間隔をあけている。
【0079】
より詳細には、
図14に示される寸法Wcは、規制面28a、38a同士のY方向に沿った間隔である。ここでは寸法Wcは小凹部28の深さ寸法の2倍と同程度である。
図14に示される寸法Wtは、圧着後のワイヤーバレル57の幅寸法である。ここでの寸法Wc、Wtは、コネクタハウジング10に端子付き電線50が収められていない状態での寸法である。寸法Wcは、寸法Wtと同じであってもよいし、いずれか一方が他方よりも大きくてもよい。ここでは寸法Wcは、寸法Wtよりも大きい。つまり、ワイヤーバレル57が、規制面28a、38aの少なくとも一方と接していない。例えば、寸法Wcと寸法Wtとの差は、0.1ミリメートルから0.5ミリメートルの間の値であることが好ましい。また寸法Wc及び寸法Wtは、直径D1よりも小さい。なお、寸法Wcが寸法Wtよりも小さい場合、組立時に、ワイヤーバレル57及び規制面28a、38aのうち剛性の高い方(ここではワイヤーバレル57)が剛性の低い方(ここでは規制面28a、38a)を押し、その結果、コネクタ付き電線1においては、その寸法差がなくなる。従って、寸法Wcが寸法Wtと同じかそれよりも小さい場合、組立後のコネクタ付き電線1において、ワイヤーバレル57が、規制面28a、38aと接する。
【0080】
また、
図14に示される寸法Hcは、規制面28b、28c同士の間隔寸法(小凹部28の幅寸法)である。
図14に示される寸法Htは、圧着後のワイヤーバレル57の高さ寸法である。ここでの寸法Hc、Htは、コネクタハウジング10に端子付き電線50が収められていない状態での寸法である。寸法Hcは、寸法Htと同じであってもよいし、いずれか一方が他方よりも大きくてもよい。ここでは寸法Hcは、寸法Htよりも大きい。つまり、ワイヤーバレル57が、規制面28b、28cの少なくとも一方と接していない。例えば、寸法Hcと寸法Htとの差は、0.1ミリメートルから0.5ミリメートルの間の値であることが好ましい。また寸法Hc及び寸法Htは、直径D1よりも小さい。なお、寸法Hcが寸法Htよりも小さい場合、組立時に、ワイヤーバレル57及び規制面28b、28cのうち剛性の高い方(ここではワイヤーバレル57)が剛性の低い方(ここでは規制面28b、28c)を押し、その結果、コネクタ付き電線1においては、その寸法差がなくなる。従って、寸法Hcが寸法Htと同じかそれよりも小さい場合、組立後のコネクタ付き電線1において、ワイヤーバレル57が、規制面28b、28cと接する。ワイヤーバレル57と規制面38b、38cとの関係についても、ワイヤーバレル57と規制面28b、28cとの関係と同様である。
【0081】
ここでは第1状態から第2状態とされる際、第1ハウジング12に対して、第2ハウジング24及び第3ハウジング34がY方向に移動する。このため、Y方向を向く規制面28a、38aが、Z方向を向く規制面28b、28c、38b、38cよりも端子付き電線50に対して近づけられやすい。例えば、寸法Wcと寸法Wtとの差が、寸法Hcと寸法Htとの差よりも小さい。もっとも、寸法Wcと寸法Wtとの差が、寸法Hcと寸法Htとの差と同じであってもよいし、それよりも大きくてもよい。
【0082】
また例えば、寸法Wcと寸法Wtとの差は、シール本体71の圧縮量(シール本体71の外径D3と第1キャビティ14の内径D1との差)と同じかそれより小さくてもよい。これにより、第2部分及び第3部分が第2ハウジング24及び第3ハウジング34内で、Y方向に大きく移動しても、シール本体71の圧縮状態が解消されにくい。同様に、例えば、寸法Hcと寸法Htとの差は、シール本体71の圧縮量(シール本体71の外径D3と第1キャビティ14の内径D1との差)と同じかそれよりも小さくてもよい。これにより、第2部分及び第3部分が第2ハウジング24及び第3ハウジング34内で、Z方向に大きく移動しても、シール本体71の圧縮状態が解消されにくい。
【0083】
<効果等>
以上のように構成されたコネクタハウジング10及びこれを備えるコネクタ付き電線1によると、第2ハウジング24が第1ハウジング12に本係止した第2状態で、第2キャビティ26の内面26aのうち規制面28a、28b、28cが第1状態のときよりも第2部分に接近することによって、コネクタハウジング10内における端子付き電線50の振動抑制がなされる。これにより、端子の突起によらずともコネクタハウジング10内における端子付き電線50の振動抑制を行うことが可能となる。
【0084】
また第1ハウジング12及び第2ハウジング24には、第1状態を維持する仮係止部が設けられている。これにより、端子挿入時に第1ハウジング12と第2ハウジング24とが位置決めされた状態に保持されやすい。
【0085】
また第2キャビティ26の規制面28aが第2部分に接近する向きと、第3キャビティ36の規制面38aが第3部分に接近する向きとが互いに異なる。これにより、第2キャビティ26の規制面28aと第3キャビティ36の規制面38aとが互いに異なる向きから端子付き電線50に面することが可能となることによって、端子付き電線50がより振動しにくくなる。
【0086】
また第2ハウジング24と第3ハウジング34とが同じ形状に形成されている。これにより、コネクタハウジング10を構成する部品種類数が増加することを抑制できる。
【0087】
また第2部分に端子の一部が含まれる。これにより、第2キャビティ26の規制面28a、28b、28cが端子付き電線50のうち端子が設けられた部分に面することができ、第2キャビティ26の規制面28a、28b、28cが端子付き電線50のうち端子から延び出る電線52に面する場合と比べて、コネクタハウジング10が電線52の長手方向に大きくなることを抑制できる。また第2部分に端子のうちワイヤーバレル57が含まれる。これにより、第2キャビティ26の規制面28a、28b、28cがワイヤーバレル57に面することができる。ワイヤーバレル57は電線52へ圧着されるときに圧着金型に対応する大きさにされるため、寸法管理が容易な部分である。このため、第2キャビティ26の規制面28a、28b、28cがワイヤーバレル57に面することによって、第2キャビティ26の規制面28a、28b、28cと、ワイヤーバレル57との距離を安定して管理しやすい。
【0088】
また第2キャビティ26の規制面28a、28b、28cが複数の平面又は少なくとも1つの曲面である。これにより、第2キャビティ26の規制面28a、28b、28cが1つの平面である場合と比べて、複数方向において端子付き電線50の振動が抑制されやすい。
【0089】
また凹部27の底面と2つの側面とが、第2キャビティ26の規制面28a、28b、28cとされる。これにより、第2キャビティ26の規制面28a、28b、28cが簡易に複数の向きから第2部分に面することができる。
【0090】
また第2キャビティ26の規制面28a、28b、28cが第2部分と間隔をあけている。これにより、コネクタハウジング10の傷つきが抑制される。
【0091】
またシール部材70は第1部分に含まれる。これにより、端子付き電線50のうちシール部材70よりも後端側の部分が第2キャビティ26の規制面28a、28b、28cによって押さえられる。
【0092】
[変形例]
図15はコネクタ付き電線1の変形例を示す模式図である。
【0093】
図15に示す変形例にかかるコネクタ付き電線101では、第2部分に端子付き電線50のうち端子から延び出る電線52の部分が含まれる。これにより、第2キャビティ26の規制面28a、28b、28cが端子付き電線50のうち電線52の部分に面することができる。この場合、上記第1ハウジング本体13(第1キャビティ14)がX方向に延ばされて、ジョイント端子56のワイヤーバレル57又はインシュレーションバレル58まで第1キャビティ14に収められていてもよい。またこの場合、小凹部28、38が電線52の直径に対応する直径を有する半円筒状に形成されてもよい。
【0094】
図16はコネクタ付き電線1の別の変形例を示す模式図である。
【0095】
図16に示す変形例にかかるコネクタ付き電線201では、第2キャビティ26及び第3キャビティ36の規制面28a、38aが第2部分及び第3部分に当たっている。寸法Wcは、寸法Wt以下である。これにより、端子付き電線50の振動をより抑制しやすい。
【0096】
図16に示す例では、第2キャビティ26及び第3キャビティ36の規制面28b、28c、38b、38cは、第2部分及び第3部分に当たっていない。寸法Hcは、寸法Htよりも大きい。第2キャビティ26及び第3キャビティ36の規制面28b、28c、38b、38cは、第2部分及び第3部分に当たっていてもよい。寸法Hcは、寸法Ht以下であってもよい。
【0097】
このほか、これまで挿入姿勢を保つための仮係止部がコネクタハウジング10に設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。コネクタハウジング10に仮係止部が設けられない場合、第1ハウジング12及び第2ハウジング24は、別の治具等によって挿入姿勢に保持されてもよい。第1ハウジング12及び第3ハウジング34についても同様である。
【0098】
またこれまで第2ハウジング24及び第3ハウジング34の両方が設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。第2ハウジング24及び第3ハウジング34のうち第2ハウジング24のみが設けられてもよい。またこれまで第2ハウジング24及び第3ハウジング34の両方が設けられる場合に、第2ハウジング24及び第3ハウジング34が同じ形状であるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。第2ハウジング24及び第3ハウジング34が別の形状に形成されていてもよい。また第1状態から第2状態に向けて、第2ハウジング24及び第3ハウジング34が第1ハウジング12に対して、互いに逆向きに移動するものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。第1状態から第2状態に向けて、第2ハウジング24及び第3ハウジング34が第1ハウジング12に対して、逆向き以外の向きに移動してもよい。例えば、第1状態から第2状態に向けて、第1ハウジング12に対して第2ハウジング24がY方向に移動し、第3ハウジング34がZ方向に移動してもよい。
【0099】
またこれまで第2状態において、端子付き電線50が第2ハウジング24及び第3ハウジング34の凹部27、37に収まるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。第2状態において、端子付き電線50が第2ハウジング24及び第3ハウジング34の凹部27、37に収まっていなくてもよい。この場合、規制面は、Y方向のみに接近してもよい。また例えば、規制面は、以下のようにして、Y方向及びZ方向に接近してもよい。すなわち第1状態から第2状態に向けて、第2キャビティ26の内面26aの法線方向と交差する方向(例えば、YZ平面において、Y方向及びZ方向に対して45度をなす方向)に沿って、第2ハウジング24及び第3ハウジング34が第1ハウジング12に向けて互いに逆向きに移動する。この際、第2キャビティ26の内面26aのうち1つの角部をなす2つの内面が端子付き電線50を2方向(例えば上方及び右方)から覆う規制面とされ、第3キャビティ36の内面36aのうち1つの角部をなす2つの内面が端子付き電線50を別の2方向(例えば下方及び左方)から覆う規制面とされる。
【0100】
またこれまで、第2キャビティ26の数及び第3キャビティ36の数が、第1キャビティ14の数よりも少ないものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。第2キャビティ26の数及び第3キャビティ36の数が、第1キャビティ14の数と同じであってもよい。この場合、第2壁部30及び第3壁部40に凹部が設けられていなくてもよい。
【0101】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0102】
1 コネクタ付き電線
10 コネクタハウジング
12 第1ハウジング
13 第1ハウジング本体
14 第1キャビティ
15 第1壁部
16、17 溝
16a、17a 底面
18 仮係止凹部(仮係止部)
19 スリット(本係止部)
20 車両取付部
21 装着孔
22 封止材装着部
24 第2ハウジング
25 第2ハウジング本体
26 第2キャビティ
26a 第2キャビティの内面
27 第2キャビティの凹部
28 第2キャビティの小凹部
28a、28b、28c 第2キャビティの規制面
29 第2キャビティの大凹部
30 第2壁部
31 第2ハウジングの係止片(仮係止部、本係止部)
32 第2ハウジングの支持片
33 第2ハウジングの係止突起
34 第3ハウジング
35 第3ハウジング本体
36 第3キャビティ
36a 第3キャビティの内面
37 第3キャビティの凹部
38 第3キャビティの小凹部
38a、38b、38c 第3キャビティの規制面
39 第3キャビティの大凹部
40 第3壁部
41 第3ハウジングの係止片(仮係止部、本係止部)
42 第3ハウジングの支持片
43 第3ハウジングの係止突起
50 端子付き電線
52 被覆電線
53 導体芯線
54 絶縁被覆
56 ジョイント端子
57、59、65 ワイヤーバレル
58、66 インシュレーションバレル
62 コネクタ端子
63 相手側接続部
68 中継導体
70 シール部材
71 シール本体
72、73 突出部
74 貫通孔
S 封止材