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  • 特許-検出システム、検出装置及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】検出システム、検出装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240827BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H04N7/18 B
G06T1/00 430J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021012546
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022116400
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 英明
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-170011(JP,A)
【文献】国際公開第2017/098071(WO,A1)
【文献】特開2016-072203(JP,A)
【文献】登録実用新案第3197508(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04N 5/225
G06T 1/00
G01N 21/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を異なる方向から撮影する複数の撮影部と、
前記複数の撮影部により撮影された画像データに基づいて、前記物体に問題があるかを検査する検査部と、
前記複数の撮影部のうち一の撮影部により撮影された画像データに基づいて、他の撮影部による撮影時の不備があるかを判断する判断部と、
を備え、
各撮像部は、少なくとも一つの他の撮影部の撮影範囲に設置され、
前記判断部は、前記検査部による検査を行う直前において、前記一の撮影部により撮影された画像データに含まれる他の撮影部による撮影時の不備を判断する検出システム。
【請求項2】
前記判断部は、前記他の撮影部のレンズの前に障害物又は汚れが存在するかを判断する請求項1に記載の検出システム。
【請求項3】
前記判断部は、前記他の撮影部の設置位置及び設置角度が本来の位置からずれているかを判断する請求項1または2に記載の検出システム。
【請求項4】
前記複数の撮影部の撮影範囲をそれぞれ照明する複数の照明部を備え、
前記判断部は、前記複数の撮影部のうち一の撮影部により撮影された画像データに基づいて、前記一の撮影部により撮影された画像データに含まれる他の撮影部に対応する照明部に不備があるかを判断する請求項1からのいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項5】
前記判断部は、前記撮影部により撮影された画像データに異常があるかを判断して、前記画像データに異常があると判断した場合、当該撮影部を撮影した前記一の撮影部により画像データを取得する請求項1からのいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項6】
物体を異なる方向から撮影する複数の撮影部により撮影された画像データに基づいて、前記物体に問題があるかを検査する検査部と、
一の撮影部の撮影範囲に設置された他の撮影部が撮影された画像データを前記一の撮影部から取得する取得部と、
前記検査部による検査を行う直前において、前記一の撮影部により撮影された画像データに基づいて、前記他の撮影部による撮影時の不備があるかを判断する判断部と、
を備える検出装置。
【請求項7】
コンピューターを、
物体を異なる方向から撮影する複数の撮影部により撮影された画像データに基づいて、前記物体に問題があるかを検査する検査部、
一の撮影部の撮影範囲に設置された他の撮影部が撮影された画像データを前記一の撮影部から取得する取得部、
前記検査部による検査を行う直前において、前記一の撮影部により撮影された画像データに基づいて、前記他の撮影部による撮影時の不備があるかを判断する判断部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検出システム、検出装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の撮影装置を備え、トラックなどの貨物車両による過積載を検出するシステムや動体が移動する所定の軌道の近傍に存在する障害物を検出するシステムが存在している。
【0003】
これに関連して、特許文献1には、撮影装置が車両のタイヤを撮影した画像データに基づいて当該タイヤの変形量を算出して、車両の過積載を判定する検出システムが記載されている。
また、特許文献2には、決められた軌道を移動する移動体に搭載されており、それぞれ異なる位置から共通の領域を撮影する複数のカメラと、当該複数のカメラにより撮像された画像に基づいて、共通の領域内における障害物の有無を判定する検出システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-194542号公報
【文献】特開2019-46241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような検出システムにおいて撮影装置(カメラ)による撮影に際し、例えば、撮影範囲内に障害物が写り込んでしまったり、撮影装置に障害物が接触して撮影範囲が正常範囲からずれてしまうなどの撮影時の不備が生じると、撮影装置が撮影する画像データに問題が生じ、正確に検出処理を行うことができないという問題があった。
特許文献1、2に記載の発明においては、上記問題は解決されない。
また、このような撮影時の不備を検知するために新たに検知装置を備えることはコストが上昇してしまうという問題が生じる。
【0006】
この発明の目的は、コストを上昇させることなく撮影時の不備を点検することができる検出システム、検出装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明の検出システムは、
物体を異なる方向から撮影する複数の撮影部と、
前記複数の撮影部により撮影された画像データに基づいて、前記物体に問題があるかを検査する検査部と、
前記複数の撮影部のうち一の撮影部により撮影された画像データに基づいて、他の撮影部による撮影時の不備があるかを判断する判断部と、
を備え、
各撮像部は、少なくとも一つの他の撮影部の撮影範囲に設置され、
前記判断部は、前記検査部による検査を行う直前において、前記一の撮影部により撮影された画像データに含まれる他の撮影部による撮影時の不備を判断する。
【0009】
また、請求項に記載の発明は、請求項1記載の検出システムにおいて、
前記判断部は、前記他の撮影部のレンズの前に障害物又は汚れが存在するかを判断する。
【0010】
また、請求項に記載の発明は、請求項1または2に記載の検出システムにおいて、
前記判断部は、前記他の撮影部の設置位置及び設置角度が本来の位置からずれているかを判断する。
【0011】
また、請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の検出システムにおいて、
前記複数の撮影部の撮影範囲をそれぞれ照明する複数の照明部を備え、
前記判断部は、前記複数の撮影部のうち一の撮影部により撮影された画像データに基づいて、前記一の撮影部により撮影された画像データに含まれる他の撮影部に対応する照明部に不備があるかを判断する。
【0012】
また、請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載の検出システムにおいて、
前記判断部は、前記撮影部により撮影された画像データに異常があるかを判断して、前記画像データに異常があると判断した場合、当該撮影部を撮影した前記一の撮影部により画像データを取得する。
【0013】
また、請求項に記載の発明の検出装置は、
物体を異なる方向から撮影する複数の撮影部により撮影された画像データに基づいて、前記物体に問題があるかを検査する検査部と、
一の撮影部の撮影範囲に設置された他の撮影部が撮影された画像データを前記一の撮影部から取得する取得部と、
前記検査部による検査を行う直前において、前記一の撮影部により撮影された画像データに基づいて、前記他の撮影部による撮影時の不備があるかを判断する判断部と、
を備える。
【0014】
また、請求項に記載の発明のプログラムは、
コンピューターを、
物体を異なる方向から撮影する複数の撮影部により撮影された画像データに基づいて、前記物体に問題があるかを検査する検査部、
一の撮影部の撮影範囲に設置された他の撮影部が撮影された画像データを前記一の撮影部から取得する取得部、
前記検査部による検査を行う直前において、前記一の撮影部により撮影された画像データに基づいて、前記他の撮影部による撮影時の不備があるかを判断する判断部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に従うと、コストを上昇させることなく撮影時の不備を点検することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態の検出システムの機能構成を示すブロック図である。
図2】赤外線センサー、撮影装置A及び撮影装置Bの設置位置を示す図である。
図3A】撮影装置Bがレンズの前に障害物がある撮影装置Aを撮影した画像の例を示す図である。
図3B】撮影装置Aが撮影装置Aのレンズの前に障害物がある状態で、撮影装置Bを撮影した画像の例を示す図である。
図4A】撮影装置Bが撮影装置Aを撮影した画像の例を示す図である。
図4B】撮影装置Aが照明部に不備がある撮影装置Bを撮影した画像の例を示す図である。
図5】本実施形態の点検処理を示すフローチャートである。
図6】本実施形態の検査処理を示すフローチャートである。
図7】本実施形態の変形例の点検処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の検出システム1の機能構成を示すブロック図である。この検出システム1は、物体を異なる方向から撮影し、撮影された画像データに基づいて、当該物体に問題があるかを検査するシステムである。例えば、車両の側面を撮影し、タイヤに傷等の問題があるかを確認するシステムである。
検出システム1は、赤外線センサー10と、撮影部としての撮影装置A20及び撮影装置B30と、検出装置40を備え、赤外線センサー10、撮影装置A20、及び撮影装置B30はそれぞれ検出装置40と通信可能に接続されている。
【0018】
図2は、赤外線センサー10、撮影装置A20及び撮影装置B30の設置位置を示す図である。
赤外線センサー10は、図2に示すように、車両の側面を撮影するための撮影領域aの入り口部分に設置され、車両が撮影領域aに進入したことを検知する。
また、図1に示すように赤外線センサー10は、検知部11と、通信部12を備える。
検知部11は、赤外線を撮影領域aの入り口に投光し、車両が赤外線を遮って通過したときの信号出力に基づいて、車両の撮影領域aへの進入を検知する。
通信部12は、検出装置40と通信を行うための制御を行う。通信部12は、例えば、ネットワークカードであり、検知部11による車両の撮影領域aへの進入の検知結果に応じた信号を検出装置40に出力する。
【0019】
図2に示すように、撮影装置A20及び撮影装置B30は、車両の走行路の両側で、それぞれ車両の両面を少なくともタイヤを含むように、かつ一方の撮影装置に他方の撮影装置が互いに撮影範囲に入るように配置されている。
また、図1に示すように、撮影装置A20及び撮影装置B30は、それぞれ撮影部21,31と、照明部22,32と、通信部23,33を備える。
撮影部21,31は、外部から入力された可視光を各画素位置に導く光学装置(図示なし)と、各画素位置でRGB各色の入射光量を検出する検出部(図示なし)などを備える。検出部は、ここでは、各画素位置の画素値(例えば、RGB各色の光量(輝度値))が取得可能に撮像面上に撮像素子が二次元配列されて、二次元撮影画像データを取得する。撮影部21,31による撮影は、動画あるいは、所定時間間隔での静止画像の連続撮影としてなされる。
図2に示すように、照明部22は、撮影部21が備える撮影カメラ211の左右両側に配置される。同様に、照明部32は、撮影部31が備える撮影カメラ311の左右両側に配置される。
また、照明部22,32は、それぞれ通信部23,33を介して受信した検出装置40からの指示に基づいて、撮影部21,31が撮影を行うときと、後で詳述する撮影装置A20及び撮影装置B30における点検処理のときのみ照明する。
通信部23,33は、検出装置40と通信を行うための制御を行う。通信部23,33は、例えば、ネットワークカードであり、撮影部21,31の動作により得られた画像データを検出装置40に出力する。また、通信部23,33は、検出装置40から受信した制御信号を照明部22,32に出力する。
【0020】
検出装置40は、制御部41と、記憶部42と、通信部43などを備える。
【0021】
制御部41は、検出装置40の動作を統括制御するプロセッサーである。制御部41は、各種演算処理を行うCPU411(Central Processing Unit)と、CPU411に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶するRAM412(Random Access Memory)などを備える。
【0022】
制御部41は、赤外線センサー10により車両の撮影領域aへの進入が検知されると、撮影装置A20及び撮影装置B30から送られたデジタル画像データを解析して、タイヤにおける傷等の問題の検出を行う。
また、制御部41は、撮影装置A20及び撮影装置B30から送られたデジタル画像データを解析して、撮影装置A20及び撮影装置B30による撮影時の不備の点検を行う。
撮影時の不備とは、撮影装置自体は正常であっても外的な要因により正常な撮影が行われない状態を意味する。具体的には、撮影装置の撮影範囲内に障害物が写り込んでしまったり、撮影装置に障害物が接触して撮影範囲が正常範囲からずれてしまうなどである。
【0023】
より具体的に、制御部41は、撮影装置A20(一の撮影部)の撮影範囲に設置された撮影装置B30(他の撮影部)が撮影された画像データを取得する。または、制御部41は、撮影装置B30(一の撮影部)の撮影範囲に設置された撮影装置A20(他の撮影部)が撮影された画像データを取得する。ここで、制御部41は、取得部として機能する。
また、制御部41は、撮影装置A20により撮影された画像データに基づいて、撮影装置B30による撮影時の不備があるかを判断する。または、制御部41は、撮影装置B30により撮影された画像データに基づいて、撮影装置A20による撮影時の不備があるかを判断する。ここで、制御部41は、判断部として機能する。具体的には、制御部41は、撮影装置A20により撮影装置B30が撮影された画像と正常な撮影装置B30を予め撮影した正常画像とを比較し、パターンマッチングを行うことで撮影装置B30による撮影時の不備の点検を行う。同様に、制御部41は、撮影装置B30により撮影装置A20が撮影された画像と正常な撮影装置A20を予め撮影した正常画像とを比較し、パターンマッチングを行うことで撮影装置A20による撮影時の不備の点検を行う。また、制御部41は、照明部22を制御し、照明部22が点灯した状態の撮影装置A20が撮影装置B30により撮影された画像における照明部22の部分の画素値を検出する。また、制御部41は、照明部32を制御し、照明部32が点灯した状態の撮影装置B30が撮影装置A20により撮影された画像における照明部32の部分の画素値を検出する。そして、制御部41は、当該それぞれ画素値に基づいて、照明部22,32の不備があるかを判断する。
また、制御部41は、撮影装置A20及び撮影装置B30(複数の撮影部)により撮影された画像データに基づいて、撮影された物体に問題があるかを検査する。ここで、制御部41は、検査部として機能する。具体的には、制御部41は、撮影装置A20及び撮影装置B30によりタイヤが撮影された画像と正常なタイヤを予め撮影した正常画像とを比較し、パターンマッチングを行うことで傷等の問題の検査を行う。また傷や汚れ等の問題を検出には、AIなどの技術を使用しても良い。
また、制御部41は、撮影に不備があると判断した場合、検出システム1の管理者に対して所定の報知動作を行う。所定の報知動作としては、例えば、所定の表示画面に対する表示動作や、ビープ音の発生動作など、及びこれら複数の組み合わせが挙げられる。
【0024】
記憶部42は、各種プログラム、設定データ、記録画像データやその解析結果などを記憶する。また、タイヤ、撮影装置A20及び撮影装置B30の正常画像を保存する正常画像保存部421を備える。
また、記憶部42は、読み書き更新可能なフラッシュメモリーなどの不揮発性メモリー、及びHDD(Hard Disk Drive)などが用いられ得る。
【0025】
通信部43は、赤外線センサー10、撮影装置A20、撮影装置B30及び他の外部装置(外部機器)と通信を行うための制御を行う。通信部43は、例えば、ネットワークカードであり、赤外線センサー10から車両の撮影領域aへの進入の検知結果を受信する。
また、通信部43は、撮影装置A20及び撮影装置B30から画像データを受信する。
また、通信部43は、撮影装置A20の照明部22及び撮影装置B30の照明部32に制御信号を出力する。
また、通信部43は、制御部41による画像データの解析結果に応じた信号を外部装置に出力する。出力先の外部装置としては、例えば、検出システム1の管理者が所有する装置などが挙げられる。
【0026】
次に、撮影装置A20あるいは撮影装置B30における撮影の不備が生じている例を説明する。図3A図3Bに撮影装置A20の撮影カメラ211のレンズの前に障害物である葉が引っかかっている例を示す。図3Aは、撮影装置B30が撮影した画像であり、撮影装置A20と、撮影カメラ211の前にある葉が写っている。
制御部41は、図3Aと正常画像保存部421に保存された撮影装置A20の正常画像とを比較した場合、撮影装置A20に不備が生じていると判断する。
また、図3Bは、撮影装置A20が撮影した画像であり、撮影装置B30と、葉の影である領域bが写っている。領域bは、ぼんやりと暗くなってはっきりしないものが写っているように撮影されるため、制御部41は、図3Bと正常画像保存部421に保存された撮影装置B30の正常画像とを比較した場合、不備が生じていると判断されない可能性がある。
【0027】
次に、図4A図4Bに撮影装置B30の照明部32に不備がある例を示す。図4A図4Bに示す例において、制御部41による制御により、照明部22,32を点灯させている状態である。
図4Aは、撮影装置B30が撮影した画像であり、照明部22が点灯している状態の撮影装置A20が写っている。
制御部41は、図4Aにおける照明部22の部分の画素値を検出し、当該画素値の平均値を算出する。照明部22が点灯している場合、照明部22の部分の画素値の平均値は白色(RGBではR:255,G:255,B:255を基準として所定の裕度を持つ範囲)であり、この場合、制御部41は、撮影装置A20の照明部22に不備は生じていないと判断する。
また、図4Bは、撮影装置A20が撮影した画像であり、一方の照明部32が点灯し、他方の照明部32が不備の発生により消灯している状態の撮影装置B30が写っている。
制御部41は、図4Bにおける照明部32の部分の画素値を検出し、当該画素値の平均値を算出する。照明部32が点灯していない場合、照明部32の部分の画素値の平均値が白色でないため、制御部41は、撮影装置B30の照明部32に不備が生じていると判断する。
【0028】
次に、本実施形態の検出システム1による点検処理について説明する。図5に点検処理のフローチャートを示す。
検出装置40の制御部41は、検出システム1の起動時、予め定められた所定時間(例えば、1時間)ごと、タイヤの傷等の問題の検査処理の直前、または検出システム1の管理者の指示が発せられたときに、点検処理を実施する。
【0029】
まず、制御部41は、正常画像保存部421に保存された撮影装置A20または撮影装置B30の正常画像を読み込む(ステップS1)。撮影装置A20の点検処理を実施する場合は、撮影装置A20の正常画像を読み込み、撮影装置B30の点検処理を実施する場合は、撮影装置B30の正常画像を読み込む。
次に、制御部41は、撮影装置A20または撮影装置B30を制御し、現在の画像を撮影し、その画像データを、通信部43を介して取得する(ステップS2)。撮影装置A20の点検処理を実施する場合は、撮影装置B30が撮影装置A20を撮影した画像を取得し、撮影装置B30の点検処理を実施する場合は、撮影装置A20が撮影装置B30を撮影した画像を取得する。
【0030】
次に、制御部41は、ステップS1において読み込んだ正常画像とステップS2において取得した現在の画像とを比較し、パターンマッチングを行う(ステップS3)。
次に、制御部41は、ステップS3においてパターンマッチングを行った結果、撮影カメラ211あるいは撮影カメラ311のレンズの前に障害物や汚れがあるか否かを判断する(ステップS4)。
障害物や汚れがない場合(ステップS4;NO)、制御部41は、ステップS3においてパターンマッチングを行った結果から撮影装置A20あるいは撮影装置B30の設置位置や設置角度がずれているか否かを判断する(ステップS5)。
図3Aのように障害物や汚れがある場合(ステップS4;YES)、または撮影装置A20あるいは撮影装置B30の設置位置や設置角度がずれている場合(ステップS5;YES)、制御部41は、撮影装置A20あるいは撮影装置B30に障害物や汚れがある、または設置位置や設置角度がずれている等の不備が生じている旨のメッセージを、検出システム1の管理者が所有する外部装置の表示画面に表示させる等の所定の報知動作を行う(ステップS6)。
【0031】
ステップS6の実施後、あるいは設置位置や設置角度がずれていない場合(ステップS5;NO)、制御部41は、撮影装置A20の照明部22あるいは撮影装置B30の照明部32を点灯する(ステップS7)。撮影装置A20の照明部22の点検処理を実施する場合は、照明部22を点灯し、撮影装置B30の照明部32の点検処理を実施する場合は、照明部32を点灯する。
次に、制御部41は、ステップS2と同様のステップS8を実施する。
【0032】
次に、制御部41は、ステップ8において取得した画像における照明部22あるいは照明部32の部分の画素値を検出し、当該画素値の平均値を算出する(ステップS9)。
次に、制御部41は、ステップS9において算出した照明部22あるいは照明部32の画素値の平均値が白色か否か、つまり照明部22あるいは照明部32は点灯しているか否かを判断する(ステップS10)。
照明部22あるいは照明部32が点灯していない場合(ステップS10;NO)、制御部41は、照明部22あるいは照明部32に不備が生じている旨のメッセージを、検出システム1の管理者が所有する外部装置の表示画面に表示させる等の所定の報知動作を行う(ステップS11)。
【0033】
ステップS11の実施後、あるいは照明部22または照明部32が点灯している場合(ステップS10;YES)、制御部41は、ステップS7において点灯した照明部22あるいは照明部32を消灯し(ステップS12)、点検処理を終了する。
制御部41は、当該点検処理を撮影装置A20及び撮影装置B30に対して実施する。なお、点検処理を実施する順番はどちらの撮影装置が先でもよい。
【0034】
次に、本実施形態の検出システム1による検査処理について説明する。図6に検査処理のフローチャートを示す。
検出装置40の制御部41は、赤外線センサー10により車両の撮影領域aへの進入が検知されたときに、検査処理を実施する。
【0035】
まず、制御部41は、正常画像保存部421に保存されたタイヤの正常画像を読み込む(ステップS21)。
次に、制御部41は、撮影装置A20及び撮影装置B30を制御し、現在の画像を撮影し、その画像データを、通信部43を介して取得する(ステップS22)。
次に、制御部41は、ステップS22において取得した画像データをハフ変換等することにより円の検出を検出することでタイヤを検出する(ステップS23)。タイヤの検出には、AIなどの技術を使用しても良い。
【0036】
次に、制御部41は、ステップS23においてタイヤは検出できたか否かを判断する(ステップS24)。
タイヤが検出できた場合(ステップS24;YES)、制御部41は、ステップS23において検出したタイヤの中心は、ステップS22において取得した画像の中心にあるか否かを判断する(ステップS25)。
タイヤの中心が画像の中心にある場合(ステップS25;YES)、制御部41は、タイヤの傷や汚れ等の問題を検出する(ステップS26)。具体的には、制御部41は、ステップS22において取得した画像とステップS21において読み込んだ正常画像とを比較し、パターンマッチングを行うことでタイヤの傷や汚れ等の問題を検出する。
【0037】
次に、制御部41は、ステップS26においてタイヤの傷や汚れ等の問題が検出されたか否かを判断する(ステップS27)。
タイヤの傷や汚れ等の問題が検出された場合(ステップS27;YES)、制御部41は、タイヤに傷や汚れ等の問題が生じている旨のメッセージを、検出システム1の管理者が所有する外部装置の表示画面に表示させる等の所定の報知動作を行う(ステップS28)。
【0038】
ステップS28の実施後、あるいはタイヤの傷や汚れ等の問題が検出されない場合(ステップS27;NO)、制御部41は、既定のタイヤ数を検出したか否かを判断する(ステップS29)。既定のタイヤ数とは、一つの車両が有する片側のタイヤ数であり、例えば多くの一般車は片側のタイヤ数は2つ、大型トラックであれば片側のタイヤ数は3つ、トレーラーであれば片側のタイヤ数は4つ以上のこともある。つまり、ステップS29において、制御部41は、一つの車両に対する検査処理は終了したか否かを判断する。
既定のタイヤ数を検出した場合(ステップS29;YES)、制御部41は、検査処理を終了する。
【0039】
既定のタイヤ数を検出していない場合(ステップS29;NO)、制御部41は、ステップS22に戻り、次のタイヤに対する検査処理を実施する。
また、タイヤが検出できない場合(ステップS24;NO)、あるいはタイヤの中心が画像の中心にない場合(ステップS25;NO)、制御部41は、ステップS29に移行する。
【0040】
(変形例)
図7は、本変形例の点検処理を示すフローチャートである。以下では、上記実施形態との差異を中心に説明する。本変形例の検出システム1の構成は、上記実施形態の検出システム1と同一である。
【0041】
図7に示す本変形例の点検処理において、まず、制御部41は、撮影装置A20または撮影装置B30を制御し、現在の画像を撮影し、その画像データを、通信部43を介して取得する(ステップS31)。撮影装置A20の点検処理を実施する場合は、撮影装置A20が撮影装置B30を撮影した画像を取得し、撮影装置B30の点検処理を実施する場合は、撮影装置B30が撮影装置A20を撮影した画像を取得する。
【0042】
次に、制御部41は、ステップS31において取得した現在画像の輝度を算出する等を行い、現在画像に異常はあるか否かを判断する(ステップS32)。
現在画像に異常がある場合(ステップS32;YES)、制御部41は、正常画像保存部421に保存された撮影装置A20または撮影装置B30の正常画像を読み込む(ステップS33)。撮影装置A20の点検処理中である場合は、撮影装置A20の正常画像を読み込み、撮影装置B30の点検処理中である場合は、撮影装置B30の正常画像を読み込む。
次に、制御部41は、撮影装置A20または撮影装置B30を制御し、現在の画像を撮影し、その画像データを、通信部43を介して取得する(ステップS34)。撮影装置A20の点検処理中の場合は、撮影装置B30が撮影装置A20を撮影した画像を取得し、撮影装置B30の点検処理中の場合は、撮影装置A20が撮影装置B30を撮影した画像を取得する。
次に、制御部41は、ステップS33において読み込んだ正常画像とステップS34において取得した現在の画像とを比較し、パターンマッチングを行う(ステップS35)。
次に、制御部41は、ステップS35においてパターンマッチングを行った結果、撮影カメラ211あるいは撮影カメラ311のレンズの前に障害物や汚れがあるか否かを判断する(ステップS36)。
障害物や汚れがない場合(ステップS36;NO)、制御部41は、ステップS35においてパターンマッチングを行った結果から、撮影装置A20あるいは撮影装置B30の設置位置や設置角度がずれているか否かを判断する(ステップS37)。
【0043】
障害物や汚れ等がある場合(ステップS36;YES)、または撮影装置A20あるいは撮影装置B30の設置位置や設置角度がずれている場合(ステップS37;YES)、制御部41は、撮影装置A20あるいは撮影装置B30に障害物や汚れがある、または設置位置や設置角度がずれている等の不備が生じている旨のメッセージを、検出システム1の管理者が所有する外部装置の表示画面に表示させる等の所定の報知動作を行う(ステップS38)。
【0044】
次に、制御部41は、上記実施形態の点検処理におけるステップS7~S12と同様のステップS39~S44を実施し、本変形例の点検処理を終了する。
【0045】
以上のように、本実施形態の検出システム1は、複数の撮影部(撮影装置A20、撮影装置B30)と、前記複数の撮影部のうち一の撮影部により撮影された画像データに基づいて、他の撮影部による撮影時の不備があるかを判断する判断部(制御部41)と、を備え、各撮像部は、少なくとも一つの他の撮影部の撮影範囲に設置され、前記判断部は、前記一の撮影部により撮影された画像データに含まれる他の撮影部による撮影時の不備を判断する。
したがって、コストを上昇させることなく撮影時不備を点検することができる。
【0046】
また、本実施形態の検出システム1は、前記複数の撮影部(撮影装置A20、撮影装置B30)は、物体を異なる方向から撮影し、前記複数の撮影部により撮影された画像データに基づいて、前記物体に問題があるかを検査する検査部(制御部41)を備える。
したがって、本来の処理である物体に問題がないかを検査するための構成を用いることで、コストを上昇させることなく撮影時の不備を点検することができる。
【0047】
また、本実施形態の検出システム1において、前記判断部(制御部41)は、前記他の撮影部のレンズの前に障害物又は汚れが存在するかを判断する。
したがって、コストを上昇させることなく撮影装置のレンズの前に障害物や汚れが存在するかを点検することができる。
【0048】
また、本実施形態の検出システム1において、前記判断部(制御部41)は、前記他の撮影部の設置位置及び設置角度が本来の位置からずれているかを判断する。
したがって、コストを上昇させることなく撮影装置の設置位置及び設置角度が本来の位置からずれていないかを点検することができる。
【0049】
また、本実施形態の検出システム1は、前記複数の撮影部の撮影範囲をそれぞれ照明する複数の照明部22,32を備え、前記判断部(制御部41)は、前記複数の撮影部のうち一の撮影部により撮影された画像データに基づいて、前記一の撮影部により撮影された画像データに含まれる他の撮影部に対応する照明部に不備があるかを判断する。
したがって、コストを上昇させることなく撮影装置の照明部の不備を点検することができる。
【0050】
また、本実施形態の検出システム1において、前記判断部(制御部41)は、前記撮影部により撮影された画像データに異常があるかを判断して、前記画像データに異常があると判断した場合、当該撮影部を撮影した前記一の撮影部により画像データを取得する。
したがって、一の撮影部により撮影された画像データに基づいて、当該撮影部に生じた異常の原因を確認することができる。
【0051】
なお、本発明は、上記実施の形態及び変形例に限られるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、車両が走行しているものとして説明したが、渋滞などにより車両が一時停止している間に撮影された画像を用いることを除外するものではない。すなわち、停車している状況も車両の走行状況に含まれる。
【0052】
また、上記実施の形態及び変形例では、車両の撮影領域aへの進入の検知は赤外線センサー10が実施するとしたがこれに限らない。撮影領域aの入り口において、車両のナンバープレートを認識するアプリケーションなどを利用することによって、車両の撮影領域aへの進入を検知しても良い。
【0053】
また、上記実施の形態及び変形例では、検出システム1は、車両のタイヤの傷等の問題の確認を行うための撮影システムの例であるが、これに限らない。その他の用途で使用される撮影システムで応用してもよい。例えば、監視カメラによる対象物の監視や、速度の計測等の計測を主用途とした撮影システムでも、複数の撮像装置が備えられ、当該撮影装置が他の撮影装置の撮影範囲に入っている場合に応用することができる。
【0054】
また、上記実施の形態及び変形例では、検出システム1は、撮影装置A20及び撮影装置B30の二つの撮影装置を備えるとしたがこれに限らない。それぞれの撮影装置が他の撮影装置の撮影範囲に設置された3つ以上の撮影装置を備えてもよい。
【0055】
また、上記実施の形態及び変形例の点検処理では、照明部を点灯させた状態の撮影装置を撮影した画像に基づいて、照明部に不備があるかを判断するとしたがこれに限らない。制御部41の制御により、点灯と消灯を切り替え、それぞれの状態の撮影装置を撮影した画像における照明部の部分は、点灯と消灯のそれぞれに対応する画素値であるか否かを判断してもよい。
【0056】
また、上記実施の形態及び変形例の点検処理のステップS6,S11,S38,S43、及び検査処理のステップS28において、所定の報知動作は検出システム1の管理者が所有する外部装置の表示画面にメッセージを表示させるとしたがこれに限らない。検出システム1の管理者が所有する外部装置宛てにメールを送信してもよいし、他の外部装置に備えられたデータベースに情報を保存してもよい。
【0057】
また、上記実施の形態及び変形例の検査処理のステップS29において、制御部41は、既定のタイヤ数を検出したか否かを判断するとしたがこれに限らない。一つの車両に対する検査処理が終了したか否かの判断は、撮影領域aの出口側に赤外線センサーを設置して、当該赤外線センサーからの信号出力に基づいて実施してもよい。具体的には、赤外線を撮影領域aの出口に投光し、車両が赤外線を遮って通過したときの信号出力が赤外線センサーから送信されなくなった場合に車両が撮影領域aから出て、一つの車両に対する検査処理が終了したと判断される。
【0058】
また、上記実施の形態及び変形例において、照明部22,32は制御部41によって制御されるとしたがこれに限らない。照明部22,32の点灯と消灯を手動で切り替えてもよい。
【0059】
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、動作の内容や手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 検出システム
10 赤外線センサー
11 検知部
12 通信部
20 撮影装置A
21 撮影部
211 撮影カメラ
22 照明部
23 通信部
30 撮影装置B
31 撮影部
311 撮影カメラ
32 照明部
33 通信部
40 検出装置
41 制御部
411 CPU
412 RAM
42 記憶部
421 正常画像保存部
43 通信部
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7