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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】給電管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20240827BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240827BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240827BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240827BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20240827BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J3/32
H02J7/00 B
H02J7/00 P
H02J7/00 302A
H02J3/00 170
H02J3/00 180
G06Q50/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021005693
(22)【出願日】2021-01-18
(65)【公開番号】P2022110354
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】内海 敦子
(72)【発明者】
【氏名】森 大五郎
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-114051(JP,A)
【文献】特開2014-052231(JP,A)
【文献】特開2017-112806(JP,A)
【文献】特開2013-021781(JP,A)
【文献】特開2013-073398(JP,A)
【文献】特開2020-096476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00
H02J 3/32
H02J 7/00
H02J 3/00
G06Q 50/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリアのそれぞれの停電の発生を予測する予測装置と、
前記複数のエリアのそれぞれに設置された複数の所定施設と、
車外への給電が可能に構成された複数の車両と、
前記複数の車両のそれぞれの位置情報と、前記複数のエリアのうち前記予測装置によって停電が発生する可能性が高いと判断された警戒エリアと、に基づいて前記複数の車両の何れかを選択し、且つ、当該選択された車両に対して、前記警戒エリアに設置された所定施設への給電を行う車両として選択された旨を通知する、管理装置と、
複数のエネルギー充填施設と、
を備えた、給電管理システムであって、
前記管理装置は、前記選択された車両の給電可能な電力量が所定量未満である場合に、前記複数のエネルギー充填施設のうち、前記警戒エリアに設置された前記所定施設からの距離、及び、エネルギー充填の待ち時間、に応じた何れかのエネルギー充填施設を選択し、且つ、前記選択された車両に対して、前記選択されたエネルギー充填施設においてエネルギー充填を行うように指示する、
給電管理システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記選択された車両に対して、前記警戒エリアに設置された前記所定施設に向かうように指示する、
請求項1に記載の給電管理システム。
【請求項3】
前記管理装置は、前記複数の車両のうち、給電可能な電力量が所定量以上である車両を、当該所定施設への給電を行う車両として選択する、
請求項1又は2に記載の給電管理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、前記複数の車両のうち、前記警戒エリアに設置された前記所定施設に近い車両から優先的に、当該所定施設への給電を行う車両として選択する、
請求項1~の何れか一項に記載の給電管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、前記選択された車両に対して、前記警戒エリアに設置された前記所定施設への給電に必要な電力量を通知する、
請求項1~の何れか一項に記載の給電管理システム。
【請求項6】
前記予測装置は、外部から提供される天気予報に基づいて前記複数のエリアのそれぞれの停電の発生を予測するように構成されている、
請求項1~の何れか一項に記載の給電管理システム。
【請求項7】
前記管理装置は、前記警戒エリアの周辺エリアに停電が発生した場合、前記選択された車両に対して、前記周辺エリアに設置された所定施設への給電に向かうように指示する、
請求項1~の何れか一項に記載の給電管理システム。
【請求項8】
前記管理装置は、前記警戒エリアの周辺エリアに停電が発生した場合、前記選択された車両に対して、前記周辺エリアに設置された所定施設への給電に向かうように指示し、且つ、前記選択された車両の給電可能な電力量が所定量未満である場合、前記選択された車両に対して、前記複数のエネルギー充填施設のうち前記周辺エリアに設置された前記所定施設からの距離、及び、エネルギー充填の待ち時間、に応じて選択された何れかのエネルギー充填施設においてエネルギー充填を行うように指示する、
請求項に記載の給電管理システム。
【請求項9】
前記管理装置は、前記選択された車両が向かうように指示された前記エネルギー充填施設に対し、前記選択された車両に必要なエネルギーの充填量、及び、前記選択された車両の到着予定時刻、を通知する、
請求項1~8の何れか一項に記載の給電管理システム。
【請求項10】
前記管理装置は、前記選択された車両の所有者に報酬を支払うように構成されている、
請求項1~の何れか一項に記載の給電管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電管理システム、給電管理方法、及び、管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、災害に伴う停電時において、予め登録された複数の給電車両のそれぞれについて、それらの給電先である避難施設を決定する、災害時給電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-112806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された災害時給電システムでは、停電の発生を予測していないため、停電発生時において、給電車両に十分な電力が蓄えられていない場合、当該給電車両の給電先である避難施設に十分な給電を行うことができないという課題があった。つまり、関連技術では、停電発生時に、停電が発生した地域に設置された避難施設に効率よく給電を行うことができないという課題があった。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、停電が発生する可能性が高い警戒エリアを予測して、停電発生前に警戒エリアに設置された避難施設への給電の準備をしておくことにより、停電が発生した場合でも、停電が発生したエリアに設置された避難施設に効率良く給電を行うことが可能な給電管理システム、給電管理方法、及び、管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施態様に係る給電管理システムは、複数のエリアのそれぞれの停電の発生を予測する予測装置と、前記複数のエリアのそれぞれに設置された複数の所定施設と、車外への給電が可能に構成された複数の車両と、前記複数の車両のそれぞれの位置情報と、前記複数のエリアのうち前記予測装置によって停電が発生する可能性が高いと判断された警戒エリアと、に基づいて前記複数の車両の何れかを選択し、且つ、当該選択された車両に対して、前記警戒エリアに設置された所定施設への給電を行う車両として選択された旨を通知する、管理装置と、を備える。この給電管理システムは、停電が発生する可能性が高い警戒エリアを予測して、停電発生前に警戒エリアに設置された避難施設への給電の準備することができるため、停電が発生した場合でも、停電が発生したエリアに設置された避難施設に効率良く給電を行うことができる。
【0007】
前記管理装置は、前記選択された車両に対して、前記警戒エリアに設置された前記所定施設に向かうように指示してもよい。
【0008】
前記管理装置は、前記選択された車両の給電可能な電力量が所定量未満である場合、前記選択された車両に対して、エネルギー充填を行うように指示してもよい。
【0009】
前記管理装置は、前記複数の車両のうち、給電可能な電力量が所定量以上である車両を、当該所定施設への給電を行う車両として選択してもよい。
【0010】
前記管理装置は、前記複数の車両のうち、前記警戒エリアに設置された前記所定施設に近い車両から優先的に、当該所定施設への給電を行う車両として選択してもよい。
【0011】
前記管理装置は、前記選択された車両に対して、前記警戒エリアに設置された前記所定施設への給電に必要な電力量を通知してもよい。
【0012】
前記予測装置は、外部から提供される天気予報に基づいて前記複数のエリアのそれぞれの停電の発生を予測するように構成されていてもよい。
【0013】
前記管理装置は、前記警戒エリアの周辺エリアに停電が発生した場合、前記選択された車両に対して、前記周辺エリアに設置された所定施設への給電に向かうように指示してもよい。
【0014】
複数のエネルギー充填施設をさらに備え、前記管理装置は、前記選択された車両の給電可能な電力量が所定量未満である場合、前記選択された車両に対して、前記複数のエネルギー充填施設のうち前記警戒エリアに設置された前記所定施設に近接するエネルギー充填施設においてエネルギー充填を行うように指示してもよい。
【0015】
前記管理装置は、前記警戒エリアの周辺エリアに停電が発生した場合、前記選択された車両に対して、前記周辺エリアに設置された所定施設への給電に向かうように指示し、且つ、前記選択された車両の給電可能な電力量が所定量未満である場合、前記選択された車両に対して、前記複数のエネルギー充填施設のうち前記周辺エリアに設置された前記所定施設に近接するエネルギー充填施設においてエネルギー充填を行うように指示してもよい。
【0016】
前記管理装置は、前記選択された車両が向かうように指示された前記エネルギー充填施設に対し、前記選択された車両に必要なエネルギーの充填量を通知してもよい。
【0017】
前記管理装置は、前記選択された車両の所有者に報酬を支払うように構成されていてもよい。
【0018】
本発明の一実施態様に係る給電管理方法は、複数のエリアのそれぞれの停電の発生を予測する予測ステップと、車外への給電が可能に構成された複数の車両のそれぞれの位置情報と、前記複数のエリアのうち予測ステップにおいて停電が発生する可能性が高いと判断された警戒エリアと、に基づいて前記複数の車両の何れかを選択する選択ステップと、当該選択された車両に対して、前記警戒エリアに設置された所定施設への給電を行う車両として選択された旨を通知する通知ステップと、を備える。この給電管理方法は、停電が発生する可能性が高い警戒エリアを予測して、停電発生前に警戒エリアに設置された避難施設への給電の準備することができるため、停電が発生した場合でも、停電が発生したエリアに設置された避難施設に効率良く給電を行うことができる。
【0019】
本発明の一実施態様に係る管理プログラムは、複数のエリアのそれぞれの停電の発生を予測する予測処理と、車外への給電が可能に構成された複数の車両のそれぞれの位置情報と、前記複数のエリアのうち予測処理において停電が発生する可能性が高いと判断された警戒エリアと、に基づいて前記複数の車両の何れかを選択する選択処理と、当該選択された車両に対して、前記警戒エリアに設置された所定施設への給電を行う車両として選択された旨を通知する通知処理と、をコンピュータに実行させる。この管理プログラムは、この給電管理システムは、停電が発生する可能性が高い警戒エリアを予測して、停電発生前に警戒エリアに設置された避難施設への給電の準備することができるため、停電が発生した場合でも、停電が発生したエリアに設置された避難施設に効率良く給電を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、停電が発生する可能性が高い警戒エリアを予測して、停電発生前に警戒エリアに設置された避難施設への給電の準備をしておくことにより、停電が発生した場合でも、停電が発生したエリアに設置された避難施設に効率良く給電を行うことが可能な給電管理システム、給電管理方法、及び、管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態1に係る給電管理システムの構成例を示すブロック図である。
図2図1に示す給電管理システムの停電発生前の動作を示すフローチャートである。
図3図1に示す給電管理システムの停電発生後の動作を示すフローチャートである。
図4】実施の形態2に係る給電管理システムの構成例を示すブロック図である。
図5図2に示す給電管理システムの停電発生前の動作を示すフローチャートである。
図6図2に示す給電管理システムの停電発生後の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0023】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る給電管理システム1の構成例を示すブロック図である。給電管理システム1は、停電が発生する可能性が高い警戒エリアを予測して、停電発生前に警戒エリアに設置された避難施設への給電の準備をしておくことにより、停電が発生した場合でも、停電が発生したエリアに設置された避難施設に効率良く給電を行うことができる。以下、具体的に説明する。
【0024】
図1に示すように、給電管理システム1は、予測装置11と、車両12_1~12_n(nは2以上の整数)と、管理装置13と、避難施設(所定施設)B1,B2と、ネットワーク50と、を備える。なお、避難施設B1はエリアA1に設置され、避難施設B2はエリアA2に設置されている。予測装置11、車両12_1~12_n、及び、避難施設B1,B2と、管理装置13とは、互いにネットワーク50を介して通信可能に構成されている。
【0025】
予測装置11は、複数のエリアA1~Am(mは2以上の整数)のそれぞれの停電の発生を予測する。例えば、予測装置11は、外部から提供される天気予報等から得られる各エリアでの風速、降水量、降水時間等に基づいて、複数のエリアA1~Amのそれぞれの停電の発生を予測する。なお、本実施の形態では、予測装置11が、2つのエリアA1,A2のそれぞれの停電の発生を予測する場合を例に説明する。
【0026】
車両12_1~12_nは、何れも、車外への給電が可能に構成された車両であって、車外への給電に利用可能な車両として給電管理システム1に予め登録されている。各車両12_1~12_nは、例えば、水素を発電燃料とする燃料電池が搭載された燃料電池車(Fuel Cell Vehicle, FCV)である。但し、各車両12_1~12_nは、車外への給電が可能に構成されているのであれば、どのような種類の車両であってもよく、例えば、充電式の電池が搭載された電気自動車(Electric Vehicle, EV)であってもよい。本実施の形態では、各車両12_1~12_nが、水素を発電燃料とする燃料電池が搭載された燃料電池車である場合を例に説明する。
【0027】
なお、各車両12_1~12_nのシステムへの登録は、例えば、各車両の所有者等が、管理装置13が管理する登録システムにアクセスすることによって行われる。ここで、車両の登録者には、給電管理システム1の運営者から所定の報酬が支払われるようにしてもよい。また、停電発生時に避難施設に給電を行った車両の登録者には、追加の報酬が支払われるようにしてもよい。具体的には、例えば、管理装置13から車両の登録者の銀行口座に報酬が振り込まれるような仕組みが採用されてもよい。
【0028】
各車両12_1~12_nは、管理装置13からの指示内容(通知内容)を受信する受信部、受信した指示内容を出力する出力部、自車両の位置情報をGPS等により取得する位置情報取得部、自車両において取得された取得情報を送信する送信部など、を含む通信装置を搭載している。ここで、出力部は、例えば、管理装置13からの指示内容を表示する表示部、又は、管理装置13からの指示内容を音声出力するスピーカーなどである。また、送信部は、例えば、位置情報取得部によって取得された自車両の位置情報、自車両が車外に給電可能な電力残量、自車両の運転者等によって通信装置に入力された情報など、を取得情報として管理装置13に送信する。
【0029】
なお、各車両12_1~12_nに搭載された通信装置の全部又は一部の機能は、自車両の運転者が所持する移動可能な通信端末に搭載されていてもよい。移動可能な通信端末は、例えば、携帯電話端末、スマートフォン、又は、タブレット端末などである。
【0030】
避難施設B1は、エリアA1に設置され、エリアA1において停電が発生した場合に主にエリアA1に居る人々が利用可能な施設として給電管理システム1に予め登録されている。避難施設B1は、例えば、専用の避難施設、学校の体育館、公民館などであるが、それに限られず、所定の家屋などであってもよい。なお、避難施設B1に限らず、エリアA1に設置された複数の避難施設が、停電時に利用可能な施設として給電管理システム1に登録されていてもよい。
【0031】
なお、避難施設B1のシステムへの登録は、例えば、避難施設B1の管理者等が、管理装置13が管理する登録システムにアクセスすることによって行われる。ここで、避難施設B1の登録者には、給電管理システム1の運営者から登録費用が請求されるようにしてもよい。また、停電発生時に避難施設B1に給電が行われた場合には、追加の費用が請求されるようにしてもよい。
【0032】
避難施設B2は、エリアA2に設置され、エリアA2において停電が発生した場合に主にエリアA2に居る人々が利用可能な施設として給電管理システム1に予め登録されている。避難施設B2は、例えば、専用の避難施設、学校の体育館、公民館などであるが、それに限られず、所定の家屋などであってもよい。なお、避難施設B2に限らず、エリアA2に設置された複数の避難施設が、停電時に利用可能な施設として給電管理システム1に登録されていてもよい。
【0033】
なお、避難施設B2のシステムへの登録は、例えば、避難施設B2の管理者等が、管理装置13が管理する登録システムにアクセスすることによって行われる。ここで、避難施設B2の登録者には、給電管理システム1の運営者から登録費用が請求されるようにしてもよい。また、停電発生時に避難施設B2に給電が行われた場合には、追加の費用が請求されるようにしてもよい。
【0034】
各避難施設B1,B2は、例えば、管理装置13からの指示内容(通知内容)を受信する受信部、受信した指示内容を出力する出力部、避難施設の位置情報をGPS等により取得する位置情報取得部、避難施設において取得された取得情報を送信する送信部など、を含む通信装置を備える。ここで、出力部は、例えば、管理装置13からの指示内容を表示する表示部、又は、管理装置13からの指示内容を音声出力するスピーカーなどである。送信部は、例えば、所属エリアにおける停電発生の有無、位置情報取得部によって取得された避難施設の位置情報、必要な電力量、避難施設の管理者等によって通信装置に入力された情報など、を取得情報として管理装置13に送信する。
【0035】
管理装置13は、管理サーバとも称し、給電管理システム1の各構成要素の管理を行う。ここで、管理装置13は、車両12_1~12_nのそれぞれの位置情報と、予測装置11によって停電が発生する可能性が高いと判断されたエリア(警戒エリア)と、に基づいて、車両12_1~12_nの中から、警戒エリアに設置された避難施設への給電に用いられる車両を選択する。管理装置13の詳細については、給電管理システム1の動作の説明とともに後述する。
【0036】
(給電管理システム1の動作)
続いて、図2及び図3を用いて、給電管理システム1の動作を説明する。
図2は、給電管理システム1の停電発生前の動作を示すフローチャートである。
図3は、給電管理システム1の停電発生時の動作を示すフローチャートである。
【0037】
(給電管理システム1の停電発生前の動作)
まず、図2を用いて、給電管理システム1の停電発生前の動作を説明する。図2のフローチャートには、主に管理装置13による処理の流れが示されている。
【0038】
なお、給電管理システム1には、停電発生時に利用可能な施設として避難施設B1,B2が予め登録されているものとする。各避難施設B1,B2のシステムへの登録は、例えば、各避難施設B1,B2の管理者等が、管理装置13が管理する登録システムにアクセスすることによって行われる。
【0039】
また、給電管理システム1には、車外(避難施設B1,B2)への給電に利用可能な車両として車両12_1~12_nが予め登録されているものとする。各車両12_1~12_nのシステムへの登録は、例えば、各車両12_1~12_nの所有者等が、管理装置13が管理する登録システムにアクセスすることによって行われる。
【0040】
まず、予測装置11によって、エリアA1,A2のそれぞれの停電の発生の予測が行われる。管理装置13は、予測装置11による停電予測結果を取得する(ステップS101)。
【0041】
例えば、予測装置11によってエリアA1,A2の何れにも停電発生の可能性が低いと判断された場合、即ち、警戒エリアが検出されなかった場合(ステップS102のNO)、管理装置13は、引き続き予測装置11による停電予測結果の取得を行い(ステップS103のYES→ステップS101)、さもなければ、給電管理システム1の動作を終了させる(ステップS103のNO)。
【0042】
それに対し、例えば、予測装置11によってエリアA1において停電発生の可能性が高いと判断された場合、即ち、エリアA1が警戒エリアとして検出された場合(ステップS102のYES)、管理装置13は、エリアA1に設置された避難施設B1への給電に用いられる車両の検索を行う(ステップS104)。
【0043】
例えば、管理装置13は、予め登録された複数の車両12_1~12_nのうち、避難施設B1に最も近い車両12_1を、避難施設B1への給電に用いられる車両として選択する(ステップS104)。
【0044】
なお、管理装置13は、避難施設B1に最も近い車両12_1が何らかの理由により避難施設B1への給電に用いられる車両として相応しくないと判断した場合、避難施設B1に次に近い車両12_2を、避難施設B1への給電に用いられる車両として選択する。つまり、管理装置13は、予め登録された複数の車両12_1~12_nのうち、避難施設B1に近い車両から優先的に、避難施設B1への給電に用いられる車両として選択する。
【0045】
その後、管理装置13は、車両12_1に対して、自車両が避難施設B1への給電に用いられる車両として選択された旨を通知する(ステップS105)。車両12_1は、例えば、管理装置13から受け取った通知内容を、車内に設置された表示部に表示させたり、スピーカーに音声出力させたりする。或いは、管理装置13は、車両12_1に通知内容を通知する代わりに、車両12_1の運転者が所持する移動可能な通信端末に通知内容を通知してもよい。
【0046】
また、管理装置13は、車両12_1(又はその運転者が所持する移動可能な通信端末)に対して、具体的な指示内容を通知してもよい。ここでは、管理装置13は、車両12_1に対して避難施設B1に向かうように指示する。それにより、例えば、車両12_1の運転者は、管理装置13の指示に従って、車両12_1を避難施設B1まで走行させる。
【0047】
ここで、車両12_1の電力残量(避難施設B1に給電可能な電力の残量)が所定量未満の場合(ステップS106のNO)、管理装置13は、車両12_1に対して、エネルギーを充填するように指示する(ステップS107)。それにより、車両12_1の運転者は、エネルギー充填施設において、車両12_1にエネルギー(水素)を充填する。その後、車両12_1の運転者は、管理装置13の指示に従って、車両12_1を避難施設B1まで走行させる。
【0048】
なお、所定量は、例えば、予め決められた電力量であってもよいし、警戒エリアA1に設置された避難施設B1への給電に必要な最低限の電力量等に基づいて決定されてもよい。避難施設B1への給電に必要な最低限の電力量や給電に要する時間等は、管理装置13から車両12_1に通知されてもよい。それにより、車両12_1の運転者は、車両12_1にどの程度のエネルギーを充填すればよいかを把握することができる。
【0049】
それに対し、車両12_1の電力残量が所定量以上の場合(ステップS106のYES)、管理装置13は、車両12_1に対してエネルギー充填の指示を行わない。そのため、例えば、車両12_1の運転者は、エネルギー充填施設に立ち寄ることなく、車両12_1を避難施設B1まで走行させる。
【0050】
なお、本実施の形態では、管理装置13が、各車両の電力残量に関わらず、避難施設B1に近い車両から優先的に、避難施設B1への給電に用いられる車両として選択する場合を例に説明しているが、これに限られない。管理装置13は、避難施設B1に近い車両のうち、電力残量が所定量以上の車両のみを、避難施設B1への給電に用いられる車両として選択するようにしてもよい。
【0051】
(給電管理システム1の停電発生時の動作)
次に、図3を用いて、給電管理システム1の停電発生時の動作を説明する。図3のフローチャートには、主に管理装置13による処理の流れが示されている。
【0052】
停電発生前に警戒エリアと判断されたエリアA1の避難施設B1には、管理装置13からの指示に従って配車された車両12_1が待機している(ステップS201)。以下、警戒エリアと判断されたエリアA1を警戒エリアA1とも称し、警戒エリアA1の周辺エリアであるエリアA2を周辺エリアA2とも称す。
【0053】
例えば、警戒エリアA1において停電が発生した場合(ステップS202のYES)、管理装置13は、待機中の車両12_1に対して、避難施設B1に給電を行うように指示する(ステップS203)。それにより、例えば、車両12_1の運転者は、車両12_1から避難施設B1への給電を開始させる。
【0054】
なお、避難施設B1への給電後も警戒エリアA1での停電が続く場合(ステップS204のYES)、管理装置13は、車両12_1に対して、引き続き避難施設B1に給電を行うように指示する(ステップS205のYES→ステップS203)。それにより、例えば、車両12_1の運転者は、車両12_1から避難施設B1への給電を継続させる。
【0055】
但し、車両12_1の電力残量が所定量未満の場合(ステップS205のNO)、管理装置13は、車両12_1に対して、エネルギーを充填するように指示したうえで、引き続き避難施設B1に給電を行うように指示する(ステップS206→ステップS203)。それにより、例えば、車両12_1の運転者は、エネルギー充填施設において車両12_1にエネルギー(水素)を充填したうえで、車両12_1から避難施設B1への給電を継続させる。
【0056】
警戒エリアA1での停電が復旧した場合(ステップS204のNO)、又は、警戒エリアA1において停電が発生していない場合(ステップS202のNO)、管理装置13は、周辺エリアA2において停電が発生したか否かの情報を、例えば周辺エリアA2に設置された避難施設B2等から取得する(ステップS207)。
【0057】
例えば、周辺エリアA2において停電が発生している場合(ステップS207のYES)、管理装置13は、車両12_1に対して、周辺エリアA2において停電が発生している旨を通知する(ステップS208)。また、本例では、管理装置13は、車両12_1に対して、周辺エリアA2の避難施設B2に向かうように指示している。それにより、例えば、車両12_1の運転者は、管理装置13の指示に従って、車両12_1を避難施設B2まで走行させる。
【0058】
そして、管理装置13は、車両12_1に対して、避難施設B2に給電を行うように指示する(ステップS209のYES→ステップS203)。それにより、例えば、車両12_1の運転者は、車両12_1から避難施設B2への給電を開始させる。
【0059】
但し、車両12_1の電力残量が所定量未満の場合(ステップS209のNO)、管理装置13は、車両12_1に対して、エネルギーを充填するように指示したうえで、避難施設B2に給電を行うように指示する(ステップS210→ステップS203)。それにより、例えば、車両12_1の運転者は、エネルギー充填施設において車両12_1にエネルギー(水素)を充填したうえで、車両12_1から避難施設B2への給電を開始させる。
【0060】
周辺エリアA2でのその後の処理は、警戒エリアA1での処理と同様である(ステップS203~S210)。
【0061】
ステップS201~S210の処理を経て、周辺エリアにおいて停電が発生していなければ(ステップS207のNO)、管理装置13は、車両12_1による給電を終了させる。
【0062】
このように、本実施の形態に係る給電管理システム1は、停電が発生する可能性が高い警戒エリアを予測して、停電発生前に警戒エリアに設置された避難施設への給電の準備をしておくことにより、停電が発生した場合でも、停電が発生したエリアに設置された避難施設に効率良く給電を行うことができる。また、警戒エリアの周辺のエリアに停電が発生した場合でも、速やかに周辺エリアに設置された避難施設への給電を行うことができる。
【0063】
また、本実施の形態では、登録車両によって各避難施設への給電が行われるため、各避難施設に高額な発電装置を設置する必要がなくなる。また、各避難施設に大型ディーゼル発電機などを設置する場合と比較して、騒音や臭いなどを抑制することができる。さらに、各避難施設への給電量が変更された場合でも柔軟に対応することが可能である。また、管理装置13が各避難施設への給電を管理しているため、各避難施設に専門的な知識を有する人材を登用する必要性が軽減される。
【0064】
本実施の形態では、管理装置13が、車両12_1に対して、警戒エリアA1に設置された避難施設B1への給電の準備を行うように指示する場合を例に説明したが、これに限られない。当然ながら、管理装置13は、各車両12_1~12_nに対して、任意の警戒エリアに設置された任意の避難施設への給電の準備を行うように指示することができる。
【0065】
また、本実施の形態では、登録車両が、運転者によって運転される車両である場合を例に説明したが、これに限られない。登録車両は、自律走行する車両であってもよい。
【0066】
<実施の形態2>
図4は、実施の形態2に係る給電管理システム2の構成例を示すブロック図である。
給電管理システム2は、給電管理システム1と比較して、予め登録された複数のエネルギー充填施設14_1~14_p(pは2以上の整数)をさらに備える。なお、本実施の形態では、給電管理システム2が、予め登録された2つのエネルギー充填施設14_1,14_2を備える場合を例に説明する。
【0067】
各エネルギー充填施設14_1,14_2は、車両12_1~12_nにエネルギーを充填するための施設であって、給電管理システム1に予め登録されている。各エネルギー充填施設14_1,14_2は、例えば、水素を発電燃料とする燃料電池が搭載された燃料電池車にとっての水素ステーションであって、充電式の電池が搭載された電気自動車にとっての充電スポットである。
【0068】
なお、各エネルギー充填施設14_1,14_2のシステムへの登録は、例えば、各エネルギー充填施設のオーナー等が、管理装置13が管理する登録システムにアクセスすることによって行われる。ここで、各エネルギー充填施設の登録者には、給電管理システム2の運営者から所定の報酬が支払われるようにしてもよい。また、停電発生時に登録車両にエネルギー充填を行った場合には、追加の報酬が支払われるようにしてもよい。具体的には、例えば、管理装置13からエネルギー充填施設の登録者の銀行口座に報酬が振り込まれるような仕組みが採用されてもよい。
【0069】
各エネルギー充填施設14_1,14_2は、例えば、管理装置13からの指示内容(通知内容)を受信する受信部、受信した指示内容を出力する出力部、施設の位置情報をGPS等により取得する位置情報取得部、施設において取得された取得情報を送信する送信部など、を含む通信装置を備える。ここで、出力部は、例えば、管理装置13からの指示内容を表示する表示部、又は、管理装置13からの指示内容を音声出力するスピーカーなどである。また、送信部は、例えば、位置情報取得部によって取得された施設の位置情報、混雑状況、充填可能なエネルギー残量、登録車両へのエネルギー充填時刻、施設のスタッフ等によって通信装置に入力された情報など、を取得情報として管理装置13に送信する。
【0070】
給電管理システム2のその他の構成については、給電管理システム1と同様であるため、その説明を省略する。
【0071】
(給電管理システム2の動作)
続いて、図5及び図6を用いて、給電管理システム2の動作を説明する。
図5は、給電管理システム2の停電発生前の動作を示すフローチャートである。
図6は、給電管理システム2の停電発生時の動作を示すフローチャートである。
【0072】
(給電管理システム2の停電発生前の動作)
まず、図5を用いて、給電管理システム2の停電発生前の動作を説明する。図5のフローチャートには、主に管理装置13による処理の流れが示されている。以下では、主に、図2に示す給電管理システム1の動作と異なる内容について説明する。
【0073】
ステップS101~S105の処理の後、管理装置13は、車両12_1に対して、自車両が避難施設B1への給電に用いられる車両として選択された旨を通知する(ステップS105)。また、本例では、管理装置13は、車両12_1に対して避難施設B1に向かうように指示している。それにより、例えば、車両12_1の運転者は、管理装置13の指示に従って、車両12_1を避難施設B1まで走行させる。
【0074】
ここで、車両12_1の電力残量が所定量未満の場合(ステップS106のNO)、管理装置13は、例えば避難施設B1に最も近いエネルギー充填施設14_1を検出し(ステップS301)、エネルギー充填施設14_1での待ち時間が所定時間未満の場合には(ステップS302のYES)、車両12_1に対して、エネルギー充填施設14_1でエネルギーを充填するように指示する(ステップS303)。このとき、管理装置13は、車両12_1に対して、エネルギー充填施設14_1の位置情報を送信してもよい。
【0075】
また、管理装置13は、エネルギー充填施設14_1に対して、車両12_1がエネルギー充填に向かう旨を通知する(ステップS304)。このとき、管理装置13は、エネルギー充填施設14_1に対して、車両12_1に必要なエネルギーの充填量、到着予定時刻などを通知することが好ましい。それにより、エネルギー充填施設14_1は、車両12_1の到着前に十分な量のエネルギーを確保しておくことができる。
【0076】
なお、エネルギー充填施設14_1での待ち時間が所定時間以上の場合(ステップS302のNO)、管理装置13は、避難施設B1に近い別のエネルギー充填施設14_2を検出し(ステップS301)、その後は、エネルギー充填施設14_1を検出した場合と同様にステップS302~S304の処理を行う。本例では、エネルギー充填施設14_1での待ち時間が所定時間未満であるものとする。
【0077】
この場合、例えば、車両12_1の運転者は、管理装置13の指示に従って、エネルギー充填施設14_1において車両12_1にエネルギーを充填したうえで、車両12_1を避難施設B1まで走行させる。
【0078】
それに対し、車両12_1の電力残量が所定量以上の場合(ステップS106のYES)、管理装置13は、車両12_1に対してエネルギー充填の指示を行わない。そのため、例えば、車両12_1の運転者は、エネルギー充填施設に立ち寄ることなく、車両12_1を避難施設B1まで走行させる。
【0079】
給電管理システム2の停電発生前のその他の動作については、給電管理システム1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0080】
(給電管理システム2の停電発生時の動作)
次に、図6を用いて、給電管理システム2の停電発生時の動作を説明する。図6のフローチャートには、主に管理装置13による処理の流れが示されている。
【0081】
停電発生前に警戒エリアと判断されたエリアA1の避難施設B1には、管理装置13からの指示に従って配車された車両12_1が待機している(ステップS201)。以下、警戒エリアと判断されたエリアA1を警戒エリアA1とも称し、警戒エリアA1の周辺エリアであるエリアA2を周辺エリアA2とも称す。
【0082】
例えば、警戒エリアA1において停電が発生した場合(ステップS202のYES)、管理装置13は、待機中の車両12_1に対して、避難施設B1に給電を行うように指示する(ステップS203)。それにより、例えば、車両12_1の運転者は、車両12_1から避難施設B1への給電を開始させる。
【0083】
なお、避難施設B1への給電後も警戒エリアA1での停電が続く場合(ステップS204のYES)、管理装置13は、車両12_1に対して、引き続き避難施設B1に給電を行うように指示する(ステップS205のYES→ステップS203)。それにより、例えば、車両12_1の運転者は、車両12_1から避難施設B1への給電を継続させる。
【0084】
但し、車両12_1の電力残量が所定量未満の場合(ステップS205のNO)、管理装置13は、車両12_1に対して、エネルギーを充填するように指示したうえで、引き続き避難施設B1に給電を行うように指示する。
【0085】
具体的には、車両12_1の電力残量が所定量未満の場合(ステップS205のNO)、管理装置13は、例えば避難施設B1に最も近いエネルギー充填施設14_1を検出し(ステップS401)、エネルギー充填施設14_1での待ち時間が所定時間未満の場合には(ステップS402のYES)、車両12_1に対して、エネルギー充填施設14_1でエネルギーを充填するように指示する(ステップS403)。このとき、管理装置13は、車両12_1に対して、エネルギー充填施設14_1の位置情報を送信してもよい。
【0086】
また、管理装置13は、エネルギー充填施設14_1に対して、車両12_1がエネルギー充填に向かう旨を通知する(ステップS404)。このとき、管理装置13は、エネルギー充填施設14_1に対して、車両12_1に必要なエネルギーの充填量、到着予定時刻などを通知することが好ましい。それにより、エネルギー充填施設14_1は、車両12_1の到着前に十分な量のエネルギーを確保しておくことができる。
【0087】
なお、エネルギー充填施設14_1での待ち時間が所定時間以上の場合(ステップS402のNO)、管理装置13は、避難施設B1に近い別のエネルギー充填施設14_2を検出し(ステップS401)、その後は、エネルギー充填施設14_1を検出した場合と同様にステップS402~S404の処理を行う。本例では、エネルギー充填施設14_1での待ち時間が所定時間未満であるものとする。
【0088】
この場合、例えば、車両12_1の運転者は、管理装置13の指示に従って、エネルギー充填施設14_1において車両12_1にエネルギーを充填したうえで、避難施設B1に戻り、車両12_1から避難施設B1への給電を継続させる。
【0089】
警戒エリアA1での停電が復旧した場合(ステップS204のNO)、又は、警戒エリアA1において停電が発生していない場合(ステップS202のNO)、管理装置13は、周辺エリアA2において停電が発生したか否かの情報を、例えば周辺エリアA2に設置された避難施設B2等から取得する(ステップS207)。
【0090】
例えば、周辺エリアA2において停電が発生している場合(ステップS207のYES)、管理装置13は、車両12_1に対して、周辺エリアA2において停電が発生している旨を通知する(ステップS208)。また、本例では、管理装置13は、車両12_1に対して、周辺エリアA2の避難施設B2に向かうように指示している。それにより、例えば、車両12_1の運転者は、管理装置13の指示に従って、車両12_1を避難施設B2まで走行させる。
【0091】
そして、管理装置13は、車両12_1に対して、避難施設B2に給電を行うように指示する(ステップS209のYES→ステップS203)。それにより、例えば、車両12_1の運転者は、車両12_1から避難施設B2への給電を開始させる。
【0092】
但し、車両12_1の電力残量が所定量未満の場合(ステップS209のNO)、管理装置13は、車両12_1に対して、エネルギーを充填するように指示したうえで、避難施設B2に給電を行うように指示する。
【0093】
具体的には、車両12_1の電力残量が所定量未満の場合(ステップS209のNO)、管理装置13は、例えば避難施設B2に最も近いエネルギー充填施設14_2を検出し(ステップS405)、エネルギー充填施設14_2での待ち時間が所定時間未満の場合には(ステップS406のYES)、車両12_1に対して、エネルギー充填施設14_2でエネルギーを充填するように指示する(ステップS407)。このとき、管理装置13は、車両12_1に対して、エネルギー充填施設14_2の位置情報を送信してもよい。
【0094】
また、管理装置13は、エネルギー充填施設14_2に対して、車両12_1がエネルギー充填に向かう旨を通知する(ステップS408)。このとき、管理装置13は、エネルギー充填施設14_2に対して、車両12_1に必要なエネルギーの充填量、到着予定時刻などを通知することが好ましい。それにより、エネルギー充填施設14_2は、車両12_1の到着前に十分な量のエネルギーを確保しておくことができる。
【0095】
なお、エネルギー充填施設14_2での待ち時間が所定時間以上の場合(ステップS406のNO)、管理装置13は、避難施設B2に近い別のエネルギー充填施設14_1を検出し(ステップS405)、その後は、エネルギー充填施設14_2を検出した場合と同様にステップS406~S408の処理を行う。本例では、エネルギー充填施設14_2での待ち時間が所定時間未満であるものとする。
【0096】
この場合、例えば、車両12_1の運転者は、管理装置13の指示に従って、エネルギー充填施設14_2において車両12_1にエネルギーを充填したうえで、避難施設B2に向かい、車両12_1から避難施設B2への給電を開始させる。
【0097】
以上のような処理を経て、周辺エリアにおいて停電が発生していなければ(ステップS207のNO)、管理装置13は、車両12_1による給電を終了させる。
【0098】
このように、本実施の形態に係る給電管理システム2は、停電が発生する可能性が高い警戒エリアを予測して、停電発生前に警戒エリアに設置された避難施設への給電の準備をしておくことにより、停電が発生した場合でも、停電が発生したエリアに設置された避難施設に効率良く給電を行うことができる。また、警戒エリアの周辺のエリアに停電が発生した場合でも、速やかに周辺エリアに設置された避難施設への給電を行うことができる。
【0099】
また、本実施の形態に係る給電管理システム2は、予め登録されたエネルギー充填施設に対して、登録車両がエネルギーの充填に向かっている旨等を通知することにより、エネルギー充填施設に予め十分な量のエネルギーを確保させておくことができる。さらに、本実施の形態に係る給電管理システム2は、予め登録された複数のエネルギー充填施設から混雑状況や位置情報等を受け取ることにより、エネルギー充填の必要な登録車両を適切なエネルギー充填施設に向かわせることができる。
【0100】
本実施の形態では、管理装置13が、車両12_1に対して、警戒エリアA1に設置された避難施設B1への給電の準備を行うように指示する場合を例に説明したが、これに限られない。当然ながら、管理装置13は、各車両12_1~12_nに対して、任意の警戒エリアに設置された任意の避難施設への給電の準備を行うように指示することができる。
【0101】
また、本実施の形態では、登録車両が、運転者によって運転される車両である場合を例に説明したが、これに限られない。登録車両は、自律走行する車両であってもよい。
【0102】
さらに、上記実施の形態では、本開示をハードウェアの構成として説明したが、本開示は、これに限定されるものではない。本開示は、給電管理システムの制御処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することが可能である。
【0103】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体は、例えば、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリを含む。磁気記録媒体は、例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブなどである。光磁気記録媒体は、例えば光磁気ディスクなどである。半導体メモリは、例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)などである。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0104】
1 給電管理システム
2 給電管理システム
11 予測装置
12_1~12_n 車両
13 管理装置
14_1 エネルギー充填施設
14_2 エネルギー充填施設
50 ネットワーク
A1、A2 エリア
B1、B2 避難施設
図1
図2
図3
図4
図5
図6