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特許7543931液体吐出装置、その制御方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-26
(45)【発行日】2024-09-03
(54)【発明の名称】液体吐出装置、その制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240827BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B41J2/165
B41J2/01 403
B41J2/01 451
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021013163
(22)【出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2022116796
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】平野 美喜雄
(72)【発明者】
【氏名】森 政貴
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-014158(JP,A)
【文献】特開2021-008069(JP,A)
【文献】特開2006-130828(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0328882(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/165
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有するヘッドと、
キャップと、
前記キャップが前記ヘッドに接触して前記複数のノズルを覆うキャッピング状態と前記キャップが前記ヘッドから離隔して前記複数のノズルを覆わないアンキャッピング状態とを選択的に取り得るように、前記ヘッド及び前記キャップを相対的に移動させる移動機構と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記移動機構を駆動させ、前記キャップを前記キャッピング状態から前記アンキャッピング状態に移行させる、アンキャップ処理と、
前記アンキャップ処理の後、前記移動機構を駆動させ、前記キャップを前記アンキャッピング状態から前記キャッピング状態に移行させる、キャップ処理と、
前記アンキャップ処理により前記キャップが前記アンキャッピング状態に移行した時点から前記キャップ処理により前記キャップが前記キャッピング状態に移行した時点までのアンキャッピング時間に基づいて、非吐出駆動時間を決定する、決定処理と、
前記キャップ処理の後、前記キャップを前記キャッピング状態に維持して、前記決定処理により決定された前記非吐出駆動時間の間、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させる、非吐出駆動処理と、
を実行することを特徴とする、液体吐出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記決定処理において、前記アンキャッピング時間と、環境温度及び環境湿度の少なくとも1つとに基づいて、前記非吐出駆動時間を決定することを特徴とする、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記決定処理において、前記環境温度が高いほど前記非吐出駆動時間が短くなるように前記非吐出駆動時間を決定することを特徴とする、請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記決定処理において、前記環境湿度が高いほど前記非吐出駆動時間が短くなるように前記非吐出駆動時間を決定することを特徴とする、請求項2又は3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記非吐出駆動処理において、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させるための非吐出駆動信号であって、前記アンキャッピング時間が長いほど、単位時間当たりのパルス数が多い非吐出駆動信号を用いることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記非吐出駆動処理において、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させるための非吐出駆動信号であって、前記アンキャッピング時間が長いほど、パルス幅が大きい非吐出駆動信号を用いることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記非吐出駆動処理において、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させるための非吐出駆動信号であって、前記アンキャッピング時間が長いほど、波高値が大きい非吐出駆動信号を用いることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記非吐出駆動処理において、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させるための非吐出駆動信号であって、前記アンキャッピング時間が長いほど、駆動周波数が大きい非吐出駆動信号を用いることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記非吐出駆動処理において、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させるための非吐出駆動信号であって、環境温度が低いほど、単位時間当たりのパルス数が多い非吐出駆動信号を用いることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記非吐出駆動処理において、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させるための非吐出駆動信号であって、環境温度が低いほど、パルス幅が大きい非吐出駆動信号を用いることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記非吐出駆動処理において、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させるための非吐出駆動信号であって、環境温度が低いほど、波高値が大きい非吐出駆動信号を用いることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記非吐出駆動処理において、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させるための非吐出駆動信号であって、環境温度が低いほど、駆動周波数が大きい非吐出駆動信号を用いることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記非吐出駆動処理において、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させるための非吐出駆動信号であって、環境湿度が低いほど、単位時間当たりのパルス数が多い非吐出駆動信号を用いることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記非吐出駆動処理において、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させるための非吐出駆動信号であって、環境湿度が低いほど、パルス幅が大きい非吐出駆動信号を用いることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記非吐出駆動処理において、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させるための非吐出駆動信号であって、環境湿度が低いほど、波高値が大きい非吐出駆動信号を用いることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記非吐出駆動処理において、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させるための非吐出駆動信号であって、環境湿度が低いほど、駆動周波数が大きい非吐出駆動信号を用いることを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項17】
前記複数のノズルは、吸水性材料を含有する第1液体を吐出する第1ノズル群と、吸水性材料を含有しない第2液体を吐出する第2ノズル群と、を構成し、
前記キャップは、第1キャップと、第2キャップと、を含み、
前記制御部は、
前記キャップ処理において、前記第1キャップが前記第1ノズル群を覆い、前記第2キャップが前記第2ノズル群を覆うように、前記移動機構を駆動させ、
前記第1ノズル群に対して前記非吐出駆動処理を実行し、前記第2ノズル群に対して前記非吐出駆動処理を実行しないことを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項18】
前記複数のノズルは、吸水性材料を含有する第1液体を吐出する第1ノズル群と、吸水性材料を含有しない第2液体を吐出する第2ノズル群と、を構成し、
前記制御部は、
前記キャップ処理において、前記キャップが前記第1ノズル群及び前記第2ノズル群の両方を覆うように、前記移動機構を駆動させ、
前記決定処理において、前記第1ノズル群に対する前記非吐出駆動時間を第1時間、前記第2ノズル群に対する前記非吐出駆動時間を前記第1時間よりも短い第2時間として決定することを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項19】
複数のノズルを有するヘッドと、キャップと、前記キャップが前記ヘッドに接触して前記複数のノズルを覆うキャッピング状態と前記キャップが前記ヘッドから離隔して前記複数のノズルを覆わないアンキャッピング状態とを選択的に取り得るように、前記ヘッド及び前記キャップを相対的に移動させる移動機構と、を備えた液体吐出装置を制御する制御方法であって、
前記移動機構を駆動させ、前記キャップを前記キャッピング状態から前記アンキャッピング状態に移行させる、アンキャップ処理と、
前記アンキャップ処理の後、前記移動機構を駆動させ、前記キャップを前記アンキャッピング状態から前記キャッピング状態に移行させる、キャップ処理と、
前記アンキャップ処理により前記キャップが前記アンキャッピング状態に移行した時点から前記キャップ処理により前記キャップが前記キャッピング状態に移行した時点までのアンキャッピング時間に基づいて、非吐出駆動時間を決定する、決定処理と、
前記キャップ処理の後、前記キャップを前記キャッピング状態に維持して、前記決定処理により決定された前記非吐出駆動時間の間、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させる、非吐出駆動処理と、
を実行することを特徴とする、制御方法。
【請求項20】
複数のノズルを有するヘッドと、キャップと、前記キャップが前記ヘッドに接触して前記複数のノズルを覆うキャッピング状態と前記キャップが前記ヘッドから離隔して前記複数のノズルを覆わないアンキャッピング状態とを選択的に取り得るように、前記ヘッド及び前記キャップを相対的に移動させる移動機構と、を備えた液体吐出装置を、
前記移動機構を駆動させ、前記キャップを前記キャッピング状態から前記アンキャッピング状態に移行させる、アンキャップ手段、
前記アンキャップ手段による処理の後、前記移動機構を駆動させ、前記キャップを前記アンキャッピング状態から前記キャッピング状態に移行させる、キャップ手段、
前記アンキャップ手段により前記キャップが前記アンキャッピング状態に移行した時点から前記キャップ手段により前記キャップが前記キャッピング状態に移行した時点までのアンキャッピング時間に基づいて、非吐出駆動時間を決定する、決定手段、及び、
前記キャップ手段による処理の後、前記キャップを前記キャッピング状態に維持して、前記決定手段により決定された前記非吐出駆動時間の間、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させる、非吐出駆動手段、
として機能させることを特徴とする、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップがキャッピング状態にあるときに非吐出駆動処理を実行する液体吐出装置、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャップがキャッピング状態にあるときに、アクチュエータの駆動によって液体がノズルから吐出されない程度に圧力室を振動させる微振動により、ヘッドをメンテナンスすることが示されている。当該微振動により、液体の増粘を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-014158号公報(請求項6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1には、微振動(非吐出駆動処理)を実行する時間(非吐出駆動時間)について何ら示されておらず、非吐出駆動時間が必要以上に長いと、次の記録処理の開始が遅れてしまい、高速記録の実現が困難になり得る。
【0005】
本発明の目的は、キャップがキャッピング状態にあるときに非吐出駆動処理を実行する構成において高速記録を実現可能な液体吐出装置、その制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液体吐出装置は、複数のノズルを有するヘッドと、キャップと、前記キャップが前記ヘッドに接触して前記複数のノズルを覆うキャッピング状態と前記キャップが前記ヘッドから離隔して前記複数のノズルを覆わないアンキャッピング状態とを選択的に取り得るように、前記ヘッド及び前記キャップを相対的に移動させる移動機構と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記移動機構を駆動させ、前記キャップを前記キャッピング状態から前記アンキャッピング状態に移行させる、アンキャップ処理と、前記アンキャップ処理の後、前記移動機構を駆動させ、前記キャップを前記アンキャッピング状態から前記キャッピング状態に移行させる、キャップ処理と、前記アンキャップ処理により前記キャップが前記アンキャッピング状態に移行した時点から前記キャップ処理により前記キャップが前記キャッピング状態に移行した時点までのアンキャッピング時間に基づいて、非吐出駆動時間を決定する、決定処理と、前記キャップ処理の後、前記キャップを前記キャッピング状態に維持して、前記決定処理により決定された前記非吐出駆動時間の間、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させる、非吐出駆動処理と、を実行することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る制御方法は、複数のノズルを有するヘッドと、キャップと、前記キャップが前記ヘッドに接触して前記複数のノズルを覆うキャッピング状態と前記キャップが前記ヘッドから離隔して前記複数のノズルを覆わないアンキャッピング状態とを選択的に取り得るように、前記ヘッド及び前記キャップを相対的に移動させる移動機構と、を備えた液体吐出装置を制御する制御方法であって、前記移動機構を駆動させ、前記キャップを前記キャッピング状態から前記アンキャッピング状態に移行させる、アンキャップ処理と、前記アンキャップ処理の後、前記移動機構を駆動させ、前記キャップを前記アンキャッピング状態から前記キャッピング状態に移行させる、キャップ処理と、前記アンキャップ処理により前記キャップが前記アンキャッピング状態に移行した時点から前記キャップ処理により前記キャップが前記キャッピング状態に移行した時点までのアンキャッピング時間に基づいて、非吐出駆動時間を決定する、決定処理と、前記キャップ処理の後、前記キャップを前記キャッピング状態に維持して、前記決定処理により決定された前記非吐出駆動時間の間、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させる、非吐出駆動処理と、を実行することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るプログラムは、複数のノズルを有するヘッドと、キャップと、前記キャップが前記ヘッドに接触して前記複数のノズルを覆うキャッピング状態と前記キャップが前記ヘッドから離隔して前記複数のノズルを覆わないアンキャッピング状態とを選択的に取り得るように、前記ヘッド及び前記キャップを相対的に移動させる移動機構と、を備えた液体吐出装置を、前記移動機構を駆動させ、前記キャップを前記キャッピング状態から前記アンキャッピング状態に移行させる、アンキャップ手段、前記アンキャップ手段による処理の後、前記移動機構を駆動させ、前記キャップを前記アンキャッピング状態から前記キャッピング状態に移行させる、キャップ手段、前記アンキャップ手段により前記キャップが前記アンキャッピング状態に移行した時点から前記キャップ手段により前記キャップが前記キャッピング状態に移行した時点までのアンキャッピング時間に基づいて、非吐出駆動時間を決定する、決定手段、及び、前記キャップ手段による処理の後、前記キャップを前記キャッピング状態に維持して、前記決定手段により決定された前記非吐出駆動時間の間、前記複数のノズルから液体を吐出させずに前記複数のノズル内の液体のメニスカスを振動させる、非吐出駆動手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、非吐出駆動時間をアンキャッピング時間に基づいて決定することで、必要以上に長い時間非吐出駆動処理が実行されること(ひいては、次の記録処理の開始が遅れること)を抑制できる。したがって、キャップがキャッピング状態にあるときに非吐出駆動処理を実行する構成において、高速記録を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係るプリンタの全体構成を示す平面図である。
図2図1に示されているヘッドの断面図である。
図3図1のプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
図4】ヘッドのドライバICが出力する吐出駆動信号及び非吐出駆動信号を示すグラフである。
図5図1のプリンタのCPUが実行するプログラムを示すフロー図である。
図6図5のS6で用いられるテーブルや演算式に対応するアンキャッピング時間と非吐出駆動時間との関係を示すグラフである。
図7】本発明の第2実施形態に係るプリンタの全体構成を示す平面図である。
図8】本発明の第2実施形態においてS6で用いられるテーブルや演算式に対応するアンキャッピング時間と非吐出駆動時間との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
先ず、図1図3を参照し、本発明の第1実施形態に係るプリンタ100の全体構成、及び、プリンタ100の各部の構成について説明する。
【0012】
プリンタ100は、図1に示すように、下面に複数のノズルNが形成されたヘッド10と、ヘッド10を保持するキャリッジ20と、キャリッジ20を走査方向(鉛直方向と直交する方向)に移動させる走査機構30と、用紙1(記録媒体)を下方から支持するプラテン40と、用紙1を搬送方向(走査方向及び鉛直方向と直交する方向)に搬送する搬送機構50と、プラテン40に対して走査方向の一方に配置されたフラッシング受容部材60と、プラテン40に対して走査方向の他方に配置されたキャップ70と、制御装置90とを備えている。
【0013】
ノズルNは、走査方向に並ぶ4つのノズル列Nc,Nm,Ny,Nkを構成している。各ノズル列Nc,Nm,Ny,Nkは、搬送方向に並ぶ複数のノズルNで構成されている。ノズル列Ncを構成するノズルNはシアンのインク、ノズル列Nmを構成するノズルNはマゼンタのインク、ノズル列Nyを構成するノズルNはイエローのインク、ノズル列Nkを構成するノズルNはブラックのインクを、それぞれ吐出する。
【0014】
ブラックのインクは、顔料インクであり、吸水性ポリマー(吸水性材料)を含有する。一方、カラー(シアン、マゼンタ、イエロー)のインクは、染料インクであり、吸水性ポリマー(吸水性材料)を含有しない。ブラックのインクが本発明の「第1液体」に該当し、ノズル列Nkが本発明の「第1ノズル群」に該当する。カラーのインクが本発明の「第2液体」に該当し、ノズル列Nc,Nm,Nyが本発明の「第1ノズル群」に該当する。
【0015】
走査機構30は、キャリッジ20を支持する一対のガイド31,32と、キャリッジ20に連結されたベルト33とを含む。ガイド31,32及びベルト33は、走査方向に延びている。制御装置90の制御によりキャリッジモータ30m(図3参照)が駆動されると、ベルト33が走行し、ガイド31,32に沿ってキャリッジ20が走査方向に移動する。
【0016】
プラテン40は、ヘッド10の下方に配置されている。プラテン40の上面に、用紙1が支持される。
【0017】
搬送機構50は、2つのローラ対51,52を有する。搬送方向においてローラ対51とローラ対52との間に、ヘッド10及びプラテン40が配置されている。制御装置90の制御により搬送モータ50m(図3参照)が駆動されると、ローラ対51,52が用紙1を挟持した状態で回転し、用紙1が搬送方向に搬送される。このように、搬送機構50はヘッド10に対して相対的に用紙1を搬送する。
【0018】
フラッシング受容部材60は、搬送方向においてガイド31,32の間に配置されており、その表面にフラッシング領域60rを有する。フラッシング領域60rは、搬送機構50による用紙1の搬送領域外にあり、搬送領域と走査方向に隣接する位置にある。フラッシング領域60rに向けて、後述するフラッシング処理が行われる。
【0019】
キャップ70は、上面が開口した箱状の部材であり、搬送方向に延びる隔壁により区画された2つの空間を有する。2つの空間のうち、一方は、ノズル列Nkに対応する第1キャップ71を構成し、他方は、ノズル列Nc,Nm,Nyに対応する第2キャップ72を構成する。キャップ70は、キャップ昇降モータ70m(図3参照)の駆動により鉛直方向に移動可能である。ヘッド10がキャップ70の上方に位置するときに、制御装置90の制御によりキャップ昇降モータ70mが駆動され、キャップ70が上方に移動されることで、キャップ70がヘッド10の下面に接触し、キャップ70とヘッド10との間に密閉空間が形成される。このとき、ヘッド10に形成されたノズルNのうち、ノズル列Nkを構成するノズルNは第1キャップ71で覆われ、ノズル列Nc,Nm,Nyを構成するノズルNは第2キャップ72で覆われる。このときのキャップ70の状態を「キャッピング状態」という。一方、キャップ70がヘッド10から離隔してノズルNを覆わない状態(キャップ70とヘッド10との間に密閉空間が形成されない状態)を「アンキャッピング状態」という。
【0020】
ここで、走査機構30(図1参照)及びキャップ昇降モータ70m(図3参照)は、キャップ70がキャッピング状態とアンキャッピング状態とを選択的に取り得るようにヘッド10及びキャップ70を相対的に移動させるものであり、本発明の「移動機構」に該当する。
【0021】
キャップ70は、チューブ及び吸引ポンプ70pを介して、廃インクタンク77と連通している。キャップ70がキャッピング状態にあるときに、制御装置90の制御により吸引ポンプ70pが駆動されると、キャップ70とヘッド10との間の密閉空間が減圧され、ノズルNからインクが強制的に排出される。排出されたインクは、キャップ70に受容され、廃インクタンク77へと流れる。
【0022】
ヘッド10は、図2に示すように、流路ユニット12と、アクチュエータユニット13とを含む。
【0023】
流路ユニット12の下面に、複数のノズルN(図1参照)が形成されている。流路ユニット12の内部には、インクタンク(図示略)に連通する共通流路12aと、ノズルN毎に個別の個別流路12bとが形成されている。個別流路12bは、共通流路12aの出口から圧力室12pを経てノズルNに至る流路である。流路ユニット12の上面には、複数の圧力室12pが開口している。
【0024】
アクチュエータユニット13は、流路ユニット12の上面に複数の圧力室12pを覆うように配置された金属製の振動板13aと、振動板13aの上面に配置された圧電層13bと、圧電層13bの上面に複数の圧力室12pのそれぞれと対向するように配置された複数の個別電極13cとを含む。
【0025】
振動板13a及び複数の個別電極13cは、ドライバIC14と電気的に接続されている。ドライバIC14は、振動板13aの電位をグランド電位に維持する一方、個別電極13cの電位をグランド電位と駆動電位との間で変化させる。具体的には、ドライバIC14は、制御装置90からの制御信号(波形信号FIRE及び選択信号SIN)に基づいて駆動信号を生成し、信号線14sを介して駆動信号を個別電極13cに供給する。これにより、個別電極13cの電位が駆動電位とグランド電位との間で変化する。
【0026】
駆動信号は、図4に示すように、吐出駆動信号Sa0~Sa3と、非吐出駆動信号Sbとを含む。
【0027】
吐出駆動信号Sa0~Sa3は、それぞれ、単位時間(時点t0から時点t1までの記録周期)T当たりのノズルNからのインクの吐出量に応じたものである。単位時間Tは、用紙1上に形成される画像の解像度に対応する単位距離だけ用紙1がヘッド10に対して相対移動するのに要する時間であり、1画素に対応する。
【0028】
吐出量「ゼロ」に対応する吐出駆動信号Sa0は、単位時間T当たり、パルスを含まず、ノズルNからインクを吐出させない。吐出量「小」に対応する吐出駆動信号Sa1は、単位時間T当たり、1つのパルスを含み、ノズルNから小滴のインクを吐出させる。吐出量「中」に対応する吐出駆動信号Sa2は、単位時間T当たり、2つのパルスを含み、ノズルNから中滴のインクを吐出させる。吐出量「大」に対応する吐出駆動信号Sa3は、単位時間T当たり、3つのパルスを含み、ノズルNから大滴のインクを吐出させる。
【0029】
本実施形態では、初期状態において、個別電極13cに駆動電位V1が付与されており、振動板13a及び圧電層13bにおいて各個別電極13cと各圧力室12pとで挟まれた部分(アクチュエータ13x)が圧力室12pに向かって凸に変形している。
【0030】
吐出駆動信号Sa0は、個別電極13cを駆動電位VDDに維持する(即ち、アクチュエータ13xが圧力室12pに向かって凸に変形した状態を維持する)。
【0031】
吐出駆動信号Sa1~Sa3では、個別電極13cがグランド電位となるタイミングで、アクチュエータ13xが平坦になり、圧力室12pの容積が初期状態よりも増加する。このとき、共通流路12aから個別流路12bにインクが吸い込まれる。さらにその後、所定のタイミングで再び個別電極13cに駆動電位VDDが付与され、アクチュエータ13xが圧力室12pに向かって凸に変形することで、圧力室12pの容積低下によりインクの圧力が上昇し、ノズルNからインクが吐出される。
【0032】
アクチュエータ13xは、個別電極13c毎(即ち、ノズルN毎)に設けられており、当該個別電極13cに供給される電位に応じて独立して変形可能である。
【0033】
非吐出駆動信号Sbは、ノズルNからインクを吐出させずにノズルN内のインクのメニスカスを振動させるための信号であり、例えば、吐出駆動信号Sa1~Sa3に含まれるパルスよりもパルス幅Wが小さい複数のパルスPを含む。
【0034】
制御装置90は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)91と、ROM(Read Only Memory)92と、RAM(Random Access Memory)93と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)94とを含む。このうち、CPU91及びASIC94が本発明の「制御部」に該当する。
【0035】
ROM92には、CPU91やASIC94が各種制御を行うためのプログラムやデータが格納されている。RAM93は、CPU91やASIC94がプログラムを実行する際に用いるデータ(画像データ等)を一時的に記憶する。制御装置90は、外部装置(パーソナルコンピュータ等)150と通信可能に接続されており、当該外部装置150やプリンタ100の入力部(プリンタ100の筐体の外面に設けられたスイッチやボタン)から入力されたデータに基づいて、CPU91やASIC94により記録処理等を実行する。
【0036】
記録処理において、ASIC94は、CPU91からの指令にしたがい、外部装置150等から受信した記録指令に基づいて、ドライバIC14、キャリッジモータ30m及び搬送モータ50mを駆動させ、搬送機構50によって用紙1を搬送方向に所定量搬送する搬送動作と、ヘッド10を走査方向に移動させながらノズルNからインクを吐出させる走査動作とを、交互に行わせる。これにより、用紙1上に、インクのドットが形成され、画像が記録される。
【0037】
ASIC94は、図3に示すように、出力回路94a及び転送回路94bを含む。
【0038】
出力回路94aは、波形信号FIRE及び選択信号SINを生成し、これら信号を記録周期毎に転送回路94bに出力する。
【0039】
波形信号FIREは、上記4つの吐出駆動信号Sa0~Sa3(図4参照)を直列化したシリアル信号である。
【0040】
選択信号SINは、上記4つの吐出駆動信号Sa0~Sa3(図4参照)の中から1つを選択するための選択データを含むシリアル信号であり、記録指令に含まれる画像データに基づいて、アクチュエータ13x毎、かつ、記録周期毎に生成される。
【0041】
転送回路94bは、出力回路94aから受信した波形信号FIRE及び選択信号SINをドライバIC14に転送する。転送回路94bは、上記各信号に対応するLVDS(Low Voltage Differential Signaling)ドライバを内蔵しており、各信号をパルス状の差動信号としてドライバIC14に転送する。
【0042】
ASIC94は、記録処理において、ドライバIC14を制御し、画素毎に、波形信号FIRE及び選択信号SINに基づいて吐出駆動信号Sa0~Sa3を生成させ、信号線14sを介して吐出駆動信号Sa0~Sa3を個別電極13cに供給させる。これにより、ASIC94は、画素毎に、複数のノズルNのそれぞれから、4種類の吐出量(ゼロ、小、中、大)の中から選択された吐出量のインクを用紙1に向けて吐出させる。
【0043】
ASIC94は、ドライバIC14、キャリッジモータ30m、搬送モータ50m、キャップ昇降モータ70m及び吸引ポンプ70pに加え、タイマ80、温度センサ81及び湿度センサ82と電気的に接続されている。
【0044】
タイマ80は、時点を示すデータをASIC91に出力する。温度センサ81は、ヘッド10の環境温度を検知し、当該温度を示すデータをASIC91に出力する。湿度センサ82は、ヘッド10の環境湿度を検知し、当該湿度を示すデータをASIC91に出力する。
【0045】
次いで、図5及び図6を参照し、CPU91が実行するプログラムについて説明する。
【0046】
なお、当該プログラムの開始時点において、ヘッド10はキャップ70の上方に位置し(図1参照)、キャップ70は「キャッピング状態」にある。このとき、ノズル列Nkを構成するノズルNは第1キャップ71で覆われ、ノズル列Nc,Nm,Nyを構成するノズルNは第2キャップ72で覆われている。
【0047】
CPU91は、先ず、図5に示すように、外部装置150等から記録指令を受信したか否かを判断する(S1)。記録指令を受信していない場合(S1:NO)、CPU91は、S1の処理を繰り返す。
【0048】
記録指令を受信した場合(S1:YES)、CPU91は、キャップ昇降モータ70mを駆動させ、キャップ70を下方に移動させることで、キャップを「キャッピング状態」から「アンキャッピング状態」に移行させる(S2:アンキャップ処理)。
【0049】
S2の後、CPU91は、キャリッジモータ30mを駆動させ、走査機構30によりヘッド10をフラッシング受容部材60に向けて走査方向に移動させる(図1参照)。そしてCPU91は、ヘッド10の移動中に、ノズル列Nc,Nm,Ny,Nk毎に、当該ノズル列がフラッシング受容部材60の上方に位置するタイミングで、画像データとは異なるフラッシングデータに基づいて、ドライバIC14の駆動によりアクチュエータ13xを変形させ、当該ノズル列に属するノズルNからインクを吐出させる(S3:フラッシング処理)。吐出されたインクは、フラッシング領域60rに受容され、廃インクタンク77へと流れる。
【0050】
S3の後、CPU91は、記録指令に基づいて、ドライバIC14、キャリッジモータ30m及び搬送モータ50mを駆動させ、搬送機構50によって用紙1を搬送方向に所定量搬送する搬送動作と、ヘッド10を走査方向に移動させながらノズルNからインクを吐出させる走査動作とを、交互に行わせる(S4:記録処理)。
【0051】
S4の後、CPU91は、キャリッジモータ30mを駆動させ、走査機構30によりヘッド10を走査方向に移動させてキャップ70の上方に配置する。そしてCPU91は、キャップ昇降モータ70mを駆動させ、キャップ70を上方に移動させることで、キャップ70を「アンキャッピング状態」から「キャッピング状態」に移行させる(S5:キャップ処理)。これにより、ノズル列Nkを構成するノズルNは第1キャップ71で覆われ、ノズル列Nc,Nm,Nyを構成するノズルNは第2キャップ72で覆われる。
【0052】
S5の後、CPU91は、アンキャッピング時間(S2でキャップ70が「アンキャッピング状態」に移行した時点から、S5でキャップ70が「キャッピング状態」に移行した時点までの時間)、環境温度及び環境湿度に基づいて、非吐出駆動時間(後述する非吐出駆動処理S8を実行する時間)を決定する(S6:決定処理)。
【0053】
S6において、CPU91は、タイマ80がASIC91に出力したデータに基づき、アンキャッピング時間を取得し、温度センサ81がASIC91に出力したデータに基づき、環境温度を取得し、湿度センサ82がASIC91に出力したデータに基づき、環境湿度を取得する。そしてCPU91は、ROM92に記憶されたテーブル(アンキャッピング時間、環境温度及び環境湿度と非吐出駆動時間との対応関係を示すテーブル)から、取得したアンキャッピング時間、環境温度及び環境湿度に対応する非吐出駆動時間を抽出する。或いは、CPU91は、ROM92に記憶された演算式(アンキャッピング時間、環境温度及び環境湿度から非吐出駆動時間を算出するための演算式)と、取得したアンキャッピング時間、環境温度及び環境湿度とから、非吐出駆動時間を算出する。即ち、「非吐出駆動時間を決定すること」は、テーブルから非吐出駆動時間を抽出すること、演算式から非吐出駆動時間を算出すること等を意味する。
【0054】
S6で用いられるテーブルや演算式は、例えば、図6のグラフに対応する。図6では、アンキャッピング時間がゼロから所定時間までの間、アンキャッピング時間が長いほど非吐出駆動時間が長くなっている。また、環境温度が低温、常温及び高温(低温は常温よりも環境温度が低く、高温は常温よりも環境温度が高い。)に区分されており、環境温度が低いほど非吐出駆動時間が長くなっている。さらに、低温、常温及び高温のそれぞれにおいて、環境湿度が低いほど非吐出駆動時間が長くなっている。即ち、S6において、CPU91は、環境温度が高いほど非吐出駆動時間が短くなるように、非吐出駆動時間を決定する。また、CPU91は、環境湿度が高いほど非吐出駆動時間が短くなるように、非吐出駆動時間を決定する。
【0055】
S6の後、CPU91は、後述する非吐出駆動処理S8で用いられる非吐出駆動信号Sbを決定する(S7)。
【0056】
S7において、CPU91は、ROM92に記憶されたテーブル(アンキャッピング時間、環境温度及び環境湿度と非吐出駆動信号Sbの単位時間T当たりのパルスPの数、パルス幅W、波高値(駆動電位VDD)及び駆動周期との対応関係を示すテーブル)から、取得したアンキャッピング時間、環境温度及び環境湿度に対応する、非吐出駆動信号Sbの単位時間T当たりのパルスPの数、パルス幅W、波高値(駆動電位VDD)及び駆動周期(単位時間T)を抽出する。或いは、CPU91は、ROM92に記憶された演算式(アンキャッピング時間、環境温度及び環境湿度から非吐出駆動信号Sbの単位時間T当たりのパルスPの数、パルス幅W、波高値(駆動電位VDD)及び駆動周期を算出する演算式)と、取得したアンキャッピング時間、環境温度及び環境湿度とから、非吐出駆動信号Sbの単位時間T当たりのパルスPの数、パルス幅W、波高値(駆動電位VDD)及び駆動周期を算出する。即ち、「非吐出駆動信号Sbを決定すること」は、テーブルから非吐出駆動信号Sbの上記各要素を抽出すること、演算式から非吐出駆動信号Sbの上記各要素を算出すること等を意味する。
【0057】
S7で用いられるテーブルや演算式は、以下の関係を有する。アンキャッピング時間が長いほど、非吐出駆動信号Sbの単位時間T当たりのパルスPの数が多いこと、非吐出駆動信号Sbのパルス幅Wが大きいこと、非吐出駆動信号Sbの波高値(駆動電位VDD)が大きいこと、及び、非吐出駆動信号Sbの駆動周期が短いことのうちの少なくとも1つを満たす。また、環境温度が低いほど、非吐出駆動信号Sbの単位時間T当たりのパルスPの数が多いこと、非吐出駆動信号Sbのパルス幅Wが大きいこと、非吐出駆動信号Sbの波高値(駆動電位VDD)が大きいこと、及び、非吐出駆動信号Sbの駆動周期が短いことのうちの少なくとも1つを満たす。環境湿度が低いほど、非吐出駆動信号Sbの単位時間T当たりのパルスPの数が多いこと、非吐出駆動信号Sbのパルス幅Wが大きいこと、非吐出駆動信号Sbの波高値(駆動電位VDD)が大きいこと、及び、非吐出駆動信号Sbの駆動周期が短いことのうちの少なくとも1つを満たす。
【0058】
S7の後、CPU91は、キャップ70を「キャッピング状態」に維持して、ノズル列Nkにおいて、ノズル列Nkの個別電極13cに対し、ドライバIC14によりS7で決定された非吐出駆動信号Sbを供給し、ノズルNからインクを吐出させずにノズルN内のインクのメニスカスを振動させる(S8:非吐出駆動処理)。つまり、本実施形態では、ノズル列Nkに対して非吐出駆動処理S8を実行し、ノズル列Nc,Nm,Nyに対して非吐出駆動処理S8を実行しない。
【0059】
S8において、CPU91は、S6で決定された非吐出駆動時間の間、非吐出駆動信号Sbの供給を続ける(即ち、ノズルNからインクを吐出させずにノズルN内のインクのメニスカスを振動させる、非吐出駆動処理を実行する)。
【0060】
また、S8において、CPU91は、アンキャッピング時間が長いほど、単位時間T当たりのパルスPの数が多いこと、パルス幅Wが大きいこと、波高値(駆動電位VDD)が大きいこと、及び、駆動周期が短い(即ち、駆動周波数が大きい)ことのうちの少なくとも1つを満たす、非吐出駆動信号Sbを用いる。また、環境温度が低いほど、単位時間T当たりのパルスPの数が多いこと、パルス幅Wが大きいこと、波高値(駆動電位VDD)が大きいこと、及び、駆動周期が短い(即ち、駆動周波数が大きい)ことのうちの少なくとも1つを満たす、非吐出駆動信号Sbを用いる。また、環境湿度が低いほど、単位時間T当たりのパルスPの数が多いこと、パルス幅Wが大きいこと、波高値(駆動電位VDD)が大きいこと、及び、駆動周期が短い(即ち、駆動周波数が大きい)ことのうちの少なくとも1つを満たす、非吐出駆動信号Sbを用いる。
【0061】
なお、非吐出駆動信号Sbの波高値(駆動電位VDD)を異ならせるため、例えば、プリンタ100は、出力電圧が互いに異なる複数の電源回路を備えている。CPU91は、複数の電源回路のうち、S7で決定された波高値(駆動電位VDD)に対応する出力電圧の電源回路をドライバIC14に割り当てる。ドライバIC14は、割り当てられた電源回路からの電圧によって非吐出駆動信号Sb(即ち、S7で決定された波高値(駆動電位VDD)の非吐出駆動信号)を生成する。
【0062】
S8の後、CPU91は、当該プログラムを終了する。
【0063】
以上に述べたように、本実施形態によれば、CPU91は、非吐出駆動時間をアンキャッピング時間に基づいて決定する(S6)。これにより、必要以上に長い時間非吐出駆動処理が実行されること(ひいては、次の記録処理の開始が遅れること)を抑制できる。したがって、キャップ70がキャッピング状態にあるときに非吐出駆動処理を実行する構成において、高速記録を実現できる。
【0064】
CPU91は、S6(決定処理)において、アンキャッピング時間と、環境温度及び環境湿度の少なくとも1つ(本実施形態では、環境温度及び環境湿度の両方)とに基づいて、非吐出駆動時間を決定する。環境温度及び環境湿度は、インクの増粘に大きく影響する。そこで本実施形態では、アンキャッピング時間のみならず、環境温度及び環境湿度の少なくとも1つに基づいて非吐出駆動時間を決定することで、適切な非吐出駆動時間を得ることができる。
【0065】
CPU91は、S6(決定処理)において、環境温度が高いほど非吐出駆動時間が短くなるように、非吐出駆動時間を決定する(図6参照)。環境温度が高いほど、インク中の水分の拡散が速く、ヘッド10内のインクがノズルNに補給され、ノズルN内のインクが増粘し難い。そこで本実施形態では、環境温度が高いほど非吐出駆動時間を短くすることで、増粘を抑制しつつ、高速記録をより確実に実現できる。
【0066】
CPU91は、S6(決定処理)において、環境湿度が高いほど非吐出駆動時間が短くなるように、非吐出駆動時間を決定する(図6参照)。環境湿度が高いほど、ノズルN内のインクが増粘し難い。そこで本実施形態では、環境湿度が高いほど非吐出駆動時間を短くすることで、増粘を抑制しつつ、高速記録をより確実に実現できる。
【0067】
CPU91は、S8(非吐出駆動処理)において、アンキャッピング時間が長いほど、単位時間T当たりのパルスPの数が多い非吐出駆動信号Sbを用いる。アンキャッピング時間が長いほど、キャップ70内に付着したインク(例えば、吸引ポンプ70p(図1参照)の駆動によりノズルNから強制的に排出されキャップ70に受容されたインク)の乾燥が進行する。インクが吸水性材料を含有する場合、キャップ70内の乾燥したインクが、吸湿剤として機能し、キャップ70がキャッピング状態にあるときにノズルN内のインクから水分を吸収して、ノズルN内のインクの増粘を促進し得る。そこで本実施形態では、アンキャッピング時間が長いほど、単位時間T当たりのパルスPの数が多い非吐出駆動信号Sbを用いることで、S8(非吐出駆動処理)におけるノズルN内のインクの振動力を高め、増粘をより確実に抑制できる。一方、アンキャッピング時間が短い場合は、単位時間T当たりのパルスPの数が少ない非吐出駆動信号Sbを用いることで、消費電力を抑制できる。
【0068】
CPU91は、S8(非吐出駆動処理)において、アンキャッピング時間が長いほど、パルス幅Wが大きい非吐出駆動信号Sbを用いる。アンキャッピング時間が長いほど、キャップ70内に付着したインク(例えば、吸引ポンプ70p(図1参照)の駆動によりノズルNから強制的に排出されキャップ70に受容されたインク)の乾燥が進行する。インクが吸水性材料を含有する場合、キャップ70内の乾燥したインクが、吸湿剤として機能し、キャップ70がキャッピング状態にあるときにノズルN内のインクから水分を吸収して、ノズルN内のインクの増粘を促進し得る。そこで本実施形態では、アンキャッピング時間が長いほど、パルス幅Wが大きい非吐出駆動信号Sbを用いることで、S8(非吐出駆動処理)におけるノズルN内のインクの振動力を高め、増粘をより確実に抑制できる。一方、アンキャッピング時間が短い場合は、パルス幅Wが小さい非吐出駆動信号Sbを用いることで、消費電力を抑制できる。
【0069】
CPU91は、S8(非吐出駆動処理)において、アンキャッピング時間が長いほど、波高値(駆動電位VDD)が大きい非吐出駆動信号Sbを用いる。アンキャッピング時間が長いほど、キャップ70内に付着したインク(例えば、吸引ポンプ70p(図1参照)の駆動によりノズルNから強制的に排出されキャップ70に受容されたインク)の乾燥が進行する。インクが吸水性材料を含有する場合、キャップ70内の乾燥したインクが、吸湿剤として機能し、キャップ70がキャッピング状態にあるときにノズルN内のインクから水分を吸収して、ノズルN内のインクの増粘を促進し得る。そこで本実施形態では、アンキャッピング時間が長いほど、波高値(駆動電位VDD)が大きい非吐出駆動信号Sbを用いることで、S8(非吐出駆動処理)におけるノズルN内のインクの振動力を高め、増粘をより確実に抑制できる。一方、アンキャッピング時間が短い場合は、波高値(駆動電位VDD)が小さい非吐出駆動信号Sbを用いることで、消費電力を抑制できる。
【0070】
CPU91は、S8(非吐出駆動処理)において、アンキャッピング時間が長いほど、駆動周期が短い(即ち、駆動周波数が大きい)非吐出駆動信号Sbを用いる。アンキャッピング時間が長いほど、キャップ70内に付着したインク(例えば、吸引ポンプ70p(図1参照)の駆動によりノズルNから強制的に排出されキャップ70に受容されたインク)の乾燥が進行する。インクが吸水性材料を含有する場合、キャップ70内の乾燥したインクが、吸湿剤として機能し、キャップ70がキャッピング状態にあるときにノズルN内のインクから水分を吸収して、ノズルN内のインクの増粘を促進し得る。そこで本実施形態では、アンキャッピング時間が長いほど、駆動周期が短い(即ち、駆動周波数が大きい)非吐出駆動信号Sbを用いることで、S8(非吐出駆動処理)におけるノズルN内のインクの振動力を高め、増粘をより確実に抑制できる。一方、アンキャッピング時間が短い場合は、駆動周期が長い(即ち、駆動周波数が小さい)非吐出駆動信号Sbを用いることで、消費電力を抑制できる。
【0071】
CPU91は、S8(非吐出駆動処理)において、環境温度が低いほど、単位時間T当たりのパルスPの数が多い非吐出駆動信号Sbを用いる。環境温度が低いほど、インク中の水分の拡散が遅く、ヘッド10内のインクがノズルNに補給され難く、ノズルN内のインクが増粘し易い。そこで本実施形態では、環境温度が低いほど、単位時間T当たりのパルスPの数が多い非吐出駆動信号Sbを用いることで、S8(非吐出駆動処理)におけるノズルN内のインクの振動力を高め、増粘をより確実に抑制できる。一方、環境温度が高い場合は、単位時間T当たりのパルスPの数が少ない非吐出駆動信号Sbを用いることで、消費電力を抑制できる。
【0072】
CPU91は、S8(非吐出駆動処理)において、環境温度が低いほど、パルス幅Wが大きい非吐出駆動信号Sbを用いる。環境温度が低いほど、インク中の水分の拡散が遅く、ヘッド10内のインクがノズルNに補給され難く、ノズルN内のインクが増粘し易い。そこで本実施形態では、環境温度が低いほど、パルス幅Wが大きい非吐出駆動信号Sbを用いることで、S8(非吐出駆動処理)におけるノズルN内のインクの振動力を高め、増粘をより確実に抑制できる。一方、環境温度が高い場合は、パルス幅Wが小さい非吐出駆動信号Sbを用いることで、消費電力を抑制できる。
【0073】
CPU91は、S8(非吐出駆動処理)において、環境温度が低いほど、波高値(駆動電位VDD)が大きい非吐出駆動信号Sbを用いる。環境温度が低いほど、インク中の水分の拡散が遅く、ヘッド10内のインクがノズルNに補給され難く、ノズルN内のインクが増粘し易い。そこで本実施形態では、環境温度が低いほど、波高値(駆動電位VDD)が大きい非吐出駆動信号Sbを用いることで、S8(非吐出駆動処理)におけるノズルN内のインクの振動力を高め、増粘をより確実に抑制できる。一方、環境温度が高い場合は、波高値(駆動電位VDD)が小さい非吐出駆動信号Sbを用いることで、消費電力を抑制できる。
【0074】
CPU91は、S8(非吐出駆動処理)において、環境温度が低いほど、駆動周期が短い(即ち、駆動周波数が大きい)非吐出駆動信号Sbを用いる。環境温度が低いほど、インク中の水分の拡散が遅く、ヘッド10内のインクがノズルNに補給され難く、ノズルN内のインクが増粘し易い。そこで本実施形態では、環境温度が低いほど、駆動周期が短い(即ち、駆動周波数が大きい)非吐出駆動信号Sbを用いることで、S8(非吐出駆動処理)におけるノズルN内のインクの振動力を高め、増粘をより確実に抑制できる。一方、環境温度が高い場合は、駆動周期が長い(即ち、駆動周波数が小さい)非吐出駆動信号Sbを用いることで、消費電力を抑制できる。
【0075】
CPU91は、S8(非吐出駆動処理)において、環境湿度が低いほど、単位時間T当たりのパルスPの数が多い非吐出駆動信号Sbを用いる。環境湿度が低いほど、ノズルN内のインクが増粘し易い。そこで本実施形態では、環境湿度が低いほど、単位時間T当たりのパルスPの数が多い非吐出駆動信号Sbを用いることで、S8(非吐出駆動処理)におけるノズルN内のインクの振動力を高め、増粘をより確実に抑制できる。一方、環境湿度が高い場合は、単位時間T当たりのパルスPの数が少ない非吐出駆動信号Sbを用いることで、消費電力を抑制できる。
【0076】
CPU91は、S8(非吐出駆動処理)において、環境湿度が低いほど、パルス幅Wが大きい非吐出駆動信号Sbを用いる。環境湿度が低いほど、ノズルN内のインクが増粘し易い。そこで本実施形態では、環境湿度が低いほど、パルス幅Wが大きい非吐出駆動信号Sbを用いることで、S8(非吐出駆動処理)におけるノズルN内のインクの振動力を高め、増粘をより確実に抑制できる。一方、環境湿度が高い場合は、パルス幅Wが小さい非吐出駆動信号Sbを用いることで、消費電力を抑制できる。
【0077】
CPU91は、S8(非吐出駆動処理)において、環境湿度が低いほど、波高値(駆動電位VDD)が大きい非吐出駆動信号Sbを用いる。環境湿度が低いほど、ノズルN内のインクが増粘し易い。そこで本実施形態では、環境湿度が低いほど、波高値(駆動電位VDD)が大きい非吐出駆動信号Sbを用いることで、S8(非吐出駆動処理)におけるノズルN内のインクの振動力を高め、増粘をより確実に抑制できる。一方、環境湿度が高い場合は、波高値(駆動電位VDD)が小さい非吐出駆動信号Sbを用いることで、消費電力を抑制できる。
【0078】
CPU91は、S8(非吐出駆動処理)において、環境湿度が低いほど、駆動周期が短い(即ち、駆動周波数が大きい)非吐出駆動信号Sbを用いる。環境湿度が低いほど、ノズルN内のインクが増粘し易い。そこで本実施形態では、環境湿度が低いほど、駆動周期が短い(即ち、駆動周波数が大きい)非吐出駆動信号Sbを用いることで、S8(非吐出駆動処理)におけるノズルN内のインクの振動力を高め、増粘をより確実に抑制できる。一方、環境湿度が高い場合は、駆動周期が長い(即ち、駆動周波数が小さい)非吐出駆動信号Sbを用いることで、消費電力を抑制できる。
【0079】
CPU91は、S5(キャップ処理)において、第1キャップ71がノズル列Nkを覆い、第2キャップ72がノズル列Nc,Nm,Nyを覆うように、走査機構30及びキャップ昇降モータ70mを駆動させる(図1参照)。そしてCPU91は、ノズル列Nkに対してS8(非吐出駆動処理)を実行し、ノズル列Nc,Nm,Nyに対してS8(非吐出駆動処理)を実行しない。ノズル列Nkから吐出されるインクは吸水性材料を含有するため、第1キャップ71内に付着したインクの乾燥が進行すると、当該インクが吸湿剤として機能し、キャップ70がキャッピング状態にあるときにノズルN内のインクから水分を吸収して、ノズルN内のインクの増粘を促進し得る。一方、ノズル列Nc,Nm,Nyから吐出されるインクは吸水性材料を含有しないため、上記問題が生じ難い。そこで、ノズル列Nkに対してはS8(非吐出駆動処理)を実行してノズルN内のインクの増粘を抑制する一方、ノズル列Nc,Nm,Nyに対してはS8(非吐出駆動処理)を実行しない。これにより、消費電力を抑制できる。
【0080】
<第2実施形態>
続いて、図7及び図8を参照し、本発明の第2実施形態に係るプリンタ200について説明する。
【0081】
第1実施形態(図1参照)のキャップ70は、ノズル列Nkに対応する第1キャップ71とノズル列Nc,Nm,Nyに対応する第2キャップ72とを含むのに対し、本実施形態(図7参照)のキャップ270は、4つのノズル列Nc,Nm,Ny,Nkに属する全てのノズルNを覆う。本実施形態において、CPU91は、S5(キャップ処理)において、キャップ270が4つのノズル列Nc,Nm,Ny,Nk(即ち、「第1ノズル群」に該当するノズル列Nk及び「第2ノズル群」に該当するノズル列Nc,Nm,Nyの両方)に属する全てのノズルNを覆うように、走査機構30及びキャップ昇降モータ70mを駆動させる。
【0082】
本実施形態において、CPU91は、S6(決定処理)において、ノズル列Nkに対する非吐出駆動時間T1(第1時間)と、ノズル列Nc,Nm,Nyに対する非吐出駆動時間T2(第2時間)とを、T2がT1よりも短くなるように(T2<T1)、個別に決定する。
【0083】
S6で用いられるテーブルや演算式は、例えば、図8のグラフに対応する。図8は、環境温度及び環境湿度がそれぞれ互いに同じ場合における、アンキャッピング時間に応じた非吐出駆動時間T1,T2を示す。どのアンキャッピング時間においても、T2<T1の関係が維持されている。
【0084】
CPU91は、S8(非吐出駆動処理)において、キャップ270を「キャッピング状態」に維持して、全てのノズル列Nc,Nm,Ny,Nkの個別電極13cに対し、ドライバIC14によりS7で決定された非吐出駆動信号Sbを供給し、全てのノズル列Nc,Nm,Ny,Nkにおいて、ノズルNからインクを吐出させずにノズルN内のインクのメニスカスを振動させる。つまり、本実施形態では、全てのノズル列Nc,Nm,Ny,Nkに対して非吐出駆動処理S8を実行する。
【0085】
S8において、CPU91は、ノズル列Nkの個別電極13cに対しては非吐出駆動時間T1(第1時間)の間、ノズル列Nc,Nm,Nyの個別電極13cに対しては非吐出駆動時間T2(第2時間)の間、非吐出駆動信号Sbの供給を続ける。
【0086】
以上に述べたように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の構成に基づく同様の効果に加え、以下の効果が得られる。
【0087】
ノズル列Nkから吐出されるインクは吸水性材料を含有するため、第1キャップ71内に付着したインクの乾燥が進行すると、当該インクが吸湿剤として機能し、キャップ70がキャッピング状態にあるときにノズルN内のインクから水分を吸収して、ノズルN内のインクの増粘を促進し得る。一方、ノズル列Nc,Nm,Nyから吐出されるインクは吸水性材料を含有しないため、上記問題が生じ難い。そこで本実施形態では、ノズル列Nc,Nm,Nyに対する非吐出駆動時間T2を、ノズル列Nkに対する非吐出駆動時間T1よりも短くする。これにより、消費電力を抑制できる。
【0088】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0089】
上述の実施形態のヘッドは、互いに異なる種類の液体(顔料インクと染料インク、又は、色が異なるインク)を吐出するノズルを備えているが、これに限定されない。例えば、ヘッドは、同一種類の液体(例えば、顔料インクのみ、染料インクのみ、又は、色が同じインクのみ)を吐出するノズルを備えてもよい。
【0090】
上述の実施形態では、制御部は、温度センサや湿度センサから出力されたデータに基づいて環境温度や環境湿度を取得するが、これに限定されず、ユーザが入力したデータに基づいて環境温度や環境湿度を取得してもよい。
【0091】
制御部は、決定処理において、アンキャッピング時間と、環境温度及び環境湿度の一方とに基づいて、非吐出駆動時間を決定してもよい。或いは、制御部は、決定処理において、環境温度及び環境湿度のいずれにも基づかず、アンキャッピング時間に基づいて、非吐出駆動時間を決定してもよい。
【0092】
ヘッドは、上述の実施形態ではシリアル式であるが、ライン式であってもよい。
【0093】
ノズルから吐出される液体は、インクに限定されず、インク以外の液体(例えば、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等)であってもよい。
【0094】
記録媒体は、用紙に限定されず、例えば、布、樹脂部材等であってもよい。
【0095】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等にも適用可能である。また、本発明は、画像の記録以外の用途で使用される液体吐出装置(例えば、基板に導電性の液体を吐出して導電パターンを形成する液体吐出装置)にも適用可能である。
【0096】
本発明に係るプログラムは、フレキシブルディスク等のリムーバブル型記録媒体やハードディスク等の固定型記録媒体に記録して配布可能である他、通信回線を介して配布可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 用紙(記録媒体)
10 ヘッド
30 走査機構(移動機構)
70;270 キャップ
71 第1キャップ
72 第2キャップ
70m キャップ昇降モータ(移動機構)
80 タイマ
81 温度センサ
82 湿度センサ
91 CPU(制御部)
94 ASIC(制御部)
100;200 プリンタ(液体吐出装置)
N ノズル
Nk ノズル列(第1ノズル群)
Nc,Nm,Ny ノズル列(第2ノズル群)
P パルス
W パルス幅
Sb 非吐出駆動信号
T 単位時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8