(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ネットワーク配置制御装置、通信システム、および、その制御方法
(51)【国際特許分類】
H04L 41/40 20220101AFI20240827BHJP
H04L 45/42 20220101ALI20240827BHJP
H04W 28/02 20090101ALI20240827BHJP
【FI】
H04L41/40
H04L45/42
H04W28/02
(21)【出願番号】P 2020567380
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(86)【国際出願番号】 JP2019044827
(87)【国際公開番号】W WO2020152954
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2019009455
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112955
【氏名又は名称】丸島 敏一
(72)【発明者】
【氏名】高野 裕昭
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-143365(JP,A)
【文献】国際公開第2018/086674(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0376338(US,A1)
【文献】国際公開第2017/002729(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/194619(WO,A1)
【文献】新井 誠亮 Seisuke Arai,キャリアクラウドへのアプリケーション配備方法の提案,電子情報通信学会2016年総合大会講演論文集 通信2 PROCEEDINGS OF THE 2016 IEICE GENERAL CONFERENCE,一般社団法人電子情報通信学会,2016年03月01日,P.64,B-6-64
【文献】Vodafone,User plane function selection for URLLC[online],3GPP TSG SA WG2 #124 S2-178596,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_sa/WG2_Arch/TSGS2_124_Reno/Docs/S2-178596.zip>,2017年12月01日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-69/40
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラー通信システムにおいてユーザデータの送受信処理を行うユーザプレーンファンクションの配置位置に対応する性能に関する情報を取得する取得部と、
前記性能に関する情報に基づいて
決定された前記ユーザプレーンファンクションの配置位置
について、その配置位置への設定を前記セルラー通信システムにおけるネットワークに対して要求する設定要求部と
を具備するネットワーク配置制御装置。
【請求項2】
前記性能に関する情報は、遅延、コスト、輻輳に対する耐性、および、想定されるスループットの少なくとも1つを含む
請求項1記載のネットワーク配置制御装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記性能の測定を要求し、その測定された前記性能の提示を要求して、前記性能に関する情報を取得する
請求項1記載のネットワーク配置制御装置。
【請求項4】
前記ユーザプレーンファンクションは、予め提示された複数の選択肢の中から
その前記ユーザプレーンファンクションの配置位置
が決定
される
請求項1記載のネットワーク配置制御装置。
【請求項5】
前記性能に関する情報は、前記ユーザプレーンファンクションと基地局との間の遅延時間を含む
請求項1記載のネットワーク配置制御装置。
【請求項6】
前記性能に関する情報は、前記ユーザプレーンファンクションと端末との間の遅延時間を含む
請求項1記載のネットワーク配置制御装置。
【請求項7】
前記ユーザプレーンファンクションと前記端末との間の前記遅延時間は、所定の最大許容遅延時間である
請求項
6載のネットワーク配置制御装置。
【請求項8】
前記ユーザデータの送受信処理は、ARまたはVRコンテンツのデータの送受信処理である
請求項1記載のネットワーク配置制御装置。
【請求項9】
前記想定されるスループットは、ARまたはVRコンテンツに必要なスループットである
請求項2記載のネットワーク配置制御装置。
【請求項10】
前記セルラー通信システムにおけるネットワークは、3GPP規格におけるコアネットワークである
請求項1記載のネットワーク配置制御装置。
【請求項11】
セルラー通信システムにおけるネットワークと
前記セルラー通信システムにおいてユーザデータの送受信処理を行うユーザプレーンファンクションの配置位置に対応する性能に関する情報を取得する取得部と、
前記性能に関する情報に基づいて
決定された前記ユーザプレーンファンクションの配置位置
について、その配置位置への設定を前記セルラー通信システムにおけるネットワークに対して要求する設定要求部と
を具備する通信システム。
【請求項12】
取得部が、セルラー通信システムにおいてユーザデータの送受信処理を行うユーザプレーンファンクションの配置位置に対応する性能に関する情報を取得する取得手順と、
決定部が、前記性能に関する情報に基づいて前記ユーザプレーンファンクションの配置位置を決定する決定手順と、
設定要求部が、前記決定された配置位置への前記ユーザプレーンファンクションの設定を前記セルラー通信システムにおけるネットワークに対して要求する設定要求手順と
を具備するネットワーク配置制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、通信システムに関する。詳しくは、ネットワークの配置を制御するネットワーク配置制御装置、通信システム、および、その制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムにおいては、ネットワークのユーザデータに関する機能を端末の近くに配置するエッジコンピューティングの技術が知られている。これにより、通信遅延を短縮するとともにシステム内の負荷を分散することができる。例えば、端末の特性に応じて基地局の無線リソース管理を行うためのエッジサーバが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術では、所望の機能を端末の近くに配置することによりネットワークの低遅延化を図る一方で、端末と基地局の間の無線リソースを管理している。しかしながら、エッジコンピューティングにおけるネットワーク機能の配置については、サービス事業者から柔軟に制御することができず、十分な性能が得られ難いという問題があった。
【0005】
本技術はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、エッジコンピューティングにおけるネットワーク機能の配置を柔軟に制御することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、ネットワークの所定の部分機能の配置位置に対応する性能に関する情報を取得する取得部と、上記性能に関する情報に基づいて上記部分機能の配置位置を決定する決定部と、上記決定された配置位置への上記部分機能の設定を上記ネットワークに対して要求する設定要求部とを具備するネットワーク配置制御装置、通信システム、および、ネットワーク配置制御方法である。これにより、性能に関する情報に基づいて決定された配置位置に、ネットワークの所定の部分機能を配置させるという作用をもたらす。
【0007】
また、この第1の側面において、上記性能に関する情報は、遅延、コスト、輻輳に対する耐性、および、想定されるスループットの少なくとも1つを含むようにしてもよい。これにより、遅延、コスト、輻輳に対する耐性、および、想定されるスループットを考慮して、ネットワークの所定の部分機能を配置させるという作用をもたらす。
【0008】
また、この第1の側面において、上記取得部は、上記性能の測定を要求し、その測定された上記性能の提示を要求して、上記性能に関する情報を取得するようにしてもよい。これにより、測定された性能に関する情報に基づいて、ネットワークの所定の部分機能を配置させるという作用をもたらす。
【0009】
また、この第1の側面において、上記決定部は、予め提示された複数の選択肢の中から上記部分機能の配置位置を決定するようにしてもよい。これにより、複数の選択肢の中から選択された条件により部分機能の配置位置を決定させるという作用をもたらす。
【0010】
また、この第1の側面において、上記部分機能は、ユーザデータの送受信処理を行うユーザプレーンファンクションであってもよい。この場合において、上記性能に関する情報は、上記ユーザプレーンファンクションとの間の遅延時間、または、上記ユーザプレーンファンクションと基地局との間の遅延時間を含んでもよい。
【0011】
また、この第1の側面において、上記部分機能は、所定のネットワークスライスにおける所定のプレーンであってもよい。この場合において、上記所定のプレーンは、制御処理のためのコントロールプレーンであってもよく、また、ユーザデータの送受信処理のためのユーザプレーンであってもよい。
【0012】
また、この第1の側面において、上記ネットワークは、3GPP規格におけるコアネットワークであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本技術の実施の形態における通信システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】本技術の実施の形態における通信システムの機能構成例を示す図である。
【
図3】本技術の実施の形態におけるAF104の機能構成例を示す図である。
【
図4】本技術の第1の実施の形態における処理手順の第1の例を示すシーケンス図である。
【
図5】本技術の第1の実施の形態においてAF104に提示される情報の第1の例を示す図である。
【
図6】本技術の第1の実施の形態における処理手順の第2の例を示すシーケンス図である。
【
図7】本技術の第1の実施の形態においてAF104に提示される情報の第2の例を示す図である。
【
図8】本技術の第1の実施の形態における処理手順の第3の例を示すシーケンス図である。
【
図9】本技術の第1の実施の形態においてAF104に提示される情報の第3の例を示す図である。
【
図10】本技術の第1の実施の形態においてAF104に提示される情報の第4の例を示す図である。
【
図11】本技術の第1の実施の形態においてAF104に提示される情報の第5の例を示す図である。
【
図12】本技術の第1の実施の形態の実施例であるクラウドレンダリングシステムの構成例を示す図である。
【
図13】本技術の第1の実施の形態の実施例における処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図14】本技術の第2の実施の形態におけるネットワークスライスの例を示す図である。
【
図15】本技術の第2の実施の形態における通信システムの機能構成例を示す図である。
【
図16】本技術の第2の実施の形態におけるAF104からの配置要求の第1の例を示す図である。
【
図17】本技術の第2の実施の形態におけるAF104からの配置要求の第2の例を示す図である。
【
図18】本技術の第2の実施の形態におけるAF104からの配置要求の第3の例を示す図である。
【
図19】本技術の第2の実施の形態における処理手順の例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(ユーザプレーンファンクションを配置する例)
2.第2の実施の形態(ネットワークスライスの部分を配置する例)
【0015】
<1.第1の実施の形態>
[通信システムの構成]
図1は、本技術の実施の形態における通信システムの全体構成例を示す図である。この通信システムは、3GPP(Third Generation Partnership Project)規格におけるコアネットワーク10と、基地局装置30とを備える。
【0016】
コアネットワーク10は、パブリックネットワーク(public network)を構成する基幹回線網であり、例えば、EPC(Evolved Packet Core)や、5Gコアネットワーク(5G Next Generation Core)が想定される。このコアネットワーク10は、コントロールプレーン100と、ユーザプレーン200とに分けることができる。コントロールプレーン100は、回線接続などの制御処理のための機能群である。ユーザプレーン200は、ユーザデータの送受信処理のための機能群である。
【0017】
基地局装置30は、RAN(Radio Access Network)を構成して、端末40に対してネットワーク接続を提供する基地局である。この基地局装置30は、バックホール(backhaul)回線20を介してコアネットワーク10に接続する。
【0018】
バックホール回線20は、無線または有線を用いて基地局装置30のアクセス回線とコアネットワーク10のバックボーン(backbone)回線とを中継する回線である。
【0019】
端末40は、ユーザが利用するユーザ端末(UE:User Equipment)である。
【0020】
3GPPでは、LTE(Long Term Evolution)というRANの後継として、第五世代セルラー通信システム(5G)のNR(New Radio Access)が検討されている。NRは2つの特徴を有する。一つは、6GHz以上100GHzまでの周波数帯を用いて、高速大容量の通信を実現することである。もう一つは、様々なユースケースの通信形態を効率的に収容することである。ここで、様々なユースケースとは、高速大容量通信や低遅延の通信、MTC(Machine Type Communication)である。さらに、D2D(Device to Device)も同時に収容することが求められている。一つのネットワークでこれらの様々な通信を収容することが求められている。
【0021】
RANと接続するコアネットワーク側の技術として、従来はEPCがあったが、その後継として、ニューコアが検討されている。ニューコアは、NRが提供する様々な通信形態であるモバイルブロードバンド(Mobile Broad Band)、低遅延(Low Latency)通信、MTC、D2D等を効率良く収容する必要があるとともに、CAPEX/OPEX(設備導入費用、運用費用)を低く抑える必要がある。CAPEX/OPEXを低く保ちながら、様々な通信形態を提供するためには、別々の通信ネットワークを用意したのでは実現することが困難である。したがって、単一のネットワークで運用する一方で、各通信形態の通信量の重要に対応して、そのネットワークのキャパシティーを柔軟に変えることが必要になる。
【0022】
図2は、本技術の実施の形態における通信システムの機能構成例を示す図である。UE400は、上述の端末40に相当する。RAN300は、上述の基地局装置30に相当する。
【0023】
上述のように、コアネットワーク10は、コントロールプレーン100と、ユーザプレーン200とに分けることができる。この例では、コントロールプレーン100は、NEF101と、PCF102と、UDM103と、AF104と、AUSF105と、SMF106と、NSSF107と、NRF108と、AMF109と、ECMF184とを備える。ここで、ECMF184はこの実施の形態における新たな機能であり、これ以外は3GPPの既存のネットワーク機能である。
【0024】
これらのネットワーク機能はバス接続され、リクエストに対するレスポンスを受けることにより、所定のサービスを受けることができる(SBA:Service Based Architecture)。このSBAにおけるプロトコルはHTTP/2ベースで、ファイル形式はJSON(JavaScript Object Notation)形式(JavaScriptは登録商標)によって情報をやり取りすることができる。
【0025】
AF(Application Function)104は、サービスを供給するためにコアネットワーク10とのやりとりを行うものである。AF104は、NEF101経由で、サービスリクエストを送信し、各ネットワーク機能からレスポンスを受け取ることができる。基本的には、各ネットワーク機能の持つ情報をAF104が取得するために使用する。AF104は、UE400について位置、タイムゾーン、接続状態(アイドル状態/RRC接続状態)等の情報を、コアネットワーク10から取得することができる。なお、このAF104は、コアネットワーク10の中にも外にも配置することができる。
【0026】
NEF(Network Exposure Function)101は、コアネットワーク10内外のAF104に対して、コアネットワーク10内の各機能の情報を提供するインターフェースである。
【0027】
PCF(Policy Control Function)102は、QoS(Quality of Service)のポリシーを提供するものである。
【0028】
UDM(Unified Data Management)103は、コアネットワーク10内のデータを格納するための制御を行うものである。
【0029】
AUSF(Authentication Server Function)105は、アタッチリクエスト(attach request)時にUE400が信頼できる端末であるか否かを認証(Authentication)する機能を有する。
【0030】
SMF(Session Management Function)106は、UE400のアタッチリクエスト(attach request)を処理する機能を有する。
【0031】
NSSF(Network Slice Selection Function)107は、UE400に対してネットワークスライスを割り当てる機能を有する。
【0032】
NRF(Network Repository Function)108は、サービス検出(service discovery)を行うものである。
【0033】
AMF(Access and Mobility Management Function)109は、ハンドオーバ(hand over)の制御を行うものである。
【0034】
ECMF(Edge Computing Management Function)184は、この実施の形態における新たな機能であり、コアネットワーク10内のネットワーク機能の配置を管理するものである。
【0035】
ユーザプレーン200は、UPF201と、DN202とを備える。UPF(User Plane Function)201は、DN(Data Network)202との接続点である。エッジコンピューティングにおいては、UPF201は、UE400のなるべく近くに配置される。すなわち、UPF201とDN202の部分は、UE400とUE400につながっているRAN300に距離的に近いネットワーク内に配置することにより、UE400とDN202の間の伝送遅延を低減することが可能となっている。
【0036】
図3は、本技術の実施の形態におけるAF104の機能構成例を示す図である。このAF104は、取得部141と、決定部142と、設定要求部143とを備える。
【0037】
取得部141は、コアネットワーク10の所定の部分機能の配置位置に対応する性能に関する情報を取得するものである。この第1の実施の形態では、主として、UPF201の配置位置に対応する性能に関する情報を取得することを想定する。
【0038】
決定部142は、取得部141によって取得された性能に関する情報に基づいて、部分機能の配置位置を決定するものである。この第1の実施の形態では、主として、UPF201の配置位置を決定することを想定する。
【0039】
設定要求部143は、決定部142によって決定された配置位置への部分機能の設定を、コアネットワーク10のECMF184に対して要求するものである。
【0040】
AF104がUPF201の配置位置を指定するのは、一般的には困難なことが多い。実際のネットワークの場所を緯度経度で指定しても、ネットワークのトポロジーによっては、実際の場所の遠近は意味がない場合があるからである。したがって、事前にコアネットワーク10からAF104に対して、UPF201を配置することが可能な構成(configuration)を複数提示することが望ましい。それぞれの構成に対しては、基地局装置30とUPF201の間の遅延時間を情報として開示する。
【0041】
また、AF104とUPF201の遅延を考慮してUPF201の配置の依頼を行いたい場合には、AF104は、AF104と仮定したUPF201の場所との間の遅延を測定する依頼を行う。もちろん、基地局装置30とUPF201の遅延、および、UPF201とAF104の遅延の両方を考慮して決定してもよい。
【0042】
[動作]
図4は、本技術の第1の実施の形態における処理手順の第1の例を示すシーケンス図である。
【0043】
コアネットワーク10は、基地局装置30との間の遅延時間に関する情報を、UPF201の配置位置毎に取得しておく(711)。すなわち、コアネットワーク10は、遅延時間に関する情報を事前に取得することができる。
【0044】
AF104は、コアネットワーク10に対して、遅延時間に関する情報を要求する(714)。これに応答して、コアネットワーク10は、その遅延時間に関する情報をAF104に提示する(715)。
【0045】
AF104は、遅延時間に関する情報を考慮して、UPF201の配置位置を決定し(716)、そのUPF201の配置位置の設定をコアネットワーク10に要求する(717)。
【0046】
コアネットワーク10は、AF104からの要求に対応して、UPF201を配置する(718)。
【0047】
図5は、本技術の第1の実施の形態においてAF104に提示される情報の第1の例を示す図である。
【0048】
この第1の例では、基地局装置30とUPF201との間の遅延時間に関する情報が示されている。すなわち、設定番号「1」については「1ms」、設定番号「2」については「5ms」、設定番号「3」については「10ms」が、それぞれ示されている。AF104は、これらの選択肢の中から1つを選択して、その設定番号を用いて、UPF201の配置位置の設定をコアネットワーク10に要求する。
【0049】
図6は、本技術の第1の実施の形態における処理手順の第2の例を示すシーケンス図である。
【0050】
この第2の例では、AF104とUPF201の遅延を考慮してUPF201を配置するために、AF104は、AF104と仮定したUPF201の場所との間の遅延の測定をコアネットワーク10に要求する(722)。
【0051】
コアネットワーク10は、想定されるUPF201とAF104との間の遅延時間を計測する(723)。
【0052】
AF104は、コアネットワーク10に対して、UPF201とAF104との間の遅延時間に関する情報を要求する(724)。これに応答して、コアネットワーク10は、その遅延時間に関する情報をAF104に提示する(725)。
【0053】
AF104は、遅延時間に関する情報を考慮して、UPF201の配置位置を決定し(726)、そのUPF201の配置位置の設定をコアネットワーク10に要求する(727)。
【0054】
コアネットワーク10は、AF104からの要求に対応して、UPF201を配置する(728)。
【0055】
図7は、本技術の第1の実施の形態においてAF104に提示される情報の第2の例を示す図である。
【0056】
この第2の例では、AF104とUPF201との間の遅延時間に関する情報が示されている。すなわち、設定番号「1」については「1ms」、設定番号「2」については「5ms」、設定番号「3」については「10ms」が、それぞれ示されている。AF104は、これらの選択肢の中から1つを選択して、その設定番号を用いて、UPF201の配置位置の設定をコアネットワーク10に要求する。
【0057】
図8は、本技術の第1の実施の形態における処理手順の第3の例を示すシーケンス図である。
【0058】
この第3の例では、基地局装置30とUPF201との間の遅延時間に関する情報と、AF104とUPF201との間の遅延時間に関する情報の両方を考慮してUPF201を配置する。そのため、コアネットワーク10は、想定されるUPF201と基地局装置30との間の遅延時間に関する情報を計測しておく(731)。
【0059】
また、AF104は、AF104と仮定したUPF201の場所との間の遅延の測定をコアネットワーク10に要求する(732)。
【0060】
コアネットワーク10は、想定されるUPF201とAF104との間の遅延時間を計測する(733)。
【0061】
AF104は、コアネットワーク10に対して、UPF201とAF104との間の遅延時間に関する情報を要求する(734)。これに応答して、コアネットワーク10は、その遅延時間に関する情報をAF104に提示する(735)。
【0062】
AF104は、基地局装置30とUPF201との間の遅延時間に関する情報と、AF104とUPF201との間の遅延時間に関する情報の両方を考慮して、UPF201の配置位置を決定し(736)、そのUPF201の配置位置の設定をコアネットワーク10に要求する(737)。
【0063】
コアネットワーク10は、AF104からの要求に対応して、UPF201を配置する(738)。
【0064】
[性能に関する情報]
上述の例では、UPF201の配置位置の性能に関する情報として、遅延時間に関する情報を例示した。性能に関する情報は、上述の遅延以外に、コスト、輻輳に対する耐性、および、想定されるスループットなどが想定され、これらのうちの少なくとも1つを含むように組み合わせてもよい。
【0065】
図9は、本技術の第1の実施の形態においてAF104に提示される情報の第3の例を示す図である。
【0066】
この第3の例では、輻輳に対する耐性に関する情報が示されている。すなわち、設定番号「1」については耐性が「低」、設定番号「2」については耐性が「高」、設定番号「3」については耐性が「中」が、それぞれ示されている。AF104は、これらの選択肢の中から1つを選択して、その設定番号を用いて、UPF201の配置位置の設定をコアネットワーク10に要求する。
【0067】
なお、UPF201を基地局装置30の近くに配置し、そのUPF201の近くにAF104が配置される場合には、経路が短いため、コアネットワーク10の奥の方の輻輳の影響は受けにくくなる。
【0068】
図10は、本技術の第1の実施の形態においてAF104に提示される情報の第4の例を示す図である。
【0069】
この第4の例では、サービスプロバイダが支払う課金コストに関する情報が示されている。すなわち、設定番号「1」についてはコストが「低」、設定番号「2」についてはコストが「高」、設定番号「3」についてはコストが「中」が、それぞれ示されている。AF104は、これらの選択肢の中から1つを選択して、その設定番号を用いて、UPF201の配置位置の設定をコアネットワーク10に要求する。
【0070】
図11は、本技術の第1の実施の形態においてAF104に提示される情報の第5の例を示す図である。
【0071】
この第5の例では、スループットに関する情報が示されている。すなわち、設定番号「1」についてはスループットが「低」、設定番号「2」についてはスループットが「高」、設定番号「3」についてはスループットが「中」が、それぞれ示されている。AF104は、これらの選択肢の中から1つを選択して、その設定番号を用いて、UPF201の配置位置の設定をコアネットワーク10に要求する。
【0072】
UPF201の配置位置により、距離が近ければ、TCP(Transmission Control Protocol)のACK/NACKによる再送時間が短縮されるため、遅延が短くなり、そのことによりスループットが向上する。したがって、スループットの情報に応じてUPF201の配置位置を決定するという用途が想定される。
【0073】
このように、本技術の第1の実施の形態では、性能に関する情報に基づいてAF104がUPF201の配置位置を決定し、その設定をコアネットワーク10に要求する。これにより、UPF201の位置をサービス事業者が柔軟に制御することができる。サービス事業者が望むネットワーク構成の設定が可能になるため、ユーザのリクエストに対してサービスを細かくカスタマイズすることができる。例えば、ユーザに提供する通信路の品質を担保しやすくなるといった効果が期待できる。
【0074】
[実施例(クラウドゲームシステム)]
次に第1の実施の形態に対応する実施例について説明する。より具体的には、第1の実施の形態において端末40へ提供されるサービスが拡張現実(AR:Argument Reality)または仮想現実(VR:Virtual Reality)を用いたクラウドゲームである場合について説明する。
【0075】
5G NR(New Radio)では、ユースケースとしていくつかのサービスが検討されている。このうち、AR/VRサービスは、5G NRのキラーコンテンツとして期待されている。AR/VRを用いたクラウドゲームについては、「3GPP TR 22.842 v17.1.0」および「TS 22.261 v17.0.1」において、ゲーム画像のレンダリングに関する要求条件が規定されている。より具体的には、これらの技術報告書および技術仕様書では、ゲーム画像のレンダリングにおいて、AR/VRユーザに違和感を与えないレベルの許容遅延として、「motion-to-photon」遅延と「motion-to-sound」遅延とが規定されている。
【0076】
「motion-to-photon」遅延は、ユーザの頭の物理的な動きとAR/VRヘッドセット(例えば、HMD(Head Mount Display))内の更新された画像との間の遅延として定義される。上述の技術報告書では、「motion-to-photon」遅延について、要求されるデータレート(1Gbps)を維持しつつ、7乃至15msの範囲であることが規定されている。「motion-to-sound」遅延は、ユーザの頭の物理的な動きとユーザの耳に届くヘッドマウントスピーカーからの更新された音波との間の遅延として定義される。上述の技術報告書では、「motion-to-sound」遅延について、20ms未満であることが規定されている。ここで、AR/VRヘッドセットやヘッドマウントスピーカーは、第1の実施の形態における端末40であってもよい。
【0077】
これら遅延に関する条件を満たすために、上述の技術報告書および技術仕様書では、5Gシステムとして、レンダリングに関して次の2つの要求条件を満たすよう規定している。まず、第1の要求条件として、「Max Allowed End-to-end latency」(最大許容遅延)が5msであることが規定されている。これは、例えば、端末(例えば、端末40)とデータネットワーク(例えば、AF104が配置されるネットワーク)へのインターフェースとの間の上りリンクおよび下りリンクの合計の許容遅延が5msであることを意味する。また、第2の要求条件として、「Service bit rate: user-experienced data rate」が0.1Gbps(100Mbps)であることが規定されている。これは、AR/VRコンテンツをサポートできるスループットである。
【0078】
なお、この実施例におけるレンダリングは、クラウド(Cloud)レンダリング、エッジ(Edge)レンダリングまたはスプリット(Split)レンダリングを含む。クラウドレンダリングでは、ネットワークのクラウド上において、AR/VRデータがレンダリングされる。ここで、クラウドは、ユーザの位置を考慮しないコアネットワーク(UPFを含む)配置とデータネットワーク(アプリケーションサーバやAFを含む)配置に基づく、とあるエンティティまたは複数のエンティティからなるネットワークである。エッジレンダリングでは、ネットワークのエッジ上において、AR/VRデータがレンダリングされる。ここで、エッジは、ユーザの位置に近いコアネットワーク(UPFを含む)配置とデータネットワーク(アプリケーションサーバやAFを含む)配置に基づく、とあるエンティティまたは複数のエンティティからなるネットワークである。例えば、エッジコンピューティングのためのネットワーク配置におけるデータネットワーク内のアプリケーションサーバである、エッジコンピューティングサーバがエッジに該当する。また、スプリットレンダリングは、レンダリングの一部がクラウド上で行われ、他の一部がエッジ上で行われるレンダリングを意味する。
【0079】
図12は、本技術の第1の実施の形態の実施例であるクラウドレンダリングシステムの構成例を示す図である。ここでは、上述の技術報告書に記載された、レンダリングに関するクラウドレンダリングサーバ(Cloud Render Server)500とAR/VRクライアント400のイメージを想定している。
【0080】
クラウドレンダリングサーバ500は、AR/VRクライアント400からの要求に応じてRAWビデオに対してレンダリングを施すものである。このクラウドレンダリングサーバ500は、Webソケット520を介してRTP(Real-time Transport Protocol)510によって、AR/VRクライアント400との間で通信を行う。AR/VRクライアント400から受け取ったRAWビデオは、いったんRAWビデオメモリ530に保持されて、GPU(Graphics Processing Unit)540によって処理される。GPU540は、AR/VRキャプチャ541、アプリケーションステージ542、ジオメトリステージ543およびラスタライザステージ544の各手順により、RAWビデオに対してレンダリングを施す。GPU540によってレンダリングが施されたビデオ(または画像)550は、再びRTP510によってAR/VRクライアント400に供給される。
【0081】
AR/VRクライアント400は、RTP410によって、クラウドレンダリングサーバ500との間で通信を行う。クラウドレンダリングサーバ500から供給されたビデオは、ビデオデコーダ421によってデコードされ、ビデオディスプレイ431に表示される。また、オーディオについては、オーディオデコーダ422によってデコードされ、オーディオディスプレイ432から出力される。
【0082】
ここで、AR/VRクライアント400は、上述の第1の実施の形態における端末40に対応してもよい。また、クラウドレンダリングサーバ500は、上述の第1の実施の形態におけるAF104であってもよく、また、AF104と連携して動作するエッジコンピューティングのためのアプリケーションサーバ(例えば、エッジコンピューティングサーバ)であってもよい。また、クラウドレンダリングサーバ500は、エッジレンダリングサーバ(Edge Render Server)という名称や、スプリットレンダリングサーバ(Split Render Server)という名称であってもよい。
【0083】
上述の第1の実施の形態では、UPF配置の決定の際に、UPFと他のノード(例えばAF104)との間の遅延時間やスループットを考慮した。この実施例では、さらに上述した2つの要求条件「Max Allowed End-to-end latency」および「Service bit rate: user-experienced data rate」を満たすか否かの判定を、以下のようにUPF配置の決定に用いる。
【0084】
図13は、本技術の第1の実施の形態の実施例における処理手順の一例を示すシーケンス図である。この例では、基地局装置30とUPF201との間の遅延時間に関する情報と、AF104とUPF201との間の遅延時間に関する情報の両方と、上述の「Max Allowed End-to-end latency」の5msとを比較して、UPF201と他のノード間の遅延が当該許容遅延を下回るUPFを端末40のためのUPF201として配置する。
【0085】
まず、AF104は、端末40へ供給するサービスがAR/VRサービスであることを決定する(730)。前後して、コアネットワーク10は、想定されるUPF201と基地局装置30との間の遅延時間に関する情報を計測しておく(731)。
【0086】
また、AF104は、AF104と仮定したUPF201の場所との間の遅延の測定をコアネットワーク10に要求する(732)。
【0087】
コアネットワーク10は、想定されるUPF201とAF104との間の遅延時間を計測する(733)。
【0088】
AF104は、コアネットワーク10に対して、UPF201とAF104との間の遅延時間に関する情報を要求する(734)。これに応答して、コアネットワーク10は、その遅延時間に関する情報をAF104に提示する(735)。
【0089】
AF104は、基地局装置30とUPF201との間の遅延時間に関する情報と、AF104とUPF201との間の遅延時間に関する情報の両方と、上述の「Max Allowed End-to-end latency」の5msとを比較する(739)。これにより、UPF201と他のノード間の遅延が当該許容遅延を下回るUPFを端末40のためのUPF201の配置位置として決定し(736)、そのUPF201の配置位置の設定をコアネットワーク10に要求する(737)。
【0090】
コアネットワーク10は、AF104からの要求に対応して、UPF201を配置する(738)。
【0091】
なお、この例では、UPF201と他のノード間の遅延時間と「Max Allowed End-to-end latency」を比較したが、これには限られない。UPF201を使用した場合の想定されるスループットと、上述の「Service bit rate: user-experienced data rate」とを比較して、想定されるスループットがこれを満たすUPFを端末40のためのUPF201の配置位置として決定してもよい。
【0092】
<2.第2の実施の形態>
上述の第1の実施の形態では、コアネットワーク10におけるUPF201の配置位置を制御していたが、この第2の実施の形態では、ネットワークスライスの部分毎に配置位置を制御する。
【0093】
[ネットワークスライス]
図14は、本技術の第2の実施の形態におけるネットワークスライスの例を示す図である。
【0094】
コアネットワーク10は、様々なユースケースの通信形態を効率的に収容するために、複数のネットワークスライスを設ける。例えば、ネットワークスライス#1(11)は低遅延ネットワークの用途、ネットワークスライス#2(12)はネットワーク機能の間の通信を容易に行うMTCの用途、ネットワークスライス#3(13)はデバイス間通信を容易に行う用途などを想定することができる。
【0095】
コアネットワーク10のネットワークスライスの独立性に関しては、VPN(Virtual Private Network)を実現するために使用されていたMPLS(Multi-Protocol Label Switch)が使用される。通常の場合、ルーティングは、各スイッチがあて先のIPヘッダを参照し、ルーティングしている。MPLSは、ラベルを付与し、MPLS対応のスイッチは、そのラベルを見てルーティングを行う。このことにより、VPN毎にネットワークを通る経路を明示的に指定することが可能になる。同様に、ネットワークスライシングを実現する時には、ネットワークスライス毎に異なる経路を通るラベルを付与することにより仮想的に複数のネットワークを配置することができる。物理的には分離されていないネットワークを使用するため、ネットワークスライス毎のVPN間で帯域を保証する制御を行うことによりネットワークスライス間を隔離(isolate)することができる。
【0096】
[通信システムの構成]
図15は、本技術の第2の実施の形態における通信システムの機能構成例を示す図である。この第2の実施の形態では、2つのネットワークスライスを想定するとともに、両者に共通するコモンコントロールファンクション190を想定する。
【0097】
コモンコントロールファンクション190は、2つのネットワークスライス(#1および#2)に共通する機能群である。このコモンコントロールファンクション190に含まれるNSSF197、NRF198およびAMF199は、上述の第1の実施の形態におけるコントロールプレーン100のものと同様である。以下では、このコモンコントロールファンクション190を「部分A」と称する。
【0098】
ネットワークスライス#1は、コントロールプレーン110と、ユーザプレーン210とに分けられる。コントロールプレーン110に含まれるNEF111、PCF112、UDM113、AF114、AUSF115、SMF116は、上述の第1の実施の形態におけるコントロールプレーン100のものと同様である。ユーザプレーン210に含まれるUPF211およびDN212は、上述の第1の実施の形態におけるユーザプレーン200のものと同様である。
【0099】
ネットワークスライス#2は、コントロールプレーン120と、ユーザプレーン220とに分けられる。コントロールプレーン120に含まれるNEF121、PCF122、UDM123、AF124、AUSF125、SMF126は、上述の第1の実施の形態におけるコントロールプレーン100のものと同様である。ユーザプレーン220に含まれるUPF221およびDN222は、上述の第1の実施の形態におけるユーザプレーン200のものと同様である。
【0100】
以下では、コントロールプレーン110または120を「部分B」と称する。また、ユーザプレーン210または220を「部分C」と称する。
【0101】
一つのサービス事業者が複数のネットワークスライスを自分のサービス専用に持つこともあるため、ネットワークスライスの部分A、B、Cのどの部分を近くに配置するかをコアネットワーク10に要求する。ネットワークスライスの中のどの部分を近くに配置するかによって、異なる性質のネットワークスライス実現することができる。また、この指定は、後述するようネットワークスライス識別子を指定するため、ネットワークスライス毎に異なるエッジコンピューティングの特性を実現することができる。
【0102】
[配置要求]
図16は、本技術の第2の実施の形態におけるAF104からの配置要求の第1の例を示す図である。
【0103】
この第1の例では、部分A、B、Cのそれぞれの部分について配置するか否かの指定を行うようになっている。また、部分BおよびCについては、どのネットワークスライスに関する指定であるのかを、ネットワークスライス識別子により指定するようになっている。
【0104】
AF104からの配置要求に対して、コアネットワーク10の中では、上述の第1の実施の形態と同様に、ECMF184が主体となってネットワークスライスの各部分を配置する。AF104が配置要求をコアネットワーク10のECMF184に送る前に、AF104は、ネットワークスライスが幾つ作られる可能性があるか、および、各ネットワークスライスの識別子を、それぞれ知っている必要がある。
【0105】
図17は、本技術の第2の実施の形態におけるAF104からの配置要求の第2の例を示す図である。
【0106】
この第2の例では、複数のネットワークスライスについて、それぞれのネットワークスライス識別子を指定しながら各部分について配置するか否かの指定を行うようになっている。すなわち、AF104が必要とするネットワークスライスの数を「2」とし、それぞれのネットワークスライスに識別子を「#1」、「#2」のように振った上で配置要求を行う。
【0107】
図18は、本技術の第2の実施の形態におけるAF104からの配置要求の第3の例を示す図である。
【0108】
この第3の例では、部分A、B、Cのそれぞれの部分について輻輳に対する耐性の指定を行うようになっている。また、部分BおよびCについては、どのネットワークスライスに関する指定であるのかを、ネットワークスライス識別子により指定するようになっている。
【0109】
輻輳に対する耐性については、ネットワークスライスについて特に問題となる。ネットワークスライスの独立性は、どのようにネットワークスライスを実現するかに依存する。別のサーバで分離するのか、一つのサーバの中の仮想マシンによって分離するのか、そのレベルが異なる。すなわち、他の輻輳の影響を受けないようにサーバ自体を他の輻輳が起きるサーバと分離して配置すれば、輻輳は起きにくくなる。AF104は、コアネットワーク10の輻輳に対する耐性がどの程度あるのかを制御したい。したがって、AF104からネットワークスライス毎に、また、ネットワークスライスの部分毎に、輻輳に対する耐性のレベルをコアネットワーク10に通知して、要求することが重要である。
【0110】
[動作]
図19は、本技術の第2の実施の形態における処理手順の例を示すシーケンス図である。
【0111】
AF104は、上述の配置要求の例に従って、部分A、B、Cの機能の配置を指定して(741)、コアネットワーク10に要求する(742)。
【0112】
コアネットワーク10は、AF104からの配置要求に対して配置可能であるか否かのレスポンスを行う(743)。そして、可能であれば、コアネットワーク10は、指定された部分の機能配置を行い(748)、配置完了後にその旨をAF104に報告する(749)。
【0113】
なお、ネットワークスライスの部分毎に、上述の第1の実施の形態と同様に、性能に関する情報に基づいて配置位置を決定してもよい。
【0114】
このように、本技術の第2の実施の形態によれば、ネットワークスライスとエッジコンピューティングを組み合わせて、ネットワークスライスの中の部分機能の特性を細かく制御することができる。
【0115】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0116】
また、上述の実施の形態において説明した処理手順は、これら一連の手順を有する方法として捉えてもよく、また、これら一連の手順をコンピュータに実行させるためのプログラム乃至そのプログラムを記憶する記録媒体として捉えてもよい。この記録媒体として、例えば、CD(Compact Disc)、MD(MiniDisc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード、ブルーレイディスク(Blu-ray(登録商標)Disc)等を用いることができる。
【0117】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって、限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0118】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)ネットワークの所定の部分機能の配置位置に対応する性能に関する情報を取得する取得部と、
前記性能に関する情報に基づいて前記部分機能の配置位置を決定する決定部と、
前記決定された配置位置への前記部分機能の設定を前記ネットワークに対して要求する設定要求部と
を具備するネットワーク配置制御装置。
(2)前記性能に関する情報は、遅延、コスト、輻輳に対する耐性、および、想定されるスループットの少なくとも1つを含む
前記(1)に記載のネットワーク配置制御装置。
(3)前記取得部は、前記性能の測定を要求し、その測定された前記性能の提示を要求して、前記性能に関する情報を取得する
前記(1)または(2)に記載のネットワーク配置制御装置。
(4)前記決定部は、予め提示された複数の選択肢の中から前記部分機能の配置位置を決定する
前記(1)から(3)のいずれかに記載のネットワーク配置制御装置。
(5)前記部分機能は、ユーザデータの送受信処理を行うユーザプレーンファンクションである
前記(1)から(4)のいずれかに記載のネットワーク配置制御装置。
(6)前記性能に関する情報は、前記ユーザプレーンファンクションとの間の遅延時間を含む
前記(5)に記載のネットワーク配置制御装置。
(7)前記性能に関する情報は、前記ユーザプレーンファンクションと基地局との間の遅延時間を含む
前記(5)に記載のネットワーク配置制御装置。
(8)前記性能に関する情報は、前記ユーザプレーンファンクションと端末との間の遅延時間を含む
前記(5)に記載のネットワーク配置制御装置。
(9)前記ユーザプレーンファンクションと前記端末との間の前記遅延時間は、所定の最大許容遅延時間である
前記(8)に記載のネットワーク配置制御装置。
(10)前記ユーザデータの送受信処理は、ARまたはVRコンテンツのデータの送受信処理である
前記(5)、(8)または(9)に記載のネットワーク配置制御装置。
(11)前記想定されるスループットは、ARまたはVRコンテンツに必要なスループットである
前記(2)に記載のネットワーク配置制御装置。
(12)前記部分機能は、所定のネットワークスライスにおける所定のプレーンである
前記(1)から(4)のいずれかに記載のネットワーク配置制御装置。
(13)前記所定のプレーンは、制御処理のためのコントロールプレーンである
前記(12)に記載のネットワーク配置制御装置。
(14)前記所定のプレーンは、ユーザデータの送受信処理のためのユーザプレーンである
前記(12)に記載のネットワーク配置制御装置。
(15)前記ネットワークは、3GPP規格におけるコアネットワークである
前記(1)から(14)のいずれかに記載のネットワーク配置制御装置。
(16)ネットワークと
前記ネットワークの所定の部分機能の配置位置に対応する性能に関する情報を取得する取得部と、
前記性能に関する情報に基づいて前記部分機能の配置位置を決定する決定部と、
前記決定された配置位置への前記部分機能の設定を前記ネットワークに対して要求する設定要求部と
を具備する通信システム。
(17)取得部が、ネットワークの所定の部分機能の配置位置に対応する性能に関する情報を取得する取得手順と、
決定部が、前記性能に関する情報に基づいて前記部分機能の配置位置を決定する決定手順と、
設定要求部が、前記決定された配置位置への前記部分機能の設定を前記ネットワークに対して要求する設定要求手順と
を具備するネットワーク配置制御方法。
【符号の説明】
【0119】
10 コアネットワーク
20 バックホール回線
30 基地局装置
40 端末
100、110、120 コントロールプレーン
104 AF(Application Function)
184 ECMF(Edge Computing Management Function)
141 取得部
142 決定部
143 設定要求部
190 コモンコントロールファンクション
200、210、220 ユーザプレーン